特許第6512103号(P6512103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6512103新規なジアミン、ポリアミック酸、及びポリイミド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6512103
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】新規なジアミン、ポリアミック酸、及びポリイミド
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20190425BHJP
   C07C 271/20 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   C08G73/10
   C07C271/20CSP
【請求項の数】9
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2015-543891(P2015-543891)
(86)(22)【出願日】2014年10月22日
(86)【国際出願番号】JP2014078138
(87)【国際公開番号】WO2015060359
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2017年10月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-220592(P2013-220592)
(32)【優先日】2013年10月23日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-273459(P2013-273459)
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-186809(P2014-186809)
(32)【優先日】2014年9月12日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(72)【発明者】
【氏名】長尾 将人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 光正
(72)【発明者】
【氏名】永井 健太郎
【審査官】 佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−076009(JP,A)
【文献】 特開2012−193167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00−73/26
C07C 271/00−271/68
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるジアミン。
【化1】
(X及びXはそれぞれ独立して、単結合、−CH−又は−CHCH−であり、X及びXはそれぞれ独立して、−CH−又は−CHCH−であり、Xは、炭素数1〜6のアルキレン又はシクロヘキシレンであり、Y及びYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−NH−、−N(CH)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)N(CH)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−又は−N(CH)C(=O)−であり、但し、Y及びYのいずれかは−O−であり、Rは、炭素数1〜20の直鎖、分岐若しくは環状の炭化水素基であり、aは0又は1である。)
【請求項2】
式(1)において、X及びXがそれぞれ独立して、単結合、又は−CH−である請求項1に記載のジアミン。
【請求項3】
式(1)において、X及びXがそれぞれ独立して、−CH−である請求項1又は2に記載のジアミン。
【請求項4】
式(1)において、aが0である請求項1〜のいずれかに記載のジアミン。
【請求項5】
式(1)において、Rがt‐ブチル基又は9−フルオレニルメチル基である請求項1〜のいずれかに記載のジアミン。
【請求項6】
式(1)のジアミンが、下記式(1−6)、式(1−21)、又は式(1−26)である請求項1に記載のジアミン。
【化2】
(式中、Bocはtert−ブトキシカルボニル基を表す。)
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載のジアミンを含むジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体とを縮重合反応させて得られるポリイミド前駆体。
【請求項8】
前記ジアミン成分が、請求項1〜のいずれかに記載のジアミンを20〜100モル%含む請求項7に記載のポリイミド前駆体。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主鎖に脂肪族2級アミノ基を有するポリイミドの原料となる新規なジアミン、それを使用したポリアミック酸、及びポリイミドに関する。
【背景技術】
【0002】
ジアミンをモノマーとして製造されるポリマーには、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどの縮重合系ポリマーが知られている。これらの縮重合系ポリマーは、種々の電子材料として使用されており、例えば、液晶配向膜、光学フィルム、半導体用接着フィルム、半導体層間絶縁膜など、その用途は多岐にわたっている。
【0003】
このような縮重合系ポリマーにおいて、主鎖中、若しくは側鎖中にアミノ基を導入した機能性ポリマーから、優れた液晶配向膜を得ることが知られている。この液晶配向膜を用いた場合には、膜の表面を、レーヨンなどを素材とする布によって圧力をかけて擦る、いわゆるラビング処理の際に問題となる膜表面の傷や膜の剥離を抑制でき、さらには、電圧保持率が高く、イオン密度が小さく、信頼性にも優れた液晶表示素子を作製することができる(特許文献1参照)。
また、かかる液晶配向膜の場合、光配向方式の液晶表示素子の残像を低減できることも知られている(特許文献2参照)。
【0004】
一方、液晶配向膜を構成する機能性ポリマーの骨格中に塩基性の高いNH基が存在すると、ポリマー溶液中での溶解性が低下し、ゲル化や保存安定性の低下がおこることが知られている。NH基に熱脱離性の保護基を置換することで、その様な問題点を改善できることが知られている(特許文献1及び特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/050523号パンフレット
【特許文献2】日本特開2011−076009
【特許文献3】日本特開2012−193167
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、主鎖に脂肪族2級アミノ基を有するポリイミドの原料となる新規なジアミンであり、2個のアミノベンゼン環のp‐位同士が、脂肪族2級アミンに熱脱離性保護基が置換した部位を有する基によって連結している構造を有するジアミン、それを使用したポリアミック酸、及びポリイミドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
1.下記式(1)で表されるジアミン。
【化1】
(X及びXは、それぞれ独立して、単結合、−CH−、又は−CHCH−であり、X及びXは、それぞれ独立して、−CH−、又は−CHCH−であり、Xは、炭素数1〜6のアルキレン、又はシクロヘキシレンであり、Y及びYは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−NH−、 −N(CH)−、 −C(=O)−、−C(=O)O−、 −C(=O)NH−、 −C(=O)N(CH)−、 −OC(=O)−、 −NHC(=O)−、 又は−N(CH)C(=O)−であり、Rは、炭素数1〜20の直鎖、分岐、若しくは環状の1価の炭化水素基であり、aは0又は1である。)
【0008】
2.式(1)において、X及びXがそれぞれ独立して、単結合、又は−CH−である上記1に記載のジアミン。
3.式(1)において、X及びXがそれぞれ独立して、−CH−である上記1また2に記載のジアミン。
4.式(1)において、Y及びYがそれぞれ独立して、単結合又は−O−である上記1〜3のいずれかに記載のジアミン。
5.式(1)において、Y及びYが同一である上記1〜4のいずれかに記載のジアミン。
6.式(1)において、aが0である上記1〜5のいずれかに記載のジアミン。
7.式(1)において、Rがt‐ブチル基又は9−フルオレニルメチル基である上記1〜6のいずれかに記載のジアミン。
8.式(1)において、Y及びYが単結合である上記1〜7のいずれかに記載のジアミン。
【0009】
9.式(1)のジアミンが、式(2)、式(1−1)、式(1−6)、式(1−21)、式(1−26)、式(1−33)、式(1−34)、式(1−35)、式(1−36)、又は式(1−38)である上記1に記載のジアミン。
【化2】
(式中、Bocはtert−ブトキシカルボニル基を表す。)
10.上記1〜9のいずれかに記載のジアミンを含むジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体とを縮重合反応させて得られるポリイミド前駆体。
11.上記ジアミン成分が、上記1〜9のいずれかに記載のジアミンを20〜100モル%含む上記6に記載のポリイミド前駆体。
12.上記10又は11に記載のポリイミド前駆体をイミド化して得られるポリイミド。
【発明の効果】
【0010】
本発明のジアミンをテトラカルボン酸二無水物と縮重合させた場合、熱脱離性基を有しており、加熱することで主鎖中に脂肪族2級アミノ基を有するポリイミドを得ることが可能となる。また、本発明のジアミンは、テトラカルボン酸とゲル化することなく重合し、得られるポリマーは、保存中もゲル化せず、安定性が良好である。
【0011】
すなわち、本発明のジアミンは、主鎖中のN原子上に熱脱離性の保護基を置換しており、テトラカルボン酸無水物と縮重合させた場合、生成するカルボキシル基との塩形成を抑制できるため、重合中も、保存中もゲル化しない。また、ポリアミック酸エステルを合成する際に、テトラカルボン酸ジエステル、又はテトラカルボン酸ジエステルジクロリドと反応させる場合、主鎖中のアミンとの副反応を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[特定ジアミン]
本発明のジアミン(以下、特定ジアミンともいう。)は、下記式(1)で表される。
【化3】
【0013】
式(1)中、X及びXはそれぞれ独立して、単結合、−CH−、又は−CHCH−である。中でも、液晶配向膜の配向性の観点から、単結合、又は−CH−が好ましい。
式(1)中、X及びXはそれぞれ独立して、−CH−、又は−CHCH−である。中でも、液晶配向膜の配向性の点から、−CH−が好ましい。
式(1)においては、XとXが同一である場合は、XとXが異なることが好ましく、XとXが異なる場合は、XとXが同一であることが好ましい。
【0014】
式(1)中、Xは炭素数1〜6のアルキレン、又はシクロヘキシレンである。
式(1)中、Y及びYはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−NH−、 −N(CH)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)N(CH)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−、又は−N(CH)C(=O)−である。中でも、ポリアミック酸を合成する際のポリマーの溶解性の観点から、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)N(CH)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−、又は−N(CH)C(=O)−が好ましい。液晶配向膜の配向性の観点を加味すると、単結合、又は−O−がより好ましい。
式(1)においては、YとYが左右対称となることが好ましく、特に単結合であることが好ましい。
式(1)中、Y及びYが−NH−基の場合、テトラカルボン酸二無水物との重合の際に重合液がゲル化する可能性があるが、その際は、−NH−基に熱脱離性保護基を置換して使用することが好ましい。
【0015】
式(1)中、Rは、炭素数1〜20の直鎖、分岐、又は、環状の1価の炭化水素基である。原料の入手性の観点から、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、i‐ブチル基、t‐ブチル基、ベンジル基、n‐ヘキサデシル基又は9‐フルオレニルメチル基である。これらの置換基は、通常の有機合成的手法で形成させることが出来るが、合成の容易性の観点から、メチル基、エチル基、i‐プロピル基、t‐ブチル基、ベンジル基、又は9‐フルオレニルメチル基が好ましく、t‐ブチル基又は9−フルオレニルメチル基がより好ましく、ポリマーにした際の溶解性、及び熱脱離性も加味すると、t‐ブチル基が特に好ましい。
【0016】
式(1)中、aは0又は1である。合成の容易性の観点から、aは0が好ましい。
下記に式(1)における具体例として、式(1−1)〜(1−44)、及び、式(2)を挙げる。
【0017】
【化4】
【化5】
【化6】
式(1−1)〜(1−44)、及び、式(2)において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、i‐Prはi‐プロピル基を表し、Bnはベンジル基を表し、Bocはtert−ブトキシカルボニル基を表す。
これらの中でも、熱脱離基がt-ブチルオキシカルボニル基又は9−フルオレニルメチル基である式(1−1)〜(1−26)、式(2)、式(1−32)、式(1−38)及び式(1−44)から選ばれる式で表される化合物が好ましく、熱脱離基がt-ブチルオキシカルボニル基である式(1−1)〜(1−26)及び式(2)から選ばれる式で表される化合物が好ましい。
【0018】
[特定ジアミンの合成方法]
本発明の特定ジアミンを合成する方法は特に限定されない。例えば、下記式(3)で表されるジニトロ化合物を合成し、さらにニトロ基を溶媒中で還元してアミノ基に変換する方法が挙げられる。
【0019】
【化7】
(式(3)中、X、X、X、X、X、Y、Y、R、及びaは、上記式(1)のそれぞれの定義と同じである。)
【0020】
ニトロ基を還元する方法には、特に制限はない。例えば、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金−炭素、ロジウム−アルミナ、硫化白金炭素、還元鉄、塩化鉄、スズ、塩化スズ、亜鉛などを触媒として用い、水素ガス、ヒドラジン、塩化水素、塩化アンモニウムなどによって行う方法がある。
溶媒としては、反応に影響を及ぼさない溶媒を用いることができる。例えば、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒、水などが挙げられる。これらの溶媒は、単独、又は2種類以上混合して使用することができる。
【0021】
反応温度は、原料や生成物が分解することなく、用いる溶媒の沸点以下であれは、反応が効率よく進行する温度で行なうことができる。具体的には、−78℃から溶媒の沸点以下の温度が好ましく、0℃から溶媒の沸点以下の温度が、合成の簡便性の観点から、より好ましい。
式(3)中のNC(=O)OR基の安定性を考慮すると、中性条件での反応が好ましく、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム−アルミナ、又は硫化白金炭素を触媒として用い、水素ガスによって行うことが好ましい。
【0022】
また、式(3)中のXが−CH−であって、且つ、Yが−O−、−NH−、−N(CH)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−、若しくは−N(CH)C(=O)−である場合、Xが−CH−であって、且つ、Yが−O−、−NH−、−N(CH)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−、若しくは−N(CH)C(=O)−である場合、X及びYが単結合であって、且つ、Xが−CH−である場合、並びにX及びYが単結合であって、且つ、Xが−CH−である場合は、式(3)中のベンジル基が切断されない還元方法を用いることができる。
ベンジル基が切断されない限り、その還元方法に制限はない。例えば、白金黒、ロジウム−アルミナ、硫化白金炭素、還元鉄、塩化鉄、スズ、塩化スズ、亜鉛などを触媒として用い、水素ガス、ヒドラジン、塩化水素、塩化アンモニウムなどによって行う方法がある。
【0023】
また、式(3)の化合物を合成する方法として、例えば、下記式(4)で表されるジニトロ体を合成し、さらにNH基上のHを保護基に置換し、ニトロ基を溶媒中で還元してアミノ基に変換する方法が挙げられる。
【化8】
(式(4)中、X、X、X、X、X、Y、Y、及びaは、上記式(1)のそれぞれの定義と同じである。)
【0024】
NH基上のHを保護基に置換する方法には、特に制限はない。例えば、下記式(5)で表されるクロロギ酸アルキル、又は下記式(6)で表される二炭酸ジアルキルを、中性条件下、又はアルカリ条件下、溶媒中で反応させる方法が挙げられる。
【0025】
【化9】
(式(5)中、Rは、上記式(1)中のRの定義と同じである。)
【0026】
【化10】
(式(6)中、Rは、上記式(1)中のRの定義と同じである。)
溶媒及び反応温度は、上記に準ずるが、アルコール溶媒及び水は、原料と反応する可能性があるため、好ましくない。
クロロギ酸アルキルとしては、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸n‐プロピル、クロロギ酸i‐プロピル、クロロギ酸n‐ブチル、クロロギ酸i‐ブチル、クロロギ酸t‐ブチル、クロロギ酸ベンジル、クロロギ酸n‐ヘキサデシル、又はクロロギ酸−9‐フルオレニルメチルが挙げられ、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸i−プロピル、クロロギ酸ベンジル、クロロギ酸−9−フルオレニルメチル等が好ましい。
二炭酸ジアルキルとしては、二炭酸ジメチル、二炭酸ジエチル、二炭酸ジt−ブチル、二炭酸ジベンジルなどが挙げられ、二炭酸ジエチル又は二炭酸ジt−ブチルが好ましい。
【0027】
式(4)で表される化合物を合成する方法には、特に制限はないが、Y及びYが同一である場合には、例えば、以下の方法が挙げられる。
例えば、式(4)中のY及びYが単結合であり、且つ、aが1の場合には、下記式(7)で表されるジアミンと、対応する4−ニトロフェニル基置換アルデヒドとを、反応溶媒中で反応させた後、形成されるイミン結合を水素化する方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずるが、水は生成物を加水分解する可能性があるため好ましくない。
上記の合成方法において、式(4)のX及びXが同一であり、且つ、X及びXが同一である場合は、式(7)で表されるアミン1分子に対して、2分子の4−ニトロフェニル基置換アルデヒドを反応させた後、形成するイミンを水素化して合成する方法が挙げられる。
【0028】
一方、X及びXが異なる場合、又はX及びXが異なる場合は、式(7)で表されるアミン1分子に対して、1分子の4−ニトロフェニル基置換アルデヒドを反応させた後、もう1分子の4−ニトロフェニル基置換アルデヒドを反応させ、さらに、形成するイミンを水素化して合成する方法が挙げられる。
【0029】
【化11】
(式(7)中、Xは、上記式(1)のXの定義と同じである。)
式(7)で表される化合物の具体例としては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、trans−1,4−シクロヘキサンジアミンなどが挙げられ、エチレンジアミンが好ましい。
4−ニトロフェニル基置換アルデヒドとしては、4−ニトロベンズアルデヒド、4−ニトロフェニルアセトアルデヒド、3−(4−ニトロフェニル)プロパナール、4−(4−ニトロフェニル)ブタナールなどが挙げられ、4−ニトロベンズアルデヒドが好ましい。
【0030】
式(4)のY及びYが単結合であり、且つ、aが1の場合、式(4)で表される化合物を合成する別の方法としては、式(7)で表されるアミンと、対応する4−ニトロフェニルアルキルハロゲン化物、又はスルホン酸−4−ニトロフェニルアルキルエステルとをアルカリ存在下、反応溶媒で反応させる方法が挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【0031】
4−ニトロフェニルアルキルハロゲン化物としては、4−ニトロベンジルクロリド、4−ニトロフェネチルクロリド、3−(4−ニトロフェニル)−1−クロロプロパン、4−(4−ニトロフェニル)−1−クロロブタン、4−ニトロベンジルブロミド、4−ニトロフェネチルブロミド、3−(4−ニトロフェニル)−1−ブロモプロパン、4−(4−ニトロフェニル)−1−ブロモブタン、4−ニトロベンジルヨージド、4−ニトロフェネチルヨージド、3−(4−ニトロフェニル)−1−ヨードプロパン、4−(4−ニトロフェニル)−1−ヨードブタンなどが挙げられる。
【0032】
スルホン酸−4−ニトロフェニルアルキルエステルは、対応する4−ニトロフェニルアルコールとスルホニルクロリドとをアルカリ存在下、反応媒中で反応させて合成する方法などによって、入手することができる。反応溶媒及び反応温度は、上記に記載に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
4−ニトロフェニルアルコールとしては、4−ニトロベンジルアルコール、4−ニトロフェネチルアルコール、3−(4−ニトロフェニル)−1−プロパノール、4−(4−ニトロフェニル)−1−ブタノールなどが挙げられる。
スルホニルクロリドとしては、メタンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、トルエンスルホニルクロリドなどが挙げられる。
【0033】
式(4)のY及びYが単結合であり、且つ、aが0の場合、式(4)で表される化合物を合成する方法としては、対応する4−ニトロフェニルアルキルアミンと4−ニトロフェニル基置換アルデヒドとを、反応溶媒中で反応させ、形成するイミンを水素化して合成する方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずるが、水は、生成物を加水分解する可能性があるため、好ましくない。
4−ニトロフェニルアルキルアミンとしては、4−ニトロベンジルアミン、4−ニトロフェネチルアミン、3−(4−ニトロフェニル)−1−プロピルアミン、4−(4−ニトロフェニル)−1−ブチルアミンが挙げられる。
【0034】
式(4)のY及びYが単結合であり、且つ、aが0の場合、式(4)で表される化合物を合成する別の方法としては、対応する4−ニトロフェニルアルキルアミンと、4−ニトロフェニルアルキルハロゲン化物とをアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【0035】
さらに、式(3)で表される化合物を合成する別の方法として、Y及びYが単結合であり、aが1の場合は、式(7)で表されるジアミンと、式(5)で表されるクロロギ酸アルキル、若しくは式(6)で表される二炭酸ジアルキルとを、中性条件下、又はアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させ、NH基上のHを−C(=O)OR基で置換した後、対応する4−ニトロフェニルアルキルハロゲン化物、若しくはスルホン酸−4−ニトロフェニルアルキルエステルとをアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
上記の合成方法において、式(3)のX及びXが同一であり、且つ、X及びXが同一である場合は、式(7)で表される1分子のジアミンと、2分子の4−ニトロフェニルアルキルハロゲン化物、又はスルホン酸−4−ニトロフェニルアルキルエステルとを一度に反応させる方法が挙げられる。
【0036】
一方、式(3)のX及びXが異なる場合、又はX及びXが異なる場合は、式(7)で表される1分子のジアミンと、1分子の4−ニトロフェニルアルキルハロゲン化物、若しくはスルホン酸−4−ニトロフェニルアルキルエステルとを反応させた後、もう1分子の4−ニトロフェニルアルキルハロゲン化物、若しくはスルホン酸−4−ニトロフェニルアルキルエステルとを反応させる方法が挙げられる。
【0037】
式(3)のY及びYは、単結合でない場合には、−O−、−NH−、−N(CH)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)N(CH)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−、及び−N(CH)C(=O)−からなる群より選ばれる結合基であり、これらの結合基は通常の有機合成化学的手法で形成させることができる。
例えば、式(3)のY及びYが−O−の場合は、対応する4−ニトロフェニル基置換ハロゲン化物、若しくは4−ニトロフェニル基置換スルホン酸エステルと、下記式(8)で表されるアルコールとをアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法、又は、対応するヒドロキシ基置換4−ニトロベンゼン誘導体と、式(9)で表されるハロゲン化物、若しくは、スルホン酸エステルとをアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法が挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
4−ニトロフェニル基置換ハロゲン化物としては、4−ニトロフルオロベンゼン、4−ニトロクロロベンゼン、4−ニトロベンジルクロリド、4−ニトロフェネチルクロリド、4−ニトロベンジルブロミド、4−ニトロフェネチルブロミド、4−ニトロベンジルヨージド、4−ニトロフェネチルヨージドなどが挙げられる。
ヒドロキシ基置換4−ニトロベンゼン誘導体としては、4−ニトロフェノール、4−ニトロベンジルアルコール、4−ニトロフェネチルアルコールなどが挙げられる。
4−ニトロフェニル基置換スルホン酸エステルとしては、メタンスルホン酸4−ニトロフェニルエステル、メタンスルホン酸4−ニトロベンジルエステル、メタンスルホン酸4−ニトロフェネチルエステル、トルエンスルホン酸4−ニトロフェニルエステル、トルエンスルホン酸4−ニトロベンジルエステル、トルエンスルホン酸4−ニトロフェネチルエステルなどが挙げられる。
【0038】
上記の合成方法において、式(3)のX及びXが同一である場合は、式(3)で表される化合物を合成する方法として、2分子の4−ニトロフェニル基置換ハロゲン化物、又は4−ニトロフェニル基置換スルホン酸エステルとを一度に反応させる方法が挙げられる。
一方、式(3)のX及びXが異なる場合は、式(3)で表される化合物を合成する方法として、1分子の4−ニトロフェニル基置換ハロゲン化物、又は4−ニトロフェニル基置換スルホン酸エステルとを反応させた後、もう1分子の4−ニトロフェニル基置換ハロゲン化物、又は4−ニトロフェニル基置換スルホン酸エステルとを反応させる方法が挙げられる。
【0039】
【化12】
(式(8)中、X、X、X、R、及びaは、上記式(1)のそれぞれの定義と同じである。)
【0040】
【化13】
(式(9)中、X、X、X、R、及びaは、上記式(1)のそれぞれの定義と同じである。Lはハロゲン、アルカンスルホニルオキシ基、又はアレーンスルホニルオキシ基である。)
式(8)で表される化合物を合成する方法は、特に制限はない。例えば、対応するジヒドロキシアルキルアミンに対して、式(5)で表されるクロロギ酸アルキル、若しくは、式(6)で表されるニ炭酸ジアルキルを、中性条件下又はアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法が挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【0041】
ジヒドロキシアルキルアミンとしては、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、2−ヒドロキシメチルアミノエタノール、N,N’−ビスヒドロキシメチルエチレンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシメチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシエチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシエチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ビスヒドロキシエチル−trans−1,4−シクロヘキサンジアミンなどが挙げられる。
【0042】
また、ジヒドロキシアルキルアミンは、対応するアミン、又はモノヒドロキシルアルキルアミンをヒドロキシアルキル化することで合成することもできる。ヒドロキシメチル化の方法には、特に制限はないが、例えば、アミン、又はモノヒドロキシルアルキルアミンと、パラホルムアルデヒド、又はホルマリンとを反応させることで、ヒドロキシメチル化を行う方法などが挙げられる。ヒドロキシエチル化の方法には、特に制限はないが、例えば、アミン、若しくはモノヒドロキシルアルキルアミンと2−ハロエタノールとを塩基性条件化で反応させる方法や、アミン、若しくはモノヒドロキシルアルキルアミンとエチレンオキサイドとを反応させる方法、又はアミン、若しくはモノヒドロキシルアルキルアミンとα−ハロ酢酸エステルとを反応させた後、エステル基を還元する方法が挙げられる。これらの反応における反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、エステル基を還元する際には、エステル系溶媒、ケトン系溶媒など、還元性の官能基を持つ溶媒は、反応に影響しなければ用いることができる。
【0043】
アミンとしては、アンモニア、又は式(7)で表される化合物が挙げられる。
モノヒドロキシルアルキルアミンとしては、アミノメタノール、2−アミノエタノール、N−ヒドロキシメチルエチレンジアミン、N−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジアミン、N−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−プロパンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,4−ブタンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,5−ペンタンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
【0044】
2−ハロエタノールとしては、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノールなどが挙げられる。
α−ハロ酢酸エステルとしては、クロロ酢酸メチル、クロロ酢酸エチル、ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸エチル、ブロモ酢酸t−ブチルなどが挙げられる。
エステル基を還元する方法としては、例えば、水素化リチウムアルミニウムを用いる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、エステル系溶媒や、ケトン系溶媒など、還元性の官能基を持つ溶媒や、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【0045】
式(9)で表される化合物を合成する方法には、特に制限は無い。例えば、式(8)で表される化合物のヒドロキシル基をハロゲン、又はスルホン酸エステルへ変換する方法が挙げられる。
式(8)中のヒドロキシル基をクロロ基へ変換する方法としては、式(8)で表される化合物に、塩化チオニルを反応させる方法、塩化ホスホリルを反応させる方法、又は、トリフェニルホスフィン存在下で四塩化炭素と反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【0046】
式(8)中のヒドロキシル基をブロモ基へ変換する方法としては、式(8)で表される化合物に、臭化水素を反応させる方法、三臭化リンを反応させる方法、トリフェニルホスフィン存在下で四臭化炭素を反応させる方法、又は、トリフェニルホスフィン存在下でN−ブロモコハクイミドを反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
式(8)中のヒドロキシル基をヨード基へ変換する方法としては、式(8)で表される化合物に、トリフェニルホスフィン存在下でヨウ素を反応させる方法などが挙げられる。また、式(9)のLがクロロ基、ブロモ基、アルカンスルホニルオキシ基、又はアレーンスルホニルオキシ基である化合物に対して、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、又はヨウ化テトラブチルアンモニウムなどを反応させることで合成することができる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【0047】
式(8)中のヒドロキシル基をスルホン酸エステルへ変換する方法としては、式(8)で表される化合物と、スルホニルクロリドとをアルカリ存在下で反応させる方法が挙げられる。
【0048】
式(3)のY及びYが−NH−、又は−N(CH)−の場合は、対応するアミノ基置換4−ニトロベンゼン誘導体と、式(9)で表されるハロゲン化物、又はスルホン酸エステルとをアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
上記の合成方法において、式(3)のX及びXが同一である場合、式(3)で表される化合物を合成する方法として、2分子のアミノ基置換4−ニトロベンゼン誘導体とを一度に反応させる方法が挙げられる。
【0049】
一方、式(3)のX及びXが異なる場合、式(3)で表される化合物を合成する方法として、式(9)で表されるハロゲン化物、又はスルホン酸エステルの1分子あたり、1分子のアミノ基置換4−ニトロベンゼン誘導体を反応させた後、もう1分子のアミノ基置換4−ニトロベンゼン誘導体を反応させる方法が挙げられる。
アミノ基置換4−ニトロベンゼン誘導体としては、4−ニトロアニリン、N−メチル−4−ニトロアニリン、4−ニトロベンジルアミン、N−メチル−4−ニトロベンジルアミン、4−ニトロフェネチルアミン、N−メチル−4−ニトロフェネチルアミン等が挙げられる。
【0050】
式(3)のY及びYが−C(=O)−の場合は、対応するハロアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体、アルカンスルホニルアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体、又はアレーンスルホニルアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体と、式(8)で表されるN原子上に保護基が置換したアミン化合物とを、アルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
上記の合成方法において、式(3)のX及びXが同一である場合、式(3)で表される化合物を合成する方法として、式(8)で表されるN原子上に保護基が置換したアミン化合物の1分子あたり、2分子のハロアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体、アルカンスルホニルアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体、又はアレーンスルホニルアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体を一度に反応させる方法が挙げられる。
【0051】
一方、式(3)のX及びXが異なる場合、式(3)で表される化合物を合成する方法として、式(8)で表されるN原子上に保護基が置換したアミン化合物の1分子あたり、1分子のハロアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体、アルカンスルホニルアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体、又はアレーンスルホニルアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体を反応させた後、もう1分子のハロアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体、アルカンスルホニルアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体、又はアレーンスルホニルアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体を反応させる方法が挙げられる。
ハロアルキルカルボニル基置換4−ニトロベンゼン誘導体としては、4−ニトロフェニルクロロメチルケトン、4−ニトロフェニルブロモメチルケトン、4−ニトロフェニルヨードメチルケトン、3−クロロ−1−(4−ニトロフェニル)−1−プロパノン、3−ブロモ−1−(4−ニトロフェニル)−1−プロパノン、1−クロロ−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロパノン、1−ブロモ−3−(4−ニトロフェニル)−2−プロパノンなどが挙げられる。
【0052】
式(3)のYが−C(=O)O−であって、Yが−OC(=O)−の場合は、対応する4−ニトロフェニル基置換酸ハロゲン化物と、式(8)で表されるアルコールとを、中性条件下、若しくはアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法、又は、対応する4−ニトロフェニル基置換カルボン酸と、式(8)で表されるアルコールとを脱水縮合剤存在下、反応溶媒中で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
上記の合成方法において、式(3)のX及びXが同一である場合、式(3)で表される化合物を合成する方法として、2分子の4−ニトロフェニル基置換酸ハロゲン化物とを一度に反応させる方法が挙げられる。
【0053】
一方、式(3)のX及びXが異なる場合、式(3)で表される化合物を合成する方法として、式(8)で表されるアルコールの1分子あたり、1分子の4−ニトロフェニル基置換酸ハロゲン化物、又は、対応する4−ニトロフェニル基置換カルボン酸を反応させた後、もう1分子の4−ニトロフェニル基置換酸ハロゲン化物、又は、対応する4−ニトロフェニル基置換カルボン酸を反応させる方法が挙げられる。
4−ニトロフェニル基置換酸ハロゲン化物としては、4−ニトロ安息香酸クロリド、4−ニトロフェニル酢酸クロリド、4−ニトロフェニルプロピオン酸クロリドなどが挙げられる。
4−ニトロフェニル基置換カルボン酸としては、4−ニトロ安息香酸、4−ニトロフェニル酢酸、4−ニトロフェニルプロピオン酸などが挙げられる。
【0054】
脱水縮合剤としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジイソプロピルカルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾール、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリニジル)ホスフィン酸塩化物、ジ−2−ピリジル炭酸塩、トリフェニルホスファイト、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。
【0055】
式(3)のYが−C(=O)NH−又は−C(=O)N(NH)−であって、Yが−NHC(=O)又は−NH(CH)C(=O)の場合は、対応する4−ニトロフェニル基置換アミドと、式(9)で表されるハロゲン化物、又は、スルホン酸エステルとをアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
上記の合成方法において、式(3)のX及びXが同一である場合は、式(3)で表される化合物を合成する方法として、式(9)で表されるハロゲン化物、又はスルホン酸エステルの1分子あたり、2分子の4−ニトロフェニル基置換アミドを一度に反応させる方法が挙げられる。
【0056】
一方、式(3)のX及びXが異なる場合、式(3)で表される化合物を合成する方法として、式(9)で表されるハロゲン化物、又はスルホン酸エステルの1分子あたり、1分子の4−ニトロフェニル基置換アミドを反応させた後、もう1分子の4−ニトロフェニル基置換アミドを反応させる方法が挙げられる。
4−ニトロフェニル基置換アミドとしては、4−ニトロベンズアミド、N−メチル−4−ニトロベンズアミド、4−ニトロフェニルアセチルアミド、N−メチル−4−ニトロフェニルアセチルアミド、4−ニトロフェニルプロピオンアミドなどが挙げられる。
また、前記の4−ニトロフェニル基置換酸ハロゲン化物と、アンモニア、又はメチルアミンとを、反応溶媒中で反応させて合成して得ることもできる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【0057】
式(3)のYが−OC(=O)−であって、Yが−C(=O)Oの場合は、対応するヒドロキシ基置換4−ニトロベンゼン誘導体と、下記式(10)で表される化合物とを、脱水縮合剤存在下で反応させる方法、下記式(11)で表される化合物とを中性条件下、又はアルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
上記の合成方法において、式(3)のX及びXが同一である場合は、式(3)で表される化合物を合成する方法として、2分子のヒドロキシ基置換4−ニトロベンゼン誘導体とを一度に反応させる方法が挙げられる。
【0058】
一方、式(3)のX及びXが異なる場合に、式(3)で表される化合物を合成する方法として、下記式(10)で表される化合物、又は、下記式(11)で表される化合物の1分子あたり、1分子のヒドロキシ基置換4−ニトロベンゼン誘導体を反応させた後、もう1分子のヒドロキシ基置換4−ニトロベンゼン誘導体を反応させる方法が挙げられる。
式(3)のYが−OC(=O)−であって、Yが−C(=O)O−の場合、式(3)で表される化合物を合成する別の方法としては、4−ニトロフェニル基置換ハロゲン化物、又は4−ニトロフェニル基置換スルホン酸エステルと、式(10)で表される化合物とを、アルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
上記の合成方法において、式(3)のX及びXが同一である場合は、式(3)で表される化合物を合成する方法として、2分子の4−ニトロフェニル基置換ハロゲン化物、又は、4−ニトロフェニル基置換スルホン酸エステルとを一度に反応させる方法が挙げられる。
【0059】
一方、式(3)のX及びXが異なる場合に、式(3)で表される化合物を合成する方法として、下記式(10)で表される化合物の1分子あたり、1分子の4−ニトロフェニル基置換ハロゲン化物、又は、4−ニトロフェニル基置換スルホン酸エステルを反応させた後、もう1分子の4−ニトロフェニル基置換ハロゲン化物、又は、4−ニトロフェニル基置換スルホン酸エステルを反応させる方法が挙げられる。
【化14】
(式(10)中、X、X、X、R、及びaは、上記式(1)のそれぞれの定義と同じである。)
【0060】
【化15】
(式(11)中、X、X、X、R、及びaは、上記式(1)のそれぞれの定義と同じである。)
式(10)で表される化合物の合成法に、特に制限は無い。例えば、対応するアミンジカルボン酸に対して、式(5)で表されるクロロギ酸アルキル、若しくは、式(6)で表されるニ炭酸ジアルキルを、中性条件下、又はアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法が挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【0061】
アミンジカルボン酸としては、イミノ二酢酸、N−カルボキシメチル−β−アラニン、N−カルボキシエチル−β−アラニン、エチレンジアミン−N,N’−二酢酸、N,N’−1,2−エタンジイル−ビス−β−アラニン、1,3−プロパンジアミン−N,N’−二酢酸、N,N’−1,3−プロパンジイル−ビス−β−アラニン、1,4−ブタンジアミン−N,N’−二酢酸、N,N’−1,4−ブタンジイル−ビス−β−アラニン、1,5−ペンタンジアミン−N,N’−二酢酸、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−二酢酸などが挙げられる。
また、アミンジカルボン酸は、アミン、又はアミンモノカルボン酸をカルボキシアルキル化することで合成することもできる。
【0062】
アミン、又はアミンモノカルボン酸をカルボキシアルキル化する方法としては、アミン、又はアミンモノカルボン酸と、対応するハロゲン置換カルボン酸とを反応させる方法、アクリル酸とを反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
アミンモノカルボン酸としては、グリシン、β−アラニン、N−(2−アミノエチル)グリシン、N−(3−アミノプロピル)グリシン、N−(4−アミノブチル)グリシン、N−(5−アミノペンチル)グリシン、N−(6−アミノヘキシル)グリシン、N−(2−アミノエチル)β−アラニン、N−(3−アミノプロピル)β−アラニン、N−(4−アミノブチル)β−アラニン、N−(6−アミノヘキシル)β−アラニンなどが挙げられる。
【0063】
ハロゲン置換カルボン酸としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、3−クロロプロピオン酸、3−ブロモプロピオン酸などが挙げられる。
また、アミンジカルボン酸は、アミン、アミンモノカルボン酸、又はアミンモノカルボン酸エステルをアルコキシカルボニルアルキル化した後、酸又はアルカリにより加水分解することで合成することもできる。
アミン、アミンモノカルボン酸、又はアミンモノカルボン酸エステルをアルコキシカルボニルアルキル化する方法としては、アミン、又はアミンモノカルボン酸と対応するハロゲン置換カルボンエステルとを反応させる方法、アクリル酸エステルとを反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【0064】
ハロゲン置換カルボン酸エステルとしては、クロロ酢酸メチル、クロロ酢酸エチル、ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸エチル、3−クロロプロピオン酸メチル、3−クロロプロピオン酸エチル、3−ブロモプロピオン酸メチル、3−ブロモプロピオン酸エチルなどが挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等が挙げられる。
【0065】
式(11)で表される化合物の合成法に、特に制限は無い。例えば、式(10)で表される化合物と、塩化チオニル、又は塩化オキサリルを反応させることで合成することができる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
式(3)のYが−NHC(=O)−又は−N(CH)C(=O)−であって、Yが−C(=O)NH又は−C(=O)N(CH)の場合、対応するアミノ基置換4−ニトロベンゼン誘導体と、式(10)で表される化合物とを脱水縮合剤存在下、反応溶媒中で反応させる方法、式(11)で表される化合物とを中性条件下、又はアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
上記の合成方法において、式(3)のX及びXが同一である場合は、式(3)で表される化合物を合成する方法として、下記式(10)で表される化合物、又は、下記式(11)で表される化合物の1分子あたり、2分子のアミノ基置換4−ニトロベンゼン誘導体を一度に反応させる方法が挙げられる。
【0066】
一方、式(3)のX及びXが異なる場合は、式(3)で表される化合物を合成する方法として、下記式(10)で表される化合物、又は、下記式(11)で表される化合物の1分子あたり、1分子のアミノ基置換4−ニトロベンゼン誘導体を反応させた後、もう1分子のアミノ基置換4−ニトロベンゼン誘導体を反応させる方法が挙げられる。
前記式(1)でY及びYが単結合の場合、特定ジアミンを合成する別の方法として、例えば、下記式(12)で表されるジアミンを合成し、さらにNH基上のHを保護基に置換して合成する方法が挙げられる。
【化16】
(式(25)中、X、X、X、X、X、Y、Y、及びaは、上記式(1)のそれぞれの定義と同じである。)
【0067】
NH基上のHを保護基に置換する方法には、特に制限はない。例えば、式(5)で表されるクロロギ酸アルキル、若しくは式(6)で表されるニ炭酸ジアルキルを、中性条件下、又はアルカリ条件下、反応溶媒中で反応させる方法が挙げられる。
反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
式(12)で表される化合物を合成する方法としては、式(12)のaが0である場合は、対応する4−ニトロフェニルアルキルアミンと、4−ニトロフェニル基置換アルデヒドとを反応させた後、形成されるニトロフェニル基置換イミン化合物を、水素雰囲気下、反応溶媒中で、ニトロ基とイミン結合を一度に還元する方法が挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。しかし、水はイミン結合を加水分解する可能性があるため好ましくない。
式(12)のaが1である場合は、対応する式(7)で表される化合物と、4−ニトロフェニル基置換アルデヒドとを反応させた後、形成されるニトロフェニル基置換イミン化合物を、水素雰囲気下、反応溶媒中で、ニトロ基とイミン結合を一度に還元する方法が挙げられる。
還元する方法には、特に制限はないが、例えば、パラジウムー炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金−炭素、ロジウムーアルミナ、硫化白金炭素などを触媒として用い、水素ガスによって行う方法がある。
反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。しかし、水はイミン結合を加水分解する可能性があるため好ましくない。
【0068】
一方、YとYが左右対称とならない場合は、式(4)で表される化合物を合成する方法としては、Y及びYが同一の場合に用いた結合基の形成方法などを利用して、目的とする化合物の構造によって適宜選択される。
例えば、Yが−O−であり、Yが単結合であり、且つaが0の場合、式(4)で表される化合物を合成するときは、対応する下記の式(13)で表される化合物と、4−ニトロフェニルアルキルアミンとをアルカリ存在下、反応溶媒中で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒及び反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は、原料と反応しなければ用いることができる。
【化17】

(式(13)中、X、及びXは、上記式(1)のそれぞれと同じ定義であり、Lは、上記式(9)と同じ定義である。)
式(13)で表される化合物としては、1−(2−ヨードエトキシ)−4−ニトロベンゼン、1−(2−ブロモエトキシ)−4−ニトロベンゼン、1−(2−クロロエトキシ)−4−ニトロベンゼン、1−クロロメキシ−4−ニトロベンゼンなどが挙げられる。
【0069】
また、Yが−O−であり、Yが単結合であり、且つaが0の場合に、式(3)で表される化合物を合成する方法としては、対応する下記の式(14)で表される化合物と、ヒドロキシ基置換4−ニトロベンゼン誘導体とをアルカリ存在下で反応させる方法などが挙げられる。反応溶媒、反応温度は、上記に準ずる。但し、アルコール系溶媒、水などのプロトン性溶媒は原料と反応しなければ用いることができる。
【化18】
(式(14)中のX、X、及びXは、上記式(1)のそれぞれと同じ定義であり、Lは、上記式(9)と同じ定義である。)
ヒドロキシ基置換4−ニトロベンゼン誘導体としては、上記に準ずる。
式(14)で表される化合物を合成する方法には、特に制限はない。例えば、対応する下記の式(15)で表される化合物を用いて、前記の式(8)で表される化合物から、式(9)で表される化合物を合成する方法と同様にして行うことができる。
【化19】
(式(15)中のX、X、及びXは、上記式(1)のそれぞれと同じ定義である。)
式(14)で表される化合物のXがCHであり、且つ、Lが塩素原子である場合に、式(14)で表される化合物を合成する別の方法としては、対応するN−アルコキシカルボニル−4−ニトロフェニルアルキルアミンに対して、クロロトリメチルシランとパラホルムアルデヒドを作用させる方法が挙げられる。
N−アルコキシカルボニル−4−ニトロフェニルアルキルアミンを合成する方法に特に制限はない。例えば、対応する4−ニトロフェニルアルキルアミンを用いて、式(4)で表される化合物から、式(3)で表される化合物を合成する方法と同様の方法を用いることができる。
式(15)で表される化合物を合成する方法に、特に制限はない。例えば、対応するN−アルコキシカルボニル−4−ニトロフェニルアルキルアミンを用いて、前記のアミン、又は、モノヒドロキシルアルキルアミンをヒドロキシアルキル化する方法と同様の方法を用いることができる。
【0070】
<ポリイミド前駆体>
本発明の特定ジアミンは、テトラカルボン酸、及びテトラカルボン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と反応させることにより、本発明のポリアミック酸やポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体を得ることができる。
本発明のポリイミド前駆体を得る場合、本発明の特定ジアミンとともに、他のジアミンを併用できる。
【0071】
他のジアミンの具体例としては、p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノベンジルアルコール、2,4−ジアミノベンジルアルコール、4,6−ジアミノレゾルシノール、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ビフェニル、3,3’−トリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、2,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−スルホニルジアニリン、3,3’−スルホニルジアニリン、ビス(4−アミノフェニル)シラン、ビス(3−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(4−アミノフェニル)シラン、ジメチル−ビス(3−アミノフェニル)シラン、4,4’−チオジアニリン、3,3’−チオジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルアミン、3,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ジアミノジフェニルアミン、2,3’−ジアミノジフェニルアミン、N−メチル(4,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,3’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(3,4’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,2’−ジアミノジフェニル)アミン、N−メチル(2,3’−ジアミノジフェニル)アミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ジアミノナフタレン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、2,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,5−ジアミノナフタレン、1,6−ジアミノナフタレン、1,7−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノナフタレン、2,6ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,8−ジアミノナフタレン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,2−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4アミノフェニル)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ブタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、1,4−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,4’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、3,3’−[1,3−フェニレンビス(メチレン)]ジアニリン、1,4−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(4−アミノフェニル)メタノン]、1,3−フェニレンビス[(3−アミノフェニル)メタノン]、1,4−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,3−フェニレンビス(3−アミノベンゾエート)、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(3−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、ビス(3−アミノフェニル)イソフタレート、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(4−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−(1,3−フェニレン)ビス(3−アミノベンズアミド)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)イソフタルアミド、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)プロパン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)へキサン、1,6−ビス(3−アミノフェノキシ)へキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,7−ビス(3−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,8−ビス(3−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,9−ビス(3−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、1,10−ビス(3−アミノフェノキシ)デカン、1,11−ビス(4−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,11−ビス(3−アミノフェノキシ)ウンデカン、1,12−ビス(4−アミノフェノキシ)ドデカン及び1,12−ビス(3−アミノフェノキシ)ドデカンなどの芳香族ジアミン;ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの脂肪族ジアミン;などが挙げられる。
【0072】
<ポリイミド前駆体の製造(ポリアミック酸)>
本発明におけるポリイミド前駆体としてのポリアミック酸は、特定ジアミンを含むジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応によって得られる。かかるテトラカルボン酸二無水物は下記の式(311)で表される。
【化20】
式[311]中、Zは炭素数4〜13の4価の有機基であり、且つ、炭素数4〜6の非芳香族環状炭化水素基を含有する。
【0073】
1の好ましい具体例は、下記の式[311a]〜[311j]で示される。
【化21】
【0074】
式[311a]中、Z〜Zは、水素原子、メチル基、塩素原子及びベンゼン環からなる群から選ばれる基であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。
、及びZは水素原子又はメチル基であり、それぞれ同じであっても異なってもよい。
は、特に好ましくは、重合反応性や合成の容易性から、式[311a]、式[311c]、式[311d]、式[311e]、式[311f]又は式[311g]である。
本発明においては、上記のテトラカルボン酸二無水物の中から、液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性を考慮して、1種類又は2種類以上を選択して用いることができる。
【0075】
本発明のポリアミック酸は、上記の特定ジアミンを含むジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との縮重合反応によって得られるポリイミド前駆体である。
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との縮重合反応により、本発明のポリイミド前駆体を得るにあたっては、公知の合成手法を用いることができる。例えば、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを、有機溶媒中で反応させる方法である。この方法は、有機溶媒中で比較的効率よく反応が進行するとともに、副生成物の発生が少ない点で好ましい。
【0076】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミド酸が溶解するものであれば特に限定されない。
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散又は溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物をそのまま、又は、有機溶媒に分散若しくは溶解させて、添加する方法を用いることが可能である。また、逆に、テトラカルボン酸二無水物を有機溶媒に分散又は溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを交互に添加する方法なども挙げることができる。本発明においては、これらの何れの方法を用いてもよい。また、ジアミン成分又はテトラカルボン酸二無水物が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させて高分子量体としてもよい。
【0077】
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物とを反応させる温度は、−20〜150℃の範囲内で任意に選択することができるが、反応効率を考慮して、−5〜100℃の範囲とすることが好ましい。また、反応は、任意の濃度で行うことができる。但し、濃度が低すぎると、高分子量のポリイミド前駆体を得ることが難しくなる。一方、濃度が高すぎると、反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となる。したがって、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。尚、反応初期は高濃度で行い、その後に有機溶媒を追加することも可能である。
【0078】
ポリアミック酸を得る重合反応においては、ジアミン成分の合計モル数と、テトラカルボン酸二無水物の合計モル数との比が、0.8〜1.2であることが好ましい。通常の縮重合反応と同様に、このモル比が1.0に近いほど生成する重合体の分子量は大きくなる。したがって、場合に応じて適宜選択して合計モル比を決めることが可能である。
【0079】
<ポリイミド前駆体の製造(ポリアミック酸エステル)>
本発明のポリイミド前駆体がポリアミック酸エステルである場合、以下に示す(A)、(B)又は(C)の製法で製造することができる。
【0080】
(A)ポリアミック酸から製造する場合
ポリアミック酸エステルは、上記のように製造されたポリアミック酸をエステル化することによって製造できる。具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を溶媒の存在下で、−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって製造することができる。
【0081】
エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジ−t−ブチルアセタール、1−メチル−3−p−トリルトリアゼン、1−エチル−3−p−トリルトリアゼン、1−プロピル−3−p−トリルトリアゼン、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンー2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドなどが挙げられる。エステル化剤の添加量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して、2〜6モルが好ましい。
【0082】
上記の反応に用いる溶媒は、ポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。製造時のポリマー濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
【0083】
(B)テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとの反応により製造する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドと特定ジアミンを含むジアミンから製造することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを、塩基と溶媒の存在下で、−20〜150℃、好ましくは0〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって製造することができる。
【0084】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
【0085】
上記の反応に用いる溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。製造時のポリマー濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの製造に用いる溶媒は、できるだけ脱水されていることが好ましく、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
【0086】
(C)テトラカルボン酸ジエステルとジアミンから製造する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルと特定ジアミンを含むジアミンを縮重合することにより製造することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを、縮合剤、塩基、及び溶媒の存在下で、0〜150℃、好ましくは0〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって製造することができる。
【0087】
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが使用できる。縮合剤の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して2〜3倍モルが好ましい。
【0088】
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミンなどの3級アミンが使用できる。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、ジアミン成分に対して2〜4倍モルが好ましい。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで、反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量は、ジアミン成分に対して0〜1.0倍モルが好ましい。
上記3つのポリアミック酸エステルの製造方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、上記(A)又は(B)の製法が特に好ましい。
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
【0089】
<ポリイミド>
ポリイミドは、上記したポリイミド前駆体を脱水閉環させて得られる。ポリイミドにおいて、ポリイミド前駆体の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて、例えば、45〜85%の範囲で調整することができる。
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、ポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化などが挙げられる。
【0090】
ポリイミド前駆体を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100〜400℃、好ましくは120〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を反応系外に除きながら行うことが好ましい。
ポリイミド前駆体の触媒イミド化は、ポリイミド前駆体の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量は、アミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量は、アミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。
【0091】
塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン又はトリオクチルアミンを挙げることができ、中でも、ピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つ点で好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸又は無水ピロメリット酸を挙げることができ、中でも、無水酢酸は反応終了後の精製が容易となる点で好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することで制御可能である。
【0092】
ポリイミド前駆体又はポリイミドの反応溶液から、生成したポリイミド前駆体又はポリイミドを回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる貧溶媒としては、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン又は水を挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させた重合体は、濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収した重合体を、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類又は炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、精製の効率がより一層上がるので好ましい。
このようにして得られるポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体のイミド化重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体の分子量は、液晶配向剤の成分として用いる場合、重量平均分子量で2,000〜500,000が好ましく、より好ましくは5,000〜300,000であり、さらに好ましくは、10,000〜100,000である。また、数平均分子量は、好ましくは、1,000〜250,000であり、より好ましくは、2,500〜150,000であり、さらに好ましくは、5,000〜50,000である。
本発明のジアミンを使用して得られるポリイミド前駆体及びポリイミドは、加熱により、N原子上の−C(=O)OR基が脱離し、NH基となる。加熱温度は、−C(C=O)OR基が脱離する温度以上であり、ポリイミド、及びポリイミド前駆体の用途に影響しない温度以下であればよく、好ましくは100〜400℃、より好ましくは、200〜250℃である。
【実施例】
【0093】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の解釈はこれらに限定されるものではない。
なお、以下に、化合物の略号と構造、及び各特性の測定方法を示す。
Boc:t−ブトキシカルボニル基
DMF:N、N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
DA−A:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン
DA−B:N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン
DA−C:N−tert−ブトキシカルボニル−N、N−ビス(4−アミノベンジル)アミン
【0094】
DA−D:N−tert−ブチトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(2−(4−アミノフェノキシ)エチル)アミン
DA−E:N−メトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン
DA−F:N−エトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン
DA−G:N−イソプロピルオキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン
DA−H:N−ベンジルオキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン
DA−I:N−(9−フルオレニル)メチルオキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン
DA−J:N−tert−ブトキシカルボニル−N,N−ビス(2−(4−アミノフェニルオキシ)エチル)アミン
DA−K:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(4−アミノフェニルオキシメチル)−4−アミノベンジルアミン
DA−1:1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン
DA−2:N−2−(4−アミノフェニルエチル)−メチルアミン
【0095】
【化22】
【0096】
H NMR]
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT−NMR)INOVA−400(Varian社製)400MHz
溶媒:重クロロホルム(CDCl)、又は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d
標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
積算回数:8、又は32
【0097】
13C{H} NMR]
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT−NMR)INOVA−400(Varian社製)100MHz
溶媒:重クロロホルム(CDCl)、又は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d
標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
積算回数:256
[DSC]
装置:示差走査熱量測定装置DSC1STAReシステム(メトラートレド社製)
パン:密閉型Auパン
昇温速度:10℃/min
融点:最も低温での吸熱ピーク温度を解析
【0098】
[粘度]
ポリアミック酸エステル及びポリアミック酸溶液の粘度は、E型粘度計TVE−22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL(ミリリットル)、コーンロータTE−1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
[分子量]
ポリイミド前駆体及び該イミド化重合体の分子量は、GPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量(以下、Mnとも言う。)と重量平均分子量(以下、Mwとも言う。)を算出した。
GPC装置:Shodex社製(GPC−101)
カラム:Shodex社製(KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・HO)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
【0099】
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量(Mw) 約900,000、150,000、100,000、及び30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)約12,000、4,000、及び1,000)。
測定は、ピークが重なるのを避けるため、900,000、100,000、12,000、及び1,000の4種類を混合したサンプル、及び150,000、30,000、及び4,000の3種類を混合したサンプルの2サンプルを別々に測定した。
【0100】
[イミド化率の測定]
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子データム社製)にて、500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
【0101】
<合成例1>芳香族ジアミン(DA−A):N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミンの合成
以下に示す3ステップで合成した。(DA−A)は、特定ジアミンに該当する。
【0102】
第1ステップ:N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−A−1)の合成
【化23】
2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン塩酸塩(50.0g、247mmol)を水(300g)、及びDMF(50.0g)に溶解し、炭酸ナトリウム(78.4g、740mmol)を加え、さらに、4−ニトロベンジルブロミド(53.3g、247mmol)のDMF溶液(200g)を25℃で1時間かけて滴下した。滴下中、DMF/水=1/1(w/w、100g)を追加し、析出物による撹拌不良を解消した。
【0103】
その後、室温で20時間撹拌し、さらに、40℃で4時間撹拌した。その後、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略す)で原料の消失を確認した。その後、反応液を室温に放冷し、析出物をろ過し、水(150g)で2回、2−プロパノール(50.0g)で2回洗浄し、50℃で減圧乾燥することで、N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−(4−ニトロベンジル)アミンを得た(白色固体、収量:73g、収率:99%)。
【0104】
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.18 (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 8.15 (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 7.59, (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 7.52 (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 3.87 (s, 2H, CH2), 2.91 (t, J = 7.0 Hz, 2H, CH2), 2.80 (t, J = 7.0 Hz, 2H, CH2), 2.46 (s, 1H, NH). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 149.8, 149.5, 146.6, 146.3, 130.3, 129.2, 123.7, 123.6, 52.4, 50.0, 36.0 (each s).
融点(DSC):123℃
【0105】
第2ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−A−2)の合成
【化24】
【0106】
N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(73g、0.24mol)をDMF(371g)に溶解し、二炭酸ジtert−ブチル(54g、0.24mol)を2〜8℃で10分かけて滴下した。その後、20℃で4時間撹拌し、原料の消失を、HPLCで確認した。続いて、DMFを減圧留去し、次いで、反応液に酢酸エチル(371g)を加え、水(371g)で3回洗浄した。その後、有機層を濃縮しオレンジ色オイルを得た(粗収量:96g、粗収率:97%)。この粗物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/3(v/v、Rf=0.3)で精製することで黄色オイルを得た。(粗収量:82.0g、粗収率:82.8%(2ステップ))。
【0107】
この黄色オイルにメタノール(118g)を加え、50℃で溶解させた後、撹拌しながら冷却し、0〜5℃で30分撹拌した後、ろ過し、乾燥することで、N−tert−ブトキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミンを得た(白色粉末、 収量:74.5g、 収率:78%(2ステップ))。
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.22 (d, J = 8.4 Hz, 2H, C6H4), 8.18-8.16 (br, 2H, C6H4), 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 2H, C6H4), 7.48 (br, 2H, C6H4), 4.57-4.54 (br, 2H, CH2), 3.55-3.49 (br, 2H, CH2), 2.97 (br, 2H, CH2), 1.36-1.32 (br, 9H, tert-Bu). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 155.2, 154.8, 147.9, 147.5, 147.1, 147.0, 146.5, 130.6, 128.7, 128.4, 124.0, 123.8, 79.7, 50.3, 49.2, 48.4, 34.3, 34.0, 28.2 (each s).
融点(DSC):77℃
【0108】
第3ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン(DA−A)の合成
【化25】
【0109】
N−tert−ブトキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(74g、0.18mol)をテトラヒドロフラン(370g)に溶解し、3質量%白金−炭素(7.4g)を加え、水素雰囲気下、室温で72時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認し、ろ過により触媒を除去して、ろ液を濃縮し、乾燥することで、DA−Aの粗物を薄黄色オイルとして得た(粗収量:66g、粗収率:105%)。次いで、トルエン(198g)に80℃で溶解した後、2℃で1時間撹拌して結晶を析出させた。析出した固体をろ過し、乾燥することで、DA−Aを得た(白色粉末、収量:56g、収率:90%)。
【0110】
1H NMR (DMSO-d6):δ 6.92 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.84-6.76 (br, 2H, C6H4), 6.54 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.50 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 4.98 (s, 2H, NH2), 4.84 (s, 2H, NH2), 4.16 (br, 2H, CH2), 3.13 (br, 2H, CH2), 2.51 (br, 2H, CH2), 1.41 (s, 9H, tert-Bu). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 155.4, 154.9, 148.2, 147.2, 129.5, 129.3, 129.1, 128.9, 126.6, 125.7, 114.5, 114.3, 78.9, 78.8, 50.2, 49.2, 48.4, 33.9, 33.3, 28.5 (each s).
融点(DSC):103℃
【0111】
<合成例2>
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を2.93g(12.00mmol)、及びDA−Aを4.43g(11.99mmol)量り取り、NMPを81.98g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を5.35g(23.88mmol)添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにNMPを9.11g加え、室温で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA−1)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は205mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=10530、Mw=29900であった。
【0112】
<合成例3>
撹拌装置及び窒素導入管付きの100ml四つ口フラスコに、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を20g量り取り、NMPを14.29g加え、30分撹拌した。得られたポリアミック酸溶液に、無水酢酸を1.48g、及びピリジンを0.38g加えて、60℃で3時間加熱し、化学イミド化を行った。得られた反応液を、139mlのメタノールに撹拌しながら投入し、析出した沈殿物をろ取した。続いて、139mlのメタノールで3回洗浄した。得られた樹脂粉末を60℃で12時間乾燥することで、ポリイミド樹脂粉末を得た。
このポリイミド樹脂粉末のイミド化率は、75%、分子量はMn=7120、Mw=12485であった。
撹拌子を入れた200ml三角フラスコに得られたポリイミド樹脂粉末1.80gを取り、NMPを13.20g加え、40℃で24時間撹拌し溶解させて、ポリイミド溶液(PI−1)を得た。
【0113】
<合成例4>
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を1.91g(7.82mmol)、DA−2を1.56g(10.40mmol)、及びDA−Aを2.67g(7.81mmol)量り取り、NMPを55.18g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、ピロメリット酸二無水物を5.22g(23.92mmol)添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにNMPを28.04g加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−2)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は600mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=17370、Mw=41450であった。
【0114】
<合成例5>
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mL四つ口フラスコに、DA−Aを3.69g(9.99mmol)を量り取り、NMPを39.16g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を2.24g(9.98mmol)添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにNMPを4.35g加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−3)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度は60mPa・sであった。また、このポリアミック酸の分子量はMn=12940、Mw=28468であった。
【0115】
<合成例6>芳香族ジアミン(DA−A):N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミンの合成
以下に示す3ステップで合成した。
【0116】
第1ステップ:N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−A−1)の合成
【化26】
2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン塩酸塩(150g、0.740mol)を水(300g)、及びDMF(360g)の混合液に加え、10℃で33質量%リン酸カリウム水溶液(1071g、2.22mol)を10分かけて滴下した。この混合液を1時間撹拌した後、10℃に温度調整した4−ニトロベンジルブロミド(160g、0.740mol)のDMF溶液(480g)を10℃で2時間かけて滴下した。さらに、4−ニトロベンジルブロミドのDMF溶液を調製した容器をDMF(54g)で洗浄し、洗浄液を反応混合物中に加えた。
【0117】
この反応混合物を、10℃で16時間撹拌した後、HPLCで原料の消失を確認した。その後、40℃で1時間撹拌し、析出物をろ過して回収物を得た。
続いて、回収物に2−メチル−4−ペンタノン(1115g)を加え、65℃で加熱溶解し、水(446g)で2回洗浄して、有機層を水と分離した。分離した有機層を20℃に冷却し、析出した結晶をろ過した。得られた結晶は50℃で減圧乾燥することで、N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−(4−ニトロベンジル)アミンを得た(薄黄色固体、収量:166g、収率:74%)。
【0118】
第2ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−A−2)の合成
【化27】
N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(150g、0.498mol)をトルエン(150g)に加え、さらに60℃で二炭酸ジtert−ブチル(120g、0.548mol)のトルエン(30g)溶液を1時間かけて滴下した。さらに、二炭酸ジtert−ブチルのトルエン溶液を調製した容器をトルエン(15g)で洗浄し、洗浄液を反応混合物中に加えた。
【0119】
次いで、反応混合物を、60℃で30分撹拌した後、HPLCで原料の消失を確認した。その後、反応溶液を25℃まで冷却し、n−ヘプタン(166g)を20分かけて滴下し、30分撹拌後、種晶として、N−tert−ブトキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(0.15g)を加え、25℃で2時間撹拌した。続いて、n−ヘプタン(273g)を1時間30分かけて滴下し、さらに、15時間撹拌後、析出した結晶をろ過し、回収して、50℃で減圧乾燥することで、N−tert−ブトキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミンを得た(白色粉末、 収量:191g、 収率:96%)。
【0120】
第3ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン(DA−A)の合成
【化28】
【0121】
N−tert−ブトキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(180g、0.448mol)をトルエン(1080g)に溶解し、3質量%白金−炭素(9.0g)を加え、水素雰囲気下、室温で48時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認し、その後60℃に加熱した。さらに、ろ過により触媒を除去し、反応容器をトルエン240gで洗浄し、ろ過して、ろ液を得た。このろ液を60℃で、水(72.0g)で2回洗浄し、有機層を60℃で、残量が374gとなるところまで減圧濃縮した。その後、28℃まで冷却し、種晶として、DA−A(0.18g)を加え、1時間撹拌後、5℃に冷却した。さらに3日間撹拌し、析出した結晶を、ろ過した後、50℃で減圧乾燥することで、DA−Aを得た(白色粉末、収量:137g、収率:89%)。
【0122】
<合成例7>芳香族ジアミン(DA−C):N−tert−ブトキシカルボニル−N、N−ビス(4−アミノベンジル)アミンの合成
以下に示す3ステップで合成した。(DA−C)は、特定ジアミンに該当する。
第1ステップ:ビス(4−ニトロベンジル)アミン(DA−C−1)の合成
【化29】
【0123】
4−ニトロベンジルアミン塩酸塩(20.0g、106mmol)を水(40.0g)、DMF(48.0g)に溶解し、水(80.0g)に溶解させたリン酸カリウム(67.5g、318mmol)を加え、その後、4−ニトロベンジルブロミド(22.9g、106mmol)のDMF溶液(96.9g)を10℃で滴下した。さらに、4−ニトロベンジルブロミドのDMF溶液を調製した容器をDMF(8.0g)で洗浄し、洗浄液を反応混合物中に加えた。
【0124】
次いで、10℃で20時間撹拌し、HPLCで原料の消失を確認した。その後、反応液を室温にし、析出物をろ過し、DMF(20g)で1回洗浄した。得られたろ物は2−メチル−4−ペンタノン(148.6g)に溶解させ、水(60.0g)で2回洗浄した。有機層を10℃に冷却し、析出物をろ過し、50℃で減圧乾燥することで、ビス(4−ニトロベンジル)アミンを得た(白色粉末、収量:12.7g、収率:42%)。
1H NMR (CDCl3):δ 8.19 (d, J = 8.8 Hz, 4H, C6H4), 7.55 (d, J = 8.8 Hz, 4H, C6H4), 3.95 (s, 4H, CH2). 13C{1H} NMR (CDCl3):δ 147.6, 147.1, 128.6, 123.7, 52.4(each s).
融点(DSC):97℃
【0125】
第2ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N、N−ビス(4−ニトロベンジル)アミン(DA−C−2)の合成
【化30】
ビス(4−ニトロベンジル)アミン(12.0g、41.8mmol)を、二炭酸ジtert−ブチル(9.57g、43.9mmol)のトルエン溶液(31.9g)に溶解させた。
【0126】
その後、70℃で1時間撹拌し、HPLCで原料の消失を確認した。続いて、トルエンを減圧留去し、残渣にトルエン(15.6g)、及びn−ヘプタン(13.2g)を加え、室温で撹拌した。さらに、n−ヘプタン(24.0g)をゆっくりと加え、析出物を確認後、撹拌しながら10℃まで冷却し、12時間後、析出物をろ過した。得られた析出物を乾燥することで、N−tert−ブトキシカルボニル−N、N−ビス(4−ニトロベンジル)アミンを得た(白色粉末、 収量:15.3g、 収率:95%)。
1H NMR (CDCl3):δ 8.20 (d, J = 8.4 Hz, 4H, C6H4), 7.39 (br, 4H, C6H4), 4.53 (br, 4H, CH2), 1.48 (br, 9H, tert-Bu). 13C{1H} NMR (CDCl3):δ 155.5, 147.3, 145.1, 128.4, 127.7, 123.9, 81.4, 49.9, 49.6, 28.3 (each s).
融点(DSC):81℃
【0127】
第3ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N、N−ビス(4−アミノベンジル)アミン(DA−C)の合成
【化31】
【0128】
N−tert−ブトキシカルボニル−N、N−ビス(4−ニトロベンジル)アミン(14.0g、36.1mmol)をテトラヒドロフラン(84g)に溶解し、3質量%白金−炭素(0.4g)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認し、ろ過により触媒を除去し、ろ液を濃縮した。これをトルエン(84.0g)に溶解した後、5℃で1時間撹拌して結晶を析出させた。析出した固体をろ過し、乾燥することで、DA−Cを得た(白色粉末、収量:11g、収率:90%)。
1H NMR (CDCl3):δ 7.03 (br, 2H, C6H4), 7.00 (br, 2H, C6H4), 6.65 (d, J = 8.0 Hz, 4H, C6H4), 4.27 (br, 2H, CH2), 4.19 (br, 2H, CH2), 3.97 (s, 4H, NH2), 1.50 (s, 9H, tert-Bu). 13C{1H} NMR (CDCl3):δ 156.0, 145.6, 129.4, 128.8, 127.9, 115.1, 79.7, 48.2, 47.9, 28.5 (each s).
融点(DSC):131℃
【0129】
<合成例8>芳香族ジアミン(DA−D):N−tert−ブチトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(2−(4−アミノフェノキシ)エチル)アミンの合成
以下に示す3ステップで合成した。(DA−D)は、特定ジアミンに該当する。
【0130】
第1ステップ:N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(2−(4−ニトロフェノキシ)エチル)アミン(DA−D−1)の合成
【化32】
【0131】
2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン塩酸塩(7.65g、37.8mmol)を水(15.3g)、及びMeCN(アセトニトリル)(15.3g)に溶解し、さらに、水(22.5g)に溶解させた炭酸カリウム(15.7g、114mmol)を加え、次いで、4−ニトロフェノキシエチルブロミド(7.43g、30.2mmol)のMeCN溶液(30.4g)を20℃で滴下した。その後、7時間還流し、HPLCで原料の消失を確認した。その後、反応液を室温に放冷し、水層を除去した。続いて、有機層を水(31g)で洗浄し、さらに5℃で30分撹拌した後、析出した固体をろ過し、固体を水(15g)で2回洗浄した。これにトルエン(80.0g)、及び水(80g)を加えて、80℃に加熱した。続いて、3.2質量%HCl水溶液(22g)を加え、有機層を除去した。水層をトルエン(80g)で2回洗浄した後、1N NaOH水溶液(15.3g)を加え、5℃に冷却して30分撹拌した。その後、析出した固体をろ過し、水(60g)で洗浄した後、乾燥することで、N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−(2−(4−ニトロフェノキシ)エチル)アミンを得た(黄色粉末、収量:2.7g、収率:27%)。
【0132】
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.20 (d, J = 9.2 Hz, 2H, C6H4), 8.14 (d, J = 8.4Hz, 2H, C6H4), 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 2H, C6H4), 7.13 (d, J = 9.2 Hz, 2H, C6H4 ), 4.15 (t, J = 5.6 Hz, 2H, OCH2), 2.94 (t, J = 5.6 Hz, 2H, CH2Ar), 2.87 (br, 4H, CH2NCH2).
【0133】
第2ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−(2−(4−ニトロフェノキシ)エチル)アミン(DA−D−2)の合成
【化33】
【0134】
N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−(2−(4−ニトロフェノキシ)エチル)アミン(5.55g、16.7mmol)、及びトリエチルアミン(1.86g、18.4mmol)を、トルエン(11.1g)に溶解させ、二炭酸ジtert−ブチル(4.02g、18.4mmol)のトルエン溶液(15.0g)を滴下した。その後、70℃で1時間撹拌し、HPLCで原料の消失を確認した。続いて、水(55.0g)を加えて2回洗浄した。室温下放冷した後、n−ヘプタン(22.1g)を加え、固体が析出した後、5℃まで冷却し、30分撹拌した。その後、析出物をろ過し、乾燥することで、N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−(2−(4−ニトロフェノキシ)エチル)アミンを得た(黄色粉末、収量:6.6g、収率:93%)。
【0135】
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.22-8.15 (br, 4H, C6H4), 7.50 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 7.15 (d, J = 9.2 Hz, 2H, C6H4 ), 4.21 (t, J = 5.6 Hz, 2H, OCH2), 3.57-3.49 (br, 4H, CH2NCH2), 2.96 (t, J = 6.8 Hz, 2H, CH2Ar), 1.30 (s, 9H, tert-Bu). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 164.0, 154.8, 148.2, 146.5, 141.3, 130.7, 126.3, 123.9, 115.4, 79.4, 67.1, 49.2, 48.4, 46.0, 34.7, 34.0, 28.2 (each s).
【0136】
第3ステップ:N−tert−ブチトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(2−(4−アミノフェノキシ)エチル)アミン(DA−D)の合成
【化34】
【0137】
N−tert−ブトキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−(2−(4−ニトロフェノキシ)エチル)アミン(6.13g、14.2mmol)をテトラヒドロフラン(36g)に溶解し、5質量%パラジウム−炭素(0.3g)を加え、水素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認した後、ろ過により触媒を除去し、ろ液を濃縮した。これにトルエン(36.0g)を加え、60℃で溶解させ、水(5.0g)で2回洗浄した。その後、0℃で1時間撹拌して結晶を析出させた。析出した固体をろ過し、乾燥することで、DA−Dを得た(淡紫色粉末、収量:4.5g、収率:85%)。
【0138】
1H NMR (DMSO-d6):δ 6.83 (d, J = 7.6 Hz, 2H, C6H4), 6.64 (d, J = 6.8 Hz, 2H, C6H4), 6.51 (d, J = 6.8 Hz, 4H, C6H4), 4.86 (s, 2H, NH2), 4.60 (s, 2H, NH2), 3.85 (t, J = 6.0 Hz, 2H, OCH2), 3.39 (br, 2H, CH2N), 3.32 (t, J = 7.6 Hz, 2H, NCH2), 2.61 (t, J = 7.6 Hz, 2H, CH2Ar), 1.39 (s, 9H, tert-Bu). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 155.1, 150.1, 147.3, 142.9, 129.6, 126.5, 115.6, 115.4, 114.5, 79.0, 66.7, 50.8, 46.9, 34.3, 28.5(each s).
融点(DSC):100.1℃
【0139】
<合成例9>芳香族ジアミン(DA−E):N−メトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミンの合成
以下に示す2ステップで合成した。(DA−E)は、特定ジアミンに該当する。
【0140】
第1ステップ:N−メキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−E−1)の合成
【化35】
【0141】
N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(35.0g、116mmol)、及びトリエチルアミン(15.3g、151mmol)をトルエン(350g)に加え、4℃に冷却し、クロロギ酸メチル(13.2g、139mmol)を30分かけて滴下した。その後、5℃で1時間撹拌し、さらにトリエチルアミン(3.53g、34.9mmol)、及びクロロギ酸メチル(3.29g、34.8mmol)を追加し、10〜30℃で30分撹拌し、HPLCで原料の消失を確認した。
続いて、反応混合物を60℃に昇温し、水(70g)を加え、水層を廃棄する操作を3回繰り返した。その後、25℃に冷却し、n−ヘプタン(210g)を加え、5℃に冷却して、17時間撹拌後、析出した固体をろ過し、乾燥することで、N−メトキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−E−1)を得た(白色粉末、収量:38g、収率:93%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.14 (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 8.10 (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 7.45-7.43 (br, 4H, C6H4), 4.42 (s, 2H, CH2), 3.54-3.47 (m, 2H, CH2), 3.51 (s, 3H, CH3), 2.91 (t, J = 7.0 Hz, 2H, CH2). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 156.7, 147.7, 147.0, 146.7, 146.5, 130.5, 128.8, 128.4, 124.0, 123.8, 53.0, 50.3, 48.8, 48.2, 34.3, 33.8 (each s).
【0142】
第2ステップ:N−tert−メキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン(DA−E)の合成
【化36】
【0143】
N−メトキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(30.0g、83.5mol)をテトラヒドロフラン(120g)に溶解し、3質量%白金−炭素(3.0g)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認した後、ろ過により触媒を除去した。次いで、ろ液を濃縮し、乾燥することで、DA−Eを得た(薄黄色液体、収量:25g、収率:98%)。
【0144】
1H NMR (DMSO-d6):δ 6.86 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.75 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.48 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.44 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 4.98 (s, 2H, NH2), 4.83 (s, 2H, NH2), 4.13 (s, 2H, CH2), 3.56 (s, 3H, CH3), 3.13 (br, 2H, CH2), 2.51 (br, 2H, CH2). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 156.7, 148.3, 147.2, 129.4, 129.3, 128.9, 126.3, 125.2, 114.5, 114.3, 52.7, 49.9, 47.9, 33.8, 33.1, 155.4, 154.9, 148.2, 147.2, 129.5, 129.3, 129.1, 128.9, 126.6, 125.7, 114.5, 114.3, 78.9, 78.8, 50.2, 49.2, 48.4, 33.9, 33.3, 28.5 (each s).
【0145】
<合成例10>芳香族ジアミン(DA−F):N−tert−エトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミンの合成
以下に示す2ステップで合成した。(DA−F)は、特定ジアミンに該当する。
第1ステップ:N−tert−メキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−F−1)の合成
【化37】
N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(30.0g、99.6mmol)、及びトリエチルアミン(16.1g、159mmol)をトルエン(300g)に加え、5℃に冷却し、さらに、クロロギ酸エチル(16.2g、149mmol)を20分かけて滴下した。その後、1時間撹拌しながら、25℃に昇温し、HPLCで原料の消失を確認した。
【0146】
続いて、反応混合物を60℃に昇温し、水(60g)を加え、水層を廃棄する操作を3回繰り返した。その後、有機層を50℃で減圧濃縮し、残渣にトルエン(270g)を加え、60℃に加熱して溶解した。次いで、25℃で種晶(175mg)を加え、5℃に冷却して、18時間撹拌後、析出した固体をろ過した。固体をを5℃に冷却したトルエン/n−ヘプタン混合液(3/2(wt/wt)、50g)で洗浄後、乾燥することで、N−エトキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−F−1)を得た(白色粉末、収量:35g、収率:93%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.20 (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 8.16 (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 7.50 (br, 4H, C6H4), 4.58 (s, 2H, CH2), 4.01 (t, J = 6.4 Hz, 2H, CH2), 3.54 (br, 2H, CH2), 2.98 (t, J = 6.4 Hz, 2H, CH2), 1.11 (br, 3H, CH3). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 156.2, 147.8, 147.0, 146.8, 146.5, 130.5, 128.8, 128.5, 124.1, 124.0, 123.8, 123.5, 61.5, 49.9, 48.7, 48.1, 34.3, 33.8, 14.8 (each s).
【0147】
第2ステップ:N−tert−エトキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン(DA−F)の合成
【化38】
【0148】
N−メトキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(30.0g、80.4mmol)をテトラヒドロフラン(120g)に溶解し、3質量%白金−炭素(3.0g)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認した後、ろ過により触媒を除去した。次いで、ろ液を濃縮し、乾燥することで、DA−Fを得た(淡褐色液体、収量:25g、収率:99%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 6.91 (d, J = 7.6 Hz, 2H, C6H4), 6.79 (br, 2H, C6H4), 6.52 (d, J = 8.4 Hz, 2H, C6H4), 6.48 (d, J = 8.4 Hz, 2H, C6H4), 5.00 (s, 2H, NH2), 4.85 (s, 2H, NH2), 4.17 (s, 2H, CH2), 4.04, (t, J = 6.4 Hz, 2H, CH2), 3.18 (br, 2H, CH2), 2.53-2.48 (br, 2H, CH2), 1.18 (t, J = 7.0 Hz, 3H, CH3). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 156.2, 148.3, 147.2, 129.4, 129.2, 126.3, 125.3, 114.4, 114.2, 60.1, 49.7, 48.5, 47.9, 40.6, 33.8, 33.2, 15.0 (each s).
【0149】
<合成例11>芳香族ジアミン(DA−G):N−イソプロピルオキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミンの合成
以下に示す2ステップで合成した。(DA−G)は、特定ジアミンに該当する。
第1ステップ:N−イソプロピルオキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−G−1)の合成
【化39】
【0150】
N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(30.0g、99.6mmol)、及びトリエチルアミン(16.2g、159mmol)をトルエン(300g)に加え、5℃に冷却し、さらに、クロロギ酸イソプロピル(18.3g、149mmol)を1時間かけて滴下した。その後、1時間撹拌し、HPLCで原料の消失を確認した。
続いて、反応混合物に水(60g)、及びトリエチルアミン(2.02g、20.0mmol)を加え、80℃で4時間撹拌して副生成物を水層へ除去した。その後、60℃で水層を廃棄し、再度、水(60g)を加え、撹拌後、水層を廃棄する操作を2回繰り返した。その後、有機層を減圧濃縮し、残渣にトルエン(150g)、及びヘプタン(100g)を加えた。次いで、種晶(87.3mg)を加え、30分撹拌後、ヘプタン(50g)を加え、25℃から5℃に冷却した。その後、析出した結晶をろ過し、乾燥することで、N−イソプロピルオキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−G−1)を得た(白色固体、収量:34.2g、収率:89%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.21 (d, J = 8.4 Hz, 2H, Ar), 8.16 (d, J = 8.4 Hz, 2H, Ar), 7.52-7.50(m, 4H, Ar), 4.77 (br 1H, CH), 4.58 (s, 2H, CH2), 3.53 (br, 2H, CH2), 2.97 (br, 2H, CH2), 1.14 (br, 6H, C(CH3)2). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 155.8, 147.8, 147.0, 146.9, 146.5, 130.5, 128.8, 128.6, 124.0, 123.8, 66.8, 49.8, 48.7, 48.0, 34.4, 33.9, 22.1 (each s).
【0151】
第2ステップ:N−イソプロピルオキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン(DA−G)の合成
【化40】
【0152】
N−イソプロピルオキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(30.0g、77.4mmol)をテトラヒドロフラン(120g)に溶解し、3質量%白金−炭素(3.0g)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認し、ろ過により触媒を除去した。その後、ろ液を濃縮し、乾燥することで、DA−Gを得た(薄黄色液体、収量:25.0g、収率:99%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 6.88 (d, J = 6.0 Hz, 2H, Ar), 6.76 (br, 2H, Ar), 6.51-6.44 (m, 4H, Ar), 4.97 (s, 2H, NH2), 4.83 (s, 2H, NH2), 4.77 (br, 1H, CH), 4.13 (s, 2H, CH2), 3.14 (br, 2H, CH2), 2.46 (br, 2H, CH2), 1.16 (m, 6H, C(CH3)2). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 155.7, 148.3, 147.2, 129.4, 129.2, 126.4, 125.4, 114.5, 114.2, 68.0, 49.7, 48.5, 47.9, 40.6, 33.8, 33.2, 22.4 (each s).
【0153】
<合成例12>芳香族ジアミン(DA−H):N−ベンジルオキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミンの合成
以下に示す2ステップで合成した。(DA−H)は、特定ジアミンに該当する。
第1ステップ:N−ベンジルオキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−H−1)の合成
【化41】
【0154】
N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(3.00g、10.0mmol)、及びトリエチルアミン(1.61g、15.9mmol)をトルエン(30g)に加え、5℃に冷却し、さらに、クロロギ酸ベンジル(2.21g、12.9mmol)を25分かけて滴下した。4時間後、トリエチルアミン(0.55g、5.4mmol)、及びクロロギ酸ベンジル(0.92g、5.4mmol)を追加し、1時間後、トリエチルアミン(0.04g、0.4mmol)、及びクロロギ酸ベンジル(0.04g、0.3mmol)をさらに追加し、16時間撹拌し、HPLCで原料の消失を確認した。
【0155】
続いて、反応混合物に水(6g)を加え、60℃に昇温し、水層を廃棄し、再度、水(6g)を加え、撹拌後、水層を廃棄する操作を2回繰り返した。その後、有機層を50℃で減圧濃縮し、残渣にトルエン(15g)を加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;トルエン)で精製することで、N−ベンジルオキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−H−1)を得た(薄黄色液体、収量:3.0g、収率:69%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.15-8.00 (m, 4H, Ar), 7.48-7.07(m, 9H, Ar), 5.01 (s, 2H, CH2), 4.55 (s, 2H, CH2), 3.52 (br, 2H, CH2), 2.94-2.90 (br, 2H, CH2). 13C{1H} NMR(DMSO-d6):δ 156.2, 155.6, 147.6, 147.1, 146.8, 146.6, 137.0, 130.5, 129.3, 128.9, 128.9, 128.7, 128.6, 128.4, 128.3, 128.1, 127.9, 126.8, 125.7, 124.0, 123.8. 69.5, 67.1, 66.9, 50.0, 48.9, 48.2, 34.3, 33.8 (each s).
【0156】
第2ステップ:N−ベンジルオキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン(DA−H)の合成
【化42】
【0157】
N−ベンジルオキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(1.0g、2.3mmol)をテトラヒドロフラン(20g)に溶解し、3質量%白金−炭素(0.1g)を加え、水素雰囲気下、室温で7時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認し、ろ過により触媒を除去した。その後、ろ液を濃縮後、n−ヘプタン(15g)を加え、−40℃に冷却し、上澄みを除去し、残渣を乾燥することで、DA−Hを得た(茶色液体、収量:0.79g、収率:92%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 7.39-7.30 (m, 5H, Ar), 6.96-6.71 (br, 4H, Ar), 6.52-6.45 (m, 4H, Ar), 5.12-5.09 (m, 2H, NH2), 5.02 (s, 2H, NH2), 4.87 (s, 2H, CH2), 4.20, (s, 2H, CH2), 3.21 (br, 2H, CH2), 2.51 (br, 2H, CH2). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 156.1, 155.5, 148.4, 147.3, 137.5, 129.4, 129.3, 128.9, 128.8, 128.6, 128.2, 127.9, 126.2, 125.1, 114.5, 114.3 69.5, 66.6, 49.9, 48.7, 48.1, 33.8, 33.1 (each s).
【0158】
<合成例13>
以下に示す2ステップで芳香族ジアミン(DA−I)を合成した。(DA−I)は、特定ジアミンに該当する。
第1ステップ:N−(9−フルオレニル)メチルオキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−I−1)の合成
【化43】
【0159】
N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(2.0g、6.6mmol)、及びトリエチルアミン(0.94g、9.3mmol)をトルエン(20g)に加え、5℃に冷却し、さらに、クロロギ酸−9−フルオレニルメチル(2.23g、8.62mmol)を10分かけて滴下した。30分間撹拌した後、HPLCで原料の消失を確認した。
続いて、反応混合物に水(4g)を加え、60℃に昇温し、水層を廃棄し、再度、水(6g)を加え、撹拌後、水層を廃棄する操作を2回繰り返した。その後、有機層を硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を減圧留去した。残渣にトルエン(8g)を加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;トルエン/酢酸エチル=10/0〜10/1(v/v)で精製し、濃縮乾固した。次いで、残渣にイソプロピルアルコール(79.6g)を加え、80℃で溶解後、25℃に冷却して析出した結晶をろ過し、乾燥することで、N−(9−フルオレニル)メチルオキシカルボニル−N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジル)アミン(DA−I−1)を得た(白色固体、収量:2.85g、収率:85%)。
【0160】
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.18-7.00 (m, 16H, Ar), 4.78, 4.54 (d, J = 4.0 Hz, 2H, CH2), 4.42, 4.22 (s, 2H, CH2), 4.32, 4.22 (s, 1H, CH), 3.48, 2.99 (br, 2H, CH2), 2.89, 2.41 (br, 2H, CH2). 13C{1H} NMR(DMSO-d6):δ 156.0, 155.6, 147.9, 147.1, 147.0, 146.5, 146.5, 144.4, 144.2, 141.4, 130.4, 130.3, 128.6, 128.0, 127.6, 127.4, 127.2, 125.1, 125.0, 123.9, 123.7, 123.6, 120.6, 66.0, 65.9, 50.2, 48.4, 47.7, 34.0, 33.7 (each s).
【0161】
第2ステップ:N−(9−フルオレニル)メチルオキシカルボニル−N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン(DA−I)の合成
【化44】
N−(9−フルオレニル)メチルオキシカルボニル−N−2−(4−ニトロフェニル)エチル−N−4−ニトロベンジルアミン(1.0g、1.9mmol)をテトラヒドロフラン(20g)に溶解し、3質量%白金−炭素(0.1g)を加え、水素雰囲気下、室温で6時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認した後、ろ過により触媒を除去した。ろ液を濃縮した後、−5℃に冷却し、n−ヘキサン(50g)を加え、上澄みを除去する操作を3回繰り返した。次いで、残渣を濃縮し、乾燥することで、DA−Iを得た(白色固体、収量:0.85g、収率:95%)。
【0162】
1H NMR (DMSO-d6):δ 7.88 (d, J = 7.6 Hz, 2H, C13H8), 7.67, 7.66 (d, J = 6.8 Hz, 2H, C13H8), 7.41 (dd, J = 7.6, 6.8 Hz, 2H, C13H8), 7.34 (dd, J = 6.8, 6.8 Hz, 2H, C13H8), 6.77, 6.58 (d, 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.48-6.41 (m, 6H, C6H4), 4.99 (s, 2H, NH2), 4.84 (s, NH2), 4.60, 4.51 (d, J = 4.8 Hz, 2H, CH2), 4.28 (t, J = 4.8 Hz, 1H, CH), 4.09, 3.90 (s, 2H, CH2), 3.12, 2.80 (t, J = 7.0 Hz, 2H, CH2), 2.44, 2.10 (t, J = 7.0 Hz, 2H, CH2). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 156.0, 155.4, 148.3, 147.2, 144.5, 141.4, 139.9, 137.9, 129.4, 129.1, 127.9, 127.7, 127.5, 126.3, 126.1, 125.3, 125.1, 121.8, 120.5, 116,7, 114.5, 114.4, 114.3, 114.2, 114.1, 110.2, 67.5, 66.5, 65.9, 49.9, 49.6, 48.7, 48.1, 47.6, 47.3, 35.5, 33.0, 31.4, 30.9, 25.6, 22.5 each s)
【0163】
<合成例14>
以下に示す3ステップで芳香族ジアミン(DA−J)を合成した。(DA−J)は、特定ジアミンに該当する。
第1ステップ:N−tert−ブトキシカルボニルジエタノールアミン(DA−J−1)の合成
【化45】
ジエタノールアミン(20.0g、190mmol)を酢酸エチル(60.0g)に溶解し、25℃で二炭酸ジ−tert−ブチル(39.4g、180mmol)を20分間かけて滴下し、1時間撹拌した。原料の消失をガスクロマトグラフィーで確認し、反応溶液をシリカゲルカラム(溶出液;酢酸エチル)に通した後、濃縮し、乾燥することで、N−tert−ブトキシカルボニルジエタノールアミン(DA−J−1)を得た(無色液体、収量:35.4g、収率:92%)。
【0164】
第2ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N,N−ビス(2−(4−ニトロフェニルオキシ)エチル)アミン(DA−J−2)の合成
【化46】
N−tert−ブトキシカルボニルジエタノールアミン(20.0g、97.4mmol)、及び4−フルオロニトロベンゼン(33.0g、239mmol)をNMP(200g)に溶解し、さらに、炭酸カリウム(40.4g、292mmol)を加え、100℃で43時間撹拌した。HPLCで反応の終了を確認した後、反応混合物を水(2000g)に注ぎ、析出物をろ過した。続いて、析出物にメタノール(400g)を加えて撹拌した。その後、ろ過し、再度メタノール(300g)を加えて撹拌し、ろ過した後、乾燥することで、N−tert−ブトキシカルボニル−N,N−ビス(2−(4−ニトロフェニルオキシ)エチル)アミン(DA−J−2)を得た(茶色固体、収量:36.9g、収率:85%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.10 (d, J = 8.8 Hz, 4H, C6H4), 7.06 (d, J = 8.8 Hz, 4H, C6H4), 4.20-4.18 (m, 4H, CH2), 3.61-3.59 (m, 4H, CH2), 1.28 (s, 9H, t-Bu). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 164.0, 155.1, 141.3, 126.3, 115.4, 79.8, 67.3, 67.1, 47.0, 46.6, 28.3 (each s).
【0165】
第3ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N,N−ビス(2−(4−アミノフェニルオキシ)エチル)アミン(DA−J)の合成
【化47】
N−tert−ブトキシカルボニル−N,N−ビス(2−(4−ニトロフェニルオキシ)エチル)アミン(33.0g、73.7mmol)をTHF(132g)に溶解し、3質量%白金−炭素(3.3g)を加え、水素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認し、ろ過により触媒を除去した。その後、ろ液を濃縮した後、トルエン(264g)を加え、30℃に加熱して溶解させた。次いで、5℃に冷却して析出した固体をろ過し、乾燥することで、DA−Jを得た(薄茶固体、収量:25.6g、収率:90%)
1H NMR (DMSO-d6):δ 6.60 (d, J = 8.4 Hz, 4H, C6H4), 6.46 (d, J = 8.4 Hz, 4H, C6H4), 4.57 (s, 4H, NH2), 3.90-3.87 (m, 4H, CH2), 3.51-3.48 (m, 4H, CH2), 1.35 (s, 9H, t-Bu). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 155.1, 150.0, 143.0, 115.7, 115.3, 79.4, 66.7, 47.7, 47.3, 28.4 (each s).
<合成例15>
以下に示す3ステップで芳香族ジアミン(DA−K)を合成した。(DA−K)は、特定ジアミンに該当する。
第1ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−4−ニトロベンジルアミン(DA−K−1)の合成
【化48】
4−ニトロベンジルアミン(5.00g、26.5mmol)をトルエン(50g)に懸濁させ、トリエチルアミン(3.22g、31.8mmol)を室温で加え、し、二炭酸ジ−tert−ブチル(6.36g、29.2mmol)を室温で15分かけて滴下し、60℃で2時間、室温で16時間撹拌し、原料の消失をHPLCで確認した。
その後、60℃で水(20g)を加え、撹拌後、水層を廃棄する操作を2回繰り返した後、有機層を濃縮し、残渣にトルエン(15g)を加え、60℃に加熱後、ヘプタン(15g)を加え、5℃に冷却し、16時間撹拌後、析出した固体をろ過し、乾燥することで、N−tert−ブトキシカルボニル−4−ニトロベンジルアミンを得た(白色固体、収量:5.29g、収率:79%)
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.21 (d, J = 8.4 Hz, 2H, C6H4), 7.59 (t, J = 5.8 Hz, 1H, NH), 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 2H, C6H4), 4.26 (d, J = 5.8 Hz, 2H, CH2), 1.40 (s, 9H, t-Bu)
第2ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N−ヒドロキシメチル−4−ニトロベンジルアミン(DA−K−2)の合成
【化49】
N−tert−ブトキシカルボニル−4−ニトロベンジルアミン(3.00g、11.9mmol)、パラホルムアルデヒド(1.79g、59.5mmol)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(0.73g、5.9mmol)、DMF(30g)、および、水(6g)の混合溶液を60℃で7時間撹拌し、さらにパラホルムアルデヒド(0.89g、29.6mmol)を追加して、15時間撹拌した。
その後、反応混合物を水(300g)に注ぎ、酢酸エチル(200g)を加えて撹拌し、水層を廃棄し、1N塩酸(50g)を加えて撹拌し、水層を廃棄し、水(50g)を加えて撹拌し、水層を廃棄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。
その後、有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン/酢酸エチル=2/1(v/v))で精製し、濃縮し、乾燥することでN−tert−ブトキシカルボニル−N−ヒドロキシメチル−4−ニトロベンジルアミンを得た(無色液体、収量:2.60g、収率:77%)
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.21 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 7.56 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.02 (br, 1H, OH), 4.74 (d, J = 6.0 Hz, 2H, CH2), 4.52 (s, 2H, CH2), 1.27 (s, 9H, t-Bu).13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 148.3, 146.9, 128.5, 123.8, 80.0, 79.8, 70.9, 49.3, 48.3, 28.2 (each s).
第3ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(4−ニトロフェニルオキシメチル)−4−ニトロベンジルアミン(DA−K−4)の合成
【化50】
N−tert−ブトキシカルボニル−N−ヒドロキシメチル−4−ニトロベンジルアミン(142mg、0.50mmol)を酢酸エチル(0.50g)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(71.4mg、0.55mmol)を加え、0℃でメタンスルホニルクロリド(60.4mg、0.53mmol)を加え、30分間撹拌した。
続いて、4−ニトロフェノール(349mg、2.5mmol)、酢酸エチル(1.0g)、および、ジイソプロピルエチルアミン(64.9mg、0.50mmol)の混合液に、前記の反応混合液を5℃で加え、20分間撹拌した。
その後、反応混合物に水(2g)を加え、HPLCで有機層中に4−ニトロフェノールが確認されなくなるまで、有機層を1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、最後に水(2g)で有機層を洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。
その後、有機層を濃縮し、分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=1/1(v/v))で精製することで、N−tert−ブトキシカルボニル−N−(4−ニトロフェニルオキシメチル)−4−ニトロベンジルアミンを得た(白色固体、収量:47.2mg、収率:23%)
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.19 (d, J = 8.4 Hz, 4H, C6H4), 7.42 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 7.08 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 5.48 (s, 2H, CH2), 4.65 (s, 2H, CH2), 1.41 (s, 9H, t-Bu). 13C{1H} NMR (DMSO-d6):δ 154.5, 147.2, 145.3, 142.1, 128.4, 127.4, 125.9, 123.8, 115.4, 82.4, 75.8, 49.6, 49.2, 28.1 (each s).
第4ステップ:N−tert−ブトキシカルボニル−N−(4−アミノフェニルオキシメチル)−4−アミノベンジルアミン(DA−K)の合成
【化51】
N−tert−ブトキシカルボニル−N−(4−ニトロフェニルオキシメチル)−4−ニトロベンジルアミン(47mg、0.12mmol)を酢酸エチル(10g)に溶解し、3質量%白金−炭素(21mg)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。原料の消失をHPLCで確認し、ろ過により触媒を除去し、ろ液を濃縮、乾燥することでDA−Kを得た(無色液体、収量:36mg、収率:90%)
1H NMR (CDCl3):δ 7.01-7.04 (m, 2H, C6H4), 6.84-6.76 (m, 2H, C6H4), 6.64-6.59 (m, 4H, C6H4), 5.16, 5.04 (each s, 2H, CH2), 4.47, 4.38 (each s, 2H, CH2), 3.59 (br, 4H, NH2), 1.45, 1.37 (each s, 9H, t-Bu). 13C{1H} NMR (CDCl3):δ 145.6, 129.6, 129.0, 119.4, 117.7, 116.4, 116.1, 115.1, 80.4, 75.1, 48.3, 47.5, 28.3, 28.3, 28.2 (each s).
【0166】
<比較合成例1>芳香族ジアミン(DA−B):N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミンの合成
以下に示す2ステップで合成した。
【0167】
第1ステップ:N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジリデン)アミン(DA−B−1)の合成
【化52】
【0168】
2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン塩酸塩(3.00g、19.9mmol)をDMF(15.0g)に溶解し、4−ニトロベンズアルデヒド(4.02g、19.9mmol)を加え、さらに、トリエチルアミン(2.21g、21.8mmol)を25℃で加えた。そのまま室温で21時間撹拌し、析出物をろ過した。析出物は水(50.0g)で洗浄し、ろ過して、50℃で減圧乾燥することで、N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジリデン)アミンを得た(白色固体、収量:4.05g、収率:68%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 8.45 (s, 1H, HC=N), 8.29(d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 8.16 (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 7.96, (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 7.57 (d, J = 8.8 Hz, 2H, C6H4), 3.95 (t, J = 7.0 Hz, 2H, CH2), 3.13 (t, J = 7.0 Hz, 2H, CH2).融点(DSC):128℃
【0169】
第2ステップ:N−(2−(4−アミノフェニル)エチル)−N−(4−アミノベンジル)アミン(DA−B)の合成
【化53】
【0170】
N−(2−(4−ニトロフェニル)エチル)−N−(4−ニトロベンジリデン)アミン(3.50g、11.7mmol)をDMF(35.0g)に加え、5質量%パラジウム−炭素(0.350g)を加え、水素雰囲気下、室温で11日間攪拌した。原料の消失をHPLCで確認し、ろ過により触媒を除去した。その後、ろ液を濃縮し、乾燥することで、DA−Bを茶色オイルとして得た(収量:2.82g、収率:100%)。
1H NMR (DMSO-d6):δ 6.93 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.82 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.49 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 6.47 (d, J = 8.0 Hz, 2H, C6H4), 4.91-4.79 (m, 5H, NH2, NH), 3.49 (br, 2H, CH2), 2.69-2.42 (m, 4H, CH2×2).
【0171】
<比較合成例2>
30mL二つ口フラスコに、DA−Bを0.723g(3.00mmol)を量り取り、NMPを9.30g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を0.672g(3.00mmol)添加し、更に固形分濃度が12質量%になるようにNMPを3.31g加えた。その後、室温で1時間撹拌したところ、反応溶液はゲル化し、攪拌不能となった。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本発明の新規なジアミンは、テトラカルボン酸との重合時にゲル化することなく、加熱により脂肪族2級アミノ基を持つポリイミドの原料として有用である。
【0173】
なお、2013年10月23日に出願された日本特許出願2013−220592号、2013年12月27日に出願された日本特許出願2013−273459号、及び2014年9月12日に出願された日本特許出願2014−186809号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。