特許第6523712号(P6523712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本放送協会の特許一覧 ▶ 一般財団法人NHKエンジニアリングシステムの特許一覧

特許6523712多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ
<>
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000002
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000003
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000004
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000005
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000006
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000007
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000008
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000009
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000010
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000011
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000012
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000013
  • 特許6523712-多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6523712
(24)【登録日】2019年5月10日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップ
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/236 20110101AFI20190527BHJP
   H04N 21/235 20110101ALI20190527BHJP
   H04N 21/438 20110101ALI20190527BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20190527BHJP
   H04H 60/13 20080101ALI20190527BHJP
   H04H 20/42 20080101ALI20190527BHJP
【FI】
   H04N21/236
   H04N21/235
   H04N21/438
   H04H20/28
   H04H60/13
   H04H20/42
【請求項の数】12
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-42788(P2015-42788)
(22)【出願日】2015年3月4日
(65)【公開番号】特開2016-163273(P2016-163273A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(73)【特許権者】
【識別番号】591053926
【氏名又は名称】一般財団法人NHKエンジニアリングシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 進
(72)【発明者】
【氏名】蔀 拓也
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 慎悟
(72)【発明者】
【氏名】成清 善一
(72)【発明者】
【氏名】本田 円香
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 宏明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】竹内 知明
(72)【発明者】
【氏名】土田 健一
(72)【発明者】
【氏名】岡野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】高田 政幸
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 一彦
【審査官】 長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−244496(JP,A)
【文献】 特開2005−057404(JP,A)
【文献】 特開2010−239521(JP,A)
【文献】 特開2007−274345(JP,A)
【文献】 特開2012−169902(JP,A)
【文献】 特開2010−220241(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0044219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
H04H 20/00−60/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を生成する多重装置、前記多重信号を放送波として送信する送信装置、及び、前記放送波を受信して前記放送コンテンツに含まれる映像信号を画面表示する受信装置を含んで構成される放送システムの前記多重装置において、
前記映像信号を含む放送コンテンツに、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、同一の放送コンテンツを受信した前記受信装置に対して1の放送コンテンツを選択させるためのバージョン情報を多重し、前記多重信号を生成するコンテンツ生成部、を備えたことを特徴とする多重装置。
【請求項2】
請求項1に記載の多重装置において、
前記コンテンツ生成部は、
前記映像信号を含む放送コンテンツに、さらに、前記受信装置に対して前記放送波が送信される全チャンネルを再スキャンさせるためのフラグ情報を多重し、前記多重信号を生成する、ことを特徴とする多重装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多重装置において、
前記送信装置とは異なる他の送信装置により、ISDB−T方式による地上デジタル放送の放送コンテンツの多重信号が所定チャンネルにて放送波として送信されている場合、
前記コンテンツ生成部は、
前記地上デジタル放送と同一の放送コンテンツに、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、同一の放送コンテンツを受信した前記受信装置に対して1の放送コンテンツを選択させるためのバージョン情報を多重し、前記多重信号を生成し、
前記コンテンツ生成部により生成された多重信号を放送波として送信する送信装置により、前記地上デジタル放送とは異なる所定のパーキングチャンネルにて前記多重信号の放送波が送信される、ことを特徴とする多重装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の多重装置において、
前記送信装置とは異なる他の送信装置により、ISDB−T方式による地上デジタル放送と同一の放送コンテンツの多重信号が、前記地上デジタル放送とは異なる所定のパーキングチャンネルにて放送波として送信されており、その後、前記地上デジタル放送が停止した場合、
前記コンテンツ生成部は、
前記所定のパーキングチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツと同一、かつ当該放送コンテンツよりも高画質の映像信号を含む放送コンテンツに、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、前記受信装置に対し、前記所定のパーキングチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツよりも、前記地上デジタル放送と同一のチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツを優先して選択させるためのバージョン情報を多重し、前記多重信号を生成し、
前記コンテンツ生成部により生成された多重信号を放送波として送信する送信装置により、前記地上デジタル放送と同一のチャンネルにて前記多重信号の放送波が送信される、ことを特徴とする多重装置。
【請求項5】
映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を生成する多重装置、前記多重信号を放送波として送信する送信装置、及び、前記放送波を受信して前記放送コンテンツに含まれる映像信号を画面表示する受信装置を含んで構成される放送システムの前記送信装置において、
前記多重装置により生成された放送コンテンツの多重信号に、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、同一の放送コンテンツを受信した前記受信装置に対して1の放送コンテンツを選択させるためのバージョン情報を多重し、新たな多重信号を生成する多重部、を備え、
前記新たな多重信号を放送波として送信する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の送信装置において、
前記多重部は、
前記映像信号を含む放送コンテンツの多重信号に、さらに、前記受信装置に対して前記放送波が送信される全チャンネルを再スキャンさせるためのフラグ情報を多重し、前記新たな多重信号を生成する、ことを特徴とする送信装置。
【請求項7】
映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を生成する多重装置、前記多重信号を放送波として送信する送信装置、及び、前記放送波を受信して前記放送コンテンツに含まれる映像信号を画面表示する受信装置を含んで構成される放送システムの前記受信装置において、
ISDB−T方式による地上デジタル放送の放送コンテンツの多重信号を受信し、前記多重信号から前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報を抽出する地デジ受信系統部と、
前記地上デジタル放送の放送波が送信されるチャンネルとは異なる所定のパーキングチャンネルにて、前記地上デジタル放送と同一の放送コンテンツの多重信号を受信し、前記多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、当該受信装置が同一の放送コンテンツを受信した際に1の放送コンテンツを選択するためのバージョン情報を抽出するパーキング受信系統部と、
前記所定のパーキングチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツと同一、かつ当該放送コンテンツよりも高画質の映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を受信し、前記多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報並びに前記バージョン情報を抽出する新波チャンネル受信系統部と、
前記地デジ受信系統部、前記パーキング受信系統部及び前記新波チャンネル受信系統部により前記放送コンテンツの多重信号が受信される全てのチャンネルのスキャンに伴って、受信信号が所定レベル以上のチャンネル毎に、前記地デジ受信系統部により抽出された地域名情報及び事業者名情報、前記パーキング受信系統部により抽出された地域名情報、事業者名情報及びバージョン情報、並びに、前記新波チャンネル受信系統部により抽出された地域名情報、事業者名情報及びバージョン情報を、それぞれチャンネル情報として登録するチャンネル情報登録部と、
視聴者のリモコン操作に従って、前記視聴者が所望する放送コンテンツを選択し、前記選択した放送コンテンツの映像信号を出力して画面表示させるコンテンツ選択部と、を備え、
前記コンテンツ選択部は、
前記チャンネル情報登録部から、前記視聴者のリモコン操作が示す第1のチャンネル情報を読み出すと共に、当該第1のチャンネル情報と同一の地域名情報及び事業者名情報を有する第2のチャンネル情報を読み出し、前記第1及び第2のチャンネル情報に基づいて、同一放送コンテンツが存在するか否かを判定し、
前記同一放送コンテンツが存在しないと判定した場合、前記視聴者のリモコン操作が示す第1のチャンネル情報に対応する放送コンテンツを選択し、
前記同一放送コンテンツが存在すると判定した場合、前記パーキング受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツを、前記地デジ受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツよりも優先して選択し、前記チャンネル情報に含まれるバージョン情報に基づいて、前記新波チャンネル受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツを、前記パーキング受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツよりも優先して選択する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の受信装置において、
さらに、前記新波チャンネル受信系統部により受信された多重信号のC/Nマージンを算出するC/Nマージン算出部を備え、
前記コンテンツ選択部は、
前記同一放送コンテンツが存在すると判定し、前記新波チャンネル受信系統部が受信する2以上の放送コンテンツが同一であり、当該2以上の放送コンテンツにおけるそれぞれのチャンネルの前記チャンネル情報に含まれるバージョン情報が同一である場合、前記C/Nマージン算出部により算出されたC/Nマージンに基づいて、前記2以上の放送コンテンツのうち1の放送コンテンツを選択する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の受信装置において、
前記パーキング受信系統部及び前記新波チャンネル受信系統部は、さらに、
前記多重信号から、当該受信装置が前記放送波の全チャンネルを再スキャンするためのフラグ情報を抽出し、前記フラグ情報が前記再スキャンすることを示している場合、前記全チャンネルの再スキャンを行い、前記多重信号から、受信可能な前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報並びに前記バージョン情報を抽出し、
前記チャンネル情報登録部は、
前記パーキング受信系統部及び前記新波チャンネル受信系統部により前記再スキャンにて抽出された前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報並びに前記バージョン情報を、新たな前記チャンネル情報として登録する、ことを特徴とする受信装置。
【請求項10】
映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を生成する請求項1の多重装置、前記多重信号を放送波として送信する送信装置、及び、前記放送波を受信して前記放送コンテンツに含まれる映像信号を画面表示する請求項7の受信装置を含んで構成されることを特徴とする放送システム。
【請求項11】
請求項1の多重装置または請求項5の送信装置に搭載されるチップであって、
映像信号を含む放送コンテンツに、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、同一の放送コンテンツを受信した受信装置に対して1の放送コンテンツを選択させるためのバージョン情報を多重し、多重信号を生成する、ことを特徴とするチップ。
【請求項12】
請求項7の受信装置に搭載されるチップであって、
受信したISDB−T方式による地上デジタル放送の放送コンテンツの多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報を抽出する地デジ受信系統部と、
前記地上デジタル放送の放送波が送信されるチャンネルとは異なる所定のパーキングチャンネルにて受信した、前記地上デジタル放送と同一の放送コンテンツの多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、当該受信装置が同一の放送コンテンツを受信した際に1の放送コンテンツを選択するためのバージョン情報を抽出するパーキング受信系統部と、
受信した、前記所定のパーキングチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツと同一、かつ当該放送コンテンツよりも高画質の映像信号を含む放送コンテンツの多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報並びに前記バージョン情報を抽出する新波チャンネル受信系統部と、
前記地デジ受信系統部、前記パーキング受信系統部及び前記新波チャンネル受信系統部により前記放送コンテンツの多重信号が受信される全てのチャンネルのスキャンに伴って、受信信号が所定レベル以上のチャンネル毎に、前記地デジ受信系統部により抽出された地域名情報及び事業者名情報、前記パーキング受信系統部により抽出された地域名情報、事業者名情報及びバージョン情報、並びに、前記新波チャンネル受信系統部により抽出された地域名情報、事業者名情報及びバージョン情報を、それぞれチャンネル情報として登録するチャンネル情報登録部と、
視聴者のリモコン操作に従って、前記視聴者が所望する放送コンテンツを選択し、前記選択した放送コンテンツの映像信号を出力して画面表示させるコンテンツ選択部と、を備え、
前記コンテンツ選択部は、
前記チャンネル情報登録部から、前記視聴者のリモコン操作が示す第1のチャンネル情報を読み出すと共に、当該第1のチャンネル情報と同一の地域名情報及び事業者名情報を有する第2のチャンネル情報を読み出し、前記第1及び第2のチャンネル情報に基づいて、同一放送コンテンツが存在するか否かを判定し、
前記同一放送コンテンツが存在しないと判定した場合、前記視聴者のリモコン操作が示す第1のチャンネル情報に対応する放送コンテンツを選択し、
前記同一放送コンテンツが存在すると判定した場合、前記パーキング受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツを、前記地デジ受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツよりも優先して選択し、前記チャンネル情報に含まれるバージョン情報に基づいて、前記新波チャンネル受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツを、前記パーキング受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツよりも優先して選択する、ことを特徴とするチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現行の地上デジタル放送から将来の次世代地上放送への移行を実現する多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップに関する。
【背景技術】
【0002】
ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial:統合デジタル放送サービス−地上)方式による日本の地上デジタル放送が2003年に開始された際には、事前にアナログ周波数変更対策(アナ変)が実施されていた。東京地区では、NHK2局(NHK総合及びNHK教育)及び民放6局(キー局の5局及び東京MX)の合計8つの送信チャンネル(1チャンネルあたり6MHz、計48MHz)が確保されており、この8局が同時に地上デジタル放送を開始することができた。
【0003】
デジタル放送視聴可能エリアに住む視聴者は、デジタル受信機を購入すれば、NHK及び民放各局のデジタル放送の番組を視聴できることから、デジタル受信機を購入した後、アナログ放送を選局する必要はなかった。また、これに加えて、SD(Standard Definition:標準精細度)画質のアナログ放送とHD(High Definition:高精細度)画質のデジタル放送とでは、画質に大きな差があることから、視聴者は、アナログ放送の番組とデジタル放送の番組とを混同して視聴することが少なかった。
【0004】
このため、デジタル放送を受信できるにも関わらず、アナログ放送の番組を視聴する視聴者はほとんど存在せず、2011年のアナログ放送終了時には、その存在が問題になることはなかった。
【0005】
〔送信側〕
まず、ISDB−T方式による地上デジタル放送に用いる送信側の装置について説明する。図10は、地上デジタル放送に用いる従来の多重装置及び送信装置の構成を示すブロック図である。多重装置100は、HD画質の映像信号等に、NIT(Network Information Table:ネットワーク情報管理テーブル)信号を多重して放送コンテンツのTS(Transport Stream:トランスポートストリーム)信号を生成するコンテンツ生成部101を備えている。
【0006】
多重装置100のコンテンツ生成部101は、HD画質の映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG(Electronic Program Guide:電子番組表)等を入力すると共に、NIT信号を入力する。
【0007】
コンテンツ生成部101は、地域名(放送コンテンツが放送される地域の名称、例えば「関東広域」)及び事業者名(放送コンテンツの放送事業を行う事業者の名称、例えば「NHK総合」)等を含むNIT信号を、映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等と多重し、放送コンテンツのTS信号を生成する。コンテンツ生成部101は、生成したTS信号を送信装置110に出力する
【0008】
図12は、NIT信号を構成するデータを示す図である。NIT信号は、放送事業者の地域名、地域名を識別する地域識別、事業者名を識別する地域事業者識別、事業者名、ネットワーク識別、TS識別、リモコンキー識別、サービス識別等のデータにより構成される。ネットワーク識別及びTS識別と、地域名、地域識別、地域事業者識別、事業者名等とが対応しており、ネットワーク識別及びTS識別の組み合わせにより、地域名、地域識別、地域事業者識別、事業者名等が一義的に特定される。
【0009】
現行の地上デジタル放送においては、各放送事業者は、「地上デジタルテレビジョン放送送出運用規定」(非特許文献1を参照)に準拠して、それぞれが放送する放送コンテンツのTS信号の中に、それぞれ固有の地域識別、地域事業者識別、ネットワーク識別、TS識別、リモコンキー識別、サービス識別等の識別データを挿入するようになっている。後述する受信装置200は、このTS信号の中の各識別データに基づいて、放送されたTS信号がどの放送事業者の信号であるのかを判断することができる。
【0010】
図12に示すように、例えば「地域識別」が「1」の場合、「地域名」は「関東広域」であり、「地域識別」が「24」の場合、「地域名」は「神奈川」である。また、例えば、「地域識別」が「1」の「関東広域」において、「地域事業者識別」が「0」の場合、「事業者名」は「NHK総合」であり、「地域事業者識別」が「1」の場合、「事業者名」は「NHK教育」である。
【0011】
図10に示した多重装置100のコンテンツ生成部101は、図12に示すNIT信号を入力し、映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等と多重し、放送コンテンツのTS信号を生成する。以下、説明の便宜上、地域識別を地域名とし、地域事業者識別を事業者名として説明する。地域識別及び地域名は地域名情報であり、地域事業者識別及び事業者名は事業者名情報である。
【0012】
尚、コンテンツ生成部101は、NIT信号からネットワーク識別及びTS識別を抽出し、図12に示すNIT信号を構成するデータが格納されたテーブルから、抽出したネットワーク識別及びTS識別に対応する地域名及び事業者名等を読み出し、映像信号等に、読み出した地域名及び事業者名等を多重してTS信号を生成するようにしてもよい。また、コンテンツ生成部101は、NIT信号からネットワーク識別及びTS識別を抽出し、映像信号等に、抽出したネットワーク識別及びTS識別を多重してTS信号を生成するようにしてもよい。後述する図2に示す多重装置1のコンテンツ生成部11及び図4に示す多重装置2のコンテンツ生成部12においても同様である。
【0013】
図10を参照して、送信装置110は、ISDB−T変調部111及びISDB−T送信部112を備えている。ISDB−T変調部111は、多重装置100から放送コンテンツのTS信号を入力し、TS信号に対し、ISDB−T方式に準拠した所定の変調方式にて変調処理を施し、変調信号を生成してISDB−T送信部112に出力する。
【0014】
ISDB−T送信部112は、ISDB−T変調部111から変調信号を入力し、変調信号を所定の無線信号に変換し、無線信号の電波(放送波)を、1チャンネルの6MHzの帯域にて図示しない送信アンテナから送信する。
【0015】
〔受信側〕
次に、ISDB−T方式による地上デジタル放送に用いる受信側の装置について説明する。図11は、地上デジタル放送に用いる従来の受信装置の構成を示すブロック図である。受信装置200は、ISDB−T受信部201、ISDB−T復調部202及びコンテンツ復調部203を備えている。
【0016】
ISDB−T受信部201は、送信装置110から送信された電波(放送波)を図示しない受信アンテナにて受信し、所定チャンネルにおいて受信した無線信号が所定レベル以上の場合に、当該無線信号をIF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号に変換し、IF信号をISDB−T復調部202に出力する。
【0017】
ISDB−T復調部202は、ISDB−T受信部201からIF信号を入力し、IF信号に対し、送信装置110のISDB−T変調部111における所定の変調方式に対応した復調処理を施し、放送コンテンツのTS信号を復調する。そして、ISDB−T復調部202は、復調したTS信号をコンテンツ復調部203に出力する。
【0018】
コンテンツ復調部203は、ISDB−T復調部202からTS信号を入力し、多重装置100のコンテンツ生成部101とは逆の処理を行い、放送コンテンツを復調する。具体的には、コンテンツ復調部203は、TS信号から地域名及び事業者名等を抽出する。また、コンテンツ復調部203は、TS信号からHD画質の映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等を抽出する。
【0019】
尚、コンテンツ復調部203は、TS信号からネットワーク識別及びTS識別を抽出し、図12に示したNIT信号を構成するデータが格納されたテーブルから、抽出したネットワーク識別及びTS識別に対応する地域名及び事業者名等を読み出すようにしてもよい。後述する図5に示す受信装置7のコンテンツ復調部203,25,26においても同様である。
【0020】
このように、コンテンツ復調部203により抽出されたHD画質の映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等は、同様に抽出された地域名及び事業者名の放送コンテンツとして出力され、映像信号が画面表示される。視聴者は、その放送コンテンツの番組を視聴することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】ARIB−TR−B14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ところで、ISDB−T方式による現行の地上デジタル放送(HD画質の映像信号等による放送)に代わる新たな次世代地上放送(4Kまたは8K解像度の画質(4K/8K画質)の映像信号等による放送)の導入が検討されている。この新たな次世代地上放送の導入においては、前述したアナ変のような大規模な周波数変更対策を再度実施することは、経費、労力の観点から極めて困難である。
【0023】
図13は、現行の地上デジタル放送から新たな次世代地上放送への移行を説明する図である。図13(1)は、現行の地上デジタル放送のチャンネル状況(現状の周波数帯域)を示し、図13(2)は、次世代地上放送(次世代TV(Television:テレビ))の開始当初のチャンネル状況を示し、図13(3)は、次世代TVに完全移行したときのチャンネル状況を示す。
【0024】
図13(1)に示すように、東京地区において、アナ変のような大規模な周波数変更対策を実施しない場合、次世代TV用に確保可能な送信チャンネルは、2チャンネル程度である(空きの箇所を参照)。このため、東京のNHK及び民放の8局全てにそれぞれ1つの送信チャンネル(合計48MHz=6MHz×8(1つの送信チャンネルあたり16.8Mbps))を確保することはできない。
【0025】
このように、次世代TVの導入にあたり、東京地区では現状の空き送信チャンネルが2チャンネル程度であり、その空き周波数が極めて少ない。このため、図13(2)に示すように、空きの送信チャンネルの1つを「次世代TVパーキングチャンネル(CH)」として使用することが望ましい。この次世代TVパーキングCHの周波数帯域は、「空き」周波数帯域を使用する。
【0026】
次世代TVパーキングCHとは、地上デジタル放送よりも効率の良い画像圧縮技術(HEVC等)を用いることにより、NHK及び民放等の6〜8程度のHD画質程度(HD画質と同一の画質、またはHD画質を基準にして所定範囲内の画質)の映像信号等の放送コンテンツを共有して送信する1つの送信チャンネルをいう。これにより、視聴者は、NHK及び民放の番組を、次世代TVパーキングCH及び地上デジタル放送のチャンネルのどちらのチャンネルからも視聴することができる。
【0027】
ここで、数年の時間経過後に、ほぼ全ての視聴者が、地上デジタル放送(地デジ)ではなく、この次世代TVパーキングCHを視聴する状態になっている場合(地デジの視聴者の数がほとんど0になっている場合)には、社会的に大きな混乱が発生することなく、地デジを終了させることができる。
【0028】
そして、図13(3)に示すように、地デジの周波数帯域を、新たな次世代TVによる次世代TV4K/8K新波の周波数帯域としてそのまま使用することにより、地デジの周波数帯域と同じチャンネルにて、次世代TV4K/8K新波による4K/8K放送(地デジ及び次世代TVパーキングCHの映像信号よりも高画質の放送)を開始することができる。
【0029】
しかしながら、地デジ及び次世代TVパーキングCHにて同じ番組が放送される、いわゆるサイマル放送が行われる図13(2)のサイマル放送期間において、地デジの番組はHD画質の品質であり、次世代TVパーキングCHの番組はHD画質程度の品質である。このため、次世代TVパーキングCHと地デジとの間には、画質上大きな差がない。視聴者は、次世代TVパーキングCHに対応する受信装置を用いたとしても、次世代TVパーキングCHの番組ではなく、地デジの番組を視聴し続けてしまう可能性がある。
【0030】
視聴者が地デジの番組を視聴し続けてしまう場合、地デジ及び次世代TVパーキングCHにて同じ番組が放送されるサイマル放送中は、何ら問題はない。しかし、地上デジタル放送を終了させて図13(2)から図13(3)へ移行し、次世代TVに完全に移行した状況になると、地デジの番組を視聴し続けている視聴者は、地デジの番組を視聴することができなくなる。このため、この視聴者はTVを全く見ることができないものと錯覚し、社会的に大きな混乱が発生する恐れがある(課題1)。
【0031】
また、図13(3)に示すように、次世代TVに完全に移行した後には、同じ番組が、次世代TVパーキングCH及び次世代TV4K/8K新波のチャンネルの両方から放送される。例えば、フジテレビの放送が、HD画質程度の次世代TVパーキングCH及び4K/8K画質の次世代TV4K/8K新波のチャンネルの両方から放送される。
【0032】
ここで、視聴者がTVのチャンネルを選局するときに、HD画質程度の次世代TVパーキングCHではなく、より高画質な4K/8K画質の次世代TV4K/8K新波のチャンネルが優先的に選択されることが望ましい。これは、視聴者に対し、より高画質な番組を視聴させることができ、視聴者の利便性が向上するからである(課題2)。
【0033】
さらに、前記課題2に関連して、図13(3)において、例えば、次世代TV4K/8K新波のチャンネルが新たに開局した場合等において、視聴者に対し、手動でチャンネル再スキャン作業等を行わせる必要がないことが望ましい。この場合、受信装置が自動的に再スキャンすることができれば、視聴者の利便性が向上する。
【0034】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、現行の地上デジタル放送から将来の新たな次世代地上放送への移行を円滑に実現可能な多重装置、送信装置、受信装置、放送システム及びチップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
前記課題を解決するために、請求項1の多重装置は、映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を生成する多重装置、前記多重信号を放送波として送信する送信装置、及び、前記放送波を受信して前記放送コンテンツに含まれる映像信号を画面表示する受信装置を含んで構成される放送システムの前記多重装置において、前記映像信号を含む放送コンテンツに、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、同一の放送コンテンツを受信した前記受信装置に対して1の放送コンテンツを選択させるためのバージョン情報を多重し、前記多重信号を生成するコンテンツ生成部、を備えたことを特徴とする。
【0036】
また、請求項2の多重装置は、請求項1に記載の多重装置において、前記コンテンツ生成部が、前記映像信号を含む放送コンテンツに、さらに、前記受信装置に対して前記放送波が送信される全チャンネルを再スキャンさせるためのフラグ情報を多重し、前記多重信号を生成する、ことを特徴とする。
【0037】
また、請求項3の多重装置は、請求項1または2に記載の多重装置において、前記送信装置とは異なる他の送信装置により、ISDB−T方式による地上デジタル放送の放送コンテンツの多重信号が所定チャンネルにて放送波として送信されている場合、前記コンテンツ生成部が、前記地上デジタル放送と同一の放送コンテンツに、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、同一の放送コンテンツを受信した前記受信装置に対して1の放送コンテンツを選択させるためのバージョン情報を多重し、前記多重信号を生成し、前記コンテンツ生成部により生成された多重信号を放送波として送信する送信装置により、前記地上デジタル放送とは異なる所定のパーキングチャンネルにて前記多重信号の放送波が送信される、ことを特徴とする。
【0038】
また、請求項4の多重装置は、請求項1または2に記載の多重装置において、前記送信装置とは異なる他の送信装置により、ISDB−T方式による地上デジタル放送と同一の放送コンテンツの多重信号が、前記地上デジタル放送とは異なる所定のパーキングチャンネルにて放送波として送信されており、その後、前記地上デジタル放送が停止した場合、前記コンテンツ生成部が、前記所定のパーキングチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツと同一、かつ当該放送コンテンツよりも高画質の映像信号を含む放送コンテンツに、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、前記受信装置に対し、前記所定のパーキングチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツよりも、前記地上デジタル放送と同一のチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツを優先して選択させるためのバージョン情報を多重し、前記多重信号を生成し、前記コンテンツ生成部により生成された多重信号を放送波として送信する送信装置により、前記地上デジタル放送と同一のチャンネルにて前記多重信号の放送波が送信される、ことを特徴とする。
【0039】
さらに、請求項5の送信装置は、映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を生成する多重装置、前記多重信号を放送波として送信する送信装置、及び、前記放送波を受信して前記放送コンテンツに含まれる映像信号を画面表示する受信装置を含んで構成される放送システムの前記送信装置において、前記多重装置により生成された放送コンテンツの多重信号に、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、同一の放送コンテンツを受信した前記受信装置に対して1の放送コンテンツを選択させるためのバージョン情報を多重し、新たな多重信号を生成する多重部、を備え、前記新たな多重信号を放送波として送信する、ことを特徴とする。
【0040】
また、請求項6の送信装置は、請求項5に記載の送信装置において、前記多重部が、前記映像信号を含む放送コンテンツの多重信号に、さらに、前記受信装置に対して前記放送波が送信される全チャンネルを再スキャンさせるためのフラグ情報を多重し、前記新たな多重信号を生成する、ことを特徴とする。
【0041】
さらに、請求項7の受信装置は、映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を生成する多重装置、前記多重信号を放送波として送信する送信装置、及び、前記放送波を受信して前記放送コンテンツに含まれる映像信号を画面表示する受信装置を含んで構成される放送システムの前記受信装置において、ISDB−T方式による地上デジタル放送の放送コンテンツの多重信号を受信し、前記多重信号から前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報を抽出する地デジ受信系統部と、前記地上デジタル放送の放送波が送信されるチャンネルとは異なる所定のパーキングチャンネルにて、前記地上デジタル放送と同一の放送コンテンツの多重信号を受信し、前記多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、当該受信装置が同一の放送コンテンツを受信した際に1の放送コンテンツを選択するためのバージョン情報を抽出するパーキング受信系統部と、前記所定のパーキングチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツと同一、かつ当該放送コンテンツよりも高画質の映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を受信し、前記多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報並びに前記バージョン情報を抽出する新波チャンネル受信系統部と、前記地デジ受信系統部、前記パーキング受信系統部及び前記新波チャンネル受信系統部により前記放送コンテンツの多重信号が受信される全てのチャンネルのスキャンに伴って、受信信号が所定レベル以上のチャンネル毎に、前記地デジ受信系統部により抽出された地域名情報及び事業者名情報、前記パーキング受信系統部により抽出された地域名情報、事業者名情報及びバージョン情報、並びに、前記新波チャンネル受信系統部により抽出された地域名情報、事業者名情報及びバージョン情報を、それぞれチャンネル情報として登録するチャンネル情報登録部と、視聴者のリモコン操作に従って、前記視聴者が所望する放送コンテンツを選択し、前記選択した放送コンテンツの映像信号を出力して画面表示させるコンテンツ選択部と、を備え、前記コンテンツ選択部が、前記チャンネル情報登録部から、前記視聴者のリモコン操作が示す第1のチャンネル情報を読み出すと共に、当該第1のチャンネル情報と同一の地域名情報及び事業者名情報を有する第2のチャンネル情報を読み出し、前記第1及び第2のチャンネル情報に基づいて、同一放送コンテンツが存在するか否かを判定し、前記同一放送コンテンツが存在しないと判定した場合、前記視聴者のリモコン操作が示す第1のチャンネル情報に対応する放送コンテンツを選択し、前記同一放送コンテンツが存在すると判定した場合、前記パーキング受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツを、前記地デジ受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツよりも優先して選択し、前記チャンネル情報に含まれるバージョン情報に基づいて、前記新波チャンネル受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツを、前記パーキング受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツよりも優先して選択する、ことを特徴とする。
【0042】
また、請求項8の受信装置は、請求項7に記載の受信装置において、さらに、前記新波チャンネル受信系統部により受信された多重信号のC/Nマージンを算出するC/Nマージン算出部を備え、前記コンテンツ選択部が、前記同一放送コンテンツが存在すると判定し、前記新波チャンネル受信系統部が受信する2以上の放送コンテンツが同一であり、当該2以上の放送コンテンツにおけるそれぞれのチャンネルの前記チャンネル情報に含まれるバージョン情報が同一である場合、前記C/Nマージン算出部により算出されたC/Nマージンに基づいて、前記2以上の放送コンテンツのうち1の放送コンテンツを選択する、ことを特徴とする。
【0043】
また、請求項9の受信装置は、請求項7または8に記載の受信装置において、前記パーキング受信系統部及び前記新波チャンネル受信系統部が、さらに、前記多重信号から、当該受信装置が前記放送波の全チャンネルを再スキャンするためのフラグ情報を抽出し、前記フラグ情報が前記再スキャンすることを示している場合、前記全チャンネルの再スキャンを行い、前記多重信号から、受信可能な前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報並びに前記バージョン情報を抽出し、前記チャンネル情報登録部が、前記パーキング受信系統部及び前記新波チャンネル受信系統部により前記再スキャンにて抽出された前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報並びに前記バージョン情報を、新たな前記チャンネル情報として登録する、ことを特徴とする。
【0044】
さらに、請求項10の放送システムは、映像信号を含む放送コンテンツの多重信号を生成する請求項1の多重装置、前記多重信号を放送波として送信する送信装置、及び、前記放送波を受信して前記放送コンテンツに含まれる映像信号を画面表示する請求項7の受信装置を含んで構成されることを特徴とする。
【0045】
さらに、請求項11のチップは、請求項1の多重装置または請求項5の送信装置に搭載されるチップであって、映像信号を含む放送コンテンツに、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、同一の放送コンテンツを受信した受信装置に対して1の放送コンテンツを選択させるためのバージョン情報を多重し、多重信号を生成する、ことを特徴とする。
【0046】
また、請求項12のチップは、請求項7の受信装置に搭載されるチップであって、受信したISDB−T方式による地上デジタル放送の放送コンテンツの多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報を抽出する地デジ受信系統部と、前記地上デジタル放送の放送波が送信されるチャンネルとは異なる所定のパーキングチャンネルにて受信した、前記地上デジタル放送と同一の放送コンテンツの多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報、並びに、当該受信装置が同一の放送コンテンツを受信した際に1の放送コンテンツを選択するためのバージョン情報を抽出するパーキング受信系統部と、受信した、前記所定のパーキングチャンネルにて送信される放送波の放送コンテンツと同一、かつ当該放送コンテンツよりも高画質の映像信号を含む放送コンテンツの多重信号から、前記放送コンテンツの地域名情報及び事業者名情報並びに前記バージョン情報を抽出する新波チャンネル受信系統部と、前記地デジ受信系統部、前記パーキング受信系統部及び前記新波チャンネル受信系統部により前記放送コンテンツの多重信号が受信される全てのチャンネルのスキャンに伴って、受信信号が所定レベル以上のチャンネル毎に、前記地デジ受信系統部により抽出された地域名情報及び事業者名情報、前記パーキング受信系統部により抽出された地域名情報、事業者名情報及びバージョン情報、並びに、前記新波チャンネル受信系統部により抽出された地域名情報、事業者名情報及びバージョン情報を、それぞれチャンネル情報として登録するチャンネル情報登録部と、視聴者のリモコン操作に従って、前記視聴者が所望する放送コンテンツを選択し、前記選択した放送コンテンツの映像信号を出力して画面表示させるコンテンツ選択部と、を備え、前記コンテンツ選択部が、前記チャンネル情報登録部から、前記視聴者のリモコン操作が示す第1のチャンネル情報を読み出すと共に、当該第1のチャンネル情報と同一の地域名情報及び事業者名情報を有する第2のチャンネル情報を読み出し、前記第1及び第2のチャンネル情報に基づいて、同一放送コンテンツが存在するか否かを判定し、前記同一放送コンテンツが存在しないと判定した場合、前記視聴者のリモコン操作が示す第1のチャンネル情報に対応する放送コンテンツを選択し、前記同一放送コンテンツが存在すると判定した場合、前記パーキング受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツを、前記地デジ受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツよりも優先して選択し、前記チャンネル情報に含まれるバージョン情報に基づいて、前記新波チャンネル受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツを、前記パーキング受信系統部が受信する前記同一放送コンテンツよりも優先して選択する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0047】
以上のように、本発明によれば、現行の地上デジタル放送から将来の新たな次世代地上放送への移行を円滑に実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】(1)は、現状の送信側(現行の地上デジタル放送(地デジ)における送信側)の系統を示す図である。(2)は、次世代地上放送(次世代TV)の開始当初における送信側の系統を示す図である。(3)は、次世代TVに完全移行したときの送信側の系統を示す図である。
図2】本発明の実施形態による多重装置を含む次世代TVパーキングCH送信系統の構成を示すブロック図である。
図3】コンテンツ生成部の処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態による多重装置を含む次世代TV4K/8K新波送信系統の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
図6】コンテンツ比較部の構成を示すブロック図である。
図7】チャンネル情報登録部の処理を示すフローチャートである。
図8】コンテンツ選択部の処理を示すフローチャートである。
図9】コンテンツ選択部による放送コンテンツ選択処理を示すフローチャートである。
図10】地上デジタル放送に用いる従来の多重装置及び送信装置(現行の地デジ送信系統)の構成を示すブロック図である。
図11】地上デジタル放送に用いる従来の受信装置の構成を示すブロック図である。
図12】NIT信号を構成するデータを示す図である。
図13】(1)は、現行の地上デジタル放送(地デジ)におけるチャンネル状況(現状)を示す図である。(2)は、次世代地上放送(次世代TV)の開始当初のチャンネル状況を示す図である。(3)は、次世代TVに完全移行したときのチャンネル状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、現行の地上デジタル放送のチャンネルにより放送コンテンツを送信する第1の送信系統、次世代TVパーキングCHにより放送コンテンツを送信する第2の送信系統、及び、次世代TV4K/8K新波のチャンネルにより放送コンテンツを送信する第3の送信系統において、第1の送信系統では、放送コンテンツに地域名及び事業者名を多重し、第2及び第3の送信系統では、放送コンテンツに地域名及び事業者名を多重すると共に、放送コンテンツのバージョンを示す次世代TVバージョンも多重することを特徴とする。
【0050】
また、本発明は、現行の地上デジタル放送及び将来の次世代地上放送を共用する受信装置において、地域名、事業者名及び次世代TVバージョンに基づいて、放送コンテンツを選択し、特に、複数の同一の放送コンテンツについて、次世代TV4K/8K新波、次世代TVパーキングCH、地上デジタル放送の優先順位にて、1つの放送コンテンツを選択することを特徴とする。
【0051】
ここで、同一の放送コンテンツとは、番組は同じであるが、映像信号の解像度等が異なる場合をいう。例えば、番組が同じであって、映像信号の一方の画質がHDであり、他方の画質が4K/8Kである場合、両放送コンテンツは同一である。
【0052】
図13に示したとおり、現行の地上デジタル放送から将来の新たな次世代地上放送へ移行する際に、チャンネル状況は、図13(1)、図13(2)及び図13(3)の順に遷移する。図1は、現行の地上デジタル放送から将来の新たな次世代地上放送へ移行するための、図13(1)〜(3)の各チャンネル状況を実現する送信系統を示す。
【0053】
図1(1)は、現状の送信側(現行の地上デジタル放送における送信側)の系統を示す図であり、図13(1)に対応している。現行の地上デジタル放送(地デジ)における送信側の系統は、第1の送信系統のみからなる。この第1の送信系統は、図10に示した送信系統と同一であり、多重装置100及び送信装置110により構成される。第1の送信系統により、地デジの電波が送信され、図13(1)に示したチャンネル状況を実現することができる。
【0054】
図1(2)は、次世代TVの開始当初における送信側の系統を示す図であり、図13(2)に対応している。次世代TVの開始当初における送信側の系統は、図10に示した第1の送信系統、次世代TVパーキングCHの放送を実現する第2の送信系統、及び、次世代TV4K/8K新波の放送を実現する第3の送信系統からなる。第1の送信系統は前述のとおりである。
【0055】
第2の送信系統は、複数の多重装置1、コンテンツ多重装置3及び送信装置5により構成される。第2の送信系統により、次世代TVパーキングCHの電波が送信される。また、第3の送信系統は、1台または2台の多重装置2、コンテンツ多重装置4及び送信装置6により構成される。第3の送信系統により、次世代TV4K/8K新波の電波が送信される。このように、第1、第2及び第3の送信系統により、図13(2)に示したチャンネル状況を実現することができる。
【0056】
図1(3)は、次世代TVに完全移行したときの送信側の系統を示す図であり、図13(3)に対応している。次世代TVに完全移行したときの送信側の系統は、第2及び第3の送信系統からなる。第2及び第3の送信系統は前述のとおりである。このように、第2及び第3の送信系統により、図13(3)に示したチャンネル状況を実現することができる。
【0057】
尚、図10に示した地デジ送信系統の多重装置100及び送信装置110、後述する図2に示す次世代TVパーキングCH送信系統の複数の多重装置1、コンテンツ多重装置3及び送信装置5、後述する図4に示す次世代TV4K/8K新波送信系統の多重装置2、コンテンツ多重装置4及び送信装置6、並びに、後述する図5に示す受信装置7により、放送コンテンツを送受信する放送システムが構成される。
【0058】
〔送信側:第2の送信系統:次世代TVパーキングCH送信系統〕
次に、図13(2)及び図13(3)に示した第2の送信系統である次世代TVパーキングCH送信系統について詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態による多重装置を含む次世代TVパーキングCH送信系統の構成を示すブロック図である。次世代TVパーキングCH送信系統は、前述のとおり、複数の多重装置1、コンテンツ多重装置3及び送信装置5から構成される。
【0059】
(多重装置1)
多重装置1は、映像信号等の放送コンテンツに地域名等を多重し、放送コンテンツのTS信号(多重信号)を生成するコンテンツ生成部11を備えている。図3は、コンテンツ生成部11の処理を示すフローチャートである。
【0060】
コンテンツ生成部11は、HD画質程度の映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等を入力すると共に(ステップS301)、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを入力する(ステップS302)。
【0061】
地域名は、放送コンテンツを放送する地域の名称を示し、事業者名は、放送コンテンツの放送事業を行う事業者の名称を示す。これらの情報は、NIT信号に含まれる情報と同様であり、詳細については図12を参照されたい。また、これらの情報は、後述する第3の送信系統である次世代TV4K/8K新波送信系統にも用いられる。
【0062】
これらの地域名及び事業者名は、受信側において、異なるチャンネルにて同一の放送コンテンツを受信しているか否かを判定するために用いられる。例えば、受信側は、地デジのチャンネルにて受信した放送コンテンツの地域名及び事業者名と、次世代TVパーキングCHにて受信した放送コンテンツの地域名及び事業者名とが同一の場合、これらの2つのチャンネルにて、同一の放送コンテンツを受信していることを判定することができる。次世代TVパーキングCHにて受信した放送コンテンツの地域名及び事業者名と、次世代TV4K/8K新波のチャンネルにて受信した放送コンテンツの地域名及び事業者名とが同一の場合も同様である。
【0063】
次世代TVバージョンは、放送コンテンツの新しさが反映された数値を示す。具体的には、数値が大きいほど、放送コンテンツがバージョンアップされていることを意味する。この次世代TVバージョンは、後述する第3の送信系統である次世代TV4K/8K新波送信系統にも用いられる。
【0064】
次世代TV4K/8K新波送信系統の放送コンテンツの次世代TVバージョンは、次世代TVパーキングCHの次世代TVバージョンよりも高い値が設定される。例えば、次世代TVバージョンは、HD画質程度の映像信号を送信する次世代TVパーキングCHの放送コンテンツに対し、「1」が設定される。また、その後、同一の番組の映像信号であって、HD画質程度の映像信号が4K/8K画質の映像信号に改善された場合、4K/8K画質の映像信号を送信する次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツに対し、「10」が設定される。
【0065】
また、4K/8K画質が改善された場合、後に送信される次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツの次世代TVバージョンは、既に送信されている次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツの次世代TVバージョンよりも高い値が設定される。例えば、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツに対し「10」が設定された後、4K/8K画質が改善された場合、改善後の4K/8K画質の映像信号を送信する次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツに対し、「11」が設定される。
【0066】
次世代TVプリセットフラグは、次世代TV4K/8K新波のチャンネルが新たに開局した場合、送信チャンネルが変更された場合(チャンネルリパックが行われた場合)、次世代TVがバージョンアップした場合(先に4K画質の新波のチャンネルが開局し、その後にバージョンアップして8K画質の新波のチャンネルも開局してサイマル放送が実施された場合)等において、受信側に対し、新しいチャンネルを直ちにスキャンさせるべく、全チャンネルの再スキャンを促すためのフラグである。例えば、次世代TVプリセットフラグが「ON」の場合、全チャンネルの再スキャンを促すことを示し、「OFF」の場合、全チャンネルの再スキャンを促さないことを示す。この次世代TVプリセットフラグは、後述する第3の送信系統である次世代TV4K/8K新波送信系統にも用いられる。
【0067】
コンテンツ生成部11は、入力した映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等に、入力した地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを多重し、放送コンテンツのTS信号を生成する(ステップS303)。そして、コンテンツ生成部11は、生成した放送コンテンツのTS信号をコンテンツ多重装置3へ送信する(ステップS304)。
【0068】
このように、放送コンテンツのTS信号には、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグとして、例えば、「関東広域」「NHK総合」「1」「OFF」が多重される。
【0069】
(コンテンツ多重装置3)
図2を参照して、コンテンツ多重装置3は、複数の多重装置1から放送コンテンツのTS信号をそれぞれ受信し、それぞれのTS信号を多重し、多重後のTS信号を送信装置5へ送信する。次世代TVパーキングCHでは、6〜8程度の放送コンテンツのTS信号が多重され、1つのTVチャンネル(6MHz)から電波(放送波)として送信される。したがって、コンテンツ多重装置3は、6〜8程度の多重装置1からTS信号をそれぞれ入力し、これらを多重した1つのTS信号を送信装置5へ送信する。
【0070】
(送信装置5)
送信装置5は、次世代TV方式変調部13及び次世代TV方式送信部15を備えている。次世代TV方式変調部13は、コンテンツ多重装置3から複数の放送コンテンツが多重されたTS信号を受信し、TS信号に対し、次世代TV方式に準拠した所定の変調方式にて変調処理を施し、変調信号を生成して次世代TV方式送信部15に出力する。
【0071】
次世代TV方式送信部15は、次世代TV方式変調部13から変調信号を入力し、変調信号を所定の無線信号に変換し、無線信号の電波を、1チャンネルの6MHzの帯域にて図示しない送信アンテナから送信する。
【0072】
このように、次世代TVパーキングCH送信系統において、多重装置1により、HD画質程度の映像信号等に、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグが多重されて放送コンテンツのTS信号が生成され、コンテンツ多重装置3により、複数の放送コンテンツのTS信号が多重され、送信装置5により、複数の放送コンテンツのTS信号が多重された1つのTS信号が、1つのTVチャンネル(6MHz)から電波として送信される。
【0073】
〔送信側:第3の送信系統:次世代TV4K/8K新波送信系統〕
次に、図13(2)及び図13(3)に示した第3の送信系統である次世代TV4K/8K新波送信系統について詳細に説明する。図4は、本発明の実施形態による多重装置を含む次世代TV4K/8K新波送信系統の構成を示すブロック図である。次世代TV4K/8K新波送信系統は、前述のとおり、1台または2台の多重装置2、コンテンツ多重装置4及び送信装置6から構成される。
【0074】
(多重装置2)
多重装置2は、映像信号等に地域名等を多重し、放送コンテンツのTS信号を生成するコンテンツ生成部12を備えている。図2に示した次世代TVパーキングCH送信系統の多重装置1のコンテンツ生成部11とこの多重装置2のコンテンツ生成部12とを比較すると、コンテンツ生成部11は、HD画質程度の映像信号を入力するのに対し、コンテンツ生成部12は、4K/8K画質の映像信号を入力する点で相違する。それ以外の構成は同一である。
【0075】
コンテンツ生成部12は、4K/8K画質の映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等を入力すると共に、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを入力する。そして、コンテンツ生成部12は、入力した映像信号等に、入力した地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを多重し、放送コンテンツのTS信号を生成し、生成した放送コンテンツのTS信号をコンテンツ多重装置4へ送信する。
【0076】
放送コンテンツのTS信号には、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグとして、例えば、「関東広域」「NHK総合」「10」「OFF」が多重される。ここで、同一番組の放送コンテンツのTS信号において、次世代TVバージョンは、次世代TVパーキングCHについて「1」が多重され、次世代TV4K/8K新波について、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツよりもバージョンアップされたことを示す「10」が多重される。
【0077】
(コンテンツ多重装置4)
コンテンツ多重装置4は、2台の多重装置2から放送コンテンツのTS信号をそれぞれ受信した場合、2つのTS信号を多重し、多重後のTS信号を送信装置6へ送信する。また、コンテンツ多重装置4は、1台の多重装置2のみから放送コンテンツのTS信号を受信した場合、受信したTS信号を送信装置6へそのまま送信する。これは、次世代TV4K/8K新波では、映像信号が4K画質の場合、2つのTS信号を多重することができ、映像信号が8K画質の場合、2つのTS信号を多重することができないからである。
【0078】
(送信装置6)
送信装置6は、次世代TV方式変調部14及び次世代TV方式送信部16を備えている。次世代TV方式変調部14及び次世代TV方式送信部16は、図2に示した送信装置5の次世代TV方式変調部13及び次世代TV方式送信部15と同一であるから、ここでは説明を省略する。
【0079】
このように、次世代TV4K/8K新波送信系統において、多重装置2により、4K/8K画質の映像信号等に、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグが多重されて放送コンテンツのTS信号が生成され、コンテンツ多重装置4により、2つの放送コンテンツのTS信号の場合はこれらのTS信号が多重され、送信装置6により、TS信号が、1つのTVチャンネル(6MHz)から電波として送信される。
【0080】
以上のように、本発明の実施形態による次世代TVパーキングCH送信系統の多重装置1によれば、コンテンツ生成部11は、HD画質程度の映像信号等に、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを多重し、放送コンテンツのTS信号を生成するようにした。そして、コンテンツ多重装置3は、複数のTS信号を多重し、送信装置5は、次世代TVパーキングCHの電波として、1チャンネルの6MHzの帯域にて送信するようにした。
【0081】
また、本発明の実施形態による次世代TV4K/8K新波送信系統の多重装置2によれば、コンテンツ生成部12は、4K/8K画質の映像信号等に、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを多重し、放送コンテンツのTS信号を生成するようにした。そして、コンテンツ多重装置4は、2つのTS信号を入力した場合にこれらを多重し、送信装置6は、次世代TV4K/8K新波の電波として、1チャンネルの6MHzの帯域にて送信するようにした。
【0082】
これにより、後述する受信装置7に対し、現行の地デジの電波を送信する地デジ送信系統、次世代TVパーキングCH送信系統及び次世代TV4K/8K新波送信系統から送信された電波を受信させることができる。
【0083】
また、受信装置7に対し、地域名及び事業者名に基づいて、各送信系統から送信された放送コンテンツが同一であることを判定させ、地デジの放送コンテンツと次世代TVパーキングCHの放送コンテンツとが同一の場合、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツを地デジの放送コンテンツよりも優先させることができる。
【0084】
これにより、地デジのチャンネルと同じ放送コンテンツが次世代TVパーキングCHにて放送された場合であっても、全ての視聴者に対し、地デジの放送コンテンツではなく、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツの番組を視聴させることができ、社会的に大きな混乱が発生することなく、地デジによる放送を終了させることができる。つまり、前記課題1を解決することができる。
【0085】
また、受信装置7に対し、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツと次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツとが同一の場合、次世代TVバージョンに基づいて、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツを次世代TVパーキングCHの放送コンテンツよりも優先させることができる。
【0086】
これにより、次世代TV4K/8K新波による放送が順次開始された場合であっても、全ての視聴者に対し、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツではなく、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツの番組を視聴させることができる。つまり、視聴者に対し、より高画質な番組を視聴させることができるから、視聴者の利便性を向上させ、前記課題2を解決することができる。
【0087】
したがって、周波数が逼迫する地域であっても、次世代TVパーキングCHを導入することができ、現行の地上デジタル放送から将来の新たな次世代地上放送への移行を円滑に実現することが可能となる。
【0088】
さらに、受信装置7に対し、次世代TVプリセットフラグに基づいて、全チャンネルを再スキャンさせることができる。
【0089】
これにより、次世代TV4K/8K新波のチャンネルが新たに開局した場合、送信チャンネルが変更された場合(チャンネルリパックが行われた場合)、次世代TVがバージョンアップした場合等において、受信装置7は、全チャンネルを再スキャンするから、新たな放送コンテンツを受信することができ、視聴者に対し、新たな放送コンテンツの番組を視聴させることができる。つまり、視聴者の利便性を一層向上させることができる。
【0090】
〔受信側〕
次に、受信側の装置について説明する。受信側の装置は、第1の送信系統である地デジ送信系統、第2の送信系統である次世代TVパーキングCH送信系統、及び第3の送信系統である次世代TV4K/8K新波送信系統から送信された電波(放送波)を受信する。
【0091】
図5は、本発明の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。この受信装置7は、ISDB−T受信部201、ISDB−T復調部202及びコンテンツ復調部203から構成される第1の受信系統(地デジ受信系統)と、次世代TV方式受信部21、次世代TV方式復調部23及びコンテンツ復調部25から構成される第2の受信系統(次世代TVパーキングCH受信系統)と、次世代TV方式受信部22、次世代TV方式復調部24及びコンテンツ復調部26から構成される第3の受信系統(次世代TV4K/8K新波受信系統)とを備え、さらに、C/Nマージン算出部27及びコンテンツ比較部28を備えている。受信装置7は、地デジの放送コンテンツ及び次世代TVの放送コンテンツを受信する共用の受信装置である。
【0092】
ISDB−T受信部201、ISDB−T復調部202及びコンテンツ復調部203により地デジ受信系統部が構成され、次世代TV方式受信部21、次世代TV方式復調部23及びコンテンツ復調部25によりパーキング受信系統部が構成され、次世代TV方式受信部22、次世代TV方式復調部24及びコンテンツ復調部26により新波チャンネル受信系統部が構成される。
【0093】
(第1の受信系統:地デジ受信系統)
まず、第1の受信系統である地デジ受信系統について説明する。この地デジ受信系統を構成するISDB−T受信部201、ISDB−T復調部202及びコンテンツ復調部203は、図11に示した受信系統と同じである。
【0094】
ISDB−T復調部202は、さらに、ISDB−T受信部201から入力したIF信号に基づいて、希望信号レベル、雑音レベル、MER等を算出し、地デジの所定チャンネルの希望信号レベル、雑音レベル、MER等をC/Nマージン算出部27に出力する。
【0095】
コンテンツ復調部203は、ISDB−T復調部202からTS信号を入力し、TS信号から、HD画質の映像信号等、地域名及び事業者名を抽出し、地デジの所定チャンネルの映像信号等、地域名及び事業者名をコンテンツ比較部28に出力する。
【0096】
(第2の受信系統:次世代TVパーキングCH受信系統)
次に、第2の受信系統である次世代TVパーキングCH受信系統について説明する。次世代TVパーキングCH受信系統の次世代TV方式受信部21は、図2に示した次世代TVパーキングCH送信系統の送信装置5から送信された次世代TVパーキングCHの電波を、図示しない受信アンテナにて受信する。そして、次世代TV方式受信部21は、次世代TVパーキングCH(1つのチャンネル(6MHz))における受信した無線信号が所定レベル以上の場合、当該無線信号をIF信号に変換し、IF信号を次世代TV方式復調部23に出力する。
【0097】
次世代TV方式復調部23は、次世代TV方式受信部21からIF信号を入力し、IF信号に対し、図2に示した送信装置5の次世代TV方式変調部13における所定の変調方式に対応した復調処理を施し、多重された放送コンテンツのTS信号を復調する。そして、次世代TV方式復調部23は、多重された放送コンテンツのTS信号をコンテンツ復調部25に出力する。
【0098】
次世代TV方式復調部23は、さらに、次世代TV方式受信部21から入力したIF信号に基づいて、希望信号レベル、雑音レベル、MER等を算出し、次世代TVパーキングCHの希望信号レベル、雑音レベル、MER等をC/Nマージン算出部27に出力する。
【0099】
コンテンツ復調部25は、次世代TV方式復調部23から多重された放送コンテンツのTS信号を入力し、図2に示したコンテンツ多重装置3とは逆の処理を行い、多重された放送コンテンツのTS信号を、番組毎の放送コンテンツのTS信号に分離する。次世代TVパーキングCHでは、コンテンツ多重装置3により、6〜8程度の放送コンテンツのTS信号が多重されている。コンテンツ復調部25により、6〜8程度の番組毎に、放送コンテンツのTS信号が分離される。
【0100】
コンテンツ復調部25は、分離した放送コンテンツのTS信号毎に、図2に示した多重装置1のコンテンツ生成部11とは逆の処理を行い、放送コンテンツを復調する。具体的には、コンテンツ復調部25は、放送コンテンツのTS信号毎に、TS信号から、HD画質程度の映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等、並びに、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを抽出する。そして、コンテンツ復調部25は、次世代TVパーキングCHにおける番組の放送コンテンツ毎の映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等、並びに、地域名、事業者名及び次世代TVバージョンをコンテンツ比較部28に出力する。
【0101】
コンテンツ復調部25は、抽出した次世代TVプリセットフラグに、チャンネルの再スキャンを促す情報が設定されていると判定した場合(例えば「ON」)、再スキャン指示を出力し、全チャンネルの再スキャンを行わせる。また、コンテンツ復調部25は、次世代TVプリセットフラグに、チャンネルの再スキャンを促す情報が設定されていないと判定した場合(例えば「OFF」)、全チャンネルの再スキャンを行わせず、前述の処理を継続する。ここで、チャンネルの再スキャンは、TVの全チャンネル(UHF帯の13ch〜52ch等)における受信信号を確認し、新しい放送コンテンツの放送が開始されていないかを確認する処理である。
【0102】
(第3の受信系統:次世代TV4K/8K新波系統)
次に、第3の受信系統である次世代TV4K/8K新波受信系統について説明する。次世代TV4K/8K新波受信系統の次世代TV方式受信部22は、図4に示した次世代TV4K/8K新波送信系統の送信装置6から送信された次世代TV4K/8K新波の電波を、図示しない受信アンテナにて受信する。そして、次世代TV方式受信部22は、所定チャンネル(1つのチャンネル(6MHz))における受信した無線信号が所定レベル以上の場合、当該無線信号をIF信号に変換し、IF信号を次世代TV方式復調部24に出力する。
【0103】
次世代TV方式復調部24は、次世代TV方式受信部22からIF信号を入力し、IF信号に対し、図4に示した送信装置6の次世代TV方式変調部14における所定の変調方式に対応した復調処理を施し、TS信号を復調する。そして、次世代TV方式復調部24は、復調したTS信号をコンテンツ復調部26に出力する。
【0104】
次世代TV方式復調部24は、さらに、次世代TV方式受信部22から入力したIF信号に基づいて、希望信号レベル、雑音レベル、MER等を算出し、次世代TV4K/8K新波の所定チャンネルの希望信号レベル、雑音レベル、MER等をC/Nマージン算出部27に出力する。
【0105】
コンテンツ復調部26は、次世代TV方式復調部24からTS信号を入力し、図4に示したコンテンツ多重装置4とは逆の処理を行い、TS信号が多重されている場合、入力したTS信号を、2つの放送コンテンツのTS信号に分離する。次世代TV4K/8K新波では、映像信号が4K画質の場合、2つのTS信号が多重されている場合があるからである。また、コンテンツ復調部26は、TS信号が多重されていない場合、分離処理を行わない。
【0106】
コンテンツ復調部26は、放送コンテンツのTS信号に対し、図4に示した多重装置2のコンテンツ生成部12とは逆の処理を行い、放送コンテンツを復調する。具体的には、コンテンツ復調部26は、TS信号から、4K/8K画質の映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等、並びに、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを抽出する。そして、コンテンツ復調部26は、次世代TV4K/8K新波の所定チャンネルの映像信号、音声信号、データ放送信号及びEPG等、並びに、地域名、事業者名及び次世代TVバージョンをコンテンツ比較部28に出力する。
【0107】
コンテンツ復調部26は、抽出した次世代TVプリセットフラグに、チャンネルの再スキャンを促す情報が設定されていると判定した場合、再スキャン指示を出力し、全チャンネルの再スキャンを行わせる。また、コンテンツ復調部26は、次世代TVプリセットフラグに、チャンネルの再スキャンを促す情報が設定されていないと判定した場合、全チャンネルの再スキャンを行わせず、前述の処理を継続する。
【0108】
尚、受信装置7は、当該受信装置7の電源がONしたとき等の所定のタイミングにて、全チャンネルをスキャンする。また、コンテンツ復調部25,26が、次世代TVプリセットフラグに、チャンネルの再スキャンを促す情報が設定されていると判定すると、受信装置7は、全チャンネルを再スキャンする。この場合、次世代TV4K/8K新波受信系統の次世代TV方式受信部22は、次世代TV4K/8K新波受信系統の全チャンネルについて、チャンネル毎に前述の処理を行い、次世代TV方式復調部24及びコンテンツ復調部26も、チャンネル毎に前述の処理を行う。同様に、次世代TVパーキングCH受信系統の次世代TV方式受信部21、次世代TV方式復調部23及びコンテンツ復調部25も前述の処理を行う。また、地デジ受信系統のISDB−T受信部201も、地デジ受信系統の全チャンネルについて、チャンネル毎に前述の処理を行い、ISDB−T復調部202及びコンテンツ復調部203も、チャンネル毎に前述の処理を行う。そして、コンテンツ比較部28は、後述するように、受信可能な地デジの各チャンネルにおける放送コンテンツの地域名、事業者名及びC/Nマージン、受信可能な次世代TVパーキングCHの各放送コンテンツの地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージン、並びに、受信可能な次世代TV4K/8K新波の各チャンネルにおける放送コンテンツの地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録する。詳細については後述する。
【0109】
このように、次世代TVプリセットフラグに基づいて、全チャンネルの再スキャンが行われる。例えば、次世代TV4K/8K新波のチャンネルが新たに開局した場合等において、新しいチャンネルを直ちにスキャンすることができる。視聴者は、何らの作業を行うことなく、新たな放送コンテンツを視聴することができる。
【0110】
(C/Nマージン算出部27)
C/Nマージン算出部27は、ISDB−T復調部202から、地デジの所定チャンネルの希望信号レベル、雑音レベル、MER等を入力し、これらのデータに基づいてC/Nマージンを算出する。そして、C/Nマージン算出部27は、地デジの所定チャンネルのC/Nマージンをコンテンツ比較部28に出力する。
【0111】
C/Nマージン算出部27は、次世代TV方式復調部23から、次世代TVパーキングCHの希望信号レベル、雑音レベル、MER等を入力し、これらのデータに基づいてC/Nマージンを算出する。そして、C/Nマージン算出部27は、次世代TVパーキングCHのC/Nマージンをコンテンツ比較部28に出力する。
【0112】
C/Nマージン算出部27は、次世代TV方式復調部24から、次世代TV4K/8K新波の所定チャンネルの希望信号レベル、雑音レベル、MER等を入力し、これらのデータに基づいてC/Nマージンを算出する。そして、C/Nマージン算出部27は、次世代TV4K/8K新波の所定チャンネルのC/Nマージンをコンテンツ比較部28に出力する。
【0113】
C/Nマージンは、受信信号が雑音に対してどの程度耐性があるかを示す指標である。例えば、受信電力が大きい環境または雑音が少ない環境では、C/Nマージンが大きくなり、受信電力が小さい環境、または受信信号のレベルは極めて低いが復調可能な状態では、C/Nマージンは0に近くなる。
【0114】
(コンテンツ比較部28)
次に、図5に示すコンテンツ比較部28について説明する。図6は、コンテンツ比較部28の構成を示すブロック図である。このコンテンツ比較部28は、チャンネル情報登録部31及びコンテンツ選択部32を備えている。チャンネル情報登録部31は、受信装置7の電源がONしたとき、コンテンツ復調部25,26により再スキャン指示が出力されたとき等における全チャンネルのスキャンに伴い、受信可能なチャンネルに関する情報(地域名、事業者名等)を登録する。コンテンツ選択部32は、視聴者のリモコン操作に従って、視聴者が所望する放送コンテンツを選択し、当該映像信号等を出力して画面表示させる。
【0115】
(チャンネル情報登録部31)
図7は、チャンネル情報登録部31の処理を示すフローチャートである。チャンネル情報登録部31は、全チャンネルのスキャンに伴い、ISDB−T受信部201、次世代TV方式受信部21及び次世代TV方式受信部22が受信した無線信号が所定レベル以上のチャンネルについて、地域名、事業者名及びC/Nマージン、または、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録する(図示しないメモリに格納する)。尚、チャンネル情報登録部31は、全チャンネルのスキャンが開始される前に、既に登録済みのチャンネル情報を削除し、全チャンネルのスキャンに伴い、新たなチャンネル情報を登録する。これにより、放送が終了したチャンネルのチャンネル情報の登録が削除され、新たに放送が開始したチャンネルのチャンネル情報が登録される。
【0116】
図6及び図7を参照して、チャンネル情報登録部31は、全チャンネルのスキャンに伴い、コンテンツ復調部203から地デジの所定チャンネルの映像信号等、地域名及び事業者名を入力すると共に、C/Nマージン算出部27から当該チャンネルのC/Nマージンを入力する(ステップS701)。そして、チャンネル情報登録部31は、スキャンした地デジの所定チャンネルの地域名、事業者名及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録する(ステップS702)。
【0117】
チャンネル情報登録部31は、全チャンネルのスキャンに伴い、コンテンツ復調部25から次世代TVパーキングCHの各放送コンテンツの映像信号等、地域名、事業者名及び次世代TVバージョンを入力すると共に、C/Nマージン算出部27から当該チャンネルのC/Nマージンを入力する(ステップS703)。そして、チャンネル情報登録部31は、次世代TVパーキングCHの各放送コンテンツの地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録する(ステップS704)。
【0118】
チャンネル情報登録部31は、全チャンネルのスキャンに伴い、コンテンツ復調部26から次世代TV4K/8K新波の所定チャンネルの映像信号等、地域名、事業者名及び次世代TVバージョンを入力すると共に、C/Nマージン算出部27から当該チャンネルのC/Nマージンを入力する(ステップS705)。そして、チャンネル情報登録部31は、スキャンした次世代TV4K/8K新波の所定チャンネルの地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録する(ステップS706)。
【0119】
チャンネル情報登録部31は、全チャンネルのスキャンが完了した場合、処理を終了する(ステップS707)。これにより、チャンネル情報登録部31には、受信信号が所定レベル以上のチャンネル(受信可能なチャンネル)について、地デジの各チャンネルにおける放送コンテンツの地域名、事業者名及びC/Nマージン、次世代TVパーキングCHの各放送コンテンツの地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージン、並びに、次世代TV4K/8K新波の各チャンネルにおける放送コンテンツの地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージンがチャンネル情報として登録される。
【0120】
(コンテンツ選択部32)
図8は、コンテンツ選択部32の処理を示すフローチャートである。前述のとおり、コンテンツ選択部32は、視聴者のリモコン操作に従って、視聴者が所望する放送コンテンツを選択し、当該映像信号等を出力して画面表示させる。この場合、コンテンツ選択部32は、視聴者のリモコン操作に従って視聴者が所望する同一放送コンテンツが複数存在する場合(例えば、地デジの放送コンテンツと次世代TVパーキングCHの放送コンテンツとが同一の場合、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツと次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツとが同一の場合)、予め設定された優先順位の規則、次世代TVバージョンまたはC/Nマージンに基づいて、1の放送コンテンツを選択し、当該映像信号等を出力して画面表示させる。
【0121】
コンテンツ選択部32は、視聴者のリモコン操作に従い、リモコン操作が示すチャンネルの地域名、事業者名及びC/Nマージン(または地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージン)のチャンネル情報Aを、チャンネル情報登録部31から読み出す(ステップS801)。そして、コンテンツ選択部32は、読み出したチャンネル情報Aと同一の地域名及び事業者名を有するチャンネル情報Bを、チャンネル情報登録部31から読み出す(ステップS802)。この場合、2つのチャンネル情報Bが読み出される場合もあり得る。
【0122】
これにより、チャンネル情報Bがチャンネル情報登録部31から読み出された場合、同一放送コンテンツが存在することになり、チャンネル情報Bが読み出されなかった場合、同一放送コンテンツは存在しないことになる。
【0123】
例えば、地デジの所定チャンネルのチャンネル情報Aに含まれる地域名が「関東広域」及び事業者名が「NHK総合」であり、次世代TVパーキングCHのチャンネル情報の地域名が「関東広域」及び事業者名が「NHK総合」である場合、当該次世代TVパーキングCHのチャンネル情報がチャンネル情報Bとして読み出される。この場合、地デジ及び次世代TVパーキングCHの同一放送コンテンツが存在することになる。
【0124】
コンテンツ選択部32は、同一放送コンテンツが存在するか否かを判定し(ステップS803)、同一放送コンテンツが存在しないと判定した場合(ステップS803:N)、チャンネル情報Aの放送コンテンツを選択する(ステップS804)。つまり、コンテンツ選択部32は、チャンネル情報Aのチャンネルにて放送コンテンツを受信するように、対応する地デジ受信系統のISDB−T受信部201、ISDB−T復調部202及びコンテンツ復調部203、次世代TVパーキングCH受信系統の次世代TV方式受信部21、次世代TV方式復調部23及びコンテンツ復調部25、並びに、次世代TV4K/8K新波受信系統の次世代TV方式受信部22、次世代TV方式復調部24及びコンテンツ復調部26のうちのいずれかの受信系統(チャンネル情報Aに対応した受信系統)を動作させる。
【0125】
一方、コンテンツ選択部32は、ステップS803において、同一放送コンテンツが存在すると判定した場合(ステップS803:Y)、チャンネル情報A,Bの放送コンテンツのうちのいずれかを選択する(ステップS805)。
【0126】
具体的には、コンテンツ選択部32は、以下の優先順位(優先順位の番号が小さい方が優先順位は高い)にて、放送コンテンツを選択する。ステップS805の放送コンテンツ選択処理の詳細については後述する。
優先順位1:次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツ
優先順位2:次世代TVパーキングCHの放送コンテンツ
優先順位3:地デジの放送コンテンツ
【0127】
コンテンツ選択部32は、ステップS805の放送コンテンツ選択処理にて選択された放送コンテンツを受信するように、対応する地デジ受信系統のISDB−T受信部201、ISDB−T復調部202及びコンテンツ復調部203、次世代TVパーキングCH受信系統の次世代TV方式受信部21、次世代TV方式復調部23及びコンテンツ復調部25、並びに、次世代TV4K/8K新波受信系統の次世代TV方式受信部22、次世代TV方式復調部24及びコンテンツ復調部26のうちのいずれかの受信系統(チャンネル情報A,Bの複数の放送コンテンツから選択された1つの放送コンテンツのチャンネル情報に対応した受信系統)を動作させる。
【0128】
コンテンツ選択部32は、ステップS804またはステップS805から移行して、コンテンツ復調部203、コンテンツ復調部25及びコンテンツ復調部26のうちのいずれかの復調部から、選択した放送コンテンツの映像信号等を入力し、当該映像信号等を出力することで、映像信号を画面表示させる(ステップS806)。
【0129】
(放送コンテンツ選択処理)
図9は、コンテンツ選択部32による放送コンテンツ選択処理(図8のステップS805)を示すフローチャートである。この放送コンテンツ選択処理は、前述したとおり、放送コンテンツが同一の場合に、次世代TV4K/8K新波(優先順位1)、次世代TVパーキングCH(優先順位2)、地デジ(優先順位3)の優先順位にて、放送コンテンツを選択する処理である。また、同一放送コンテンツの優先順位が同じ場合、C/Nマージンが高い放送コンテンツが選択される。
【0130】
まず、コンテンツ選択部32は、同一放送コンテンツが地デジ及び次世代TV(次世代TVパーキングCHまたは次世代TV4K/8K新波)の放送コンテンツであるか否かを判定する(ステップS901)。すなわち、コンテンツ選択部32は、同一放送コンテンツについて、地デジの放送コンテンツの地域名及び事業者名と、次世代TVの放送コンテンツの地域名及び事業者名とが同一であるか否かを判定する。
【0131】
ここで、チャンネル情報登録部31は、チャンネル情報を登録する際に、そのチャンネル情報がどの受信系統から入力した情報であるかを判断することができる。したがって、コンテンツ選択部32は、チャンネル情報登録部31から読み出したチャンネル情報が、地デジのチャンネル、次世代TVパーキングCH及び次世代TV4K/8K新波のチャンネルのいずれかの情報であるかを判断することができる。
【0132】
<地デジと次世代TVの放送コンテンツが同一の場合>
コンテンツ選択部32は、ステップS901において、同一放送コンテンツが地デジ及び次世代TVの放送コンテンツであると判定した場合(ステップS901:Y)、次世代TVの同一放送コンテンツが複数存在するか否かを判定する(ステップS902)。
【0133】
コンテンツ選択部32は、ステップS902において、次世代TVの同一放送コンテンツが複数存在しないと判定した場合(ステップS902:N)、同一放送コンテンツにおいて、地デジの放送コンテンツが1つ(または1つ以上)存在し、次世代TVの放送コンテンツが1つ存在すると判断する。そして、コンテンツ選択部32は、次世代TVの放送コンテンツを地デジの放送コンテンツよりも優先することで、次世代TVの放送コンテンツを選択する(ステップS903)。
【0134】
例えば、図1(2)及び図13(2)に示した次世代TVの開始当初の状況において、地デジのある1つのチャンネルにて放送される放送コンテンツと、次世代TVパーキングCHにて放送される放送コンテンツとが同一の場合を想定する。コンテンツ選択部32は、チャンネル情報登録部31からチャンネル情報を読み出し、これらの放送コンテンツの地域名及び事業者名が同一であると判定し、地デジの放送コンテンツが1つ存在し、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツが1つ存在すると判断する。そして、コンテンツ選択部32は、地デジの放送コンテンツ及び次世代TVパーキングCHの放送コンテンツのうち、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツを選択する。そして、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツの映像信号等が出力され、画面表示される。
【0135】
このように、図1(2)及び図13(2)に示した次世代地上放送(次世代TV)の開始当初の状況において、地デジの放送コンテンツと次世代TVパーキングCHの放送コンテンツとが同一の場合、ある番組の放送コンテンツ(例えばNHKの番組)は、地デジのチャンネル及び次世代TVパーキングCHのどちらのチャンネルからも放送される。この場合、コンテンツ選択部32において、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツが地デジの放送コンテンツよりも優先される。
【0136】
したがって、視聴者に対し、何らの操作を行わせることなく必然的に、地デジの放送コンテンツではなく、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツを視聴させる状態とすることができる。これにより、社会的に大きな混乱が発生することなく、地デジによる放送を終了させることができる。つまり、前記課題1を解決することができる。
【0137】
コンテンツ選択部32は、ステップS901において、同一放送コンテンツが地デジ及び次世代TVの放送コンテンツでないと判定した場合(ステップS901:N)、すなわち、地デジの放送コンテンツ及び次世代TVの放送コンテンツの一方が存在せず、同一放送コンテンツが複数の地デジの放送コンテンツまたは複数の次世代TVの放送コンテンツである場合、ステップS904へ移行する。
【0138】
コンテンツ選択部32は、ステップS901から移行して、次世代TVの同一放送コンテンツが複数存在するか否かを判定する(ステップS904)。コンテンツ選択部32は、ステップS904において、次世代TVの同一放送コンテンツが複数存在しないと判定した場合(ステップS904:N)、同一放送コンテンツにおいて、地デジの放送コンテンツが2つ以上存在すると判断する。そして、コンテンツ選択部32は、2つ以上の地デジの放送コンテンツのうち1つの放送コンテンツを選択する(ステップS905)。尚、ステップS905における地デジの選択処理は本発明と直接関連しないから、ここでは説明を省略する。
【0139】
<次世代TVの放送コンテンツが同一の場合>
コンテンツ選択部32は、ステップS902またはステップS904において、次世代TVの同一放送コンテンツが複数存在すると判定した場合(ステップS902:YまたはステップS904:Y)、同一放送コンテンツについて、地デジの放送コンテンツが0、次世代TVの放送コンテンツが2つ以上存在すると判断する。
【0140】
コンテンツ選択部32は、同一放送コンテンツについて、チャンネル情報A,Bに含まれる次世代TVの次世代バージョンを比較し、それが最も高い次世代TVの放送コンテンツを特定する(ステップS906)。コンテンツ選択部32は、ステップS906にて特定した、次世代バージョンが最も高い次世代TVの放送コンテンツが1つであるか否かを判定する(ステップS907)。
【0141】
コンテンツ選択部32は、ステップS907において、次世代バージョンが最も高い次世代TVの放送コンテンツが1つであると判定した場合(ステップS907:Y)、当該次世代TVの放送コンテンツを選択する(ステップS908)。
【0142】
例えば、図1(3)及び図13(3)に示した次世代TVに完全移行した状況において、次世代TVパーキングCHにて放送される放送コンテンツと次世代TV4K/8K新波のあるチャンネルにて放送される放送コンテンツとが同一の場合を想定する。コンテンツ選択部32は、チャンネル情報登録部31からチャンネル情報を読み出し、これらの放送コンテンツの地域名及び事業者名が同一であると判定し、次世代TVの放送コンテンツが2つ存在すると判断する。そして、コンテンツ選択部32は、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツの次世代TVバージョンが次世代TVパーキングCHの放送コンテンツの次世代TVバージョンよりも高いことを判定し、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツを選択する。そして、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツの映像信号等が出力され、画面表示される。
【0143】
ここで、次世代TVバージョンには、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツが次世代TVパーキングCHの放送コンテンツよりも優先順位が高くなるように、データが設定されているものとする。
【0144】
このように、図1(3)及び図13(3)に示した次世代TVに完全移行した状況において、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツと次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツとが同一の場合、ある番組(例えばNHKの番組)の放送コンテンツは、次世代TVパーキングCH及び次世代TV4K/8K新波のチャンネルのどちらのチャンネルからも放送される。この場合、コンテンツ選択部32において、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツが次世代TVパーキングCHの放送コンテンツよりも優先される。
【0145】
したがって、全ての視聴者に対し、何らの操作を行わせることなく必然的に、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツではなく、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツを視聴させる状態とすることができる。つまり、視聴者に対し、より高画質な番組を視聴させることができるから、視聴者の利便性を向上させることができる。結果として、前記課題2を解決することができる。
【0146】
<次世代TVの放送コンテンツが同一であり、次世代バージョンも同一の場合>
コンテンツ選択部32は、ステップS907において、次世代バージョンが最も高い次世代TVの放送コンテンツが1つでなく複数であると判定した場合(ステップS907:N)、チャンネル情報A,Bに含まれるC/Nマージンを比較し、それが最も高い次世代TVの放送コンテンツを特定する(ステップS909)。コンテンツ選択部32は、ステップS909にて特定した、C/Nマージンが最も高い次世代TVの放送コンテンツが1つであるか否かを判定する(ステップS910)。
【0147】
コンテンツ選択部32は、ステップS910において、C/Nマージンが最も高い次世代TVの放送コンテンツが1つであると判定した場合(ステップS910:Y)、ステップS909にて特定した次世代TVの放送コンテンツを選択する(ステップS911)。一方、コンテンツ選択部32は、ステップS910において、C/Nマージンが最も高い次世代TVの放送コンテンツが1つでなく複数であると判定した場合(ステップS910:N)、ステップS909にて特定したC/Nマージンが同じ複数の次世代TVの放送コンテンツのうち、任意の次世代TVの放送コンテンツを選択する(ステップS912)。
【0148】
例えば、図1(3)及び図13(3)に示した次世代TVに完全移行した状況において、次世代TV4K/8K新波のある1つのチャンネルにて放送される放送コンテンツと次世代TV4K/8K新波における他のチャンネルにて放送される放送コンテンツとが同一の場合を想定する。コンテンツ選択部32は、これらの放送コンテンツの地域名及び事業者名が同一であると判定し、次世代TVの放送コンテンツが2つ存在すると判断する。例えば、スカイツリーの放送所から送信されたあるチャンネルの放送コンテンツの地域名及び事業者名と、八王子の中継放送所から送信された他のチャンネルの放送コンテンツの地域名及び事業者名とが同一であり、その両方を受信可能な場合、次世代TVの同一放送コンテンツが2つ存在すると判断される。そして、コンテンツ選択部32は、2つの放送コンテンツのうちC/Nマージンが高い放送コンテンツを選択する。そして、選択した放送コンテンツの映像信号等が出力され、画面表示される。
【0149】
このように、図1(3)及び図13(3)に示した次世代TVに完全移行した状況において、次世代TV4K/8K新波の2つのチャンネルにて放送される放送コンテンツが同一であって、次世代TVバージョンも同一である場合、C/Nマージンの高い放送コンテンツが優先される。
【0150】
したがって、全ての視聴者に対し、何らの操作を行わせることなく必然的に、C/Nマージンの高い次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツを視聴させる状態とすることができる。つまり、視聴者に対し、よりノイズの少ない番組を視聴させることができ、視聴者の利便性を向上させることができる。
【0151】
以上のように、本発明の実施形態による受信装置7によれば、コンテンツ比較部28のチャンネル情報登録部31は、受信装置7の電源がONしたとき、コンテンツ復調部25,26により再スキャン指示が出力されたとき等における全チャンネルのスキャンに伴い、スキャンした地デジのチャンネルの地域名、事業者名及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録し、スキャンした次世代TVパーキングCHの各放送コンテンツの地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録し、スキャンした次世代TV4K/8K新波のチャンネルの地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録するようにした。
【0152】
また、コンテンツ選択部32は、視聴者のリモコン操作に従い、リモコン操作が示すチャンネルの地域名等のチャンネル情報Aを読み出すと共に、チャンネル情報Aと同一の地域名及事業者名を有するチャンネル情報Bを読み出し、地デジの放送コンテンツと次世代TVパーキングCHの放送コンテンツとが同一の場合、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツを地デジの放送コンテンツよりも優先して選択するようにした。
【0153】
これにより、全ての視聴者に対し、地デジの放送コンテンツではなく、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツを視聴させることができ、地デジの視聴者の数を0とすることができる。つまり、社会的に大きな混乱が発生することなく、地デジによる放送を終了させることができ、前記課題1を解決することができる。
【0154】
また、コンテンツ選択部32は、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツと次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツとが同一の場合、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツを次世代TVパーキングCHの放送コンテンツよりも優先して選択するようにした。
【0155】
これにより、次世代TV4K/8K新波による放送が順次開始された場合であっても、全ての視聴者に対し、次世代TVパーキングCHの放送コンテンツではなく、次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツを視聴させることができる。つまり、視聴者に対し、より高画質な番組を視聴させることができるから、視聴者の利便性を向上させ、前記課題2を解決することができる。
【0156】
したがって、周波数が逼迫する地域であっても、次世代TVパーキングCHを導入することができ、現行の地上デジタル放送から将来の新たな次世代地上放送への移行を円滑に実現することが可能となる。
【0157】
さらに、次世代TVパーキングCH受信系統のコンテンツ復調部25または次世代TV4K/8K新波受信系統のコンテンツ復調部26は、次世代TVプリセットフラグに、チャンネルの再スキャンを促す情報が設定されていると判定した場合、再スキャン指示を出力して全チャンネルの再スキャンを行わせるようにした。
【0158】
これにより、次世代TV4K/8K新波のチャンネルが新たに開局した場合、送信チャンネルが変更された場合(チャンネルリパックが行われた場合)、次世代TVがバージョンアップした場合等において、コンテンツ比較部28のチャンネル情報登録部31は、放送が終了したチャンネルのチャンネル情報の登録を削除し、新たに放送が開始したチャンネルのチャンネル情報を登録することができる。したがって、視聴者に対し、新たな放送コンテンツを視聴させることができ、視聴者の利便性を一層向上させることができる。
【0159】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施形態では、多重装置1のコンテンツ生成部11及び多重装置2のコンテンツ生成部12は、映像信号等を入力すると共に、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを入力し、映像信号等に、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを多重してTS信号を生成するようにした。これに対し、コンテンツ生成部11,12は、次世代TVプリセットフラグを入力しないで、映像信号等、地域名、事業者名及び次世代TVバージョンを入力し、映像信号等に、地域名、事業者名及び次世代TVバージョンを多重してTS信号を生成するようにしてもよい。この場合、受信装置7において、全チャンネルの再スキャンが自動的に行われず、視聴者の手動操作により行われる。
【0160】
また、送信装置5,6は、多重装置1のコンテンツ生成部11及び多重装置2のコンテンツ生成部12の代わりに、映像信号等のTS信号に、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを多重するようにしてもよい。この場合、コンテンツ生成部11,12は、映像信号等を入力し、映像信号等を多重してTS信号を生成する。送信装置5,6は、多重部(多重装置)を備え、当該多重部が、コンテンツ多重装置3,4からTS信号を入力すると共に、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを入力し、TS信号にこれらを多重し、多重したTS信号を生成して次世代TV方式変調部13,14に出力する。尚、多重部は、次世代TVプリセットフラグを入力しなくてもよい。
【0161】
また、前記実施形態では、多重装置1のコンテンツ生成部11及び多重装置2のコンテンツ生成部12は、映像信号等を多重してTS信号を生成するようにした。本発明は、TS信号に限定するものではなく、コンテンツ生成部11,12は、TS信号の代わりに、TLV(Type Length Value)信号等の他の多重信号を生成するようにしてもよい。
【0162】
また、図2における次世代TVパーキングCH送信系統、及び図4における次世代TV4K/8K新波送信系統は、図示しない多重情報設定部をそれぞれ備える。多重情報設定部は、コンテンツ生成部11が入力する地域名、事業者名、次世代TVバージョン及び次世代TVプリセットフラグを生成し、これらの多重情報を多重装置1のコンテンツ生成部11または多重装置2のコンテンツ生成部12に出力する。
【0163】
具体的には、多重情報設定部は、多重装置1のコンテンツ生成部11が入力する映像信号等の放送コンテンツに対応して地域名及び事業者名を設定する。また、多重情報設定部は、映像信号等の放送コンテンツに対応して次世代TVバージョンを設定する。例えば、前述のとおり、次世代TVバージョンは、HD画質程度の映像信号を送信する次世代TVパーキングCHの放送コンテンツに対応して「1」が設定され、同一の放送コンテンツであって、4K/8K画質の映像信号を送信する次世代TV4K/8K新波の放送コンテンツに対応して「10」が設定される。また、多重情報設定部は、チャンネルが新たに開局した場合等において、次世代TVプリセットフラグを設定する。
【0164】
また、前記実施形態では、受信装置7において、コンテンツ比較部28のチャンネル情報登録部31は、全チャンネルのスキャンに伴い、地デジのチャンネルについて、地域名、事業者名及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録し、次世代TVパーキングCH及び次世代TV4K/8K新波について、地域名、事業者名、次世代TVバージョン及びC/Nマージンをチャンネル情報として登録するようにし、コンテンツ選択部32は、視聴者のリモコン操作に従って、次世代TVの同一放送コンテンツを判定した場合、次世代バージョンも同一であるとき、チャンネル情報に含まれるC/Nマージンに基づいて、いずれかの次世代TVの放送コンテンツを選択するようにした。これに対し、コンテンツ選択部32は、全チャンネルのスキャンの際に登録したC/Nマージンを用いる代わりに、視聴者のリモコン操作の際に取得したC/Nマージンを用いて、放送コンテンツを選択するようにしてもよい。この場合、コンテンツ選択部32は、視聴者のリモコン操作の際に、次世代TV4K/8K新波受信系統を動作させ、次世代TVの同一放送コンテンツのそれぞれについて、C/Nマージン算出部27にC/Nマージンを算出させ、C/Nマージンを入力する。また、チャンネル情報登録部31は、C/Nマージンをチャンネル情報の一部として登録する必要がない。
【0165】
また、前記実施形態において、図2に示した多重装置1のコンテンツ生成部11の処理は、多重装置1に搭載される集積回路であるLSIのチップにより実現される。また、LSIの代わりに、集積度の異なるVLSI、ULSI等のチップにより実現されるようにしてもよい。さらに、LSI等のチップに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いるようにしてもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いるようにしてもよい。これは、図4に示した多重装置2のコンテンツ生成部12の処理についても同様であり、図2に示した送信装置5または図4に示した送信装置6が多重部を備える場合には、当該多重部の処理についても同様である。
【0166】
また、図5に示した受信装置7のコンテンツ復調部203、コンテンツ復調部25,26、C/Nマージン算出部27及びコンテンツ比較部28の各構成部の処理は、受信装置7に搭載される集積回路であるLSIのチップにより実現される。これらは、個別に1チップ化されていてもよいし、これらの一部または全部が1チップ化されていてもよく、集積度の異なるVLSI、ULSI等のチップにより実現されるようにしてもよい。さらに、専用回路または汎用プロセッサを用いるようにしてもよいし、FPGAを用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0167】
1,2,100 多重装置
3,4 コンテンツ多重装置
5,6,110 送信装置
7,200 受信装置
11,12,101 コンテンツ生成部
13,14 次世代TV方式変調部
15,16 次世代TV方式送信部
21,22 次世代TV方式受信部
23,24 次世代TV方式復調部
25,26,203 コンテンツ復調部
27 C/Nマージン算出部
28 コンテンツ比較部
31 チャンネル情報登録部
32 コンテンツ選択部
111 ISDB−T変調部
112 ISDB−T送信部
201 ISDB−T受信部
202 ISDB−T復調部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13