特許第6522291号(P6522291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522291
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】減圧容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/32 20060101AFI20190520BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20190520BHJP
【FI】
   B65D1/32
   B65D1/02 250
   B65D1/02 221
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-136904(P2014-136904)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2016-13860(P2016-13860A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505440295
【氏名又は名称】北海製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】福本 将士
(72)【発明者】
【氏名】久保 徳晃
(72)【発明者】
【氏名】仲根 宏幸
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07172087(US,B1)
【文献】 実開昭60−175016(JP,U)
【文献】 特許第5232274(JP,B2)
【文献】 特開2004−330617(JP,A)
【文献】 特許第6122167(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0008077(US,A1)
【文献】 特開2014−105028(JP,A)
【文献】 特開2010−105718(JP,A)
【文献】 意匠登録第1459894(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/32
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱詰め減圧容器に必要な剛性と耐熱性とを備えた合成樹脂製の減圧容器において、
該減圧容器は、
口部と、
前記口部に連なる肩部、該肩部に連なる、横断面が円形であるくびれたウエスト部、該ウエスト部に連なる下胴部、および、該下胴部に連なる底部、を含む胴部と、
を有しており、
前記胴部または前記底部には、減圧時に内側に変形することにより他の部分が凹み変形するのを抑止するパネル部が形成されており、
前記ウエスト部は、使用者によってスクイズされた際の変形時の抵抗が、くびれていない場合における変形時の抵抗よりも少なくなる程度に緩やかにくびれた形状である
ことを特徴とする、減圧容器。
【請求項2】
前記ウエスト部は、スクイズされた際に横断面が楕円あるいはこれに近似した形状に変形することを特徴とする、請求項1に記載の減圧容器。
【請求項3】
前記ウエスト部は、スクイズされた際、スクイズされた部分の対向する内面どうしが接触する前に変形抵抗を増加させる構造であることを特徴とする、請求項2に記載の減圧容器。
【請求項4】
前記ウエスト部がスクイズされて変形した後、復元する際の抵抗が、復元を妨げない程度に小さい構造であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の減圧容器。
【請求項5】
前記パネル部は、複数が、前記胴部において周方向等間隔に配置されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の減圧容器。
【請求項6】
前記パネル部は6つであり、周方向に60°毎に配置されていることを特徴とする、請求項に記載の減圧容器。
【請求項7】
当該減圧容器は、前記肩部、前記ウエスト部および前記下胴部がヒートセットされ耐熱性が付与されたポリエステル樹脂製の容器であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の減圧容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱詰め減圧容器に関する。さらに詳述すると、本発明は、剛性と耐熱性とを備えた合成樹脂製の熱詰め減圧容器の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
調味料、調理用油といった内容物を常温よりも高い温度の状態で充填する(本明細書では熱詰めという)ようにした熱詰め用の合成樹脂製容器が利用されている。熱詰めされた内容物の温度が低下すると内部圧力が減少した状態となることから、当該容器は、耐熱性のほか、耐圧性を確保するだけの剛性を備えたものでなければならない。
【0003】
従来、このような熱詰め減圧容器として、容器(ボトル)の胴部を押圧することによって内容物を搾り出すように、容器の胴部にスクイズ性を持たせたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。このようにスクイズ性を持たせた熱詰め減圧容器によれば、当該容器の胴部をスクイズすることによって内容物をより多く出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−141993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、熱詰め減圧容器に必要な剛性や耐熱性を備えるためには肉厚としなければならず、これがスクイズ性を持たせることと相反する要素となっている。すなわち、通常、肉厚であれば胴部を押圧しても変形させがたいことから、実用的なスクイズ性を持たせることは難しい。この点、上述の特許文献1では、容器の胴部を外周方向へ滑らかに膨出させた湾曲形状に形成して剛性とスクイズ性の両立を図ろうとしているが、これとは逆の形状すなわちくびれた部分(ウエスト部)を有する熱詰め減圧容器においてスクイズ性を持たせたものは皆無である。
【0006】
そこで、本発明は、くびれたウエスト部をスクイズすることによって内容物を出しやすい構造の熱詰め減圧容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するべく、本発明者は種々の検討を実施した。くびれた部分(ウエスト部)をスクイズさせることができれば、持ちやすいウエスト部を掴んだままスクイズして内容物を出すことができ、使い勝手に優れる。この観点からさらに検討を重ねたところ、かかる課題の解決に結び付く知見が得られるに至った。
【0008】
このような知見に基づき想到するに至った本発明は、常温よりも高い温度の状態で熱詰めされた内容物の温度が低下すると内部圧力が減少した状態となる、剛性と耐熱性とを備えた合成樹脂製の熱詰め減圧容器において、
該熱詰め減圧容器は、
口部と、
口部に連なる肩部、該肩部に連なる、横断面が円形であるくびれたウエスト部、該ウエスト部に連なる下胴部、および、該下胴部に連なる底部、を含む胴部と、
を有しており、
胴部または底部には、減圧時に内側に変形することにより他の部分が凹み変形するのを抑止するパネル部が形成されており、
ウエスト部は、使用者等によってスクイズされた際の変形時の抵抗が、くびれていない場合における変形時の抵抗よりも少なくなる程度に緩やかにくびれた形状であることを特徴とするものである。
【0009】
ウエスト部のくびれが急である(曲率が大きい)と、変形時の抵抗が大きい。これは、剛性を得るためある程度の肉厚とされる熱詰め減圧容器であれば尚更である。一方、くびれがなければないで、変形時にはそれ相応の抵抗が生じる。この点、本発明に係る熱詰め減圧容器におけるウエスト部は、使用者等によってスクイズされた際の変形時の抵抗が、くびれていない場合における変形時の抵抗よりも少なくなる程度に緩やかにくびれた形状(ウエーブ形状)であることから、圧力変化(減圧)に耐える剛性を有しつつも、スクイズしやすい。より詳しくは、緩やかなくびれ部分がスクイズ時の変形の契機(とっかかり、きっかけ)となり、変形時の抵抗を減少させるから、強くスクイズしなくても変形させやすい。したがって、絞り出し量の調整が行いやすいという利点もある。
【0010】
また、スクイズ部分を膨出させた形状の容器と比較すると、本発明に係る熱詰め減圧容器は、スクイズ部分が内側にくびれた形状であるため、持ちやすい当該ウエスト部を掴んだままスクイズして内容物を出すことができ、使い勝手に優れる。
【0011】
また、熱詰め減圧容器の胴部が有するパネル部は、圧力変化の影響によって他の部分よりも変形しやすい板状部分からなり、減圧時に内側に変形することにより他の部分が凹み変形するのを抑止する。したがって、この熱詰め減圧容器は、熱詰めされた内容物の温度が低下して内部圧力が減少した状態となった場合に、パネル部が変形することによって減圧の程度を緩和することができる。
【0012】
ただし、パネル部が変形することによって減圧の程度が緩和されるとはいえ無圧(すなわち内部圧力の減少の程度がゼロ)となるわけではなく、パネル部以外の部分が減圧の影響により潰れ変形を生ずる可能性はある。この点、この熱詰め減圧容器においては、適度にくびれた形状のウエスト部がリブとしての機能を併せ有しており、スクイズ部分を膨出させるといった形状の従来容器に比べ、より薄肉とした場合にも強度を確保しやすい。このため、パネル部以外の部分が減圧の影響により潰れ変形するのを抑えることができる。
【0013】
さらに説明を加える。上述したように、従来の耐熱性スクイズ容器は剛性や耐熱性を確保するために肉厚にせざるを得なかったのが実情であるのに対し、本発明に係る熱詰め減圧容器では、対減圧変形対策としてのパネル部を変形させることで減圧度を低下させる点で特徴的であり、このような特徴的な構造は、減圧容器を従来よりも薄肉構造とすることに向く。また、薄肉であればあるほどウエスト部の変形時の抵抗が減少するから、これによってさらにスクイズしやすくなるというように、相乗的な効果を実現することができる。
【0014】
このような熱詰め減圧容器において、ウエスト部は、スクイズされた際に横断面が楕円あるいはこれに近似した形状に変形することが好ましい。
【0015】
また、ウエスト部は、スクイズされた際、スクイズされた部分の対向する内面どうしが接触する前に変形抵抗を増加させる構造であることが好ましい。
【0016】
さらに、熱詰め減圧容器は、ウエスト部の変形時に当該ウエスト部、肩部および下胴部のいずれにも折れを生じさせることを回避する構造であることが好ましい。
【0017】
また、熱詰め減圧容器において、ウエスト部がスクイズされて変形した後、復元する際の抵抗が、復元を妨げない程度に小さい構造であることが好ましい。
【0018】
パネル部は、複数が、胴部において周方向等間隔に配置されていることが好ましい。例えばパネル部は6つであり、周方向に60°毎に配置されているものであってもよい。
【0019】
当該熱詰め減圧容器は、例えば、肩部、ウエスト部および下胴部がヒートセットされ耐熱性が付与されたポリエステル樹脂製の容器である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、くびれたウエスト部をスクイズすることによって内容物を出しやすい構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】熱詰め減圧容器の一例を示す斜視図である。
図2】熱詰め減圧容器の正面図である。
図3図2に示した熱詰め減圧容器を30°回転させたときの図である。
図4図2のIV-IV線における縦断面図である。
図5】熱詰め減圧容器の平面図である。
図6】熱詰め減圧容器の底面図である。
図7図2のVII-VII線における横断面図である。
図8】熱詰め減圧容器をスクイズしたときの様子を正面から見た図である。
図9】熱詰め減圧容器をスクイズしたときの様子を上方(排出口のほう)から見た図である。
図10】熱詰め減圧容器をスクイズしたときの力と変形量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る熱詰め減圧容器について説明する。
【0023】
熱詰め減圧容器1は、常温よりも高い温度の状態で熱詰めされた内容物の温度が低下すると内部圧力が減少した状態となる、剛性と耐熱性とを備えた合成樹脂製の容器である。この熱詰め減圧容器1は、口部2および胴部8を有している。胴部8は、肩部3、ウエスト部4、下胴部5、底部7を有している(図1等参照)。以下では、少なくとも肩部3、ウエスト部4、下胴部5がヒートセットされて耐熱性が付与されたポリエステル樹脂製の熱詰め減圧容器1を例に説明する。より具体的には、熱詰め減圧容器1は例えば2軸延伸ブロー成形されたポリエチレンテレフタレート(PET)製の硬質プラスチックボトルである。なお、内容物の種別がとくに限定されることはないが、以下に説明するごとき本実施形態の熱詰め減圧容器1は、例えば調味料、とくに低粘度の調味料を熱詰めする容器として好適である。
【0024】
口部2は、内容物を充填し、あるいは充填された内容物を出すための開口部分である。この口部2は、外力が作用しても容易には変形しない程度に、他の部位(肩部3、ウエスト部4、下胴部5)よりも肉厚に形成されている。また、この口部2には、吐出口やノズルが付いた吐出キャップ(図示省略)を取り付けるための環状突起21が形成されている(図2等参照)。環状突起21の代わりにねじ山が形成されていてもよい。
【0025】
肩部3は、口部2からウエスト部4へと滑らかに連なるように形成されている(図2等参照)。肩部3における横断面は円形である。
【0026】
ウエスト部4は、肩部3から滑らかに連なるように形成された、可撓性のある部分である(図4等参照)。ウエスト部4における横断面は円形である。また、ウエスト部4は、緩やかにくびれた形状となっている(図2等参照)。ここでいう「緩やかにくびれた形状」の程度を具体的に説明することは難しいが、少なくとも、使用者等によってスクイズされた際の変形時の抵抗が、くびれていない場合における変形時の抵抗よりも少なくなる程度に緩やかにくびれた形状となっている。このように緩やかにくびれた形状であることが、変形時の抵抗を減少させ、強くスクイズしなくても変形しやすい構造につながる。肩部3からウエスト部4へと連なる途中に、横断面が円形であって径が極大である極大部(変節部)が形成されている。
【0027】
下胴部5は、ウエスト部4から底部7まで滑らかに連なるように形成されている(図2等参照)。本実施形態の熱詰め減圧容器1において、下胴部5には、パネル部6が形成されている。
【0028】
パネル部6は、圧力変化の影響によって他の部分よりも変形しやすいように形成された板状部分である。これらパネル部6は、減圧時に内側に変形することにより他の部分が凹み変形するのを抑止する。このようなパネル部6の具体的な構成は特に限定されないが、例えば本実施形態の熱詰め減圧容器1においては、6つのパネル部6が、下胴部5において周方向等間隔になるように60°毎に配置されている(図5図7等参照)。パネル部6は丸みを帯びた略三角形状であり(図2等参照)、それぞれのおよそ平坦な内側面が当該熱詰め減圧容器1の中心を向くように形成されている(図7参照)。各パネル部6に、鉛直ないし水平方向の小さなリブ61が形成されていてもよい(図7等参照)。リブ61は、パネル部6に適度な剛性を与え、減圧時の変形のしやすさを変化させる。また、リブ61は、パネル部6の波打ち(波打つような変形)を抑止する。
【0029】
また、熱詰め減圧容器1の具体的な形状も特に限定されないが、肩部3における最大径と、ウエスト部4における最小径との比が、圧力変化(減圧)に耐える剛性を有しつつ、変形時の抵抗が小さく強くスクイズしなくても変形させやすい熱詰め減圧容器1を実現する範囲内にあることが好適である。
【0030】
続いて、上述のごとき本実施形態の熱詰め減圧容器1をスクイズしたときの様子等について説明する。
【0031】
まず、一般的な従来の熱詰め減圧容器においては、所要の剛性や耐熱性を確保するため相応の肉厚を有していなければならず、また、そもそも、くびれた部分(ウエスト部分)をスクイズするという発想や構成自体が皆無である。例えば、これがストレート容器であれば、変形する際の抵抗(指に反力として感じられる負荷)曲線が山形カーブとなり、ある位置においてもっとも抵抗が大きく、それを超えると変形抵抗が減ることが通常である。また、容器の変形量もこれに追随し、あたかも座屈を起こすかのように急に変形量が大きくなる。このため、スクイズ時の力調整が難しい。あるいは、例えばこれがくびれた部分(ウエスト部分)を有する容器であっても、通常は、変形抵抗が大きくて硬く、スクイズしてもほとんど変形しないか、あるいは変形しても指で押した部分のみが潰れるように変形し、さらに力を加えると局所的な急激な曲折(座屈のような現象)を生じ、場合によっては曲折した痕跡が残ることがある。
【0032】
この点、本実施形態の熱詰め減圧容器1によれば、くびれたウエスト部4がスクイズ部分であり、尚かつこのウエスト部4は、スクイズされた際の変形時の抵抗が、くびれていない場合における変形時の抵抗よも少なくなる程度に緩やかにくびれた形状であり、スクイズされたときに全体的に変形する(図8図9参照)。しかも、緩やかなくびれ部分がスクイズ時の変形の契機となって変形時の抵抗を減少させるから、強くスクイズしなくても変形させやすい。
【0033】
スクイズ変形時、ウエスト部4は、指で押圧された箇所の真横(90°離れた両側)の部分が外側に広がる。本実施形態の熱詰め減圧容器1におけるウエスト部4は、スクイズ変形時、横断面が楕円あるいはこれに近似した形状に変形する(図9参照)。
【0034】
なお、ウエスト部4のくびれ度合が急だと(大径部分と小径部分の差ないしは比が大きいと)、却ってスクイズが難しくなる。その理由の一つに、指で押圧された箇所の真横の部分が外側にはみ出しにくくなることが挙げられるが、この点、本実施形態の熱詰め減圧容器1は、緩やかなウエーブ形状であって、スクイズ時の変形抵抗を抑えつつ、持ちやすさや握りやすさにも配慮した形状となっている。
【0035】
また、本実施形態の熱詰め減圧容器1におけるウエスト部4は、スクイズされた際、スクイズされた部分の対向する内面どうしが接触する前に変形抵抗を増加させる構造となっている。その理由としては、指で押圧された箇所の真横の部分が外側へある程度はみ出したあたりで変形抵抗が急激に増大し、もうそれ以上外側へはみ出すことが難しくなることが挙げられる(図9図10参照)。
【0036】
さらに、材質との関連もあるが、本実施形態の熱詰め減圧容器1においては、ウエスト部4の変形時に当該ウエスト部4、肩部3および下胴部5のいずれにも折れを生じさせることがない。このため、スクイズ時の変形動作に影響するような曲がり癖のようなものが生じることもない。
【0037】
また、本実施形態の熱詰め減圧容器1においては、ウエスト部4がスクイズされて変形した後、復元する際の抵抗が、復元を妨げない程度に小さい。例えば、スクイズ変形中における変形抵抗の大きさが山形であるような場合、スクイズ途中に抵抗の極大値を超えるので、復元時、再びその極大値を超えなければならず、これが円滑な復元の妨げとなる可能性がある。この点、本実施形態の熱詰め減圧容器1の場合は、上述したように、緩やかなウエーブ形状であって、スクイズ時の変形抵抗が抑えられており、尚かつ、スクイズされた部分の対向する内面どうしが接触する前に変形抵抗を増加させる構造であることから、スクイズ変形中における変形抵抗の大きさの変化が少ない(図10参照)。したがって、ウエスト部4がスクイズされて変形した後に復元する際の抵抗が、復元を妨げない程度に小さくて済む。
【0038】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、ウエスト部4にスクイズ性(可撓性)があることは、例えば当該容器の包装に記載しておくことによって使用者等に示すことができる。
【0039】
また、上述の実施形態では、パネル部6が下胴部5に形成されている熱詰め減圧容器1について説明したがこれは好適な例にすぎない。パネル部6は、胴部8のうち下胴部5以外の部分、例えば底部7に形成されていてもよい。要は、パネル部6は、当該パネル部6が変形することによって、熱詰め後の減圧の程度を緩和するものであり、その限りにおいて当該パネル部6が形成される領域(減圧吸収エリア)はとくに限定されない。
【0040】
また、上述の実施形態では、常温よりも高い温度の状態で熱詰めされた内容物の温度が低下すると内部圧力が減少した状態となる、剛性と耐熱性とを備えた熱詰め減圧容器1について説明したが、この熱詰め減圧容器1のスクイズ性(可撓性)は、常温あるいはこれよりも低温の内容物(例えば非炭酸飲料など)が充填された場合にも何ら変わりないことはいうまでもない。要は、上述した容器の名称は「熱詰め減圧容器」であるが、これは熱詰めに適した容器ということであって、熱詰めにだけ用いられる容器ということではない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、常温よりも高い温度の状態で熱詰めされた内容物の温度が低下すると内部圧力が減少した状態となる、剛性と耐熱性とを備えた合成樹脂製の熱詰め減圧容器に適用して好適である。
【符号の説明】
【0042】
1…熱詰め減圧容器
2…口部
3…肩部
4…ウエスト部
5…下胴部
6…パネル部
7…底部
8…胴部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10