特許第6529519号(P6529519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6529519-重合性化合物及び光学異方体 図000068
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6529519
(24)【登録日】2019年5月24日
(45)【発行日】2019年6月12日
(54)【発明の名称】重合性化合物及び光学異方体
(51)【国際特許分類】
   C07D 285/135 20060101AFI20190531BHJP
   C07D 305/06 20060101ALI20190531BHJP
   C07D 333/18 20060101ALI20190531BHJP
   C07D 409/12 20060101ALI20190531BHJP
   C08F 20/18 20060101ALI20190531BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20190531BHJP
【FI】
   C07D285/135
   C07D305/06
   C07D333/18
   C07D409/12
   C08F20/18
   C09K19/54 Z
【請求項の数】6
【全頁数】70
(21)【出願番号】特願2016-567443(P2016-567443)
(86)(22)【出願日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】JP2016050983
(87)【国際公開番号】WO2016114345
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2016年11月10日
【審判番号】不服2017-10662(P2017-10662/J1)
【審判請求日】2017年7月18日
(31)【優先権主張番号】特願2015-6294(P2015-6294)
(32)【優先日】2015年1月16日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】堀口 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】小磯 彰宏
【合議体】
【審判長】 佐藤 健史
【審判官】 瀬下 浩一
【審判官】 冨永 保
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C323-00-323/67
C07D285/00-285/38
C07D305/00-305/14
C07D333/00-333/80
C07D409/00-409/14
C07D417/00-417/14
C08F 20/00- 20/70
C09K 19/00- 19/60
G02B 5/00- 5/32
G02F 1/00- 1-39
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I−1)、式(I−5)、式(I−7)及び式(I−10)
【化1】
【化2】
【化3】
で表される重合性化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含有する組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物を含有する液晶組成物。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の組成物を重合することにより得られる重合体。
【請求項5】
請求項4に記載の重合体を用いた光学異方体。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物を用いた樹脂、樹脂添加剤、オイル、フィルター、接着剤、粘着剤、油脂、インキ、医薬品、化粧品、洗剤、建築材料、包装材、液晶材料、有機EL材料、有機半導体材料、電子材料、表示素子、電子デバイス、通信機器、自動車部品、航空機部品、機械部品、農薬及び食品並びにそれらを使用した製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性基を有する化合物、当該化合物を含有する重合性組成物、重合性液晶組成物及び当該重合性液晶組成物を用いた光学異方体に関する。
【背景技術】
【0002】
重合性基を有する化合物(重合性化合物)は種々の光学材料に使用される。例えば、重合性化合物を含む重合性組成物を液晶状態で配列させた後、重合させることにより、均一な配向を有する重合体を作製することが可能である。このような重合体は、ディスプレイに必要な偏光板、位相差板等に使用することができる。多くの場合、要求される光学特性、重合速度、溶解性、融点、ガラス転移温度、重合体の透明性、機械的強度、表面硬度、耐熱性及び耐光性を満たすために、2種類以上の重合性化合物を含む重合性組成物が使用される。その際、使用する重合性化合物には、他の特性に悪影響を及ぼすことなく、重合性組成物に良好な物性をもたらすことが求められる。
【0003】
屋外又は高温にさらされる場所で使用される液晶ディスプレイには、通常の液晶ディスプレイと比較し高い信頼性が要求される。例えばモバイル製品及び車載製品等の分野においては、特に高い耐熱性及び耐光性が必要とされている。液晶ディスプレイの視野角を向上させるための位相差フィルム用途として、種々の重合性化合物が報告されてきた。しかしながら、それらの重合性化合物を使用して作製したフィルムは、高温で長時間の紫外・可視光を照射した場合に、位相差の低下のおそれや、変色するおそれがあった(特許文献1、2)。位相差が低下するおそれや、変色するおそれがあるフィルムを、例えばモバイル製品及び車載製品等の液晶ディスプレイに使用した場合、長時間の使用によって画面の明るさにムラが生じたり、色味が不自然になったりしてしまい、当該製品の品質を大きく低下させてしまう問題がある。そのため、このような問題を解決することができる重合性化合物の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−537955号公報
【特許文献2】特開2008−291218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、重合させて得られたフィルム状の重合物に対して高温で長時間の紫外・可視光を照射した場合に、位相差の低下や変色を引き起こしにくい重合性化合物及び重合性組成物を提供することである。更に、当該重合性組成物を重合させることで得られる重合体及び当該重合体を用いた光学異方体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、下記化合物の開発に至った。すなわち、本願発明は水平配向処理した基材上に配向させた場合に、配向方向に対し垂直な面内方向の吸収極大波長λomaxを320nmから420nmに有する重合性液晶化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する重合性組成物、重合性液晶組成物、当該重合性液晶組成物を重合させることにより得られる重合体及び当該重合体を用いた光学異方体を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の化合物は、重合性組成物に添加し重合させ、得られたフィルム状の重合物に対して高温で長時間の紫外・可視光を照射した場合に、密着性の低下や変色を引き起こしにくいことから、重合性組成物の構成部材として有用である。また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を用いた光学異方体は、位相差フィルム等の光学材料の用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明による重合性液晶化合物の最良の形態について説明するが、本発明において、「液晶性化合物」とは、メソゲン性骨格を有する化合物を示すことを意図するものであり、化合物単独では、液晶性を示さなくてもよい。
【0009】
本願発明は水平配向処理した基材上に配向させた場合に、配向方向に対し垂直な面内方向の吸収極大波長λomaxを320nmから420nmに有する重合性液晶化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する重合性組成物、重合性液晶組成物、当該重合性液晶組成物を重合させることにより得られる重合体及び当該重合体を用いた光学異方体を提供する。
【0010】
配向方向に対し垂直な面内方向の吸収極大波長λomaxは以下のようにして測定することができる。測定には分光光度計を使用し、評価対象のフィルムの検出器側の面に、フィルムの配向方向と偏光板の偏光方向とが垂直となるよう配置し吸収スペクトルを測定することによって得られる(図参照)。評価対象の化合物は、単独で基材上に塗布しても良く、溶媒で希釈し塗布しても良く、また、他の成分と混合して塗布しても良い。320nmから420nmに複数の吸収極大を有する場合、複数の吸収極大のうちの最大値を示す波長をλomaxと定義する。
【0011】
得られたフィルムの位相差の低下や変色の起こりにくさの観点から、水平配向処理した基材上に配向させた場合に、波長λomaxにおける、配向方向と平行な方向の吸光度Aeと、配向方向に対し垂直な面内方向の吸光度Aoとが、下記式(式I)
Ao/Ae>1 (式I)
を満たすことが好ましい。
【0012】
波長λomaxにおける、配向方向に対し垂直な面内方向の吸光度Aoは、前記λomaxの測定方法によって得られる。また、配向方向と平行な方向の吸光度Aeは、評価対象のフィルムの検出器側の面に、フィルムの配向方向と偏光板の偏光方向とが平行となるよう配置し吸収スペクトルを測定することによって得られる(図参照)。
【0013】
また、得られたフィルムの位相差の低下や変色の起こりにくさの観点から、上記式(式I)を満たし且つλomaxが330nmから370nmであることがより好ましい。
【0014】
さらに、下記の一般式(I)
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、Pは重合性基を表し、Sはスペーサー基又は単結合を表すが、Sが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Xは−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Xが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P−(S−X)−には−O−O−結合を含まない。)、A11及びA12は各々独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良く、A11及び/又はA12が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、Z11及びZ12は各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z11及び/又はZ12が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくはRは−(X−SkR−Pで表される基(式中、Pは重合性基を表し、Sはスペーサー基又は単結合を表すが、Sが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Xは−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Xが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、−(X−SkR−Pには−O−O−結合を含まない。)、kRは0から8の整数を表す。)を表しても良く、Mは共役系を含む二価の炭化水素基を表し、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、若しくはLは−(X−SkL−Pで表される基(式中、Pは重合性基を表し、Sはスペーサー基又は単結合を表すが、Sが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Xは−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Xが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、−(X−SkL−Pには−O−O−結合を含まない。)、kLは0から8の整数を表す。)を表しても良く、kは0から8の整数を表し、m1及びm2は各々独立して0から5の整数を表すが、m1+m2は1から5の整数を表す。)で表される化合物がより好ましい。
【0017】
一般式(I)においてPは重合性基を表すが、下記の式(P−1)から式(P−20)
【0018】
【化2】
【0019】
から選ばれる基を表すことが好ましく、これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合及びアニオン重合により重合する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、式(P−7)、式(P−11)、式(P−13)、式(P−15)又は式(P−18)が好ましく、式(P−1)、式(P−2)、式(P−7)、式(P−11)又は式(P−13)がより好ましく、式(P−1)、式(P−2)又は式(P−3)がさらに好ましく、式(P−1)又は式(P−2)が特に好ましい。
【0020】
はスペーサー基又は単結合を表すが、Sが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。また、スペーサー基としては、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表すことが好ましい。Sは原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキレン基又は単結合を表すことがより好ましく、各々独立して炭素原子数1から10のアルキレン基又は単結合を表すことがさらに好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く各々独立して炭素原子数1から8のアルキレン基を表すことが特に好ましい。
【0021】
は原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、各々独立して−O−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことがより好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表すことが特に好ましい。
【0022】
kは0から8の整数を表すが、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から0から4の整数を表すことが好ましく、0から3の整数を表すことがより好ましく、0から2の整数を表すことがさらに好ましく、1を表すことが特に好ましい。
【0023】
11及びA12は原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から各々独立して無置換又は1つ以上のLによって置換されても良い1,4−フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基又はナフタレン−2,6−ジイルを表すことが好ましく、各々独立して下記の式(A−1)から式(A−11)
【0024】
【化3】
【0025】
から選ばれる基を表すことがより好ましく、各々独立して式(A−1)から式(A−8)から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、各々独立して式(A−1)から式(A−4)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
【0026】
11及びZ12は化合物の液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して単結合、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことが好ましく、各々独立して−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−CH=CH−、−C≡C−又は単結合を表すことがより好ましく、各々独立して−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−COO−、−OCO−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことがさらに好ましく、各々独立して−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−又は単結合を表すことが特に好ましい。
【0027】
は液晶性及び合成の容易さの観点から水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、若しくは、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖又は分岐アルキル基、若しくは−(X−SkR−Pで表される基を表すことが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1から12の直鎖アルキル基又は直鎖アルコキシ基、又は、−(X−SkR−Pで表される基を表すことがより好ましく、−(X−SkR−Pで表される基を表すことが特に好ましい。Pは重合性基を表し、Sはスペーサー基又は単結合を表すが、Sが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Xは−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Xが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、−(X−SkR−Pには−O−O−結合を含まない。)、kRは0から8の整数を表すが、P、S、X、kRの好ましい構造としては、各々P、S、X、kにおける好ましい構造と同様である。
【0028】
は共役系を含む二価の炭化水素基を表すが、位相差の低下や変色の起こりにくさの観点から、Mに含まれるπ電子の総数は4から50であることが好ましく、4から24であることがより好ましい。また、Mは液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から下記の式(I−M)
【0029】
【化4】
【0030】
(式中、Tは三価の炭化水素基を表し、Bは水素原子、メチル基、メチリデン基又は環式炭化水素基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良く、Bは単結合、二重結合又は二価の環式炭化水素基を表すが、これらの基は無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良く、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、V及びVは単結合、二重結合又は二価の結合基を表し、nは0から10の整数を表すが、B−V、V−B、B−V、B−V、V−Tを連結する結合基は各々独立して単結合であっても二重結合であっても良い。)で表される基を表すことが好ましい。
【0031】
Tは液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から下記の式(T−1)から式(T−22)
【0032】
【化5】
【0033】
(式中、任意の位置に結合手を有して良く、任意の−CH=は各々独立して−N=に置き換えられても良く、−CH−は各々独立して−O−、−S−、−NR−(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)、−CS−又は−CO−に置き換えられても良いが、−O−O−結合を含まない。ここで、任意の位置に結合手を有して良くとは、例えば、Tは3価の基であることから、任意の位置に結合手を3つ有することを意図する(以下、本発明において、任意の位置に結合手を有して良くとは同様な意味を示す。)。また、これらの基は無置換又は1つ以上のLによって置換されても良く、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、k1は1から20の整数を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、式(T−4)、式(T−7)、式(T−8)、式(T−11)から選ばれる基を表すことがより好ましく、式(T−4)、式(T−11)から選ばれる基を表すことがさらに好ましい。
【0034】
さらに、Tが上記式(T−4)から選ばれる基を表す場合、より具体的には下記の式(T−4−1)又は式(T−4−2)
【0035】
【化6】
【0036】
で表される基であることが好ましく、Tが上記式(T−7)から選ばれる基を表す場合、より具体的には下記の式(T−7−1)から式(T−7−21)
【0037】
【化7】
【0038】
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、Tが上記式(T−8)から選ばれる基を表す場合、より具体的には下記の式(T−8−1)から式(T−8−16)
【0039】
【化8】
【0040】
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、Tが上記式(T−11)から選ばれる基を表す場合、より具体的には下記の式(T−11−1)から式(T−11−4)
【0041】
【化9】
【0042】
から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0043】
は水素原子若しくは、無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良いメチル基、メチリデン基又は環式炭化水素基を表すが、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から水素原子若しくは、無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良いメチル基、メチリデン基、下記の式(B−1−1)から式(B−1−21)
【0044】
【化10】
【0045】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、任意の−CH=は各々独立して−N=に置き換えられても良く、−CH−は各々独立して−O−、−S−、−NR−(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)、−CS−又は−CO−に置き換えられても良いが、−O−O−結合を含まない。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましく、Bは水素原子若しくは、無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良いメチル基、無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良いメチリデン基、無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良い上記の式(B−1−3)、式(B−1−4)、式(B−1−8)、式(B−1−10)、式(B−1−11)から選ばれる基を表すことがより好ましく、Bは水素原子若しくは、無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良いメチル基、無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良いメチリデン基、無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良い上記の式(B−1−8)、式(B−1−10)から選ばれる基を表すことがさらに好ましい。
【0046】
さらに、式(B−1−3)で表される基としては下記の式(B−1−3−1)から式(B−1−3−7)
【0047】
【化11】
【0048】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0049】
式(B−1−4)で表される基としては下記の式(B−1−4−1)から式(B−1−4−8)
【0050】
【化12】
【0051】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良い。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0052】
式(B−1−5)で表される基としては下記の式(B−1−5−1)から式(B−1−5−6)
【0053】
【化13】
【0054】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0055】
式(B−1−6)で表される基としては下記の式(B−1−6−1)から式(B−1−6−9)
【0056】
【化14】
【0057】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0058】
式(B−1−7)で表される基としては下記の式(B−1−7−1)から式(B−1−7−12)
【0059】
【化15】
【0060】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0061】
式(B−1−8)で表される基としては下記の式(B−1−8−1)から式(B−1−8−8)
【0062】
【化16】
【0063】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましく、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から式(B−1−8−6)、式(B−1−8−7)及び式(B−1−8−8)から選ばれる基を表すことがより好ましい。
【0064】
式(B−1−10)で表される基としては下記の式(B−1−10−1)から式(B−1−10−19)
【0065】
【化17】
【0066】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましく、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から式(B−1−10−1)、式(B−1−10−2)及び式(B−1−10−3)から選ばれる基を表すことがより好ましい。
【0067】
式(B−1−11)で表される基としては下記の式(B−1−11−1)から式(B−1−11−7)
【0068】
【化18】
【0069】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0070】
式(B−1−12)で表される基としては下記の式(B−1−12−1)から式(B−1−12−4)
【0071】
【化19】
【0072】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0073】
式(B−1−13)で表される基としては下記の式(B−1−13−1)から式(B−1−13−10)
【0074】
【化20】
【0075】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0076】
式(B−1−17)で表される基としては下記の式(B−1−17−1)から式(B−1−17−16)
【0077】
【化21】
【0078】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0079】
式(B−1−18)で表される基としては下記の式(B−1−18−1)から式(B−1−18−4)
【0080】
【化22】
【0081】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0082】
式(B−1−19)で表される基としては下記の式(B−1−19−1)から式(B−1−19−16)
【0083】
【化23】
【0084】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0085】
式(B−1−20)で表される基としては下記の式(B−1−20−1)から式(B−1−20−12)
【0086】
【化24】
【0087】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0088】
式(B−1−21)で表される基としては下記の式(B−1−21−1)から式(B−1−21−13)
【0089】
【化25】
【0090】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましい。
【0091】
は単結合、二重結合又は無置換であるか又は1つ以上のLによって置換されても良い二価の環式炭化水素基を表すが、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から単結合、二重結合又は下記の式(B−2−1)から式(B−2−21)
【0092】
【化26】
【0093】
(式中、環構造には、任意の位置に結合手を有して良く、任意の−CH=は各々独立して−N=に置き換えられても良く、−CH−は各々独立して−O−、−S−、−NR−(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1から20のアルキル基を表す。)、−CS−又は−CO−に置き換えられても良いが、−O−O−結合を含まない。また、これらの基は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い。)から選ばれる基を表すことが好ましく、Bは単結合、二重結合又は無置換又は1つ以上の置換基Lによって置換されても良い式(B−2−3)、式(B−2−4)から選ばれる基を表すことがより好ましい。
【0094】
及びVは単結合、二重結合又は二価の結合基を表すが、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から各々独立して単結合、二重結合、下記の式(V−1)から式(V−15)
【0095】
【化27】
【0096】
(式中、Yは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、若しくは1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良いが、Yが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、若しくはYはP−(S−XkY−で表される基を表しても良く、Pは重合性基を表し、Sはスペーサー基又は単結合を表すが、Sが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Xは−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Xが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く(ただし、P−(S−XkY−には−O−O−結合を含まない。)、kYは0から10の整数を表す。)、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−CH−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CS−NH−、−NH−CS−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−から選ばれる基であることが好ましく、V及びVは各々独立して単結合、二重結合、上記式(V−2)、式(V−5)から式(V−15)、−CS−NH−、−NH−CS−から選ばれる基を表すことがより好ましく、V及びVは各々独立して単結合、式(V−2)、式(V−5)、式(V−6)、式(V−7)、式(V−8)、式(V−13)から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、V及びVは各々独立して単結合、式(V−5)、式(V−6)、式(V−7)から選ばれる基を表すことがさらにより好ましい。
【0097】
nは0から10の整数を表すが、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から0から5の整数を表すことが好ましく、0、1、2又は3を表すことがより好ましい。
【0098】
Lは液晶性、原料の入手容易さ、合成の容易さの観点から、Lはフッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、シアノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−から選択される基によって置換されても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことがより好ましい。
【0099】
は合成の容易さ、原料の入手容易さ、液晶性の観点から、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又は、基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−又は−CO−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又は、基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−によって置換されても良い炭素原子数1から10の直鎖状アルキル基を表すことがより好ましく、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、ジメチルアミノ基、又は、基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−によって置換されても良い炭素原子数1又は2の直鎖状アルキル基を表すことがさらにより好ましい。
【0100】
はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良く、Lが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。Lは合成の容易さ、原料の入手容易さ、液晶性の観点から、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又は、基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−又は−CO−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又は、基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−によって置換されても良い炭素原子数1から10の直鎖状アルキル基を表すことがより好ましく、フッ素原子、塩素原子、ニトロ基、シアノ基、ジメチルアミノ基、又は、基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−によって置換されても良い炭素原子数1又は2の直鎖状アルキル基を表すことがさらにより好ましい。
【0101】
kは0から8の整数を表すが、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から0から4の整数を表すことが好ましく、0から2の整数を表すことがより好ましく、0又は1を表すことがさらに好ましく、1を表すことが特に好ましい。
【0102】
m1及びm2は各々独立して0から5の整数を表すが、m1+m2は1から5の整数を表す。液晶性、合成の容易さ及び溶媒への溶解性の観点から、m1及びm2は各々独立して1から4の整数を表すことが好ましく、1から3の整数を表すことがより好ましく、1又は2を表すことが特に好ましい。m1+m2は1から4の整数を表すことが好ましく、2、3又は4を表すことがより好ましく、2又は4を表すことが特に好ましい。
【0103】
一般式(I)で表される化合物として具体的には、下記の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物が好ましい。
【0104】
【化28】
【0105】
【化29】
【0106】
【化30】
【0107】
本願発明の化合物は、ネマチック液晶組成物、スメクチック液晶組成物、キラルスメクチック液晶組成物及びコレステリック液晶組成物に使用することが好ましい。本願発明の反応性化合物を用いる液晶組成物において本願発明以外の化合物を添加しても構わない。
【0108】
本願発明の重合性化合物と混合して使用される他の重合性化合物としては、具体的には一般式(X−11)
【0109】
【化31】
【0110】
及び/又は一般式(X−12)
【0111】
【化32】
【0112】
(式中、P11、P12及びP13は各々独立して重合性基を表し、S11、S12及びS13は各々独立して単結合又は炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、X、X及びXは各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Z11及びZ12は各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、A11、A12、A13及びA14は各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A11、A12、A13及びA14は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、R11は水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、m11及びm12は0、1、2又は3を表すが、m11及び/又はm12が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA11、A13、Z11及び/又はZ12は同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物が好ましく、P11、P12及びP13がアクリル基又はメタクリル基である場合が特に好ましい。一般式(X−11)で表される化合物として具体的には、一般式(X−11a)
【0113】
【化33】
【0114】
(式中、W11及びW12は各々独立して水素原子又はメチル基を表し、S14及びS15は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X14及びX15は各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Z13及びZ14は各々独立して−COO−又は−OCO−を表し、A15、A16及びA17は各々独立して無置換若しくはフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1から4の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素原子数1から4の直鎖状又は分岐状アルコキシ基によって置換されていても良い1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(X−11a−1)から式(X−11a−4)
【0115】
【化34】
【0116】
(式中、W11、W12、S14及びS15は一般式(X−11a)と同様の意味を表す。)で表される化合物が特に好ましい。上記式(X−11a−1)から式(X−11a−4)において、S14及びS15が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
【0117】
この他、好ましい2官能重合性化合物としては下記一般式(X−11b−1)から式(X−11b−3)
【0118】
【化35】
【0119】
(式中、W13及びW14は各々独立して水素原子又はメチル基を表し、S16及びS17は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基を表す。)で表される化合物が挙げられる。上記式(X−11b−1)から式(X−11b−3)において、S16及びS17が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
【0120】
また、一般式(X−12)で表される化合物として具体的には、下記一般式(X−12−1)から式(X−12−7)
【0121】
【化36】
【0122】
(式中、P14は重合性基を表し、S18は単結合又は炭素原子数1から20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−に置き換えられても良く、X16は単結合、−O−、−COO−、又は−OCO−を表し、Z15は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、L11はフッ素原子、塩素原子、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、s11は0から4の整数を表し、R12は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
【0123】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物には、当該組成物の液晶性を大きく損なわない程度に、液晶性を示さない重合性化合物を添加することも可能である。具体的には、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識される化合物であれば特に制限なく使用可能である。具体例として例えば「光硬化技術データブック、材料編(モノマー,オリゴマー,光重合開始剤)」(市村國宏、加藤清視監修、テクノネット社)記載のものが挙げられる。
【0124】
また、本願発明の化合物は光重合開始剤を使用しなくても重合させることが可能であるが、目的により光重合開始剤を添加しても構わない。その場合は光重合開始剤の濃度は、本願発明の化合物に対し0.1質量%から15質量%が好ましく、0.2質量%から10質量%がより好ましく、0.4質量%から8質量%がさらに好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。光重合開始剤の具体例としては2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、安息香酸[1−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]ヘプチリデン]アミノ(IRGACURE OXE 01)等が挙げられる。熱重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられる。熱重合開始剤の具体例としては2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等が挙げられる。また、1種類の重合開始剤を用いても良く、2種類以上の重合開始剤を併用して用いても良い。
【0125】
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、組成物に対して0.005質量%から1質量%の範囲が好ましく、0.02質量%から0.8質量%がより好ましく、0.03質量%から0.5質量%がさらに好ましい。また、1種類の安定剤を用いても良く、2種類以上の安定剤を併用して用いても良い。安定剤としては、具体的には式(X−13−1)から式(X−13−35)
【0126】
【化37】
【0127】
【化38】
【0128】
【化39】
【0129】
【化40】
【0130】
【化41】
【0131】
【化42】
【0132】
【化43】
【0133】
(式中、nは0から20の整数を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0134】
また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物をフィルム類、光学素子類、機能性顔料類、医薬品類、化粧品類、コーティング剤類、合成樹脂類等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
【0135】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合することにより得られるポリマーは種々の用途に利用できる。例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、配向させずに重合することにより得られるポリマーは、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、配向させた後に重合することにより得られるポリマーは、光学異方性を有しており有用である。このような光学異方体は、例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、布等でラビング処理した基板、有機薄膜を形成した基板又はSiOを斜方蒸着した配向膜を有する基板に担持させるか、基板間に挟持させた後、当該重合性液晶組成物を重合することによって製造することができる。
【0136】
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、非プロトン性溶媒等を使用することができるが、例えば炭化水素系溶媒としてはトルエン又はヘキサンを、ハロゲン化炭化水素系溶媒としては塩化メチレンを、エーテル系溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトキシ−2−エトキシエタン又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールを、ケトン系溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン又はN−メチルピロリジノン類を、エステル系溶媒としては酢酸エチル又はセロソルブを、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加する事も有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設ける方法は、重合性液晶材料を重合することにより得られるポリマーと基板との密着性を向上させるために有効である。
【0137】
上記以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0138】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合させる際、迅速に重合が進行することが望ましいため、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良く、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性を有していなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm〜2W/cmが好ましい。強度が0.1mW/cm以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0139】
重合によって得られた当該光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲であることが好ましく、熱処理時間は30秒〜12時間の範囲であることが好ましい。
【0140】
このような方法によって製造される当該光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0141】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。各工程において酸素及び/又は水分に不安定な物質を取り扱う際は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で作業を行うことが好ましい。通常の後処理とは、反応液から目的の化合物を得るために行う作業であり、分液・抽出、中和、洗浄、乾燥、濃縮等の当業者間において通常行われている作業を意味する。
(実施例1)式(I−1)で表される化合物の製造
【0142】
【化44】
【0143】
Journal of Medicinal Chemistry誌、2009年、52巻、9号、2989−3000頁に記載の方法によって式(I−1−1)で表される化合物を得た。反応容器に式(I−1−1)で表される化合物、トリエチルアミン、酢酸エチルを加えた。氷冷しながらチオホスゲンの酢酸エチル溶液を滴下し撹拌した。反応液を水に注ぎ通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた化合物を2−プロパノールに溶解させ、ヒドラジン一水和物、2−プロパノールを加えた反応容器に滴下し撹拌した。析出物を濾過し乾燥させることにより式(I−1−2)で表される化合物を得た。
【0144】
反応容器に式(I−1−2)で表される化合物、2,5−ジメトキシベンズアルデヒド、エタノールを加え撹拌した。析出物を濾過し乾燥させることにより式(I−1−3)で表される化合物を得た。
【0145】
反応容器に式(I−1−3)で表される化合物、テトラヒドロフラン、エタノール、水を加えた。塩化鉄(III)を加え撹拌した。析出物を濾過し乾燥させることにより式(I−1−4)で表される化合物を得た。
【0146】
反応容器に式(I−1−4)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。−78℃に冷却し三臭化ホウ素を加え撹拌した。反応液を水に注ぎ、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−1−5)で表される化合物を得た。
【0147】
反応容器にマグネシウム及びテトラヒドロフランを加えた。6−ブロモー2−メトキシナフタレンのテトラヒドロフラン溶液を加えグリニャール試薬を調製した。1,4−ジクロヘキサンジオンのテトラヒドロフラン溶液を滴下し撹拌した。塩酸を滴下し、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−1−6)で表される化合物を得た。
【0148】
反応容器に式(I−1−6)で表される化合物、p−トルエンスルホン酸一水和物、トルエンを加え、水を除去しながら加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−1−7)で表される化合物を得た。
【0149】
Synthesis誌、2010年、15号、2616−2620頁に記載の方法によって式(I−1−8)で表される化合物を得た。反応容器に式(I−1−8)で表される化合物、テトラヒドロフランを加えた。−78℃に冷却しながらブチルリチウムのヘキサン溶液を滴下し撹拌した。式(I−1−7)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液を滴下した後、室温で撹拌した。反応液を塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行った。反応容器に得られた化合物、アセトニトリル、6M塩酸を加え加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−1−9)で表される化合物を得た。
【0150】
反応容器に式(I−1−9)で表される化合物、5%パラジウム炭素、エタノールを加え、水素圧0.5MPa下、撹拌した。パラジウム炭素を濾過し溶媒を留去することにより式(I−1−10)で表される化合物を得た。
【0151】
反応容器に式(I−1−10)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。−78℃に冷却し三臭化ホウ素を滴下し撹拌した。反応液を水に注ぎ、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−1−11)で表される化合物を得た。
【0152】
反応容器に式(I−1−11)で表される化合物、2−フルオロアクリル酸、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−1−12)で表される化合物を得た。
【0153】
反応容器に式(I−1−12)で表される化合物、式(I−1−5)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−1−13)で表される化合物を得た。
【0154】
WO2009−116657A1号公報に記載の方法によって式(I−1−14)で表される化合物を得た。反応容器に式(I−1−13)で表される化合物、式(I−1−14)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−1)で表される化合物を得た。
MS(m/z):1064[M+1]
(実施例2)式(I−2)で表される化合物の製造
【0155】
【化45】
【0156】
反応容器に式(I−2−1)で表される化合物、チオシアン酸カリウム、酢酸を加えた。氷冷しながら臭素を滴下し撹拌した。析出物を濾過し乾燥させた。得られた固体を温水に溶解させアンモニア水溶液を加え撹拌した。固体を濾過し、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−2−2)で表される化合物を得た。
【0157】
反応容器に式(I−2−2)で表される化合物、p−トルエンスルホン酸一水和物、アセトニトリルを加えた。氷冷しながら亜硝酸ナトリウム水溶液、ヨウ化カリウム水溶液を滴下し、室温で撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−3)で表される化合物を得た。
【0158】
反応容器に式(I−2−3)で表される化合物、トリメチルシリルアセチレン、ヨウ化銅(I)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−4)で表される化合物を得た。
【0159】
反応容器に式(I−2−4)で表される化合物、炭酸カリウム、メタノールを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−5)で表される化合物を得た。
【0160】
反応容器に式(I−2−5)で表される化合物、式(I−2−6)で表される化合物、ヨウ化銅(I)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−7)で表される化合物を得た。
【0161】
反応容器に式(I−2−7)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。−78℃で三臭化ホウ素を滴下し撹拌した。反応液を水に注ぎ通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−8)で表される化合物を得た。
【0162】
反応容器に式(I−2−9)で表される化合物、エチレングリコール、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。アゾジカルボン酸ジイソプロピルを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−10)で表される化合物を得た。
【0163】
反応容器に式(I−2−10)で表される化合物、ロジウム、ジイソプロピルアルコールを加え、水素圧5atm下加熱撹拌した。触媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−11)で表される化合物を得た。
【0164】
反応容器に式(I−2−11)で表される化合物、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−12)で表される化合物を得た。
【0165】
反応容器に式(I−2−12)で表される化合物、メタノール、水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱撹拌した。塩酸で中和し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−13)で表される化合物を得た。
【0166】
反応容器に式(I−2−13)で表される化合物、式(I−2−8)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−14)で表される化合物を得た。
【0167】
Synthesis誌、2001年、10号、1519−1522頁に記載の方法によって式(I−2−16)で表される化合物を得た。反応容器に式(I−2−15)で表される化合物、式(I−2−16)で表される化合物、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。アゾジカルボン酸ジイソプロピルを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−17)で表される化合物を得た。
【0168】
反応容器に式(I−2−17)で表される化合物、メタノール、水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱撹拌した。塩酸で中和し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−2−18)で表される化合物を得た。
【0169】
反応容器に式(I−2−18)で表される化合物、式(I−2−14)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−2)で表される化合物を得た。
MS(m/z):1034[M+1]
(実施例3)式(I−3)で表される化合物の製造
【0170】
【化46】
【0171】
反応容器に式(I−3−1)で表される化合物、濃硫酸、エタノールを加え、加熱還流させた。酢酸エチルで希釈し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−3−2)で表される化合物を得た。
【0172】
Tetrahedron Letters誌、2010年、51巻、17号、2323−2325頁に記載の方法によって式(I−3−3)で表される化合物を得た。反応容器に式(I−3−2)で表される化合物、式(I−3−3)で表される化合物、ジブチルスズオキシド、トルエンを加え、溶媒を入れ替えながら加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−3−4)で表される化合物を得た。
【0173】
反応容器に式(I−3−4)で表される化合物、二炭酸ジ−tert−ブチル、テトラヒドロフランを加え加熱還流させた。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−3−5)で表される化合物を得た。
【0174】
反応容器に式(I−3−5)で表される化合物、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−3−6)で表される化合物を得た。
【0175】
反応容器に式(I−3−6)で表される化合物、メタノール、Amberlyst 15を加え加熱還流させた。濾過した後、溶媒を留去しカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−3−7)で表される化合物を得た。
【0176】
反応容器に式(I−3−7)で表される化合物、3−クロロ−1−プロパンチオール、炭酸セシウム、ジメチルスルホキシドを加え加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−3−8)で表される化合物を得た。
【0177】
反応容器に式(I−3−8)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらトリフルオロ酢酸を滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−3−9)で表される化合物を得た。
【0178】
反応容器に式(I−3−9)で表される化合物、トリエチルアミン、酢酸エチルを加えた。式(I−3−10)で表される化合物を加え加熱撹拌した。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−3)で表される化合物を得た。
MS(m/z):640[M+1]
(実施例4)式(I−4)で表される化合物の製造
【0179】
【化47】
【0180】
反応容器に2−フルオロアクリル酸、エチレングリコールモノ−2−クロロエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−1)で表される化合物を得た。
【0181】
反応容器に式(I−4−1)で表される化合物、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、炭酸セシウム、ジメチルスルホキシドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−2)で表される化合物を得た。
【0182】
反応容器に式(I−4−2)で表される化合物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、メタノール、水、過酸化水素水を加えた。亜塩素酸ナトリウム水溶液を滴下し加熱撹拌した。水を加え冷却し、析出物を濾過した。乾燥させることにより、式(I−4−4)で表される化合物を得た。 反応容器に式(I−4−4)で表される化合物、トリメチルシリルアセチレン、ヨウ化銅(I)、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−5)で表される化合物を得た。
【0183】
反応容器に式(I−4−5)で表される化合物、メタノール、炭酸カリウムを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−6)で表される化合物を得た。
【0184】
反応容器に式(I−4−7)で表される化合物、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、ジクロロメタンを加えた。3,4−ジヒドロ−2H−ピランを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−8)で表される化合物を得た。
【0185】
反応容器に塩化亜鉛、テトラヒドロフランを加えた。プロピルマグネシウムブロミドのテトラヒドロフラン溶液を滴下し撹拌した。得られた反応液を、式(I−4−3)で表される化合物、テトラヒドロフラン、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリドを混合した反応容器に滴下した。加熱撹拌し、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−9)で表される化合物を得た。
【0186】
反応容器に式(I−4−9)で表される化合物、メタノール、濃塩酸を加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−10)で表される化合物を得た。
【0187】
反応容器に式(I−4−10)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。冷却し臭素を滴下し撹拌した。反応液を水に注ぎ、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−11)で表される化合物を得た。
【0188】
反応容器に式(I−4−11)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。−78℃に冷却し三臭化ホウ素を滴下し撹拌した。反応液を水に注ぎ、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−12)で表される化合物を得た。
【0189】
反応容器に式(I−4−12)で表される化合物、式(I−4−13)で表される化合物、酢酸カリウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ジメチルスルホキシドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−14)で表される化合物を得た。
【0190】
反応容器に式(I−4−14)で表される化合物、式(I−4−15)で表される化合物、炭酸カリウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、エタノール、水を加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−16)で表される化合物を得た。
【0191】
反応容器に式(I−4−16)で表される化合物、式(I−4−6)で表される化合物、ヨウ化銅(I)、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−17)で表される化合物を得た。
【0192】
反応容器に式(I−4−17)で表される化合物、式(I−4−3)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。冷却しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−4−18)で表される化合物を得た。
【0193】
WO993770A1号公報記載の方法によって、式(I−4−19)で表される化合物を得た。反応容器に式(I−4−18)で表される化合物、式(I−4−19)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−4)で表される化合物を得た。
MS(m/z):1032[M+1]
(実施例5)式(I−5)で表される化合物の製造
【0194】
【化48】
【0195】
反応容器に式(I−5−1)で表される化合物、アクリル酸3−クロロプロピル、炭酸セシウム、ジメチルスルホキシドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−2)で表される化合物を得た。
【0196】
反応容器に式(I−5−3)で表される化合物、式(I−5−4)で表される化合物、炭酸カリウム、エタノール、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−5)で表される化合物を得た。
【0197】
反応容器に式(I−5−6)で表される化合物、アクリル酸tert−ブチル、炭酸カリウム、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸パラジウム(II)を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−7)で表される化合物を得た。
【0198】
反応容器に式(I−5−7)で表される化合物、5%パラジウム炭素、テトラヒドロフランを加え、水素圧0.5MPa下撹拌した。触媒を濾過し、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−8)で表される化合物を得た。
【0199】
反応容器に式(I−5−8)で表される化合物、式(I−5−5)で表される化合物、エタノールを加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−9)で表される化合物を得た。
【0200】
反応容器に式(I−5−9)で表される化合物、1,3−プロパンジオール、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−10)で表される化合物を得た。
【0201】
反応容器に式(I−5−10)で表される化合物、式(I−5−11)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。ジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−12)で表される化合物を得た。
【0202】
反応容器に式(I−5−12)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらトリフルオロ酢酸を加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−5−13)で表される化合物を得た。
【0203】
反応容器に式(I−5−13)で表される化合物、式(I−5−2)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−5)で表される化合物を得た。
MS(m/z):842[M+1]
(実施例6)式(I−6)で表される化合物の製造
【0204】
【化49】
【0205】
反応容器に式(I−6−1)で表される化合物、トルエン、プロピオール酸エチル、ジブチルスズオキシドを加え加熱還流させた。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−6−2)で表される化合物を得た。
【0206】
反応容器に式(I−6−3)で表される化合物、3−クロロプロピルアミン、炭酸セシウム、ジメチルスルホキシドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−6−4)で表される化合物を得た。
【0207】
反応容器に式(I−6−4)で表される化合物、メタノール、水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−6−5)で表される化合物を得た。
【0208】
反応容器に式(I−6−5)で表される化合物、酢酸、5%ロジウム炭素を加え水素雰囲気下加熱撹拌した。触媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−6−6)で表される化合物を得た。
【0209】
反応容器に式(I−6−6)で表される化合物、無水マレイン酸、酢酸を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−6−7)で表される化合物を得た。
【0210】
反応容器にチオシアン酸カリウム、酢酸を加え撹拌した。式(I−6−8)で表される化合物を酢酸に溶解させた溶液を滴下し撹拌した。臭素の酢酸溶液を滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−6−9)で表される化合物を得た。
【0211】
反応容器に式(I−6−9)で表される化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、二硫化炭素、水酸化ナトリウムを加え撹拌した。クロロホルムを加え、析出物を濾過し乾燥させることにより、式(I−6−10)で表される化合物を得た。
【0212】
反応容器に式(I−6−10)で表される化合物、水、メタノールを加えた。不活性雰囲気下、冷却しながら式(I−6−11)で表される化合物の酢酸及びメタノール溶液を滴下し撹拌した。不活性雰囲気下、通常の後処理を行い、式(I−6−12)で表される化合物を得た。
【0213】
不活性雰囲気下、反応容器に式(I−6−12)で表される化合物、式(I−6−7)で表される化合物、ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。冷却しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−6−13)で表される化合物を得た。
【0214】
反応容器に式(I−6−13)で表される化合物、式(I−6−2)で表される化合物、ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。冷却しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−6)で表される化合物を得た。
MS(m/z):1020[M+1]
(実施例7)式(I−7)で表される化合物の製造
【0215】
【化50】
【0216】
【化51】
【0217】
反応容器に式(I−7−1)で表される化合物、ピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながら塩化アセチルのジクロロメタン溶液を滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−2)で表される化合物を得た。
【0218】
反応容器に式(i−7−2)で表される化合物、エチレングリコール、トルエン、p−トルエンスルホン酸一水和物を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−3)で表される化合物を得た。
【0219】
不活性雰囲気下、反応容器に式(I−7−3)で表される化合物、4−ペンチン−1−オール、ヨウ化銅(I)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、N,N−ジメチルホルムアミド、トリエチルアミンを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−4)で表される化合物を得た。
【0220】
反応容器に式(I−7−4)で表される化合物、テトラヒドロフラン、5%パラジウム炭素を加え、水素雰囲気下撹拌した。触媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−5)で表される化合物を得た。
【0221】
反応容器に式(I−7−5)で表される化合物、ジイソプロピルエチルアミン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイルを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−6)で表される化合物を得た。
【0222】
反応容器に式(I−7−6)で表される化合物、テトラヒドロフラン、濃塩酸を加え撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−7)で表される化合物を得た。
【0223】
反応容器に式(i−7−7)で表される化合物、エタノール、ヒドラジン一水和物を加え撹拌した。ジクロロメタンで希釈し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−8)で表される化合物を得た。
【0224】
反応容器に式(I−7−8)で表される化合物、式(I−7−9)で表される化合物、エタノールを加え撹拌した。ジクロロメタンで希釈し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−10)で表される化合物を得た。
【0225】
Macromolecular Chemistry and Physics誌、2009年、210巻、7号、531−541頁に記載の方法によって式(I−7−12)で表される化合物を得た。反応容器に式(I−7−11)で表される化合物、式(I−7−12)で表される化合物、テトラヒドロフラン、トリフェニルホスフィンを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−13)で表される化合物を得た。
【0226】
反応容器に式(I−7−13)で表される化合物、メタノール、水、リン酸二水素ナトリウム二水和物、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素を加え加熱撹拌した。水を加え析出物を濾過し乾燥させることにより、式(I−7−14)で表される化合物を得た。
【0227】
反応容器に式(I−7−14)で表される化合物、式(I−7−15)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−16)で表される化合物を得た。
【0228】
反応容器に式(I−7−16)で表される化合物、メタノール、水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−17)で表される化合物を得た。
【0229】
反応容器に式(I−7−17)で表される化合物、式(I−7−18)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−7−19)で表される化合物を得た。
【0230】
反応容器に式(I−7−19)で表される化合物、式(I−7−10)で表される化合物、(±)−10−カンファースルホン酸、エタノール、テトラヒドロフランを加え撹拌した。析出物を濾過した後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−7)で表される化合物を得た。
MS(m/z):1265[M+1]
(実施例8)式(I−8)で表される化合物の製造
【0231】
【化52】
【0232】
【化53】
【0233】
反応容器に式(I−8−1)で表される化合物、4−クロロブタノール、炭酸セシウム、ジメチルスルホキシドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−2)で表される化合物を得た。
【0234】
反応容器に式(I−8−2)で表される化合物、プロピオール酸、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−3)で表される化合物を得た。
【0235】
反応容器に式(I−8−3)で表される化合物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、メタノール、水、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素水を加え加熱撹拌した。酢酸エチルで希釈し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−4)で表される化合物を得た。
【0236】
反応容器に式(I−8−4)で表される化合物、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−5)で表される化合物を得た。
【0237】
反応容器に式(I−8−5)で表される化合物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、メタノール、水、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素水を加え加熱撹拌した。酢酸エチルで希釈し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−6)で表される化合物を得た。
【0238】
反応容器に5−クロロペンタノール、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、ジクロロメタンを加えた。3,4−ジヒドロ−2H−ピランを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−7)で表される化合物を得た。
【0239】
反応容器に式(I−8−8)で表される化合物、テトラヒドロフラン、水素化ナトリウムを加え撹拌した。式(I−8−7)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液を滴下し加熱撹拌した。水を滴下し、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−9)で表される化合物を得た。
【0240】
反応容器にギ酸、過酸化水素を加え撹拌した。式(I−8−9)で表される化合物のジクロロメタン溶液を滴下し加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−10)で表される化合物を得た。
【0241】
反応容器に式(I−8−10)で表される化合物、メタノール、テトラヒドロフラン、濃塩酸を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−11)で表される化合物を得た。
【0242】
反応容器に式(I−8−11)で表される化合物、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−12)で表される化合物を得た。
【0243】
反応容器に式(I−8−12)で表される化合物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、メタノール、水、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素水を加え加熱撹拌した。酢酸エチルで希釈し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−8−13)で表される化合物を得た。
【0244】
European Journal of Organic Chemistry誌、2004年、20号、4203−4214頁に記載の方法によって、式(I−8−14)で表される化合物を得た。反応容器に式(I−8−14)で表される化合物、水、メタノールを加えた。不活性雰囲気下、冷却しながら式(I−8−15)で表される化合物の酢酸及びメタノール溶液を滴下し撹拌した。不活性雰囲気下、通常の後処理を行い、式(I−8−16)で表される化合物を得た。
【0245】
不活性雰囲気下、反応容器に式(I−8−16)で表される化合物、式(I−8−6)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−8−17)で表される化合物を得た。
【0246】
反応容器に反応容器に式(I−8−17)で表される化合物、式(I−8−13)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−8−18)で表される化合物を得た。
【0247】
反応容器に式(I−8−18)で表される化合物、ジクロロメタン、トリエチルアミンを加えた。オクタノイルクロリドのジクロロメタン溶液を滴下し加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−8)で表される化合物を得た。
MS(m/z):1201[M+1]
(実施例9)式(I−9)で表される化合物の製造
【0248】
【化54】
【0249】
【化55】
【0250】
反応容器に式(I−9−2)で表される化合物、アセトニトリル、炭酸カリウム、式(I−9−1)で表される化合物を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−9−3)で表される化合物を得た。
【0251】
反応容器に式(I−9−3)で表される化合物、メタノール、塩化スズ(II)、濃塩酸を加え撹拌した。反応液を重曹水に注ぎ、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−9−4)で表される化合物を得た。
【0252】
反応容器に式(I−9−4)で表される化合物、トリエチルアミン、二硫化炭素を加え撹拌した。氷冷しながら二炭酸ジ−tert−ブチルのエタノール溶液、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを加え撹拌した。溶媒を留去することにより、式(I−9−5)で表される化合物を得た。
【0253】
反応容器に式(I−9−6)で表される化合物、メタノール、水酸化ナトリウム水溶液を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−9−7)で表される化合物を得た。
【0254】
反応容器に式(I−9−7)で表される化合物、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ヨウ化銅、1,10−フェナントロリン、トルエンを加えた。式(I−9−5)で表される化合物のトルエン溶液を滴下し加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−9−8)で表される化合物を得た。
【0255】
不活性雰囲気下、反応容器に式(I−9−9)で表される化合物、ビスピナコラートジボロン、酢酸カリウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジメチルスルホキシドを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行い、式(I−9−10)で表される化合物を得た。
【0256】
反応容器に式(I−9−10)で表される化合物、テトラヒドロフラン、5%パラジウム炭素を加え水素雰囲気下撹拌した。触媒を除去した後溶媒を留去し、式(I−9−11)で表される化合物を得た。
【0257】
不活性雰囲気下、反応容器に式(I−9−11)で表される化合物、式(I−9−8)で表される化合物、炭酸カリウム、エタノール、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−9−12)で表される化合物を得た。
【0258】
反応容器に式(I−9−12)で表される化合物、式(I−9−13)で表される化合物、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−9−14)で表される化合物を得た。
【0259】
反応容器に式(I−9−14)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。−78℃に冷却し三臭化ほう素を滴下し撹拌した。反応液を水に注ぎ通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−9−15)で表される化合物を得た。
【0260】
反応容器に式(I−9−15)で表される化合物、式(I−9−16)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−9−17)で表される化合物を得た。
【0261】
反応容器に式(I−9−17)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらトリフルオロ酢酸を滴下し撹拌した。反応液を水に注ぎ、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−9−18)で表される化合物を得た。
【0262】
反応容器に式(I−9−19)で表される化合物、式(I−9−20)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−9−21)で表される化合物を得た。
【0263】
反応容器に式(I−9−21)で表される化合物、式(I−9−18)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−9)で表される化合物を得た。
MS(m/z):1035[M+1]
(実施例10)式(I−10)で表される化合物の製造
【0264】
【化56】
【0265】
【化57】
【0266】
反応容器に式(I−10−1)で表される化合物、エタノールを加えた。ヒドラジン一水和物を滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−2)で表される化合物を得た。
【0267】
反応容器に式(I−10−3)で表される化合物、エタノールを加えた。式(I−10−2)で表される化合物のエタノール溶液を滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−4)で表される化合物を得た。
【0268】
反応容器に式(I−10−4)で表される化合物、テトラヒドロフラン、濃塩酸を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−5)で表される化合物を得た。
【0269】
反応容器に硝酸イソアミル、3−メチルブタノール、二硫化炭素、1,2−ジクロロエタンを加えた。式(I−10−6)で表される化合物を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−7)で表される化合物を得た。
【0270】
反応容器に式(I−10−7)で表される化合物、無水酢酸を加えた。氷冷しながらテトラフルオロホウ酸を加え撹拌した。ジエチルエーテルを加え析出した固体を濾過し乾燥させることにより、式(I−10−8)で表される化合物を得た。
【0271】
反応容器に式(I−10−8)で表される化合物、アセトニトリルを加えた。亜リン酸トリメチル、ヨウ化ナトリウムを加え撹拌した。溶媒を留去し水を加え、固体を濾過し乾燥させることにより、式(I−10−9)で表される化合物を得た。
【0272】
反応容器に式(I−10−9)で表される化合物、テトラヒドロフランを加えた。−78℃に冷却しブチルリチウムのヘキサン溶液を滴下し撹拌した。式(I−10−5)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液を滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10−10)で表される化合物を得た。
【0273】
反応容器に式(I−10−10)で表される化合物、テトラヒドロフランを加えた。−78℃に冷却しブチルリチウムのヘキサン溶液を滴下し撹拌した。エチレンオキシドのテトラヒドロフラン溶液を滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10−11)で表される化合物を得た。
【0274】
反応容器に式(I−10−11)で表される化合物、ジクロロメタンを加えた。−78℃に冷却し三臭化ほう素を滴下し撹拌した。反応液を水に注ぎ、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10−12)で表される化合物を得た。
【0275】
反応容器に式(I−10−12)で表される化合物、式(I−10−13)で表される化合物、ジブチルスズオキシド、トルエンを加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−14)で表される化合物を得た。
【0276】
反応容器に3−クロロプロパノール、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、ジクロロメタンを加えた。3,4−ジヒドロ−2H−ピランを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−15)で表される化合物を得た。
【0277】
反応容器に式(I−10−16)で表される化合物、テトラヒドロフラン、水素化ナトリウムを加え撹拌した。式(I−10−15)で表される化合物のテトラヒドロフラン溶液を滴下し加熱撹拌した。水を滴下し、通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−17)で表される化合物を得た。
【0278】
反応容器にギ酸、過酸化水素を加え撹拌した。式(I−10−17)で表される化合物のジクロロメタン溶液を滴下し加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−18)で表される化合物を得た。
【0279】
反応容器に式(I−10−18)で表される化合物、メタノール、テトラヒドロフラン、濃塩酸を加え加熱撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−19)で表される化合物を得た。
【0280】
反応容器に式(I−10−19)で表される化合物、式(I−10−20)で表される化合物、トリフェニルホスフィン、テトラヒドロフランを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピルを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−21)で表される化合物を得た。
【0281】
反応容器に式(I−10−21)で表される化合物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、メタノール、水、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素水を加え加熱撹拌した。酢酸エチルで希釈し通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、式(I−10−22)で表される化合物を得た。
【0282】
反応容器に式(I−10−22)で表される化合物、式(I−10−14)で表される化合物、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジクロロメタンを加えた。氷冷しながらジイソプロピルカルボジイミドを滴下し撹拌した。通常の後処理を行った後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製を行い、式(I−10)で表される化合物を得た。
MS(m/z):1105[M+1]
(実施例11〜30、比較例1〜4)
実施例1から実施例10記載の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物及び特許文献1記載の化合物(R−1)、特許文献2記載の化合物(R−2)を評価対象の化合物とした。
【0283】
【化58】
【0284】
特開2002−030042号公報記載の化合物(X−1):30%、特表平11−513019号公報記載の化合物(X−2):30%及び特開平10−87565号公報記載の化合物(X−3):40%からなる液晶組成物を母体液晶(X)とした。
【0285】
【化59】
【0286】
配向膜用ポリイミド溶液を厚さ0.7mmのガラス基材にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得た。得られた塗膜をラビング処理した。ラビング処理は、市販のラビング装置を用いて行った。
【0287】
母体液晶(X)に評価対象となる化合物を30%添加することにより調製した組成物各々に対し、光重合開始剤Irgacure907(BASF社製)を1%、4−メトキシフェノールを0.1%及びクロロホルムを80%添加し塗布液を調製した。この塗布液をラビングしたガラス基材にスピンコート法により塗布した。80℃で1分間乾燥させた後、さらに120℃で1分間乾燥した。その後、高圧水銀ランプを用いて、紫外線を40mW/cmの強度で25秒間照射することにより、評価対象のフィルムを作製した。得られたフィルムはいずれも水平配向であった。評価対象のフィルムと使用した評価対象の化合物との対応関係について下表に示す。
【0288】
【表1】
【0289】
得られた評価対象のフィルムについて、配向方向に対し垂直な面内方向の吸収極大波長λomaxを測定した。測定には分光光度計(日本分光株式会社製V−560)を使用し、2枚の偏光板の間に評価対象のフィルムを挟み、評価対象のフィルムの配向方向と偏光板の偏光方向とが垂直の状態となるよう配置し測定を行った(図参照)。また、評価対象のフィルムの配向方向と偏光板の偏光方向とが垂直の状態となるよう配置し、波長λomaxにおける、配向方向に対し垂直な面内方向の吸光度Aoを測定した。同様に、評価対象のフィルムの配向方向と偏光板の偏光方向とが平行の状態となるよう配置し、波長λomaxにおける、配向方向と平行な方向の吸光度Aeを測定した。得られたAo及びAeからAo/Aeを算出した。結果を下表に示す。
【0290】
【表2】
【0291】
次に、評価対象のフィルムの耐熱性及び耐光性について評価した。試験には、促進耐候性試験機(光源:キセノンランプ、温度:BPT65℃、湿度:50%RH、強度:200W/m)を使用し、600時間光照射を行った。得られた評価対象のフィルムと使用した評価対象の化合物との対応関係について下表に示す。
【0292】
【表3】
【0293】
評価対象の各フィルムについて、耐熱性・耐光性試験の前後における位相差Re(550)の保持率(位相差保持率(%)=(Re(550)(試験後))/(Re(550)(試験前))×100と定義する。)を算出した。位相差の測定には、検査装置(大塚電子株式会社製RETS−100)を使用した。また、試験の前後における変色の度合い(ΔYI=(YI(試験後))−(YI(試験前))と定義する。)を求めた。黄色度(YI)の測定には分光光度計(日本分光株式会社製V−560)を使用し、カラー診断プログラムで黄色度(YI)を計算した。計算式は、
YI=100(1.28X−1.06Z)/Y
(式中、YIは黄色度、X、Y、ZはXYZ表色系における三刺激値を表す(JIS K7373)である。結果を下表に示す。
【0294】
【表4】
【0295】
以上の結果から、実施例1から実施例10記載の本願発明である式(I−1)から式(I−10)で表される化合物は、位相差の低下が起こりにくく、変色が起こりにくいことがわかる。従って、本願発明の化合物は、重合性組成物の構成部材として有用である。また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を用いた光学異方体は光学フィルム等の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0296】
図1】評価対象のフィルム及び偏光板の配置(a)評価対象のフィルムの配向方向と偏光板の偏光方向とが平行の状態(b)評価対象のフィルムの配向方向と偏光板の偏光方向とが垂直の状態1:偏光板(矢印は偏光板の偏光方向を意味する。)2:評価対象のフィルム(矢印は配向方向を意味する。)I:入射光I:透過光
図1