(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法は、下記工程(I)〜(V)を有する。
(I)ピーラブル金属箔の極薄金属箔上に、接着材料を介して、半導体素子を固定する工程
(II)感光性封止フィルムを用いて半導体素子を封止する工程
(III)極薄金属箔の裏面を露出させる工程
(IV)極薄金属箔を用いて配線パターンを形成する工程
(V)配線パターン上に再配線絶縁層を形成する工程
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
また、説明の都合上、図面では個片化後の1つの半導体素子を図示しているが、個片化前の状態(複数の半導体素子が1枚のシリコンウエハに形成されている状態)についても本発明は適用できる。
【0015】
・工程(I)
本工程では、ピーラブル金属箔(固定部材)上に、接着材料を介して、半導体素子を固定する。
図1は、ピーラブル金属箔の一例の概略断面図である。
ピーラブル金属箔1は、キャリア金属箔3と、離型層(剥離層)4と、極薄金属箔5から構成される。キャリア金属箔3の厚みは、極薄金属層の厚みより厚ければ特に制限はないが、10〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。キャリア金属箔3は単層であってもよく、また、基材に金属箔を積層した積層体でもよい。
図2は、本実施形態で使用するピーラブル金属箔の概略断面図である。
固定部材としてのピーラブル金属箔1’は、例えば、コア基材11の両面に銅箔12を有し、銅箔12の一面上に離型層(図示せず)を介して極薄金属箔13を有する。
【0016】
コア基材11は、極薄金属箔13の支持体であり、また、ピーラブル金属箔(固定部材)1’に必要な剛性を有する層である。
コア基材は、特に限定されるものではないが、ガラスクロスと樹脂を含む基板(ガラスクロスに樹脂を含浸させたガラスクロス入り基板等)、シリコンウエハ、ガラス、ステンレス(SUS)板等の高剛性材料が好ましい。
【0017】
コア基材の厚みは0.2mm〜2.0mmであることが好ましい。この範囲であればハンドリング性がよく、また、材料費も抑制できる。コア基材の厚みは0.3mm〜1.0mmであることがより好ましく、0.4mm〜0.7mmであることがさらに好ましい。
【0018】
コア基材の室温から150℃までの平均熱膨張係数は1×10
−6/℃〜15×10
−6/℃であることが好ましい。平均熱膨張係数は2×10
−6/℃〜10×10
−6/℃であることがより好ましく、3×10
−6/℃〜5×10
−6/℃であることがさらに好ましい。この範囲であれば、半導体素子(チップ)を固定部材に固定した後の反りの発生を抑制しやすく、また、材料費も抑制できる。なお、コア基材の平均熱膨張係数は、一般的な熱分析装置で測定することができる。
【0019】
コア基材の室温弾性率は20GPa〜40GPaであることが好ましい。この範囲であれば、半導体素子を固定部材に固定した後の反りの発生を抑制しやすく、また、コア基材の作製が容易である。なお、コア基材の室温弾性率は、25℃で、一般的なマイクロフォース精密試験装置で測定することができる。
【0020】
銅箔12の厚みは、極薄金属層の厚みより厚ければ特に制限はないが、10〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。この範囲であれば、材料費も抑制できる。
【0021】
極薄金属箔13は、後の工程で銅箔12から剥離し、配線パターンとなる導電層である。
極薄金属箔の厚みはキャリア金属箔の厚味より薄ければ特に制限はないが、0.5μm〜12μmであることが好ましく、1〜9μmであることがより好ましく、2〜5μmであることがさらに好ましい。この範囲であれば、極薄金属箔の作製が容易であり、配線パターン形成時の微細加工性が高い。極薄金属箔の材質は、特に制限は無いが、配線材料として一般的な銅が好ましい。
【0022】
上記ピーラブル金属箔(固定部材)は、例えば、MCLE−705(LH)N3DX)、MCLE−700(LH)N3DX)(いずれも、日立化成株式会社製、商品名)として入手可能である。
【0023】
図3は、本実施形態で使用する半導体素子の概略断面図である。半導体素子2は、ピーラブル金属箔(固定部材)1と半導体素子本体14の接続面側に、接着材料であるアンダーフィルフィルム17を有し、半導体素子本体14の接続端子部に形成されたアンダーフィルフィルム17の開口部に金属ポスト15及びはんだ16を具備している。
【0024】
半導体素子本体14としては、例えば、マイクロプロセッサ、ロジックLSI等のロジック系半導体素子が挙げられる。
【0025】
アンダーフィルフィルム17は、半導体素子本体14を固定部材の極薄金属箔13上に固定するものである。
アンダーフィルフィルム17は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又は感光性樹脂等が使用できる。はんだ16と極薄金属箔13の間における樹脂の噛み込みが少ないという観点から、感光性樹脂が好ましい。
アンダーフィルフィルム17は、予め個片化前のウエハ状の半導体素子本体14の接続面側にラミネート等で貼り付けることが好ましい。
【0026】
以下、一例としてアンダーフィルフィルム17が感光性樹脂の場合について説明する。フィルム状に成形した感光性樹脂を半導体素子本体14の接続面側にラミネート等で貼り付ける。次いで、金属ポスト15及びはんだ16(金属ポスト15及びはんだ16を纏めて電極部という。)がある部分の感光性樹脂を開口して電極部を露出させる。感光性樹脂の開口は、露光及び現像処理によって形成することができる。
【0027】
露光処理では、マスクパターンを通して活性光線を照射することにより、アンダーフィルフィルム17の所定部分を露光し、光硬化させる。
この際に用いる活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができる。例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものを使用できる。また、直接描画方式のダイレクトレーザ露光を用いてもよい。
【0028】
露光量は使用する装置や感光性樹脂組成物の組成によって異なるが、10mJ/cm
2〜700mJ/cm
2が好ましい。この範囲であれば、開口形状を安定して得ることが容易となる。露光量は20mJ/cm
2〜600mJ/cm
2がより好ましい。
【0029】
次いで、現像処理により露光部以外の部分(未露光部)を除去することで、感光性樹脂を開口して電極部を露出させる。
現像処理に用いる現像液としては、例えば、20℃〜50℃の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等のアルカリ現像液が挙げられる。現像処理としては、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法が適用できる。
【0030】
アンダーフィルフィルムの厚みは10μm〜50μmであることが好ましい。この範囲であればフィルムの作製が容易であり、また、半導体装置の薄型化が達成できる。
【0031】
アンダーフィルフィルムの室温から150℃までの平均熱膨張係数は、25×10
−6/℃〜100×10
−6/℃であることが好ましい。平均熱膨張係数が25×10
−6/℃以上であれば、フィラーを増量する必要がなく、アンダーフィルフィルムの解像性が低下することを抑制できる。一方、100×10
−6/℃以下であれば、弾性率が十分であり、熱衝撃性も高い傾向がある。同様な理由から、アンダーフィルフィルムの室温弾性率は1GPa〜10GPaであることが好ましい。
【0032】
上述したピーラブル金属箔(固定部材)1上に、アンダーフィルフィルム17を介して、半導体素子2を固定する。
図4は、固定部材の極薄金属箔上に、半導体素子を固定した状態を示す概略断面図である。
【0033】
半導体素子2の固定には、フリップチップボンダー等の実装機を用いることが好ましい。TCB(Thermal Compression Bonding)方式により、アンダーフィルフィルム17を極薄金属箔13に固定し、さらにはんだ16を溶融させて極薄金属箔13と電気的に接続してもよい。
また、TCBにより、アンダーフィルフィルム17を極薄金属箔13に固定して、その後、リフローによって、はんだ16を溶融させて極薄金属箔13と電気的に接続してもよい。
その後、150℃前後で1時間程度、アンダーフィルフィルム17の熱硬化を行ってもよい。また、後述する工程(II)の封止と併せて熱硬化を実施してもよい。
【0034】
・工程(II)
本工程では、感光性封止フィルムを用いて半導体素子を封止する。
図5は、半導体素子を感光性封止フィルムを用いて封止した状態を示す概略断面図である。本発明では封止に、感光性封止フィルムを使用する。感光性封止フィルムを使用することにより微細な開口部を設けることができる。
感光性封止フィルムによる封止部18の形成には、ラミネート方式やコンプレッション方式等、公知の方法が採用できる。
【0035】
感光性封止フィルムの厚みは50μm〜300μmであることが好ましい。50μm以上であれば厚さが充分であるため半導体素子2を封止することが容易である。一方、300μm以下であれば封止部18に微細な開口部18aを容易に形成できる。感光性封止フィルムの厚みは60μm〜200μmであることがより好ましく、80μm〜120μmであることがさらに好ましい。
【0036】
感光性封止フィルムを用いて形成した封止部、即ち、硬化後のフィルムの室温から150℃までの平均熱膨張係数は、25×10
−6/℃〜100×10
−6/℃であることが好ましい。25×10
−6/℃以上であれば、フィラーを増量する必要がないため、感光性封止フィルムの解像性が低下しないので好ましい。一方、100×10
−6/℃以下であれば得られる半導体装置(パッケージ)の反りを抑制でき、また、ハンドリング性もよい。
同様な理由から、感光性封止フィルムを用いて形成した封止部の室温弾性率は1GPa〜10GPaであることが好ましい。感光性封止フィルムの平均熱膨張係数及び室温弾性率の測定方法は、上述したコア基材と同様である。
【0037】
感光性封止フィルムに用いる感光性樹脂組成物は、(a)酸変性エポキシ樹脂、(b)フォスフィンオキサイド化合物、又はオキシムエステル化合物、(c)エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
酸変性エポキシ樹脂としては、ビフェノール型エポキシアクリレート、ビフェニル型エポキシアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート等を用いることができる。クレゾールノボラック型エポキシアクリレートが好ましい。
エポキシ樹脂としては、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0038】
本実施形態では、上記工程(II)の後に、工程(II)で形成した封止部18の少なくとも一部に、露光及び現像処理によって極薄金属箔13に至る開口部18aを形成する工程(IIa)と、開口部18aに電解めっきにより金属めっき部19を形成する工程(IIb)を実施することが好ましい。
図6は、封止部に開口部を形成した状態を示す概略断面図であり、
図7は、該開口部に金属めっき部を形成した状態を示す概略断面図である。
【0039】
本実施形態では封止部18を感光性封止フィルムを用いて形成するため、開口部18aは露光及び現像処理によって形成できる。露光処理については、マスクパターンを通して活性光線を照射することにより、封止部18の所定部分を露光し、光硬化させる。
活性光線の光源としては、上述したアンダーフィルフィルムの形成と同様に公知の光源を用いることができる。露光量もアンダーフィルフィルムと同様である。
【0040】
次いで、現像により露光部以外の部分(未露光部)を除去することで、極薄金属箔13まで到達する開口部18aを形成する。現像処理に用いる現像液としては、例えば、20℃〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等のアルカリ現像液が用いられる。現像処理としては、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング及びスクラッピング等の公知の方法が適用できる。これにより所定の開口部18aが形成される。
開口部18aを設けた後、150℃前後で1時間程度、封止部18を熱硬化処理してもよい。
【0041】
次いで、開口部18aに金属めっき部19を形成する(
図6参照)。金属めっき部19を形成する前に極薄金属箔13上の酸化膜や残渣を除去する目的で、酸洗処理やプラズマ処理を施してもよい。
金属めっき部は電解めっき法により形成することが好ましい。これにより、本半導体装置上にDRAM等の半導体装置を搭載することが容易となる。
金属めっきとしては、銅めっきが好ましい。
【0042】
・工程(III)
本工程では、極薄金属箔の裏面を露出させる。
図8は、極薄金属箔の裏面を露出させた状態を示す概略断面図である。極薄金属箔13の裏面(極薄金属箔13の半導体素子2を実装していない面)13aは、銅箔12から極薄金属箔13を剥離することにより露出できる。
剥離方法については特に制限はない。例えば、封止部18の面を真空吸着して極薄金属箔13からコア基材11と銅箔12を同時に剥離させる方法がある。
なお、封止部18の面に仮固定材を介してシリコンウエハ、ガラスフィルム、SUS板、又はコア基材等の固定板を貼り付け、その後、極薄金属箔3を機械剥離してもよい。固定板は、半導体装置毎に個片化されるまで貼り付けたままとしてもよい。固定板を貼り付けることで、再配線絶縁層形成やはんだボール搭載時のハンドリング性が向上するため、特に半導体装置が薄い場合に有効である。
【0043】
・工程(IV)
本工程では、極薄金属箔を加工して配線パターンを形成する。
配線パターンを形成する方法としては、例えば、レジスト材を使用したエッチング法が挙げられる。
図9は、極薄金属箔の下面にドライフィルムレジストのパターン硬化膜を形成した状態を示す概略断面図である。本実施形態では、極薄金属箔の裏面13aに、ドライフィルムレジストのパターン硬化膜21を形成する。
ドライフィルムレジストは、液状でもフィルム状でもよい。液状の場合は、印刷やスピンコータにより硬化膜を形成できる。フィルム状の場合はラミネートによって形成できる。
次いで、マスクパターンを通して活性光線を照射することにより、ドライフィルムレジストの所定部分を露光し、光硬化させる。次いで、現像により露光部以外を除去することで、ドライフィルムレジストのパターン硬化膜21を形成する。
【0044】
次いで、エッチングにより極薄金属箔13の一部を除去し、配線パターンを形成する。
図10は、極薄金属箔の一部を除去した状態を示す概略断面図であり、
図10は、ドライフィルムレジストを除去し、極薄金属箔を加工した配線パターンを形成した状態を示す概略断面図である。
本実施形態で使用するエッチング液は、極薄金属箔の種類によって適宜選択すればよい。例えば、極薄金属箔が銅の場合、塩化鉄と塩酸の混合水溶液や、塩化銅と塩酸の混合水溶液が一般的に用いられる。エッチング法としては、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング及びスクラッピング等の公知の方法が採用できる。これにより極薄金属箔を使用した配線パターン22が形成される(
図10参照)。その後、パターン硬化膜21は、剥離液等によって除去される(
図11参照)。
【0045】
・工程(V)
本工程では、極薄金属箔を加工して得た配線パターン上に再配線絶縁層を形成する。
図12は、配線パターン上に再配線絶縁層を形成した状態を示す概略断面図である。本工程で使用する再配線絶縁層23の材料は、特に制限はなく、公知の感光性樹脂や熱硬化性樹脂を使用できる。また、液状でもフィルム状でもよい。
例えば、液状の感光性材料を用いる場合、スピンコータで所定の厚みに形成し、その後、露光、現像処理により所定のパターンを形成する。その後、窒素雰囲気で熱硬化させることで再配線絶縁層を形成できる。
【0046】
再配線絶縁層を形成した後、必要に応じて、公知の工程を実施してもよい。例えば、多層化が必要な場合は、以下の工程サイクルを繰り返せばよい。
無電解めっきやスパッタ処理等によりシード層を形成する(図示省略)。その後、配線形成用レジストを形成し、露光、現像処理によりパターンを形成する。次いで、電解めっきにより配線パターンを形成する(図示省略)。次いで、レジストを剥離し、シード層を除去する(図示省略)。その後、感光性材料で再配線絶縁層を形成する(図示省略)。
【0047】
無電解銅めっき法によりシード層を形成する場合、シード層の厚さは特に制限はないが、通常0.1μm〜1.0μmが好ましい。配線パターンを形成する前にシード層を形成することにより、電解銅めっき法が可能となり、選択的に配線パターンを形成することができる。シード層の形成は無電解銅めっき法の他に、スパッタ法によっても形成できる。ターゲットは適宜選択できるが、TiやCuが一般的である。
【0048】
TiやCuの厚みは特に制限はないが、Tiの場合は、20nm〜100nm、Cuの場合は、100nm〜500nm程度が好適である。最外層の電極には市販の無電解ニッケル/金めっき液等を用いてめっき処理を施すこともできる。
【0049】
図13は、配線パターン上にはんだボールを形成した状態を示す概略断面図である。配線パターン22は外部接続端子として機能し、はんだボール24を使用して外部の基板等に接続される。はんだボール24の搭載は市販のN
2リフロー装置等を用いて容易に行うことができる。以上により、半導体装置100が作製できる。
【0050】
本実施形態の製造方法は、微細化や多ピン化が必要とされる半導体装置において好適である。特に、eWLB(embeded Wafer Level Ball Grid Array)を三次元化する形態において好適である。
【0051】
以上、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
【実施例】
【0052】
実施例1〜3
(1)ピーラブル金属箔(固定部材)
図2に示す構造を有するピーラブル金属箔(日立化成株式会社製 MCLE−705(LH)N3DX)を固定部材として使用した。なお、コア基材の厚さは0.41mmであった。銅箔の厚さは両面ともに18μmである。極薄金属箔は3μmの銅箔からなる。固定部材の大きさは100mm×100mmとした。コア基材の平均熱膨張係数は5×10
−6/℃、室温(25℃)の弾性率は30GPaであった。なお、平均熱膨張係数は熱分析システム(TMA/SS6000、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定し、その曲線から25℃〜150℃の範囲の平均熱膨張係数を算出した。
弾性率はマイクロフォース精密試験装置(モデル5548 インストロン社製)を用いてJIS−K−6911に準拠した3点支持型の曲げ試験を行い、弾性率を求めた。
【0053】
(2)半導体素子
(a)半導体素子本体
8inchウエハの半導体素子(株式会社ウォルツ WALTS−TEG CC80−0101JY_(PI)_ModelI)を使用した。バックグラインド加工により、ウエハ厚みを70μmに加工した。電極部として、高さ30μmの銅ポスト、及び銅ポスト上に高さ15μmのはんだ(Sn−3.0Ag−0.5Cu)が形成されている(
図3参照)。
【0054】
(b)感光性アンダーフィルフィルムの作製
感光性アンダーフィルフィルムに使用する感光性樹脂組成物として、アルカリ可溶性樹脂P−1、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(光架橋剤、東亜合成株式会社製、商品名「M−315」)をアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して80質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(光重合開始剤、BASF株式会社製、商品名「I−819」)を同じく3質量部、さらに熱硬化剤成分として、ビスフェノールF型ビスグリシジルエーテル(東都化成株式会社製、商品名「YDF−870GS」)を同じく30質量部になるように配合した。
【0055】
得られた感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が40μmとなるように基材(剥離剤処理PETフィルム)上に塗布し、オーブン中にて80℃で20分間加熱し、続いて120℃で20分間加熱して、基材上に感光性樹脂組成物からなるアンダーフィルフィルム(接着剤層)を形成した。
続いて、アンダーフィルフィルムの支持体と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルムを保護フィルムとして貼り合わせ、感光性アンダーフィルフィルムを得た。
【0056】
なお、アルカリ可溶性樹脂P−1は以下のようにして合成した。
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mLフラスコ内に、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子株式会社製、商品名「BIS−AP−AF」、分子量366)を14.64g(0.04mol)、ポリオキシプロピレンジアミン(BASF株式会社製、商品名「D−400」、分子量433)を17.32g(0.04mol)、3,3’−(1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル)ビスプロピルアミン(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名「BY16−871EG」、分子量248.5)を2.485g(0.01mol)、m−アミノフェノール2.183g(0.02mol)と、溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と略す。)80gを仕込み、撹拌して溶媒に溶解させた。
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以下「ODPA」と略す。)を31g(0.1mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて5時間保温して、アルカリ可溶性樹脂であるポリイミド樹脂P−1を得た。
【0057】
(c)半導体素子の感光性アンダーフィルフィルムの形成
半導体素子の電極部のある面(能動面)に感光性アンダーフィルフィルムを形成した。具体的に、上記(b)で作製した感光性アンダーフィルフィルムの保護フィルムを剥がして、半導体素子の能動面にプレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名「MVLP−500」)を用いて積層した。プレス条件は、プレス熱板温度60℃、真空引き時間30秒、ラミネートプレス時間60秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.5MPaとした。
感光性アンダーフィルフィルム上の基材(PETフィルム)に、パターンを形成したフォトツールを密着させ、露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM‐1201」)を使用して、500mJ/cm
2のエネルギー量で露光した。
次いで、80℃、30秒の熱処理を行い、感光性アンダーフィルフィルム上上のPETフィルムを剥離した。
次いで、30℃の2.38重量%TMAH水溶液で、90秒の時間でスプレー現像を行い、感光性アンダーフィルフィルムを開口し、電極部を露出させた(
図4参照)。次いで、純水洗浄した。
【0058】
(3)工程(I):固定部材への半導体素子の固定
7.3mm×7.3mmに個片化した半導体素子をアンダーフィルフィルム面がピーラブル銅箔に張り合わさるように固定(実装)した(
図4参照)。
半導体素子の固定にはフリップチップボンダーを用いた。ステージ設定温度を80℃、フリップチップボンダーのヘッド温度を350℃、圧着時間を10秒に設定して固定した。荷重は200Nで行った。
【0059】
(4)工程(II)
(a)感光性封止フィルムの作製
封止フィルムに使用する感光性樹脂組成物を調製した。具体的に、カルボキシル基を含有するアルカリ現像性樹脂として、酸変性したクレゾールノボラック型エポキシアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名「CCR−1219H」)を82質量部、光開始剤成分として、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF株式会社製、商品名「ダロキュアTPO」)を3.0質量部、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(BASF株式会社製、商品名「イルガキュアOXE−02」)を0.1質量部、熱硬化剤成分として、ビフェノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名「YX−4000」)とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を2:1の割合で合計24質量部用いた。
無機フィラー成分としては、平均粒径が500nm、シランカップリング処理したシリカフィラーを用いた。なお、無機フィラー成分は、樹脂分に対し、40重量%になるように配合した。分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA−EX150」(日機装株式会社製)、及びレーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT−3100」(日機装株式会社製)を用いて測定し、最大粒径が5μm以下となっていることを確認した。
【0060】
得られた感光性樹脂組成物を支持体である16μm厚のPETフィルム(帝人株式会社製、商品名「G2−16」)上に均一に塗布することにより感光性樹脂組成物層を形成し、熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚を、実施例1では100μm、実施例2では120μm、実施例3では140μmとした。
なお、下記の条件で硬化させた感光性樹脂組成物について、コア基材と同様に測定した平均熱膨張係数は80×10
−6/℃であり、室温弾性率は3.2MPaであった。
・硬化条件
紫外線照射装置(株式会社オーク製作所製)を使用して1.5J/cm
2のエネルギー量で紫外線照射し、クリーンオーブンで175℃、2時間で熱硬化した。
【0061】
続いて、感光性樹脂層の支持体と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製、商品名「NF−15」)を保護フィルムとして貼り合わせ、感光性樹脂組成物からなる封止フィルムを得た。
【0062】
(b)封止部の形成
上記(a)で作製した封止フィルムを用いて、半導体素子を封止した(
図5参照)。具体的に、保護フィルムを剥離した封止フィルムを、固定部材上及び半導体素子上に載せ、プレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名「MVLP−500」)を用いて積層することにより封止した。プレス条件は、プレス熱板温度80℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間30秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.5MPaとした。
【0063】
(4)工程(IIa):開口部の形成
形成した封止部上の支持体(PETフィルム)に、パターンを形成したフォトツールを密着させ、露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM‐1201」)を使用して、500mJ/cm
2のエネルギー量で露光を行った。次いで、常温で1時間静置した後、PETフィルムを剥離し、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液で、180秒の時間でスプレー現像を行い、封止部に開口部を設けた(
図6参照)。続いて、紫外線照射装置(株式会社オーク製作所製)を使用して1.5J/cm
2のエネルギー量で紫外線照射し、クリーンオーブンで175℃、2時間で熱硬化した。
【0064】
(5)工程(IIb):開口部に金属めっき部を形成
上記工程(IIa)で形成した封止部の開口部に、電解銅めっき法により金属材料(銅)を充填した(
図7参照)。
【0065】
(6)工程(III):極薄金属箔の裏面を露出
封止面を真空吸着してコア基材及び銅箔を同時に機械剥離してピーラブル銅箔の裏面を露出させた(
図8参照)。
【0066】
(7)工程(IV):極薄金属箔を用いた配線パターンの形成
(a)エッチング用ドライフィルムレジストの形成
感光性樹脂組成物であるドライフィルムレジスト(日立化成株式会社製、商品名「Photec H−7025」)を用いて、ロールラミネーターにより、極薄金属箔上にラミネートした。次いで、パターンを形成したフォトツールを密着させ、露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM‐1201」)を使用して、50mJ/cm
2のエネルギー量で露光を行った。次いで、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、90秒間スプレー現像を行い、ドライフィルムレジストを開口させてパターン硬化膜を形成した(
図9参照)。
【0067】
(b)配線パターンの形成
塩化第二鉄(30重量%)の水溶液を用いて、スプレー方式により極薄金属箔をエッチングし、配線パターンを形成した(
図10参照)。
次いで、剥離液によってドライフィルムレジストを除去した(
図11参照)。
【0068】
(8)工程(V):再配線絶縁層の形成
極薄金属箔から形成した配線パターン上に再配線絶縁層を形成した(
図12参照)。具体的に、スピンコータで感光性再配線材料(日立化成株式会社 製、商品名「AH−1170T」)を塗布し、露光、現像処理を行った。次いで、所定温度200℃で窒素雰囲気(酸素濃度50ppm以下)下、1時間熱硬化した。
【0069】
次いで、スパッタ法により、Tiを100nm蒸着し、さらに連続してCuを300nm蒸着し、シード層を形成した。
次いで、ドライフィルムレジスト(日立化成株式会社製、商品名「Photec RY−3525」)をロールラミネーターで貼着し、パターンを形成したフォトツールを密着させ、露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM‐1201」)を使用して、100mJ/cm
2のエネルギー量で露光を行った。次いで、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液で、90秒間スプレー現像を行い、ドライフィルムレジストを開口させた。
次いで、電解銅めっき法により、シード層上に、厚さ5μmの銅めっきを形成した。次いで、剥離液により、ドライフィルムレジストを剥離した。次いでシード層をエッチング液より除去した。
次いで、スピンコータで再度、感光性再配線材料(日立化成株式会社製、商品名「AH−1170T」)を塗布し、露光、現像処理を行った。次いで、所定温度200℃で窒素雰囲気(酸素濃度50ppm以下)下、1時間の熱硬化を行った(図示省略)。以上により、極薄金属箔から形成した配線パターン上にシード層(Ti/Cu)及び銅めっき層をこの順に形成した。
【0070】
リフロー装置を用いて、窒素雰囲気(酸素濃度100ppm以下)ではんだボールを搭載し、最後に、ダイシングすることによって、パッケージサイズが14mm×14mmの半導体装置を得た(
図13参照)。
【0071】
極薄金属箔(極薄銅箔)をエッチングした後の配線パターン形成性について、以下の基準に基づいて評価した。
◎:配線パターン幅/配線パターン間のスペース幅が10μm/10μm以下のもの。
○:配線パターン幅/配線パターン間のスペース幅が10μm/10μmより広く15μm/15μm以下のもの。
△:配線パターン幅/配線パターン間のスペース幅が15μm/15μmより広く20μm/20μm以下のもの。
【0072】
封止部の開口性について、以下の基準に基づいて評価した。
◎:開口部の開口径が80μm以下のもの。
○:開口部の開口径が80μmより大きく100μm以下のもの。
△:開口部の開口径が100μmより大きく140μm以下のもの。
【0073】
半導体素子の実装性については以下の基準に基づいて評価した。
○:はんだが極薄銅箔に濡れ広がり接続できたもの。
×:はんだが極薄銅箔に濡れ広がらず接続できなかったもの。
【0074】
表1に実施例1〜3で作製した半導体装置の仕様を示す。また、表2に評価結果を示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】