(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の波長の光を出射する前記蛍光体及び該蛍光体に対応する前記フィルタが、前記蛍光体ホイールの回転方向において一部の領域に設けられ、前記空間における、該一部の領域と前記回転方向の他の領域との境界に仕切り板が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施態様1に係る光源装置は、光源と、前記光源からの光を透過させる円板状の蛍光体ホイールと、を備え、前記蛍光体ホイールが、蛍光体と、空間を介して前記蛍光体より前記光源から離れた位置に配置されたフィルタと、前記蛍光体の側面及び前記フィルタの側面と接する内壁を有する筐体と、を含む。
【0012】
本実施態様によれば、フィルタが蛍光体より光源から離れた位置に配置されているので、蛍光体から出射された光のうち、所望の波長域の光のみを取り出して出力することができる。また、フィルタは蛍光体とは個別の部材として形成されているので、蛍光体の発熱の影響を受けにくい。また、蛍光体とフィルタとの間に光損失を生じさせる接着層が存在せず、筐体の内壁で蛍光体の側面及びフィルタの側面が覆われるので、光が側面から逃げることがなく、発光効率の低下を抑制することができる。
【0013】
本発明の実施態様2に係る光源装置は、上記の実施態様1において、所定の波長の光を出射する前記蛍光体及び該蛍光体に対応する前記フィルタが、前記蛍光体ホイールの回転方向において一部の領域に設けられ、前記空間における、該一部の領域と前記回転方向の他の領域との境界に仕切り板が設けられている。
【0014】
本実施態様によれば、仕切り板により、所定の波長の光を出射する蛍光体及び対応するフィルタが区切られるので、他の波長域の光が混在することなく、様々な波長域の光を時分割で出力することができる。
【0015】
本発明の実施態様3に係る光源装置は、光源と、前記光源からの光を透過させる円板状の蛍光体ホイールと、を備え、前記蛍光体ホイールが、蛍光体と、前記蛍光体に接して、前記蛍光体より前記光源から離れた位置に配置されたフィルタと、前記蛍光体の側面及び前記フィルタの側面と接する内壁を有する筐体と、を含む。
【0016】
本実施態様によれば、フィルタが蛍光体より光源から離れた位置に配置されているので、蛍光体から出射された光のうち、所望の波長域の光のみを取り出して出力することができる。また、フィルタは蛍光体とは個別の部材として形成されているので、蛍光体の発熱の影響を受けにくく、かつ筐体38の全長を短くすることができるので、蛍光体ホイールの小型化に貢献できる。また、蛍光体とフィルタとの間に光損失を生じさせる接着層が存在せず、筐体の内壁で蛍光体の側面及びフィルタの側面が覆われるので、光が側面から逃げることがなく、発光効率の低下を抑制することができる。
【0017】
本発明の実施態様4に係る光源装置は、上記の実施態様1から3の何れかにおいて、前記内壁に、前記蛍光体及び前記フィルタの位置を定めるための凸部が設けられている。
【0018】
本実施態様によれば、蛍光体及びフィルタの位置を定めるための凸部が設けられているので、シンプルな構造で確実に蛍光体及びフィルタの位置を画定することができる。
【0019】
本発明の実施態様5に係る光源装置は、上記の実施態様1から4の何れかにおいて、前記フィルタの直径が前記蛍光体の直径以下である。
【0020】
本実施態様によれば、フィルタの直径が蛍光体の直径以下なので、蛍光体から出射した光を絞ってフィルタから出射することができ、より均一性のとれた出射光を得ることができる。また、筐体及び蛍光体ホイールを小型化でき、コンパクトな光源装置を実現できる。
【0021】
本発明の実施態様6に係る光源装置は、上記の実施態様1から5の何れかにおいて、前記フィルタが、前記光源からの光であって、前記蛍光体を通過する出射光のうち所定の波長帯域の光を透過させるフィルタである。
【0022】
本実施態様では、フィルタに入射する光には、光源の出射光の波長域の光及び蛍光体により波長変換された波長域の光が含まれる。本実施態様においては、所望の波長域の光だけを取り出して出力できるので、演光性の高い光源装置を実現できる。
【0023】
本発明の実施態様7に係る光源装置は、上記の実施態様1から6の何れかにおいて、前記蛍光体ホイールは、基板を有し、前記基板に前記蛍光体を備えている。
【0024】
本実施態様によれば、蛍光体ホイールが蛍光体を備えた基板により構成されているので、安定した構造の蛍光体ホイールを低い製造コストで提供できる。
【0025】
本発明の実施態様8に係る光源装置は、上記の実施態様1から7の何れかにおいて、前記筐体の内壁は、前記蛍光体を通過する出射光を反射する反射面を備える。
【0026】
本実施態様によれば、筐体の内壁が、蛍光体を通過する出射光を反射する反射面を備えているので、光の減衰を抑えてフィルタへ入射でき、発光効率の低下を抑制することができる。
【0027】
本発明の実施態様9に係る光源装置は、上記の実施態様1から8の何れかにおいて、更に、前記光源からの出射光を前記蛍光体ホイールに集光させる第1レンズと、前記蛍光体ホイールからの光を平行光とする第2レンズと、前記蛍光体ホイールを回転させる駆動装置と、を備えている。
【0028】
本実施態様によれば、光源からの出射光を蛍光体ホイールに集光させる第1レンズと、蛍光体ホイールからの光を平行光とする第2レンズと、蛍光体ホイールを回転させる駆動装置と、を備えているので、演色性に優れた平行光を時分割で出力する光源装置を実現できる。
【0029】
本発明の第1の実施形態に係るプロジェクタは、上記の実施態様1〜11の何れかの実施形態の光源装置と、画像データに基づいて、前記光源装置から出射された複数の波長帯域の光を順次変調して画像を形成する光変調手段と、前記画像を拡大して投射する投射手段と、を備えている。
【0030】
本実施態様によれば、蛍光体の発熱の影響を受けにくい光源装置を備えて、発光効率の低下を抑制することができるプロジェクタを提供することができる。
次に、本発明の実施態様に係る光源装置及びこの光源装置を備えた実施形態に係るプロジェクタについて、図面を用いながら詳細に説明する。
【0031】
(本発明の1つの実施形態の光源装置の説明)
本発明の1つの実施形態の光源装置の説明を行う。
はじめに、
図1を用いて、本発明の1つの実施形態の光源装置の構造について、その概要を説明する。
図1(a)は光源装置を模式的に示す斜視図であり、
図1(b)は光源装置を模式的に示す側面図である。なお、
図1(b)に示す蛍光体ホイールでは、内部構造が見えるように、筐体の一部を切り欠いて示してある。
図1(a)に示すように、光源装置2は、光源10と、光源10からの出射光が入射する集光レンズ20と、集光レンズ20の出射光が入射する蛍光体ホイール30と、蛍光体ホイール30の出射光が入射する受光レンズ40とを備える。蛍光体ホイール30は、光源からの光を透過させる円板状の蛍光体ホイールであって、駆動軸52を介して駆動モータ50によって回転するようになっている。なお、
図1においては、光源10、集光レンズ20、蛍光体ホイール30及び受光レンズ40を含めて光源装置2として示してあるが、光源装置2に受光レンズ40を含めずに、光源10、集光レンズ20及び蛍光体ホイール30により光源装置2が構成される実施形態もあり得る。
【0032】
次に、光源10から出射した光の流れに沿って、光源装置2の概要を説明する。本実施形態では、光源10として半導体レーザを例示することができる。光源10から所定の波長帯域の光(青色光を例にとって説明する)が出射され、出射された光は集光レンズ20に入射し、集光レンズ20で集光されて、駆動モータ50によって回転する蛍光体ホイール30に入射する。蛍光体ホイール30は、光が透過する材料で構成され、少なくとも一部の領域に蛍光体が設けられている。蛍光体として、例えば、赤色蛍光体であれば、青色光が入射すると赤色光を発し、緑色蛍光体であれば、青色光が入射すると緑色光を発する。また、蛍光体を設けない領域であれば、光源からの青色光が波長変換されずに透過する。よって、蛍光体ホイール30が、回転方向において、赤色蛍光体が設けられた領域、緑色蛍光体が設けられた領域及び蛍光体が設けられていない領域に分けられていれば、集光レンズ20から蛍光体ホイール30に青色光が入射すると、蛍光体ホイール30から時分割で、赤色光、緑色光及び青色光が出射され、受光レンズ40に入射する。そして、受光レンズ40で平行光にされて、光源装置2から出射される。
【0033】
<蛍光体ホイールの説明>
次に、
図1(b)を用いて、本発明の蛍光体ホイール30の構造の概要を説明する。
蛍光体ホイール30が、基板32と、蛍光体34と、空間を介して蛍光体34より光源10から離れた位置に配置されたフィルタ36と、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面と接する内壁を有する筐体38とを含む。本実施形態では、コーティング等により、蛍光体34が基板32に備えられている。また筐体は円筒状で、内壁を有する筐体である。
よって、蛍光体ホイール30が蛍光体34を備えた基板32により構成されているので、安定した構造の蛍光体ホイール30を低い製造コストで提供できる。
また、基板32の外周縁部に筐体38が接合され、筐体38の内壁38Aは、蛍光体34の側面と接している。また、筐体38の光源10から遠い端部に、フィルタ36が取り付けられている。フィルタ36は所定の強度を有する円板状の部材であり、フィルタ36の側面が筐体38の内壁38Aに接しており、これにより、フィルタ36が筐体38に取り付けられている。所定の強度を有するフィルタ36は、例えば、透明のガラス板に蒸着等により誘電体多層膜を設けることによって、所望の波長域の光を選択的に透過するフィルタ36を形成することができる。以上のように、蛍光体34とフィルタ36とは、直接接触しておらず、離間している。筐体38の内壁38Aは、蛍光体34を通過する出射光を反射する反射面を備えている。
【0034】
フィルタ36は、蛍光体34により波長変換された波長域の光を透過し、その他の波長域の光を反射するフィルタである。つまり、フィルタ36が蛍光体34より光源10から離れた位置に配置されているので、蛍光体34から出射された光のうち、所望の波長域の光のみを取り出して出力することができる。例えば、蛍光体34が赤色蛍光体で構成されていれば、赤色の波長域の光を透過し、その他(赤色波長域よりも短い)波長域の光を反射するロングパスフィルタを例示できる。蛍光体34が緑色蛍光体で構成されていれば、緑色の波長域の光を透過し、その他(緑色波長域よりも短い及び長い)波長域の光を反射するバンドパスフィルタを例示できる。なお、蛍光体が備えられていない領域では、青色の波長域の光を透過し、その他(青色波長域よりも長い)波長域の光を反射するショートパスフィルタを例示できる。
【0035】
以上のように、本実施形態のフィルタ36は、光源10からの光であって、蛍光体34を通過する出射光のうち所定の波長帯域の光を透過させるフィルタである。
フィルタ36に入射する光には、光源10の出射光の波長域の光及び蛍光体34により波長変換された波長域の光が含まれるが、フィルタ36によって、所望の波長域の光だけを取り出して出力できるので、演光性の高い光源装置2を実現できる。
【0036】
このような構造の蛍光体ホイールにおいて、集光レンズ20で集光された青色光が蛍光体ホイール30の基板32に入射し、基板32内を透過して蛍光体34に入射する。蛍光体34で、所定の波長に波長変換された光が、内壁38Aによる反射を伴いながら、筐体38内の空間を進んで、フィルタ36に入射する。そして、所定の波長域の光が、フィルタ36から出射して、受光レンズ40に入射し、受光レンズ40で平行光にされて、光源装置2から出射される。
このとき、筐体38の内壁38Aで、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面が覆われるので、光がこれらの側面から逃げることがなく、発光効率の低下を抑制することができる。また、蛍光体とフィルタとの間に光損失を生じさせる接着層のようなものが存在しないので、更に、発光効率の低下を抑制することができる。
また、蛍光体34で波長変換するときに発熱するが、フィルタ36は蛍光体34とは個別の部材として形成されているので、蛍光体34の発熱の影響を受けにくい。フィルタの膜の劣化を抑制することができる。
【0037】
以上のように、本実施形態では、光源10と、光源10からの光を透過させる円板状の蛍光体ホイール30と、を備え、蛍光体ホイール30が、蛍光体34と、空間を介して蛍光体34より光源10から離れた位置に配置されたフィルタ36と、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面と接する内壁38Aを有する筐体38と、を含む。
【0038】
よって、フィルタ36が蛍光体34より光源10から離れた位置に配置されているので、蛍光体34から出射された光のうち、所望の波長域の光のみを取り出して出力することができる。また、フィルタ36は蛍光体34とは個別の部材として形成されているので、蛍光体34の発熱の影響を受けにくい。また、蛍光体34とフィルタ36との間に光損失を生じさせる接着層が存在せず、筐体38の内壁で蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面が覆われるので、光が側面から逃げることがなく、発光効率の低下を抑制することができる。
なお、蛍光体34から発する熱をより効果的に放熱するため、例えば、筐体38の外面に冷却フィン等を設けることもできる。
【0039】
特に、本実施形態によれば、筐体38の内壁38Aが、蛍光体34を通過する出射光を反射する反射面を備えているので、光の減衰を抑えてフィルタ36へ入射でき、発光効率の低下を抑制することができる。
【0040】
更に、本実施形態の光源装置2では、光源10からの出射光を蛍光体ホイール30に集光させる集光レンズ(第1レンズ)20と、蛍光体ホイール30からの光を平行光とする受光レンズ(第2レンズ)40と、蛍光体ホイール30を回転させる駆動装置(駆動モータ50や駆動軸52)とを備えている。よって、平行光を時分割で出力する光源装置2を実現できる。
【0041】
なお、蛍光体ホイール30の基板の入射側(光源10に近い側)の面には、光源10からの青色光を透過し、蛍光体34で波長変換された波長域の光を反射する誘電体多層膜を備えることもできる。これにより、光源10からの青色光の反射を抑制して蛍光体ホイール30へ入射させることができる。一般的に、ガラスと空気との境界面においては、約4%程度の残留反射が発生するが、誘電体多層膜を蒸着することで、反射率を0.5%以下に抑制することができる。更に、蛍光体34で波長変換された光のうち、光源10側に戻る光を、誘電体多層膜により出射側に反射することができるので、光源装置の発光効率を向上させることができる。また、輝度ムラ及び色度ムラを改善するために、散乱体、例えばSiO
2やTiO
2、Ba
2SO
4等の粒子を塗布することもできる。
【0042】
<光源装置を構成する各部材の説明>
以下に、光源装置2を構成する各部材の更に詳細な説明を行う。
[光源10]
光源10として青色半導体レーザを用いる場合には、370〜500nmの波長域の光を発することが好ましく、420〜500nmの波長域の光を発することが更に好ましい。ただし、光源10として青色半導体レーザを用いる場合に限られるものではなく、その他の任意の波長域の半導体レーザを用いることもできるし、その他の種類の光源、例えばLEDを用いることもできる。
[
【0043】
蛍光体ホイール30の基板32]
光を透過させる透明な円板状の基板32の素材は、光の透過率が高い素材であれば任意の材料を用いることができ、例えば、ガラス、樹脂、サファイア等を使用することができる。
【0044】
[蛍光体34]
蛍光体34として、上述のように光源から青色光が入射した場合に、赤色光を出力する赤色蛍光体、緑色光を出力する緑色蛍光体を例示することができる。
赤色光を出力する赤色蛍光体では、約600〜800nmの波長帯域の赤色の蛍光を発生させることが好ましい。具体的な材料の一例としては、(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu、CaAlSiN
3:Eu、SrAlSiN
3:Eu、K
2SiF
6:Mnなどを挙げることができる。
緑色光を出力する緑色蛍光体では、約500〜560nmの波長帯域の緑色の蛍光を発生させることが好ましい。具体的な材料の一例としては、β−Si
6−ZAl
ZO
ZN
8−Z:Eu、Lu
3Al
5O
12:Ce、Ca
8MgSi
4O
16C
l2:Eu、Ba
3Si
6O
12N
2:Eu、(Sr,Ba,Ca)Si
2O
2N
2:Euなどを挙げることができる。
【0045】
[駆動モータ]
駆動モータ50は、ブラシレス直流駆動モータであり、その駆動軸52と集光レンズ20の光軸とが平行になるように配置されている。また、駆動軸52に対して蛍光体ホイール30の面が垂直となるように固定されている。駆動モータ50の回転速度は、再生する動画のフレームレート(1秒当たりのフレーム数。単位は[fps])に基づく回転速度となる。例えば、60[fps]の動画を再生可能とする場合、駆動モータ50(つまり蛍光体ホイール30)の回転速度は、毎秒60回転の整数倍に定めるとよい。
【0046】
(本発明の他の実施形態の光源装置の説明)
次に、
図2を用いて、本発明のその他の実施形態の光源装置について説明する。
図2(a)は、本発明の他の実施形態の光源装置を模式的に示す斜視図であり、
図2(b)は、
図2(a)のA−A断面における断面図である。
図1に示す光源装置2の1つの実施形態と異なる点は、蛍光体ホイール30に仕切り板が設けられている点で、その他の構成については、基本的に同一である。よって、以下には、主に
図1に示す実施形態と異なる点について説明する。
【0047】
<蛍光体ホイールの説明>
本実施形態においても、蛍光体ホイール30が、蛍光体34と、空間を介して蛍光体34より光源10から離れた位置に配置されたフィルタ36と、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面と接する内壁を有する筐体38とを含む。なお、基板を備えて、蛍光体34が基板に設けられ、筐体38が基板に取り付けられている場合もあるし、基板を有さず、蛍光体34,フィルタ36、仕切り板60等が構造部材となっている場合(追って詳細に述べる)もあり得る。
図2(a)、(b)に示すように、本実施形態では、蛍光体ホイール30が、中心のボス62及び仕切り板60によって、3つの領域に仕切られている。
【0048】
具体的には、赤色蛍光体34Rが設けられた赤色出射領域SR、緑色蛍光体34Gが設けられた緑色出射領域SG、及び蛍光体が設けられていない青色出射領域SBが設けられている。赤色出射領域SRでは、入射側(光源10に近い側)に赤色蛍光体34Rが設けられ、出射側(光源10から遠い側)に赤色蛍光体34Rに対応したフィルタ36Rが設けられている。赤色蛍光体34Rに対応したフィルタ36Rとは、赤色光の波長域の光を透過し、その他の波長域の光を反射するロングパスフィルタを例示することができる。
同様に、緑色出射領域SGでは、入射側(光源10に近い側)に緑色蛍光体34Gが設けられ、出射側(光源10から遠い側)に緑色蛍光体34Gに対応したフィルタ36Gが設けられている。緑色蛍光体34Gに対応したフィルタ36Gとは、緑色光の波長域の光を透過し、その他の波長域の光を反射するバンドパスフィルタを例示することができる。
青色出射領域SBでは、緑色蛍光体もフィルタも設けられていないが、上述のように、誘電体多層膜や散乱体層を設けることもできる。なお、赤色出射領域SRや緑色出射領域SGに、誘電体多層膜や散乱体層を設けることもできる。
【0049】
以上のように、本実施形態では、所定の波長の光(例えば、赤色光、緑色光)を出射する蛍光体34R、34G及び蛍光体34R、34Gに対応するフィルタ36R、36Gが、蛍光体ホイール30の回転方向において一部の領域に設けられ、各領域の空間が仕切り板で他の領域と区切られている。
よって、この仕切り板60により、所定の波長の光を出射する蛍光体34(例えば、34R、34G)及び対応するフィルタ36(例えば、36R,36G)が区切られるので、他の波長域の光が混在することなく、様々な波長域の光を時分割で出力することができる。
【0050】
また、仕切り板60の面には、筐体38の内壁38Aと同様に、蛍光体34を通過する出射光を反射する反射面を備えている。つまり、仕切り板60で仕切られた各色出射領域は、筐体38の内壁38A及び仕切り板60に設けられた反射面で囲まれており、蛍光体を透過した光は、これらの反射面で反射されて、フィルタ36へ入射する。よって、この仕切り板60により、光の減衰を抑えてフィルタ36へ入射でき、発光効率の低下を抑制することができる。なお、詳細であるが、仕切り板60が取り付けられたボス62にも反射面が設けられており、発光効率の低下を抑制することができる。
【0051】
(本発明の実施形態の蛍光体ホイールの説明)
次に、
図3から
図6を用いて、本発明のその他の実施形態の光源装置、特に蛍光体ホイールの様々な実施形態について説明する。
<
図3に示す実施形態の説明>
はじめに、
図3に示す蛍光体ホイールの実施形態について説明する。
図3は、蛍光体ホイールを模式的に示す側面図であり、内部構造が見えるように、筐体の一部を切り欠いて示してある。
図3に示す蛍光体ホイールにおいても、光源に近い位置に配置された蛍光体34と、蛍光体34から空間を隔てて、蛍光体34より光源から離れた位置に配置されたフィルタ36と、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面と接する内壁38Aを有する筐体38とを有する。
図3に示す実施形態では、基板を備えていない点で、
図1及び
図2に示す実施形態と異なる。
【0052】
本実施形態では、蛍光体34及びフィルタ36が、所定の強度を有する円板状の部材で構成されている。例えば、透明なガラス板にコーティング等により蛍光体を設けることによって、所定の強度を有する蛍光体34を形成することができ、透明なガラス板に蒸着等により誘電体多層膜を設けることによって、所定の強度を有するフィルタ36を形成することができる。
円板状の蛍光体34及びフィルタ36が駆動軸52に固定され、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面に内壁38Aが接するようにして、筐体38が固定されている。
なお、
図2に示す実施形態のように、仕切り板60を有す場合には、蛍光体34及びフィルタ36の代わりに、仕切り板60及び中心のボス62を強度部材として、筐体38を支えるような構造を採用することもできる。
【0053】
<
図4に示す実施形態の説明>
次に、
図4に示す蛍光体ホイールの実施形態について説明する。
図4は、蛍光体ホイールを模式的に示す側面図であり、内部構造が見えるように、筐体の一部を切り欠いて示してある。
図4に示す実施形態では、蛍光体34及びフィルタ36が接している(間に空間がなく)蛍光体ホイールであって、
図4(a)には、基板を有する蛍光体ホイールを示し、
図4(b)には、基板を有さない蛍光体ホイールを示している。
つまり、
図4(a)、(b)に示す蛍光体ホイールを備えた光源装置では、光源と、光源からの光を透過させる円板状の蛍光体ホイール30と、を備え、蛍光体ホイール30が、蛍光体34と、蛍光体34に接して、蛍光体34より光源から離れた位置に配置されたフィルタと、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面と接する内壁38Aを有する筐体38と、を含んでいる。
【0054】
このとき、
図4(a)に示す実施形態では、駆動軸52に固定された基板32を備えており、蛍光体34はコーティング等で基板32に設けられ、筐体38は基板32に取り付けられている。そして、所定の強度を有する円板状のフィルタ36が、フィルタ36の側面が筐体38の内壁38Aと接するようにして取り付けられている。
一方、
図4(b)に示す実施形態では、基板32を備えておらず、蛍光体34及びフィルタ36が、所定の強度を有する円板状の部材で構成されている。円板状の蛍光体34及びフィルタ36が駆動軸52に固定され、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面に内壁38Aが接するようにして、筐体38が固定されている。
上述と同様に、例えば、透明なガラス板にコーティング等により蛍光体を設けることによって、所定の強度を有する蛍光体34を形成することができ、透明なガラス板に蒸着等により誘電体多層膜を設けることによって、所定の強度を有するフィルタ36を形成することができる。
【0055】
以上のように、
図4(a)、(b)に示す本実施形態によれば、フィルタ36が蛍光体34より光源から離れた位置に配置されているので、蛍光体34から出射された光のうち、所望の波長域の光のみを取り出して出力することができる。また、フィルタ36は蛍光体34とは個別の部材として形成されているので、蛍光体34の発熱の影響を受けにくく、かつ筐体38の全長を短くすることができるので、蛍光体ホイール30の小型化に貢献できる。更に、蛍光体34とフィルタ36との間に光損失を生じさせる接着層が存在せず、筐体38の内壁38Aで蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面が覆われるので、光が側面から逃げることがなく、発光効率の低下を抑制することができる。
【0056】
<
図5に示す実施形態の説明>
次に、
図5に示す蛍光体ホイールの実施形態について説明する。
図5は、蛍光体ホイールの蛍光体が設けられる領域の断面を模式的に示した断面図である。
図5に示す実施形態では、
図1から
図3に示すような蛍光体及びフィルタの間に空間が存在する蛍光体ホイールであって、蛍光体及びフィルタの位置を定めるための凸部が設けられている。
図5(a)には、光源に近い位置に配置された蛍光体34と、蛍光体34から空間を隔てて、蛍光体34より光源から離れた位置に配置されたフィルタ36と、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面と接する内壁38Aを有する筐体38とを有し、蛍光体34及びフィルタ36に接するように、蛍光体34及びフィルタ36の位置を定めるための凸部70が、筐体38の内壁38Aに設けられている。更に、着脱可能な取り付け部材72が筐体の両端部(光源に近い端部及び光源から遠い端部)に取り付けられており、取り付け部材72と凸部70の側面との間で、蛍光体34またはフィルタ36を挟み込んで固定するようになっている。
【0057】
図5(b)に示す実施形態では、蛍光体34及びフィルタ36の間の間隔が、
図5(a)に示す実施形態よりも大きく、筐体38の内壁38Aに、所定の間隔を隔てて2つの凸部70が設けられている点で、
図5(a)に示す実施形態と異なる。その他の点では、
図5(a)に示す実施形態と同様であり、着脱可能な取り付け部材72が筐体の両端部(光源に近い端部及び光源から遠い端部)に取り付けられている。この取り付け部材72と凸部70の側面との間で、蛍光体34またはフィルタ36を挟み込んで固定するようになっている。
ただし、取り付け部材72を用いのは、蛍光体34及びフィルタ36を固定するための一例にすぎず、その他の任意の固定方法を採用することができる。
以上のように、
図5に示す実施形態では、筐体38の内壁38Aに、蛍光体34及びフィルタ36の位置を定めるための凸部70が設けられているので、シンプルな構造で確実に蛍光体34及びフィルタ36の位置を画定することができる。
【0058】
<
図6に示す実施形態の説明>
次に、
図6に示す蛍光体ホイールの実施形態について説明する。
図6は、蛍光体ホイールの蛍光体が設けられる領域の断面を模式的に示した断面図である。
図6に示す実施形態では、
図4に示すような蛍光体及びフィルタの間に空間が存在しない蛍光体ホイールであって、蛍光体及びフィルタの位置を定めるための凸部が設けられている。
図6には、光源に近い位置に配置された蛍光体34と、蛍光体34に接して(空間を隔てずに)、蛍光体34より光源から離れた位置に配置されたフィルタ36と、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面と接する内壁38Aを有する筐体38とを有し、蛍光体34及びフィルタ36に接するように、蛍光体34及びフィルタ36の位置を定めるための凸部70が、筐体38の内壁38Aに設けられている。本実施形態では、筐体38の一方の端部(例えば、光源に近い端部)に凸部70が設けられている。また、筐体38のもう一方の端部に、着脱可能な取り付け部材72が取り付けられている。この取り付け部材72と凸部70の側面との間で、蛍光体34及びフィルタ36を挟み込んで固定するようになっている。ただし、取り付け部材72を用いるのは、蛍光体34及びフィルタ36を固定するための一例にすぎず、その他の任意の固定方法を採用することができる。例えば、両側の端部に凸部70を設けられた筐体38であって、2つの部分に分割可能な筐体38を用いることが考えられる。蛍光体34及びフィルタ36を挟み込むようにして、この2分割されていた筐体38を接合することによって同様な構成が実現できる。
【0059】
以上のように、
図6に示す実施形態においても、筐体38の内壁38Aに、蛍光体34及びフィルタ36の位置を定めるための凸部70が設けられているので、シンプルな構造で確実に蛍光体34及びフィルタ36の位置を画定することができる。
【0060】
<
図7に示す実施形態の説明>
次に、
図7に示す蛍光体ホイールの実施形態について説明する。
図7は、蛍光体ホイールを模式的に示す側面図であり、内部構造が見えるように、筐体の一部を切り欠いて示してある。
図7に示す実施形態では、フィルタ36の直径が蛍光体34の直径より小さい、または直径以下になっており、
図7(a)は、基板を有する蛍光体ホイール30を示し、
図7(b)には基板を有さない蛍光体ホイール30を示している。
図7(a)に示す実施形態では、駆動軸52に固定された基板32を備えており、蛍光体34はコーティング等で基板32に設けられ、筐体38は基板32に取り付けられている。そして、所定の強度を有する円板状のフィルタ36が、フィルタの側面が筐体38の内壁38Aと接するようにして取り付けられている。
一方、
図7(b)に示す実施形態では、基板32を備えておらず、蛍光体34及びフィルタ36が、所定の強度を有する円板状の部材で構成されている。円板状の蛍光体34及びフィルタ36が駆動軸52に固定され、蛍光体34の側面及びフィルタ36の側面に内壁38Aが接するようにして、筐体38が固定されている。
上述と同様に、例えば、透明なガラス板にコーティング等により蛍光体を設けることによって、所定の強度を有する蛍光体34を形成することができ、透明なガラス板に蒸着等により誘電体多層膜を設けることによって、所定の強度を有するフィルタ36を形成することができる。
【0061】
本実施形態によれば、フィルタ36の直径が蛍光体34の直径以下なので、蛍光体34から出射した光を絞ってフィルタ36から出射することができ、より均一性のとれた出射光を得ることができる。更に、筐体38及び蛍光体ホイール30を小型化でき、コンパクトな光源装置2を実現できる。
【0062】
(本発明のプロジェクタの説明)
次に、
図8を用いて、上述の実施形態で示した光源装置2を、いわゆる1チップ方式のDLPプロジェクタにおける光源装置として用いる場合を説明する。なお、
図8は、上述の実施形態で示した光源装置2を備えたプロジェクタ4の構成を示すための模式図であって、光源装置2やプロジェクタ4を上から見た模式的な平面図である。
図8において、光源装置2から出射された光は、光学系を介して、光空間変調器であるDMD(Digital Micromirror Device)素子(光変調手段)80に入射する。そして、DMD素子80で反射され、投射手段である投射レンズ82によって集光されて、スクリーン90に投影される。DMD素子80は、スクリーンに投影された画像の各画素に相当する微細なミラーをマトリックス状に配列したものであり、各ミラーの角度を変化させてスクリーンへ出射する光を、マイクロ秒単位でオン/オフすることができる。
また、各ミラーをオンにしている時間とオフにしている時間の比率によって、投射レンズへ入射する光の階調を変化させることにより、投影する画像の画像データに基づいた階調表示が可能になる。
【0063】
なお、本実施形態では、光変調手段としてDMD素子を用いているが、これに限られるものではなく、用途に応じて、その他任意の光変調素子を用いることができる。また、本発明に係る光源装置2及びこの光源装置2を用いたプロジェクタ4は、上述した実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明に含まれる。
また、本実施形態では、受光レンズ40が光源装置2に含まれるようになっているが、これに限られるものではない。例えば、受光レンズ40が光源装置2に含まれずに、光学系の一部に含まれている場合もあり得る。
【0064】
以上のように、本実施形態におけるプロジェクタ4は、上述の実施形態に示す光源装置2と、画像データに基づいて、光源装置2から出射された複数の波長帯域の光を順次変調して画像を形成するDMD素子(光変調手段)80と、画像を拡大して投射する投影レンズ(投射手段)82と、を備えている。
本実施形態によれば、蛍光体の発熱の影響を受けにくい光源装置2を備えて、発光効率の低下を抑制することができるプロジェクタ4を提供することができる。
【0065】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。