(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3のステップは、前記光源電圧が飽和していると判定した場合に、飽和していないと判定した前記光源電圧に、前記変化情報から算出した補正係数を掛けることで前記設定時間経過時の前記光源電圧を推定する請求項7に記載の光源の駆動条件調整方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という)について説明する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る光源の駆動条件調整方法の実施形態1を説明するためのフローチャートを示す図である。
本実施形態1の光源の駆動条件調整方法は、定電流駆動する光源の駆動条件調整方法に適用され、あらかじめ設定した駆動電流である初期駆動電流及びあらかじめ設定した駆動時間である初期駆動時間で光源を駆動する第1のステップ(S11)と、光源を駆動してから任意の設定時間経過時に光源の両端の電圧である光源電圧を測定する第2のステップ(S12)と、光源電圧に応じて、あらかじめ設定した調整手順に基づいて駆動電流及び駆動時間を再設定する第3のステップ(S13)と、を有する。
【0013】
本実施形態1の光源の駆動条件調整方法は、あらかじめ設定した駆動時間である初期駆動時間で光源を駆動する第1のステップと、光源を駆動してから任意の設定時間経過時に光源の両端の電圧である光源電圧を測定する第2のステップと、光源電圧に応じて、あらかじめ設定した調整手順に基づいて駆動電流及び駆動時間を再設定する第3のステップと、を有することにより、短時間で最適な駆動条件を導出できるという効果を奏する。
ここで定電流駆動とは、設定した駆動時間中は常に設定した駆動電流が光源に流れる駆動方法を意味し、またここで任意の設定時間とは、例えば、ガス濃度測定装置内の赤外線検出素子の出力をサンプリングするための最適な時間として使用者が適宜決定することができる。
【0014】
また、調整を行うか否かは、例えば、基準値を設け、その基準値と光源電圧を比較して判定を行っても良い。基準値は使用する光源の温度特性や光源を駆動する回路の電源電圧等を考慮して適宜決定することができる。
またここで、あらかじめ設定した調整手順とは、例えば、光源電圧に対して最適な駆動条件が一意に決まるような表を用意し、その表に基づいて新たな駆動時間と駆動電流を決めるような手順が考えられるがこれに限定されるものではない。
また、本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、第3のステップは、光源電圧と所定範囲内外の境界である第1の閾値電圧とを比較し、比較結果に応じて調整手順を実行するか否かを決定するものであっても良い。
【0015】
本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、光源電圧と第1の閾値電圧とに基づいて、駆動電流及び駆動時間を再設定するため、短時間で最適な駆動条件を導出できるという効果を奏する。
ここで第1の閾値電圧は、例えば、電源電圧や光源電圧の温度特性等に基づく光源電圧の正常動作範囲の上限あるいは下限として決めることができる。
また、調整手順を実行するか否かの決定は、例えば、光源電圧が第1の閾値電圧を超えた場合に再設定するようにしてもよい。ここで、光源電圧が第1の閾値電圧を超えたか否かの判定は、例えば、一般的なコンパレータ回路を用いることで、その出力から判定することが可能である。また例えば、光源電圧が第1の閾値電圧を下回った場合に再設定するようにしてもよい。
また、本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、光源電圧と、
図1のような、駆動電流及び駆動時間に対する基準光源の電圧である基準光源電圧の変化情報と、に基づいて駆動電流及び駆動時間を再設定するものであっても良い。
【0016】
図4は、本発明に係る光源の駆動条件調整方法の実施形態1を説明するための、時間と光源電圧との関係を示す図である。
本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、基準光源の実測データに基づいて、新たな駆動電流および駆動時間を決定するため、精度良く最適条件を導出できるという効果を奏する。
ここで基準光源とは、例えば、光源と近い特性を示す代表的な光源を意味する。
またここで変化情報とは、上述の基準光源に対して様々な駆動電流で駆動させた場合の基準光源電圧の変化のデータ、及び、様々な駆動時間で駆動させた場合の基準光源電圧の変化のデータを意味する。またこの変化情報は、上述の基準光源を複数個用意し、それら複数の光源から得られる変化情報に基づいて得られるものであってもよい。これにより、個体差の影響を減らし、最適な駆動条件をより短時間で導出することが可能となる。
また、本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、第1の閾値電圧に対する前記光源電圧の比に基づいて駆動電流及び駆動時間を再設定するものであっても良い。
【0017】
実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、閾値電圧に対する光源電圧の比に基づいて駆動電流及び駆動時間を再設定するため、精度良く最適条件を導出できるという効果を奏する。
ここで第1の閾値電圧に対する光源電圧の比に基づいて駆動電流及び駆動時間を再設定する方法としては、第1の閾値電圧に対する光源電圧の比から、最適な駆動条件が求まる表を用意し、その表に基づいて新たな駆動条件を決めるような方法を用いることができる。例えば、第1の閾値電圧に対する光源電圧の比が1.5である場合に、現状の駆動条件に対し光源電圧が1/1.5となるような駆動電流及び駆動時間を変化情報から求め、それらの条件を新たな駆動電流及び駆動時間として再設定することが可能である。
また、本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、光源を駆動してから設定時間経過前の間に光源電圧が飽和した場合に、変化情報に基づいて設定時間経過時の光源電圧を推定し、推定した光源電圧に基づいて駆動電流及び駆動時間を再設定するものであっても良い。
【0018】
本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、光源を駆動してから設定時間経過前の間に光源電圧が飽和した場合に、変化情報に基づいて設定時間経過時の光源電圧を推定し、推定した光源電圧に基づいて駆動電流及び駆動時間を再設定するため、精度良く最適条件を導出できるという効果を奏する。
ここで光源電圧が飽和した状態とは、電源電圧から求められる光源電圧上限値に光源電圧が達している状態を意味する。飽和しているか否かの判定は、例えば、光源電圧上限値から測定誤差などのマージンを差し引いた基準値を用意し、その基準値と光源電圧との比較から判定することが可能である。
【0019】
また、基準光源電圧の変化情報に基づいて設定時間経過時の光源電圧を推定する方法の一例としては、例えば、設定時間経過後の基準光源電圧と光源電圧が飽和していない時間の基準光源電圧の比を表す係数を求め、飽和していない時間の光源電圧にその係数を掛け合わせる方法を用いることができる。
また、本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、第2のステップは、光源電圧を複数回測定し、第3のステップは、複数回測定した光源電圧に基づいて光源電圧が飽和しているか否かを判定するものであっても良い。
【0020】
本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、第2のステップは、光源電圧を複数回測定し、第3のステップは、複数回測定した光源電圧に基づいて光源電圧が飽和しているか否かを判定するため、精度よくどの時間から飽和していたかを推定することができるという効果を奏する。
ここで複数回測定した光源電圧に基づいて光源電圧が飽和しているか否かを判定する方法の一例としては、例えば、上述した光源電圧上限値に測定誤差などのマージンを持たせた基準値を用意し、その基準値と複数ある光源電圧それぞれとを比較し判断する方法を用いることができる。
また、本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、第3のステップは、複数回測定した光源電圧のいずれ
かが、飽和したか判断するための基準値である第2の閾値電圧を超えた場合に、光源電圧が飽和していると判定するものであっても良い。
【0021】
本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、第3のステップは、複数回測定した光源電圧のいずれ
かが、第2の閾値電圧を超えた場合に、光源電圧が飽和していると判定するものであるため、精度よくどの時間から飽和していたかを推定することができるという効果を奏する。
ここで第2の閾値は、例えば、上述の光源電圧上限値から測定誤差などのマージンを差し引いた値を用いることができる。
また、本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、第3のステップは、光源電圧が飽和していると判定した場合に、飽和していないと判定した光源電圧に、変化情報から算出した補正係数を掛けることで設定時間経過時の光源電圧を推定するものであっても良い。
【0022】
本実施形態1に係わる駆動条件調整方法において、第3のステップは、光源電圧が飽和していると判定した場合に、飽和していないと判定した光源電圧に、変化情報から算出した補正係数を掛けることで設定時間経過時の光源電圧を推定するため、精度よく光源電圧を推定することができるという効果を奏する。
ここで基準光源電圧の変化情報から補正係数を求める方法の一例としては、例えば、設定時間経過後の基準光源電圧と光源電圧が飽和していない時間の基準光源電圧の比を表す係数を変化情報の表から求め、飽和していない時間の光源電圧にその係数を掛け合わせるような方法を用いることができる。
【0023】
[実施形態2]
図2は、本発明に係る光源の駆動条件調整方法の実施形態2を説明するためのフローチャートを示す図である。
本実施形態2の光源の駆動条件調整方法は、定電圧駆動する光源の駆動条件調整方法に適用され、あらかじめ設定した駆動電圧である初期駆動電圧及びあらかじめ設定した駆動時間である初期駆動時間で前記光源を駆動する第1のステップ(S21)と、光源を駆動してから任意の設定時間経過時に光源を流れる電流である光源電流を測定する第2のステップ(S22)と、光源電流が所定の範囲外の場合に、あらかじめ設定した調整手順に基づいて駆動電圧及び駆動時間を再設定する第3のステップ(S23)と、を有する。
【0024】
本実施形態2の光源の駆動条件調整方法は、あらかじめ設定した駆動電圧である初期駆動電圧及びあらかじめ設定した駆動時間である初期駆動時間で光源を駆動する第1のステップと、光源を駆動してから任意の設定時間経過時に光源の両端の電流である光源電流を測定する第2のステップと、光源電流が所定の範囲外の場合に、あらかじめ設定した調整手順に基づいて駆動電圧及び駆動時間を再設定する第3のステップと、を有することにより、短時間で最適な駆動条件を導出できるという効果を奏する。
ここで定電圧駆動とは、設定した駆動時間中は常に設定した駆動電圧が光源に印加される駆動方法を意味し、またここで任意の設定時間とは、例えば、ガス濃度測定装置内の赤外線検出素子の出力をサンプリングするための最適な時間として使用者が適宜決定することができる。
【0025】
また、調整を行うか否かは、基準値を設け、その基準値と光源電流を比較して判定を行っても良い。基準値は使用する光源の温度特性や光源を駆動する回路が出力できる最大電流等を考慮して適宜決定することができる。
またここで、あらかじめ設定した調整手順とは、例えば、光源電流に対して最適な駆動条件が一意に決まるような表を用意し、その表に基づいて新たな駆動時間と駆動電圧を決めるような手順が考えられるがこれに限定されるものではない。
また、本実施形態2に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、光源電流と、駆動電流及び駆動時間に対する基準光源の電流である基準光源電流の変化情報と、に基づいて駆動電圧及び駆動時間を再設定するものであっても良い。
【0026】
本実施形態2に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、基準光源の実測データに基づいて、新たな駆動電圧及び駆動時間を決定するため、精度良く最適条件を導出できるという効果を奏する。
ここで基準光源とは、例えば、光源と近い特性を示す代表的な光源を意味する。
またここで変化情報とは、上述の基準光源に対して様々な駆動電圧で駆動させた場合の基準光源電流の変化のデータ、及び、様々な駆動時間で駆動させた場合の基準光源電流の変化のデータを意味する。またこの変化情報は、上述の基準光源を複数個用意し、それら複数の光源から得られる変化情報に基づいて得られるものであってもよい。これにより、個体差の影響を減らし、最適な駆動条件をより短時間で導出することが可能となる。
また、本実施形態2に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、光源を駆動してから設定時間経過前の間に光源電流が飽和した場合に、変化情報に基づいて設定時間経過時の光源電流を推定し、推定した光源電流に基づいて駆動電圧及び駆動時間を再設定するものであっても良い。
【0027】
本実施形態2に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、光源を駆動してから設定時間経過前の間に光源電流が飽和した場合に、変化情報に基づいて設定時間経過時の光源電流を推定し、推定した光源電流に基づいて駆動電圧及び駆動時間を再設定するため、精度良く最適条件を導出できるとういう効果を奏する。
ここで、光源電流が飽和した状態とは、駆動する回路が出力できる最大電流値に光源電流が達している状態を意味する。飽和しているか否かの判定は、例えば、最大の電流値から測定誤差などのマージンを差し引いた基準値を用意し、その基準値と光源電圧との比較から判定することが可能である。
また、基準光源電流の変化情報に基づいて設定時間経過時の光源電流を推定する方法の一例としては、例えば、設定時間経過後の基準光源電流と光源電流が飽和していない時間の基準光源電流の比を表す係数を求め、飽和していない時間の光源電流にその係数を掛け合わせる方法を用いることができる。
【0028】
[実施形態3]
図3は、本発明に係る光源の駆動条件調整方法の実施形態3を説明するためのフローチャートを示す図である。
本実施形態3の光源の駆動条件調整方法は、定電力駆動する光源の駆動条件調整方法に適用され、あらかじめ設定した駆動電力である初期駆動電力及びあらかじめ設定した駆動時間である初期駆動時間で前記光源を駆動する第1のステップ(S31)と、光源を駆動してから任意の設定時間経過時に光源の両端の電圧である光源電圧及び光源を流れる電流である光源電流を測定する第2のステップ(S32)と、光源電流が所定の範囲外の場合に、あらかじめ設定した調整手順に基づいて駆動電力及び駆動時間を再設定する第3のステップ(S33)と、を有する。
【0029】
本実施形態3の光源の駆動条件調整方法は、あらかじめ設定した駆動電力である初期駆動電力及びあらかじめ設定した駆動時間である初期駆動時間で光源を駆動する第1のステップと、光源を駆動してから任意の設定時間経過時に光源の両端の電圧である光源電圧及び両端に流れる電流である光源電流を測定する第2のステップと、光源電流が所定の範囲外の場合に、あらかじめ設定した調整手順に基づいて駆動電力及び駆動時間を再設定する第3のステップと、を有することにより、短時間で最適な駆動条件を導出できるという効果を奏する。
【0030】
ここで定電圧駆動とは、設定した駆動時間中は常に設定した駆動電力が光源に投入される駆動方法を意味し、またここで任意の設定時間とは、例えば、ガス濃度測定装置内の赤外線検出素子の出力をサンプリングするための最適な時間として使用者が適宜決定することができる。
また、調整を行うか否かは、基準値を設け、その基準値と光源電圧や光源電流を比較して判定を行っても良い。基準値は使用する光源や光源を駆動する回路の電源電圧や回路が出力できる最大電流等を考慮して適宜決定することができる。
【0031】
またここで、あらかじめ設定した調整手順とは、例えば、光源電流および光源電圧に対して最適な駆動条件が一意に決まるような表を用意し、その表に基づいて新たな駆動時間と駆動電力を決めるような手順が考えられるがこれに限定されるものではない。
また、本実施形態3に駆動条件調整方法において、調整手順は、光源電圧及び光源電流と、駆動電力及び駆動時間に対する基準光源の電圧である基準光源電圧及び基準光源の電流である基準光源電流の変化情報と、に基づいて駆動電力及び駆動時間を再設定するものであっても良い。
【0032】
本実施形態3に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、基準光源の実測データに基づいて、新たな駆動電力及び駆動時間を決定するため、精度良く最適条件を導出できるという効果を奏する。
ここで基準光源とは、例えば、光源と近い特性を示す代表的な光源を意味する。またここで変化情報とは、上述の基準光源に対して様々な駆動電力で駆動させた場合の基準光源電圧や基準光源電流の変化のデータ、及び、様々な駆動時間で駆動させた場合の基準光源電圧や基準光源電流の変化のデータを意味する。またこの変化情報は、上述の基準光源を複数個用意し、それら複数の光源から得られる変化情報に基づいて得られるものであってもよい。これにより、個体差の影響を減らし、最適な駆動条件をより短時間で導出することが可能となる。
また、本実施形態3に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、光源を駆動してから設定時間経過前の間に光源電圧または光源電流が飽和した場合に、変化情報に基づいて設定時間経過時の光源電圧または光源電流を推定し、推定した光源電圧または光源電流に基づいて駆動電力及び駆動時間を再設定するものであっても良い。
【0033】
本実施形態3に係わる駆動条件調整方法において、調整手順は、光源を駆動してから設定時間経過前の間に光源電圧または光源電流が飽和した場合に、変化情報に基づいて設定時間経過時の光源電圧または光源電流を推定し、推定した光源電圧または光源電流に基づいて駆動電力及び駆動時間を再設定するため、精度良く最適条件を導出できるとういう効果を奏する。
ここで、光源電圧が飽和した状態とは、電源電圧から求められる光源電圧上限値に光源電圧が達している状態を意味し、光源電流が飽和した状態とは、電源が出力できる最大の電流値に光源電流が達している状態を意味する。飽和しているか否かの判定は、例えば、光源電圧の上限値や最大の電流値から測定誤差などのマージンを差し引いた基準値を用意し、その基準値と光源電圧との比較から判定することが可能である。
また、基準光源電圧や基準光源電流の変化情報に基づいて設定時間経過時の光源電圧や光源電流を推定する方法の一例としては、例えば、設定時間経過後の基準光源電圧や基準光源電流と基準光源電圧や光源電流が飽和していない時間の基準光源電圧や基準光源電流の比を表す係数を求め、飽和していない時間の光源電圧や光源電流にその係数を掛け合わせる方法を用いることができる。
【0034】
なお、本願発明に係る光源の駆動条件調整方法において、初期駆動電流、初期駆動電圧、初期駆動電力及び初期駆動時間とは、最初に光源を駆動する際に設定されている設定値を意味するだけではなく、光源の駆動条件調整方法を複数回行うような場合には、前回行った駆動条件調整方法によって再設定された設定値を初期駆動電流、初期駆動電圧、初期駆動電力及び初期駆動時間とすることで、繰り返し本願発明に係る光源の駆動条件調整方法を実行することができる。
以下、本実施形態における各構成要件について説明する。各構成要件の具体例や技術的特徴は、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で単独または組み合わせて適用可能である。
【0035】
(光源)
光を出力するものであれば特に制限されない。例えば、白熱電球やセラミックヒータ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ヒーターやLEDなどを用いることができる。
以下、本実施形態における実施例について説明する。
【実施例】
【0036】
光源としてのタングステン光源、CO
2による赤外線吸収のある4.2μm〜4.4μmの波長帯を選択的に濾波選別する光学フィルタを搭載した測定用赤外線検出部としての量子型赤外線センサ「IR1011」(旭化成エレクトロニクス株式会社製)、CO
2による赤外線吸収の無い3.7μm〜3.9μmの波長帯を選択的に濾波選別する光学フィルタを搭載した参照用赤外線検出部としての量子型赤外線センサ「IR1011」(旭化成エレクトロニクス株式会社製)、演算部として記憶部と処理部を備えたICを、リン青銅に金メッキを施したガスセル中に、配置した炭酸ガス濃度測定装置を準備した。
【0037】
次いで、炭酸ガス濃度測定装置中の光源を、初期の駆動条件である設定周期2s、設定駆動時間350ms、設定駆動電流55mAで駆動させ、光源電圧を10ms毎に取得した。ここで設定周期とは光源がON、OFFを繰り返す際のその繰り返しの周期を意味する。
図5は、炭酸ガス濃度測定装置中の光源を初期の駆動条件で駆動させた場合の取得データを示す図である。
図5より、220ms以降で光源電圧が第1の閾値電圧3.6Vを超えており、250ms以降で飽和しているかの判断基準である第2の閾値電圧3.9Vを超えていることがわかる。
【0038】
図4は、炭酸ガス濃度測定装置中の光源と同仕様で別個体の基準光源を用意した場合の取得データを示す図である。
図4に示すように、炭酸ガス濃度測定装置中の光源と同仕様で別個体の基準光源を用意し、設定周期は2sで固定のまま複数の駆動電流および駆動時間で駆動させ、各駆動条件毎に基準タングステン光源の両端の電圧を10ms毎に取得した。
ここから、炭酸ガス濃度測定装置中の光源の電圧が常に第1の閾値電圧3.6V以下になるような駆動条件を、実施形態1の調整方法を用いて導出する。
まず、炭酸ガス濃度測定装置中の光源が飽和しなかった場合の電圧ピーク値を計算した。駆動時間350ms、駆動電流55mAにて基準光源を駆動させた際の取得データ(
図4)より、ピーク光源電圧(350ms時の電圧)は240ms時の光源電圧から+11.9%した値になっている。炭酸ガス濃度測定装置中の光源の240ms時の光源電圧は3.87Vであるため、基準タングステン光源の取得データから推測すると、ピーク光源電圧は4.33Vとなる。
【0039】
図6は、ピーク電圧の推定のフローチャートを示す図である。
まず、設定駆動時間Tを設定する(ステップS61)。次に、電圧@T[ms]が第2の閾値電圧以下か否かを判断する(ステップS62)。ステップS62において、第2の閾値電圧以下であれば飽和していないので推定不要となる(ステップS63)。ステップS62において、第2の閾値電圧以下でなければ、T=T−10に設定し(ステップS64)、電圧@T[ms]が第2の閾値電圧以下か否かを判断する(ステップS65)。ステップS65において、第2の閾値電圧以下であれば、現駆動条件における基準光源の電圧@T[ms]と最大電圧の関係から最大電圧を推定して(ステップS66)、このフローを終了する。ステップS65において、第2の閾値電圧以下でなければ、ステップS64に戻る。
【0040】
次いで、炭酸ガス濃度測定装置中の光源の電圧が駆動中常に第1の閾値電圧3.6V以下になるような駆動条件を計算した。光源電圧が常に3.6V以下になるには、ピーク光源電圧を16.9%下げなければならない。基準光源での取得データから推測すると、設定駆動電流51mA、設定駆動時間300msの際にピーク駆動電圧が現状の値から17.6%下がるため、これらの条件を新たな駆動条件とした。
図7は、駆動条件を決定するフローチャートを示す図である。
まず、光源電圧が常に第1の閾値電圧以下か否かを判断する(ステップS71)。ステップS71において、第1の閾値電圧以下であれば、調整不要となる(ステップS72)。ステップS71において、第1の閾値電圧以下でなければ、駆動時間の調整のみでよいか否かを判断する(ステップS73)。ステップS73において、駆動時間の調整のみでよいならば、光源電圧が常に第1の閾値電圧以下になる最大の駆動時間を新たな駆動時間とし(ステップS74)、新たな駆動時間と新たな駆動電流を設定して(ステップS75)、このフローを終了する。ステップS73において、駆動時間の調整のみでよくなければ、1段階下げた駆動電流を新たな駆動電流とし(ステップS76)、ステップ73に戻る。
最後に、新たな駆動条件、駆動電流51mA、駆動時間300msで炭酸ガス濃度測定装置中の光源を駆動させ、光源電圧を10ms毎に取得した。
【0041】
図8は、新たな駆動条件における取得データを示す図である。
図8に示す通り、新たな駆動条件では光源の電圧が駆動中常に第1の閾値電圧3.6V以下となっている。
ただし、光源は発光量が安定するまでに時間を要することがあるため、一定時間光源を駆動させ、発光量が十分に安定した後に両端の電圧を取得しても良い。
以上の結果より、実施形態1の光源の駆動条件調整方法によれば、短時間で光源の最適な駆動条件を導出できることが理解される。
また、定電圧駆動や定電力駆動においても、本実施例の一部パラメータを変えた同様のプロセスを経ることで、最適な駆動条件を推定できることは明らかである。定電圧駆動の場合は、光源の電流値の時間変化情報を取得し、あらかじめ取得した各駆動条件における基準光源の電流値の時間変化情報に基づいて最適な駆動条件を導出する。定電力動作の場合は、光源の電圧値および電流値の時間変化情報を取得し、あらかじめ取得した各駆動条件における基準光源の電圧値および電流値の時間変化情報に基づいて最適な駆動条件を導出する。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の技術的範囲には限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることも可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。