【実施例】
【0049】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0050】
[実施例1]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、ポリ(ヘキサメチレン)カーボネートジオール(数平均分子量;2000、以下「PC−1」と略記する。)を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、JNC株式会社製「FM−DA21」(数平均分子量;5000、以下「SiPol−1」と略記する。)を62質量部、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略記する。)を398質量部、酢酸エチルを239質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略記する。)を82質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを557質量部、酢酸エチルを239質量部加え、30℃に冷却し、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン(以下、「水添MDA」と略記する。)を36質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」と略記する。)を159質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が647mmol/kg、脂環構造の含有量が1,344mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0051】
[実施例2]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を117質量部、DMFを453質量部、酢酸エチルを272質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを93質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを635質量部、酢酸エチルを272質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを44質量部加え撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを181質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が694mmol/kg、脂環構造の含有量が1,387mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0052】
[実施例3]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を117質量部、DMFを453質量部、トルエンを272質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを93質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを635質量部、トルエンを272質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを44質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを181質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が694mmol/kg、脂環構造の含有量が1,387mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0053】
[実施例4]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、信越化学工業株式会社製「X−22−176GX−A」(数平均分子量;13000、以下「SiPol−2」と略記する。)を62質量部、DMFを405質量部、酢酸エチルを270質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを103質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを944質量部、酢酸エチルを404質量部加え、30℃に冷却し、イソホロンジアミン(以下、「IPDA」)を47質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを225質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が984mmol/kg、脂環構造の含有量が1,317mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0054】
[実施例5]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を66質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「CHDM」と略記する。)を22質量部、DMFを433質量部、酢酸エチルを260質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを109質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを606質量部、酢酸エチルを260質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを30質量部加え撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを173質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が495mmol/kg、脂環構造の含有量が1,611mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0055】
[実施例6]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、ポリ(ヘキサメチレン)ポリ(テトラメチレン)カーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製「デュラノールT4692」、数平均分子量;2000、以下「PC−2」と略記する。)を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを398質量部、酢酸エチルを239質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを82質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを557質量部、酢酸エチルを239質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを36質量部加え撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを159質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が647mmol/kg、脂環構造の含有量が1,344mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0056】
[実施例7]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを406質量部、酢酸エチルを244質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、「水添MDI」と略記する。)を99質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを568質量部、酢酸エチルを244質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを30質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを162質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が652mmol/kg、脂環構造の含有量が1,723mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0057】
[実施例8]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−2を62質量部、DMFを391質量部、酢酸エチルを261質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを99質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを913質量部、酢酸エチルを391質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを33質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを217質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が714mmol/kg、脂環構造の含有量が1,746mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0058】
[実施例9]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、ポリ(ヘキサメチレン)カーボネートジオール(数平均分子量;1000、以下「PC−3」と略記する。)を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを463質量部、酢酸エチルを278質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを124質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを648質量部、酢酸エチルを278質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを18質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを185質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が382mmol/kg、脂環構造の含有量が1,900mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0059】
[実施例10]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;1,000、以下「PTMG−1」と略記する。)を44質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−2を44質量部、DMFを461質量部、酢酸エチルを276質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを131質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを645質量部、酢酸エチルを276質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを45質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを184質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が862mmol/kg、脂環構造の含有量が2,060mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0060】
[実施例11]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を66質量部、1,4−ブタンジオール(以下、「BG」と略記する。)を22質量部、DMFを459質量部、酢酸エチルを276質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを149質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを643質量部、酢酸エチルを276質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを26質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを184質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が404mmol/kg、脂環構造の含有量が2,259mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0061】
[比較例1]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを488質量部、酢酸エチルを293質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを156質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを684質量部、酢酸エチルを293質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを83質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを195質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が1,214mmol/kg、脂環構造の含有量が3,043mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0062】
[比較例2]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を64質量部、BGを13質量部、DMFを547質量部、酢酸エチルを234質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを85質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを391質量部、酢酸エチルを234質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを8質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを156質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が181mmol/kg、脂環構造の含有量が827mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0063】
[比較例3]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、ポリエステルポリオール(BGとアジピン酸とを反応させて得られたもの、数平均分子量;2,000、以下、「PEs−1」)を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを398質量部、酢酸エチルを239質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを82質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを558質量部、酢酸エチルを239質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを37質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを159質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が664mmol/kg、脂環構造の含有量が1.359mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0064】
[耐加水分解性の評価方法]
実施例及び比較例にて得られたウレタン樹脂組成物を、離型紙上に乾燥後の皮膜の厚さが50μmとなるようにアプリケーターを使用して塗工し、70℃で2分間、更に120℃で2分間乾燥させることにより、皮膜を得た。得られた皮膜を70℃、湿度95%の条件下で5週間養生した。皮膜の抗張力をJIS−K7312(1996)に準拠して、株式会社島津製作所製「オートグラフAG−I」を使用して、養生前後で測定し、養生前の値を100とした際の養生後の相対値が75以上の場合を「A」、50以上75未満の場合を「B」、50未満を「C」と評価した。
【0065】
[耐摩耗性の評価方法]
実施例及び比較例にて得られたウレタン樹脂組成物を100質量部、DMFを50質量部、着色剤(DIC株式会社製「ダイラックL−1770S」)を20質量部配合した配合液を離型紙(大日本印刷株式会社製「DN−TP−155T」)上に乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗工し、90℃で1分間、更に120℃で2分間乾燥させた。次いで、ポリウレタン系接着剤(DIC株式会社製「クリスボンTA−215FT」、樹脂固形分;50質量%)を100質量部、DMFを50質量部、架橋触媒(DIC株式会社製「クリスボンアクセルHM」)を1質量部、及び、ポリイソシアネート架橋剤(DIC株式会社製「バーノックD−750」)を10質量部混合して、配合液を前記乾燥した被膜の上に乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗工した。直ちにT/R起毛布を貼り合せて100℃で1分間、更に120℃で1分間乾燥した後、40℃で3日間熟成し、離型紙を剥離して合成皮革を得た。
得られた合成皮革の平面磨耗試験(JASO−M403−88B法、荷重;1kg、ストローク;140mm)を行い、合成皮革の表面が磨耗し基布が確認できるまでの回数を測定した。前記回数が、10,000回以上の場合を「A」、5,000回以上10,000回未満の場合は「B」、5,000回未満の場合は「C」と評価した。
【0066】
[加工性の評価方法]
実施例及び比較例にて得られたウレタン樹脂組成物を100質量部、DMFを50質量部、着色剤(DIC株式会社製「ダイラックL−1770S」)を20質量部配合した配合液をシボを有する離型紙(旭ロール株式会社製「ARX−120」)上に乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗工し、80℃で2分間、更に120℃で2分間乾燥させることで皮膜を得た。その後、室温で24時間放置した後の離型紙からの皮膜の浮き上がりを目視で確認し、浮きあがりがないものを「A」、部分的に浮き上がりが確認されたものを「B」、全面に浮きあがりが確認されたものを「C」と評価した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
本発明のウレタン樹脂組成物である実施例1〜11は、耐加水分解性、耐摩耗性及び加工性に優れることが分かった。
【0070】
一方、比較例1は、ウレタン樹脂におけるウレア結合の含有量が、本発明で規定する範囲を超えた態様であるが、加工性が不良であった。
【0071】
比較例2は、ウレタン樹脂におけるウレア結合の含有量が、本発明で規定する範囲を下回る態様であるが、耐摩耗性が不良であった。
【0072】
比較例3は、ポリカーボネートポリオール(a1−1)の代わりにポリエステルポリオールを用いた態様であるが、耐加水分解性が不良であった。