特許第6525885号(P6525885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6525885
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】マクロモノマーを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/28 20060101AFI20190527BHJP
   C08G 65/331 20060101ALI20190527BHJP
   C08G 65/10 20060101ALI20190527BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20190527BHJP
【FI】
   C08G65/28
   C08G65/331
   C08G65/10
   C08F290/06
【請求項の数】16
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2015-547042(P2015-547042)
(86)(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公表番号】特表2016-510347(P2016-510347A)
(43)【公表日】2016年4月7日
(86)【国際出願番号】EP2013076499
(87)【国際公開番号】WO2014095608
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】12197538.7
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ビットナー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ラングロッツ,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツケ,ベニヤミン
(72)【発明者】
【氏名】シュピンドラー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ライヒェンバッハ−クリンケ,ロラント
(72)【発明者】
【氏名】クルンペ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,ニコレ
(72)【発明者】
【氏名】アンネン,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】オストロヴスキー,トマス
【審査官】 佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−527505(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0331510(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0129739(US,A1)
【文献】 特表2013−501112(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/069942(WO,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02826635(CA,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02817792(CA,A1)
【文献】 国際公開第2011/040377(WO,A1)
【文献】 米国特許第05086142(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00−67/04
C08F283/01
C08F290/00−290/14
C08F299/00−299/08
C08C 19/00−19/44
C08F 6/00−246/00
C08F301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)のマクロモノマーMを製造する方法であって、
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
式中、(−CH−CH−O−)及び(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(CH−CH−O−)単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されており、
ラジカル及び添え字は、それぞれ以下のように定義され、
kは、10〜50の数であり、
lは、5〜25の数であり、
mは、0〜15の数であり、
は、H又はメチルであり、
は、独立に単結合又は−(C2n)−及び−O−(Cn’2n’)−からなる群から選択される2価結合基であり、nは、1〜6の自然数であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル又は一般式−CH−O−R3’のエーテル基であり、R3’は、少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、独立にH又は1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
以下の工程
a)一般式(II)
C=C(R)−R−OH (II)
(式中、R及びRラジカルは、それぞれ上で定義した通りである)
のモノエチレン性不飽和アルコールA1をエチレンオキシドと
KOMe及び/又はNaOMeを含むアルカリ触媒C1の添加により反応させて、アルコキシル化アルコールA2を得る工程と、
b)アルコキシル化アルコールA2を式(Z)
【化1】

(式中、Rは、上で定義した通りである)
の少なくとも1つのアルキレンオキシドZと
アルカリ触媒C2の添加により反応させ、
工程b)における反応におけるカリウムイオンの濃度が用いるアルコールA2に対して0.01〜0.9mol%の範囲であり、
工程b)における反応を60〜135℃の範囲の温度で行って、
式(III)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−R (III)
(式中、R=Hであり、R、R及びRラジカル並びに添え字k及びlは、それぞれ上で定義した通りである)
のアルコキシル化アルコールA3を得る工程と、
c)アルコキシル化アルコールA3の少なくとも一部をエチレンオキシドと場合によって反応させて、式(I)(式中、R=H及びmは0より大きい)のマクロモノマーMに対応するアルコキシル化アルコールA4を得る工程と、
d)アルコキシル化アルコールA3及び/又はA4を化合物
−X
(式中、Rは、1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、Xは、脱離基である)
により場合によってエーテル化して、
式(I)及び/又は式(III)(式中、R=1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル)のマクロモノマーMを得る工程と
を含む、方法。
【請求項2】
工程b)における反応の過程におけるカリウムイオンの濃度が用いるアルコールA2に対して0.01〜0.5mol%である、請求項1に記載のマクロモノマーMを製造する方法。
【請求項3】
アルカリ触媒C2が少なくとも1つの塩基性ナトリウム化合物を含む、請求項1又は2に記載のマクロモノマーMを製造する方法。
【請求項4】
少なくとも1つの塩基性ナトリウム化合物を含む触媒C2を工程b)において用い、工程b)における反応におけるナトリウムイオンの濃度が用いるアルコールA2に対して3.5〜12mol%の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載のマクロモノマーMを製造する方法。
【請求項5】
工程b)を120〜135℃の温度で行う、請求項1から4のいずれか一項に記載のマクロモノマーMを製造する方法。
【請求項6】
工程b)が1〜3.1バールの範囲の圧力におけるアルコールA2とアルカリ触媒C2との混合物への少なくとも1つのアルキレンオキシドZの添加を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のマクロモノマーMを製造する方法。
【請求項7】
が2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、工程b)が1〜3.1バールの範囲の圧力におけるアルコールA2とアルカリ触媒C2との混合物への少なくとも1つのアルキレンオキシドZの添加を含む、又はRが少なくとも3個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、工程b)が1〜2.1バールの範囲の圧力におけるアルコールA2とアルカリ触媒C2との混合物への少なくとも1つのアルキレンオキシドZの添加を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のマクロモノマーMを製造する方法。
【請求項8】
kが23〜26の数であり、lが5〜25の数であり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数が15〜50の範囲にある、請求項1から7のいずれか一項に記載のマクロモノマーを製造する方法。
【請求項9】
ラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義され、
kは、20〜28の数であり、
lは、5〜25の数であり、
mは、0〜15の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数が15〜50の範囲にあり、
は、Hである、
請求項1から7のいずれか一項に記載のマクロモノマーを製造する方法。
【請求項10】
ラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義され、
kは、23〜26の数であり、
lは、5〜25の数であり、
mは、0〜15の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数が15〜50の範囲にあり、
は、Hである、
請求項1から9のいずれか一項に記載のマクロモノマーを製造する方法。
【請求項11】
ラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義され、
kは、23〜26の数であり、
lは、7.5〜25の数であり、
mは、0〜15の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然
数であり、
は、エチルであり、
は、Hである、
請求項1から9のいずれか一項に記載のマクロモノマーを製造する方法。
【請求項12】
ラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義され、
kは、23〜26の数であり、
lは、8.5〜11.5の数であり、
mは、0〜15の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、n−プロピルであり、
は、Hである、
請求項1から9のいずれか一項に記載のマクロモノマーを製造する方法。
【請求項13】
マクロモノマーMがm=0である式(I)のマクロモノマーMとm=1〜15である式(I)のマクロモノマーMとの混合物である、請求項1から12のいずれか一項に記載のマクロモノマーを製造する方法。
【請求項14】
m=0である式(I)のマクロモノマーとm=1〜15である式(I)のマクロモノマーとの質量比が19:1〜1:19の範囲にある、請求項13に記載のマクロモノマーを製造する方法。
【請求項15】
一般式(I)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
のマクロモノマーM
(式中、(−CH−CH−O−)、及び(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(−CH−CH−O−)単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されており、
ラジカル及び添え字は、それぞれ以下のように定義され、
kは、20〜28の数であり、
lは、5〜25の数であり、
mは、0.1〜15の数であり、
は、H又はメチルであり、
は、独立に単結合又は−(C2n)−及び−O−(Cn’2n’)−からなる群から選択される2価結合基であり、nは、1〜6の自然数であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルRにおける炭素原子の総数が15〜50の範囲にあり、
は、独立にH又は1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである)。
【請求項16】
一般式(I)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
のマクロモノマーM
(式中、(−CH−CH−O−)、及び(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(−CH−CH−O−)単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されており、
ラジカル及び添え字は、それぞれ以下のように定義され、
kは、10〜50の数であり、
lは、5〜25の数であり、
mは、0.1〜15の数であり、
は、H又はメチルであり、
は、独立に単結合又は−(C2n)−及び−O−(Cn’2n’)−からなる群から選択される2価結合基であり、nは、1〜6の自然数であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであるか、又は一般式−CH−O−R3’のエーテル基であり、R3’は、少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、独立にH又は1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水会合性マクロモノマーMを製造する方法及び本発明による方法により製造される新規マクロモノマーに関する。マクロモノマーMは、共重合性エチレン性不飽和基及びブロック型のポリエーテル構造を含み、後者は、ポリエチレンオキシブロック及び少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキシ単位からなる疎水性ポリアルキレンオキシブロックからなる。場合によって、マクロモノマーMは、末端ポリエチレンオキシブロックを有し得る。本発明による方法により製造されるマクロモノマーは、水溶性疎水会合性コポリマーを得るためのさらなるモノマーとの、とりわけアクリルアミドとの反応に適する。
【背景技術】
【0002】
水溶性増粘ポリマーは、多くの産業分野、例えば、化粧品分野で、食品に、洗浄剤、印刷インク及びエマルジョン塗料の製造に、並びに油の製造に用いられている。増粘剤として使用可能な多くの化学的に異なるクラスのポリマーが公知である。重要なクラスの増粘ポリマーは、疎水会合性ポリマーと呼ばれるものである。これは、外側又は末端疎水基、例えば、比較的に長いアルキル鎖を有する水溶性ポリマーを意味すると当業者により理解される。水溶液中では、そのような疎水基は、それ自体と又は疎水基を有する他の物質と会合し得る。これは、媒体を濃厚化する、会合性ネットワークを形成する。
【0003】
欧州特許出願公開第705854号、独国特許出願公開第10037629号及び独国特許出願公開第102004032304号は、水溶性疎水会合性コポリマー及び例えば、創製化学分野におけるそれらを使用する方法を開示している。述べたコポリマーは、ポリマーに水溶性を付与する酸性、塩基性又は陽イオン性モノマーを含む。疎水会合性モノマーとして、開示されたコポリマーは、それぞれ次のタイプのモノマー:HC=C(R)−COO−(−CH−CH−O−)q−R又は他のHC=C(R)−O−(−CH−CH−O−)q−Rを含み、式中、Rは、一般的にH又はCHであり、Rは、比較的大きいヒドロカルビルラジカル、一般的に8〜40個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである。
【0004】
さらに、鉱油生産分野における、とりわけ三次鉱油生産(油回収率の増大、EOR)のための疎水会合性コポリマーの使用は公知である。三次鉱油生産のための疎水会合性コポリマーの使用の詳細は、例えば、Taylor K.C.及びNasr−EI−Din H.A.によるJ.Petr.Sci.Eng.1998、19、265〜280頁における総説論文に記載されている。
【0005】
三次鉱油生産の技術は、「ポリマーフラッディング」と呼ばれているものを含む。鉱油埋蔵物は、地下の「油の海」ではなく、それどころか、鉱油は、油含有岩における小間隙に保持されている。地層中の空洞の直径は、一般的に数マイクロメートルにすぎない。ポリマーフラッディングのために、増粘ポリマーの水溶液を注入井を経て鉱油埋蔵物に注入する。ポリマー溶液の注入により、鉱油が注入井から地層中の前記空洞を経て生産井の方向に進むことを余儀なくされ、鉱油が生産井を経て生産される。
【0006】
水性ポリマー溶液がゲル粒子を全く含まないことがこの用途で重要である。マイクロメートル範囲の大きさを有する小ゲル粒子でさえ地層中の微細孔を閉塞させ、それにより鉱油の生産を停止させ得る。したがって、三次鉱油生産用の疎水会合性コポリマーは、最小限の割合のゲル粒子を有するものであるべきである。さらに、コポリマーは、一般的に水性コポリマー溶液の最大粘度が望ましいことを意味する、良好な増粘作用を有するべきである。
【0007】
国際公開第2010/133527号パンフレットは、HC=C(R)−R−O−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−R型の疎水会合性モノマーの製造及びコポリマーを得るためのさらなる親水性モノマーとのその後の反応を記載している。記載されたマクロモノマーは、エチレン性不飽和基並びにエチレンオキシ単位及び少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキシ単位からなる末端疎水性ポリアルキレンオキシブロックから本質的になる親水性ポリアルキレンオキシブロックからなるポリエーテルブロック構造を有する。
【0008】
文書、国際公開第2011/015520号パンフレットは、非イオン性界面活性剤の存在下でのそのようなマクロモノマーの共重合及びポリマーフラッディングに生成したコポリマーを使用する方法を記載している。
【0009】
文書、中国特許出願公開第102146159号は、同様にポリビニルエーテルモノマーを製造する方法を記載しており、ポリエーテルモノマーは、一般式HC=C(R)−O−R−O−(−C2aO)−(−C2bO)−Hを有し、a及びbは、それぞれ2〜4の整数であり、aは、bと等しくなく、Rは、C1−8−アルキレン基である。該文書に記載されたモノマーは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドから形成されたポリアルキレンオキシブロックを有する。アルコキシル化は、好ましくはアルカリ触媒、例えば、カリウムメトキシドの添加のもとで120〜160℃の範囲の温度で行う。
【0010】
マクロモノマーの製造について、国際公開第2010/133527号パンフレットによる方法は、適切なモノエチレン性不飽和アルコールから開始し、これがその後2段階法でアルコキシル化され、記載されたブロック構造が得られる。まず第一に、アルコキシル化は、エチレンオキシドを用いて、場合によってプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとの混合物中で実施する。第2の工程において、アルコキシル化は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを用いて実施する。国際公開第2010/133527号パンフレットにおける実施例は、140℃の反応温度におけるカリウムイオンの濃度が3モル%超でのKOMe(カリウムメトキシド)を触媒として用いたアルコキシル化の実施を記載している。
【0011】
アルコキシル化反応は、塩基触媒のもとで行うことが多い。また一般論としてブレンステッド若しくはルイス酸を用いる酸触媒アルコキシル化、又は例えば、混合水酸化物(例えば、独国特許出願公開第4325237号)若しくは二重金属シアン化物触媒(例えば、独国特許出願公開第10243361号)を用いる触媒アルコキシル化が公知である。
【0012】
塩基触媒アルコキシル化の場合、出発物質として用いるアルコールを一般的に圧力反応器中でアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルコキシドと混合し、対応するアルコキシドに変換する。その後、通常不活性ガス雰囲気中で、アルキレンオキシドを例えば、複数の段階で計量しながら入れる。反応を制御し、反応混合物のアルキレンオキシドによる過飽和を避けるために、アルコキシル化において特定の圧力及び温度範囲を維持することが通常必要である。
【0013】
国際公開第2010/133527号パンフレットによる方法は、架橋副生成物の形成を回避すると言われ、したがって、低いゲル含量を有するコポリマーの製造が可能であると言われている。しかし、従来技術の製造方法は、低いゲル含量を有する疎水会合性コポリマーの信頼できる製造方法とならないことが見いだされた。コポリマーの品質の変動は、例えばアルコキシル化工程の圧力及び反応時間が変化する場合に見いだされ、ときに高度に架橋したコポリマー生成物が得られた。
【0014】
したがって、疎水会合性マクロモノマーを確実に製造することができ、低いゲル含量を有するコポリマーを得るようにこれらが少数の架橋基を有し、重合性である、方法を提供することが本発明の目的であった。方法は、さらに行うのに簡単で、費用がかからないものであるべきであり、十分な経済的実現可能性(例えば、十分に短い反応時間)により安全上の要求を満たすべきである。
【0015】
従来技術の方法において、2つのエチレン性不飽和基を有するモノマーがおそらく副生成物として形成されることが見いだされた。これらの副生成物は、一般的に分析によりかろうじて検出することができる。架橋二官能性副生成物は、一般的に1mol%未満の非常に小さい割合で存在し、一般的に生成物と非常に類似した分子量分布を有する。したがって、これらの副生成物の除去及び生成物の精製は、一般的に不可能である。これらの二官能性副生成物は、架橋作用を有し、共重合において低い濃度でさえもゲルの形成の増加をもたらす。ゲル含量を有するコポリマーは、一般的にもはやろ過可能でなく、鉱油埋蔵物における多孔質マトリックスへの注入にもはや使用可能でない。
【0016】
架橋化合物の形成の可能なスキームを以下に示す。
【0017】
【化1】
【0018】
式中、nは、例えば、10〜150の数であり、mは、5〜24の数であり得る。例えば、水の除去又は鎖切断が二重結合の形成をもたらすことが推測され得る。両方の場合に、2つの二重結合を有する化合物、すなわち架橋化合物が形成される。これらの望ましくない副反応の発生が温度及び反応の持続時間とともに増加することが見いだされた。
【0019】
NaOMe(ナトリウムメトキシド)と比べて塩基性触媒としてのKOMe(カリウムメトキシド)に対する標準的選好が存在する。その理由は、KOMeがNaOMeより塩基性が強く、したがって、アルコキシル化反応がより速やかに進行するからである。しかし、塩基性がより強いKOMeは、上述の除去を促進することが見いだされた。ペンチレンオキシド及び/又はブチレンオキシドは、エチレンオキシドよりもはるかにゆっくりと反応し、したがって、ペンチレンオキシド及び/又はブチレンオキシドによるアルコキシル化の場合における除去副反応は、はるかによりはっきりとした効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】欧州特許出願公開第705854号
【特許文献2】独国特許出願公開第10037629号
【特許文献3】独国特許出願公開第102004032304号
【特許文献4】国際公開第2010/133527号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2011/015520号パンフレット
【特許文献6】中国特許出願公開第102146159号
【特許文献7】独国特許出願公開第4325237号
【特許文献8】独国特許出願公開第10243361号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Taylor,K.C.及びNasr−EI−Din,H.A.、J.Petr.Sci.Eng.1998、19、265〜280頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
驚くべきことに、0.9mol%以下のカリウムイオンの臨界量及び135℃以下の温度が第2のアルコキシル化工程(ペンチレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとの反応)で観測される場合に架橋性二官能性化合物の形成及びしたがって得られるコポリマーにおけるゲル含量を減少させる又は実質的に完全に回避することができることが今回見いだされた。化学及び操作に関する所定の安全上の要求(ペンチレンオキシドによるアルコキシル化においてはより詳細には2.1バール未満の圧力及びブチレンオキシドによるアルコキシル化においてはより詳細には3.1バール未満の圧力)を伴う、本発明による製造方法は、妥当な反応時間による良好な再現性を保証することがさらに見いだされた。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、一般式(I)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
のマクロモノマーMを製造する方法に関し、
式中、(−CH−CH−O−)、及び(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(−CH−CH−O−)単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されており、
ラジカル及び添え字は、それぞれ以下のように定義され、
kは、10〜150、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜35、最も好ましくは23〜26の数であり、
lは、5〜25、好ましくは7〜18、とりわけ好ましくは8.5〜17.25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0〜10、好ましくは0〜5、とりわけ好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜10、より好ましくは0.5〜5の数であり、
は、H又はメチルであり、
は、独立に単結合又は−(C2n)−及び−O−(Cn’2n’)−からなる群から選択される2価結合基であり、nは、1〜6の自然数であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは2〜14個、とりわけ好ましくは2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、より好ましくはエチル及び/又はn−プロピルであるか、或いは一般式−CH−O−R3’のエーテル基であり、R3’は、少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、独立にH又は1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
a)一般式(II)
C=C(R)−R−OH (II)
(式中、R及びRラジカルは、それぞれ上で定義した通りである)
のモノエチレン性不飽和アルコールA1をエチレンオキシドと
KOMe及び/又はNaOMeを含むアルカリ触媒C1の添加により反応させて、アルコキシル化アルコールA2を得る工程と、
b)アルコキシル化アルコールA2を式(Z)
【化2】
(式中、Rは、上で定義した通りである)
の少なくとも1つのアルキレンオキシドZと
アルカリ触媒C2の添加により反応させ、
工程b)における反応におけるカリウムイオンの濃度が用いるアルコールA2に対して0.9mol%以下、好ましくは0.9mol%未満、好ましくは0.01〜0.9mol%、とりわけ好ましくは0.01〜0.5mol%の範囲にあり、
工程b)における反応を135℃以下、好ましくは135℃未満、より好ましくは130℃以下の温度で行って、
式(III)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−R (III)
(式中、R=Hであり、R、R及びRラジカル並びに添え字k及びlは、それぞれ上で定義した通りである)
のアルコキシル化アルコールA3を得る工程と、
c)アルコキシル化アルコールA3の少なくとも一部をエチレンオキシドと場合によって反応させて、式(I)(式中、R=H及びmは0より大きい)のマクロモノマーMに対応するアルコキシル化アルコールA4を得る工程と、
d)アルコキシル化アルコールA3及び/又はA4を化合物
−X
(式中、Rは、上で定義した通りであり、Xは、Cl、Br、I、−O−SO−CH(メシレート)、−O−SO−CF(トリフレート)及び−O−SO−ORから好ましくは選択される、脱離基である)
により場合によってエーテル化して、
=1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである、式(I)及び/又は(III)のマクロモノマーMを得る工程
などの工程を含む。
【0024】
本発明は、一般式(I)のマクロモノマーMを製造する上述の発明の方法に関し、式中、kは、10〜150、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜35、とりわけ好ましくは20〜28、最も好ましくは23〜26の数である。
【0025】
さらなる実施形態において、本発明は、上述の発明の方法に関し、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25、好ましくは7〜23、より好ましくは7〜18、とりわけ好ましくは8.5〜17.25の数である。
【0026】
本発明は、さらに本発明による方法により得られるマクロモノマーに関する。本発明のマクロモノマーMは、少なくとも1つのモノエチレン性不飽和親水性モノマー(b)と共重合させることができ、得られるコポリマーに疎水会合性を付与する。したがって、それを下文で疎水会合性マクロモノマーMとも呼ぶ。
【0027】
本発明による方法の工程a)は、アルコキシル化アルコールA2を得るためのKOMe(カリウムメトキシド)及び/又はNaOMe(ナトリウムメトキシド)を含むアルカリ触媒C1の添加を伴う、モノエチレン性不飽和アルコールA1とエチレンオキシドとの反応を含む。
【0028】
工程a)、b)、c)及び/又はd)における反応における下文に明記する好ましい条件(例えば、圧力及び/又は温度範囲)は、それぞれの工程が所定の条件下で完全又は部分的に行われることを意味する。
【0029】
工程a)は、好ましくは最初にモノエチレン性不飽和アルコールA1とアルカリ触媒C1との反応を含む。一般的に、この目的のための出発物質として用いるアルコールA1を圧力反応器中でアルカリ触媒C1と混合する。一般的に100ミリバール未満、好ましくは50〜100ミリバールの範囲の減圧及び/又は一般的に30〜150℃の範囲の高温は、混合物中に依然として存在する水及び/又は低沸点溶媒が除去されることを可能にする。その後、アルコールは、対応するアルコキシドの形で本質的に存在する。その後、反応混合物を一般的に不活性ガス(例えば、窒素)で処理する。
【0030】
特に、一般的に100ミリバール未満、好ましくは30〜100ミリバールの範囲の減圧及び/又は一般的に30〜150℃の範囲の高温は、混合物中に依然として存在する水及び/又は低沸点溶媒が除去されることを可能にする。
【0031】
工程a)は、好ましくはアルコールA1とアルカリ触媒C1(上で述べた)との混合物へのエチレンオキシドの添加を含む。エチレンオキシドの添加が終了した後、反応混合物を一般的にさらに反応させる。添加及び/又はさらなる反応を2〜36時間、好ましくは5〜24時間、特に好ましくは5〜15時間、より好ましくは5〜10時間の期間にわたり一般的に実施する。
【0032】
さらなる反応を0.5〜1時間の期間にわたり一般的に実施する。場合による減圧(すなわち、例えば絶対6バールから例えば絶対3バールへの圧力の中間減圧)を含み、さらなる反応を含む添加を一般的に2〜36時間、好ましくは5〜24時間、とりわけ好ましくは5〜15時間、より好ましくは5〜10時間の期間にわたり実施する。
【0033】
工程a)は、一般的に60〜180℃、好ましくは130〜150℃、より好ましくは140〜150℃の温度で一般的に実施する。より詳細には、工程a)は、60〜180℃、好ましくは130〜150℃、より好ましくは140〜150℃の温度でのアルコールA1とアルカリ触媒C1との混合物へのエチレンオキシドの添加を含む。
【0034】
エチレンオキシドは、好ましくは、1〜7バールの範囲、好ましくは1〜5バールの範囲の圧力においてアルコールA1とアルカリ触媒C1との混合物に加える。安全条件を満たすために、工程a)における添加は、一般的に1〜3.1バール、好ましくは1〜2.1バールの範囲の圧力において行う。より詳細には、エチレンオキシドの添加及び/又はさらなる反応は、上述の圧力において行う。
【0035】
エチレンオキシドは、好ましくは1〜7バールの範囲、好ましくは1〜6バールの範囲の圧力においてアルコールA1とアルカリ触媒C1との混合物に加える。安全条件を満たすために、工程a)における添加は、一般的に1〜4バール、好ましくは1〜3.9バール、好ましくは1〜3.1バールの範囲の圧力において行う。より詳細には、エチレンオキシドの添加及び/又はさらなる反応は、上述の圧力において行う。
【0036】
工程a)は、好ましくは、36時間以下の期間にわたる、好ましくは32時間以下、より好ましくは2〜32時間の期間にわたる、とりわけ好ましくは5〜15時間の期間にわたる、5バール以下、好ましくは1〜3.1バール、とりわけ好ましくは1〜2.1バールの圧力におけるアルコールA1とアルカリ触媒C1との混合物へのエチレンオキシドの添加を含む。より詳細には、上で明記した期間は、エチレンオキシドの添加及び/又はさらなる反応を含む。
【0037】
工程a)は、好ましくは、36時間以下の期間にわたる、好ましくは32時間以下、より好ましくは2〜32時間の期間にわたる、特に好ましくは5〜15時間の期間にわたる、5バール以下、好ましくは1〜4バール、好ましくは1〜3.9バール、好ましくは1〜3.1バールの圧力におけるアルコールA1とアルカリ触媒C1との混合物へのエチレンオキシドの添加を含む。より詳細には、上で明記した期間は、エチレンオキシドの添加及び/又はさらなる反応を含む。
【0038】
より詳細には、本発明による方法の工程a)における、KOMe(カリウムメトキシド)及び/又はナトリウムメトキシド(NaOMe)を含むアルカリ触媒C1の添加を伴う、モノエチレン性不飽和アルコールA1とエチレンオキシドとの反応は、1つ又は複数のエトキシル化工程において実施することができる。工程a)が以下の工程を含む上述の方法が優先される。
【0039】
モノエチレン性不飽和アルコールA1とアルカリ触媒C1との反応、アルコールA1と触媒C1との混合物とエチレンオキシドの一部、エチレンオキシドの総量のとりわけ10〜50質量%、とりわけ10〜30質量%との反応、
休止期及び/又は減圧を含む中間工程、並びに
エチレンオキシドの残りの部分との反応。
【0040】
工程a)が以下の工程を含む上述の方法がさらに優先される。
【0041】
モノエチレン性不飽和アルコールA1とアルカリ触媒C1との反応、アルコールA1と触媒C1との混合物とエチレンオキシドの一部、エチレンオキシドの総量のとりわけ50〜98質量%、とりわけ80〜98質量%との反応、
100ミリバール未満、好ましくは50〜100ミリバール、とりわけ好ましくは30〜100ミリバールの圧力への減圧及び/又は一般的に30〜150℃の範囲内の高温による、低沸点溶媒の除去のための工程、
得られたエトキシル化生成物とアルカリ触媒C1との反応及びエチレンオキシドの残りの部分とエトキシル化生成物とアルカリ触媒C1との混合物との反応。
【0042】
アルカリ触媒C1は、とりわけ10〜100質量%、好ましくは20〜90質量%のKOMe及び/又はNaOMeを含む。触媒C1は、KOMe及び/又はNaOMeに加えて、さらなるアルカリ化合物及び/又は溶媒(とりわけC1〜C6アルコール)を含む。例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、C2〜C6カリウムアルコキシド、C2〜C6ナトリウムアルコキシド(好ましくはエトキシド)、アルカリ土類金属アルコキシド(とりわけC1〜C6アルコキシド、好ましくはメトキシド及び/又はエトキシド)から選択されるさらなるアルカリ化合物が存在し得る。触媒C1は、好ましくはKOMe及び/又はNaOMeに加えて、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される少なくとも1つのさらなるアルカリ化合物を含む。他の好ましい実施形態において、アルカリ触媒C1は、KOMeから又はメタノール(MeOH)中のKOMe溶液からなる。一般的に、メタノール(MeOH)中20〜50質量%のKOMeの溶液を用いることができる。他の好ましい実施形態において、アルカリ触媒C1は、NaOMeから又はメタノール中のNaOMe溶液からなる。さらなる好ましい実施形態において、触媒C1は、KOMeとNaOMeとの混合物又はメタノール中KOMe及びNaOMeの溶液からなる。
【0043】
モノエチレン性不飽和アルコールA1の分解を避けるために、KOMeの2500ppm(約0.4mol%)の上限が用いるアルコールA1に対して維持されるような量で触媒C1を用いることが有利である。工程a)におけるカリウムイオンの濃度は、好ましくは用いるアルコールA1の総量に対して0.4mol%以下、より好ましくは0.1〜0.4mol%である。
【0044】
濃度がアルコキシル化アルコールA2(方法の工程a)の生成物)に対して0.9mol%超であるような量でKOMeを用いる場合、方法の工程b)において0.9mol%未満のカリウムイオン濃度を得るために、KOMeを工程b)の前に完全又は部分的に除去しなければならない。これは、例えば、工程a)の後にアルコキシル化アルコールA2を単離し、場合によって精製することによって達成することができる。
【0045】
さらなる好ましい実施形態において、KOMeは、工程a)における反応の後のカリウムイオンの濃度がA2に対して既に0.9mol%以下であるような量で用いる。
【0046】
本発明による方法の工程b)は、式(III)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−R (III)
(式中、R=Hであり、R、R及びRラジカル並びに添え字k及びlは、それぞれ上で定義した通りである)
のアルコキシル化アルコールA3を得るための、アルカリ触媒C2の添加を伴う、アルコキシル化アルコールA2と少なくとも1つのアルキレンオキシドZとの反応を含む。
【0047】
工程b)は、好ましくは最初にアルコキシル化アルコールA2とアルカリ触媒C2との反応を含む。一般的に、アルコールA2をこの目的のために圧力反応器中でアルカリ触媒C2と混合する。一般的に100ミリバール未満、好ましくは50〜100ミリバールの範囲の減圧、とりわけ好ましくは30〜100ミリバール、及び/又は一般的に30〜150℃の範囲の高温は、混合物中に依然として存在する水及び/又は低沸点溶媒が除去されることを可能にする。その後、アルコールは、対応するアルコキシドの形で本質的に存在する。その後、反応混合物を一般的に不活性ガス(例えば、窒素)で処理する。
【0048】
工程b)は、好ましくはアルコールA2とアルカリ触媒C2との上述の混合物への少なくとも1つのアルキレンオキシドZの添加を含む。アルキレンオキシドZの添加が終了した後、反応混合物を一般的にさらに反応させる。添加及び/又はさらなる反応は、一般的に2〜36時間、好ましくは5〜24時間、とりわけ好ましくは5〜20時間、より好ましくは5〜15時間の期間にわたり実施する。特に、場合による減圧を含み、さらなる反応を含む添加は、一般的に2〜36時間、好ましくは5〜30時間、とりわけ好ましくは10〜28時間、より好ましくは11〜24時間の期間にわたり実施する。
【0049】
本発明によれば、工程b)における反応におけるカリウムの濃度は、用いるアルコールA2に対して0.9mol%以下、好ましくは0.9mol%未満、好ましくは0.01〜0.9mol%、より好ましくは0.1〜0.6mol%である。好ましい実施形態において、工程b)における反応におけるカリウムイオンの濃度は、用いるアルコールA2に対して0.01〜0.5mol%である。
【0050】
特に好ましい実施形態において、工程b)における反応におけるカリウムイオンの濃度は、用いるアルコールA2に対して0.9mol%以下、好ましくは0.1〜0.5mol%であり、工程b)における反応は、120〜130℃の温度で行う。
【0051】
アルカリ触媒C2は、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド(とりわけC1〜C6アルコキシド、好ましくはメトキシド及び/又はエトキシド)、アルカリ土類金属アルコキシド(とりわけC1〜C6アルコキシド、好ましくはメトキシド及び/又はエトキシド)から選択される少なくとも1つのアルカリ化合物を含む。触媒C2は、好ましくは、とりわけNaOH、NaOMe及びNaOEtから選択される少なくとも1つの塩基性ナトリウム化合物、より好ましくはNaOMe又はNaOHを含む。用いる触媒C2は、述べたアルカリ化合物の混合物であり得る。触媒C2は、好ましくは述べた塩基性化合物のうちの1つ又は述べたアルカリ化合物の混合物からなる。アルカリ化合物の水溶液が用いられることが多い。他の好ましい実施形態において、アルカリ触媒C2は、NaOMeから又はメタノール(MeOH)中NaOMeの溶液からなる。一般的に、メタノール(MeOH)中20〜50質量%のNaOMeの溶液を用いることができる。触媒C2は、好ましくはKOMeを含まない。
【0052】
工程b)において、とりわけNaOH、NaOMe及びNaOEtから選択される少なくとも1つの塩基性ナトリウム化合物を含む触媒C2を用いることが優先され、工程b)における反応におけるナトリウムイオンの濃度は、用いるアルコールA2に対して3.5〜12mol%、好ましくは3.5〜10mol%、より好ましくは3.5〜7mol%、最も好ましくは4〜5.5mol%の範囲にある。
【0053】
本発明によれば、工程b)における反応は、135℃以下、好ましくは130℃以下の温度で行う。工程b)における反応を60〜135℃、好ましくは100〜135℃、より好ましくは120〜135℃、最も好ましくは120〜130℃の温度で行うことが優先される。より詳細には、工程b)は、135℃以下の温度、好ましくは130℃以下、とりわけ好ましくは60〜135℃、より好ましくは100〜135℃、より好ましくは120〜130℃の温度におけるアルコールA2とアルカリ触媒C2との混合物への少なくとも1つのアルキレンオキシドZの添加を含む。
【0054】
工程b)を1〜6バール、好ましくは1〜3.1バール、より好ましくは1〜2.1バールの範囲の圧力で行うことが優先される。好ましくは工程b)における反応は、Rが2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである場合には1〜6バール、好ましくは1〜3.1バール又は好ましくは4〜6バールの範囲の圧力で行う。より詳細には、アルキレンオキシドZの添加及び/又はさらなる反応を上述の圧力で行う。
【0055】
工程b)を1〜3.1バール、好ましくは1〜2.1バールの範囲の圧力で行うことが優先される。安全条件を満たすために、工程b)における反応は、好ましくは、Rが2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである場合には3.1バール以下(好ましくは1〜3.1バール)の範囲の圧力で行うか、又はRが2個を超える炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである場合には2.1バール以下(好ましくは1〜2.1バール)の圧力で行う。より詳細には、アルキレンオキシドZの添加及び/又はさらなる反応を上記の圧力で行う。
【0056】
工程b)は、好ましくは、1〜3.1バール、好ましくは1〜2.1バールの範囲の圧力におけるアルコールA2とアルカリ触媒C2との混合物への少なくとも1つのアルキレンオキシドZの添加を含む。好ましくは、Rは、2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、工程b)は、1〜3.1バールの範囲の圧力におけるアルコールA2とアルカリ触媒C2との混合物への少なくとも1つのアルキレンオキシドZの添加を含むか又は好ましくは、Rは、少なくとも3個の炭素原子を有する(好ましくは3個の炭素原子を有する)ヒドロカルビルラジカルであり、工程b)は、1〜2.1バールの範囲の圧力におけるアルコールA2とアルカリ触媒C2との混合物への少なくとも1つのアルキレンオキシドZの添加を含む。
【0057】
1〜3.1バールの範囲の圧力(好ましくは上述の圧力)において120〜130℃の温度で工程b)を行うことが特に優先される。
【0058】
工程b)は、好ましくは、36時間以下の期間にわたる、好ましくは32時間以下、より好ましくは2〜32時間の期間にわたる、より好ましくは11〜24時間の期間にわたる、最も好ましくは5〜24時間の期間にわたる、3.1バール以下の圧力における(好ましくは上述の圧力における)アルコールA2とアルカリ触媒C2との混合物への少なくとも1つのアルキレンオキシドZの添加を含む。
【0059】
本発明による方法は、アルコキシル化アルコールA3の少なくとも一部をエチレンオキシドと反応させて、R=Hであり、mは0より大きく(好ましくは0.1〜15、より好ましくは0.1〜10、とりわけ好ましくは0.5〜5である)、式(I)のマクロモノマーMに対応するアルコキシル化アルコールA4を得る、工程c)を場合によって含み得る。好ましい実施形態において、工程c)は、アルコキシル化アルコールA3のすべてとエチレンオキシドとの反応を含む。
【0060】
本発明の好ましい実施形態によれば、方法は、アルコキシル化アルコールA3の少なくとも一部(好ましくはアルコキシル化アルコールA3のすべて)をエチレンオキシドと反応させて、R=Hであり、mが0.1〜15、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜10、とりわけ好ましくは1〜7、さらに好ましくは2〜5の数である式(I)のマクロモノマーMに対応するアルコキシル化アルコールA4を得る、工程c)を含む。
【0061】
場合による工程c)は、とりわけ、アルカリ触媒のさらなる添加なしに実施する。場合による工程c)は、とりわけ、1〜7バール、好ましくは1〜5バールの範囲の圧力において、60〜140℃、好ましくは120〜140℃、より好ましくは125〜135℃の範囲の温度で行う。場合による工程c)におけるエトキシル化は、とりわけ、0.5〜7時間、とりわけ0.5〜5時間、好ましくは0.5〜4時間の期間にわたって実施する。
【0062】
場合による工程c)は、とりわけ、アルカリ触媒のさらなる添加なしに実施する。場合による工程c)は、とりわけ、1〜7バール、好ましくは1〜6バールの範囲の圧力において、60〜140℃、好ましくは120〜140℃、より好ましくは120〜135℃の範囲の温度で行う。場合による工程c)におけるエトキシル化は、とりわけ、0.5〜7時間、とりわけ1〜5時間、好ましくは1〜4時間の期間にわたって実施する。
【0063】
場合による工程c)は、好ましくは、さらなる後処理及び/又は減圧を伴わない、式(III)のアルコシル化アルコールA3を含む、工程b)の後の反応混合物へのエチレンオキシドの添加を含む。エチレンオキシドの添加が終了した後、反応混合物を一般的にさらに反応させる。添加及び/又はさらなる反応は、一般的に0.5〜10時間、とりわけ0.5〜7、とりわけ0.5〜5時間、好ましくは0.5〜4時間の期間にわたり実施する。特に場合による減圧を含み、さらなる反応を含む添加を一般的に0.5〜10時間、好ましくは2〜10時間、とりわけ好ましくは4〜8時間の期間にわたり実施する。
【0064】
場合による工程c)の成果、すなわち、最終エトキシル化の効果は、工程b)の後に反応混合物中に依然として存在するアルキレンオキシドZが枯渇し、除去されることであり得る。
【0065】
工程b)の後に減圧及び/又は温度上昇によって工程b)の後に枯渇しなかったアルキレンオキシドZを除去することがさらに可能である。
【0066】
本発明による方法は、アルコキシル化アルコールA3及び/又はA4を、Xが好ましくはCl、Br、I、−O−SO−CH(メシレート)、−O−SO−CF(トリフレート)及び−O−SO−CRから選択される脱離基である化合物R−Xによりエーテル化する、工程d)を場合によって含み得る。式(I)のアルコキシル化アルコールA3を末端OH基(すなわち、R=H)によりエーテル化すべきである場合、これは、当業者に原則として公知の常用のアルキル化剤、例えば、アルキル硫酸塩及び/又はハロゲン化アルキルを用いて達成することができる。化合物R−Xは、通常ハロゲン化アルキルを含み得る。エーテル化のために、とりわけ硫酸ジメチル又は硫酸ジエチルを用いることも可能である。エーテル化は、コポリマーの所望の特性に応じて当業者により選択することができるただ1つの選択肢である。
【0067】
式(I)の本発明のマクロモノマーMにおいて、エチレン性基HC=C(R)−は、2価結合基−R−O−を介してブロック構造のポリアルキレンオキシラジカル−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−Rに結合されており、2つのブロック−(−CH−CH−O−)及び−(−CH−CH(R)−O−)は、式(I)に示す順序で配置されている。場合によって、式(I)のマクロモノマーMは、さらなるポリエチレンオキシブロック−(−CH−CH−O−)を有し得る。末端ポリアルキレンオキシラジカル−(−CH−CH(R)−O−)又は−(−CH−CH−O−)は、末端OH基又は末端エーテル基−ORを有する。
【0068】
ヒドロカルビルラジカルRの配向がアルコキシル化における条件に、例えば、アルコキシル化のために選択される触媒に依存することは、ポリアルキレンオキシドの分野における当業者には明らかである。したがって、アルキレンオキシ基は、−(−CH−CH(R)−O−)−という配向で又は−(−CH(R)−CH−O−)−という逆の配向でモノマーに組み込むことができる。したがって、式(I)における表示は、R基の特定の配向に限定されると考えないものとする。
【0069】
結合R基は、直接又はエーテル基−O−を介してエチレン性基HC=C(R)−に結合されている1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝脂肪族非環式ヒドロカルビル基をとりわけ含む。−(C2n)−及び(Cn’2n’)−基は、好ましくは直鎖状脂肪族ヒドロカルビル基である。
【0070】
=−(C2n)−基は、好ましくは−CH−、−CH−CH−及び−CH−CH−CH−から選択される基であり、メチレン基−CH−が特に優先される。
【0071】
=−O−(Cn’2n’)−基は、好ましくは−O−CH−CH−、−O−CH−CH−CH−及び−O−CH−CH−CH−CH−から選択される基であり、−O−CH−CH−CH−CH−が特に優先される。
【0072】
さらに、Rは、より好ましくは−CH−及び−O−CH−CH−CH−CH−から選択される基であり、−O−CH−CH−CH−CH−が極めて特別に優先される。
【0073】
本発明のマクロモノマー(M)は、(−CH−CH−O−)、(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(CH−CH−O−)単位からなるポリアルキレンオキシラジカルをさらに有し、単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されている。ブロック間の移行は、突然又はさもなければ連続的である。
【0074】
−(−CH−CH−O−)ブロックは、ポリエチレンオキシラジカルである。
【0075】
アルキレンオキシ単位の数kは、10〜150、好ましくは12〜100、より好ましくは15〜80、より好ましくは23〜26、例えば、約24.5の数である。述べた数が分布の平均値であることは、ポリアルキレンオキシドの分野における当業者には明らかである。
【0076】
第2の末端ブロック−(−CH−CH(R)−O−)−において、Rラジカルは、それぞれ独立に少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは2〜14個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有する、より好ましくは2又は3個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである。これは、脂肪族及び/又は芳香族、直鎖状若しくは分枝状ヒドロカルビルラジカルであり得る。脂肪族ラジカルが優先される。適切なRラジカルの例は、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル又はn−デシル及びフェニルを含む。好ましいラジカルの例は、n−プロピル、n−ブチル及びn−ペンチルを含む。Rは、より好ましくはエチル及び/又はn−プロピルである。
【0077】
適切なRラジカルの例は、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル及びフェニルを含む。
【0078】
マクロモノマーの選択される疎水性を保証するために、R又はR3’ラジカルにおける炭素原子の特定の総数が有利であることが見いだされた。Rがエーテル基−CH−O−R3’である場合、炭素原子の総数は、すべてのヒドロカルビルラジカルR3’における炭素原子の総数を意味し、−CH−O−R3’における−CH−基の炭素原子を含まないと理解される。
【0079】
すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数は、好ましくは15〜60、好ましくは15〜56、より好ましくは15〜50、とりわけ好ましくは25.5〜50、さらに好ましくは25.5〜34.5の範囲にある。
【0080】
すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数は、好ましくは25.5〜34.5の範囲にある。
【0081】
好ましい実施形態は、Rがエチルであり、lが7.5〜30、好ましくは7.5〜28、好ましくは7.5〜25、より好ましくは12.75〜25、とりわけ好ましくは13〜23、とりわけ好ましくは12.75〜17.25の数、例えば、14、16又は22である、マクロモノマーMを製造する上述の方法に関する。
【0082】
好ましい実施形態は、Rがエチルであり、lが12.75〜17.25、とりわけ13〜17の数、例えば、14又は16である、マクロモノマーMを製造する上述の方法に関する。
【0083】
さらなる好ましい実施形態は、Rがn−プロピルであり、lが8.5〜11.5、好ましくは9〜11の数、例えば、10又は11である、マクロモノマーMを製造する上述の方法に関する。
【0084】
ラジカルは、さらに、R3’が少なくとも2個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子、好ましくは少なくとも3個を有する脂肪族及び/又は芳香族、直鎖状又は分枝状ヒドロカルビルラジカルである、一般式の−CH−O−R3’ のエーテル基であり得る。R3’ラジカルの例は、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−エチルヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル又はフェニルを含む。適切なR3’ ラジカルの例は、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル及びフェニルを含む。
【0085】
−(−CH−CH(R)−O−)ブロックは、したがって少なくとも4個の炭素原子、好ましくは少なくとも5個の炭素原子を有するアルキレンオキシ単位及び/又は少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の炭素原子のエーテル基を有するグリシジルエーテルからなるブロックである。第2の末端ブロックの単位は、より好ましくはブチレンオキシ単位及び/又はペンチレンオキシ単位などの少なくとも4個及び/又は5個の炭素原子を含むアルキレンオキシ単位或いは高級アルキレンオキシドの単位である。
【0086】
アルキレンオキシ単位の数lは、5〜25、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜18、最も好ましくは8.5〜17.25の数である。述べた数が分布の平均値であることは、ポリアルキレンオキシドの分野における当業者には明らかである。
【0087】
さらなる実施形態において、本発明は、アルキレンオキシ単位の数lが5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25、好ましくは7〜23、より好ましくは7〜18、とりわけ好ましくは8.5〜17.25の数である、上記の方法に関する。述べた数が分布の平均値であることは、ポリアルキレンオキシドの分野における当業者には明らかである。
【0088】
kが23〜26の数であり、lが5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25、好ましくは7〜23、より好ましくは7〜18、とりわけ好ましくは8.5〜17.25の数であり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数が15〜60、好ましくは15〜56、特に15〜50、好ましくは25.5〜34.5の範囲である、式(I)のマクロモノマーM及びその製造の方法が特に優先される。
【0089】
kが23〜26の数であり、lが8.5〜17.25の数であり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数が25.5〜34.5の範囲である、式(I)のマクロモノマーM及びその製造の方法が特に優先される。
【0090】
場合による−(−CH−CH−O−)ブロックは、ポリエチレンオキシラジカルである。アルキレンオキシ単位の数mは、0〜15、好ましくは0〜10、より好ましくは0.1〜15、より好ましくは0.1〜10、とりわけ好ましくは0.5〜5、さらに好ましくは0.5〜2.5の数である。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、m=0である(すなわち、場合による工程c)が実施されない)。述べた数が分布の平均値であることは、ポリアルキレンオキシドの分野における当業者には明らかである。
【0092】
本発明の好ましい実施形態において、mは、0より大きい(すなわち、場合による工程c)が実施される)。特に、この実施形態において、mは、0.1〜15、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜10、とりわけ好ましくは1〜7、さらに好ましくは2〜5の数である。述べた数が分布の平均値であることは、ポリアルキレンオキシドの分野における当業者には明らかである。
【0093】
より詳細には、本出願は、上述の一般式(I)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
のマクロモノマーMを製造する方法に関し、マクロモノマーMは、m=0である式(I)のマクロモノマーMとm=1〜15、好ましくは1〜10である式(I)のマクロモノマーMとの混合物である。
【0094】
m=0である式(I)のマクロモノマーMとm=1〜15である式(I)のマクロモノマーMとの質量比は、好ましくは19:1〜1:19の範囲に、好ましくは9:1〜1:9の範囲にある。
【0095】
m=0である式(I)のマクロモノマーMとm=1〜15である式(I)のマクロモノマーMとのこれらの混合物は、好ましくは、m=0.1〜15、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.5〜3、より好ましくは0.5〜2.5の範囲の平均値(混合物中のすべてのマクロモノマーにわたり平均した)を生じさせる。
【0096】
一般的に、工程c)におけるアルコキシル化アルコールA3のエトキシル化は、既にエトキシル化された鎖において優先的に起こされる。その理由は、第一級アルコキシド基は、アルコールA3の第二級アルコキシド基と比較して活性が高いからである。したがって、より詳細には、工程c)の後に、少なくとも1つの単位を含む末端エチレンオキシブロック−(−CH−CH−O−)を有する鎖(式(I)のマクロモノマー)と末端エチレンオキシブロック−(−CH−CH−O−)を有さない鎖(式(III)のマクロモノマー)との混合物が存在し得る。
【0097】
ラジカルは、H又は好ましくは1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜5個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカルである。Rは、好ましくはH、メチル又はエチル、より好ましくはH又はメチル、最も好ましくはHである。
【0098】
ブロック間の移行が、製造の方法により、突然又はさもなければ連続的であり得ることは、ポリアルキレンオキシブロックコポリマーの分野における当業者には明らかである。連続的な移行の場合、ブロックの間に両方のブロックのモノマーを含む移行帯が存在する。ブロックの境界が移行帯の中間に固定されている場合、これらの単位は、ブロックにわたってランダムに分布せずに、述べた移行帯内に配置されているが、第1のブロック−(−CH−CH−O−)がそれに応じて少量の−CH−CH(R)−O−単位を、第2のブロック−(−CH−CH(R)−O−)−が少量の−CH−CH−O−単位を有し得る。特に、場合による第3のブロック−(−CH−CH−O−)は、少量の−(−CH−CH(R)−O−)−単位を有し得る。
【0099】
本発明は、(−CH−CH−O−)及び(−CH−CH(R)−O−)並びに場合による−(−CH−CH−O−)単位が式(I)に示す順序でブロック構造で配置されている式(I)のマクロモノマーMを製造する方法に関する。本発明との関連での「ブロック構造」は、ブロックが、対応する単位からそれぞれのブロックの総量に対して少なくとも85mol%の程度に、好ましくは少なくとも90mol%の程度に、より好ましくは少なくとも95mol%の程度に形成されていることを意味する。これは、ブロック並びに対応する単位が少量の他の単位(とりわけ他のポリアルキレンオキシ単位)を有し得ることを意味する。より詳細には、場合によるポリエチレンオキシブロック−(−CH−CH−O−)は、単位(−CH−CH−O−)のポリエチレンオキシブロック−(−CH−CH−O−)の総量に対して少なくとも85mol%、好ましくは少なくとも90mol%を含む。より詳細には、場合によるポリエチレンオキシブロック−(−CH−CH−O−)は、85〜95mol%の(−CH−CH−O−)単位及び5〜15mol%の(−CH−CH(R)−O−)単位からなる。
【0100】
ラジカル及び添え字は、好ましくはそれぞれ以下のように定義される。
【0101】
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルあり、
は、Hである。
【0102】
ラジカル及び添え字は、とりわけ好ましくはそれぞれ以下のように定義される。
【0103】
kは、20〜28の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数が15〜60、好ましくは5〜56、好ましくは15〜50の範囲にあり、
は、Hである。
【0104】
ラジカル及び添え字は、とりわけ好ましくはそれぞれ以下のように定義される。
【0105】
kは、23〜26の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数が15〜60、好ましくは15〜56、好ましくは15〜50の範囲にあり、
は、Hである。
【0106】
ラジカル及び添え字は、とりわけ好ましくはそれぞれ以下のように定義される。
【0107】
kは、23〜26の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25の数であり、
mは、0.1〜10、好ましくは0.5〜10、より好ましくは2〜5の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数が15〜60、好ましくは15〜56、好ましくは15〜50の範囲にあり、
は、Hである。
【0108】
ラジカル及び添え字は、とりわけ好ましくはそれぞれ以下のように定義される。
【0109】
kは、23〜26の数であり、
lは、8.5〜17.25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルR又はR3’における炭素原子の総数が25.5〜34.5の範囲にあり、
は、Hである。
【0110】
好ましい実施形態において、本発明は、ラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、式(I)のマクロモノマーMを製造する上述の方法に関する。
【0111】
kは、20〜28の数であり、
lは、7.5〜30、好ましくは7.5〜28、好ましくは7.5〜25、より好ましくは12.75〜25、とりわけ好ましくは13〜23の数、例えば、14、16又は22であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、エチルであり、
は、Hである。
【0112】
好ましい実施形態において、本発明は、ラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、式(I)のマクロモノマーMを製造する上述の方法に関する。
【0113】
kは、23〜26の数であり、
lは、7.5〜30、好ましくは7.5〜28、好ましくは7.5〜25、より好ましくは12.75〜25、とりわけ好ましくは13〜23の数、例えば、14、16又は22であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、エチルであり、
は、Hである。
【0114】
好ましい実施形態において、本発明は、ラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、式(I)のマクロモノマーMを製造する上述の方法に関する。
【0115】
kは、23〜26の数であり、
lは、7.5〜30、好ましくは7.5〜28、好ましくは7.5〜25、より好ましくは12.75〜25、とりわけ好ましくは13〜23の数、例えば、14、16又は22であり、
mは、0.1〜10、好ましくは0.5〜10、より好ましくは2〜5の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、エチルであり、
は、Hである。
【0116】
好ましい実施形態において、本発明は、ラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、式(I)のマクロモノマーMを製造する上述の方法に関する。
【0117】
kは、23〜26の数であり、
lは、12.75〜17.25、とりわけ13〜17の数、例えば、14又は16であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、エチルであり、
は、Hである。
【0118】
さらなる好ましい実施形態において、本発明は、ラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、式(I)のマクロモノマーMを製造する上述の方法に関する。
【0119】
kは、23〜26の数であり、
lは、8.5〜11.5、好ましくは9〜11の数、例えば、10又は11であり、
mは、0〜15、好ましくは0〜10、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、n−プロピルであり、
は、Hである。
【0120】
本発明はさらに、本発明による方法により製造される疎水会合性マクロモノマーに関し、マクロモノマーから製造される疎水会合性コポリマーに関する。
【0121】
本発明に関する疎水会合性マクロモノマー又はコポリマーは、外側又は末端疎水基を有する水溶性マクロモノマー又はコポリマーである。水溶液中では、疎水基は、それ自体と又は疎水基を有する他の物質と会合し、この相互作用の結果として水性媒体を濃厚化することができる。
【0122】
当業者は、水中の疎水会合性マクロモノマー又はコポリマーの溶解度が、用いられるモノマーの性質に依存するpHに多かれ少なかれ依存し得ることを認識している。したがって、水溶解度の評価の基準点は、各場合において、コポリマーのそれぞれの末端用途で望ましいpHである。特定のpHにおける想定される末端用途で不十分な溶解度を有するコポリマーは、他のpHにおいて十分な溶解度を有する可能性がある。「水溶性」という用語は、より詳細には、ポリマーのアルカリ可溶性分散体、すなわち、酸性pH範囲では分散体として存在し、アルカリpH範囲においてのみ水に溶解し、それらの増粘作用を示すポリマーも含む。
【0123】
理想的には、本発明のコポリマーは、水とあらゆる比率で混和性であるべきである。しかし、本発明によれば、コポリマーが少なくとも所望の使用濃度及び所望のpHで水溶性であるときに、それが十分である。一般的に、室温における水に対する溶解度は、少なくとも20g/l、好ましくは少なくとも50g/l、より好ましくは少なくとも100g/lであるべきである。
【0124】
本発明は、本発明による上述の方法により得られる一般式(I)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
のマクロモノマーMに関し、
式中、(−CH−CH−O−)、及び(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(−CH−CH−O−)単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されており、
ラジカル及び添え字は、それぞれ以下のように定義され、
kは、10〜150、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜35、最も好ましくは23〜26の数であり、
lは、5〜25、好ましくは7〜18、とりわけ好ましくは8.5〜17.25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0〜10、とりわけ好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜5、とりわけ好ましくは0.5〜2.5の数であり、
は、H又はメチルであり、
は、独立に単結合又は−(C2n)−及び−O−(Cn’2n’)−からなる群から選択される2価結合基であり、nは、1〜6の自然数であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは2〜10個、とりわけ好ましくは2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであるか、又は一般式−CH−O−R3’のエーテル基であり、R3’は、少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、独立にH又は1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである。
【0125】
さらなる実施形態において、本発明は、上述の発明の方法により得られる一般式(I)の上述のマクロモノマーMに関し、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25、好ましくは7〜23、より好ましくは7〜18、とりわけ好ましくは8.5〜17.25の数である。
【0126】
さらなる実施形態において、本発明は、上述の発明の方法により得られる一般式(I)の上述のマクロモノマーMに関し、式中、kは、10〜150、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜35、とりわけ好ましくは20〜28、最も好ましくは23〜26の数である。
【0127】
さらなる実施形態において、本発明は、上述の発明の方法により得られる一般式(I)の上述のマクロモノマーMに関し、
mは、0〜15、好ましくは0〜10、とりわけ好ましくは0.1〜10、好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.5〜3.5、とりわけ好ましくは0.5〜2.5の数である。
【0128】
とりわけエチレンオキシド(EO)並びにペンチレンオキシド(PeO)及び/又はブチレンオキシド(BuO)ブロックの特定の比を有するマクロモノマーを、本発明による方法により特に有利に製造することができることがさらに見いだされた。
【0129】
本発明は、とりわけ、式(I)のラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、本発明による方法により得られる上述のマクロモノマーMに関する。
【0130】
kは、20〜28の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、H又はメチルであり、
は、独立に単結合又は−(C2n)−及び−O−(Cn’2n’)−からなる群から選択される2価結合基であり、nは、1〜6の自然数であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルRにおける炭素原子の総数は、15〜60、好ましくは15〜56、好ましくは15〜50の範囲にあり、
は、独立にH又は1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである。
【0131】
本発明は、とりわけ、式(I)のラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、本発明による方法により得られる上述のマクロモノマーMに関する。
【0132】
kは、23〜26の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、H又はメチルであり、
は、独立に単結合又は−(C2n)−及び−O−(Cn’2n’)−からなる群から選択される2価結合基であり、nは、1〜6の自然数であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルRにおける炭素原子の総数は、15〜60、好ましくは15〜56、好ましくは15〜50の範囲にあり、
は、独立にH又は1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである。
【0133】
本発明は、とりわけ、式(I)のラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、本発明による方法により得られる上述のマクロモノマーMに関する。
【0134】
kは、23〜26の数であり、
lは、8.5〜17.5の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、H又はメチルであり、
は、独立に単結合又は−(C2n)−及び−O−(Cn’2n’)−からなる群から選択される2価結合基であり、nは、1〜6の自然数であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルRにおける炭素原子の総数は、25.5〜34.5の範囲にあり、
は、独立にH又は1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである。
【0135】
本発明は、とりわけ、式(I)のラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、本発明による方法により得られる上述のマクロモノマーMに関する。
【0136】
kは、20〜28の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルRにおける炭素原子の総数は、15〜60、好ましくは15〜56、好ましくは15〜50の範囲にあり、
は、Hである。
【0137】
本発明は、とりわけ、式(I)のラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、本発明による方法により得られる上述のマクロモノマーMに関する。
【0138】
kは、23〜26の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルRにおける炭素原子の総数は、15〜60、好ましくは15〜56、好ましくは15〜50の範囲にあり、
は、Hである。
【0139】
本発明は、とりわけ、式(I)のラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、本発明による方法により得られる上述のマクロモノマーMに関する。
【0140】
kは、23〜26の数であり、
lは、8.5〜17.25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0又は好ましくは0.5〜10の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、ただし、すべてのヒドロカルビルラジカルRにおける炭素原子の総数は、25.5〜34.5の範囲にあり、
は、Hである。
【0141】
さらに、本発明による方法に関連して上で述べた本発明による方法により得られるマクロモノマーMに関する好ましい実施形態及び定義が適用される。
【0142】
さらなる態様において、本発明は、一般式(I)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
のマクロモノマーMに関し、
式中、(−CH−CH−O−)、及び(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(CH−CH−O−)単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されており、
ラジカル及び添え字は、それぞれ以下のように定義され、
kは、10〜150、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜35、とりわけ好ましくは20〜28、最も好ましくは23〜26の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25、好ましくは7〜23、とりわけ好ましくは8.5〜17.25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0〜10、とりわけ好ましくは0.1〜15、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜10、とりわけ好ましくは1〜7、さらに好ましくは2〜5の数であり、
は、H又はメチルであり、
は、独立に単結合又は−(C2n)−及び−O−(Cn’2n’)−からなる群から選択される2価結合基であり、nは、1〜6の自然数であり、n’は、2〜6の自然数であり、
は、独立に少なくとも2個の炭素原子を有する、好ましくは2〜10個、とりわけ好ましくは2〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、より好ましくはエチル及び/又はn−プロピルであるか、或いは一般式−CH−O−R3’のエーテル基であり、R3’は、少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、独立にH又は1〜4個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルである。
【0143】
好ましくは、本発明は、mが0より大きい、上で定義したマクロモノマーMに関する。特に、本発明は、式(I)のラジカル及び添え字がそれぞれ以下のように定義される、上で定義したマクロモノマーMに関する。
【0144】
mは、0.1〜15、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜10、とりわけ好ましくは1〜7、さらに好ましくは2〜5の数である。
【0145】
さらなる態様において、本発明は、好ましくは一般式(I)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
のマクロモノマーMに関し、
式中、(−CH−CH−O−)、及び(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(−CH−CH−O−)単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されており、
ラジカル及び添え字は、それぞれ以下のように定義され、
kは、20〜28の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25、好ましくは7〜23の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0〜10、とりわけ好ましくは0.1〜15、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜10、とりわけ好ましくは1〜7、さらに好ましくは2〜5の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2又は3個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、Hである。
【0146】
さらなる態様において、本発明は、好ましくは一般式(I)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
のマクロモノマーMに関し、
式中、(−CH−CH−O−)、及び(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(−CH−CH−O−)単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されており、
ラジカル及び添え字は、それぞれ以下のように定義され、
kは、23〜26の数であり、
lは、5〜30、好ましくは5〜28、好ましくは5〜25、好ましくは7〜23の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0〜10、とりわけ好ましくは0.1〜15、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜10、とりわけ好ましくは1〜7、さらに好ましくは2〜5の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2又は3個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、Hである。
【0147】
さらなる態様において、本発明は、好ましくは一般式(I)
C=C(R)−R−O−(−CH−CH−O−)−(−CH−CH(R)−O−)−(−CH−CH−O−)−R (I)
のマクロモノマーMに関し、
式中、(−CH−CH−O−)、及び(−CH−CH(R)−O−)及び場合による−(−CH−CH−O−)単位は、式(I)に示す順序でブロック構造で配置されており、
ラジカル及び添え字は、それぞれ以下のように定義され、
kは、23〜26の数であり、
lは、8.5〜17.25の数であり、
mは、0〜15、好ましくは0〜10、とりわけ好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜5、とりわけ好ましくは0.5〜2.5の数であり、
は、Hであり、
は、独立に2価結合基−O−(Cn’2n’)−であり、n’は、3〜5の自然数であり、
は、独立に2又は3個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり、
は、Hである。
【0148】
さらに、本発明による方法に関連して上で述べたマクロモノマーMに関する好ましい実施形態及び定義が適用される。
【0149】
本発明のマクロモノマーMは、さらなるモノエチレン性不飽和親水性モノマー(b)と反応させて、コポリマーを得ることができる。これらの水溶性疎水会合性コポリマーは、一般的に以下のモノマー
(a)0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜12質量%の少なくとも1つの発明のマクロモノマーM、及び
(b)25質量%〜99.9質量%の少なくとも1つの異なるモノエチレン性不飽和親水性モノマー(b)
を含み、述べた量は、それぞれコポリマー中のすべてのモノマーの総量に対するものである。
【0150】
親水性モノマー(b)は、エチレン性基に加えて、1つ又は複数の親水基を含む。これらは、それらの親水性のために本発明のコポリマーに十分な水溶性を付与する。親水基は、とりわけ酸素及び/又は窒素原子を含む官能基である。それらは、とりわけ硫黄及び/又はリン原子をヘテロ原子としてさらに含み得る。
【0151】
モノマー(b)は、より好ましくはあらゆる比率で水と混和性であるが、本発明の疎水会合性コポリマーが最初に述べた水溶性を有することは、本発明の実施に十分である。一般的に、室温における水に対するモノマー(b)の溶解度は、少なくとも100g/l、好ましくは少なくとも200g/l、より好ましくは少なくとも500g/lであるべきである。
【0152】
親水性モノマー(b)は、好ましくはカルボニル基>C=O、エーテル基−O−、とりわけnが好ましくは1〜200の数であるポリエチレンオキシド基−(CH−CH−O−)−、ヒドロキシル基−OH、第一級、第二級若しくは第三級アミノ基、アンモニウム基、アミド基−C(O)−NH−、カルボキサミド基−C(O)−NH又はカルボキシル基−COOH、スルホ基−SOH、ホスホン酸基−PO若しくはリン酸基−OP(OH)などの酸性基からなる群から選択される官能基を有する。好ましい官能基の例は、ヒドロキシル基−OH、カルボキシル基−COOH、スルホ基−SOH、カルボキサミド基−C(O)−NH、アミド基−C(O)−NH−及びnが好ましくは1〜200の数であるポリエチレンオキシド基−(CH−CH−O−)−Hを含む。
【0153】
官能基は、エチレン性基に直接結合させるか、又はさもなければ1つ若しくは複数の結合ヒドロカルビル基を介してエチレン性基に結合させることができる。
【0154】
親水性モノマー(b)は、好ましくは一般式(IV)
C=C(R)R (IV)
(式中、Rは、H又はメチルであり、Rは、1つ又は複数の上記の親水性基(単数又は複数)である)のモノマーである。
【0155】
少なくとも1つのモノマー(b)は、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、N−(メタ)アクリルアミドアルキルホスホン酸及び(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸からなる群から選択することができる。
【0156】
モノマー(b)の少なくとも1つは、好ましくは(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の群から選択されるモノマー、より好ましくはアクリル酸及び/又はAPMS或いはそれらの塩である。
【0157】
少なくとも1つのモノマー(b)は、好ましくは(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の群から選択されるモノマー、より好ましくはアクリル酸及び/又はAMPS或いはそれらの塩である。
【0158】
本発明は、少なくとも2種の親水性モノマー(b)を含むコポリマーに関し、親水性モノマー(b)は、少なくとも1つの非荷電性親水性モノマー(b1)、並びに−COOH、−SOH及び−POの群から選択される少なくとも1つの酸性基を含む少なくとも1つの親水性陰イオン性モノマー(b2)(又はそれらの塩)である。
【0159】
コポリマーは、好ましくはモノマー(b1)としてのアクリルアミド、及びモノマー(b2)としての酸性基を含むモノマーを含むものである。
【0160】
コポリマーは、好ましくはモノマー(b1)としてのアクリルアミド、及びモノマー(b2)としての酸性基を含むモノマーを含むものであり、酸性基は、−SOHである。コポリマーは、とりわけ好ましくはモノマー(b1)としてのアクリルアミド、及びモノマー(b2)としての2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を含むものである。
【0161】
コポリマーは、さらに好ましくはモノマー(b1)としてのアクリルアミド、及び酸性基を含む少なくとも2つのさらなる異なるモノマー(b2)を含むものである。コポリマーは、とりわけ好ましくはモノマー(b1)としてのアクリルアミド、並びに酸性基を含むモノマー(b2)としての−SOH基を含むモノマー及び−COOH基を含むモノマーを含むものである。
【0162】
好ましい実施形態において、コポリマーは、好ましくはモノマー(b1)としてのアクリルアミド及びモノマー(b2)としてのアクリル酸を含むものである。
【0163】
コポリマーは、さらに好ましくはモノマー(b1)としてのアクリルアミド、並びにモノマー(b2)としての2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)及び−COOH基を含むモノマーを含むものである。コポリマーは、さらに好ましくはモノマー(b1)としてのアクリルアミド、並びにモノマー(b2)としての2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)及びアクリル酸を含むものである。
【0164】
本発明のコポリマー中のモノマー(b)の量は、コポリマー中のすべてのモノマーの総量に対して25〜99.9質量%、好ましくは25〜99.5質量%である。正確な量は、疎水会合性コポリマーの性質及び望ましい最終用途によって左右され、当業者によってそれに応じて固定される。
【0165】
さらなる適切なモノエチレン性不飽和親水性モノマー(b)は、国際公開第2010/133527号パンフレット13〜16頁に記載されている。
【0166】
以下のモノマーを含むコポリマーが優先される。
【0167】
(a)0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜12質量%の少なくとも1つの発明のマクロモノマーM、並びに
(b)モノエチレン性不飽和親水性モノマー(b)としての40〜60質量%のアクリルアミド及び40〜60質量%のアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)。
【0168】
さらに、地下鉱油及び天然ガス埋蔵物の開発、活用及び仕上げのためにそのようなコポリマーを使用する方法が見いだされた。その理由は、それぞれの使用に好ましいコポリマーの組成を有するからである。したがって、本発明による疎水会合性コポリマーは、既に述べた疎水基に加えて、述べた水溶解度がそれぞれの用途で想定される少なくともpH範囲内で保証されるような量の親水基を含む。
【発明を実施するための形態】
【0169】
以下の実施例は、本発明を詳細に例示することを目的とする。
【0170】
第I部: 合成
1−a マクロモノマーの製造
明記しない限り、反応は、アルコキシル化の終了時の標的充填レベルが反応器体積の約65%であるような方法で実施した。
【0171】
例M1 HBVE−22EO(0.4mol%のカリウムイオン)
アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に135.3g(1.16mol)のヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)(100ppmの水酸化カリウム(KOH)により安定化した)を入れ、撹拌機のスイッチを入れた。1.06gのカリウムメトキシド(KOMe)溶液(メタノール(MeOH)中32%KOMe、0.0048molのカリウムに相当)を供給し、撹拌容器を10ミリバール未満の圧力まで排気し、80℃に加熱し、80℃で10ミリバール未満の圧力で70分間稼働させた。MeOHを留出させた。
【0172】
代替手順により、カリウムメトキシド(KOMe)溶液(メタノール(MeOH)中32%KOMe)を供給し、撹拌容器を10〜20ミリバールの圧力まで排気し、65℃に加熱し、65℃で10〜20ミリバールの圧力で70分間稼働させた。MeOHを留出させた。
【0173】
混合物をN(窒素)で3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を120℃に加熱した。混合物を絶対1バールに減圧し、pmaxが絶対3.9バールで、Tmaxが150℃になるまで、1126g(25.6mol)のエチレンオキシド(EO)を計量しながら供給した。300gのEOを計量しながら供給した後、計量添加を30分の待機期間にわたり中止し(開始後、約3時間)、混合物を絶対1.3バールに減圧した。その後、EOの残りを計量しながら供給した。減圧を含むEOの計量添加には合計で10時間を必要とした。
【0174】
撹拌を約145〜150℃で一定圧力になるまで継続し(1時間)、混合物を100℃に冷却し、10ミリバール未満の圧力で1時間にわたり低沸点溶媒を除去した。物質をN中で80℃で移した。
【0175】
分析(OH数、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0176】
例M2 HBVE−22EO−10.6PeO(0.4mol%のカリウムイオン、4.6mol%のナトリウムイオン)、3.2バールまでの140℃におけるPeOの添加
アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に135.3g(1.16mol)のヒドロキシブチルビニルエーテル(100ppmのKOHにより安定化した)を入れ、撹拌機のスイッチを入れた。1.06gのKOMe溶液(MeOH中32%KOMe、0.0048molのKに相当)を供給し、撹拌容器を10ミリバール未満の圧力まで排気し、80℃に加熱し、80℃で10ミリバール未満の圧力で70分間稼働させた。MeOHを留出させた。
【0177】
代替手順により、カリウムメトキシド(KOMe)溶液(メタノール(MeOH)中32%KOMe)を供給し、撹拌容器を10〜20ミリバールの圧力まで排気し、65℃に加熱し、65℃で10〜20ミリバールの圧力で70分間稼働させた。MeOHを留出させた。
【0178】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を120℃に加熱した。混合物を絶対1バールに減圧し、pmaxが絶対3.9バールで、Tmaxが150℃になるまで、255g(5.8mol)のEOを計量しながら供給した。撹拌を約145〜150℃で一定圧力になるまで継続し(1時間)、混合物を100℃に冷却し、10ミリバール未満の圧力で1時間にわたり低沸点溶媒を除去した。物質(HBVE−5EO)をN中で80℃で移した。
【0179】
アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に180g(0.54mol)の上記のHBVE−5EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、4.32gのMeOH中30%NaOMe(ナトリウムメトキシド)溶液(0.024molのNaOMe、1.30gのNaOMe)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、MeOHを留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を150℃に加熱した。混合物を絶対1.0バールに減圧した。398g(9.04mol)のEOを計量しながら絶対2バールの圧力まで入れ、反応を1時間さらに反応させた。混合物を140℃に冷却し、502g(5.83mol)のPeO(ペンテンオキシド)を絶対1.2バール、140℃で、圧力が絶対3.2バールに上昇するまで計量しながら供給した。PeOは、2時間以内に計量しながら供給した。混合物を80℃に冷却し、残留オキシドを、圧力が10ミリバール未満になるまで少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHT(ブチルヒドロキシトルエン)を加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0180】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0181】
例M3 HBVE−22EO−10.5PeO(0.4mol%のカリウムイオン、3.3mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの140℃におけるPeOの添加
アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に135.3g(1.16mol)のヒドロキシブチルビニルエーテル(100ppmのKOHにより安定化した)を入れ、撹拌機のスイッチを入れた。1.06gのKOMe溶液(MeOH中32%KOMe、0.0048molのKに相当)を供給し、撹拌容器を10ミリバール未満まで排気し、80℃に加熱し、80℃で10ミリバール未満で70分間稼働させた。MeOHを留出させた。
【0182】
代替手順により、カリウムメトキシド(KOMe)溶液(メタノール(MeOH)中32%KOMe)を供給し、撹拌容器を10〜20ミリバールの圧力まで排気し、65℃に加熱し、65℃で10〜20ミリバールの圧力で70分間稼働させた。MeOHを留出させた。
【0183】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を120℃に加熱した。混合物を絶対1バールに減圧し、pmaxが絶対3.9バールで、Tmaxが150℃になるまで、255g(5.8mol)のEOを計量しながら供給した。撹拌を約145〜150℃で一定の圧力となるまで継続し(1時間)、混合物を100℃に冷却し、10ミリバール未満の圧力で低沸点溶媒を1時間除去した。物質(HBVE−5EO)をN中で80℃で移した。
【0184】
アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に180g(0.54mol)のHBVE−5EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、3.18gのMeOH中30%NaOMe溶液(0.018molのNaOMe、0.95gのNaOMe)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、MeOHを留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を150℃に加熱した。混合物を絶対1.0バールに減圧した。398g(9.04mol)のEOを絶対2バールの圧力まで計量しながら入れ、反応を1時間継続させ、次いで混合物を100℃に冷却し、低沸点溶媒を10ミリバール未満の圧力で1時間にわたり除去した。物質(HBVE−22EO)をN中で80℃で移した。
【0185】
アンカー撹拌機付き1lオートクレーブに最初に450g(0.425mol)の上記のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を140℃に加熱した。混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0186】
次いで、絶対1.4バール、140℃で、圧力が絶対2.1バールに上昇するまで384g(5.83mol)のPeOを48g/時で計量しながら供給した。2回の中断が必要であった。圧力が再び低下するまで混合物を140℃で反応させた。PeOは、2日以内に計量して入れた。混合物を80℃に冷却し、残留オキシドを、圧力が10ミリバール未満になるまで少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0187】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0188】
例M4 HBVE−22EO−10PeO(0.4mol%のカリウムイオン、4.6mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
用いた出発物質は、例M1のマクロモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に745g(0.69mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、5.36gのMeOH中32%NaOMe溶液(0.0317molのNaOMe、1.71gのNaOMe)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、MeOHを留出させるために、混合物を80℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0189】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について試験し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を127℃に加熱し、次いで圧力を絶対1バールに設定した。
【0190】
591g(6.9mol)のPeOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対2.1バールであった。充填レベルの増加のため2回の中間減圧が必要であった。PeOの計量添加を中止し、圧力が一定になるまで混合物を2時間反応させ、絶対1.0バールに減圧した。その後、PeOの計量添加を続けた。pmaxは、依然として2.1バールであった。PeOの計量添加を終了した後、反応を一定の圧力になるまで又は4時間継続させた。混合物を110℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を110℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0191】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0192】
例M5 HBVE−22EO−11PeO(0.4mol%のカリウムイオン、4.6mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃のPeOの添加
製造は、10当量(モル当量)でなく11当量のPeOを添加したことを除いて、例M4と同様であった。
【0193】
例M6 HBVE−24.5EO−11PeO(0.4mol%のカリウムイオン、4.6mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
用いた出発物質は、例M1のマクロモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に650g(0.60mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、5.96gのMeOH中25%NaOMe溶液(0.0276molのNaOMe、1.49gのNaOMe)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、MeOHを留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0194】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について試験し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を120℃に加熱し、次いで圧力を絶対1バールに設定した。66g(1.577mol)のEOを127℃の温度まで計量しながら供給した。pmaxは、絶対2.1バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0195】
567g(6.6mol)のPeOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対2.1バールであった。充填レベルの増加のため2回の中間減圧が必要であった。PeOの計量添加を中止し、圧力が一定になるまで混合物を2時間反応させ、絶対1.0バールに減圧した。その後、PeOの計量添加を続けた。pmaxは、依然として2.1バールであった。PeOの計量添加を終了した後、反応を一定の圧力になるまで又は4時間継続させた。混合物を110℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を110℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0196】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0197】
例M7 HBVE−24.5EO−10PeO(0.4mol%のカリウムイオン、4.6mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
製造は、11当量でなく10当量のペンテンオキシドを添加したことを除いて、例M6と同様であった。
【0198】
例M8 HBVE−24.5EO−10PeO(0.9mol%のカリウムイオン、4.1mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
製造は、触媒濃度が0.9mol%のカリウムイオン及び4.1mol%のナトリウムイオンであり、11当量でなく10当量のPeOを添加したことを除いて、例M6と同様であった。
【0199】
例M9 HBVE−24.5EO−10PeO(1.5mol%のカリウムイオン、4.6mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
製造は、触媒濃度が1.5mol%のカリウムイオン及び4.1mol%のナトリウムイオンであり、11当量でなく10当量のPeOを添加したことを除いて、例M6と同様であった。
【0200】
例M10 HBVE−24.5EO−10PeO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
用いた出発物質は、例M1のマクロモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に684.0g(0.631mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、2.78gの50%NaOH(水酸化ナトリウム)溶液(0.0348molのNaOH、1.39gのNaOH)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、水を留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0201】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について試験し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を120℃に加熱し、次いで圧力を絶対1.6バールに設定した。69.4g(1.577mol)のEOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対2.1バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0202】
542.5g(6.03mol)のPeOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対2.1バールであった。充填レベルの増加のため1回の中間減圧が必要であった。PeOの計量添加を中止し、圧力が一定になるまで混合物を1時間反応させ、絶対1.0バールに減圧した。その後、PeOの計量添加を続けた。pmaxは、依然として2.1バールであった(399gのPeOの後の最初の減圧、合計PeO計量供給時間は、減圧休止を含め7時間)。PeOの計量添加を終了した後、反応を一定の圧力になるまで又は3時間継続させた。混合物を110℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを減圧下で少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を110℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0203】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0204】
例M11 HBVE−24.5EO−9PeO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
製造は、10当量でなく9当量のPeOを添加したことを除いて、例M10と同様であった。
【0205】
例M12 HBVE−24.5EO−9PeO(5.8mol%のカリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
用いた出発物質は、例M1のマクロモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に889.2g(0.820mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、9.69gのMeOH中32%KOMe溶液(0.0443molのKOMe、3.11gのKOMe)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、MeOHを留出させるために、混合物を80℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0206】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について試験し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を120℃に加熱し、次いで圧力を絶対1バールに設定した。90.2g(2.050mol)のEOを140℃まで計量しながら供給した。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を120℃で絶対1.0バールに減圧した。
【0207】
789g(0.66mol)のHBVE−24.5EOが反応器中に残るように、比較的大きい試料を採取した。安全のために、混合物をNで再び不活性処理し、絶対1.0バールに設定し、127℃に加熱した。511g(5.95mol)のPeOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対2.1バールであった。充填レベルの増加のため1回の中間減圧が必要であった。PeOの計量添加を中止し、圧力が一定になるまで混合物を2時間反応させ、絶対1.0バールに減圧した。その後、PeOの計量添加を続けた。pmaxは、依然として2.1バールであった。PeOの計量添加を終了した後、反応を一定の圧力になるまで又は3時間継続させた。混合物を110℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを減圧下で少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を110℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0208】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0209】
例M13 HBVE−24.5EO−8PeO(0.4mol%のカリウムイオン、4.6mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
製造は、11当量でなく8当量のPeOを添加したことを除いて、例M6と同様であった。
【0210】
例M14 HBVE−26.5EO−10PeO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるPeOの添加
製造は、HBVE−22から進んで、2.5当量のEOでなく、4.5当量のEOを添加したことを除いて、例M10と同様であった。
【0211】
例M15 HBVE−24.5EO−10PeO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの122℃におけるPeOの添加
製造は、PeOを127℃でなく122℃で添加したことを除いて、例M10と同様であった。
【0212】
例M16 HBVE−24.5EO−10PeO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの132℃におけるPeOの添加
製造は、PeOを127℃でなく132℃で添加したことを除いて、例M10と同様であった。
【0213】
例M17 HBVE−24.5EO−10BuO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に730.8g(0.674mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、2.97gの50%NaOH溶液(0.0371molのNaOH、0.85gのNaOH)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、水を留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0214】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について試験し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を120℃に加熱し、次いで圧力を絶対1.6バールに設定した。74.1g(1.685mol)のEOを127℃まで計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.9バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0215】
485.3g(6.74mol)のBuO(ブチレンオキシド)を127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対2.1バールであった。充填レベルの増加のため1回の中間減圧が必要であった。BuOの計量添加を中止し、圧力が一定になるまで混合物を1時間反応させ、絶対1.0バールに減圧した。その後、BuOの計量添加を続けた。pmaxは、依然として2.1バールであった(246gのBuOの後の最初の減圧、合計BuO計量供給時間は、減圧休止を含め10時間)。BuOの計量添加を終了した後、反応を一定の圧力になるまで又は3時間継続させた。混合物を110℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を110℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0216】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0217】
例M18 HBVE−24.5EO−12BuO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
製造は、10当量でなく12当量のBuOを添加したことを除いて、例M17と同様であった。
【0218】
例M19 HBVE−24.5EO−14BuO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
製造は、10当量でなく14当量のBuOを添加したことを除いて、例M17と同様であった。
【0219】
例M20 HBVE−24.5EO−16BuO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
製造は、10当量でなく16当量のBuOを添加したことを除いて、例M17と同様であった。
【0220】
例M21 HBVE−24.5EO−18BuO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、2.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
製造は、10当量でなく18当量のBuOを添加したことを除いて、例M17と同様であった。
【0221】
例M22 HBVE−24.5EO−16BuO(5.8mol%のカリウムイオン)、3.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に622.8g(0.575mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、6.92gのMeOH中32%KOMe溶液(0.0316molのKOMe、2.21gのKOMe)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、メタノールを留出させるために、混合物を80℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0222】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について試験し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を120℃に加熱し、次いで圧力を絶対1.6バールに設定した。50.3g(1.144mol)のEOを127℃まで計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.9バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0223】
662g(9.19mol)のBuOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。BuOの計量添加を終了した後、反応を一定の圧力になるまで又は5時間継続させた。混合物を110℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を110℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0224】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0225】
例M23 HBVE−24.5EO−16BuO(0.4mol%のカリウムイオン、11mol%のナトリウムイオン)、3.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に595.1g(0.549mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、4.83gの50%NaOH溶液(0.060molのNaOH、2.41gのNaOH)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、水を留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0226】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を120℃に加熱し、次いで圧力を絶対1.6バールに設定した。60.4g(1.373mol)のEOを127℃まで計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.9バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0227】
632.2g(8.748mol)のBuOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。充填レベルの増加のため1回の中間減圧が必要であった。BuOの計量添加を中止し、圧力が一定になるまで混合物を1時間反応させ、絶対1.0バールに減圧した。その後、BuOの計量添加を続けた。pmaxは、依然として3.1バールであった(334gのBuOの後の最初の減圧、合計BuO計量供給時間は、減圧休止を含め5時間)。BuOの計量添加を終了した後、混合物を135℃に加熱し、反応を3.5時間継続させた。混合物を100℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を120℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0228】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0229】
例M24 HBVE−23EO−17BuO−2.5EO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、3.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に576.7g(0.532mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、2.33gの50%NaOH溶液(0.029molのNaOH、1.17gのNaOH)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、水を留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0230】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を127℃に加熱し、次いで圧力を絶対1.6バールに設定した。23.4g(0.532mol)のEOを127℃まで計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.9バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0231】
651.2g(9.044mol)のBuOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。BuOの計量添加を終了した後、混合物を135℃に加熱し、反応を2時間継続させた。その後58.5g(1.331mol)のEOを135℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.2バールであった。EOの計量添加を終了した後、反応を2時間継続させた。
【0232】
混合物を100℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を120℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0233】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0234】
例M25 HBVE−24.5EO−16BuO−3.5EO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、3.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に588.6g(0.543mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、2.39gの50%NaOH溶液(0.030molのNaOH、1.19gのNaOH)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、水を留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0235】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を127℃に加熱し、次いで圧力を絶対1.6バールに設定した。59.7g(1.358mol)のEOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.9バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0236】
625.5g(8.688mol)のBuOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。充填レベルの増加のため1回の中間減圧が必要であった。BuOの計量添加を中止し、圧力が一定になるまで混合物を1時間反応させ、絶対1.0バールに減圧した。その後、BuOの計量添加を続けた。pmaxは、依然として3.1バールであった(610gのBuOの後の最初の減圧、合計BuO計量供給時間は、減圧休止を含め8時間)。BuOの計量添加を終了した後、反応を8時間継続させ、その後、混合物を135℃に加熱した。その後83.6g(1.901mol)のEOを135℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。EOの計量添加を終了した後、反応を4時間継続させた。混合物を100℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を120℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0237】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0238】
例M26 HBVE−24.5EO−16BuO−5EO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、3.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。製造は、BuOの添加及び重合の後に3.5当量でなく5当量のEOを加えたことを除いて、例M25と同様であった。
【0239】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0240】
例M27 HBVE−24.5EO−10BuO−3.5EO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、3.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に685.2g(0.632mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、2.78gの50%NaOH溶液(0.035molのNaOH、1.39gのNaOH)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、水を留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0241】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を127℃に加熱し、次いで圧力を絶対1.6バールに設定した。69.8g(1.587mol)のEOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.9バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0242】
455.2g(6.322mol)のBuOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。BuOの計量添加を終了した後、反応を7時間継続させた。その後97.4g(2.213mol)のEOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。EOの計量添加を終了した後、反応を2時間継続させた。混合物を100℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を120℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0243】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0244】
例M28 HBVE−24.5EO−5BuO−3.5EO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、3.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に822.0g(0.758mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、3.34gの50%NaOH溶液(0.042molのNaOH、1.67gのNaOH)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、水を留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0245】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を127℃に加熱し、次いで圧力を絶対1.6バールに設定した。83.4g(1.895mol)のEOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.9バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0246】
273.0g(3.792mol)のBuOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。BuOの計量添加を終了した後、反応を15時間継続させた。その後116.8g(2.654mol)のEOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。EOの計量添加を終了した後、反応を4時間継続させた。混合物を100℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を120℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0247】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0248】
例M29 HBVE−24.5EO−22BuO−3.5EO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、3.1バールまでの127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に493.3g(0.455mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、2.00gの50%NaOH溶液(0.025molのNaOH、1.00gのNaOH)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、水を留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0249】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を127℃に加熱し、次いで圧力を絶対1.6バールに設定した。50.0g(1.138mol)のEOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.9バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対1.0バールに減圧した。
【0250】
720.9g(10.012mol)のBuOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。BuOの計量添加を終了した後、反応を9時間継続させた。混合物を135℃に加熱した。その後70.1g(1.593mol)のEOを135℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対3.1バールであった。EOの計量添加を終了した後、反応を2時間継続させた。混合物を100℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。次いで0.5%の水を120℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0251】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0252】
例M30 HBVE−24.5EO−16BuO−3.5EO(0.4mol%のカリウムイオン、5.5mol%のナトリウムイオン)、4〜6バールで127℃におけるBuOの添加
用いた出発物質は、例M1のモノマーM1であった。アンカー撹拌機付き2l圧力オートクレーブに最初に568.6g(0.525mol)のHBVE−22EOを入れ、撹拌機のスイッチを入れた。その後、2.31gの50%NaOH溶液(0.029molのNaOH、1.16gのNaOH)を加え、10ミリバール未満の減圧をかけ、水を留出させるために、混合物を100℃に加熱し、その温度に80分間保持した。
【0253】
混合物をNで3回パージした。その後、容器を圧力保持について確認し、ゲージ0.5バール(絶対1.5バール)を設定し、混合物を127℃に加熱し、次いで圧力を絶対3バールに設定した。57.7g(1.311mol)のEOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対6バールであった。一定の圧力にするために30分間待った後、混合物を絶対4.0バールに減圧した。
【0254】
604.2g(8.392mol)のBuOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対6バールであった。充填レベルの増加のため1回の中間減圧が必要であった。BuOの計量添加を中止し、圧力が一定になるまで混合物を1時間反応させ、絶対4.0バールに減圧した。その後、BuOの計量添加を続けた。pmaxは、依然として6バールであった(505gのBuOの後の最初の減圧、合計BuO計量供給時間は、減圧休止を含め11時間)。BuOの計量添加を終了した後、反応を127℃で6時間継続させた。それを絶対4バールに減圧した。
【0255】
その後80.8g(1.836mol)のEOを127℃で計量しながら供給した。pmaxは、絶対6バールであった。EOの計量添加を終了した後、反応を4時間継続させた。混合物を100℃に冷却し、圧力が10ミリバール未満になるまで残留オキシドを少なくとも10分間除去した。約1400ppmの揮発性成分が除去された。次いで0.5%の水を120℃で加え、その後圧力が10ミリバール未満になるまで揮発性物質を少なくとも10分間除去した。Nにより真空を破り、100ppmのBHTを加えた。移送は、N中で80℃で行った。
【0256】
分析(質量スペクトル、GPC、CDCl中1H NMR、MeOD中1H NMR)により構造が確認された。
【0257】
1−b マクロモノマー(M2〜M30)に基づくコポリマーの製造
例C1 2質量%のマクロモノマーM、50質量%のアクリルアミド及び48質量%の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸からのコポリマーの一般的製造
磁気撹拌棒、pH計及び温度計付きプラスチックバケットに最初に121.2gのNaATBS(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、Na塩)の50%水溶液を入れた後、155gの蒸留水、0.6gの消泡剤(Surfynol(登録商標)DF−58)、0.2gのシリコーン消泡剤(Baysilon(登録商標)EN)、2.3gのモノマーM、114.4gのアクリルアミドの50%水溶液、1.2gのジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(錯化剤、5%水溶液として)及び2.4gの非イオン性界面活性剤(イソトリデカノール、15単位のエチレンオキシドによりアルキル化)を連続的に加えた。
【0258】
20%又は2%硫酸溶液を用いてpHを6の値に調整し、残りの水を加えた後、モノマー溶液を5℃の開始温度に調節した。水の総量は、重合の後に、約30〜36質量%の固体濃度が達成されるようなものであった。溶液をサーモスフラスコに移し、温度記録のために温度センサーを準備し、溶液をNで30分間パージした。その後、水溶性陽イオンアゾイニシエーター2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(Wako V−50)の1.6mlの10%水溶液、tert−ブチルヒドロペルオキシドの0.12mlの1%水溶液及び0.24mlの1%亜硫酸ナトリウム溶液を加えることにより重合を開始させた。イニシエーターを添加した後、温度を15〜30分以内に約80℃に上昇させた。30分後に、反応容器を乾燥キャビネットに約80℃で約2時間入れて、重合を完了させた。総重合時間は、約2時間〜2.5時間であった。
【0259】
ゲルブロックが得られ、これを重合が終了した後にミートグラインダで粉砕した。このようにして得られたゲル顆粒を流動層型乾燥装置中で55℃で2時間乾燥した。硬い白色顆粒が得られ、これを遠心ミルにより粉末状に変換した。約1000000g/mol〜30000000g/molの質量平均分子量を有するコポリマーが得られた。
【0260】
例C2 マクロモノマーに基づくコポリマー
コポリマーは、比較例M2からのマクロモノマーを用いることにより上記の一般的製造方法に従って得た。
【0261】
例C3〜C30
コポリマーC3〜C30は、それぞれのモノマーM3〜M30を用いることにより上記の一般的方法に従って製造した。
【0262】
第II部: 性能試験
三次鉱油生産に対するその適合性を評価するために、得られた上記のマクロモノマーに基づくコポリマーを用いて、以下の試験を実施した。
【0263】
試験方法の説明
a)溶解度の測定
2000ppmのポリマー濃度を得るためにコポリマーをDIN50900による合成海水(塩含量35g/l)に以下のように溶解した。0.5gのそれぞれのコポリマーを249gの合成海水(DIN50900)中で完全に溶解するまで24時間撹拌した(用いる精密ガラス撹拌機は、パドル撹拌機であるべきであり、ポリマーは、生成する渦の中に徐々に分散された)。
【0264】
b)粘度の測定
上述のコポリマー溶液の粘度は、二重ギャップ形状を有するHaakeレオメーターを用いて7Hz及び60℃で測定した。約5分後に、粘度のプラトー値が達成され、これを読み取った。非常に良好な値は、150mPas以上の粘度(60℃及び7Hzにおける合成海水中2000ppmのコポリマー)であるとみなした。良好な値は、120mPas超〜149mPasの粘度であると考えられた。中等度の粘度値は、80〜119mPasであるとみなした。80mPas未満の粘度は、不良であるとみなした。
【0265】
c)ろ過性の測定
実際のろ過試験の前に、ポリマー溶液を200μmのRetschふるいによりろ過して、そのゲル含量を測定した。
【0266】
MPFR値(第一四半期の流量と第四四半期の流量との比を「Milliporeフィルター比」(MPFR)と呼ぶ)を測定するためのろ過試験を室温及びゲージ圧1バールでSartorius 16249圧力ろ過セル(フィルターの直径47mm)及びIsoporeポリカーボネート膜フィルター(直径47mm、孔径3μm)により実施した。210〜220gのポリマー溶液を用いた。試験において、少なくとも180gのろ液が30分以内に通過しなければならなかった。良好な値は、1.3以下のMPFRであるとみなした。それらが1.3から1.6までである場合、ろ過性は中等度であるとみなした。30g未満のろ液が通過する場合、試料はろ過不能であるとみなした。
【0267】
d)ゲル含量の測定
製造例2〜30からの1gのそれぞれのコポリマーを249gのDIN50900による合成海水(塩含量35g/l)中で完全に溶解するまで24時間撹拌した。その後、溶液をメッシュサイズ200μmのふるいによりろ過し、ふるい上に残った残留物の体積を測定した。得られた値は、ゲル含量に相当する。
【0268】
試験結果:
試験結果を以下の表にまとめる。
【0269】
【表1】


【0270】
例2及び3は、140℃でのPeOの計量供給の圧力ウインドウが製品の品質に対して大きな影響を有することを示している。より大きい圧力ウインドウは、迅速な計量供給及び短いサイクル時間(PeOについて2時間)を可能にする。しかし、安全仕様により要求される圧力ウインドウを遵守する場合、例3におけるように、反応が長期化する(PeOについて2日間)。高温の結果として、副反応及び架橋剤の形成が存在し、その影響は、後の共重合によりもはやろ過できない増粘コポリマーが形成されることであり、これは、多孔質マトリックスにおける用途(例えば、鉱油含有岩層、鉱油生産における増粘剤)にもはや用いることができない。
【0271】
例4は、小圧力ウインドウを維持しながら反応温度を低下させることにより、架橋剤を含まないコポリマーを製造することができることを示している。例においてわかるように、カリウムイオンの濃度が最も重要である。カリウムイオンが0.9mol%を超えている、例9及び12が示すように、PeOの計量供給において127℃の温度であるにもかかわらず、ポリマーはもはやろ過できない。0.9mol%を超えるカリウムイオンの濃度は、もはやろ過できないコポリマーをもたらす架橋化合物の形成を明らかにもたらす。さらに、ナトリウムイオン触媒の正確な含量も重要な役割を果たすように思われる。
【0272】
マクロモノマーの親水性/疎水性比も極めて重要であることは、驚くべきであるとさらに考えられる。例5によるコポリマーは、架橋剤を含まない作用にもかかわらず、1当量のみ少ないPeOを有するマクロモノマーに基づくコポリマー(例4)より多少不良なろ過性を有する。24.5単位のEOを有するモノマーを用いる場合、PeO単位の変化は、コポリマーのろ過性に影響を及ぼさない(例6と7との比較及び例10と11との比較)。親水性/疎水性比、すなわち、EO単位とPeO単位との比の特定の選択は、方法の驚くべき頑健性をもたらした。例10及び11(24.5EO単位)では、PeO含量の変化は認知できるものでなかった。このことは、アルキレンオキシドの1当量未満の変動を保証することが容易でない、工業規模製造に十分な安定性を与える。方法及び構造の逸脱は、したがって後のコポリマーの合成又は応用においてはるかにより十分に許容される。
【0273】
末端BuO基を有するマクロモノマーMに基づくコポリマーの場合に同様な状況が認められる。例20と22との比較により、末端BuO基を有するマクロモノマーに基づくコポリマーの製造の場合にも、0.9mol%未満のカリウムイオンの濃度が驚くべきことにコポリマーの改善をもたらすことがわかる。コポリマーにおけるカリウムイオンの過度に高い値は、ろ過不能の構造をもたらす。
【0274】
例19及び20は、とりわけ12超、18未満のブトキシル化レベルで最適な製品特性(良好な粘度及び良好なろ過性)を達成することができることを示している。末端PeO基を有するマクロモノマーに関する結果及び末端BuO基を有するマクロモノマーに関する結果の比較により、マクロモノマーの側鎖、とりわけ末端アルキレンオキシドブロックにおける炭素原子の総数が、得られたコポリマーの特性に対して極めて重要であることがさらに示された。例えば、例19及び20の末端アルキレンオキシドブロックの側鎖における炭素原子の総数(側鎖における合計28〜32個の炭素原子)は、末端PeO基を有するマクロモノマーに関する例6、10及び11における総数範囲(側鎖における合計27〜33個の炭素原子)と一致している。例17、18及び21におけるような他のブトキシル化レベルは、すべての領域においてもはや最適でないマクロモノマーの特性をもたらす。
【0275】
さらに、BuOブロックを有する、特に16〜22個のBuO単位を有するブロックを有するマクロモノマーは、末端EOブロックにより有利に修飾することができることが示された。したがって、非常に良好な粘度特性及び良好なろ過性を有するコポリマーを得ることができる(例24〜26及び29)。これに反して、12個未満のBuO単位を有するBuOブロックを有するマクロモノマーにおける末端EOブロックの導入は、有利な効果をもたらさないように思われる(例27及び28)。
【0276】
例23は、ナトリウムイオンの濃度は、ブチレンオキシドの添加中少なくとも11mol%までであり得ることを示している。
【0277】
例30は、ブチレンオキシドの添加も4〜6バールの範囲の圧力で有利に行うことができることを示している。