(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の組み立て式コンテナ1の一実施形態について、
図1〜
図9を参照して説明する。
まず、組み立て式コンテナ1の構成について説明する。
図1に示すように、組み立て式コンテナ1は、パレット100、下金枠200、底板300、側板400及び上蓋500を有する。また、側板400は、各々一対の第1の側板410及び第2の側板450を有する。
【0017】
パレット100は、
図1に示すように、組み立て式コンテナ1の基台であって運搬台である。本実施形態の組み立て式コンテナ1において、パレット100は、平面形状が略正方形の樹脂製のパレットである。パレット100の四方側面には、各々、フォークリフトの爪部(フォーク)が差し込まれるリフト用開口101が形成されている。
【0018】
下金枠200は、パレット100の上面の周縁に沿って設置されるスチール等の金属製の枠部材である。下金枠200は、組み立て式コンテナ1が組み立てられた状態において側板400の位置を規定するとともに、これらを立設するため、あるいは折り畳むための支持部材である。
【0019】
下金枠200は、パレット100の上面の四隅位置に各々設置されるコーナー金具210、及び、隣接するコーナー金具210の間を接続するように各々対向配置される一対の第1の連結金枠220及び一対の第2の連結金枠230を有する。第1の連結金枠220は、パレット100の一方の対辺であって第1の側板410が設置される辺縁に沿って設置され、第2の連結金枠230は、パレット100の他方の対辺であって第2の側板450が設置される辺縁に沿って設置される。
【0020】
コーナー金具210は、
図2に示すように、順次直角を成すように形成された第1の板面211、第2の板面212、段差面213及び第2の連結金枠取り付け面214を有する金属製部材である。コーナー金具210は、例えば板状の金属材料を折り曲げ加工等することにより形成される。本実施形態の組み立て式コンテナ1においてコーナー金具210は、厚さ3.2mmのスチール製である。
【0021】
第1の板面211と第2の板面212とは前述したように直角に連接するように形成されており、パレット100の上面の四隅位置において、第1の板面211は第1の側板410が設置される辺縁に沿った方向に、すなわち第1の連結金枠220が設置される辺縁に沿って設置され(
図1参照)、第2の板面212は第2の側板450が設置される辺縁に沿った方向に、すなわち第2の連結金枠230が設置される辺縁に沿って設置されている。
【0022】
第1の板面211の、第1の板面211と第2の板面212とが直角に連接する角部近傍には、上辺から下方に垂直に形成された溝であって、第2の側板450の回動ピン461(
図1及び
図6参照)が挿入される垂直溝215が形成されている。垂直溝215は、
図4(A)に示すように、第2の連結金枠230の側板載置面233の高さと略同じ位置まで形成されている。
【0023】
第1の板面211の下部にはリベット用下穴217が形成されており、第1の板面211の下部内側には、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、この下穴217(
図2参照)及び第1の連結金枠220のリベット用下穴227(
図3(A)参照)を利用して打ち込まれるリベット261により、第1の連結金枠220が連結される。
【0024】
第2の板面212の上部には、
図2、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、第2の側板450の浮き上がり防止ピン462(
図1及び
図6参照)が嵌入される浮き上がり防止ピン嵌入孔216が形成されている。また、第2の板面212の上部には、リベット用下穴219が形成されており、第2の板面212の上部内側には、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、この下穴219(
図2参照)及び第2の連結金枠230の上部垂直面234のリベット用下穴239(
図3(B)参照)を利用して打ち込まれるリベット263により、第2の連結金枠230の上部垂直面234が連結される。
【0025】
第2の板面212の第1の板面211と連接する角部とは反対側の辺縁には、その下部において、さらに段差面213及び第2の連結金枠取り付け面214が連接している。
【0026】
第2の連結金枠取り付け面214は、第2の板面212と平行に設置された板面であって、第2の側板450の略厚み分だけ第2の板面212よりもパレット100の内側の位置に設置されている。第2の連結金枠取り付け面214の内側には、リベット用下穴218が形成されており、第2の連結金枠取り付け面214の内側には、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、この下穴218(
図2参照)及び第2の連結金枠230の下部垂直面232のリベット用下穴238(
図3(B)参照)を利用して打ち込まれるリベット262により、第2の連結金枠230の下部垂直面232が連結される。
【0027】
段差面213は、第2の板面212と第2の連結金枠取り付け面214とを接続する板面であって、第2の板面212及び第2の連結金枠取り付け面214に略直角に設置されている。
【0028】
第1の連結金枠220は、
図3(A)に示すように、直角を成すように形成された下部水平面221及び垂直面222を有する断面L字形状の金属製部材である。第1の連結金枠220は、例えば帯状の金属材料を折り曲げ加工等することにより形成される。本実施形態の組み立て式コンテナ1において第1の連結金枠220は、厚さ1.6mmのスチール製である。第1の連結金枠220の垂直面222の両端部には、上述したように第1の連結金枠220をコーナー金具210に連結するためのリベット用下穴227が形成されている。
【0029】
第1の連結金枠220は、下部水平面221がパレット100の上面に接面するように配置され、垂直面222の両端部が、
図4(A)及び
図4(B)に一方の端部について示すように、コーナー金具210の第1の板面211の下部内側に配置され、リベット261によりコーナー金具210の第1の板面211と連結されることにより、隣接するコーナー金具210の間に設置される。これにより、下部水平面221はその上面に第1の側板410が載置される側板載置面となり、垂直面222はパレット100の周縁に沿って立設され第1の側板410の下辺の位置を規定する枠に形成される。
【0030】
第2の連結金枠230は、
図3(B)に示すように、順次直角を成すように形成された下部水平面231、下部垂直面232、側板載置面233及び上部垂直面234と、後述するように下部垂直面232が折り曲げられて形成された端面閉塞部235とを有し、L字形状が2段連なったような断面形状の金属製部材である。第2の連結金枠230も、コーナー金具210と同様に、例えば帯状の金属材料を折り曲げ加工等することにより形成される。本実施形態の組み立て式コンテナ1において第2の連結金枠230は、厚さ1.6mmのスチール製である。
【0031】
第2の連結金枠230の下部水平面231には、後述するように下金枠200をパレット100上に固定設置する螺子が通過可能な孔236が形成されている。また、第2の連結金枠230の下部垂直面232には、上述したように第2の連結金枠230の下部垂直面232をコーナー金具210の第2の連結金枠取り付け面214に連結するためのリベット用下穴238が形成されている。さらに、第2の連結金枠230の上部垂直面234には、上述したように第2の連結金枠230の上部垂直面234をコーナー金具210の第2の板面212に連結するためのリベット用下穴239が形成されている。
【0032】
第2の連結金枠230は、下部水平面231がパレット100の上面に接面するように配置され、下部垂直面232の両端部が、
図4(A)及び
図4(B)に一方の端部について示すように、コーナー金具210の第2の連結金枠取り付け面214の内側に配置されリベット262により第2の連結金枠取り付け面214と連結されることにより、隣接するコーナー金具210の間に設置される。これにより側板載置面233がその上面に第2の側板450が載置される面となり、上部垂直面234はパレット100の周縁に沿って立設され第2の側板450の下辺の位置を規定する枠に形成される。
【0033】
下金枠200は、前述したような構造のコーナー金具210、第1の連結金枠220及び第2の連結金枠230を
図4(A)及び
図4(B)に示すように連結することにより、すなわち、第1の連結金枠220の両端部をコーナー金具210の第1の板面211の下部内側にリベット261により連結し、第2の連結金枠230の両端部をコーナー金具210の第2の連結金枠取り付け面214の内側にリベット262により連結することにより、対向配置された一対の第1の連結金枠220及び対向配置された一対の第2の連結金枠230が各々隣接するコーナー金具210の間を接続するように構成された下金枠200が構成される。
【0034】
ここで、第2の連結金枠230は、隣接するコーナー金具210の対向配置される第1の板面211の間に設置されることとなるが、第2の連結金枠230は、その両端部において、下部水平面231の端部は、第1の連結金枠220の側板載置面221の内面側に突合せでコーナー金具210の間を接続し、下部垂直面232は、コーナー金具210の第1の板面211との間に第1の側板410の回動ピン421を挿入可能な所定の間隙(回動ピン挿入用間隙250)を確保するように設置される。
【0035】
また、第2の連結金枠230の下部垂直面232は、コーナー金具210の第2の連結金枠取り付け面214と重なり合い、両側各々2本のリベット262により連結される長さであって、コーナー金具210の第1の板面211との間に、第1の側板410の回動ピン421を挿入可能な所定の間隙が確保される長さとする。
【0036】
第2の連結金枠230の両端は、閉塞構造になるとともにコーナー金具210の第1の板面211との間に回動ピン挿入用間隙250が確保されるように、下部垂直面232の両端を第2の板面212に対し垂直方向に曲げ、端面閉塞部235として形成される構成とする。
【0037】
第2の連結金枠230の上部垂直面234の長さは、両端が、コーナー金具210の第2の板面212の取付面上部に開けられたリベット用下穴219に重なり合い、第2の板面212とリベット263により連結される長さとする。
なお、第1の連結金枠220の長さは、側板載置面221がコーナー金具210の第2の板面212の内側に接するように第1の連結金枠220が隣接するコーナー金具210の各第2の板面212の間に設置される長さとされ、第1の連結金枠220の垂直面222の長さは、コーナー金具210の第1の板面211に各々2本のリベット261により連結可能に重なり合う長さとする。
【0038】
コーナー金具210、第1の連結金枠220及び第2の連結金枠230が前述のように連結された下金枠200は、螺子265(
図4(A)、
図4(B)参照)により、パレット100上に固定設置される。螺子は、第1の連結金枠220の下部水平面(側板載置面)221に形成された図示せぬ孔あるいは第2の連結金枠230の下部水平面231に形成された孔236(
図3(B)参照)、及び、パレット100の上面に形成された図示せぬ孔を貫通し、パレット100の裏面に設置される図示せぬナットに係合され、これにより下金枠200とパレット100とを連結する。
【0039】
コーナー金具210は、組み立て式コンテナ1が折り畳まれた際に上蓋500を支持する支柱となる。そのためコーナー金具210の第1の板面211及び第2の板面212は、パレット100の上面に2枚の第1の側板410及び2枚の第2の側板450を積み重ねた状態でこれらを収容可能な高さに形成される。
【0040】
一方、コーナー金具210の段差面213及び第2の連結金枠取り付け面214は、前述したように第2の連結金枠取り付け面214が第2の連結金枠230の側板載置面233の下側において第2の連結金枠230の下部垂直面232と連結されるため、第2の連結金枠230の側板載置面233の下面の高さと略等しいか若干低い高さに形成される。
【0041】
また、第2の連結金枠230の下部垂直面232の高さは、一対の第1の側板410の厚さ、すなわち、2枚の第1の側板410の厚さに相当する高さとする。これにより、第1の側板410の組み立て式コンテナ1を折り畳んだときに、パレット100上面の対向配置される下金枠200の第2の連結金枠230の下部垂直面232の間の空間に、折り畳んだ一対の第1の側板410が収容されることとなる。
【0042】
また、下金枠200の第2の連結金枠230の外面中央部には、
図1に示すように、組み立て式コンテナ1を折り畳んだ状態において上蓋500のゴムバンド520を掛止するゴムバンド受け金具240が設置されている。
【0043】
底板300は、パレット100上面の下金枠200で囲まれた範囲に載置され、組み立て式コンテナ1の内部収容空間の下面を規定する板状部材である。本実施形態の組み立て式コンテナ1において底板300は、板厚3mmのMDF(中密度繊維板)である。
【0044】
側板400は、
図1に示すように、下金枠200の第1の連結金枠220に沿って対向配置される一対の第1の側板410と、第1の側板410の対向する両側縁部を接続するように下金枠200の第2の連結金枠230に沿って対向配置される一対の第2の側板450とを有する。
【0045】
組み立て式コンテナ1が組み立てられた状態において、これら4枚の側板400は下金枠200に沿ってパレット100の上面の周縁上に立設され、パレット100の上部空間を取り囲み、組み立て式コンテナ1の内部収容空間を形成する。また、組み立て式コンテナ1が折り畳まれたときには、側板400は、パレット100の上部に傾倒され重ねられ載置される。この際、一対の第1の側板410は、下金枠200の対向配置される第2の連結金枠230の下部垂直面232の間の空間に収容され、一対の第2の側板450は、下金枠200のコーナー金具210の第1の板面211、第2の板面212の上面と底板300の空間に収容される。
【0046】
第1の側板410は、
図5に示すように、面部材411の周縁を、上枠412、下枠413、左枠414及び右枠415を含む枠部材により囲んだ構成である。本実施形態の組み立て式コンテナ1において第1の側板410の面部材411としては、板厚7mmのMDF(中密度繊維板)を用いる。また、枠部材412〜415の材料としては、板厚1.6mmのスチールを用いる。
【0047】
第1の側板410の側縁面両側下部には、外方向に突出するように回動ピン421が設置されている。回動ピン421は、
図7(A)に示すように、第1の側板410を下金枠200の第1の連結金枠220に沿って設置するときに、下金枠200のコーナー金具210の第1の板面211と第2の連結金枠230の端部との間に形成される回動ピン挿入用間隙250に挿入される。これにより、第1の側板410の下縁は下金枠200の第1の連結金枠220に沿った位置に保持される。また、第1の側板410は回動ピン421を回動中心として回動可能となり、第1の側板410の折り畳み及び引き起こしが可能となる。
【0048】
第1の側板410の外面両側上部、すなわち左枠414の外面上部及び右枠415の外面上部には、
図5に示すように、各々、外側方向に突出する拡がり防止ピン422が設置されている。拡がり防止ピン422は、第1の側板410及び第2の側板450がパレット100の上面に立設され組み立て式コンテナ1が組み立てられた状態において、第2の側板450の第1の側板押え板面部(押え板面部)456に形成される拡がり防止ピン嵌入孔463に嵌入される。これにより、第2の側板450の上部が組み立て式コンテナ1の外側に開くように傾斜することを防ぐことができる。
【0049】
第1の側板410の外側中央部の上部側には、作業者が第1の側板410を引き起こす際に使用する引き起し用バンド423が設置されている。組み立て式コンテナ1を組み立てる際には、後述するように、対向配置された第2の側板450をまず引き起こして立設させた後、その間でパレット100上に水平に載置された第1の側板410を引き起こす。第2の側板450を引き起こす際には横に障害物が無いため作業者は第2の側板450の上部角付近を横から把持することができ、第2の側板450を容易に引き起こすことができる。しかし第1の側板410を引き起こす際には、既に第1の側板410の両側に第2の側板450が立設されているため横から作業者が第1の側板410の上部角付近を支持することができず、第1の側板410を容易に引き起こすことができない。引き起し用バンド423は、このような作業の困難性を解決し、第1の側板410を容易に引き起こすことができるようにする為に設けられているものである。
【0050】
引き起し用バンド423は、一方の端部が第1の側板410の外側中央部の上部側に固定されており、他方の端部が自由端とされている。従って、第1の側板410を引き起こす場合、作業者は、第1の側板410の下枠413側から引き起し用バンド423の自由端を把持し、これを引っ張ればよく、これにより第1の側板410は容易に引き起こされてパレット100上に立設される。
【0051】
なお、組み立て式コンテナ1を折り畳む場合には、第1の側板410は単に内側(パレット100の上面方向)に倒せばよいが、組み立て式コンテナ1の破損防止、組み立て式コンテナ1の取り扱い時の騒音防止、あるいは、周囲での埃の巻き上げ防止等の観点から側板400は静かに傾倒させた方が好ましい。従って、引き起し用バンド423は、第1の側板410の折り畳み時にも有効に使用されるものである。
【0052】
第1の側板410の上枠412の外面両端部には、組み立て式コンテナ1を組み立てた状態において第1の側板410が内側(パレット100の上面方向)に倒れることを防止する板バネ430が設置されている。板バネ430は、リベット438により回動可能に設置されている。また、第1の側板410の上枠412には、板バネ430の係合ピン431(
図8参照)が係合される折り畳み時係合孔441及び組み立て時係合孔442が形成されている。これら板バネ430、折り畳み時係合孔441及び組み立て時係合孔442の用途、機能等については、後に詳述する。
【0053】
第2の側板450は、
図6に示すように、面部材451の周縁を、上枠452、下枠453、左枠454及び右枠455を含む枠部材により囲んだ構成である。本実施形態の組み立て式コンテナ1において第1の側板450の面部材451としては、第1の側板410の面部材411と同様に、板厚7mmのMDF(中密度繊維板)を用いる。また、枠部材452〜455の材料としては、これも第1の側板410の枠部材412〜415と同様に板厚1.6mmのスチールを用いる。
【0054】
第2の側板450の側縁面両側下部には、外方向に突出するように回動ピン461が設置されている。回動ピン461は、
図7(B)に示すように、第2の側板450を下金枠200の第2の連結金枠230に沿って設置するときに、下金枠200のコーナー金具210の第1の板面211に形成された垂直溝215に挿入される。これにより、第2の側板450の下縁は下金枠200の第2の連結金枠230に沿った位置に、より具体的には第2の連結金枠230の側板載置面233上であって上部垂直面234により外側が規制された位置に保持される。また、第2の側板450は回動ピン461を回動中心として回動可能となり、第2の側板450の折り畳み及び引き起こしが可能となる。
【0055】
第2の側板450の外面両側下部、すなわち左枠454の外面下部及び右枠455の外面下部には、
図6に示すように、各々、外側方向に突出する浮き上がり防止ピン462が設置されている。浮き上がり防止ピン462は、第2の側板450が下金枠200の第2の連結金枠230の側板載置面233上に立設された状態において、
図7(B)に示すように、下金枠200のコーナー金具210の第2の板面212に形成された浮き上がり防止ピン嵌入孔216(
図2及び
図4(A)参照)に嵌入される。これにより、第2の側板450が下金枠200に対して上下方向に移動することが防止され、第2の側板450の浮き上がりが防止される。
【0056】
第2の側板450の左枠454及び右枠455の側縁面には、
図6に示すように、第2の側板450の板面に垂直な方向で内側(パレット100の上面方向)に延伸した第1の側板押え板面部456が形成されている。第1の側板押え板面部456は、
図1及び
図7(B)に示すように、組み立て式コンテナ1が組み立てられ第1の側板410及び第2の側板450が立設された状態において、第1の側板410の左右両側の外面に接面する。これにより、第1の側板410が外側に開くことが防止される。
【0057】
第2の側板450の左右両側の第1の側板押え板面部456の上部付近には、各々、第1の側板押え板面部456を表裏に貫通する拡がり防止ピン嵌入孔463が形成されている。拡がり防止ピン嵌入孔463には、組み立て式コンテナ1が組み立てられ第2の側板450の第1の側板押え板面部456の内側に第1の側板410の外面が接面した状態において、
図5を参照して前述した第1の側板410の拡がり防止ピン422が嵌入される。これにより、第2の側板450の上部が組み立て式コンテナ1の外側に開くように傾斜した状態となることを防ぐことができる。
【0058】
また、第1の側板410の拡がり防止ピン422が第2の側板450の拡がり防止ピン嵌入孔463に嵌入されることにより、第1の側板410と第2の側板450とは相対的に上下方向に移動不能となる。すなわち、第1の側板410と第2の側板450とは上下方向に一体化される。前述したように、第1の側板410及び第2の側板450がパレット100の上面に立設され組み立て式コンテナ1が組み立てられた状態において、第2の側板450は、外面両側下部に形成された浮き上がり防止ピン462が下金枠200の浮き上がり防止ピン嵌入孔216に嵌入され、下金枠200に対して浮き上がりが防止された状態、すなわち、下金枠200に対して上下方向に移動不能に連結された状態とされている。従って、第1の側板410の拡がり防止ピン422を第2の側板450の拡がり防止ピン嵌入孔463に嵌入され第1の側板410と第2の側板450とが相対的に上下方向に移動不能とされることにより、第1の側板410も下金枠200に対して上下方向に移動不能に連結された状態となる。
【0059】
また、
図6に示すように、第2の側板450の左右両側の第1の側板押え板面部456の上端部には、各々、第1の側板押え板面部456を表裏に貫通する板バネ係合ピン係合孔464が形成されている。板バネ係合ピン係合孔464は、第1の側板410に形成されている組み立て時係合孔442(
図5参照)と対応する位置に形成されており、第1の側板410の外面が第2の側板450の第1の側板押え板面部456に接面した状態において、第2の側板450の第1の側板押え板面部456の外側から板バネ430の係合ピン431が挿入される。すなわち、第2の側板450の第1の側板押え板面部456は、第1の側板410の外面と板バネ430との間に挟持された状態となる。これにより、第1の側板410が、内側(パレット100の上面方向)に傾倒されることが防止される。
【0060】
ここで、第1の側板410に設けられた板バネ430を用いた第1の側板410と第2の側板450との上角部の結合について、
図8及び
図9を参照して詳述する。
板バネ430は、
図8に示すように、取り付け面432、接続面434、係合ピン設置面435及び操作面436を有するバネ板部分、及び、係合ピン設置面435に設置された係合ピン431を有する。板バネ430は、取り付け面432に形成されたリベット用孔433の箇所に設置されるリベット438により、
図5及び
図9(A)〜
図9(C)に示すように、リベット438の箇所を中心として回動可能に、第1の側板410の上枠412に設置される。
【0061】
板バネ430は、組み立て式コンテナ1が折り畳まれているときには、
図9(A)に示すように、操作面436側の端部が第1の側板410の上枠412の中央側となるように回動され、係合ピン431が上枠412の対応する位置に形成された折り畳み時係合孔441に係合される。これにより、板バネ430は第1の側板410の上枠412に沿った位置に回動不能に保持された状態となり、第1の側板410の折り畳み等の作業の際に障害とならない状態に維持される。
【0062】
組み立て式コンテナ1を組み立てるときは、まず第2の側板450を引き起こし、その後第1の側板410を引き起こし、
図9(B)に示すように、第2の側板450の第1の側板押え板面部456に第1の側板410の外面が接面する状態、すなわち側板400が立設された状態とする。この状態において、第2の側板450の第1の側板押え板面部456に形成された板バネ係合ピン係合孔464と第1の側板410に形成された組み立て時係合孔442とは位置が合った状態となる。この状態において、板バネ430を回動させ、係合ピン431の操作面436が第1の側板410の端部側となるように板バネ430を回動させ、
図9(C)に示すように板バネ430の係合ピン431を第2の側板450及び第1の側板410の板バネ係合ピン係合孔464及び組み立て時係合孔442に挿入する。その結果、板バネ430のバネ板部分と第1の側板410の外面との間に第2の側板450の第1の側板押え板面部456を挟持した状態となり、第1の側板410が内側(パレット100の上面側)に倒れることが防止される。
【0063】
本実施形態において、板バネ430のバネ板部分は、厚さ0.6mmのステンレス鋼(SUS)である。また、板バネ430の接続面434と係合ピン設置面435との角度αは135°に形成されている。これにより、板バネ430に適切な強度が確保される。また、係合ピン設置面435と操作面436との角度βは130°に形成されている。これにより、作業者が容易かつ効率よく板バネ430の操作が可能となる。
【0064】
図6に戻って、第2の側板450の外面中央上部には、組み立て式コンテナ1を組み立てた状態において上蓋500のゴムバンド520を掛止するゴムバンド受け金具465が設置されている。
【0065】
上蓋500は、
図1に示すように、パレット100上に第1の側板410及び第2の側板450により形成される内部収容空間の上部開口を閉塞する平板状部材である。上蓋500は、面部材501の周囲を枠部材502により囲んだ構成である。本実施形態の組み立て式コンテナ1において上蓋500の面部材501としては、板厚3mmのMDF(中密度繊維板)を用いる。また、枠部材の材料としては、板厚1.6mmのスチールを用いる。
【0066】
上蓋500の一方の対向する側面両側には、ゴムバンド520が設置されている。ゴムバンド520は、組み立て式コンテナ1が組み立てられた状態においては第2の側板450のゴムバンド受け金具465に、また、組み立て式コンテナ1が折り畳まれた状態においては下金枠200の第2の連結金枠230のゴムバンド受け金具240に掛止され、いずれの場合も、上蓋500が容易に開放されないようにこれを保持する。
本実施形態の組み立て式コンテナ1は、このような構成を有するものである。
【0067】
次に、本実施形態の組み立て式コンテナ1の使用方法について説明をする。
まず、第1の側板410及び第2の側板450の設置方法について説明する。
第1の側板410及び第2の側板450を下金枠200に対して設置する場合は、まず、第1の側板410を、下金枠200の第1の連結金枠220に沿って、
図7(A)に示すように回動ピン421が回動ピン挿入用間隙250に配置されるように設置する。次に、第2の側板450を、下金枠200の第2の連結金枠230に沿って、
図7(B)に示すように回動ピン461がコーナー金具210の垂直溝215に挿入されるように設置する。
【0068】
このように第1の側板410及び第2の側板450を設置すれば、第1の側板410は、回動ピン421の上部に第2の側板450が設置されることになるので、第2の側板450が設置されている限り下金枠200から離脱することはない。そして第1の側板410は、この状態で、回動ピン421を回動中心として回動可能であり、組み立て式コンテナ1を使用するときには引き起こされ立設され、組み立て式コンテナ1を使用しないときはパレット100の上面に傾倒され水平に積載される。
【0069】
また、第2の側板450は、回動ピン461が下金枠200の垂直溝215から抜ける程度に上方に引き上げれば下金枠200から分離状態となるので、メンテナンスや清掃等のために側板400をパレット100から分離する必要があるときには、容易に分離させることができる。また、第2の側板450を下金枠200から分離すれば、第1の側板410も下金枠200から分離することができる。
【0070】
しかしながら、通常の使用状態においては、第2の側板450の回動ピン461が下金枠200の垂直溝215からさらに上方に抜けることは考えられず、第2の側板450は実質的に下金枠200に離脱しないように保持されている状態である。そして、この状態で、第2の側板450は、回動ピン461を回動中心として回動可能であり、組み立て式コンテナ1を使用するときは引き起こされ立設され、組み立て式コンテナ1を使用しないときはパレット100の上面に傾倒され水平に積載される。
【0071】
第2の連結金枠230の下部垂直面232は一対の(2枚の)第1の側板410の厚さに相当する高さを有するので、一対の第1の側板410をパレット100上に倒して載置したときは、2枚の第1の側板410は対向する第2の連結金枠230の下部垂直面232の間の空間に収容されることとなる。
【0072】
またこのとき、一方の第1の側板410は他方の第1の側板410の上となるため、上に配置される第1の側板410の回動ピン421は回動ピン挿入用間隙250の最低部から第1の側板410の1枚分の厚さだけ上方の位置に引き上げられる。しかし回動ピン挿入用間隙250は第2の連結金枠230の下部垂直面232と実質的に同じ高さを有するので、そのような回動ピン421の移動も許容されるとともに、そのような状態においても回動ピン421の下金枠200への係合状態は適切に維持される。
【0073】
一対の第2の側板450をパレット100上に倒して載置するときは、2枚の第2の側板450は、先に載置した2枚の第1の側板410の上であり、対向する第2の連結金枠230の上部垂直面234の間の空間に収容されることとなる。このときも、一方の第2の側板450は他方の第2の側板450の上となるため、上に配置される第2の側板450の回動ピン461はコーナー金具210の垂直溝215最低部から第2の側板450の1枚分の厚さ(第1の側板押え板面部456の幅)だけ上方の位置に引き上げられる。しかし、図示のごとく垂直溝215は十分な深さを有するので、そのような回動ピン461の移動も許容されるとともに、そのような状態においても回動ピン461の下金枠200への係合状態は適切に維持される。
【0074】
次に、組み立て式コンテナ1の組み立て方法及び折り畳み方法について説明する。
組み立て式コンテナ1を使用するために組み立てるときには、まず、一対の第2の側板450を引き起こし、第2の側板450の両側下部外面に形成されている浮き上がり防止ピン462をコーナー金具210に形成されている浮き上がり防止ピン嵌入孔216に嵌入する。これにより、第2の側板450の上方向浮き上がりが防止され、第2の側板450は上下方向において下金枠200と(パレット100と)一体化される。
【0075】
対向する第2の側板450をともに立設したら、その間でパレット100上に載置されている第1の側板410を引き起こす。このときは、第1の側板410の外面に設置されている引き起し用バンド423の自由端を把持しこれを引っ張ることにより、両側に第2の側板450が立設された状態においても容易に第1の側板410を引き起こすことができる。
【0076】
第1の側板410を、その両側外面が第2の側板450の第1の側板押え板面部456に接面するまで引き起こすことにより、第1の側板410の拡がり防止ピン422が第2の側板450の拡がり防止ピン嵌入孔463に嵌入されることとなる。第1の側板410の拡がり防止ピン422と第2の側板450の拡がり防止ピン嵌入孔463とが係合することにより、第2の側板450の外側への拡がりが防止されるとともに、第1の側板410は第2の側板450と相対的に上下方向に移動不能となり、結果的に第1の側板410も上下方向において下金枠200と(パレット100と)一体化されたこととなる。
【0077】
第1の側板410を立設したら、第1の側板410が内側に倒れないように第1の側板410の板バネ430を操作する。すなわち、
図9(A)に示すように係合ピン431が折り畳み時係合孔441に嵌入されている板バネ430に対して、操作面436を持ち上げて係合ピン431を折り畳み時係合孔441から引き抜き、
図9(B)に示すように、操作面436が第1の側板410の側辺側となるように板バネ430を回転し、
図9(C)に示すように、係合ピン431が第2の側板450の板バネ係合ピン係合孔464を通過して組み立て時係合孔442に嵌入するように、操作面436の持ち上げ状態を解除する。
【0078】
その結果、第1の側板410は、その外面と板バネ430のバネ板部との間に第2の側板450の第1の側板押え板面部456を挟持した状態となり、内側方向(パレット100の上面方向)への傾倒が防止される。
以上の操作により、所望の物品を収容する組み立て式コンテナ1の本体が組み立てられたので、任意の物品を内部収容空間に収容することができる。
【0079】
物品の収容が終了したら、組み立て式コンテナ1の上部開口を上蓋500により閉塞し、ゴムバンド520をゴムバンド受け金具465に係合させる。
これにより、組み立て式コンテナ1を用いた搬送等が可能となる。
【0080】
次に、組み立て式コンテナ1を折り畳む方法について説明する。
物品の搬送などを行い、上蓋500を開放して収容した物品を取り出したら、板バネ430を操作して、
図9(A)に示すように、板バネ430の係合ピン431が第1の側板410の折り畳み時係合孔441に嵌入される状態とする。
【0081】
これにより第1の側板410は内側に傾倒可能となるので、対向する第1の側板410を順次パレット100上に傾倒させ水平に載置する。
また、第1の側板410を折り畳むことにより第2の側板450も内側方向に傾倒可能となるので、対向する第2の側板450を順次パレット100上に傾倒させ、水平に載置する。
【0082】
その後、コーナー金具210に四隅が支持されるように上蓋500を折り畳まれた側板400上に被せ、上蓋500のゴムバンド520を第2の連結金枠230のゴムバンド受け金具240に係合させる。
これにより組み立て式コンテナ1は折り畳まれた状態となり、回送等に付される。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の組み立て式コンテナ1においては、下金枠200のコーナー金具210の構造が従来に比して非常に簡単な構造となっている。すなわち、コーナー金具210は、板状の金属部材を折り曲げ加工等して形成可能な構造の基材に対して、1つの溝(垂直溝215)、1つの孔(浮き上がり防止ピン嵌入孔216)及びリベットのための下穴を形成した構成である。従って、製造が容易であるとともに重量を軽量化することができる。また、下金枠200(コーナー金具210)に対するパレット100の設置や分離等の作業も簡単に容易に行うことができ、作業効率よく物品の搬送等を行うことができ、コストの低減された組み立て式コンテナを提供することができる。
【0084】
また、第1の側板410の内側への傾倒を防止する構成として板バネ430を用いている。従って、例えば丸落とし金具を用いる従来の構成にして簡単な構造となっている。従って、製造が容易であるとともに重量を軽量化することができる。また、第1の側板410と第2の側板450との係合あるいはその解除を簡単に容易に行うことができ、作業効率よく物品の搬送等を行うことができ、コストの低減された組み立て式コンテナを提供することができる。
【0085】
また、本実施形態の組み立て式コンテナ1においては、底板300、側板400及び上蓋500について、厚さ3mmあるいは7mmのMDF(中密度繊維板)を面材として用いている。従って、例えば厚さ9mmの部材を使用していた従来の場合と比して、この面材の薄型化により、また、これに伴う枠材のスリム化により、これらの部材の重量を大幅に軽量化することができる。その結果、操作性(作業性)が高く、コストの低減された組み立て式コンテナを提供することができる。
【0086】
さらにまた、本実施形態の組み立て式コンテナ1において採用した板バネ430においては、操作面436が、係合ピン431が設置されている係合ピン設置面435に対して130°の角度で屈曲されており、極めて操作性の高い構成となっている。従って、第1の側板410と第2の側板450との係合あるいはその解除を簡単に容易に行うことができ、作業効率よく物品の搬送等を行うことができ、コストの低減された組み立て式コンテナを提供することができる。
【0087】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変可能である。
【0088】
例えば、前述した実施形態において、底板300、側板410及び450の面部材411及び451、及び、上蓋500の面部材501としては、板厚3mmあるいは7mmのMDFを用いるものとした。しかしながら、これらの部材の材料はこれに限られるものではなく、例えば、プラスチック製のハニカム材、発泡材、あるいは、表面にPETフィルムを貼着した又はアルミ蒸着をしたMDF(中密度繊維板)基板等を用いてもよい。また、これらの部材の板厚も3mmあるいは7mmに限られるものではなく、必要に応じて適宜より厚い、あるいはより薄い板材を用いてよい。
【0089】
また、前述した実施形態において、側板410及び450の枠部材412〜415及び452〜455、及び、上蓋500の枠部材502としては、厚さ1.6mmの鋼材(スチール)を用いるものとした。しかしながら、これらの枠部材の材料はこれに限られるものではなく、例えば、鉄、アルミニウムあるいはステンレス等の部材を用いてもよい。また、これらの枠部材の厚さも1.6mmに限られるものではなく、必要に応じて適宜より厚い、あるいはより薄い厚さの部材を用いてよい。
【0090】
また、本実施形態の組み立て式コンテナ1においては、組み立て式コンテナ1を段積みする為の特別の構造を設けていないものとしたが、パレットの下面あるいは上蓋の上面等に段積みされた場合のズレ防止部等を設置してもよい。