【0011】
以下、本発明に関わる限定理由を説明する。
at.%で、Taを35〜50%含有し残部がNi及び不可避的不純物からなる。しかし、Taが35%未満ないし50%の範囲を超えるとNi
2 TaとNiTaの化合物のうち、どちらか一方しか形成しない。すなわち、平衡状態図から100%Ni〜Ni−35Ta未満の間で形成される相は、Ni、Ni
8 Ta、Ni
3 Ta、Ni
2 Taであり、また、Ni−50Ta超から100%Taの間で成形される相はNiTa、NiTa
2 、Taであり、Ni−35Ta%からNi−50Ta%の間のみNi
2 TaとNiTaが共存できる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1に示す各成分組成を、ガスアトマイズ法によりNi−Ta合金粉末を作製した。得られた粉末を500μm以下に分級し、HIP成形(熱間当方圧プレス)の原料粉末として用いた。HIP成形用ビレットは、直径250mm、長さ50mmの炭素鋼製缶に原料粉末を充填したのち、真空脱気、封入し作製した。この粉末充填ビレットを表1に示す成形圧力、成形温度、保持時間の条件でHIP成形した。その後、成形体から直径180mm、厚さ7mmのスパッタリングターゲット材を作製した。
【0018】
評価方法としては、スパッタリングターゲット材のミクロはスパッタリングターゲット端材から走査型電子顕微鏡(SEM)用試験片を採取し、試験片断面を研磨し、反射電子像を撮影し、化合物中に描ける最大内接円を評価した。また、電子線マイクロアナライザ(Electron Probe Micro Analyzer)にて長さ1mmの線分析を5箇所で実施し、Niの原子量の最大値と最小値の差を評価した。Niの原子量の最大値と最小値が20at%以下であれば良好な均質性を有するスパッタリングターゲット材としOKとした。20at%以上の差がある場合にNGとした
【0019】
パーティクル評価方法は、直径95mm、板厚1.75mmのアルミ基板上にDCマグネトロンスパッタにてArガス圧力0.9Paで成膜し、Optical Surface Analyzerにてパーティクル数を評価した。
【0020】
スパッタ膜の組成のムラは、スパッタした基板を電子線マイクロアナライザ(Electron Probe Micro Analyzer)にて長さ1mmの線分析を5箇所で実施しNiの原子量の最大値と最小値の差を評価した。Niの原子量の最大値と最小値が20at%以下であれば良好な均質性の膜で、OKとした。Niの原子量の最大値と最小値が20at%以上であれば不均質な膜であるのでNGとした。
【0021】
スパッタリングターゲット材の強度は横4mm、縦3mm、長さ25mmのTPをワイヤーで割り出したものを、三点曲げ試験によって評価した。三点曲げ試験の条件は、支点間距離20mmで実施し、縦方向に圧下しその時の応力(N)を測定し、次の式に基づき、三点曲げ強度とした。
三点曲げ強度(MPa)=(3×応力(N)×支点間距離(mm))/(2×試験片の幅(mm)×(試験片厚さ(mm)
2 。
【0022】
【表1】
表1に示すように、No.1〜12は本発明例であり、No.13〜18は比較例である。
【0023】
比較例No.13は、Taの成分組成が高く、かつ一様にNiTa化合物相となっている。すなわち、Ni
2 Taが存在せず、全面がNiTa化合物相であるため抗折応力が極めて低くなっている。抗折応力が低いためパーティクルが多数発生している。比較例No.14は、Ni
2 Ta化合物相のミクロ組織の最大内接円径が16μmと粗大化しており、抗折応力が低くなっている。そのため、パーティクルが多数発生している。比較例No.15は、Taの成分組成が低く、一様にNi
2 Ta化合物相となっている。すなわち、NiTa化合物相が存在せず、全面がNi
2 Ta化合物相であるため抗折応力が低くなっている。そのため、パーティクルが多数発生している。
【0024】
比較例No.16は、純Ta粉末を41.33とNi37.5Taアトマイズ粉末を33.1と純Niアトマイズ粉末を25.57の混合比でV型混合器で30分混合したのち、直径250mm、長さ50mmの炭素鋼製缶に充填し、真空脱気、封入し作製した。この粉末充填ビレットを表1に示す成形圧力、成形温度、保持時間の条件でHIP成形した。その後、成形体から直径180mm、厚さ7mmのスパッタリングターゲット材を作製した。そのターゲット材は、Ni
2 Ta化合物相、NiTa化合物相のミクロ組織の最大内接円径が15と粗大化しており、また、Ni
2 Ta化合物相とNiTa化合物相以外にTa相、Ni
3 Ta相、Ni相が存在し抗折応力が低くなっている。そのため、パーティクルが多数発生している。
【0025】
比較例No.17は、No.16と同様に、純Ta粉末を11.09とNi37.5Taアトマイズ粉末を88.91の混合比でV型混合器で30分混合したのち、直径250mm、長さ50mmの炭素鋼製缶に充填し、真空脱気、封入し作製した。この粉末充填ビレットを表1に示す成形圧力、成形温度、保持時間の条件でHIP成形した。その後、成形体から直径180mm、厚さ7mmのスパッタリングターゲット材を作製した。そのターゲット材は、NiTa化合物相のミクロ組織の最大内接円径が13μmと大きく、また、Ni
2 Ta化合物相とNiTa化合物相以外にTa相が存在し抗折応力は比較例16より改善しているが、低くそのためパーティクルを発生している。また、純Taを含有し、スパッタリングターゲット材として、組成が不均一で、また、スパッタした膜も組成が不均一となっている。
【0026】
比較例No.18は、比較例No.16と同様に、純Ta粉末を64.91と純Niアトマイズ粉末を35.09の混合比でV型混合器で30分混合したのち、直径250mm、長さ50mmの炭素鋼製缶に充填し、真空脱気、封入し作製した。この粉末充填ビレットを表1に示す成形圧力、成形温度、保持時間の条件でHIP成形した。その後、成形体から直径180mm、厚さ7mmのスパッタリングターゲット材を作製した。そのターゲット材は、Ni
2 Ta化合物相のミクロ組織の最大内接円径が13μmと大きく、また、Ni
2 Ta化合物相とNiTa化合物相以外にTa相、Ni
3 Ta相、Ni相が存在し抗折応力は比較例16より改善しているが、低くそのためパーティクルを発生している。また、純Taや、Ni
3 Ta相を含有し、スパッタリングターゲット材として、組成が不均一で、また、スパッタした膜も組成が不均一となっている。