特許第6531483号(P6531483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6531483
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】溶存成分の濃度測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20190610BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20190610BHJP
   G01N 21/77 20060101ALI20190610BHJP
   G01N 21/82 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   G01N21/27 F
   G01N31/00 B
   G01N21/77 B
   G01N21/82
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-99275(P2015-99275)
(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公開番号】特開2016-217741(P2016-217741A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】森 信太郎
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−232747(JP,A)
【文献】 特開平01−039541(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0104807(US,A1)
【文献】 特開2015−083945(JP,A)
【文献】 特開2008−057996(JP,A)
【文献】 特開平06−088782(JP,A)
【文献】 特開2014−228468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/83
G01N 31/00−31/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定する溶存成分の濃度が既知である、温度の異なる複数の標準サンプル水に対して、可視光を照射した際の透過率又は吸光度の経時変化を含む情報を記憶し、この記憶データに基づいて、未知サンプル水の溶存成分濃度を求める吸光光度法による水中の溶存成分濃度の測定装置であって、該未知サンプル水の温度に基づいて、
使用する検量線、

透過率又は吸光度の読み込みタイミング
を変更するように設定されている溶存成分濃度の測定装置であって、
温度の異なる複数の標準サンプル水について測定した透過率又は吸光度に基づいて、温度毎に複数の検量線が作製され、前記未知サンプル水の温度に最も近い温度の検量線を選択使用するように設定されており、
前記未知サンプル水の温度に最も近い温度の標準サンプル水の透過率又は吸光度の経時変化から、該未知サンプル水の透過率又は吸光度の読み込みタイミングを決定するように設定されていることを特徴とする水中の溶存成分濃度の測定装置。
【請求項2】
測定する溶存成分の濃度が既知である、温度の異なる複数の標準サンプル水に対して、可視光を照射した際の透過率又は吸光度の経時変化を含む情報を記憶し、この記憶データに基づいて、未知サンプル水の溶存成分濃度を求める吸光光度法による水中の溶存成分濃度の測定方法であって、該未知サンプル水の温度に基づいて、
使用する検量線、

透過率又は吸光度の読み込みタイミング
を変更する溶存成分濃度の測定方法であって、
温度の異なる複数の標準サンプル水について測定した透過率又は吸光度に基づいて、温度毎に複数の検量線を作製し、前記未知サンプル水の温度に最も近い温度の検量線を選択使用し、
前記未知サンプル水の温度に最も近い温度の標準サンプル水の透過率又は吸光度の経時変化から、該未知サンプル水の透過率又は吸光度の読み込みタイミングを決定することを特徴とする水中の溶存成分濃度の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水系やボイラ水等の水中の溶存成分濃度を測定する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水を利用するプラントを安全かつ効率よく運転するためには、そのプラントに適した水質管理を行うことが必要であり、障害が発生する水質にならないよう、常に適切な薬品濃度の維持や濃縮管理といった水質条件を制御することが求められている。
そこで、冷却水系等においては、循環水中の溶存成分濃度を、現場にてオンラインやバッチで測定することが行われている。
【0003】
例えば、バッチでの水質測定装置として、特許文献1には、吸光光度法での残留塩素の検出方法と試験具が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、冷却水系やボイラ等の蒸気発生設備を備える水系のスケール、腐食、及び汚れ防止等、水処理の目的のために添加されるアクリル酸重合体、アクリル酸共重合体、マレイン酸重合体、マレイン酸共重合体等のアニオン性ポリマー濃度の測定方法として、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート剤の水溶液を封入した測定セルに、検水を注入後、塩化ベンゼトニウム等の第四級アンモニウム塩の水溶液を添加し、攪拌してアニオン性ポリマーと反応させて白濁を生じさせ、波長が400〜900nmのいずれかの可視光線の透過率又は吸光度を測定してアニオン性ポリマーの濃度を測定する方法が記載されている。
【0005】
また、吸光度測定による水中のリン酸イオン濃度の分析試薬として、硫酸、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物、酒石酸アンチモニルカリウムおよびアルコルビン酸を含む試薬(JIS K0101:1998)が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−346425号公報
【特許文献2】特開2014−228467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、吸光光度法では、測定の前にサンプル水の温度調整を行い、充分な反応時間を確保して、透過率又は吸光度測定を行う。しかし、屋外等の現場で実施するバッチ測定の場合、ヒーターやクーラーなどを用いてサンプル水の温度を調整するには、大掛かりな機材の準備が必要な上、温度調整に時間を要するため、操作性が大きく低下する問題があった。
【0008】
この対策として、特許文献1には換算式を用いて温度補正することが記載されているが、測定対象によっては発色が安定する時間がズレたり、検量線そのものが異なったりし、定量的な温度補正では正しい結果が得られない場合があった。
また、現場で多くのサンプルを分析するために、測定に要する時間の短縮が望まれている。
【0009】
本発明は、サンプル水の温度によって測定値が大きく変化する透過率又は吸光度に基づいて溶存成分濃度を測定するに当たり、サンプル水温を一定にするための大掛かりな装置を用いることなく、サンプル水の溶存成分濃度を精度よく簡便に測定することができる装置と測定方法を提供することを目的とする。本発明はまた、測定に要する時間を短縮することができる水中の溶存成分濃度の測定装置と測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意研究を行った結果、測定時のサンプル水の温度に応じて検量線や測定値の読み込みタイミングを変更することにより、測定精度を向上させることができ、また、測定時間を短縮することができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
【0011】
[1] 測定する溶存成分の濃度が既知である、温度の異なる複数の標準サンプル水に対して、可視光を照射した際の透過率又は吸光度の経時変化を含む情報を記憶し、この記憶データに基づいて、未知サンプル水の溶存成分濃度を求める吸光光度法による水中の溶存成分濃度の測定装置であって、該未知サンプル水の温度に基づいて、使用する検量線、及び/又は透過率又は吸光度の読み込みタイミングを変更するように設定されていることを特徴とする水中の溶存成分濃度の測定装置。
【0012】
[2] [1]において、温度の異なる複数の標準サンプル水について測定した透過率又は吸光度に基づいて、温度毎に複数の検量線が作製され、前記未知サンプル水の温度に最も近い温度の検量線を選択使用するように設定されていることを特徴とする水中の溶存成分濃度の測定装置。
【0013】
[3] [1]又は[2]において、前記未知サンプル水の温度に最も近い温度の標準サンプル水の透過率又は吸光度の経時変化から、該未知サンプル水の透過率又は吸光度の読み込みタイミングを決定するように設定されていることを特徴とする水中の溶存成分濃度の測定装置。
【0014】
[4] 測定する溶存成分の濃度が既知である、温度の異なる複数の標準サンプル水に対して、可視光を照射した際の透過率又は吸光度の経時変化を含む情報を記憶し、この記憶データに基づいて、未知サンプル水の溶存成分濃度を求める吸光光度法による水中の溶存成分濃度の測定方法であって、該未知サンプル水の温度に基づいて、使用する検量線、及び/又は透過率又は吸光度の読み込みタイミングを変更することを特徴とする水中の溶存成分濃度の測定方法。
【0015】
[5] [4]において、温度の異なる複数の標準サンプル水について測定した透過率又は吸光度に基づいて、温度毎に複数の検量線を作製し、前記未知サンプル水の温度に最も近い温度の検量線を選択使用することを特徴とする水中の溶存成分濃度の測定方法。
【0016】
[6] [4]又は[5]において、前記未知サンプル水の温度に最も近い温度の標準サンプル水の透過率又は吸光度の経時変化から、該未知サンプル水の透過率又は吸光度の読み込みタイミングを決定することを特徴とする水中の溶存成分濃度の測定方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サンプル水の温度によって測定値が大きく変化する透過率又は吸光度に基づいて溶存成分濃度を測定するに当たり、サンプル水の水温に影響を受けることなく、高精度な測定を行える。このため、サンプル水温を一定にするための大掛かりな装置を用いることなく、サンプル水の溶存成分濃度を精度よく簡便に測定することができる。また、本発明によれば、サンプル水の水温に応じて透過率又は吸光度の読み込みタイミングを変更することで、測定に要する時間を短縮することも可能であり、測定精度の向上と測定時間の短縮で、冷却水系等における水質管理を確実かつ効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の水中の溶存成分濃度の測定装置の実施の形態の一例を示す構成ブロック図である。
図2】実施例1で得られた各温度の検量線を示すグラフである。
図3】比較例2におけるJIS法との比較結果を示すグラフである。
図4】実施例2における各温度での吸光度の経時変化を示すグラフである。
図5図4のデータを再プロットしたグラフである。
図6】実施例2におけるJIS法との比較結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の水中の溶存成分濃度の測定装置の実施の形態の一例を示す構成ブロック図である。
【0021】
吸光度測定部1で得た吸光度(又は透過率)と、温度測定部2で得られた温度の検出信号がA/D変換器3でデジタル信号に変換され、コンピュータ10の演算部4に入力される。この演算部4は、記憶部5から与えられる各温度における透過率や吸光度の読み込みタイミング(反応時間)と検量線情報に応じて溶存成分濃度の演算を行い、その結果を液晶などからなる表示部6に表示する。なお、記憶部5は、新しい薬剤種類が追加された際に入力部7を通して新規な検量線を追加することができる。これらの検量線や上記の演算結果は通信回線を通じて管理センター等に送信されてもよい。また、測定はオンラインでもバッチでもいずれの方法で実施してもよい。
【0022】
[態様I]
本発明の一態様では、測定する溶存成分の濃度が既知の、温度が異なる複数の標準サンプル水に対して、可視光を照射した際の透過率又は吸光度を測定し、その測定値の経時変化を含む情報を記憶部5に入力して記憶させる。一方、溶存成分濃度を測定するべき未知サンプル水について温度と可視光の透過率又は吸光度を測定して測定値を演算部4に入力する。演算部4では、記憶部5に記憶された各温度の標準サンプル水の透過率又は吸光度の測定値に基づいて作成された各温度毎の検量線の中から、未知サンプル水の温度に対応する検量線(未知サンプル水の温度と同一の温度の検量線又は未知サンプル水の温度に最も近い温度の検量線)を選択し、この検量線に基づいて、未知サンプル水の透過率又は吸光度の測定値から、未知サンプル水の溶存成分濃度を求める。
なお、上記の未知サンプル水の温度に対応する検量線として、未知サンプル水の温度よりも高いか低いかを問うことなく、未知サンプル水の温度に最も近い温度の検量線を選択してもよく、未知サンプル水の温度よりも高い温度であって、未知サンプル水の温度に最も近い温度の検量線(検量線1という)を選択してもよく、未知サンプル水の温度よりも低い温度であって、未知サンプル水の温度に最も近い温度の検量線(検量線2という)を選択してもよく、検量線1と検量線2とに基づき補間して作成した検量線に基づいて未知サンプル水の溶存成分濃度を求めるようにしてもよい。
【0023】
[態様II]
本発明の別の態様では、測定する溶存成分の濃度が既知の、温度が異なる複数の標準サンプル水に対して、可視光を照射した際の透過率又は吸光度を測定し、その測定値の経時変化を含む情報を記憶部5に入力して記憶させる。一方、演算部4では、この記憶部5から取得した測定値の経時変化から、各温度毎に測定値が安定するに要する時間を決定し、これを未知サンプル水の測定値の読み込みタイミングとし、未知サンプル水について測定された温度に対して決定された読み込みタイミングにおける透過率又は吸光度の測定値を取り込む。この場合においても、上記態様Iと同様に、演算部4では、記憶部5からの情報に基づいて、各温度の標準サンプル水の透過率又は吸光度の測定値に基づいて、各温度毎の検量線が作製され、未知サンプル水の温度に対応する検量線(未知サンプル水の温度と同一の温度の検量線又は未知サンプル水の温度に最も近い温度の検量線(検量線1又は検量線2、あるいは検量線1と検量線1から補間して作成した検量線))を選択して、この検量線に基づいて、未知サンプル水の透過率又は吸光度の測定値から、未知サンプル水の溶存成分濃度を求めることが好ましい。
【0024】
上記態様Iでは、未知サンプル水の温度により測定値が変動する透過率又は吸光度に基づいて溶存成分濃度を求める場合において、未知サンプル水の温度に対応して検量線を選択して用いることにより、温度による測定誤差をなくして精度のよい測定を行うことができる。
【0025】
また、上記態様IIでは、例えば、未知サンプル水の発色のための試薬等を添加して透過率又は吸光度を測定する場合、その発色が安定するに要する時間が温度によって異なる場合において、温度に応じて測定値を得るまでの必要な反応時間を確保して読み込みタイミングを決定し、反応時間の過不足をなくして測定に要する時間を短縮することができる。
【0026】
なお、温度の異なる複数の標準サンプル水の温度間隔には特に制限はなく、測定する溶存成分や未知サンプル水の温度の変動幅に応じて適宜決定されるが、徒に標準サンプル水数を多くすることなく、高精度な測定を行う上で、5〜60℃程度の温度間隔で標準サンプル水を調製して検量線を作製することが好ましい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0028】
<実施例1>
光路長10mm、光路幅10mm、高さ45mm、外幅12.5mmのポリスチレン製の測定セルに、EDTA0.7重量%水溶液1.5mLを封入した。このセルに、5℃、15℃又は35℃に調整した、5mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L又は25mg/Lのポリアクリル酸ナトリウムの検水を1mL添加した後、塩化ベンゼトニウム5重量%水溶液を約20μLスポイトで滴下した。その後、攪拌・反応させて白濁を生じさせ、波長525nmで可視光線の吸光度測定を行い、吸光度とポリアクリル酸ナトリウム濃度とを各温度毎にグラフにプロットした。この結果を図2に示す。また、図2の中で調整ポリマー濃度が25mg/Lのときの各温度の吸光度を表1に示す。
【0029】
<比較例1>
25℃に調整した、5mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/L又は25mg/Lのポリアクリル酸ナトリウムの検水のみを用いて、実施例1と同様に検量線を作製した。この検量線における調整ポリマー濃度が25mg/Lのときの吸光度を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1より明らかなように、検水の温度によらず、25℃で作製した検量線で濃度換算する比較例1では、例えば、検水温度が5℃の場合、吸光度を元に検量線で換算した測定値は15%以上((1.37−1.13)/1.37 ×100=17.5)の乖離が見られることが分かる。
これに対して、実施例1では、各検水の温度を測定し、その温度に応じた検量線を適用するため、検量線が温度によって異なる場合や、定量的な温度補正が適用できない測定対象であっても、精度良く溶存成分の濃度を換算できる。
【0032】
<比較例2>
光路長10mm、光路幅10mm、高さ45mm、外幅12.5mmのポリスチレン製の測定セルに、硫酸8重量%、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.5重量%および酒石酸アンチモニルカリウム0.05重量%からなるリン酸分析試薬を封入し、温度を25℃に調整した各濃度のリン酸の検水を1mL添加した後、アスコルビン酸0.05gを添加し、攪拌、反応させて波長660nmの可視光線の吸光度測定を行い、吸光度とリン酸濃度との関係をグラフにプロットして検量線を作成した。
上述の通り作成した検量線をもとに、屋外の現場で種々の温度で求めた実機冷却水のリン酸濃度の測定値(従来例)をJIS法による測定値と比較した結果を図3に示す。従来法とJIS法との相関係数は0.94であった。
【0033】
<実施例2>
5℃、15℃、25℃、35℃の各温度において、比較例と同様に10mg−PO3−/Lのリン酸溶液について測定した際の、吸光度の経時変化を図4に示す。図4より、吸光度は時間の経過とともに増加した後、一定の反応時間で安定した吸光度を維持すること、および温度が異なると安定する吸光度が異なることが確認された。
【0034】
そこで、図4において、反応時間が10分の時点を100%として、再プロットしたものを図5に示す。
図5より明らかなように、例えば、検水の温度が5℃のときであれば、吸光度が安定するには8分必要であるが、25℃であれば4分でほぼ安定する。
この結果から、サンプル水温を測定し、その温度に対する吸光度が安定するに要する時間を選択すれば、反応時間を、例えば8分から4分へと短縮することが可能であることが確認できた。
【0035】
更に、図4において、温度が異なると安定する吸光度が異なることから、吸光度の読み取りタイミングに加え、使用する検量線を変更させた際のJIS法との比較結果を図6に示す。このときの相関係数は0.999となった。
【0036】
図6図3の比較から、本発明法によりリン酸分析値の信頼性が著しく改善されたことが明らかである。また、温度が高い検水については反応時間の短縮に伴い、吸光度の読み込みタイミングを早めた結果、検量線の換算値を得る時間が半分にまで短縮できた。
【0037】
以上より、本発明によれば、測定精度の向上と測定時間の短縮を図ることができることが分かる。
【符号の説明】
【0038】
1 吸光度測定部
2 温度測定部
3 A/D交換器
4 演算部
5 記憶部
6 表示部
7 入力部
10 コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6