特許第6509104号(P6509104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6509104
(24)【登録日】2019年4月12日
(45)【発行日】2019年5月8日
(54)【発明の名称】基板液処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20190422BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20190422BHJP
【FI】
   H01L21/304 642F
   H01L21/304 647Z
   H01L21/306 J
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-248492(P2015-248492)
(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2017-69529(P2017-69529A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2017年12月6日
(31)【優先権主張番号】特願2015-192688(P2015-192688)
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸二
(72)【発明者】
【氏名】塩川 俊行
(72)【発明者】
【氏名】益富 裕之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尊三
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕司
(72)【発明者】
【氏名】稲田 尊士
(72)【発明者】
【氏名】平山 司
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−208984(JP,A)
【文献】 特開2001−196343(JP,A)
【文献】 特開2009−081240(JP,A)
【文献】 特開平10−321584(JP,A)
【文献】 特開2007−258512(JP,A)
【文献】 特開昭63−239820(JP,A)
【文献】 特開平06−252115(JP,A)
【文献】 特開2013−093478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を配列させた状態で処理液に浸漬して処理する処理槽と、
前記処理槽の内部で前記基板の下方に配置され、前記複数の基板の配列方向に沿って伸延させた管体に前記処理液を吐出するための吐出口を前記配列させた複数の基板の間にそれぞれ形成した処理液供給ノズルと、
を有し、
前記管体に形成したそれぞれの前記吐出口は、
前記基板の配列方向と直交する水平方向に間隔をあけて第1側面及び第2側面を形成し、前記第1側面又は/及び前記第2側面の外側端縁が、内側端縁を前記管体の中心から半径方向に延長した位置よりも水平方向に向けて外側に開いた位置に設けられていることを特徴とする基板液処理装置。
【請求項2】
前記管体の内部に前記処理液を供給する内管を収容し、前記内管から前記管体に前記処理液を供給するための供給口を前記管体に形成した前記吐出口とは反対方向に向けて形成したことを特徴とする請求項1に記載の基板液処理装置。
【請求項3】
前記配列された複数の基板の間に前記吐出口をそれぞれ配置するとともに、並設された前記吐出口の間に前記供給口をそれぞれ配置したことを特徴とする請求項2に記載の基板液処理装置。
【請求項4】
前記管体の内部に前記処理液を供給する内管を収容し、前記内管の外周面を前記第1側面又は/及び前記第2側面よりも外側に突出させたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項5】
前記処理槽の内部に複数の前記処理液供給ノズルを、それぞれの前記吐出口の前記第1側面と前記第2側面との中央部における前記処理液の吐出方向が互いに交差しないように平行に配置したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項6】
前記処理槽の内部に複数の前記処理液供給ノズルを、前記基板を配列させた状態で保持するために設けられた複数の基板保持体の間に配置したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項7】
前記基板保持体の側面を前記吐出口の前記第1側面と前記第2側面との中央部における前記処理液の吐出方向と交差しないように平行に形成したことを特徴とする請求項6に記載の基板液処理装置。
【請求項8】
前記処理槽の内部で前記基板の下方から気泡を供給するための気泡供給部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の基板液処理装置。
【請求項9】
前記気泡供給部は、前記処理液供給ノズルから処理液とともに気泡を吐出することを特徴とする請求項8に記載の基板液処理装置。
【請求項10】
前記気泡は、前記処理液供給ノズルから吐出される処理液の流動圧力では液体状となっていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の基板液処理装置。
【請求項11】
前記気泡は、処理液を沸騰させることで生成されたものであることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項12】
前記気泡は、処理液の流動圧力や処理液の温度や処理液の濃度の少なくともいずれかを制御することで生成されることを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項13】
前記処理槽の外部に大気圧センサーを設け、前記大気圧センサーから取得した信号に応じて、前記気泡を生成させる処理液の温度や処理液の濃度を補正することを特徴とする請求項12に記載の基板液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を配列させた状態で処理液に浸漬させて液処理する基板液処理装置及び基板液処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体部品やフラットパネルディスプレイなどを製造する際には、基板液処理装置を用いて半導体ウエハや液晶基板などの基板に対して洗浄液やエッチング液などの処理液を用いて各種液処理を施す。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示された基板液処理装置では、処理槽の底部に2本の処理液供給ノズルを設け、処理液供給ノズルから処理槽の内部に処理液を供給する。
【0004】
この基板液処理装置では、処理液が貯留された処理槽に複数の基板が垂直に起立した姿勢で水平方向に間隔をあけて配列された状態で浸漬される。処理液供給ノズルは、基板の配列方向に向けて伸延されており、処理液を吐出する吐出口が基板の配列方向に間隔をあけて設けられている。吐出口は、円形開口を有する貫通孔で形成されている。2本の処理液供給ノズルは、それぞれの吐出口を基板の中央側へ向けて斜め内側上方に傾斜させている。
【0005】
そして、基板液処理装置では、2本の処理液供給ノズルの吐出口から基板の中央に向けて処理液を吐出することで、処理槽の内部で基板の表面に沿って流れる処理液の上昇流を形成し、上昇する処理液によって基板の表面を液処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−15490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の基板液処理装置では、2本の処理液供給ノズルの吐出口が基板の中央側へ向けて傾斜させた貫通孔で形成されていたために、処理液供給ノズルから吐出される処理液の指向性が非常に高くなっている。
【0008】
そのため、処理液供給ノズルから吐出された多くの処理液が基板の中央側へ向けて傾斜状に流れ、基板の中央部で2本の処理液供給ノズルから吐出された処理液同士が衝突する。これにより、処理槽の内部では、処理液の流速の差によって渦流が生じ、処理液が滞留する部分が発生する。その結果、上記従来の基板液処理装置では、基板の表面を均一に液処理することができないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明では、基板液処理装置において、複数の基板を配列させた状態で処理液に浸漬して処理する処理槽と、前記処理槽の内部で前記基板の下方に配置され、前記複数の基板の配列方向に沿って伸延させた管体に前記処理液を吐出するための吐出口を前記配列させた複数の基板の間にそれぞれ形成した処理液供給ノズルとを有し、前記管体に形成したそれぞれの前記吐出口は、前記基板の配列方向と直交する水平方向に間隔をあけて第1側面及び第2側面を形成し、前記第1側面又は/及び前記第2側面の外側端縁が、内側端縁を前記管体の中心から半径方向に延長した位置よりも水平方向に向けて外側に開いた位置に設けられていることにした。
【0011】
また、前記管体の内部に前記処理液を供給する内管を収容し、前記内管から前記管体に前記処理液を供給するための供給口を前記管体に形成した前記吐出口とは反対方向に向けて形成することにした。
【0012】
また、前記配列された複数の基板の間に前記吐出口をそれぞれ配置するとともに、並設された前記吐出口の間に前記供給口をそれぞれ配置することにした。
【0013】
また、前記管体の内部に前記処理液を供給する内管を収容し、前記内管の外周面を前記第1側面又は/及び前記第2側面よりも外側に突出させることにした。
【0014】
また、前記処理槽の内部に複数の前記処理液供給ノズルを、それぞれの前記吐出口の前記第1側面と前記第2側面との中央部における前記処理液の吐出方向が互いに交差しないように平行に配置することにした。
【0015】
また、前記処理槽の内部に複数の前記処理液供給ノズルを、前記基板を配列させた状態で保持するために設けられた複数の基板保持体の間に配置することにした。
【0016】
また、前記基板保持体の側面を前記吐出口の前記第1側面と前記第2側面との中央部における前記処理液の吐出方向と交差しないように平行に形成することにした。
【0017】
また、前記処理槽の内部で前記基板の下方から気泡を供給するための気泡供給部をさらに有することにした。
【0018】
また、前記気泡供給部は、前記処理液供給ノズルから処理液とともに気泡を吐出することにした。
【0019】
また、前記気泡は、前記処理液供給ノズルから吐出される処理液の流動圧力では液体状となっていることにした。
【0020】
また、前記気泡は、処理液を沸騰させることで生成されたものであることにした。
【0021】
また、前記気泡は、処理液の流動圧力や処理液の温度や処理液の濃度の少なくともいずれかを制御することで生成されることにした。
【0022】
また、前記処理槽の外部に大気圧センサーを設け、前記大気圧センサーから取得した信号に応じて、前記気泡を生成させる処理液の温度や処理液の濃度を補正することにした。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、処理槽の内部で処理液の渦流や滞留の発生を抑制することができ、処理液で基板を均一に液処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】基板液処理装置を示す平面説明図。
図2】実施例1に係るエッチング処理装置を示す説明図。
図3】処理槽を示す正面図。
図4】同平面図。
図5】同正面拡大断面図。
図6】処理液供給ノズルを示す正面拡大断面図(a)、側面拡大断面図(b)。
図7】他の処理液供給ノズルを示す正面拡大断面図。
図8】実施例2に係るエッチング処理装置を示す説明図。
図9】実施例3に係るエッチング処理装置を示す説明図。
図10】実施例4に係るエッチング処理装置を示す説明図。
図11】変形例に係るエッチング処理装置を示す説明図。
図12】変形例に係るエッチング処理装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る基板液処理装置及び基板液処理方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1に示すように、基板液処理装置1は、キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6、制御部7を有する。
【0030】
キャリア搬入出部2は、複数枚(たとえば、25枚)の基板(シリコンウエハ)8を水平姿勢で上下に並べて収容したキャリア9の搬入及び搬出を行う。
【0031】
このキャリア搬入出部2には、複数個のキャリア9を載置するキャリアステージ10と、キャリア9の搬送を行うキャリア搬送機構11と、キャリア9を一時的に保管するキャリアストック12,13と、キャリア9を載置するキャリア載置台14とが設けられている。ここで、キャリアストック12は、製品となる基板8をロット処理部6で処理する前に一時的に保管する。また、キャリアストック13は、製品となる基板8をロット処理部6で処理した後に一時的に保管する。
【0032】
そして、キャリア搬入出部2は、外部からキャリアステージ10に搬入されたキャリア9をキャリア搬送機構11を用いてキャリアストック12やキャリア載置台14に搬送する。また、キャリア搬入出部2は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9をキャリア搬送機構11を用いてキャリアストック13やキャリアステージ10に搬送する。キャリアステージ10に搬送されたキャリア9は、外部へ搬出される。
【0033】
ロット形成部3は、1又は複数のキャリア9に収容された基板8を組合せて同時に処理される複数枚(たとえば、50枚)の基板8からなるロットを形成する。なお、ロットを形成するときは、基板8の表面にパターンが形成されている面を互いに対向するようにロットを形成してもよく、また、基板8の表面にパターンが形成されている面がすべて一方を向くようにロットを形成してもよい。
【0034】
このロット形成部3には、複数枚の基板8を搬送する基板搬送機構15が設けられている。なお、基板搬送機構15は、基板8の搬送途中で基板8の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢及び垂直姿勢から水平姿勢に変更させることができる。
【0035】
そして、ロット形成部3は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9から基板搬送機構15を用いて基板8をロット載置部4に搬送し、ロットを形成した基板8をロット載置部4に載置する。また、ロット形成部3は、ロット載置部4に載置されたロットを基板搬送機構15でキャリア載置台14に載置されたキャリア9へ搬送する。なお、基板搬送機構15は、複数枚の基板8を支持するための基板支持部として、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)の基板8を支持する処理前基板支持部と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)の基板8を支持する処理後基板支持部の2種類を有している。これにより、処理前の基板8等に付着したパーティクル等が処理後の基板8等に転着するのを防止する。
【0036】
ロット載置部4は、ロット搬送部5によってロット形成部3とロット処理部6との間で搬送されるロットをロット載置台16で一時的に載置(待機)する。
【0037】
このロット載置部4には、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)のロットを載置する搬入側ロット載置台17と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)のロットを載置する搬出側ロット載置台18とが設けられている。搬入側ロット載置台17及び搬出側ロット載置台18には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて載置される。
【0038】
そして、ロット載置部4では、ロット形成部3で形成したロットが搬入側ロット載置台17に載置され、そのロットがロット搬送部5を介してロット処理部6に搬入される。また、ロット載置部4では、ロット処理部6からロット搬送部5を介して搬出されたロットが搬出側ロット載置台18に載置され、そのロットがロット形成部3に搬送される。
【0039】
ロット搬送部5は、ロット載置部4とロット処理部6との間やロット処理部6の内部間でロットの搬送を行う。
【0040】
このロット搬送部5には、ロットの搬送を行うロット搬送機構19が設けられている。ロット搬送機構19は、ロット載置部4とロット処理部6に沿わせて配置したレール20と、複数枚の基板8を保持しながらレール20に沿って移動する移動体21とで構成する。移動体21には、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を保持する基板保持体22が進退自在に設けられている。
【0041】
そして、ロット搬送部5は、搬入側ロット載置台17に載置されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットをロット処理部6に受渡す。また、ロット搬送部5は、ロット処理部6で処理されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットを搬出側ロット載置台18に受渡す。さらに、ロット搬送部5は、ロット搬送機構19を用いてロット処理部6の内部においてロットの搬送を行う。
【0042】
ロット処理部6は、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を1ロットとしてエッチングや洗浄や乾燥などの処理を行う。
【0043】
このロット処理部6には、基板8の乾燥処理を行う乾燥処理装置23と、基板保持体22の洗浄処理を行う基板保持体洗浄処理装置24と、基板8の洗浄処理を行う洗浄処理装置25と、基板8のエッチング処理を行う2台のエッチング処理装置26とが並べて設けられている。
【0044】
乾燥処理装置23は、処理槽27に基板昇降機構28を昇降自在に設けている。処理槽27には、乾燥用の処理ガス(IPA(イソプロピルアルコール)等)が供給される。基板昇降機構28には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。乾燥処理装置23は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構28で受取り、基板昇降機構28でそのロットを昇降させることで、処理槽27に供給した乾燥用の処理ガスで基板8の乾燥処理を行う。また、乾燥処理装置23は、基板昇降機構28からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受渡す。
【0045】
基板保持体洗浄処理装置24は、処理槽29に洗浄用の処理液及び乾燥ガスを供給できるようになっており、ロット搬送機構19の基板保持体22に洗浄用の処理液を供給した後、乾燥ガスを供給することで基板保持体22の洗浄処理を行う。
【0046】
洗浄処理装置25は、洗浄用の処理槽30とリンス用の処理槽31とを有し、各処理槽30,31に基板昇降機構32,33を昇降自在に設けている。洗浄用の処理槽30には、洗浄用の処理液(SC−1等)が貯留される。リンス用の処理槽31には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。
【0047】
エッチング処理装置26は、エッチング用の処理槽34とリンス用の処理槽35とを有し、各処理槽34,35に基板昇降機構36,37を昇降自在に設けている。エッチング用の処理槽34には、エッチング用の処理液(リン酸水溶液)が貯留される。リンス用の処理槽35には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。
【0048】
これら洗浄処理装置25とエッチング処理装置26は、同様の構成となっている。エッチング処理装置26について説明すると、基板昇降機構36,37には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。エッチング処理装置26は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構36で受取り、基板昇降機構36でそのロットを昇降させることでロットを処理槽34のエッチング用の処理液に浸漬させて基板8のエッチング処理を行う。その後、エッチング処理装置26は、基板昇降機構36からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受渡す。また、エッチング処理装置26は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構37で受取り、基板昇降機構37でそのロットを昇降させることでロットを処理槽35のリンス用の処理液に浸漬させて基板8のリンス処理を行う。その後、エッチング処理装置26は、基板昇降機構37からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受渡す。
【0049】
制御部7は、基板液処理装置1の各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6など)の動作を制御する。
【0050】
この制御部7は、たとえばコンピュータであり、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体38を備える。記憶媒体38には、基板液処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部7は、記憶媒体38に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板液処理装置1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体38に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部7の記憶媒体38にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体38としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0051】
[実施例1]
上記基板液処理装置1のエッチング処理装置26では、所定濃度の薬剤(リン酸)の水溶液を処理液(エッチング液)として用いて基板8を液処理(エッチング処理)する。
【0052】
エッチング処理装置26は、図2に示すように、所定濃度のリン酸水溶液からなる処理液を貯留するとともに基板8を処理するための液処理部39と、液処理部39に処理液を供給するための処理液供給部40と、処理液を希釈する純水を供給するための純水供給部41と、液処理部39に貯留された処理液を循環させるための処理液循環部42と、液処理部39から処理液を排出するための処理液排出部43とを有する。
【0053】
液処理部39は、上部を開放させた処理槽34の上部周囲に上部を開放させた外槽44を形成し、処理槽34と外槽44に処理液を貯留する。処理槽34では、基板8を基板昇降機構36によって浸漬させることで液処理するための処理液を貯留する。外槽44では、処理槽34からオーバーフローした処理液を貯留するとともに、処理液循環部42によって処理槽34に処理液を供給する。なお、基板昇降機構36では、複数の基板8が垂直に起立した姿勢で水平方向に間隔をあけて配列させた状態で保持される。
【0054】
処理液供給部40は、液処理部39に処理液とは異なる濃度(処理液よりも低い濃度)の薬剤(リン酸)の水溶液を供給する。この処理液供給部40は、所定濃度及び所定温度のリン酸水溶液を供給するための水溶液供給源45を液処理部39の外槽44に流量調整器46を介して接続する。流量調整器46は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御及び流量制御される。
【0055】
純水供給部41は、処理液の加熱(沸騰)によって蒸発した水分を補給するための純水を供給する。この純水供給部41は、所定温度の純水を供給するための純水供給源47を液処理部39の外槽44に流量調整器48を介して接続する。流量調整器48は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御及び流量制御される。
【0056】
処理液循環部42は、処理槽34の内部において基板昇降機構36で保持された基板8よりも下方に処理液供給ノズル49を配置し、液処理部39の外槽44の底部と処理液供給ノズル49との間に循環流路50を形成する。循環流路50には、ポンプ51、フィルタ52、ヒータ53が順に設けられている。ポンプ51及びヒータ53は、制御部7に接続されており、制御部7で駆動制御される。そして、処理液循環部42は、ポンプ51を駆動させることで外槽44から処理槽34に処理液を循環させる。その際に、ヒータ53で処理液を所定温度に加熱する。
【0057】
また、処理液循環部42は、循環流路50の途中(ヒータ53よりも下流側)と外槽44との間に濃度計測流路54を形成する。濃度計測流路54には、上流側開閉弁55、濃度センサ56(濃度計測部)、下流側開閉弁57が順に設けられている。上流側開閉弁55と濃度センサ56との間には、濃度センサ56を洗浄するための洗浄流体(ここでは、常温の純水)を供給する洗浄流体供給部58が接続されている。この洗浄流体供給部58は、洗浄流体を供給するための洗浄流体供給源59を上流側開閉弁55と濃度センサ56との間に供給開閉弁60を介して接続する。また、濃度センサ56と下流側開閉弁57との間には、洗浄流体を排出する洗浄流体排出部61が接続されている。この洗浄流体排出部61は、濃度センサ56と下流側開閉弁57との間に外部の排液管と連通する排出流路62を接続し、排出流路62に排出開閉弁63を設けている。上流側開閉弁55、下流側開閉弁57、供給開閉弁60、及び排出開閉弁63は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御される。また、濃度センサ56は、制御部7に接続されており、制御部7からの指示で濃度計測流路54を流れる処理液の濃度を計測して制御部7に通知する。なお、洗浄流体排出部61は、主に洗浄流体を排出するが、濃度計測流路54に滞留する処理液も排出する。
【0058】
処理液排出部43は、液処理部39の処理槽34の底部に外部の排液管と連通する排液流路64を接続し、排液流路64に開閉弁65を設けている。開閉弁65は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御される。
【0059】
このエッチング処理装置26では、図3図5に示すように、基板昇降機構36によって複数の基板8が配列された状態で処理槽34に貯留された処理液に浸漬される。処理液は、処理液供給ノズル49から処理槽34の底部(基板8よりも下方)に供給され、基板8の表面に沿って上昇する。これにより、エッチング処理装置26では、基板8の表面を処理液で液処理する。
【0060】
ここで、基板昇降機構36は、垂直方向に伸延するアーム66の下端に水平方向に伸延する4本の基板保持体67を連結板68を介して取付けている。アーム66には、昇降駆動部69が接続されている。昇降駆動部69は、制御部7に接続されており、制御部7で昇降駆動制御される。
【0061】
基板保持体67は、水平方向(基板8の配列方向と直交する方向:基板8の面方向)に間隔をあけて4本配置されている。各基板保持体67には、上部に基板保持溝70が水平方向に間隔をあけて形成されている。そして、4本の基板保持体67の基板保持溝70によって1枚の基板8の外周端縁を下側から保持することで、複数の基板8を垂直に起立させた姿勢で水平方向に間隔をあけて配列させた状態で保持する。各基板保持体67は、下端71を下方に向けて先鋭形状とするとともに、左右側面72,73を垂直状の平坦面形状としている。
【0062】
また、処理液供給ノズル49は、処理槽34の内部で基板保持体67で保持された基板8よりも下方に水平方向(基板8の配列方向と直交する方向)に間隔をあけて3本配置されている。各処理液供給ノズル49は、基板8の配列方向に沿って伸延させた円筒状の管体74と、管体74の内部に収容された円筒状の内管75とを有する。
【0063】
図6に示すように、管体74の上部には、処理液を処理槽34に吐出するための吐出口76(上向きに吐出)が基板8の配列方向に間隔をあけて形成されている。内管75の下部には、管体74に処理液を供給するための供給口77(下向きに吐出)が基板8の配列方向に間隔をあけて形成されている。管体74の吐出口76と内管75の供給口77とを反対方向に向けて形成している。吐出口76は、基板昇降機構36で並んで保持される2枚の基板8の間(基板保持体67に並べて形成された2個の基板保持溝70の間)に形成されている。また、供給口77は、管体74に並べて形成された2個の吐出口76の間に形成されている。
【0064】
吐出口76は、基板8の配列方向と直交する基板8の面方向(水平方向)に間隔をあけて形成された第1側面78及び第2側面79と、これら第1側面78及び第2側面79の間に基板8の配列方向に間隔をあけて形成された第3側面80及び第4側面81とを有する。なお、第3側面80と第4側面81とは平行に配置されている。また、内管75の外周面上部を第1側面78及び第2側面79よりも上方に突出させている。
【0065】
ここで、図6(a)に示すように、正面断面視において第1側面78の外側端縁の位置をA1、内側端縁の位置をB1、管体74の中心の位置をOとする。また、管体74の中心の位置Oから第1側面78の内側端縁の位置B1を管体74の半径方向に向けて延長した仮想線を一点鎖線で示し、管体74の中心の位置Oから第1側面78の外側端縁の位置A1に向かう仮想線を二点鎖線で示す。さらに、管体74の中心の位置Oから第1側面78の内側端縁の位置B1を管体74の半径方向に向けて仮想的に延長させた位置(一点鎖線と管体74の外周との交点)をB2とする。第1側面78は、外側端縁を、内側端縁の位置B1が管体74の中心の位置Oから半径方向に仮想的に延長させた位置B2よりも基板8の面方向(水平方向)に向けて外側に開いた位置A1に設けている。
【0066】
同様に、図6(a)に示すように、正面断面視において第2側面79の外側端縁の位置をC1、内側端縁の位置をD1とする。また、管体74の中心の位置Oから第2側面79の内側端縁の位置D1を管体74の半径方向に向けて延長した仮想線を一点鎖線で示し、管体74の中心の位置Oから第2側面79の外側端縁の位置C1に向かう仮想線を二点鎖線で示す。さらに、管体74の中心の位置Oから第2側面79の内側端縁の位置D1を管体74の半径方向に向けて仮想的に延長させた位置(一点鎖線と管体74の外周との交点)をD2とする。第2側面79は、外側端縁を、内側端縁の位置D1が管体74の中心の位置Oから半径方向に仮想的に延長させた位置D2よりも基板8の面方向(水平方向)に向けて外側に開いた位置C1に設けている。なお、図6(a)に示すように、位置A1と位置Oと位置C1とを結ぶ内角が、位置B1と位置Oと位置D1とを結ぶ内角よりも大きくなっている。
【0067】
この処理液供給ノズル49では、内管75が循環流路50に連結されており、図6(b)に示すように、内管75の供給口77から下方に向けて処理液が管体74の内部(内管75の外周と管体74の内周との間に形成される中空部)に供給される。処理液は、供給口77から管体74の内周及び内管75の外周に沿って基板8の配列方向やそれと直交する上方向に広がって流れ、吐出口76から鉛直上方に向けて吐出される。その際に、第1側面78と第2側面79とがそれぞれ基板8の面方向(水平方向)に向けて外側に開いているために、吐出口76から処理液が基板8の面方向(水平方向)に拡散されて吐出される。これにより、吐出口76の中央部での処理液の流速と吐出口76の端部(第1側面78や第2側面79の近傍)での処理液の流速との速度差が小さくなり、吐出口76から処理液を鉛直上方へ向けて均一に吐出することができる。なお、上記処理液供給ノズル49では、第1側面78及び第2側面79の両方の面を基板8の面方向(水平方向)に向けて外側に開かせているが、これに限られず、第1側面78又は第2側面79のいずれか一方の面だけを基板8の面方向(水平方向)に向けて外側に開かせてもよい。
【0068】
吐出口76は、図6(a)及び図7(a)に示すように、第1側面78と第2側面79との開口角度(第1側面78と第2側面79とを仮想的に交差させた時の角度)が180度未満でもよいが、図7(b)に示すように、第1側面78と第2側面79との開口角度が180度となるようにしてもよく、さらに、図7(c)に示すように、第1側面78と第2側面79との開口角度が180度よりも大きくなるようにしてもよい。第1側面78と第2側面79とを180度以上開くことで吐出口76の近傍で吐出した処理液を基板8の面方向(水平方向)に向けて良好に拡散させることができる。また、第1側面78と第2側面79との開口角度を180度とすることで吐出口76を容易に形成することができる。
【0069】
特に、上記処理液供給ノズル49では、内管75の供給口77を管体74の吐出口76と反対方向に向けて形成しているため、管体74の内部(内管75の外周と管体74の内周との間に形成される中空部)で基板8の面方向(水平方向)に向けて分散させることができ、処理液の流速を一層均一化することができる。また、上記処理液供給ノズル49では、複数の吐出口76の間に供給口77を形成しているために、管体74の内部(内管75の外周と管体74の内周との間に形成される中空部)で基板8の配列方向にも分散させることができ、より一層処理液の流速を均一化することができる。また、上記処理液供給ノズル49では、内管75を第1側面78や第2側面79よりも外側に突出させることによっても、吐出口76から吐出される処理液の流速を均一化している。
【0070】
また、上記処理液供給ノズル49は、基板8を保持する基板保持体67の間に配置して、平面視で吐出口76の中央(第1側面78と第2側面との中央部)における処理液の吐出方向(ここでは、鉛直上向き)に基板保持体67が位置しないようにしている。これにより、吐出口76から吐出された処理液が基板保持体67に衝突して処理液の上昇流が乱されてしまうのを防止し、処理槽34の内部で処理液を均一に上昇させることができる。また、基板保持体67の側面72,73を平面視で吐出口76の中央(第1側面78と第2側面との中央部)における処理液の吐出方向(鉛直方向)と交差しないように平行に形成することや基板保持体67の下端部を下方に向けて先鋭状に形成することによっても、処理液の上昇流を基板保持体67で乱すのを防止することができる。また、3本の処理液供給ノズル49を平面視でそれぞれの吐出口76の中央(第1側面78と第2側面との中央部)における処理液の吐出方向(鉛直上向き)が互いに交差しないように配置している。これにより、各処理液供給ノズル49の吐出口76から吐出された処理液同士が衝突して処理液の上昇流が乱されてしまうのを防止し、処理槽34の内部で処理液を均一に上昇させることができる。
【0071】
基板液処理装置1は、以上に説明したように構成しており、記憶媒体38に記憶された基板液処理プログラム等に従って制御部7で各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6など)の動作を制御することで、基板8を処理する。
【0072】
この基板液処理装置1で基板8をエッチング処理する場合には、エッチング処理装置26の処理液供給部40によって所定濃度及び所定温度のリン酸水溶液を液処理部39に供給し、処理液循環部42によって所定濃度及び所定温度になるように加熱して処理液を生成し、処理液を液処理部39に貯留する。その際に、加熱によって水分が蒸発して処理液の濃度が増加するため、加熱によって蒸発する水分の量に相応する量の純水を純水供給部41によって液処理部39に供給して、処理液を純水で希釈する。そして、所定濃度及び所定温度の処理液が貯留された処理槽34に基板昇降機構36によって基板8を浸漬させることで、処理液で基板8をエッチング処理(液処理)する。
【0073】
その後、制御部7は、内蔵するタイマで基板8を処理液に浸漬させた時間を計測し、所定時間以上経過している場合には基板8の液処理を終了する。
【0074】
基板8の液処理時には、処理液供給ノズル49から処理槽34の底部に処理液が供給される。処理液は、処理液供給ノズル49の吐出口76から吐出され、配列された基板8の間を基板8に沿って上昇する。上記基板液処理装置1では、吐出口76が外側に開いているために、処理液を処理液供給ノズル49の中心から半径方向より外側にも拡散させて吐出させることができる。特に、上記処理液供給ノズル49では、吐出口76を180度以上開かせて形成することで、処理液を処理液供給ノズル49の中心から180度以上外側にも拡散させて吐出させることができる。そのため、吐出口76の中央部での処理液の流速と吐出口76の端部(第1側面78や第2側面79の近傍)での処理液の流速との速度差が小さくなり、吐出口76から処理液を鉛直上方へ向けて均一に吐出することができる。これにより、上記基板液処理装置1では、基板8に沿って流れる上昇流を均一な速度で流すことができ、処理液によって基板8の表面を均一に処理することができる。
【0075】
なお、上記基板液処理装置1では、処理液供給ノズル49から吐出される処理液の流速を均一化することができるために、処理液供給ノズル49から吐出される処理液の流量を増大させることができる。これにより、上記基板液処理装置1では、循環流路50で処理槽34の内部の処理液を置換させる速度(時間)を速く(短く)することができ、基板8の処理時間を短縮して基板液処理装置1のスループットを向上させることができる。また、上記基板液処理装置1では、処理液供給ノズル49から吐出される処理液の流速を均一化することができるために、処理液供給ノズル49を基板8に近接させることができ、処理槽34を小型化して基板液処理装置1を小型化することができる。
【0076】
上記基板液処理装置1では、上述したように基板8に沿って流れる上昇流を均一な速度で流すことができる。さらに、処理槽34の内部で上昇する処理液の流速を速くすることで、基板8の表面を均一に処理することができる。処理槽34の内部で処理液が滞留する部分が生じるおそれがある場合、処理槽34の内部で部分的に処理液の滞留が生じると、処理液によって基板8の表面を均一に処理することができないおそれがある。そのような問題点を解決するために、処理槽34の内部で基板8の下方から気泡を供給してもよい。基板8の下方から気泡を供給すると、処理液とともに気泡が基板8の下方から上方へ向けて上昇する。気泡は、浮力の作用によって処理液の上昇よりも速い速度で上昇する。しかも、気泡は、上方へ直線的に上昇するのではなく処理液内の抵抗の作用によってランダムに浮遊及び拡散しながら上昇する。これにより、処理槽34の内部で上昇する処理液の流速が低い場合であっても、処理槽34の内部で部分的に生じていた処理液の滞留が解消され、処理液によって基板8の表面を均一に処理することができる。
【0077】
気泡は、処理液供給ノズル49から吐出する処理液を処理液循環部42のヒータ53で加熱して沸騰させることで発生させることができる。そのため、上記基板液処理装置1では、処理液循環部42が気泡を基板8の下方から供給するための気泡供給部としても機能させることができる。このように、処理液を加熱して気泡を発生させる場合には、気泡供給部を別個設けなくてもよい。
【0078】
気泡は、たとえば、循環流路50に設けられたヒータ53で処理液を沸点以上の温度で加熱することで発生させることができる。この場合、気泡は、ヒータ53よりも下流側の循環流路50を通って処理液供給ノズル49から基板8の下方に供給される。そのため、処理液供給ノズル49や循環流路50の素材として石英ガラスなどを用いると気泡によって破損するおそれがある。そこで、気泡は、処理液供給ノズル49までは液体状となっており、処理液供給ノズル49から吐出されたときに気体状に気化して発生する方がより好ましい。循環流路50の内部では処理液が流動しているため、その流動によって圧力(流動圧力)が処理槽34の内部の圧力よりも上昇している。そのため、処理液を同じ温度で加熱しても、処理槽34の内部の圧力よりも高い流動圧力の下では処理液が液体状となっており、流動圧力よりも低い処理槽34の内部の圧力の下で処理液の一部が気化して気泡を発生させることができる。したがって、ヒータ53で処理液を沸点未満の温度で加熱して、処理液を液体状のまま処理液供給ノズル49から吐出し、吐出時に処理槽34内の処理液の内部で気泡が発生するようにすることができる。処理液を加熱する温度は、循環流路50の内部の圧力(流動圧力)が処理液の種類や濃度や流速などによって変わるため、処理液の種類や濃度や流速などを適宜変化させる予備的な実験を行って最適な温度を決定する。なお、気泡は、ヒータ53で処理液を沸点以上の温度で加熱することで発生させることができるが、処理液を加熱する温度を変更する方法に限られない。たとえば、ヒータ53の温度を変えずに、加熱によって蒸発する水分の量に相応する量の純水を純水供給部41によって液処理部39に供給する際に、純水の供給量を増やすことで、処理液の濃度が下がり沸点を下げることで気泡を発生させてもよい。気泡は、処理液の流動圧力や処理液の温度や処理液の濃度の少なくともいずれかを制御することで生成させることができる。その際に、処理液の沸点が大気圧の変動によって変わるため、処理槽34の外部に大気圧を計測する大気圧センサーSを設けて計測された大気圧(大気圧センサSからの信号)によって処理液を加熱する温度、処理液の濃度を補正することで、大気圧の変動で処理液の沸点が変わっても循環流路50の内部の圧力(流動圧力)を処理槽34の内部の圧力よりも高い流動圧力とすることができ液体状の処理液とすることができ、安定して気泡を発生させることができ、石英ガラスなどの気泡による破損を防止することができる。気泡は、処理液吐出ノズル49の吐出口76の近傍で発生させるのが好ましいが、上記2重管からなる処理液吐出ノズル49では、内管75の供給口77の近傍で発生させてもよい。なお、循環流路50に設けられたヒータ53で処理液を沸点以上の温度で加熱し、処理液供給ノズル49までは液体状となっており、処理液供給ノズル49から吐出されたときに気体状に気化させ気泡を発生させる方法は、本発明の処理液供給ノズル49に形成された吐出口76の形状の場合に限定されるものではない。
【0079】
上記実施例1に係るエッチング処理装置26では、処理液を加熱することで気泡を発生させているが、気泡の発生はこれに限られない。以下に気泡を発生させる他の方法について説明する。なお、以下の説明では、上記実施例1に係るエッチング装置26と同様の構成のものには同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
[実施例2]
図8に示すエッチング処理装置82では、処理液循環部42の循環流路50の下流側の中途部に気泡供給部83を設けている。この気泡供給部83では、気泡となる気体(たとえば、窒素ガスなどの不活性ガス)を供給するための気体供給源84を循環流路50に流量調整器85を介して接続している。気体供給源84から供給された気体は、そのまま気泡となって循環流路50を通って処理液供給ノズル49から基板8の下方に処理液とともに供給される。この場合、気泡が循環流路50を通るため、循環流路50に設けられたポンプ51やフィルター52やヒータ53よりも下流側で、できるだけ処理液供給ノズル49の近傍に気体供給部83を接続することが望ましい。上記2重管からなる処理液吐出ノズル49では、内管75に気泡供給部83を直結してもよい。また、循環流路50や処理槽34の内部を処理液とともに気泡が流れるため、処理液の温度を低下させない温度に加熱した気体を供給することが望ましく、また、処理液と反応したり処理液に溶解しない種類の気体を供給することが望ましい。
【0081】
[実施例3]
図9に示すエッチング処理装置86では、処理液循環部42の循環流路50の上流側の中途部に気泡供給部87を設けている。気泡供給部87は、加熱(沸騰)することによって気泡となる液体(たとえば、アルコール)を供給するための液体供給源88を循環流路50に流量調整器89を介して接続している。液体供給源88から供給された液体は、循環流路50に設けられたヒータ53で加熱されて沸騰することで気化し、気泡となって循環流路50を通って処理液供給ノズル49から基板8の下方に処理液とともに供給される。この場合にも、循環流路50や処理槽34の内部を処理液とともに気泡が流れるため、処理液と反応したり処理液に溶解しない種類の液体を供給することが望ましい。この場合には、循環流路50に設けられた処理液を加熱するためのヒータ53で液体を処理液とともに加熱することができるが、気泡供給部87に液体を加熱するヒータを別に設けて、循環流路50に設けられたポンプ51やフィルター52やヒータ53よりも下流側で、できるだけ処理液供給ノズル49の近傍に気体供給部88を接続してもよい。この場合にも、液体を加熱する温度は、循環流路50の内部の圧力(流動圧力)が液体の種類や濃度や流速などによって変わるため、液体の種類や濃度や流速などを適宜変化させる予備的な実験を行って最適な温度を決定する。また、液体の沸点が大気圧の変動によって変わるため、処理槽34の外部に大気圧を計測する大気圧センサーSを設けて計測された大気圧(大気圧センサーSからの信号)によって液体を加熱する温度を補正するようにしてもよい。
【0082】
[実施例4]
上記実施例2、3に係るエッチング装置82,86では、処理液供給ノズル49の吐出口76から気泡を供給しているが、これに限られず、処理液供給ノズル49の吐出口76とは異なる位置から気泡を供給してもよい。
【0083】
たとえば、図10に示すエッチング処理装置90の気泡供給部91は、処理槽34の内部において処理液供給ノズル49の下方に気泡供給ノズル92を配置し、気泡供給ノズル92に気泡となる気体(たとえば、窒素ガスなどの不活性ガス)を供給するための気体供給源93を流量調整器94を介して接続している。気泡供給ノズル92には、処理液供給ノズル49と同様に基板支持体67に並んで保持される2枚の基板8の間に気泡の吐出口が形成されている。気体供給源93から供給された気体は、そのまま気泡となって気泡供給ノズル92から基板8の下方に処理液とは別に供給される。処理槽34の内部を処理液とともに気泡が流れるため、処理液の温度を低下させない温度に加熱した気体を供給することがより望ましく、また、処理液と反応したり処理液に溶解しない種類の気体を供給することが望ましい。気泡供給ノズル92は、処理液の上昇を妨げないように処理液供給ノズル49の吐出口76よりも下方に配置するのが好ましい。また、気泡供給ノズル92は、吐出した気泡が処理液供給ノズル49や基板支持体67によって上昇が妨げられないように平面視で処理液供給ノズル49や基板支持体67からずらした位置に配置するのがより好ましい。なお、気泡供給ノズル92は、処理液供給ノズル49と別体となっていてもよく、また、処理液供給ノズル49と一体となっていてもよい。また、気泡供給部91は、上記実施例3に係る気泡供給部87と同様に、加熱(沸騰)することによって気泡となる液体(たとえば、アルコール)を用いることもできる。
【0084】
[変形例]
上記説明は、本発明を実施する場合の形態を示したものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形することが可能である。
【0085】
たとえば、図4に示したように、処理液供給ノズル49には、基板支持体67に並んで保持される2枚の基板8の間にそれぞれ吐出口76が形成されている。ロット形成部3で基板8の表面にパターンが形成されている面が全て同一の方向を向くようにロットを形成した場合には、各吐出口76から吐出された処理液や気泡が各基板8のパターン形成面(被処理面)に沿って流れるので好ましい。しかし、ロット形成部3で基板8の表面にパターンが形成されている面を互いに対向するようにロットを形成した場合には、基板8のパターン形成面の裏面に不必要に処理液や気泡が流れることになる。そこで、図11に示す処理液供給ノズル95では、基板支持体67に並んで保持される2枚の基板8の間にひとつおきに吐出口96を形成して、対向する基板8のパターン形成面(被処理面)に処理液や気泡を吐出するようにしてもよい。
【0086】
また、図4に示した基板昇降機構34では、アーム66や連結板68と基板8との間の間隔が基板8同士の間の間隔よりも広くなっているため、アーム66や連結板68に最も近い基板8とそれ以外の基板8とで表面に沿って流れる処理液や気泡の状態が異なる。そこで、図12に示すように、最端に位置する基板8と対向する位置に基板8同士の間隔と同一の間隔をあけて基板8と同一形状の遮蔽板97を設けてもよい。これにより、全ての基板8に処理液や気泡を同等の状態で供給することができる。
【0087】
また、上記説明では、基板液処理装置1のエッチング処理装置26に本発明を適用した場合について説明したが、これに限られず、洗浄処理装置25などの基板8を処理液で処理する装置に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0088】
1 基板液処理装置
8 基板
34 処理槽
49 処理液供給ノズル
74 管体
76 吐出口
78 第1側面
79 第2側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12