特許第6531456号(P6531456)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東ソー株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6531456
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】導電性インク組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/52 20140101AFI20190610BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20190610BHJP
   H05K 1/09 20060101ALN20190610BHJP
【FI】
   C09D11/52
   H01B1/22 A
   !H05K1/09 A
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-64961(P2015-64961)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-183296(P2016-183296A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2018年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原 靖
(72)【発明者】
【氏名】杉本 俊
【審査官】 南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−210847(JP,A)
【文献】 特開2013−108005(JP,A)
【文献】 特開2014−031577(JP,A)
【文献】 特開2013−108141(JP,A)
【文献】 特開2013−108140(JP,A)
【文献】 特表2008−538593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00
H01B 1/00−1/24
H01B 5/00−5/16
H05K 1/09
H05K 3/10−3/38
B22F 9/00−9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギ酸銅、ギ酸ニッケル、エタノールアミン、水を含むことを特徴とする導電性インク組成物。
【請求項2】
エタノールアミンが、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンから成る群より選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の導電性インク組成物。
【請求項3】
さらにエチレンアミンを含んでなる請求項1又は2に記載の導電性インク組成物。
【請求項4】
エチレンアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンから成る群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性インク組成物。
【請求項5】
ギ酸銅とギ酸ニッケルのモル比が、ギ酸銅/ギ酸ニッケル=1〜100であること特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性インク組成物。
【請求項6】
ギ酸銅とエタノールアミンのモル比が、ギ酸銅/エタノールアミン=0.5未満であること特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の導電性インク組成物。
【請求項7】
ギ酸銅と水のモル比が、ギ酸銅/水=0.5未満であること特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の導電性インク組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性インク組成物に関する。さらに詳しくは、塗布又は印刷した後、加熱することにより銅電極、銅配線を形成するための導電性インク組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基板、電子部品などに銅電極、銅配線を形成する方法として、基板、電子部品に銅をメッキした後、これをフォトレジストなどでマスクし、マスクしていない銅をエッチング除去する方法が広く使用されてきた。しかし、この方法は、高導電性の微細配線を形成するには好適だが、工程数が多く、銅資源を無駄にするという問題がある。
【0003】
上記の方法以外にも、導電性インク組成物を基材に塗布又は印刷した後、加熱して電極又は電気配線等を形成するという方法も、広く用いられている。この方法は、工程数が少なく、金属資源も有効に使われる。金属としては、銀、アルミなどが実用化され、広く使用されている。これらのインク組成物の多くは、金属微粒子を使用しており、加熱で微粒子を凝集、融着させ、電極、配線を形成するものである。しかし、銅に関しては、導電性が低い、また微粒子の安定性に欠けるなどの問題がある。
【0004】
そこで、導電性銅インク組成物の改良について、銅系ナノ粒子と熱硬化性樹脂を含むインク組成物(特許文献1、特許文献2)、銅ナノ粒子と銀ナノ粒子を含むインク組成物(特許文献3)、粒子径100nm以下のナノ粒子と分散液からなるインク組成物(特許文献4)、導電性微粒子、カーボンナノチューブを含むインク組成物(特許文献5)、銅ナノ粒子、ギ酸、アルコールを含むインク組成物(特許文献6)、金属ナノ粒子、無水物基を有する高分子を含むインク組成物(特許文献7)、金属粒子、ポリグリセリンを含むインク組成物(特許文献8)、金属微粒子、カーボネートを含むインク組成物(特許文献9、特許文献10)、金属微粒子を有機酸で処理したインク組成物(特許文献11)、金属、酸化防止剤、還元剤を含むインク組成物(特許文献12)、金属ナノ粒子と、カルボン酸系、チオール系、フェノール系、アミン系分散剤を含むインク組成物(特許文献13)、表面処理した導電物質、バインダーを含むインク組成物(特許文献14)、金属ナノ粒子、ジオールを含むインク組成物(特許文献15)、金属ナノ粒子、金属前駆体アミン系化合物を含むインク組成物(特許文献16)、銅ナノ粒子、スズ粒子を含むインク組成物(特許文献17)、コアシェル構造のナノ粒子を含むインク組成物(特許文献18)、金属前駆体と銅化合物、アミンから得られるナノ粒子インク組成物(特許文献19)、金属アルカノカートから得られるナノ粒子インク組成物(特許文献20)、導電性微粒子、イオン性液体を含むインク組成物(特許文献21)、金属化合物、アミン、アルカノイック酸、チオール化合物から得られるナノ粒子インク組成物(特許文献22)、金属粉、金属塩を含むインク組成物(特許文献23)、金属コロイド、イソシアネート化合物を含むインク組成物(特許文献24)、金属粒子、分散剤、高分子樹脂を含むインク組成物(特許文献25)、金属ナノ粒子、アミン化合物を含むインク組成物(特許文献26)など多くの提案がなされている。これらは、導電性、安定性に優れた金属微粒子の製造法、あるいはこの微粒子を含むインク組成物についての提案であるが、銅に関しては銀に比べて酸化に弱く、印刷後の加熱を大気中で実施すると、高導電性を発揮することができず、不活性ガスを必要とするなど工業的に満足する水準には達していない。また、これらのインク組成物は可燃性の有機物を多く含有しており、大気中で加熱した場合、燃焼、爆発の危険があり、工業的に使用するには問題がある。ギ酸銅、ギ酸ニッケル及び1級アミンの混合物を、100℃〜165℃の範囲内の温度に加熱した後、マイクロ波照射によって170℃以上の温度に加熱して、ニッケル及び銅を含有する金属微粒子スラリーを得る方法が開示されている(特許文献27、28)。しかし、この方法は金属化のためにマイクロ波を照射する必要があり、簡便な方法とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−142052号公報
【特許文献2】特開2009−99561号公報
【特許文献3】特開2011−44509号公報
【特許文献4】特開2010−196150号公報
【特許文献5】特開2010−165594号公報
【特許文献6】特開2010−59535号公報
【特許文献7】特開2009−74054号公報
【特許文献8】特開2009−37880号公報
【特許文献9】特開2008−274096号公報
【特許文献10】特開2008−208285号公報
【特許文献11】特開2008−198595号公報
【特許文献12】特開2008−166590号公報
【特許文献13】特開2008−150601号公報
【特許文献14】特開2008−94995号公報
【特許文献15】特開2007−332347号公報
【特許文献16】特開2006−332051号公報
【特許文献17】特開2007−207577号公報
【特許文献18】特開2007−63662号公報
【特許文献19】特開2007−46162号公報
【特許文献20】特開2007−31835号公報
【特許文献21】特開2006−335995号公報
【特許文献22】特開2006−328532号公報
【特許文献23】特開2006−210301号公報
【特許文献24】特開2006−193594号公報
【特許文献25】特開2005−235533号公報
【特許文献26】特開2004−273205号公報
【特許文献27】特開2013−108140号公報
【特許文献28】特開2013−108141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大気中で焼成しても高導電性の金属を形成でき、しかも燃焼性を抑制したインク組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、銅配線を形成するインク組成物について鋭意検討した結果、ギ酸銅、ギ酸ニッケル、エタノールアミン、水を含むインク組成物が、燃焼性が低く、しかも大気中で焼成しても高導電性で微細な配線を形成できるという新規な事実を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下に示すとおりの導電性インク組成物である。
【0009】
[1]ギ酸銅、ギ酸ニッケル、エタノールアミン、水を含むことを特徴とする導電性インク組成物。
【0010】
[2]エタノールアミンが、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンから成る群より選ばれる少なくとも一種である上記[1]に記載の導電性インク組成物。
【0011】
[3]さらにエチレンアミンを含んでなる上記[1]又は[2]に記載の導電性インク組成物。
【0012】
[4]エチレンアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンから成る群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[3]に記載の導電性インク組成物。
【0013】
[5]ギ酸銅とギ酸ニッケルのモル比が、ギ酸銅/ギ酸ニッケル=1〜100であること特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
【0014】
[6]ギ酸銅とエタノールアミンのモル比が、ギ酸銅/エタノールアミン=0.5未満であること特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
【0015】
[7]ギ酸銅と水のモル比が、ギ酸銅/水=0.5未満であること特徴とする上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
【0016】
[8]ギ酸銅の量が、1〜50重量%である上記[1]乃至[7]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
【0017】
[9]基板に塗布後、温度100℃以上で加熱する上記[1]乃至[8]のいずれかに記載の導電性インク組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明の導電性インク組成物は、プリント配線基板、太陽電池などの電子デバイスの製造において、少ない工程で配線が形成でき、しかも大気中で高導電性の微細配線を形成できるため、工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の導電性インク組成物の必須成分は、ギ酸銅、ギ酸ニッケル、エタノールアミン及び水である。
【0020】
本発明の導電性インク組成物において、ギ酸銅としては、特に制限はなく、一般に流通しているものを使用することができる。ギ酸銅は、通常、水和物、あるいは無水物として流通しており、いずれを使用しても一向に差支えないが、水の含有量が少ないギ酸銅を使用する方が、高導電性の銅膜、銅配線が形成できるし、インク組成物の安定性が良いため好ましい。
【0021】
本発明の導電性インク組成物において、エタノールアミンは二種類以上を含有することが好ましい。二種類以上のエタノールアミンを含有することで、安定性の良いインク組成物とすることができる。また、エタノールアミンは空気中の炭酸ガスを吸収しても固体になりにくく、インク組成物の物性が損なわれないし、空気中の酸素による銅の酸化も抑制することができる。エタノールアミンは、加熱時に、炭酸ガス、ギ酸分解ガスを脱離するが、エタノールアミンを二種類以上含有することで、これらのガスの脱離が多段階で生じるため、一種類だけを含有した場合に生じる急激な発泡を避けることができ、欠陥のない銅膜、銅配線を生成できる。
【0022】
本発明の導電性インク組成物において、エタノールアミンとは、エチレン鎖の両端にアミノ基と、水酸基が存在する化合物をいう。エタノールアミンを例示すると、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンが挙げられ、その中でもモノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン等が好ましく、特に好ましくはモノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミンである。これらのエタノールアミンは一種類を含有しても、二種類以上を含有しても一向に差支えない。
【0023】
本発明の導電性インク組成物において、エタノールアミンとしては、一般に流通しているものを使用でき、特に限定されるものではない。
【0024】
本発明の導電性インク組成物において、エチレンアミンを含有することが好ましい。エチレンアミンを含有することで、欠陥の少ない導電膜を形成することができる。エチレンアミンを例示すると、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどが挙げられ、沸点が低く、導電膜中に残存し難い、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペラジンが特に好ましい。これらのエチレンアミンは一種類を含有しても、二種類以上を含有しても一向に差支えない。エチレンアミンの量は、エタノールアミンより少なくする必要がある。エチレンアミンの量がエタノールアミンより多い場合、空気中の炭酸ガスを吸収し、インク組成物が固化する可能性がある。
【0025】
本発明の導電性インク組成物において、導電性及びギ酸銅の溶解・分散性の観点から、ギ酸銅の量は1〜50重量%が好ましく、10〜50重量%がさらに好ましい。
【0026】
本発明の導電性インク組成物において、ギ酸ニッケルの量は、導電性の観点から、ギ酸銅とギ酸ニッケルのモル比が、ギ酸銅/ギ酸ニッケル=100〜1であることが好ましく、特に好ましくは100〜3である。
【0027】
本発明の導電性インク組成物において、エタノールアミンの量は、金属の析出温度が高くなることから、ギ酸銅とエタノールアミンのモル比が、ギ酸銅/エタノールアミン=0.5未満であることが好ましく、特に好ましくは0.1以上0.5未満である。
【0028】
本発明の導電性インク組成物において、水の量は、大気中で加熱した場合の金属化及び引火性の観点から、ギ酸銅と水のモル比が、ギ酸銅/水=0.5未満であることが好ましく、特に好ましくは0.1以上0.5未満である。
【0029】
本発明の導電性インク組成物に、防食剤、溶剤、増粘剤、界面活性剤、エタノールアミン、エチレンアミン以外のアミンを含有することができる。これらは一般に使用されているものを使用することができ、特に制限はない。防食剤は、銅膜、銅配線を形成した後、銅の酸化を抑制するのに有効であり、溶剤、増粘剤、界面活性剤は、インク組成物の塗布性、安定性を改良できる。エタノールアミン、エチレンアミン以外のアミンは、インク組成物の揮発性、粘度の調整やギ酸銅、銅金属を安定化に使われる。
【0030】
本発明の導電性インク組成物を基板などに塗布した後、加熱することで導電性の膜、配線を形成できる。インク組成物を塗布する方法として、インクジェット、スクリーン印刷など多くの方法が知られているが、どの方法でも問題なく塗布できる。
【0031】
用いる基板については特に制限はなく、例示すると、ガラス、石英、セラミック、シリコン等の無機材料、PET、PBT、ポリカーボネート、ナイロン、ポリイミド等の樹脂基板が挙げられる。工業的には、ガラス、シリコン、PET、ポリイミドが広く用いられる。
【0032】
本発明の導電性インク組成物は、加熱する際、酸素、水分、炭酸ガスなどが存在しても、導電性の高い銅膜、銅配線を形成できる。しかし、酸素、水分、炭酸ガスなどが少ない不活性ガス雰囲気又は水素ガス雰囲気で加熱すると、さらに導電性が高くなる。
【0033】
本発明の導電性インク組成物を加熱する際の加熱温度は、ギ酸銅を分解するため、100℃以上、好ましくは100℃〜300℃、特に好ましくは100〜250℃が必要である。高温ほど導電性に優れた膜、配線が形成できるが、基板の耐熱温度以下の温度にする必要がある。
【0034】
本発明の導電性インク組成物は、プリント配線基板、太陽電池などの配線を形成するのに使用され、微細配線化が可能であるなどの効果が期待できる。また、タッチパネルなどの透明導電膜にも適用できる。
【実施例】
【0035】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表記を簡潔にするため、以下の略記号を使用した。
【0036】
CF:ギ酸銅(II)四水和物、
NF:ギ酸ニッケル(II)二水和物、
MEA:モノエタノールアミン、
MMEA:N−メチルエタノールアミン、
DMEA:N,N−ジメチルエタノールアミン、
MDEA:N−メチルジエタノールアミン、
EDA:エチレンジアミン、
DETA:ジエチレントリアミン、
実施例1〜6
CF 10g、MMEA 16g、DMEA 8g、NF 2.8g、EDA 0.3g、水 64gを室温で混合し、導電性インク組成物とした。この時のCF:NF:エタノールアミン:水(CF中の水を含む)のモル比は、1:0.34:6.9:85だった。このインク組成物をガラス基板上に塗布し、大気下、表1に記載の温度で30分加熱した。室温まで冷却後、生成した銅薄膜のシート抵抗を四端子法で測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
なお、このインク組成物の引火点はなく、非可燃性液体だった。
【0038】
【表1】
【0039】
比較例1
NFを添加しない以外は実施例1〜6と同じように導電性インク組成物を調製した。インク組成物の組成は、CF 10g、MMEA 16g、DMEA 8g、EDA 0.3g、水 64gであり、CF:エタノールアミン:水(CF中の水を含む)のモル比は、1:6.9:85だった。このインク組成物をガラス基板上に塗布し、大気下、180℃で30分加熱した。室温まで冷却後、生成した銅薄膜のシート抵抗を四端子法で測定したが、導電性はなかった。
【0040】
比較例2
水を添加しない以外は実施例1〜6と同じように導電性インク組成物を調製した。インク組成物の組成は、CF 10g、MMEA 16g、DMEA 8g、NF 2.8g、EDA 0.3gであり、CF:NF:エタノールアミン:水(CF中の水を含む)のモル比は、1:0.34:6.9:2.0だった。このインク組成物をガラス基板上に塗布し、大気下、180℃で30分加熱した。室温まで冷却後、生成した銅薄膜のシート抵抗を四端子法で測定したが、導電性はなかった。
【0041】
なお、このインク組成物の引火点は82℃であり、可燃性液体であった。
【0042】
比較例3
水及びエタノールアミンを添加せず、エタノールアミンの代わりにDETAを使用した以外は比較例2と同じように導電性インク組成物を調製した。インク組成物の組成は、CF 10g、NF 2.8g、DETA 31g、EDA 0.3gであり、CF:NF:DETA:水(CF中の水を含む)のモル比は、1:0.34:6.9:2だった。
このインク組成物は大気中で固体が析出し、基板に塗布することができなかった。
【0043】
実施例7〜10
CF 10g、MMEA 9g、MDEA 15g、水5gを混合し、銅塩溶液を調製した。またNF 10g、EDA 1g、MEA 20gを混合し、ニッケル塩溶液を調製した。この銅塩溶液とニッケル塩溶液を表2記載のギ酸銅/ギ酸ニッケル比になるように混合し、導電性インク組成物を調製した。このインク組成物をガラス基板上に塗布し、大気下、180℃で30分加熱した。室温まで冷却後、生成した銅薄膜のシート抵抗を四端子法で測定した。その結果を表2に示す。
【0044】
【表2】