特許第6533835号(P6533835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6533835基板を処理する方法、及び基板を保持するための基板キャリア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6533835
(24)【登録日】2019年5月31日
(45)【発行日】2019年6月19日
(54)【発明の名称】基板を処理する方法、及び基板を保持するための基板キャリア
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20190610BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20190610BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   C23C14/50 F
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-548908(P2017-548908)
(86)(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公表番号】特表2019-508872(P2019-508872A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】EP2017052051
(87)【国際公開番号】WO2018141367
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2018年3月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハイマンス, マティアス
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/171207(WO,A1)
【文献】 特開2007−162063(JP,A)
【文献】 特開2006−261489(JP,A)
【文献】 特開2013−058761(JP,A)
【文献】 特開2006−054445(JP,A)
【文献】 特開2013−163837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/683
C23C14/50
H02N13/00
B23Q3/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(10)を処理する方法であって、
チャッキング装置(120)を用いて、基板(10)を基板キャリア(100)の支持面(102)に誘引することと、
マスク(20)を前記基板(10)の前方に配置することと、
前記基板(10)と前記マスク(20)との間隙(28)が減少するように、前記基板(10)を前記支持面(102)から前記マスク(20)に向けて部分的に解放することと、
材料を前記基板(10)上に堆積することと
を含む方法。
【請求項2】
前記基板(10)を前記支持面(102)から部分的に解放することが、前記基板(10)の端部領域(12)を前記支持面から解放することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記端部領域(12)が、5mm以上及び50mm以下の端部幅(W)を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記チャッキング装置(120)が、互いから独立して作動可能な、主要チャッキングゾーン(122)、及び少なくとも1つの第2のチャッキングゾーン、具体的には、少なくとも1つの端部チャッキングゾーン(124)を含み、前記基板(10)を部分的に解放することが、前記主要チャッキングゾーン(122)のアクティブ化が維持されている間に、前記少なくとも1つの第2のチャッキングゾーンを非アクティブ化することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記基板キャリア(100)のキャリア本体(101)内に設けられた静電チャックを用いて、前記基板(10)が前記支持面(102)に誘引される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基板(10)を前記支持面(102)に誘引することが、前記静電チャックの静電メインフィールドを用いて、前記基板の中央領域(11)を前記支持面に誘引することを含み、且つ/又は、前記基板(10)を部分的に解放することが、前記基板(10)の端部領域(12)を前記支持面(102)から解放するために、前記静電チャックの1つ又は複数の静電エッジフィールドを非アクティブ化することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マスク(20)の端部(22)がマスクフレーム(25)に固定されており、前記基板(10)を部分的に解放することにより、前記マスクの前記端部(22)と前記基板との間の間隙(28)が減少する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記マスク(20)を前記基板(10)の前方に配置することが、第2のチャッキング装置(130)を用いて、具体的には、磁気チャックを用いて、より具体的には、電磁チャックを用いて又は永久磁石を含むチャッキング装置を用いて、前記マスク(20)を前記基板(10)に向けて誘引することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
垂直方向と前記基板(10)との間の角度(α)が、堆積の間に、0°と−20°との間、具体的には、−1°と−5°の間である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
堆積の間に基板を保持するための基板キャリア(100)であって、
基板(10)を前記基板キャリア(100)の支持面(102)に向けて誘引するように構成されたチャッキング装置(120)と、
マスク(20)を前記基板キャリア(100)の前記支持面(102)に向けて誘引するように構成された第2のチャッキング装置(130)と
を含み、
前記チャッキング装置(120)が、堆積の間に、前記基板(10)を前記支持面(102)から前記マスク(20)に向けて部分的に解放して前記基板(10)と前記マスク(20)との間隙(28)が減少するように構成されている、基板キャリア(100)。
【請求項11】
前記チャッキング装置(120)が静電チャックであり、且つ/又は、前記第2のチャッキング装置(130)が磁気チャックである、請求項10に記載の基板キャリア。
【請求項12】
前記チャッキング装置120が、静電メインフィールドを生成するように構成された主要チャッキングゾーン(122)と、1つ又は複数の静電エッジフィールドを生成するように構成された少なくとも1つの端部チャッキングゾーン(124)とを含む静電チャックである、請求項10又は11に記載の基板キャリア。
【請求項13】
前記主要チャッキングゾーン(122)及び前記少なくとも1つの端部チャッキングゾーン(124)が、それぞれ、交互に帯電可能な電極、具体的には、交互に帯電可能なワイヤを含む、請求項12に記載の基板キャリア。
【請求項14】
前記主要チャッキングゾーン(122)が、前記基板の中央領域(11)を誘引するように構成され、第1の端部チャッキングゾーンが、前記基板の上端及び下端のうちの少なくとも1つを誘引するように構成され、且つ/又は、第2の端部チャッキングゾーンが、前記基板の左端及び右端のうちの少なくとも1つを誘引するように構成されている、請求項12又は13に記載の基板キャリア。
【請求項15】
材料を基板上に堆積するための堆積装置(500)であって、
請求項10から14のいずれか一項に記載の、堆積の間に基板(10)を保持するための基板キャリア(100)と、
材料(105)を前記基板キャリアによって保持された前記基板(10)上に堆積するように構成された堆積源(150)と
を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、基板を処理する方法に関する。より具体的には、本開示は、基板が基板キャリアの支持面上で保持されている際に、真空チャンバ内で基板上に材料を堆積することに関する。さらなる実施形態は、基板を保持するための基板キャリアに関し、具体的には、真空チャンバ内で基板上に材料を堆積している間に基板を保持するように構成されたチャッキングアセンブリ(chucking assembly)を有する基板キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]有機材料を利用する光電子装置は、数々の理由により、益々人気が高まっている。このような装置の製作に使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子装置は、無機装置に対してコスト面で優位に立つ潜在性をもっている。有機材料の固有特性、可撓性などは、フレキシブル基板又は非フレキシブル基板への堆積のような用途において有利であり得る。有機光電子装置の例としては、有機発光装置(OLED)、有機フォトトランジスタ、有機光電池、及び有機光検出器が含まれる。
【0003】
[0003]OLEDに関しては、従来の材料に比べて有機材料は性能上の利点を有する場合がある。例えば、有機発光層が光を発するときの波長は、適切なドーパントを用いて容易に同調させることができる。OLEDは、電圧が装置にわたって印加される際に光を発する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、及び背面照明などの用途で使用するのに益々興味深い技術となっている。
【0004】
[0004]基板、及び基板上に設けるパターンを画定するマスクは、機械的力により、対応する支持体で保持されることが多い。処理中に基板及びマスクを保持するために使用される従来の機械的接触部は、印加される機械的力により基板の損傷を引き起す恐れがある。処理中にマスクを所定位置に保持するために機械的力が印加され得る。従来の機械的キャリアは、基板をその端部で保持する場合があり、確実に挟持するために基板の端部において物理的接触が相当集中してしまう。基板の端部に集中したこの機械的接触は、接触部の汚染又は物理的損傷を引き起こし、基板を劣化させてしまう恐れがある。
【0005】
[0005]より新しい処理システムには、上述の欠点を回避するような、基板を基板キャリアにチャッキングするための代替的な機構が組み込まれている。例えば、静電力を用いる静電チャックによって、基板が所定位置に保持される。システムの構成要素と基板との間の接触力を低下させることができる。
【0006】
[0006]しかしながら、堆積中にマスクを基板の前で保持するためにさらなる機構が通常必要であり、これにより、取扱いがより複雑になる恐れがあり、マスク及び/又は基板の位置付けに関する問題が生じる場合がある。例えば、基板を損傷せずに、基板に近い距離で、基板の前でマスクを正確に三次元的に位置付けすることは、極めて困難であり得る。
【0007】
[0007]したがって、取扱いをより簡単にしながら、処理システム内のマスク及び基板を確実に且つ正確に位置付けするための方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
[0008]上記の観点から、基板を処理する方法、基板を保持するための基板キャリア、及び材料を基板上に堆積するための堆積装置が提供される。
【0009】
[0009]本開示の一態様によれば、基板を処理する方法が提供される。この方法は、チャッキング装置を用いて、基板を基板キャリアの支持面に誘引することと、マスクを基板の前方に配置することと、基板を支持面から部分的に解放することと、材料を基板上に堆積することとを含む。
【0010】
[0010]本開示のさらなる態様によれば、堆積の間に基板を保持するための基板キャリアが提供される。基板キャリアは、基板を基板キャリアの支持面に向けて誘引するように構成されたチャッキング装置と、マスクを基板キャリアの支持面に向けて誘引するように構成された第2のチャッキング装置とを含み、チャッキング装置は、堆積の間に、基板を支持面からマスクに向けて部分的に解放するように構成されている。
【0011】
[0011]本開示のさらなる態様によれば、材料を基板上に堆積するための堆積装置が提供される。この堆積装置は、本明細書に記載された実施形態のいずれかに係る、堆積の間に基板を保持するための基板キャリアと、材料を基板キャリアによって保持された基板上に堆積するように構成された堆積源とを含む。
【0012】
[0012]本開示のさらなる態様、利点、及び特徴は、本明細書の記載及び添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
[0013]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上で簡単に概説した本開示のより具体的な説明を得ることができる。添付の図面は、本開示の実施形態に関し、以下において説明される。図面に典型的な実施形態を示し、以下に詳細を説明する。
【0014】
図1】本明細書に記載された実施形態に係る、基板を処理する方法の(a)から(d)の段階を概略的に示す。
図2】本明細書に記載された実施形態に係る基板キャリアの概略断面図である。
図3】本明細書に記載された実施形態に係る基板キャリアの概略上面図である。
図4】本明細書に記載された実施形態に係る基板キャリアの概略断面図である。
図5】本明細書に記載された実施形態に係る堆積装置の概略図である。
図6】本明細書に記載された実施形態に係る、基板を処理する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0020]これより、様々な実施形態を詳細に参照する。それらの1つ又は複数の実施例は各図に示される。各実施例は、単なる説明として提示されており、限定を意味するものではない。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明される特徴は、他の任意の実施形態において、又は、他の任意の実施形態と併せて使用して、さらに別の実施形態を生み出すことが可能である。本開示は、このような修正及び変形を含むことが意図される。
【0016】
[0021]図面についての以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ又は類似の構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関しての相違点のみが説明される。他に特に規定がない限り、一実施形態の部分又は態様の説明は、別の実施形態の対応する部分又は態様に同様に適用される。
【0017】
[0022]図1は、本明細書に記載された実施形態に係る、基板10を処理する間の(a)から(d)の段階を概略的に示す。
【0018】
[0023]段階(a)では、チャッキング装置120(例えば、静電チャック)を用いて、基板10が基板キャリア100の支持面102に誘引される。図1では、基板10は、基板キャリア100の支持面102上で保持された長方形として概略的に示されている。
【0019】
[0024]段階(b)では、マスク20が基板10の前方に配置される。マスクは、基板の前面上に堆積される材料パターンに応じて開いたパターンを有し得るが、基板10の背面は、基板キャリアの支持面102と直接接触し得る。幾つかの実施形態では、マスクを安定化させるために、マスク20はマスクフレーム25に固定され得る。
【0020】
[0025]段階(c)では、基板10は、支持面から部分的に解放される。例えば、チャッキング装置120は、基板の一部を支持面102から解放するように構成され得る。基板を支持面から部分的に開放することは、基板10とマスク20との間の間28を少なくとも部分的に減少させるか、又は取り除き得るという効果を有し得る。
【0021】
[0026]図1で示された実施形態では、例えば、チャッキング装置120のチャッキング力を部分的に減少させることにより、又は、チャッキング装置120を部分的に非アクティブ化することにより、基板の端部領域12が支持面102から解放される。基板10の端部領域12は、例えば、重力により、支持面から引き離され、マスク20に向かって湾曲し得る。幾つかの実施形態では、基板とマスクとの間の全面的接触を確立することができる。例えば、基板の前面の90%以上、特に基板の前面全体が、マスクによって接触され得る。
【0022】
[0027]段階(d)では、材料105が基板上に堆積される。基板キャリア100は、材料を基板上に堆積する間に基板10を支持するように構成され得る。マスクと基板との間の間28が減少した結果、マスク20のシャドーイング効果が減少する場合があり、基板上に堆積された材料パターンの品質を改善することができる。
【0023】
[0028]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、基板キャリア100は、以下でより詳細に説明される堆積装置の真空チャンバを通り抜けて基板10を運ぶために使用することができる。真空チャンバを通り抜けるように基板キャリアを移送させる搬送デバイスのような基板キャリアの詳細は、図面では示されていない。例えば、基板が保持されている基板キャリアは、真空チャンバの中に移動させられ得る。真空チャンバにおいて、材料105が基板上に堆積され、その後に基板キャリアが真空チャンバの外に移動させられ得る。
【0024】
[0029]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、基板10は、処理中、少なくとも一時的に支持面102で実質的に垂直配向に保持することができる。例えば、真空チャンバを通り抜けるように搬送されている間、且つ/又は、材料を基板上に堆積している間に、基板を実質的に垂直配向に保持することができる。
【0025】
[0030]本明細書に記載された「実質的に垂直」とは、基板の配向であると理解してもよく、基板の主要面と垂直方向(重力ベクトル)は、0°と+/−20°との間、特に0°と+/−10°以下との間の角度をなす。基板の配向は、堆積の間、(厳密に)垂直ではないかもしれないが、垂直軸に対して、例えば0°から−5°の傾斜角で僅かに傾斜する。負角とは、基板が僅かに下方に向かう配向のことを指す。この垂直方向からの偏差は、有益であり得る。なぜなら、垂直配向から幾らか偏差がある基板配向は、より安定した基板堆積処理をもたらす場合があり、又は、下方に向かう基板配向は、堆積の間に基板上の粒子を減らすのに適切であり得るからである。しかしながら、(厳密に)垂直な配向(垂直方向に対して−1°と+1°の間)も可能である。
【0026】
[0031]したがって、基板キャリア100の支持面102も、基板の処理の間に少なくとも一時的に本質的に垂直に配向(+/−20°)されてもよい。大面積基板を本質的に垂直配向に保つことは困難である。なぜなら、基板の重量により基板が湾曲することがあり、チャッキング装置120のグリップ力が十分ではない場合に基板が支持面から滑り落ちることがあり、且つ/又は、基板の前方に配置され得るマスク20に対して基板が動くことがあるからである。
【0027】
[0032]幾つかの実施形態では、基板は、処理中に少なくとも一時的に、例えば、下方に向く位置において本質的に水平配向で保持され得る。例えば、基板は、本質的に水平な支持面上で下方に向くように保持され得る。下方に向く基板位置は、基板表面上の粒子の取り込みを最小限にするには有益であり得る。
【0028】
[0033]幾つかの実施形態では、基板キャリア100は、垂直配向と非垂直配向(例えば、水平配向)との間で移動可能(例えば、回動可能)であり、且つ/又は、逆も然りである。例えば、基板は、非垂直配向で支持面102上に配置且つ誘引され得、引き続き、誘引された基板を有する基板キャリア100は、例えば、スイングモジュールを用いて、本質的に垂直配向に移動(例えば、回転)させられ得、且つ、基板は本質的に垂直配向で搬送及び/又はさらに処理され得る。
【0029】
[0034]処理の後、基板は、例えば、スイングモジュールにおいて、本質的に垂直配向から非垂直配向(例えば、本質的に水平配向)に移動させられ得る。その後、基板は、非垂直配向の支持面から解放され、取り外され得る。
【0030】
[0035]基板10は、搬送及び/又は処理の間、基板キャリア100によって保持され得る。例えば、堆積の間、真空処理システムを通じた基板の搬送の間、且つ/又は、1つ又は複数の真空チャンバへのローディング及び1つ又は複数の真空チャンバからのアンローディングの間、基板は基板キャリアによって保持され得る。
【0031】
[0036]基板が基板キャリアにおいて保持されている際に1つ又は複数の薄い層が基板上に堆積され得る。例えば、少なくとも1つの有機材料を含む層のスタックが、例えば、蒸発によって基板上に堆積され得る。
【0032】
[0037]本開示の実施形態によれば、1つ又は複数の搬送デバイスを有するインライン又はバッチ式処理システムを、搬送路に沿ってそれぞれの基板と共に1つ又は複数の基板キャリアを搬送するために使用することができる。幾つかの実装形態では、搬送デバイスは、基板キャリアを吊り下げ状態で保持するための磁気浮上システムとして提供され得る。任意選択的に、インライン処理システムは、搬送方向で搬送路に沿って基板キャリアを移動又は運搬するように構成された磁気駆動システムを使用し得る。磁気駆動システムは、磁気浮上システムに含まれ得るか、又は、別の存在物として設けられ得る。
【0033】
[0038]幾つかの実装形態では、機械式搬送システムが設けられ得る。搬送システムは、搬送方向に基板キャリアを搬送するためのローラーを含み得、ローラーを回転させるための駆動部が設けられ得る。機械式搬送システムは、実装するのが簡単であり、頑丈で耐久性があり、メンテナンスし易い。
【0034】
[0039]幾つかの実施形態では、基板上にコーティング材料を堆積する間、基板10は、基板キャリア100の支持面102で保持され得る。例えば、化学気相堆積(CVD)プロセス、物理的気相堆積(PVD)システム(例えば、スパッタシステム)、及び/又は蒸発システムが、真空チャンバ内で、例えば、ディスプレイ用途のために、基板(例えば、ガラス基板)をコーティングするように開発された。典型的な真空処理システムでは、各基板は、基板キャリアによって保持され得、基板キャリアは、対応する搬送デバイスによって真空処理チャンバを通り抜けるように搬送され得る。基板の主要面の少なくとも一部が堆積源(例えば、スパッタ装置又は蒸発装置)に向けて露出されるように、搬送デバイスによって基板キャリアを移動させることができる。基板の主要面は、薄い材料パターンでコーティングされ得るが、基板は堆積源の前方に位置付けされ得る。この堆積源は、所定の速度で基板を通り過ぎ得る。代替的に、基板は、所定の速度で堆積源を通り過ぎるように搬送され得る。
【0035】
[0040]基板10は、例えば、ウエハ、サファイアなどの透明結晶体のスライス、ガラス基板、又はセラミックプレートのような、非フレキシブル基板であってもよい。しかしながら、本開示はこれに限定されず、「基板」という語は、ウェブ又は箔(例えば、金属箔又はプラスチック箔)のようなフレキシブル基板も包含し得る。
【0036】
[0041]幾つかの実施形態では、基板は大面積基板であり得る。大面積基板は、0.5m以上の表面領域を有し得る。特に、大面積基板は、ディスプレイの製造のために使用されてもよく、ガラス基板又はプラスチック基板であってもよい。例えば、本明細書に記載の基板は、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)などで通常使用される基板を包含するであろう。例えば、大面積基板は、1m以上の領域の主要表面を有し得る。幾つかの実施形態では、大面積基板は、約0.67mの基板(0.73×0.92m)に対応するGEN4.5、約1.4mの基板(1.1×1.3m)に対応するGEN5、又はそれ以上であってもよい。さらに、大面積基板は、約4.29mの基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7mの基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7mの基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10であってもよい。GEN11及びGEN12などのさらに次の世代及びそれに相当する基板領域を同様に実装してもよい。幾つかの実装形態では、数cm(例えば、2cm×4cm)に至るまでの表面領域及び/又は様々な個々の形状を有するより小さなサイズの基板のアレイが、単一の基板キャリア上に位置付けされ得る。
【0037】
[0042]幾つかの実装形態では、基板の主要表面に対して直角方向の基板の厚さは、1mm以下(例えば、0.1mmから1mm)、特に、0.3mmから0.8mm(例えば、0.7mm)であってもよい。より薄い基板も可能である。0.5mm以下の厚さの薄い基板の取り扱いは困難である恐れがある。
【0038】
[0043]堆積中に基板及び/又はマスクが動くことを避けるように、基板を基板キャリア100の支持面102で保持することは、優れたコーティングを得るという観点で有益である場合がある。基板のサイズが増大し、コーティング構造が縮小するにつれて、マスクに対して基板を支持面上に正確に位置付けすること、及び基板に対してマスクを正確に位置付けすることは、益々困難になっている。
【0039】
[0044]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、基板は、静電チャックを有する支持面102に誘引される。静電チャックを有する支持面102は、基板キャリア100のキャリア本体101内に配置され得る。言い換えると、基板を支持面102に向けて誘引するように構成されたチャッキング装置120は、静電力によって基板10を誘引するように構成された静電チャックであってもよい。静電チャックを使用して基板を支持面に誘引することにより、信頼性があり且つ正確な基板の基板キャリア上への位置付けが可能となる。静電チャックは、基板キャリアのキャリア本体101に統合され得る。
【0040】
[0045]静電チャックは、ここではさらに「e-チャック」と呼ばれてもよい。基板は、基板が支持面と直接接触し得るように静電力によって支持面に引っ張ることができる材料で作製され得る。高温処理、コーティング処理、及びプラズマ処理の間、さらに真空環境でも基板の保持を可能ならしめることができる。
【0041】
[0046]本明細書で開示された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、キャリア本体101は、誘電体を含み、静電チャックの1つ又は複数の電極が誘電体内に組み込まれる。誘電体は、誘電材料から作製され得る。誘電材料は、例えば、熱分解窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナ、又は同等の材料(例えば、ポリイミド系材料又はその他の有機材料などの耐熱性のあるポリマー系材料)のような高い熱伝導率を有する誘電材料である。静電チャックの電極は、それぞれ電源(例えば電圧源)に接続され得る。この電源は、所定の静電グリップ力を生成するために所定の電圧を電極に印加し得る。
【0042】
[0047]しかしながら、チャッキング装置120は、静電チャックに限定されず、他の実施形態では、磁気チャック及び/又は機械式チャックであってもよい。
【0043】
[0048]図1の段階(a)で概略的に示されたように、チャッキング装置120は、例えば、-1°と-5°の間の垂直軸に対する角度で下方に僅かに傾斜する基板を支持面102で保持するように構成され得る。
【0044】
[0049]図1の段階(b)で概略的に示されたように、マスク20は、マスクを保持且つ安定化するように構成され得るマスクフレーム25に固定されてもよい。例えば、マスク20は、その端部においてマスクフレーム25に恒久的に取り付け(例えば、溶接)され得る。幾つかの実施形態では、マスクフレーム25は、マスクを部分的に又は完全に囲む。例えば、マスクフレーム25は、マスクを囲み且つマスクの周縁でマスクを保持するフレームとして形成され得る。
【0045】
[0050]図1の段階(d)で概略的に示されたように、マスクは、基板の前方で、すなわち、基板10と堆積源150との間で、基板から近い距離に配置され得る。重力により、マスクフレーム25は下方に湾曲し得る。マスクフレームの湾曲により、基板とマスクとの間に間28が生じる場合があり、すなわち、比較的硬い基板キャリアに比べて、変形したマスクフレームから間28が生じ得る。
【0046】
[0051]重力方向でのマスクフレームの湾曲を補正することは困難な場合がある。マスクと基板との間の間28により、堆積された材料パターンに影が生じ得る。より具体的には、基板上に堆積される材料パターンの端部は、否定的な影響を受ける(例えば、かすむ)場合があり得、材料パターンの鋭利な端部を得ることはできない。
【0047】
[0052]本明細書に記載された実施形態によれば、チャッキング装置120を用いて、マスク20を基板キャリアから部分的に解放することにより、堆積される材料パターンの品質を改善することができる。チャッキング装置120は、支持面の一部(例えば、基板の端部領域12が配置され得る支持面の外側部分)においてチャッキング力を低下又は停止させるように構成され得る。
【0048】
[0053]図1の段階(c)で概略的に示されたように、例えば、重力により、端部領域12がマスク20に向かって湾曲し得るように、チャッキング装置120を用いて、基板10の端部領域12を支持面102から解放することができる。それと同時に、チャッキング装置120を介して、基板の中央領域11が支持面に誘引され得る。しかしながら、本開示はそれに限定されず、任意の領域において基板とマスクとの間の距離を縮めるために、堆積の間に基板のその任意の領域を支持面から解放することができる。
【0049】
[0054]基板の搬送の間、基板の前方にマスクを配置する間、且つ/又は基板からマスクを取り外す間、基板全体を支持面に誘引することが有益であり得る。したがって、マスクが基板の前方に配置されている際(図1の段階(b))に、基板の端部領域12及び基板の中央領域11の両方が、チャッキング装置120を用いて支持面に誘引され得る。マスク及び/又は基板の相対的運動の間にマスクと基板との間の接触を減少させる又は回避することができる。幾つかの実施形態では、マスクと基板が分離される前、材料を基板上に堆積した後に基板の端部領域12を再び支持面102に誘引することができる。
【0050】
[0055]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、支持面102から解放された基板の端部領域12は、5mm以上及び50mm以下の端部幅W、具体的には、10mmから20mmの端部幅を有し得る。幾つかの実施形態では、重力方向における基板の上端及び/又は下端が、基板キャリアから解放される(図1の段階(c)を参照)。代替的に又は追加的に、基板の左端及び右端が基板キャリアから解放される。幾つかの実施形態では、基板の周方向端部領域、すなわち、基板の上端、下端、左端、及び右端(例えば、それぞれ、10mmから20mmの端部幅を有する)が、支持面から解放される。幾つかの実施形態では、基板の上端及び/又は下端(例えば、10mmから20mmのそれぞれの端部幅を有する)のみが基板キャリアから解放される。
【0051】
[0056]材料105を基板上に堆積する間、基板の第1の領域(例えば、中央領域11)のみが支持面102に誘引され得るが、基板の第2の領域(例えば、端部領域12)は誘引されない場合がある。第1の領域は、基板表面の75%以上、具体的には、90%以上を含み得る。端部領域は、基板表面の25%以下、具体的には、10%以下を含み得る。
【0052】
[0057]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、チャッキング装置120は、互いから独立して作動可能な、主要チャッキングゾーン122、及び少なくとも1つの第2のチャッキングゾーン、具体的には、少なくとも1つの端部チャッキングゾーン124を含む。主要チャッキングゾーン122は、基板の第1の領域(例えば、中央領域11)を誘引且つ/又は解放するように構成且つ配置され得、及び/又は、少なくとも1つの第2のチャッキングゾーンは、基板の第2の領域(例えば、端部領域12)を誘引且つ/又は解放するように構成且つ配置され得る。基板10を部分的に解放することは、主要チャッキングゾーン122のアクティブ化が維持されている間に少なくとも1つの第2のチャッキングゾーンを非アクティブ化することを含み得る。
【0053】
[0058]幾つかの実施形態では、基板10を支持面102)に誘引することは、静電チャックの静電メインフィールド(electrostatic main field)を用いて、基板の中央領域11を支持面102に誘引することを含み得、且つ/又は、基板10を部分的に解放することは、基板10の端部領域12を支持面102から解放するために、静電チャックの1つ又は複数の静電エッジフィールド(electrostatic edge field)を非アクティブ化することを含み得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の静電エッジフィールドは、静電メインフィールドを囲み得る。静電メインフィールド及び1つ又は複数の静電エッジフィールドは、互いから独立して作動することができ、すなわち、互いから独立して、アクティブ化、非アクティブ化、増大、且つ/又は減少することができる。具体的には、e-チャックは、それぞれ別個の静電フィールドを含み、分解中には静電エッジフィールドのみを非アクティブ化することができる。
【0054】
[0059]基板10を支持面から部分的に解放することにより、マスクの端部22と基板の端部領域12との間の間28を減少させることができる。
【0055】
[0060]幾つかの実施形態では、マスク20を基板10の前方に配置することは、第2のチャッキング装置を用いて、具体的には、磁気チャックを用いて、より具体的には、電磁チャックを用いて又は永久磁石を含むチャッキング装置を用いて(例えば、1つ又は複数の永久磁石又は電磁石を含む磁石プレートを用いて)、マスク20を基板10に向けて誘引することを含む。基板を誘引且つ解放するためにチャッキング装置120を設け、マスクを誘引且つ解放するために第2のチャッキング装置130を設けることにより、マスクと基板は、互いから独立して誘引且つ解放され得、マスク及び/又は基板を互いに対して厳密に且つ正確に位置付けすることが容易となり得る。
【0056】
[0061]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、垂直方向と基板10との間の角度αは、堆積の間、0°と−20°との間、具体的には、−1°と−10°との間、より具体的には、−1°と−5°との間であってもよい。堆積中の基板上の粒子発生を減少させる又は回避することができる。
【0057】
[0062]図2は、本明細書に記載された実施形態に係る、材料を基板上に堆積する間に基板を保持するための基板キャリア200の概略図である。基板キャリア200は、本明細書に記載された任意の実施形態に従って基板を処理するように構成されており、基板10を基板キャリア100の支持面102に向けて誘引するように構成されたチャッキング装置120(例えば、静電チャック)を含む。基板キャリア200は、マスク20を基板キャリア100の支持面102に向けて誘引するように構成された第2のチャッキング装置130をさらに含む。
【0058】
[0063]第2のチャッキング装置130は、磁気チャック、具体的には、1つ又は複数の電磁石(すなわち、コイル)を含む電磁チャックであってもよい。しかしながら、本開示はそれに限定されず、第2のチャッキング装置130は、代替的に、永久磁石を含む磁気チャック、静電チャック、及び/又は機械式チャックであってもよい。
【0059】
[0064]例えば、第2のチャッキング装置130は、本明細書で「磁石プレート」とも呼ばれている、1つ又は複数の永久磁石を含むプレートであり得る。磁石プレートは、基板キャリアのキャリア本体に対して移動可能であり得る別個のユニットとして設けられ得る。磁石プレートは、基板キャリアのキャリア本体の背後に配置され得る。例えば、磁石プレートとマスクとの間の距離は、キャリア本体の後ろ側で、磁石プレートをキャリア本体から離れるように又はキャリア本体に向けて移動させることにより調節することができる。
【0060】
[0065]チャッキング装置120は、マスク20に向けて基板10を支持面102から部分的に解放するように構成されている。例えば、堆積前及び/又は堆積中に、チャッキング装置120は、基板の一部を支持面から解放し得る。基板の解放された部分は、例えば、重力に起因して、基板の前方に配置され得るマスク20に向かって屈曲し得る。基板とマスクとの間の間隙28が減少し得る。したがって、堆積中に、マスクのシャドーイング効果を減らすことができ、堆積品質が向上することができる。
【0061】
[0066]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、チャッキング装置120は、1つ又は複数の電極を含む静電チャックであってもよく、第2のチャッキング装置130は、1つ又は複数の電磁石を含む電磁チャックであってもよい。
【0062】
[0067]第2のチャッキング装置130は、マスク20及び/又はマスクフレーム25を支持面102上で保持された基板10に向けて誘引するように使用され得る。例えば、マスク20の少なくとも一部が基板10と直接接触するように、第2のチャッキング装置130を用いてマスク20を支持面102に向けて誘引することができる。シャドーイング効果を減らすことができる。基板上に堆積された材料パターンに否定的な影響を与えずにマスクと基板を互いから分離することができるように、堆積後に第2のチャッキング装置130はマスク20を基板10から解放し得る。
【0063】
[0068]幾つかの実施形態では、マスク20は、磁気チャックによって生成された磁力で誘引され得るように、磁気的に誘引可能な材料(例えば、金属)を含む。例えば、マスク20は、メタルマスクであり、具体的には、ファインメタルマスクである。幾つかの実施形態では、磁力によってマスクフレームも支持面に向けて誘引することができるように、マスクフレーム25も磁気的に誘引可能な材料(例えば、金属)を含み得る。マスク20は、溶接によって、マスクフレーム25に固定(例えば、マスクフレーム25に恒久的に固定)され得る。例えば、マスクフレーム25は、マスクを囲み且つマスクの周縁でマスクを保持するフレームとして形成され得る。
【0064】
[0069]チャッキング装置120(例えば、静電チャック)及び第2のチャッキング装置130(例えば、磁気チャック)が、基板キャリア100のキャリア本体101に組み込まれると、基板キャリアの複雑さが減少し、取扱いが簡単になり得る。例えば、チャッキング装置120は、キャリア本体101の第1の内部空間内に組み込まれてもよく、第2のチャッキング装置130は、キャリア本体101の第2の内部空間内に組み込まれてもよい。代替的に又は追加的に、例えば、チャッキング装置120と第2のチャッキング装置130との両方を同じキャリア本体101に取り付けることにより、チャッキング装置120及び第2のチャッキング装置130が同じキャリアにしっかりと接続され、両方のチャッキング装置を単一のユニットとして搬送し、移動させることができる。
【0065】
[0070]他の実施形態では、チャッキング装置120は、基板キャリアのキャリア本体101内に配置されてもよく、第2のチャッキング装置130は、基板キャリアに対して移動可能であり得る別個の本体内に設けられてもよい。例えば、磁気チャックは、堆積中に基板キャリアの背面に位置付けされ得る別個の本体内に設けられてもよい。マスクの位置にある磁力を調節するために、基板キャリアと別個の本体との間の距離は調節可能であってもよい。
【0066】
[0071]チャッキング装置120は、互いから独立して作動し得る2つ以上のチャッキングゾーンを含み得る。例えば、第1のチャッキングゾーン(例えば、主要チャッキングゾーン122)を、少なくとも1つの第2のチャッキングゾーン(例えば、少なくとも1つの端部チャッキングゾーン124)とは別にアクティブ化且つ/又は非アクティブ化することができる。主要チャッキングゾーン122は、例えば、少なくとも1つの第2のチャッキングゾーンが非アクティブ化されたときでさえも、基板を支持面に誘引するのに十分なチャッキング力をもたらし得る。基板の一部(例えば、基板の端部)を支持面から解放するために少なくとも1つの第2のチャッキングゾーンを非アクティブ化してもよい。
【0067】
[0072]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、チャッキング装置120は、静電メインフィールドを生成するように構成された主要チャッキングゾーン122と、1つ又は複数の静電エッジフィールドを生成するように構成された1つ又は複数の端部チャッキングゾーン124とを含む静電チャックである。主要チャッキングゾーン122は、1つ又は複数の端部チャッキングゾーン124が非アクティブ化されたときでさえも、基板を支持面に誘引するのに十分な静電力をもたらし得る。基板の端部分を支持面から解放するために1つ又は複数の端部チャッキングゾーン124を非アクティブ化することができる。
【0068】
[0073]主要チャッキングゾーン122は、基板の中央領域11を誘引するように構成されてもよく、且つ/又は、キャリア本体101の中央部分において配置されてもよい。1つ又は複数の端部チャッキングゾーン124は、基板の端部領域を誘引且つ解放するように構成されてもよく、且つ/又は、キャリア本体101の外周部(例えば、主要チャッキングゾーン122を囲む部分)において配置されてもよい。
【0069】
[0074]例えば、1つ又は複数の端部チャッキングゾーン124は、基板の上端及び下端のうちの少なくとも1つを誘引するように構成された第1の端部チャッキングゾーン、並びに/或いは、基板の左端及び右端のうちの少なくとも1つを誘引するように構成された第2の端部チャッキングゾーンを含み得る。
【0070】
[0075]幾つかの実施形態では、主要チャッキングゾーン122、第1の端部チャッキングゾーン、及び第2の端部チャッキングゾーンは、互いから独立して作動可能な別々のチャッキングゾーンである。例えば、基板上に材料を堆積している間、主要チャッキングゾーン122をアクティブ化したままにしてもよいが、基板の少なくとも一部をマスクに向けて解放するために、堆積の間、1つ又は複数の端部チャッキングゾーン124を非アクティブ化してもよい。
【0071】
[0076]図3は、概略上面図で基板キャリア300を示す。基板キャリア300は、本明細書に記載された任意の実施形態の特徴の一部又は全部を含み得、ここで繰り返されない以上の説明を参照することができる。
【0072】
[0077]図3の上面図でより詳細に示されているように、1つ又は複数の端部チャッキングゾーン124、例えば、第1の端部チャッキングゾーン及び第2の端部チャッキングゾーンは、主要チャッキングゾーン122を囲むフレームを形成するように配置された複数の電極を含み得る。チャッキング装置120のサイズは、基板のサイズに適合されてもよい。主要チャッキングゾーン122は、基板キャリア300のキャリア本体101の中央部に配置されてもよく、且つ/又は、チャッキング装置120の表面領域の50%以上、具体的には、75%以上を含み得る。 1つ又は複数の端部チャッキングゾーン124は、チャッキング装置の表面の25%以上、具体的には、10%以上を含み得る。例えば、上方チャッキングゾーン及び/又は下方チャッキングゾーンの幅Wは、それぞれ、垂直方向で5mm以上及び50mm以下、具体的には、10mm以上及び20mm以下であり得る。代替的に又は追加的に、左方チャッキングゾーン及び/又は右方チャッキングゾーンの幅Wは、それぞれ、左右方向で5mm以上及び50mm以下、具体的には、10mm以上及び20mm以下であり得る。各チャッキングゾーンは、1つ又は複数の電極、例えば、交互に帯電可能なワイヤを含み得る。
【0073】
[0078]図4は、本明細書に記載された実施形態に係る基板キャリア400の概略断面図である。基板キャリア400は、図2で示された基板キャリア200と類似する可能性があり、ここで繰り返されない以上の説明を参照することができる。チャッキング装置120は、1つ又は複数の電極410を含む静電チャックとして構成され得る。1つ又は複数の電極410は、調節可能であり得る所定の静電グリップ力を生成するように構成され得る。1つ又は複数の電極410は、第1の電源420、例えば、1つ又は複数の電極410に高電圧を印加するための高電圧源に接続され得る。
【0074】
[0079]静電チャックは、単極チャック、双極チャック、又は多極チャックとして構成され得る。「単極チャック」は、電源(例えば、高電圧源)に接続可能な1つ又は複数の電極を含む静電チャックとして理解してもよい。電源は、1つ又は複数の電極に単極性の電圧を供給するように構成される。
【0075】
[0080]本明細書で使用される「双極チャックアセンブリ」は、電源(例えば、高電圧源)に接続可能な少なくとも1つの第1の電極及び少なくとも1つの第2の電極を含む静電チャックとして理解してもよい。電源は、第1の極性の電圧を第1の電極に、第2の極性の電圧を第2の電極に供給するように構成される。例えば、負電圧が第1の電極に印加され得、正電圧が第2の電極に印加され得、又は逆も然りである。したがって、静電誘導によって、支持表面において、対応する負帯電領域及び対応する正帯電領域が発生し得る。幾つかの実施形態では、対称的両極性電圧が供給される。
【0076】
[0081]多極チャックアセンブリには、独立して制御可能であり得る複数の電極が設けられ得る。
【0077】
[0082]主要チャッキングゾーン122及び1つ又は複数の端部チャッキングゾーン124に電力供給するために別個の電気接続ライン及び/又は供給端末が設けられ得る。
【0078】
[0083]図4で示される静電チャックは、少なくとも1つの第1の電極及び少なくとも1つの第2の電極を含み、第1の電源420(例えば、高電圧源)によって、正電圧(+)が第1の電極に印加され、負電圧(−)が第2の電極に印加される。静電チャックがもたらしたグリップ力を増大させるために、少なくとも1つの第1の電極は、少なくとも1つの第2の電極と交互配置され得る。代替的に又は追加的に、第1の電極及び第2の電極は、交互に配置され得る。例えば、静電チャックは、交互に正帯電及び負帯電する複数のワイヤを含み得る。
【0079】
[0084]幾つかの実施形態では、主要チャッキングゾーン122は、交互に帯電可能な電極、具体的には、交互に帯電可能なワイヤを含み、且つ/又は、少なくとも1つの端部チャッキングゾーン124は、交互に帯電可能な電極、具体的には、交互に帯電可能なワイヤを含む。第1の電源420は、少なくとも1つの端部チャッキングゾーン124の電極とは別に、主要チャッキングゾーン122の電極に電力供給するように構成され得る。
【0080】
[0085]幾つかの実施形態では、第2のチャッキング装置130は、磁界を生成するための1つ又は複数の電磁石412を含む電磁チャックである。1つ又は複数の電磁石412に電力供給するために、第2の電源430が設けられ得る。第2の電源430を1つ又は複数の電磁石412のそれぞれのコイル巻線(図4で図示せず)に接続するために、電気接続ライン431が設けられ得る。支持面に向けて方向付けられた隣接する電磁石の極性は、幾つかの実施形態では反対であってもよい。具体的には、電磁石は、支持面に向けて方向付けられた隣接するそれぞれの電磁石の極性が反対の極性であるように配置され得る。例えば、図4に示すように、巻線の交互配置が設けられるように、隣接する電磁石の巻線を反転させることができる。
【0081】
[0086]第1の電源420及び第2の電源430は、チャッキング装置120及び第2のチャッキング装置130を別々に且つ単独で電力供給するための種々の出力端子を有する単一電源として統合されてもよい。
【0082】
[0087]チャッキング装置120及び第2のチャッキング装置130は、独立して作動してもよく、且つ/又は、制御ユニットによって制御されてもよく、制御ユニットは、マスクをチャッキングするタイミング、基板をチャッキングするタイミング、マスクを解放するタイミング、基板を解放するタイミング、基板のチャッキング力、及び/又はマスクのチャッキング力を制御するように構成され得る。さらに、制御ユニットは、チャッキング装置120の主要チャッキングゾーン122及び少なくとも1つの端部チャッキングゾーン124のそれぞれのタイミングを制御するように構成され得る。
【0083】
[0088]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、磁気チャックの1つ又は複数の電磁石412は、支持面102から第1の距離で配置され得る。1つ又は複数の電磁石412と支持面102との間の第1の距離は、10cm以下、具体的には、5cm以下、より具体的には、2cm以下であり得る。第1の距離を短く設けることによりマスクの位置にある磁力を増大させることができる。
【0084】
[0089]図5は、本明細書に記載された実施形態に係る、材料を基板上に堆積するための堆積装置500の概略図である。堆積装置500は、本明細書に記載された実施形態のいずれかに係る、基板10を保持するための基板キャリア100と、材料105を基板キャリア上で支持された基板10上に堆積するように構成された堆積源150(例えば、蒸発装置)とを含む。
【0085】
[0090]幾つかの実施形態では、堆積装置500は、マスクが基板10の前方に配置され得るようマスク20を搬送するように構成されたマスクキャリアをさらに含む。具体的には、マスクキャリアは、マスクフレーム25及びマスクフレーム25に固定されたマスク20を搬送するように構成され得る。
【0086】
[0091]堆積装置500は、真空チャンバ501をさらに含み得、堆積源150及び基板キャリア100は、真空チャンバ501内に配置される。堆積源150は、蒸発させられる材料を収容するるつぼと、蒸発材料(堆積中に基板10に向けて方向付けられる)を分配管内の複数の開口部に向けて導くための少なくとも1つの分配管とを含む蒸発装置であり得る。
【0087】
[0092]堆積中に堆積源150が基板10を通り過ぎることができるように、堆積源150は、移動可能な支持体上に設けられ得る。
【0088】
[0093]基板は、チャッキング装置120を用いて、基板キャリアの支持面に誘引され、マスク20は、第2のチャッキング装置130を用いて、支持面に向けて誘引される。幾つかの実施形態では、チャッキング装置120及び第2のチャッキング装置130は、基板キャリアのキャリア本体内に統合される。チャッキング装置120は、単独で制御可能な静電フィールドをもたらすように構成された複数のチャッキングゾーンを含み得る。
【0089】
[0094]第2のチャッキング装置130は、複数のチャッキングゾーンを含む磁気チャックであってもよく、少なくとも1つの第1のチャッキングゾーン132は、マスクの中央部を誘引するように構成され得、少なくとも1つの第2のチャッキングゾーン134は、マスクフレーム25及び/又はマスクの外側部を誘引するように構成され得る。少なくとも1つの第2のチャッキングゾーン134の磁力を適切な値に設定することにより、マスクの端部22と基板との間の間隙を減少させることができ、この値は、少なくとも1つの第1のチャッキングゾーン132の磁力の値とは異なり得る。例えば、マスクフレーム25は、マスクの中央部より高い磁力で誘引される場合がある。具体的には、少なくとも1つの第1のチャッキングゾーン132及び少なくとも1つの第2のチャッキングゾーン134は、単独で制御され得る。
【0090】
[0095]図6は、本明細書に記載された実施形態に係る、基板を処理する方法を示すフロー図である。ボックス610では、チャッキング装置120(例えば、基板キャリアのキャリア本体内に統合された静電チャック)を用いて、基板が基板キャリアの支持面に向けて誘引される。基板全体が基板キャリアに誘引され得る。
【0091】
[0096]例えば、基板は、非垂直配向で支持面上に配置され得、その後、チャッキング装置はアクティブ化され得、基板キャリアは、例えば、本質的に垂直配向(+/−20°)へと回転させられ得る。
【0092】
[0097]基板が基板キャリアの支持面で保持されている際に、基板キャリアは、真空処理システムの内部に(例えば、堆積装置の真空チャンバの中へと)搬送され得る。例えば、基板キャリアは、基板と共に堆積装置の中に移動させられ得、堆積源が堆積装置内に配置され得る。
【0093】
[0098]ボックス620では、マスク20が基板10の前方に配置される。マスクを基板に対して位置合わせして、基板とマスクとの間の所定の相対的位置を確立することができる。例えば、大ざっぱに位置合わせを行い、その後、精密に位置合わせを行うことにより、上下方向及び/又は左右方向でのマスクと基板との間の位置偏差が、それぞれ、確実に10μm以下、具体的には、3μm以下になるようにすることができる。
【0094】
[0099]ボックス630では、マスク20及び/又はマスクを保持するマスクフレーム25は、第2のチャッキング装置130を用いて、例えば、基板キャリアのキャリア本体内に統合された電磁チャックのような磁気チャックを用いて、支持面に向けて誘引され得る。例えば、マスクが基板と直接接触するように、マスクの少なくとも一部を基板に向けて引っ張ることができる。
【0095】
[00100]ボックス640では、例えば、チャッキング装置120を部分的に非アクティブ化することにより、基板の少なくとも一部が支持面から解放される。幾つかの実施形態では、マスク20の端部がマスクフレーム25に固定されており、基板を部分的に解放することにより、マスクの端部22と基板との間の間隙が減少する、基板の解放された部分は、例えば、重力により、マスクに向かって移動し得る。
【0096】
[00101]ボックス650では、例えば、蒸発装置を用いて、材料を基板上に堆積することができる。マスクが基板の前方に配置されたときに、マスクの開いたパターンに応じた材料パターンが基板上に形成され得る。
【0097】
[00102]例えば、堆積された材料パターンの損害を避けるために、堆積後、チャッキング装置を用いて、基板の解放された部分を支持面に向けて再度誘引することができる。
【0098】
[00103]第2のチャッキング装置を少なくとも部分的に非アクティブ化することにより、マスクを基板から解放することができる。マスクと基板を分離することができる。
【0099】
[00104]その上で、例えば、第2のチャッキング装置を非アクティブ化することにより、基板を、堆積装置から外に搬送することができ、且つ/又は、デチャックして支持面から取り外すことができる。
【0100】
[00105]材料を基板上に堆積することができ、垂直方向と基板との間の角度αは、堆積の間に、0°と−20°との間、具体的には、−1°と−5°の間である。具体的には、基板は、堆積の間に-1°と-5°の間の角度で下方に傾斜するように配置され得る。
【0101】
[00106]以上の記述は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6