(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0016】
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図1には、プラズマ処理装置10の縦断面構造が概略的に示されている。
図1に示すプラズマ処理装置10は、容量結合型平行平板プラズマエッチング装置である。プラズマ処理装置10は、処理容器12を備えている。処理容器12は、例えば、その表面に陽極酸化処理が施されたアルミニウムから構成されている。処理容器12は、側壁12sを有している。側壁12sは略円筒形状を有している。側壁12sの中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXに略一致している。側壁12sには、ウエハWの搬入又は搬出のための開口12gが設けられている。この開口12gはゲートバルブ52により開閉可能となっている。
【0017】
処理容器12内には、載置台14が設けられている。一実施形態では、載置台14は、支持部16によって支持されている。支持部16は、略円筒形状の絶縁性の部材であり、処理容器12の底部12bから上方に延在している。一実施形態では、支持部16は、載置台14の下側周縁部分に接して当該載置台14を支持している。
【0018】
載置台14は、下部電極18及び静電チャック20を含んでいる。下部電極18は、略円盤形状を有しており、導体から構成されている。下部電極18には、整合器MU1を介して第1の高周波電源HFSが接続されている。第1の高周波電源HFSは、主としてプラズマ生成用の高周波電力を発生する電源であり、27〜100MHzの周波数、一例においては40MHzの高周波電力を発生する。整合器MU1は、第1の高周波電源HFSの出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
【0019】
また、下部電極18には、整合器MU2を介して第2の高周波電源LFSが接続されている。第2の高周波電源LFSは、主としてウエハWへのイオン引き込み用の高周波電力(高周波バイアス電力)を発生して、当該高周波バイアス電力を下部電極18に供給する。高周波バイアス電力の周波数は、400kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数であり、一例においては3MHzである。整合器MU2は、第2の高周波電源LFSの出力インピーダンスと負荷側(下部電極18側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
【0020】
下部電極18上には、静電チャック20が設けられている。静電チャック20は、導電膜である電極20aを一対の絶縁層又は絶縁シート間に配置した構造を有している。電極20aには、直流電源22がスイッチSWを介して電気的に接続されている。この静電チャック20の上面は、被処理体であるウエハWが載置される載置領域20rを構成している。この載置領域20rの中心は軸線AX上に位置し得る。この静電チャック20の電極20aに直流電源22から直流電圧が印加されると、静電チャック20はクーロン力等の静電力によって、載置領域20r上に載置されたウエハWを吸着する。
【0021】
また、プラズマ処理装置10では、ウエハWのエッジを囲むようにフォーカスリングFRが設けられる。フォーカスリングFRは、例えば、シリコン、又は石英から構成され得る。
【0022】
下部電極18の内部には、流路18aが形成されている。流路18aには、外部に設けられたチラーユニットから配管26aを介して冷媒、例えば冷却水が供給される。流路18aに供給された冷媒は、配管26bを介してチラーユニットに戻される。このように循環される冷媒の温度を制御することにより、静電チャック20上に載置されたウエハWの温度が制御される。
【0023】
また、載置台14には、ガス供給ライン28が設けられている。ガス供給ライン28は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャック20の上面とウエハWの裏面との間に供給する。
【0024】
また、プラズマ処理装置10は、上部電極30を備えている。上部電極30は、下部電極18の上方において、当該下部電極18と対向配置されている。下部電極18と上部電極30とは、互いに略平行に設けられている。
【0025】
上部電極30は、絶縁性遮蔽部材32を介して、処理容器12の天井部に支持されている。上部電極30は、電極板34及び電極支持体36を含み得る。電極板34は、処理容器12内の空間に面しており、複数のガス吐出孔34aを提供している。電極板34は、ジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から構成され得る。
【0026】
電極支持体36は、電極板34を着脱自在に支持するものであり、例えばアルミニウムといった導電性材料から構成され得る。電極支持体36は、水冷構造を有し得る。電極支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。ガス拡散室36aからは、ガス吐出孔34aに連通する複数のガス通流孔36bが下方に延びている。また、電極支持体36にはガス拡散室36aに処理ガスを導くガス導入口36cが形成されており、このガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0027】
ガス供給管38には、バルブ群42及び流量制御器群44を介してガスソース群40が接続されている。ガスソース群40は、複数のガスソースを有している。これら複数のガスソースは、異なるガス種の複数のガスのソースである。バルブ群42は、複数のバルブを有している。流量制御器群44は、マスフローコントローラといった複数の流量制御器を有している。ガスソース群40の複数のガスソースはそれぞれ、バルブ群42に含まれる対応のバルブ、及び流量制御器群44に含まれる対応の流量制御器を介して、ガス供給管38に接続されている。
【0028】
プラズマ処理装置10では、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスが、対応の流量制御器及びバルブを介して、流量制御された状態で、ガス供給管38に供給される。ガス供給管38に供給されたガスは、ガス拡散室36aに至り、ガス通流孔36b及びガス吐出孔34aを介して処理容器12内の空間に導入される。なお、ガスソース群40、流量制御器群44、バルブ群42、ガス供給管38及び上部電極30は、一実施形態に係るガス供給部GSを構成しており、当該ガス供給部GSは、後述する第1空間S1に接続されている。
【0029】
また、
図1に示すように、処理容器12の側壁12sと載置台14の径方向外周との間には、周方向において環状に延在する排気路VLが形成されている。この排気路VLの直下、且つ、処理容器12の底部12bには、排気管48が接続されており、当該排気管48には排気装置50が接続されている。これにより、排気装置50は後述する第2空間S2に接続される。この排気装置50は、ターボ分子ポンプといった真空ポンプを有している。このように、プラズマ処理装置10では、軸線AXに対して径方向に偏位した位置で排気装置50が排気路VLに接続されている。このため、排気路VLの周方向の各位置から排気装置50までのコンダクタンスは周方向において異なっている。
【0030】
また、プラズマ処理装置10は、制御部Cntを更に備え得る。この制御部Cntは、プロセッサ、記憶部、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置10の各部を制御する。この制御部Cntでは、入力装置を用いて、オペレータがプラズマ処理装置10を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができ、また、表示装置により、プラズマ処理装置10の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、制御部Cntの記憶部には、プラズマ処理装置10で実行される各種処理をプロセッサにより制御するための制御プログラムや、処理条件に応じてプラズマ処理装置10の各構成部に処理を実行させるためのプログラム、即ち、処理レシピが格納される。
【0031】
このプラズマ処理装置10では、ウエハWを処理するために、ガスソース群40の複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースから処理容器12内にガスが供給される。そして、下部電極18にプラズマ生成用の高周波電力が与えられることにより、下部電極18と上部電極30との間に高周波電界が発生する。この高周波電界により、処理容器12内に供給されたガスのプラズマが生成される。そして、生成されたプラズマにより、ウエハWの処理、例えば、エッチングが行われる。なお、下部電極18に高周波バイアス電力を与えることにより、イオンをウエハWに対して引き込んでもよい。
【0032】
図1に示すように、プラズマ処理装置10は、バッフル構造60を更に備えている。バッフル構造60は、載置領域20rよりも下方において載置台14と処理容器12の側壁12sとの間に介在している。バッフル構造60は、処理容器12内において第1空間S1及び第2空間S2を規定している。第1空間S1は、載置領域20rが配置される空間、即ち、ウエハWが配置される空間である。第2空間S2は、載置領域20rよりも下方、且つ、第1空間S1よりも排気装置50側、即ち下流にある空間である。第1空間S1には、上述したガス供給部GSが接続されており、第2空間S2には、上述した排気装置50が接続されている。
【0033】
以下、
図1と共に、
図2〜
図7を参照する。
図2及び
図3は、一実施形態のプラズマ処理装置におけるバッフル構造の第1部材及び複数の第2部材、並びに駆動機構を概略的に示す斜視図である。
図2及び
図3では、第1部材の上側環状部の図示が省略されている。また、
図2では、複数の第2部材が鉛直方向において同一位置にある状態が示されており、
図3では、複数の第2部材のうち一つが鉛直方向において他の第2部材と異なる位置にある状態が示されている。
図4は、
図2及び
図3に示すバッフル構造の第1部材の円筒部及び複数の第2部材の本体部を上方から視て示す平面図である。
図5は、一実施形態のバッフル構造及び駆動機構を示す図である。
図6及び
図7は、一実施形態のバッフル構造の第1部材及び第2部材を示す破断斜視図である。なお、各図は、説明の理解のために示した斜視図であり、図示された第1部材及び第2部材のサイズ、並びに、第1部材の円筒部に形成された貫通孔のサイズ及び個数は、実際の第1部材及び第2部材のサイズ、並びに、第1部材の円筒部に形成された貫通孔のサイズ及び個数とは異なっている。
【0034】
図1〜
図6に示すように、バッフル構造60は、第1部材61及び複数の第2部材62を含んでいる。
図2等に示す例では、バッフル構造60は四つの第2部材62を含んでいる。これらの第2部材62は、軸線AXに対して周方向に配列されている。なお、第2部材62の個数は、二以上の任意の個数であり得る。
【0035】
第1部材61は、アルミニウム又はステンレスといった金属の表面にY
2O
3といった被覆を施すことによって構成されている。第1部材61は、円筒部61a、下側環状部61b、及び上側環状部61cを有している。
【0036】
円筒部61aは、略円筒形状を有しており、その中心軸線が軸線AXに略一致するように設けられている。円筒部61aの板厚は、例えば5mmである。また、円筒部61aの外径(直径)は、例えば550mmである。
図1に示すように、円筒部61aは、載置台14と処理容器12の側壁12sとの間で延在している。
【0037】
円筒部61aには、複数の貫通孔61hが形成されている。複数の貫通孔61hは、円筒部61aを軸線AXに対して放射方向(即ち、径方向)に貫通している。複数の貫通孔61hは、鉛直方向において長尺のスリット形状を有している。これら複数の貫通孔61hは、円筒部61aの全周にわたって分布するように、略均等なピッチで軸線AXに対して周方向に配列されている。
【0038】
なお、複数の貫通孔61hの各々の幅、即ち、複数の貫通孔61hの各々の鉛直方向に直交する方向における幅は、第2空間S2へのプラズマの漏れを抑制する観点からは、略3.5mm以下であり得る。また、複数の貫通孔61h各々の鉛直方向における長さは、第1空間S1の圧力の調整範囲に応じて任意に設定され得る。例えば、複数の貫通孔61hの各々の鉛直方向における長さは、30mmである。
【0039】
下側環状部61bは、環形状を有している。下側環状部61bは、円筒部61aの下端に接続しており、円筒部61aの下端から径方向内側に延在している。また、上側環状部61cは、環形状を有している。上側環状部61cは、円筒部61aの上端に連続しており、当該円筒部61aの上端から径方向外側に延在している。なお、第1部材61は、別個の部材である円筒部61a、下側環状部61b、及び上側環状部61cから構成されていてもよい。即ち、第1部材61は、分離構造を有し、円筒部61a、下側環状部61b、及び上側環状部61cが互いに組み付けられることによって作成された部材であってもよい。或いは、第1部材61は、円筒部61a、下側環状部61b、及び上側環状部61cを有する一体成型の部材であってもよい。
【0040】
また、
図1に示すように、処理容器12の底部12bは、略円筒形状の支持部12mを含んでいる。この支持部12mの上方には、筒状部材64が設けられている。筒状部材64は例えばセラミックといった絶縁体から構成され得る。筒状部材64は、支持部16の外周面に沿って延在している。また、筒状部材64及び支持部16上には、環状部材66が設けられている。環状部材66は、例えばセラミックといった絶縁体から構成され得る。この環状部材66は、下部電極18の上面に沿って静電チャック20のエッジの近傍まで延びている。環状部材66上には上述したフォーカスリングFRが設けられている。
【0041】
第1部材61の下側環状部61bの内縁部は、支持部12mと筒状部材64との間に配置されている。支持部12m及び筒状部材64は、例えば、ねじによって互いに固定される。これにより、支持部12mと筒状部材64との間に、第1部材61の下側環状部61bの内縁部が挟持される。
【0042】
また、処理容器12の側壁12sは、上側部分12s1及び下側部分12s2を含んでいる。また、プラズマ処理装置10は、支持部材68を備えている。支持部材68は、略環形状の上側部分68a及び略環形状の下側部分68cを有しており、これら上側部分68a及び下側部分68cは、略円筒形状の中間部分を介して接続されている。支持部材68の上側部分68aは、側壁12sの上側部分12s1と下側部分12s2との間に挟持されている。また、支持部材68の下側部分68cは、処理容器12内において径方向内側に延在している。この支持部材68の下側部分68cには、第1部材61の上側環状部61cが固定されている。第1部材61の上側環状部61cは、例えばねじにより、支持部材68の下側部分68cに固定されている。なお、支持部材68は、別個の部材である上側部分68a、中間部分、及び、下側部分68cから構成されていてもよい。即ち、支持部材68は、分離構造を有し、上側部分68a、中間部分、及び、下側部分68cが互いに組み付けられることによって作成された部材であってもよい。或いは、支持部材68は、上側部分68a、中間部分、及び、下側部分68cを有する一体成型の部材であってもよい。
【0043】
複数の第2部材62の各々は、例えば、アルミニウム又はステンレスといった金属の表面にY
2O
3といった被覆を施すことによって構成され得る。複数の第2部材62は、第1部材61の円筒部61aの径方向外側に配置されている。これらの第2部材62は、円筒部61aの外径よりも大径の内径を有する円筒体を構成するよう配列可能である。
【0044】
複数の第2部材62の各々は、本体部62a及び鍔部62bを有している。複数の第2部材62の本体部62aは、それらが鉛直方向において同一レベルに配置されるときに、円筒体を構成するようになっている。即ち、複数の第2部材62の本体部62aの各々は、円筒体を周方向に分割することによって形成される曲面形状を有している。
図4に示すように、複数の第2部材62の各々の本体部62aは、軸線AXを共有する内側曲面62iと外側曲面62eとを有している。内側曲面62iは、当該内側曲面62i内の任意の点が軸線AXに直交する方向において軸線AXから距離r1を有するように形成された面である。また、外側曲面62eは、当該外側曲面62e内の任意の点が軸線AXに直交する方向において軸線AXから距離r1よりも大きい距離r2を有するように形成された面である。内側曲面62iの軸線AXからの距離r1は、円筒部61aの外周面61eの軸線AXからの距離r3よりも大きな距離である。距離r1×2、即ち、複数の第2部材62の本体部62aによって構成される円筒体の内周面の直径は、例えば、550.4mmであり、本体部62aの板厚(即ち、r2−r1)は5mmである。したがって、一例では、本体部62aと円筒部61aとの間には、約0.4mmの間隙が存在し得る。
【0045】
なお、
図4に示す例では、複数の第2部材62の本体部62aは、鉛直方向(Z方向)に直交するY1方向に軸線AXから延びる軸線YAを基準とした周方向(θ
A方向)において、これら第2部材62の本体部62aによって構成される円筒体を90°ごとに4分割したものとなっている。しかしながら、当該円筒体の分割数、即ち、複数の第2部材62の個数は四つに限定されるものではなく、二以上の任意の個数であり得る。また、当該円筒体において複数の第2部材62のそれぞれがθ
A方向において占める角度範囲は、互いに異なっていてもよい。
【0046】
鍔部62bは、本体部62aの下端から軸線AXに対して径方向外側に延在している。なお、複数の第2部材62の各々は、別個の部材である本体部62a及び鍔部62bを有していてもよい。即ち、複数の第2部材62の各々は、分離構造を有し、本体部62a及び鍔部62bが互いに組み付けられることによって作成された部材であってもよい。或いは、複数の第2部材62の各々は、本体部62a及び鍔部62bを有する一体成型の部材であってもよい。
【0047】
複数の第2部材62は、個別に鉛直方向に移動可能であるように構成されている。具体的には、
図2、
図3、及び
図5に示すように、複数の第2部材62の鍔部62bはそれぞれ、駆動機構DMの複数の軸体69に個別に連結されている。複数の軸体69は、一実施形態では送りねじであり、略均等な間隔をもって周方向に配列されている。複数の第2部材62の鍔部62bはそれぞれ、ナット62nを介して対応の軸体69に連結されている。また、各軸体69は、専用の駆動装置70に接続されている。駆動装置70は、例えば、モータである。駆動装置70は、軸体69に沿って第2部材62を上下動させる。これにより、第2部材62の本体部62aは、第1部材61の円筒部61aと処理容器12の側壁12sとの間の間隙を含む領域内で、上下に移動するようになっている。以下、一つの第2部材62を例にとって、駆動機構DMの詳細を説明する。
【0048】
一実施形態では、
図5に示すように、軸体69は、ねじ部69a、軸部69b、連結器C1、及び連結器C2を含んでいる。軸部69bは、略円柱形状を有しており、鉛直方向に延在している。軸部69bの上端は処理容器12内に位置しており、軸部69bの下端は処理容器12の底部12bを貫通して、処理容器12の外部に位置している。この軸部69bの下端は連結器C1を介して駆動装置70の回転駆動軸70aに連結している。軸部69bと処理容器12の底部12bとの間には、磁性流体シールといった封止機構SLが設けられている。
【0049】
軸部69bの上端は、連結器C2を介してねじ部69aの下端に連結している。ねじ部69aは、軸部69bの上方で鉛直方向に延在している。第2部材62の鍔部62bには、ねじ部69aに螺合されるナット62nが取り付けられている。軸体69が駆動装置70によって回転駆動されると、軸体69の回転運動が第2部材62の上下方向への運動に変換される。したがって、
図5に示す駆動機構DMによれば、第2部材62を上下動させることが可能となる。
【0050】
図5に示した軸体69を構成するねじ部69a、軸部69b、及び連結器C2、並びに、ナット62nは、処理容器12内に設けられるものである。したがって、ねじ部69a、軸部69b、連結器C2、及びナット62nの全て、又はこれら部品のうち一つ以上は、絶縁体から構成され得る。なお、これら部品のうちプラズマが生成される第1空間S1に最も近い位置に配置される部品であるねじ部69aのみが、絶縁体から構成されていてもよい。
【0051】
プラズマ処理装置10では、
図6に示すように、複数の第2部材62が下方に移動して、複数の貫通孔61hが複数の第2部材62の本体部62aと対面しない状態、即ち、これら本体部62aによって遮蔽されない状態(以下、「開放状態」という)が形成されると、複数の貫通孔61hは第2空間S2に直接的に連通した状態となる。即ち、第1空間S1が複数の貫通孔61hのみを介して第2空間S2に連通した状態となる。この開放状態では、第1空間S1と第2空間S2との間に介在するガス流路のコンダクタンスは大きくなる。したがって、第1空間S1の圧力は第2空間S2の圧力に近くなり、第1空間S1の圧力を低圧に設定することができる。
【0052】
一方、
図7に示すように、複数の第2部材62が上方に移動して、複数の貫通孔61hに複数の第2部材62の本体部62aが対面すると、即ち、これら本体部62aによって複数の貫通孔61hが遮蔽されると、第1空間S1は、複数の貫通孔61h、及び、円筒部61aと本体部62aとの間の間隙を介して、第2空間S2に接続された状態(以下、「遮蔽状態」という)となる。この遮蔽状態では、第1空間S1と第2空間との間に介在するガス流路のコンダクタンスは小さくなる。したがって、第1空間S1の圧力と第2空間S2の圧力との差異が大きくなり、第1空間S1の圧力を高圧に設定することができる。
【0053】
このように、プラズマ処理装置10によれば、第1部材61の円筒部61aと第2部材62の本体部62aとの鉛直方向における位置関係を調整することにより、複数の貫通孔61hが本体部62aによって第2空間S2に対して遮蔽される割合を調整することができる。これにより、第1空間S1と第2空間S2との間のコンダクタンスを調整することができる。
【0054】
プラズマ処理装置10では、遮蔽状体における第1空間S1と第2空間S2との間のコンダクタンスは主として円筒部61aと本体部62aとの間の間隙のコンダクタンスによって規定される。したがって、第1部材61の円筒部61aと第2部材62の本体部62aとの間の間隙の径方向における長さがある程度の長さであっても、即ち、当該間隙に厳しい精度を要求することなく、第1空間S1と第2空間S2との間に小さなコンダクタンスを得ることができる。一方、開放状態では、第1空間S1と第2空間S2との間に大きいコンダクタンスが得られる。故に、プラズマ処理装置10によれば、ウエハWが配置される第1空間S1の圧力の調整範囲を大きくすることが可能である。また、複数の第2部材62を高速に上下動させることにより、第1空間S1の圧力を高速に増減させることが可能である。
【0055】
また、
図3に示すように、複数の第2部材62それぞれの鉛直方向の位置は、個別に調整可能となっている。したがって、第1空間S1と第2空間S2との間のガス流路のコンダクタンスに、周方向において変化する分布を形成することができる。これにより、載置領域20r上における圧力の分布を調整することが可能となる。
【0056】
また、上述したように、プラズマ処理装置10では、排気路VLの周方向の各位置から排気装置50までのコンダクタンスは周方向において異なっている。即ち、プラズマ処理装置10の排気路VLは、排気装置50の接続位置の偏位に起因したコンダクダンスの周方向分布を有している。このプラズマ処理装置10では、複数の第2部材62それぞれの鉛直方向の位置を調整して、第1空間S1と第2空間S2との間のガス流路のコンダクタンスに周方向分布を形成することにより、排気路VLのコンダクダンスの周方向分布を低減させることが可能である。
【0057】
図8は、バッフル構造に関連する制御系の一実施形態を示す図である。
図8に示すように駆動装置70は、制御部Cntによって制御され得る。また、制御部Cntは変移計90、圧力計92、及び圧力計94から信号を受ける。変移計90は、複数の第2部材62それぞれの鉛直方向における位置又は基準位置からの距離を計測し、計測結果を示す信号を制御部Cntに送出する。圧力計92は、第1空間S1の圧力を計測し、計測結果を示す信号を制御部Cntに送出する。圧力計94は、第2空間S2の圧力を計測し、計測結果を示す信号を制御部Cntに送出する。制御部Cntは、レシピによって指定された第1空間S1の圧力、変移計90の計測結果を示す信号、圧力計92の計測結果を示す信号、及び圧力計94の計測結果を示す信号を受けて、駆動機構DMの各駆動装置70に信号を送出し、第1空間S1の圧力がレシピによって指定された圧力となるよう、各駆動装置70による第2部材62の鉛直方向の位置を制御する。なお、圧力計92は、載置領域20r上の空間の周方向における複数の領域の圧力を個別に計測する複数のセンサを有し、制御部Cntは、当該複数のセンサによって計測された各領域の圧力の計測結果を示す信号に基づいて各駆動装置70を制御して、第2部材62の鉛直方向の位置を個別に制御してもよい。
【0058】
以下、バッフル構造及び当該バッフル構造の駆動機構の別の実施形態について説明する。
図9は、別の実施形態のプラズマ処理装置におけるバッフル構造の第1部材及び第2部材、並びに駆動機構を概略的に示す斜視図である。
図10は、
図9に示すバッフル構造の第1部材及び第2部材、並びに駆動機構を側方から視て示す平面図である。なお、
図10では、バッフル構造602よりも前方にある軸体69、封止機構SL、及び、駆動装置70の図示が省略されている。
【0059】
図9及び
図10に示すバッフル構造602及び駆動機構DM2は、プラズマ処理装置10において、先に説明した実施形態のバッフル構造60及び駆動機構DMに代えて用いることができるものである。
【0060】
バッフル構造602の第1部材61は、バッフル構造60の第1部材61と同じ部材である。バッフル構造602は、単一の第2部材622を有している。この第2部材622は、円筒部61aの外径よりも大径の内径を有する円筒体であり、円筒部61aの径方向外側において鉛直方向(即ち、Z方向)に延在している。第2部材622の内径(直径)、即ちr4×2(
図11を参照)は、例えば、550.4mmであり得る。
【0061】
駆動機構DM2は、駆動機構DMと同様の部品から構成されており、更に、サポート部材HS、及び、水平方向駆動部HDを有している。サポート部材HSは、一例では、第2部材622の径方向外側において周方向に延在する環状板であり得る。サポート部材HSには、ナット622nが取り付けられており、ナット622nは、軸体69のねじ部69aに螺合されている。ナット622nは、径方向内側に突出して、第2部材622を支持している。また、サポート部材HSと第2部材622の外周面との間には、水平方向駆動部HDが設けられている。水平方向駆動部HDは、第2部材622を軸線AXに対して直交する方向、即ち水平方向に移動させるように構成されている。一例では、水平方向駆動部HDは、複数のピエゾ素子を有しており、当該複数のピエゾ素子は、サポート部材HSと第2部材622の外周面との間において、周方向に配列される。
【0062】
以下、
図11を参照して、バッフル構造602の動作について説明する。
図11は、
図9及び
図10に示すバッフル構造の第1部材の円筒部及び複数の第2部材を上方から視て示す平面図である。
図11の(a)には、第1部材61の円筒部61aの中心軸線と第2部材622の中心軸線が共に軸線AX上に位置している状態が示されており、
図11の(b)には、第2部材622が鉛直方向(Z方向)に直交するX2方向に距離SAだけ偏位して、当該第2部材622の中心軸線が軸線AXに対してX2方向に距離SA離れた軸線AX2上に位置する状態が示されている。
【0063】
バッフル構造602では、バッフル構造60と同様に、第2部材622を上下方向に移動させることが可能であり、第2部材622によって円筒部61aに形成された複数の貫通孔61hが遮蔽される割合を調整することが可能である。これにより、第1空間S1と第2空間S2との間のガス流路のコンダクタンスを調整することが可能である。
【0064】
また、バッフル構造602では、水平方向駆動部HDによって第2部材622を水平方向に移動させることにより、第1部材61の円筒部61aの中心軸線と第2部材622の中心軸線が共に軸線AX上に位置する状態(
図11の(a)を参照)から、
図11の(b)に示すように第2部材622を水平方向に偏位させることが可能である。これにより、第1部材61の円筒部61aの外周面と第2部材62の内周面との間の間隙の長さを周方向(図中、θ
B方向)において変化させることが可能である。
【0065】
例えば、
図11の(a)に示す状態では、第1部材61の円筒部61aの外周面と第2部材622の内周面との間の軸線AXに対して放射方向の距離は、r4−r3であり、当該距離は周方向(θ
B方向)において一定である。一方、
図11の(b)に示す状態では、第1部材61の円筒部61aの外周面と第2部材622の内周面との間の軸線AXに対して放射方向の距離は、X2方向の一方側(図中左側)では距離D1(=r4−r3−SH)であり、X2方向の他方側(図中右側)では距離D2(=r4−r3+SH)である。この距離D2は、距離D1よりも大きくなる。このように、バッフル構造602によれば、周方向(θ
B方向)において、第1部材61の円筒部61aの外周面と第2部材62の内周面との間の間隙の長さを変化させることができる。したがって、載置領域20r上における圧力の分布を調整することが可能である。なお、
図11では、X2方向が第2部材622の移動方向であるが、第2部材622の移動方向は鉛直方向(Z方向)に直交する任意の方向であり得る。即ち、Z方向に直交するY2方向に軸線AXから延びる軸線YBに対して角度θ
Bを有する方向を移動方向すると、当該角度θ
Bは任意の角度であり得る。また、
図9に示したバッフル構造602及び駆動機構DMは、四つの軸体69と四つの駆動装置70を有しているが、軸体69と駆動装置70の個数は、任意の個数であり得る。
【0066】
以下、バッフル構造及び当該バッフル構造の駆動機構の更に別の実施形態について説明する。
図12は、更に別の実施形態のプラズマ処理装置におけるバッフル構造の第1部材及び第2部材、並びに駆動機構を概略的に示す斜視図である。
図13及び
図14は、
図12に示すバッフル構造の第1部材及び第2部材、並びに駆動機構を側方から視て示す平面図である。
図13では、第2部材623が略水平に支持された状態が示されており、
図14では、第2部材623が軸線AXに対して傾斜した状態が示されている。
図15は、
図12に示すバッフル構造の第1部材及び第2部材を一部破断して示す図であり、同図では、
図14に示す状態のバッフル構造が実線で示されており、
図13に示す状態のバッフル構造が二点鎖線で示されている。なお、
図13、
図14、及び
図15では、バッフル構造603よりも前方にある軸体69、封止機構SL、及び、駆動装置70の図示が省略されている。
【0067】
図12〜
図15に示すバッフル構造603及び駆動機構DMは、プラズマ処理装置10において、先に説明した実施形態のバッフル構造60及び駆動機構DMに代えて用いることができるものである。
【0068】
バッフル構造603の第1部材61は、バッフル構造60の第1部材61と同じ部材である。バッフル構造603は、単一の第2部材623を有している。この第2部材623は、本体部623a及び鍔部623bを有している。本体部623aは、円筒部61aの外径よりも大径の内径を有する円筒形状であり、円筒部61aの径方向外側において鉛直方向に延在している。第2部材623の本体部623a内径(直径)は、例えば、550.4mmであり得る。
【0069】
鍔部623bは、略環状板形状を有している。この鍔部623bは、本体部623aの下端に接続しており、本体部623aの下端から径方向外側に延在している。なお、第2部材623の各々は、別個の部材である本体部623a及び鍔部623bを有していてもよい。即ち、第2部材623は、分離構造を有し、本体部623a及び鍔部623bが互いに組み付けられることによって作成された部材であってもよい。或いは、第2部材623は、本体部623a及び鍔部62bを有する一体成型の部材であってもよい。
【0070】
駆動機構DMは、先の説明した実施形態の駆動機構DMと同一の駆動機構である。鍔部623bには、ナット623nが取り付けられており、当該ナット623nは駆動機構DMの軸体69のねじ部69aに螺合されている。この実施形態においても、駆動機構DMは、複数の軸体69を有しており、これらの軸体69は、略均等な間隔をもって周方向に配列されている。なお、本例では、軸体69の個数は四つであるが、軸体69の個数は二以上の任意の個数であり得る。
【0071】
以下、
図13、
図14及び
図15を参照して、バッフル構造603の動作について説明する。バッフル構造603では、第2部材623を上下方向に移動させることが可能であり、第2部材623によって円筒部61aに形成された複数の貫通孔61hが遮蔽される割合を調整することが可能である。これにより、第1空間S1と第2空間S2との間のガス流路のコンダクタンスを調整することが可能である。
【0072】
また、バッフル構造603では、駆動機構DMによって複数のナット623nの鉛直方向の位置を異ならせることにより、第2部材623の中心軸線が軸線AX上に位置する状態、即ち第2部材623が水平に支持された状態(
図13を参照)から、
図14に示すように、第2部材623を傾斜させることができる。
【0073】
例えば、
図15に示すように、鉛直方向(Z方向)に直交するX3方向において軸線AXに対して一方側(図中左側)に位置するナット623nを下降させ、他方側(図中右側)に位置するナット623nを上昇させて、当該一方側での第2部材623の下面と当該他方側での第2部材623の下面との間に距離tの高低差を生じさせると、第2部材623の中心軸線AX3は、軸線AXに対して傾斜角度θ
Cだけ傾斜する。この傾斜角度θ
Cは、軸線AXを挟んで一方側と他方側に位置する二つの軸体69間の距離をDXとすると、θ
C=sin
−1(t/DX)で近似される。したがって、複数のナット623nの鉛直方向の位置を調整して距離tを変化させることで、第2部材623の傾斜角度θ
Cを調整することができる。このように第2部材623の傾斜角度が調整されると、
図15において実線で示すように、複数の貫通孔61hのそれぞれが第2部材623の本体部によって遮蔽される割合が周方向において変化する。また、第2部材623の本体部623aの内周面(図中、参照符号623iで示す)の半径をraとし、本体部623aの半径に対して当該本体部623aの高さ方向の長さが非常に小さいものと仮定すると、X3方向の一方側(図中左側)の本体部623aの内周面の上端は、
図15において実線で示す状態では、
図15において二点鎖線で示す状態よりも、円筒部61aの外周面から、ra×(1−cosθ
C)の距離だけ遠ざかる。一方、X3方向の他方側(図中右側)の本体部623aの内周面の上端は、
図15において実線で示す状態では、
図15において二点鎖線で示す状態よりも、円筒部61aの外周面に、ra×(1−cosθ
C)の距離だけ近付く。このように第2部材623の傾斜角度が調整されると、第1部材61の円筒部61aの外周面と第2部材623の本体部623aの外周面との間の径方向の距離が、周方向において変化する。したがって、載置領域20r上における圧力の分布を調整することが可能である。
【0074】
以上説明したバッフル構造60、バッフル構造602、又はバッフル構造603の何れかを有するプラズマ処理装置10では、例えば、以下に説明する例示的なプラズマ処理を行うことができる。第1例のプラズマ処理では、制御部Cntは、第1制御及び第2制御を実行する。第1制御では、制御部Cntは、第2部材を交互に上方及び下方のうち一方の位置に移動させるよう駆動機構を制御する。第2制御では、制御部Cntは、第2部材を交互に上方及び下方のうち他方の位置に移動させるよう駆動機構を制御する。この第1例のプラズマ処理では、第1空間S1の圧力を高圧又は低圧のうち一方に設定して、当該第1空間S1においてウエハのプラズマ処理を実行し、次いで、第1空間S1の圧力を高圧又は低圧のうち他方に設定して、当該第1空間S1においてウエハのプラズマ処理を実行する。なお、第1例のプラズマ処理の第1制御及び第2制御の実行時にガス供給部GSから第1空間S1に供給されるガスは、同一のガスであってもよい。また、この第1例のプラズマ処理では、第1制御及び第2制御が交互に実行されてもよい。かかる第1例のプラズマ処理では、第1空間S1におけるウエハに対するプラズマ処理を、当該第1空間S1の圧力を順次に異なる圧力に設定しつつ実行することができ、また、第1空間S1の圧力の切り換えに要する遷移時間を短縮することが可能である。さらに、ウエハが配置される載置領域20r上における圧力の分布を調整することが可能である。
【0075】
第2例のプラズマ処理では、制御部Cntは、上記第1制御においてガス供給部GSに第1のガスを供給させ、上記第2制御においてガス供給部GSに第2のガスを供給させる。第2例のプラズマ処理では、第2のガスは、第1のガスとは異なる、即ち第1ガスの組成とは異なる組成を有するガスである。第2例のプラズマ処理では、第1制御及び第2制御が交互に繰り返されてもよい。
【0076】
この第2例のプラズマ処理によれば、例えば、第1のガスとして堆積性のガスを用い、第2のガスとして腐食性のガスを用いることにより、ウエハWの膜上への保護膜の堆積処理とウエハWの膜のエッチング処理とを、交互に行うことができる。このようなプラズマ処理では、堆積処理において第1空間S1の圧力として設定すべき圧力と、エッチング処理において第1空間S1の圧力として設定すべき圧力とが異なる。したがって、第1制御と第2制御を交互に実行することにより、同一のプラズマ処理装置10において、かかるプラズマ処理を実施することが可能である。また、プラズマ処理装置10では、このような堆積処理とエッチング処理との間において第1空間S1の圧力の切り換えに要する遷移時間を短縮することが可能である。さらに、ウエハが配置される載置領域20r上における圧力の分布を調整することが可能である。
【0077】
また、第2例のプラズマ処理は、ウエハWの二つの異なる膜種の膜を連続してエッチングする用途にも用いることができる。膜種の異なる二つの膜のエッチングでは、一方の膜のエッチングにおいて用いられるべきガスのガス種及び第1空間S1の圧力は、他方の膜のエッチングにおいて用いられるべきガスのガス種及び第1空間S1の圧力とは異なる。したがって、第1制御と第2制御を交互に実行することにより、同一のプラズマ処理装置10において、このようなプラズマ処理を実施することが可能である。また、プラズマ処理装置10では、一方の膜のエッチングから他方の膜のエッチングに切り替えるための第1空間S1の圧力の切り換えに要する遷移時間を短縮することが可能である。さらに、ウエハが配置される載置領域20r上における圧力の分布を調整することが可能である。
【0078】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、円筒部61aに形成された複数の貫通孔61hの形状は、鉛直方向に長い形状であれば、任意の形状であってもよい。例えば、貫通孔61hの形状は、下方に向かうにつれて幅が狭くなる逆三角形状であってもよい。或いは、貫通孔61hの形状は、菱形であってもよい。
【0079】
また、駆動装置70は、上述した実施形態ではモータであり、送りねじである軸体69を駆動することにより第2部材62を移動させていたが、駆動装置70は、第2部材62を上下動させるための油圧又は空気圧シリンダであってもよい。
【0080】
また、上述した実施形態のプラズマ処理装置10では、第1の高周波電源HFSは下部電極18に電気的に接続されていたが、第1の高周波電源HFSは上部電極30に電気的に接続されていてもよい。
【0081】
また、上述した実施形態のプラズマ処理装置10は、容量結合型のプラズマ処理装置であったが、上述した実施形態の説明によって開示された思想が適用され得るプラズマ処理装置は、任意のタイプのプラズマ処理装置であってもよく、例えば、誘導結合型のプラズマ処理装置、或いは、マイクロ波といった表面波を用いるプラズマ処理装置であってもよい。
【0082】
以下、バッフル構造60を有するプラズマ処理装置10の評価のために行ったシミュレーションについて説明する。このシミュレーションでは、
図16の(a)に示す四つの第2部材62(図中、各第2部材62の本体部62aが示されている)のうち、参照符号Aで示す第2部材62のみを貫通孔61hに対面しない位置に配置し、他の第2部材62を貫通孔61hに対面させて当該貫通孔61h完全に遮蔽するように配置したときに載置領域20r直上で生じる圧力の分布を算出した。また、このシミュレーションでは、以下に記す条件を設定した。
<シミュレーションの条件>
・円筒部61aの外径(直径):550mm
・円筒部61aの板厚:5mm
・貫通孔61hの幅:3.5mm
・貫通孔61hの長さ:30mm
・本体部62aの内側曲面62iの軸線AXから距離r1:275.2mm
・ガス供給部GSによるガス供給:N
2ガス(200sccm)
【0083】
シミュレーションにより求めた載置領域20r直上での圧力分布を
図16の(b)に示す。
図16において、横軸及び縦軸は、載置領域20rの中心を「0」としたときの直交する二つの座標軸上の位置を示している。また、
図16では、載置領域20r直上での圧力分布が等高線によって示されている。等高線に重畳されている数値は、パスカルを単位とした圧力を示している。
図16の(b)に示すように、このシミュレーションで求められた圧力分布では、
図16の(a)において参照符号Aで示す第2部材が配置されている方向に向かうにつれて圧力が低くなっている。このことから、複数の第2部材62の鉛直方向の位置を個別に調整することにより、載置領域20r直上における圧力分布を調整することが可能であることが確認された。