(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリアミドは、PA6.T、PA9.T、PA8.T、PA10.T、PA12.T、PA6.I、PA8.I、PA9.I、PA10.I、PA12.I、PA6.T/6、PA6.T/10、PA6.T/12、PA6.T/6.I、PA6.T/8.T、PA6.T/9.T、PA6.T/10T、PA6.T/12.T、PA12.T/6.T、PA6.T/6.I/6、PA6.T/6.I/12、PA6.T/6.I/6.10、PA6.T/6.I/6.12、PA6.T/6.6、PA6.T/6.10、PA6.T/6.12、PA10.T/6、PA10.T/11、PA10.T/12、PA8.T/6.T、PA8.T/66、PA8.T/8.I、PA8.T/8.6、PA8.T/6.I、PA10.T/6.T、PA10.T/6.6、PA10.T/10.I、PA10T/10.I/6.T、PA10.T/6.I、PA4.T/4.I/46、PA4.T/4.I/6.6、PA5.T/5.I、PA5.T/5.I/5.6、PA5.T/5.I/6.6、PA6.T/6.I/6.6、PA MXDA.6、PA IPDA.I、PA IPDA.T、PA MACM.I、PA MACM.T、PA PACM.I、PA PACM.T、PA MXDA.I、PA MXDA.T、PA6.T/IPDA.T、PA6.T/MACM.T、PA6.T/PACM.T、PA6.T/MXDA.T、PA6.T/6.I/8.T/8.I、PA6.T/6.I/10.T/10.1、PA6.T/6.I/IPDA.T/IPDA.I、PA6.T/6.I/MXDA.T/MXDA.I、PA6.T/6.I/MACM.T/MACM.I、PA6.T/6.I/PACM.T/PACM.I、PA6.T/10.T/IPDA.T、PA6.T/12.T/IPDA.T、PA6.T/10.T/PACM.T、PA6.T/12.T/PACM.T、PA10.T/IPDA.T、PA12.T/IPDA.T及びこれらのコポリマー及びこれらの混合物の中から選択される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
第1の滞留時間t1は、第2の滞留時間t2よりも長いか又は等しく、かつ第1のオリゴマー化温度OT1は、第2のオリゴマー化温度OT2より低いか又は等しい、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
第1の圧力p1は、第1のオリゴマー化温度OT1での水の飽和蒸気圧に一致し、かつ第2の圧力p2は、第2のオリゴマー化温度OT2での水の飽和蒸気圧より低い、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
テレフタルアミド単位又はイソフタルアミド単位を有する半芳香族ポリアミドは以前より公知であり、特に市場ではコポリアミドとして定着している。それに対して、部分結晶質又は非晶質の半芳香族のポリアミドの製造は、未だに技術的挑戦がなされていて、特に反応混合物の水分平衡及びそれと関連する、時間の関数としての温度管理及び圧力管理及び化学量論比の要求は通常ではない。これには、この方法に関して及びこの方法に必要な装備及び装置に関して比較的高い要求及び部分的に極端な要求が関連している。
【0003】
部分結晶質の半芳香族ポリアミドの場合にはこの温度管理が特に重要となる、というのも、しばしば必要となる比較的高い温度は、一方で副反応を生じさせ、他方では反応混合物又はその一部がそれでもなお固体として生じかねないためである。反応混合物の融点又は凝固点は、更に反応度の関数として変化し、かつ例えばオリゴマー段階でのブロック形成において、統計的に分布した、より高い分子量のポリアミドの融点又は凝固点を超えることがある。水又は他の小さな分子は、この場合溶剤として影響を及ぼすことがあるか又は融点降下剤として作用することができる。副反応は、特に、分枝及び/又は架橋及び/又は化学量論比の重大な変化を引き起こすことがある。
【0004】
非晶質の半芳香族ポリアミドの場合にはこの状況はより好都合である、というのもこの反応混合物は、通常の反応管理のために使用される温度よりも明らかに低い温度で初めて固体となり、それにより、方法及び装備に関して実際に低い要求が課せられるためである。
【0005】
部分結晶質又は非晶質の半芳香族ポリアミドの製造は、一般に複数の方法工程によって行う。第1の工程で、通常、使用されるモノマー(ジアミン、ジカルボン酸又はそれらの誘導体、アミノカルボン酸又はそのラクタム誘導体)を水の存在で流体の塩溶液又は分散液に変換し、この組成は、アミノ基及びカルボキシル基の化学量論的に当量にほぼ一致するか又は一致する。この溶解工程又は中和工程は、一般にバッチ式で通常の撹拌槽中で行う。これは、モノマー混合物をその組成に関して簡単な酸塩基滴定法の利用によって調査し、かつ場合により不足するアミン割合又は酸割合の添加により、アミノ基及びカルボキシル基のそれぞれ所定の比率に調節することができるという利点を有する。
【0006】
この溶解工程又は中和工程に関して、前縮合物又はオリゴマーの製造をおこなうことができ、その後に、場合により後続する反応工程で、より高い分子量の半芳香族ポリアミドが得られる。
【0007】
欧州特許(EP−B1)第0693515号明細書は、半芳香族ポリアミド又はコポリアミドの前縮合物を製造する方法を開示していて、この方法はバッチプロセスの基本的な利点を利用している。この方法のバッチ式(回分式)実施は、この場合、この方法の成果のために重要であると考えられる。多段階のバッチプロセスを記載していて、このバッチプロセスは、撹拌可能でかつ不活性化可能なオートクレーブ中での塩形成段階、第1の段階とは必ずしも同じである必要はない、水蒸気発生器と接続されているオートクレーブ中での反応段階、少なくとも10分間維持する定常段階、この前縮合物を後続するプロセス工程へ移す段階(この場合、所定の低い水蒸気圧力で反応器内容物の温度は融点より低く保たれ又は265℃を超えてはならない)及び搬出段階を有する。こうして得られた前縮合物は、融液状で又は固体で最終反応装置に供給することができる。280℃以上の融点を有する部分結晶質ポリアミド又はコポリアミドの、少なくとも1.6MPaの圧力下にある前縮合物バッチを、不活性化されたサイクロン又はスプレー塔又は同塔の装置中で噴霧して固体粒子の形で得て、場合により乾燥及び/又は粉砕し、再溶融後に適切な供給装置又は搬送装置で最終反応装置内へ供給することができる。この詳細に記載されていない最終反応装置に関しては単に、この装置が連続式に運転可能であることが述べられているが、このことは正確には説明されていない。
【0008】
独国特許第4142978号明細書は、少なくとも1種のコポリアミド保護層と少なくとも1種のコポリアミド遮断層からなる、再利用包装用の多層複合材系を記載していて、ここでは、使用されるコポリアミドの製造はバッチ(不連続)式で行われる。
【0009】
国際公開第2004/055084号は、部分結晶質の、熱塑性加工可能な、半芳香族コポリアミドを記載していて、このコポリアミドは、少なくとも次のモノマー又はその予備縮合物:a)テレフタル酸、b)少なくとも1種の、44個までの炭素原子を有する二量化された脂肪酸及びc)式H
2N−(CH
2)
x−NH
2の少なくとも1種の脂肪族ジアミン(式中、xは4〜18までの整数を意味する)の縮合により製造することができる。このコポリアミドの連続式の製造方法は記載されていない。
【0010】
このバッチプロセスは、一般に、生成物交換を極めて迅速にかつ多大な費用をかけずに行うことができるという利点を有する。完全連続式の方法とは反対に、このバッチプロセスは確かに高い柔軟性を可能にするという利点を有するが、達成可能な平均分子量に関しては制限がある。このような半芳香族ポリアミドの、構造に依ってたいていは極めて高い溶融粘度のために、融液をバッチ式オートクレーブから搬出し、後処理するために、この重縮合を極めて早い段階で中断しなければならない。
【0011】
この部分芳香族ポリアミドの平均分子量が比較的低い値に制限されることは、この場合、その機械特性、加工技術特性及び他の用途に重要な特性に好ましくない作用を及ぼす。
【0012】
バッチプロセスは、本質的に、運転開始過程及び運転停止過程、材料の導入及び搬出が、装置技術的平衡状態を生じさせず、従って、一定の製品品質を保証することが困難であるという欠点を有する。更に、バッチプロセス用の装置は、この装置をより高い処理量用にスケールアップする場合に大きなコスト削減にならないという欠点を有する。更に、経験的に、このバッチプロセスは比較的高い人員数で運転しなければならず、よってこのバッチプロセスは経済性に関して連続式プロセスと競合することは困難であるという欠点がある。
【0013】
この間に、これらの障害を回避するための多くの試みがなされた。公知の提案は、バッチ式又は連続式に実施される前縮合物製造又はプレポリマー製造と、この前縮合物又はプレポリマーから完成したポリマーを得る最終反応段階とを有する二段階の方法を適用することを含む。
【0014】
欧州特許第0410649号明細書及び米国特許第4,963,646号明細書は、上述の問題のいくつかを回避する方法を記載している。しかしながら、これらの方法は、押出機中で、2つの成分を正確に維持される、化学量論的に所定の量比で供給しなければならない点で、及び両方の成分の均質な混合の他に脱ガスを伴うその反応を引き受けなければならない点で、実現するのが困難である。これは、経済的に是認できる比較的短い滞留時間で、連続式押出機中では実際に達成できない。
【0015】
米国特許公開(US−A)第4,831,108号明細書及び米国特許公開(US−A)第5,098,940号明細書は、それぞれ、1つ以上の管型反応器、蒸気の形で分散されるポリマーの「分散段階」及び1つ以上の押出機を用いる手間のかかる連続式の方法を開示している。
【0016】
従って、本発明の基礎となる課題は、バッチプロセスの欠点を有しない、部分結晶質又は非晶質の、熱塑性加工可能な、半芳香族ポリアミドの前縮合物又はオリゴマーを製造する方法を提供することである。更に、本発明の基礎となる課題は、このオリゴマーを、熱塑性加工可能な成形材料の製造のために適した、より高い分子量のポリアミドに変換する方法を提供することである。
【0017】
意外にも、これらの課題は、連続式の方法で、ポリアミド形成するモノマーの水溶液を溶解温度又は貯蔵温度より高く加熱し、ここで、モノマーからポリアミドオリゴマーへの転化率が最大値を超えないように及び/又は生じるポリアミドオリゴマーが固体として相分離しないか又は自発的に晶出しないように、モノマー塩溶液のオリゴマー化反応器中での滞留時間を制限しかつ圧力又は水蒸気分圧を調節する場合に、解決されることが見出された。
【0018】
発明の概要
従って、本発明の主題は、ポリアミドオリゴマーの連続式の製造方法である。この方法は、ポリアミド形成するモノマーの水溶液を貯蔵容器からオリゴマー化反応器へ連続式に搬送すること、この水溶液を溶解温度又は貯蔵温度を超えて加熱すること、ここで、モノマーからポリアミドオリゴマーへの転化率が最大値を超えないように及び/又は生じるポリアミドオリゴマーが固体として相分離しないか又は自発的に晶出しないように、モノマー溶液のオリゴマー化反応器中での滞留時間を制限しかつ圧力又は水蒸気分圧を調節すること、並びに、このポリアミドオリゴマーをオリゴマー化反応器から連続式に搬出することを含む。これが、ポリアミドオリゴマーの連続式の製造を可能にするので、バッチサイズの制限、充填すること、反応容器を空にしかつ洗浄することよる時間的ロス、及び反応器内壁へ堆積物が形成する傾向のような回分式方法の典型的な欠点は回避される。
【0019】
この方法によって製造可能なポリアミドオリゴマーは、高い品質一貫性及び狭い分子量分布を特徴とする。
【0020】
本発明の他の主題は、ポリアミドオリゴマーから出発し、より高い分子量の、部分結晶質又は非晶質の、熱塑性加工可能なポリアミドを製造する方法である。この方法は、水及びポリアミドオリゴマーを含む混合物の連続式の準備とポリアミドオリゴマーからポリアミドへの後縮合とを含む。
【0021】
本発明の他の主題は、上述及び後述で定義されたような方法により得られる半芳香族ポリアミドの、好ましくは、電気部材及び電子部材の製造のため及び高温領域での自動車用途のための使用である。
【0022】
本発明の他の主題は、上述及び後述で定義されたような方法により得られる脂肪族ポリアミドの、フィルム、モノフィラメント、繊維、糸又は繊維布の製造のための使用である。
【0023】
発明の詳細な記載
ポリアミドの用語には、以後、ホモポリアミド及びコポリアミドが包括される。ポリアミドの名称には、本発明の範囲内で部分的に専門分野で通常の省略記号が使用され、この省略記号は、文字PA並びにそれに続く数字及び文字からなる。この省略記号のいくつかは、DIN EN ISO 1043-1に定義されている。H
2N−(CH
2)
z−COOHのタイプのアミノカルボン酸又は相応するラクタムから誘導されるポリアミドは、PAZと表され、この場合、Zはモノマー中の炭素原子の数を表す。よって、例えばPA6は、ε−カプロラクタム又はε−アミノカプロン酸のポリマーを表す。H
2N−(CH
2)
x−NH
2及びHOOC−(CH
2)
y−COOHのタイプのジアミン及びジカルボン酸から誘導されるポリアミドは、PAxyで表され、この場合、xはジアミン中の炭素原子の数を表し、yはジカルボン酸中の炭素原子の数を表す。コポリアミドの名称について、これらの成分は、斜線により隔てられた量割合の順序で記載される。よって、例えばPA66/610は、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸及びセバシン酸からのコポリアミドである。本発明により使用される、芳香族基又は脂環式基を有するモノマーについて、次の文字記号が使用される:T=テレフタル酸、I=イソフタル酸、MXDA=m−キシレンジアミン、IPDA=イソホロンジアミン、PACM=4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、MACM=2,2′−ジメチル−4,4′−メチレンビス−(シクロヘキシルアミン)。
【0024】
以後、「C
1〜C
4−アルキル」の表現は、非置換の直鎖及び分枝したC
1〜C
4−アルキル基を含む。C
1〜C
4−アルキル基の例は、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル(1,1−ジメチルエチル)である。
【0025】
次に挙げられる芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸及びモノカルボン酸において、カルボキシル基はそれぞれ、誘導化されていない形で又は誘導体の形で存在していてもよい。ジカルボン酸の場合、誘導体の形で存在しないか、一方のカルボキシル基又は両方のカルボキシル基が誘導体の形で存在することができる。適した誘導体は、無水物、エステル、酸塩化物、ニトリル及びイソシアナートである。好ましい誘導体は、無水物又はエステルである。ジカルボン酸の無水物は、モノマーの形で又はポリマーの形で存在することができる。好ましいエステルは、アルキルエステル及びビニルエステル、より好ましくはC
1〜C
4−アルキルエステル、最も好ましくはメチルエステル又はエチルエステルである。ジカルボン酸は、好ましくはモノアルキルエステル又はジアルキルエステルとして、より好ましくはモノ−C
1〜C
4−アルキルエステル又はジ−C
1〜C
4−アルキルエステルとして、最も好ましくはモノメチルエステル、ジメチルエステル、モノエチルエステル又はジエチルエステルとして存在する。ジカルボン酸は、更に好ましくは、モノビニルエステル又はジビニルエステルとして存在する。ジカルボン酸は、更に好ましくは、混合型のエステルとして、より好ましくは多様なC
1〜C
4−アルキル成分との混合型のエステルとして、最も好ましくはメチルエチルエステルとして存在する。
【0026】
本発明による方法により製造されたポリアミドは、一方で、このポリマーがアミド基の完全な加水分解を受けた際に分解される構成単位によって記載することができる。次に、一般式(I)のこうして得られる構成単位の定義の際に、アミド基だけが加水分解により分解されることを前提とする。エステル及びアミジン基は加水分解されずに残る。このポリアミドの定義は、使用されたモノマーによる次の別に示す定義とは同じではない、というのも、この後者の別の定義の場合、副反応により生じる構造を適切に記載できないためである。
【0027】
好ましくは、本発明による方法により製造可能なポリアミドは、アミド基だけが加水分解により分解する際に、次の式(I)
【化1】
【0028】
[式中、
A1は、非置換又は置換されたモノカルボン酸又はその誘導体から誘導される単位を表し、
A2は、非置換又は置換されたジカルボン酸又はその誘導体から誘導される単位を表し、
AXは、2より大きいカルボキシル官能価を有する化合物から誘導される単位を表し、
B1は、単官能性アミンから誘導される単位を表し、
B2は、ジアミンから誘導される単位を表し、
B3は、トリアミンから誘導される単位を表し、
BYは、3より大きいアミノ官能価を有する化合物から誘導される単位を表し、
ABは、アミノカルボン酸から誘導される単位を表し、
A2Bは、アミノジカルボン酸から誘導される単位を表し、
AXBYは、アミノ基及びカルボキシル基を有する化合物から誘導され、ここで、官能価X+Yは2より大である単位を表し、
ただし、添え字の合計a1+b1+a2+b2+b3+ax+by+ab+a2b+axbyが100mol%になる]の組成を生じる。
【0029】
分子の基本単位中のコポリアミドの組成は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、モノアミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミン並びに場合により二官能性又は多官能性アミノカルボン酸を含む。本発明の範囲内で、官能基として酸性のカルボキシル基から誘導される分子の基本単位について「A」を使用し、官能基として塩基性のアミノ基から誘導される分子の基本単位について「B」を使用する。本発明の範囲内で、アミノ基Bの場合、第1級アミン(NH
2)と第2級アミン(NH)とは区別しない。
【0030】
単位A1を誘導する適切な及び好ましいモノカルボン酸について、次に定めるモノカルボン酸E)が関連する。単位A2を誘導する適切な及び好ましい非置換又は置換されたジカルボン酸又はその誘導体について、次に定めるジカルボン酸A)及びC)及びその誘導体が関連する。単位AXを誘導する適切な及び好ましい2より大きいカルボキシル官能価を有する化合物について、次に定める化合物K)が関連する。単位B1を誘導する適切な及び好ましい単官能性アミンについて、次に定めるモノアミンF)が関連する。単位B1を誘導する適切な及び好ましいジアミンについて、次に定めるジアミンB)及びD)が関連する。単位B3を誘導する適切な及び好ましいトリアミンについて、次に定めるトリアミンG)が関連する。単位BYを誘導する適切な及び好ましい3価より高いアミンについて、次に定める多価アミンG)が関連する。単位ABを誘導する適切な及び好ましい高級アミノカルボン酸について、次に定めるアミノカルボン酸I)及びラクタムH)が関連する。単位A2Bを誘導する適切な及び好ましいアミノジカルボン酸について及び単位AXBYを誘導する多価化合物について、次に定める化合物K)が関連する。
【0031】
本発明による半芳香族ポリアミドの反応の観点、末端基の観点及び化学量論の観点を記載するために、官能価指数(Funktionalitaetskennzahlen)を取り入れる。この場合、それぞれのフラグメントのモル割合は、それぞれ平衡をとるべき官能価で重みづけされる。定義に従って、酸指数n
funct.Aは、a1+2a2+F
ax.axax+ab+2a2b+F
ax.axbyaxby=n
funct.Aであり、アミン指数n
funct.Bは、b1+2b2+3b3+F
by.byby+ab+a2b+F
by.axbyaxby=n
funct.Bであり、ここで、それ自体が異なる種の混合物であることができるAX、BY及びAXBYについては、それぞれの該当する基のそれぞれの平均官能価Fを前係数(Vorfaktor)として使用し、ここで、
【0032】
【数1】
【0033】
であり、n
AX、n
BY及びn
AXBYは、それぞれのフラグメントのモル割合を表し、jは、個々のフラグメントを連番付けする経過変数であり、この経過変数は1から多様なフラグメント種の数までの整数値をとり、f
AXは、それぞれのフラグメントAXのカルボキシル基官能価を表し、f
BYは、それぞれのフラグメントBYのアミノ基官能価を表し、f
AX.AXBYは、それぞれのフラグメントAXBYのカルボキシル基官能価を、f
BY.AXBYは、それぞれのフラグメントAXBYのアミノ基官能価を示す。同様に、一般化された官能価f
A+Bも、それぞれの種について又はモルで重みづけされた混合物についても定義することができ、この場合、任意の種についてアミノ基及びカルボキシル基は一緒に扱われる。
【0034】
この場合、化学量論比の重縮合生成物について、n
funct.A=n
funct.Bが通用し、カルボニル基及びアミノ基のモル分率xは両方とも0.5の値をとる。
【数2】
【0035】
しかしながら、本発明による半芳香族コポリアミドは、化学量論比から確かに相違して得られてもよい。特に、混合物中に官能価f
A+B>2の種が含まれている場合には、化学量論比から相違し、分子量増加の際に転化の制限を行い、及び/又はf
A+B=1の単官能性の種を適切な範囲内で使用することも、本発明の場合でありかつ好ましい。
【0036】
本発明によるコポリアミドは、複数の好ましい形態で実現することができる。つまり、基本的に上記の分子の基本単位のそれぞれは、分子の種を含まないか、1つの分子の種を含むか複数の異なる分子の種を含むことができる。例えば、ポリアミドにおいて、二酸成分A2は、所定の割合のテレフタル酸、他の割合のイソフタル酸及び更に他の割合のアジピン酸からなることができる。更に、例えば一酸成分A1は、所定の割合のプロピオン酸と、副反応において脱カルボニルされた僅かな割合のジカルボン酸とからなることができる。
【0037】
本発明による半芳香族コポリアミドの組成を、化学的に正確な形態の観点で記載するために、一般式
【化2】
は、官能価に応じてそれぞれの化学種を定義し、かつそれに所属する高い位置の添え字を化学組成変数として導入できるように拡張される。これらの組成変数は、各分子の基本単位について、合計で100mol%となり、かつ低い位置の添え字に対して係数として作用する。
【0038】
上述の定義はポリマーの例に関して説明し、ここで、アミド基だけの完全な加水分解が前提とされている。
【0039】
フラグメントとして、次のものが挙げられる:
プロピオン酸 0.6mol%
安息香酸 0.2mol%
ヘキサ−5−エン−1−アミン(NH
3を除去したHMD)0.0235mol%
ドデカ−11−エン−1−アミン(NH
3を除去したDDD)0.0075mol%
(1,5,5−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)メタンアミン(NH
3を除去したIPD)0.0075mol%
アゼパン(環式HMD)0.0075モル%
アザシクロトリデカン(環式DDD)0.004mol%
テレフタル酸 32.13mol%
イソフタル酸 13.77mol%
ヘキサン−1,6−ジアミン(HMD)41.4mol%
ドデカン−1,12−ジアミン(DDD)3.68mol%
3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサンアミン(IPD)0.897mol%
他のジアミン 0.023mol%
N′−(6−アミノヘキシル)ヘキサン−1,6−ジアミン(HMD二量体トリアミン)1.491mol%
N′−(6−アミノヘキシル)ドデカン−1,12−ジアミン(HMD−DDDトリアミン)0.588mol%
N′−(12−アミノドデシル)ドデカン−1,12−ジアミン(DDD二量体トリアミン)0.0126mol%
他のトリアミン0.0084mol%
アゼパン−2−オン(カプロ)5.145mol%
4−[(Z)−N−(6−アミノヘキシル)−C−ヒドロキシ−カルボンイミドイル]−安息香酸のようなアミジン二酸(PTA−HMDアミジン)0.005mol%。
【0040】
これには次の式(I)が対応する:
【化3】
又は
【化4】
【0041】
ただし、プロピオン酸A1.1、安息香酸A1.2、ヘキサ−5−エン−1−アミンB1.1、ドデカ−11−エン−1−アミンB1.2(1,5,5−トリメチルシクロヘキセン−1−イル)メタンアミンB1.3、アゼパンB1.4、アザシクロトリデカンB1.5、テレフタル酸A2.1、イソフタル酸A2.2、ヘキサン−1,6−ジアミンB2.1、ドデカン−1,12−ジアミンB2.2、3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサンアミンB2.3、N′−(6−アミノヘキシル)ヘキサン−1,6−ジアミンB3.1、N′−(6−アミノヘキシル)ドデカン−1,12−ジアミンB3.2、N′−(12−アミノドデシル)ドデカン−1,12−ジアミンB3.3、アゼパン−2−オンAB.1、ここで、具体的には定義されていない種(例えば他のジアミン、他のトリアミン及びアミジン二酸)は省かれていているが、これらはそれぞれ定義に従う合計の100mol%に対する差によって示されている。
【0042】
PA−AB
100|は、つまり、副反応なしの、厳密に線状の、末端基調節されていないポリアミドを表し;これは例えばPA−6、PA−12又はPA−6/12コポリマーであることができる。PA−AB
99|は、少なくとも99mol%が厳密に線状の単位を有し、かつ1mol%が、他の任意のアミド結合した単位(A1、B1、A2、B2、B3、AX、BY、AB、A2B、AXBY)を含むことができる。PA−AB
100AB.1
99|(ただし、AB.1=アザシクロトリデカン−2−オン)は、副反応なしの、厳密に線状の、末端基調節されていないポリアミドであり;少なくとも99mol%が、PA−12単位を有し、1mol%が、他の任意のAB単位、つまりアゼパン−2−オンを有する。
【0043】
本発明の一実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、主要な割合について、2種だけフラグメント種、つまりPA−A2
a2|B2
b2|を含み、ここでa2+b2>90mol%、好ましくはa2+b2>95mol%、特に好ましくはa2+b2>98mol%である。本発明による一実施態様の場合に、主要な割合について、1つの種のA2だけが使用される。本発明の他の実施態様の場合に、主要な割合について、2つの種のA2だけが使用される。本発明の他の実施態様の場合に、主要な割合について、3つの種のA2が使用される。本発明の他の実施態様の場合に、4つ以上の種のA2が使用される。本発明の一実施態様の場合に、主要な割合について、1つの種のB2だけが使用される。本発明の他の実施態様の場合に、主要な割合について、2つの種のB2だけが使用される。本発明の他の実施態様の場合に、主要な割合について、3つの種のB2が使用される。本発明の他の実施態様の場合に、4つ以上の種のB2が使用される。本発明の一実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、2つ以上のA2種を含むが、主に1つのB2種だけを含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、2つ以上のB2種を含むが、主に1つのA2種だけを含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、2つ以上のA2種を含み、かつ2つ以上のB2種も含む。
【0044】
本発明の一実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、主要な割合について、3種だけのフラグメント種PA−A2
a2|B2
b2|AB
abを含み、ここでa2+b2+ab>90mol%、好ましくはa2+b2+ab>95mol%、特に好ましくはa2+b2+ab>98mol%である。本発明の一実施態様の場合に、a2+b2>ab/2が当てはまる。ポリアミド中のA2+B2繰返単位は、2つのアミド基を有し、AB繰返単位は1つのアミド基を有するため、ポリアミド中の4つの特性について、A2+B2ペアと同様に、それぞれ2つのAB繰返単位を考慮しなければならない。次に、補助値としてφ=(a2+b2)/(a2+b2+ab/2)を定義する場合、φについて、本発明の一実施態様の場合には0.65<φが通用し、2つの好ましい実施態様の場合には0.65<φ<0.75又は0.85<φが通用し、2つの特に好ましい実施態様の場合には0.68<φ<0.72又は0.95<φが通用する。本発明の一実施態様の場合に、AB種の他に、主要な割合について1つの種のA2だけが使用される。本発明の他の実施態様の場合に、AB種の他に、主要な割合について2つの種のA2だけが使用される。本発明の他の実施態様の場合に、AB種の他に、主要な割合について3つの種のA2が使用される。本発明の他の実施態様の場合に、AB種の他に、4つ以上の種のA2が使用される。本発明の一実施態様の場合に、AB種の他に、主要な割合について1つの種のB2だけが使用される。本発明の他の実施態様の場合に、AB種の他に、主要な割合について2つの種のB2だけが使用される。本発明の他の実施態様の場合に、AB種の他に、主要な割合について3つの種のB2が使用される。本発明の他の実施態様の場合に、AB種の他に、4つ以上の種のB2が使用される。本発明の一実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、AB種の他に、2つ以上のA2種を含むが、主に1つのB2種だけを含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、AB種の他に、2つ以上のB2種を含むが、主に1つのA2種だけを含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、AB種の他に、2つ以上のA2種を含み、かつ2つ以上のB2種も含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、1つのAB種、1つのA2種及び1つのB2種を含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリマーは、1つのAB種、2つ以上のA2種及び1つのB2種を含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、1つのAB種、1つのA2種及び2つ以上のB2種を含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、2つ以上のAB種、1つのA2種及び1つのB2種を含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、2つ以上のAB種、2つ以上のA2種及び1つのB2種を含む。本発明の別の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、2つ以上のAB種、1つのA2種及び2つ以上のB2種を含む。本発明の他の実施態様の場合に、本発明による半芳香族コポリアミドは、2つ以上のAB種、2つ以上のA2種及び2つ以上のB2種を含む。
【0045】
一実施態様の場合に、ポリマーは、主要な割合について、官能価f
A+B=2(A2,B2,AB)のフラグメント種を含むが、既に有意の割合の単官能性の種f
A+B=1(A1,B1)を含む。
【0046】
一実施態様の場合に、ポリマーは、主要な割合について、官能価f
A+B=2(A2,B2,AB)のフラグメント種を含むが、既に有意の割合の三官能性の種f
A+B=3(B3,A2B,…)を含む。
【0047】
一実施態様の場合に、ポリマーは、主要な割合について、官能価f
A+B=2(A2,B2,AB)のフラグメント種を含むが、既に有意の割合の単官能性の種f
A+B=1(A1,B1)も、三官能性の種f
A+B=3(B3,A2B,…)も含む。
【0048】
一実施態様の場合に、ポリマーは、主要な割合について、官能価f
A+B=2(A2,B2,AB)のフラグメント種を含むが、既に有意の割合の単官能性の種f
A+B=1(A1,B1)も、多官能性の種f
A+B>2も含む。
【0049】
上述の定義とは無関係に、本発明による方法により製造されたポリアミドは、その製造のために使用されたモノマーによっても記載することができる。本発明による方法の第1工程において、ポリアミド形成するモノマー、つまりポリアミド形成のために適したモノマーを少なくとも1種含む水溶液を準備する。好ましくは、ポリアミド形成するモノマーは、次の
A) 非置換の又は置換された芳香族ジカルボン酸及び非置換の又は置換された芳香族ジカルボン酸の誘導体、
B) 非置換の又は置換された芳香族ジアミン、
C) 脂肪族又は脂環式ジカルボン酸、
D) 脂肪族又は脂環式ジアミン、
E) モノカルボン酸、
F) モノアミン、
G) 少なくとも3価のアミン、
H) ラクタム、
I) ω−アミノ酸、及び
K) A)〜I)とは異なる、これらと共縮合可能な化合物
の中から選択される。
【0050】
本発明の好ましい実施態様の場合に、ポリアミド形成するモノマーは、PAZ1Z2タイプ(例えばPA66)の脂肪族ポリアミドの形成のために適している。このためには、成分C)又はD)の少なくとも1つが存在しなければならず、かつ成分A)及びB)は存在してはならないという条件が当てはまる。PAZタイプ(例えばPA6又はPA12)の脂肪族ポリアミドについては、少なくとも成分H)が存在しなければならないという条件が当てはまる。
【0051】
本発明の好ましい実施態様の場合に、ポリアミド形成するモノマーは、半芳香族ポリアミドの形成のために適している。このためには、成分A)及びB)の少なくとも1つと、成分C)及びD)の少なくとも1つとが存在しなければならないという条件が当てはまる。
【0052】
芳香族ジカルボン酸A)は、好ましくは、それぞれ非置換又は置換された、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はジフェニルジカルボン酸、並びに上述の芳香族ジカルボン酸の誘導体及び混合物の中から選択される。
【0053】
置換された芳香族ジカルボン酸A)は、好ましくは少なくとも1個のC
1〜C
4−アルキル基を有する。特に好ましくは、置換された芳香族ジカルボン酸A)は、1又は2個のC
1〜C
4−アルキルを有する。これらは、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、より好ましくはメチル、エチル及びn−ブチル、更により好ましくはメチル及びエチル、殊にメチルの中から選択される。置換された芳香族ジカルボン酸A)は、アミド形成を妨害しない他の官能基を有していてもよく、例えば5−スルホイソフタル酸、その塩及び誘導体であることができる。この中で5−スルホイソフタル酸ジメチルエステルのナトリウム塩が好ましい。
【0054】
好ましくは、芳香族ジカルボン酸A)は、非置換のテレフタル酸、非置換のイソフタル酸、非置換のナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸及び5−スルホイソフタル酸の中から選択される。特に、芳香族ジカルボン酸A)として、テレフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸とイソフタル酸との混合物を使用するのが好ましい。
【0055】
好ましくは、この水溶液は、全てのジカルボン酸を基準として少なくとも50mol%、特に好ましくは70mol%〜100mol%の割合の芳香族ジカルボン酸を有する。本発明の好ましい実施態様の場合に、この水溶液は、全てのジカルボン酸を基準として、少なくとも50mol%、好ましくは70mol%〜100mol%の割合のテレフタル酸又はイソフタル酸又はテレフタル酸とイソフタル酸との混合物を有する。
【0056】
芳香族ジアミンB)は、好ましくはビス−(4−アミノフェニル)−メタン、3−メチルベンジジン、2,2−ビス−(4−アミノフェニル)−プロパン、1,1−ビス−(4−アミノフェニル)−シクロヘキサン、1,2−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,3−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミン、N,N′−ジメチル−4,4′−ビフェニルジアミン、ビス−(4−メチルアミノフェニル)−メタン、2,2−ビス−(4−メチルアミノフェニル)−プロパン又はこれらの混合物の中から選択される。特に好ましくは、芳香族ジアミンとしてm−キシリレンジアミンが使用される。
【0057】
脂肪族又は脂環式ジカルボン酸C)は、好ましくは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−1,11−ジカルボン酸、ドデカン−1,12−ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸又はイタコン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸、並びにこれらの混合物の中から選択される。
【0058】
脂肪族又は脂環式ジアミンD)は、好ましくは、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,8−オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、5−メチルノナンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、及びこれらの混合物の中から選択される。
【0059】
特に好ましくは、ジアミンD)は、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、及びこれらの混合物の中から選択される。
【0060】
本発明の好ましい実施態様の場合に、水溶液は、ヘキサメチレンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン(PACM)、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)、イソホロンジアミン(IPDA)及びこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種のジアミンD)を含む。特に好ましい実施態様の場合に、水溶液はジアミンD)として専らヘキサメチレンジアミンを含む。他の特に好ましい実施態様の場合に、水溶液はジアミンD)として専らビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンを含む。他の特に好ましい実施態様の場合に、水溶液はジアミンD)として専ら3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)を含む。他の特に好ましい実施態様の場合に、水溶液はジアミンD)として専らイソホロンジアミン(IPDA)を含む。
【0061】
脂肪族又は半芳香族ポリアミドオリゴマーを製造するための水溶液は、少なくとも1種のモノカルボン酸E)を含むことができる。この場合、モノカルボン酸E)は、本発明により製造されるポリアミドオリゴマーを末端キャップするために利用される。基本的に、ポリアミド縮合の反応条件下で提供されるアミノ基の少なくとも一部と反応することができる全てのモノカルボン酸が適している。適切なモノカルボン酸E)は、脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸及び芳香族モノカルボン酸である。これには、酢酸、プロピオン酸、n−、イソ−又はtert−酪酸、吉草酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバル酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、メチル安息香酸、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、大豆、亜麻、トウゴマ及びヒマワリ由来の脂肪酸、アクリル酸、メタクリル酸、第三級飽和モノカルボン酸(例えばバーサチック酸(Versatic(登録商標)-Saeuren)Royal Dutch Shell plc社)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
モノカルボン酸E)として不飽和カルボン酸又はその誘導体を使用する場合、水溶液は市販の重合禁止剤を添加するのが合目的である。
【0063】
より好ましくは、モノカルボン酸E)は、酢酸、プロピオン酸、コハク酸又はこれらの混合物の中から選択される。特に全く好ましい実施態様の場合に、水溶液はモノカルボン酸E)として専ら酢酸を含む。更に特に全く好ましい実施態様の場合に、水溶液はモノカルボン酸E)として専らプロピオン酸を含む。更に特に全く好ましい実施態様の場合に、水溶液はモノカルボン酸E)として専ら安息香酸を含む。
【0064】
脂肪族又は半芳香族ポリアミドオリゴマーを製造するための水溶液は、少なくとも1種のモノアミンF)を含むことができる。この場合、脂肪族又は半芳香族ポリアミドオリゴマーを製造するための溶液は、脂肪族モノアミン又は脂環式モノアミンだけを含む。この場合に、モノアミンF)は、本発明により製造されたポリアミドオリゴマーを末端キャップするために利用される。基本的に、ポリアミド縮合の反応条件下で、提供されるカルボン酸基の少なくとも一部と反応することができる全てのモノアミンが適している。適切なモノアミンF)は、脂肪族モノアミン、脂環式モノアミン及び芳香族モノアミンである。これには、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
脂肪族又は半芳香族ポリアミドオリゴマーを製造するための水溶液は、付加的に、少なくとも1種の少なくとも3価のアミンG)を含むことができる。これには、N′−(6−アミノヘキシル)ヘキサン−1,6−ジアミン、N′−(12−アミノドデシル)−ドデカン−1,12−ジアミン、N′−(6−アミノヘキシル)ドデカン−1,12−ジアミン、N′−[3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシル]ヘキサン−1,6−ジアミン、N′−[3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシル]ドデカン−1,12−ジアミン、N′−[(5−アミノ−1,3,3−トリメチル−シクロヘキシル)メチル]ヘキサン−1,6−ジアミン、N′−[(5−アミノ−1、3、3−トリメチル−シクロヘキシル)メチル]ドデカン−1,12−ジアミン、3−[[[3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシル]アミノ]メチル]−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサンアミン、3−[[(5−アミノ−1,3,3−トリメチル−シクロヘキシル)メチルアミノ]メチル]−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサンアミン、3−(アミノメチル)−N−[3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシル]−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサンアミンが含まれる。好ましくは、少なくとも3価のアミンG)は使用されない。
【0066】
適切なラクタムH)は、ε−カプロラクタム、2−ピペリドン(δ−バレロラクタム)、2−ピロリドン(γ−ブチロラクタム)、カプリルラクタム、エナントラクタム、ラウリルラクタム及びこれらの混合物である。
【0067】
適切なω−アミノ酸I)は、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸及びこれらの混合物である。
【0068】
A)〜I)とは異なるものであって、これらと共縮合可能な適切な化合物K)は、少なくとも3価のカルボン酸、ジアミノカルボン酸などである。
【0069】
適切な化合物K)は、更に、4−[(Z)−N−(6−アミノヘキシル)−C−ヒドロキシ−カルボンイミドイル]安息香酸、3−[(Z)−N−(6−アミノヘキシル)−C−ヒドロキシ−カルボンイミドイル]安息香酸、(6Z)−6−(6−アミノヘキシルイミノ)−6−ヒドロキシ−ヘキサンカルボン酸、4−[(Z)−N−[(5−アミノ−1,3,3−トリメチル−シクロヘキシル)メチル]−C−ヒドロキシ−カルボンイミドイル]安息香酸、3−[(Z)−N−[(5−アミノ−1,3,3−トリメチル−シクロヘキシル)メチル]−C−ヒドロキシ−カルボンイミドイル]安息香酸、4−[(Z)−N−[3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシル]−C−ヒドロキシ−カルボンイミドイル]安息香酸、3−[(Z)−N−[3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシル]−C−ヒドロキシ−カルボンイミドイル]安息香酸及びこれらの混合物である。
【0070】
本発明の好ましい実施態様の場合に、本発明による方法は脂肪族ポリアミドオリゴマーの製造のために用いられる。
【0071】
このポリアミドは、好ましくは、PA4、PA5、PA6、PA7、PA8、PA9、PA10、PA11、PA12、PA46、PA66、PA666、PA69、PA610、PA612、PA96、PA99、PA910、PA912、PA1212、並びにこれらのコポリマー及び混合物の中から選択される。特に、この脂肪族ポリアミドは、PA6、PA66又はPA666であるのが好ましく、特に全く好ましくはPA6である。
【0072】
本発明の他の好ましい実施態様の場合に、本発明による方法は半芳香族ポリアミドの製造のために用いられる。好ましくは、このポリアミドは、PA6.T、PA9.T、PA8.T、PA10.T、PA12.T、PA6.I、PA8.I、PA9.I、PA10.I、PA12.I、PA6.T/6、PA6.T/10、PA6.T/12、PA6.T/6.I、PA6.T/8.T、PA6.T/9.T、PA6.T/10T、PA6.T/12.T、PA12.T/6.T、PA6.T/6.I/6、PA6.T/6.I/12、PA6.T/6.I/6.10、PA6.T/6.I/6.12、PA6.T/6.6、PA6.T/6.10、PA6.T/6.12、PA10.T/6、PA10.T/11、PA10.T/12、PA8.T/6.T、PA8.T/66、PA8.T/8.I、PA8.T/8.6、PA8.T/6.I、PA10.T/6.T、PA10.T/6.6、PA10.T/10.I、PA10T/10.I/6.T、PA10.T/6.I、PA4.T/4.I/46、PA4.T/4.I/6.6、PA5.T/5.I、PA5.T/5.I/5.6、PA5.T/5.I/6.6、PA6.T/6.I/6.6、PA MXDA.6、PA IPDA.I、PA IPDA.T、PA MACM.I、PA MACM.T、PA PACM.I、PA PACM.T、PA MXDA.I、PA MXDA.T、PA6.T/IPDA.T、PA6.T/MACM.T、PA6.T/PACM.T、PA6.T/MXDA.T、PA6.T/6.I/8.T/8.I、PA6.T/6.I/10.T/10.I、PA6.T/6.I/IPDA.T/IPDA.I、PA6.T/6.I/MXDA.T/MXDA.I、PA6.T/6.I/MACM.T/MACM.I、PA6.T/6.I/PACM.T/PACM.I、PA6.T/10.T/IPDA.T、PA6.T/12.T/IPDA.T、PA6.T/10.T/PACM.T、PA6.T/12.T/PACM.T、PA10.T/IPDA.T、PA12.T/IPDA.T、並びにこれらのコポリマー及び混合物の中から選択される。特に好ましくは、ポリアミドは、PA6.T、PA9.T、PA10.T、PA12.T、PA6.I、PA9.I、PA10.I、PA12.I、PA6.T/6.I、PA6.T/6、PA6.T/8.T、PA6.T/10T、PA10.T/6.T、PA6.T/12.T、PA12.T/6.TPAIPDA.I、PA IPDA.T、PA6.T/IPDA.T、PA6.T/6.I/IPDA.T/IPDA.I、PA6.T/10.T/IPDA.T、PA6.T/12.T/IPDA.T、PA6.T/10.T/PACM.T、PA6.T/12.T/PACM.T、PA10.T/IPDA.T、PA12.T/IPDA.T、並びにこれらのコポリマー及び混合物の中から選択される。
【0073】
本発明による方法は複数の工程を有し、例えば貯蔵容器としての1つ以上の温度制御可能でかつ不活性化可能なオートクレーブから、水含有のモノマー溶液を連続式に搬送することで開始される。水含有のモノマー溶液自体の準備は、温度制御可能でかつ不活性化可能なバッチ槽中で行うことができ、このバッチ槽は好ましくは撹拌又はポンプ循環できる。基本的に、水含有のモノマー溶液の準備は、混合エレメントを備えた適切な流動装置中で連続式に行うこともできる。
【0074】
このモノマー溶液の準備のために、ほぼ当モル量のジカルボン酸とジアミンとを使用することができ、ここで、半芳香族ポリアミドオリゴマーの製造のために、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸が含まれていなければならない。場合により、定義された過剰量のジアミン又はジカルボン酸を含めた、所望の組成の検査は、簡単な酸/塩基滴定によって行うことができ、水含有の混合物は、場合により不足する酸割合又はアミン割合の適切な計量供給によって所望の組成に調節することができる。
【0075】
モノマー及び水に対して付加的に、このモノマー溶液は他の成分を含むことができる。これらは、好ましくは、触媒、鎖長調節剤、用途に応じた添加剤及びこれらの混合物の中から選択される。適切な添加剤は、防炎剤、無機及び有機の安定剤、滑剤、着色剤、成核剤、金属顔料、金属フレーク、金属被覆された粒子、耐電防止剤、導電性添加剤、離型剤、蛍光増白剤、消泡剤、充填剤及び/又は強化剤などである。
【0076】
ポリアミドオリゴマーの本発明による製造のために、少なくとも1種の触媒を使用することができる。適切な触媒は、好ましくは、無機及び/又は有機のリン化合物、スズ化合物又は鉛化合物及びこれらの混合物の中から選択される。
【0077】
触媒として適したスズ化合物は、例えば、酸化スズ(II)、水酸化スズ(II)、1価又は多価カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)−ジベンゾアート、スズ(II)−ジ(2−エチルヘキサノアート)、スズ(II)−オキサラート、ジブチルスズオキシド、ブチルスズ酸(C
4H
9−SnOOH)、ジブチルスズジラウラートなどである。適した鉛化合物は、例えば酸化鉛(II)、水酸化鉛(II)、酢酸鉛(II)、塩基性酸化鉛(II)、炭酸鉛(II)などである。
【0078】
好ましい触媒は、リン化合物、例えばリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸及び/又はNa、K、Mg、Ca、Zn又はAlのような1価〜3価のカチオンとのこれらの塩及び/又はこれらのエステル、例えばトリフェニルホスファート、トリフェニルホスフィット又はトリ(ノニルフェニル)ホスフィットである。特に触媒として、次亜リン酸及びこの塩、例えば次亜リン酸ナトリウムが好ましい。
【0079】
好ましくは、これらの触媒は、準備されたモノマー溶液の全質量を基準として、0.005〜2.5質量%の量で使用される。
【0080】
特に好ましくは、次亜リン酸及び/又は次亜リン酸の塩は、ポリアミド形成のために適した成分(=成分A)〜K))の全体量を基準として50〜1000ppm、特に好ましくは100〜500ppmの量で使用される。
【0081】
ラクタムの開環重合は、触媒を使用せずに加水分解によるだけで行うことができる。活性化されたアニオン性ラクタム重合の場合には、ラクタムアニオンの形成を可能にする触媒を使用する。適切な触媒及び活性剤は、当業者に公知である。アミノニトリルの重縮合、例えば6−アミノカプロニトリル(ACN)からのポリアミド6の製造は、TiO
2のような不均一系触媒の存在で実施することができる。
【0082】
分子量の調節のために、少なくとも1種の鎖長調節剤を使用することができる。適切な鎖長調節剤は、既にポリアミド形成のために適した成分に挙げられたモノカルボン酸A)及びモノアミンF)である。好ましくは、この鎖長調節剤は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン酸、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオ)酢酸、3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン酸、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3−(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−アミン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−アミン、4−アミノ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール及びこれらの混合物の中から選択される。アミノ基又は酸基と反応することができる他の単官能性化合物、例えば無水物、イソシアナート、酸ハロゲン化物又はエステルを調節剤として使用することもできる。分子量を調節するために、ジアミン成分又は二酸成分を化学量論的過剰で使用することもできる。この種の適切な鎖長調節剤は、ヘキサメチレンジアミンである。鎖長調節剤の通常の使用量は、ポリアミドオリゴマー1kg当たり5〜500mmol、好ましくはポリアミドオリゴマー1kg当たり10〜200mmolの範囲内にある。
【0083】
所望の場合に、モノマー溶液には、触媒及び鎖長調節剤とは異なる他の添加剤が添加されていてもよい。
【0084】
このモノマー溶液に既に特別に添加することができる添加剤には、例えば酸化防止剤、光保護剤、通常の加工助剤、成核剤及び結晶化促進剤が挙げられる。それに対して、充填剤及び強化剤は、好ましくは最終的な後重合の前及び/又はその間に添加される。よって、これらは、例えば本発明によるポリアミドオリゴマーに後重合の際に押出機又はニーダー中で添加することができる。
【0085】
モノマー溶液の準備を撹拌槽中で行う場合には、好ましくは所定の量の水を装入し、記載されたアミン化合物及びカルボン酸化合物を適切な順序で、生じる中和熱が利用できかつ導入時に及び攪拌機にできる限り少ない固体凝集が生じるように供給する。場合により、記載されたアミン化合物及びカルボン酸化合物の添加と共に又は添加の後に、更に水を供給するか、又は出発化合物の1種以上をそれ自体既に水溶液として供給することができる。
【0086】
このモノマー溶液は、水及び記載されたポリアミド形成するモノマーの合計を基準として、特に5〜95質量%の水を含むことができる。他の本発明による方法において、それぞれの水収支の制御が特に重要となるので、溶解工程での含水量を正確に調節することが合目的である。この含水量は、後続する本発明による重縮合方法での水の取り出しの際に、不必要なエネルギー損失が生じないように低いことが好ましい。その逆に、この含水量は、溶解工程で出発化合物を完全に溶解して、流体状で搬送可能な混合物にするように高いことが好ましい。この場合、水溶液は、溶解工程の完了時に好ましくは透明な溶液である。この溶液は、出発配合物の組成に応じて、本来の溶液がまだ、懸濁液又はエマルションの意味範囲で相分離した割合を含むことにより、定義された組成の搬送可能な不透明の流体であってもよい。しかしながら、特に、透明で澄んだ溶液であるのが好ましい。
【0087】
この溶液は、水15〜55質量%を含む場合が好ましい。特に、しばしば水18〜40質量%が好ましく、水20〜30質量%が特に全く好ましい。
【0088】
モノマー溶液の準備を撹拌槽中で行う場合には、これを出発化合物の導入及び不活性化後に、好ましくは90℃〜220℃、特に好ましくは100℃〜160℃、特に全く好ましくは120℃〜140℃の温度で溶解させる。この場合、通常の水蒸気分圧が生じる。所定の温度でのモノマー溶液の圧力は、純水の圧力と比べて、モノマー塩の電解質効果によって僅かに低下されていてもよい。他方で、この圧力は、他の揮発性成分、例えばアルコールの存在で、この蒸気分圧の分だけ高まることもできる。
【0089】
水18〜35質量%を有する溶液は、100℃〜160℃の温度で、特に0.1MPa〜0.6MPaの圧力を有する。220℃までの温度で、圧力は、特に2.3MPaまでの圧力を生じる。特に140℃を超える温度では、この溶解工程を、場合により低分子量のオリゴマーを生じる部分的前反応下で行うこともできる。
【0090】
モノマー溶液の準備を撹拌槽中で行う場合には、この溶解時間は、加熱過程の速度及び場合により出発化合物の粒度分布及び/又は極性及び/又は溶融温度に著しく依存する。
【0091】
15〜55質量%の含水量の場合、上述の温度及び圧力で、撹拌下で、適切な、流体で搬送可能でかつ数時間貯蔵安定のモノマー溶液が、特に5〜120分後に、たいていは10〜60分後に得られる。
【0092】
モノマー溶液の準備を撹拌槽中で行う場合には、槽内容物の溶解工程の完了後に貯蔵容器に移すのが好ましい。
【0093】
モノマー溶液の準備を、バッチ式ではなく、完全連続式の溶解装置中で行う場合には、必要な変更を加えて、撹拌槽について挙げられた溶解条件が転用される。この槽の加熱時の温度上昇の時間的な推移及びそれと関連した圧力上昇は、この場合、例えば槽カスケード中で又は流通装置中で、空間的な推移として表すことができる。
【0094】
本発明の一実施態様の場合に、連続式の溶解装置として、循環ポンプを備えた投入槽とそれに引き続く二重壁で加熱された管を使用し、ここで、水及び水含有のジアミン溶液が計量供給ポンプによって投入され、固体出発化合物の計量供給はコンベアスクリューが行う。ここでも、溶解区間の後に、得られたモノマー溶液を貯蔵容器に移してもよい。
【0095】
貯蔵容器として、本発明による方法において、特に1つ以上の温度制御可能でかつ不活性化可能なオートクレーブが用いられる。これらのオートクレーブは、その中に準備されたモノマー溶液の撹拌のために、攪拌機又は循環ポンプを備えていてもよい。これらのオートクレーブは、好ましくは不活性化され、特に好ましくは窒素で不活性化される。
【0096】
特に、貯蔵容器の温度及び圧力条件は、溶解過程の完了時の温度及び圧力にほぼ一致する。特に、この溶解過程にとって比較的高い温度を使用し、この温度で比較的長い期間にわたりモノマーの反応が既に起こりかねない場合には、これとは別に、貯蔵容器中の温度を、いくらか低く選択することもできる。しかしながら、この場合に、好ましくは、この温度は、モノマーの実質的な割合が固体として生じずかつ場合により更に堆積もしないように調節される。好ましくは、このモノマー溶液は、不活性化しながら、僅かな窒素超過圧で及び/又は僅かな窒素オーバーフローで保たれる。
【0097】
本発明による連続式の方法において、モノマー溶液を貯蔵容器から連続式に取り出し、1つ以上のオリゴマー化反応器中で溶解温度又は貯蔵温度を超えて、オリゴマーを生じるオリゴマー化反応が十分に迅速にであるが、制御可能に進行できるように加熱され、こうして得られたオリゴマーを連続式に搬出するか又はより高い分子量のポリアミドを製造する更なる反応に供給することができる。
【0098】
本発明による連続式の方法において、第1の平均滞留時間t1の間に、反応混合物の温度は、好ましくは第1のオリゴマー化温度OT1に近づくか又はこれに達する。この場合、圧力又は水蒸気分圧は、第1の圧力p1に近づくか又はこの圧力となる。引き続き、第2の平均滞留時間t2の間に、反応混合物の温度は、第2のオリゴマー化温度OT2に近づくか又はこれに達する。更に、この圧力又は水蒸気分圧は、第2の圧力p2に近づくか又はこの圧力となる。好ましくは、OT1≦OT2でかつt1≧t2が当てはまる。第1の圧力p1は、好ましくは第1のオリゴマー化温度OT1での水の飽和蒸気圧と一致し(場合により、電解質効果の分だけ僅かに低く及び/又は場合によりアルコールの蒸気分圧の分だけ高い)、第2の圧力p2は、第2のオリゴマー化温度OT2での水の飽和蒸気圧より下にある。後者の第2の圧力p2は、反応混合物の水及び揮発性成分の適切な損失に相当する。本発明による連続式の方法の場合、好ましくはp1≧p2が当てはまる。水の蒸発の際に生じるエネルギー必要量を反応混合物に供給するため及び同様に第2のオリゴマー化温度OT2と同じ温度にもたらすか又は維持するために、本発明の一実施態様の場合に、滞留時間t1の完了時に僅かに過熱されたオリゴマー混合物に達することが好ましい。この場合、本発明の上述の実施態様から逸脱して、好ましくは温度推移OT1≧OT2を選択することもできる。反応混合物の内在する水損失は、第2の平均滞留時間t2の上限を制限する、というのもこの反応混合物を相分離させないか又は自発的に晶出させないためである。
【0099】
特別な実施態様の場合に、唯一のオリゴマー化温度OT1に代えて、複数の連続するオリゴマー化温度OT1−1〜OT1−xを使用することもできる。この温度変化は、段階でも、勾配の形でも行うこともできる。複数の多様に連続するオリゴマー化温度を調節するために、このオリゴマー化反応器は、個別に制御可能な多様な加熱区域を使用することができる。これとは別に、連続する別個のオリゴマー化反応器を使用することもできる。この場合、この温度推移はたいていは上昇するように選択されるため、OT1−1≦OT1−2等となる。それぞれに所属する滞留時間t1−1〜t1−xの合計は、滞留時間t1となる。
【0100】
水蒸気分圧の制御は、本発明による連続式の方法の場合に特に重要である。この所定の水蒸気分圧の設定又は維持は、特に定義された圧力水準の水蒸気の供給によって行うことができる。その逆で、制御弁が、水蒸気圧を制御し、かつ他の揮発性成分をそれぞれの装置から排出させることも可能である。
【0101】
この第1のオリゴマー化温度OT1は、本発明による方法において、好ましくは220℃〜260℃、より好ましくは225℃〜255℃、最も好ましくは230℃〜250℃である。この第1の平均滞留時間t1は、好ましくは0分〜240分、より好ましくは45分〜120分、最も好ましくは60分〜90分である。第1の圧力p1は、好ましくは1.5MPa〜5.0MPa、より好ましくは2.5MPa〜4.5MPa、最も好ましくは3.0MPa〜4.0MPaである。第2のオリゴマー化温度OT2は、好ましくは240℃〜300℃、より好ましくは240℃〜280℃、最も好ましくは240℃〜260℃である。第2の平均滞留時間t2は、好ましくは0分〜60分、より好ましくは20分〜50分、最も好ましくは25分〜40分である。第2の圧力p2は、好ましくは1.9MPa〜5.0MPa、より好ましくは2.3MPa〜5.0MPa、最も好ましくは2.5MPa〜4.0MPaである。滞留時間の合計t1+t2は、好ましくは少なくとも10分である。
【0102】
反応混合物の含水量が低下された方法工程において、反応混合物の自発的な分離現象又は結晶化現象を避けるために、特に圧力又は水蒸気分圧に関する臨界的な境界条件を維持しなければならない。ポリアミドオリゴマーの多様な配合について、反応温度とはほぼ無関係に、臨界的な低い水蒸気分圧が観察され、この水蒸気分圧より高い場合には、その相挙動について制御可能な反応混合物を保証するために十分な水が系中に保持される。この臨界的な低い水蒸気分圧は配合に依存し、ここでは、炭素原子の数(n.C)1つ当たりのアミド基の数(n.NHCO)の比率に一次近似で依存する。二次近似の場合には、それぞれのポリアミドの融点も考慮しなければならない。この臨界的な低い水蒸気分圧p.u.は、一次近似で、次の式1から生じる:
【0103】
【数3】
【0104】
本発明による連続式の方法の場合に生じる第2の圧力p2は、本発明による連続式の方法の態様においてオリゴマー混合物が分離現象又は結晶化現象を示す場合には、場合により、臨界的な低い水蒸気分圧p.u.を超える水準に高めなければならない。
【0105】
オリゴマー化反応器として、本発明による方法の場合に、好ましくは2つ以上の連続式に搬送可能でかつ空にすることができる装置を利用し、この装置は、溶解温度又は貯蔵温度を超える温度を可能にし、系中に十分な水を保持するために高めた圧力を許容し、かつこれらの装置の中の少なくとも1つの装置は、反応混合物から水を制御して取り出すことができる圧力調節部を備えている。適切な装置の例は、蒸気供給部及び/又は圧力調節弁を備えた温度制御可能なオートクレーブ、温度制御可能なオートクレーブのカスケード(このオートクレーブの中の1つ以上は蒸気供給部及び/又は圧力調節弁を有する)、温度制御可能な熱交換器型反応器、好ましくは二重壁として構成された温度制御可能な管型反応器、温度制御可能な熱交換器型反応器のカスケード、好ましくは二重壁として構成された温度制御可能な管型反応器のカスケード又は管束型反応器又は上述の装置の組み合わせである。
【0106】
本発明の好ましい態様の場合には、熱交換器型反応器は、圧力調節弁及び底部排出口を備えているオートクレーブと組み合わせて使用される。本発明の特に好ましい態様の場合に、熱交換器型反応器中の平均滞留時間は、第1の平均滞留時間t1であり、オートクレーブ中の滞留時間は第2の平均滞留時間t2である。この熱交換器型反応器は、好ましくは二重壁の管型反応器又は管束型反応器であることができる。熱交換器型反応器は、取り入れ口にバッフルのような内部構造又は適切な箇所にスタティックミキサを有していてもよい。このオートクレーブは、二重壁に構成されていてもよく、及び/又はヒーターコイルを有していてもよく、及び/又は円錐型底部を有していてもよい。このオートクレーブは、その内容物の連続式の混合のために撹拌又はポンプ循環することができる。このオートクレーブは、熱導入を支援するために、ポンプ循環路中に熱交換器を備えていてもよい。
【0107】
本発明の他の好ましい態様の場合に、少なくとも2つの温度制御可能なオートクレーブのカスケードを使用し、このオートクレーブの中の少なくとも最後のオートクレーブは、圧力調節弁を備えている。本発明の特に好ましい態様の場合に、前半のオートクレーブ(最大では最後のオートクレーブを除く全てのオートクレーブを含む)中の平均滞留時間は、第1の平均滞留時間t1であり、後半のオートクレーブ(少なくとも最後のオートクレーブを含む)中の平均滞留時間は、第2の平均滞留時間t2である。これらのオートクレーブは、二重壁に構成されていてもよく、及び/又はヒーターコイルを有していてもよく、及び/又はポンプ循環路中に熱交換器を備えていてもよい。これらのオートクレーブは、連続式の実施のためにその内容物を撹拌又はポンプ循環することができる。最後のオートクレーブは、好ましくは底部搬出口を備えた円錐型底部を有する。
【0108】
本発明による連続式の方法の一実施態様の場合に、ポリアミドオリゴマーを、場合により付着水と共に、固体の形で生じかつそれ自体単離することができるように、オリゴマー化区域から搬出する。この実施態様は、半芳香族オリゴマーが結晶質で又は部分結晶質で凝固する場合に特に適している。この実施態様は、半芳香族オリゴマーが非晶質で生じ及び/又は固体として凝固しにくい場合にはあまり適していない。
【0109】
本発明による連続式の方法の他の実施態様の場合に、このオリゴマーが融液状で生じかつ単離せずに連続式に、このオリゴマーからより高分子量のポリアミドを製造する次の方法に移すことができるように、オリゴマーをオリゴマー化区域から搬出する。この実施態様は、非晶質の半芳香族オリゴマーについても、潜在的に結晶質の半芳香族オリゴマーについても適している。
【0110】
本発明による連続式の方法の第3の実施態様の場合に、このオリゴマーが完全に又は部分的に固体として生じるが、オリゴマーの単離なしで連続式に、このオリゴマーからより高分子量のポリアミドを製造する方法に移すように、オリゴマーをオリゴマー化区域から搬出する。この実施態様は、選択された非晶質の半芳香族オリゴマーについても、選択された結晶質の半芳香族オリゴマーについても適している。
【0111】
本発明による方法の好ましい観点として、先行技術と比較して高い処理量を僅かな投資コストで実現できることが判明した。更に、オリゴマーのバッチ式の方法の場合に生じる、モノマー溶液の導入時、モノマー溶液の反応温度への加熱時、反応混合物の搬出時及びそれに引き続く冷却時の滞留時間の損失は解消される。重要な利点は、同様に、連続式の方法からの生成物の品質一貫性であり、この品質一貫性は不連続式の方法の導入過程及び排出過程によって損なわれていた。更に、連続式のプロセスは一般に少ない人員コストで運転でき、かつ品質変動を伴う材料損失は僅かで済むことが経済的に重要である。これらの利点は、一般に、配合切り替え時の材料損失のような可能な欠点を補って余りある。
【0112】
本発明による方法の特別な利点は、不連続式の方法の場合よりもほぼ簡単に、定常状態を調節できることであり、この定常状態で、オリゴマーは、定義された温度で、定義された圧力又は定義された水蒸気分圧で、かつ定義された滞留時間で、制御されるべき転化率及びそれによる所望な平均分子量を有する。従って、分子量分布の幅も好ましくは制御でき、それにより適切に狭い分布のオリゴマーを製造できる。
【0113】
本発明による方法は、部分結晶質又は非晶質の、熱塑性加工可能な半芳香族ポリアミドのオリゴマーについて広い組成物領域で使用することができる。
【0114】
本発明による方法の場合に、オリゴマーの搬出時に特に、最後のオリゴマー化装置の他に全体の搬出管、内部構造及び搬送装置を、最後のオリゴマー化装置と同じ温度にかつ少なくとも同じ水蒸気分圧に保持するようにつとめるべきである。一般に、水蒸気分圧の手間のかかる測定は不要であり、その代わりに、最後のオリゴマー化装置の全圧を基準値として使用することができる、というのも、残りのガス成分、例えば不活性ガス(例えば窒素)、揮発性出発化合物(例えばヘキサメチレンジアミン)、当初に添加された少量のアルコール又は場合により生成される分解生成物(例えばアミンからのNH
3又はカルボン酸からのCO
2)の分圧は、全圧と比較して無視できるほど小さいためである。不活性ガスの割合又は場合によりアルコールの割合は、第2の平均滞留時間t2の間の必要な制御された放圧によっていずれにせよ低下し、この場合、実際に完全にモノマー溶液に由来しかつオリゴマー化反応の際に生成する水蒸気によって追い出される。
【0115】
この方法において、好ましくは67%〜97.5%、特に好ましくは75%〜96%、特に全く好ましくは80%〜92%の転化率が達成される。本願明細書中に記載された転化率は、常に、反応混合物中に欠乏して存在するそれぞれの官能価(カルボキシル官能価又はアミノ官能価)に常に関連する。
【0116】
従って、本発明による方法で形成されるポリアミドオリゴマーは、好ましくは3〜15、特に好ましくは4〜25、特に全く好ましくは5〜12の重合度を有する。使用される出発化合物に応じて、これは、300〜8000g/mol又は400〜5000g/mol又は500〜2500g/molの絶対分子量に相当する。本発明による方法で生成されるオリゴマーに関する分子量分布を、ゲル浸透クロマトグラフィーによりヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中で、狭い分布のPMMA標準に対して測定する場合、これについて、200〜4000g/mol又は250〜2500g/mol又は300〜1500g/molの見かけ分子量が得られる。
【0117】
この連続式の方法の完了時に、オリゴマーを固体として生じさせかつ単離することができるように、オリゴマーをオリゴマー化区域から搬出する場合に、このオリゴマーの融点を下回る温度での不活性化された空間への噴霧搬出が好ましい。特に、噴霧ノズルを使用する場合に、連続式方法に内在する一貫性の利点を受ける、というのも時折の始動段階及び停止段階は連続式の搬出時間と比較して無視でき、この場合、噴霧の際に高い品質一貫性及び粒子一貫性を伴う障害のない均一な運転を達成できるためである。噴霧搬出とは別に、比較的大きな直径を有する1つ以上の孔を備えたノズルプレートを用いて、嵩張るオリゴマーフォームとして、不活性化された空間内へ搬出を行うことも可能である。この冷却後に脆いフォームは、破砕機又はミルのような機械的装置中で簡単に任意に粉砕できる。
【0118】
不活性化された空間中への搬出は、オリゴマー融液中に溶解した水の一部を急激に蒸発させ、かつオリゴマーはこの場合に冷却されることを引き起こす。それにより、このオリゴマーは、固体の、十分に結晶化された形で生じる。このオリゴマーは、微細粒で、程度に差はあるがコンパクトな粒子としても、多孔性の緩いフレークとしても、又は不均一な固体形成物としても得ることができる。この得られたオリゴマーは、場合により、更に機械的に粉砕し及び/又は乾燥した後に、適切な方法で搬送され、場合により再び溶融させかつ、このオリゴマーからより高い分子量のポリアミドを製造する適切な他の方法に供給される。
【0119】
本発明による方法の実施態様の場合に、このオリゴマー融液は、自身の水蒸気分圧下で1流体ノズル(Einstoffduese)を介して搬出される。当業者には、適切なノズル形状は公知である。この1流体ノズルは、特に単純な孔として、デフレクターを備えた孔として又はラバールノズルとして構成されていてもよい。好ましい実施態様の場合に、直径0.1〜10mm、特に好ましくは0.5〜5mm、特に全く好ましくは2〜4mmの単純な孔を備えた1流体ノズルが使用される。他の好ましい実施態様の場合に、直径0.1〜10mm、特に好ましくは0.5〜5mm、特に全く好ましくは2〜4mmの、デフレクターを備えた孔を備えた1流体ノズルが使用される。
【0120】
本発明による方法の一実施態様の場合に、オリゴマー融液を、自身の水蒸気分圧下で及び別個に供給されるキャリアガスによって、2流体ノズル(Zweistoffduese)を用いて搬出する。この別個に供給されるキャリアガスは、例えば窒素、水蒸気又は加湿された窒素であってもよい。2流体ノズルは、キャリアガス用に環状スリット又は円軌道上に一連の排出口を備えていてもよく、この環状スリット/一連の排出口は、オリゴマー融液の中央の出口を中心に配置されている。好ましい実施態様の場合に、内側の孔が0.1〜10mm、特に好ましくは0.5〜5mm、特に全く好ましくは2〜4mmの直径を有しかつ0.1〜5mm、特に好ましくは0.5〜2mm、特に全く好ましくは1〜2mmの厚さの環状スリットにより取り囲まれている2流体ノズルを使用する。他の好ましい実施態様の場合に、開口部が放物面断面に相当するラバールノズルを使用する。
【0121】
不活性化された空間への搬出は、この場合、場合により冷却されたサイクロン又はスプレー塔又は同等の装置を意味する。不活性化された空間への噴霧搬出は、好ましくは、噴霧乾燥のためにも適した装置中で実施される。この種の装置は、例えばK. Masters著, Spray Drying Handbook, 第5版, Longman, 1991, 第23-66頁に記載されている。
【0122】
本発明による方法の場合に、1つ以上の噴霧ノズルを使用することができ、ここで、この噴霧ノズルには噴霧されるべき流体を加圧下で、一般に第2の圧力p2の下で供給する。噴霧されるべき流体の分散は、この場合、この流体がノズル孔内で所定の最低速度に到達後に放圧されることにより行うことができる。本発明による目的のために、1流体ノズル、例えばスリットノズル、スワールチャンバー又は充円錐ノズル(例えば、Duesen-Schlick GmbH社製、ドイツ国又はSpraying Systems Deutschland GmbH社製、ドイツ国)を使用することができる。
【0123】
この不活性化された空間の用語は、オリゴマー混合物を液滴の形で不活性雰囲気に自由落下させることができる装置も含むことができる。このために、例えば米国特許第5,269,980号明細書に記載されたような装置が適している。
【0124】
層流噴流崩壊(laminaren Strahlzerfall)による液滴製造も、Rev. Sei. Instr. 38 (1966) 502に記載されているように同様に可能である。
【0125】
これらの液滴は、空気圧式の引き抜きノズル(Ziehduesen)、回転、噴流の切断又は急速制御可能なマイクロバルブノズルによって製造することもできる。空気圧式の引き抜きノズル中では、液体噴流はガス流と一緒に絞りによって加速される。このガス量によって、液体噴流の直径及びそれによって液滴直径に影響を及ぼすことができる。
【0126】
回転による液滴製造の場合には、液体を回転盤の開口に通す。この液体に作用する遠心力によって、定義されたサイズの液滴が作り出される。回転液滴製造のための好ましい装置は、例えばドイツ国特許公開(DE−A1)第4308842号明細書に記載されている。しかしながら、生じる液体噴流を、回転刃で定義された区分に切断することもできる。各区分は、引き続き液体を形成する。マイクロバルブノズルの使用の場合、定義された液体体積を有する液滴が直接製造される。
【0127】
連続式の方法の完了時に、オリゴマーを融液状で生じかつより高い分子量のポリアミドを製造する方法に直接移すことができるように、オリゴマーをオリゴマー化区域から搬出する場合には、蒸発器反応器と分離器との後続する組み合わせが好ましい。しかしながらこの装置中で反応は、既に定義されたオリゴマーを超える分子量に相当する転化率に達することがあるため、本発明による方法の終わりは、最後のオリゴマー化装置からのオリゴマー融液の連続式の搬出で定義される。このような連続式の搬出は、例えばポンプを用いて及び二重壁で加熱された導管内へ行うことができる。オリゴマー融液のための適したポンプは、例えば紡糸ポンプである。
【0128】
連続式の方法の完了時に、中間的に完全に又は部分的に固体として生じるかどうかとは無関係に、オリゴマーを連続式に、オリゴマーを単離せずに次の方法区分内へ移すように、オリゴマーをオリゴマー化区域から搬出する場合には、上述のノズルを用いた不活性化された空間への噴霧搬出が好ましい。このオリゴマーを噴霧空間の底部で集め、適切な搬送装置で搬出する。
【0129】
この場合、噴霧空間の形態及び搬出の間の物理的条件、特に不活性化された空間の温度及び水蒸気分圧に応じて、このオリゴマーは、噴霧空間の底部に多様に生じる:オリゴマー液滴は例えば蒸発する水によって明らかに冷却されかつ凝固される場合、このオリゴマーは噴霧空間の底部から適切な連続式の固体搬送装置によって更に輸送することができる。オリゴマー液滴を蒸発する水にもかかわらず、落下の間に又は噴霧空間の底部で、例えばオリゴマーの融点を超える温度に加熱する場合、融液を適切な装置を用いて連続式に搬出することができる。噴霧搬出の条件がこの両方の境界の間にある場合には、オリゴマーを噴霧空間の底部で、固体と融液とからなる粘性の混合物として生じ、例えば加熱した押出スクリューで更に搬送することができる。
【0130】
このような実施態様の他の例は、完全な又は部分的な放圧下でのオリゴマー化区域から押出機への直接の搬出であり、この押出機中で、ポリマーへの更なる縮合反応が実施される。この場合に、高い排ガス能力を実現することができる押出機、例えば二軸スクリュー押出機、遊星ローラ押出機又は環状押出機が好ましい。場合により固体として生じるオリゴマーを、更に単離することなく直接また溶融し、適切な温度及び滞留時間の下で押出機中で溶融縮合させる。
【0131】
他の本発明による方法の場合に、オリゴマーから出発して、より高い分子量の、部分結晶質又は非晶質の、熱塑性加工可能なポリアミドを製造する。この方法は、水及びポリアミドオリゴマーを有する混合物の連続式の準備及びポリアミドオリゴマーからポリアミドへの後縮合を有する。この混合物は、好ましくは、ポリアミドオリゴマーを製造するための上述の方法によって連続式に得られ、かつ次いで最後のオリゴマー化装置中に挙げられた第2のオリゴマー化温度OT2及び第2の圧力p2を有する。
【0132】
本発明による脂肪族ポリアミド及び本発明による方法により得られた脂肪族ポリアミドは、好ましくは、13000〜28000g/molの範囲内の数平均分子量M
nを有する。数平均分子量M
n及び質量平均分子量M
wの記載は、本発明の範囲内で、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定に基づく。校正のために、多分散性の低いポリマー標準としてPMMAが使用される。
【0133】
本発明による半芳香族ポリアミド及び本発明による方法により得られた半芳香族ポリアミドは、好ましくは、13000〜25000g/mol、特に好ましくは15000〜20000g/molの範囲内の数平均分子量M
nを有する。
【0134】
本発明による脂肪族ポリアミド及び本発明による方法により得られた脂肪族ポリアミドは、好ましくは20000〜140000g/molの範囲内の質量平均分子量M
wを有する。
【0135】
本発明による半芳香族ポリアミド及び本発明による方法により得られた半芳香族ポリアミドは、好ましくは25000〜125000g/molの範囲内の質量平均分子量M
wを有する。
【0136】
本発明による脂肪族及び半芳香族ポリアミド及び本発明による方法により得られた脂肪族及び半芳香族ポリアミドは、好ましくは最高で6、特に好ましくは最高で5、殊に最高で3.5の多分散性PD(=M
w/M
n)を有する。
【0137】
オリゴマーから第2の本発明による方法により得られる脂肪族及び半芳香族ポリアミドは、任意の適切な加工技術を用いた成形品の製造のために使用することができる。適切な加工技術は、特に射出成形、多成分射出成形、射出成形溶接、押出成形、同時押出成形、ブロー成形及び深絞り成形である。この目的で、上述のポリアミドに、強化剤及び充填剤、例えばガラス繊維、炭素繊維、鉱物性強化剤及び充填剤並びに他の改質剤、例えば難燃性添加物及び耐電防止剤を添加することができる。
【0138】
本発明による方法により得られた脂肪族ポリアミドは、特にフィルム、モノフィラメント、繊維、糸及び繊維布の製造のために適している。この場合、本発明により製造された脂肪族ポリアミドは、一般に、幅広のスリットダイ又はリングダイを通してフラットフィルム又はインフレートフィルムにするか又は小さな直径の環状ノズルを通してモノフィラメントにする溶融押出の間に、特に加工安定性であることが判明した。
【0139】
本発明による方法により得られる半芳香族ポリアミドは、同様に好ましい特性を提供する。
【0140】
本発明による半芳香族ポリアミド及び本発明による方法により得られた半芳香族ポリアミドは、好ましくは、ポリアミドの全質量を基準として、最高で5質量%のゲル含有率を示す。
【0141】
本発明による半芳香族ポリアミド及び本発明による方法により得られる半芳香族ポリアミドは、好ましくは、80〜120ml/gの粘度数を示す。粘度数(シュタウディンガー関数、VZ、VN又はJで示される)は、VZ=1/c×(η−η
s)/η
sとして定義される。この粘度数は、ポリアミドの平均分子量に直接関連づけられ、プラスチックの加工性に関する情報を提供する。粘度数の決定は、EN ISO 307により、ウッベローデ粘度計を用いて行うことができる。
【0142】
ポリアミド成形材料
本発明の他の主題は、少なくとも1種の本発明による半芳香族コポリアミドを含むポリアミド成形材料である。
【0143】
次の:
A) 前述で定義されたような、少なくとも1種の半芳香族コポリアミド25〜100質量%、
B) 少なくとも1種の充填剤及び強化剤0〜75質量%、
C) 少なくとも1種の添加剤0〜50質量%、
を有するポリアミド成形材料が好ましく、ここで、成分A)〜C)は全部で100質量%となる。
【0144】
「充填剤及び強化剤」の概念=(成分B)は、本発明の範囲内で、広義に解釈され、粒状の充填剤、繊維材料及び任意の移行形態を含む。粒状の充填剤は、粉塵状〜粗大粒の粒子に達する広範囲の粒度を示すことができる。充填材料として、有機又は無機の充填剤及び強化剤が挙げられる。例えば、無機充填剤、カオリン、チョーク、ウォラストナイト、タルク、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、黒鉛、ガラスビーズ、例えばガラス球、ナノスケールの充填剤、例えばカーボンナノチューブ(carbon nanotubes)、カーボンブラック、ナノスケールの層状ケイ酸塩、ナノスケールの酸化アルミニウム(Al
2O
3)、ナノスケールの二酸化チタン(TiO
2)、グラフェン、常磁性もしくは磁化可能な金属化合物及び/又は合金、層状ケイ酸塩及びナノスケールの二酸化ケイ素(SiO
2)を使用することができる。これらの充填剤は表面処理されていてもよい。
【0145】
層状ケイ酸塩として、本発明による成形材料中に、例えばカオリン、セルペンチン、タルク、雲母、バーミキュライト、イライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、二重水酸化物(Doppelhydroxyde)又はこれらの混合物を使用することができる。層状ケイ酸塩は、表面処理されていても又は処理されていなくてもよい。
【0146】
更に、1種以上の繊維材料を使用することができる。これらは、好ましくは公知の無機強化繊維、例えばホウ素繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸繊維、セラミック繊維及びバサルト繊維、有機強化繊維、例えばアラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維及び天然繊維、例えば木材繊維、亜麻繊維、麻繊維及びサイザル繊維から選択される。
【0147】
特に、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、金属繊維又はチタン酸カリウム繊維の使用が好ましい。
【0148】
特にチョッブドガラス繊維が使用される。特に、成分B)はガラス繊維及び/又は炭素繊維を有し、ここで好ましくは短繊維が使用される。これは、長さ2〜50mmの範囲及び直径5〜40μmの範囲を有するのが好ましい。また、エンドレス繊維(ロービング)を使用することもできる。円形及び/又は非円形の横断面を有する繊維が適していて、ここで、後者の非円形の横断面を有する繊維の場合、主要な横断面軸の副次的な横断面軸に対する寸法比は、特に>2であり、好ましくは2〜8の範囲内であり、特に好ましくは3〜5の範囲内である。
【0149】
特別な実施態様の場合に、成分B)はいわゆる「フラットガラス繊維」を有する。これは、特に長円形又は楕円形又はくびれを備えた楕円形(いわゆる「繭状(Kokon)」又は「コクーン状(cocoon)」繊維)又は長方形又はほぼ長方形の横断面を有する。この場合、非円形の横断面を有しかつ主要な横断面軸の副次的な横断面軸に対する寸法比が2を超える、好ましくは2〜8、特に3〜5のガラス繊維を使用するのが好ましい。
【0150】
本発明による成形材料の強化のために、円形の横断面を有するガラス繊維と、非円形の横断面を有するガラス繊維の混合物を使用することもできる。特別な態様の場合に、上述に定義されたようなフラットガラス繊維の割合が優位を占める、つまりフラットガラス繊維は繊維の全質量の50質量%を超える。
【0151】
成分B)としてガラス繊維のロービングを使用する場合、これは好ましくは直径10〜20μm、好ましくは12〜18μmを有する。この場合、ガラス繊維の横断面は、円形、長円形、楕円形、ほぼ長方形又は長方形であることができる。特に、横断面軸の比が2〜5のいわゆるフラットガラス繊維が好ましい。特にEガラス繊維が使用される。しかしながら、他の全ての種類のガラス繊維、例えばAガラス繊維、Cガラス繊維、Dガラス繊維、Mガラス繊維、Sガラス繊維、Rガラス繊維又はこれらの任意の混合物又はEガラス繊維との混合物を使用することもできる。
【0152】
本発明によるポリアミド成形材料は、長繊維強化された棒状ペレットの公知の製造方法、特に引き抜き法により製造することができ、この場合、エンドレスの繊維ストランド(ロービング)はポリマー融液で完全に含浸され、引き続き冷却され、かつ切断される。この方法様式により得られる長繊維強化された棒状顆粒は、好ましくは顆粒長さ3〜25mm、特に4〜12mmを有し、通常の加工方法、例えば射出成形又はプレス成形によって成形品に更に加工することができる。
【0153】
本発明によるポリアミド成形材料は、少なくとも1種の充填剤及び強化剤B)を、ポリアミド成形材料の全質量を基準として、好ましくは25〜75質量%、特に好ましくは33〜60質量%含有する。
【0154】
適切な添加剤C)は、熱安定剤、防炎剤、光保護剤(UV安定剤、UV吸収材又はUV遮断剤)、滑剤、着色剤、成核剤、金属顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、耐電防止剤、導電性添加剤、離型剤、蛍光増白剤、消泡剤などである。
【0155】
成分C)として、本発明による成形品は、少なくとも1種の熱安定剤を、好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.02〜2質量%、特に0.1〜1.5質量%含有する。
【0156】
好ましくは、この熱安定剤は、銅化合物、第2級芳香族アミン、立体障害フェノール、ホスフィット、ホスホニット及びこれらの混合物の中から選択される。
【0157】
銅化合物を使用する場合、好ましくは銅の量は、成分A)〜C)の合計を基準として0.003〜0.5、特に0.005〜0.3、特に好ましくは0.01〜0.2質量%である。
【0158】
第2級芳香族アミンを基礎とする安定剤を使用する場合には、この安定剤の量は、成分A)〜C)の合計を基準として、好ましくは0.2〜2質量%、特に好ましくは0.2〜1.5質量%である。
【0159】
立体障害フェノールを基礎とする安定剤を使用する場合には、この安定剤の量は、成分A)〜C)の合計を基準として、好ましくは0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.2〜1質量%である。
【0160】
ホスファイト及び/又はホスホニットを基礎とする安定剤を使用する場合には、この安定剤の量は、成分A)〜C)の合計を基準として、好ましくは0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.2〜1質量%である。
【0161】
1価又は2価の銅の適切な化合物C)は、例えば無機酸又は有機酸もしくは1価又は2価のフェノールとの1価又は2価の銅の塩、1価又は2価の銅の酸化物、又は銅塩とアンモニア、アミン、アミド、ラクタム、シアニド又はホスフィンとの錯化合物、好ましくはハロゲン水素酸の、シアン水素酸のCu(I)塩又はCu(II)塩又は脂肪族カルボン酸の銅塩である。特に、1価の銅化合物のCuCl、CuBr、CuI、CuCN及びCu
2O、並びに2価の銅化合物のCuCl
2、CuSO
4、CuO、酢酸銅(II)又はステアリン酸銅(II)が好ましい。
【0162】
これらの銅化合物は、市販されているか又はその方法は当業者に公知である。この銅化合物は、それ自体又は濃縮物の形で使用することができる。濃縮物とは、この場合、銅塩を高い濃度で含有するポリマー、好ましくは成分A)と同じ化学的性質のポリマーであると解釈される。濃縮物の使用は通常の方法であり、かつ極めて少量の使用物質を計量供給する場合に特に頻繁に使用される。好ましくは、これらの銅化合物は、他の金属ハロゲン化物、特にアルカリ金属ハロゲン化物、例えばNaI、KI、NaBr、KBrと組み合わせて使用され、この場合、金属ハロゲン化物の銅ハロゲン化物に対するモル比は、0.5〜20、好ましくは1〜10、特に好ましくは3〜7である。
【0163】
本発明により使用可能な、第2級芳香族アミンを基礎とする安定剤の特に好ましい例は、フェニレンジアミンとアセトンとの付加物(Naugard A)、フェニレンジアミンとリノレン酸との付加物、4,4′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(Naugard (登録商標) 445)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−シクロヘキシル−p−フェニレンジアミン又はこれらの2種以上の混合物である。
【0164】
本発明により使用可能な、立体障害フェノールを基礎とする安定剤の好ましい例は、N,N′−ヘキサメチレン−ビス−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオンアミド、ビス−(3,3−ビス−(4′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチルフェニル)−ブタン酸)−グリコールエステル、2,1′−チオエチルビス−(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオナート、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオナート又はこれらの2種以上の安定剤の混合物である。
【0165】
好ましいホスフィット及びホスホニットは、トリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリトリトールジホスフィット、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリトリトールジホスフィット、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4,6−トリス−(tert−ブチルフェニル))ペンタエリトリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、テトラキス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスホニット、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12H−ジベンズ−[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチル−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス−(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチル−フェニル)メチルホスフィット及びビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスフィットである。特に、トリス[2−tert−ブチル−4−チオ(2′−メチル−4′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチル)−フェニル−5−メチル]フェニルホスフィット及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット(Hostanox(登録商標) PAR24:BASF SE社の商品名)が好ましい。
【0166】
熱安定剤の好ましい実施態様は、有機熱安定剤の組み合わせ(特にHostanox PAR 24及びIrganox 1010)、ビスフェノールAを基礎とするエポキシド(特にEpikote 1001)及びCuI及びKIを基礎とする銅安定剤である。市場で入手可能な、有機安定剤とエポキシドとからなる安定剤混合物は、例えばBASF SE社のIrgatec NC66である。特に、専らCuI及びKIを基礎とする熱安定剤が好ましい。銅又は銅化合物の添加の他に、他の遷移金属化合物、特に周期表のVB族、VIB族、VIIB族又はVIIIB族の金属塩又は金属酸化物を使用は除外される。更に、本発明による成形材料は、好ましくは周期表のVB族、VIB族、VIIB族又はVIIIB族の遷移金属、例えば鉄粉又は鋼粉を添加されない。
【0167】
本発明による成形材料は、好ましくは、成分A)〜C)の全質量を基準として、添加剤C)として少なくとも1種の防炎剤を0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%含有する。本発明による成形材料が少なくとも1種の防炎剤を含む場合には、成分A)〜C)の全質量を基準として、好ましくは0.01〜30質量%、特に好ましくは0.1〜20質量%の量で含まれる。防炎剤C)として、ハロゲン含有又はハロゲン不含の防炎剤及びその協力剤が挙げられる(Gaechter/Mueller、第3版、1989 Hanser Verlag、第11章も参照)。好ましいハロゲン不含の防炎剤は、赤リン、ホスフィン酸塩又はジホスフィン酸塩、及び/又は窒素含有防炎剤、例えばメラミン、メラミンシアヌラート、メラミンスルファート、メラミンボラート、メラミンオキサラート、メラミンホスファート(prim、sec)又はsecメラミンピロホスファート、ネオペンチルグリコールホウ酸メラミン、グアニジン及び当業者に公知のその誘導体、並びにポリマーのメラミンホスファート(CAS番号:56386−64−2又は218768−84−4並びに欧州特許第1095030号明細書)、アンモニウムポリホスファート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌラート(場合によりトリスヒドロキシエチルイソシアヌラートと混合したアンモニウムポリホスファートも)(欧州特許第584567号明細書)である。他のN含有の又はP含有の防炎剤又は防炎剤として適したPN縮合物は、独国特許第102004049342号明細書から推知でき、酸化物又はホウ酸塩のようなこのために常用の協力剤も同様である。適切なハロゲン含有の防炎剤は、例えばオリゴマーの臭素化されたポリカルボナート(BC 52 Great Lakes)又は4個より多いNを有するポリペンタブロモベンジルアクリラート(FR 1025 Dead sea bromine)、テトラブロモビスフェノール−Aとエポキシドとの反応生成物、臭素化されたオリゴマー又はポリマーのスチレン、デクロラン(Dechloran)であり、これらはたいてい、酸化アンチモンと共に協力剤として使用される(詳細及び他の防炎剤について:独国特許公開(DE−A)第102004050025号明細書参照)。
【0168】
帯電防止剤として、本発明による成形材料中に、例えばカーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブを使用することができる。カーボンブラックの使用は、しかしながら成形材料の黒色の色彩を改善するためにも利用できる。しかしながら、この成形材料は金属顔料を含まなくてもよい。
【0169】
成形品
更に、本発明は、本発明によるコポリアミド又はポリアミド成形材料の使用下で製造される成形品に関する。
【0170】
本発明による半芳香族ポリアミドは、好ましくは、電気部材及び電子部材用の、及び高温領域での自動車用途のための成形部材の製造のための使用に適している。
【0171】
特別な実施態様は、自動車分野用の部材の形の又は部材の一部としての成形品であり、これは特にシリンダーヘッドカバー、エンジンフード、インタークーラー用ハウジング、インタークーラーバルブ、インテークパイプ、インテークマニホールド、コネクタ、ギア、ファンインペラ、冷却水容器、熱交換器用のハウジング又はハウジング部材、冷媒冷却器、インタークーラー、サーモスタット、ウォーターポンプ、ヒータエレメント、固定部材の中から選択される。
【0172】
他の特別な態様は、電気又は電子工学の受動素子又は能動素子として又はその一部として、プリント配線板又はその一部として、ハウジング構成部材として、フィルムとして、導線として、特にスイッチ、プラグ、ブシュ、分配器、中継器、抵抗器、コンデンサ、コイル又はコイル体、ランプ、ダイオード、LED、トランジスタ、コネクタ、レギュレータ、集積回路(IC)、プロセッサ、コントローラ、メモリ及び/又はセンサの形で又はその一部としての成形品である。
【0173】
本発明による半芳香族ポリアミドは、更に特に、差し込み式コネクタ、マイクロスイッチ、マイクロボタン及び半導体部材の製造のため、特に発光ダイオード(LED)のリフレクタハウジングの製造のための、無鉛条件下でのハンダ付けプロセス(lead free soldering)での使用に適している。
【0174】
特別な実施態様は、電気部材又は電子部材の固定部材、例えばスペーサ、ボルト、ストリップ、差し込みガイド、ネジ及びナットとしての成形品である。
【0175】
特に、ソケット、差し込み式コネクタ、プラグ又はブシュの形又はその一部としての成形品が好ましい。好ましくは、この成形部材は、機械的靭性を必要とする機能部材を内容とする。このような機能要素の例は、フィルムヒンジ、スナップインホック(Snap-in)及びバネ舌部(Federzunge)である。
【0176】
自動車室内において、ダッシュボード、ステアリングコラムスイッチ、シートコンポーネント、ヘッドレスト、センタコンソール、トランスミッションコンポーネント及びドアモジュールのための使用、自動車室外において、ドアグリップ、車外ミラーコンポーネント、ウインドウワイパーコンポーネント、ウインドウワイパー保護ハウジング、グリル、ルーフレール、サンルーフフレーム、エンジンカバー、シリンダーヘッドカバー、インテークパイプ、ウインドウワイパー並びにボディ外装部品のための使用が可能である。
【0177】
キッチン分野及び家庭分野のために、キッチン用品、例えばフライヤー、アイロン、ボタン用のコンポーネントの製造のため、ガーデニング余暇分野のために、例えば散水システム又はガーデニング機器及びドアグリップのためのコンポーネントの製造のための、流動性が改善されたポリアミドの使用が可能である。
【0178】
実施例
使用された装置の一般的記載(実施例1〜3):
20リットルの二重ジャケット撹拌槽(特殊鋼)中に、アミノ成分を水溶液の形で装入し、酸成分及び触媒、調節剤及び他の使用物質を添加し、VE水で後洗浄し、この槽に窒素を3回注入することにより不活性化する。
【0179】
この反応混合物を140℃に加熱し、ここで、約4barの圧力が生じ、この圧力を透明なモノマー溶液が得られるまで(約90分間)撹拌しながら保持する。引き続き、このモノマー溶液を、圧力及び温度を維持しながら、この方法の連続式の供給ために適している貯蔵容器に移す。このモノマー溶液を、ポンプによって連続式に、長さ0.6m及び内径13mmの13本の管を備えた3つの部分の管束型反応器からなる熱交換器型反応器(OT1)中に圧送する。このポンプ出力を、管束型反応器中で所望の滞留時間が、記載された温度並びに圧力で達成されるように合わせる。この管束型反応器は、2つの加熱区域を有し、これらの加熱区域はそれぞれ熱交換器によって別個に加熱することができる。この管束型反応器は、2リットルの二重ジャケットで加熱される耐圧反応器(OT2)と接続されていて、この耐圧反応器(OT2)は圧力調節弁並びに底部排出口を有する。耐圧反応器の加熱を所望の内部温度が達成されるように調節する。所望の圧力を圧力弁によって調節する。水の蒸発により溶液が冷却されすぎるのを抑制するために、この反応溶液に、耐圧反応器の前方で付加的な熱交換器を介して付加的に熱を供給することができる。底部排出口を介して、連続式に、透明なオリゴマー溶液を搬出し、この場合、所望の滞留時間が実現されるように搬出速度を選択する。
【0180】
実施例1:
次の固相縮合で固体としてPA6T/6Iを単離:
使用材料:
テレフタル酸 4.943kg
イソフタル酸 2.118kg
ヘキサメチレンジアミン(70%水溶液) 7.268kg
VE水 3.026kg
次亜リン酸ナトリウム 4.0g
酢酸30.0g
OT:オリゴマー化部分:
【表1】
【0181】
オリゴマー溶液の搬出を、連続式に、耐圧容器から圧力弁及び噴霧ノズルを介して適切な不活性化された容器内へオリゴマー溶液を放圧することにより行い、ここで、オリゴマーは固体として生じかつ生じる水蒸気を分離する。引き続き、固体を水蒸気下で260℃でオートクレーブ中で6時間熱処理し、本発明によるポリマーが得られる。
【0182】
特性決定:
オリゴマー:GPC(PMMA標準を用いて校正):M
n:1050g/mol、PDI:1.7
ポリマー:GPC(PMMA標準を用いて校正):M
n:13400g/mol、PDI:3.2。
【0183】
実施例2:
PA6I/6T融液を更なる縮合工程へ搬送:
イソフタル酸 4.119kg
テレフタル酸 1.765kg
ヘキサメチレンジアミン(70%水溶液)6.233kg
VE水 2.522kg
次亜リン酸ナトリウム 3.25g
【表2】
【0184】
引き続き、オリゴマー水溶液を、直接、熱交換器を用いて、20barの圧力で320℃の温度に加熱し、生じた水蒸気の分離のために直接、6barで315℃の分離器内へ放圧する。この分離器中での約10分間の後重合時間の後に、ポリマーを搬出する。
【0185】
特性決定:
オリゴマー:GPC(PMMA標準を用いて校正):M
n:950g/mol、PDI:1.8
ポリマー:GPC(PMMA標準を用いて校正):M
n:16200g/mol、PDI:2.5。
【0186】
実施例3:
PA66融液を更なる縮合工程へ搬送:
AH塩(pH値7.71)10.500kg
水 4.556kg
次亜リン酸ナトリウム 3.5g
【表3】
【0187】
引き続き、オリゴマー水溶液を、直接、熱交換器を用いて、30barの圧力で300℃の温度に加熱し、生じた水蒸気の分離のために、5barで295℃の分離器内へ放圧する。この分離器中での約18分間の後重合時間の後に、ポリマーを搬出する。
【0188】
特性決定:
オリゴマー:GPC(PMMA標準を用いて校正):M
n:890g/mol、PDI:1.7
ポリマー:GPC(PMMA標準を用いて校正):M
n:16300g/mol、PDI:2.5。