特許第6522984号(P6522984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6522984
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年5月29日
(54)【発明の名称】接続検査システム
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20190520BHJP
【FI】
   H01R43/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-34812(P2015-34812)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-157593(P2016-157593A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】浅見 和彦
(72)【発明者】
【氏名】内野 直孝
【審査官】 山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−068418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/00 − 43/02
H01B 46/012
G01R 31/02 − 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部にコネクタを接合した被覆電線における前記コネクタを把持するコネクタ把持部と、
該コネクタ把持部に把持された前記コネクタと接合するコネクタ接続部とを備え、
前記コネクタ把持部と前記コネクタ接続部とを別体で構成し、
前記被覆電線と前記コネクタとで形成される接続構造体を検査する接続検査体と、
端部をコネクタと接合した前記被覆電線を配索するとともに、前記コネクタ把持部を配設した電線配索盤と、
該電線配索盤に配索した前記被覆電線の前記コネクタに接続する前記コネクタ接続部を配設した接続検査盤とを備えた
接続検査システム。
【請求項2】
前記コネクタ把持部が把持した前記コネクタと前記コネクタ接続部とを接続する位置に向かって、前記コネクタ把持部、前記コネクタ接続部または前記コネクタのうちの少なくともいずれか一つを移動する接続部移動機構を備えた
請求項1に記載の接続検査システム。
【請求項3】
前記コネクタ把持部が把持する前記コネクタを前記接続検査体と接合する位置となるように、前記コネクタ把持部、前記コネクタ接続部または前記コネクタの少なくとも一つの位置を調整する接続位置調整機構を備えた
請求項1または請求項2に記載の接続検査システム。
【請求項4】
前記コネクタ把持部と前記コネクタ接続部の少なくとも一方に、
前記コネクタ把持部に把持する前記コネクタを前記コネクタ接続部に接合する位置に案内する案内部を備えた
請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の接続検査システム。
【請求項5】
前記電線配索盤と前記接続検査盤とが対向するように、前記電線配索盤と前記接続検査盤の少なくとも一方を移動する移動機構を備えた
請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載の接続検査システム。
【請求項6】
前記電線配索盤と前記接続検査盤の少なくとも一方を、前記電線配索盤と前記接続検査盤とが対向する方向に移動する対面移動機構を備えた
請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の接続検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車に配索される被覆電線の接続検査に用いられる接続検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両にはエアコンやワイパー、パワーウィンドウなどの他、ABS(アンチブレーキシステム)やESC(横滑り防止装置)など操作性や快適性、安全性を向上させるための多種多様な電子機器類が装備されており、これらの電子機器類は端部にコネクタを備えたハーネスを介して電源やECU、他の電子機器類と接続され、ECU(エンジンコントロールユニット)などにより電子制御されている。
そのため、これらの電子機器類を正常に作動させるためには、電子機器類とECUなどと接続する前記ワイヤーハーネスの導通検査(接続検査)を行う必要がある。
【0003】
具体的には、端部をコネクタと接合した被覆電線を予め設定された配索経路に応じた形状となるように電線配索盤に配索し、前記被覆電線に例えばテーピングやプロテクタなどの外装を取り付けることにより所望の形状のワイヤーハーネスを形成する。次に前記ワイヤーハーネスを前記電線配索盤から取り外して接続検査盤に載せ替え、前記コネクタを前記接続検査盤に備えた接続検査体にそれぞれ接続し、前記ワイヤーハーネスの導通を確認する。
しかし、この方法では、前記電線配索盤で配索した前記ワイヤーハーネスを前記接続検査盤に載せ替える必要があり、人手と時間を要していた。
【0004】
このような問題に対して、前記電線配索盤に配索した前記被覆電線の接続検査を行う接続検査体が特許文献1に開示されている。
この特許文献1に記載の接続検査体によると、コネクタ把持部とコネクタ接続部とで構成された接続検査体を従来のように横向きでなく、縦向きに配置することにより、前記電線配索盤上に前記接続検査体を配設することができ、前記電線配索盤上で接続検査を行うことができるため、前記被覆電線を配索し直す手間を軽減することができた。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の接続検査体では、車両に備わる電子機器類の増加に伴い前記被覆電線の数が増大している近年において、前記被覆電線の端部がより密集してスペースが減少しているため、接続検査を行うためには前記接続検査体の配置箇所をコネクタに対して所望の位置に配置させることが困難となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−185546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述した問題を鑑み、前記被覆電線の端部がより集中しているような、スペースの少ない場所であっても前記接続検査体の一部を配設することができる接続検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
またこの発明は、端部にコネクタを接合した被覆電線における前記コネクタを把持するコネクタ把持部と、該コネクタ把持部に把持された前記コネクタと接合するコネクタ接続部とを備え、前記コネクタ把持部と前記コネクタ接続部とを別体で構成し、前記被覆電線と前記コネクタとで形成される接続構造体を検査する接続検査体と、端部をコネクタと接合した前記被覆電線を配索するとともに、前記コネクタ把持部を配設した電線配索盤と、該電線配索盤に配索した前記被覆電線の前記コネクタに接続する前記コネクタ接続部を配設した接続検査盤とを備えた接続検査システムであることを特徴とすることができる。
【0009】
前記コネクタとは、例えば、端部が前記被覆電線と連結している単一のまたは複数の圧着端子を装着可能な圧着端子用コネクタやピンなど、前記被覆電線の電気的接続に用いる端子などの装着が可能なコネクタを含む。
なお、前記コネクタは雄型や雌型のどちらも含み、前記接続検査体の設けた前記コネクタに対応する接続部位と接合可能な構成である。
【0010】
前記被覆電線とは、導電性を有する電線を絶縁体で被覆した単一の被覆電線や、単一の被覆電線を束ねたワイヤーハーネス、単一の被覆電線や前記ワイヤーハーネスの一部または全部をテープやプロテクタなどの外装などで覆ったものなどを含む。
【0011】
なお、前記電線は、銅線やアルミ線などの単一金属からなる導線、銅合金やアルミ合金などを材料とした合金線からなる単線、またはこれらの単線を撚り合わせた撚線、これらの単線を複数種類撚り合わせて形成した撚線などを含む。すなわち前記電線は、導電性を有する材質で形成された導線であり、また単線や撚り線などを含む。
【0012】
前記コネクタ接続部は、前記コネクタと直接接合することができるコネクタ接続部や、例えば前記コネクタとの接続のための接続コードを用いて接続する場合などの前記コネクタと間接的に接続可能なコネクタ接続部を含む。
【0013】
この発明により、前記被覆電線の端部がより集中しているような、スペースの少ない場所であっても、前記接続検査体の一部を配設することができる。
詳述すると、前記コネクタ把持部と前記コネクタ接続部とを別体で構成することにより、前記コネクタ把持部およびコネクタ接続部の各々の大きさは前記接続検査体に比べて十分に小さいため、十分なスペースがなく前記接続検査体の配設が困難な場所であっても、前記コネクタ把持部を配設することができる。
【0014】
したがって、前記被覆電線を所望の形状に配索することができる。これにより、前記被覆電線の長さを所望の長さとすることができ、前記被覆電線の重量の増加を抑え、全体の重量の軽減化を図ることができる。
【0015】
また、前記コネクタ把持部と前記コネクタ接続部とが別体で構成されているため、例えば、接続検査後に前記コネクタ接続部を取り外すことで、前記被覆電線の端部が前記コネクタと前記コネクタ把持部とを備える構成とすることができる。すなわち、前記被覆電線の端部にコネクタ把持部以外の他の接続体や接続体と連結するリード線などが接合されていない前記被覆電線の配索状態とすることができるため、配索された前記被覆電線が所望の形状となっているかの判断が容易にすることができる。
【0016】
このように、前記接続検査体の構成である前記コネクタ把持部と前記コネクタ接続部とを別体で構成することにより、前記接続検査体の一部を前記電線配索盤上に配設することができ、前記被覆電線を所望の形状に配索することができるとともに、配索された前記被覆電線が所望の形状であるかを容易に判断することもできる。
なお、前記コネクタ接続部は、前記コネクタ把持部と同一の前記電線配索盤上に配設することもできるし、前記コネクタ把持部と異なる盤上に配設することもできる。
【0017】
また、前記電線配索盤に配索した前記被覆電線を、前記電線配索盤から取り外すことなく接続検査を行うことができる。
詳述すると、前記電線配索盤に配索した前記被覆電線の端部に接合した前記コネクタに前記接続検査体を直接的または間接的に接続することで、前記被覆電線の接続検査を実施することができる。換言すると、前記電線配索盤に配索した前記被覆電線を前記電線配索盤から取り外すことなく、前記電線配索盤に配索されたままの状態で前記被覆電線の接続検査を実施することができる。
【0018】
したがって、接続検査の際に、前記電線配索盤に配設した前記被覆電線を前記電線配索盤から取り外して、前記接続検査盤に載せ替える手間を省略することができ、作業効率を向上することができる。
【0019】
また、仮に前記電線配索盤上に前記接続検査体を設けた場合、前記接続検査体は前記電線配索盤ごとに取付けて、前記電線配索盤ごとに異なる接続検査体を用いて接続検査を行うため、接続検査した前記被覆電線ごとに検査のばらつきが生ずるおそれがある。
【0020】
しかし、この発明により、前記コネクタ接続部を前記接続検査盤に配置するとともに、前記コネクタを前記電線配索盤に配置することで、共通の前記接続検査盤を用いて接続検査を行うことができるため、前記被覆電線ごとに検査のばらつきをなくすことができるとともに、共通の接続検査盤を用いて接続検査を行うことができるため経費を削減することができる。
【0021】
この発明の態様として、前記コネクタ把持部が把持した前記コネクタと前記コネクタ接続部とを接続する位置に向かって、前記コネクタ把持部、前記コネクタ接続部または前記コネクタのうちの少なくともいずれか一つを移動する接続部位接続用移動機構を備えることができる。
【0022】
上述の移動するとは、前記コネクタ把持部、前記コネクタ接続部または前記コネクタを相対的に移動することをさし、水平方向に移動する場合、垂直方向に移動する場合、水平方向と垂直方向を合わせて移動する場合も含む。
【0023】
また、上述の移動するとは、例えば、前記コネクタ把持部を水平方向に動かすとともに、前記コネクタ接続部を垂直方向に動かすなど、前記コネクタ把持部および前記コネクタ接続部、前記コネクタなどを独立に動かす場合や、これらを連動して動かす場合なども含む。
【0024】
この発明により、前記コネクタ把持部と前記コネクタ接続部が所定の間隔を隔てて配置された場合であっても、前記コネクタ把持部に把持された前記コネクタを前記コネクタ接続部と接続することができる。
【0025】
詳述すると、例えば、設計段階の誤差や前記被覆電線の配索時の誤差などにより、前記コネクタが前記コネクタ接続部と接続可能な位置に配置されない場合、接続検査の結果から前記被覆電線の導通がないのか、前記コネクタと前記コネクタ接続部との接触不良なのかが分からず、双方を確認する必要があり、確認作業に手間を要することとなる。
【0026】
しかし、この発明により、前記コネクタが前記コネクタ接続部と所定の間隔を隔てて配置されており、接続可能な位置にない場合であっても、前記コネクタと前記コネクタ接続部とを接続可能な位置に前記コネクタ、前記コネクタ把持部および前記コネクタ接続部の少なくとも一つを動かすことで、確実にコネクタとコネクタ接続部とを接続することができる。したがって、正確に前記被覆電線の接続検査を実施することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記コネクタ把持部が把持する前記コネクタを前記接続検査体と接続する位置となるように、前記コネクタ把持部、前記コネクタ接続部または前記コネクタの少なくとも一つの位置を調整する接続位置調整機構を備えることができる。
【0028】
上述の位置を調整するとは、例えば前記コネクタ接続部に対して前記コネクタの位置を水平方向の位置を調整する場合や、垂直方向の位置を調整する場合、前記コネクタと前記コネクタ接続部とが接続できるように全方位に位置調整することができる場合を含む。
【0029】
また、上述の少なくともいずれかひとつとは、前記コネクタ把持部や前記コネクタ接続部または前記コネクタのうちのひとつのみの位置を調整する場合や、例えば前記コネクタ把持部を水平方向に位置調整をし、前記コネクタ接続部を垂直方向に位置調整する場合や、前記コネクタ把持部と前記コネクタ接続部の双方が全方位で位置調整可能であって双方が位置調整する場合など複数の部位による位置合わせを組み合わせて全体の位置調整をする場合を含む。
【0030】
この発明により、前記コネクタを前記接続検査体に確実に接続することができる。
詳述すると、上述のように電子機器の増加に伴い前記被覆電線の本数が増加するとともに、前記コネクタ把持部に把持させる前記コネクタの数も増加するため、前記コネクタを前記コネクタ把持部に把持させる際に、人為的なミスにより前記コネクタが前記コネクタ把持部に確実に把持されずに、位置のズレが生じるおそれがある。
【0031】
しかしながら、上述のように前記コネクタの位置が前記接続検査体との接続位置とずれていることにより接続できない場合であっても、前記接続位置調整機構により、前記コネクタの位置を前記接続検査体と接続可能な位置に調整することができる。
したがって、前記コネクタを前記接続検査体に確実に接続することができ、前記コネクタを端部に備える前記被覆電線の接続検査を確実に行うことができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記コネクタ把持部と前記コネクタ接続部の少なくとも一方に、前記コネクタ把持部に把持する前記コネクタを前記コネクタ接続部に接続する位置に案内する案内部を備えることができる。
【0033】
この発明により、前記コネクタ把持部が把持する前記コネクタを前記コネクタ接続部に案内することができるため、前記コネクタと前記コネクタ接続部とをより確実に接続することができ、前記コネクタが端部に接合する前記被覆電線の接続検査を容易かつ確実に行うことができる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記電線配索盤と前記接続検査盤とが対向するように、前記電線配索盤と前記接続検査盤の少なくとも一方を移動する移動機構を備えることができる。
【0035】
上述の前記電線配索盤と前記接続検査盤とが対向するとは、前記電線配索盤および前記接続検査盤の全面が向かい合っている場合や、前記電線配索盤の面の一部と前記接続検査盤の面の一部とが向かい合っている場合も含む。また面の一部や面の全部が向かい合っている場合の他、面同士が一定の距離を保って対面する場合も含む概念である。
【0036】
上述の移動するとは、前記電線配索盤と前記接続検査盤とが相対的に移動することを指し、例えば、前記電線配索盤と前記接続検査盤の面同士が所定の間隔を保ったまま、どちらか一方または双方を水平移動する場合や、前記電線配索盤に対して前記接続検査盤が相対的に所定の間隔を保ったまま平行移動する場合、前記電線配索盤と前記接続検査盤との間隔を変えながら平行移動する場合を含む概念である。
【0037】
この発明によれば、前記電線配索盤に前記被覆電線の配索作業を邪魔することなく接続検査を行うことができる。
詳述すると、例えば、前記接続検査盤から離れた場所で前記被覆電線を前記電線配索盤に配索した後に、前記電線配索盤または前記接続検査盤の少なくとも一方を移動し、前記コネクタを前記接続検査体と接続することができる。すなわち、前記接続検査盤が邪魔とならない場所で前記電線の配索作業が行うことができ、配索完了後に前記に電線配索盤上に配索した前記被覆電線と前記接続検査体とを接続することで前記被覆電線の接続検査を行うことができる。これにより、前記被覆電線の配索および接続検査を効率よく行うことができる。
【0038】
またこの発明の態様として、前記電線配索盤と前記接続検査盤の少なくとも一方を、前記電線配索盤と前記接続検査盤とが対向する方向に移動する対面移動機構を備えることができる。
上述の対向する方向とは、前記電線配索盤の面と前記接続検査盤の面とが互いに接近する方向あるいは離れる方向をさす。すなわち、対向する前記電線配索盤の面と前記接続検査盤との面同士の距離を変更する方向をさす。
【0039】
また、上述の移動するとは、前記電線配索盤および前記接続検査盤の相対移動をいい、具体的には前記電線配索盤および接続検査盤の一方または双方が移動することをさす。なお、上述の移動するとは、前記電線配索盤および接続検査盤の全面が移動する場合の他、一部が対向方向に移動する場合も含む。
【0040】
この発明により、前記電線配索盤と前記導通検査盤とが対向する方向において、盤同士の距離を調整することで前記コネクタと前記導通検査装置とを容易に接続することができる。
【0041】
また、前記被覆電線を立体的に配索した場合であっても、前記被覆電線が前記接続検査盤に設けられた接続検査体と干渉することなく接続検査を行うことができる。
詳述すると、前記電線配索盤に配索する前記被覆電線は、所定の設計図に基づいて配索されるが、前記被覆電線は車両内の電子機器の配置に合わせて立体的に配索することがある。このように立体的に配索された被覆電線は、前記被覆電線を配索した前記電線配索盤を前記接続検査盤と対向する位置に移動した際に前記接続検査盤に備わる接続検査体と干渉する可能性があった。
【0042】
しかし、この発明によると、前記電線配索盤と前記接続検査盤の少なくとも一方を移動する際に、前記電線配索盤に立体的に配索された前記被覆電線などと前記接続検査盤に備わる前記接続検査体とが干渉しないように盤同士の距離を保ったまま平行移動した後に、前記電線配索盤と前記接続検査盤とが対向する方向に前記電線配索盤を前記コネクタと前記コネクタ接続部とが接続可能な位置に相対移動することができる。
【0043】
このように立体的に配索された前記被覆電線が前記接続検査体と干渉しない位置で前記電線配索盤を前記接続検査盤に対して相対移動した後に、前記電線配索盤と前記接続検査盤とが対向する方向に相対移動することで、前記コネクタと前記接続検査体とを接続することができる。
【0044】
したがって、前記電線配索盤に立体的に配索した前記被覆電線が、前記接続検査盤に備わる前記接続検査体と干渉することなく、前記被覆電線と前記接続検査体とを接続可能な位置に相対移動できるとともに、前記被覆電線を電線配索盤から取り外すことなく接続検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明により、前記被覆電線の端部がより集中しているような、スペースの少ない場所であっても前記接続検査体の一部を配設することができる接続検査システムを提供することができる
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】導通検査システムの概略斜視図。
図2】電線検査盤の概略斜視図。
図3】ワイヤーハーネスの説明図。
図4】導通検査盤の概略斜視図。
図5】ワイヤーハーネスの導通検査のフローチャート。
図6】導通検査盤に対する電線配索盤と移動用台の水平移動の説明図。
図7】導通検査盤に対する電線配索盤の垂直方向への移動に関する説明図。
図8】コネクタと導通検査装置の接続に関する説明図。
図9】コネクタとコネクタ接続部の接続の説明図。
図10】他の導通検査システムの概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
この発明の一実施形態を以下図面1乃至図面10に基づいて詳述する。
図1は、導通検査システム1の概略斜視図を示し、図2は電線配索盤2および移動用台3の説明図を示し、図3は端子付ハーネス4の説明図を示し、図4は導通検査盤5の概略斜視図を示す。
【0048】
詳述すると、電線配索盤2(a)は電線配索盤2および移動用台3の分解斜視図を示し、図2(b)は+X軸方向から見た場合の電線配索盤2および移動用台3の正面図を示し、図4(a)は導通検査盤5の平面を示した斜視図を示し、図4(b)は導通検査盤5の底面を示した斜視図を示す。
【0049】
図5は端子付ハーネス4の導通検査方法を示すフローチャートであり、図6は導通検査盤5に対する電線配索盤2および移動用台3の水平移動の説明図を示し、図7は+X軸方向から見た場合の導通検査盤5に対する電線配索盤2の垂直方向への移動に関する説明図を示し、図8は端子付ハーネス4と導通検査装置6との接続に関する斜視図を示し、図9はコネクタ43と接続体633との接続を説明する説明図を示し、図10は導通検査システム1の別の実施形態である導通検査システム1aの概略斜視図を示す。
図7(a)は電線配索盤2、移動用台3および導通検査盤5を+X軸方向から見た場合の全体の正面図を示し、図7(b)および図7(c)は図7(a)におけるα部の拡大図を示す。
【0050】
なお、図1乃至図10において、配索用板21の長手方向をX軸方向とし、短手方向をY軸方向とする。また、X軸およびY軸の双方に対して垂直な方向をZ軸方向とする。さらに、図1において、左方向を+X軸方向、右方向を−X軸方向とするとともに、手前方向を+Y軸方向、奥方向を−Y軸方向とする。さらにまた、図1において上方向を+Z軸方向、下方向を−Z軸方向とする。
【0051】
導通検査システム1は、図1に示すように、端子付ハーネス4を配索する電線配索盤2と、電線配索盤2は水平方向に移動可能な移動用台3と、導通検査装置6の大部分を配設する導通検査盤5と、導通検査装置6とで構成する。
【0052】
電線配索盤2は、図2に示すように、端子付ハーネス4を配索するための一枚の長方形型をした木製の平板である配索用板21と、端子付ハーネス4を配索する際に用いる治具である布線治具22、移動用台3との相対位置を調整するための相対位置調整凹部23とで構成され、配索用板21の外周内側に形成された複数の貫通孔24が設けられている。また、配索用板21の上面には、後述する導通検査装置6の一部分であるコネクタ把持部62を配設されている。
【0053】
布線治具22は、上方がY型である金属製の治具と、配索用板21と固定可能な固定具を有する台と、治具と台とを結ぶ円柱状の支柱とで構成しており、端子付ハーネス4の配索経路が所望の形状となるように電線配索盤2上に事前に配設する治具である。このように配設された布線治具22に沿って端子付ハーネス4を配索することで、所望の形状の端子付ハーネス4を配索することができる。
なお、布線治具22の形状はY型である必要はなく、例えば三又形状のものなど、端子付ハーネス4の枝分かれの形状など設計図の配索状体に合わせて多種多様な形状のものを用いる。
【0054】
相対位置調整凹部23は、配索用板21の上面に設けられた円柱体であって、配索用板21の各頂点から所定の距離分内側に1本ずつ設けられており、それぞれの相対位置調整凹部23は配索用板21に固定され、相対位置調整凹部23の上面には凹部23aが形成されている(図7(b)参照)。凹部23aに形成された穴は底面に向かうにつれて徐々に小さくなっていることから、相対位置調整凹部23に形成された凹部23aはテーパー状に形成されている。
【0055】
配索用板21をZ軸方向に貫通している貫通孔24は、配索用板21の長辺側に複数個形成されており、それぞれの貫通孔24は配索用板21の長手方向に沿って所定の間隔で並んでいる。
なお、本実施例において、貫通孔24は電線配索盤2を貫通しているが、必ずしも貫通している必要はなく、例えば非貫通の穴部としても良い。
【0056】
また、相対位置調整凹部23および貫通孔24の数は配索用板21の大きさに合わせて適宜変更可能である。すなわち、相対位置調整凹部23は4本に限られるものではなく、また貫通孔24も4つに限られるものではない。また、貫通孔24は相対位置調整凹部23に対して外側に形成されているが、必ずしも相対位置調整凹部23の外側である必要はないが、後述する昇降機構55との関係で外側にある方が好ましい。
【0057】
電線配索盤2を保持する移動用台3は、図2に示すように、長方形状の外枠31と、その外枠31の頂点から下方に延びる4本の脚部32と、各脚部32の下端側には移動用台3を水平方向に移動可能とするキャスタ33とで構成する。
【0058】
外枠31は、X軸方向に延びる配索用縦材31xとY軸方向に延びる配索用横材31yとで形成した長方形状の外枠であり、電線配索盤2を移動用台3に設置した際に、配索用板21に設けられた貫通孔24が外枠31(配索用縦材31x)よりも外側に位置するように、配索用板21よりも一回り小さく形成されている(図2(b)参照)。
【0059】
外枠31の中央部分には移動用台3を補強するための補強材として補強用横材34が配索用横材31yと並列して設けられており、また外枠31に電線配索盤2を配置した後に、電線配索盤2を移動用台3上に保持するための配索板保持手段が取付けられている(図示省略)。
【0060】
脚部32は、外枠31が形成する長方形の各頂点から−Z方向に下した脚部であり、脚部32の下端には移動用台3が水平方向に移動可能なようにキャスタ33が取付けられているとともに、脚部32の下端部には、移動用台3の移動を規制するときに用いられるストッパを備えている(図示省略)。
なお、本実施例において、移動用台3は脚部32を4本備えているが、外枠31の大きさに合わせて適宜変更してもよい。
【0061】
また、移動用台3の移動を規制するストッパは必ずしも脚部32に設ける必要もなく、例えば、キャスタ33をストッパ付きキャスタとしてもよく、また移動用台を持ち上げることでキャスタ33が接地しなくなる構成のストッパなどの別体としてストッパを設ける構成としても良い。すなわち、移動用台3の移動を規制することができればどのような構成であってもよい。
【0062】
配索用板21に配索する端子付ハーネス4は、図3(a)に示すように、複数本の被覆電線41と、被覆電線41の端部に接合された圧着端子42と、圧着端子42を収容可能なコネクタ43とで形成されている。
【0063】
被覆電線41は、導線を絶縁樹脂で被覆した絶縁体被覆電線であり、圧着端子42と圧着接続する前に、図示しない被覆剥離装置によって、被覆電線の先端部分である絶縁樹脂を予め剥離している。
【0064】
ここで、本実施例においては、被覆電線の導線は、銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金などの線材を、単独で、または複数本撚り合わせて構成することが望ましい。なお、導線は、これに限らず使用環境に応じて適宜設定することができる。
【0065】
圧着端子42は、絶縁樹脂を剥離した被覆電線の先端部分を挿入し圧着する圧着部42aと、圧着部の前方(図4(a)中の−X軸方向)側に構成されたボックス部42bと、圧着部とボックス部とを接続するトランジション部42cとで構成されている。
【0066】
ここで、図3においては、圧着端子42の圧着部42aがクローズド型の圧着端子としているが、クローズド型の圧着端子に限るものではなく、他の形状の圧着端子でもよく、また圧着端子以外の端子やピンなどであっても良い。すなわち、被覆電線41の導通に用いられる接続端子であればどのような形状は特定しない。
【0067】
コネクタ43は、図3(a)に示すように、圧着端子42と対向する面(+X軸方向側)にボックス部42bを装着可能な複数の収納部43aを形成するとともに、収納部43aの背面側(−X軸方向側)に後述する接続部位632の挿入する連結用収納部(図示省略)を収納部43aに対応する数だけ有する筐体である。
【0068】
なお、コネクタ43に設けられた収納部43aの数やコネクタ43の形状は、本実施形態における個数や形状に限るものでなく、使用する電子機器類や電源などに合わせて適宜その数や形状を変更することができ、また収納部43aの形状も圧着端子42の形状などに合わせて適宜設定することができる。
【0069】
導通検査盤5は、図4に示すように、検査用板51と、導通検査盤5の台である導通検査用台52、導通検査用台52の上部に備えられた水平板53、導通検査用台52のXZ平面に設けられた支柱54、支柱54に備えられた昇降機構55、検査用板51の下面に配設された相対位置調整突部56とで構成する。
【0070】
検査用板51は、配索用板21と同一の材質で形成されるとともに、同一大きさを有する長方形状の平板であり、後述する導通検査装置6の導通検査本体61などを上面に配設するとともに、下面側に導通検査装置6の一部を配設する。
【0071】
このように検査用板51と配索用板21の材質及び大きさを同じにすることで、例えば、湿度や温度の変化による板の膨張などを同じ状態とすることができるため、環境変化によって検査用板51と配索用板21との間で生じる誤差を低減することができる。
【0072】
導通検査盤5の台である導通検査用台52は、X軸方向に沿った検査用縦材52x、Y軸方向に沿った検査用横材52yとZ軸方向に沿った検査用垂直材52zとで構成され、検査用縦材52x、検査用横材52y、検査用垂直材52zとで移動用台3よりも大きな直方体状の外枠を形成する。
【0073】
具体的には、検査用縦材52xおよび検査用横材52yは、それぞれ配索用縦材31xおよび配索用横材31yよりも長く、また検査用垂直材52zの長さは、移動用台3に電線配索盤2を配置した高さに比べて導通検査用台52が高くなる長さとしている。換言すると、導通検査用台52は、移動用台3よりも一回り大きく形成されており、内部に電線配索盤2を保持した移動用台3を収容できる収納空間Sを形成する。また、導通検査用台52には、移動用台3が収納空間S内において所望の位置に仮固定するための位置決め手段を備えている(図示省略)。
なお、本実施例において、図4に示すように、移動用台3を収納空間Sに収容する際に移動の妨げとならないように、検査用横材52yは図面中の+X軸方向側の下部には設けていない。
【0074】
水平板53は、導通検査用台52の上端であってY軸方向の端部にそれぞれ配置された表面が滑らかな長方形状の水平板であり、長辺の長さが検査用板51の長辺の長さと等しく、短辺の長さは、電線配索盤2を保持した移動用台3を収納空間Sに収納した状態において、少なくとも電線配索盤2の貫通孔24に対応する検査用板51の位置が、水平板53上にある状態となる長さである(図7参照)。
【0075】
支柱54は、上下に平行して並んだ検査用縦材52xと垂直に交わる支柱であり、52xの中央部において所定の間隔を隔て2本並列している。また、支柱54の上部に昇降機構55を備えている。
【0076】
より具体的には、支柱54は、電線配索盤2を保持した移動用台3を収納空間Sに収納した際に、配索用板21に設けられた貫通孔24に対応する位置に設けられており、昇降機構55は配索用板21よりも下方に位置するように設けられている。
【0077】
昇降機構55は、長手方向がY軸方向に沿って収納空間Sに向かうように形成された直方体であって、昇降機構55の上面には貫通孔24の内径よりも一回り小さい径を有する半球を上面に備えた円柱で形成された突出部55aを備えてあり、昇降機構55の長手方向の外側端部を支柱54が貫通している。また、55は電線配索盤2を保持した移動用台3を収容する際に、脚部32と干渉しない長さであるとともに、収納空間Sに収納された電線配索盤2の貫通孔24と対応する位置に突出部55aが位置する程度の長さを有する。(図7参照)。
さらにまた、昇降機構55は、図示しない昇降装置と繋がっており、各支柱54に設けられた昇降機構55が連動して支柱54に沿って上下方向に昇降できる構成である。
【0078】
ここで昇降機構55の長辺の長さは、自由に設定できるが、長すぎると、支柱44との連結部位に過度な負荷がかかる恐れがあるため、長辺は長すぎない程度にすることが好ましく、突出部55aの位置に対して一回り程度長いような形状が好ましい。
なお、支柱54及び昇降機構55を増やすことで負荷を軽減する構成としてもよい。
【0079】
相対位置調整突部56は、配索用板21を検査用板51に対向して配置した際に、配索用板21の上面に設けた相対位置調整凹部23と対応する検査用板51上の位置に設けられた円柱体であって、相対位置調整凹部23に設けられた凹部と嵌合可能な突部56aを有する(図7参照(b))。また、相対位置調整突部56の内部であって突部56aの上面と相対位置調整突部56の上面との間には、突部56aに係る負荷を吸収するためのコイルバネが内蔵してある(図示省略)。
【0080】
なお、相対位置調整突部56の内部に設けられたコイルバネは、突部56aに係る負荷を吸収できるものであればどのようなものであってもよく、例えば板バネ、高分子樹脂からなるゴムなどの弾性材であってもよいし、オイルなどの液体で圧力を吸収できる構成や、所要の空気圧を有する気体を内蔵する構成であってもよい。
【0081】
導通検査装置6は、図3および図8に示すように、導通検査盤5に設置する導通検査本体61と、コネクタを把持するコネクタ把持部62と、コネクタ43と接続可能な構成を有するコネクタ接続部63、コネクタ接続部63と導通検査本体61とを連結するリード線64、コネクタの位置調整を行うコネクタ調整部65とで構成される。
【0082】
導通検査本体61は、検査用板51の上面に備え付けられた導通検査装置の本体であり、導通検査本体61から伸びるリード線64の端部と端子付ハーネス4とを、コネクタ接続部63を介して接続することで端子付ハーネス4が導通していることを確認することができる。
なお、本実施例において、導通検査本体61を検査用板51に備えているが、必ずしも検査用板51に備える必要はなく、例えば導通検査用台52に備えてもよいし、別体で構成してもよい。
【0083】
コネクタ把持部62は、電線配索盤2に配索された端子付ハーネス4の端部に備わるコネクタ43を把持する導通検査装置6とは別体で構成された把持部であって、配索用板21の上面に配設されている。具体的には、図3に示すように、上部にコネクタ43よりも一回り大きな筐体で構成するコネクタ把持体621と、コネクタ把持体621の下方には所定の長さの把持部用支柱622と、支柱の端部には固定具(図示省略)を備える把持部用土台623とで構成いる。
【0084】
より具体的には、コネクタ把持体621の幅(Y軸方向)および高さ(Z軸方向)は、コネクタ43の幅および高さと比べて長いが、コネクタ把持体621の奥行(X軸方向)はコネクタ43の奥行きと同じ長さの構成である。
【0085】
また、コネクタ把持体621の上面には、コネクタ43を収納可能な把持用凹部624を形成しており、コネクタ43から被覆電線41が伸びる方向(図中の+X軸方向)には、把持用凹部624を形成する壁面の一部を切り欠いた切欠部625を有する。また、図9に示すように、コネクタ把持体621の切欠部625と反対側の端面には、案内用突部626を備えている。
【0086】
このように構成されたコネクタ把持部62に被覆電線41と結合したコネクタ43を把持させると、コネクタ43は−X軸方向に少し飛び出して収納されるとともに、切欠部625から被覆電線41を配索方向に伸ばすことができる(図3(c)参照)。
【0087】
コネクタ接続部63は、図8および図9に示すように、導通検査盤5の下面に配設された四角柱状の外装容器631と、コネクタ43bと接続可能なコネクタ接続部位632と、外装容器631に内包されたコネクタ接続部位632を備える接続体633、コネクタ把持体633に備えられたコネクタ把持体621と嵌合可能な接続案内凹部634、接続体633をY軸方向の移動させるピストン635、接続体633の後部と外装容器631の側壁との間に備わる移動規制バネ636、コネクタ把持部626と嵌合可能な接続部側案内穴部637で構成されている。
【0088】
外装容器631は、図8および図9に示すように、四角柱状の箱体であり、内部が中空状となっており、内部空間には接続体633、ピストン635、移動規制バネ636および、接続体633と接続するリード線64の一部が内包されている。また、外装容器631の一面(図中+Y軸方向)には、接続体633に備わる接続端子632が、コネクタ43の方向に移動できるように開口部638を有する。
なお、外装容器631の上面には図示しない固定具を有しており、検査用板51の下面と固定されている。
【0089】
接続体633は、図8および図9に示すように、側面視した場合において(図8において−X軸方向から視た場合)、Z軸方向に沿って平行な二本の線分とY軸方向に沿って平行な二本の線分を有する五角形の形状をしており、Z軸方向に平行な二線のうち+Y軸方向側に位置する辺の長さは接続部側案内穴部637の高さと同じ長さであり、短辺の長さは長辺の約半分程度の長さである。
【0090】
また側面視においてY軸方向に沿って平行な二線のうち、長辺は接続体633の下端側にあり、その長さは外装容器631の幅よりも一回り短く、また短辺は外装容器631の厚さと比べて十分な長さを有する。また、接続体633のX軸方向の長さは接続部側案内穴部637のX軸方向の長さと同じ長さである。そして、接続体633の上面には、図9に示すように、所定の傾きを有する面が形成されている。
【0091】
接続体633の+Y軸側の面には、対向するコネクタ43およびコネクタ把持部62の面と嵌合可能な窪みである接続案内凹部634が形成されており(図8参照)、接続案内凹部634にはコネクタ43に装着された圧着端子42と接続可能な接続部位632が設けられている。さらに、接続案内凹部634の下端側にはコネクタ把持部62に設けられたコネクタ把持体621と嵌合可能な接続案内凹部637を有する。
【0092】
ピストン635は、外装容器631の内部に設けられた円柱状のピストンであり、ピストンの下面は、リード線643の傾きを有する上面と同じ傾きを有している。また、ピストン635の中央部分には図示しないコイルバネが内蔵されており、ピストン635に負荷がかかった場合にその負荷を吸収することができる構成となっている。
このように構成されたピストン635は、図9に示すように、−Z軸方向に下がることで接続体633を+Y軸方向に移動させるカム機構を形成する。
【0093】
移動規制バネ636は、図9に示すように、接続体633の−Y軸側に形成された面と、これに対向する外装容器631の内壁面との間に取り付けられたコイルバネであり、ピストン635が上方に移動する際に、接続体633を−Y軸方向に移動させる機能を有する。
【0094】
なお、本実施例において、移動規制バネ636に設けたコイルバネを用いているが、弾性作用があれば、形状および材質などは特に指定はなく、例えば板バネやでも良いし、弾性作用を有するゴムなどの高分子樹脂であってもよい。さらには、バネなどの物理的な弾性物質でなく、例えば空気圧などを利用して移動規制バネ636を動かしても良い。
【0095】
リード線64は、一端がコネクタ接続部63の内部に備えられた接続体633と、より具体的には接続体633に備えられた接続部位632と連結しているとともに、他端側が検査用板51を貫通する貫通孔を通り導通検査本体61と連結しているリード線である。
【0096】
コネクタ調整部65は、図8および図9に示すように、検査用板51の下面であって配索用板21に備えられたコネクタ把持部62と対応する位置に配設された円柱状の棒状体であって、その下端側に円柱状の押下具を備えている。また、内部に図示しないコイルバネを備えることにより、例えば、コネクタ調整部65に下方から過度の負荷がかかった場合にその負荷を吸収することができる。
【0097】
なお、ピストン635およびコネクタ調整部65に内蔵されているバネは、弾性体であればどのようなものでもよく、移動規制バネ636と同様に、例えば板バネでも良いし、弾性作用を有するゴムなどの高分子樹脂であってもよい。さらには、バネなどの物理的な弾性物質でなく、例えば空気圧などを利用するものでも良い。
【0098】
以下において、このような構成を有する導通検査システム1を用いた端子付ハーネス4の導通検査の方法を、図5乃至図9に基づいて説明する。
先ず、端子付ハーネス4の配索工程(ステップs1)、電線配索盤2および移動用台3の水平移動工程(ステップs2)、電線配索盤2の垂直移動工程(ステップs3)、コネクタ43と接続体633の接続工程(ステップs4)、導通検査工程(ステップs5)からなる端子付ハーネス4の導通検査方法について図5に基づいて簡単に説明する。
【0099】
先ず、予め定めた設計に基づいて端子付ハーネス4を配索用板21に配索し(ステップs1)、端子付ハーネス4を配索した配索用板21を移動用台3に設置するとともに、電線配索盤2を移動用台3に保持して−X軸方向に水平移動させて脚部32の収納空間Sに収納する(ステップs2)。次に、電線配索盤2に設けたコネクタ43と導通検査盤5に設けた接続体633とが接続可能な位置となるように電線配索盤2を、昇降機構55を用いて上方に移動させる(ステップs3)。そして、接続体633をコネクタ43の方向に移動させ、コネクタ43と接続体633とを接続させ(ステップs4)、端子付ハーネス4の導通検査を行う(ステップs5)。
【0100】
導通検査後は、逆の工程を踏むことで端子付ハーネス4を配索した電線配索盤2を移動用台3から分離することができる。
具体的には、ピストン635を上方に戻すことでコネクタ43と接続体633とを分離した後に、昇降機構55を下方に下げることで電線配索盤2を移動用台3に保持することができる。そして、電線配索盤2を保持した移動用台3を+X軸方向に水平移動して収納空間Sから出すことで、導通検査盤5に干渉されることなく電線配索盤2を移動用台3から分離することができる。
【0101】
以下、各工程を詳しく説明する。
端子付ハーネス4の配索工程においては(ステップs1)、予め端子付ハーネス4の配索経路を設計しておき、その設計に基づいて布線治具22を配索用板21の上面に配設するとともに、端子付ハーネス4の端部が配置される位置にコネクタ把持部62を配設する。この際布線治具22の底面に備えた固定具および、把持部用土台623に備えた固定具を用いて布線治具22およびコネクタ把持部62を配索用板21に固定する。次に、所望の長さの被覆電線41の端部に圧着端子42を接合し、圧着端子42を収納部43aに装着して被覆電線41と圧着端子42とコネクタ43とが一体として形成された端子付ハーネス4を準備する。そして、端子付ハーネス4を配索用板21に配設した布線治具22に沿って配索し、コネクタ43を上方から把持用凹部624に嵌合させる。上方からコネクタ43を把持用凹部624に嵌合させることにより、被覆電線41が切欠部625から配索方向に延ばせるため、コネクタ把持部62が端子付ハーネス4の配索を妨げない。
【0102】
このように順次端子付ハーネス4を配索用板21上に配索し、端部のコネクタ43をコネクタ把持部62に嵌合させることで、配索用板21の上面に予め設計された配索経路と同一の形状で端子付ハーネス4を配索することができ、配索された複数の端子付ハーネス4を例えばテープやプロテクタなどの外装で保護するとともに束ねて一体とする。
【0103】
次に、端子付ハーネス4を配索した電線配索盤2を移動用台3の上に設置し、外枠31に備えた配索板保持手段(図示省略)で電線配索盤2を保持させる(図2参照)。そして、導通検査用台52に備わる位置決め手段(図示省略)により移動用台3を所望の位置で仮固定する位置まで電線配索盤2を保持した移動用台3を導通検査盤5の収納空間Sに水平移動させ(図6参照)、キャスタ33に備わるストッパで移動用台3の移動を規制する。このようにして電線配索盤2および移動用台3を収納空間S内に収納することができる(ステップs2)。
【0104】
次に、電線配索盤2の垂直移動工程(ステップs3)について図7に基づき説明する。
移動用台3は所望の位置において移動が規制されているため、移動用台3に配置された配索用板21と導通検査盤5とは対応する位置に配置されている。したがって、配索用板21を貫通する貫通孔24と昇降機構55とが対応する位置に配置され、また、配索用板21の上面に設けられた相対位置調整凹部23と検査用板51の下面に設けられた相対位置調整突部56とが対応する位置に配置される。このため、昇降機構55を図示しない昇降装置により上方(+Z軸方向)に上昇させることにより、突出部55aが貫通孔24に嵌合することができる。
【0105】
この際、配索用板21に設けた貫通孔24の位置が対応する突出部55aの位置とずれていても、突出部55aの上端が貫通孔24の径よりも一回り小さい半球状になっているため、テーパーの役割を果たし、貫通孔24に突出部55aが確実に嵌合することとなる。
【0106】
次に、突出部55aと貫通孔24と嵌合した状態で昇降機構55を上昇させることで、電線配索盤2を持ち上げ(図7(c)参照)、配索用板21と検査用板51とが接近し、相対位置調整凹部23と相対位置調整突部56とが嵌合することとなる。
【0107】
具体的には、貫通孔24と支柱54aとが嵌合することにより、電線配索盤2と導通検査盤5とが昇降機構55を介して一体として構成されることとなるため、配索用板21および検査用板51にそれぞれ設けた相対位置調整凹部23と相対位置調整突部56とは対向する位置に配置されることとなる。この状態で昇降機構55をさらに上昇させることにより、相対位置調整凹部23と相対位置調整突部56とを嵌合させることができる。
【0108】
また、仮に、配索用板21と検査用板51との位置にズレがあった場合であっても、相対位置調整突部56の下面には相対位置調整凹部23に設けられた凹部23aの径よりも一回り小さい径を有する突部56aを有するとともに、凹部23aがテーパー状に形成されているため、配索用板21が上昇した際に突部56aは凹部23aと嵌合する位置に位置調整をすることができる。
【0109】
より詳しくは、検査用板51を配置する水平板53の表面が滑らかなことから水平板53上を水平方向に移動することができる。したがって、対応する凹部23aと突部56aとの位置にズレが合った場合であっても、突部56aがテーパー状に形成された凹部23aに対して嵌合する際に、水平板53上に配置されている検査用板51が水平板53上を水平方向に移動することができ、突部56aが凹部23aと嵌合できる位置となるように検査板51の位置を容易に調整することができ、導通検査盤5が電線配索盤2に対して適切に対応できる位置となるように位置調整することができる。
【0110】
上述の工程により、コネクタ43が接続体633と接続可能な位置となるように、電線配索盤2と導通検査盤5との位置を調整することができる。
なお、電線配索盤2と導通検査盤5とは同一の材質であって同一の大きさであるため、温度や湿度などによる位置の誤差は軽減されているため、電線配索盤2と導通検査盤5との位置調整がより確実に行える。
【0111】
また、配索用板21あるいは検査用板51が完全に平行な状態でない場合であっても、昇降機構55を上昇することによって相対位置調整凹部23と相対位置調整突部56とが嵌合した際に相対位置調整突部56に係る負荷は、相対位置調整突部56内に設けたバネ(図示省略)が吸収することができるため、電線配索盤2および導通検査盤5に多数配設されている相対位置調整凹部23および相対位置調整突部56の一部に過度の負荷はかかることがない。
【0112】
次にコネクタ43と接続体633との接続工程(ステップs4)について図8および図9に基づいて説明する。
上述の垂直移動工程(ステップs3)を経た配索用板21および検査用板51は、図8に示すように、コネクタ把持部62に把持されたコネクタ43とコネクタ接続部63に内包された接続体633とが対向する位置に配置される。なお、コネクタ43はコネクタ調整部65により押下されることにより確実にコネクタ把持部62に把持されている。
【0113】
このように配置されたコネクタ43と接続体633との接続工程(ステップs4)に関して詳しく説明する。
先ず、コネクタ接続部63の内部に設けられたピストン635が−Z軸方向に下がることにより、コネクタ433が+Y軸方向に押し出されることとなる(図9(a)参照)。この際、コネクタ把持部62に設けられたコネクタ把持部626が接続部側案内穴部637と嵌合する。
【0114】
さらにコネクタ調整部65が下方に下がることにより、押し出された接続体633に形成する接続案内凹部634がコネクタ43と嵌合し(図9(b)参照)、接続案内凹部634に設けられた接続部位632とコネクタ43に装着した圧着端子42とが接続されることとなる。
【0115】
なお、コネクタ43の被覆電線41が伸びている側(図8中の+Y軸側)側面は切欠部625の側面と接触しているため、接続体633がコネクタ43側に移動しても、コネクタ43は+Y軸方向に移動せず接続案内凹部634と嵌合し、コネクタ43に装着した圧着端子42のボックス部42bと接続部位632とが接続することができる。
【0116】
このようにして接続された接続部位632と圧着端子42とは、リード線64を介して導通検査本体61と繋がっているため、端子付ハーネス4が電気的に接続されているかの導通検査を行うことができる(ステップs5)。
なお、本実施例において、検査用板51は配索用板21と同様に一枚板で形成されているが、本実施形態に限られるものではなく、図10に示すように、検査用板51を二枚に分割した分割検査板51aで構成された導通検査システム1aとしてもよい。
【0117】
以下、導通検査システム1aについて、図10に基づいて、詳細に説明する。なお、以下で説明する導通検査システム1aの構成のうち、上述した実施例における導通検査システム1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0118】
分割検査板51aは、検査用板51をX軸方向に対して半分に分割した構成であること以外は検査用板51と同様の構成である。
なお、本実施例において、分割検査盤51aの枚数を二枚としているが、この枚数に限定するものではなく、電線配索盤2の大きさなどに合わせて適宜変更することができる。また、分割検査盤51aの形状も、本実施形態の形状に限られるものでなく、例えば電線配索盤2の形状や配索された端子付ワイヤーハーネス4の形状に合わせて適宜変更できるものである。
【0119】
具体的には、分割検査板51aの下面には、検査用板51と同様に、それぞれ配索用板21が分割検査板51aと対向する位置に配置された際に、コネクタ把持部62および相対位置調整凹部23と対応する位置にコネクタ接続部63およびコネクタ調整部65が配設されている。
また、二枚の分割検査板51aは、検査用板51と同様に、検査用縦材52x、検査用横材52yおよび検査用垂直材52zで構成された導通検査用台52の上部に備えられている水平板53の上に配置している。
【0120】
導通検査装置6の構成である導通検査本体61は、−X軸側に位置する分割検査板51aに配置されており、リード線64は+X軸側に位置する分割検査板51aに配索されている接続体633と連結しているリード線64aと、―X軸側に位置する分割検査板51aに配索されているリード線64bとで構成され、リード線64用の接続コネクタであるリード線接続コネクタ66を介して接続されている。なお、リード線64bの端部は導通検査本体61と連結している。
【0121】
このような構成を有する導通検査システム1aの導通検査方法について説明する。
導通検査システム1と同様に、導通検査システム1aは端子付ハーネス4を配索した配索用板21を移動用台3に保持させて、導通検査盤5が形成する収納空間Sの所望の位置まで移動することができる。移動用台3を所望の位置まで移動させた後、昇降機構55を上昇させることにより、配索用板21を分割検査板51aと接近させる。
【0122】
ここで、導通検査システム1の場合と同様に、昇降機構55を上昇させることにより、分割検査板51aと配索用板21との位置調整をすることができる。
具体的には、図7に示すように、配索用板21を昇降機構55が持ち上げることで、各分割検査板51aの下面に設けられている相対位置調整突部56と、配索用板21の上面に備えられている相対位置調整凹部23とが嵌合する。この際、相対位置調整凹部23に設けられた凹部23aがテーパー状となっているため突部56aが容易に凹部23aに入り込むと同時に、分割検査板51aの位置と対応する配索用板21の位置との間に誤差がある場合、相対位置調整突部56と相対位置調整凹部23とが嵌合する過程において、分割検査板51aが水平板53上を水平移動し、配索用板21に対応した位置となる。したがって、コネクタ把持部62が把持するコネクタ43と接続体633とを接続に適した位置とすることができる。
【0123】
ここで導通検査システム1aにおいては、個々の分割検査板51aが独立して位置の調整をすることができるため、それぞれの分割検査板51aに設けられた接続体633とこれに対応するコネクタ43とを適切な位置に配置することができる。すなわち、検査用板51が一枚板の場合と比較して各コネクタ43と接続体633との位置の誤差が少なく、コネクタ43と接続体633とを確実に接続することができる。
【0124】
このように、端部にコネクタ43を接合した被覆電線41とコネクタ43とで形成される端子付ハーネス4を検査する導通検査装置6であって、導通検査装置6を、コネクタ43を把持するコネクタ把持部62と、コネクタ43と接合する接続体633とを備え、コネクタ把持部62とコネクタ接続部63とを別体で構成することにより、ワイヤーハーネス4の端部が集中しているような、スペースの少ない場所であっても、導通検査装置6の一部を配設することができる。
【0125】
詳述すると、コネクタ把持部62とコネクタ接続部63とを別体で構成することにより、コネクタ把持部62およびコネクタ接続部63の各々の大きさは一体とした場合と比べて十分に小さいため、十分なスペースがなく導通検査装置6の配設が困難な場所であっても、コネクタ把持部62を配設することができる。
したがって、被覆電線41を所望の形状に配索することができる。これにより、被覆電線41の長さを所望の長さとすることができ、被覆電線41の重量の増加を抑え、全体の重量の軽減化を図ることができる。
【0126】
また、コネクタ把持部62とコネクタ接続部63とが別体で構成されているため、例えば、接続検査後にコネクタ接続部63を取り外すことで、被覆電線41の端部がコネクタ43とコネクタ把持部62とを備える構成とすることができる。すなわち、被覆電線41の端部にコネクタ把持部62以外の他の接続体や接続体と連結するリード線64などが接続されていない端子付ハーネス4の配索状態とすることができるため、配索された端子付ハーネス4が所望の形状となっているかの判断が容易にすることができる。
【0127】
このように、導通検査装置6の構成であるコネクタ把持部62とコネクタ接続部63とを別体で構成することにより、導通検査装置6の一部を電線配索盤2上に配設することができ、端子付ハーネス4を所望の形状に配索することができるとともに、配索された端子付ハーネス4が所望の形状であるかを容易に判断することもできる。
【0128】
また、コネクタ把持部62が把持したコネクタ43と接続体633とが接続する位置に向かって、接続体633を移動するピストン635を備えることにより、コネクタ把持部62と接続体633が所定の間隔を隔てて配置された場合であっても、コネクタ把持部62に把持されたコネクタ43を接続体633と接続することができる。
【0129】
例えば、コネクタ43が接続体633と所定の間隔を隔てた位置に配置された場合であっても、コネクタ43と接続体633とを接続可能な位置に接続体633をコネクタ43の方向に動かすことで、コネクタ43と接続体633とを接続することができる。したがって、正確に被覆電線41の接続検査を実施することができる。
【0130】
また、コネクタ把持部62が把持するコネクタ43と接続体633とが接続する位置となるように、コネクタ43の位置を調整するコネクタ調整部65を備えることにより、コネクタ43を接続体633に確実に接続することができる。
【0131】
詳述すると、コネクタ43の位置がコネクタ把持部62に把持されていないなどで接続体633と接続できない位置にずれていたとしても、コネクタ調整部65により、コネクタ43の位置を接続体633と接続可能な位置に調整することができる。
したがって、コネクタ43を接続体633に確実に接続することができ、コネクタ43を端部に備える被覆電線41の接続検査を確実に行うことができる。
【0132】
また、コネクタ把持部62と接続体633の少なくとも一方に、コネクタ把持部62に把持するコネクタ43を接続体633にする位置に案内するコネクタ把持部626および接続部側案内穴部637を備えることにより、コネクタ把持部62が把持するコネクタ43を接続体633に案内することができるため、コネクタ43と接続体633とをより確実に接続することができ、コネクタ43が端部に接合する被覆電線41の接続検査を容易かつ確実に行うことができる。
【0133】
また、上述の導通検査装置6と、端部をコネクタ43と接合した被覆電線41を配索するとともに、コネクタ把持部62を配設した電線配索盤2と、電線配索盤2に配索した被覆電線41のコネクタ43に接続する接続体63を配設した導通検査盤5とを備える導通検査システム1とすることにより、電線配索盤2に配索した被覆電線41を、電線配索盤2から取り外すことなく接続検査を行うことができる。
【0134】
詳述すると、電線配索盤2に配索した被覆電線41の端部に接合したコネクタ43に接続体63を直接的または間接的に接続することで、被覆電線41の接続検査を実施することができる。換言すると、電線配索盤2に配索した被覆電線41を電線配索盤2から取り外すことなく、電線配索盤2に配索された被覆電線41の接続検査を実施することができる。
したがって、接続検査の際に、電線配索盤2に配設した被覆電線41を電線配索盤2から取り外して、導通検査盤5に載せ替える手間を省略することができ、作業効率を向上することができる。
【0135】
また、仮に電線配索盤2上に導通検査装置6を設けた場合、導通検査装置6は電線配索盤2ごとに取付けることとなり、電線配索盤2ごとに異なる導通検査装置6を用いて接続検査を行うため、接続検査した被覆電線41ごとに検査のばらつきが生ずるおそれがある
【0136】
しかし、この発明により、接続体63を導通検査盤5に配置するとともに、コネクタ43を電線配索盤2に配置することで、共通の導通検査盤5を用いて接続検査を行うことができるため、被覆電線41ごとに検査のばらつきをなくすことができるとともに、共通の導通検査盤5を用いて接続検査を行うことができるため経費を削減することができる。
【0137】
また、電線配索盤2と導通検査盤5とが対向するように、電線配索盤2を移動するキャスタ33を備えることにより、盤同士の距離を調整することでコネクタ43と導通検査装置6とを容易に接続することができる。
詳述すると、例えば、導通検査盤5から離れた場所で被覆電線41を電線配索盤2に配索した後に、電線配索盤2を移動し、コネクタ43を導通検査装置6と接続することができる。すなわち、導通検査盤5が邪魔とならない場所で端子付ハーネス4の配索作業が行うことができ、配索完了後に電線配索盤2上に配索した被覆電線41と導通検査装置6とを接続することで被覆電線41の接続検査を行うことができる。これにより、被覆電線41の配索および接続検査を効率よく行うことができる。
【0138】
また、電線配索盤2を、電線配索盤2と導通検査盤5とが対向する方向に移動する昇降機構55を備えることにより、電線配索盤2と導通検査盤5とが対向する方向において、盤同士の距離を調整することでコネクタ43と導通検査装置6とを容易に接続することができる。
【0139】
さらに、一般に立体的に配索する端子付ハーネス4が、導通検査盤5に設けられた導通検査装置6と干渉することなく、端子付ハーネス4の導通検査が可能な位置に電線配索盤2と導通検査盤5とを相対移動することができる。
具体的には、端子付ハーネス4は、車両内の所定の位置に備えてある電子機器類などの配置に合わせて立体的に配索されるため、電線配索盤2と導通検査盤5とで端子付ハーネス4の導通検査を行う際に、コネクタ43と接続体633とが接近するように、電線配索盤2を導通検査盤5の下に水平移動した場合、移動中に立体的に配索された端子付ハーネス4が導通検査盤5に備わる導通検査装置6と干渉する可能性があるが、電線配索盤2を上方に移動することができる昇降機構55を設けることにより、端子付ハーネス4と導通検査装置6とが干渉しないように盤同士の距離を保ったまま平行移動した後に、電線配索盤2と導通検査盤5とを対向する方向に相対移動することができる。
【0140】
したがって、電線配索盤2に立体的に配索した端子付ハーネス4が、導通検査盤5に備わる導通検査装置6と干渉することなく、端子付ハーネス4の導通検査が可能な位置に電線配索盤2と導通検査盤5とを相対移動でき、端子付ハーネス4の導通検査を行うことができる。
【0141】
また、導通検査装置6の構成のうち、コネクタ把持部62以外の構成を検査用板51に配設することができるため、共通の検査用板51を用いて導通検査を行うことができるため、複数の配索用板21に配索された端子付ハーネス4の導通検査を行うことができ、配索用板21毎に導通検査装置6を設ける場合に比べて大きく経費を削減することができる。
【0142】
さらにまた、コネクタ把持部62やコネクタ接続部63などが交換可能であるため様々な設計に対応した端子付ハーネス4の導通検査を行うことができるとともに、仮にコネクタ把持部62やコネクタ接続部63が損傷した場合であっても、個々の構成であるコネクタ把持部62やコネクタ接続部63を交換すればよく、導通検査装置6全体を交換する場いいと比べて経費を削減できる。
【0143】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
接続構造体は、端子付ハーネス4に対応し、
接続検査体は、導通検査装置6に対応し、
コネクタ接続部は、コネクタ接続部63および接続体633に対応し、
接続部位移動機構は、ピストン635に対応し、
接続位置調整機構は、コネクタ調整部65に対応し、
案内部は、コネクタ把持部626および接続部側案内穴部637に対応し、
電線配索盤は、配索用板21に対応し、
接続検査盤は、検査用板51に対応し、
移動機構は、キャスタ33に対応し、
対面移動機構は、昇降機構55に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0144】
例えば、電線配索盤2を配置するとともに導通検査盤5に対して平行移動する電線配索盤移動機構として移動用台3としているが、移動用台3を固定して、導通検査盤5を移動する構成でもよく、また、移動用台3にキャスタ33を設けた構成でなく、例えばベルトコンベアなどのような移動機器とすることもできる。
【0145】
また、本実施例においては、コネクタ43と接続体633とを直接接続する構成としているが、例えば接続体633の先端と電気的に繋がっている接続コードとコネクタ43とを接続する構成としてもよい。
【0146】
このような構成とすることにより、電線配索盤2を保持した移動用台3を導通検査盤5の所定の位置に移動することなく配索用板21に配索した端子付ハーネス4の導通検査を行うことができる。なお、接続コードは別体の接続コードでもよいが、導通検査が正確に行うためには直接接続する構成とすることが好ましい。
【0147】
また、本実施形態において、昇降機構55により電線配索盤2を持ち上げることにより、コネクタ43と接続体633とを接続可能な位置となるようにしているが、この実施形態に限られるものではなく、導通検査盤5を下げて電線配索盤2と接近させることによりことにより、コネクタ43と接続体633とを接続可能な位置となるようにしてもよい。
【0148】
なお、この構成の場合、導通検査盤5の重量により電線配索盤2に備わる相対位置調整凹部23に過度の負荷がかかり、配索用板21が歪む可能性があるため、好ましくは電線配索盤2を上昇させる構成がよい。
【0149】
また、本実施例において、コネクタ43が接続体633と接続するための位置調整機構をコネクタ調整部65としているが、この実施形態に限定されるものではなく、例えば、コネクタ把持部62に移動可能な位置調整機構を備えてもよいし、接続体633と導通検査本体61との間に位置調整機構を設けてもよい。例えば、コネクタ把持体621と把持部用支柱622との間に把持部移動機構をもうけることにより、コネクタ把持部62の位置をコネクタ43と接続体633とが嵌合する位置に調整することができる。
【0150】
また、本実施例において、コネクタ43と接続体633とが接続できるようにコネクタ43の接続位置の調整をコネクタ調整部65で行っているが、この構成に限られるものではなく、例えばコネクタ把持部62の位置を調整する機構を設けてもよいし、コネクタ接続部63の位置や接続体633位置を調整する機構を設けてもよい。
【0151】
さらには、コネクタ43、接続体633、コネクタ把持部62のうちの二つの位置を調整しても良いしこれらの全ての位置を調整してもよい。
【符号の説明】
【0152】
1…導通検査システム
2…電線配索
21…配索用板
22…布線治具
23…相対位置調整凹部
23a…凹部
24…貫通孔
3…移動用台
31…外枠
32…脚部
33…キャスタ
4…ワイヤーハーネス
41…被覆電線
42…圧着端子
43…コネクタ
5…導通検査機構
51…検査用板
51a…分割検査板
52…導通検査用台
53…水平板
54…支柱
55…上昇機構
55a…突出部
56…相対位置調整突部
56a…突部
6…導通検査装置
61…導通検査本体
62…コネクタ把持部
621…コネクタ把持体
624…把持用凹部
625…切欠部
63…コネクタ接続部
631…容器
632…接続部位
633…接続体
634…接続案内凹部
635…ピストン
636…移動規制バネ
64…リード線
65…コネクタ調整部
66…リード線接続コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10