特許第6516096号(P6516096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6516096トリアゾール含有テトラカルボン酸二無水物、液晶配向剤、液晶配向膜、および液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516096
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】トリアゾール含有テトラカルボン酸二無水物、液晶配向剤、液晶配向膜、および液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/14 20060101AFI20190513BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20190513BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   C07D405/14CSP
   G02F1/1337 525
   C08G73/10
【請求項の数】12
【全頁数】132
(21)【出願番号】特願2015-96006(P2015-96006)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2016-41683(P2016-41683A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-165312(P2014-165312)
(32)【優先日】2014年8月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596032100
【氏名又は名称】JNC石油化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 裕以智
(72)【発明者】
【氏名】田村 典央
(72)【発明者】
【氏名】藤馬 大亮
(72)【発明者】
【氏名】小口 雄二郎
【審査官】 安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−249473(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101774973(CN,A)
【文献】 特公昭46−021656(JP,B1)
【文献】 米国特許第03814719(US,A)
【文献】 特開2009−163217(JP,A)
【文献】 特開2011−209505(JP,A)
【文献】 E, Y. ET AL,Synthesis and properties of novel polytriazoleimides derived from 1,2,3-triazole-containing diamines and aromatic dianhydrides,Polymers for Advanced Technologies,2012年,23(7),1092-1100
【文献】 YANPENG, E. ET AL,New polytriazoleimides with high thermal and chemical stabilities,Bulletin of the Korean Chemical Society,2012年,33(7),2193-2199
【文献】 E, Y. ET AL,Thermal stability of a novel polytriazoleimide,Advanced Materials Research (Durnten-Zurich, Switzerland),2012年,557-559(Pt. 2),991-995
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C08G
G02F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物。
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
式(1)において、Xは−A−X−A−で表されるトリアゾール環を含む2価の有機基であり;
はトリアゾール環であり;
およびAはそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり(但しAおよびAは共に単結合となることはなく);
このアルキレン中の少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;そして、
少なくとも1つの−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;
およびRはそれぞれ独立して、下記の3価の基の群から選ばれる1つであり;
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
これらの基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよい。
【請求項2】
式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物。
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
式(1)において、Xは−A−X−A−X−A−で表されるトリアゾール環を含む2価の有機基であり;
とXはトリアゾール環であり;
〜Aはそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり(但しA〜Aは全てが単結合となることはなく);
このアルキレン中の少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;そして、
このアルキレン中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよく;
およびRはそれぞれ独立して、下記の3価の基の群から選ばれる1つであり;
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
これらの基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよい。
【請求項3】
式(3)で表される、請求項1に記載のテトラカルボン酸二無水物。
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
式(3)において、Xはトリアゾール環であり;
およびAはそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり(但しAおよびAは共に単結合となることはなく)
このアルキレン中の少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;そして、
少なくとも1つの−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。
【請求項4】
式(4)で表される、請求項に記載のテトラカルボン酸二無水物。
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
式(4)において、XとXはトリアゾール環であり;
〜Aはそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり(但しA〜Aは全てが単結合となることはなく)
このアルキレン中の少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;そして、
このアルキレン中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のテトラカルボン酸二無水物を少なくとも1つ含むテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られる、ポリアミック酸またはその誘導体。
【請求項6】
請求項5に記載のポリアミック酸またはその誘導体を含有する液晶配向剤。
【請求項7】
請求項5に記載のポリアミック酸またはその誘導体と、その他の重合体を含有する、請求項6に記載の液晶配向剤。
【請求項8】
請求項6または7に記載の光配向用液晶配向剤。
【請求項9】
請求項6または7に記載のラビング用液晶配向剤。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1項に記載の、横電界方式の液晶表示素子用液晶配向剤。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1項に記載の液晶配向剤によって形成される液晶配向膜。
【請求項12】
請求項11に記載の液晶配向膜を有する液晶表示装置。
以上
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なテトラカルボン酸二無水物、これを用いて得られるポリアミック酸またはその誘導体、さらにその用途に関する。なお、本発明における用語「液晶配向剤」は、液晶配向膜を形成させるために用いるポリマー含有組成物を意味する。
【背景技術】
【0002】
パソコンのモニター、液晶テレビ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型ディスプレイ等の様々な表示装置、さらには、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子等、今日製品化されて一般に流通している液晶表示素子は、ネマティック液晶を用いた表示素子が主流である。ネマティック液晶表示素子の表示方式は、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モードがよく知られている。近年、これらのモードの問題点の1つである視野角の狭さを改善するために、光学補償フィルムを用いたTN型液晶表示素子、垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード、あるいは横電界方式のIPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モードが提案され、実用化されている。
【0003】
液晶表示素子の技術の発展は、単にこれらの駆動方式や素子構造の改良のみならず、素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は表示品位に係わる重要な材料の1つであり、液晶表示素子の高品質化に伴い、配向膜の性能を向上させる事が重要になってきている。
【0004】
液晶配向膜は、液晶配向剤より形成される。現在、主として用いられている液晶配向剤は、ポリアミック酸または可溶性のポリイミドを有機溶剤に溶解させた溶液(ワニス)である。この溶液を基板に塗布した後、加熱等の手段により成膜してポリイミド系液晶配向膜を形成する。
【0005】
工業的には、簡便で大面積の高速処理が可能なラビング法が、配向処理法として広く用いられている。ラビング法は、ナイロン、レイヨン、ポリエステル等の繊維を植毛した布を用いて液晶配向膜の表面を一方向に擦る処理であり、これによって液晶分子の一様な配向を得ることが可能になる。しかしながら、ラビング処理には、液晶配向膜が削れることで発生する粉塵や、液晶配向膜に付いた傷が表示品位を低下させる問題、また静電気の発生等の問題点が指摘されており、ラビング法に代わる配向処理法の開発が活発化している。
【0006】
ラビング法に代わる配向処理法として注目されているのが、光を照射して配向処理を施す光配向処理法である。光配向処理法には光分解法、光異性化法、光二量化法、光架橋法等多くの配向機構が提案されている(例えば、非特許文献1、特許文献1および2を参照。)。光配向法はラビング法に比べて配向の均一性が高く、また非接触の配向処理法であるため膜に傷が付かず、発塵や静電気等の液晶表示素子の表示不良を発生させる原因を低減できる等の利点がある。しかしながら、ラビング法に対してアンカリングエネルギーが小さく配向性が低い、このことは液晶分子の応答速度の低下や焼き付きを起こす原因となるため、改善が求められてきた。
【0007】
このような光配向処理法の欠点を克服するために、液晶性を有するポリイミドを用い、製膜時にこの材料を熱処理する事により、膜の異方性を増幅させるような材料が提案されている(例えば、特許文献3〜7を参照。)。しかしながら、このような技術を適用された光配向膜は、パネル作成時に膜剥がれや削れが発生しやすく、生じた異物がパネルの表示品位を低下させる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−297313号公報
【特許文献2】特開平10−251646号公報
【特許文献3】特開2005−275364号公報
【特許文献4】特開2007−248637号公報
【特許文献5】特開2009−069493号公報
【特許文献6】特開2010−049230号公報
【特許文献7】特開2010−197999号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】液晶、第3巻、第4号、262ページ、1999年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の課題は、特定のテトラカルボン酸二無水物を原料に使用したポリマーを用いることにより、剥がれや削れが起こりにくい液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することである。
【0011】
第2の課題は、前記液晶配向剤を塗膜することにより、液晶配向能の高い液晶配向膜を具備する、残像特性が良好な液晶表示素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物を開発した。該テトラカルボン酸二無水物を原料としたポリアミック酸またはその誘導体を含有する液晶配向剤を用いることにより、膜硬度が高く、前述した異物が発生しない液晶配向膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
本発明は以下の構成からなる。
[1] 式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物。
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
式(1)において、Xはトリアゾール環を少なくとも1つ含む2価の有機基であり;
およびRはそれぞれ独立して、下記の3価の基の群から選ばれる1つであり;
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
これらの基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよい。
[2] 式(2)で表される、上記[1]に記載のテトラカルボン酸二無水物。
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
式(2)において、Xはトリアゾール環を少なくとも1つ含む2価の有機基である。
[3] 式(3)で表される、上記[1]に記載のテトラカルボン酸二無水物。
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
式(3)において、Xはトリアゾール環であり;
およびAはそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり;
このアルキレン中の少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;そして、
少なくとも1つの−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。
[4] 式(4)で表される、上記[1]に記載のテトラカルボン酸二無水物。
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
式(4)において、XとXはトリアゾール環であり;
〜Aはそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり;
このアルキレン中の少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;そして、
このアルキレン中の少なくとも1つの−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のテトラカルボン酸二無水物を少なくとも1つ含むテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られる、ポリアミック酸またはその誘導体。
[6] 上記[5]に記載のポリアミック酸またはその誘導体を含有する液晶配向剤。
[7] 上記[5]に記載のポリアミック酸またはその誘導体と、その他の重合体を含有する、上記[6]に記載の液晶配向剤。
[8] 上記[6]または[7]に記載の光配向用液晶配向剤。
[9] 上記[6]または[7]に記載のラビング用液晶配向剤。
[10] 上記[6]〜[9]のいずれか1項に記載の、横電界方式の液晶表示素子用液晶配向剤。
[11] 上記[6]〜[10]のいずれか1項に記載の液晶配向剤によって形成される液晶配向膜。
[12] 上記[11]に記載の液晶配向膜を有する液晶表示装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明のテトラカルボン酸二無水物を原料にして得られるポリマーを含有する液晶配向剤を塗膜して形成される液晶配向膜は、膜硬度が高く、液晶配向性も良好である。また、本発明の液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、良好な表示性能を有し、電気特性も良好である。また、前記ポリマーをその他のポリマーとブレンドして調製した液晶配向剤においても、同様の効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】テストパネルの断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明で用いる用語について説明する。式(I−1)で表される化合物を化合物(I−1)と記述することがある。他の式で表される化合物についても同様に略記することがある。化学構造式を定義する際に用いる「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意であることを示す。化学構造式において、文字(例えばA)を円や六角形で囲った基は環構造の基(環A)であることを意味する。
【0017】
本発明のテトラカルボン酸二無水物について説明する。なお、本明細書中で「テトラカルボン酸二無水物」を単に「酸無水物」または「酸二無水物」と記載することがある。
【0018】
本発明のテトラカルボン酸二無水物は下記式(1)で表される。
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
式(1)において、Xはトリアゾール環を少なくとも1つ含む2価の有機基であり、RおよびRはそれ独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり、
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
これらの基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよい。
【0019】
本発明のテトラカルボン酸二無水物は、上記のように、2つの酸無水物部位を有し、酸無水物部位の間にトリアゾール環を含むスペーサーを有するテトラカルボン酸二無水物である。5,5'−(Octane−1,8−diyl)bis(phtharic acid anhydride)のようなアルキル鎖のスペーサーを有するテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する液晶配向剤を塗膜して形成される液晶配向膜は、膜硬度が十分ではなく、削れによる異物が生じる場合がある。一方、上記テトラカルボン酸二無水物に替えて、本発明のテトラカルボン酸二無水物を使用することにより、トリアゾール環同士の相互作用によってポリマー鎖間の相互作用が強くなり、液晶配向膜の膜硬度を向上させることができる。
【0020】
式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物において、原料の入手のしやすさから、式(3)または式(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【化8】
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式(3)において、Xはトリアゾール環であり、AおよびAはそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
式(4)において、XとXはトリアゾール環であり、A〜Aはそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
【0021】
式(3)のテトラカルボン酸二無水物は例えば下記の経路で合成できる(合成例1)。
【化10】
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上記式中、Aは単結合または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
【0022】
フタル酸誘導体(a)をアジド化し、(b)の存在下、硫酸銅五水和物とアスコルビン酸ナトリウムを作用させることで(c)で表される化合物が得られる。次に水酸化ナトリウムを作用させエステル基を加水分解し、無水酢酸を作用させて無水化して本発明の(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物が得られる。
【0023】
式(4)のテトラカルボン酸二無水物は例えば下記の経路で合成できる(合成例2)。
【化11】
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【0024】
アルキルジブロマイド(d)をアジド化し、(c)の存在下、硫酸銅五水和物とアスコルビン酸ナトリウムを作用させることで(e)で表される化合物が得られる。次に水酸化ナトリウムを作用させエステル基を加水分解し、無水酢酸を作用させて無水化して本発明の(4)で表されるテトラカルボン酸二無水物が得られる。
【0025】
本発明のテトラカルボン酸二無水物は、再結晶やカラムクロマトグラフィーなど、種々の精製法により精製したものも使用できる。なお、本発明のポリアミック酸またはその誘導体は液晶配向剤用途以外にも、各種ポリイミドコーティング剤、ポリイミド樹脂成型品、フィルム、繊維などに利用することが出来る。
【0026】
式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げる事ができる。
【化12】
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【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【化19】
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【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【化21】
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【0027】
上記テトラカルボン酸二無水物において、アンカリングエネルギーが高い、つまり液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、式(1−1)、(1−5)、(1−15)および式(1−26)〜(1−34)で表されるテトラカルボン酸二無水物が好ましく、透過率を向上させることを重視する場合は、式(1−2)〜(1−4)および式(1−6)〜(1−8)の本発明のテトラカルボン酸二無水物を、溶剤への溶解性がより高い配向剤を得るためには式(1−9)〜(1−11)の本発明のテトラカルボン酸二無水物を使用することで所望する特性を達成できる配向膜が得られる。
【0028】
合成のしやすさおよび着色を抑える観点から、式(1−1)、(1−5)および(1−22)〜(1−28)が好ましく、式(1−1)および(1−5)が特に好ましい。
【0029】
本発明のポリアミック酸およびその誘導体について説明する。
本発明のポリアミック酸およびその誘導体はジアミンと式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物化合物を含むテトラカルボン酸二無水物化合物との反応生成物である。前記ポリアミック酸の誘導体とは、溶剤を含有する後述する液晶配向剤としたときに溶剤に溶解する成分であり、その液晶配向剤を液晶配向膜としたときに、ポリイミドを主成分とする液晶配向膜を形成することができる成分である。このようなポリアミック酸の誘導体としては、例えば可溶性ポリイミド、ポリアミック酸エステル、およびポリアミック酸アミド等が挙げられ、より具体的には1)ポリアミック酸の全てのアミノとカルボキシルとが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)ポリアミック酸のカルボキシルがエステルに変換されたポリアミック酸エステル、4)テトラカルボン酸二無水物化合物に含まれる酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置き換えて反応させて得られたポリアミック酸−ポリアミド共重合体、さらに5)該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部もしくは全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドが挙げられる。前記ポリアミック酸およびその誘導体は、1種の化合物であってもよいし、2種以上であってもよい。また前記ポリアミック酸およびその誘導体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応生成物の構造を有する化合物であればよく、他の原料を用い、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応以外の他の反応による反応生成物を含有してもよい。
【0030】
本発明のポリアミック酸およびその誘導体を製造する為に使用するテトラカルボン酸二無水物について説明する。
本発明に使用されるテトラカルボン酸二無水物は、公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。このようなテトラカルボン酸二無水物は、芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合した芳香族系(複素芳香環系を含む)、および芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合していない脂肪族系(複素環系を含む)の何れの群に属するものであってもよい。
【0031】
このようなテトラカルボン酸二無水物の好適な例としては、原料入手の容易さや、ポリマー重合時の容易さ、膜の電気特性の点から、式(AN−I)〜(AN−VII)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【化22】
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式(AN−I)、(AN−IV)および(AN−V)において、Xは独立して単結合または−CH−である。式(AN−II)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−である。式(AN−II)〜(AN−IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり、結合手は任意の炭素に連結しており、この基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよい。
【化23】
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式(AN−III)〜(AN−V)において、環A10は炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜30の縮合多環式炭化水素の基であり、この基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく、環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよい。式(AN−VI)において、X10は炭素数2〜6のアルキレンであり、Meはメチルを表し、Phはフェニルを表す。式(AN−VII)において、G10は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり、rは独立して0または1である。
【0032】
さらに詳しくは以下の式(AN−1)〜(AN−16−14)の式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0033】
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
式(AN−1)において、G11は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、1,4−フェニレン、または1,4−シクロヘキシレンである。X11は独立して単結合または−CH−である。G12は独立して下記の3価の基のどちらかである。
【化25】
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12が>CH−であるとき、>CH−の水素は−CHに置き換えられてもよい。G12が>N−であるとき、G11が単結合および−CH−であることはなく、X11は単結合であることはない。そしてR11は水素または−CHである。式(AN−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化26】
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式(AN−1−2)および(AN−1−14)において、mは1〜12の整数である。
【0034】
【化27】
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式(AN−2)において、12は独立して水素、−CH、−CHCH、またはフェニルである。式(AN−2)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化28】
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【0035】
【化29】
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式(AN−3)において、環A11はシクロヘキサン環もしくはベンゼン環である。式(AN−3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化30】
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【0036】
【化31】
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式(AN−4)において、G13は単結合、−(CH−、−O−、−S−、−C(CH−、−SO−、−CO−、−C(CF−、または下記の式(G13−1)で表される2価の基であり、mは1〜12の整数である。
【化32】
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式(G13−1)において、G13aおよびG13bはそれぞれ独立して、単結合、−O−または−NHCO−で表される2価の基である。フェニレンは、1,4−フェニレンおよび1,3−フェニレンが好ましい。
【0037】
環A11はそれぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。G13は環A11の任意の位置に結合してよい。式(AN−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化33】
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【化34】
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式(AN−4−17)において、mは1〜12の整数である。
【化35】
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【化36】
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【0038】
【化37】
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式(AN−5)において、R11は水素、または−CHである。ベンゼン環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていないR11は、ベンゼン環における結合位置が任意であることを示す。式(AN−5)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化38】
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【0039】
【化39】
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式(AN−6)において、X11は独立して単結合または−CH−である。X12は−CH−、−CHCH−または−CH=CH−である。nは1または2である。式(AN−6)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化40】
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【0040】
【化41】
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式(AN−7)において、X11は単結合または−CH−である。式(AN−7)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化42】
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【0041】
【化43】
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式(AN−8)において、X11は単結合または−CH−である。R12は水素、−CH、−CHCH、またはフェニルであり、環A12はシクロヘキサン環もしくはシクロヘキセン環である。式(AN−8)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化44】
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【0042】
【化45】
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式(AN−9)において、rはそれぞれ独立して0または1である。式(AN−9)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化46】
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【0043】
式(AN−10)は下記のテトラカルボン酸二無水物である。
【化47】
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【0044】
【化48】
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式(AN−11)において、環A11は独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(AN−11)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化49】
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【0045】
【化50】
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式(AN−12)において、環A11はそれぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(AN−12)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化51】
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【0046】
【化52】
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式(AN−13)において、X13は炭素数2〜6のアルキレンであり、Phはフェニルを表す。式(AN−13)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化53】
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【0047】
【化54】
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式(AN−14)において、G14は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり、rは独立して0または1である。式(AN−14)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化55】
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【0048】
【化56】
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式(AN−15)において、wは1〜10の整数である。式(AN−15)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化57】
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【0049】
上記以外のテトラカルボン酸二無水物として、下記の化合物が挙げられる。
【化58】
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【0050】
上記酸二無水物において、各特性を向上させる好適な材料について述べる。液晶の配向性を向上させることを重視する場合には、式(AN−1)、(AN−3)、および(AN−4)で表される化合物が好ましく、式(AN−1−2)、(AN−1−13)、(AN−3−2)、(AN−4−17)および(AN−4−29)で表される化合物が特に好ましく、中でも式(AN−1−2)においては、m=4または8のときが好ましく、式(AN−4−17)においては、m=4、または8が好ましく、m=8が特に好ましい。
【0051】
液晶表示素子の透過率を向上させることを重視する場合には、上記の酸二無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−1−2)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−4−17)、(AN−4−30)、(AN−5−1)、(AN−7−2)、(AN−10)、(AN−16−3)、および(AN−16−4)で表される化合物が好ましく、中でも式(AN−1−2)においては、m=4または8のときが好ましく、式(AN−4−17)においては、m=4、または8が好ましく、m=8が特に好ましい。
【0052】
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、上記の酸二無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−1−2)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−4−17)、(AN−4−30)、(AN−7−2)、(AN−10)、(AN−16−3)、および(AN−16−4)で表される化合物が好ましく、中でも式(AN−1−2)においては、m=4または8のときが好ましく、式(AN−4−17)においては、m=4、または8が好ましく、m=8が特に好ましい。
【0053】
液晶配向膜の体積抵抗値を低下させることにより、配向膜中の残留電荷(残留DC)の緩和速度を向上させることが、焼き付きを防ぐ方法の一つとして有効である。この目的を重視する場合には、上記の酸二無水物のうち、式(AN−1−13)、(AN−3−2)、(AN−4−21)、(AN−4−29)、および(AN−11−3)で表される化合物が好ましい。
【0054】
本発明において、式(1)のテトラカルボン酸二無水物と感光性材料を併用することができ、公知の感光性テトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。このような感光性テトラカルボン酸二無水物として、以下の式(PAN−1)〜(PAN−8)を挙げることができる。
【化59】
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【0055】
本発明のポリアミック酸およびその誘導体を製造する為に使用するジアミンおよびジヒドラジドについて説明する。本発明のポリアミック酸またはその誘導体を製造するにあたっては、公知のジアミンおよびジヒドラジドから制限されることなく選択することができる。
【0056】
ジアミンはその構造によって2種類に分けることができる。即ち、2つのアミノ基を結ぶ骨格を主鎖として見たときに、主鎖から分岐する基、即ち側鎖基を有するジアミンと側鎖基を持たないジアミンである。この側鎖基はプレチルト角を大きくする効果を有する基である。このような効果を有する側鎖基は炭素数3以上の基である必要があり、具体的な例として炭素数3以上のアルキル、炭素数3以上のアルコキシ、炭素数3以上のアルコキシアルキル、およびステロイド骨格を有する基を挙げることができる。1つ以上の環を有する基であって、その末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のアルコキシおよび炭素数2以上のアルコキシアルキルのいずれか1つを有する基も側鎖基としての効果を有する。以下の説明では、このような側鎖基を有するジアミンを側鎖型ジアミンと称することがある。そして、このような側鎖基を持たないジアミンを非側鎖型ジアミンと称することがある。
【0057】
非側鎖型ジアミンと側鎖型ジアミンを適切に使い分けることにより、それぞれに必要なプレチルト角に対応することができる。側鎖型ジアミンは、本発明の特性を損なわない程度に併用するのが好ましい。また側鎖型ジアミンおよび非側鎖型ジアミンについて、液晶に対する垂直配向性、電圧保持率、焼き付き特性および配向性を向上させる目的で取捨選択して使用することが好ましい。
【0058】
非側鎖型ジアミンについて説明する。既知の側鎖を有さないジアミンとしては、以下の式(DI−1)〜(DI−16)のジアミンを挙げることができる。
【化60】
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上記の式(DI−1)において、G20は、−CH−であり、少なくとも1つの−CH−は−NH−、−O−に置き換えられてもよく、mは1〜12の整数であり、アルキレンの少なくとも1つの水素は−OHに置き換えられてもよい。式(DI−3)および(DI−5)〜(DI−7)において、G21は独立して単結合、−NH−、−NCH−、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−CONCH−、−CONH−、−C(CH−、−C(CF−、−(CHm’−、−O−(CHm’−O−、−N(CH)−(CH−N(CH)−、−(O−Cm’−O−、−O−CH−C(CF−CH−O−、−O−CO−(CHm’−CO−O−、−CO−O−(CHm’−O−CO−、−(CHm’−NH−(CHm’−、−CO−(CH−NH−(CH−、−(NH−(CHm’−NH−、−CO−C−(NH−C−CO−、または−S−(CHm’−S−であり、m’は独立して1〜12の整数であり、kは1〜5の整数であり、nは1または2である。式(DI−4)において、sは独立して0〜2の整数である。式(DI−6)および(DI−7)において、G22は独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜10のアルキレンである。式(DI−2)〜(DI−7)中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素は、−F、−Cl、炭素数1〜3のアルキレン、−OCH、−OH、−CF、−COH、−CONH、−NHC、フェニル、またはベンジルで置き換えられてもよく、加えて式(DI−4)においては、ベンゼン環の少なくとも1つの水素は、下記式(DI−4−a)〜(DI−4−e)で表される基の群から選択される1つで置き換えられていてもよい。環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。そして、シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、G21またはG22の結合位置を除く任意の位置である。
【化61】
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式(DI−4−a)および(DI−4−b)において、R20は独立して水素または−CHである。
【0059】
【化62】
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式(DI−11)において、rは0または1である。式(DI−8)〜(DI−11)において、環に結合する−NHの結合位置は、任意の位置である。
【0060】
【化63】
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式(DI−12)において、R21およびR22は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、G23は独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、wは1〜10の整数である。式(DI−13)において、R23は独立して炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシまたは−Clであり、pは独立して0〜3の整数であり、qは0〜4の整数である。式(DI−14)において、環Bは単環の複素環式芳香族基であり、R24は水素、−F、−Cl、炭素数1〜6のアルキル、アルコキシ、ビニル、アルキニルであり、qは独立して0〜4の整数である。式(DI−15)において、環Cは複素環式芳香族基または複素環式脂肪族基である。式(DI−16)において、G24は単結合、炭素数2〜6のアルキレンまたは1,4−フェニレンであり、rは0または1である。そして、環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。式(DI−13)〜(DI−16)において、環に結合する−NHの結合位置は、任意の位置である。
【0061】
上記式(DI−1)〜(DI−16)の側鎖を有さないジアミンとして、以下の式(DI−1−1)〜(DI−16−1)の具体例を挙げることができる。
【0062】
式(DI−1)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化64】
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式(DI−1−7)および(DI−1−8)において、kはそれぞれ独立して、1〜3の整数である。
【0063】
式(DI−2)〜(DI−3)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化65】
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【0064】
式(DI−4)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化66】
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【化67】
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【化68】
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【化69】
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【0065】
式(DI−5)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化70】
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式(DI−5−1)において、mは1〜12の整数である。
【化71】
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式(DI−5−12)および式(DI−5−13)において、mは1〜12の整数である。
【化72】
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式(DI−5−16)において、vは1〜6の整数である。
【化73】
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式(DI−5−30)において、kは1〜5の整数である。
【化74】
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式(DI−5−35)〜(DI−5−37)、および(DI−5−39)において、mは1〜12の整数であり、式(DI−5−38)および(DI−5−39)において、kは1〜5の整数であり、(DI−5−40)において、nは1または2の整数である。
【0066】
式(DI−6)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化75】
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【0067】
式(DI−7)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化76】
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式(DI−7−3)および(DI−7−4)において、mは1〜12の整数であり、nは独立して1または2である。
【化77】
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【化78】
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【0068】
式(DI−8)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
【0069】
式(DI−9)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化80】
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【0070】
式(DI−10)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0071】
式(DI−11)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0072】
式(DI−12)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
【0073】
式(DI−13)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
【0074】
式(DI−14)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
【0075】
式(DI−15)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【0076】
式(DI−16)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化90】
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【0077】
ジヒドラジドについて説明する。既知の側鎖を有さないジヒドラジドとしては、以下の式(DIH−1)〜(DIH−3)を挙げることができる。
【0078】
【化91】
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式(DIH−1)において、G25は単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−である。
式(DIH−2)において、環Dはシクロヘキサン環、ベンゼン環またはナフタレン環であり、この基の少なくとも1つの水素はメチル、エチル、またはフェニルで置き換えられてもよい。式(DIH−3)において、環Eはそれぞれ独立してシクロヘキサン環、またはベンゼン環であり、この基の少なくとも1つの水素はメチル、エチル、またはフェニルで置き換えられてもよく、Yは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−である。式(DIH−2)および(DIH−3)において、環に結合する−CONHNHの結合位置は、任意の位置である。
【0079】
式(DIH−1)〜(DIH−3)の例を以下に示す。
【化92】
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式(DIH−1−2)において、mは1〜12の整数である。
【化93】
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【化94】
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【0080】
このような非側鎖型ジアミンおよびジヒドラジドは液晶表示素子のイオン密度を低下させる等、電気特性を改善する効果がある。本発明の液晶配向剤に用いられるポリアミック酸またはその誘導体を製造する為に使用するジアミンとして非側鎖型ジアミンおよび/またはヒドラジドを用いる場合、ジアミンおよびジヒドラジドの総量に占めるその割合を0〜90モル%とすることが好ましく、0〜50モル%とすることがより好ましい。
【0081】
側鎖型ジアミンについて説明する。側鎖型ジアミンの側鎖基としては、以下の基をあげることができる。
【0082】
側鎖基としてまず、アルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルカルボニル、アルケニルカルボニルオキシ、アルケニルオキシカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキニル、アルキニルオキシ、アルキニルカルボニル、アルキニルカルボニルオキシ、アルキニルオキシカルボニル、アルキニルアミノカルボニル等を挙げることができる。これらの基におけるアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、いずれも炭素数3以上の基である。但し、アルキルオキシアルキルにおいては、基全体で炭素数3以上であればよい。これらの基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
【0083】
次に、末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のアルコキシまたは炭素数2以上のアルコキシアルキルを有することを条件に、フェニル、フェニルアルキル、フェニルアルキルオキシ、フェニルオキシ、フェニルカルボニル、フェニルカルボニルオキシ、フェニルオキシカルボニル、フェニルアミノカルボニル、フェニルシクロヘキシルオキシ、炭素数3以上のシクロアルキル、シクロヘキシルアルキル、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルフェニル、シクロヘキシルフェニルアルキル、シクロヘキシルフェニルオキシ、ビス(シクロヘキシル)オキシ、ビス(シクロヘキシル)アルキル、ビス(シクロヘキシル)フェニル、ビス(シクロヘキシル)フェニルアルキル、ビス(シクロヘキシル)オキシカルボニル、ビス(シクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル、およびシクロヘキシルビス(フェニル)オキシカルボニル等の環構造の基を挙げることができる。
【0084】
さらに、2個以上のベンゼン環を有する基、2個以上のシクロヘキサン環を有する基、またはベンゼン環およびシクロヘキサン環で構成される2環以上の基であって、結合基が独立して単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−もしくは炭素数1〜3のアルキレンであり、末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のフッ素置換アルキル、炭素数1以上のアルコキシ、または炭素数2以上のアルコキシアルキルを有する環集合基を挙げることができる。ステロイド骨格を有する基も側鎖基として有効である。
【0085】
側鎖を有するジアミンとしては、以下の式(DI−31)〜(DI−35)で表される化合物を挙げることができる。
【化95】
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式(DI−31)において、G26は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CHm’−であり、m’は1〜12の整数である。G26の好ましい例は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、および炭素数1〜3のアルキレンであり、特に好ましい例は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−CH−および−CHCH−である。R25は炭素数3〜30のアルキル、フェニル、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(DI−31−a)で表される基である。このアルキルにおいて、少なくとも1つの水素は−Fで置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。このフェニルの水素は、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF2、−OCF3、炭素数3〜30のアルキルまたは炭素数3〜30のアルコキシで置き換えられていてもよい。ベンゼン環に結合する−NHの結合位置はその環において任意の位置であることを示すが、その結合位置はメタまたはパラであることが好ましい。即ち、基「R25−G26−」の結合位置を1位としたとき、2つの結合位置は3位と5位、または2位と5位であることが好ましい。

【化96】
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式(DI−31−a)において、G27、G28およびG29は結合基であり、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレンの1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていてもよい。環B21、環B22、環B23および環B24は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイルまたはアントラセン−9,10−ジイルであり、環B21、環B22、環B23および環B24において、少なくとも1つの水素は−Fまたは−CHで置き換えられてもよく、s、tおよびuは独立して0〜2の整数であって、これらの合計は1〜5であり、s、tまたはuが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、そして、2つの環は同じであっても異なっていてもよい。R26は水素、−F、−OH、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり、この炭素数1〜30のアルキルの少なくとも1つの−CH−は下記式(DI−31−b)で表される2価の基で置き換えられていてもよい。
【化97】
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式(DI−31−b)において、R27およびR28は独立して炭素数1〜3のアルキルであり、vは1〜6の整数である。R26の好ましい例は炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜30のアルコキシである。
【0086】
【化98】
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式(DI−32)および式(DI−33)において、G30は独立して単結合、−CO−または−CH2−であり、R29は独立して水素または−CHであり、R30は水素、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルである。式(DI−33)におけるベンゼン環の少なくとも1つの水素は、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられてもよい。そして、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。式(DI−32)における2つの基「−フェニレン−G30−O−」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方はステロイド核の6位に結合していることが好ましい。式(DI−33)における2つの基「−フェニレン−G30−O−」のベンゼン環への結合位置は、ステロイド核の結合位置に対して、それぞれメタ位またはパラ位であることが好ましい。式(DI−32)および式(DI−33)において、ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示す。
【0087】
【化99】
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式(DI−34)および式(DI−35)において、G31は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、G32は単結合または炭素数1〜3のアルキレンである。R31は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルの少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。R32は炭素数6〜22のアルキルであり、R33は水素または炭素数1〜22のアルキルである。環B25は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、rは0または1である。そしてベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示すが、独立してG31の結合位置に対してメタ位またはパラ位であることが好ましい。
【0088】
側鎖型ジアミンの具体例を以下に例示する。上記式(DI−31)〜(DI−35)の側鎖を有するジアミンとして、下記の式(DI−31−1)〜(DI−35−3)で表される化合物を挙げることができる。
【0089】
式(DI−31)で表される化合物の例を以下に示す。
【化100】
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式(DI−31−1)〜(DI−31−11)において、R34は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであり、好ましくは炭素数5〜25のアルキルまたは炭素数5〜25のアルコキシである。R35は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであり、好ましくは炭素数3〜25のアルキルまたは炭素数3〜25のアルコキシである。
【0090】
【化101】
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式(DI−31−12)〜(DI−31−17)において、R36は炭素数4〜30のアルキルであり、好ましくは炭素数6〜25のアルキルである。R37は炭素数6〜30のアルキルであり、好ましくは炭素数8〜25のアルキルである。
【0091】
【化102】
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【化103】
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【化104】
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【化105】
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【化106】
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式(DI−31−18)〜(DI−31−43)において、R38は炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、好ましくは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシである。R39は水素、−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHFまたは−OCFであり、好ましくは炭素数3〜25のアルキル、または炭素数3〜25のアルコキシである。そしてG33は炭素数1〜20のアルキレンである。
【0092】
【化107】
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【化108】
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【化109】
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【化110】
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【0093】
式(DI−32)で表される化合物の例を以下に示す。
【化111】
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【0094】
式(DI−33)で表される化合物の例を以下に示す。
【化112】
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【化113】
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【0095】
式(DI−34)で表される化合物の例を以下に示す。
【化114】
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【化115】
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【化116】
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【化117】
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式(DI−34−1)〜(DI−34−12)において、R40は水素または炭素数1〜20のアルキル、好ましくは水素または炭素数1〜10のアルキルであり、そしてR41は水素または炭素数1〜12のアルキルである。
【0096】
式(DI−35)で表される化合物の例を以下に示す。
【化118】
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式(DI−35−1)〜(DI−35−3)において、R37は炭素数6〜30のアルキルであり、R41は水素または炭素数1〜12のアルキルである。
【0097】
本発明におけるジアミンとしては、式(DI−1−1)〜(DI−16−1)、(DIH−1−1)〜(DIH−3−6)および(DI−31−1)〜(DI−35−3)で表されるジアミン以外のジアミンも用いることができる。このようなジアミンとしては、例えば下記式(DI−36−1)〜(DI−36−13)で表される化合物が挙げられる。
【化119】
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式(DI−36−1)〜(DI−36−8)において、R42はそれぞれ独立して炭素数3〜30のアルキル基を表す。
【化120】
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式(DI−36−9)〜(DI−36−11)において、eは2〜10の整数であり、式(DI−36−12)中、R43はそれぞれ独立して水素、−NHBocまたは−N(Boc)であり、R43の少なくとも1つは−NHBocまたは−N(Boc)であり、式(DI−36−13)において、R44は−NHBocまたは−N(Boc)であり、そして、mは1〜12の整数である。ここでBocはt−ブトキシカルボニル基である。
【0098】
液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、上記のジアミンおよびジヒドラジドのうち、式(DI−1−3)、(DI−5−1)、(DI−5−5)、(DI−5−9)、(DI−5−12)、(DI−5−13)、(DI−5−29)、(DI−6−7)、(DI−7−3)、および(DI−11−2)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、中でも式(DI−5−1)において、m=2、4または6が好ましく、m=4が特に好ましく、(DI−5−12)において、m=2〜6が好ましく、m=5が特に好ましく、(DI−5−13)において、m=1、または2が好ましく、m=1が特に好ましい。
【0099】
透過率を向上させることを重視する場合には、上記のジアミンおよびジヒドラジドのうち、式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−5−1)、(DI−5−5)、(DI−5−24)、および(DI−7−3)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、(DI−2−1)で表されるジアミンが特に好ましい。式(DI−5−1)において、m=2、4または6のときが好ましく、m=4が特に好ましく、式(DI−7−3)においては、m=2、または3、n=1、または2が好ましく、m=1が特に好ましい。
【0100】
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、上記のジアミンおよびジヒドラジドのうち、式(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−4−2)、(DI−4−10)、(DI−4−15)、(DI−5−1)、(DI−5−28)、(DI−5−30)、および(DI−13−1)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−2−1)、(DI−5−1)、および(DI−13−1)で表されるジアミンが特に好ましい。中でも(DI−5−1)において、m=1が特に好ましく、(DI−5−30)において、k=2が特に好ましい。
【0101】
液晶配向膜の体積抵抗値を低下させることにより、配向膜中の残留電荷(残留DC)の緩和速度を向上させることが、焼き付きを防ぐ方法の一つとして有効である。この目的を重視する場合には、上記のジアミンおよびジヒドラジドのうち、式(DI−4−1)、(DI−4−2)、(DI−4−10)、(DI−4−15)、(DI−5−1)、(DI−5−12)、(DI−5−13)、(DI−5−28)、および(DI−16−1)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−12)、および(DI−5−13)で表されるジアミンが特に好ましい。中でも式(DI−5−1)において、m=2、4または6が好ましく、m=4が特に好ましく、(DI−5−12)において、m=2〜6が好ましく、m=5が特に好ましく、(DI−5−13)において、m=1、または2が好ましく、m=1が特に好ましい。
【0102】
本発明において、感光性材料を併用する事ができ、公知の感光性ジアミンから制限されることなく選択することができる。例えば、アゾベンゼン誘導体、スチルベン誘導体、アセチレン誘導体、クマリン誘導体、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体から選択することができる。このような感光性ジアミン化合物として、以下の式(PDI−1)〜(PDI−12)を挙げることができる。
【化121】
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【化122】
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【化123】
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【化124】
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式(PDI−7)において、R51は独立して−CH、−OCH、−CF、または−COOCHであり、sは0〜2の整数であり、そして式(PDI−12)において、R52は炭素数1〜10のアルキルまたはアルコキシであり、少なくとも1つの水素はフッ素に置き換えられても良い。
【0103】
上記感光性ジアミンのうち、液晶の配向性を向上させることを重視すると、(PDI−7)が好ましい。本発明のテトラカルボン酸二無水物と感光性ジアミンを反応させる態様においては、配向性の向上および透過率を考慮すると、感光性ジアミン/感光性を示さないジアミンの比において、100/0(モル%)〜50/50(モル%)である事が好ましい。また、電気特性、残像特性等、前述した諸般の特性を改善するために、その他の感光性ジアミンを2つ以上併用してもよい。
【0104】
各ジアミンにおいて、ジアミンに対するモノアミンの比率が40モル%以下の範囲で、ジアミンの一部がモノアミンに置き換えられていてもよい。このような置き換えは、ポリアミック酸を生成する際の重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の重合反応の進行を抑えることができる。このため、このような置き換えによって、得られる重合体(ポリアミック酸またはその誘導体)の分子量を容易に制御することができ、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノアミンに置き換えられるジアミンは、本発明の効果が損なわれなければ、1種でも2種以上でもよい。前記モノアミンとしては、例えばアニリン、4−ヒドロキシアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、およびn−エイコシルアミンが挙げられる。
【0105】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体は、そのモノマーにモノイソシアネート化合物をさらに含んでいてもよい。モノイソシアネート化合物をモノマーに含むことによって、得られるポリアミック酸またはその誘導体の末端が修飾され、分子量が調節される。この末端修飾型のポリアミック酸またはその誘導体を用いることにより、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノマー中のモノイソシアネート化合物の含有量は、モノマー中のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の総量に対して1〜10モル%であることが、前記の観点から好ましい。前記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、およびナフチルイソシアネートが挙げられる。
【0106】
本発明のポリアミック酸およびその誘導体は、上記のテトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶剤中で反応させることによって得られる。この合成反応においては、原料の選択以外に特別な条件は必要でなく、通常のポリアミック酸合成における条件をそのまま適用することができる。使用する溶剤については後述する。
【0107】
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸またはその誘導体以外の他の成分をさらに含有していてもよい。他の成分は、1種であっても2種以上であってもよい。他の成分として、例えば後述するその他のポリマーや化合物などが挙げられる。
【0108】
本発明の液晶配向剤は、本発明のポリアミック酸またはその誘導体以外のその他のポリマーをさらに含有していてもよい。その他のポリマーとしては、本発明のテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体以外の重合体であり、式(1)のテトラカルボン酸二無水物を含まないテトラカルボン酸二無水物とジアミンと反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体(以下、“その他のポリアミック酸またはその誘導体”という。)、ポリエステル、ポリアミド、ポリシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。1種であっても2種以上であってもよい。これらのうち、その他のポリアミック酸またはその誘導体およびポリシロキサンが好ましく、その他のポリアミック酸またはその誘導体がより好ましい。
【0109】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体とその他のポリアミック酸またはその誘導体をブレンドした配向剤において、それぞれのポリマーの構造や分子量を制御し、後述するように、基板に塗布し、予備乾燥を行うことによって、本発明のポリアミック酸またはその誘導体成分〔A〕を上層、その他のポリアミック酸またはその誘導体成分〔B〕を下層に分離することができる。これは、混在するポリマーにおいて、表面エネルギーの小さなポリマーは上層に、表面エネルギーの大きなポリマーは下層に分離する現象を用いることにより、制御することができる。層分離の確認は形成された配向膜の表面エネルギーが〔A〕成分のみを含有する液晶配向剤によって形成された膜の表面エネルギーと同じまたは近い値であることで確認できる。
【0110】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体とその他のポリアミック酸またはその誘導体をブレンドした配向剤において、それぞれのポリマーの構造や分子量を制御することにより、後述するように、上層と下層に分離した配向膜を形成することができる。例えば、本発明のポリアミック酸またはその誘導体成分〔A〕を上層に、その他のポリアミック酸またはその誘導体成分〔B〕を下層に分離した配向膜を形成することができる。これは、上記ブレンドした配向剤を基板に塗布し、加熱乾燥時に、表面エネルギーの小さなポリマーは上層に、表面エネルギーの大きなポリマーは下層に分離する現象を用いることにより、制御することができる。層分離の確認は形成された配向膜の表面エネルギーが〔A〕成分のみを含有する液晶配向剤によって形成された膜の表面エネルギーと同じまたは近い値であることで確認できる。
【0111】
その他のポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、本発明の液晶配向剤の必須成分であるポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物として公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができ、上記に例示したものと同じものを挙げることができる。
【0112】
そのうち、上記酸二無水物において、層分離性を向上させることを重視する場合には、式(AN−3−2)、(AN−1−13)、および(AN−4−30)が好ましい。
【0113】
液晶表示素子の透過率を向上させることを重視する場合には、上記の酸二無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−1−2)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−4−17)、(AN−4−30)、(AN−5−1)、(AN−7−2)、(AN−10)、(AN−16−3)、および(AN−16−4)で表される化合物が好ましく、中でも式(AN−1−2)においては、m=4または8のときが好ましく、式(AN−4−17)においては、m=4、または8が好ましく、m=8が特に好ましい。
【0114】
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、上記の酸二無水物のうち、式(AN−1−2)、(AN−2−1)、(AN−7−2)、(AN−10)、(AN−16−3)、および(AN−16−4)で表される化合物が好ましく、中でも式(AN−1−2)においては、m=4または8のときが好ましい。
【0115】
液晶配向膜の体積抵抗値を低下させることにより、配向膜中の残留電荷(残留DC)の緩和速度を向上させることが、焼き付きを防ぐ方法の一つとして有効である。この目的を重視する場合には、上記の酸二無水物のうち、式(AN−1−13)、(AN−3−2)、(AN−4−21)、(AN−4−29)、および(AN−11−3)で表される化合物が好ましい。
【0116】
その他のポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるジアミンおよびヒドラジドとしては、本発明の液晶配向剤の必須成分であるポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いることのできるその他のジアミンとして上記に例示したものと同じものを挙げることができる。
【0117】
そのうち、層分離性、つまり液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、上記のジアミンおよびジヒドラジドのうち、式(DI−4−1)、(DI−4−2)、(DI−4−10)、(DI−5−1)、(DI−5−9)、(DI−5−28)、および(DIH−2−1)で表されるジアミンおよびヒドラジドを用いるのが好ましく、中でも式(DI−5−1)において、m=1、2、または4が好ましく、m=1、または2が特に好ましい。
【0118】
透過率を向上させることを重視する場合には、上記のジアミンおよびジヒドラジドのうち、式(DI−1−2)、(DI−2−1)、(DI−5−1)、および(DI−7−3)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、(DI−2−1)で表されるジアミンが特に好ましい。式(DI−5−1)において、m=1、2、または4が好ましく、m=1、または2が特に好ましく、式(DI−7−3)においては、m=2、または3、n=1、または2が好ましく、m=1が特に好ましい。
【0119】
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、上記のジアミンおよびジヒドラジドのうち、式(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−4−2)、(DI−4−15)、(DI−5−1)、(DI−5−28)、(DI−5−30)、および(DI−13−1)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−2−1)、(DI−5−1)、および(DI−13−1)で表されるジアミンが特に好ましい。中でも(DI−5−1)において、m=1、または2が特に好ましく、(DI−5−30)において、k=2が特に好ましい。
【0120】
液晶配向膜の体積抵抗値を低下させることにより、配向膜中の残留電荷(残留DC)の緩和速度を向上させることが、焼き付きを防ぐ方法の一つとして有効である。この目的を重視する場合には、上記のジアミンおよびジヒドラジドのうち、式(DI−4−1)、(DI−4−2)、(DI−4−10)、(DI−4−15)、(DI−5−1)、(DI−5−9)、(DI−5−12)、(DI−5−13)、(DI−5−28)、(DI−5−30)、および(DI−16−1)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−12)、(DI−5−13)、および(DI−5−30)で表されるジアミンが特に好ましい。中でも式(DI−5−1)において、m=1、または2が好ましく、(DI−5−12)において、m=2〜6が好ましく、m=5が特に好ましく、(DI−5−13)において、m=1、または2が好ましく、m=1が特に好ましく、(DI−5−30)において、k=2が特に好ましい。
【0121】
その他のポリアミック酸またはその誘導体は、それぞれ、本発明の液晶配向剤の必須成分であるポリアミック酸またはその誘導体の合成方法として下記に記載したところに準じて合成することができる。
【0122】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体(前記[A]成分)およびその他のポリアミック酸またはその誘導体(前記[B]成分)の合計量に対する[A]成分の割合としては、10重量%〜100重量%が好ましく、20重量%〜100重量%がさらに好ましい。
【0123】
前記ポリシロキサンとしては、特開2009−036966号公報、特開2010−185001号公報、特開2011−102963号公報、特開2011−253175号公報、特開2012−159825号公報、国際公開2008/044644号パンフレット、国際公開2009/148099号パンフレット、国際公開2010/074261号パンフレット、国際公開2010/074264号パンフレット、国際公開2010/126108号パンフレット、国際公開2011/068123号パンフレット、国際公開2011/068127号パンフレット、国際公開2011/068128号パンフレット、国際公開2012/115157号パンフレット、国際公開2012/165354号パンフレット等に開示されているポリシロキサンをさらに含有することができる。
【0124】
<アルケニル置換ナジイミド化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる目的から、アルケニル置換ナジイミド化合物をさらに含有していてもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して1〜100重量%であることが好ましく、1〜70重量%であることがより好ましく、1〜50重量%であることがさらに好ましい。
【0125】
以下にナジイミド化合物について具体的に説明する。
アルケニル置換ナジイミド化合物は、本発明で用いられるポリアミック酸またはその誘導体を溶解する溶剤に溶解させることができる化合物であることが好ましい。このようなアルケニル置換ナジイミド化合物の例は、下記の式(NA)で表される化合物が挙げられる。
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
式(NA)において、LおよびLは独立して水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルであり、nは1または2である。
【0126】
式(NA)において、n=1のとき、Wは炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−Z−(O)−(ZO)−Z−H(ここで、Z、ZおよびZは独立して炭素数2〜6のアルキレンであり、rは0または1であり、そして、kは1〜30の整数である。)で表される基、−(Z−B−Z−H(ここで、ZおよびZは独立して炭素数1〜4のアルキレンまたは炭素数5〜8のシクロアルキレンであり、Bはフェニレンであり、そして、rは0または1である。)で表される基、−B−T−B−H(ここで、Bはフェニレンであり、そして、Tは−CH−、−C(CH−、−O−、−CO−、−S−、または−SO−である。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の水素が−OHで置換された基である。
【0127】
このとき、好ましいWは、炭素数1〜8のアルキル、炭素数3〜4のアルケニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、炭素数4〜10のポリ(エチレンオキシ)エチル、フェニルオキシフェニル、フェニルメチルフェニル、フェニルイソプロピリデンフェニル、およびこれらの基の1個または2個の水素が−OHで置き換えられた基である。
【0128】
式(NA)において、n=2のとき、Wは炭素数2〜20のアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−Z−O−(ZO)−Z−(ここで、Z〜Z、およびkの定義は前記の通りである。)で表される基、−Z−B−Z−(ここで、Z、ZおよびBの定義は前記の通りである。)で表される基、−B−(O−B)−T−(B−O)−B−(ここで、Bはフェニレンであり、Tは炭素数1〜3のアルキレン、−O−または−SO−であり、rの定義は前記の通りである。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の水素が−OHで置き換えられた基である。
【0129】
このとき、好ましいWは炭素数2〜12のアルキレン、シクロヘキシレン、フェニレン、トリレン、キシリレン、−C−O−(Z−O)−O−C−(ここで、Zは炭素数2〜6のアルキレンであり、nは1または2である。)で表される基、−B−T−B−(ここで、Bはフェニレンであり、そして、Tは−CH−、−O−または−SO−である。)で表される基、−B−O−B−C−B−O−B−(ここで、Bはフェニレンである。)で表される基、およびこれらの基の1個または2個の水素が−OHで置き換えられた基である。
【0130】
このようなアルケニル置換ナジイミド化合物は、例えば特許2729565号公報に記載されているように、アルケニル置換ナジックテトラカルボン酸二無水物誘導体とジアミンとを80〜220℃の温度で0.5〜20時間保持することにより合成して得られる化合物や市販されている化合物を用いることができる。アルケニル置換ナジイミド化合物の具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。
【0131】
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0132】
N−(2−エチルヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0133】
N−フェニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0134】
N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシ−1−プロペニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0135】
N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−ヒドロキシベンジル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0136】
N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマー、
【0137】
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0138】
1,2−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、ビス〔2’−{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、ビス〔2’−{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、1,4−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、1,4−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、
【0139】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0140】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
【0141】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
【0142】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、1,6−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3−ヒドロキシ−ヘキサン、1,12−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3,6−ジヒドロキシ−ドデカン、1,3−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−シクロヘキサン、1,5−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}−3−ヒドロキシ−ペンタン、1,4−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−ベンゼン、
【0143】
1,4−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2,5−ジヒドロキシ−ベンゼン、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルメチルシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2,3−ジヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0144】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェニル}メタン、ビス{3−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−4−ヒドロキシ−フェニル}エーテル、ビス{3−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−フェニル}スルホン、1,1,1−トリ{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)}フェノキシメチルプロパン、N,N’,N”−トリ(エチレンメタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)イソシアヌレート、およびこれらのオリゴマー等。
【0145】
さらに、本発明に用いられるアルケニル置換ナジイミド化合物は、非対称なアルキレン・フェニレン基を含む下記の式で表される化合物でもよい。
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
【0146】
アルケニル置換ナジイミド化合物のうち、好ましい化合物を以下に示す。
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0147】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン。
【0148】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン。
【0149】
更に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物を以下に示す。
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)。
【0150】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)。
【0151】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン。
【0152】
そして、特に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物としては、下記式(NA−1)で表されるビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、式(NA−2)で表されるN,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、および式(NA−3)で表されるN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)が挙げられる。
【化127】
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【0153】
<ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる目的から、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物をさらに含有していてもよい。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。なお、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物にはアルケニル置換ナジイミド化合物は含まれない。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して1〜100重量%であることが好ましく、1〜70重量%であることがより好ましく、1〜50重量%であることがさらに好ましい。
【0154】
なお、アルケニル置換ナジイミド化合物に対するラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の比率は、液晶表示素子のイオン密度を低減し、イオン密度の経時的な増加を抑制し、さらに残像の発生を抑制するために、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物/アルケニル置換ナジイミド化合物が重量比で0.1〜10であることが好ましく、0.5〜5であることがより好ましい。
【0155】
以下にラジカル重合性不飽和二重結合有をする化合物について具体的に説明する。
ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等の(メタ)アクリル酸誘導体、およびビスマレイミドが挙げられる。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物は、ラジカル重合性不飽和二重結合を2つ以上有する(メタ)アクリル酸誘導体であることがより好ましい。
【0156】
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、および(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0157】
2官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えばエチレンビスアクリレート、東亜合成化学工業(株)の製品であるアロニックスM−210、アロニックスM−240およびアロニックスM−6200、日本化薬(株)の製品であるKAYARADHDDA、KAYARADHX−220、KAYARADR−604およびKAYARADR−684、大阪有機化学工業(株)の製品であるV260、V312およびV335HP、並びに共栄社油脂化学工業(株)の製品であるライトアクリレートBA−4EA、ライトアクリレートBP−4PAおよびライトアクリレートBP−2PAが挙げられる。
【0158】
3官能以上の多官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば4,4’−メチレンビス(N,N−ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)、東亜合成化学工業(株)の製品であるアロニックスM−400、アロニックスM−405、アロニックスM−450、アロニックスM−7100、アロニックスM−8030、アロニックスM−8060、日本化薬(株)の製品であるKAYARADTMPTA、KAYARADDPCA−20、KAYARADDPCA−30、KAYARADDPCA−60、KAYARADDPCA−120、および大阪有機化学工業(株)の製品であるVGPTが挙げられる。
【0159】
(メタ)アクリル酸アミド誘導体の具体例としては、例えばN−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−(iso−ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)−2−メタクリルアミド、N−ベンジル−2−メタクリルアミド、およびN,N’−メチレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
【0160】
上記の(メタ)アクリル酸誘導体のうち、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレン−ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、および4,4’−メチレンビス(N,N−ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)が特に好ましい。
【0161】
ビスマレイミドとしては、例えばケイ・アイ化成(株)製のBMI−70およびBMI−80、並びに大和化成工業(株)製のBMI−1000、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5000およびBMI−7000が挙げられる。
【0162】
<オキサジン化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、オキサジン化合物をさらに含有していてもよい。オキサジン化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。オキサジン化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0163】
以下にオキサジン化合物について具体的に説明する。
オキサジン化合物は、ポリアミック酸またはその誘導体を溶解させる溶媒に可溶であり、加えて、開環重合性を有するオキサジン化合物が好ましい。
【0164】
またオキサジン化合物におけるオキサジン構造の数は、特に限定されない。
【0165】
オキサジンの構造には種々の構造が知られている。本発明では、オキサジンの構造は特に限定されないが、オキサジン化合物におけるオキサジン構造には、ベンゾオキサジンやナフトオキサジン等の、縮合多環芳香族基を含む芳香族基を有するオキサジンの構造が挙げられる。
【0166】
オキサジン化合物としては、例えば下記式(OX−1)〜(OX−6)に示す化合物が挙げられる。なお下記式において、環の中心に向けて表示されている結合は、環を構成しかつ置換基の結合が可能ないずれかの炭素に結合していることを示す。
【化128】
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式(OX−1)〜(OX−3)において、LおよびLは炭素数1〜30の有機基であり、式(OX−1)〜(OX−6)において、L〜Lは水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、式(OX−3)、式(OX−4)および式(OX−6)において、Qは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、−S−(CH−S−であり、ここでvは1〜6の整数であり、式(OX−5)および式(OX−6)において、Qは独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−または炭素数1〜3のアルキレンであり、Qにおけるベンゼン環、ナフタレン環に結合している水素は独立して−F、−CH、−OH、−COOH、−SOH、−POと置き換えられていてもよい。
【0167】
また、オキサジン化合物には、オキサジン構造を側鎖に有するオリゴマーやポリマー、オキサジン構造を主鎖中に有するオリゴマーやポリマーが含まれる。
【0168】
式(OX−1)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化129】
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【0169】
式(OX−1−2)において、Lは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0170】
式(OX−2)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化130】
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【化131】
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【0171】
式中、Lは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0172】
式(OX−3)で表されるオキサジン化合物としては、下記式(OX−3−I)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
【化132】
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式(OX−3−I)において、LおよびLは炭素数1〜30の有機基であり、LからLは水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、Qは単結合、−CH2−、−C(CH−、−CO−、−O−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−である。式(OX−3−I)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【0173】
【化133】
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【化134】
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【化135】
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【化136】
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式中、LおよびLは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0174】
式(OX−4)で表されるオキサジン化合物しては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化137】
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【化138】
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【0175】
式(OX−5)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化139】
[この文献は図面を表示できません]
【0176】
式(OX−6)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
【0177】
これらのうち、より好ましくは、式(OX−2−1)、(OX−3−1)、(OX−3−3)、(OX−3−5)、(OX−3−7)、(OX−3−9)、(OX−4−1)〜(OX−4−6)、(OX−5−3)、(OX−5−4)、および(OX−6−2)〜(OX−6−4)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
【0178】
オキサジン化合物は、国際公開2004/009708号パンフレット、特開平11−12258号公報、特開2004−352670号公報に記載の方法と同様の方法で製造することができる。
【0179】
式(OX−1)で表されるオキサジン化合物は、フェノール化合物と1級アミンとアルデヒドとを反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照。)。
【0180】
式(OX−2)で表されるオキサジン化合物は、1級アミンをホルムアルデヒドへ徐々に加える方法により反応させたのち、ナフトール系水酸基を有する化合物を加えて反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照。)。
【0181】
式(OX−3)で表されるオキサジン化合物は、有機溶媒中でフェノール化合物1モル、そのフェノール性水酸基1個に対し少なくとも2モル以上のアルデヒド、および1モルの一級アミンを、2級脂肪族アミン、3級脂肪族アミンまたは塩基性含窒素複素環化合物の存在下で反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレットおよび特開平11−12258号公報参照。)。
【0182】
式(OX−4)〜(OX−6)で表されるオキサジン化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の、複数のベンゼン環とそれらを結合する有機基とを有するジアミン、ホルマリン等のアルデヒド、およびフェノールを、n−ブチルアルコール中、90℃以上の温度で脱水縮合反応させることにより得られる(特開2004−352670号公報参照。)。
【0183】
<オキサゾリン化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、オキサゾリン化合物をさらに含有していてもよい。オキサゾリン化合物はオキサゾリン構造を有する化合物である。オキサゾリン化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。オキサゾリン化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることが好ましい。または、オキサゾリン化合物の含有量は、オキサゾリン化合物中のオキサゾリン構造をオキサゾリンに換算したときに、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜40重量%であることが、上記の目的から好ましい。
【0184】
以下にオキサゾリン化合物について具体的に説明する。
オキサゾリン化合物は、1つの化合物中にオキサゾリン構造を1種だけ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。またオキサゾリン化合物は、1つの化合物中にオキサゾリン構造を1個有していればよいが、2個以上有することが好ましい。またオキサゾリン化合物は、オキサゾリン環構造を側鎖に有する重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーの単独重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する共重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有する2種以上のモノマーの共重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有する2種以上のモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。
【0185】
オキサゾリン構造は、オキサゾリン構造中の酸素および窒素の一方または両方とポリアミック酸のカルボニル基とが反応し得るようにオキサゾリン化合物中に存在する構造であることが好ましい。
【0186】
オキサゾリン化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2,4−トリス−(2−オキサゾリニル−2)−ベンゼン、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、および2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)が挙げられる。これらの他、エポクロス(商品名、(株)日本触媒製)のようなオキサゾリルを有するポリマーやオリゴマーも挙げられる。これらのうち、より好ましくは、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンが挙げられる。
【0187】
<エポキシ化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、エポキシ化合物をさらに含有していてもよい。エポキシ化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。エポキシ化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0188】
以下にエポキシ化合物について具体的に説明する。
エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ環を1つまたは2つ以上有する種々の化合物が挙げられる。分子内にエポキシ環を1つ有する化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、および3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパンが挙げられる。
【0189】
分子内にエポキシ環を2つ有する化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートおよび3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0190】
分子内にエポキシ環を3つ有する化合物としては、例えば2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン(商品名「テクモアVG3101L」、(三井化学(株)製))が挙げられる。
【0191】
分子内にエポキシ環を4つ有する化合物としては、例えば1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、および3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0192】
上記の他、分子内にエポキシ環を有する化合物の例として、エポキシ環を有するオリゴマーや重合体も挙げられる。エポキシ環を有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0193】
エポキシ環を有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0194】
エポキシ環を有するモノマーの重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート等が挙げられる。また、エポキシ環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0195】
これら例の中でも、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、商品名「テクモアVG3101L」、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0196】
より体系的には、エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、エポキシ基含有アクリル系樹脂、グリシジルアミド、グリシジルイソシアヌレート、鎖状脂肪族型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物が挙げられる。なお、エポキシ化合物はエポキシ基を有する化合物を意味し、エポキシ樹脂はエポキシ基を有する樹脂を意味する。
【0197】
エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、エポキシ基含有アクリル系樹脂、グリシジルアミド、グリシジルイソシアヌレート、鎖状脂肪族型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物が挙げられる。
【0198】
グリシジルエーテルとしては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−S型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物、脂環式ジグリシジルエーテル化合物、脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物、ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物、およびビフェノール型エポキシ化合物が挙げられる。
【0199】
グリシジルエステルとしては、例えばジグリシジルエステル化合物およびグリシジルエステルエポキシ化合物が挙げられる。
【0200】
グリシジルアミンとしては、例えばポリグリシジルアミン化合物およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0201】
エポキシ基含有アクリル系化合物としては、例えばオキシラニルを有するモノマーの単独重合体および共重合体が挙げられる。
【0202】
グリシジルアミドとしては、例えばグリシジルアミド型エポキシ化合物が挙げられる。
【0203】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0204】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばシクロアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0205】
ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えばjER828、jER1001、jER1002、jER1003、jER1004、jER1007、jER1010(いずれも商品名;三菱化学(株)製)、エポトートYD−128(商品名;東都化成(株)製)、DER−331、DER−332、DER−324(いずれも商品名;The Dow Chemical Company製)、エピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050(いずれも商品名;DIC(株)製)、エポミックR−140、エポミックR−301、およびエポミックR−304(いずれも商品名;三井化学(社)製)が挙げられる。
【0206】
ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、例えばjER806、jER807、jER4004P(いずれも商品名;三菱化学(株)製)、エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001(いずれも商品名;東都化成(株)製)、DER−354(商品名;ダウ・ケミカル社製)、エピクロン830、およびエピクロン835(いずれも商品名;DIC(株)製)が挙げられる。
【0207】
ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0208】
水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えばサントートST−3000(商品名;東都化成(株)製)、リカレジンHBE−100(商品名;新日本理化(株)製)、およびデナコールEX−252(商品名;ナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0209】
水素化ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば水素化2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0210】
臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えばjER5050、jER5051(いずれも商品名;三菱化学(株)製)、エポトートYDB−360、エポトートYDB−400(いずれも商品名;東都化成(株)製)、DER−530、DER−538(いずれも商品名;The Dow Chemical Company製)、エピクロン152、およびエピクロン153(いずれも商品名;DIC(株)製)が挙げられる。
【0211】
フェノールノボラック型エポキシ化合物としては、例えばjER152、jER154(いずれも商品名;三菱化学(株)製)、YDPN−638(商品名;東都化成社製)、DEN431、DEN438(いずれも商品名;The Dow Chemical Company製)、エピクロンN−770(商品名;DIC(株)製)、EPPN−201、およびEPPN−202(いずれも商品名;日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0212】
クレゾールノボラック型エポキシ化合物としては、例えばjER180S75(商品名;三菱化学(株)製)、YDCN−701、YDCN−702(いずれも商品名;東都化成社製)、エピクロンN−665、エピクロンN−695(いずれも商品名;DIC(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1025、およびEOCN−1027(いずれも商品名;日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0213】
ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物としては、例えばjER157S70(商品名;三菱化学(株)製)、およびエピクロンN−880(商品名;DIC(株)製)が挙げられる。
【0214】
ナフタレン骨格含有エポキシ化合物としては、例えばエピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4770(いずれも商品名;DIC(株)製)、およびNC−7000(商品名;日本化薬社製)が挙げられる。
【0215】
芳香族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばハイドロキノンジグリシジルエーテル(下記式EP−1)、カテコールジグリシジルエーテル(下記式EP−2)レゾルシノールジグリシジルエーテル(下記式EP−3)、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン(下記式EP−4)、トリス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン(下記式EP−5)、jER1031S、jER1032H60(いずれも商品名;三菱化学(株)製)、TACTIX−742(商品名;The Dow Chemical Company製)、デナコールEX−201(商品名;ナガセケムテックス(株)製)、DPPN−503、DPPN−502H、DPPN−501H、NC6000(いずれも商品名;日本化薬(株)製)、テクモアVG3101L(商品名;三井化学(株)製)、下記式EP−6で表される化合物、および下記式EP−7で表される化合物が挙げられる。
【化143】
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【化144】
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【0216】
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物としては、例えばTACTIX−556(商品名;The Dow Chemical Company製)、およびエピクロンHP−7200(商品名;DIC(株)製)が挙げられる。
【0217】
脂環式ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル化合物、およびリカレジンDME−100(商品名;新日本理化(株)製)が挙げられる。
【0218】
脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−8)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−9)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−10)、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−11)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−12)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(下記式EP−13)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(下記式EP−14)、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−15)、デナコールEX−810、デナコールEX−851、デナコールEX−8301、デナコールEX−911、デナコールEX−920、デナコールEX−931、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313(いずれも商品名;ナガセケムテックス(株)製)、DD−503(商品名;(株)ADEKA製)、リカレジンW−100(商品名;新日本理化(株)製)、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール(下記式EP−16)、グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、デナコールEX−313、デナコールEX−611、デナコールEX−321、およびデナコールEX−411(いずれも商品名;ナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【化145】
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【化146】
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【0219】
ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばFLDP−50、およびFLDP−60(いずれも商品名;東レチオコール(株)製)が挙げられる。
【0220】
ビフェノール型エポキシ化合物としては、例えばYX−4000、YL−6121H(いずれも商品名;三菱化学(株)製)、NC−3000P、およびNC−3000S(いずれも商品名;日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0221】
ジグリシジルエステル化合物としては、例えばジグリシジルテレフタレート(下記式EP−17)、ジグリシジルフタレート(下記式EP−18)、ビス(2−メチルオキシラニルメチル)フタレート(下記式EP−19)、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート(下記式EP−20)、下記式EP−21で表される化合物、下記式EP−22で表される化合物、および下記式EP−23で表される化合物が挙げられる。
【化147】
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【0222】
グリシジルエステルエポキシ化合物としては、例えばjER871、jER872(いずれも商品名;三菱化学(株)製)、エピクロン200、エピクロン400(いずれも商品名;DIC(株)製)、デナコールEX−711、およびデナコールEX−721(いずれも商品名;ナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0223】
ポリグリシジルアミン化合物としては、例えばN,N−ジグリシジルアニリン(下記式EP−24)、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン(下記式EP−25)、N,N−ジグリシジル−m−トルイジン(下記式EP−26)、N,N−ジグリシジル−2,4,6−トリブロモアニリン(下記式EP−27)、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン(下記式EP−28)、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール(下記式EP−29)、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール(下記式EP−30)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(下記式EP−31)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TETRAD−X(商品名;三菱ガス化学(株)製)、下記式EP−32)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(TETRAD−C(商品名;三菱ガス化学(株)製)、下記式EP−33)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(下記式EP−34)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式EP−35)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式EP−36)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式EP−37)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式EP−38)、2,6−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(下記式EP−39)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(下記式EP−40)、2,2’−ジメチル−(N,N,N’,N’−テトラグリシジル)−4,4’−ジアミノビフェニル(下記式EP−41)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(下記式EP−42)、1,3,5−トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェノキシ)ベンゼン(下記式EP−43)、2,4,4’−トリス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式EP−44)、トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェニル)メタン(下記式EP−45)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ビフェニル(下記式EP−46)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式EP−47)、下記式EP−48で表される化合物、および下記式EP−49で表される化合物が挙げられる。
【化148】
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【化149】
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【化150】
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【化151】
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【0224】
オキシラニルを有するモノマーの単独重合体としては、例えばポリグリシジルメタクリレートが挙げられる。オキシラニルを有するモノマーの共重合体としては、例えばN−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0225】
オキシラニルを有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0226】
オキシラニルを有するモノマーの共重合体におけるオキシラニルを有するモノマー以外の他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0227】
グリシジルイソシアヌレートとしては、例えば1,3,5−トリグリシジル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式EP−50)、1,3−ジグリシジル−5−アリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式EP−51)、およびグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂が挙げられる。
【化152】
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【0228】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばエポキシ化ポリブタジエン、およびエポリードPB3600(商品名;(株)ダイセル製)が挙げられる。
【0229】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えば3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド2021(商品名;(株)ダイセル製)、下記式EP−52)、2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−2’−メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(下記式EP−53)、2,3−エポキシシクロペンタン−2’,3’−エポキシシクロペンタンエーテル(下記式EP−54)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキレート、1,2:8,9−ジエポキシリモネン(セロキサイド3000(商品名;(株)ダイセル製)、下記式EP−55)、下記式EP−56で表される化合物、CY−175、CY−177、CY−179(いずれも商品名;The Ciba-Geigy Chemical Corp.製(ハンツマン・ジャパン(株)から入手できる。))、EHPD−3150(商品名;(株)ダイセル製)、および環状脂肪族型エポキシ樹脂が挙げられる。
【化153】
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【0230】
エポキシ化合物は、ポリグリシジルアミン化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物の一以上であることが好ましく、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、商品名「テクモアVG3101L」、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、およびクレゾールノボラック型エポキシ化合物の一以上であることが好ましい。
【0231】
また例えば、本発明の液晶配向剤は各種添加剤をさらに含有していてもよい。各種添加剤としては、例えばポリアミック酸およびその誘導体以外の高分子化合物、および低分子化合物が挙げられ、それぞれの目的に応じて選択して使用することができる。
【0232】
例えば、前記高分子化合物としては、有機溶媒に可溶性の高分子化合物が挙げられる。このような高分子化合物を本発明の液晶配向剤に添加することは、形成される液晶配向膜の電気特性や配向性を制御する観点から好ましい。該高分子化合物としては、例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエポキサイド、ポリエステルポリオール、シリコーン変性ポリウレタン、およびシリコーン変性ポリエステルが挙げられる。
【0233】
また、前記低分子化合物としては、例えば1)塗布性の向上を望むときにはかかる目的に沿った界面活性剤、2)帯電防止の向上を必要とするときは帯電防止剤、3)基板との密着性の向上を望むときにはシランカップリング剤やチタン系のカップリング剤、また、4)低温でイミド化を進行させる場合はイミド化触媒、が挙げられる。
【0234】
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、およびN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンが挙げられる。好ましいシランカップリング剤は3−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0235】
イミド化触媒としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、メチル置換アニリン、ヒドロキシ置換アニリン等の芳香族アミン類;ピリジン、メチル置換ピリジン、ヒドロキシ置換ピリジン、キノリン、メチル置換キノリン、ヒドロキシ置換キノリン、イソキノリン、メチル置換イソキノリン、ヒドロキシ置換イソキノリン、イミダゾール、メチル置換イミダゾール、ヒドロキシ置換イミダゾール等の環式アミン類が挙げられる。前記イミド化触媒は、N,N−ジメチルアニリン、o−,m−,p−ヒドロキシアニリン、o−,m−,p−ヒドロキシピリジン、およびイソキノリンから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0236】
シランカップリング剤の添加量は、通常、ポリアミック酸またはその誘導体の総重量の0〜20重量%であり、0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0237】
イミド化触媒の添加量は、通常、ポリアミック酸またはその誘導体のカルボニル基に対して0.01〜5当量であり、0.05〜3当量であることが好ましい。
【0238】
その他の添加剤の添加量は、その用途に応じて異なるが、通常、ポリアミック酸またはその誘導体の総重量の0〜100重量%であり、0.1〜50重量%であることが好ましい。
【0239】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体は、ポリイミドの膜の形成に用いられる公知のポリアミック酸またはその誘導体と同様に製造することができる。テトラカルボン酸二無水物の総仕込み量は、ジアミンの総モル数とほぼ等モル(モル比0.9〜1.1程度)とすることが好ましい。
【0240】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(M.W.)で、7,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜200,000であることがより好ましい。前記ポリアミック酸またはその誘導体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定から求めることができる。
【0241】
本発明のポリアミック酸またはその誘導体は、多量の貧溶剤で沈殿させて得られる固形分をIR、NMRで分析することによりその存在を確認することができる。またKOHやNaOH等の強アルカリの水溶液による前記ポリアミック酸またはその誘導体の分解物の有機溶剤による抽出物をGC、HPLCもしくはGC−MSで分析することにより、使用されているモノマーを確認することができる。
【0242】
また例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶配向剤の塗布性や前記ポリアミック酸またはその誘導体の濃度の調整の観点から、溶剤をさらに含有していてもよい。前記溶剤は、高分子成分を溶解する能力を持った溶剤であれば格別制限なく適用可能である。前記溶剤は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド等の高分子成分の製造工程や用途面で通常使用されている溶剤を広く含み、使用目的に応じて、適宜選択できる。前記溶剤は1種でも2種以上の混合溶剤であってもよい。
【0243】
溶剤としては、前記ポリアミック酸またはその誘導体の親溶剤や、塗布性改善を目的とした他の溶剤が挙げられる。
【0244】
ポリアミック酸またはその誘導体に対し親溶剤である非プロトン性極性有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン等のラクトンが挙げられる。
【0245】
塗布性改善等を目的とした他の溶剤の例としては、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルまたはフェニルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、マロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、これらアセテート類等のエステル化合物が挙げられる。
【0246】
これらの中で、前記溶剤は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0247】
本発明の配向剤中のポリアミック酸の濃度は0.1〜40重量%であることが好ましい。この配向剤を基板に塗布するときには、膜厚の調整のために、含有されているポリアミック酸を予め溶剤により希釈する操作が必要とされることがある。
【0248】
本発明の配向剤における固形分濃度は特に限定されるものではなく、下記の種々の塗布法に合わせ最適な値を選べばよい。通常、塗布時のムラやピンホール等を抑えるため、ワニス重量に対し、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
【0249】
本発明の液晶配向剤の粘度は、塗布する方法、ポリアミック酸またはその誘導体の濃度、使用するポリアミック酸またはその誘導体の種類、溶剤の種類と割合によって好ましい範囲が異なる。例えば、印刷機による塗布の場合は5〜100mPa・s(より好ましくは10〜80mPa・s)である。5mPa・sより小さいと十分な膜厚を得ることが難しくなり、100mPa・sを超えると印刷ムラが大きくなることがある。スピンコートによる塗布の場合は5〜200mPa・s(より好ましくは10〜100mPa・s)が適している。インクジェット塗布装置を用いて塗布する場合は5〜50mPa・s(より好ましくは5〜20mPa・s)が適している。液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業製TVE−20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
【0250】
本発明の液晶配向膜について、詳細に説明する。本発明の液晶配向膜は、前述した本発明の液晶配向剤の塗膜を加熱することによって形成される膜である。本発明の液晶配向膜は、液晶配向剤から液晶配向膜を作製する通常の方法によって得ることができる。例えば本発明の液晶配向膜は、本発明の液晶配向剤の塗膜を形成する工程と、加熱乾燥する工程と、加熱焼成する工程を経ることによって得ることができる。本発明の液晶配向膜については、必要に応じて後述の通り、加熱乾燥工程、加熱焼成工程を経て得られる膜をラビング処理して異方性を付与してもよい。または、必要に応じて、塗膜工程、加熱乾燥工程の後に光を照射して、または加熱焼成工程の後に光を照射して異方性を付与してもよい。またラビング処理をしないVA用液晶配向膜としても使用してもよい。
【0251】
塗膜は、通常の液晶配向膜の作製と同様に、液晶表示素子における基板に本発明の液晶配向剤を塗布することによって形成することができる。基板には、ITO(IndiumTinOxide)、IZO(In−ZnO)、IGZO(In−Ga−ZnO)電極等の電極やカラーフィルタ等が設けられていてもよいガラス製の基板が挙げられる。
【0252】
液晶配向剤を基板に塗布する方法としてはスピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法は本発明においても同様に適用可能である。
【0253】
前記加熱乾燥工程は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。加熱乾燥工程は溶剤の蒸発が可能な範囲内の温度で実施することが好ましく、加熱焼成工程における温度に対して比較的低い温度で実施することがより好ましい。具体的には加熱乾燥温度は30℃〜150℃の範囲であること、さらには50℃〜120℃の範囲であることが好ましい。
【0254】
前記加熱焼成工程は、前記ポリアミック酸またはその誘導体が脱水・閉環反応を呈するのに必要な条件で行うことができる。前記塗膜の焼成は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法も本発明において同様に適用可能である。一般に100〜300℃程度の温度で1分間〜3時間行うことが好ましく、120〜280℃がより好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。
【0255】
本発明の液晶配向膜の形成方法において、液晶を水平および/または垂直方向に対して一方向に配向させるために、配向膜へ異方性を付与する手段として、ラビング法や光配向法など公知の形成方法を好適に用いることができる。特に光配向法を好適に用いることができる。
【0256】
ラビング法を用いた本発明の液晶配向膜は、本発明の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗布した基板を加熱乾燥する工程と、その膜を加熱焼成する工程と、膜をラビング処理する工程とを経て形成することができる。
【0257】
ラビング処理は、通常の液晶配向膜の配向処理のためのラビング処理と同様に行うことができ、本発明の液晶配向膜において十分なリタデーションが得られる条件であればよい。好ましい条件は、毛足押し込み量0.2〜0.8mm、ステージ移動速度5〜250mm/sec、ローラー回転速度500〜2,000rpmである。
【0258】
光配向法による本発明の液晶配向膜の形成方法について、詳細に説明する。光配向法を用いた本発明の液晶配向膜は、塗膜を加熱乾燥した後、放射線の直線偏光または無偏光を照射することにより、塗膜に異方性を付与し、その膜を加熱焼成することにより形成することができる。または、塗膜を加熱乾燥し、加熱焼成した後に、放射線の直線偏光または無偏光を照射することにより形成する事ができる。配向性の点から、放射線の照射工程は加熱焼成工程前に行うのが好ましい。
【0259】
さらに、液晶配向膜の液晶配向能を上げるために、塗膜を加熱しながら放射線の直線偏光または無偏光を照射することもできる。放射線の照射は、塗膜を加熱乾燥する工程、または加熱焼成する工程で行っても良いし、加熱乾燥工程と加熱焼成工程の間に行っても良い。該工程における加熱乾燥温度は、30℃〜150℃の範囲であること、さらには50℃〜120℃の範囲であることが好ましい。また該工程における加熱焼成温度は、30℃〜300℃の範囲であること、さらには50℃〜250℃の範囲であることが好ましい。
【0260】
放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線または可視光を用いることができるが、300〜400nmの光を含む紫外線が好ましい。また、直線偏光または無偏光を用いることができる。これらの光は、前記塗膜に液晶配向能を付与することができる光であれば特に限定されないが、液晶に対して強い配向規制力を発現させたい場合、直線偏光が好ましい。
【0261】
本発明の液晶配向膜は、低エネルギーの光照射でも高い液晶配向能を示すことができる。前記放射線照射工程における直線偏光の照射量は0.05〜20J/cmであることが好ましく、0.5〜10J/cmがより好ましい。また直線偏光の波長は200〜400nmであることが好ましく、300〜400nmであることがより好ましい。直線偏光の膜表面に対する照射角度は特に限定されないが、液晶に対する強い配向規制力を発現させたい場合、膜表面に対してなるべく垂直であることが配向処理時間短縮の観点から好ましい。また、本発明の液晶配向膜は、直線偏光を照射することにより、直線偏光の偏光方向に対して垂直な方向に液晶を配向させることができる。
【0262】
プレチルト角を発現させたい場合に前記膜に照射する光は、前述同様直線偏光であっても無偏光であってもよい。プレチルト角を発現させたい場合に前記膜に照射される光の照射量は0.05〜20J/cmであることが好ましく、0.5〜10J/cmが特に好ましく、その波長は250〜400nmであることが好ましく、300〜380nmが特に好ましい。プレチルト角を発現させたい場合に前記膜に照射する光の前記膜表面に対する照射角度は特に限定されないが、30〜60度であることが配向処理時間短縮の観点から好ましい。
【0263】
放射線の直線偏光または無偏光を照射する工程に使用する光源には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、Deep UVランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、エキシマランプ、KrFエキシマレーザー、蛍光ランプ、LEDランプ、ナトリウムランプ、マイクロウェーブ励起無電極ランプ、などを制限なく用いることができる。
【0264】
本発明の液晶配向膜は、前述した工程以外の他の工程をさらに含む方法によって好適に得られる。例えば、本発明の液晶配向膜は焼成または放射線照射後の膜を洗浄液で洗浄する工程は必須としないが、他の工程の都合で洗浄工程を設けることができる。
【0265】
洗浄液による洗浄方法としては、ブラッシング、ジェットスプレー、蒸気洗浄または超音波洗浄等が挙げられる。これらの方法は単独で行ってもよいし、併用してもよい。洗浄液としては純水または、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を用いることができるが、これらに限定されるものではない。もちろん、これらの洗浄液は十分に精製された不純物の少ないものが用いられる。このような洗浄方法は、本発明の液晶配向膜の形成における前記洗浄工程にも適用することができる。
【0266】
本発明の液晶配向膜の液晶配向能を高めるために、加熱焼成工程の前後、ラビング工程の前後、または、偏光または無偏光の放射線照射の前後に、熱や光によるアニール処理を用いることができる。該アニール処理において、アニール温度が30〜180℃、好ましくは50〜150℃であり、時間は1分〜2時間が好ましい。また、アニール処理に使用するアニール光には、UVランプ、蛍光ランプ、LEDランプなどが挙げられる。光の照射量は0.3〜10J/cmであることが好ましい。
【0267】
本発明の液晶配向膜の膜厚は、特に限定されないが、10〜300nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。本発明の液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。
【0268】
本発明の液晶配向膜は特に大きな配向の異方性を持つことを特徴とする。このような異方性の大きさは特開2005−275364号公報等に記載の偏光IRを用いた方法で評価する事ができる。また以下の実施例に示すようにエリプソメトリーを用いた方法によっても評価することができる。詳しくは、分光エリプソメータによって液晶配向膜のリタデーション値を測定することができる。膜のリタデーション値はポリマー主鎖の配向度に比例して大きくなる。すなわち、大きなリタデーション値を持つものは、大きな配向度を持ち、液晶配向膜として使用した場合、より大きな異方性を持つ配向膜が液晶組成物に対し大きな配向規制力を持つと考えられる。
【0269】
本発明の液晶配向膜は着色が少なく、透過率が高いことを特徴とする。透過率は、紫外可視分光光度計を用いて評価することができる。良好な表示特性を示すには、380nm〜780nmの吸光度の平均値から算出する透過率が85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましい。
【0270】
本発明の液晶配向膜は横電界方式の液晶表示素子に好適に用いることができる。横電界方式の液晶表示素子に用いる場合、Pt角が小さいほど、また液晶配向能が高いほど暗状態での黒表示レベルは高くなり、コントラストが向上する。Pt角は0.1°以下が好ましい。
【0271】
本発明の配向膜は、液晶ディスプレイ用の液晶組成物の配向用途以外に、光学補償材やその他すべての液晶材料の配向制御に用いることができる。また本発明の配向膜は大きな異方性を有するので、単独で光学補償材用途に使用することができる。
【0272】
本発明の液晶表示素子について、詳細に説明する。
本発明は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子において、前記液晶配向膜が本発明の配向膜である液晶表示素子を提供する。
【0273】
前記電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。また電極は、基板の一方の面の全面に形成されていてもよいし、例えばパターン化されている所望の形状に形成されていてもよい。電極の前記所望の形状には、例えば櫛型またはジグザグ構造等が挙げられる。電極は、一対の基板のうちの一方の基板に形成されていてもよいし、両方の基板に形成されていてもよい。電極の形成の形態は液晶表示素子の種類に応じて異なり、例えばIPS型液晶表示素子の場合は前記一対の基板の一方に電極が配置され、その他の液晶表示素子の場合は前記一対の基板の双方に電極が配置される。前記基板または電極の上に前記液晶配向膜が形成される。
【0274】
前記液晶層は、液晶配向膜が形成された面が対向している前記一対の基板によって液晶組成物が挟持される形で形成される。液晶層の形成では、微粒子や樹脂シート等の、前記一対の基板の間に介在して適当な間隔を形成するスペーサを必要に応じて用いることができる。
【0275】
液晶組成物には、特に制限はなく、誘電率異方性が正または負の各種の液晶組成物を用いることができる。誘電率異方性が正の好ましい液晶組成物には、特許第3086228号公報、特許第2635435号公報、特表平5−501735号公報、特開平8−157826号公報、特開平8−231960号公報、特開平9−241644号公報(EP885272A1)、特開平9−302346号公報(EP806466A1)、特開平8−199168号公報(EP722998A1)、特開平9−235552号公報、特開平9−255956号公報、特開平9−241643号公報(EP885271A1)、特開平10−204016号公報(EP844229A1)、特開平10−204436号公報、特開平10−231482号公報、特開2000−087040号公報、特開2001−48822号公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
【0276】
誘電率異方性が正または負の液晶組成物に1種以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
【0277】
前記誘電率異方性が負の液晶組成物について説明する。負の誘電率異方性の液晶組成物として、例えば、第1成分として下記式(NL−1)で表される液晶化合物の群から選択される少なくとも1つの液晶化合物含有する組成物が挙げられる。
【化154】
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ここで、R1aおよびR2aは独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルであり;環Aおよび環Bは独立して、1,4−シクロへキシレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−6−メチル−1,4−フェニレン、2,6−ナフタレンジイル、または7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり、ここで、環Aおよび環Bの少なくとも1つは2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−6−メチル−1,4−フェニレン、または7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり;Zは独立して単結合、−(CH−、−CHO−、−COO−、または−CFO−であり;jは1、2、または3である。
【0278】
上記式(NL−1)の液晶化合物の具体例として、下記の式(NL−1−1)〜(NL−1−32)で表される化合物を挙げることができる。
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R1aおよびR2aは独立して、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、炭素数2〜12のアルケニル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた炭素数2〜12のアルケニルである。好ましいR1aおよびR2aは、紫外線または熱に対する安定性などを上げるために炭素数1〜12のアルキル、または誘電率異方性の絶対値を上げるために炭素数1〜12のアルコキシである。
【0279】
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度を下げるためにエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘプチルである。
【0280】
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルコキシは、メトキシまたはエトキシである。
【0281】
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度を下げるためにビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるためなどから1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。これらのアルケニルにおいては、分岐よりも直鎖のアルケニルが好ましい。
【0282】
少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたアルケニルの好ましい例は、2,2−ジフルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、および6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルである。さらに好ましい例は、粘度を下げるために2,2−ジフルオロビニル、および4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。
【0283】
環Aおよび環Bは独立して、1,4−シクロへキシレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−6−メチル−1,4−フェニレン、2,6−ナフタレンジイル、7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり、ここで、環Aおよび環Bの少なくとも1つは2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−フルオロ−3−クロロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−6−メチル−1,4−フェニレン、7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり、jが2または3である時、任意の2つの環Aは同じであっても異なってもよい。好ましい環Aおよび環Bはそれぞれ、誘電率異方性を上げるために2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンまたはテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり、粘度を下げるために1,4−シクロへキシレンである。
【0284】
環A21、環A22、環A23、環B21、および環B22は独立して、1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンである。好ましい環A21、環A22、環A23、環B21、および環B22はそれぞれ、粘度を下げるために1,4−シクロへキシレンである。
【0285】
およびZは、独立して単結合、−(CH−、−CHO−、−COO−、−CFO−であり、jが2または3である時、任意の2つのZは同じであっても異なってもよく、kが2または3である時、任意の2つのZは同じであっても異なってもよく、好ましいZおよびZは誘電率異方性を上げるために−CHO−であり、粘度を下げるために単結合である。
【0286】
11およびZ12は、独立して単結合、−(CH−、−CHO−、または−COO−である。好ましいZ11およびZ12は誘電率異方性を上げるために−CHO−であり、粘度を下げるために単結合である。
【0287】
jは、1、2、または3である。好ましいjは下限温度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2である。
【0288】
前記負の誘電率異方性を有する液晶組成物が、第1成分として好ましい化合物(NL−1)は、化合物(NL−1−1)、(NL−1−4)、(NL−1−7)または(NL−1−32)である。
【0289】
前記負の誘電率異方性を有する液晶組成物の好ましい例として、特開昭57−114532号公報、特開平2−4725号公報、特開平4−224885号公報、特開平8−40953号公報、特開平8−104869号公報、特開平10−168076号公報、特開平10−168453号公報、特開平10−236989号公報、特開平10−236990号公報、特開平10−236992号公報、特開平10−236993号公報、特開平10−236994号公報、特開平10−237000号公報、特開平10−237004号公報、特開平10−237024号公報、特開平10−237035号公報、特開平10−237075号公報、特開平10−237076号公報、特開平10−237448号公報(EP967261A1)、特開平10−287874号公報、特開平10−287875号公報、特開平10−291945号公報、特開平11−029581号公報、特開平11−080049号公報、特開2000−256307号公報、特開2001−019965号公報、特開2001−072626号公報、特開2001−192657号公報、特開2010−037428号公報、国際公開2011/024666号パンフレット、国際公開2010/072370号パンフレット、特表2010−537010号パンフレット、特開2012−077201号公報、特開2009−084362号公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
【0290】
また例えば、本発明の素子に用いる液晶組成物は、例えば配向性を向上させる観点から、添加物をさらに添加してもよい。このような添加物は、光重合性モノマー、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合開始剤、重合禁止剤などである。
【0291】
液晶の配向性を改善する目的で光重合性モノマーまたはオリゴマーの最も好ましい構造としては、(PM−1−1)〜(PM−1−6)の構造が挙げられる。
【化158】
[この文献は図面を表示できません]
【0292】
光重合性モノマーまたはオリゴマーは、重合後の液晶の傾斜方向を決める効果を発現させるために、0.01重量%以上であることが望ましい。また、重合後のポリマーの配向効果を適切なものとするため、或いは紫外線照射後に、未反応のモノマーまたはオリゴマーが液晶に溶出することを避けるために、30重量%以下であることが望ましい。
【0293】
液晶のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性な化合物が組成物に混合される。このような化合物の例は、化合物(PAC−1−1)から化合物(PAC−1−4)である。光学活性な化合物の好ましい割合は5重量%以下である。さらに好ましい割合は0.01重量%から2重量%の範囲である。
【化159】
[この文献は図面を表示できません]
【0294】
大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するために、または素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を維持するために、酸化防止剤が液晶組成物に混合される。
【化160】
[この文献は図面を表示できません]
【0295】
酸化防止剤の好ましい例は、wが1から10の整数である化合物(AO−1)などである。化合物(AO−1)において、好ましいwは、1、3、5、7、または9である。さらに好ましいwは1または7である。wが1である化合物(AO−1)は、揮発性が大きいので、大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するときに有効である。wが7である化合物(AO−1)は、揮発性が小さいので、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。酸化防止剤の好ましい割合は、その効果を得るために50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように600ppm以下である。さらに好ましい割合は、100ppmから300ppmの範囲である。
【0296】
紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。立体障害のあるアミンのような光安定剤もまた好ましい。これらの吸収剤や安定剤における好ましい割合は、その効果を得るために50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように10000ppm以下である。さらに好ましい割合は100ppmから10000ppmの範囲である。
【0297】
GH(Guest host)モードの素子に適合させるためにアゾ系色素、アントラキノン系色素などのような二色性色素(dichroic dye)が組成物に混合される。色素の好ましい割合は、0.01重量%から10重量%の範囲である。
【0298】
泡立ちを防ぐために、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどの消泡剤が組成物に混合される。消泡剤の好ましい割合は、その効果を得るために1ppm以上であり、表示の不良を防ぐために1000ppm以下である。さらに好ましい割合は、1ppmから500ppmの範囲である。
【0299】
PSA(polymer sustained alignment)モードの素子に適合させるために重合可能な化合物を組成物に混合することができる。重合可能な化合物の好ましい例はアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、ビニルケトンなどの重合可能な基を有する化合物である。特に好ましい例は、アクリレートまたはメタクリレートの誘導体である。このような化合物の例は、化合物(PM−2−1)から化合物(PM−2−9)である。重合可能な化合物の好ましい割合は、その効果を得るために、約0.05重量%以上であり、表示不良を防ぐために約10重量%以下である。さらに好ましい割合は、約0.1重量%から約2重量%の範囲である。
【0300】
【化161】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、R3a、R4a、R5a、およびR6aは独立して、アクリロイルまたはメタクリロイルであり、R7aおよびR8aは独立して、水素、ハロゲン、または炭素数1から10のアルキルであり、Z13、Z14、Z15、およびZ16は独立して、単結合または炭素数1から12のアルキレンであり、少なくとも1つの−CH−は−O−または−CH=CH−により置き換えられていてもよく、s、t、およびuはそれぞれ独立して、0、1、または2である。
【0301】
ラジカルまたはイオンを容易に生じ、連鎖重合反応を開始させるのに必要な物質として、重合開始剤を混合することができる。例えば光重合開始剤であるIrgacure651(登録商標)、Irgacure184(登録商標)、またはDarocure1173(登録商標)(Ciba Japan K.K.)がラジカル重合に対して適切である。重合可能な化合物は、好ましくは光重合開始剤を0.1重量%から5重量%の範囲で含む。特に好ましくは光重合開始剤を1重量%から3重量%の範囲で含む。
【0302】
ラジカル重合系において、重合開始剤あるいは単量体から生じたラジカルと速やかに反応して安定なラジカルまたは中性の化合物に変化し、その結果重合反応を停止させる目的で重合禁止剤を混合することができる。重合禁止剤は構造上いくつかに分類される。その一つは、トリ−p−ニトロフェニルメチル、ジ−p−フルオロフェニルアミンなどのようなそれ自身安定なラジカルで、もう一方は、重合系に存在するラジカルと容易に反応して安定なラジカルに変わるもので、ニトロ、ニトリソ、アミノ、ポリヒドロキシ化合物などがその代表である。後者の代表としてはヒドロキノン、ジメトキシベンゼンなどがあげられる。重合禁止剤の好ましい割合は、その効果を得るために5ppm以上であり、表示の不良を防ぐために1000ppm以下である。さらに好ましい割合は、5ppmから500ppmの範囲である。
【0303】
本発明の液晶表示素子に負の誘電率異方性を持つ液晶組成物を用いることにより、残像特性に優れ、かつ配向安定性の良い液晶表示素子を提供することができる。
【実施例】
【0304】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、実施例において用いた評価法および化合物は次の通りである。
【0305】
<評価法>
1.粘度
粘度計(東機産業社製、TV−22)を用いて、25℃で測定した。
2.重量平均分子量(M.W.)
ポリアミック酸の重量平均分子量は、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters製)を用いてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。得られたポリアミック酸をリン酸−DMF混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)で、ポリアミック酸濃度が約2重量%になるように希釈した。カラムはHSPgel RT MB−M(Waters製)を使用し、前記混合溶液を展開剤として、カラム温度50℃、流速0.40mL/minの条件で測定を行った。標準ポリスチレンは東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを用いた。
3.鉛筆硬度
JIS規格「JIS−K−5400、8.4、鉛筆引掻試験」の方法に従った。結果を鉛筆の芯の硬さで表した。鉛筆硬度が低いと剥がれや削れが発生しやすく、この値が2Hよりも大きいと、削れ等が発生しにくい配向膜が得られる。
4.配向膜のリタデーションおよび膜厚測定
分光エリプソメータM−2000U(J.A.Woollam Co. Inc.製)を使用して求めた。本実施例における光配向膜の場合、膜のリタデーション値はポリマー主鎖の配向度に比例して大きくなる。すなわち大きなリタデーション値を持つものは、大きな配向度を持ち、液晶配向能が高いことを示す。この値が15よりも大きいと、表示特性が良好な配向膜が得られる。
5.削れ耐性
液晶セルに対し、試験棒を用いて1000gの加重で1回/秒・1分間打鍵した後、膜削れの有無を顕微鏡を用いて観察した。
6.プレチルト角測定
クリスタルローテーション法に準拠し測定した。
7.電圧保持率
「水嶋他、第14回液晶討論会予稿集 p78(1988)」に記載の方法で行った。測定は、波高±5Vの矩形波をセルに印加して行った。測定は60℃で行った。この値は、印加した電圧がフレーム周期後どの程度保持されているかを示す指標であり、この値が100%ならば全ての電荷が保持されていることを示す。
8.液晶中のイオン量測定(イオン密度)
応用物理、第65巻、第10号、1065(1996)に記載の方法に従い、東陽テクニカ社製、液晶物性測定システム6254型を用いて測定した。周波数0.01Hzの三角波を用い、±10Vの電圧範囲、温度60℃で測定した(電極の面積は1cm)。イオン密度が大きいとイオン性不純物による焼き付き等の不具合が発生しやすい。即ち、イオン密度は焼き付き発生を予測する指標となる物性値である。
【0306】
<テトラカルボン酸二無水物>
酸二無水物(1−1):合成例1の合成経路で得られたテトラカルボン酸二無水物
酸二無水物(1−5):合成例2の合成経路で得られたテトラカルボン酸二無水物
酸二無水物(1−6):合成例2の合成経路に準拠して得られたテトラカルボン酸二無水物
酸二無水物(1−28):合成例2の合成経路に準拠して得られたテトラカルボン酸二無水物
酸二無水物(AN−2−1):1,2,3,4,−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
酸二無水物(AN−3−2):ピロメリット酸二無水物
酸二無水物(AN−4−1):3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物
酸二無水物(AN−4−17,m=8):1,8−ビス(3,4−ジカルボン酸フェニル)オクタン二無水物
酸二無水物(AN−4−30):N,N’−(1,4−フェニレン)ビス(1,3−ジオキソオクタヒドロイソベンゾフラン−5−カルボキシアミド)
酸二無水物(AN−7−2):2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
【0307】
<ジアミン>
ジアミン(DI−1−3):1,6−ジアミノヘキサン
ジアミン(DI−2−1):1,4−シクロヘキサンジアミン
ジアミン(DI−3−1):4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン
ジアミン(DI−4−1):1,4−フェニレンジアミン
ジアミン(DI−5−1,m=4):4,4’−ジアミノジフェニルブタン
ジアミン(DI−5−9):4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
ジアミン(DI−5−29):ビフェニル−4,4’−ジアミン
ジアミン(DI−5−30,k=2):N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン
ジアミン(DI−6−7):4,4’−p−フェニレンジアニリン
ジアミン(DI−7−3,m=3,n=1):1,3−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)プロパン
ジアミン(DI−8−1):2,6−ジアミノナフタレン
ジアミン(DI−12−1):1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
ジアミン(DI−13−1):4,4’−N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン
ジアミン(DI−16−1):1−(4−アミノフェニル)−1H−インドール−5−アミン
ジアミン(PDI−7−a):4,4’−ジアミノアゾベンゼン
ジアミン(PDI−8−a):4,4’−ビス[(4−アミノフェニル)メチル]アゾベンゼン
ジアミン(PDI−9):4−アミノフェニル−4−アミノシンナメート
ジアミン(PDI−11):4,4’− ジアミノカルコン
【化162】
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【0308】
<溶剤>
N−メチル−2−ピロリドン:NMP
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル):BC
【0309】
<添加剤>
添加剤(Ad1):1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−オキサゾリル)ベンゼン
添加剤(Ad2):N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
添加剤(Ad3):3−アミノプロピルトリエトキシシラン
【0310】
[実施例1]化合物(1−1)の合成
【化163】
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<第1段階;アジド化>
温度計、窒素導入管を装着した3つ口フラスコに、4−(4−ブロモブチル)フタル酸ジエチル(12.1g、34.0mol)を入れ、DMF70mLを加えた。そこに、アジ化ナトリウム(2.4g、37.4mmol)を加えた。その後、溶液を60℃に加温し、同温で3時間窒素雰囲気下で撹拌した。反応溶液を水400mLにあけ、ヘプタン300mLで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させたのち、溶媒を減圧留去して4−(4−アジドブチル)−フタル酸ジエチルエステル化合物を得た(収量10.0g、収率92%)。
【0311】
<第2段階;トリアゾール環の形成>
温度計、窒素導入管を装着した3つ口フラスコに、第1段階で得られた4−(4−アジドブチル)フタル酸ジエチルエステル(10.0g、31.3mmol)、4−エチニル−フタル酸ジメチル(7.5g、34.4mmol)を入れ、塩化メチレン50mLと水50mLを加えた。室温で撹拌して化合物を溶解させた後、硫酸銅五水和物(0.78g、3.1mmol)とL−アスコルビン酸ナトリウム(1.2g、6.3mmol)を加え、1時間室温で撹拌した。反応液を水50mLにあけ、トルエン100mLで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させたのち、溶媒を減圧留去して粗体を得た。粗体をカラムクロマトグラフィーで精製し下記の化合物を得た(収量15.7g、収率93%)。
【化164】
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【0312】
<第3段階;加水分解>
温度計および還流管を装着した3つ口フラスコに、第2段階で得た化合物(15.7g、29.2mmol)を加え、テトラヒドロフラン30mLを加えた。この溶液に水酸化ナトリウムの20%水溶液を30mL加え、還流状態で2時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷し、エバポレーターでテトラヒドロフランを留去した後、pHが1.0になるまで6N HClを加えた。析出した結晶を吸引ろ取し、純水で洗浄して下記の化合物を得た(収量;14.6g、収率110%)。
【化165】
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【0313】
<第4段階;無水化>
温度計および還流管を装着した3つ口フラスコに、第3段階で得た化合物(13.6g、30.0mmol)、無水酢酸68mLを加え、還流状態で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷した後、析出した結晶を吸引ろ取し、トルエンで洗浄して化合物(1−1)を得た(収量;9.6g、収率77%)。
【0314】
H−NMR(500MHz、CDCl):δ 8.99(s,1H)、 8.49−8.45(m,2H)、 8.17(d,J=7.5Hz,1H)、 8.00(d,J=7.8Hz,1H)、 7.97(s,1H)、 7.87−7.84(m,1H)、 4.52(t,J=7Hz,2H)、 2.90(t,J=7.6Hz,2H)、 1.97−1.90(m,2H)、 1.73−1.65(m,2H);
融点:200.2−201.9℃.
【0315】
[実施例2]化合物(1−5)の合成
【化166】
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【0316】
<第1段階;アジド化>
温度計、窒素導入管を装着した100mL3つ口フラスコに、1、6−ジブロモヘキサン(5.0g、20.5mmol)を入れ、DMF25mLを加えた。そこに、アジ化ナトリウム(2.9g、45.6mmol)を加えた。その後、溶液を60℃に加温し、同温で3時間窒素雰囲気下で撹拌した。反応溶液を水200mLにあけ、ヘプタン100mLで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させたのち、溶媒を減圧留去して1、6−ジアジドヘキサンを得た(収量3.2g、収率93%)。
【0317】
<第2段階;トリアゾール環の形成>第1段階で得られた1、6−ジアジドヘキサン(2.2g、13.1mmol)、4−エチニル−フタル酸ジメチル(5.7g、26.2mmol)を入れ、塩化メチレン5mLと水5mLを加えた。室温で撹拌して化合物を溶解させた後、硫酸銅五水和物(0.16g、0.65mmol)とL−アスコルビン酸ナトリウム(0.26g、1.3mmol)を加え、1時間室温で撹拌した。反応液を水50mLにあけ、トルエン50mLで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させたのち、溶媒を減圧留去して粗体を得た。粗体をカラムクロマトグラフィーで精製し下記の化合物を得た(収量3.2g、収率93%)。
【化167】
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【0318】
<第3段階;加水分解>
温度計および還流管を装着した3つ口フラスコに、第2段階で得た化合物(6.8g、11.3mmol)を加え、テトラヒドロフラン10mLを加えた。この溶液に水酸化ナトリウムの20%水溶液を10mL加え、還流状態で2時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷し、エバポレーターでテトラヒドロフランを留去した後、pHが1.0になるまで6N HClを加えた。析出した結晶を吸引ろ取し、純水とメタノールで洗浄して下記の化合物を得た(収量;5.8g、収率94%)。
【化168】
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【0319】
<第4段階;無水化>
温度計および還流管を装着した3つ口フラスコに、第3段階で得た化合物(5.8g、10.6mmol)、無水酢酸29mLを加え、還流状態で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷し、析出した結晶を吸引ろ取し、トルエンで洗浄して化合物(1−5)を得た(収量;4.9g、収率91%)。
【0320】
H−NMR(500MHz、CDCl):δ 9.01(s,2H),8.50−8.46(m,4H),8.17(d,J=8.4Hz,2H),4.46(t,J=7Hz,4H),1.95−1.87(m,4H),1.39−1.32(m,4H);
融点:254.3−256.5℃.
【0321】
[実施例3]化合物(1−6)の合成
【化169】
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<第1段階;トリアゾール環の形成>
1、6−ジアジドヘキサン(2.2g、13.1mmol)、4−エチニル−1、2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(6.2g、27.5mmol)を入れ、塩化メチレン20mlと水20mlを加えた。室温で撹拌して化合物を溶解させた後、硫酸銅五水和物(0.16g、0.65mmol)とL−アスコルビン酸ナトリウム(0.26g、1.3mmol)を加え、1時間室温で撹拌した。反応液を水50mlにあけ、トルエン50mlで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させたのち、溶媒を減圧留去して粗体を得た。粗体をカラムクロマトグラフィーで精製し下記の化合物を得た(収量;7.8g、収率97%)。
【化170】
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【0322】
<第2段階;加水分解>
温度計および還流管を装着した3つ口フラスコに、第1段階で得た化合物(7.0g、11.3mmol)を加え、テトラヒドロフラン10mLを加えた。この溶液に水酸化ナトリウムの20%水溶液を10mL加え、還流状態で2時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷し、エバポレーターでテトラヒドロフランを留去した後、pHが1.0になるまで6N HClを加えた。析出した結晶を吸引ろ取し、純水とメタノールで洗浄して下記の化合物を得た(収量;6.0g、収率94%)。
【化171】
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【0323】
<第3段階;無水化>
温度計および還流管を装着した3つ口フラスコに、第2段階で得た化合物(5.9g、10.6mmol)、無水酢酸30mlを加えた、還流状態で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷し、析出した結晶を吸引ろ取し、トルエンで洗浄して化合物(1−6)を得た(収量;4.7g、収率84%)。
【0324】
[実施例4]化合物(1−28)の合成
【化172】
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<第1段階;アジド化>
温度計、窒素導入管を装着した100mL3つ口フラスコに、1、4−ジブロモブタン(6.5g、30.0mmol)を入れ、DMF100mlを加えた。そこに、アジ化ナトリウム(4.2g、65.0mmol)を加えた。その後、溶液を60℃に加温し、同温で3時間窒素雰囲気下で撹拌した。反応溶液を水500mlにあけ、ヘプタン300mlで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させたのち、溶媒を減圧留去して1、4−ジアジドブタンを得た(収量;4.0g、収率95%)。
【0325】
<第2段階;トリアゾール環の形成>
温度計、窒素導入管を装着した3つ口フラスコに、第1段階で得られた1、4−ジアジドブタン(2.8g、20.0mmol)、4−(5−ヘキシニル)−フタル酸ジメチル(11.1g、40.4mol)を入れ、塩化メチレン40mlと水40mlを加えた。室温で撹拌して化合物を溶解させた後、硫酸銅五水和物(0.5g、2.0mol)とL−アスコルビン酸ナトリウム(0.8g、4.0mol)を加え、1時間室温で撹拌した。反応液を水100mlにあけ、トルエン100mlで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させたのち、溶媒を減圧留去して粗体を得た。粗体をカラムクロマトグラフィーで精製し下記の化合物を得た(収量;13.2g、収率96%)。
【化173】
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【0326】
<第3段階;加水分解>
温度計および還流管を装着した3つ口フラスコに、第2段階で得た化合物(11.9g、17.3mol)を加え、テトラヒドロフラン50mlを加えた。この溶液に水酸化ナトリウムの20%水溶液16mlを加え、還流状態で2時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷し、エバポレーターでテトラヒドロフランを留去した後、pHが1.0になるまで6N HClを加えた。析出した結晶を吸引ろ取し、純水で洗浄して下記の化合物を得た(収量;10.1g、収率92%)。
【化174】
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【0327】
<第4段階;無水化>
温度計および還流管を装着した3つ口フラスコに、第3段階で得た化合物(9.6g、15.2mol)と無水酢酸100mlを加え、還流状態で6時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷した後、析出した結晶を吸引ろ取し、トルエンで洗浄して化合物(1−28)を得た(収量;8.9g、収率98%)。
【0328】
[実施例5]
<ポリアミック酸の合成>
攪拌羽、温度計を取り付けた3つ口フラスコに実施例1で合成した化合物(1−1)3.3144gおよび化合物(PDI−7−a)1.6856gを秤取り、そこにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)65gを加えた。室温で12時間攪拌し、そこにエチレングリコールモノブチルエーテル(BC)30gを加え、室温で24時間撹拌を続けポリアミック酸濃度5重量%の溶液を得た。この溶液をワニスA−1とする。このワニス中のポリアミック酸の重量平均分子量(M.W.)は74,000であった。
【0329】
[実施例6〜34]
下記表1に示す通り、実施例5に記載の方法に準じて光配向膜形成用ポリマーとなるポリアミック酸濃度5重量%のワニスを得た。( )内は原料の総量を100モル%とした場合のモル%を表す。実施例32〜34においては、前述同様にワニスを調整後、添加剤(Ad1)〜(Ad3)をそれぞれポリマー100重量部あたり10重量部の割合で添加し、調整した。実施例5も表1中に再掲した。
【0330】
【表1-1】
[この文献は図面を表示できません]
【0331】
【表1-2】
[この文献は図面を表示できません]
【0332】
[比較例1〜3]
下記表2に示す通り、実施例5に記載の方法に準じて光配向膜形成用ポリマーとなるポリアミック酸濃度5重量%のワニスを得た。( )内は原料の総量を100モル%とした場合のモル%を表す。
【0333】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0334】
[実施例35]
サンプル瓶にワニスA−1を1.0g計り取り、NMP/BC=1/1(重量比)を加え1.67gとした。透明ガラス基板上に、この約3重量%のポリアミック酸溶液を滴下し、スピンナー法により塗布した(2,000rpm、15秒)。塗布後、基板を80℃で3分間加熱し、溶剤を蒸発させた後、ウシオ電機(株)製マルチライトML−501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射した。この時の露光エネルギーはウシオ電機(株)製紫外線積算光量計UIT−150(受光器:UVD−S365)を用いて光量を測定し、波長365nmで1.3±0.1J/cmになるよう、露光時間を調整した。光照射後の基板をオーブン中で210℃、15分間加熱処理し、膜厚約100nmの配向膜A−1を得た。この配向膜A−1のリタデーションを測定したところ、19.8nmであった。また、得られた配向膜A−1の鉛筆硬度を測定したところ、3Hであった。
【0335】
[実施例36〜64]および[比較例4〜6]
ワニスA−2〜A−30およびB−1〜B−3も、実施例35に準じた操作で配向膜A−2〜A−30およびB−1〜B−3を製膜し、実施例35の方法に準じてリタデーションおよび鉛筆硬度を測定した。それらの結果を表3および表4に示した。実施例35の結果についても表3中に再掲した。
【0336】
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0337】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0338】
ワニスA−1〜A−30から得られた配向膜A−1〜A−30においては、すべての配向膜で大きなリタデーションおよび高い鉛筆硬度を持つことが分った。ワニスB−1から得られた配向膜B−1においては、大きなリタデーションを持つが、鉛筆硬度が低いことが分かった。また、ワニスB−2およびB−3から得られた配向膜においては、鉛筆硬度は充分高いとは言えず、また、リタデーションも小さいことが分った。
【0339】
[実施例65]
ガラス基板を、片面にITO電極を設けた透明ガラス基板、に代えた以外は、実施例35に準じた方法で、膜厚約100nmの配向膜A−1を得た。ITO電極上にこれらの配向膜が形成された基板2枚を、配向膜が形成されている面を対向させ、かつ、対向する配向膜の間に液晶組成物を注入するための空隙を設けて貼り合わせた。この時、それぞれの配向膜に照射された直線偏光の偏光方向が平行になるようにした。このセルに下記に示すポジ型液晶組成物Aを注入し、セル厚3.5μmの液晶セルA−1(液晶表示素子)を作製した(図1)。
【0340】
<ポジ型液晶組成物A>
【化175】
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物性値:NI 100.1℃; Δε 5.1; Δn 0.093; η 25.6mPa・s.
【0341】
この液晶セルA−1を目視により観察したところ、液晶が注入口から放射状に並ぶいわゆる流動配向は全く観察されなかった。偏光顕微鏡をクロスニコル状態にし、液晶セルA−1を回転させると明瞭な明および暗状態が観察された。この液晶セルA−1のプレチルト角(以下、Pt角と略記することがある。)は0.1°であった。またVHR(電圧保持率)およびイオン密度は、99.0%(30Hz)、87.0%(0.3Hz)および80pCであった。この液晶セルの削れ耐性を測定したところ、打鍵処理の後、配向膜の削れや剥がれは全く観察されなかった。
【0342】
[実施例66〜94]および[比較例7〜9]
実施例65に記載の方法に準じて、ワニスA−2〜A−30、およびB−1〜B−3についても液晶セルA−2〜A−30、およびB−1〜B−3を作製し、配向状態、プレチルト角、VHR、イオン密度および削れ耐性を測定した。測定結果を表5および表6に示した。実施例65も表5中に再掲した。
・削れ耐性
○:打鍵処理の後、顕微鏡で配向膜の削れや剥がれが観察されない
×:打鍵処理の後、顕微鏡で配向膜の削れや剥がれが観察される
【0343】
【表5】
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【0344】
【表6】
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【0345】
液晶セルA−1〜A−30においては良好な配向状態を示し、良好な削れ耐性を示した。また、VHR、イオン密度で表される電気特性も良好な結果であった。液晶セルB−1においては、良好な配向状態を示し、電気特性も良好だったが、配向膜の削れが発生した。液晶セルB−2およびB−3においては、配向膜の削れは観察されなかったが、液晶の流動配向が確認され、表示不良の液晶セルとなった。
【0346】
[実施例95〜109]および[比較例10〜12]
下記表7および表8に示す通り、実施例5に記載の方法に準じてポリアミック酸濃度5重量%のワニスを得た。( )内は原料の総量を100モル%とした場合のモル%を表す。
【0347】
【表7】
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【0348】
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0349】
[実施例110]
サンプル瓶にワニスC−1を1.0g計り取り、NMP/BC=1/1(重量比)を加え1.67gとした。透明ガラス基板上に、この約3重量%のポリアミック酸溶液を滴下し、スピンナー法により塗布した(2,000rpm、15秒)。塗布後、基板を80℃で3分間加熱し、溶剤を蒸発させた後、クリーンオーブン(エスペック株式会社製、クリーンオーブン(PVHC−231))中で、210℃、15分間加熱処理し、膜厚約100nmの配向膜C−1を得た。次いで、得られた液晶配向膜を株式会社飯沼ゲージ製作所製のラビング処理装置を用いて、ラビング布(毛足長1.8mm:レーヨン)の毛足押し込み量0.20mm、ステージ移動速度を60mm/sec、ローラー回転速度を1,000rpmの条件で、ラビング処理を行った。得られた基板のリタデーションを測定したところ、0.26nmであった。また、得られた配向膜C−1の鉛筆硬度を測定したところ、5Hであった。
【0350】
[実施例111〜124]および[比較例13〜15]
ワニスC−2〜C−15およびD−1〜D−3も、実施例110に準じた操作で配向膜C−2〜C−15およびD−1〜D−3を製膜し、実施例110の方法に準じてリタデーションおよび鉛筆硬度を測定した。それらの結果を表9および表10に示した。実施例110の結果についても表9中に再掲した。
【0351】
【表9】
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【0352】
【表10】
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【0353】
実施例110〜124および比較例13〜15との比較により、本発明の配向膜はリタデーションを損なうことなく、鉛筆硬度が大きく改善されることが分かる。
【0354】
[実施例125]
ガラス基板を、片面にITO電極を設けた透明ガラス基板、に代えた以外は、実施例110に準じた方法で、膜厚約100nmの配向膜C−1を得た。ITO電極上にこれらの配向膜が形成された基板2枚を、配向膜が形成されている面を対向させ、かつ、対向する配向膜の間に液晶組成物を注入するための空隙を設けて貼り合わせた。この時、それぞれの配向膜に照射された直線偏光の偏光方向が平行になるようにした。このセルに下記に示すポジ型液晶組成物Aを注入し、セル厚3.5μmの液晶セルC−1(液晶表示素子)を作製した(図1)。
【0355】
<ポジ型液晶組成物A>
【化176】
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物性値:NI 100.1℃; Δε 5.1; Δn 0.093; η 25.6mPa・s.
【0356】
この液晶セルC−1を目視により観察したところ、液晶が注入口から放射状に並ぶいわゆる流動配向は全く観察されなかった。偏光顕微鏡をクロスニコル状態にし、液晶セルC−1を回転させると明瞭な明および暗状態が観察された。この液晶セルC−1のプレチルト角(以下、Pt角と略記することがある。)は0.1°であった。またVHR(電圧保持率)およびイオン密度は、99.1%(30Hz)、87.6%(0.3Hz)および75pCであった。この液晶セルを顕微鏡で観察したところ、ラビング傷や削れカスは確認されなかった。
【0357】
[実施例126〜139]および[比較例16〜18]
実施例125に記載の方法に準じて、ワニスC−2〜C−15、およびD−1〜D−3についても液晶セルC−2〜C−15、およびD−1〜D−3を作製し、配向状態、プレチルト角、VHR、イオン密度および削れ耐性を測定した。測定結果を表11および表12に示した。実施例125も表11中に再掲した。
・ラビング耐性
○:ラビング傷や削れカスが観察されない
×:ラビング傷や削れカスが観察される
【0358】
【表11】
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【0359】
【表12】
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【0360】
液晶セルC−1〜C−15においては良好な配向状態を示し、良好なラビング耐性を示した。また、VHR、イオン密度で表される電気特性も良好な結果であった。液晶セルD−1〜D−3においては、良好な配向状態を示し、電気特性も良好だったが、ラビングによる傷や削れカスが発生した。
【0361】
[実施例140〜148]
下記表13に示す通り、実施例5に記載の方法に準じてブレンド用ポリマーとなるポリアミック酸濃度5重量%のワニスを得た。( )内は原料の総量を100モル%とした場合のモル%を表す。
【0362】
【表13】
[この文献は図面を表示できません]
【0363】
[実施例149]
攪拌翼、窒素導入管を装着した50mLナスフラスコに実施例5で合成したワニスA−1を2.0gおよび実施例140で合成したワニスE−1を8.0g秤取り、そこにN−メチル−2−ピロリドン5.0gおよびブチルセロソルブ5.0gを加え室温で1時間攪拌し樹脂分濃度2.5重量%の配向剤(ワニスA−1/ワニスE−1)を得た。得られた配向剤を用いて、実施例35に記載の方法に準じ配向膜F−1を作製した。この配向膜F−1のリタデーションを測定したところ、19.6nmであった。また、得られた配向膜F−1の鉛筆硬度を測定したところ、4Hであった。
【0364】
[実施例150〜157および比較例19−21]
使用するワニスを変更した以外は、実施例149に準拠して配向膜F−2〜F−9、及びG−1〜G−3を作製し、リタデーションおよび鉛筆硬度を測定した。使用したワニスおよび測定結果を実施例149と併せて表14、表15に示す。なお表14、表15中、ワニスAは光異性化構造を有する原料を使用するポリマーを含有するワニス、ワニスBはブレンド用ポリマーを含有するワニスであることを示す。
【0365】
【表14】
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【0366】
【表15】
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【0367】
配向膜F−1〜F−9においては、すべての配向膜で大きなリタデーションおよび高い鉛筆硬度を持つことが分った。配向膜G−1においては、大きなリタデーションを持つが、鉛筆硬度が低いことが分かった。配向膜G−2とG−3においては、鉛筆硬度は充分高いとは言えず、また、リタデーションも小さいことが分った。
【0368】
[実施例158]
ガラス基板を、片面にITO電極を設けた透明ガラス基板に代えた以外は、実施例149に準じた方法で、膜厚約100nmの配向膜F−1を得た。ITO電極上にこれらの配向膜が形成された基板2枚を、配向膜が形成されている面を対向させ、かつ、対向する配向膜の間に液晶組成物を注入するための空隙を設けて貼り合わせた。この時、それぞれの配向膜に照射された直線偏光の偏光方向が平行になるようにした。このセルに下記に示すポジ型液晶組成物Aを注入し、セル厚3.5μmの液晶セルF−1(液晶表示素子)を作製した。
【0369】
この液晶セルF−1を目視により観察したところ、液晶が注入口から放射状に並ぶいわゆる流動配向は全く観察されなかった。偏光顕微鏡をクロスニコル状態にし、液晶セルF−1を回転させると明瞭な明および暗状態が観察された。この液晶セルF−1のプレチルト角は0.1°であった。またVHR(電圧保持率)およびイオン密度は、99.0%(30Hz)、87.2%(0.3Hz)および80pCであった。この液晶セルの削れ耐性を測定したところ、打鍵処理の後、配向膜の削れや剥がれは全く観察されなかった。
【0370】
[実施例159〜166および比較例22−24]
使用するワニスを変更した以外は、実施例158に準拠して、液晶セルを作製し、配向状態、プレチルト角、VHR、イオン密度および削れ耐性を測定した。使用するワニスおよび測定結果を実施例158と併せて表16、表17に示す。
・削れ耐性
○:打鍵処理の後、顕微鏡で配向膜の削れや剥がれが観察されない
×:打鍵処理の後、顕微鏡で配向膜の削れや剥がれが観察される
【0371】
【表16】
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【0372】
【表17】
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【0373】
液晶セルF−1〜F−9においては良好な配向状態を示し、良好な削れ耐性を示した。また、VHR、イオン密度で表される電気特性も良好な結果であった。液晶セルG−1においては、良好な配向状態を示し、電気特性も良好だったが、配向膜の削れが発生した。液晶セルG−2およびG−3においては、配向膜の削れは観察されなかったが、液晶の流動配向が確認され、表示不良の液晶セルとなった。
【産業上の利用可能性】
【0374】
本発明のトリアゾール含有テトラカルボン酸二無水物を原料としたポリアミック酸またはその誘導体を用いた配向剤を用いることで、光配向法およびラビング法のいずれの方法においても、配向性が高く削れが起こらない配向膜を得ることができる。この配向膜を用いることで表示特性および電気特性に優れた液晶表示素子を得ることができる。
【符号の説明】
【0375】
1 ガラス基板
2 カラムスペーサー
3 ITO基板
4 液晶
5 シール材
6 配向膜
図1
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