(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面視における前記載置面の総面積に対し、平面視における前記突起部と前記板状試料との接触面積の総和が占める比率を0.01%以上、20%以下とする請求項1に記載の静電チャック装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プラズマエッチング装置において、静電チャック装置に固定された板状試料にプラズマを照射すると、板状試料の表面温度が上昇する。静電チャック装置は、載置面において板状試料との間の伝熱ガスの流動により一定の温度を維持されるが、板状試料の面内で温度分布が発生する。例えば、載置面の周縁は、周囲から放熱されやすくなるため温度が低くなりやすい。更に、プラズマエッチング装置の構造や方式の違い等により、プラズマの生成状態が変化するのでウエハの面内温度分布に差が生じる。また、ウエハに各種の成膜を行う装置にしても成膜条件や成膜室内の雰囲気制御に影響を受けてウエハ面内に温度分布が生じる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、板状試料の温度分布を均一にする静電チャック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の静電チャック装置は、セラミック焼結体を形成材料とし、一主面が板状試料を載置する載置面である静電チャック部と、前記載置面に載置された前記板状試料を冷却する冷却手段と、を備え、前記載置面には、前記板状試料を支持する複数の突起部が設けられ、前記冷却手段は、前記複数の突起部の間に伝熱ガスを供給し、前記複数の突起部は、複数の第1突起部と、前記第1突起部よりも低い複数の第2突起部と、を有し、前記複数の第1突起部は、前記載置面において前記複数の第1突起部が集まる第1領域を形成し、前記第1領域における前記伝熱ガスの流れは粘性流が支配的となる高さに設定され、前記複数の第2突起部は、前記載置面において前記複数の第2突起部が集まる第2領域を形成し、前記第2領域における前記伝熱ガスの流れが前記第1領域に比較して分子流が支配となる高さに設定されている。
本発明の静電チャック装置は、供給する前記伝熱ガスの圧力を制御する制御部をさらに有し、前記制御部は、前記板状試料の前記第2領域に載置される部分の温度が前記第1領域に載置される部分の温度より低くなった場合に前記伝熱ガスのガス圧を低くし、前記制御部は、前記板状試料の前記第2領域に載置される部分の温度が前記第1領域に載置される部分の温度より高くなった場合に前記伝熱ガスのガス圧を高くする。
【0008】
上述の構成によれば、載置面には、高さの異なる第1突起部と第2突起部とにより第1領域と第2領域とが形成されている。第1領域では、伝熱ガスは粘性流が支配的となる。また、第2領域では、伝熱ガスは分子流が第1領域に比較して支配的となる。
第1領域では、粘性流の特性により、伝熱ガスのガス圧を変えても、その熱伝達率が変わらない。このため、第1領域では、伝熱ガスのガス圧は、板状試料の温度制御に影響を与えない。一方で、第2領域では、分子流の特性により、伝熱ガスのガス圧を変えることで、その熱伝達率が変わり、板状試料の温度制御を行うことができる。
したがって、第1領域の伝熱ガスが粘性流が支配的となるガス圧以上では、ガス圧を変えることで、第1領域の温度制御に影響を与えることなく第2領域の温度制御を行うことができる。
載置面において、外部環境に影響を受けやすい領域を第2領域として、第2領域を第1領域の温度に近づけるように制御することで、載置面の温度分布を均一にできる。また、このような領域ごとの温度制御を、第1領域と第2領域とにそれぞれ伝熱ガスの経路を設けることなく、1系統のガス経路のみで行うことができる。このため、静電チャック装置のガス系統の構造を単純化してコストを低減できる。また、伝熱ガスGの圧力制御が単純化され容易となる。
【0009】
また、上記の静電チャック装置において、前記複数の第2突起部の高さは、2μm以上20μm以下としてもよい。
【0010】
上述の構成によれば、第1領域に比較して高いガス圧まで、第2突起部が集まる第2領域を流れる伝熱ガスの流れを分子流が支配的にすることができる。
【0011】
また、上記の静電チャック装置において、前記複数の第1突起部の高さは、20μm以上80μm以下としてもよい。
【0012】
上述の構成によれば、第1突起部が集まる第1領域を流れる伝熱ガスの流れを粘性流とすることができる。
【0013】
また、上記の静電チャック装置において、平面視における前記載置面の総面積に対し、平面視における前記突起部と前記板状試料との接触面積の総和が占める比率を0.01%以上、20%以下としてもよい。
【0014】
上述の構成の静電チャック装置において、板状試料の温度制御は、突起部との熱伝導と、伝熱ガスによる熱伝達とによって行われる。上述の構成によれば、突起部と板状試料との接触面積の総和の占める比率を載置面の総面積に対して20%以下とする。これにより、板状試料の温度制御における板状試料と突起部との熱伝導の影響を小さくして、伝熱ガスの熱伝達による影響を相対的に大きくできる。第2領域の温度制御を、伝熱ガスのガス圧により容易に行うことができる。また、上述の構成によれば、突起部と板状試料との接触面積の総和の占める比率を載置面の総面積に対して0.01%以上とする。これにより、突起部と板状試料との接触面積を十分に確保して板状試料を確実に支持できる。
【0015】
また、上記の静電チャック装置において、前記静電チャック部を平面視したとき、前記第2領域は前記第1領域の周囲を囲むように設けられていてもよい。
【0016】
静電チャック装置の載置面は、その周縁部に近づくほどに外部からの影響を受け、均一な温度制御が困難となる。したがって、伝熱ガスのガス圧によって温度を制御可能な第2領域を第1領域の周囲を囲むように配置することで、外部からの影響に応じて、第2領域を制御して温度分布を均一にすることができる。
【0017】
また、上記の静電チャック装置において、前記第1領域および前記第2領域は、平面視で同心円状に設定され、前記静電チャック部は、平面視で円形を呈する前記第1領域の中央に1つの貫通孔を有し、前記冷却手段は、前記貫通孔を介して前記伝熱ガスを供給する。
【0018】
上述の構成によれば、第1領域および第2領域が同心円状に設定され、伝熱ガスの供給路としての貫通孔が載置面の中央に設けられている。これにより、載置面の対称性が高まり、伝熱ガスを静電チャック部の径方向に向かって均一に流動させることができる。これにより、伝熱ガスの圧力による、載置面内の均一な温度制御が可能となる。
【0019】
また、上記の静電チャック装置において、前記静電チャック部は、前記第1領域に貫通孔を有し、前記冷却手段は、前記貫通孔を介して前記伝熱ガスを供給してもよい。
【0020】
上述の構成によれば、貫通孔は、伝熱ガスの供給路として第1領域に開口する。第1領域では、突起部が高く載置面の底面と板状試料との隙間が大きいため伝熱ガスが流れやすく、載置面の面内において各方向に均一に広がりやすい。したがって、第1領域に貫通孔を設けることで、載置面の面内に均一にガスが広がるため、載置面の温度制御が容易となる。
【0021】
また、上記の静電チャック装置において、前記静電チャック部は、前記載置面から伸長し前記板状試料を支持する複数のリフトピンと、前記複数のリフトピンをそれぞれ収容する複数の収容孔と、を有し、前記冷却手段は、前記収容孔を介して前記伝熱ガスを供給してもよい。
【0022】
一般的に、冷却効率を高めるためには、載置面に対して複数の孔から伝熱ガスを供給することが好ましい。一方で、載置面に複数の孔を設けると、孔が載置面の特異点となるため、孔の上に位置する板状試料の温度の制御が難しくなるという問題がある。上述の構成によれば、リフトピンを収容する収容孔を伝熱ガスの経路として利用する為に、載置面の特異点を増加させることなく、伝熱ガスの供給路を確保し、冷却効率を高めることができる。
【0023】
また、上記の静電チャック装置において、前記複数の収容孔のうち少なくとも一部の収容孔は、前記第1領域に配置され、前記冷却手段は、前記第1領域に配置された前記収容孔を介して前記伝熱ガスを供給してもよい。
【0024】
上述の構成によれば、高い突起部を有する第1領域の収容孔から伝熱ガスを供給することで、載置面の面内に均一にガスが広がるため、載置面の温度制御が容易となる。
【0025】
また、上記の静電チャック装置において、前記静電チャック部を平面視したとき、前記第2領域は前記第1領域の周囲を囲むように設けられ、前記複数の突起部は、複数の第3突起部を有し、前記複数の第3突起部の高さは、0.5μm以上5μm以下であり、且つ前記第2突起部と同じ、もしくは低く設定されており、前記複数の第3突起部が集まる第3領域は、前記静電チャック部を平面視したとき、前記第2領域の周囲を囲むように設けられていてもよい。
【0026】
上述の構成によれば、第2領域の周囲に第2突起部より低い第3突起部が集まる第3領域を形成する。第3突起部が第2突起部より低いことで、第3領域を流れる伝熱ガスの流れは、分子流となる。したがって、第3領域は、ガス圧により伝熱ガスの熱伝達率を変化させることができ、板状試料の温度制御を行うことができる。
また、第3領域は、第1領域および第2領域より載置面の底面と板状試料との隙間が0.5μm以上5μm以下と狭いために、伝熱ガスが流出しにくい。このため、第1領域および第2領域に伝熱ガスが留まりやすくなり、第1領域および第2領域に十分に伝熱ガスを行き渡らせることができる。したがって、第1領域および第2領域における伝熱ガスによる冷却効果を十分に高めることができる。
また、第3領域の突起部の単位面積当たりの密度を第2領域の突起部の単位面積当たりの密度より高くする場合には、第2領域から第3領域への伝熱ガスの流出を抑えることができ、第1領域および第2領域に十分に伝熱ガスを行き渡らせることができる。したがって、第1領域および第2領域における伝熱ガスによる冷却効果を十分に高めることができる。
加えて、第3領域において、載置面の底面と板状試料との隙間から伝熱ガスが一定量だけ流出する。伝熱ガスの流出により載置面内の異物が除去され、突起部と板状試料との間に、異物が介在しにくくなる。即ち、異物により突起部と板状試料との接触が不完全となることを防止できるため、載置面全体において、接触熱伝導を安定して行い、温度の不均一化を抑制できる。
【0027】
また、上記の静電チャック装置において、前記冷却手段は、1系統の配管から前記伝熱ガスを供給してもよい。
【0028】
上述の構成によれば、冷却手段を1系統として、第1領域の温度に近づけるように第2領域の温度を制御できる。即ち、領域ごとの温度制御を、第1領域と第2領域とにそれぞれ伝熱ガスの経路を設けることなく、1系統のガス経路のみで行うことができる。このため、静電チャック装置のガス系統の構造を単純化してコストを低減できる。
なお、ここで1系統とは、一つの圧力制御系統を持つことを意味する。したがって、冷却手段を1系統とする場合には、複数の伝熱ガスの供給経路を有していたとしても、これらの経路中を流れる伝熱ガスのガス圧は、共通している。
【0029】
また、上記の静電チャック装置は、供給する前記伝熱ガスの圧力を制御する制御部をさらに有し、前記制御部は、前記圧力を制御することで前記第2領域における熱伝達率を制御して、前記第1領域における熱伝達量と前記第2領域における熱伝達量との大小関係を変化させ、前記板状試料の温度を制御してもよい。
【0030】
上述の構成によれば、第1領域と第2領域を伝熱ガスのガス圧を制御することで温度制御できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の静電チャック装置によれば、板状試料の温度分布を均一にする静電チャック装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の一実施形態である静電チャック装置1について、図面に基づき説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、特徴とならない部分を省略して図示している場合がある。各図には、Z軸を図示する。本明細書において、Z軸は、必要に応じて載置面と直交するする方向である。また、載置面が向く方向である上面を+Z方向とする。
【0034】
図1は、静電チャック装置1の断面図であり、
図2は、静電チャック装置1の平面図である。なお、本実施形態において、平面視とは、静電チャック装置1の載置面19に対向する方向から見ることを意味する。
【0035】
静電チャック装置1は、セラミック焼結体を形成材料とし、一主面が板状試料Wを載置する載置面19である静電チャック部2と、前記載置面に載置された前記板状試料Wを冷却する冷却手段60と、を備える。また、静電チャック装置1は、冷却ベース部3と、ヒータエレメント5と、絶縁部材7と、樹脂層8と、リフトピン25と、を有している。
静電チャック装置1は、冷却ベース部3、樹脂層8、静電チャック部2がこの順に
図1の+Z方向(高さ方向)に積層された構造を有する。
以下、各部の詳細について説明する。
【0036】
<リフトピン>
リフトピン25は、板状試料Wを載置面19から離脱させるために複数設けられている。リフトピン25は、載置面19から伸長し板状試料Wを支持する。複数のリフトピン25は、収容孔(貫通孔)62に収容されている。収容孔62は、静電チャック装置1を貫通する。収容孔62は、内周面に碍子23が設けられている。碍子23は、収容孔62の冷却ベース部3を貫通する部分から樹脂層8を貫通する部分の中程に亘って設けられている。碍子23は、リフトピン25と冷却ベース部3とが電気的に接続されることを防止する。
【0037】
リフトピン25の下端には、リフトピン動作機構26が設けられている。リフトピン動作機構26は、板状試料Wを載置面19から離脱させるタイミングでリフトピン25を上方に移動させて伸長させる。
【0038】
リフトピン25の外周面と収容孔62の内周面との間には、隙間が設けられている。後段において説明するように、収容孔62は、冷却手段60の一部として、貫通孔61とともに、伝熱ガスGを載置面19に供給する供給路として機能する。
【0039】
<冷却手段>
冷却手段60は、載置面19に伝熱ガスGを供給する。より具体的には、突起部30A、30B、30Cが形成される載置面19の底面18A、18B、18Cと板状試料Wとの間に、伝熱ガスGを供給する。伝熱ガスGとしては、一例としてHe等の冷却ガスを用いることができる。
【0040】
冷却手段60は、静電チャック装置1を貫通する貫通孔61および収容孔62と、供給管路63と、ガス供給装置65と、を有する。
貫通孔61は、静電チャック装置1の下面から載置面19に達している。貫通孔61は、載置面19において、第1領域AR1に開口している。本実施形態では、貫通孔61は、載置面19の中央に開口している。収容孔62は、貫通孔61の一形態であり、リフトピン25を収納する以外の機能は貫通孔61と同様である。
【0041】
ガス供給装置65は、供給管路63を介して、貫通孔61及び収容孔62に伝熱ガスGを供給する。ガス供給装置65は、板状試料Wの面内温度に応じて、供給する伝熱ガスGのガス圧を制御する制御部65aを有している。
【0042】
供給管路63は、静電チャック装置1の冷却ベース部3側の、貫通孔61および収容孔62の開口に接続されている。供給管路63は、ガス供給装置65から送られた伝熱ガスGを貫通孔61および収容孔62に供給する供給路として機能する。供給管路63は、ガス供給装置65に接続される1本の主管路63aと、主管路63aから二股に分かれそれぞれ、貫通孔61および収容孔62に接続される分岐管路63bを有する。貫通孔61および収容孔62には、一つのガス供給装置65から供給された伝熱ガスGが分岐して供給されるため、同じ圧力の伝熱ガスGが供給される。
【0043】
上述したように、冷却手段60は、1系統の配管から伝熱ガスGを供給する。1系統とは、供給する伝熱ガスGのガス圧が1種のみ設定されていることを意味する。したがって、複数の供給路(本実施形態における複数の貫通孔61および複数の収容孔62)から伝熱ガスGが供給されているとしてもこれらのガス圧は共通していることを意味する。
【0044】
<静電チャック部>
静電チャック部2は、円板形状を有する。
静電チャック部2は、上面が半導体ウエハ等の板状試料Wを載置する載置面19とされた載置板11と、載置板11と一体化された支持板12と、これら載置板11と支持板12との間に設けられた静電吸着用内部電極13と、支持板12を貫通するようにして設けられ静電吸着用内部電極13に直流電圧を印加する給電用端子15と、を有している。
【0045】
静電チャック部2の載置面19には、板状試料Wを支持する複数の突起部30A、30B、30Cが設けられている。突起部30A、30B、30Cは、それぞれ載置面19の底面18A、18B、18Cから上方に突出して形成されている。本実施形態において、突起部30A、30B、30Cは、円柱形状とするが、この形状に限定されるものではない。例えば、突起部30A、30B、30Cは、底面に向かって裾野が広がる略円錐台形状であってもよい。また、突起部30A、30B、30Cの断面形状は、円形状に制限されず、矩形状、三角形状であってもよい。
【0046】
複数の突起部は、複数の第1突起部30Aと、第1突起部30Aよりも低い複数の第2突起部30Bと、第2突起部30Bよりさらに低い第3突起部30Cを有する。第1突起部30A、第2突起部30Bおよび第3突起部30Cの直径は、同じであっても異なっていてもよいが、それぞれ板状試料Wの厚みより小さいことが好ましい。
【0047】
複数の第1突起部30Aは、載置面19において複数の第1突起部30Aが集まる第1領域AR1を形成する。複数の第2突起部30Bは、載置面19において複数の第2突起部30Bが集まる第2領域AR2を形成する。複数の第3突起部30Cは、載置面19において複数の第3突起部30Cが集まる第3領域AR3を形成する。
【0048】
載置面19は、高さの異なる第1底面18A、第2底面18Bおよび第3底面18Cを有する。第1底面18Aは、第1領域AR1に位置し、第2底面18Bは、第2領域AR2に位置し、第3底面18Cは、第3領域AR3に位置する。第1底面18A、第2底面18Bおよび第3底面18Cは、第1突起部30A、第2突起部30Bおよび第3突起部30Cの高さの差分に応じて異なる高さに設けられている。したがって、第1突起部30A、第2突起部30Bおよび第3突起部30Cの上面は、Z軸と直交する面内で一致しており、突起部30A、30B、30Cはこの面内で板状試料Wを支持する。
【0049】
冷却手段60によって第1突起部30A、第2突起部30Bおよび第3突起部30Cの間には、伝熱ガスGが供給される。
伝熱ガスGは、第1領域AR1において、板状試料Wと第1底面18Aとの高さ方向の隙間を流れる。伝熱ガスGは、第2領域AR2において、板状試料Wと第2底面18Bとの高さ方向の隙間を流れる。同様に伝熱ガスGは、第3領域AR3において、板状試料Wと第3底面18Cとの高さ方向の隙間を流れる。
【0050】
第1領域AR1において、板状試料Wと第1底面18Aとは、第1突起部30Aの高さだけ離間している。第1突起部30Aは、第1領域AR1における伝熱ガスGの流れが粘性流が支配的となる高さに設定されている。即ち、第1突起部30Aの高さは、伝熱ガスGの平均自由行程よりも長く設定されている。より具体的には、第1突起部30Aの高さは、20μm以上80μm以下である。
粘性流とは流体の流れにおいて流体を構成する分子同士の衝突が支配的となっている流れである。粘性流においては、伝熱ガスGの熱伝達率はガス圧にほとんど依存しない。即ち、伝熱ガスGの圧力を変えても、熱伝達率は殆ど変わらない。したがって、伝熱ガスGのガス圧を変更した場合であっても、第1突起部30Aに支持される板状試料Wの温度状態は、ほとんど変化しない。
【0051】
第2領域AR2において、板状試料Wと第2底面18Bとは、第2突起部30Bの高さだけ離間している。また、第3領域AR3において、板状試料Wと第3底面18Cとは、第3突起部30Cの高さだけ離間している。第2突起部30Bおよび第3突起部30Cは、第2領域AR2および第3領域AR3における伝熱ガスGの流れが、第1領域AR1に比較して分子流が支配的となる高さに設定されている。即ち、第2突起部30Bの高さは、伝熱ガスGの平均自由行程よりも低く設定されている。より具体的には、第2突起部30Bの高さは、2μm以上20μm以下である。また、第3突起部30Cの高さは、0.5μm以上5μm以下であり、且つ第2突起部30Bと同じ、もしくは低く設定されている。
分子流とは、分子と壁面(本実施形態においては、載置面19の底面18B、18C、又は板状試料W)との衝突が支配的となっている流れである。分子流においては、分子と壁面との衝突が支配的であるために、伝熱ガスGの熱伝達率はガス圧と強い相関関係がある。即ち、分子流においては、ガス圧が高めることで熱伝達率を高めることができる。
【0052】
第1領域AR1では、伝熱ガスGの流れが、粘性流(が支配的)であるために、ガス圧を変えても伝熱ガスGの熱伝達率が変わらず、板状試料Wの温度制御に影響を与えない。また、第2領域AR2および第3領域AR3では、伝熱ガスGの流れが、分子流(が支配的)であるために、ガス圧を変えることで伝熱ガスGの熱伝達率が変わり、板状試料Wの温度制御を行うことができる。したがって、伝熱ガスGのガス圧を変えることで、第1領域AR1の温度制御に影響を与えることなく第2領域AR2および第3領域AR3の温度制御を行うことができる。
【0053】
図2に示すように、静電チャック部2を平面視したとき、第2領域AR2は第1領域AR1の周囲を囲むように設けられていていることが好ましい。なお、
図2において、突起部30A、30B、30Cの図示は、省略されている。
静電チャック装置1の載置面19に搭載された板状試料Wは、その周縁部に近づくほどに外部からの影響を受け、均一な温度制御が困難となる。伝熱ガスGのガス圧によって温度を制御可能な第2領域AR2を第1領域AR1の周囲を囲むように配置することで、外部からの影響に応じて、ガス圧を制御し、第2領域AR2に載置された板状試料Wの温度分布を均一にすることができる。
【0054】
より具体的には、第1領域AR1および第2領域AR2において載置される板状試料Wの温度を測定し、温度の差分に応じて、冷却手段60の制御部65aにより、伝熱ガスGのガス圧(圧力)を制御する。制御部65aは、ガス圧(圧力)を制御することで第2領域AR2における伝熱ガスGの熱伝達率を制御する。これにより、第1領域AR1における熱伝達量と第2領域AR2における熱伝達量との大小関係を変化させ、前記板状試料Wの温度を制御する。
【0055】
図3は、第1領域AR1および第2領域AR2における、伝熱ガスGの圧力と伝熱ガスGの熱伝達率の関係を示す図である。伝熱ガスGの圧力を基準値SPとした場合には、第1領域AR1および第2領域AR2における伝熱ガスGの熱伝達率は、同じとなる。したがって、初期状態では、伝熱ガスGの圧力を基準値SPとする。静電チャック装置1に固定された板状試料Wにプラズマを照射すると、板状試料Wの表面温度が上昇する。ことのき、板状試料Wの面内で温度分布が発生する。板状試料Wの第2領域AR2に載置される部分の温度が第1領域AR1に載置される部分の温度より低くなった場合には、伝熱ガスGのガス圧を低くする。これにより、第1領域AR1の冷却を相対的に強くして、載置面19全体を均一にする。逆に、板状試料Wの第2領域AR2に載置される部分の温度が第1領域AR1に載置される部分の温度より高くなった場合には、伝熱ガスGのガス圧を高くする。これにより、第2領域AR2の冷却を相対的に強くして、載置面19全体を均一にする。
【0056】
また、本実施形態において、静電チャック部2は、第1領域AR1に貫通孔61を有し、冷却手段60は、貫通孔61を介して前記伝熱ガスGを供給する。即ち、貫通孔61は、第1領域AR1に開口し、第1領域AR1に伝熱ガスGを供給する。第1領域AR1では、突起部30Aが高く載置面19の底面18Aと板状試料Wとの隙間が大きいため伝熱ガスGが流れやすい。第1領域AR1に伝熱ガスGを供給することで、載置面19の面内において各方向に伝熱ガスGが均一に広がりやすい。したがって、伝熱ガスGを載置面内に均一に流すことができ、面内の温度制御が容易となる。
【0057】
図2に示すように、本実施形態では、第1領域AR1および第2領域AR2は、平面視で同心円状に設定されている。また、静電チャック部2は、平面視で円形を呈する前記第1領域AR1の中央に1つの貫通孔61を有する。第1領域AR1および第2領域AR2が同心円状に設定され、貫通孔61が載置面19の中央に設けられているために、載置面19の対称性が高まる。したがって、貫通孔61から導入された伝熱ガスGは、載置面19の面内の径方向外側に向かって均一に広がる。これにより、伝熱ガスGの圧力による温度制御がさらに容易となる。
【0058】
本実施形態において、収容孔62は、第1領域AR1に配置され、冷却手段60は、第1領域AR1に配置された前記収容孔62を介して伝熱ガスGを供給する。上述したように、第1領域AR1に伝熱ガスGを供給することで、載置面の面内に均一にガスが広がりやすくなり、載置面の温度制御が容易となる。
【0059】
一般的に、冷却効率を高めるためには、載置面19に対して複数の孔から伝熱ガスGを供給することが好ましい。一方で、載置面に複数の孔を設けると、孔が載置面の特異点となるため、孔の上に位置する板状試料Wの温度の制御が難しくなるという問題がある。即ち、孔の上に位置する板状試料Wの温度が他の部分に対して、均一でなくなる虞がある。本実施形態に示す様に、リフトピン25を収容する収容孔62を伝熱ガスGの経路として利用することで、載置面19の特異点を増加させることなく、伝熱ガスGの供給路を確保し、冷却効率を高めることができる。
【0060】
また、本実施形態に示すように、載置面19が、第3領域AR3を有する場合には、静電チャック部2を平面視したとき、第3領域AR3が、さらに第2領域AR2の周囲を囲むように設けられていることが好ましい。これにより、外部からの影響を受けやすい第3領域AR3に載置される板状試料Wの温度をガス圧によって制御できる。
【0061】
第3領域AR3に形成される第3突起部30Cは、第2突起部30Bより低く、0.5μm以上5μm以下とされている。第3領域AR3では、載置面19の底面18Cと板状試料Wとの隙間が狭いために、伝熱ガスGが流入しにくい。即ち、第3領域AR3は、シール部として機能する。このため、第1領域AR1および第2領域AR2に伝熱ガスGが留まりやすくなる。即ち、第1領域AR1および第2領域AR2の板状試料Wと底面18A、18Bとの間に十分に伝熱ガスGを行き渡らせることができる。これにより、第1領域AR1および第2領域AR2における伝熱ガスGによる冷却効果を十分に高めることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、シール部としての第3領域AR3に、第3突起部30Cが設けられ、第3突起部30Cにより板状試料を支持する。これにより、板状試料Wの第3領域AR3に載置される部分と載置面19の底面18Cとの間に伝熱ガスGを流すことができる。したがって、シール部としての第3領域AR3においても、伝熱ガスGによる冷却を行うことができ、板状試料Wの周縁の温度制御を行うことができる。
【0063】
第3領域AR3における第3突起部30Cの単位面積当たりの密度は、第2領域AR2における第2突起部30Bの単位面積当たりの密度より高くすることが好ましい。これにより、第2領域AR2から第3領域AR3への伝熱ガスGの流出を抑えることができ、第1領域AR1および第2領域AR2に十分に伝熱ガスGを行き渡らせることができる。したがって、第1領域AR1および第2領域AR2における伝熱ガスによる冷却効果を十分に高めることができる。
【0064】
第3領域AR3において、載置面19の底面18Cと板状試料Wとの隙間から伝熱ガスGが一定量だけ流出する。伝熱ガスGの流出により載置面19内の異物が除去され、突起部30A、30B、30Cと板状試料Wとの間に、異物が介在しにくくなる。即ち、異物により突起部30A、30B、30Cと板状試料Wとの接触が不完全となることを防止できるため、載置面19全体において、接触熱伝導を安定して行い、異物に起因する温度の不均一化を抑制できる。
【0065】
平面視における載置面19の総面積に対し、平面視における突起部30A、30B、30Cと板状試料Wとの接触面積の総和が占める比率は、0.01%以上、20%以下とすることが好ましい。
板状試料Wの温度制御は、突起部30A、30B、30Cとの熱伝導と、伝熱ガスGによる熱伝達とによって行われる。突起部30A、30B、30Cと板状試料Wとの接触面積の総和の占める比率を載置面の総面積に対して20%以下(より好ましくは10%以下)とすることで、板状試料Wと突起部30A、30B、30Cとの熱伝導の影響を小さくして、伝熱ガスGの熱伝達の影響を相対的に大きくできる。これにより、第2領域AR2の温度制御を、伝熱ガスGのガス圧により容易に行うことができる。
また、突起部30A、30B、30Cと板状試料Wの総和が小さすぎる場合には、接触面積が不足して突起部30A、30B、30Cと接触する板状試料Wが過度に変形する虞がある。突起部30A、30B、30Cと板状試料Wとの接触面積の総和の占める比率を載置面の総面積に対して0.01%以上とすることで、過度に板状試料Wを変形させることのない十分な接触面積を確保して板状試料Wを突起部30A、30B、30Cにより支持できる。
【0066】
載置板11と支持板12は、静電吸着用内部電極13の周縁において一体化されている。載置板11および支持板12は、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al
2O
3−SiC)複合焼結体、酸化アルミニウム(Al
2O
3)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体、酸化イットリウム(Y
2O
3)焼結体等の機械的な強度を有し、かつ腐食性ガス及びそのプラズマに対する耐久性を有する絶縁性のセラミックス焼結体からなるものである。
【0067】
セラミックス焼結体中のセラミックス粒子の平均粒径は10μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。静電チャック部2の載置面19に設けられる突起部30A、30B、30Cの形成過程でサンドブラスト加工を行う。サンドブラスト工程は、載置面19の表面にダメージを与えて、掘削する工程であるため、突起部30A、30B、30Cの内部にクラックが残留する。クラックは、サンドブラスト工程の後に行われるバフ研磨によって、強制的に進行され、事前に除去される。
クラックは、セラミック焼結体中のセラミック粒子の粒界に形成される。したがって、セラミック粒子の粒径が大きい場合には、バフ研磨を経ることで、粒界に沿って大きく角部が除去される。セラミック粒子の粒径が大きくなるほど、突起部30A、30B、30Cはより丸みを帯びた形状となる。突起部30A、30B、30Cは、板状試料Wの吸着、離脱を繰り返すことで摩耗する。突起部30A、30B、30Cは、摩耗しても板状試料Wとの接触面積が変わらないことが好ましい。したがって、突起部30A、30B、30Cは、高さ方向に断面積の変化がないことが好ましい。即ち、突起部30A、30B、30Cは丸みを帯びていないことが好ましい。セラミックス粒子の平均粒径は10μm以下(より好ましくは2μm以下)とすることで、高さ方向に沿った断面積の変化を抑制した突起部30A、30B、30Cを載置面19に形成することができる。
【0068】
静電吸着用内部電極13は、電荷を発生させて静電吸着力で板状試料Wを固定するための静電チャック用電極として用いられるもので、その用途によって、その形状や、大きさが適宜調整される。
静電吸着用内部電極13は、酸化アルミニウム−炭化タンタル(Al
2O
3−Ta
4C
5)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−タングステン(Al
2O
3−W)導電性複合焼結体、酸化アルミニウム−炭化ケイ素(Al
2O
3−SiC)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タングステン(AlN−W)導電性複合焼結体、窒化アルミニウム−タンタル(AlN−Ta)導電性複合焼結体、酸化イットリウム−モリブデン(Y
2O
3−Mo)導電性複合焼結体等の導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属により形成されている。
静電吸着用内部電極13は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいはスクリーン印刷法等の塗工法により形成できる。
【0069】
給電用端子15は、静電吸着用内部電極13に直流電圧を印加するために設けられた棒状のもので、給電用端子15の材料としては、耐熱性に優れた導電性材料であれば特に制限されるものではない。給電用端子15は、熱膨張係数が静電吸着用内部電極13及び支持板12の熱膨張係数に近似したものが好ましく、例えば、静電吸着用内部電極13を構成している導電性セラミックス、あるいは、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、コバール合金等の金属材料が好適に用いられる。
【0070】
給電用端子15は、絶縁性を有する碍子23により冷却ベース部3に対して絶縁されている。給電用端子15は支持板12に接合一体化され、さらに、載置板11と支持板12とは、静電吸着用内部電極13を挟んで接合一体化されて静電チャック部2を構成している。
【0071】
冷却ベース部3は、静電チャック部2を所望の温度に調整するためのもので、厚みのある円板状のものである。
冷却ベース部3としては、例えば、その内部に冷媒として水を循環させる流路(図示略)が形成された水冷ベース等が好適である。
冷却ベース部3を構成する材料としては、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銅(Cu)、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等が好適に用いられる。冷却ベース部3の少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理が施されているか、あるいはアルミナ等の絶縁膜が成膜されていることが好ましい。
【0072】
ヒータエレメント5は、支持板12の下面に接着材4により接着固定されている。ヒータエレメント5は、幅の狭い帯状の金属材料を蛇行させた1つの連続した帯状のヒータパターンである。帯状のヒータエレメント5の両端部には、
図1に示す給電用端子22が接続され、給電用端子22は、絶縁性を有する碍子23により冷却ベース部3に対して絶縁されている。
【0073】
ヒータエレメント5のヒータパターンは、1つのヒータパターンにより構成してもよいが、相互に独立した2つ以上のヒータパターンにより構成してもよい。相互に独立した複数のヒータパターンを個々に制御することにより、処理中の板状試料Wの温度を自由に制御できる。
【0074】
また、ヒータエレメント5を非磁性金属で形成すると、静電チャック装置1を高周波雰囲気中で用いてもヒータエレメント5が高周波により自己発熱せず、したがって、板状試料Wの面内温度を所望の一定温度または一定の温度パターンに維持することが容易となるので好ましい。
【0075】
接着材6は、冷却ベース部3の上面に絶縁部材7を接着するためのもので、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の耐熱性及び絶縁性を有するシート状またはフィルム状の接着性樹脂であり、厚みは5μm〜100μmが好ましく、より好ましくは10μm〜50μmである。
【0076】
絶縁部材7は、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性及び耐電圧性を有するフィルム状またはシート状の樹脂であり、絶縁部材7の面内の厚みのバラツキは10μm以内が好ましい。絶縁部材7の面内の厚みのバラツキが10μmを超えると、厚みの大小により温度分布に高低の差が生じる。その結果、絶縁部材7の厚み調整による温度制御に悪影響を及ぼすので、好ましくない。
【0077】
樹脂層8は、静電チャック部2の下面と冷却ベース部3の上面との間に介在する。樹脂層8は、ヒータエレメント5が接着された静電チャック部2と冷却ベース部3とを接着一体化するとともに、熱応力の緩和作用を有する。
【0078】
本実施形態の静電チャック装置1によれば、載置面19には、高さの異なる第1突起部30Aと第2突起部30Bと第3突起部30Cにより第1領域AR1と第2領域AR2と第3領域AR3が形成されている。第1領域AR1では、伝熱ガスGが粘性流となる。また、第2領域AR2、第3領域AR3では、伝熱ガスGが分子流となる。伝熱ガスGのガス圧を変えることで、第1領域AR1の温度制御に影響を与えることなく第2領域AR2の温度制御を行うことができる。
【0079】
また、このような領域ごとの温度制御を、第1領域AR1と第2領域AR2とにそれぞれ伝熱ガスGの経路を設けることなく、1系統のガス経路のみで行うことができる。このため、静電チャック装置1のガス系統の構造を単純化してコストを低減できる。また、伝熱ガスGの圧力制御が単純化され容易となる。
なお、伝熱ガスGの圧力による、第2領域AR2および第3領域AR3の温度制御は、第1領域AR1との温度差を抑制し面内の温度分布を均一にするものである。本実施形態の静電チャック装置1は、温度を調整する手段として、さらにヒータエレメント5および冷却ベース部3を有している。第1、第2、第3領域AR1、AR2、AR3に対する一括した温度調整は、ヒータエレメント5に流す電流調整および冷却ベース部3に流す冷媒の流量調整などにより行うことができる。
【0080】
なお、本実施形態の静電チャック装置1は、ヒータエレメント5を有するが、これを有さなくても良い。静電チャック装置1に搭載されているために、板状試料Wにはプラズマにより常に入熱が行われている。ヒータエレメント5は、相互に独立した2つ以上のヒータパターンを面内に構成し、それぞれのヒータパターンに対する電流制御により面内の温度分布を調整する為に用いられている。本実施形態の静電チャック装置1は、伝熱ガスGのガス圧により、面内の温度分布を均一にできる。即ち、ヒータエレメント5を用いることなく、面内の温度制御が可能であり、ヒータエレメント5を用いない構成が可能となる。ヒータエレメント5を有さない場合には、静電チャック装置1のコストを削減することができる。なお、ヒータエレメント5を有する場合には、より細かい領域に対する温度制御を行うことができる。
【0081】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。