特許第6514097号(P6514097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6514097
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】端子ボックスおよびその取付方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20190425BHJP
   H02S 40/34 20140101ALI20190425BHJP
【FI】
   H05K5/00 D
   H02S40/34
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-240574(P2015-240574)
(22)【出願日】2015年12月9日
(65)【公開番号】特開2017-107981(P2017-107981A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年6月12日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ・販売日,販売した場所 1.平成27年 6月17日,AGC硝子建材株式会社 東京都台東区東上野4丁目24番11号 2.平成27年 6月30日,AGC硝子建材株式会社 東京都台東区東上野4丁目24番11号 3.平成27年 7月 2日,AGC硝子建材株式会社 東京都台東区東上野4丁目24番11号 4.平成27年 7月 2日,AGC硝子建材株式会社 東京都台東区東上野4丁目24番11号 5.平成27年 7月29日,AGC硝子建材株式会社 東京都台東区東上野4丁目24番11号 6.平成27年 8月 4日,AGC硝子建材株式会社 東京都台東区東上野4丁目24番11号 7.平成27年 8月 8日,AGC硝子建材株式会社 東京都台東区東上野4丁目24番11号 8.平成27年8月26日,AGC硝子建材株式会社 東京都台東区東上野4丁目24番11号
(73)【特許権者】
【識別番号】000231822
【氏名又は名称】日本端子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 真也
(72)【発明者】
【氏名】西村 紀
(72)【発明者】
【氏名】落合 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】椛澤 賢
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悠二
(72)【発明者】
【氏名】林 真行
【審査官】 三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/032598(WO,A1)
【文献】 特表2004−522324(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0047118(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−51/48
H01R 3/00−13/533
H02G 3/08−3/20
H02S 10/00−99/00
H05K 5/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス本体の平板状の底壁部に固定され、起立したボックス側接続片を含むボックス側端子板を有し、前記底壁部に形成された開口を貫通して前記ボックス側接続片と対向するように前記ボックス本体内に突出した機器側接続片と前記ボックス側接続片とが溶接によって導電接続される端子ボックスを機器に取り付ける取付方法であって、
前記ボックス本体が、前記底壁部を構成する底部部材と、前記底部部材に接合され、前記ボックス側端子板の配置部を取り囲む周壁部を有する枠状部材との組立体を含むものであり、
前記ボックス側端子板を前記底部部材に固定し、前記機器側接続片が前記開口を貫通して前記ボックス本体内に突出するように前記底部部材を前記機器に装着する第1の工程と、
前記第1の工程後に、前記機器側接続片と前記ボックス側接続片とを溶接する第2の工程と、
前記第2の工程後に、前記底部部材に前記枠状部材を装着する第3の工程とを有する端子ボックスの取付方法。
【請求項2】
前記第3の工程後に、前記底部部材と前記枠状部材とによって前記ボックス側端子板の配置部を取り囲むように画定されたポッティング液充填部にポッティング液を充填する第4の工程を有する請求項1に記載の端子ボックスの取付方法。
【請求項3】
ボックス本体の平板状の底壁部に固定され、且つ自身の縁部から起立したボックス側接続片を含むボックス側端子板を有し、前記底壁部に形成された開口を貫通して前記ボックス側接続片と対向するように前記ボックス本体内に突出した機器側接続片と前記ボックス側接続片とが溶接によって導電接続される端子ボックスであって、
前記ボックス本体は、
前記底壁部を構成する底部部材と、
前記底部部材に接合され、且つ自身の外周縁部から起立して前記ボックス側端子板の配置部を取り囲む周壁部を有する枠状部材との組立体を含む端子ボックス。
【請求項4】
前記底部部材と前記枠状部材とは、前記ボックス側端子板の配置部を取り囲み、内側にポッティング液を充填されるポッティング液充填部を画定しており、
前記底部部材と前記枠状部材とは、前記ポッティング液充填部の外郭に沿って延在して互い嵌り合う凹溝と突条とを含んで接合されている請求項3に記載の端子ボックス。
【請求項5】
前記底壁部は、平板状であって、前記機器側接続片を有する機器の平面状の端子ボックス取付面に対向する下底面を有し、前記底部部材は前記開口の周りを取り囲むべく前記下底面から突出して形成されて前記端子ボックス取付面に密着する先端面を有する閉ループ状の接合座部を含んでいる請求項4に記載の端子ボックス。
【請求項6】
前記下底面の外周縁に沿って閉ループ状に延在して前記下底面を前記端子ボックス取付面に接着する接着剤層を有する請求項5に記載の端子ボックス。
【請求項7】
前記枠状部材は前記ポッティング液充填部の内容積を低減すべく前記枠状部材から前記ポッティング液充填部に張り出した張出部を含んでいる請求項4から6の何れか一項に記載の端子ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子ボックスおよびその取付方法に関し、更に詳細には、太陽電池モジュール等に用いられる端子ボックスおよびその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュール等の機器のハウジング(ケーシング)の表面(ボックス取付面)に実装される端子ボックス(ジャンクションボックス)は、平板状の底壁部と当該底壁部の外周縁に沿って当該底壁部から起立した周壁部とを一体に形成された樹脂製のボックス本体を有し、底壁部上にボックス側端子板を装着されている。ボックス側端子板は機器に設けられている機器側接続片と導通接続される(例えば、特許文献1、2、3)。
【0003】
端子ボックスが、ボックス側端子板を装着される平板状の樹脂製の底壁部材と、底壁部材の外周縁を取り囲む周壁部を一体成形された樹脂製の蓋部材とを有するものも知られている(例えば、特許文献4)。
【0004】
機器のハウジングに対する端子ボックスの取り付けは、まず、機器側接続片がボックス側端子板との接合に必要な長さだけ端子ボックス取付面(実装面)から延出している機器ハウジングの端子ボックス取付面に、既に底壁部上にボックス側端子板を装着されている端子ボックスを配置する。この配置によってボックス本体の底壁部に形成されている開口から機器側接続片がボックス本体内に突入するので、機器側接続片とボックス側端子板とをスポット溶接や半田付け等によって導電接続する。そして、溶接完了後にボックス本体内にポッティング液を注入して機器側接続片および機器側接続片とボックス側端子板との導通接続部を絶縁封止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−77391号公報
【特許文献2】特開2009−302590号公報
【特許文献3】特開2013−55305号公報
【特許文献4】特開2004−63651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボックス側端子板と機器側接続片との導電接続をスポット溶接によって行う場合、そのスポット溶接は、ボックス側端子板がボックス本体に取り付けられている状態で行われるから、溶接電極がボックス側端子板と機器側接続片との溶接部に位置する際にボックス本体の周壁部が邪魔にならず、溶接作業性が低下しないように、ボックス本体を大きく作る必要が生じ、端子ボックスのダウンサイジングの障害になる。また、ボックス本体の大型化に伴いポッティング容積が増大し、一つの端子ボックスに対するポッティング液の必要量が増加し、ポッティング液の材料費が嵩む。
【0007】
ボックス側端子板と機器側接続片との導電接続を、ボックス側端子板がボックス本体に取り付けられている状態下で行う必要性の一つは、機器側接続片が端子ボックス取付面から突出している長さがボックス本体に装着されている状態にあるボックス側端子板との接合に必要な長さだけでよいようにするためである。これにより、ボックス側端子板との溶接後に機器側接続片に余剰部が生じることがなく、余剰部がボックス本体内において邪魔になる問題が生じることがない。
【0008】
太陽電池モジュール用の端子ボックスのように、ボックス側端子板が複数個あって、隣り合うボックス側端子板にダイオードが接続されるものでは、ボックス本体に取り付けられているボックス側端子板に対してダイオードを接続することを避け、既にダイオードを接続されて対をなすボックス側端子板単位でボックス側端子板をボックス本体に取り付けることができるように、ボックス本体に取り付ける以前のボックス側端子板にダイオードを接続することが行われる。このため、ボックス本体に取り付ける以前のボックス側端子板に対して機器側接続片を溶接することは、ダイオード付きの対をなす未固定のボックス側端子板に対して機器側接続片を溶接することになり、その作業の際に、ダイオードに不用意に外力が作用してダイオードに損傷が生じたり、ダイオードの接続不良が生じたりする虞がある。このことを避けるために、ボックス側端子板と機器側接続片との接続を、ボックス側端子板がボックス本体に取り付けられている状態下で行う必要性がある。
【0009】
端子ボックスが、底壁部材と、周壁部を一体成形された蓋部材とを有するものは、底壁部材に固定されているボックス側端子板と機器側接続片との溶接に際して、蓋部材に一体成形されている周壁部が邪魔になることはないが、端子板配置部に対するポッティング液の注入が難しく、端子板配置部をポッティングによって適切に封止することが難しい。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、ボックス本体に取り付けられているボックス側端子板に対して機器側接続片を接続するもので、ボックス側端子板と機器側接続片とを溶接作業性を低下することなく端子ボックスのダウンサイジングを促進することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による端子ボックスの取付方法は、ボックス本体(12)の平板状の底壁部に固定され、起立したボックス側接続片(30D)を含むボックス側端子板(30)を有し、前記底壁部に形成された開口(36)を貫通して前記ボックス側接続片(30D)と対向するように前記ボックス本体(12)内に突出した機器側接続片(104)と前記ボックス側接続片(30D)とが溶接によって導電接続される端子ボックス(10)を機器(100)に取り付ける取付方法であって、前記ボックス本体(12)が、前記底壁部を構成する底部部材(14)と、前記底部部材(14)に接合され、前記ボックス側端子板(30)の配置部を取り囲む周壁部(40)を有する枠状部材(16)との組立体を含むものであり、前記ボックス側端子板(30)を前記底部部材(14)に固定し、前記機器側接続片(104)が前記開口(36)を貫通して前記ボックス本体(12)内に突出するように前記底部部材(14)を前記機器(100)に装着する第1の工程と、前記第1の工程後に、前記機器側接続片(104)と前記ボックス側接続片(30D)とを溶接する第2の工程と、前記第2の工程後に、前記底部部材(14)に前記枠状部材を(16)装着する第3の工程とを有する。
【0012】
この発明によれば、底部部材(14)に固定されているボックス側接続片(30D)と機器側接続片(104)との溶接が、枠状部材(16)を装着されていない状態の底部部材(14)に取り付けられているボックス側接続片(30D)に対して行われるから、溶接時に枠状部材(16)が邪魔になることがない。これにより、ボックス側端子板(30D)と機器側接続片(104)とを溶接作業性を低下することなく端子ボックスのダウンサイジングを促進できる。
【0013】
本発明による端子ボックスの取付方法は、更に、前記第3の工程後に、前記底部部材(14)と前記枠状部材(16)とによって前記ボックス側端子板(30)の配置部を取り囲むように画定されたポッティング液充填部(48)に邪魔液(50)を充填する第4の工程を有する。
【0014】
この発明によれば、端子ボックスのダウンサイジングのもとに、端子ボックスに対するポッティング液(50)の必要量が低減し、材料経済性が改善される。
【0015】
本発明による端子ボックスは、ボックス本体(12)の平板状の底壁部に固定され、且つ自身の縁部から起立したボックス側接続片(30D)を含むボックス側端子板(30)を有し、前記底壁部に形成された開口(36)を貫通して前記ボックス側接続片(30D)と対向するように前記ボックス本体(12)内に突出した機器側接続片(104)と前記ボックス側接続片(30D)とが溶接によって導電接続される端子ボックスであって、前記ボックス本体(12)は、前記底壁部を構成する底部部材(14)と、前記底部部材(14)に接合され、且つ自身の外周縁部から起立して前記ボックス側端子板(30)の配置部を取り囲む周壁部(40)を有する枠状部材(16)との組立体を含む。
【0016】
この発明によれば、底部部材(14)に固定されているボックス側接続片(30D)と機器側接続片(104)との溶接が、枠状部材(16)を装着されていない状態の底部部材(14)に取り付けられているボックス側接続片(30D)に対して行うことができ、溶接時に枠状部材(16)が邪魔になることがない。これにより、ボックス側端子板(30D)と機器側接続片(104)とを溶接作業性を低下することなく端子ボックスのダウンサイジングを促進できる。
【0017】
本発明による端子ボックスは、好ましくは、更に、前記底部部材(14)と前記枠状部材(16)とは、前記ボックス側端子板(30)の配置部を取り囲み、内側にポッティング液(50)を充填されるポッティング液充填部(48)を画定しており、前記底部部材(14)と前記枠状部材(16)とは、前記ポッティング液充填部(48)の外郭に沿って延在して互い嵌り合う凹溝(20)と突条(49)とを含んで接合されている。
【0018】
この発明によれば、ポッティング液充填部(48)の底部外周にラビリンスシールとも言える水門構造が構成され、ポッティング液充填部(48)に充填されたポッティング液(50)が外部へ漏洩することが抑制される。また、水門構造は、端子板配置部や導電部からの沿面距離や空間距離を長くする作用もあり、製品の小型化に寄与する。
【0019】
本発明による端子ボックスは、好ましくは、前記底壁部は、平板状であって、前記機器側接続片(104)を有する機器の平面状の端子ボックス取付面(102)に対向する下底面(14A)を有し、前記底部部材(14)は前記開口(36)の周りを取り囲むべく前記下底面(104A)から突出して形成されて前記端子ボックス取付面(102)に密着する先端面(54A)を有する閉ループ状の接合座部(54)を含んでいる。
【0020】
この発明によれば、ポッティング液(50)が開口(36)から外部へ漏洩することが抑制される。
【0021】
本発明による端子ボックスは、好ましくは、前記下底面(14A)の外周縁に沿って閉ループ状に延在して前記下底面(14A)を前記端子ボックス取付面(102)に接着する接着剤層(28)を有する。
【0022】
この発明によれば、万一、ポッティング液(50)が開口(36)から外部へ漏洩しても、底部部材(14)を機器(100)に固定する接着剤層(28)による堰き止め作用により、ポッティング液(50)が底部部材(14)の外周よりが外部へ漏洩することが阻止される。
【0023】
本発明による端子ボックスは、好ましくは、前記枠状部材(16)は前記ポッティング液充填部(58)の内容積を低減すべく前記枠状部材(16)から前記ポッティング液充填部(48)に張り出した張出部(47)を含んでいる。
【0024】
この発明によれば、ポッティング液充填部(48)に充填するポッティング液(50)の必要量が削減される。
【発明の効果】
【0025】
本発明による端子ボックスの取付方法によれば、底部部材に固定されているボックス側接続片と機器側接続片との溶接が、枠状部材を装着されていない状態の底部部材に取り付けられているボックス側接続片に対して行われるから、溶接時に枠状部材が邪魔になることがない。これにより、ボックス側端子板と機器側接続片とを溶接作業性を低下することなく端子ボックスのダウンサイジングを促進できる。
【0026】
また、本発明による端子ボックスによれば、底部部材に固定されているボックス側接続片と機器側接続片との溶接が、枠状部材を装着されていない状態の底部部材に取り付けられているボックス側接続片に対して行うことができ、溶接時に枠状部材が邪魔になることがない。これによりボックス側端子板と機器側接続片とを溶接作業性を低下することなく端子ボックスのダウンサイジングを促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による端子ボックスの一つの実施形態の完成状態を示す斜視図
図2】本実施形態による端子ボックスの分解斜視図
図3】本実施形態による端子ボックスのポッティング完了状態(第5の工程完了時)のボックス本体の平面図
図4図3の線IV−IVに沿った断面図
図5】本実施形態による端子ボックスの第2の工程下の側面図
図6】本実施形態による端子ボックスのボックス側接続片装着状態のボックス本体の斜視図
図7】本実施形態による端子ボックスのボックス本体を下底面から見上げた斜視図
図8】本実施形態による端子ボックスの第3の工程下の斜視図
図9】本実施形態による端子ボックスの第3の工程完了時の斜視図
図10】本実施形態による端子ボックスの第4の工程完了時の斜視図
図11】本実施形態による端子ボックスの第4の工程完了時の斜視断面図
図12】本実施形態による端子ボックスの第4の工程完了時の要部の部分的な斜視断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明による端子ボックスおよびその取付方法の一つの実施形態を、図1図12を参照して説明する。
【0029】
端子ボックス10はボックス本体12を有する。ボックス本体12は、底部部材14と枠状部材16との2個の個別の樹脂成形品の組立体によって構成され、太陽電池モジュールのハウジング100の平面状の端子ボックス取付面(外表面)102に実装される。
【0030】
底部部材14は、ボックス本体12の平板状の底壁部をなすものであり、図2図4図6及び図8に示されているように、前後方向に延在して前側が開口した左右2個の円筒状のプラグ端子装着部18と、平面視でループ状の凹溝20によって外周を取り囲まれた上下2段の平面状の端子板取付部22と、上下方向に延在して上端にねじ孔24Aを形成された左右2個の円筒状のねじ止め座部24と、端子板取付部22及びねじ止め座部24を一括して取り囲んで両端をプラグ端子装着部18に接続される平面視で略ループ状の突条26とを一体成形されている。底部部材14は端子ボックス取付面102に対向する下底面14B(図4参照)の外周縁に沿って閉ループ状に延在するように設けられた接着剤層28によって端子ボックス取付面102に固定される。
【0031】
2個のプラグ端子装着部18には、各々外部接続用のプラス極あるいはマイナス極のプラグ接続用端子32(図4図6参照)がインサート成形等によって固定され、外部接続用のプラグ端子(不図示)を抜き差し可能に挿入される。
【0032】
端子板取付部22には2個のボックス側端子板30が各々係止爪21(図6参照)等によって左右対称に互いに隣接して固定されている。ボックス側端子板30は、金属板のプレス成形品であり、矩形のダイオード接続板部30Aと、ダイオード接続板部30Aから前側に延出した矩形のプラグ側接続板部30Bと、ダイオード接続板部30Aから一段下がって左側あるいは右側に延出した矩形の延長板部30Cと、延長板部30Cの後縁から起立した2個の矩形のボックス側接続片30Dとを一体に有する。
【0033】
ダイオード接続板部30Aには、左右に隣り合う2個のダイオード接続板部30Aを互いに接続すべく、ダイオード34のダイオード本体34Aから両側に延出したリード線34Bが半田付け等によって導電接続されている。プラグ側接続板部30Bにはプラグ接続用端子32が溶接や半田付け等によって導電接続されている。
【0034】
2個のボックス側端子板30が有する合計4個のボックス側接続片30Dは、左右方向に直線状に延在する後側凹溝20Aの前側に近接して左右一列に整列している。底部部材14には、ボックス側接続片30Dの左右一列の配置位置と後側凹溝20Aとの間を上下に貫通する左右方向に長い矩形の開口36(図4図6図8参照)が形成されている。
【0035】
ハウジング100には、図4及び図8に示されているように、端子ボックス取付面102から上方に突出し、各ボックス側接続片30Dに対応する4個のリボン状の機器側接続片104が設けられている。機器側接続片104は、底部部材14が端子ボックス取付面102に固定されることにより、開口36を上下に貫通してボックス本体12内、つまり底部部材14上に突出し、各々対応するボックス側接続片30Dに前後方向に正対する。機器側接続片104が端子ボックス取付面102から突出する上下方向の長さはボックス側接続片30Dとの接合に必要な最小限の長さに設定されており、底部部材14が端子ボックス取付面102に固定された状態では機器側接続片104の上縁がボックス側接続片30Dの上縁に一致する。なお、機器側接続片104の上縁とボックス側接続片30Dの上縁とは、ポッティングによる防水性や絶縁性の観点から、一致していることが好ましいが、必ずしも一致している必要はない。
【0036】
端子ボックス取付面102に対する底部部材14の正規の取付位置は、各機器側接続片104が開口36を貫通し、各機器側接続片104の前面がボックス側接続片30Dの背面(後面)に面接触する位置であり、この位置決めは、機器側接続片104がボックス側接続片30Dに当接することにより行われる。
【0037】
ボックス側接続片30Dと機器側接続片104とは、底部部材14が端子ボックス取付面102に固定された状態下で、対応するもの同士をスポット溶接によって導電接続される。
【0038】
枠状部材16は、ボックス本体12の外枠部(竪壁部)をなすものであり、図2図7図9に示されているように、突条26の内側に位置にする底壁部38と、底壁部38の外周縁部から起立した周壁部40とを一体に有する。周壁部40は、枠状部材16が底部部材14に装着されることにより、2個のボックス側端子板30の配置部を一括して取り囲む。
【0039】
枠状部材16は、凹溝20と突条26との間に延在する底部部材14の平面部14A(図6参照)に整合する底壁部38の下底面38A(図7参照)を有し、下底面38Aの全面に塗布された接着剤によって底部部材14上に固定される。枠状部材16は、図2図9に示されているように、ねじ止め座部24の外周に嵌合する左右2個の固定用円筒部41を有し、各々、固定用円筒部41の上端に形成されたねじ通し孔41Aをワッシャ42を介して貫通してねじ孔24Aに螺合するねじ44によって底部部材14上に位置決め状態で固定される。
【0040】
枠状部材16は、底部部材14に装着されることにより、端子板取付部22の外周を取り囲む、つまりボックス側端子板30の配置部を取り囲む内部隔壁46を有し、内部隔壁46と端子板取付部22とによって上方開口の一つのポッティング液充填部48を画定している。ポッティング液充填部48には、図3図4図10図11に示されているように、ポッティング液50が充填される。これにより、ボックス側端子板30、ダイオード34およびプラグ接続用端子32の接続部が気密に封止される。ポッティング液50の充填はポッティング液充填部48の内容積相当分でよいから、周壁部40の内側の全体にポッティング液50の充填する場合に比してポッティング液50の充填量が削減される。
【0041】
枠状部材16には内部隔壁46からポッティング液充填部48に張り出した、つまりボックス側端子板30の上方に張り出した複数個の張出部47が一体成形されている。張出部47は、竪壁による枠状部47Aおよび枠状部47Aの下部を閉じるように設けられた底壁部47Bとを有し、ポッティング液充填部48の内容積を低減する。これにより、ポッティング液充填部48に対するポッティング液50の充填量がポッティング液充填部48に対する張出容積相当分、削減する。
【0042】
これらのことにより、一つの端子ボックス10に対するポッティング液の必要量(使用量)が低減し、材料経済性が改善される。
【0043】
張出部47がポッティング液充填部48に露呈する底壁部47B(端子板取付部22の上面に対向する壁部)は、ポッティング液充填部48に対するポッティング液50の充填が流れよく行われ、且つ張出部47の下方に空気溜まりができないように、図4に示されているように、張出部47の付け根側に向かって下り勾配に傾斜していることが好ましい。
【0044】
張出部47は底部部材14に対向するオーバハング部になるが、枠状部材16が底部部材14とは別体であることにより張出部47の成形が容易に行われ、当該部分の樹脂成形に支障を来すことはない。
【0045】
ポッティング液充填部48の外郭形状(平面形状)は凹溝20の外郭形状(平面形状)に等しく、枠状部材16の底壁部38にはポッティング液充填部48の外郭に沿って延在する突条49が突出形成されている。突条49は、図4図11に示されているように、凹溝20に嵌り込んでいる。これにより、ポッティング液充填部48の底部外周にラビリンスシールとも言える水門構造が構成され、下底面38Aにおける底部部材14に対する枠状部材16の貼着に不完全な部分があっても、ポッティング液充填部48に充填されたポッティング液50が外部へ漏洩することが抑制される。更には、突条26による堰き止め作用によってポッティング液50が端子ボックス10の外部に漏洩することが防止される。また、この水門構造は、端子板配置部や導電部からの沿面距離や空間距離を長くする作用もあり、端子ボックス10の小型化に寄与する。
【0046】
内部隔壁46がプラグ端子装着部18を跨ぐ部分は、図4図7図12に示されているように、プラグ端子装着部18の外周形状に倣ってアーチ形状をなしており、プラグ端子装着部18の外周に形成された凹溝51に嵌合する突条52を有する。凹溝51と突条52との嵌合により、当該部分にも、ラビリンスシールとも言える水門構造が構成され、ポッティング液充填部48に充填されたポッティング液50が外部へ漏洩することが抑制される。
【0047】
ポッティング液充填部48に充填されたポッティング液50は、図4に示されているように、開口36にも流れ込む。底部部材14には開口36の周りを取り囲むべく下底面14Bから下方に突出した閉ループ状の接合座部54が形成されている。接合座部54は端子ボックス取付面102に密着あるいは端子ボックス取付面102との間隙を微少にする平らな先端面54Aを有する。先端面54Aと端子ボックス取付面102との密着あるいは微少化された間隙によってポッティング液50が開口36から外部へ漏洩することが抑制される。万一、先端面54Aと端子ボックス取付面102との密着部あるいは微少間隙部よりポッティング液50が外部へ漏洩しても、底部部材14の外周が閉ループ状に延在する接着剤層28によって取り囲まれているから、底部部材14の外周よりポッティング液50が外部へ漏洩することが、底部部材14の固定のための接着剤層28による堰き止め作用により阻止される。
【0048】
枠状部材16には上下方向に延在して上端にねじ孔56Aを形成された左右2個の円筒状のねじ止め座部56が突出形成されている。周壁部40によって画定される枠状部材16の上側の開口は、周壁部40の内周に嵌合する平板状の蓋部材58によって閉じられる。蓋部材58は、蓋部材58に形成された係合凹部60と周壁部40に形成された係合爪62との係合によって枠状部材16に係止される。蓋部材58には左右2個のねじ通し孔64が形成されている。蓋部材58は、ねじ通し孔64をワッシャ66を介して貫通してねじ止め座部56のねじ孔56Aに螺合するねじ68によって枠状部材16に固定される。
【0049】
以上に説明した端子ボックス10によれば、底部部材14に固定されているボックス側接続片30Dと機器側接続片104との溶接が、枠状部材16を装着されていない状態の底部部材14に取り付けられているボックス側接続片30Dに対して行うことができ、溶接時に枠状部材16が邪魔になることがない。これにより、ボックス側接続片30Dと機器側接続片104とを溶接作業性を低下することなく端子ボックスのダウンサイジングを促進でき、併せて端子ボックスに対するポッティング液の必要量が低減し、材料経済性が改善される。
【0050】
つぎに、端子ボックス10を太陽電池モジュール等の機器のハウジング100に取り付ける取付方法について説明する。この取付方法では、下記の第1の工程から第5の工程が順に実行される。
【0051】
(第1の工程)
図6に示されているように、プラグ端子装着部18にプラグ接続用端子32をインサート成形されている底部部材14を準備し、2個のボックス側端子板30を係止爪21等によって底部部材14の端子板取付部22上に固定する。ボックス側端子板30を端子板取付部22上に固定した後に、プラグ接続用端子32をプラグ側接続板部30Bに溶接あるいは半田付けする。その後、ダイオード34のリード線34Bをダイオード接続板部30A上に搭載し、リード線34Bをダイオード接続板部30Aに溶接あるいは半田付けする。
【0052】
図2図8に示されているように、底部部材14の下底面14Bに接着剤層28を底部部材14の外周縁に沿って閉ループ状に延在するように設ける。そして、機器側接続片104が開口36を上下に貫通して底部部材14上に突出するように、底部部材14を端子ボックス取付面102上の正規の取付位置に配置し、接着剤層28によって底部部材14を端子ボックス取付面102に液密に貼着する。第2の工程が完了することにより、各ボックス側接続片30Dの背面が対応する機器側接続片104の前面に面接触あるいは対向する。つまり、ボックス側接続片30Dと機器側接続片104とが対応するもの同士で前後方向で見て重なり合う。
【0053】
(第2の工程)
図5に示されているように、前後に重なり合っているボックス側接続片30Dと機器側接続片104とをスポット溶接機のプラス側溶接電極110とマイナス側溶接電極112によって前後から挟み、ボックス側接続片30Dと機器側接続片104とをスポット溶接する。前後に重なり合うボックス側接続片30Dと機器側接続片104とは4組あるので、プラス側溶接電極110およびマイナス側溶接電極112の左右方向の移動によって、ボックス側接続片30Dと機器側接続片104とのスポット溶接を組毎に行う。
【0054】
このスポット溶接は、底部部材14に枠状部材16が取り付けられていない状態で行われるから、枠状部材16の周壁部40がスポット溶接の邪魔になることがなく、作業性よく行われる。このことにより、ボックス側接続片30Dと機器側接続片104との接合部の後方に、マイナス側溶接電極112が周壁部40と干渉することなく近接するためのスペースを端子ボックス10に確保しなくてよくなり、ボックス側接続片30Dと機器側接続片104とを溶接作業性を低下することなく端子ボックス10のダウンサイジングが可能になる。このことは、内部隔壁46がなく、端子ボックス10内の全体にポッティング液50を充填する場合に、ポッティング液50の必要量を低減し、材料経済性を改善する。
【0055】
(第3の工程)
枠状部材16の下底面38Aの全域に接着剤を塗布し、枠状部材16が突条26の内側に嵌り込む位置合わせで、下底面38Aを底部部材14の平面部14Aに貼り付ける。これにより、突条52が凹溝20に嵌り込むと共に、突条52が凹溝51に嵌り込む。また、固定用円筒部41がねじ止め座部24に嵌合する。ワッシャ42を装着したねじ44をねじ孔24Aにねじ込み、図9に示されているように、枠状部材16を底部部材14上に固定する。底部部材14に対する枠状部材16の取り付けにより、端子板取付部22を底部として内部隔壁46によってボックス側端子板30の配置部を取り囲むポッティング液充填部48が画定される。
(第4の工程)
図3図4図10図11に示されているように、ポッティング液充填部48にポッティング液を充填する。これにより、ボックス側端子板30、ダイオード34およびプラグ接続用端子32の接続部が気密に封止される。
(第5の工程)
蓋部材58を枠状部材16の上方開口部の内側に嵌め込み、係合凹部60に係合爪62を係合させる。ワッシャ66を装着したねじ68をねじ孔56Aにねじ込み、図1に示されているように、蓋部材58を枠状部材16に固定する。これにより、端子ボックス10の取り付けが完成する。
【0056】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第1の工程におけるボックス側端子板30の底部部材14に対する取り付けは、ボックス側端子板30を底部部材14に固定する以前あるいは以後の何れであってもよい。また、端子ボックス10は太陽電池モジュール用のものに限られることはなく、種々の電気機器の端子ボックスに適用することができ、ボックス側端子板30の個数も2個に限られることはない。ボックス側接続片30Dと機器側接続片104との溶接は、スポット溶接以外の溶接法によって行われてもよい。また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 端子ボックス
12 ボックス本体
14 底部部材
14A 平面部
14B 下底面
16 枠状部材
18 プラグ端子装着部
20 凹溝
20A 後側凹溝
21 係止爪
22 端子板取付部
24 ねじ止め座部
24A ねじ孔
26 突条
28 接着剤層
30 ボックス側端子板
30A ダイオード接続板部
30B プラグ側接続板部
30C 延長板部
30D ボックス側接続片
32 プラグ接続用端子
34 ダイオード
34A ダイオード本体
34B リード線
36 開口
38 底壁部
38A 下底面
40 周壁部
41 固定用円筒部
41A ねじ通し孔
42 ワッシャ
44 ねじ
47 張出部
48 ポッティング液充填部
49 突条
50 ポッティング液
51 凹溝
52 突条
54 接合座部
54A 先端面
56 ねじ止め座部
56A ねじ孔
58 蓋部材
60 係合凹部
62 係合爪
64 ねじ通し孔
66 ワッシャ
68 ねじ
100 ハウジング
102 端子ボックス取付面
104 機器側接続片
110 プラス側溶接電極
112 マイナス側溶接電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12