特許第6520418号(P6520418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東ソー株式会社の特許一覧

特許6520418ラテックス組成物及びそれを含んでなるRFL接着剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6520418
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】ラテックス組成物及びそれを含んでなるRFL接着剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20190520BHJP
   C08L 23/34 20060101ALI20190520BHJP
   C08L 61/14 20060101ALI20190520BHJP
   C08J 5/06 20060101ALI20190520BHJP
   C09J 127/06 20060101ALI20190520BHJP
   C09J 123/34 20060101ALI20190520BHJP
   C09J 161/10 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   C08L27/06
   C08L23/34
   C08L61/14
   C08J5/06CEQ
   C09J127/06
   C09J123/34
   C09J161/10
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-113542(P2015-113542)
(22)【出願日】2015年6月4日
(65)【公開番号】特開2016-222880(P2016-222880A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】浜田 昭典
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和徳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信行
【審査官】 長岡 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平1−20281(JP,A)
【文献】 特開2014−118470(JP,A)
【文献】 特開平11−323732(JP,A)
【文献】 特表2005−519182(JP,A)
【文献】 特開平5−132598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 27/00− 27/24
C08L 23/00− 23/36
C08L 61/00− 61/34
C09J 123/00−123/36
C09J 127/00−127/24
C09J 161/00−161/34
C08J 5/04− 5/10
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、平均粒子径0.8μm以下の塩化ビニル系ポリマー粒子及び平均粒子径1μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含んでなるラテックス組成物であって、塩化ビニル系ポリマー粒子とクロロスルホン化ポリオレフィン粒子の合計量に対する塩化ビニル系ポリマー粒子の含有量が5〜20重量%であることを特徴とするラテックス組成物。
【請求項2】
少なくとも、平均粒子径0.8μm以下の塩化ビニル系ポリマー粒子を含む塩化ビニル系ポリマーラテックス、及び、平均粒子径1μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスを配合してなることを特徴とする請求項1に記載のラテックス組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のラテックス組成物、及び、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物分散液を含んでなることを特徴とするRFL接着剤。
【請求項4】
請求項3に記載のRFL接着剤を含浸した繊維、及び、加硫ゴムを含んでなることを特徴とする加硫ゴム−繊維複合体。
【請求項5】
加硫ゴムが加硫エチレンプロピレン系ゴムであることを特徴とする請求項4に記載の加硫ゴム−繊維複合体。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の加硫ゴム−繊維複合体を成型してなることを特徴とする加硫ゴム−繊維複合成型体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、塩化ビニル系ポリマー(以下、PVCと記す)粒子及びクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物であり、当該ラテックス組成物は、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物分散液に配合することにより、ゴム(加硫ゴム)と繊維との接着力を高めることを可能とするRFL(レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物−ラテックス)接着剤、それに適したラテックス組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴム製品は、タイヤ、ベルト、ホース等の自動車部品や工業用部品、建築資材等の分野で使用されており、これらの製品は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴムやエチレンプロピレン系ゴム等のゴムに、カーボンブラック、可塑剤、老化防止剤、加硫促進剤等を配合したゴム組成物に、接着剤を含浸・乾燥させたポリエステル繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維等の繊維を配合し、加硫接着した加硫ゴム−繊維複合体として製造されているものが多く見受けられる。
【0003】
加硫ゴムと繊維間の接着力を高める接着剤としては、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン共重合体樹脂ラテックス等のラテックス(単に、L液と称する場合もある。)にレゾルシンとホルムアルデヒドの縮合物溶液(以下、RF液と記す。)を混合したレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物−ラテックス接着剤(以下、RFL接着剤と記す。)、さらにはRFL接着剤には、イソシアネート化合物やエポキシ化合物等を混合したRFL接着剤等が用いられている。しかしながら、前記RFL接着剤をエチレンプロピレン系ゴム組成物と繊維材料との接着に使用した場合、エチレンプロピレン系ゴムは二重結合が少ない化学構造を有しており反応性に乏しく、繊維材料との初期接着力や耐熱劣化後の接着力を十分に高めることが出来ないという課題を有していた。
【0004】
この課題を解決する方法として、例えば(1)クロロスルホン化ポリエチレンラテックスとRF液との接着剤組成物を用いることを特徴とする繊維用材料とゴム類との接着方法(例えば特許文献1参照。)、(2)繊維材料をビニルピリジン・スチレン・ブタジエン共重合体樹脂ラテックス等のゴムラテックスにRF液を混合したRFL接着剤で処理した後、引き続きRFL接着剤にパラクロルフェノール及びレゾルシンをホルムアルデヒドと共縮合した特殊クロロフェノール化合物とブロックドイソシアネート化合物を添加した第2処理液で処理することを特徴とするポリエステル繊維とエチレンプロピレン系ゴムとの接着処理法(例えば特許文献2参照。)、等が提案されている。
【0005】
また、ゴム、特にエチレン−プロピレン−ジエンゴムに対する改良接着剤組成物の一例として、クロロスルホン化ポリエチレンゴムラテックス及びマレイン化液体ポリブタジエン樹脂の半エステルの水溶液からなり、場合によっては、第2のラッテクスとして塩化ビニル重合体ラテックスを含有する接着剤組成物(例えば特許文献3参照。)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57−105476号公報(例えば、特許請求の範囲参照。)
【特許文献2】特開平7−216755号公報(例えば、特許請求の範囲参照。)
【特許文献3】特開2005−519182号公報(例えば、特許請求の範囲参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1、2、3に提案の方法においては、確かにエチレンプロピレン系ゴムやエチレンプロピレンジエン系ゴムと繊維材料との初期接着力や耐熱劣化後の接着力は優れるものであるが、その接着性能はまだ満足できるものではない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴムやエチレンプロピレン系ゴム等のゴム、特にエチレンプロピレン系ゴム組成物、加硫ゴムとナイロン繊維やポリエステル繊維等の各種繊維間の初期接着力、耐熱劣化後の接着力を改善した加硫ゴム−繊維複合体、そのためのRFL接着剤、ラテックス組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討を重ねた結果、特定の粒子径を有するPVC粒子とクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を特定の割合で配合するラテックス組成物、それを含んでなるRFL接着剤を加硫ゴム−繊維複合体に適応した際に、初期接着力、耐熱劣化後の接着力を改善した加硫ゴム−繊維複合体となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、少なくとも、平均粒子径0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径1μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含んでなるラテックス組成物であって、PVC粒子とクロロスルホン化ポリオレフィン粒子の合計量に対するPVC粒子の含有量が5〜20重量%であることを特徴とするラテックス組成物、それを含んでなるRFL接着剤、該RFL接着剤を含んでなる繊維と加硫ゴムとを含んでなる加硫ゴム−繊維複合体に関するものである。
【0011】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明のラテックス組成物は、少なくとも、平均粒子径0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径1μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含んでなるラテックス組成物であり、PVC粒子とクロロスルホン化ポリオレフィン粒子の合計量に対するPVC粒子の含有量が5〜20重量%のものである。そして、このようなラテックス組成物は、例えば、少なくとも、平均粒子径0.8μm以下のPVC粒子を含むPVCラテックス、及び、平均粒子径1μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスを配合することにより得ることが可能である。
【0013】
本発明のラテックス組成物を構成するPVC粒子は、平均粒子径0.8μm以下のPVC粒子である。ここで、平均粒子径が0.8μmを超えるものである場合、得られた接着剤を用いた加硫ゴム−繊維複合体は、初期接着力及び耐熱劣化後の接着力が劣るものとなる。そして、特に加硫ゴム−繊維複合体の初期接着力及び耐熱劣化後の接着力がより向上したものとなることから、PVC粒子としては、平均粒子径0.07μm以上0.3μm以下のPVC粒子であることが好ましく、特に0.07μm以上0.1μm以下のPVC粒子であることが好ましい。
【0014】
なお、本発明におけるPVC粒子の平均粒子径やクロロスルホン化ポリオレフィン粒子の平均粒子径は、例えば一般に知られているレーザー回折法及び動的光散乱法を原理とした粒度分布測定装置により測定することが可能であり、より具体的には、例えば、レーザー回折/散乱式粒径測定装置((商品名)LA−920、堀場製作所(株))により測定することが可能である。
【0015】
なお、本発明において、ラテックス組成物、PVCラテックス、クロロスルホン化ポリオレフィンラテックス等と称されるラテックスとは、微細なポリマー粒子が水性媒体に代表される媒体に安定分散した分散液を称するものである。
【0016】
該PVC粒子を構成するPVCとしては、例えば塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルと共重合可能なビニル化合物との塩化ビニル共重合体を挙げることができる。その際、PVC粒子をPVCラテックスとして製造する際の製造方法としては、特に制限はなく、PVCラテックスの製造方法として一般に知られているどのような方法でも用いることができる。例えば、塩化ビニル単量体を単独又は塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体の存在下で、脱イオン水、乳化剤(界面活性剤)、水溶性重合開始剤と共に緩やかな撹拌下で重合を行う乳化重合法、乳化重合法で得られた粒子をシードとして用い乳化重合を行うシード乳化重合法、塩化ビニル単量体を単独又は塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体の存在下で、脱イオン水、乳化剤(界面活性剤)、必要に応じて高級アルコール等の乳化補助剤、油溶性重合開始剤をホモジナイザー等で混合分散した後、緩やかな撹拌下で重合を行うミクロ懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法で得られた油溶性重合開始剤を含有するシードを用い重合を行うシードミクロ懸濁重合法等が挙げられる。そして、特にPVC粒子の安定したPVCラテックスが得られることから乳化重合法により得られるPVCラテックスであることが好ましい。
【0017】
乳化重合としては、例えば水を分散媒とし、分散媒に対して、5〜150重量%の塩化ビニル単量体をアルキルベンゼンスルホン酸塩等の乳化剤の存在下、重合開始剤を用い、30〜100℃程度、好ましくは、40〜80℃で3〜24時間、攪拌下重合する方法を挙げることができる。
【0018】
その際の乳化剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸カリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸カリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;ラウリン酸アルカリ金属塩、ミリスチン酸アルカリ金属塩、パルミチン酸アルカリ金属塩、ステアリン酸アルカリ金属塩、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、等を挙げることができ、これらは単独でも、2種類以上含有しても良い。
【0019】
また、該PVCラテックスは、連鎖移動剤、還元剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0020】
該連鎖移動剤としては、PVCの重合度を調整できるものであればよく、例えば、トリクロロエチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;アセトン、n−ブチルアルデヒド等のアルデヒド類等が挙げられる。
【0021】
また、還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、デキストローズ、硫酸第一鉄、硫酸銅等が挙げられる。
【0022】
緩衝剤としては、例えば、リン酸−水素アルカリ金属塩、リン酸二水素アルカリ金属塩、フタル酸水素カリウム、ホウ酸−苛性カリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0023】
塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸1,1−ジヒドロペルフルオロエチル、(メタ)アクリル酸1,1−ジヒドロペルフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸1,1,5−トリヒドペルフルオロヘキシル、(メタ)アクリル酸1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸1,1,7−トリヒドロペルフルオロヘプチル、(メタ)アクリル酸1,1−ジヒドロペルフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸1,1−ジヒドロペルフルオロデシル、(メタ)アクリル酸1−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;メチルビニルケトン等のアルキルビニルケトン化合物類;ビニルエチルエーテル等のアルキルビニルエーテル化合物類;アリルメチルエーテル等のアリルエーテル化合物類;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、p−クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、p−ブトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル化合物類;アクリルアミド;ブダジエン、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2−(N−ピペリジメチル)−1,3−ブタジエン、2−トリエトキシメチル−1,3−ブタジエン、2−(N,N−ジメチルアミノ)−1,3−ブタジエン、N−(2−メチレン−3−ブテノイル)モルホリン等の1,3−ブタジエン化合物類;その他、イソプレン、ペンタジエン、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、プロピオン酸ビニル、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ジアセトンメタクリレート、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができる。
【0024】
PVCラテックスの製造の終了は、容器内の圧力を常圧、さらに減圧し、未反応単量体を回収することにより行う。場合によっては、重合禁止剤を添加して重合を終了させてもよい。また必要に応じ、重合終了後のPVCラテックスに乳化剤等を追加添加することができる。
【0025】
該PVCラテックスを製造する際に、重合の安定化やスケール発生量の低減を目的としてさらに、還元剤、緩衝剤、増粘剤、縮合リン酸塩、分散剤、粘着付与剤、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、造膜助剤、老化防止剤、凍結防止剤等を添加することもできる。
【0026】
また、該クロロスルホン化ポリオレフィン粒子は、平均粒子径1μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子である。ここで、平均粒子径が1μmを超える粒子である場合、得られる接着剤を加硫ゴム−繊維複合体の接着に適用した場合、得られる加硫ゴム−繊維複合体は、初期接着力や耐熱劣化後の接着力に劣るものとなる。そして、より初期接着力及び耐熱劣化後の接着力の向上した加硫ゴム−繊維複合体を提供することが可能となることから、クロロスルホン化ポリオレフィン粒子の平均粒子径は0.67μm以上0.9μm以下が好ましい。
【0027】
該クロロスルホン化ポリオレフィンとしては、クロロスルホン化ポリオレフィンの範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、例えばクロロスルホン化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリプロピレンを挙げることができる。その際のポリエチレンとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体であってもよく、また、ポリプロピレンとしては、プロピレン−α−オレフィン共重合体であってもよい。また、α−オレフィンとしては、例えば1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等を挙げることができる。そして、該クロロスルホン化ポリオレフィンの製造方法としては、例えば原料であるポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化反応に不活性な反応溶媒を用い均一系で行う溶液法;ポリオレフィンを反応溶媒に懸濁させて反応させる懸濁法、等が挙げられる。反応終了のクロロスルホン化ポリオレフィンは、溶媒を除去することにより回収することが可能であり、その形状としては、チップ状、粉体等の形状であることが一般的である。
【0028】
クロロスルホン化ポリオレフィン粒子をクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスとする際には、例えばクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を乳化剤等により水中に分散させることにより、クロロスルホン化ポリオレフィンラテックスとすることが可能である。
【0029】
該クロロスルホン化ポリオレフィンラテックスは、クロロスルホン化ポリオレフィンを、ベンゼン、トルエン、キシレンエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、等の溶媒に溶解し、乳化剤の存在下、水中の分散性乳化を行い、その後溶媒を除去することにより製造することができる。
【0030】
その際の乳化剤としては、クロロスルホン化ポリオレフィンを水中に乳化分散が可能であれば特に制限はなく、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸カリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸カリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類;ラウリン酸アルカリ金属塩、ミリスチン酸アルカリ金属塩、パルミチン酸アルカリ金属塩、ステアリン酸アルカリ金属塩、オレイン酸アルカリ金属塩等の高級脂肪酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸エステルナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸二ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩類、等が挙げられる。これらは単独でも、2種類以上含有しても良い。
【0031】
該クロロスルホン化ポリオレフィンラテックスは、塩基性物質を含有することにより一層安定なラテックスとすることが可能である。その際の塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエタノールアミン、モルホリン等が挙げられる。
【0032】
ラテックスとする際の乳化装置としては、例えばホモミキサー、ホモジナイザー、ホモミックラインミキサー乳化装置等が挙げられ、十分にクロロスルホン化ポリオレフィンが水中に分散するように撹拌回転数、撹拌時間等の条件を調整することによりラテックスとすることが可能である。
【0033】
また、ラテックスとする際に乳化液から溶媒を除去する方法としては、減圧化で加熱して除去すればよい。この時必要に応じて同時に水を除去してラテックスの濃度を調節することも可能である。
【0034】
該クロロスルホン化ポリオレフィンラテックスには、加硫剤、加硫促進剤、受酸剤、補強剤、充填剤、下降助剤、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、樹脂、成膜助剤、濡れ性改良剤、顔料、染料、チキソ剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤等を必要に応じて添加されていてもよい。
【0035】
本発明のラテックス組成物は、PVC粒子とクロロスルホン化ポリオレフィン粒子の合計量に対するPVC粒子の含有量が5〜20重量%のものである。ここで、PVC粒子の含有量が5重量%未満の場合は、得られる組成物をRFL接着剤とし、加硫ゴム−繊維複合体に適用した際に、得られる加硫ゴム−繊維複合体は、初期接着力及び耐熱劣化後の接着力に劣るものとなる。一方、PVC粒子の含有量が20重量%を超える場合も、同様に加硫ゴム−繊維複合体の初期接着力及び耐熱劣化後の接着力が劣るものとなる。
【0036】
本発明のラテックス組成物は、レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物分散液(以下、RF液と記す。)と配合することにより、初期接着力及び耐熱劣化後の接着力に優れる加硫ゴム−繊維複合体を提供することを可能とするRFL(レゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物−ラテックス)接着剤とすることができる。その際の該RFL接着剤の製造方法としては、如何なる方法を用いてもよく、例えば該PVC粒子と該クロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物とRF液とを配合する方法、その他、RF液に該クロロスルホン化ポリオレフィン粒子(ラテックス)及び該PVC粒子(ラテックス)を配合する方法であってもよい。
【0037】
該RF液は、レゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の分散液であり、例えば、1,3−ベンゼンジオール、1,5−ベンゼンジオール、ビスヒドロキシメチルフェノール、ビスヒドロキシエチルフェノールの如きビスヒドロキシアルキルフェノール等のレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物の水溶液であり、縮合物とする際には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の塩基性触媒、又は塩酸、硫酸等の酸触媒を用い製造することができる。
【0038】
本発明のRFL接着剤は、該ラテックス組成物及びRF液を含んでなるものであり、必要に応じてイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ化合物等を含有していてもよい。
【0039】
該イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等のポリイソシアネート;これらのイソシアネートと活性水素原子を2個以上有する化合物、例えば、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等との反応物である多価アルコール付加ポリイソシアネート化合物、等が挙げられる。
【0040】
該ブロックイソシアネート化合物としては、前記ポリイソシアネートに、例えば、ジフェニルアミン、キシリジン等の芳香族第2級アミン類;フタル酸イミド類;カプロラクタム、バレロラクタム等のラクタム類;アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム類;等のブロック化剤を反応させたブロック化ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0041】
該エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、分子内に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシド化合物、例えば、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応物;レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応物;3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シクロメチル)アジペート、等が挙げられる。
【0042】
また、該イソシアネート化合物、該ブロックイソシアネート化合物、該エポキシ化合物は、加硫ゴム−繊維複合体における繊維の処理剤とすることも可能であり、その際は、直接、これらによる繊維の処理を行った後に、本発明のRFL接着剤による処理を行えばよい。
【0043】
本発明のラテックス組成物を含むRFL接着剤は、加硫ゴム−繊維複合体を構成する繊維の処理に有効であり、当該処理を行った繊維は加硫ゴムとの接着性が向上されるものである。その際の繊維としては、例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド(芳香族ポリアミド)繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、スフ等が挙げられるが特に限定されるものではない。また繊維の形状は糸状、コード状、織物、不織布、シート、短繊維、フィルム、シート等の種々の形態があるが特に限定されるものではない。
【0044】
本発明のRFL接着剤による繊維の処理方法としては、特に制限されるものではなく、例えば1)本発明のRFL接着剤による浸漬液を繊維に含浸乾燥させる方法、2)イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物またはエポキシ化合物を予め水や酢酸エチル等の有機溶剤に希釈し、繊維に浸漬乾燥した後、本発明のRFL接着剤による浸漬液をその繊維に含浸乾燥させる方法、3)イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物またはエポキシ化合物を含む本発明のRFL接着剤の浸漬液に、繊維を含浸乾燥させる方法、等があげられる。
【0045】
本発明のRFL接着剤による繊維の含浸処理としては、RFL接着剤の樹脂化や繊維との化学結合を促進するため、80〜150℃で水分を除去する乾燥処理を行った後、150℃以上の温度で熱処理(ベーキング)を行うことが好ましい。
【0046】
本発明の加硫ゴム−繊維複合体は、ゴム組成物と繊維との配合物を加硫することにより複合体化されるものであり、その際のゴム組成物とは、生ゴムとも称される原料ゴムと、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤及び加工助剤等からなる副原料物とを混合して得られるゴム配合物のことである。
【0047】
原料ゴムとしては、特に限定されるものではなく、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等の不飽和型ゴム;クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン、水素添加ニトリルゴム、エチレンプロピレン系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等の飽和型ゴム;等が挙げられ、これらは2種以上を併用してよく、中でも、本発明のRFL接着剤は、特にエチレンプロピレン系ゴムに効率的に作用するものである。
【0048】
副原料物としては、例えば、カーボンブラック、マイカ、シリカ、クレイ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、黒鉛、マイカ、フェライト等の充填剤;パラフィン系オイル,ナフテン系オイル,アロマ系オイル,大豆油,菜種油等の植物油、ジブチルフタル酸エステル,ジオクチルフタル酸エステル等のフタル酸エステル類、液状ブタジエンゴム等の液状ゴム等の可塑剤;硫黄、ベンゾイルパーオキサイド等の加硫剤;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、モルホリノジチオベンゾチアゾール、ジフェニルチオウレア、ジフェニルグアニジン、メルカプトベンゾチアゾール、N−スルフェンアミド、ジメチルジカルバミン酸亜鉛、酸化マグネシウム、鉛丹等の加硫促進助剤;無水フタル酸、ニトロソジフェニルアミン等のスコーチ防止剤;N−イソプロピルN’−フェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−t−ブチルカテコール、メルカプトベンツイミダゾール等の老化防止剤;チオキシレノール、ジキシルジスルフィド等の素練り促進剤;ワックス、ステアリン酸等の活剤;テルペンフェノール、ガムロジン、トール油ロジン等の粘着付与剤;重炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等の発泡剤等が挙げられる。
【0049】
原料ゴムと副原料物とを混合しゴム組成物とする際には、例えばオープンロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等のミキサーによって混合分散を行う方法を採用することができる。
【0050】
そして、本発明のラテックス組成物を含むRFL接着剤による処理を行った繊維がコード、織物、シート等である場合は、例えば、該繊維と該ゴム組成物を密着し、これを加硫することにより、加硫ゴムと繊維との接着性に優れる加硫ゴム−繊維複合体を得ることができる。また、本発明のラテックス組成物を含むRFL接着剤による処理を行った繊維が短繊維である場合、例えば、該ゴム組成物と該短繊維とを混練し、これを加硫することにより、加硫ゴムと繊維との接着性に優れる加硫ゴム−繊維複合体を得ることができる。加硫方法としては、例えば、プレス加硫、蒸気加硫、熱空気加硫、UHF加硫、電子線加硫または溶融塩加硫等を挙げることができ、いずれの方法を用いてもよい。
【0051】
本発明の加硫ゴム−繊維複合体を成型することで、加硫ゴム−繊維複合体の成型体を得ることができる。成型方法としては、例えば、カレンダ加工、押出し成型、射出成型、圧縮成型等が挙げられる。
【0052】
本発明の加硫ゴム−繊維複合体は、成型体とすることにより、自動車用ゴムホースや産業用ホース類、トラック・バス等の空気バネ、Vベルト、歯付ベルトコンベヤベルト、動力伝達用ベルト等の自動車用ベルトや工業用ベルト等の各種ベルト、自動車用タイヤや自動二輪用タイヤ等のタイヤ用途、土木建築シート、ゴム履物の日用品等の広範な用途に使用可能となる。
【発明の効果】
【0053】
本発明のラテックス組成物、それを含むRFL接着剤は(加硫)ゴムとの接着性に優れる繊維を提供することができ、加硫ゴム−繊維複合体、特にエチレンプロピレン系ゴム系の複合体においては繊維間の初期力及び耐熱劣化後の接着力にも優れるものとなる。
【実施例】
【0054】
以下の実施例、比較例により、本発明を具体的に説明する。
【0055】
なお、以下の実施例及び比較例におけるPVC粒子を含むPVCラテックス、クロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス、ラテックス組成物、RFL接着剤、加硫ゴム−繊維複合体の評価方法は以下の通りである。
【0056】
<平均粒子径>
PVC粒子を含むPVCラテックス、クロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスの平均粒子径は、各々、レーザー透過率が84〜86%となるように水を添加して濃度調整を行った測定用試料を、レーザー回折/散乱式粒径測定装置(商品名:LA−920、堀場製作所製)を用い粒径分布を測定しメジアン径を求め、平均粒子径とした。
【0057】
<加硫ゴム−繊維複合体の初期接着力の測定>
恒温室(25℃、相対湿度65%)で1日以上放置したゴム組成物−繊維複合体のシートをJISK6502に準拠し、幅25mm、長さ100mm以上の短冊状の試験片を作製した。試験片は、引張り試験機(オリエンテック社製、型式RTM−500)を用い、50mm/分の剥離速度でゴム組成物と繊維間の剥離試験により剥離力を求め、初期の接着力とした。
【0058】
<加硫ゴム−繊維複合体の耐熱劣化後の接着力の測定>
ゴム組成物−繊維複合体のシートを175℃、6時間の後加硫をギヤーオーブン中で行い、加硫ゴム−繊維複合体シートの剥離試験を初期接着強度と同様の方法で行い、耐熱劣化後の接着力とした。
【0059】
製造例1(PVCラテックス1)
2.5L重合缶内に脱イオン水800g、塩化ビニル単量体600g、5重量%ラウリン酸カリウム水溶液9.6g及び過硫酸カリウム0.16gを仕込み、温度を56℃に上げ重合を開始した。重合開始150分後より5重量%ラウリン酸カリウム水溶液45gと5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液125gを1時間あたり17mlの速度で添加し、480分後にその添加を停止した。重合缶内の圧力が0.5MPaまで低下したところで、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、平均粒子径が0.26μm、PVC粒子の濃度が32.6重量%のPVCラテックス1を得た。
【0060】
製造例2(PVCラテックス2)
2.5Lオートクレーブ中に初期仕込みとして脱イオン水900.0g、塩化ビニル単量体750.0g、3重量%濃度の過硫酸カリウム水溶液5.0g及び5重量%濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液75.0gを仕込み、温度を66℃に上げて、乳化重合を開始した。温度を66℃に保ち、66℃におけるオートクレーブ内の圧力が0.7MPaまで低下した後、未反応の塩化ビニル単量体を回収した。これに5重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液235.0gを追加添加し、平均粒子径が0.10μm、PVC粒子の濃度が37.0重量%のPVCラテックス2を得た。
【0061】
製造例3(PVCラテックス3)
仕込時にラウリン酸カリウム水溶液を仕込まなかったこと以外は、製造例1と同様操作を行い、平均粒子径が0.56μm、PVC濃度が32.6重量%のPVCラテックス3を得た。
【0062】
製造例4(PVCラテックス4)
1mオートクレーブ中に脱イオン水500kg、塩化ビニルモノマー300kg、ビス(1−メチルヘプチル)パーオキシジカーボネート200gおよび25重量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液12kg、ラウリルアルコール4.5kgを仕込み、該重合液を100分間ホモジナイザーを用いて循環し、均質化処理後、温度を48℃に上げて重合を進めた。重合圧力が48℃における塩化ビニル単量体飽和蒸気圧から2kg/cm降下した時に重合反応を停止し、未反応の塩化ビニル単量体を回収し、平均粒子径が0.95μm、PVC濃度が32.6重量%のPVCラテックス4を得た。
【0063】
製造例5(クロロスルホン化ポリオレフィンラテックス1)
0.5Lの攪拌機及び冷却器付きの4つ口フラスコにクロロスロホン化ポリオレフィンとしてクロロスルホン化ポリエチレン((商品名)TS−320、東ソー株式会社製)を30g、トルエンを270g入れ90℃に昇温し3時間撹拌し10重量%のクロロスルホン化ポリエチレン−トルエン溶液を得た。得られたトルエン溶液は、10重量%の水酸化カリウム溶液6.9g、ポリオキシエチレン(3)ラウリルラウリルエーテル硫酸ナトリウム((商品名)エマール20C、花王株式会社製)の25.3%水溶液3.6gを水337.5gに溶解した水溶液が入った容器に入れ、60℃の湯浴上でホモジナイザーを用い、10000rpm、10分間、強制乳化を行ないクロロスルホン化ポリエチレン−トルエン溶液の乳化液を得た。得られた乳化液はエバポレーターを用い60℃で減圧下、トルエン及び水を留去し、200メッシュの濾布で濾過後、平均粒子径0.81μm、クロロスルホン化ポリエチレン粒子の濃度が30.5重量%のクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス1を得た。
【0064】
製造例6(クロロスルホン化ポリオレフィンラテックス2)
ポリオキシエチレン(3)ラウリルラウリルエーテル硫酸ナトリウムの25.3%水溶液を3.7gにした以外は、製造例5と同じ操作で平均粒子径が0.67μm、クロロスルホン化ポリエチレン粒子の濃度が31.0重量%のクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス2を得た。
【0065】
製造例7(クロロスルホン化ポリオレフィンラテックス3)
ポリオキシエチレン(3)ラウリルラウリルエーテル硫酸ナトリウムの25.3%水溶液3.0gにした以外は、製造例5と同じ操作で平均粒子径が0.92μm、クロロスルホン化ポリエチレン粒子の濃度が31.6重量%のクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス3を得た。
【0066】
製造例8(クロロスルホン化ポリオレフィンラテックス4)
ポリオキシエチレン(3)ラウリルラウリルエーテル硫酸ナトリウムの25.3%水溶液2.4gにした以外は、製造例5と同じ操作で平均粒子径が1.22μm、クロロスルホン化ポリエチレン粒子の濃度が30.0重量%のクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス4を得た。
【0067】
実施例1
0.5リットルの攪拌機のついた容器に、製造例1で得られた平均粒子径0.26μmのPVC粒子からなるPVCラテックス1を24.1g、製造例5で得られた平均粒子径0.81μmのクロロスルホン化ポリエチレン粒子からなるクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス1を232.1g、それぞれを加え撹拌し、平均粒子径が0.26μmのPVC粒子を(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対して、10重量%含む、固形分30.7重量%のラテックス組成物256.3gを得た。
【0068】
一方で、0.5リットルの攪拌機のついた容器にレゾルシン11.0g、ホルムアルデヒド37%水溶液(ホルマリン)16.2g、触媒として水酸化ナトリウム0.7g及び水232gを加え、室温で5時間撹拌を行い樹脂固形分6.8%のレゾルシン−ホルムアルデヒド縮合物分散液(RF液)260gを得た。
【0069】
そして、1リットルの容器に上記ラテックス組成物256.3gと上記RF液260gに加え、20時間室温で撹拌後、更に水溶性エポキシ化合物((商品名)SR4GL、阪本薬品製)2.1gを加え10分間撹拌することにより固形分濃度18.7重量%のRFL接着剤を調製した。
【0070】
繊維として16cm×16cmに裁断したナイロン布(敷島カンバス社製、(商品名)N−856)をRFL接着剤500gに10分間浸漬後、140℃のギヤーオーブンで乾燥し、RFL接着剤処理繊維とした。
【0071】
ゴム組成物はエチレンプロピレン系ゴムを原料ゴムとし、以下の配合の13倍量のエチレンプロピレン系ゴム組成物をA練り及びB練りを行うことにより調製した。なお、A練りは、3リットル加圧型ニーダー、B練りは12インチロールを用い調製した。
【0072】
(A練り)
エチレンプロピレン系ゴム((商品名)EP21、JSR社製) 100.0重量部
亜鉛華 5.0重量部
ステアリン酸 1.0重量部
FEFカーボンブラック 50.0重量部
プロセス油((商品名)SUNPAR150、日本サン石油社製) 10.0重量部
(B練り)
硫黄 1.0重量部
ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛 1.0重量部
テトラメチルチウラムジスルフィド 1.0重量部
2−メルカプトベンゾチアゾール 1.0重量部
そして、RFL接着剤処理液で処理したナイロン布をエチレンプロピレン系ゴム組成物ではさみ、ゴム組成物−繊維複合体とし、160℃で30分間プレス加硫することにより、加硫ゴム−繊維複合体を調製した。その後恒温室(25℃、相対湿度65%)で1日以上放置し、初期接着力を測定した。また、耐熱劣化後の接着力は、加硫ゴム−繊維複合体を175℃のオーブンにいれ6時間熱劣化した後の接着力を測定した。その結果を表1に示す。
【0073】
表1から明らかなように、平均粒子径0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径が1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物から得られたRFL接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は優れていた。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例2〜3
製造例2〜3で得られた平均粒子径0.8μm以下のPVC粒子を含むPVCラテックス2,3及び製造例6〜7で得られた平均粒子径1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス2,3を使用した以外は、実施例1と同様の操作で、ラテックス組成物、RFL接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製し、その評価を行った。その結果を表1に示す。
【0076】
表1から明らかなように、平均粒子径が0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径が1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物から得られたRFL接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は優れていた。
【0077】
実施例4
表1に示す通り、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が5重量%であること以外は、実施例1と同様の操作で平均粒子径0.26μmのPVC粒子を含むPVCラテックス1、及び、平均粒子径0.81μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス1からなるラテックス組成物、RFL接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)、及び加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表1に示す。
【0078】
表1から明らかなように、平均粒子径が0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径が1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物から得られたRFL接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は優れていた。
【0079】
実施例5
表1に示す通り、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が20重量%であること以外は、実施例1と同様の操作で平均粒子径0.8μm以下のPVC粒子を含むPVCラテックス1、及び、平均粒子径1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス1、RFL接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)、及び加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表2に示す。
【0080】
表2から明らかなように、平均粒子径が0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径が1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物から得られたRFL接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は優れていた。
【0081】
実施例6
0.2リットルの容器に水溶性エポキシ化合物((商品名)SR4GL、阪本薬品製)2gを水998gに10分間撹拌させ溶解し、別容器に移しとり、16cm×16cmに裁断したテトロン布(敷島カンバス社製、(商品名)T−81)を10分間浸漬後、140℃で10分間、ギヤーオーブン中で乾燥し、予めエポキシで処理したテトロン繊維を使用した以外は、実施例1と同様の方法で平均粒子径0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物、RFL接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)、及び加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表2に示す。
【0082】
表2から明らかなように、平均粒子径が0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径が1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物から得られたRFL接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は優れていた。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例7〜8
実施例6で得られた予めエポキシ処理したテトロン繊維を用い、実施例2〜3の平均粒子径0.56μm、0.10μmのPVC粒子を含むPVCラテックス2,3、及び、平均粒子径0.81μm、0.67μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス2,3、を含むラテックス組成物、RFL接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−テトロン繊維複合体)、及び加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表2に示す。
【0085】
表2から明らかなように、平均粒子径が0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径が1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物から得られたRFL接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は優れていた。
【0086】
実施例9
実施例6で得られたエポキシ処理したテトロン繊維を用い、実施例6の平均粒子径0.26μmのPVC粒子を含むPVCラテックス1、及び、平均粒子径0.81μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス1からなり、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量を5重量%としたラテックス組成物、RFL接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−テトロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表2に示す。
【0087】
表2から明らかなように、平均粒子径が0.8μm以下のPVC粒子及び平均粒子径が1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物から得られたRFL接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−テトロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は優れていた。
【0088】
実施例10
実施例6で得られたエポキシ処理したテトロン繊維を用い、実施例6の平均粒子径0.26μmのPVC粒子を含むPVCラテックス1、及び、平均粒子径0.81μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス1からなる、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量を20重量%としたラテックス組成物、RFL接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−テトロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表2に示す。
【0089】
表2から明らかなように、平均粒子径が0.8μm以下のPVC粒子、及び、平均粒子径が1.0μm以下のクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むラテックス組成物から得られたRFL接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−テトロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は優れていた。
【0090】
比較例1
実施例1と同様の操作で、製造例4で得られた平均粒子径0.95μmのPVC粒子を含むPVCラテックス4、及び、製造例8で得られた平均粒子径1.22μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス4からなる組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表3に示す。
【0091】
表3から明らかなように、平均粒子径が0.8μmを超えるPVC粒子を含むPVCラテックス、及び、平均粒子径が1.0μmを超えるクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスを含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣っていた。
【0092】
【表3】
【0093】
比較例2
実施例1と同様の操作で、製造例4で得られた平均粒子径0.95μmのPVC粒子4を使用した以外は、実施例1と同様の操作で、組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表3に示す。
【0094】
表3から明らかなように、平均粒子径が0.8μmを超えるPVC粒子を含むPVCラテックスを含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣っていた。
【0095】
比較例3
実施例1と同様の操作で、製造例8で得られた平均粒子径1.22μmのクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス8を使用した以外は、実施例1と同様の操作で、組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表3に示す。
【0096】
表3から明らかなように、平均粒子径が1.0μmを超えるクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスを含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣っていた。
【0097】
比較例4
表3に示す通り、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が2重量%であること以外は、実施例1と同様の操作で平均粒子径0.26μmのPVC粒子を含むPVCラテックス、及び、平均粒子径0.81μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスを含む組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表3に示す。
【0098】
表3から明らかなように、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が2重量%と小さい組成物を含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣った。
【0099】
比較例5
表3に示す通り、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が30重量%であること以外は、実施例1と同様の操作で平均粒子径0.26μmのPVC粒子を含むPVCラテックス、及び、平均粒子径0.81μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスからなる組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−ナイロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表3に示す。
【0100】
表3から明らかなように、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が30重量%と大きい組成物を含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−ナイロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣った。
【0101】
比較例6
実施例6の予めエポキシ処理したテトロン繊維を用い、製造例4の平均粒子径0.95μmのPVC粒子を含むPVCラテックス4、及び、製造例8の平均粒子径1.22μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス4からなる組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−テトロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表4に示す。
【0102】
表4から明らかなように、平均粒子径が0.8μmを超えるPVC粒子を含むPVCラテックス及び1.0μmを超えるPVC粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスを含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−テトロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣っていた。
【0103】
【表4】
【0104】
比較例7
実施例6の予めエポキシ処理したテトロン繊維を用い、実施例1と同様の操作で、製造例4で得られた平均粒子径0.95μmのPVCラテックス4を使用した以外は、実施例1と同様の操作で、組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−テトロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表4に示す。
【0105】
表4から明らかなように、平均粒子径が0.8μmを超えるPVC粒子を含むラテックスを含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−テトロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣っていた。
【0106】
比較例8
実施例6の予めエポキシ処理したテトロン繊維を用い、実施例1と同様の操作で、製造例8で得られた平均粒子径1.22μmのクロロスルホン化ポリオレフィンラテックス8を使用した以外は、実施例1と同様の操作で、組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−テトロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表4に示す。
【0107】
表4から明らかなように、平均粒子径が1.0μmを超えるクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスを含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−テトロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣っていた。
【0108】
比較例9
実施例6の予めエポキシ処理したテトロン繊維を用い、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が2重量%であること以外は、実施例13と同様の操作で平均粒子径0.26μmのPVC粒子を含むPVCラテックス、及び、平均粒子径0.81μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスからなる組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−テトロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表4に示す。
【0109】
表4から明らかなように、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が2重量%と小さい組成物を含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−テトロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣った。
【0110】
比較例10
実施例6の予めエポキシ処理したテトロン繊維を用い、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が30重量%であること以外は、実施例13と同様の操作で平均粒子径0.26μmのPVC粒子を含むPVCラテックス、及び、平均粒子径0.81μmのクロロスルホン化ポリオレフィン粒子を含むクロロスルホン化ポリオレフィンラテックスからなる組成物、接着剤、処理繊維、ゴム組成物−繊維複合体(エチレンプロピレン系ゴム組成物−テトロン繊維複合体)、加硫ゴム−繊維複合体を調製しその評価を行った。その結果を表4に示す。
【0111】
表4から明らかなように、PVC粒子の(PVC粒子+クロロスルホン化ポリオレフィン粒子)の粒子全体に対しての含有量が30重量%と大きい組成物を含む組成物から得られた接着剤を使用して得られた加硫ゴム−繊維複合体(加硫エチレンプロピレン系ゴム−テトロン繊維複合体)の初期接着力や耐熱劣化後の接着力は劣った。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明のラテックス組成物、当該ラテックス組成物を含有するRFL接着剤を用いることにより、ゴム、特にエチレンプロピレン系ゴムと繊維との間の初期接着力と、耐熱劣化後の接着力に優れることから、該加硫ゴム−繊維複合体は自動車用ゴムホースや産業用ホース類、トラック・バス等の空気バネ、Vベルト、歯付ベルトコンベヤベルト等の産業上の利用可能性の高いものである。