(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6519907
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】塩素含有廃棄物処理方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/00 20060101AFI20190520BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20190520BHJP
C02F 1/56 20060101ALI20190520BHJP
C04B 7/38 20060101ALI20190520BHJP
C04B 7/60 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
B09B3/00 304G
B01D21/01 104
B01D21/01 107B
C02F1/56 K
C04B7/38ZAB
C04B7/60
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-122222(P2013-122222)
(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公開番号】特開2014-237114(P2014-237114A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年12月25日
【審判番号】不服2017-9941(P2017-9941/J1)
【審判請求日】2017年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(72)【発明者】
【氏名】濱平 眞一
(72)【発明者】
【氏名】高木 智広
【合議体】
【審判長】
大橋 賢一
【審判官】
山崎 直也
【審判官】
宮澤 尚之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−103476(JP,A)
【文献】
特開2006−272168(JP,A)
【文献】
特開2008−12372(JP,A)
【文献】
特開2006−35181(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/084287(WO,A1)
【文献】
特開2003−64361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00-5/00
B01D 21/01
C02F 1/52-1/64
C04B 7/38
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素を含有する廃棄物と水とを混合し、前記廃棄物中の塩素及び重金属を溶出させて廃棄物含有溶出液にする水洗工程と、
前記廃棄物中の前記塩素及び前記重金属が脱塩された脱塩廃棄物と前記塩素及び前記重金属が溶出した塩素含有溶出液とを分離する固液分離工程と、
前記塩素含有溶出液にEDTA、NTA、DTPA、GLDA、HEDTA、GEDTA、TTHA、HIDA、DHEGから選ばれる少なくとも1種のキレート剤及びアニオン系高分子凝集剤を添加し、前記塩素含有溶出液中で前記重金属を凝集させて凝集物にする凝集工程と、
前記凝集物を濾過して除去する除去工程とを含み、
前記凝集工程での前記塩素含有溶出液への前記キレート剤の添加量が0.0001〜0.002質量%であり、
前記凝集工程での前記塩素含有溶出液中の前記アニオン系高分子凝集剤の含有量が0.00001〜0.005質量%である、塩素含有廃棄物処理方法。
【請求項2】
前記アニオン系高分子凝集剤は、アクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合物である請求項1に記載の塩素含有廃棄物処理方法。
【請求項3】
前記凝集工程において、前記塩素含有溶出液にキレート剤及びアニオン系高分子凝集剤を添加する前に、前記塩素含有溶出液のpH調整を8〜11に調整する請求項1又は2に記載の塩素含有廃棄物処理方法。
【請求項4】
前記廃棄物は、燃焼灰、脱塩ダスト、及び煤塵の少なくともいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の塩素含有廃棄物処理方法。
【請求項5】
前記脱塩廃棄物は、脱塩ケーキとしてセメント原料に使用可能である請求項1〜4のいずれかに記載の塩素含有廃棄物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素含有廃棄物処理方法に関し、特に、塩素含有廃棄物から塩素を除去する塩素含有廃棄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメント製造設備での製造工程において排出される脱塩ダスト及び煤塵等は、埋め立て処分等により廃棄処理がなされている。しかし、脱塩ダスト及び煤塵等の廃棄物は、塩素化合物を多量に含有しており、埋め立て処分を行った場合には、有害物質が溶出することによる土壌汚染等の環境負荷の増大が問題となっている。
【0003】
そこで、土壌汚染のような環境負荷を低減するために、塩素成分を含有する焼却飛灰及び脱塩ダスト等の廃棄物をセメントの原料としてリサイクルする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−338312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法でも、塩素含有廃棄物から塩素成分を除去することは可能であったが、処理後の残渣のかさが大きくなることがあり、その後の作業効率を低下させてしまう問題があった。作業効率を低下させないためには、効率よく塩素含有廃棄物から
の処理後の残渣のかさを小さくする更なる改良が必要であった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、塩素含有廃棄物
を凝集し、その後の作業効率を向上させることができる
塩素含有廃棄物処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の[1]〜[
5]を提供するものである。
[1]塩素を含有する廃棄物と水とを混合し、前記廃棄物中の塩素及び重金属を溶出させて廃棄物含有溶出液にする水洗工程と、
前記廃棄物中の前記塩素及び前記重金属が脱塩された脱塩廃棄物と前記塩素及び前記重金属が溶出した塩素含有溶出液とを分離する固液分離工程と、
前記塩素含有溶出液にEDTA、NTA、DTPA、GLDA、HEDTA、GEDTA、TTHA、HIDA、DHEGから選ばれる少なくとも1種のキレート剤及びアニオン系高分子凝集剤を添加し、前記塩素含有溶出液中で前記重金属を凝集させて凝集物にする凝集工程と、
前記凝集物を濾過して除去する除去工程とを含み、
前記凝集工程での前記塩素含有溶出液への前記キレート剤の添加量が0.0001〜0.002質量%であり、
前記凝集工程での前記塩素含有溶出液中の前記アニオン系高分子凝集剤の含有量が0.00001〜0.005質量%である、
塩素含有廃棄物処理方法。
[2]前記アニオン系高分子凝集剤は、アクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合物である[1]に記載の塩素を含有する廃棄物から得られる凝集物のセメント原料としての使用方法。
[3]前記凝集工程において、前記塩素含有溶出液にキレート剤及びアニオン系高分子凝集剤を添加する前に、前記塩素含有溶出液のpH調整を8〜11に調整する[1]又は[2]に記載の
塩素含有廃棄物処理方法。
[4]前記廃棄物は、燃焼灰、脱塩ダスト、及び煤塵の少なくともいずれかである[1]〜[3]のいずれかに記載の
塩素含有廃棄物処理方法。
[5]前記脱塩廃棄物は、脱塩ケーキとしてセメント原料に使用可能である[1]〜[4]のいずれかに記載の
塩素含有廃棄物処理方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、塩素含有廃棄物
を凝集し、その後の作業効率を向上させることができる
塩素含有廃棄物処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る塩素含有廃棄物処理方法を示すフローチャートである。
【
図2】実施例における高分子凝集剤のシリンダーテストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る
塩素含有廃棄物処理方法は、
図1に示すように、塩素を含有する廃棄物と水とを混合し、廃棄物中の塩素及び重金属を溶出させて廃棄物含有溶出液にする水洗工程S1と、廃棄物中の塩素及び重金属が脱塩された脱塩廃棄物と塩素及び重金属が溶出した塩素含有溶出液とを分離する固液分離工程S2と、塩素含有溶出液にキレート剤及びアニオン系高分子凝集剤を添加し、塩素含有溶出液中で重金属を凝集させて凝集物にする凝集工程S3と、凝集物を濾過して除去する除去工程S4とを含む。
【0011】
<水洗工程>
水洗工程S1は、ステップS11及びS12を含む。
図1のステップS11において、塩素及び重金属を含有する廃棄物と水とを混合する。ここでの廃棄物は、燃焼灰、脱塩ダスト、及び煤塵の少なくともいずれかである。廃棄物と水とを混合する方法としては、例えば、廃棄物を収容したダスト溶解槽に水を添加する方法であってもよく、水を充填したダスト溶解槽に廃棄物を添加する方法であってもよい。ダスト溶解槽は、撹拌機能付きであることが好ましい。
次に、ステップS12において、混合された廃棄物と水とを撹拌し、廃棄物中の塩素、重金属、及びその他の有害成分が溶出した廃棄物含有溶出液が得られる。
【0012】
ここで、「燃焼灰」とは、火力発電所や各種のプラントのボイラー等の重質油系燃料から排出される灰をいう。
「脱塩ダスト」とは、脱塩バイパス装置から得られるダストをいう。脱塩バイパス装置は、セメントキルンと予熱機との間で揮発と凝縮を繰り返し濃縮した塩素等の揮発性成分を取り除くために、セメントキルンの窯尻部から排ガスを抽気し冷却することにより、塩素等の化合物を主とする揮発性成分を固化させた塩素バイパスダストを生成させ、この塩素バイパスダストを系外に排出することで、塩素をセメントキルン内から除去する装置である。
「煤塵」とは、電気集塵機から回収されたダスト及びバグフィルターから回収されたダストをいう。電気集塵機は、比較的低圧損にて微細な塵埃を捕集するもので、排ガス中の微粒子である塵埃を効果的に除去することができればよく、この電気集塵機の替わりに慣性集塵機や遠心力集塵機が用いられることもある。バグフィルターは、電気集塵機では完全に捕集しきれずに排出されてしまった排ガス中に含まれる微粒子である塵埃、例えば、電気抵抗値が10
4〜5×10
10Ω・cmの範囲外の塵埃、帯電し難い塵埃、非イオン性の塵埃等を捕集するもので、耐熱性材料からなるフィルタが用いられる。
【0013】
<固液分離工程>
固液分離工程S2は、ステップS21〜S23を含む。
ステップS21において、水洗工程S1で水洗により得られた廃棄物含有溶出液を固液分離することによって、廃棄物中の塩素及び重金属を脱塩した脱塩廃棄物と塩素及び重金属が溶出した塩素含有溶出液とを分離する。固液分離方法については、濾過等の公知の手段を用いることができる。
ステップS22において、分離されて回収された脱塩廃棄物は、塩素、重金属、及びその他の有害成分が除去されたものであって、シリカ、アルミナ、及びカルシウム等を主成分としたものであるので、脱塩ケーキとしてセメント原料に使用可能である。
ステップS23において、塩素、重金属、及びその他の有害成分を含む塩素含有溶出液は、濾液として回収される。
【0014】
<凝集工程>
凝集工程S3は、ステップS31及びS32を含む。
ステップS31において、ステップS23で回収した塩素含有溶出液に対して、pH調整剤を用いてpH調整を行うことが好ましい。重金属成分を含有する水溶液は、pH調整を行うことで、重金属成分が水酸化物となり析出される。塩素含有溶出液に対するpH調整は、重金属成分を析出させるのに適したpHに調整するという観点から、pH8〜11に調整することが好ましく、より好ましくはpH9〜11であり、更に好ましくはpH9.5〜10.5である。尚、塩素含有溶出液のpH調整は、塩酸、硫酸、硝酸等の酸溶液添加、またはCO2ガス吹込み等により好ましく行うことができる。
ステップS32において、ステップS31でpH調整した塩素含有溶出液に対して、キレート剤及び
アニオン系高分子凝集剤を添加する。キレート剤は、pH調整した水溶液中に残存する未反応分の重金属及び有害物質を凝集させて析出する。アニオン系高分子凝集剤は、pH調整及びキレート剤によって析出された凝集物を更に凝集させることができる。
キレート剤としては、例えば、EDTA、NTA、DTPA、GLDA、HEDTA、GEDTA、TTHA、HIDA、DHEG等を用いることができる。キレート剤水溶液の添加量は、塩素含有溶出液に含有する金属イオン(特にカルシウムイオン、鉄イオンなど)を凝集させるという観点から、0.05〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0質量%である。
アニオン系高分子凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミドやポリメタクリルアミドの部分加水分解物、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリルアミド又はメタクリアミドとの共重合体及びその塩類、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリルアミド又はメタクリルアミドと2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸又はビニルメチルスルホン酸との3元共重合体及びその塩類、ポリアクリルアミドやポリメタクリルアミドのスルホメチル化物及びその塩類、アルギン酸ソーダ、グアーガムソーダ塩、カルボキシメチルセルロースソーダ塩、でんぷんソーダ塩・その他のポリマーとして、下記のポリマーのスルホン化物及びその塩類が挙げられる。ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、好ましくはポリフェニレンエーテル、ポリカーボネートである。アニオン系高分子凝集剤としては、下記式(1)の構造単位を含む分子量500万〜2100万のアクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合物を用いることが好ましい。式(1)中のm、n、pは、分子量500万〜2100万を満たす値であればよい。塩素含有溶出液中へのアニオン系高分子凝集剤(使用濃度0.05〜0.20質量%)の添加量は、適正使用効果の観点から、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
つまり塩素含有溶出液中のアニオン系高分子凝集剤自体の含有量は、0.0001質量%〜0.01質量%であることが好ましく、より好ましくは0.0001〜0.005質量%、より更に好ましくは0.0001〜0.001質量%である。
【0016】
<除去工程>
除去工程S4において、凝集された塩素及び重金属からなる凝集物を濾過して除去する。
【0017】
本発明の実施の形態に係る塩素含有廃棄物処理方法によれば、キレート剤とアニオン系高分子凝集剤を併用することによって、キレート剤によって析出された凝集物を、アニオン系高分子凝集剤によって更に凝集させることができるので、残渣のかさが小さくなり、その後の作業効率の向上させることができる。また、凝集した凝集物を除去することで塩素含有廃棄物からの塩素成分を除去することができるので、塩素の除去作業を効率良く行うことができ、作業時間を短縮することができる。
更に、本発明の実施の形態に係る塩素含有廃棄物処理方法によれば、pH調整をすることで析出された凝集物を、アニオン系高分子凝集剤によって更に凝集させることができるので、塩素含有廃棄物から塩素成分を効率よく除去することができる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
[実施例1〜3及び比較例1〜3]
セメント製造設備で捕集される塩素含有廃棄物の処理工程のうち、凝集工程で添加する高分子凝集剤の種類を変化させて実施例1〜3及び比較例1〜3として、以下に示すシリンダーテストを行った。
【0020】
<実施例1>
まず、脱塩バイパス装置から得られる脱塩ダストと水を混合し、混合された廃棄物と水とを撹拌し、廃棄物中の塩素、重金属、及びその他の有害成分が溶出した廃棄物含有溶出液を得た。脱塩ダストの量は1000gとし、水の量は2000gとした。
次に、水洗により得られた廃棄物含有溶出液を固液分離することによって、廃棄物中の塩素及び重金属を脱塩した脱塩廃棄物と塩素及び重金属が溶出した塩素含有溶出液とを分離した。分離して得られた塩素含有溶出液のpHを10に調整し、シリンダーテストに用いた。
【0021】
≪シリンダーテスト≫
(1)
図2に示すように、共栓付きメスシリンダ1に、分離して得られた塩素含有溶出液を250mL収容した。そして、塩素含有溶出液中のキレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、関東化学株式会社製)の粉末を水に溶解して0.1質量%水溶液とした。キレート剤水溶液の添加量は、塩素含有溶出液に対して1質量%となるように、250mLメスシリンダ1に添加した。塩素含有溶出液中の粉末のアニオン系高分子凝集剤(アクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合物、MTアクアポリマー株式会社製「アコフロックA−150」)水溶液が塩素含有溶出液に対して0.01質量%(塩素含有溶出液中のアニオン系高分子凝集剤の含有量が0.00001質量%)となるように、250mLメスシリンダ1に添加し、蓋2を閉めて密閉した。そして、密閉したメスシリンダ1の転倒攪拌を10回行った。
(2)メスシリンダ1を静置後、凝集物(フロック)10の状態を確認した。目視にて凝集物(フロック)が形成されてきていることを確認し、60分静置した。
(3)メスシリンダ1の静置60分後、上澄み液20を排出し、メスシリンダ1に新水を注入して250mLとする。そして、メスシリンダ1に蓋2を閉めて密閉した。
(4)再び、密閉したメスシリンダ1の転倒攪拌を10回行った。
(5)メスシリンダ1を静置後、凝集物(フロック)10の状態を確認するため、1分後に懸濁物質(SS:suspended solid)を測定した。「懸濁物質(SS)」とは、水中に分散している固形物で検水を濾過したときに分散される物質で、粒径2mm以下のものをいう。
(6)更に、凝集物(フロック)10を含む液を0.45μmのメンブレンフィルタで濾過した。そして、濾過残渣を乾燥させ、凝集物(フロック)10の質量を測定した。
【0022】
<評価方法>
懸濁物質(SS)は、1L中に含まれる凝集物(フロック)10の質量から求めた。SS(mg/L)が高いほど、高い凝集性能を示す。実施例1の結果を下記表1に示す。
【0023】
<実施例2>
実施例2は、アニオン系高分子凝集剤(溶解濃度0.1質量%)水溶液が塩素含有浸出液に対して0.1質量%(塩素含有溶出液中のアニオン系高分子凝集剤の含有量が0.0001質量%)となるように添加したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例2の結果を表1に示す。
【0024】
<実施例3>
実施例3は、アニオン系高分子凝集剤(溶解濃度0.1質量%)水溶液が塩素含有浸出液に対して5質量%(塩素含有溶出液中のアニオン系高分子凝集剤の含有量が0.005質量%)となるように添加したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。実施例3の結果を表1に示す。
【0025】
<比較例1>
比較例1は、アニオン系高分子凝集剤の代わりに、カチオン系高分子凝集剤(MTアクアポリマー株式会社製「アコフロックC−510」)を用いて、カチオン系高分子凝集剤(溶解濃度0.1質量%)水溶液が塩素含有浸出液に対して0.1質量%(塩素含有溶出液中のカチオン系高分子凝集剤の含有量が0.0001質量%)となるように添加したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例1の結果を表1に示す。
【0026】
<比較例2>
比較例2は、アニオン系高分子凝集剤の代わりに、ノニオン系高分子凝集剤(MTアクアポリマー株式会社製「アコフロックN−100s」)を用いて、ノニオン系高分子凝集剤(溶解濃度0.1質量%)水溶液が塩素含有浸出液に対して0.1質量%(塩素含有溶出液中のノニオン系高分子凝集剤の含有量が0.0001質量%)となるように添加したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例2の結果を表1に示す。
【0027】
<比較例3>
比較例3は、キレート剤以外の高分子凝集剤溶液の添加量を1質量%となるように、アニオン系高分子凝集剤の代わりにポリ塩化アルミニウム(赤沼化学薬品株式会社製)の原液を水で10倍希釈し2.45mLをメスシリンダ1に添加した以外は実施例1と同様の操作を行った。比較例3の結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
※1 MTアクアポリマー株式会社製「アコフロックA−150」
※2 MTアクアポリマー株式会社製「アコフロックC−510」
※3 MTアクアポリマー株式会社製「アコフロックN−100s」
※4 赤沼化学薬品株式会社製
【0029】
<評価>
表1に示した結果より、凝集物質量はノニオン系高分子凝集剤を使用したときが一番多い結果となったが、凝集物同士の付着性、及び凝集物の沈降性を考慮すると、アニオン系高分子凝集剤を使用したときが総合的に最も優れた凝集性能を示した。
実施例2と比較例1〜3との比較により、同じ含有量という条件ではアニオン系高分子凝集剤を使用した場合の凝集性能が優れているので、塩素含有廃棄物処理方法にアニオン系高分子凝集剤を使用することで、塩素成分を効率よく除去することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…メスシリンダ
2…栓
10…凝集物
20…上澄み液