(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2結着材塗液に用いられる結着材のタック強度は、前記第1結着材塗液に用いられる結着材のタック強度の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン電池用電極の製造方法。
前記第2結着材塗液の固形分濃度は、前記第1結着材塗液の固形分濃度の1.3倍以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のリチウムイオン電池用電極の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極の製造方法について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極の製造に用いる粉体成形装置2の概略を示す図である。
図1に示すように、粉体成形装置2は、第1結着材塗液4を塗布する第1塗布部6、第2結着材塗液8を塗布する第2塗布部10、基材12を搬送する搬送ローラ14A,14B、粉体16を収容するホッパー18、ホッパー18から基材12の表面に供給される粉体16の目付量を制御するスキージ部材20、及び基材12の表面に供給される粉体16をプレスする一対のプレス用ロール22A,22Bを備えている。
【0015】
第1塗布部6は、第1結着材塗液4を貯留する第1貯留槽6a及びリチウムイオン電池用電極活物質層の幅方向中央部に対応する基材12の表面の領域12a(
図2参照)に第1結着材塗液4を塗布する第1グラビアロール6bを備えている。第1グラビアロール6bの幅は、基材12の領域12aに第1結着材塗液4を塗付するために、領域12aの幅A(
図2参照)に設定されている。
【0016】
第2塗布部10は、第1結着材塗液4と異なる第2結着材塗液8を貯留する第2貯留槽10a及びリチウムイオン電池用電極活物質層の幅方向両端部に対応する基材12の表面の領域12b,12c(
図2参照)に第2結着材塗液8を塗布する第2グラビアロール10bを備えている。第2グラビアロール10bの幅は、リチウムイオン電池用活物質層の幅に対応する基材12の領域12a,12b及び12cの幅A+B+C(
図2参照)に設定されている。また、第2グラビアロール10bの幅方向両端部のロール径は中央部のロール径より大きく、一方の端部のロール径が大きい部分の幅は基材12の領域12bの幅B(
図2参照)、他方の端部のロール径が大きい部分の幅は基材12の領域12cの幅C(
図2参照)に設定されている。第2結着材塗液8を基材12の領域12aに塗布せず、領域12b,12cのみに塗付するためである。
【0017】
スキージ部材20は、円柱形状を有し、ホッパー18の下流側であって、一対のプレス用ロール22A,22Bの上流側に配置されている。スキージ部材20の回転軸は、一対のプレス用ロール22A,22Bの回転軸と平行である。
【0018】
この粉体成形装置2を用いてリチウムイオン電池用電極としての電極シートを製造する場合には、まず、
図2に示すように、リチウムイオン電池用電極活物質層の幅方向中央部に対応する基材12の領域12aに、第1塗布部6の第1貯留槽6aに貯留されている第1結着材塗液4を塗布する。具体的には、第1結着材塗液4に浸かった第1塗布部6の第1グラビアロール6bを基材12の領域12aに当て回転させることにより第1結着材塗液4を塗布する。次に、
図2に示すように、リチウムイオン電池用電極活物質層の幅方向両端部に対応する基材12の領域12b,12cに、第2塗布部10の第2貯留槽10aに貯留されている第2結着材塗液8を塗布する。具体的には、第2結着材塗液8に浸かった第2塗布部10の第2グラビアロール10bを基材12表面の領域12b、12cに当て回転させることにより第2結着材塗液8を塗布する。第1結着材塗液4が領域12aに、第2結着材塗液8が領域12b,12cに塗布された基材12は搬送ローラ14A,14Bを介してホッパー18に到達し、ホッパー18から粉体16が基材12の表面に供給される。基材12の表面に供給された粉体16はスキージ部材20によりその目付量が制御され、一対のプレス用ロール22A,22Bの間を通過することによりプレスされ、活物質層24が形成される。これにより、基材12の表面に活物質層24が圧縮成形された電極シートが製造される。
【0019】
ここで、基材12としては、薄いフィルム状の基材であればよく、通常、厚さ1μm〜1000μm、好ましくは5μm〜800μmである。基材12としては、アルミニウム、白金、ニッケル、タンタル、チタン、ステンレス鋼、銅、その他の合金などの金属箔または炭素、導電性高分子、紙、天然繊維、高分子繊維、布帛、高分子樹脂フィルムなどが挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。高分子樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂フィルム、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、アラミドフィルム、PEN、PEEK等を含んで構成されるプラスチックフィルム、シート等が挙げられる。
【0020】
これらの中でも、リチウムイオン電池電極用の電極シートを製造する場合には、基材12として、金属箔または炭素フィルム、導電性高分子フィルムを用いることができ、好適には金属が用いられる。これらの中で導電性、耐電圧性の面から銅、アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用することが好ましい。また、基材12の表面には塗膜処理、穴あけ加工、バフ加工、サンドブラスト加工及び/又はエッチング加工等の処理が施されていても良い。
【0021】
第1結着材塗液4は、活物質を含む粉体と基材を相互に結着させられることができる化合物であれば特に制限はない。第1結着材塗液4には、塗液の粘度やぬれ性を調整するために、増粘剤や界面活性剤が含まれていてもよい。増粘剤や界面活性剤としては、公知のものを使用することができる。結着材として、例えば、SBR水分散液、アクリレート系重合体水分散液、水系のポリアクリル酸(PAA)、および有機溶媒系のポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。
【0022】
また、第2結着材塗液8は、第1結着材塗液4と同様に活物質を含む粉体と基材を相互に結着させられることができる化合物から選択でき、かつ第1結着材塗液4とは結着材種、結着材のタック強度、固形分濃度等の少なくともいずれかが異なる結着材塗液である。
【0023】
第1結着材塗液4及び第2結着材塗液8は、異なる結着材塗液であり、第2結着材塗液8に用いられる結着材のタック強度は、第1結着材塗液4に用いられる結着材のタック強度より大きく、更に第1結着材塗液4に含まれる結着材のタック強度の1.5倍以上であることが好ましい。結着材のタック強度が大きくなると、結着材塗液上に堆積される粉体の目付量が大きくなり、粉体の密度が大きくなり、粉体の基材への接着強度が大きくなるからである。
【0024】
または、第2結着材塗液8の固形分濃度は、第1結着材塗液4の固形分濃度より大きく、更に第1結着材塗液4の固形分濃度の1.3倍以上であることが好ましい。結着材塗液の固形分濃度が大きくなると、結着材塗液上に堆積される粉体の目付量が大きくなり、粉体の密度が大きくなり、粉体の基材への接着強度が大きくなるからである。なお、第2結着材塗液8に用いられる結着材のタック強度が第1結着材塗液4に用いられる結着材のタック強度より大きく、かつ第2結着材塗液8の固形分濃度が第1結着材塗液4の固形分濃度より大きい第2結着材塗液8を使用してもよい。
【0025】
図3は、第1結着材塗液4のみが基材12の領域12a,12b,12cに塗布された場合の活物質層幅に対する粉体16の目付量を示すグラフである。
図4は、第1結着材塗液4が基材12の領域12a及び第2結着材塗液8が基材12の領域12b,12cに塗布された場合の活物質層幅に対する粉体16の目付量を示すグラフである。第1結着材塗液4のみが基材12の領域12a,12b,12cに塗布された場合、
図3のグラフに示すように、活物質層の幅方向両端部の粉体16の目付量は、幅方向中央部の粉体16の目付量よりも小さくなる。これに対し、第1結着材塗液4が基材12の領域12a及び第2結着材塗液8が基材12の領域12b,12cに塗布された場合、
図4のグラフに示すように、活物質層の幅方向両端部の粉体16の目付量は、幅方向中央部の粉体16の目付量よりも大きくなる。したがって、活物質層の幅方向の両端部の粉体16の接着強度を大きくすることができるため、両端部の活物質層24が基材12から剥離するのを防止することができる。
【0026】
一方、第2結着材塗液8のみを基材12の領域12a,12b,12cに塗布した場合、電気抵抗が増大し、かつ粉体16の目付量が過大となり、スキージ部材20を通過する際に粉体16に過剰なせん断力がかかるため、基材12が裂けるなどの不具合が生じる場合がある。また、活物質層の幅方向中央部に第1結着材塗液4を塗布し、幅方向両端部に第2結着材塗液8を塗布することにより、電気抵抗の増大を抑制することができる。したがって、活物質層の幅方向の両端部の粉体16の目付量を中央部の粉体16の目付量よりも大きくしつつ、スキージ部材20を通過する際に粉体16にかかるせん断力を適度に維持させることができ、電極の生産効率を低下させることなく、良好な電極を製造することができる。
【0027】
なお、第2結着材塗液8を塗付する活物質層の幅方向の端部の幅は、活物質層の幅に対して0.5%以上5%以下であることが好ましい。スキージ部材20を通過する際に粉体16にかかるせん断力を適度に維持し、電極の生産効率を低下させないためである。
【0028】
ホッパー18に収容される粉体16としては、電極活物質を含む複合粒子が挙げられる。複合粒子は、電極活物質及び結着材を含み、必要に応じてその他の分散剤、導電材および添加剤を含んでもよい。
【0029】
複合粒子をリチウムイオン電池の電極材料として用いる場合、正極用活物質としては、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な金属酸化物が挙げられる。かかる金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、燐酸鉄リチウム等を挙げることができる。なお、上記にて例示した正極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよい。
【0030】
なお、リチウムイオン電池用正極の対極としての負極の活物質としては、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、熱分解炭素などの低結晶性炭素(非晶質炭素)、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、錫やケイ素等の合金系材料、ケイ素酸化物、錫酸化物、チタン酸リチウム等の酸化物、等が挙げられる。なお、上記に例示した電極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよい。
【0031】
リチウムイオン電池電極用の電極活物質の形状は、粒状に整粒されたものが好ましい。粒子の形状が球形であると、電極成形時により高密度な電極が形成できる。
【0032】
リチウムイオン電池電極用の電極活物質の体積平均粒子径は、正極、負極ともに通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.8〜30μmである。
【0033】
複合粒子に用いられる結着材としては、前記電極活物質を相互に結着させることができる化合物であれば特に制限はない。好適な結着材は、溶媒に分散する性質のある分散型結着材である。分散型結着材として、例えば、シリコン系重合体、フッ素含有重合体、共役ジエン系重合体、アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等の高分子化合物が挙げられ、好ましくはフッ素系含有重合体、共役系ジエン重合体およびアクリレート系重合体、より好ましくは共役ジエン系重合体およびアクリレート系重合体が挙げられる。
【0034】
分散型結着材の形状は、特に制限はないが、粒子状であることが好ましい。粒子状であることにより、結着性が良く、また、作製した電極の容量の低下や充放電の繰り返しによる劣化を抑えることができる。粒子状の結着材としては、例えば、ラテックスのごとき結着材の粒子が水に分散した状態のものや、このような分散液を乾燥して得られる粒子状のものが挙げられる。
【0035】
結着材の量は、得られる電極活物質層と基材との密着性が充分に確保でき、かつ、内部抵抗を低くすることができる観点から、電極活物質100重量部に対して、乾燥重量基準で通常は0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
【0036】
複合粒子には、前述のように必要に応じて分散剤を用いてもよい。分散剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩などが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0037】
複合粒子には、前述のように必要に応じて導電材を用いてもよい。導電材の具体例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック(アクゾノーベル ケミカルズ ベスローテン フェンノートシャップ社の登録商標)などの導電性カーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックが好ましい。これらの導電材は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
複合粒子は、電極活物質、結着材および必要に応じ添加される前記導電材等他の成分を用いて造粒することにより得られ、少なくとも電極活物質、結着材を含んでなるが、前記のそれぞれが個別に独立した粒子として存在するのではなく、構成成分である電極活物質、結着材を含む2成分以上によって一粒子を形成するものである。具体的には、前記2成分以上の個々の粒子の複数個が結合して二次粒子を形成しており、複数個(好ましくは数個〜数十個)の電極活物質が、結着材によって結着されて粒子を形成しているものが好ましい。
【0039】
複合粒子の製造方法は特に制限されず、流動層造粒法、噴霧乾燥造粒法、転動層造粒法などの公知の造粒法により製造することができる。
【0040】
複合粒子の体積平均粒子径は、所望の厚みの電極活物質層を容易に得る観点から、通常0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μm、より好ましくは30〜250μmの範囲である。
【0041】
なお、複合粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラックMT3300EX II;日機装)にて測定し、算出される体積平均粒子径である。
【0042】
この実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極の製造方法によれば、粉体成形装置2を用いて、リチウムイオン電池用電極活物質層の幅方向の中央部に対応する基材12の領域12aに第1結着材塗液4を塗布し、リチウムイオン電池用電極活物質層の幅方向の両端部に対応する基材12の領域12b,12cに第2結着材塗液8を塗布する。即ち、リチウムイオン電池用電極活物質層の幅方向の両端部に対応する基材12の領域12b,12cに高タック強度、高固形分濃度の第2結着材塗液8を塗布するため、領域12a,12bに堆積させる粉体16の目付量を増大させることができる。したがって、活物質層の幅方向両端部における活物質層24と基材12との剥離強度を高く維持することができ、幅方向両端部における活物質層24が基材12の表面から剥離するのを防止することができる。
【0043】
なお、上述の実施の形態においては、基材12の領域12aに第1結着材塗液4、基材12の領域12b,12cに第2結着材塗液8を塗布し(
図2参照)、1条の電極を製造しているが、例えば
図5に示すように、基材12の幅方向両端部の領域12d,12e及び幅方向中央部の領域12fに第2結着材塗液8を塗布し、領域12d,12e,12f以外の領域12g,12hに第1結着材塗液4を塗布し、2条の電極を製造するようにしてもよい。この場合には、粉体成形装置2において粉体成形を終えた後、
図5に示す破線Lの位置で切り分けることにより2条の電極を製造する。
【実施例】
【0044】
以下の実施例及び比較例において用いた結着材塗液(第1結着材塗液及び第2結着材塗液)に用いられる結着材のタック強度は、プローブタック法での測定結果によるものである。タッキング試験機(TAC−1000:レスカ製)を用いて、25℃の雰囲気下での結着材塗液(第1結着材塗液及び第2結着材塗液)に用いられる結着材のSUS製プローブ(10mmφ)に対するプローブタックを測定し、結着材のタック強度(N/10mmφ)を得た。
【0045】
(実施例1)
図1に示す粉体成形装置2を用いて、タック強度が1.5N/10mmφ、固形分濃度が30%の第1結着材塗液を活物質層の幅方向の中央部に対応する基材表面に、タック強度が4.2N/10mmφ、固形分濃度が30%の第2結着材塗液を活物質層の幅方向の両端部(活物質層の幅方向の端部が活物質層の幅の2%)に対応する基材表面に塗布し、電極シートを得た。活物質層の両端部の接着強度、電極シートの生産効率及び低温反応抵抗(ここで「低温」とは常温(25℃)に対する低温(例えば−30℃)をいう。)を表1に示す。
【0046】
(実施例2)
図1に示す粉体成形装置2を用いて、タック強度が1.5N/10mmφ、固形分濃度が30%の第1結着材塗液を活物質層の幅方向の中央部に対応する基材表面に、タック強度が2.3N/10mmφ、固形分濃度が30%の第2結着材塗液を活物質層の幅方向の両端部(活物質層の幅方向の端部が活物質層の幅の2%)に対応する基材表面に塗布し、電極シートを得た。活物質層の両端部の接着強度、電極シートの生産効率及び低温反応抵抗を表1に示す。
【0047】
(実施例3)
図1に示す粉体成形装置2を用いて、タック強度が1.5N/10mmφ、固形分濃度が30%の第1結着材塗液を活物質層の幅方向の中央部に対応する基材表面に、タック強度が1.5N/10mmφ、固形分濃度が46%の第2結着材塗液を活物質層の幅方向の両端部(活物質層の幅方向の端部が活物質層の幅の2%)に対応する基材表面に塗布し、電極シートを得た。活物質層の両端部の接着強度、電極シートの生産効率及び低温反応抵抗を表1に示す。
【0048】
(実施例4)
図1に示す粉体成形装置2を用いて、タック強度が1.5N/10mmφ、固形分濃度が30%の第1結着材塗液を活物質層の幅方向の中央部に対応する基材表面に、タック強度が1.5N/10mmφ、固形分濃度が40%の第2結着材塗液を活物質層の幅方向の両端部(活物質層の幅方向の端部が活物質層の幅の2%)に対応する基材表面に塗布し、電極シートを得た。活物質層の両端部の接着強度、電極シートの生産効率及び低温反応抵抗を表1に示す。
【0049】
(実施例5)
図1に示す粉体成形装置2を用いて、タック強度が1.5N/10mmφ、固形分濃度が30%の第1結着材塗液を活物質層の幅方向の中央部に対応する基材表面に、タック強度が3.5N/10mmφ、固形分濃度が30%の第2結着材塗液を活物質層の幅方向の両端部(活物質層の幅方向の端部が活物質層の幅の8%)に対応する基材表面に塗布し、電極シートを得た。活物質層の両端部の接着強度、電極シートの生産効率及び低温反応抵抗を表1に示す。
【0050】
(比較例1)
図1に示す粉体成形装置2を用いて、タック強度が1.5N/10mmφ、固形分濃度が30%の結着材塗液を基材表面に塗布し、電極シートを得た。活物質層の両端部の接着強度、電極シートの生産効率及び低温反応抵抗を表1に示す。
【0051】
(比較例2)
図1に示す粉体成形装置2を用いて、タック強度が4.2N/10mmφ、固形分濃度が30%の結着材塗液を基材表面に塗布し、電極シートを得た。活物質層の両端部の接着強度、電極シートの生産効率及び低温反応抵抗を表1に示す。
【0052】
(比較例3)
図1に示す粉体成形装置2を用いて、タック強度が1.5N/10mmφ、固形分濃度が45%の結着材塗液を基材表面に塗布し、電極シートを得た。活物質層の両端部の接着強度、電極シートの生産効率及び低温反応抵抗を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
なお、T1は第1結着材塗液に含まれる結着材のタック強度、T2は第2結着材塗液に含まれる結着材のタック強度、C1は第1結着材の固形分濃度、C2は第2結着材の固形分濃度のことである。また、端部の接着強度の結果Aは接着強度が高く、BはAより接着強度が低く、DはBより更に接着強度が低いことを示している。生産効率の結果○は高生産効率、×は低生産効率であることを示しており、低温反応抵抗の結果Aは低抵抗、BはAより高抵抗であることを示している。
【0055】
以上、表1に示す実施例及び比較例の結果に示すように、高タック強度または高固形分濃度の結着材塗液を電極シートの幅方向の両端部に塗布した場合、高生産効率及び低抵抗を維持しつつ、端部における活物質層と基材との剥離強度を高く維持した電極シート、即ち端部の活物質層が基材から剥離し難い電極シートを得ることができる。