(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピーク波長が400nm以上455nm以下の範囲にあるレーザ光を放出する半導体レーザ素子と、前記レーザ光を下方から上方に通す貫通孔が設けられた基体と、前記貫通孔を塞ぐようにして設けられた蛍光部材と、を備える発光装置であって、
前記蛍光部材の下面には、前記蛍光部材よりも小さな屈折率を有する低屈折率膜を介して、前記蛍光部材からの蛍光を反射するフィルタが設けられ、
前記フィルタは、前記貫通孔の下端を含む面から上方に離間して設けられ、
少なくとも前記フィルタよりも下方において、
前記貫通孔を規定する基体の内面は、前記貫通孔が下方から上方に向かって広がるように傾斜した傾斜面を含み、
前記傾斜面には、アルミニウムを含む反射膜が形成されている、ことを特徴とする発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明を以下に限定するものではない。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。さらに、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略する。
【0010】
<第1実施形態>
図1に、本実施形態に係る発光装置100の概略断面図を示す。
図2は、300nm〜800nmの波長範囲における光に対する銀の反射率およびアルミニウムの反射率の変動を示すグラフである。それぞれの反射率は屈折率の実測値から計算した。
【0011】
発光装置100は、ピーク波長が460nm以下の範囲にあるレーザ光を放出する半導体レーザ素子1と、レーザ光を下方から上方に通す貫通孔2aが設けられた基体2と、貫通孔2aを塞ぐようにして設けられた蛍光部材3と、を備える。また、蛍光部材3の下方には、貫通孔2aの下端を含む面から上方に離間して、蛍光部材3からの蛍光を反射するフィルタ7が設けられている。さらに、少なくともフィルタ7よりも下方において、貫通孔2aを規定する基体の内面2−1は、貫通孔2aが下方から上方に向かって広がるように傾斜した傾斜面2−1aを含み、傾斜面2−1aには、アルミニウムを含む反射膜4が形成されている。
【0012】
これにより、銀を使用していないにも関わらず光出力の高い発光装置とすることができる。以下、その理由について説明する。
【0013】
蛍光部材3の下方に蛍光部材3からの蛍光を反射するフィルタ7を設けた場合、蛍光部材3の内部から下方に進行する蛍光を上方に反射させることはできるものの、蛍光部材3に照射されたレーザ光の一部は蛍光部材3に含まれる蛍光体の表面などで反射されてフィルタ7を透過して下方に進行してしまう。そして、下方に進行するレーザ光の一部は戻り光となり外部には取り出されないので、光取出し効率が低下する。この問題を解決するために、基体の内面に一般的に反射率が高いとされる銀よりなる反射膜を設けることにより、下方に進行するレーザ光を再度上方に反射させることが考えられる。しかしながら、
図2に示すように、銀からなる反射膜とアルミニウムからなる反射膜とを形成してそれぞれの反射率を測定したところ、波長が約460nm以下の領域では銀よりもアルミニウムの方が反射率が高いことが判明した。
【0014】
そこで、本実施形態では、ピーク波長が460nm以下の範囲にあるレーザ光を放出する半導体レーザ素子1を用い、蛍光部材3の下方に蛍光を反射する特定のフィルタ7を設け、さらに、フィルタ7よりも下方にアルミニウムを含む反射膜4を形成している。これにより、下方に進行するピーク波長460nm以下のレーザ光をアルミニウムを含む反射膜4で効率よく再度上方に反射させることが可能となるので、光出力の高い発光装置とすることができる。さらに、反射膜として銀ではなくアルミニウムを用いることにより、反射膜が硫化することによる光出力の低下を抑制することができる。
【0015】
以下に、発光装置100に用いられる主な部材について詳しく説明する。なお、各部材については少なくとも1つあればよく、複数個あってもよいものとする。
【0016】
(半導体レーザ素子1)
発光装置100では、蛍光部材3の励起光源として、ピーク波長が445nmの半導体レーザ素子1を用いている。
【0017】
図2に示すように、アルミニウムは460nm以下の波長に対して銀よりも高い反射率を有するので、ピーク波長が460nm以下の範囲にあるレーザ光はアルミニウムを含む反射膜4で効率よく反射される。なお、
図2からするとアルミニウムは300nm未満の波長に対しても銀に比較して高い反射率を有すると考えられるが、好ましくはピーク波長が300nm以上460nm以下、より好ましくは400nm以上455nm以下、さらに好ましくは440nm以上450nm以下の範囲にある半導体レーザ素子1を用いることができる。レーザ光のピーク波長を一定以上とすることにより、レーザ光を可視光とすることができ、レーザ光と蛍光とを混色させて所望の色(例えば白色)を得ることができる。また、レーザ光のピーク波長を一定以下とすることにより、反射膜4が銀を含む場合に比べて、高い反射率を維持することができる。
【0018】
(基体2)
基体2は、蛍光部材3を支持するための部材である。基体2は、下方から上方に向かって広がるような貫通孔2aを有し、貫通孔2aは基体の内面2−1により規定されている。また、基体の内面2−1は、その全域において貫通孔2aが下方から上方に向かって広がるように傾斜した傾斜面2−1aを含む。貫通孔2aが上方に向かって広がるように形成されていることで、蛍光部材3から下方に進行する一部のレーザ光を反射させて上方に取り出すことができる。
【0019】
基体2の材料としては、銅、鉄、鉄合金等を用いることができるが、放熱性の観点から、本実施形態では銅を主成分とする材料を用いている。
【0020】
なお、
図1では、基体の内面2−1の全域において貫通孔2aの径が徐々に大きくなるように内面を傾斜させているが、内面の一部のみを傾斜させることもできる。
【0021】
(蛍光部材3)
蛍光部材3は、少なくとも蛍光体を含み、半導体レーザ素子1からの光を長波長側に波長変換するための部材である。蛍光部材3は、蛍光体そのものを用いることができるが、典型的には、蛍光体(正確には複数の蛍光体粒子)とそれらを結着するバインダとを含む。発光装置100では、蛍光部材3にYAG系蛍光体を用い、バインダとして酸化アルミニウムを用いている。
【0022】
蛍光部材3は貫通孔2aを塞ぐようにして設けられる。つまり、蛍光部材3は、貫通孔2aの外部において(例えば基体2の上面において)貫通孔2aを塞ぐように配置することもできるし、蛍光部材3が部分的に貫通孔2aの内部に入るように配置することもできる。好ましくは、本実施形態のように貫通孔2aの内部のみに蛍光部材3を配置する。貫通孔2aの内部のみに蛍光部材3を配置することで、蛍光部材3の内部から側方へと向かう光も基体の内面2−1で反射させることができるので、光の指向性の制御が容易となる。
【0023】
蛍光体は、公知の材料から選択することができるが、半導体レーザ素子1と組み合わせて白色光が得られるような材料を選択するのが好ましい。例えば、半導体レーザ素子1として青色光のものを用いる場合、半導体レーザ素子1からの励起光により黄色光を発する蛍光体を用いることができる。黄色光を発する蛍光体としては、YAG系、TAG系、ストロンチウムシリケート系等の蛍光体が挙げられる。また、半導体レーザ素子1として青色光よりも短波の光(例えば紫外光等)を用いる場合は、青色、緑色及び赤色の各色を発光する蛍光体を用いることができる。蛍光体は、1種類の蛍光体を用いて各色の光を得ることもできるし、数種の蛍光体を用いて各色の光を得ることもできる。
【0024】
バインダとしては、シリコーン樹脂若しくはエポキシ樹脂からなる有機材料、又は酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化チタン(TiO
2)、若しくはガラス等の無機材料を用いることができるが、好ましくは無機材料とすることができる。バインダとして無機材料を用いれば、熱や光によりバインダ自体が変色したり変形したりすることを抑制することができる。バインダとして無機材料を用いる場合は、酸化アルミニウムを用いることが特に好ましい。酸化アルミニウムは融点が高く、熱や光に対する耐性が高いからである。
【0025】
バインダとして有機材料を用いる場合は、例えば、蛍光体粒子をシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂に混合し、所望の形状にしてから、加熱により硬化させることができる。一方、バインダとして無機材料を用いる場合は、例えば、蛍光体粒子とバインダとなる無機材料の粒子を混合して、焼結法により所望の形状に固めることができる。
【0026】
(反射膜4)
反射膜4は、蛍光部材3から基体の内面2−1へと向かう光を反射させて取り出すための部材であり、アルミニウムを含む材料から構成される。ここで「アルミニウムを含む材料」とは、アルミニウムの純度が80%以上の材料を意味し、好ましくは純度90%以上、より好ましくは純度95%以上、さらに好ましくは純度99%以上のアルミニウムとすることができる。本実施形態では、純度が99.9%のアルミニウムを反射膜4として用いている。なお、反射膜4は実質的に銀を含んでいない構成とすることができる。つまり、反射膜4は、銀を全く含まない場合はもとより、反射膜4が硫化しない程度であれば微量の銀を含む構成であってもよい。
【0027】
図2に示すように、アルミニウムは波長460nm以下の光に対して銀よりも反射率が高く、また、銀よりも硫化しにくい材料である。反射膜4としてアルミニウムを含む材料を用いることにより、下方に向かう一部のレーザ光を反射させることができるため、発光装置全体として高い光出力とすることができる。また、アルミニウムは銀に比べて硫化しにくいので、硫化による光出力の低下を抑制できる。
【0028】
反射膜4の膜厚は、好ましくは100nm以上6000nm以下、より好ましくは500nm以上4000nm以下とすることができる。反射膜4の膜厚を一定以上とすることにより充分に反射率を確保することができ、膜厚を一定以下とすることにより反射膜4にクラックが入るのを防止することができる。
【0029】
なお、発光装置100では反射膜4を基体の内面2−1全域に設けているが、反射膜4は基体の内面2−1のうち少なくともフィルタ7よりも下方の傾斜面2−1aに設けられていればよい。これにより、蛍光部材3からフィルタ7を通過して下方に進行する一部のレーザ光を反射させて取り出すことができる。
【0030】
(透光性部材5)
蛍光部材3を貫通孔2a内に形成する場合は、蛍光部材3の上面には透光性部材5を設けることができる。透光性部材5は、蛍光部材3と基体2とを固定するための部材であり、本実施形態では、透光性部材5としてホウ珪酸ガラスを用いている。
【0031】
本実施形態とは異なり、蛍光部材3を構成するバインダを基体の内面2−1に融着することにより、蛍光部材3を貫通孔2a内に固定することもできる。しかし、この場合は、バインダを構成する材料がある程度低い融点を有するものに限られてしまう。バインダの融点が低いと、高出力の半導体レーザを用いた場合に蛍光体(蛍光体粒子)から生じる熱でバインダ自体が変色したり変形するおそれがある。そこで、発光装置100では、蛍光部材3の上方に透光性部材5を配置し、透光性部材5を蛍光部材3の上面と基体の内面2−1に融着させることにより、蛍光部材3を貫通孔2aの内部に固定している。このようにすれば、融着することが困難な高融点のバインダを蛍光部材3に用いたとしても、蛍光部材3を基体2に容易に固定することができる。透光性部材5としては、蛍光部材3を構成するバインダよりも融点が低い材料であればよく、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、鉛ガラス等を用いることができる。
【0032】
また、透光性部材5には光散乱材を含有させることができる。光散乱材としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等を用いることができる。これにより、光を散乱させて取り出すことができるため、所望の配光を得やすくなる。
【0033】
(フィルタ7)
蛍光部材3の下方には、貫通孔2aの下端を含む面から上方に離間して、蛍光部材3からの蛍光を反射するフィルタ7が設けられている。つまり、フィルタ7よりも下方に反射膜4が形成された傾斜面2−1aが存在するようにフィルタ7は配置されている。こうすることで、フィルタ7よりも下方に反射膜4を形成した傾斜面2−1aを有するため光を効率よく取り出すことができる。なお、フィルタ7は、レーザ光の進行方向に対して入射角が90°±30°となるように配置する。こうすることで、レーザ光が入射しやすくなる。
【0034】
フィルタ7は、いわゆるDBRであり、屈折率の高い材質と低い材質とを交互に層状に積層した誘電体多層膜が利用できる。例えば、SiO
2、Al
2O
3、MgF
2、AlN、Nb
2O
5、ZrO
2、等が挙げられ、特に耐光性、屈折率の関係からAlN、SiO
2、Nb
2O
5、TiO
2、Al
2O
3を用いるのが好ましい。これにより、フィルタ7に対して主に垂直に入射する光を反射することができる。発光装置100では、SiO
2層とNb
2O
5層とを積層したものを1ペアとして、これを複数繰り返したものをフィルタ7として用いている。
【0035】
半導体レーザ素子1として青色波長のものを用いる場合、フィルタ7は黄色光(波長が550nm〜600nmの光)を反射させるように構成する。また、半導体レーザ素子1としてUV光(波長が350nm〜420nm)のものを用いる場合は、フィルタ7は青色光、緑色光、及び赤色光を反射させるように構成する。なお、フィルタ7は、各層を構成する部材の反射させたい波長に対する屈折率、膜厚、及びペア数を考慮して適宜構成することができる。
【0036】
(低屈折率膜6)
発光装置100では、蛍光部材3の下方において、蛍光部材3とフィルタ7との間に蛍光部材3よりも小さな屈折率を有する低屈折率膜6を設けている。なお、蛍光部材3が蛍光体とバインダとを含んで構成される場合は、両者のいずれよりも屈折率が小さい材料を用いる。これにより、蛍光部材3から半導体レーザ素子1へと戻る光のうち、浅い角度で入射した光を全反射させて取り出すことができる。低屈折率膜6としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等を用いることができる。膜厚は、150nm以上2000nm以下、好ましくは300nm以上1000nm以下とすることができる。
【0037】
また、基体2に蛍光部材3及びフィルタ7を接合させた後に、各部材の最表面に、原子層堆積法により保護膜を設けることもできる。原子層堆積法によれば分子レベルで膜を形成することができるため、蛍光部材3と基体2との間にできた部分的な隙間を埋めることができる。これにより、蛍光部材3において生じる熱も基体2へと排熱しやすくなる。
【0038】
(その他)
なお、発光装置100の外部には、発光装置100から出射したレーザ光と蛍光との混色光の配向を制御するレンズを設けてもよい。この場合、例えばレンズの表面に特定の波長域の光をカットするようなフィルタを設けることもできる。これにより、発光装置から所望の色度が得られない場合であっても不必要な一部の波長をカットすることができるので、所望の色度へとシフトさせることができる。つまり、規格外となる発光装置も利用することができるようになるので、歩留まりが向上する。
【0039】
<第2実施形態>
図3に本実施形態に係る発光装置200の概略断面図を示す。発光装置200は、次に説明する事項以外は、第1実施形態において記載した事項と実質的に同一である。
【0040】
発光装置200は、
図3に断面図で示すように、基体の内面2−1の一部にレーザ光の進行方向と直交する面となる平坦面2−1bを設け、平坦面2−1bよりも下方の内面のみを傾斜面2−1aとしている。なお、
図3においては、基体の内面2−1全域に反射膜4を設けているが、少なくともフィルタ7よりも下方の傾斜面2−1aのみに設けていればよい。
【0041】
本実施形態によれば、蛍光部材3の側面を傾斜させる必要がなくなるため蛍光部材3の作製が容易となり、また、蛍光部材3が載置しやすくなる。さらに、蛍光部材3の側面のみならず下面も基体2と熱的に接続させることができるため、放熱性を向上させやすい。
【0042】
<第3実施形態>
図4に本実施形態に係る発光装置300の概略断面図を示す。発光装置300は、次に説明する事項以外は、第1実施形態において記載した事項と実質的に同一である。
【0043】
発光装置300では、蛍光部材3が貫通孔2a内に形成されており、蛍光部材3の側方において、基体の内面2−1と蛍光部材3との間にフィルタ7が設けられている。さらに、蛍光部材3の側方において、基体の内面2−1とフィルタ7との間に反射膜4が設けられている。また、蛍光部材3とフィルタ7との間に低屈折率膜6が設けられている。
【0044】
蛍光部材3の側方まで、低屈折率膜6、フィルタ7、及び反射膜4を設けることにより、蛍光部材3の内部から側方へと向かう光を反射させて取り出すことができ、発光装置全体としての光出力を向上させることができる。
【0045】
<第4実施形態>
図5に本実施形態に係る発光装置400の概略断面図を示す。発光装置400は、次に説明する事項以外は、第2実施形態において記載した事項と実質的に同一である。
【0046】
発光装置400は、蛍光部材3が貫通孔2a内に形成されており、蛍光部材3の側方において、基体の内面2−1と蛍光部材3との間にフィルタ7が設けられている。また、蛍光部材3の側方において、基体の内面2−1とフィルタ7との間に反射膜4が設けられている。さらに、蛍光部材3とフィルタ7との間に低屈折率膜6が設けられている。このとき、第2実施形態と同様に透光性部材5を用いて接続することもできるが、発光装置400では、接続部材9によって基体2と蛍光部材3とを接続している。
【0047】
これにより、蛍光部材3の内部から側方へと向かう光も反射させて取り出すことができる、発光装置の光出力を向上させることができる。また、蛍光部材3の側方において基体2と蛍光部材3とを接合しているため、蛍光部材3の光取出し面(上面)に部材を形成する必要がなくなる。これにより、透光性部材5で吸収されていた光もそのまま外部へと取り出すことができるため、光出力が向上する。
【0048】
接続部材9により基体2と蛍光部材3とを接合する場合は、基体2に形成する反射膜4と、蛍光部材3の側方に形成する反射膜4と、をそれぞれ別工程で形成する。そして、反射膜4が形成された基体2と蛍光部材3とを接続部材9で接続する。このため、反射膜4は部分的に離間して設けられている。以下、接続部材9とバリア層8について説明する。
【0049】
(接続部材9)
接続部材9は、反射膜4と基体2との間に設けられている。接続部材9としては、銀、金、パラジウムなどの導電ペーストや金スズ共晶はんだ等を用いることができるが、放熱性の高い金スズ共晶はんだにより接続するのが好ましい。こうすることで、基体2と蛍光部材3との密着性が良好となるため、放熱性を向上させることができる。
【0050】
(バリア層8)
接続部材9と反射膜4との間にバリア層8を設けることもできる。これにより、接続部材9が反射膜4へと拡散するのを防止することができ、接続部材9の材料の選択範囲が広がる。バリア層8としては、Ti、Ni、Ru、Pt等を用いることができる。
【0051】
<第5実施形態>
図6に本実施形態に係る発光装置500の概念図を示す。また、
図7は、発光装置500の先端部分(基体2近傍)の構造を説明するための断面図を示す。発光装置500は、半導体レーザ素子1と、半導体レーザ素子1からの光を集光するためのレンズ10と、光ファイバ12に接続させるためのコネクタ11と、光ファイバ12と、光ファイバ12の先端部分を保持する先端部材13と、を有する以外は、第1実施形態において記載した事項と実質的に同一である。
【0052】
本実施形態によれば、半導体レーザ素子1と蛍光部材3との間に光ファイバ12を設けているので、半導体レーザ素子1と蛍光部材3との位置関係を自由に設計することができる。
【0053】
なお、発光装置500は基体の内面2−1全域を傾斜面2−1aとしたが、発光装置200のように平坦面を設けることもできるし、発光装置300及び発光装置400のように蛍光部材3の側方までフィルタ7等を形成することもできる。以下に、レンズ10、コネクタ11、光ファイバ12、及び先端部材13について説明する。
【0054】
(レンズ10)
半導体レーザ素子1と光ファイバ12との間にはレンズ10が配置されている。これにより、半導体レーザ素子1からの光を集光させ、効率良く蛍光部材3へと光を出射できる。レンズ10は無機ガラスが好ましいが、樹脂等により形成することもできる。
【0055】
(コネクタ11)
コネクタ11は、光ファイバ12を保持するものである。コネクタ11により、光ファイバ11の端部の位置決めが容易となる。
【0056】
(光ファイバ12)
光ファイバ12は、例えば、ガラス、好ましくは石英ガラス、樹脂などから構成される。光ファイバ12は湾曲することができるので、半導体レーザ素子1及び蛍光部材3の相対的な位置関係を比較的自由に設計することができる。
【0057】
(先端部材13)
先端部材13は、光ファイバ12におけるレーザ光の出射端に設けられている部材であり、光ファイバ12の外周を取り囲むように形成されている。先端部材13を設けることにより、光ファイバ12の先端部の加工をし易くすることができる。先端部分13の材料としては、レーザ光や蛍光に対して反射率が高いものにより構成される。例えば、アルミニウム、プラチナ、酸化アルミニウム、ジルコニア、ダイヤモンド等が挙げられるが、アルミニウムを用いるのが好ましい。