(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6524900
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】二次元コード及びこれを印字した印字対象物、半導体装置及び二次元コードの検出方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/06 20060101AFI20190527BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
G06K19/06 037
G06K7/14 017
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-238981(P2015-238981)
(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公開番号】特開2017-107303(P2017-107303A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(72)【発明者】
【氏名】古川 寛之
【審査官】
境 周一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−284988(JP,A)
【文献】
特開2005−004395(JP,A)
【文献】
実開昭54−044598(JP,U)
【文献】
特開2009−081190(JP,A)
【文献】
米国特許第05140645(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 1/00−21/08
B42D 1/00−25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の要素の組み合わせで表現される複数種類の記号を複数個組み合わせた記号列として表現される二次元コードであって、
各記号を構成する要素が、記号の大きさを確定する縦長矩形状の領域内において、
該矩形領域を画定する4つの辺の内、一辺を除く第一辺、第二辺、第三辺と、
該矩形領域を縦方向に分割する分割線と、
該矩形領域を斜め方向に分割する第一対角線及び該第一対角線と交差する第二対角線と、
該矩形領域の中央の中心点と、
で構成され、
前記第一辺、第二辺、第三辺、分割線、第一対角線、第二対角線、中心点の組み合わせでもって異なる記号が規定されており、
前記矩形領域を画定する4つの辺の内、除かれた一辺の方向に、複数の記号を並べて記号列を構成してなる二次元コード。
【請求項2】
請求項1に記載の二次元コードであって、
前記第一辺、第二辺、第三辺、分割線、第一対角線、第二対角線のいずれも含まない状態を含めてなる二次元コード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の二次元コードであって、
前記矩形領域を画定する4つの辺の内、除かれた一辺が、前記第二辺と対向する辺である二次元コード。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一に記載の二次元コードであって、
一記号を構成する前記要素の組み合わせが、前記矩形領域の中心を通る要素を含まない場合、該記号に対しては前記矩形領域の中心に中心点を表示してなる二次元コード。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一に記載の二次元コードであって、
一記号を構成する前記要素の組み合わせが、前記分割線、第一対角線、第二対角線のいずれも含まない場合、該記号に対しては前記矩形領域の中心に中心点を表示してなる二次元コード。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一に記載の二次元コードであって、
前記矩形領域が、長方形状であり、
前記矩形領域を画定する4つの辺の内、除かれた一辺が、前記長方形の長辺の一である二次元コード。
【請求項7】
請求項6に記載の二次元コードであって、
前記分割線が、前記長方形の矩形領域を二等分する位置に設けられてなる二次元コード。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一に記載の二次元コードであって、
二次元コードを印字する対象である印字対象物に対して、該二次元コードがレーザ光の照射によって印字されてなる二次元コード。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一に記載の二次元コードであって、
前記記号列が5字以下で構成されてなる二次元コード。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一に記載の二次元コードであって、
前記矩形領域が、縦横のサイズを100μm以下としてなる二次元コード。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一に記載の二次元コードを印字した印字対象物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一に記載の二次元コードを印字した半導体装置。
【請求項13】
画像中に映った二次元コードを該画像から検出する検出工程と、
前記検出された二次元コードを復号化する工程とを有し、
前記二次元コードは、複数の要素の組み合わせで表現される複数種類の記号を複数個組み合わせた記号列として表現される二次元コードであって、
各記号を構成する要素が、記号の大きさを確定する矩形状の領域内において、
該矩形領域を画定する4つの辺の内、一辺を除く第一辺、第二辺、第三辺と、
該矩形領域を縦又は横方向に分割する分割線と、
該矩形領域を斜め方向に分割する第一対角線及び該第一対角線と交差する第二対角線と
で構成され、
前記第一辺、第二辺、第三辺、分割線、第一対角線、第二対角線の組み合わせでもって異なる記号が規定されており、
前記矩形領域を画定する4つの辺の内、除かれた一辺の方向に、複数の記号を並べて記号列を構成してなる二次元コードの検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元コード及びこれを印字した印字対象物、半導体装置及び二次元コードの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDチップのような半導体発光素子を内包するLED(Light Emitting Diode)などの発光装置は、近年の電子機器の小型、薄型化の需要に伴い、小型化が求められている。また、トレーサビリティ等、管理上の観点から、発光装置の全数にロットマーキングを付すという要求がある。
【0003】
ロットマーキングとしてアルファベットや数字を用いる場合、それらの組み合わせには限りがあるため、ロット数量によっては文字数を増やして対応する必要がある。しかしながら、発光装置は非常にサイズが小さいため、文字数数を増やすことが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4804125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係る実施形態の目的の一は、十分な精度で記録及び復号化が可能な二次元コード及びこれを印字した印字対象物、半導体装置及び二次元コードの検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る二次元コードは、複数の要素の組み合わせで表現される複数種類の記号を複数個組み合わせた記号列として表現される二次元コードであって、各記号を構成する要素が、記号の大きさを確定する縦長矩形状の領域内において、該矩形領域を画定する4つの辺の内、一辺を除く第一辺、第二辺、第三辺と、該矩形領域を縦方向に分割する分割線と、該矩形領域を斜め方向に分割する第一対角線及び該第一対角線と交差する第二対角線と、該矩形領域の中央の中心点とで構成され、前記第一辺、第二辺、第三辺、分割線、第一対角線、第二対角線、中心点の組み合わせでもって異なる記号が規定されており、前記矩形領域を画定する4つの辺の内、除かれた一辺の方向に、複数の記号を並べて記号列を構成している。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、印字対象物が小さい場合であっても、十分な精度で記録及び複合化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施の形態に係る二次元コードで構成された記号列を印字した印字対象物に対して、記号列の読み取りを行う様子を示す模式図である。
【
図2】一実施の形態に係る二次元コードを示す平面図である。
【
図4】
図3A〜
図3Fの構成要素で表現可能な二次元コードの64パターンを示す平面図である。
【
図5】変形例に係る二次元コードを示す平面図である。
【
図6】他の変形例に係る二次元コードを示す平面図である。
【
図7】さらに他の変形例に係る二次元コードを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0010】
一形態に係る二次元コードによれば、前記第一辺、第二辺、第三辺、分割線、第一対角線、第二対角線のいずれも含まない状態を含めることができる。上記構成により、要素を含まない記号をたとえばゼロとして表現でき、表現可能な状態を一つ増やすことができる。
【0011】
他の形態に係る二次元コードによれば、前記矩形領域を画定する4つの辺の内、除かれた一辺を、前記第二辺と対向する辺とできる。
【0012】
また他の形態に係る二次元コードによれば、一記号を構成する前記要素の組み合わせが、前記矩形領域の中心を通る要素を含まない場合、該記号に対しては前記矩形領域の中心に中心点を表示することができる。上記構成により、矩形領域の中心を通らない記号に対しては中心点を付加することで、すべての記号が中心に何らかの要素、すなわち線分又は中心点が印字されている状態となり、これを位置決めに利用できるので、誤認識を低減して光学認識の精度を向上できる。
【0013】
さらに他の形態に係る二次元コードによれば、一記号を構成する前記要素の組み合わせが、前記分割線、第一対角線、第二対角線のいずれも含まない場合、該記号に対しては前記矩形領域の中心に中心点を表示することができる。上記構成により、矩形領域の中心を通らない記号に対しては中心点を付加することで、誤認識を低減して光学認識の精度を向上できる。
【0014】
さらにまた他の形態に係る二次元コードによれば、前記矩形領域が、長方形状であり、前記矩形領域を画定する4つの辺の内、除かれた一辺を、前記長方形の長辺の一とできる。上記構成により、各記号を縦長として、横方向に記号列を連ねることで、効率よく記号列を印字することが可能となり、特に省スペースへの印字に有利となる。
【0015】
さらにまた他の形態に係る二次元コードによれば、前記分割線を、前記長方形の矩形領域を二等分する位置に設けることができる。
【0016】
さらにまた他の形態に係る二次元コードによれば、二次元コードを印字する対象である印字対象物に対して、該二次元コードをレーザ光の照射によって印字することができる。上記構成により、インクを用いた印刷を避け、インクによる汚れを回避できるので、汚れが問題となる光学部品等に適した二次元コードを実現できる。
【0017】
さらにまた他の形態に係る二次元コードによれば、前記記号列を5字以下で構成することができる。上記構成により、印字対象物が小さい場合であっても、識別可能な二次元コードとすることができる。
【0018】
さらにまた他の形態に係る印字対象物は、上記の二次元コードを印字した印字対象物である。
【0019】
(実施形態)
実施形態に係る二次元コードの平面図を
図1〜
図4に示す。これらの図において
図1は一実施の形態に係る二次元コードで構成された記号列100を印字した印字対象物に対して、記号列100の読み取りを行う様子を示す模式図、
図2は一実施の形態に係る二次元コード10を示す平面図、
図3は
図3A〜
図3Fは
図2の二次元コード10を構成する構成要素を示す平面図、
図4は
図3A〜
図3Fの構成要素で表現可能な二次元コード10の64パターンを示す平面図を、それぞれ示している。
【0020】
これらの図に示す二次元コード10は、文字や数字、あるいはバーコード等と同様に、複数が印字対象物WKに印字され、一定の情報を表す。そして
図1に示すように、必要に応じて光学式読取装置40で、二次元コード10で構成された記号列100が読み取られて、復号化される。例えば、製品のシリアル番号や製造年月日、製造場所や製造装置名、メーカー名等の情報を、二次元コードの記号列100に含めることができる。なお光学式読取装置40は、撮像用のカメラ20と、復号器30で構成される。必要に応じて、撮像時に印字対象物を照明するための照明部等を追加してもよい。
【0021】
なお本明細書において印字とは、レーザ加工機でレーザ光を印字対象物に照射して刻印や焼き付け、切削、変色により二次元コードを表示する方法や、ケガキ針等を用いたケガキ、コンティニュアス型インクジェットプリンタ等のプリンタを用いてインクで二次元コードを印刷する方法を含む意味で使用する。このように二次元コードの印字は、刻印、けがき、材質の変色の他、インクを用いた印刷も利用できる。なお印字対象物が発光ダイオードのような光学素子の場合は、コンティニュアス型インクジェットプリンタ等のプリンタを用いてインクを飛翔させる印字方法で、インクが意図しない部位に付着して発光部分が汚れることを防止するため、レーザマーカ等を用いてレーザ光を走査させ、刻印等により記録することが好ましい。なお本明細書において印字とは、印刷の他、このような刻印やけがき、変色などの方法で二次元コードを製品上に記録する方式を含む意味で使用する。また製品の表面に印字する構成に限らず、例えば透光性部材の内部に記録するような態様も含む。このように印字とは、二次元コードの要素を何らかの手段で印字対象物に「表示」することを指す。あるいは、印字対象物の大きさや性質によっては、印字対象物上に直接印字する他、テープ等に印刷して適用対象に貼り付けたり、二次元コードを印字した樹脂版や金属板を溶着する等、間接的な適用も可能である。
【0022】
この二次元コード10は、一記号が、
図2に示すように複数の要素の組み合わせで表現される。各要素は、単体で使用される場合は
図3A〜
図3Fに示すような態様となる。そしてこれらの要素を組み合わせることで、
図4に示すように0〜63まで、計64種類の状態を一記号で表現することができる。このような二次元コード10の一記号を、複数並べることで、様々な情報を表現することができる。例えば数字であれば0〜9まで、一字で10通りの状態を表現でき、アルファベットであればA〜Zまで一文字で26通りの状態を表現できる。しかしながら、近年の製品の小型化の強い要求により、文字や記号を印字できるスペースが極めて狭くなった現状では、数字やアルファベットでは表現できる情報量に限界があり、より一層の情報を表現することが求められている。ここで、二次元コードとして一般に知られているQRコードやデータマトリックスといったロットマーキングを用いれば、より多くの情報量を記録することが可能であるが、印字スペースが小さいと、これらのロットマーキングの大きさも小さくなり、印字精度を達成することが困難となる上、読み取り精度の確保も容易でない。例えば近年の発光装置は、厚みが1mm以下、例えば0.3mm程度の大きさのものが使用されており、このような印字対象物の、さらに小さい印字対象領域に、複数のロットマーキングを正確に印字し、かつこれを読み取って正確に復号することが如何に困難であるかは容易に想像できるところである。
【0023】
すなわち実施形態に係る二次元コードによれば、一記号で64の状態を表現可能であり、これは数字とアルファベットの組み合わせよりも遙かに多い情報を表現でき、より少ない文字数(記号列100を構成する記号の数)で必要な情報を表現できる。また、例えば文字と数字の組み合わせでは、数字の「1」とアルファベットの「I」、あるいは数字の「0(ゼロ)」とアルファベットの「O(オー)」等、区別が困難な文字種が存在し、精度が低下するところ、本実施の形態では、各状態間の相違が顕著で、このような誤読や誤判定のリスクを低減できる。このようにして、解像度が低くなりがちな極小サイズの物品に対しても印字可能な二次元コードとして好適に利用できる。
【0024】
具体的に、
図2に示す二次元コード10一文字(便宜上、二次元コードである記号を文字と呼ぶことがある。)は、全体の外形を縦長の矩形状の領域(矩形領域SA)で画定している。この矩形領域SAの内部に配置される要素として、矩形領域SAを外形を画定する4つの辺の内、一辺を除く第一辺1、第二辺2、第三辺3と、矩形領域SAを縦方向に分割する分割線4と、矩形領域SAを斜め方向に分割する第一対角線5と、この第一対角線5と交差する第二対角線6とで構成される。これらの6つの要素を組み合わせることで、63通りの状態を表現できる。また、第一辺1、第二辺2、第三辺3、分割線4、第一対角線5、第二対角線6のいずれも含まない記号を、状態の一(状態0)として含める。これにより表現可能な状態を一つ増やし、計64状態の表現が可能となる。
【0025】
なお分割線4は、長方形の矩形領域SAを二等分する位置に設けることが好ましい。これにより、第一辺1や第三辺3との間隔を確保し、分解能が低い場合でもこれらの識別が容易となる。
【0026】
(中心点0)
さらに、この矩形領域SAの中央の中心点0も、要素の一として含めることができる。これにより、二次伝コードの読み取り時の検出精度を向上させることができる。すなわち、要素を何も印字しない状態(例えばゼロ状態)を表現する際に、未印字の状態(印字ミスや印字対象でない領域)なのか、二次元コードが記録された結果としての空間(ゼロ状態)なのかを、中心点0の有無によって容易に区別できる。さらに中心点0は、矩形領域SAの中間に印字される要素がない場合、この部分が空間であることを示すための指標としても利用できる。すなわち、例えば
図3Aに示すように第一辺1のみで「状態1」を表現する場合、単に横棒一本だけでは、同じく横棒である第三辺3のみの「状態4」や、分割線4のみの「状態8」との区別が困難となる場合が生じる。そこで、このような場合には中心点0を印字することにより、中心点0を基準として、矩形領域SAにおける高さ方向を判別できるようになり、いいかえると第一辺1なのか第三辺3なのかを区別でき、中心点0がない場合は分割線4であることが判別できる。
【0027】
以上は、矩形領域SAの縦方向における要素の区別を説明したが、同様に矩形領域SAの横方向の区別にも、中心点0を利用できる。すなわち、
図3Bに示すように第二辺2のみで「状態2」を表現する際、中心点0も併せて表示させることで、第二辺2の位置を判別できるようになる。
【0028】
なお中心点0は、中心を通る要素が存在する場合には、印字を省略できる。具体的には、
図3D、
図3E、
図3Fに示すように、分割線4、第一対角線5、第二対角線6が印字される場合には、中心線がなくともこれらの線分により矩形領域SAの中心位置を画定できる。逆に一記号を構成する要素の組み合わせが、矩形領域SAの中心を通る要素を含まない場合には、上述の通りこの記号に対しては矩形領域SAの中心に中心点0を表示することで、すべての記号が中心に何らかの要素、すなわち線分又は中心点0が印字されている状態となり、これを位置決めに利用できるので、誤認識を低減して光学認識の精度を向上できる。
【0029】
このように、二次元コード10の一記号を表現する要素として、第一辺1、第二辺2、第三辺3、分割線4、第一対角線5、第二対角線6に、中心点0を加えた場合の、64通りの状態を表現した例を、
図4に示す。
【0030】
なお、この二次元コード10では、
図2等に示すように、矩形領域SAの外形を画定する4辺の内、一辺は構成要素としていない。例えば第二辺2と対向する辺を要素から除外する。
図2の例では、右方の縦の辺を意図的に要素から除外している。これは、二次元コード10の記号列100を印字する際、各記号同士が近接して印字された場合に、近接する記号のいずれに属するかを判別するためである。すなわち、
図2の例では、横方向に記号を並べて印字しても、記号同士の間に存在する縦辺は、右側に位置する記号に属する第二辺2であることが判別できる。このように、記号を並べる方向には、いずれか一方の辺を構成要素から除外することで、誤検出を回避することが可能となる。なお
図2の構成は一例であって、例えば
図5に示す変形例に係る二次元コード10Bのように、第二辺2Bを矩形領域SAの左側でなく右側に配置することもできる。このように矩形領域SAが長方形状の場合に、矩形領域SAを画定する4つの辺の内、除かれた一辺を、長方形の長辺の一とすることで、各記号を縦長として、横方向に記号列100を連ねることで、効率よく記号列を印字することが可能となり、特に省スペースへの印字に有利となる。
【0031】
また縦方向に二次元コードの記号を並べる場合は、例えば
図6に示す変形例に係る二次元コード10Cのように第三辺3を矩形領域SAの下辺とせず、代わりに矩形領域SAの右側に第三辺3Cを設けることができる。あるいは逆に、
図7に示す変形例に係る二次元コード10Dのように、矩形領域SAの上辺を設けず、代わりに右辺を第一辺1Dとして利用できる。
【0032】
このようにして、記号同士が隣接する部分において、存在する要素が、隣接する文字のいずれに属する要素であるかを一義的に決定でき、記号同士を近付けて配置できるため、記号列の印字スペースを効率的に利用できる。また各記号を規定する要素の連続した線分の長さとして、矩形領域SAの一辺分以上を最低限確保しているため、矩形領域SAを小さくしても判別が比較的容易となり、二次元コードのサイズを極限まで小さくできる。例えば、矩形領域SAは、縦横のサイズを100μm以下とできる。また近年のレーザマーカはレーザ光のスポット径を小さくできるため、二次元コードの印字可能エリアが数百や数十μmといった場合にも、記号列を印字することが可能となる。
【0033】
なお記号列を構成する二次元コードの文字数は、特に制限するものでないが、例えば6文字の記号列であっても、表現可能な状態は64
6=68719476736となり、相当数の状態を表現可能となる。よって好ましくは文字列を6文字以下とする。
【0034】
また印字対象物も特に限定するものでないが、小さな印字可能エリアにおいて有効に適用できることから、例えば半導体発光素子を用いた発光装置などの半導体装置に対して本発明を有効に利用できる。
【0035】
なお、
図2等の例では一記号の大きさを画定する矩形領域SAを縦長に配置した例を説明したが、横長や正方形状としてもよいことはいうまでもない。
【0036】
(二次元コードの検出方法)
以上のようにして印字された二次元コードは、必要時に光学的に読み取られる。読み取りには、カメラで画像を撮像し、画像処理によって二次元コードを構成する要素を抽出する。このような画像処理には、エッジ抽出のための既知のアルゴリズムが使用できる。例えば背景と線分、基準点の明度、彩度あるいは色相の差を読み取り、線分の有無を割り出す。
【0037】
ここで、二次元コードの検出方法を説明する。まず、
図1に示すような光学式読取装置40を用いて、画像を撮像する。そして画像中に映った二次元コード10の外形を、この画像中から検出する(外形検出工程)。次に、検出された外形の形状に応じて、内部のビット領域の位置を特定する(ビット領域特定工程)。さらに特定されたビット領域の明度または色に基づいてビット値を取得する(ビット値取得工程)。特にこの方法では、予め記号を64の状態と対応付けているため、単純な1:1の対応のみで元の情報を復号化できるため、例えばルックアップテーブルのみで復号化でき、従来のQRコードのようなシンボル系の二次元コードに比べ、符号化のためのアルゴリズムを大幅に簡素化できる。さらに、符号化の工程も大幅に簡素化又は不要とできる。便宜上、本明細書においては単純な1:1の対応関係を取る場合も、符号化、復号化と呼んでいる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上の二次元コードは、微少な記載範囲しか持たない小型の製品やその外装に表示する二次元コードとして好適に利用できる。特に、小型化が求められている半導体装置へ印字する二次元コードとして最適である。ただ、本実施形態の印字対象物は小型の製品に特定されるものでなく、中、大型の製品の製品管理等に用いてもよいし、あるいは広告や記事等の公布物へ適用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
100…記号列
0…中心点
1、1D…第一辺
2、2B…第二辺
3、3C…第三辺
4…分割線
5…第一対角線
6…第二対角線
10、10B、10C、10D…二次元コード
20…カメラ
30…復号器
40…光学式読取装置
WK…印字対象物
SA…矩形領域