特許第6529321号(P6529321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6529321
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】デバイスパッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20190531BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20190531BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20190531BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   H01L23/12 501P
   H01L21/56 R
   H01L21/78 F
   H01L21/78 L
   B24B27/06 M
   H01L21/78 Q
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-82763(P2015-82763)
(22)【出願日】2015年4月14日
(65)【公開番号】特開2016-201519(P2016-201519A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】川合 章仁
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0217814(US,A1)
【文献】 特開2012−238793(JP,A)
【文献】 特開2013−058520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 3/00 − 3/60
21/00 −39/06
H01L21/301
21/304
21/463
21/56
21/78
23/12 −23/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスパッケージの製造方法であって、
支持体となる支持ウェーハの上面に複数の半導体チップを配列する半導体チップ配列工程と、
支持ウェーハの上面に配列された該半導体チップを樹脂で封止して該支持ウェーハの上面側に封止ウェーハを形成する封止ウェーハ形成工程と、
該封止ウェーハから該支持ウェーハを分離、除去する支持ウェーハ除去工程と、
該封止ウェーハを個々のデバイスパッケージに分割する分割工程と、を備え、
該封止ウェーハ形成工程では、該半導体チップが配列された領域に対応するデバイス部と、該デバイス部を囲み該デバイス部より厚い外周部と、が形成されるように該樹脂を硬化させて、該半導体チップを該樹脂で封止することを特徴とするデバイスパッケージの製造方法。
【請求項2】
デバイスパッケージの製造方法であって、
支持体となる支持ウェーハの上面に接合用配線層を形成する接合用配線層形成工程と、
該接合用配線層が形成された該支持ウェーハの上面側に複数の半導体チップを配列して該半導体チップを該接合用配線層に接合する半導体チップ接合工程と、
該支持ウェーハの該接合用配線層に接合された該半導体チップを樹脂で封止して該支持ウェーハの上面側に封止ウェーハを形成する封止ウェーハ形成工程と、
該封止ウェーハから該支持ウェーハを分離、除去する支持ウェーハ除去工程と、
該封止ウェーハを個々のデバイスパッケージに分割する分割工程と、を備え、
該封止ウェーハ形成工程では、該半導体チップが配列された領域に対応するデバイス部と、該デバイス部を囲み該デバイス部より厚い外周部と、が形成されるように該樹脂を硬化させて、該半導体チップを該樹脂で封止することを特徴とするデバイスパッケージの製造方法。
【請求項3】
前記封止ウェーハ形成工程の後、前記デバイス部を所定の厚みまで研削する研削工程を更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のデバイスパッケージの製造方法。
【請求項4】
前記分割工程の前に、前記封止ウェーハの前記外周部を除去する外周部除去工程を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のデバイスパッケージの製造方法。
【請求項5】
前記支持ウェーハ除去工程の後、前記分割工程の前に、前記封止ウェーハの前記支持ウェーハが除去され露出した面側に配線層を形成する配線層形成工程を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のデバイスパッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップを樹脂で封止したデバイスパッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機をはじめとする各種の電子機器には、IC、LSI等の電子回路(デバイス)を備える半導体チップが組み込まれている。半導体チップは、例えば、シリコン等の半導体材料でなるウェーハの表面を複数の分割予定ライン(ストリート)で区画し、各領域にデバイスを形成した後、分割予定ラインに沿ってウェーハを分割することで得られる。
【0003】
上述の半導体チップは、通常、樹脂で封止されたデバイスパッケージの状態で電子機器に実装される。近年では、このデバイスパッケージを小型化するために、WLP(Wafer Level Package)、WL−CSP(Wafer Level Chip Size Package)等と呼ばれる新たなパッケージ技術が採用され始めている。
【0004】
WLP(WL−CSP)の一態様として、ウェーハレベルの再配線技術を用いて半導体チップの領域外にパッケージ端子を形成するFOWLP(Fan-Out Wafer Level Package)が知られている(例えば、特許文献1参照)。FOWLPには、チップファースト(Chip-first)法やRDLファースト(Redistribution Layer-first)法といったプロセスが適用される。
【0005】
チップファースト法では、まず、支持体となる支持ウェーハの上面に半導体チップを任意の間隔で配列し、この半導体チップを樹脂で封止して封止ウェーハ(疑似ウェーハ)を得る。次に、封止ウェーハから支持ウェーハを分離、除去して、露出させた封止ウェーハの面に配線層を形成する。その後、半導体チップ間で封止ウェーハを分割することにより、複数のデバイスパッケージが得られる。
【0006】
これに対して、RDLファースト法では、まず、支持ウェーハの上面に配線層を形成し、この配線層に半導体チップを接合する。次に、半導体チップを樹脂で封止して封止ウェーハ(疑似ウェーハ)を得る。その後、配線層を含む封止ウェーハから支持ウェーハを分離、除去して、封止ウェーハを半導体チップ間で分割する。このRDLファースト法は、配線層の不良部分を避けて半導体チップを接合できるので、チップファースト法と比較して歩留まりを高め易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−58520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したチップファースト法やRDLファースト法で形成される封止ウェーハは薄いので、支持ウェーハを分離、除去すると反り易い。本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、封止ウェーハの反りを抑制できるデバイスパッケージの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、デバイスパッケージの製造方法であって、支持体となる支持ウェーハの上面に複数の半導体チップを配列する半導体チップ配列工程と、支持ウェーハの上面に配列された該半導体チップを樹脂で封止して該支持ウェーハの上面側に封止ウェーハを形成する封止ウェーハ形成工程と、該封止ウェーハから該支持ウェーハを分離、除去する支持ウェーハ除去工程と、該封止ウェーハを個々のデバイスパッケージに分割する分割工程と、を備え、該封止ウェーハ形成工程では、該半導体チップが配列された領域に対応するデバイス部と、該デバイス部を囲み該デバイス部より厚い外周部と、が形成されるように該樹脂を硬化させて、該半導体チップを該樹脂で封止することを特徴とするデバイスパッケージの製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、デバイスパッケージの製造方法であって、支持体となる支持ウェーハの上面に接合用配線層を形成する接合用配線層形成工程と、該接合用配線層が形成された該支持ウェーハの上面側に複数の半導体チップを配列して該半導体チップを該接合用配線層に接合する半導体チップ接合工程と、該支持ウェーハの該接合用配線層に接合された該半導体チップを樹脂で封止して該支持ウェーハの上面側に封止ウェーハを形成する封止ウェーハ形成工程と、該封止ウェーハから該支持ウェーハを分離、除去する支持ウェーハ除去工程と、該封止ウェーハを個々のデバイスパッケージに分割する分割工程と、を備え、該封止ウェーハ形成工程では、該半導体チップが配列された領域に対応するデバイス部と、該デバイス部を囲み該デバイス部より厚い外周部と、が形成されるように該樹脂を硬化させて、該半導体チップを該樹脂で封止することを特徴とするデバイスパッケージの製造方法が提供される。
【0011】
本発明において、前記封止ウェーハ形成工程の後、前記デバイス部を所定の厚みまで研削する研削工程を更に含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明において、前記分割工程の前に、前記封止ウェーハの前記外周部を除去する外周部除去工程を更に含むことが好ましい。
【0013】
また、本発明において、前記支持ウェーハ除去工程の後、前記分割工程の前に、前記封止ウェーハの前記支持ウェーハが除去され露出した面側に配線層を形成する配線層形成工程を更に含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るデバイスパッケージの製造方法では、封止ウェーハ形成工程において、半導体チップが配列された領域に対応するデバイス部と、デバイス部を囲みデバイス部より厚い外周部と、を有する封止ウェーハを形成するので、厚い外周部によって封止ウェーハの剛性が高められ、封止ウェーハの反りを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(A)は、支持ウェーハを模式的に示す斜視図であり、図1(B)は、半導体チップ配列工程を模式的に示す斜視図である。
図2図2(A)及び図2(B)は、封止ウェーハ形成工程を模式的に示す一部断面側面図であり、図2(C)は、封止ウェーハ形成工程で形成された封止ウェーハ等を模式的に示す斜視図である。
図3図3(A)は、支持ウェーハ除去工程を模式的に示す断面図であり、図3(B)は、支持ウェーハ除去工程を模式的に示す斜視図である。
図4図4(A)は、研削工程を模式的に示す一部断面側面図であり、図4(B)は、配線層形成工程を模式的に示す断面図であり、図4(C)は、外周部除去工程を模式的に示す断面図である。
図5】分割工程を模式的に示す斜視図である。
図6図6(A)は、接合用配線層形成工程を模式的に示す断面図であり、図6(B)は、半導体チップ接合工程を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係るデバイスパッケージの製造方法は、半導体チップ配列工程(図1(B)参照)、封止ウェーハ形成工程(図2(A)、図2(B)及び図2(C)参照)、支持ウェーハ除去工程(図3(A)及び図3(B)参照)、研削工程(図4(A)参照)、配線層形成工程(図4(B)参照)、外周部除去工程(図4(C)参照)及び分割工程(図5参照)を含む。
【0017】
半導体チップ配列工程では、支持体となる支持ウェーハの第1面(上面)に複数の半導体チップを配列する。封止ウェーハ形成工程では、支持ウェーハの第1面に配列された半導体チップを樹脂で封止して、半導体チップが配列された領域に対応する薄いデバイス部と、デバイス部を囲む厚い外周部と、を備える封止ウェーハを形成する。
【0018】
支持ウェーハ除去工程では、封止ウェーハから支持ウェーハを分離、除去する。研削工程では、封止ウェーハのデバイス部を研削して所定の厚みまで薄くする。配線層形成工程では、封止ウェーハに配線層を形成する。外周部除去工程では、封止ウェーハの外周部を除去する。分割工程では、封止ウェーハのデバイス部を個々のデバイスパッケージに分割する。以下、本実施形態に係るデバイスパッケージの製造方法について詳述する。
【0019】
図1(A)は、本実施形態に係る支持ウェーハを模式的に示す斜視図である。図1(A)に示すように、支持ウェーハ11は、例えば、シリコン等の半導体材料でなる円形の基板であり、半導体チップ等を支持する支持体として機能する。この支持ウェーハ11の第1面(上面)11a及び第2面(下面)11bは、概ね平坦に形成されている。なお、支持ウェーハ11としては、セラミック、樹脂、金属等の材料でなる基板を用いても良い。
【0020】
本実施形態に係るデバイスパッケージの製造方法では、まず、上述した支持ウェーハ11の第1面11aに複数の半導体チップを配列する半導体チップ配列工程を実施する。図1(B)は、半導体チップ配列工程を模式的に示す斜視図である。図1(B)に示すように、この半導体チップ配列工程では、複数の半導体チップ13を互いに接触させないように、所定の間隔を空けて支持ウェーハ11の第1面11aに配列する。
【0021】
各半導体チップ13は、IC、LSI等のデバイスを備えており、このデバイス側を第1面11aに対面させた状態で支持ウェーハ11に配列される。これにより、後の配線層形成工程において、各半導体チップ13のデバイスに接続する配線を含む配線層を形成できる。
【0022】
半導体チップ配列工程の後には、支持ウェーハ11の第1面11aに配列された半導体チップ13を樹脂で封止して封止ウェーハを形成する封止ウェーハ形成工程を実施する。図2(A)及び図2(B)は、封止ウェーハ形成工程を模式的に示す一部断面側面図である。
【0023】
封止ウェーハ形成工程では、まず、図2(A)に示すように、支持ウェーハ11の第1面11aに液状の樹脂15を供給して、支持ウェーハ11の第1面11aに配列された全ての半導体チップ13を樹脂15で覆う。次に、図2(B)に示すように、半導体チップ13が配列された領域をプレス装置2でプレスする。
【0024】
プレス装置2は、半導体チップ13が配列された領域と同等の大きさの円形のプレス板4を備えている。そのため、このプレス板4を、半導体チップ13が配列された領域に合わせて樹脂15に押し付ければ、この領域に存在する樹脂15の一部は、プレス板4の周りに移動する。
【0025】
よって、プレスされた状態の樹脂15を硬化させることで、半導体チップが配列された領域に対応する薄いデバイス部17aと、デバイス部17aを囲む厚い外周部17bと、を備える封止ウェーハ17を形成できる。図2(C)は、封止ウェーハ形成工程で形成された封止ウェーハ17等を模式的に示す斜視図である。図2(C)等に示すように、封止ウェーハ17の第1面17c側には、デバイス部17aと外周部17bとの厚みの違いに応じた凹凸が形成される。
【0026】
封止ウェーハ形成工程の後には、封止ウェーハ17から支持ウェーハ11を分離、除去する支持ウェーハ除去工程を実施する。図3(A)は、支持ウェーハ除去工程を模式的に示す断面図であり、図3(B)は、支持ウェーハ除去工程を模式的に示す斜視図である。
【0027】
図3(A)及び図3(B)に示すように、例えば、支持ウェーハ11を固定して封止ウェーハ17に上向きの力を加えることで、封止ウェーハ17から支持ウェーハ11を分離して除去できる。
【0028】
本実施形態では、デバイス部17aを囲む厚い外周部17bを封止ウェーハ17に設けているので、この外周部17bによって封止ウェーハ17の剛性が高められ、支持ウェーハ11を除去しても封止ウェーハ17の反りを抑制できる。なお、支持ウェーハ11が除去され露出した封止ウェーハ17の第2面17dは、支持ウェーハ11の第1面11aに対応して概ね平坦に形成されている。
【0029】
支持ウェーハ除去工程の後には、封止ウェーハ17のデバイス部17aを研削して所定の厚みまで薄くする研削工程を実施する。図4(A)は、研削工程を模式的に示す一部断面側面図である。なお、この研削工程を開始する前には、封止ウェーハ17の第2面17dに保護部材19を貼り付けておくと良い。
【0030】
研削工程は、例えば、図4(A)に示す研削装置6で実施される。研削装置6は、封止ウェーハ17を保持する保持テーブル(不図示)を備えている。保持テーブルは、モータ等を含む回転機構(不図示)に連結されており、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、保持テーブルの下方には、移動機構(不図示)が設けられており、保持テーブルは、この移動機構で水平方向に移動する。
【0031】
保持テーブルの上面は、第2面17dに貼り付けられた保護部材19を介して封止ウェーハ17を保持する保持面となっている。この保持面には、保持テーブルの内部に形成された流路(不図示)等を通じて吸引源(不図示)の負圧が作用し、封止ウェーハ17を吸引するための吸引力が発生する。
【0032】
保持テーブルの上方には、研削ユニット8が配置されている。研削ユニット8は、昇降機構(不図示)に支持されたスピンドルハウジング10を備えている。スピンドルハウジング10の内部には、モータ等を含む回転機構(不図示)に連結されたスピンドル12が収容されている。
【0033】
スピンドル12は、回転機構から伝達される回転力によって鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転し、昇降機構によってスピンドルハウジング10と共に昇降する。また、スピンドル12の下端部は、スピンドルハウジング10の外部に露出している。このスピンドル12の下端部には、円盤状のホイールマウント14が固定されている。
【0034】
ホイールマウント14の下面には、封止ウェーハ17のデバイス部17aより小径の研削ホイール16が装着されている。研削ホイール16は、アルミニウム、ステンレス等の金属材料で形成されたホイール基台16aを備えている。ホイール基台16aの下面には、複数の研削砥石16bが環状に配列されている。
【0035】
研削工程では、まず、封止ウェーハ17に貼り付けられた保護部材19を保持テーブルの保持面に接触させて、吸引源の負圧を作用させる。これにより、封止ウェーハ17は、第1面17c側が上方に露出した状態で保持テーブルに保持される。
【0036】
次に、保持テーブルを移動させ、デバイス部17aと外周部17bとの境界に相当する領域に研削砥石16bの外側の縁を位置付ける。この状態で、保持テーブルとスピンドル12とをそれぞれ回転させて、スピンドルハウジング10を下降させる。スピンドルハウジング10の下降量は、封止ウェーハ17のデバイス部17aに研削砥石16bが押し付けられる程度とする。
【0037】
これにより、封止ウェーハ17のデバイス部17aを第1面17c側から研削して更に薄くできる。例えば、封止ウェーハ17のデバイス部17aが仕上げ厚みまで薄化されると、この研削工程は終了する。なお、研削工程の終了後に保護部材19は除去される。
【0038】
研削工程の後には、封止ウェーハ17の第2面17dに配線層を形成する配線層形成工程を実施する。図4(B)は、配線層形成工程を模式的に示す断面図である。図4(B)に示すように、この配線層形成工程では、各半導体チップ13のデバイスに接続する配線を含む配線層21が任意の方法で形成される。
【0039】
配線層形成工程の後には、封止ウェーハ17の外周部17bを除去する外周部除去工程を実施する。図4(C)は、外周部除去工程を模式的に示す断面図である。この外周部除去工程では、例えば、封止ウェーハ17のデバイス部17aと外周部17bとの境界に切削ブレード26(図5参照)を切り込ませ、デバイス部17aと外周部17bとを分断する。
【0040】
これにより、封止ウェーハ17のデバイス部17aから外周部17bを除去できる。なお、この外周部除去工程を開始する前には、封止ウェーハ17の第2面17dに保護部材23を貼り付けておくと良い。ただし、外周部除去工程の終了後に保護部材23は除去される。また、レーザー加工等の方法で、デバイス部17aと外周部17bとを分断することもできる。
【0041】
外周部除去工程の後には、封止ウェーハ17のデバイス部17aを個々のデバイスパッケージに分割する分割工程を実施する。図5は、分割工程を模式的に示す斜視図である。分割工程は、例えば、図5に示す切削装置18で実施される。
【0042】
切削装置18は、封止ウェーハ17のデバイス部17aを保持する保持テーブル(不図示)を備えている。保持テーブルは、モータ等を含む回転機構(不図示)に連結されており、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、保持テーブルの下方には、移動機構(不図示)が設けられており、保持テーブルは、この移動機構で水平方向に移動する。
【0043】
保持テーブルの上面は、デバイス部17aを保持する保持面となっている。この保持面には、保持テーブルの内部に形成された流路(不図示)等を通じて吸引源(不図示)の負圧が作用し、デバイス部17aを吸引するための吸引力が発生する。
【0044】
保持テーブルの上方には、切削ユニット20が配置されている。切削ユニット20は、昇降機構(不図示)に支持されたスピンドルハウジング22を備えている。スピンドルハウジング22の内部には、モータ等を含む回転機構(不図示)に連結されたスピンドル24が収容されている。
【0045】
スピンドル24は、回転機構から伝達される回転力によって水平方向に概ね平行な回転軸の周りに回転し、昇降機構によってスピンドルハウジング22と共に昇降する。また、スピンドル24の一端部は、スピンドルハウジング22の外部に露出している。このスピンドル24の一端部には、円環状の切削ブレード26が装着されている。
【0046】
分割工程では、例えば、デバイス部17aの第1面17c側を保持テーブルの保持面に接触させて、吸引源の負圧を作用させる。これにより、デバイス部17aは、配線層21が上方に露出した状態で保持テーブルに保持される。
【0047】
次に、回転させた切削ブレード26を切り込ませ、配線層21と共にデバイス部17aを各半導体チップ13に対応するデバイスパッケージに分割する。封止ウェーハ17のデバイス部17aが全ての半導体チップ13に対応するデバイスパッケージに分割されると、分割工程は終了する。
【0048】
以上のように、本実施形態に係るデバイスパッケージの製造方法では、封止ウェーハ形成工程において、半導体チップ13が配列された領域に対応するデバイス部17aと、デバイス部17aを囲みデバイス部17aより厚い外周部17bと、を有する封止ウェーハ17を形成するので、厚い外周部17bによって封止ウェーハ17の剛性が高められ、封止ウェーハ17の反りを抑制できる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上述した半導体チップ配列工程の代わりに、支持ウェーハ11の第1面(上面)11aに接合用配線層を形成する接合用配線層形成工程及び接合用配線層に半導体チップ13を接合する半導体チップ接合工程を実施しても良い。
【0050】
図6(A)は、変形例に係るデバイスパッケージの製造方法の接合用配線層形成工程を模式的に示す断面図である。接合用配線層形成工程では、図6(A)に示すように、支持ウェーハ11の第1面11aに接合用配線層25を形成する。この接合用配線層25は、少なくとも、半導体チップ13のデバイスに接合される接合用配線を含んでいる。
【0051】
接合用配線層形成工程の後には、接合用配線層25に半導体チップ13を接合する半導体チップ接合工程を実施する。図6(B)は、変形例に係るデバイスパッケージの製造方法の半導体チップ接合工程を模式的に示す断面図である。この半導体チップ接合工程では、図6(B)に示すように、接合用配線層25が形成された支持ウェーハ11の第1面11a側に複数の半導体チップ13を配列して、半導体チップ13を接合用配線層25内の接合用配線に接合する。
【0052】
半導体チップ接合工程の後には、封止ウェーハ形成工程(図2(A)、図2(B)及び図2(C)参照)、支持ウェーハ除去工程(図3(A)及び図3(B)参照)、研削工程(図4(A)参照)、配線層形成工程(図4(B)参照)、外周部除去工程(図4(C)参照)及び分割工程(図5参照)を実施すれば良い。この変形例に係るデバイスパッケージの製造方法では、接合用配線層25の不良部分を避けて半導体チップ13を接合できるので、上記実施形態に係るデバイスパッケージの製造方法と比較して歩留まりを高め易い。
【0053】
また、本発明は、上記実施形態及び変形例に含まれる工程の順序等を適宜変更して実施できる。上記実施形態及び変形例に含まれる工程の一部(研削工程、外周部除去工程、配線層形成工程等)を省略することも可能である。その他、上記実施形態及び変形例に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0054】
11 支持ウェーハ
11a 第1面(上面)
11b 第2面(下面)
13 半導体チップ
15 樹脂
17 封止ウェーハ
17a デバイス部
17b 外周部
17c 第1面
17d 第2面
19 保護部材
21 配線層
23 保護部材
25 接合用配線層
2 プレス装置
4 プレス板
6 研削装置
8 研削ユニット
10 スピンドルハウジング
12 スピンドル
14 ホイールマウント
16 研削ホイール
16a ホイール基台
16b 研削砥石
18 切削装置
20 切削ユニット
22 スピンドルハウジング
24 スピンドル
26 切削ブレード
図1
図2
図3
図4
図5
図6