(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1操作部及び前記第2操作部は、それぞれ回転操作量に応じて戻し量又は送り量を指示するジョグダイヤルであり、互いに独立した回転操作を受け付ける請求項1に記載の映像制御装置。
前記第2操作部は、1回転の操作量に対して前記フレーム番号を1つ移動させ、当該1回転の操作量を等分割した角度毎に前記サブフレーム識別子を1つ移動させるように戻し量又は送り量を指示する請求項2に記載の映像制御装置。
【背景技術】
【0002】
従来、放送局又は映画製作現場等における映像編集を行う業務では、映像信号のフレーム1枚毎に固有の番号を割り当てたタイムコード(Time Code、以下TCという。)と呼ばれるインデキシング情報が利用されている。TCは、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers、米国映画テレビ技術者協会)において標準化されている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、映像フォーマットとして、複数のフレームレートが採用されている。
例えば、映画の場合、主に1秒間に24フレーム(24 Frame per second、以下24fps)での動画撮影及び表示を行っている。また、テレビの場合、NTSCフォーマットでは、60fps又は59.94fps、PAL及びSECAMでは、50fps、HDTV(High−definition television)では、59.94fpsで運用されている。以下、これらを基準フレームレートと呼ぶ。
特に、VTR又はその他映像記録機器では、LTC(Longitudinal Time Code)又はVITC(Vertical Interval Time Code)等のTCが採用され、映像編集業務等に利用されている。
また、これら映像フォーマットの間でTCを変換、生成する技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
さらに、近年、120、180、240Hz等の倍速表示ディスプレイや、120、240Hz駆動撮像素子が登場している。
また、映像の画素数フォーマットについても、1920×1080のHDTVから、3840×2160の、いわゆる4k2kや、7680×4320の、いわゆる8Kと高精細化され、画面も大型化の傾向にある。このため、動画表示時の時間分解能の粗さが目立つようになり、時間分解能を上げるために、60fpsを超える96fps、100fps、119.88fps、120fps等の高いフレーム周波数の映像フォーマットが望まれている。
これらの高フレームレートの映像に対して、基準フレームレートの映像と互換性のあるTCが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
映像データを処理(例えば、生成、記録)するコンピュータは、所定のフレームレートの映像フォーマットの時間同期を取るために、この映像フォーマットのフレーム毎に固有のTCを割り当てる。
まず、このTCの割り当て及び提示方法について説明する。
【0021】
例えば、30P(30fps、プログレッシブ)のような30fpsの映像フォーマットの場合、1秒当たり0f(Frame)〜29fの30フレーム分のTCが割り当てられる。また、60i(インタレース)又は60P(プログレッシブ)のような60fpsの映像フォーマットの場合、1秒当たり0f−Odd、0f−Even、1f−Odd、1f−Even、・・・、29f−Odd、29f−Evenのように、30枚のメインフレームのそれぞれに対して2枚のサブフレーム(Odd/Even)があるものとして、合計で60フレーム分のTCが割り当てられる。
【0022】
さらに、60fpsを超えるフレームレートを持つ映像フォーマットの場合には、60fps以下のフレーム周波数(例えば、60fps)を持つ映像フォーマットで用いられるTCの間を補完するサブフレーム識別子が付与される。これにより、60fps以下のフレームレートを持つ映像フォーマットで用いられるTCとの互換性を保ち、かつ、各フレーム(サブフレーム)が一意に識別される。
【0023】
図6は、本実施形態に係る高フレームレート映像のTCにおける、フレームとサブフレームとの位置付けを例示する図である。
この例では、120fpsで撮像され表示される動画の場合に、各フレームに対して同期運転及び記録等のためにTCを割り当てる方法を示している。
【0024】
120fpsの映像フォーマットの場合に、1秒間に相当する120枚のフレームは、まず、00から29までのフレーム番号でグループ化される。そして、0から29までのフレーム番号それぞれに対して、60fpsの場合の2つのサブフレーム識別子(Odd/Even)を含む4つのサブフレーム識別子(Odd/Quater/Even/Three−Quarters)が順に付与される。これにより、1秒当たり120フレームの全てに固有のTCが割り当てられる。
【0025】
図7〜
図11は、本実施形態に係るサブフレーム識別子が付与されたTCの提示方法を例示する図である。
サブフレーム識別子が付与されたTCは、サブフレーム識別子を、循環又はカウントアップする表示、あるいは、固有の文字等を表示することにより、例えば以下のように表現される。
【0026】
(a)表示領域(例えば、数字表示用の7セグメントディスプレイ)において、外周上に、順次点灯させるセグメントが設定される。各サブフレーム識別子に対応するセグメントの組が順に、例えば(上側バー、右側バー、下側バー、左側バー)の順に循環して点灯される(
図7)。
【0027】
(b)表示領域において、円周上に、順次表示させる尖頭状のキャラクタが設定される。各サブフレーム識別子に対応する向きのキャラクタを順に、例えば(上向き、右向き、下向き、左向き)の順に循環して表示される(
図8)。
【0028】
(c)表示領域において、フレーム番号と同様の数字が0又は1からカウントアップさせて順次表示される(
図9)。
【0029】
(d)表示領域において、同一キャラクタ(例えば、ドット)の数が順次増加して同一線(直線又は曲線)上に並べて表示される(
図10)。
【0030】
(e)表示領域において、各サブフレーム識別子に対応する固有の文字が表示される(
図11)。
【0031】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態の編集装置1は、前述のTCが割り当てられた映像データを編集する装置である。
【0032】
図1は、本実施形態に係る編集装置1の全体構成を示す図である。
編集装置1は、映像制御装置としての操作コントローラ10と、記録媒体21を含む本体部20と、表示部30とを備える。
【0033】
操作コントローラ10は、編集操作者が映像フレームを時間軸上で戻したり送ったりすることにより、サブフレーム単位で映像素材の位置を指定するための操作部である。
【0034】
本体部20は、編集装置1の全体を制御する情報処理部(コンピュータ)であり、映像編集用のソフトウェアを実行することにより、操作コントローラ10からの操作入力を受け付けて、記録媒体21に記録されている映像素材の編集及び表示部30への表示制御等を行う。
記録媒体21は、例えば光学フィルム、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、固体型メモリ等を含み、映像を記録保存し再生するための媒体である。
【0035】
表示部30は、本体部20の表示制御により、例えば、複数の映像素材をつなげ動画として再構成する際の、編集前及び編集後の映像素材のフレーム、並びに編集用の各種情報等を表示する。
【0036】
図2は、本実施形態に係る編集装置1の操作コントローラ10の構成を示す図である。
操作コントローラ10は、高速ジョグ11と、低速ジョグ12と、高速戻しボタン13−1と、高速送りボタン13−2と、低速戻しボタン14−1と、低速送りボタン14−2と、微小移動ジョグ15と、微小戻しボタン16−1と、微小送りボタン16−2と、切替ボタン17とを備える。
【0037】
高速ジョグ11は、編集操作者が映像フレームを時間軸上で高速に(例えば、1秒単位で)戻したり送ったりするための高速戻し送り用操作部(ジョグダイヤル)である。
低速ジョグ12は、編集操作者が映像フレームを時間軸上で低速に(例えば、サブフレーム識別子が同一の基準フレーム単位で)戻したり送ったりするための、コマ戻し送り用操作部(ジョグダイヤル)である。
編集操作者が高速ジョグ11又は低速ジョグ12を、時計回りに回すと回転操作量に応じて映像フレームが時間軸上で先に送られ、反時計回りに回すと、時間軸上で映像が戻り、映像フレームが表示部30に表示される。
【0038】
高速戻しボタン13−1及び高速送りボタン13−2は、高速ジョグ11と同様の機能を有する。すなわち、高速戻しボタン13−1が押下されることにより、映像が高速に戻され、高速送りボタン13−2が押下されることにより、映像が高速に送られる。
低速戻しボタン14−1及び
低速送りボタン14−2は、低速ジョグ12と同様の機能を有する。すなわち、低速戻しボタン14−1が押下されることにより、映像が低速に戻され、低速送りボタン14−2が押下されることにより、映像が低速に送られる。
【0039】
微小移動ジョグ15は、高フレームレート映像フォーマット用のサブフレームを独立して動かすために、低速ジョグ12の内側の同心円上に、サブフレーム単位での微移動用操作部(ジョグダイヤル)として設けられる。
編集操作者が微小移動ジョグ15を時計回りに回すと、回転操作量に応じて時間軸上で映像がサブフレーム単位で先に送られ、反時計回りに回すと、時間軸上で映像がサブフレーム単位で戻され、映像フレーム(サブフレーム)が表示部30に表示される。
なお、微小移動ジョグ15には、低速ジョグ12と同様、指先での移動操作がしやすいよう、切り欠き部151が設けられてもよい。
【0040】
微小移動ジョグ15は、1回転の操作量に対して、フレーム番号1つ分だけサブフレームを移動指示するものであってよい。この場合、1回転の操作量を等分割した角度毎に前記サブフレーム識別子を1つ移動させる構成であってよい。編集操作者は、例えば、120fpsの映像のOddサブフレームが選択されている状態で微小移動ジョグ15の上部に指を置いて時計回りに回転させた場合、90度回転させる度に、Quater、Even、Three−Quarters、Oddの順にサブフレームを移動させることになる。このとき、指の位置(方向)は、サブフレーム識別子の表示(例えば、
図7又は
図8)と連動するため、編集操作者は、選択中の時間位置を容易に把握できる。
なお、切り欠き部151が所定の位置、例えば上部に位置しているときに、基準フレームレートの各フレームに対応したOddサブフレームが常に選択されてもよい。
【0041】
微小戻しボタン16−1及び微小送りボタン16−2は、微小移動ジョグ15と同様の機能を有する。すなわち、微小戻しボタン16−1が押下されることにより、映像がサブフレーム単位で戻され、微小送りボタン16−2が押下されることにより、映像がサブフレーム単位で送られる。
これらのボタンは、1回の押下によりサブフレーム1つの移動を指示するものであってよい。また、ボタンの長押しによって連続移動を指示できる構成であってもよい。
【0042】
図3は、本実施形態に係る操作コントローラ10に対する操作入力に応じて表示部30において表示される映像フレームの遷移例を示す図である。
【0043】
例えば、ある時間位置の映像31で静止している際に、TC表示311が「10時(h)10分(m)10秒(s)15フレーム(f)Oddサブフレーム」となっている。
編集操作者は、微小移動ジョグ15を時計回りに回すか、又は微小送りボタン16−2を1回押下することにより、1サブフレーム次の映像32に移動させることができ、このとき、TC表示321は、「10時(h)10分(m)10秒(s)15フレーム(f)Quarterサブフレーム」となる。
手前のサブフレームに戻るときも同様に、編集操作者は、微小移動ジョグ15を反時計回りに回すか、又は微小戻しボタン16−1を1回押下することで、1サブフレーム手前の「10時(h)10分(m)10秒(s)14フレーム(f)Three−Quartersサブフレーム」に移動させることができる。
【0044】
また、編集操作者は、低速ジョグ12を時計回りに回すか、又は低速送りボタン14−2を1回押下することで、1フレーム先の映像33に移動させることができる。このときのTC表示331は、「10時(h)10分(m)10秒(s)16フレーム(f)Oddサブフレーム」となる。同様に、編集操作者は、低速ジョグ12を反時計回りに回すか、又は低速戻しボタン14−1を1回押下することで、1フレーム手前の映像に移動させることができる。
【0045】
さらに、編集操作者は、高速ジョグ11、又は高速戻しボタン13−1若しくは高速送りボタン13−2を操作して、高速にフレームを戻し送りできる。
なお、低速又は高速移動の場合、本体部20は、サブフレーム識別子が同一となるように映像フレームを戻し送りしてもよいし、常にOddサブフレームを選択するように戻し送りしてもよい。
【0046】
切替ボタン17は、微小移動用又は低速移動用の操作部それぞれに対する機能割り当ての状態を切り替えるボタンである。
具体的には、切替ボタン17は、以下の状態のいずれかを選択的に切り替える。
【0047】
(状態1)前述の各操作部に対する操作が有効(アクティブ)となる。すなわち、微小移動ジョグ15、微小戻しボタン16−1及び微小送りボタン16−2に対する操作によりサブフレーム単位での戻し送りが行われ、低速ジョグ12、低速戻しボタン14−1及び低速送りボタン14−2に対する操作によりフレーム番号単位での戻し送りが行われる。
【0048】
(状態2)微小移動ジョグ15、微小戻しボタン16−1及び微小送りボタン16−2に対する操作が無効(非アクティブ)となり、低速ジョグ12、低速戻しボタン14−1及び低速送りボタン14−2の操作によりサブフレーム単位での戻し送りが行われる。
あるいは、微小移動ジョグ15、微小戻しボタン16−1及び微小送りボタン16−2に対する操作が有効なまま、低速ジョグ12、低速戻しボタン14−1及び低速送りボタン14−2の操作に対しても、サブフレーム単位での戻し送りが行われる。すなわち、微小移動と低速移動とが、どちらもサブフレーム単位での移動という同一の機能になる。
【0049】
(状態3)微小移動ジョグ15、微小戻しボタン16−1及び微小送りボタン16−2に対する操作が無効(非アクティブ)になり、サブフレーム単位での戻し送り操作が禁止される。
この場合、サブフレームを持つ高フレームレートの映像でも、先頭サブフレーム(例えば、Oddサブフレーム)だけが採用され、他のサブフレーム(例えば、Oddサブフレーム以外の、Quarterサブフレーム、Evenサブフレーム、Three−Quartersサブフレーム)が無視される。編集操作者は、フレームレートが混在する際に、サブフレームが自動的に間引かれることにより、基準フレームレートで編集後の映像を容易に作成することができる。
【0050】
切替ボタン17は、押下される度に上記の状態1〜3を順に切り替える。このとき、操作コントローラ10は、例えば、切替ボタン17自身又は近傍のインジケータを、状態1(アクティブモード)の時は橙色に点灯させ、状態2(非アクティブモード1)の時は緑色に点灯させ、状態3(非アクティブモード2)の時は消灯させ、編集操作者にいずれの状態であるかを報知できる。
【0051】
なお、切替ボタン17は、状態1〜3それぞれに切り替える複数のボタンにより構成されてもよい。また、状態1と状態3とを切り替える操作部(第1切替部)、若しくは状態1と状態2とを切り替える操作部(第2切替部)のいずれか、又は両方を備える構成であってもよい。
【0052】
図4は、本実施形態に係る編集装置1による、異なるフレームレートの映像素材が混在する場合の映像編集方法を例示する図である。
【0053】
表示部30には、例えば、編集素材A又はBを提示する画面(M)と、編集後の画面(N)とがそれぞれTCと共に表示される。また、時間軸と共に描かれた映像素材ロール上で、編集済み映像における素材A又は素材Bの区分け、さらには、編集済み映像における時間位置と、素材A又は素材Bにおける時間位置との対応付けが表示される。
【0054】
この例では、より具体的に、基準フレームレート映像(30fps映像、ここでは動画Aとする)と、高フレームレート映像(4逓倍に相当する120fps映像、ここでは動画Bとする)との、異なる映像フォーマットが混在している。
編集操作者は、2つの異なるフォーマットの映像をつなぎ、基準フレームレート(30fps映像)のフォーマットで、例えば、3分0秒0フレーム分の編集済み映像を作成することを想定する。
【0055】
まず、操作コントローラ10は、切替ボタン17によって状態1(アクティブモード)に設定されていることを前提とする。
動画Aは、基準フレームレート映像であるため、サブフレームで分割される映像は存在せず、いずれのフレーム位置についても、サブフレームを仮に割り当てた場合、すべて同一のサブフレーム位置(Odd)に相当する。例えば、TCが「10時(h)10分(m)10秒(s)15フレーム(f)」の開始時刻位置の映像だと、このフレームから1分30秒15フレーム分の映像を採用すると、映像終了位置のTCは、「10時(h)11分(m)40秒(s)29フレーム(f)」となる。
【0056】
この後に、フレームレートの異なる動画Bの映像を、開始TCが「10時(h)20分(m)30秒(s)11フレーム(f)Oddサブフレーム」の時刻位置から、基準フレームレートで1分29秒15フレーム分つなげようとした場合、編集操作者は、終了TCが「10時(h)21分(m)59秒(s)25フレーム(f)Oddサブフレーム」の時刻位置までのQuarterサブフレーム、Evenサブフレーム、Three−Quartersサブフレームを無視し間引いて編集する。
このとき、編集操作者は、作業上、フレーム番号を動画Aと動画Bとで同様に取り扱うことがでる。サブフレームについては、編集操作者は、サブフレーム識別子を象徴的に示すキャラクタ(ここでは尖頭の方向)を微小移動ジョグ15、微小戻しボタン16−1又は微小送りボタン16−2を使って揃えるだけで、容易に編集することができる。
【0057】
このサブフレーム位置の決定においては、高速ジョグ11、低速ジョグ12、高速戻しボタン13−1、高速送りボタン13−2、低速戻しボタン14−1又は低速送りボタン14−2に組み合わせて、編集操作者は、さらにサブフレーム開始位置を変更させる場合等において、微小移動ジョグ15、微小戻しボタン16−1又は微小送りボタン16−2を使って精緻にサブフレーム位置を移動させることできる。したがって、フレームレートが混在した映像素材の編集が容易になる。
【0058】
なお、切替ボタン17によって状態2(非アクティブモード1)を選択した場合においても、編集操作者は、低速ジョグ12、低速戻しボタン14−1又は低速送りボタン14−2を使って同様のサブフレーム精度での操作が可能である。
【0059】
また、切替ボタン17で状態3(非アクティブモード2)が選択された場合、編集装置1は、開始フレーム番号の最初のサブフレーム(例えば、Odd)から終了フレーム番号の最初のサブフレーム(例えば、Odd)までを自動で採用するので、この場合も編集操作者は、容易に編集作業をすることができる。
【0060】
このように、例えば、基準フレームレート映像に高フレームレート映像を時間軸上でつなぐ際には、編集操作者は、フレーム番号を基準フレームレート映像と同一概念でカウントすることができるので、識別しやすく効率的に編集作業進められる。
【0061】
一方、本実施形態におけるサブフレームの概念を適用せずに、上記の120fpsの高フレームレート映像において、TCのフレームのインデキシングに0〜119を単純に割り当てて編集する場合を想定する。このとき、基準フレームレートでいうTC「10時(h)20分(m)30秒(s)11フレーム(f)」から同様の1分29秒15フレーム分をつなげるよう編集しようとすると、高フレームレート映像の開始TC「10時(h)20分(m)30秒(s)44フレーム(f)」から、終了TC「10時(h)21分(m)59秒(s)100フレーム(f)」まで、高フレームレート映像でいう1分29秒57フレーム先までつなげるという呼び方となってしまう。したがって、両映像素材のフレーム間の対応付けがフレーム番号ではとれず、編集作業が複雑となる。
【0062】
このため、例えば1つの共同編集作業を想定し、1編集室で、編集操作担当者と、編集を指示するプログラムディレクタ又は音響効果入力担当者等が共同で作業をする場合、映像素材毎に固有の呼称が飛び交うことになり、誤編集を起こす原因となり、作業効率が低下する。さらに、映像フォーマットが基準フレームレートの一定倍(ここでは4倍)のみならず、3倍、5倍、6倍等の複数の映像フォーマットが混在する場合の編集作業は一層複雑となる。
また、編集済み映像を高フレームレート映像(120fps映像)フォーマットで作成しようとした場合を想定しても、基準フレームレート映像のフレームを補完して編集する必要が生じるため、様々なフレーム数の呼称が編集作業時に飛び交い、同様に誤編集又は作業効率の低下を引き起こす可能性がある。
【0063】
本実施形態によれば、編集装置1は、フレーム番号単位での戻し又は送りを指示する低速ジョグ12とは別に、サブフレーム識別子単位で戻し又は送りを指示する微小移動ジョグ15を備える。したがって、編集装置1は、基準フレームレートの映像素材と、基準フレームレートを超える高フレームレートの映像素材とが混在する環境においても、両映像素材をフレーム番号単位で同一の時間スケールで移動させたり、サブフレーム単位で微調整したりできるので、サブフレーム単位での取り扱いを容易にする。
【0064】
また、低速ジョグ12と微小移動ジョグ15とは、独立して回転操作を受け付けるので、編集操作者は、フレーム番号単位又はサブフレーム単位で任意に、かつ、ジョグダイヤルによって感覚的に容易に映像データを操作できる。
さらに、微小移動ジョグ15は、低速ジョグ12の内側に同心円状に配置されるので、編集操作者は、映像に対するコマ戻し送りの操作をフレーム番号単位の戻し送りと同様の動きで容易に行うことができる。
【0065】
また、編集装置1は、微小移動ジョグ15の1回転をフレーム番号1つ分の操作量とすることにより、基準フレームレートを逓倍した高フレームレートについて、1回転に対して逓倍分の1の角度をサブフレーム1つ分の操作量とできる。これにより、編集操作者は、基準フレーム(例えば、Oddサブフレーム)間の各サブフレームへの戻し量又は送り量を感覚的に容易に把握できる。
【0066】
また、編集装置1は、微小戻しボタン16−1又は微小送りボタン16−2を設けることにより、ジョグダイヤルとは別に、ボタン操作による映像操作を可能にし、編集操作者の状況に応じた利便性を向上できる。
【0067】
また、編集装置1は、操作コントローラ10に切替ボタン17を設けることにより、微小移動又は低速移動の各操作部(ジョグダイヤル及びボタン)の役割を前述の状態1、2又は3のいずれかに切り替えることができる。したがって、編集装置1は、編集対象の映像素材のフレームレート又は編集操作者の状況に応じて、適宜操作性を変更できるので、利便性が向上する。
【0068】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、編集装置1を示したが、映像制御装置の適用範囲はこれには限られず、同様のサブフレームを戻し送る操作が伴う機器に適用可能である。本実施形態では、高フレームレート映像収録用の記録再生装置2を説明する。
【0069】
記録再生装置2は、放送業務用映像を取り扱うビデオテープレコーダ(VTR)、ハードディスクレコーダ、光ディスクレコーダ、固体メモリ(SSD等)レコーダ等が含まれる。これらの記録再生装置2には、フレームを戻し送りできるジョグ操作部が設けられることが一般的であり、編集装置と接続して使用されることも多い。
【0070】
図5は、本実施形態に係る記録再生装置2の全体構成を示す図である。
記録再生装置2は、映像制御装置としての操作コントローラ10aと、本体部20aとを備える。
【0071】
本体部20aは、記録再生装置2の全体を制御する情報処理部(コンピュータ)であり、記録再生用のソフトウェアを実行することにより、操作コントローラ10aからの操作入力を受け付けて、記録媒体に映像を記録、又は記録されている映像の再生(出力)等を行う。
【0072】
操作コントローラ10aは、第1実施形態の操作コントローラ10と同様に、フレーム及びサブフレーム単位の操作部として、高速ジョグ11、低速ジョグ12、高速戻しボタン13−1、高速送りボタン13−2、低速戻しボタン14−1、低速送りボタン14−2、微小移動ジョグ15、微小戻しボタン16−1、微小送りボタン16−2、切替ボタン17を備える。これにより、高フレームレート映像において、フレームとサブフレームとで構成された前述のTCが各映像にインデキシングされている際に、作業者は、映像の移動操作を容易で効率的に行える。
【0073】
操作コントローラ10aは、さらに、記録再生の操作を行うためのボタン群を備える。具体的には、例えば、再生ボタン18−1、停止ボタン18−2、チャプタ単位での戻しボタン18−3及び送りボタン18−4、録画ボタン18−5等が設けられる。
さらに、操作コントローラ10aは、映像の表示部30aを備えてもよい。表示部30aは、本体部20aの表示制御により、再生中若しくは録画中の映像、又は操作部によって選択されたフレームの映像等の表示を行う。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0075】
本実施形態の微小移動ジョグ15は、高速ジョグ11及び低速ジョグ12の内側に同心円状に配置されているが、これには限られない。微小移動ジョグ15は、高速ジョグ11及び低速ジョグ12とは別の位置に配置されてもよい。
【0076】
本実施形態の操作コントローラ10は、ジョグダイヤル又はボタン等からなる物理的なデバイスであるものとして説明したが、これには限られず、例えばディスプレイに表示された仮想のコントローラをタッチパネル又はマウス等の入力デバイスにより操作する形態であってもよい。
【0077】
また、本発明は、前述の120fpsの映像フォーマットに限らず、30fpsの整数倍となる例えば、60fps,90fps,120fps,240fpsや、24fpsの整数倍となる例えば48fps,72fps,96fpsや、25fpsの整数倍となる例えば50fps,75fps,100fps,125fps,150fpsに代表される映像フォーマット等にも適用できる。もちろん、本発明は、これ以上の逓倍fpsの映像フォーマットにも適用できる。また、これらのNDF(Non Drop Frame)モードに限らず、DF(Drop Frame)モードにおけるフレームレートの映像フォーマットにおいても、本発明が適用できる。
【0078】
前述の高フレームレート映像の制御方法は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。また、これらのプログラムは、CD−ROMのようなリムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してユーザのコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。