特許第6508519号(P6508519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6508519ウレタン樹脂組成物、及び、皮革様シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6508519
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂組成物、及び、皮革様シート
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/61 20060101AFI20190422BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20190422BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20190422BHJP
   D06N 3/14 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   C08G18/61
   C08G18/44
   C08G18/65 023
   D06N3/14 101
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-81684(P2015-81684)
(22)【出願日】2015年4月13日
(65)【公開番号】特開2016-199702(P2016-199702A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】片上 保之
(72)【発明者】
【氏名】前田 亮
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−140320(JP,A)
【文献】 特開昭61−076275(JP,A)
【文献】 特開平06−001875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
D06N 3/00− 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネートポリオール(a1−1)、下記一般式(1)で示されるシリコーンポリオール(a1−2)、ポリイソシアネート(a2)、及び、アミノ基を有する鎖伸長剤(a3)を反応させて得られるウレア結合の含有量が200〜1,100mmol/kgの範囲であるウレタン樹脂(A)、及び、有機溶剤(B)を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、Xは下記式(2)に示される構造を示し、nは10〜200の整数を示す。)
【化2】
(式(2)中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、Rは炭素原子数1〜8のアルキレン基を示し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)

【請求項2】
前記ポリイソシアネート(a2)及び/又は前記鎖伸長剤(a3)が、脂環構造を有するものである請求項1記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ウレタン樹脂(A)が、1,100〜2,500mmol/kgの範囲の脂環構造を含有するものである請求項2記載のウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のウレタン樹脂組成物を成膜して得られたことを特徴とする皮革様シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に合成皮革、人工皮革等の皮革様シートのトップコート層、表皮層、及び、中間層の製造に好適に使用することができるウレタン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
合成皮革や人工皮革等の皮革様シートの製造工程においては、風合い向上の目的から、ウレタン樹脂組成物を成膜したフィルムが使用されている。前記フィルムが、特に車輌内装材などの長期耐久消費材に使用される場合には、耐熱性、耐湿熱性、耐光性、耐薬品性、耐摩耗性等の高い耐久性が求められる(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
また、皮革様シートの外観に意匠性を付与する場合には、凹凸(シボ)を有する剥離紙上で表皮を形成させ、シボ形状を表皮に転写する方法が一般的に採用されているが樹脂溶液を塗工する際にハジキが発生したり、剥離紙からの浮き上がりといった加工性の不具合がないことが極めて重要となる。従って、加工性と耐久性とをより高いレベルで両立した材料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−31862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、耐加水分解性、耐摩耗性、及び、加工性に優れるウレタン樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポリカーボネートポリオール(a1−1)、シリコーンポリオール(a1−2)、ポリイソシアネート(a2)、及び、アミノ基を有する鎖伸長剤(a3)を反応させて得られるウレア結合の含有量が200〜1,100mmol/kgの範囲であるウレタン樹脂(A)、及び、有機溶剤(B)を含有することを特徴とするウレタン樹脂組成物を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、前記ウレタン樹脂組成物を成膜して得られたことを特徴とする皮革様シートを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のウレタン樹脂組成物は、耐熱性、耐湿熱性、耐光性、耐薬品性、耐摩耗性等の耐久性に優れ、加工性にも優れるものである。従って、本発明のウレタン樹脂組成物は、衣料、車両シート、家具シート、靴、鞄等に使用される合成皮革、人工皮革等の皮革様シートのトップコート層、表皮層、中間層;手術衣、ベットシーツ等の医療衛生材料;防風・防水シート、結露防止シート等の建材用シート;乾燥剤、除湿剤、芳香剤等の包装材料;農業用シート、各種セパレータ、パッキンなどの様々な用途に使用することができる。
【0009】
中でも、本発明のウレタン樹脂組成物は、合成皮革、人工皮革等の皮革様シートのトップコート層、表皮層、中間層の製造に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のウレタン樹脂組成物は、ポリカーボネートポリオール(a1−1)、シリコーンポリオール(a1−2)、ポリイソシアネート(a2)、及び、アミノ基を有する鎖伸長剤(a3)を反応させて得られるウレア結合の含有量が200〜1,100mmol/kgの範囲であるウレタン樹脂(A)、及び、有機溶剤(B)を含有するものである。
【0011】
前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)は、優れた耐加水分解性を得る上で必須の成分であり、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、水酸基を2個以上有する化合物とを反応させて得られるものを用いることができる。
【0012】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐薬品性をより一層向上できる点から、1,4−ブタンジオール及び/又は1,6−ヘキサンジオールを用いることが好ましい。
【0014】
前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)の数平均分子量としては、皮膜に適度な伸縮性を付与するという観点から、500〜5,000の範囲であることが好ましく、800〜3,000の範囲であることがより好ましい。なお、前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)の数平均分子量は、水酸基価より次式にて算出した値を示す。
数平均分子量=56100/水酸基価(mgKOH/g)×平均官能基数
なお、水酸基価はポリカーボネートポリオール1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数と定義し、JISK1557−1:2007に準拠して測定した。
【0015】
前記シリコーンポリオール(a1−2)は、優れた耐摩耗性を得る上で必須の成分であり、2個以上の水酸基を有するポリシロキサン化合物を示す。前記シリコーンポリオール(a1−2)としては、例えば、下記一般式(1)で示される化合物、下記一般式(5)で示される化合物等を用いることができる。
【0016】
【化1】
(式(1)中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、Xは下記式(2)、式(3)又は式(4)に示される構造を示し、nは10〜200の整数を示す。)
【0017】
【化2】
(式(2)中、Rは炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、Rは炭素原子数1〜8のアルキレン基を示し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)
【0018】
【化3】
(式(3)中、Rは炭素原子数1〜8のアルキレン基を示し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)
【0019】
【化4】
(式(4)中、Rは炭素原子数1〜8のアルキレン基を示し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。)
【0020】
【化5】
(式(5)中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1〜8のアルキレン基を示し、Rは炭素原子数1〜10のアルキル基を示し、nは10〜200の整数を示す。)
【0021】
前記シリコーンポリオール(a1−2)としては、より優れた耐摩耗性が得られる点から、前記一般式(1)で示される化合物を用いることが好ましく、前記一般式(1)中、Xが前記式(2)に示される構造を有する化合物を用いることがより好ましい。
【0022】
前記シリコーンポリオール(a1−2)としては、例えば、信越化学工業株式会社製「KF−6001」、「KF−6002」、「KF−6003」、「X−22−176DX」、「X−22−176GX−A」、東レ・ダウコーニング株式会社製「SF8427」「BY16−004」、JNC株式会社製「サイラプレーンFM−4421」、「サイラプレーンFM−4425」、「サイラプレーンFM−DA21」、「サイラプレーンFM−DA26」等を市販品として入手することができる。
【0023】
前記シリコーンポリオール(a1−2)の使用量としては、耐摩耗性をより一層向上できる点から、前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)100質量部に対して、1〜50質量部の範囲であることが好ましく、5〜40質量部の範囲がより好ましい。
【0024】
前記ウレタン樹脂(A)には、必要に応じてその他のポリオールを併用してもよい。
【0025】
前記その他のポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ダイマージオール、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、前記水酸基を2個以上有する化合物等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐光性、機械的強度及び耐摩耗性をより一層向上できる点から、脂環式ポリイソシアネートを用いることが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンからなる群より選ばれる1種以上のポリイソシアネートを用いることがより好ましい。
【0027】
前記ポリイソシアネート(a2)の使用量としては、機械的強度と耐熱性の点から、前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)100質量部に対して、5〜100質量部の範囲であることが好ましく、10〜60質量部の範囲がより好ましい。
【0028】
前記アミノ基を有する鎖伸長剤(a3)としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的強度、耐熱性及び耐摩耗性をより一層向上できる点から、脂環構造を有するものを用いることが好ましく、イソホロンジアミン及び/又は4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミンを用いることがより好ましい。
【0029】
前記アミノ基を有する鎖伸長剤(a3)の使用量としては、優れた加工性と機械的強度を両立させるという観点から、前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)100質量部に対して、1〜50質量部の範囲であることが好ましく、3〜30質量部の範囲がより好ましい。
【0030】
前記ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)と前記シリコーンポリオール(a1−2)とを含むポリオール組成物、及び、前記鎖伸長剤(a3)を仕込み、次いで、前記ポリイソシアネート(a2)を仕込んで反応させる方法;前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)と前記シリコーンポリオール(a1−2)とを含むポリオール組成物、及び、前記ポリイソシアネート(a2)を反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで前記鎖伸長剤(a3)を反応させる方法などが挙げられる。また、前記ウレタン反応後には、残存するイソシアネート基を失活させる目的で、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール;残存するアミノ基を失活させる目的で、前記ポリイソシアネート(a2)や、ブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート等のモノイソシアネートを更に添加してもよい。
【0031】
前記ウレタン樹脂(A)のウレア結合の含有量としては、機械的強度、優れた加工性、耐熱性及び耐摩耗性を両立させるため、200〜1,100mmol/kgの範囲であることが必須であり、250〜1,000mmol/kgの範囲が好ましく、300〜900mmol/kgの範囲が更に好ましい。なお、前記ウレア結合は前記鎖伸長剤(a3)が有するアミノ基と前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基との反応により生成するものであり、前記ウレア結合の含有量は前記ウレタン樹脂(A)中に存在するウレア結合の物質量を表し、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用した原料の使用量に基づいて計算される値を示す。
【0032】
前記ウレタン樹脂(A)の脂環構造の含有量としては、優れた加工性、耐薬品性及び耐摩耗性を両立させるため、1,100〜2,500mmol/kgの範囲であることが好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(A)の脂環構造は、前記ポリイソシアネート(a2)及び前記鎖伸長剤(a3)として脂環構造を有するものを用いた場合に導入されるものであり、前記脂環構造の含有量は前記ウレタン樹脂(A)中に存在する脂環構造の物質量を表し、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用した原料の使用量に基づいて計算される値を示す。
【0033】
前記ウレタン樹脂(A)のウレタン結合の含有量としては、機械的強度、優れた加工性、及び耐摩耗性を両立させるため、500〜1,600mmol/kgの範囲であることが好ましい。なお、前記ウレタン結合は前記ポリカーボネートポリオール(a1−1)、前記シリコーンポリオール(a1−2)及び前記その他のポリオールが有する水酸基と前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基との反応により生成するものであり、前記ウレタン結合の含有量は前記ウレタン樹脂(A)中に存在するウレタン結合の物質量を表し、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用した原料の使用量に基づいて計算される値を示す。
【0034】
前記有機溶剤(B)としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第2ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等アルコール溶剤などを用いることができる。これらの有機溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0035】
これらの中でも、前記ウレタン樹脂(A)への溶解性が高く、熱風で乾燥することにより除去しやすいため、N,N−ジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。前記N,N−ジメチルホルムアミドを用いる場合の含有量としては、前記有機溶剤(B)中30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
【0036】
前記有機溶剤(B)の使用量としては、ウレタン樹脂組成物を取り扱う作業性及び粘度の点から、ウレタン樹脂組成物中10〜90質量%の範囲であることが好ましく、20〜70質量%の範囲がより好ましい。
【0037】
本発明のウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂(A)、及び、前記有機溶剤(B)を必須成分として含有するが、必要に応じて、その他の添加剤を含有しもよい。
【0038】
前記その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤、顔料、触媒、難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐光安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0039】
次に、本発明のウレタン樹脂組成物を成膜して皮革様シートを製造する方法について説明する。
【0040】
前記ウレタン樹脂組成物を成膜する方法としては、乾式成膜法等により成膜する方法が挙げられる。
【0041】
前記乾式成膜とは、離型紙や基布上に前記ウレタン樹脂組成物を塗工し、有機溶剤(B)を乾燥させる方法である。
【0042】
前記基布としては、例えば、不織布、織布、編み物からなる基材等を使用することができる。前記基布を構成するものとしては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維等の化学繊維;綿、麻、絹、羊毛、これらの混紡繊維などを使用することができる。
【0043】
前記ウレタン樹脂組成物を前記離型紙や基布上に塗工する方法としては、例えば、グラビアコーター法、ナイフコーター法、パイプコーター法、コンマコーター法等が挙げられる。
【0044】
前記塗工後の乾燥としては、例えば、60〜180℃に調整した乾燥機等を使用して、例えば、1〜60分行うことが挙げられる。
【0045】
前記ウレタン樹脂組成物の乾燥後の膜厚としては、使用される用途に応じて適宜決定されるが、例えば、0.001〜10mmの範囲である。
【0046】
前記乾式成膜法により得られた乾式皮膜を使用して皮革様シートを製造する方法としては、例えば、前記皮膜を、好ましくは公知の接着剤を使用して公知の基布、中間層、表皮層等の上に接着させることにより、皮革様シートを製造することができる。
【0047】
以上、本発明のウレタン樹脂組成物は、耐熱性、耐湿熱性、耐光性、耐薬品性、耐摩耗性等の耐久性に優れ、加工性にも優れるものである。従って、本発明のウレタン樹脂組成物は、衣料、車両シート、家具シート、靴、鞄等に使用される合成皮革、人工皮革等の皮革様シートのトップコート層、表皮層、中間層;手術衣、ベットシーツ等の医療衛生材料;防風・防水シート、結露防止シート等の建材用シート;乾燥剤、除湿剤、芳香剤等の包装材料;農業用シート、各種セパレータ、パッキンなどの様々な用途に使用することができる。
【0048】
中でも、本発明のウレタン樹脂組成物は、合成皮革、人工皮革等の皮革様シートのトップコート層、表皮層、中間層の製造に好適に使用することができる
【実施例】
【0049】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0050】
[実施例1]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、ポリ(ヘキサメチレン)カーボネートジオール(数平均分子量;2000、以下「PC−1」と略記する。)を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、JNC株式会社製「FM−DA21」(数平均分子量;5000、以下「SiPol−1」と略記する。)を62質量部、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略記する。)を398質量部、酢酸エチルを239質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略記する。)を82質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを557質量部、酢酸エチルを239質量部加え、30℃に冷却し、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン(以下、「水添MDA」と略記する。)を36質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」と略記する。)を159質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が647mmol/kg、脂環構造の含有量が1,344mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0051】
[実施例2]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を117質量部、DMFを453質量部、酢酸エチルを272質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを93質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを635質量部、酢酸エチルを272質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを44質量部加え撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを181質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が694mmol/kg、脂環構造の含有量が1,387mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0052】
[実施例3]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を117質量部、DMFを453質量部、トルエンを272質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを93質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを635質量部、トルエンを272質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを44質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを181質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が694mmol/kg、脂環構造の含有量が1,387mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0053】
[実施例4]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、信越化学工業株式会社製「X−22−176GX−A」(数平均分子量;13000、以下「SiPol−2」と略記する。)を62質量部、DMFを405質量部、酢酸エチルを270質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを103質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを944質量部、酢酸エチルを404質量部加え、30℃に冷却し、イソホロンジアミン(以下、「IPDA」)を47質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを225質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が984mmol/kg、脂環構造の含有量が1,317mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0054】
[実施例5]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を66質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「CHDM」と略記する。)を22質量部、DMFを433質量部、酢酸エチルを260質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを109質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを606質量部、酢酸エチルを260質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを30質量部加え撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを173質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が495mmol/kg、脂環構造の含有量が1,611mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0055】
[実施例6]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、ポリ(ヘキサメチレン)ポリ(テトラメチレン)カーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製「デュラノールT4692」、数平均分子量;2000、以下「PC−2」と略記する。)を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを398質量部、酢酸エチルを239質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを82質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを557質量部、酢酸エチルを239質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを36質量部加え撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを159質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が647mmol/kg、脂環構造の含有量が1,344mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0056】
[実施例7]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを406質量部、酢酸エチルを244質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、「水添MDI」と略記する。)を99質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを568質量部、酢酸エチルを244質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを30質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを162質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が652mmol/kg、脂環構造の含有量が1,723mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0057】
[実施例8]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−2を62質量部、DMFを391質量部、酢酸エチルを261質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを99質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを913質量部、酢酸エチルを391質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを33質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを217質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が714mmol/kg、脂環構造の含有量が1,746mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0058】
[実施例9]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、ポリ(ヘキサメチレン)カーボネートジオール(数平均分子量;1000、以下「PC−3」と略記する。)を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを463質量部、酢酸エチルを278質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを124質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを648質量部、酢酸エチルを278質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを18質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを185質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が382mmol/kg、脂環構造の含有量が1,900mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0059】
[実施例10]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;1,000、以下「PTMG−1」と略記する。)を44質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−2を44質量部、DMFを461質量部、酢酸エチルを276質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを131質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを645質量部、酢酸エチルを276質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを45質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを184質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が862mmol/kg、脂環構造の含有量が2,060mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0060】
[実施例11]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を66質量部、1,4−ブタンジオール(以下、「BG」と略記する。)を22質量部、DMFを459質量部、酢酸エチルを276質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを149質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを643質量部、酢酸エチルを276質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを26質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを184質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が404mmol/kg、脂環構造の含有量が2,259mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0061】
[比較例1]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを488質量部、酢酸エチルを293質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、水添MDIを156質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを684質量部、酢酸エチルを293質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを83質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを195質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が1,214mmol/kg、脂環構造の含有量が3,043mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0062】
[比較例2]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、PC−1を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を64質量部、BGを13質量部、DMFを547質量部、酢酸エチルを234質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを85質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを391質量部、酢酸エチルを234質量部加え、30℃に冷却し、IPDAを8質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを156質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が181mmol/kg、脂環構造の含有量が827mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0063】
[比較例3]
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計を備えた窒素置換された反応容器に、ポリエステルポリオール(BGとアジピン酸とを反応させて得られたもの、数平均分子量;2,000、以下、「PEs−1」)を350質量部加え、減圧度0.095MPaにて120〜130℃で脱水を行った。脱水後、50℃まで冷却しながら、SiPol−1を62質量部、DMFを398質量部、酢酸エチルを239質量部加え、十分に撹拌混合した。その後、IPDIを82質量部とオクチル酸第一錫を0.3質量部加え、75℃で反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、前記ウレタンプレポリマーの溶液に、DMFを558質量部、酢酸エチルを239質量部加え、30℃に冷却し、水添MDAを37質量部加え、撹拌することで鎖伸長させた。その後、IPAを159質量部加え混合することによって、ウレア結合の含有量が664mmol/kg、脂環構造の含有量が1.359mmol/kgであるウレタン樹脂を含有するウレタン樹脂組成物を得た。
【0064】
[耐加水分解性の評価方法]
実施例及び比較例にて得られたウレタン樹脂組成物を、離型紙上に乾燥後の皮膜の厚さが50μmとなるようにアプリケーターを使用して塗工し、70℃で2分間、更に120℃で2分間乾燥させることにより、皮膜を得た。得られた皮膜を70℃、湿度95%の条件下で5週間養生した。皮膜の抗張力をJIS−K7312(1996)に準拠して、株式会社島津製作所製「オートグラフAG−I」を使用して、養生前後で測定し、養生前の値を100とした際の養生後の相対値が75以上の場合を「A」、50以上75未満の場合を「B」、50未満を「C」と評価した。
【0065】
[耐摩耗性の評価方法]
実施例及び比較例にて得られたウレタン樹脂組成物を100質量部、DMFを50質量部、着色剤(DIC株式会社製「ダイラックL−1770S」)を20質量部配合した配合液を離型紙(大日本印刷株式会社製「DN−TP−155T」)上に乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗工し、90℃で1分間、更に120℃で2分間乾燥させた。次いで、ポリウレタン系接着剤(DIC株式会社製「クリスボンTA−215FT」、樹脂固形分;50質量%)を100質量部、DMFを50質量部、架橋触媒(DIC株式会社製「クリスボンアクセルHM」)を1質量部、及び、ポリイソシアネート架橋剤(DIC株式会社製「バーノックD−750」)を10質量部混合して、配合液を前記乾燥した被膜の上に乾燥後の膜厚が50μmとなるように塗工した。直ちにT/R起毛布を貼り合せて100℃で1分間、更に120℃で1分間乾燥した後、40℃で3日間熟成し、離型紙を剥離して合成皮革を得た。
得られた合成皮革の平面磨耗試験(JASO−M403−88B法、荷重;1kg、ストローク;140mm)を行い、合成皮革の表面が磨耗し基布が確認できるまでの回数を測定した。前記回数が、10,000回以上の場合を「A」、5,000回以上10,000回未満の場合は「B」、5,000回未満の場合は「C」と評価した。
【0066】
[加工性の評価方法]
実施例及び比較例にて得られたウレタン樹脂組成物を100質量部、DMFを50質量部、着色剤(DIC株式会社製「ダイラックL−1770S」)を20質量部配合した配合液をシボを有する離型紙(旭ロール株式会社製「ARX−120」)上に乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗工し、80℃で2分間、更に120℃で2分間乾燥させることで皮膜を得た。その後、室温で24時間放置した後の離型紙からの皮膜の浮き上がりを目視で確認し、浮きあがりがないものを「A」、部分的に浮き上がりが確認されたものを「B」、全面に浮きあがりが確認されたものを「C」と評価した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
本発明のウレタン樹脂組成物である実施例1〜11は、耐加水分解性、耐摩耗性及び加工性に優れることが分かった。
【0070】
一方、比較例1は、ウレタン樹脂におけるウレア結合の含有量が、本発明で規定する範囲を超えた態様であるが、加工性が不良であった。
【0071】
比較例2は、ウレタン樹脂におけるウレア結合の含有量が、本発明で規定する範囲を下回る態様であるが、耐摩耗性が不良であった。
【0072】
比較例3は、ポリカーボネートポリオール(a1−1)の代わりにポリエステルポリオールを用いた態様であるが、耐加水分解性が不良であった。