特許第6517966号(P6517966)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラピスセミコンダクタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6517966-発振回路 図000003
  • 特許6517966-発振回路 図000004
  • 特許6517966-発振回路 図000005
  • 特許6517966-発振回路 図000006
  • 特許6517966-発振回路 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6517966
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】発振回路
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/08 20060101AFI20190513BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20190513BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   H03B5/08 Z
   H01L27/04 G
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-30001(P2018-30001)
(22)【出願日】2018年2月22日
(62)【分割の表示】特願2016-141877(P2016-141877)の分割
【原出願日】2010年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-93529(P2018-93529A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】太矢 隆士
【審査官】 鬼塚 由佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−246863(JP,A)
【文献】 特開平08−046424(JP,A)
【文献】 特開2000−278042(JP,A)
【文献】 特表2001−508985(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0184812(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/08
H03H 5/02
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路を含む半導体装置であって、
前記半導体集積回路の内部に設けられた第1のキャパシタと、前記半導体集積回路の外部に設けられたインダクタと、前記第1のキャパシタと前記インダクタとの間に画定された第1の領域を囲み前記第1のキャパシタと前記インダクタとを接続する第1の配線と、により構成された第1の閉回路と、
前記インダクタと、前記半導体集積回路の外部に設けられ前記第1の領域の外側に配置された第2のキャパシタと、前記インダクタと前記第2のキャパシタとの間に画定された第2の領域を囲み前記インダクタと前記第2のキャパシタとを接続する第2の配線と、により構成された第2の閉回路と、
を有し、
前記第2の配線の配線抵抗は、前記第1の配線の配線抵抗よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の領域の面積は、前記第2の領域の面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2のキャパシタのキャパシタンスは前記第1のキャパシタのキャパシタンスよりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2のキャパシタと、前記第1の領域及び前記第2の領域の外側に設けられた第3のキャパシタと、前記第2のキャパシタと前記第3のキャパシタとの間に画定された第3の領域を囲み前記第2のキャパシタと前記第3のキャパシタとを接続する第3の配線と、により構成された第3の閉回路と、
前記第3のキャパシタと、前記第1の領域、前記第2の領域、及び前記第3の領域の外側に該第3のキャパシタと並列に接続して配置されたバイポーラトランジスタと、前記第3のキャパシタと前記バイポーラトランジスタとの間に画定された第4の領域を囲み前記第3のキャパシタと前記バイポーラトランジスタとを接続する第4の配線と、により構成された第4の閉回路と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の閉回路の配線長は、前記第2の閉回路、前記第3の閉回路及び前記第4の閉回路の各々の配線長よりも長いことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の閉回路の配線抵抗は、前記第2の閉回路、前記第3の閉回路及び前記第4の閉回路の各々の配線抵抗よりも大きいことを特徴とする請求項4又は5に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波発振を可能にする発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線機においては、インダクタ及びキャパシタから構成された共振回路と、トランジスタとによって構成された発振回路が用いられている。キャパシタとして可変容量ダイオードを用いることにより、電圧制御発振回路(VCO:voltage controlled oscillator)を構成し、周波数制御が可能になる。また、当該電圧制御発振回路、位相比較器、ループフィルタ、及び分周器によって位相同期回路(PLL:Phase-locked loop)を形成し、PLL周波数シンセサイザに用いることができる。
【0003】
近年においては、上述したような発振回路は、半導体集積回路の一部として形成されている。半導体集積回路の一部として発振回路を形成する方法として、発振回路を構成する全ての部品を半導体集積回路内に形成する場合や、発振回路を構成する部品の一部を半導体集積回路外に形成(すなわち、外付け部品として形成)する場合がある。例えば、発振周波数が数百メガヘルツ(MHz)以下になると、約10ナノヘンリー(nH)のインダクタンスを有するインダクタが必要となる。かかる場合に当該インダクタを半導体集積回路内に設けると、半導体集積回路内における当該インダクタの占有面積が過大となり、半導体集積回路自体も大きくなる。このため、数百MHz以下の発振周波数を有する発振回路においては、インダクタを半導体集積回路の外部に設けることが一般的に行われている。一方、発振周波数が1ギガヘルツ(GHz)以上になると約5nHのインダクタンスを有するインダクタが必要となり、当該インダクタは半導体集積回路内に収容できる。例えば、特許文献1にはインダクタを外付け部品として形成された発振回路が開示されている。更に、特許文献2には、キャパシタを外付け部品とした形成された発振回路が開示されている。特許文献3には、キャパシタを半導体集積回路内に設け、インダクタを外付け部品として設け、更に当該インダクタに外付けのキャパシタを直列接続した構成を有する発振回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−110504号公報
【特許文献2】特開平7−131243号公報
【特許文献3】特開平6−132728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無線機においては、受信回路、送信回路、位相同期回路、制御回路等の種々の機能を有する回路を半導体集積回路に収容しており、微弱な信号を取り扱う受信回路においては、発振回路からの信号の干渉が問題となる。
【0006】
例えば、トランジスタ及びキャパシタが半導体集積回路内に設けられ、インダクタのみが半導体集積回路外に設けられた構造を有する発振回路において、500MHzの発振周波数を15nHのインダクタで実現した場合、キャパシタンスは、以下の関係式(1)から6.75ピコファラッド(pF)になる。
【数式1】
【0007】
【0008】
なお、上記式において、fが共振周波数、Lがインダクタンス、Cがキャパシタンスである。発振状態における共振回路の電圧振幅の実効値を1Vとすると、インダクタのリアクタンスは、2πfL=47.1(Ω)となる。これにより、共振回路を流れる高周波電流は、1÷47.1=21.2(mA)となる。かかる高周波電流は、半導体集積回路自体の電源電流に匹敵する大電流である。
【0009】
このような高周波電流が共振回路に流れると、共振回路の電流経路を構成する導電性材料から電磁波が放射され、更には半導体素子の基板電位が変動して半導体集積回路内の他の回路の特性が劣化する。例えば、受信感度の低下といった半導体集積回路の特性劣化が生じる。
【0010】
上述したような問題を解決するために、発振振幅を小さくすることが考えられるが、発振振幅を小さくすると発振信号の純度が劣化するため、かかる方法を用いることは困難である。また、発振回路と他の回路との間隔を広げたり、又は発振回路と他の回路との間にシールドを設けたりすることも考えられるが、半導体集積回路の面積及びコストの増加になるため、かかる方法も用いることは困難である。
【0011】
本発明は、以上の如き事情に鑑みてなされたものであり、数百メガヘルツの発振周波数を有する発振信号を出力する場合において、半導体集積回路内に設けられた他の回路の特性劣化を抑制することができる発振回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明の半導体装置は、半導体集積回路を含む半導体装置であって、前記半導体集積回路の内部に設けられた第1のキャパシタと、前記半導体集積回路の外部に設けられたインダクタと、前記第1のキャパシタと前記インダクタとの間に画定された第1の領域を囲み前記第1のキャパシタと前記インダクタとを接続する第1の配線と、により構成された第1の閉回路と、前記インダクタと、前記半導体集積回路の外部に設けられ前記第1の領域の外側に配置された第2のキャパシタと、前記インダクタと前記第2のキャパシタとの間に画定された第2の領域を囲み前記インダクタと前記第2のキャパシタとを接続する第2の配線と、により構成された第2の閉回路と、を有し、前記第2の配線の配線抵抗は、前記第1の配線の配線抵抗よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発振回路は、半導体集積回路の内部に設けられた内部キャパシタと、半導体集積回路の外部に設けられた外部インダクタと、内部キャパシタ及び外部インダクタを接続する配線とからなる第1閉回路と、半導体集積回路の外部に設けられた外部キャパシタと、外部インダクタと、外部キャパシタ及び外部インダクタを接続する配線とからなる第2閉回路と、から構成される共振回路を有している。そして、第2閉回路の配線抵抗は第1閉回路の配線抵抗より小さいため、半導体集積回路の外部に高周波電流が流れやすくなり、発振時に流れる高周波電流によって半導体集積回路内の他の回路が受ける影響を低減することができる。
【0014】
すなわち、本発明の発振回路においては、数百メガヘルツの発振周波数を有する発振信号を出力する場合においても、半導体集積回路内に設けられた他の回路の特性劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1に係る発振回路を備える無線機の等価回路図である。
図2】本発明の実施例1に係る発振回路を構成する共振回路の概略構成図である。
図3】本発明の実施例1に係る発振回路を備える無線機における高周波磁界を説明するための概略構成図である。
図4】本発明の実施例2に係る発振回路を備える無線機の等価回路図である。
図5】、本発明の実施例2に係る発振回路の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
先ず、図1乃至図3を参照しつつ本発明の実施例1に係る発振回路について説明する。図1は、本発明の実施例1に係る発振回路を備える無線機の等価回路図である。図2は、本発明の実施例1に係る発振回路を構成する共振回路の概略構成図である。図3は、本発明の実施例1に係る発振回路を備える無線機における高周波磁界を説明するための概略構成図である。
【0018】
図1に示されているように、無線機10は、発振回路20、受信回路30、送信回路40、制御回路50から構成されている。無線機10においては、発振回路20の一部、受信回路30、送信回路40及び制御回路50が半導体集積回路60の内部に設けられている。受信回路30は、無線機10に他の無線機から供給されるデータを受信して所定の処理を行う機能を有する。また、送信回路40は、無線機10から他の無線機に送信するためのデータを生成し、当該データを送信する機能を有する。制御回路50は、発振回路20、受信回路30、送信回路40に対して制御信号を供給し、これらの回路が所定の動作を行うように制御する機能を有する。なお、無線機10は、これらの回路以外にもデータを蓄積するためのメモリ部等を有してもよく、上述した構成に限定されることはない。
【0019】
発振回路20は、増幅回路21及び増幅回路21の入力端及び出力端に接続された共振回路22から構成されている。増幅回路21は、半導体集積回路60内に設けられた2つのpチャネル型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタP1、P2、及び2つのnチャネル型のMOSトランジスタN1、N2から構成されている。具体的な増幅回路21の構成は、以下の通りである。MOSトランジスタP1、P2のソース端は電源電圧Vddに接続され、MOSトランジスタP1のドレイン端はMOSトランジスタN1のドレイン端に接続され、MOSトランジスタP2のドレイン端はMOSトランジスタN2のドレイン端に接続されている。また、MOSトランジスタP1のドレイン端はMOSトランジスタP2、N2のゲート端に接続され、MOSトランジスタP2のドレイン端はMOSトランジスタP1、N1のゲート端に接続されている。更に、MOSトランジスタP1のゲート端はMOSトランジスタN1のゲート端及びMOSトランジスタP2、N2のドレイン端に接続され、MOSトランジスタP2のゲート端はMOSトランジスタN2のゲート端及びMOSトランジスタP1、N1のドレイン端に接続されている。そして、MOSトランジスタN1、N2のソース端は接地電位に接続されている。
【0020】
共振回路22は、半導体集積回路60内に設けられた2つの内部キャパシタC1、C2及び可変容量ダイオードD1、D2と、半導体集積回路60の外部に設けられた外部インダクタL1及び外部キャパシタC3とから構成されている。具体的な共振回路22の構成は、以下の通りである。可変容量ダイオードD1、D2のアノード同士が接続され、更に可変容量ダイオードD1、D2のアノードは周波数制御電圧Vcに接続されている。可変容量ダイオードD1のカソードは内部キャパシタC1及び半導体集積回路60の外部接続端子T1に接続され、可変容量ダイオードD2のカソードは内部キャパシタC2及び半導体集積回路60の外部接続端子T2に接続されている。内部キャパシタC1、C2の一端は、接地電位に接続されている。また、内部キャパシタC1及び可変容量ダイオードD1は、接続回路21のMOSトランジスタP1、N1のドレイン端に接続され、内部キャパシタC2及び可変容量ダイオードD2は、接続回路21のMOSトランジスタP2、N2のドレイン端に接続されている。半導体集積回路60の外部においては、外部インダクタL1と外部キャパシタC3とが半導体集積回路60に対して並列に接続され、外部インダクタL1及び外部キャパシタC3の一端が接続点T3を介して半導体集積回路60の外部接続端子T1に接続され、外部インダクタL1及び外部キャパシタC3の他端が接続点T4を介して半導体集積回路60の外部接続端子T2に接続されている。
【0021】
次に、図2を参照しつつ共振回路22の構成を詳細に説明する。なお、図2において、外部インダクタL1の両端から配線が伸長している方向をX方向、外部接続端子T1、T2から配線が伸長している方向をY方向と定義する。
【0022】
図2に示されているように、共振回路22は、可変容量ダイオードD1、D2及び外部インダクタタL1が外部接続端子T1、T2を介して接続されることによって形成される第1閉回路23(破線で示す)と、外部インダクタL1及び外部キャパシタC3が接続されていることによって形成される第2閉回路24(一点鎖線で示す)との2つの閉回路を有している。第1閉回路23を構成する配線の配線長は、第2閉回路24を構成する配線の配線長よりも長い。すなわち、第1閉回路23によって囲まれた面積は、第2閉回路24を構成する配線によって囲まれた面積よりも大きい。なお、第1閉回路23を構成する配線の材料は、第2閉回路24を構成する配線の材料と同一である。
【0023】
また、第1閉回路23を構成する配線の一部の幅W1は、第2閉回路24を構成する配線の幅W2よりも小さい。具体的には、第1閉回路23を構成する配線のうち、接続点T3から外部接続端子T1、可変容量ダイオードD1、D2、及び外部接続端子T2介して接続点T4に至る配線の幅W1は、第2閉回路24を構成する配線の幅W2よりも小さい。ここで、第1閉回路23を構成する配線の厚さは、第2閉回路24を構成する配線の厚さと等しい。従って、第1閉回路23を構成する配線の断面積は、第2閉回路24を構成する配線の断面積よりも小さくなる。
【0024】
更に、Y方向に伸長する幅W1の配線、及びY方向に伸長する幅W2の配線は、外縁が一致するように接続点T3、T4において接続している。
【0025】
なお、第2閉回路24を構成する全ての配線の幅が第1閉回路23を構成する配線の幅よりも大きくなっている必要はなく、例えば、第2閉回路24を構成する配線のうち、Y方向に伸長した配線の幅のみを大きくしてもよい。なお、Y方向に伸長する幅W1の配線、及びY方向に伸長する幅W2の配線は、内縁が一致するように接続点T3、T4において接続してもよく、更には各配線の中央部が一致するように接続点T3、T4において接続していてもよい。
【0026】
上述したような構成を有することにより、発振回路20は、内部キャパシタC1、C2、外部キャパシタC3、及び可変容量ダイオードD1、D2のキャパシタの合成容量と、外部インダクタL1のインダクタンスとによって決定される周波数で発振する。なお、可変容量ダイオードD1、D2に印加される周波数制御電圧Vcを変化させることにより、発振周波数を変化させることができる。
【0027】
実施例1においては、外部インダクタL1のインダクタンスを15ナノヘンリー(nH)、半導体集積回路60内の内部キャパシタC1、C2、可変容量ダイオードD1、D2のキャパシタの合成容量を1.75ピコファラッド(pF)、外部キャパシタC3のキャパシタンスを5pFとし、発振周波数を500MHzとした。ここで、発振周波数500MHzにおける外部インダクタL1のリアクタンスは、47.1オーム(Ω)となり、外部インダクタL1に流れる高周波電流は、21.2mAとなる。また、外部インダクタL1に流れる高周波電流は、半導体集積回路60を経由して流れる(すなわち、第1閉回路23に流れる)高周波電流と、外部キャパシタC3を経由して流れる(すなわち、第2閉回路24に流れる)高周波電流とを合成した電流である。従って、外部インダクタL1に流れる21.2mAの高周波電流は、第1閉回路23に流れる5.5mAの高周波電流と、第2閉回路24に流れる15.7mAの高周波電流とが合成した電流である。このように、発振周波数を決定するためのキャパシタを半導体集積回路60の内外に分けて配置し、且つ、半導体集積回路60の外側に設けられた外部キャパシタC3のキャパシタンスを半導体集積回路60内に設けられたキャパシタの合成容量よりも大きくすることにより、半導体集積回路60内に流れる電流量を低減することができる。これにより、発振回路20に流れる高周波電流によって半導体集積回路60内の受信回路30、送信回路40及び制御回路50が受ける影響を低減することができる。
【0028】
また、実施例1においては、第1閉回路23を構成する配線の配線長は第2閉回路24を構成する配線の配線長よりも長く、更には第1閉回路23を構成する配線の断面積は第2閉回路24を構成する配線の断面積よりも小さく、両配線を構成する材料は同一である。すなわち、第1閉回路23における配線抵抗は第2閉回路24の配線抵抗よりも大きい。このため、第2閉回路24に高周波電流が流れ易くなり、上述したような半導体集積回路60内に流れる電流量の低減を効率よく実現し、半導体集積回路60内の受信回路30、送信回路40及び制御回路50が受ける影響を低減することができる。また、半導体集積回路60内のキャパシタの合成容量を外部キャパシタC3のキャパシタンスと同一又はそれ以上にしなければならい場合において、上述した配線幅の関係を用いることにより、半導体集積回路60内に流れる電流量の低減を図り、半導体集積回路60内の受信回路30、送信回路40及び制御回路50が受ける影響を低減することができる。
【0029】
なお、第1閉回路23における配線抵抗を第2閉回路24の配線抵抗よりも大きくすることができれば、上述したような構造に限定されない。例えば、第1閉回路23の配線に第2閉回路の配線の材料よりも低い導電率を有する材料を用いてもよい。また、配線幅だけでなく、配線厚を変更することにより、第1閉回路23における配線抵抗を第2閉回路24の配線抵抗よりも大きくしてもよい。
【0030】
更に、実施例1においては、第1閉回路23によって囲まれた面積を第2閉回路24によって囲まれた面積よりも大きくしている。高周波磁界の強さは電流経路によって囲まれた面積と電流値と積によって定まるため、電流量が大きくなる第2閉回路24によって囲まれた面積を小さくすることによって、第2閉回路24における高周波磁界の強さを低減することができる。
【0031】
更に、外部インダクタL1に対して+Y方向に内部キャパシタC1、C2及び可変容量ダイオードD1、D2を配置し、−Y方向に外部キャパシタC3を配置し(すなわち、外部キャパシタC3を第1閉回路23によって囲まれた領域外に配置し)、接続点T3及びT4において第1閉回路23と第2閉回路24の伸長方向が異なっている(すなわち、伸長方向が+Y方向又は−Y方向になっている)ため、同一時刻において第1閉回路23と第2閉回路24に流れる高周波電流の向きは逆になる。すなわち、第1閉回路23に生じる高周波電流の位相は、第2閉回路24に生じる高周波電流に対して反転している。そして、図3に示されているように、所定時刻における第1閉回路23における高周波磁界の向き(破線の矢印)と、第2閉回路24における高周波磁界の向き(一点鎖線の矢印)は逆になる。従って、第1閉回路23に流れる高周波電流によって生じる高周波磁界を第2閉回路24に流れる高周波電流によって生じる高周波磁界によって打ち消すことが可能になり、第1閉回路23に生じる高周波磁界によって半導体集積回路60内の受信回路30、送信回路40及び制御回路50等の他の回路が受ける影響を低減することができる。
【0032】
上述したように、高周波磁界の強さは電流経路によって囲まれた面積と電流値と積によって定まるため、第1閉回路23によって囲まれた面積と第1閉回路23に流れる電流量との積が、第2閉回路24によって囲まれた面積と第2閉回路24に流れる電流量との積と等しくなるように、第1閉回路23及び第2閉回路23の配線長及び幅、更には内部キャパシタC1、C2、可変容量ダイオードD1、D2及び外部キャパシタC3のキャパシタンスを決定することがより好ましい。なお、第1閉回路23に生じる高周波電流の位相を第2閉回路24に生じる高周波電流に対して反転させることができれば、外部インダクタL1及び外部キャパシタC3を上述したように配置する必要ない。例えば、外部キャパシタC3を第1閉回路23によって囲まれた領域内に設けてもよい。
【0033】
なお、増幅回路21はpチャネル型のMOSトランジスタ及びnチャネル型のMOSトランジスタから構成される場合に限られず、pチャネル型又はnチャネル型のいずれかのMOSトランジスタのみから構成されてもよい。また、外部インダクタL1は中点タップを有してもよく、更には2つのインダクタを直列に接続したものを用いてもよい。更に、発振回路20の構成は上述した構成に限られず、コルピッツ回路、ハートレー回路又はクラップ回路を構成してもよい。但し、いずれの場合においても、半導体集積回路の外部に少なくともインダクタ及びキャパシタを配置する必要がある。また、外部インダクタL1に代えて水晶振動子を配置し、水晶発振回路を構成してもよい。
【0034】
以上のように、本発明の発振回路20は、半導体集積回路60の内部に設けられた内部キャパシタC1、C2と、半導体集積回路60の外部に設けられた外部インダクタL1と、内部キャパシタC1、C2及び外部インダクタL1を接続する配線とからなる第1閉回路23と、半導体集積回路60の外部に設けられた外部キャパシタC3と、外部インダクタL1と、外部キャパシタC3及び外部インダクタL1を接続する配線とからなる第2閉回路24と、を有している。そして、第2閉回路24の配線抵抗は第1閉回路23の配線抵抗より小さいため、半導体集積回路60の外部に高周波電流が流れやすくなり、発振時に流れる高周波電流によって半導体集積回路60内の他の回路が受ける影響を低減することができる。
【0035】
すなわち、本発明の発振回路においては、数百メガヘルツの発振周波数を有する発振信号を出力する場合においても、半導体集積回路内に設けられた他の回路の特性劣化を抑制することができる。
【実施例2】
【0036】
実施例1の無線機は半導体集積回路内に発振回路を構成する増幅回路が設けられていたが、増幅回路を半導体集積回路の外部に設けてもよい。かかる場合の無線機の構成を図4及び図5を参照しつつ説明する。図4は、本発明の実施例2に係る発振回路を備える無線機の等価回路図であり、図5は、本発明の実施例2に係る発振回路の概略構成図である。なお、実施例1に係る無線機10を構成する部材と同一部材及び同一構成については、その説明を省略し、図面において同一符号を付する。
【0037】
図4に示されているように、無線機100は、発振回路120、受信回路30、送信回路40、制御回路50、ベース電圧バイアス回路130、及びエミッタ電圧バイアス回路(電流源)140から構成されている。無線機100においては、発振回路120の一部、受信回路30、送信回路40、制御回路50、ベース電圧バイアス回路130、及びエミッタ電圧バイアス回路140が半導体集積回路160の内部に設けられている。
【0038】
発振回路120は、増幅回路121及び共振回路122から構成されている。増幅回路121は、半導体集積回路160の外部に設けられたNPN型のバイポーラトランジスタ170から構成されている。バイポーラトランジスタ170のべースは、外部接続端子T5及び抵抗R1を介して半導体集積回路160内に設けられたベース電圧バイアス回路130に接続されている。また、バイポーラトランジスタ170のエミッタは、外部接続端子T6を介して半導体集積回路160内に設けられたエミッタ電流バイアス回路140に接続されている。更に、バイポーラトランジスタ170のコレクタは、電源電圧Vddに接続されている。
【0039】
共振回路122は、半導体集積回路160内に設けられた2つの内部キャパシタC1、C2及び可変容量ダイオードD1、D2と、半導体集積回路160の外部に設けられた外部インダクタL1及び外部キャパシタC3〜C7とから構成されている。具体的な共振回路122の構成は、以下の通りである。半導体集積回路160の外部においては、外部インダクタL1と外部キャパシタC3とが半導体集積回路160に対して並列に接続され、外部インダクタL1及び外部キャパシタC3の一端が接続点T3を介して半導体集積回路160の外部接続端子T1に接続され、外部インダクタL1及び外部キャパシタC3の他端が接続点T4を介して半導体集積回路160の外部接続端子T2に接続されている。また、外部キャパシタC3の一端には接続点T7を介して外部キャパシタC5、他端には接続点T8を介して外部キャパシタC4が接続されている。外部キャパシタC5には接続点T9を介して外部キャパシタC6が接続され、外部キャパシタC6には接続点T10を介して外部キャパシタC7が接続されている。更に、外部キャパシタC3、C5は接続点T7、T11を介してバイポーラトランジスタ170のベースに接続され、外部キャパシタC5、C6は接続点T9、T12を介してバイポーラトランジスタ170のエミッタに接続され、外部キャパシタC7は接続点T13を介してバイポーラトランジスタ170のコレクタに接続されている。そして、外部キャパシタC4は接続点T14を介して接地電位に接続され、外部キャパシタC6、C7は接続点T10、T14を介して接地電位に接続されている。ここで、外部キャパシタC4、C7は電源電圧Vddを有する電源のインピーダンスを下げるために設けられている。なお、半導体集積回路160内における構成は実施例1と同一であるため、その説明は省略する。
【0040】
次に、図5を参照しつつ共振回路122の構成を詳細に説明する。なお、図5において、外部インダクタL1の両端から配線が伸長している方向をX方向、外部接続端子T1、T2から配線が伸長している方向をY方向と定義する。
【0041】
図5に示されているように、共振回路122は、実施例1と同一の第1閉回路23及び第2閉回路24と、外部コンデンサC3、C4、C5、C6を接続して形成された第3閉回路151(二点鎖線で示す)と、外部コンデンサC6、C7及びバイポーラトランジスタ170を接続して形成された第4閉回路152(破線で示す)との4つの閉回路を有している。ここで、第1閉回路23を構成する配線の配線長は、第2閉回路24、第3閉回路151及び第4閉回路152を構成する配線の配線長よりも長い。
【0042】
また、第3閉回路151及び第4閉回路152を構成する配線の幅W3、及び第4閉回路152を構成する配線の幅W4は、第2閉回路24の配線の幅W2と同一である。また、バイポーラトランジスタ170のベースから接続点T7までの配線の幅W5は、第1閉回路23を構成する配線の一部の幅W1と同一である。ここで、第1閉回路23、第2閉回路24、第3閉回路152及び第4閉回路153の配線の厚さは等しい。従って、第1閉回路23を構成する配線の断面積は、第3閉回路152及び第4閉回路153を構成する配線の断面積よりも小さくなる。更に、第1閉回路23、第2閉回路24、第3閉回路152及び第4閉回路153の配線の材料と同一である。
【0043】
上述したような構成を有することにより、発振回路120は、内部キャパシタC1、C2、外部キャパシタC3〜C7、及び可変容量ダイオードD1、D2のキャパシタの合成容量と、外部インダクタL1のインダクタンスとによって決定される周波数で発振する。なお、可変容量ダイオードD1、D2に印加される周波数制御電圧Vcを変化させることにより、発振周波数を変化させることができる。
【0044】
実施例2においては、発振周波数を決定するためのキャパシタを半導体集積回路160の内外に分けて配置し、且つ、半導体集積回路160の外側に設けられた外部キャパシタC3〜C7の合成容量を半導体集積回路160内に設けられたキャパシタの合成容量よりも大きくするため、半導体集積回路160内に流れる電流量を低減することができる。これにより、発振回路120に流れる高周波電流によって半導体集積回路160内の受信回路30、送信回路40及び制御回路50が受ける影響を低減することができる。
【0045】
また、実施例2においては、第1閉回路23を構成する配線の配線長は第2閉回路24、第3閉回路151及び第4閉回路152を構成する配線の配線長よりも長く、更には第1閉回路23を構成する配線の断面積は第2閉回路24、第3閉回路151及び第4閉回路152を構成する配線の断面積よりも小さく、両配線を構成する材料は同一である。すなわち、第1閉回路23における配線抵抗は第2閉回路24、第3閉回路151及び第4閉回路152の配線抵抗よりも大きい。このため、第2閉回路24、第3閉回路151及び第4閉回路152に高周波電流が流れ易くなり、上述したような半導体集積回路160内に流れる電流量の低減を効率よく実現し、半導体集積回路160内の受信回路30、送信回路40及び制御回路50が受ける影響を低減することができる。
【0046】
更に、実施例2においては、増幅回路121を半導体集積回路160の外部に設けているため、増幅回路121を構成するバイポーラトランジスタ170から接地電位に流れる電流が半導体集積回路160内に流れることがなくなるため、かかる電流が生じることによって受信回路30、送信回路40及び制御回路50が受ける影響を低減することができる。
【0047】
なお、実施例2においても実施例1と同様に、同一時刻において第1閉回路23と第2閉回路24に流れる高周波電流の向きは逆になる。従って、所定時刻における第1閉回路23における高周波磁界の向きと、第2閉回路24における高周波磁界の向きは逆になり、第1閉回路23に流れる高周波電流によって生じる高周波磁界を第2閉回路24に流れる高周波電流によって生じる高周波磁界によって打ち消すことができる。また、実施例2においては、第3閉回路151及び第4閉回路152にも高周波電流が流れるため、第1閉回路23、第2閉回路23、第3閉回路151及び第4閉回路152のそれぞれに流れる高周波電流によって生じるそれぞれの高周波磁界を合成した高周波磁界の強さが小さくなるように、第1閉回路23、第2閉回路23、第3閉回路151及び第4閉回路152の配線長及び幅、更には内部キャパシタC1、C2、可変容量ダイオードD1、D2及び外部キャパシタC3〜C7のキャパシタンスを決定することがより好ましい。
【0048】
なお、半導体集積回路160内に実施例1の増幅回路21を更に設けてもよい。一般に、半導体集積回路160内の増幅回路21を用いた場合には、消費電流を低減することができるが、発振周波数の変動を小さくすることが困難になる。一方、半導体集積回路160の外部の増幅回路121を用いた場合には、発振周波数の変動を小さくすることができるが、消費電流を低減することができるが困難になる。従って、増幅回路を半導体集積回路160の内外に設けることにより、発振周波数の変動の抑制よりも消費電流の低減を図る必要があるデータの受信時においては、半導体集積回路160内の増幅回路21を用いた発振動作を行い、消費電流の低減よりも発振周波数の変動の抑制を図る必要があるデータの送信時においては、半導体集積回路160の外部の増幅回路121を用いた発振動作を行うことがより好ましい。
【符号の説明】
【0049】
10 無線機
20 発振回路
21 増幅回路
22 共振回路
60 半導体集積回路
C1、C2 内部キャパシタ
C3 外部キャパシタ
L1 外部インダクタ
図1
図2
図3
図4
図5