【実施例】
【0101】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。以下の実施例、比較例において特にことわりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
【0102】
<樹脂−金属複合体の吸光度測定>
樹脂−金属複合体の吸光度は、光学用白板ガラス製セル(光路長10mm)に0.01wt%に調製した樹脂−金属複合体分散液(分散媒:水)を入れ、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製、MCPD−3700)を用いて、金の場合570nm、白金の場合700nmの吸光度を測定した。金の場合570nmでの吸光度が0.9以上を○(良好)、0.5〜0.9未満を△(可)、0.5未満を×(不可)とした。白金の場合700nmでの吸光度が0.6以上を○(良好)、0.1〜0.6未満を△(可)、0.1未満を×(不可)とした。なお、着色ラテックスについても、上記金及び白金と同様の基準で評価した。
【0103】
<固形分濃度測定及び金属担持量の測定>
磁製るつぼに濃度調整前の分散液1gを入れ、70℃、3時間熱処理を行った。熱処理前後の重量を測定し、下記式により固形分濃度を算出した。
【0104】
固形分濃度(wt%)=[乾燥後の重量(g)/ 乾燥前の重量(g)]× 100
【0105】
また、上記熱処理後のサンプルを、さらに500℃、5時間加熱処理を行い、加熱処理前後の重量を測定し、下記式より金属担持量を算出した。
金属担持量(wt%)=
[500℃加熱処理後の重量(g)/500℃加熱処理前の重量(g)]×100
【0106】
<樹脂−金属複合体の平均粒子径の測定>
ディスク遠心式粒度分布測定装置(CPS Disc Centrifuge DC24000 UHR、CPS instruments, Inc.社製)を用いて測定した。測定は、樹脂−金属複合体を水に分散させた状態で行った。
【0107】
<イムノクロマトグラフによる評価>
各実施例等で作製した樹脂−金属複合体標識抗体分散液を用いて、下記に示すイムノクロマト法での測定を行って樹脂−金属複合体分散液の性能を評価した。
(評価方法)
評価は、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーン(アドテック社製)を用い、5分後、10分後、15分後の発色レベルを比較した。性能評価において、抗原はインフルエンザA型陽性コントロール(APC)の2倍希釈列(1倍〜1024倍)を用いた(APC希釈前のウィルスの濃度は5000FFU/ml)。
(評価手順)
96ウェルプレートの各ウェルに、樹脂−金属複合体標識抗体分散液を3μlずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍)及び陰性コントロールを、それぞれ100μlを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μl添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。発色レベルは、金コロイド判定用色見本(アドテック社製)を用いて判定した。
【0108】
<金属粒子の平均粒子径の測定>
金属粒子の平均粒子径の測定は、樹脂−金属複合体分散液をカーボン支持膜付き金属性メッシュへ滴下して作製した基板を、電界放出形走査電子顕微鏡(STEM;日立ハイテクノロジーズ社製、SU−9000)により観測した画像から、金属粒子の面積平均径を測定した。
【0109】
<分散性の評価>
1wt%の樹脂−金属複合体0.1mLに結合用緩衝液0.9mLを添加し、十分に混合した。さらに抗インフルエンザA型モノクローナル抗体100μgを添加し、室温で3時間かけて転倒撹拌を行い、得られた樹脂−金属複合体標識抗体の分散性を目視で判定した。結合用緩衝液は以下の3種類で評価を行った。
結合用緩衝液a:100mM ホウ酸溶液をHClでpH≒3に調整した。
結合用緩衝液b:100mM ホウ酸溶液 pH≒6.5
結合用緩衝液c:100mM ホウ酸溶液をNaOHでpH≒8.5に調整した。
【0110】
分散性の判定は、樹脂−金属複合体標識抗体が凝集せず沈降しない場合は〇(良好)、樹脂−金属複合体標識抗体が凝集し沈降する場合は×(不良)とした。分散性評価の例を
図4に示した。
図4において、向かって左側は、樹脂−金属複合体標識抗体が凝集せず沈降していない場合を示し、右側は凝集し沈降した状態を示している。なお、
図4は、樹脂−金複合体標識抗体についての結果を考慮して掲載したものである。
【0111】
[実施例1]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](3.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、49.50g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.50g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.250g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径370nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0112】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0113】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径382nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.70であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は38.5wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0114】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0115】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂―白金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−白金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−白金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0116】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0117】
【表1】
【0118】
上記表1から、樹脂−白金複合体標識抗体は、512倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0119】
[実施例2]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.50g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、49.50g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.50g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径430nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0120】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0121】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径454nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.70であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は37.7wt%であった。得られた樹脂−白金複合体の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図5に、その断面の走査型透過電子顕微鏡(STEM)写真を
図6に、それぞれ示した。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、白金粒子の98wt%が、樹脂粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲内に存在した。
【0122】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0123】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0124】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0125】
【表2】
【0126】
上記表2から、樹脂−白金複合体標識抗体は、1024倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0127】
[実施例3]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](2.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径380nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0128】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0129】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径393nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.74であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は6nm、白金の担持量は38.0wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、白金粒子の93wt%が、樹脂粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲内に存在していた。
【0130】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0131】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0132】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0133】
【表3】
【0134】
上記表3から、樹脂−白金複合体標識抗体は、512倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0135】
[実施例4]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径420nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0136】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0137】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径432nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.77であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は38.2wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、白金粒子の97wt%が、樹脂粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲内に存在していた。
【0138】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0139】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0140】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0141】
【表4】
【0142】
上記表4から、樹脂−白金複合体標識抗体は、1024倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0143】
[実施例5]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](5.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を389.5gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、50.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径200nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0144】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0145】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径215nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.57であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は6nm、白金の担持量は37.1wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、白金粒子の83wt%が、樹脂粒子の表面から、深さ方向に粒子半径の40%の範囲内に存在していた。
【0146】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0147】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0148】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0149】
【表5】
【0150】
上記表5から、樹脂−白金複合体標識抗体は、128倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0151】
[実施例6]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](2.50g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、5.00g)を400gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、24.75g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.25g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、22.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.25g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径140nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0152】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0153】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径154nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.48であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は3nm、白金の担持量は34.5wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0154】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0155】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0156】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0157】
【表6】
【0158】
上記表6から、樹脂−白金複合体標識抗体は、64倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0159】
[実施例7]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](0.25g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、5.00g)を325gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、24.75g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.25g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.25g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径260nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0160】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0161】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径265nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.83であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は3nm、白金の担持量は35.8wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0162】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0163】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0164】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0165】
【表7】
【0166】
上記表7から、樹脂−白金複合体標識抗体は、128倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0167】
[実施例8]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](0.50g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、49.50g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.50g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を1分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径512nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0168】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0169】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径537nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.75であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は6nm、白金の担持量は39.0wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0170】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0171】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0172】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0173】
【表8】
【0174】
上記表8から、樹脂−白金複合体標識抗体は、1024倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0175】
[実施例9]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.50g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径420nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0176】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0177】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を120分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径432nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整を行い1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.72であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は28nm、白金の担持量は38.2wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0178】
得られた樹脂−白金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、b、cすべてで○であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH8.5(結合用緩衝液c)で行った。
【0179】
〈イムノクロマトの評価〉
実施例1と同様の操作を行い、樹脂−白金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0180】
作製した樹脂−白金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−白金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0181】
【表9】
【0182】
上記表9から、樹脂−白金複合体標識抗体は、512倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0183】
[比較例1]
<イムノクロマトの評価>
着色ラテックス(メルクミリポア社製、着色Estapor機能性粒子、K1030、平均粒子径;392nm、570nmでの吸光度は0.83、700nmでの吸光度は0.36)1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して着色ラテックスに抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して着色ラテックスをブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して着色ラテックス標識抗体を作製した。
作製した着色ラテックス標識抗体を用いて、下記に示すイムノクロマト法での測定を行って着色ラテックスの性能を評価した。
(評価方法)
評価は、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーン(アドテック社製)を用い、5分後、10分後、15分後の発色レベルを比較した。性能評価において、抗原はインフルエンザA型陽性コントロール(APC)の2倍希釈列(1倍〜1024倍)を用いた(APC希釈前のウィルスの濃度は5000FFU/ml)。
(評価手順)
96ウェルプレートの各ウェルに、着色ラテックス標識抗体を3μlずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍)及び陰性コントロールを、それぞれ100μlを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μl添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。発色レベルは、金コロイド判定用色見本(アドテック社製)を用いて判定した。その結果を以下に示した。
【0184】
【表10】
【0185】
上記表10から、着色ラテックス標識抗体は、16倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0186】
以上の実施例1〜9、比較例1における700nmでの吸光度の測定結果をまとめて表11及び表12に示した。
【0187】
【表11】
【0188】
【表12】
【0189】
[比較例2]
〈金コロイドの合成〉
500ml三つ口丸底フラスコに1mM 塩化金酸水溶液を250ml入れ、加熱還流装置を用い、激しく攪拌しながら沸騰させ、沸騰後38.8mMクエン酸ナトリウム水溶液を25ml添加し、溶液が淡黄色から濃紅色に変化することを確認した。攪拌しながら10分間加熱を続けた後、室温で30分程度攪拌放冷をおこなった。孔径2μmのメンブランフィルターを用いて溶液をろ過し、三角フラスコに移し冷暗所で保存した。作製した金コロイドの平均粒径は12.3nmであった。また、吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.32であった。
【0190】
<イムノクロマトの評価>
得られた金コロイド1ml(OD=10)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して金コロイドに抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して金コロイド表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して金コロイド標識抗体を作製した。
作製した金コロイド標識抗体を用いて、下記に示すイムノクロマト法での測定を行って金コロイドの性能を評価した。
(評価方法)
評価は、比較例1と同様にして行った。
(評価手順)
96ウェルプレートの各ウェルに、金コロイド標識抗体を3μlずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍)及び陰性コントロールを、それぞれ100μlを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μl添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。発色レベルは、金コロイド判定用色見本(アドテック社製)を用いて判定した。その結果を以下に示した。
【0191】
【表13】
【0192】
上記表13から、金コロイド標識抗体は、32倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0193】
[比較例3]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径420nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0194】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0195】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径438nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.98であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は25.0nm、金の担持量は54.7wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0196】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0197】
〈イムノクロマトの評価〉
得られた樹脂−金複合体分散液1ml(0.1wt%)にインフルエンザ抗体を100μg混合し、室温で約3時間攪拌して樹脂−金複合体に抗体を結合させた。終濃度が1%となるように牛血清アルブミン溶液を添加し、室温にて2時間攪拌して樹脂−金複合体表面をブロックした。12000rpm、4℃で5分間遠心分離を行って回収し、0.2%牛血清アルブミンを含む緩衝液に懸濁して樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0198】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0199】
【表14】
【0200】
上記表14から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0201】
[比較例4]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](2.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径380nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0202】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0203】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径399nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.96であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は25.0nm、金の担持量は53.2wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、金粒子は表層部に100%存在していた。
【0204】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0205】
〈イムノクロマトの評価〉
比較例3と同様の操作を行い、樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0206】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0207】
【表15】
【0208】
上記表15から、樹脂−金複合体標識抗体は、256倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0209】
[比較例5]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](3.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、49.50g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.50g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.250g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径370nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0210】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0211】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)を2分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径393nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.92であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は14.9nm、金の担持量は55.8wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。なお、金粒子は表層部に71%存在していた。
【0212】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0213】
〈イムノクロマトの評価〉
比較例3と同様の操作を行い、樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0214】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0215】
【表16】
【0216】
上記表16から、樹脂−金複合体標識抗体は、64倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0217】
[比較例6]
<樹脂粒子の合成>
450gの純水に、2−ビニルピリジン(2−VP、9.945g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.097g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、10.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.100g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径290nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0218】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0219】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)と528mMのホウ酸水溶液(10ml)の混合溶液を4分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径295nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.35であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は9.0nm、金の担持量は50.4wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0220】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0221】
〈イムノクロマトの評価〉
比較例3と同様の操作を行い、樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0222】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0223】
【表17】
【0224】
上記表17から、樹脂−金複合体標識抗体は、64倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0225】
[比較例7]
<樹脂粒子の合成>
450gの純水に2−ビニルピリジン(2−VP、9.90g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.10g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、10.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.100g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径110nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、120分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0226】
上記樹脂粒子分散液(50ml)に純水1233mlを加えた後、30mM塩化金酸水溶液(100ml)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0227】
次に、純水1580mlに前記2.5wt%金イオン吸着樹脂粒子分散液(42.4ml)を加え、160rpm、20℃で撹拌しながら、528mMのジメチルアミンボラン水溶液(10ml)と528mMのホウ酸水溶液(10ml)の混合溶液を4分間かけて滴下した後、室温で2時間撹拌することで、平均粒子径120nmの樹脂−金複合体を得た。前記樹脂−金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製、濃度調整することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。作製した樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.14であった。また、形成した金粒子の平均粒子径は13.0nm、金の担持量は52.0wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0228】
得られた樹脂−金複合体を用いて、上記「分散性の評価」に従い、抗体を結合させたときの分散性を評価したところ、結合用緩衝液a、bは○であったが、cでは×であった。従って、以下のイムノクロマトの評価では、インフルエンザ抗体の結合及び牛血清アルブミンでのブロックをpH3.0(結合用緩衝液a)で行った。
【0229】
〈イムノクロマトの評価〉
比較例3と同様の操作を行い、樹脂−金複合体標識抗体分散液を作製した。
【0230】
作製した樹脂−金複合体標識抗体分散液を用いて、イムノクロマト法での測定を行って当該樹脂−金複合体分散液の性能を評価した。その結果を以下に示した。
【0231】
【表18】
【0232】
上記表18から、樹脂−金複合体標識抗体は、32倍希釈の抗原に対して良好な発色を示すことが確認された。
【0233】
以上の比較例1〜7における570nmでの吸光度の測定結果をまとめて表19に示した。
【0234】
【表19】
【0235】
[実施例10]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、4−ビニルピリジン(4−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径438nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0236】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0237】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径447nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.80であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は37.5wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0238】
[実施例11]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、3−ビニルピリジン(3−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径429nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0239】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0240】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径436nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.81であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は38.1wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0241】
[実施例12]
2−(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリレート(DPA、10.3g)、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート(0.2g)と
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、2.0g)を85gの純水に溶解した後、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで70℃で30分間撹拌した。撹拌後、2.00gの純水に溶解したペルオキソ二硫酸アンモニウム(ASP、0.10g)を2分間かけて滴下し、150rpm、70℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径338nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、45分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0242】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0243】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径351nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.75であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は6nm、白金の担持量は37.9wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0244】
[実施例13]
実施例9で作製した1wt%樹脂-白金複合体分散液(45ml)に、400mM塩化白金酸水溶液(36ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(2500rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、10wt%の白金イオンを吸着した樹脂-白金複合体分散液を調製した。
【0245】
次に、純水383mlに前記10wt%の白金イオンを吸着した樹脂-白金複合体分散液(5.5ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を120分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径454nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(2500rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.02であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は38nm、白金の担持量は51.0wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0246】
[実施例14]
Aliquat 336[アルドリッチ社製](0.50g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を300gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、18.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を0.5分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径613nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、40分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0247】
上記樹脂粒子分散液(90ml)に純水245mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(90ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0248】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径675nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(3100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.85であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は7nm、白金の担持量は38.2wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0249】
[実施例15]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](5.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を389.5gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、50.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径200nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0250】
上記樹脂粒子分散液(80ml)に純水308mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(12ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(5100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0251】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径205nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(5100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.17であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は7.1wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0252】
[実施例16]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](5.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、10.00g)を389.5gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、48.00g)及びジビニルベンゼン(DVB、2.00g)を加え、窒素気流下において150rpm、30℃で50分間、次いで60℃で30分間撹拌した。撹拌後、50.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.500g)を2分間かけて滴下し、150rpm、60℃で3.5時間撹拌することで、平均粒子径200nmの樹脂粒子を得た。遠心分離(9000rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる操作を3回行った後、透析処理により不純物を除去した。その後、濃度調整を行い10wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0253】
上記樹脂粒子分散液(80ml)に純水296mlを加えた後、400mM塩化白金酸水溶液(12ml)を加え、60rpm、30℃で3時間撹拌後、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(5100rpm、30分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去する作業を3回繰り返すことで余分な塩化白金酸を除去した。その後、濃度調整を行い、5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。
【0254】
次に、純水3825mlに前記5wt%白金イオン吸着樹脂粒子分散液(55ml)を加え、160rpm、3℃で撹拌しながら、132mMのジメチルアミンボラン水溶液(110ml)を20分間かけて滴下した後、160rpm、3℃で1時間撹拌した。その後、160rpm、25℃で3時間撹拌することで、平均粒子径210nmの樹脂−白金複合体を得た。前記樹脂−白金複合体を遠心分離(5100rpm、60分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させる作業を3回繰り返した後、透析処理により精製することで、不純物を取り除いた。その後、濃度調整することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。作製した樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.33であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は5nm、白金の担持量は15.4wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0255】
[実施例17]
実施例3で得た樹脂−白金複合体に対し、上記白金イオンを吸着させる工程、及び、ジメチルアミンボラン水溶液による還元工程をさらに1回(通算2回)行うことによって1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。このようにして作製した樹脂−白金複合体分散液の吸光度を上記方法に従って測定した結果、1.07であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は9nm、白金の担持量は51.0wt%、樹脂−白金複合体の平均粒子径は399nmであった。
【0256】
また、上記白金イオンを吸着させる工程、及びジメチルアミンボラン水溶液による還元工程をさらに2回(通算4回)行うことによって樹脂−白金複合体分散液を得た。このようにして作製した樹脂−白金複合体の1wt%分散液の吸光度を上記方法に従って測定した結果、1.24であった。また、形成した白金粒子の平均粒子径は11nm、白金の担持量は59.1wt%、樹脂−白金複合体の平均粒子径は403nmであった。
【0257】
以上の実施例10〜17における700nmでの吸光度の測定結果をまとめて表20及び表21に示した。
【0258】
【表20】
【0259】
【表21】
【0260】
[標識抗体の作製に関する試験例]
[作製例1]
<樹脂粒子の合成>
Aliquat 336[アルドリッチ社製](1.00g)及び
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGMA、2.00g)を80gの純水に溶解した後、2−ビニルピリジン(2−VP、9.90g)及びジビニルベンゼン(DVB、0.100g)を加え、窒素気流下において250rpm、60℃で30分間撹拌した。撹拌後、9.00gの純水に溶解した2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AIBA、0.100g)を5分間かけて滴下し、250rpm、60℃で6時間撹拌することで、平均粒子径0.36μmの樹脂粒子を得た。樹脂粒子を遠心分離(9000rpm、10分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、純水に再度分散させ、2.1wt%の樹脂粒子分散液を得た。
【0261】
<樹脂−白金複合体の合成>
2.1wt%の樹脂粒子分散液(7.62g)に30mM塩化白金酸水溶液(42.7g)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3000rpm、10分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去することで余分な塩化白金酸を除去した後、16gの純水に再度分散させ、白金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。白金イオン吸着樹脂粒子分散液(16g)を3.3mMのジメチルアミンボラン水溶液(640ml)に2分間かけて滴下した後、3℃で1時間撹拌し、さらに室温で3時間撹拌することで、平均粒子径0.37μmの樹脂−白金複合体を得た。この樹脂−白金複合体を遠心分離(3000rpm、120分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、適量の純水を加えて再度分散させ、限外濾過膜により精製することで、1wt%の樹脂−白金複合体分散液を得た。この樹脂−白金複合体分散液中の樹脂−白金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、0.70であった。また、前記樹脂−白金複合体分散液中の樹脂−白金複合体における白金粒子の平均粒子径は3nm、白金の担持量は33.3wt%であった。この樹脂−白金複合体において、白金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包白金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出白金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着白金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の白金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0262】
[作製例2]
<樹脂−金複合体の合成>
作製例1で合成した2.1wt%の樹脂粒子分散液(19.09g)に30mM塩化金酸水溶液(106.6g)を加え、室温で24時間放置した。その後、遠心分離(3000rpm、10分間)により樹脂粒子を沈殿させ、上澄みを除去することで余分な塩化金酸を除去した後、40gの純水に再度分散させ、金イオン吸着樹脂粒子分散液を調製した。金イオン吸着樹脂粒子分散液(20g)を3.3mMのジメチルアミンボラン水溶液(600ml)に4分間かけて滴下した後、8℃で1時間撹拌し、さらに室温で5時間撹拌することで、平均粒子径0.38μmの樹脂−金複合体を得た。樹脂−金複合体を遠心分離(3000rpm、120分間)により沈殿させ、上澄みを除去した後、適量の純水を加えて再度分散させ、限外濾過膜により精製することで、1wt%の樹脂−金複合体分散液を得た。この樹脂−金複合体分散液中の樹脂−金複合体の吸光度は上記方法に従って測定した結果、1.0であった。また、樹脂−金複合体における金粒子の平均粒子径は22.0nm、金の担持量は49.1wt%であった。この樹脂−金複合体において、金粒子は、樹脂粒子に完全に内包された内包金粒子と、樹脂粒子内に埋包された部位及び樹脂粒子外に露出した部位を有する一部露出金粒子と、樹脂粒子の表面に吸着している表面吸着金粒子と、を含んでおり、少なくとも一部の金粒子が、樹脂粒子の表層部において三次元的に分布していた。
【0263】
[試薬等]
試験例、参考試験例では以下の試薬等を使用した。
抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(7.15mg/mL/PBS):アドテック株式会社製
結合用緩衝液a:100mM ホウ酸溶液をNaOHでpH≒8.5に調整した。
結合用緩衝液b:100mM ホウ酸溶液をNaOHでpH≒7.5に調整した。
ブロック用緩衝液a:1重量%牛血清アルブミン溶液をHClでpH≒8.5に調整した。
ブロック用緩衝液b:1重量%牛血清アルブミン溶液をHClでpH≒9.5に調整した。
洗浄用緩衝液:5mMトリス溶液をHClでpH≒8.5に調整した。
保存用緩衝液:洗浄用緩衝液に、スクロースを10重量%濃度になるように添加した。
インフルエンザA型陽性コントロール(APC):インフルエンザA型ウィルス不活化抗原(アドテック株式会社製)を、検体処理液(アドテック株式会社製)を用いて100倍希釈して調製した。APCの抗原濃度は、5000FFU/mlに相当する。
陰性コントロール:検体処理液(アドテック株式会社製)
PtNCPビーズ:作製例1で得た樹脂−
白金複合体(1重量%;平均粒子径370nm)
AuNCPビーズ:作製例2で得た樹脂−金複合体(1重量%;平均粒子径380nm)
【0264】
[試験例1]
(結合工程)
マイクロチューブ[アイビス(登録商標;アズワン社製)2mL]に、樹脂−金属複合体としてPtNCPビーズ0.1mLを投入し、結合用緩衝液a0.9mLを添加した。転倒混和によって十分に混合した後、抗インフルエンザA型モノクローナル抗体100μgを添加し、室温で3時間かけて転倒撹拌を行い、樹脂−白金複合体で標識した抗インフルエンザA型モノクローナル抗体を含む標識抗体含有液A−1を得た。
【0265】
(ブロック工程)
次に、標識抗体含有液A−1を氷冷後、12000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、固形分残渣にブロック用緩衝液a1mLを添加し、10〜20秒間かけて超音波分散処理を行い、さらに、室温で2時間かけて転倒撹拌を行い、標識抗体含有液B−1を得た。
【0266】
(洗浄処理)
次に、標識抗体含有液B−1を氷冷後、12000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、固形分残渣に洗浄用緩衝液1mLを添加し、10〜20秒間かけて超音波分散処理を行った。この操作を3回繰り返し、洗浄処理とした。
【0267】
(保存処理)
次に、氷冷後、12000rpmで5分間かけて遠心分離を行い、上澄みを除去した後、固形分残渣に保存用緩衝液1mLを添加し、10〜20秒間かけて超音波分散処理を行うことによって、標識抗体含有液C−1を得た。
【0268】
<性能評価>
96ウェルプレートの12ウェルに、標識抗体含有液C−1を3μLずつ入れ、APCの2倍希釈列(1倍〜1024倍希釈、それぞれAPC×1〜APC×1024と表す)及び陰性コントロールを、それぞれ100μLを混和した。次に、インフルエンザA型評価用モノクロスクリーンに50μL添加し、5分後、10分後、15分後の発色レベルを評価した。その結果を表22に示した。なお、表22における数値が大きい程、発色レベルが高い(発色が強い)ことを意味する。
【0269】
【表22】
【0270】
表22から、標識抗体含有液C−1は、256倍希釈の抗原に対しても良好な発色を示し、優れた標識性能を有することが確認された。
【0271】
[参考試験例1]
試験例1の結合工程で、PtNCPビーズの代わりにAuNCPビーズを用い、結合用緩衝液aの代わりに結合用緩衝液bを用いた場合、樹脂−金複合体が凝集してしまうため、標識抗体含有液を得ることが困難であった。
【0272】
[参考試験例2]
試験例1の結合工程で、PtNCPビーズの代わりにAuNCPビーズを用いた場合、樹脂−金複合体が凝集してしまうため、標識抗体含有液を得ることが困難であった。
【0273】
[参考試験例3]
試験例1の結合工程で、PtNCPビーズの代わりにAuNCPビーズを用い、ブロック工程でブロック用緩衝液aの代わりにブロック用緩衝液bを用いたところ、樹脂−金複合体が凝集してしまうため、標識抗体含有液を得ることが困難であった。
【0274】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。例えば、上記実施の形態では、本発明の樹脂−白金複合体を、免疫学的測定に適用する場合について詳細に述べた。しかし、本発明の樹脂−白金複合体は、免疫学的測定に限らず、他の用途への適用も可能である。特に、本発明の樹脂−白金複合体は、抗原や抗体などのリガンドと結合させた状態で優れた分散性を発揮するため、医薬などの用途への利用に適している。