特許第6526810号(P6526810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6526810
(24)【登録日】2019年5月17日
(45)【発行日】2019年6月5日
(54)【発明の名称】樹脂−白金複合体及びその利用
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20190527BHJP
【FI】
   G01N33/543 541Z
   G01N33/543 525C
   G01N33/543 521
【請求項の数】19
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2017-528636(P2017-528636)
(86)(22)【出願日】2016年7月7日
(86)【国際出願番号】JP2016070082
(87)【国際公開番号】WO2017010391
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2018年10月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-139269(P2015-139269)
(32)【優先日】2015年7月11日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115118
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 和浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095588
【弁理士】
【氏名又は名称】田治米 登
(74)【代理人】
【識別番号】100094422
【弁理士】
【氏名又は名称】田治米 惠子
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 康史
(72)【発明者】
【氏名】榎本 靖
【審査官】 西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−521460(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0064718(US,A1)
【文献】 特表2013−522653(JP,A)
【文献】 特開2015−068764(JP,A)
【文献】 特開2003−262638(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/148870(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
G01N 21/62−21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粒子と、
前記樹脂粒子よりも相対的に小さな複数の白金粒子と、
を備え、
複数の前記白金粒子が、前記樹脂粒子に固定化されているとともに、前記白金粒子の60wt%〜100wt%が前記樹脂粒子の表層部に存在する樹脂−白金複合体。
[ここで、表層部は、樹脂−白金複合体の最も外側の位置を基準にして、樹脂粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の50%の範囲を意味する。]
【請求項2】
前記白金粒子の中の少なくとも一部の粒子が、前記表層部において三次元的に分布している請求項1に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項3】
複数の前記白金粒子は、前記樹脂粒子内に埋包された部位及び前記樹脂粒子外に露出した部位を有する白金粒子を含む請求項1に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項4】
複数の前記白金粒子が、前記樹脂粒子に直接固定化されている請求項1に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項5】
前記白金粒子の平均粒子径が1〜80nmの範囲内である、請求項1に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項6】
平均粒子径が50〜1000nmの範囲内である、請求項に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項7】
前記白金粒子の平均粒子径が1〜50nmの範囲内である、請求項1に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項8】
前記白金粒子の平均粒子径が1〜30nmの範囲内である、請求項1に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項9】
前記白金粒子の平均粒子径が1〜15nmの範囲内である、請求項1に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項10】
平均粒子径が100〜600nmの範囲内である、請求項に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項11】
前記白金粒子の担持量が樹脂−白金複合体の重量に対して5wt%〜70wt%の範囲内である、請求項1に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項12】
前記樹脂粒子が、白金イオンを吸着することが可能な置換基を構造に有するポリマー粒子である、請求項1に記載の樹脂−白金複合体。
【請求項13】
請求項1に記載の樹脂−白金複合体を備えた標識物質。
【請求項14】
前記樹脂−白金複合体の表面に、抗原または抗体を吸着させて使用するものである請求項13に記載の標識物質。
【請求項15】
請求項13に記載の標識物質を用いる、免疫学的測定法。
【請求項16】
請求項1に記載の樹脂−白金複合体を備えた免疫学的測定用試薬。
【請求項17】
試料中に含まれるアナライトを検出又は定量するアナライトの測定方法であって、
メンブレン、及び当該メンブレンに前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部を含むラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用い、下記工程(I)〜(III);
工程(I):試料に含まれる前記アナライトと、該アナライトに特異的に結合する抗体を、請求項1に記載の樹脂−白金複合体で標識した標識抗体と、を接触させる工程、
工程(II):前記判定部にて、工程(I)において形成された、アナライトと標識抗体とを含む複合体を、捕捉リガンドに接触させる工程、
工程(III):前記樹脂−白金複合体の局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する工程、
を含む工程を行うことを特徴とするアナライトの測定方法。
【請求項18】
ラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用いて、試料中に含まれるアナライトを検出又は定量するためのアナライト測定用キットであって、
メンブレン、及び当該メンブレンに、前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部を含むラテラルフロー型クロマト用テストストリップと、
前記アナライトに特異的に結合する抗体を、請求項1に記載の樹脂−白金複合体で標識した標識抗体を含む検出試薬と、
を含むアナライトを検出又は定量するためのアナライト測定用キット。
【請求項19】
試料中に含まれるアナライトを検出又は定量するためのラテラルフロー型クロマト用テストストリップであって、
メンブレンと、
前記メンブレンに、前記試料が展開する方向において、前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部と、
当該判定部よりも上流側に、前記アナライトに特異的に結合する抗体を請求項1に記載の樹脂−白金複合体で標識した標識抗体が含まれる反応部と、
を含むラテラルフロー型クロマト用テストストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば免疫学的測定等の用途に好ましく使用可能な樹脂−白金複合体、それを利用した標識物質、免疫学的測定法、免疫学的測定用試薬、アナライトの測定方法、アナライト測定用キット、及び、ラテラルフロー型クロマト用テストストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
生体内には、無数の化学物質が存在することから、生体内の特定の微量成分を定性的、定量的に分析することは、極めて重要な技術である。医療、製薬、健康食品、バイオテクノロジー、環境等の分野において、生体内の特定の箇所(化学物質)にのみ作用する薬品及び食品、生体の僅かな変化を検出する分析装置及び診断薬等は、上記技術とともに発展してきた。
【0003】
上記分析技術の一つに、イムノアッセイがある。これは、免疫学的測定法とも呼ばれ、免疫反応の一つである、抗原−抗体間における特異的な反応を利用し、微量成分を定性的、定量的に分析する方法である。抗原−抗体間反応は感度や反応の選択性が高いため、上記分野で広く用いられている。イムノアッセイは、その測定原理により、様々な測定法がある。例えば、酵素免疫測定法(EIA)、放射性免疫測定法(RIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、ラテックス等の凝集法(LIA、PA)、イムノクロマトグラフィー法(ICA)、赤血球凝集法(HA)、赤血球凝集抑制法(HI)等が挙げられる。なお、イムノアッセイの他には、物理・化学的測定法、生物学的測定法等がある。
【0004】
イムノアッセイは、抗原及び抗体が反応し複合体を形成した際の変化(抗原、抗体または複合体の濃度変化)から、抗原または抗体を定性的または定量的に検出する。これらを検出する際に、抗体、抗原または複合体に標識物質を結合させることで、検出感度が増大する。
そのため、標識物質の標識能力は、イムノアッセイにおける検出能力を左右する重要な要素であるといえる。上記に例示したイムノアッセイにおいても、標識物質として、赤血球(HAの場合)、ラテックス粒子(LIAの場合)、蛍光色素(FIAの場合)、放射性元素(RIAの場合)、酵素(EIAの場合)、化学発光物質(CLIAの場合)等が用いられている。
【0005】
ところで、標識物質として着色した微粒子を用いた場合、特別な分析装置を用いることなく目視により検出を確認することができるため、より簡便な測定ができることが期待される。このような着色した微粒子としては、金属及び金属酸化物のコロイド状粒子、色素で着色したラテックス粒子等が挙げられる(特許文献1、特許文献4等)。しかし、上記コロイド状粒子は、粒子径及び調製条件によって色調が決定されてしまうため、所望の鮮明な濃い色調のものを得難い、つまり視認性が不十分であるという問題がある。
また、上記着色したラテックス粒子は、色素による着色の効果が低く、目視判定性が不十分であるという問題がある。なお、この問題を解消するために色素の着色量を増やそうとすると、色素がラテックスの表面を覆い、ラテックス粒子本来の表面状態が損なわれるため、抗原又は抗体を結合させるのが困難になるという問題があった。また、メンブランフィルター等のクロマトグラフ媒体の細孔内に詰まったり、ラテックス粒子が非特異凝集を起こしたりして、色素の着色料を増やすことにより濃く着色することが、必ずしも、性能の向上に結び付かない、という問題もあった。
【0006】
上記標識物質の視認性を向上させるために、標識物質が結合した抗体(標識抗体)と抗原が反応し複合体を形成した後に、これらの標識物質に対しさらに他の金属を修飾させることで標識物質の検出感度を増幅させるイムノクロマトグラフ方法が開示されている(特許文献2及び5)。しかし、この方法では、操作が煩雑であり、安定した増幅が難しい。また、特別な装置が必要である等、測定コストがかかることから、適用可能な用途及び使用環境は限定されると考えられる。
【0007】
また、ポリマー系ラテックス粒子の表面に結合した金ナノ粒子からなる着色ラテックスが開示されている(特許文献3)。
ポリマー系ラテックス粒子の表面に金ナノ粒子を結合させることにより、該金ナノ粒子自身が着色剤として目視判定性や検出感度の向上に役立つ一方、金ナノ粒子自身が抗原又は抗体に対する結合性にも優れることから、充分な濃色となる程度にまで金ナノ粒子を結合させても充分な量の抗原又は抗体を結合させ得るとされている。
【0008】
上記着色ラテックスは、スチレン−アクリル酸共重合体ラテックス及び金ナノ粒子の前駆体であるHAuClの分散液にガンマ線を照射することで、上記ラテックスの表面に金ナノ粒子を結合させたものである。しかし、上記着色ラテックスは、金ナノ粒子がラテックスの表面のみに結合されることから、表面プラズモン共鳴が発現する金粒子の担持量に制限があるうえに、金ナノ粒子が脱離しやすい。その結果、免疫学的測定用試薬としての視認性や感度が十分でない恐れがある。また、ガンマ線等の電磁放射線を照射するため、ラテックスにダメージを与える恐れがある。さらに、特許文献3の明細書中には、上記ラテックス径や金ナノ粒子径の好ましい範囲を開示しているが、実施例においてこれらの好ましい範囲で検証されているか明らかでなく、好ましい範囲の規定の根拠がない。
【0009】
また、特許文献4では、金属金で被覆されたポリマーラテックス粒子が開示され、顕微鏡検査法及びイムノアッセイ法に利用可能な試薬への適用が示唆されている。
【0010】
しかし、上記金属金で被覆されたポリマーラテックス粒子は、ポリマーラテックス粒子の材質や粒径の開示がない。さらに、イムノアッセイ法に利用可能な試薬としての効果について検証がない。そのため、金属金及びポリマーラテックス粒子における試薬としての効果は不明である。
【0011】
また、非特許文献1では、ポリ−2−ビニルピリジンラテックス粒子に金ナノ粒子を担持させたマイクロゲルが開示され、マイクロゲルの粒径のpH応答性を、金ナノ粒子の局在型表面プラズモン共鳴の挙動の変化から確認している。しかし、上記マイクロゲルは、金ナノ粒子が上記ラテックス粒子の表層付近に単層で担持されている。そのため、金ナノ粒子の担持量が少なく、イムノアッセイに有効な濃い色調が得られないと考えられる。また、マイクロゲルの材質、構造、組成等の検討は行っておらず、免疫学的測定試薬等の具体的な用途への効果は不明である。
【0012】
以上より、金ナノ粒子が結合または被覆されたラテックス粒子は、免疫学的測定用の試薬として期待されるものであるが、従来の技術では、耐久性や視認性が十分でなかった。また、視認性が高いものでも、適用可能な用途及び使用環境は限定されるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平5−10950号公報
【特許文献2】特開2011−117906号公報
【特許文献3】特開2009−168495号公報
【特許文献4】特開平3−206959号公報
【特許文献5】特開2009−192270号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】K.Akamatsu, M.Shimada, T.Tsuruoka, H.Nawafune, S.Fujii and Y.Nakamura;Langmuir 2010,26,1254−1259.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
樹脂−金属複合体を免疫学的測定における標識物質として使用するためには、抗体などのリガンドに安定的に結合させることが必要である。しかし、リガンドを樹脂−金属複合体によって標識する場合、安定的な結合状態を形成できたとしても、必ずしも優れた検出感度が得られるとは限らない。例えば、微細な樹脂−金属複合体は凝集が生じやすい。凝集が生じると、ハンドリング性が大幅に低下するだけでなく、標識物質である樹脂−金属複合体の濃度にムラが生じて検出感度が大きく低下する場合がある。
【0016】
本発明の目的は、抗体などのリガンドと結合させた状態で凝集が生じにくく、ハンドリング性に優れた樹脂−金属複合体を提供することであり、例えば免疫学的測定において、高感度な判定を可能とする免疫学的測定用樹脂−金属複合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、樹脂粒子に複数の白金粒子が固定化された樹脂−白金複合体によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0018】
すなわち、本発明の樹脂−白金複合体は、樹脂粒子と、前記樹脂粒子よりも相対的に小さな複数の白金粒子と、を備え、複数の前記白金粒子が、前記樹脂粒子に固定化されている。
【0019】
本発明の樹脂−白金複合体は、前記白金粒子の中の少なくとも一部の粒子が、前記樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していてもよい。この場合、複数の前記白金粒子の60wt%〜100wt%が、前記表層部に存在していてもよい。
【0020】
本発明の樹脂−白金複合体において、前記白金粒子は、前記樹脂粒子の径方向に重なり合うことなく、該樹脂粒子の表面に固定されていてもよい。
【0021】
本発明の樹脂−白金複合体は、前記白金粒子の平均粒子径が1〜80nmの範囲内であってもよい。この場合、樹脂−白金複合体は、平均粒子径が50〜1000nmの範囲内であってもよい。
【0022】
本発明の樹脂−白金複合体は、前記白金粒子の平均粒子径が1〜50nmの範囲内であることが好ましく、1〜30nmの範囲内がより好ましく、1〜15nmの範囲内が最も好ましい。これらの場合、樹脂−白金複合体の平均粒子径は、100〜600nmの範囲内であることが好ましい。
【0023】
本発明の樹脂−白金複合体は、前記白金粒子の担持量が樹脂−白金複合体の重量に対して5wt%〜70wt%の範囲内であってもよい。
【0024】
本発明の樹脂−白金複合体は、前記樹脂粒子が、白金イオンを吸着することが可能な置換基を構造に有するポリマー粒子であってもよい。
【0025】
本発明の標識物質は、上記いずれかの樹脂−白金複合体を備えている。この場合、前記樹脂−白金複合体の表面に、抗原または抗体を吸着させて使用するものであってもよい。
【0026】
本発明の免疫学的測定法は、上記いずれかの標識物質を用いるものである。
【0027】
本発明の免疫学的測定用試薬は、上記いずれかの樹脂−白金複合体を備えている。
【0028】
本発明のアナライトの測定方法は、試料中に含まれるアナライトを検出又は定量する方法である。このアナライトの測定方法は、メンブレン、及び当該メンブレンに前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部を含むラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用い、下記工程(I)〜(III);
工程(I):試料に含まれる前記アナライトと、該アナライトに特異的に結合する抗体を、上記いずれかの樹脂−白金複合体で標識した標識抗体と、を接触させる工程、
工程(II):前記判定部にて、工程(I)において形成された、アナライトと標識抗体とを含む複合体を、捕捉リガンドに接触させる工程、
工程(III):前記樹脂−白金複合体の局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する工程、
を含む工程を行うことを特徴とする。
【0029】
本発明のアナライト測定用キットは、ラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用いて、試料中に含まれるアナライトを検出又は定量するためのアナライト測定用キットである。このアナライト測定用キットは、メンブレン、及び当該メンブレンに、前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部を含むラテラルフロー型クロマト用テストストリップと、前記アナライトに特異的に結合する抗体を、上記いずれかの樹脂−白金複合体で標識した標識抗体を含む検出試薬と、を含む。
【0030】
本発明のラテラルフロー型クロマト用テストストリップは、試料中に含まれるアナライトを検出又は定量するためのものである。このラテラルフロー型クロマト用テストストリップは、メンブレンと、前記メンブレンに、前記試料が展開する方向において、前記アナライトと特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなる判定部と、当該判定部よりも上流側に、前記アナライトに特異的に結合する抗体を上記いずれかの樹脂−白金複合体で標識した標識抗体が含まれる反応部と、を含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明の樹脂−白金複合体は、例えば抗体などのリガンドに結合させた状態での分散性に優れ、凝集が生じにくい。また、本発明の樹脂−白金複合体は、樹脂粒子に複数の白金粒子が固定化された構造を有するため、白金粒子の担持量が多く、また、白金粒子が樹脂粒子から脱離しにくい。また、白金粒子は、局在型表面プラズモン共鳴に加え、電子遷移による光エネルギー吸収を発現する。従って、本発明の樹脂−白金複合体は、ハンドリング性、耐久性、視認性、目視判定性、検出感度に優れた材料として、例えば、EIA、RIA、CLIA、FIA、LIA、PA、ICA、HA、HI等の免疫学的測定用標識物質、免疫学的測定用試薬、医薬、固体触媒、顔料、塗料、導電性材料、電極、センサー素子などの目的で好ましく適用できる。本発明の樹脂−白金複合体を免疫学的測定に用いる場合には、ハンドリング性、耐久性及び視認性に優れ、かつ、特別な装置や作業工程の追加を必要とせずに高感度な判定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施の形態に係る樹脂−白金複合体の断面の構造を示す模式図である。
図2A】樹脂−白金複合体の一態様の断面の構造を示す模式図である。
図2B】樹脂−白金複合体の別の態様の断面の構造を示す模式図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るラテラルフロー型クロマト用テストストリップを用いたアナライトの測定方法の概要を示す説明図である。
図4】樹脂−金属複合体標識抗体の分散性評価の結果の一例を示す写真である。
図5】実施例2で得られた樹脂−白金複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図6】実施例2で得られた樹脂−白金複合体の断面の走査型透過電子顕微鏡(STEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る樹脂−白金複合体の断面模式図である。樹脂−白金複合体100は、樹脂粒子10と、白金粒子20と、を備えている。樹脂−白金複合体100は、樹脂粒子10に白金粒子20が固定化されている。樹脂粒子10は、白金粒子20よりも相対的に大きな粒子である。つまり、樹脂−白金複合体100では、大きな樹脂粒子10に、相対的に小さな多数の白金粒子20が固定されている。図1に示すように、樹脂−白金複合体100全体の粒子径D1と、樹脂粒子10の粒子径D2と白金粒子20の粒子径D3との関係は、D1>D2>D3である。
【0034】
また、樹脂−白金複合体100は、白金粒子20の一部が樹脂粒子10の表層部60において三次元的に分布していてもよい。この場合、三次元的に分布した白金粒子20の一部が部分的に樹脂粒子10外に露出していてもよく、残りの一部が樹脂粒子10に内包されていてもよい。具体的には、図1に示すように、白金粒子20には、樹脂粒子10に完全に内包された白金粒子(以下、「内包粒子30」ともいう。)、樹脂粒子10内に埋包された部位及び樹脂粒子10外に露出した部位を有する白金粒子(以下、「一部露出粒子40」ともいう。)及び樹脂粒子10の表面に吸着している白金粒子(以下、「表面吸着粒子50」ともいう。)が存在していることが好ましい。
【0035】
例えば、樹脂−白金複合体100を免疫学的測定用標識物質又は免疫学的測定用試薬に使用する場合、樹脂粒子10の表面又は一部露出粒子40もしくは表面吸着粒子50の表面に、抗体または抗原を固定化して使用する。その際、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50には、前記抗体または抗原が固定化される一方で、内包粒子30には、固定化されない。しかし、一部露出粒子40、表面吸着粒子50及び内包粒子30のいずれも局在型表面プラズモン共鳴に加え、電子遷移による光エネルギー吸収を発現することから、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50のみならず、内包粒子30も、免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の視認性向上に寄与する。さらに、一部露出粒子40及び内包粒子30は、表面吸着粒子50と比較して樹脂粒子10との接触面積が大きいことに加え、埋包状態によるアンカー効果等が奏されるため、物理的吸着力が強く、樹脂粒子10から脱離しにくい。そのため、樹脂−白金複合体100を使用した免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の耐久性、安定性を優れたものにすることができる。
【0036】
以下、樹脂−白金複合体100を免疫学的測定用標識物質(以下、単に「標識物質」ともいう。)又は免疫学的測定用試薬(以下、単に「試薬」ともいう。)に適用する場合を例として説明する。
【0037】
内包粒子30は、その表面の全てが、樹脂粒子10を構成する樹脂に覆われているものである。また、一部露出粒子40は、その表面積の5%以上100%未満が、樹脂粒子10を構成する樹脂に覆われているものである。免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の耐久性の観点から、その下限は、表面積の20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。また、表面吸着粒子50は、その表面積の0%を超えて5%未満が、樹脂粒子10を構成する樹脂に覆われていることが好ましい。
【0038】
また、樹脂−白金複合体100への白金粒子20(内包粒子30、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50の合計)の担持量は、樹脂−白金複合体100の重量に対して、5wt%〜70wt%であることが好ましい。この範囲であれば、樹脂−白金複合体100は、標識物質としての視認性、目視判定性及び検出感度に優れる。白金粒子20の担持量が5wt%未満では、抗体または抗原の固定化量が少なくなり、検出感度が低下する傾向がある。白金粒子20の担持量は、より好ましくは、15wt%〜70wt%、さらに好ましくは、15wt%〜60wt%である。なお、白金粒子20を有する樹脂−白金複合体100は、他の金属粒子(例えば、金粒子を有する樹脂−金複合体)に比べて、より少ない担持量であっても、標識物質として優れた視認性、目視判定性及び検出感度が得られる。
【0039】
また、白金粒子20の10wt%〜90wt%が、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50であることが好ましい。この範囲であれば、白金粒子20上への抗体または抗原の固定化量が充分確保できるため、標識物質としての感度が高い。白金粒子20の20wt%〜80wt%が一部露出粒子40及び表面吸着粒子50であることがより好ましく、免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の耐久性の観点から、表面吸着粒子50が20wt%以下であることがさらに好ましい。
【0040】
また、樹脂−白金複合体100を免疫学的測定に使用する場合に、優れた検出感度を得るためには、白金粒子20の60wt%〜100wt%、好ましくは、75〜100wt%が、より好ましくは、85〜100wt%が、表層部60に存在することがよく、より好ましくは、樹脂粒子10の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲に存在することがよい。また、表層部60に存在する白金粒子20の5wt%〜90wt%が、一部露出粒子40または表面吸着粒子50であることが、白金粒子20上への抗体または抗原の固定化量が充分確保できるため、標識物質としての感度が高くなり好ましい。換言すれば、表層部60に存在する白金粒子20の10wt%〜95wt%が内包粒子30であることがよい。
【0041】
ここで、前記「表層部」とは、樹脂−白金複合体100の最も外側の位置(つまり、一部露出粒子40又は表面吸着粒子50の突出端部)を基準にして、樹脂粒子10の表面から、深さ方向に粒子半径の50%の範囲を意味する。また、前記「三次元的に分布」とは、白金粒子20が、樹脂粒子10の面方向だけでなく、深さ方向にも分散されていることを意味する。
【0042】
上記のとおり、内包粒子30も局在型表面プラズモン共鳴に加え、電子遷移による光エネルギー吸収を発現することから、一部露出粒子40及び表面吸着粒子50のみならず、内包粒子30も、免疫学的測定用標識物質及び免疫学的測定用試薬の視認性向上に寄与する。このような視認性向上という観点では、樹脂−白金複合体100は、例えば図2Aに示すように、内包粒子30が、樹脂粒子10の表面から深さ方向に一定の範囲内に集中して分布し、樹脂粒子10の中心付近には内包粒子30が存在しないことが好ましい。より具体的には、内包粒子30による局在型表面プラズモン共鳴に加え、電子遷移による光エネルギー吸収を効果的に発現させるためには、例えば、樹脂粒子10の粒子径D2が800nmであるとき、樹脂粒子10の表面から深さ方向に例えば0〜200nmの範囲内に内包粒子30の70wt%以上、好ましくは80wt%以上、より好ましくは90〜100wt%が、存在していることがよい。特に、内包粒子30の全て(100wt%)が分布する領域(内包粒子分布領域)が、樹脂粒子10の表面から例えば0〜100nmの範囲内である場合は、内包粒子30による局在型表面プラズモン共鳴に加え、電子遷移による光エネルギー吸収の発現を最大化できるので好ましい。
【0043】
また、樹脂−白金複合体100は、内包粒子30を有しなくもよい。例えば図2Bに示すように、樹脂−白金複合体100において、白金粒子20のすべてが、樹脂粒子10の径方向に重なり合うことなく、樹脂粒子10の表面に固定されていてもよい。この場合、白金粒子20は、一部露出粒子40と表面吸着粒子50とから構成される。
【0044】
樹脂粒子10は、白金イオンを吸着することが可能な置換基を構造に有するポリマー粒子であることが好ましい。特に、含窒素ポリマー粒子であることが好ましい。含窒素ポリマー中の窒素原子は、視認性に優れ、抗原または抗体の固定化が容易な白金粒子20の前駆体である[PtCl2−などのアニオン性イオンを化学吸着しやすいため、好ましい。本実施の形態では、含窒素ポリマー中に吸着した白金イオンを還元し、白金粒子20を形成する為、生成した白金粒子20の一部は、内包粒子30または一部露出粒子40となる。また、アクリル酸重合体のようなカルボン酸基含有ポリマー及びポリスチレンスルホン酸のようなスルホン酸基含有ポリマー(以下、合わせて「カチオン性イオンを吸着可能なポリマー」という。)は、含有するカルボン酸基及びスルホン酸基により、Pt2+のようなカチオン性イオンを化学吸着することができるため、好ましい。例えば、化学吸着したPt2+を還元し、白金粒子20を形成することで、上記含窒素ポリマー粒子と同様な構造を作製することが可能である。また、例えば銀、ニッケル、銅などの金属の前駆体であるカチオン性イオンを吸着しやすく、これらを用いることによって、白金との合金を作ることも可能であるため、好ましい。
【0045】
一方、白金イオンを吸着することが可能な置換基を構造に有する含窒素ポリマー以外の樹脂粒子、例えばポリスチレン等の場合、前記白金イオンを樹脂内部に吸着しにくい。その結果、生成した白金粒子20の大部分は、表面吸着粒子50となる。上記のとおり、表面吸着粒子50は、樹脂粒子10との接触面積が小さいため、樹脂と金属の接着力が小さく、樹脂粒子10から白金粒子20が脱離する影響が大きい傾向にある。
上記含窒素ポリマーは、主鎖または側鎖に窒素原子を有する樹脂であり、例えば、ポリアミン、ポリアミド、ポリペプチド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリイミド、ポリイミダゾール、ポリオキサゾール、ポリピロール、ポリアニリン、等がある。好ましくは、ポリ−2−ビニルピリジン、ポリ−3−ビニルピリジン、ポリ−4−ビニルピリジン等のポリアミンである。また、側鎖に窒素原子を有する場合は、例えば、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等幅広く利用することが可能である。
また、上記カチオン性イオンを吸着可能なポリマーは、主鎖または側鎖に、カルボン酸基、スルホン酸基等を有する樹脂であり、例えば、ポリアクリル酸、カルボン酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、等幅広く利用することができる。
上記含窒素ポリマー及びカチオン性イオンを吸着可能なポリマーは、公知の重合性モノマーとの共重合体であっても良い。ここで、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、重合体同士が架橋したものが例示される。また、2種類以上のモノマーを共重合させて樹脂粒子10を形成しても良いし、樹脂粒子10の表面に存在する官能基にモノマーを反応させ、それを重合活性末端としてさらに重合させても良い。その共重合組成は限定しないが、前記白金イオンを吸着することが可能な置換基を含有するモノマーが10mol%以上であることが好ましい。
【0046】
白金粒子20を有する樹脂−白金複合体100は、他の金属種の粒子を有する樹脂複合体と比較して、抗体などのリガンドと結合させた状態で凝集を生じにくく、極めて分散性に優れている。また、白金粒子20は、酸化などの変質に強く、保存安定性にも優れている。さらに、白金粒子20は、例えば250nm〜900nmまでの範囲の幅広い波長で局在型表面プラズモン共鳴に由来する吸収を発現し、さらに電子遷移による光エネルギー吸収の発現により、黒色に近い強い発色を呈するので、樹脂−白金複合体100を標識物質として用いることによって、免疫学的測定において、高い視認性が得られ、アナライトの検出感度も高めることができる。この場合、白金粒子20を用いることによって、他の金属(例えば金)の粒子に比べ、少ない担持量で優れた検出感度が得られる。従って、仮に平均粒子径が同等であれば、樹脂−白金複合体100は、他の金属種の粒子を有する樹脂複合体に比べて有意に高い検出感度を示す。
【0047】
白金粒子20は、白金のみからなるものでもよいし、白金と他の金属との合金であってもよい。白金合金は、白金と白金以外の金属種からなり、白金を1重量%以上含有する合金を意味する。ここで、白金と合金を形成する他の金属種としては、特に制限されないが、例えば、銀、ニッケル、銅、金、パラジウム等が好ましく、保存安定性、視認性に優れる金、パラジウムなどがより好ましい。
【0048】
また、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により測長される白金粒子20の平均粒子径(つまり、図1における粒子径D3の平均)は、例えば1〜80nmであることが好ましい。白金粒子20の平均粒子径が、1nm未満の場合や80nmを超える場合は、局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収が発現しにくくなるため感度が低下する傾向がある。白金粒子20の平均粒子径は、樹脂−白金複合体100を免疫学的測定に用いる場合に高い検出感度を得る観点から、好ましくは1nm以上50nm以下であり、より好ましくは1nm以上30nm以下であり、さらに好ましくは1nm以上20nm以下であり、最も好ましくは1nm以上15nm以下である。特に、白金粒子20の平均粒子径が15nm以下である場合、樹脂−白金複合体100をイムノクロマトグラフの標識物質として使用する場合に特に優れた検出感度が得られる。
【0049】
また、樹脂−白金複合体100の平均粒子径(つまり、図1における粒子径D1の平均)は、例えば50〜1000nmであることが好ましい。樹脂−白金複合体100の平均粒子径が50nm未満では、例えば、白金粒子の担持量が少なくなる傾向がある為、同サイズの白金粒子より着色が弱くなる傾向にあり、1000nmを超えると、標識物質又は試薬とした際に、メンブランフィルター等のクロマトグラフ媒体の細孔内に詰まりやすい傾向や、分散性が低下する傾向がある。樹脂−白金複合体100の平均粒子径は、標識物質又は試薬とした際の分散性を向上させるとともに、樹脂−白金複合体100を免疫学的測定に用いる場合に高い検出感度を得る観点から、好ましくは100nm以上600nm以下であり、より好ましくは250nm以上600nm以下であり、最も好ましくは300nm以上600nm以下である。特に、樹脂−白金複合体100の平均粒子径が300nm以上であると、樹脂−白金複合体100をイムノクロマトグラフの標識物質として使用する場合に安定して優れた検出感度が得られる。ここで、樹脂−白金複合体100の粒子径は、樹脂粒子10の粒子径に、一部露出粒子40又は表面吸着粒子50の突出部位の長さを加えた値を意味し、レーザー回折/散乱法、動的光散乱法、又は遠心沈降法により測定することができる。
【0050】
[樹脂−白金複合体の製造方法]
樹脂−白金複合体100の製造方法は、特に限定されない。例えば、乳化重合法により製造した樹脂粒子10の分散液に、白金イオンを含有する溶液を加えて、白金イオンを樹脂粒子10に吸着させる(以下、「白金イオン吸着樹脂粒子」という。)。さらに、前記白金イオン吸着樹脂粒子を還元剤溶液中に加えることで、白金イオンを還元して白金粒子20を生成させ、樹脂−白金複合体100を得る。
【0051】
また、例えば白金イオンを含有する溶液としては、塩化白金酸(HPtCl)水溶液、塩化白金(PtCl)溶液等が挙げられる。また、白金イオンの代わりに白金錯体を用いても良い。
また、白金イオンを含有する溶液の溶媒として、水の代わりに、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等の含水アルコール又はアルコール、塩酸、硫酸、硝酸等の酸等を用いても良い。
また、前記溶液に、必要に応じて、例えば、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物、界面活性剤、アルコール類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、これらのモノアルキルエーテル又はジアルキルエーテル、グリセリン等のポリオール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の各種水混和性有機溶媒等の添加剤を添加してもよい。このような添加剤は、白金イオンの還元反応速度を促進し、また生成される白金粒子20の大きさを制御するのに有効となる。
【0052】
また、還元剤は、公知の物を用いることができる。例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、クエン酸、次亜リン酸ナトリウム、抱水ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、ホルムアルデヒド、ショ糖、ブドウ糖、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ホスフィン酸ナトリウム、ハイドロキノン、ロッシェル塩等が挙げられる。このうち、水素化ホウ素ナトリウム又は、ジメチルアミンボラン、クエン酸が好ましい。
還元剤溶液には、必要に応じて界面活性剤を添加したり、溶液のpHを調整することができる。pH調整には、ホウ酸やリン酸等の緩衝剤、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを用いて行うことができる。
さらに、還元剤溶液の温度により、白金イオンの還元速度を調整することで、形成する白金粒子20の粒径をコントロールすることができる。
【0053】
また、前記白金イオン吸着樹脂粒子中の白金イオンを還元して白金粒子20を生成させる際、前記白金イオン吸着樹脂粒子を還元剤溶液に添加しても良いし、還元剤を前記白金イオン吸着樹脂粒子に添加しても良いが、内包粒子30及び一部露出粒子40の生成しやすさの観点から、前者が好ましい。
【0054】
また、樹脂−白金複合体100の、水への分散性を保持するために、例えば、クエン酸、ポリ−L−リシン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルアルコール、DISPERBYK194、DISPERBYK180、DISPERBYK184(ビッグケミージャパン社製)等の分散剤を添加してもよい。
さらに、ホウ酸やリン酸等の緩衝剤、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリによりpHを調整し、分散性を保持することができる。
【0055】
以上の構成を有する樹脂−白金複合体100は、特に、白金粒子20の表面に抗原または抗体を吸着させることにより、標識物質として、例えばEIA、RIA、CLIA、FIA、LIA、PA、ICA、HA、HI等の免疫学的測定法に好ましく適用できる。また、特に、低濃度域(高感度領域)での目視判定性に優れた免疫学的測定用標識物質又は免疫学的測定用試薬の材料として好ましく適用できる。また、免疫学的測定用標識物質又は免疫学的測定用試薬の形態に特に限定はないが、例えば、樹脂−白金複合体100を水もしくは、pHを調整した緩衝液中に分散させた分散液として使用できる。
【0056】
上記白金粒子20の表面に抗原または抗体を吸着させる方法としては特に限定せず、公知の物理吸着及び化学吸着による方法を用いることができる。例えば、抗原または抗体を含む緩衝液中に樹脂−白金複合体100を浸漬させ、インキュベートする等の物理吸着や、抗原又は抗体にSH基を導入し、樹脂−白金複合体100と反応させてPt−SH結合を形成する等の化学吸着が挙げられる。なかでも、白金粒子20と抗原または抗体との結合が強固となることから化学吸着が好ましい。
【0057】
次に、樹脂−白金複合体100を標識物質として使用したアナライトの測定方法、ラテラルフロー型クロマト用テストストリップ及びアナライト検出・定量キットについて説明する。
【0058】
[ラテラルフロー型クロマト用テストストリップ]
まず、図3を参照しながら、本発明の一実施の形態に係るラテラルフロー型クロマト用テストストリップ(以下、単に「テストストリップ」と記すことがある)について説明する。このテストストリップ200は、後述するように、本発明の一実施の形態のアナライトの測定方法に好ましく使用できるものである。
【0059】
テストストリップ200は、メンブレン110を備えている。メンブレン110には、試料の展開方向において順に、試料添加部120、判定部130及び吸液部140が設けられている。
【0060】
<メンブレン>
テストストリップ200に使用されるメンブレン110としては、一般的なテストストリップにおいてメンブレン材料として使用されるものを適用可能である。メンブレン110は、例えば毛管現象を示し、試料を添加すると同時に、試料が展開するような微細多孔性物質からなる不活性物質(アナライト160、各種リガンドなどと反応しない物質)で形成されているものである。メンブレン110の具体例としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、セルロース誘導体等で構成される繊維状又は不織繊維状マトリクス、膜、濾紙、ガラス繊維濾紙、布、綿等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはセルロース誘導体やナイロンで構成される膜、濾紙、ガラス繊維濾紙等が用いられ、より好ましくはニトロセルロース膜、混合ニトロセルロースエステル(ニトロセルロースと酢酸セルロースの混合物)膜、ナイロン膜、濾紙が用いられる。
【0061】
テストストリップ200は、操作をより簡便にするため、メンブレン110を支持する支持体を備えていることが好ましい。支持体としては、例えばプラスチック等を用いることができる。
【0062】
<試料添加部>
テストストリップ200は、アナライト160を含む試料を添加するための試料添加部120を有していてもよい。試料添加部120は、テストストリップ200に、アナライト160を含む試料を受け入れるための部位である。試料添加部120は、試料が展開する方向において、判定部130よりも上流側のメンブレン110に形成されていてもよいし、あるいは、例えばセルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、綿布などの材料で構成された試料添加パッドがメンブレン110に設けられて試料添加部120を構成していてもよい。
【0063】
<判定部>
判定部130には、アナライト160と特異的に結合する捕捉リガンド131が固定されている。捕捉リガンド131は、アナライト160と特異的な結合を形成するものであれば特に制限なく使用でき、例えばアナライト160に対する抗体などを好ましく用いることができる。捕捉リガンド131は、テストストリップ200に試料を提供した場合においても、判定部130から移動することがないように不動化している。捕捉リガンド131は、物理的又は化学的な結合や吸着等によって、メンブレン110に直接的又は間接的に固定されていればよい。
【0064】
また、判定部130は、標識抗体150とアナライト160とを含む複合体170が、アナライト160と特異的に結合する捕捉リガンド131に接触するような構成である限り特に限定されない。例えば、メンブレン110に、直接、捕捉リガンド131が固定されていてもよいし、あるいは、メンブレン110に固定されたセルロース濾紙、グラスファイバー、不織布等からなるパッドに捕捉リガンド131が固定されていてもよい。
【0065】
<吸液部>
吸液部140は、例えば、セルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等の吸水性材料のパッドにより形成される。添加された試料の展開前線(フロントライン)が吸液部140に届いてからの試料の移動速度は、吸液部140の材質、大きさなどにより異なるものとなる。従って、吸液部140の材質、大きさなどの選定により、アナライト160の検出・定量に最適な速度を設定することができる。なお、吸液部140は任意の構成であり、省略してもよい。
【0066】
テストストリップ200は、必要に応じて、さらに、反応部、コントロール部等の任意の部位を含んでいてもよい。
【0067】
<反応部>
図示は省略するが、テストストリップ200には、メンブレン110に、標識抗体150を含む反応部が形成されていてもよい。反応部は、試料が流れる方向において、判定部130よりも上流側に設けることができる。なお、図3における試料添加部120を反応部として利用してもよい。テストストリップ200が反応部を有する場合、アナライト160を含む試料を、反応部又は試料添加部120に供すると、反応部において、試料に含まれるアナライト160と標識抗体150とを接触させることができる。この場合、試料を、単に反応部又は試料添加部120に供することで、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を形成させることができるので、いわゆる1ステップ型のイムノクロマトグラフが可能になる。
【0068】
反応部は、アナライト160と特異的に結合する標識抗体150を含む限り特に限定されないが、メンブレン110に、直接、標識抗体150が塗布されてなるものであってもよい。あるいは、反応部は、例えばセルロース濾紙、グラスファイバー、不織布等からなるパッド(コンジュゲートパッド)に標識抗体150を含浸したものを、メンブレン110に固定してなるものであってもよい。
【0069】
<コントロール部>
図示は省略するが、テストストリップ200は、メンブレン110に、試料が展開する方向において、標識抗体150と特異的に結合する捕捉リガンドが固定されてなるコントロール部が形成されていてもよい。判定部130とともに、コントロール部でも発色強度が測定されることにより、テストストリップ200に供した試料が展開して、反応部及び判定部130に到達し、検査が正常に行われたことを確認することができる。なお、コントロール部は、捕捉リガンド131の代わりに、標識抗体150と特異的に結合する別の種類の捕捉リガンドを用いることを除いては、上述の判定部130と同様にして作製され、同様の構成を採ることができる。
【0070】
[アナライトの測定方法]
次に、テストストリップ200を用いて行われる本発明の一実施の形態のアナライト160の測定方法について説明する。
【0071】
本実施の形態のアナライト160の測定方法は、試料中に含まれるアナライト160を検出又は定量するアナライト160の測定方法である。本実施の形態のアナライト160の測定方法は、メンブレン110、及び当該メンブレン110にアナライト160と特異的に結合する捕捉リガンド131が固定されてなる判定部130を含むテストストリップ200を用いる。そして、本実施の形態のアナライト160の測定方法は、下記工程(I)〜(III);
工程(I):試料に含まれる前記アナライト160と、該アナライト160に特異的に結合する抗体を、樹脂粒子10に複数の白金粒子20が固定化された構造を有する樹脂−白金複合体100で標識した標識抗体150と、を接触させる工程、
工程(II):判定部130にて、工程(I)において形成された、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を、捕捉リガンド131に接触させる工程、
工程(III):樹脂−白金複合体100の局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する工程、
を含むことができる。
【0072】
工程(I):
工程(I)は、試料に含まれるアナライト160を、標識抗体150に接触させる工程である。アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を形成する限り、接触の態様は特に限定されるものではない。例えば、テストストリップ200の試料添加部120又は反応部(図示省略)に試料を供し、当該反応部においてアナライト160を標識抗体150に接触させてもよいし、テストストリップ200に試料を供する前に、試料中のアナライト160を標識抗体150に接触させてもよい。
【0073】
工程(I)で形成された複合体170は、テストストリップ200上で展開して移動し、判定部130に至る。
【0074】
工程(II):
工程(II)は、テストストリップ200の判定部130において、工程(I)において形成された、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を、捕捉リガンド131に接触させる。複合体170を、捕捉リガンド131に接触させると、捕捉リガンド131は、複合体170のアナライト160に特異的に結合する。その結果、複合体170が判定部130において捕捉される。
【0075】
なお、捕捉リガンド131は、標識抗体150には特異的に結合しないために、アナライト160と未結合の標識抗体150が判定部130に到達した場合、当該アナライト160と未結合の標識抗体150は、判定部130を通過する。ここで、テストストリップ200に、標識抗体150に特異的に結合する別の捕捉リガンドが固定されたコントロール部(図示省略)が形成されている場合、判定部130を通過した標識抗体150は、展開を続け、コントロール部で当該別の捕捉リガンドと結合する。その結果、アナライト160と複合体170を形成していない標識抗体150は、コントロール部で捕捉される。
【0076】
工程(II)の後、必要に応じて工程(III)の前に、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝液等の生化学検査で汎用される緩衝液で、テストストリップ200を洗浄する洗浄工程を実施してもよい。洗浄工程によって、判定部130、又は、判定部130及びコントロール部に捕捉されなかった標識抗体150(アナライト160と結合しておらず、複合体170を形成していない標識抗体150)を除去することができる。
【0077】
洗浄工程を実施することで、工程(III)において、判定部130、又は、判定部130及びコントロール部における樹脂−白金複合体100の局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収による発色を測定する際に、バックグラウンドの発色強度を低減させることができ、シグナル/バックグラウンド比を高め、一層、検出感度や定量性を向上させることができる。
【0078】
工程(III):
工程(III)は、樹脂−白金複合体100の局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する工程である。上記工程(II)又は必要に応じて洗浄工程を実施した後、テストストリップ200において、樹脂−白金複合体100の局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収に由来する発色強度を測定する。
【0079】
なお、テストストリップ200にコントロール部が形成されている場合、工程(II)によって、コントロール部にて、標識抗体150が別の捕捉リガンドによって捕捉され複合体が形成される。そのため、工程(III)では、テストストリップ200おいて、判定部130だけでなく、コントロール部においても局在型表面プラズモン共鳴及び、電子遷移による光エネルギー吸収による発色を生じさせることができる。このように、判定部130とともにコントロール部においても発色強度を測定することで、テストストリップ200に供した試料が正常に展開して、反応部及び判定部130に到達したか否かを確認できる。
【0080】
<試料及びアナライト>
本実施の形態のアナライトの測定方法における試料は、アナライト160として、蛋白質などの抗原となり得る物質を含むものである限り特に限定されるものではない。例えば、目的のアナライト160を含む生体試料(すなわち、全血、血清、血漿、尿、唾液、喀痰、鼻腔又は咽頭拭い液、髄液、羊水、乳頭分泌液、涙、汗、皮膚からの浸出液、組織や細胞及び便からの抽出液等)や食品の抽出液等が挙げられる。必要に応じて、標識抗体150及び捕捉リガンド131とアナライト160との特異的な結合反応が生じやすくするために、上記工程(I)に先立って、試料に含まれるアナライト160を前処理してもよい。ここで、前処理としては、酸、塩基、界面活性剤等の各種化学薬品等を用いた化学的処理や、加熱・撹拌・超音波等を用いた物理的処理が挙げられる。特に、アナライト160がインフルエンザウィルスNP抗原等の、通常は表面に露出していない物質である場合、界面活性剤等による処理を行うことが好ましい。この目的に使用される界面活性剤として、特異的な結合反応、例えば、抗原抗体反応等の捕捉リガンド131とアナライト160との結合反応性を考慮して、非イオン性界面活性剤を用いることができる。
【0081】
また、前記試料は、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(水、生理食塩水、又は緩衝液等)や水混和有機溶媒で適宜希釈されていてもよい。
【0082】
前記アナライト160としては、例えば、腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモン等のタンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等を含む)、核酸(一本鎖又は二本鎖の、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等を含む)又は核酸を有する物質、糖(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等を含む)又は糖鎖を有する物質、脂質などその他の分子が挙げられ、標識抗体150及び捕捉リガンド131に特異的に結合するものである限り特に限定されないが、例えば、癌胎児性抗原(CEA)、HER2タンパク、前立腺特異抗原(PSA)、CA19−9、α−フェトプロテイン(AFP)、免疫抑制酸性タンパク(IAP)、CA15−3、CA125、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、便潜血、トロポニンI、トロポニンT、CK−MB、CRP、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、梅毒抗体、インフルエンザウィルスヒトヘモグロビン、クラミジア抗原、A群β溶連菌抗原、HBs抗体、HBs抗原、ロタウイルス、アデノウイルス、アルブミン、糖化アルブミン等が挙げられる。これらの中でも非イオン性界面活性剤により可溶化される抗原が好ましく、ウィルスの核タンパク質のように自己集合体を形成する抗原がより好ましい。
【0083】
<標識抗体>
標識抗体150は、工程(I)において、試料に含まれるアナライト160に接触させて、アナライト160と標識抗体150とを含む複合体170を形成するために使用される。標識抗体150は、アナライト160に特異的に結合する抗体を、樹脂粒子10に複数の白金粒子20が固定化された構造を有する樹脂−白金複合体100で標識化してなるものである。ここで、「標識化」とは、工程(I)〜(III)において、標識抗体150から樹脂−白金複合体100が脱離しない程度に、抗体に樹脂−白金複合体100が直接的に又は間接的に、化学的又は物理的な結合や吸着等で固定されていることを意味する。例えば、標識抗体150は、抗体に樹脂−白金複合体100が直接結合してなるものであってもよいし、抗体と樹脂−白金複合体100とが、任意のリンカー分子を介して結合してなるものや、それぞれが不溶性粒子に固定されてなるものであってもよい。
【0084】
また、本実施の形態において、「抗体」としては、特に制限はなく、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、遺伝子組み換えにより得られた抗体のほか、抗原と結合能を有する抗体断片[例えば、H鎖、L鎖、Fab、F(ab’)等]などを用いることができる。また、免疫グロブリンとして、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDのいずれでもよい。抗体の産生動物種としては、ヒトをはじめ、ヒト以外の動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等)でもよい。抗体の具体例としては、抗PSA抗体、抗AFP抗体、抗CEA抗体、抗アデノウイルス抗体、抗インフルエンザウィルス抗体、抗HCV抗体、抗IgG抗体、抗ヒトIgE抗体等が挙げられる。
【0085】
<標識抗体の好ましい作製方法>
次に、標識抗体150の好ましい作製方法を挙げて説明する。標識抗体150の製造は、少なくとも、次の工程A;
工程A)樹脂−白金複合体100を第1のpH条件で抗体と混合して結合させることによって、標識抗体150を得る工程
を含み、好ましくは、さらに工程B;
工程B)標識抗体150を第2のpH条件で処理する工程
を含むことができる。
【0086】
[工程A]
工程Aでは、樹脂−白金複合体100を第1のpH条件で抗体と混合して標識抗体150を得る。工程Aは、固体状の樹脂−白金複合体100を液相中に分散させた状態で抗体と接触させることが好ましい。
【0087】
第1のpH条件は、樹脂−白金複合体100の分散と抗体の活性を維持したまま樹脂−白金複合体100と抗体を均一に接触させる観点から、pH2〜10の範囲内の条件が好ましく、さらに例えばpH5〜9の範囲内がより好ましい。樹脂−白金複合体100と抗体とを結合させるときの条件が、pH2未満では強酸性により抗体が変質し失活する場合があり、pH10を超えると樹脂−白金複合体100と抗体を混合した際に凝集し分散が困難となる。ただし、強酸性により抗体が失活しない場合はpH2未満においても処理が可能である。
【0088】
工程Aは、第1のpH条件に調整した結合用緩衝液(Binding Buffer)中で行うことが好ましい。例えば、上記pHに調整した結合用緩衝液に所定量の樹脂−白金複合体100を混合し、十分に混和する。結合用緩衝液としては、例えば、所定濃度に調整したホウ酸溶液などを用いることができる。結合用緩衝液のpHの調整は、例えば塩酸、水酸化ナトリウムなどを用いて行うことができる。
【0089】
次に、得られた混合液に、所定量の抗体を添加し、十分に撹拌、混合することによって、標識抗体含有液を得ることができる。このようにして得られた標識抗体含有液は、例えば遠心分離などの固液分離手段により、固形部分として標識抗体150のみを分取できる。
【0090】
[工程B]
工程Bでは、工程Aで得られた標識抗体150を第2のpH条件で処理することによって、標識抗体150への非特異的な吸着を抑制するブロッキングを行う。この場合、固液分離手段によって分取しておいた標識抗体150を、第2のpH条件で液相中に分散させる。
【0091】
第2のpH条件は、抗体の活性を保ちかつ標識抗体150の凝集を抑制する観点から、例えばpH2〜10の範囲内が好ましく、標識抗体150の非特異的な吸着を抑制する観点から、pH5〜9の範囲内がより好ましい。ブロッキングの条件が、pH2未満では強酸性により抗体が変質し失活する場合があり、pH10を超えると標識抗体150が凝集してしまい分散が困難となる。
【0092】
工程Bは、第2のpH条件に調整したブロック用緩衝液(Blocking Buffer)を用いて行うことが好ましい。例えば、所定量の標識抗体150に上記pHに調整したブロック用緩衝液を添加し、ブロック用緩衝液中で標識抗体150を均一に分散させる。ブロック用緩衝液としては、例えば、被検出物と結合しない蛋白質の溶液を用いることが好ましい。ブロック用緩衝液に使用可能な蛋白質としては、例えば牛血清アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、ゼラチンなどを挙げることができる。より具体的には、所定濃度に調整した牛血清アルブミン溶液などを用いることが好ましい。ブロック用緩衝液のpHの調整は、例えば塩酸、水酸化ナトリウムなどを用いて行うことができる。標識抗体150の分散には、例えば超音波処理などの分散手段を用いることが好ましい。このようにして標識抗体150が均一分散した分散液が得られる。
【0093】
上記工程Aおよび工程Bにおいて、白金粒子20を有する樹脂−白金複合体100は、pHによる凝集が起こりにくく、酸性〜アルカリ性まで広い範囲のpHで処理が可能である。一方、例えば金粒子を有する樹脂−金複合体の場合は、工程Aにおいて、pH7超の条件では樹脂−金複合体同士で凝集する傾向にあり、また、工程Bにおいて、pH9超の条件では樹脂−金複合体同士で凝集する傾向にある。従って、本発明で用いる樹脂−白金複合体100は、標識抗体の作製条件の制限を受けにくいという利点もある。
【0094】
以上のようにして、標識抗体150の分散液が得られる。この分散液から、例えば遠心分離などの固液分離手段により、固形部分として標識抗体150のみを分取できる。また、必要に応じて、洗浄処理、保存処理などを実施することができる。以下、洗浄処理、保存処理について説明する。
【0095】
(洗浄処理)
洗浄処理は、固液分離手段によって分取した標識抗体150に洗浄用緩衝液を添加し、洗浄用緩衝液中で標識抗体150を均一に分散させる。分散には、例えば超音波処理などの分散手段を用いることが好ましい。洗浄用緩衝液としては、特に限定されるものではないが、例えばpH8〜9の範囲内に調整した所定濃度の、トリス(Tris)緩衝液、グリシンアミド緩衝液、アルギニン緩衝液などを用いることができる。洗浄用緩衝液のpHの調整は、例えば塩酸、水酸化ナトリウムなどを用いて行うことができる。標識抗体150の洗浄処理は、必要に応じて複数回を繰り返し行うことができる。
【0096】
(保存処理)
保存処理は、固液分離手段によって分取した標識抗体150に保存用緩衝液を添加し、保存用緩衝液中で標識抗体150を均一に分散させる。分散には、例えば超音波処理などの分散手段を用いることが好ましい。保存用緩衝液としては、例えば、洗浄用緩衝液に、所定濃度の凝集防止剤及び/又は安定剤を添加した溶液などを用いることができる。凝集防止剤としては、例えば、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロースに代表される糖類や、グリセリン、ポリビニルアルコールに代表される多価アルコールなどを用いることができる。安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば牛血清アルブミン、卵白アルブミン、カゼイン、ゼラチンなどの蛋白質を用いることができる。このようにして標識抗体150の保存処理を行うことができる。
【0097】
以上の各工程では、さらに必要に応じて、界面活性剤や、アジ化ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステルなどの防腐剤を用いることができる。
【0098】
[アナライト測定用キット]
本発明の一実施の形態に係るアナライト測定用キットは、例えばテストストリップ200を用いて、本実施の形態のアナライトの測定方法に基づき、試料中に含まれるアナライト160の検出又は定量するためのキットである。
【0099】
本実施の形態のアナライト測定用キットは、
メンブレン110と
メンブレン110に、前記アナライト160と特異的に結合する捕捉リガンド131が固定されてなる判定部130を含むテストストリップ200と、
アナライト160に特異的に結合する抗体を樹脂粒子10に複数の白金粒子20が固定化された構造を有する樹脂−白金複合体100で標識した標識抗体150を含む検出試薬と、
を含んでいる。本実施の形態のアナライト測定用キットは、必要に応じて、さらにその他の構成要素を含むものであってもよい。
【0100】
本実施の形態に係るアナライト測定用キットを使用するにあたっては、試料中のアナライト160と検出試薬中の標識抗体150とを接触させて工程(I)を実施した後、テストストリップ200の反応部又は試料添加部120に試料を供して、工程(II)、工程(III)を順次実施してもよい。あるいは、テストストリップ200の判定部130よりも上流側に、検出試薬を塗布して、適宜乾燥させて反応部を形成した後、形成された反応部あるいは該反応部よりも上流側の位置(例えば、試料添加部120)に試料を添加して、工程(I)〜(III)を順次実施してもよい。
【実施例】
【0101】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。以下の実施例、比較例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
【0102】
<樹脂−金属複合体の吸光度測定>
樹脂−金属複合体の吸光度は、光学用白板ガラス製セル(光路長10mm)に0.01wt%に調製した樹脂−金属複合体分散液(分散媒:水)を入れ、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製、MCPD−3700)を用いて、金の場合570nm、白金の場合700nmの吸光度を測定した。金の場合570nmでの吸光度が0.9以上を○(良好)、0.5〜0.9未満を△(可)、0.5未満を×(不可)とした。白金の場合700nmでの吸光度が0.6以上を○(良好)、0.1〜0.6未満を△(可)、0.1未満を×(不可)とした。なお、着色ラテックスについても、上記金及び白金と同様の基準で評価した。
【0103】
<固形分濃度測定及び金属担持量の測定>
磁製るつぼに濃度調整前の分散液1gを入れ、70℃、3時間熱処理を行った。熱処理前後の重量を測定し、下記式により固形分濃度を算出した。
【0104】
固形分濃度(wt%)=[乾燥後の重量(g)/ 乾燥前の重量(g)]× 100
【0105】
また、上記熱処理後のサンプルを、さらに500℃、5時間加熱処理を行い、加熱処理前後の重量を測定し、下記式より金属担持量を算出した。
金属担持量(wt%)=
[500℃加熱処理後の重量(g)/500℃加熱処理前の重量(g)]×100
【0106】
<樹脂−金属複合体の平均粒子径の測定>
ディスク遠心式粒度分布測定装置(CPS Disc Centrifuge DC24000 UHR、CPS instruments, Inc.社製)を用いて測定した。測定は、樹脂−金属複合体を水に分散させた状態で行った。
【0107】
<イムノクロマトグラフによる評価>
各実施例等で作製した樹脂−金属複合体標識抗体分散液を用いて、下記に示すイムノクロマト法での測定を行って樹脂−金属複合体分散液の性能を評価した。
(評価方法)
評価は、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーン(アドテック社製)を用い、5分後、10分後、15分後の発色レベルを比較した。性能評価において、抗原はインフルエンザA型陽性コントロール(APC)の2倍希釈列(1倍〜1024倍)を用いた(APC希釈前のウィルスの濃度は5000FFU/ml)。
(評価手順)
96ウェルプレートの各ウェルに、樹脂−金属複合体標識抗体分散液を3μlずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍)及び陰性コントロールを、それぞれ100μlを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μl添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。発色レベルは、金コロイド判定用色見本(アドテック社製)を用いて判定した。
【0108】
<金属粒子の平均粒子径の測定>
金属粒子の平均粒子径の測定は、樹脂−金属複合体分散液をカーボン支持膜付き金属性メッシュへ滴下して作製した基板を、電界放出形走査電子顕微鏡(STEM;日立ハイテクノロジーズ社製、SU−9000)により観測した画像から、金属粒子の面積平均径を測定した。
【0109】
<分散性の評価>
1wt%の樹脂−金属複合体0.1mLに結合用緩衝液0.9mLを添加し、十分に混合した。さらに抗インフルエンザA型モノクローナル抗体100μgを添加し、室温で3時間かけて転倒撹拌を行い、得られた樹脂−金属複合体標識抗体の分散性を目視で判定した。結合用緩衝液は以下の3種類で評価を行った。
結合用緩衝液a:100mM ホウ酸溶液をHClでpH≒3に調整した。
結合用緩衝液b:100mM ホウ酸溶液 pH≒6.5
結合用緩衝液c:100mM ホウ酸溶液をNaOHでpH≒8.5に調整した。
【0110】
分散性の判定は、樹脂−金属複合体標識抗体が凝集せず沈降しない場合は〇(良好)、樹脂−金属複合体標識抗体が凝集し沈降する場合は×(不良)とした。分散性評価の例を図4に示した。図4において、向かって左側は、樹脂−金属複合体標識抗体が凝集せず沈降していない場合を示し、右側は凝集し沈降した状態を示している。なお、図4は、樹脂−金複合体標識抗体についての結果を考慮して掲載したものである。
【0111】
[実施例1]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](3.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、49.50g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.50g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.250g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径370nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0112】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0113】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径382nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.70であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は38.5wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0114】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0115】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―白金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−白金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−白金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0116】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0117】
【表1】
【0118】
上記表1から、樹脂−白金複合体標識抗体は、512倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0119】
[実施例2]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.50g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、49.50g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.50g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径430nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0120】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0121】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径454nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.70であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は37.7wt%であった。得られた樹脂−白金複合体の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図5に、その断面の走査型透過電子顕微鏡(STEM)写真を図6に、それぞれ示した。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、白金粒子の98wt%が、樹脂粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲内に存在した。
【0122】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0123】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0124】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0125】
【表2】
【0126】
上記表2から、樹脂−白金複合体標識抗体は、1024倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0127】
[実施例3]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](2.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径380nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0128】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0129】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径393nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.74であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は6nm、白金の担持量は38.0wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、白金粒子の93wt%が、樹脂粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲内に存在していた。
【0130】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0131】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0132】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0133】
【表3】
【0134】
上記表3から、樹脂−白金複合体標識抗体は、512倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0135】
[実施例4]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径420nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0136】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0137】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径432nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.77であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は38.2wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、白金粒子の97wt%が、樹脂粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲内に存在していた。
【0138】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0139】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0140】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0141】
【表4】
【0142】
上記表4から、樹脂−白金複合体標識抗体は、1024倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0143】
[実施例5]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](5.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を389.5gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、50.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径200nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0144】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0145】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径215nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.57であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は6nm、白金の担持量は37.1wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、白金粒子の83wt%が、樹脂粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲内に存在していた。
【0146】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0147】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0148】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0149】
【表5】
【0150】
上記表5から、樹脂−白金複合体標識抗体は、128倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0151】
[実施例6]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](2.50g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、5.00g)を400gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、24.75g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.25g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、22.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.25g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径140nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0152】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0153】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径154nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.48であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は3nm、白金の担持量は34.5wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0154】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0155】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0156】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0157】
【表6】
【0158】
上記表6から、樹脂−白金複合体標識抗体は、64倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0159】
[実施例7]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](0.25g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、5.00g)を325gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、24.75g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.25g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.25g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径260nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0160】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0161】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径265nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.83であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は3nm、白金の担持量は35.8wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0162】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0163】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0164】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0165】
【表7】
【0166】
上記表7から、樹脂−白金複合体標識抗体は、128倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0167】
[実施例8]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](0.50g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、49.50g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.50g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を1分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径512nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0168】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0169】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径537nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.75であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は6nm、白金の担持量は39.0wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0170】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0171】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0172】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0173】
【表8】
【0174】
上記表8から、樹脂−白金複合体標識抗体は、1024倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0175】
[実施例9]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径420nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0176】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0177】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を120分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径432nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.72であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は28nm、白金の担持量は38.2wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0178】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0179】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0180】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0181】
【表9】
【0182】
上記表9から、樹脂−白金複合体標識抗体は、512倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0183】
[比較例1]
<イムノクロマトの評価>
着色ラテックス(メルクミリポア社製、着色Estapor機能性粒子、K1030、平均粒子径;392nm、570nmでの吸光度は0.83、700nmでの吸光度は0.36)1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して着色ラテックスに抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して着色ラテックスをブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して着色ラテックス標識抗体を作製した。
作製した着色ラテックス標識抗体を用いて、下記に示すイムノクロマト法での測定を行って着色ラテックスの性能を評価した。
(評価方法)
評価は、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーン(アドテック社製)を用い、5分後、10分後、15分後の発色レベルを比較した。性能評価において、抗原はインフルエンザA型陽性コントロール(APC)の2倍希釈列(1倍〜1024倍)を用いた(APC希釈前のウィルスの濃度は5000FFU/ml)。
(評価手順)
96ウェルプレートの各ウェルに、着色ラテックス標識抗体を3μlずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍)及び陰性コントロールを、それぞれ100μlを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μl添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。発色レベルは、金コロイド判定用色見本(アドテック社製)を用いて判定した。その結果を以下に示した。
【0184】
【表10】
【0185】
上記表10から、着色ラテックス標識抗体は、16倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0186】
以上の実施例1〜9、比較例1における700nmでの吸光度の測定結果をまとめて表11及び表12に示した。
【0187】
【表11】
【0188】
【表12】
【0189】
[比較例2]
〈金コロイドの合成〉
500ml三つ口丸底フラスコに1mM 塩化金酸水溶液を250ml入れ、加熱還流装置を用い、激しく攪拌しながら沸騰させ、沸騰後38.8mMクエン酸ナトリウム水溶液を25ml添加し、溶液が淡黄色から濃紅色に変化することを確認した。攪拌しながら10分間加熱を続けた後、室温で30分程度攪拌放冷をおこなった。孔径2μmのメンブランフィルターを用いて溶液をろ過し、三角フラスコに移し冷暗所で保存した。作製した金コロイドの平均粒径は12.3nmであった。また、吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.32であった。
【0190】
<イムノクロマトの評価>
得られた金コロイド1ml(OD=10)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して金コロイドに抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して金コロイド表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して金コロイド標識抗体を作製した。
作製した金コロイド標識抗体を用いて、下記に示すイムノクロマト法での測定を行って金コロイドの性能を評価した。
(評価方法)
評価は、比較例1と同様にして行った。
(評価手順)
96ウェルプレートの各ウェルに、金コロイド標識抗体を3μlずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍)及び陰性コントロールを、それぞれ100μlを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μl添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。発色レベルは、金コロイド判定用色見本(アドテック社製)を用いて判定した。その結果を以下に示した。
【0191】
【表13】
【0192】
上記表13から、金コロイド標識抗体は、32倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0193】
[比較例3]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径420nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0194】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0195】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径438nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.98であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は25.0nm、金の担持量は54.7wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0196】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0197】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂−金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0198】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0199】
【表14】
【0200】
上記表14から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0201】
[比較例4]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](2.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径380nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0202】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0203】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径399nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.96であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は25.0nm、金の担持量は53.2wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、金粒子は表層部に100%存在していた。
【0204】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0205】
〈イムノクロマトの評価〉
比較例3と同様の操作を行い、樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0206】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0207】
【表15】
【0208】
上記表15から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0209】
[比較例5]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](3.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、49.50g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.50g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.250g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径370nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0210】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0211】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径393nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.92であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は14.9nm、金の担持量は55.8wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、金粒子は表層部に71%存在していた。
【0212】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0213】
〈イムノクロマトの評価〉
比較例3と同様の操作を行い、樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0214】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0215】
【表16】
【0216】
上記表16から、樹脂−金複合体標識抗体は、64倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0217】
[比較例6]
<樹脂粒子の合成>
450gの純水に、2−ビニルピリジン(2−VP、9.945g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.097g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、10.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.100g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径290nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0218】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0219】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)と528mMのホウ酸水溶液(10ml)の混合溶液を4分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径295nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.35であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は9.0nm、金の担持量は50.4wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0220】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0221】
〈イムノクロマトの評価〉
比較例3と同様の操作を行い、樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0222】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0223】
【表17】
【0224】
上記表17から、樹脂−金複合体標識抗体は、64倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0225】
[比較例7]
<樹脂粒子の合成>
450gの純水に2−ビニルピリジン(2−VP、9.90g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.10g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、10.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.100g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径110nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、120分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0226】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0227】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)と528mMのホウ酸水溶液(10ml)の混合溶液を4分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径120nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.14であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は13.0nm、金の担持量は52.0wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0228】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0229】
〈イムノクロマトの評価〉
比較例3と同様の操作を行い、樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0230】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0231】
【表18】
【0232】
上記表18から、樹脂−金複合体標識抗体は、32倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0233】
以上の比較例1〜7における570nmでの吸光度の測定結果をまとめて表19に示した。
【0234】
【表19】
【0235】
[実施例10]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、4−ビニルピリジン(4−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径438nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0236】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0237】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径447nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.80であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は37.5wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0238】
[実施例11]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、3−ビニルピリジン(3−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径429nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0239】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0240】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径436nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.81であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は38.1wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0241】
[実施例12]
2−(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリレート(DPA、10.3g)、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート(0.2g)とポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、2.0g)を85gの純水に溶解した後、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで70℃で30分間撹拌した。撹拌後、2.00gの純水に溶解したペルオキソ二硫酸アンモニウム(ASP、0.10g)を2分間かけて滴下し、150rpm、70℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径338nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0242】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0243】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径351nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.75であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は6nm、白金の担持量は37.9wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0244】
[実施例13]
実施例9で作製した1wt%樹脂-白金複合体分散液(45ml)に、400mM塩化白金酸水溶液(36ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(2500rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、10wt%の白金イオンを吸着した樹脂-白金複合体分散液を調製した。
【0245】
次に、純水383mlに前記10wt%の白金イオンを吸着した樹脂-白金複合体分散液(5.5ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を120分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径454nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(2500rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.02であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は38nm、白金の担持量は51.0wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0246】
[実施例14]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](0.50g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を0.5分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径613nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、40分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0247】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0248】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径675nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.85であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は7nm、白金の担持量は38.2wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0249】
[実施例15]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](5.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を389.5gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、50.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径200nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0250】
上記樹脂粒子分散液(80ml)に純水308mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(12ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(5100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0251】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径205nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(5100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.17であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は7.1wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0252】
[実施例16]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](5.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を389.5gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、50.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径200nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0253】
上記樹脂粒子分散液(80ml)に純水296mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(12ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(5100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0254】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径210nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(5100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.33であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は15.4wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0255】
[実施例17]
実施例3で得た樹脂−白金複合体に対し、上記白金イオンを吸着させる工程、及び、ジメチルアミンボラン水溶液による還元工程をさらに1回(通算2回)行うことによって1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。このようにして作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度を上記方法に従って測定した結果、1.07であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は9nm、白金の担持量は51.0wt%、樹脂−白金複合体の平均粒子径は399nmであった。
【0256】
また、上記白金イオンを吸着させる工程、及びジメチルアミンボラン水溶液による還元工程をさらに2回(通算4回)行うことによって樹脂−白金複合体分散液を得た。このようにして作製した樹脂−白金複合体の1wt%分散液の吸光度を上記方法に従って測定した結果、1.24であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は11nm、白金の担持量は59.1wt%、樹脂−白金複合体の平均粒子径は403nmであった。
【0257】
以上の実施例10〜17における700nmでの吸光度の測定結果をまとめて表20及び表21に示した。
【0258】
【表20】
【0259】
【表21】
【0260】
[標識抗体の作製に関する試験例]
[作製例1]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及びポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、2.00g)を80gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、9.90g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.100g)を加え、窒素気流下において250rpm、60℃で30分間撹拌した。撹拌後、9.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.100g)を5分間かけて滴下し、250rpm、60℃で6時間撹拌することで、平均粒子径0.36μmの樹脂粒子を得た。樹脂粒子を遠心分離(9000rpm、10分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させ、2.1wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0261】
<樹脂−白金複合体の合成>
2.1wt%の樹脂粒子分散液(7.62g)に30mM塩化白金酸水溶液(42.7g)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3000rpm、10分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去することで余分な塩化白金酸を除去した後、16gの純水に再度分散させ、白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。白金イオン吸着樹脂粒子分散液(16g)を3.3mMのジメチルアミンボラン水溶液(640ml)に2分間かけて滴下した後、3℃で1時間撹拌し、さらに室温で3時間撹拌することで、平均粒子径0.37μmの樹脂−白金複合体を得た。この樹脂−白金複合体を遠心分離(3000rpm、120分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、適量の純水を加えて再度分散させ、限外濾過膜により精製することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。この樹脂−白金複合体分散液中の樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.70であった。また、前記樹脂−白金複合体分散液中の樹脂−白金複合体における白金粒子の平均粒子径は3nm、白金の担持量は33.3wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0262】
[作製例2]
<樹脂−金複合体の合成>
作製例1で合成した2.1wt%の樹脂粒子分散液(19.09g)に30mM塩化金酸水溶液(106.6g)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3000rpm、10分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去することで余分な塩化金酸を除去した後、40gの純水に再度分散させ、金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。金イオン吸着樹脂粒子分散液(20g)を3.3mMのジメチルアミンボラン水溶液(600ml)に4分間かけて滴下した後、8℃で1時間撹拌し、さらに室温で5時間撹拌することで、平均粒子径0.38μmの樹脂−金複合体を得た。樹脂−金複合体を遠心分離(3000rpm、120分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、適量の純水を加えて再度分散させ、限外濾過膜により精製することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。この樹脂−金複合体分散液中の樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.0であった。また、樹脂−金複合体における金粒子の平均粒子径は22.0nm、金の担持量は49.1wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0263】
[試薬等]
試験例、参考試験例では以下の試薬等を使用した。
抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(7.15mg/mL/PBS):アドテック株式会社製
結合用緩衝液a:100mM ホウ酸溶液をNaOHでpH≒8.5に調整した。
結合用緩衝液b:100mM ホウ酸溶液をNaOHでpH≒7.5に調整した。
ブロック用緩衝液a:1重量%牛血清アルブミン溶液をHClでpH≒8.5に調整した。
ブロック用緩衝液b:1重量%牛血清アルブミン溶液をHClでpH≒9.5に調整した。
洗浄用緩衝液:5mMトリス溶液をHClでpH≒8.5に調整した。
保存用緩衝液:洗浄用緩衝液に、スクロースを10重量%濃度になるように添加した。
インフルエンザA型陽性コントロール(APC):インフルエンザA型ウィルス不活化抗原(アドテック株式会社製)を、検体処理液(アドテック株式会社製)を用いて100倍希釈して調製した。APCの抗原濃度は、5000FFU/mlに相当する。
陰性コントロール:検体処理液(アドテック株式会社製)
PtNCPビーズ:作製例1で得た樹脂−白金複合体(1重量%;平均粒子径370nm)
AuNCPビーズ:作製例2で得た樹脂−金複合体(1重量%;平均粒子径380nm)
【0264】
[試験例1]
(結合工程)
マイクロチューブ[アイビス(登録商標;アズワン社製)2mL]に、樹脂−金属複合体としてPtNCPビーズ0.1mLを投入し、結合用緩衝液a0.9mLを添加した。転倒混和によって十分に混合した後、抗インフルエンザA型モノクローナル抗体100μgを添加し、室温で3時間かけて転倒撹拌を行い、樹脂−白金複合体で標識した抗インフルエンザA型モノクローナル抗体を含む標識抗体含有液A−1を得た。
【0265】
(ブロック工程)
次に、標識抗体含有液A−1を氷冷後、12000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、固形分残渣にブロック用緩衝液a1mLを添加し、10〜20秒間かけて超音波分散処理を行い、さらに、室温で2時間かけて転倒撹拌を行い、標識抗体含有液B−1を得た。
【0266】
(洗浄処理)
次に、標識抗体含有液B−1を氷冷後、12000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、固形分残渣に洗浄用緩衝液1mLを添加し、10〜20秒間かけて超音波分散処理を行った。この操作を3回繰り返し、洗浄処理とした。
【0267】
(保存処理)
次に、氷冷後、12000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、固形分残渣に保存用緩衝液1mLを添加し、10〜20秒間かけて超音波分散処理を行うことによって、標識抗体含有液C−1を得た。
【0268】
<性能評価>
96ウェルプレートの12ウェルに、標識抗体含有液C−1を3μLずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍希釈、それぞれAPC×1〜APC×1024と表す)及び陰性コントロールを、それぞれ100μLを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μL添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。その結果を表22に示した。なお、表22における数値が大きい程、発色レベルが高い(発色が強い)ことを意味する。
【0269】
【表22】
【0270】
表22から、標識抗体含有液C−1は、256倍希釈の抗原に対しても良好な発色を示し、優れた標識性能を有することが確認された。
【0271】
[参考試験例1]
試験例1の結合工程で、PtNCPビーズの代わりにAuNCPビーズを用い、結合用緩衝液aの代わりに結合用緩衝液bを用いた場合、樹脂−金複合体が凝集してしまうため、標識抗体含有液を得ることが困難であった。
【0272】
[参考試験例2]
試験例1の結合工程で、PtNCPビーズの代わりにAuNCPビーズを用いた場合、樹脂−金複合体が凝集してしまうため、標識抗体含有液を得ることが困難であった。
【0273】
[参考試験例3]
試験例1の結合工程で、PtNCPビーズの代わりにAuNCPビーズを用い、ブロック工程でブロック用緩衝液aの代わりにブロック用緩衝液bを用いたところ、樹脂−金複合体が凝集してしまうため、標識抗体含有液を得ることが困難であった。
【0274】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。例えば、上記実施の形態では、本発明の樹脂−白金複合体を、免疫学的測定に適用する場合について詳細に述べた。しかし、本発明の樹脂−白金複合体は、免疫学的測定に限らず、他の用途への適用も可能である。特に、本発明の樹脂−白金複合体は、抗原や抗体などのリガンドと結合させた状態で優れた分散性を発揮するため、医薬などの用途への利用に適している。
【符号の説明】
【0275】
10…樹脂粒子、20…白金粒子、30…内包粒子、40…一部露出粒子、50…表面吸着粒子、60…表層部、100…樹脂−白金複合体、110…メンブレン、120…試料添加部、130…判定部、131…捕捉リガンド、140…吸液部、150…標識抗体、160…アナライト、170…複合体、200…テストストリップ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6