(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送信部は、波長が周期的に変化する光を発生する光源部と、前記光源部から出力された光を二分岐する第1分岐カプラと、前記第1分岐カプラから出力された一方の光の周波数を一定量シフトさせる第1周波数シフタと、前記第1分岐カプラから出力された他方の光を二分岐する第2分岐カプラと、前記第2分岐カプラから出力された一方の光を伝搬する第1遅延光ファイバと、前記第1周波数シフタから出力された光と前記第1遅延光ファイバから出力された光とを合波し、前記二つの光として出力する第1合波カプラと、前記第2分岐カプラから出力された他方の光の周波数を一定量シフトさせて参照光を生成する第2周波数シフタと、を備え、
前記測定部は、前記参照光と、前記後方散乱光とを受光し、該参照光と該後方散乱光とにより発生したビート信号を含む電気信号を発生させる受光部と、前記電気信号の所望の周波数領域に対して周波数解析を行う周波数解析部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
前記測定部は、前記電気信号を二分岐する分岐器と、前記分岐器から出力された二つの電気信号をそれぞれ透過する、互いに透過周波数帯の異なる二つのバンドパスフィルタと、前記バンドパスフィルタの一方を透過した電気信号と正弦波信号とを合波するミキサと、前記合波された電気信号を伝搬する遅延線路と、前記遅延線路を伝搬した電気信号と前記バンドパスフィルタの他方を通過した電気信号とを結合して前記周波数解析部に出力する結合器と、をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバセンサ。
前記測定部は、前記後方散乱光及び前記参照光をそれぞれ二つの偏波成分に分離し、各偏波成分ごとに合波して前記受光部に出力する偏波ダイバーシティ部をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の光ファイバセンサ。
前記被測定光ファイバに出力する二つの光の少なくとも一方または前記参照光が偏波スクランブルされていることを特徴とする請求項2または3に記載の光ファイバセンサ。
前記送信部は、波長が周期的に変化する光を発生する光源部と、前記光源部から出力された光を二分岐する第1分岐カプラと、前記第1分岐カプラから出力された一方の光の周波数を一定量シフトさせる第1周波数シフタと、前記第1分岐カプラから出力された他方の光を二分岐する第2分岐カプラと、前記第2分岐カプラから出力された一方の光を伝搬する第1遅延光ファイバと、前記第1周波数シフタから出力された光と前記第1遅延光ファイバから出力された光とを合波し、前記二つの光として出力する第1合波カプラと、前記第2分岐カプラから出力された他方の光の周波数を一定量シフトさせて参照光を生成する第2周波数シフタと、を備え、
前記測定部は、前記後方散乱光を二分岐する第3分岐カプラと、前記第3分岐カプラから出力された一方の光の周波数を一定量シフトさせる第3周波数シフタと、前記第3周波数シフタから出力された光を伝搬する第2遅延光ファイバと、前記第3分岐カプラから出力された他方の光と第2遅延光ファイバから出力された光とを合波する第2合波カプラと、前記参照光と前記後方散乱光とを受光し、該参照光と該後方散乱光とにより発生したビート信号を含む電気信号を発生させる受光部と、前記電気信号の所望の周波数領域に対して周波数解析を行う周波数解析部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
前記光源部は、光源と、前記光源から出力された光の周波数を時間的に変調する変調器とを備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の光ファイバセンサ。
前記光源部は、光源と、前記光源を駆動する、時間的に変調された電流を前記光源に供給する駆動部とを備えることを特徴する請求項2〜6のいずれか一つに記載の光ファイバセンサ。
前記送信部は、光源と、前記光源から出力された光を二分岐する第1分岐カプラと、前記第1分岐カプラから出力された一方の光の波長を周期的に変化させる第1変調器と、前記第1分岐カプラから出力された他方の光の周波数を一定量シフトさせる第1周波数シフタと、前記第1周波数シフタから出力された光の波長を周期的に変化させる第2変調器と、前記第1及び第2変調器から出力された光を合波し、前記二つの光として出力する第1合波カプラと、を備え、
前記測定部は、前記後方散乱光を受光して電気信号を発生させる受光部と、前記電気信号から特定の周波数成分を選択する周波数選択部と、前記選択した周波数成分の電気信号の時間的な変動を検出する時間的変動検出部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
前記送信部は、光源と、前記光源から出力された光を二分岐する第1分岐カプラと、前記第1分岐カプラから出力された一方の光の波長を周期的に変化させる第1変調器と、前記第1分岐カプラから出力された他方の光の周波数を一定量シフトさせる第1周波数シフタと、前記第1変調器から出力された光と前記第1周波数シフタから出力された光とを合波し、前記二つの光として出力する第1合波カプラと、を備え、
前記測定部は、前記後方散乱光を受光して電気信号を発生させる受光部と、前記電気信号から特定の周波数成分を選択する周波数選択部と、前記選択した周波数成分の電気信号の時間的な変動を検出する時間的変動検出部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
前記測定部は、前記後方散乱光を二分岐する第2分岐カプラと、前記第2分岐カプラから出力された一方の光を伝搬する第2遅延光ファイバと、前記第2遅延光ファイバから出力された光の周波数を一定量シフトさせる第3周波数シフタと、前記第2分岐カプラから出力された他方の光と前記第3周波数シフタから出力された光とを合波する第3合波カプラと、前記第3合波カプラから出力された光を受光して電気信号を発生させるバランスドフォトディテクタと、前記電気信号から特定の周波数成分を選択する周波数選択部と、前記選択した周波数成分の電気信号の時間的な変動を検出する時間的変動検出部と、を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の光ファイバセンサ。
前記送信部は、光源と、前記光源から出力された光の側帯波の光を発生させるとともに、該側帯波の光の波長を周期的に変化させて、前記二つの光として出力する変調器と、を備え、
前記測定部は、前記後方散乱光を受光して電気信号を発生させる受光部と、前記電気信号から特定の周波数成分を選択する周波数選択部と、前記選択した周波数成分の電気信号の時間的な変動を検出する時間的変動検出部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
前記送信部から出力された前記二つの光の一部を分岐する補助干渉計用分岐カプラと、前記分岐した光が入力される、タイミング調整用電気信号を出力する補助干渉計と、をさらに備え、
前記タイミング調整用電気信号は、前記送信部または前記測定部に入力され、前記送信部における前記二つの光の波長の時間的変化のタイミングおよび前記測定部における電気信号検出のタイミングの少なくとも一方の調整に使用されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の光ファイバセンサ。
前記送信部は、該送信部を通過する光の偏波状態を保持するための偏波保持光ファイバおよび偏波保持光部品を備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の光ファイバセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、図面を参照して本発明に係る光ファイバセンサ、地震探査方法、石油、天然ガス貯留層分布の計測方法、歪み検知方法および地層の割れ目位置特定方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0031】
はじめに、光ファイバセンサにおける音響波検出の原理を説明する。被測定光ファイバを音響波(周波数:数十Hzから100Hz程度)が伝わると、その振動により光ファイバが伸縮する。したがって、被測定光ファイバからの後方散乱光の位相の時間変化を観測することができれば、いつ、どこの位置に、どのくらいの周波数の音響波が存在しているかを特定できる。位相変化の観測方法としては、1)被測定光ファイバ全長にわたる後方散乱光分布を時間的に繰り返し測定し、その時間的差分から求める方法がある。一方、2)被測定光ファイバの任意の二点間からの後方散乱光の相関(干渉状態)の時間的変化を観測すれば、その二点間における音響波の発生状態を特定することができる。
【0032】
本発明の実施の形態に係る光ファイバセンサでは、被測定光ファイバ中に、同時刻に互いの波長が異なり両方あるいは一方の波長が時間的に変化する二つの光を出力する送信部と、被測定光ファイバから出力された後方散乱光を受光し二つの光の干渉状態を測定する測定部と、を備えている。測定部は、二つの光の後方散乱光の干渉状態を測定することにより、被測定光ファイバの長手方向における任意の区間での光位相の時間的変化を検出する。
【0033】
二つの光は同時刻に常に異なる波長であり、かつその波長が時間的に変化している。以下、光の波長を周波数で表す場合がある。二つの光の周波数は両方あるいは一方は時間的に直線的に変化するように変調されており、一定の同じ周期で変調を繰り返している。変調の周期は、上記二つの光が、所定の長さの被測定光ファイバ中を往復する時間で定まる周期と等しいかそれより長い周期である。
【0034】
ここで、二つの光を同時刻に常に異なる波長にすることで、同時刻に後方散乱された光の周波数を、後方散乱された位置に対応付けることができる。このとき、二つの光の波長の変化量で距離分解能を設定することができる。ここで、二つの光の波長の変化量は高精度に調整、設定することができる。したがって本発明の実施の形態によれば、高い距離分解能で音響波を検出することができる。
【0035】
(実施の形態1)
図1Aは、実施の形態1に係る光ファイバセンサの構成図である。
図1Aに示すように、光ファイバセンサ100は、光源1と、変調器2と、信号発生器3と、分岐カプラ4と、音響光学変調器(AOM)である周波数シフタ5と、分岐カプラ6と、遅延光ファイバ7と、合波カプラ8と、エルビウム添加光ファイバ増幅器であるEDFA9と、バンドパスフィルタ10と、AOMである周波数シフタ11とを備える送信部12と、光サーキュレータ13とを備えている。光源1と、変調器2と、信号発生器3とは光源部を構成している。なお、光源部は、
図1Bのように光源1と信号発生器3とで構成してもよい。光ファイバセンサ100は、さらに、合波カプラ14と、受光部であるバランスドフォトディテクタ(バランスドPD)15と、周波数解析部16とを備える測定部17を備えている。なお、信号発生器3から周波数解析部16にはタイミング調整用のトリガ信号が入力されている。
【0036】
光源1は、レーザ光などの単一周波数の連続光を出力する。変調器2は、信号発生器3から供給された変調信号によって、光源1から出力された光の波長(周波数)を時間的に周波数変調する。変調の周期は、光が被測定光ファイバFUT中を往復する時間に対応する周期と等しくされている。なお、光源部を、
図1Bのように構成する場合は、信号発生器3から光源1に変調信号を重畳した駆動電流を供給することによって直接変調を行い、光源1から出力された光の波長を時間的に周波数変調する。このとき、信号発生器3は、時間的に変調された駆動電流を光源1に供給する駆動部として機能する。
【0037】
変調器2は、たとえば
図2に示す一般にIQ modulatorと呼ばれる変調器によるシングルサイドバンド変調方式を用いることができる。
図2に示す変調器2は、光入力部2a、光出力部2b、MZ干渉計2c、2d、2e、および位相遅延部2fとを備えている。電圧V(t)に位相遅延部2fにて遅延を与えたバイアス電圧V
DC1(Δφ1)、V
DC2(Δφ2)をMZ干渉計2c、2dに印加するとともに、MZ干渉計2eにバイアス電圧V
DC3(Δφ3)(Δφ1、Δφ2、Δφ3は位相差)を印加する。これにより、変調器2はシングルサイドバンド変調を行うことができる。また、
図2に示す変調器2に代えて、
図3に示す干渉型の強度変調器と位相変調器とを直列に接続した構成を用いることもできる。変調器2´は、光入力部2´a、光出力部2´b、強度変調器2´c、位相変調器2´d、位相遅延部2´fおよびバイアスコントローラ2´eとを備えるものである。
【0038】
図1Aに戻って、分岐カプラ4は変調器2から出力された光を二分岐する。周波数シフタ5は分岐カプラ4から出力された一方の光の周波数を一定量シフトさせ、光L1として出力する。光L1の、波長を変調していない時点での波長をλ1とする。分岐カプラ6は分岐カプラ4から出力された他方の光を二分岐する。遅延光ファイバ7は分岐カプラ6から出力された一方の光を伝搬する。遅延光ファイバ7を伝搬した光を光L2とする。光L2の、波長を変調していない時点での波長をλ2とする。合波カプラ8は、周波数シフタ5から出力された光L1と遅延光ファイバ7から出力された光L2とを合波し、二つの光L1,L2として出力する。
【0039】
EDFA9は、光L1,L2を光増幅する。バンドパスフィルタ10は、光L1,L2を透過しつつ、EDFA9で発生したASE(増幅された自然放出光)を除去する。送信部12は、光サーキュレータ13を介して光L1,L2を被測定光ファイバFUTに出力する。なお、EDFA9とバンドパスフィルタ10とは、光源1の出力光強度や被測定光ファイバFUTの長さなどに応じて適宜使用されるものであり、省略してもよい。
【0040】
一方、周波数シフタ11は、分岐カプラ6から出力された他方の光の周波数を一定量シフトさせて参照光LRを生成する。なお、分岐カプラ4,6の分岐比は特に限定されないが、光L1と光L2との光強度が等しくなるように各分岐比を設定することが好ましい。
【0041】
光L1,L2が、被測定光ファイバFUTに入力すると、レイリー散乱により光L1,L2から後方散乱光L1A、L2Aが発生する。後方散乱光L1A、L2Aは、被測定光ファイバFUTを光L1,L2とは逆方向に伝搬し、光サーキュレータ13により測定部17に出力される。
【0042】
測定部17において、合波カプラ14は、参照光LRと後方散乱光L1A、L2Aとを合波する。バランスドPD15は、合波された光を受光し、参照光LRと該後方散乱光L1A、L2Aとにより発生した干渉光によるビート信号を含む電気信号を発生させ、周波数解析部16に出力する。周波数解析部16は、電気信号の所望の周波数領域に対して周波数解析を行う。周波数解析部16は例えばスペクトラムアナライザである。
【0043】
ここで、光源部で変調される波長の時間的変化率をγ(単位:Hz/s)、変調周期をf(Hz)、被測定光ファイバFUTの条長をL(m)とする。このときfは、f≦c/nL(c:光速、n:被測定光ファイバFUTの実効屈折率)を満たすように設定する。光L1,L2は、同時刻に周波数シフタ5で、或る一定量の周波数シフト(Δfとし、周波数増加方向を+方向とする)と、分岐カプラ4と合波カプラ8の間の二光路の光路長差(Δlとする。Δlには遅延光ファイバ7の長さも含まれる)による周波数シフト差γ×nΔl/cとだけ異なる波長で被測定光ファイバFUTに入力する。そのため、被測定光ファイバFUTの長手方向各地点から同一時刻に後方散乱される二つの異なる光(後方散乱光L1A,L2A)の波長差(周波数差)はΔf+γnΔl/cである。
【0044】
図4は、実施の形態1に係る光ファイバセンサにおける後方散乱光の波長の時間的変化の関係を示す図である。
図4に示すように、後方散乱光L1Aを示す線(上側の線)と後方散乱光L2Aを示す線(下側の線)とは、時間的に波長(周波数)が線形に変化する。シフトS1は周波数シフタ5により受ける周波数シフトであり、そのシフト量はここではΔfである。遅延D1は分岐カプラ4と合波カプラ8の間の二光路の光路長差による遅延時間である。
【0045】
図5Aは、バランスドPDで受ける光の時間的波長(周波数)変化を示している。周波数シフタ11で光が受ける周波数シフト(シフトS2)の方向は周波数シフタ5で光が受ける周波数シフト(シフトS1)の方向と逆である。なお、線lrは参照光LRの波長変化を示す。線l1、l2はそれぞれ後方散乱光L1A、L2Aの波長変化を示す。被測定光ファイバFUTの異なる点で散乱された光は異なる線種で表しており、矢印Ar1の向きに行くほど、被測定光ファイバFUTの入力側から遠い点で散乱された光を表している。したがって、実線が入力側に近い点、点線が入力側から遠い点で散乱された光を表している。参照光LRと光L2による後方散乱光L2Aの干渉光の周波数領域をB12、参照光LRと光L1による後方散乱光L1Aとの干渉光の周波数領域をB11とする。バランスドPD15で変換された電気信号から、その後B11及びB12の二つの光の周波数掃引領域に対応した周波数の信号を周波数解析装置によって測定することにより、干渉光の周波数に対する強度分布波形(OFDR波形)が得られる。
【0046】
図5Bは、ある時刻に得られたB11及びB12での干渉強度の周波数特性を示している。横軸の周波数は被測定光ファイバFUTの長手方向の距離、および後方散乱光L1A,L2Aの周波数変化時間に比例している。点P1は被測定光ファイバFUTの光入力端の末端(近端)を示し、点P2は被測定光ファイバFUTの遠端を示している。この二つの波形を比較することで、ある時刻での被測定光ファイバFUTの長手方向各地点での位相変化を求めることができる。この測定を時間的に連続的に行うことにより、被測定光ファイバFUTを伝搬する音響波の時間的変化を観測することができる。
【0047】
図5Cは、測定される波形の時間変化を示す図である。上述したように、横軸の周波数は被測定光ファイバFUTの長手方向の距離に比例しており、点P1は被測定光ファイバFUTの近端、点P2は被測定光ファイバFUTの遠端に対応している。
図5Cでは時間経過とともに波形に現れるピークが変化している。このピークは後方散乱光L1AまたはL2Aの音響波による位相変化に起因するものである。したがって、このピークは、その時間にこのピークの周波数に対応する被測定光ファイバFUTの位置に音響波が発生していることを意味する。
【0048】
本発明の実施の形態1によれば、後方散乱光L1A、L2Aの干渉状態を、参照光LRを介して測定することにより、被測定光ファイバFUTの長手方向における任意の区間での光位相の時間的変化を2箇所同時に検出する。このとき、被測定光ファイバFUTに2つの光L1、L2を入力させることで、二つの光L1、L2の波長の変化量で距離分解能を設定することができる。したがって本発明の実施の形態1によれば、高い距離分解能で音響波を検出することができる。
【0049】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係る光ファイバセンサの構成図である。
図6に示すように、光ファイバセンサ200は、送信部21と光サーキュレータ13とを備える。送信部21は、
図1Aに示す光ファイバセンサ100の送信部12において、EDFA9とバンドパスフィルタ10とを変調器2と分岐カプラ4との間に移動したものである。光ファイバセンサ200は、さらに、合波カプラ14と、バランスドPD22と、分岐器23と、バンドパスフィルタ24a、24bと、ミキサ25と、信号発生器26と、遅延線路27と、結合器28と、周波数解析部16とを備える測定部29を備えている。
【0050】
送信部21の機能は送信部12の機能と同様なので説明を省略する。
測定部29について説明する。合波カプラ14は、参照光LRと後方散乱光L1A、L2Aとを合波する。バランスドPD22は、合波された光を受光し、参照光LRと該後方散乱光L1A、L2Aとにより発生した干渉光によるビート信号を含む電気信号を発生させる。分岐器23は、電気信号を二分岐する。二つのバンドパスフィルタ24a、24bは、互いに透過周波数帯の異なるものであり、分岐器23から出力された二つの電気信号をそれぞれ透過する。ミキサ25は、バンドパスフィルタ24aを透過した電気信号と信号発生器26から出力された所定の周波数の正弦波信号とを合波する。ミキサ25は周波数成分の混合器であり、二つの異なる周波数の成分を入力すると周波数の差成分が出力される特性を持つ。そのためミキサ25からの出力は、バンドパスフィルタ24aを透過した電気信号と信号発生器26から出力された正弦波信号との差の周波数成分の電気信号となる。遅延線路27は、ミキサ25から出力された電気信号を伝搬する。結合器28は、遅延線路27を伝搬した電気信号とバンドパスフィルタ24bを通過した電気信号とを結合して周波数解析部16に出力する。
【0051】
ここで、正弦波信号の周波数は、周波数シフタ5による周波数シフト量と一致するように設定される。また、遅延線路27による電気信号の遅延時間は、送信部21における分岐カプラ4と合波カプラ8の間の二光路の光路長差による遅延時間と一致するように設定される。また、バンドパスフィルタ24a、24bの透過周波数帯は、それぞれ後述する周波数領域B21、B22に対応している。
【0052】
図7Aは、バランスドPDで受ける光の時間的波長(周波数)変化を示している。周波数シフタ11で光が受ける周波数シフト(シフトS2)の方向は周波数シフタ5で光が受ける周波数シフト(シフトS1)の方向と逆である。なお、線lrは参照光LRの波長変化を示す。線l1、l2はそれぞれ後方散乱光L1A、L2Aの波長変化を示す。被測定光ファイバFUTの異なる点で散乱された光は異なる線種で表しており、矢印Ar1の向きに行くほど、被測定光ファイバFUTの入力側から遠い点で散乱された光を表している。遅延D1は分岐カプラ4と合波カプラ8の間の二光路の光路長差による遅延量である。参照光LRと光L2による後方散乱光L2Aの干渉光の周波数領域をB22、参照光LRと光L1による後方散乱光L1Aとの干渉光の周波数領域をB21とする。
【0053】
図7Bは、
図7Aにおいて、バンドパスフィルタ24aを通過する側の電気信号の内容を表している。
図7Cは、
図7Aにおいて、バンドパスフィルタ24bを通過する側の電気信号の内容を表している。後方散乱光L1Aに起因する電気信号はバンドパスフィルタ24aを通過し、後方散乱光L2Aに起因する電気信号はバンドパスフィルタ24bを通過する。
【0054】
その後、後方散乱光L1Aに起因する電気信号は、ミキサ25と遅延線路27との作用によって
図7Dに示すように、シフトS1と絶対値は同じだが符号が異なるシフトS3だけ周波数シフトされ、かつ遅延D1と同じ量の遅延D2を受ける。その後、結合器28は、遅延線路27を伝搬した電気信号とバンドパスフィルタ24bを通過した電気信号とを結合すると、
図7Eに示すように2つの電気信号の特性が重畳される。その結果、周波数解析部16にて観測される、干渉光の周波数に対する強度分布波形(OFDR波形)は、
図7Fに示すようにB21及びB22での干渉強度の周波数特性を重畳したものとなる。すなわち、ここで得られるOFDR波形は、被測定光ファイバFUTの長手方向各地点で、分岐カプラ4と合波カプラ8の間の二光路の光路長と同じ距離だけ離れた二点からの後方散乱光の強度を合わせた値となる。この強度分布の時間的な変化を観測することにより、二点間における平均的な値としての、被測定光ファイバFUT中に伝搬する音響波の強度及び周波数の時間的変動を求めることができる。
【0055】
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3に係る光ファイバセンサの構成図である。
図8に示すように、光ファイバセンサ300は、
図1Aに示す光ファイバセンサ100と同様に送信部12と光サーキュレータ13とを備える。光ファイバセンサ300は、さらに、分岐カプラ31と、周波数シフタ32と、遅延光ファイバ33と、合波カプラ34と、合波カプラ14と、バランスドPD15と、周波数解析部16とを備える測定部35を備えている。
【0056】
送信部12の機能については説明を省略する。
測定部35について説明する。分岐カプラ31は、後方散乱光L1A、L2Aを二分岐する。周波数シフタ32は、分岐カプラ31から出力された一方の光の周波数を一定量シフトさせる。遅延光ファイバ33は、周波数シフタ32から出力された光を伝搬する。合波カプラ34は、分岐カプラ31から出力された他方の光と遅延光ファイバ33から出力された光とを合波する。合波カプラ14は、参照光LRと合波カプラ34から出力された光とを合波する。バランスドPD15は、合波された光を受光し、参照光LRと該後方散乱光L1A、L2Aとにより発生した干渉光によるビート信号を含む電気信号を発生させ、周波数解析部16に出力する。周波数解析部16は、電気信号の所望の周波数領域に対して周波数解析を行う。
【0057】
ここで、遅延光ファイバ33による遅延時間は、送信部12における分岐カプラ4と合波カプラ8の間の二光路の光路長差による遅延時間と一致するように設定される。周波数シフタ32による周波数シフト量については後述する。
【0058】
図9A〜9Cは、光の時間的波長(周波数)変化を示す図である。まず、
図9Aに示すように、後方散乱光L1AはシフトS1だけ周波数シフトを受けている。また、遅延D1は分岐カプラ4と合波カプラ8の間の二光路の光路長差による遅延時間である。つぎに、
図9Bは周波数シフタ32および遅延光ファイバ33を通過した後方散乱光L1A、L2Aの状態を示している。
図9Bに示すように、周波数シフタ32で後方散乱光L1A、L2Aを、シフトS1のシフト方向とは反対側に大きくシフトさせる(シフトS4とする)。さらに、後方散乱光L1A、L2Aは遅延光ファイバ33により遅延D3だけ遅延される。遅延D3は遅延D1と同じ量である。このときの後方散乱光L1A、L2Aの、λ1、λ2に対応する波長(すなわち変調していない時点での波長)をλ1´、λ2´とする。
【0059】
図9Cは、合波カプラ34が、分岐カプラ31から出力された他方の光と遅延光ファイバ33から出力された光とを合波し、さらに合波カプラ14が参照光LRと合波した後の状態を示している。
図9Cに示すように、周波数シフタ32を透過した後方散乱光L1A(λ1´)と周波数シフタ32を透過しない後方散乱光L2A(λ2)は同じように波長が変化し、重畳され干渉する。そこで、このλ1´+λ2の光と参照光LRとの干渉光の周波数領域(B3)のみを周波数解析部16で測定する。これにより、被測定光ファイバFUTの長手方向において、分岐カプラ4と合波カプラ8の間の二光路の光路長差Δlだけ離れた2点間の干渉の分布状態が測定できる。さらにその分布状態の時間変化から被測定光ファイバFUT中の音響波の振る舞いを測定することができる。
【0060】
(実施の形態4)
図10は、実施の形態4に係る光ファイバセンサの構成図である。
図10に示すように、光ファイバセンサ400は、光源1と、分岐カプラ4と、変調器41と、信号発生器42と、周波数シフタ5と、変調器43と、信号発生器44と、合波カプラ8と、EDFA9と、バンドパスフィルタ10とを備える送信部45と、光サーキュレータ13とを備える。光ファイバセンサ400は、さらに、受光部であるPD46と、ミキサ25と、信号発生器26と、バンドパスフィルタ47と、時間的変動検出部48とを備える測定部49を備えている。なお、信号発生器42,44から時間的変動検出部48にはタイミング調整用のトリガ信号が入力されているが、図示は省略している。なお、以降の実施の形態においても、信号発生器から時間的変動検出部48にはタイミング調整用のトリガ信号が入力されている。
【0061】
送信部45において、分岐カプラ4は、光源1から出力された光を二分岐する。変調器41は、信号発生器42から供給された変調信号によって、分岐カプラ4から出力された一方の光の波長を周期的に変化させる。周波数シフタ5は、分岐カプラ4から出力された他方の光の周波数を一定量シフトさせる。変調器43は、信号発生器44から供給された変調信号によって、周波数シフタ5から出力された光の波長を周期的に変化させる。合波カプラ8は、変調器41、43から出力された光L3,L4を合波し、二つの光L3,L4として出力する。光L3,L4の、波長を変調していない時点での波長をそれぞれλ1,λ2とする。
【0062】
光L3,L4が、被測定光ファイバFUTに入力すると、レイリー散乱により光L3,L4から後方散乱光L3A、L4Aが発生する。後方散乱光L3A、L4Aは、被測定光ファイバFUTを光L3,L4とは逆方向に伝搬し、光サーキュレータ13により測定部49に出力される。
【0063】
測定部49において、PD46は、後方散乱光L3A、L4Aを受光して電気信号を発生させる。ミキサ25は、PD46が出力した電気信号と信号発生器26から出力された所定の周波数の正弦波信号とを合波する。バンドパスフィルタ47は、正弦波信号の周波数の周波数成分の電気信号を透過し、時間的変動検出部48に出力する。なお、ここではバンドパスフィルタ47はローパスフィルタでもよい。ミキサ25、信号発生器26、バンドパスフィルタ47は、電気信号から特定の周波数成分を選択する周波数選択部として機能する。時間的変動検出部48は、選択した周波数成分の電気信号の時間的な変動を検出する。
【0064】
ここで信号発生器26からミキサ25に入力される正弦波信号の周波数を周波数シフタ5で与えられる周波数シフト量に設定する。このときミキサ25から出力される電気信号を、低周波数のみを透過させるバンドパスフィルタ47(ローパスフィルタ)に透過させる。これにより、最終的に被測定光ファイバFUTから後方散乱される後方散乱光L3A、L4Aの同一地点から同時刻に散乱される二波長の光の干渉信号が得られることになる。この信号の時間的強度変化を変調周波数fに同期して測定する。すると、被測定光ファイバFUT全長における干渉信号の分布がわかるので、これを変調掃引毎にデータを収集する。掃引毎に得られた干渉光の時間的強度変化について差分をとることにより、掃引間での干渉状態の時間変化が求められる。時間的変動検出部48では、送信部45にて変調器41,43に与えている変調信号の周期と同期して信号を検出する。これにより、被測定光ファイバFUTの長手方向各地点での干渉強度の時間的変化を観測することができる。さらに、その時間的干渉強度の変化から位相変化、すなわち被測定光ファイバFUT中を伝搬している音響波の強度及び周波数を算出することができる。時間的変動検出部48には電気信号の時間的変化を計測できる装置を用いることができ、例えばオシロスコープやアナログ電圧信号をデジタル変換した後コンピュータ等で解析する装置を用いることができる。
【0065】
一方、送信部45においては、光源1から出力される光は、変調器41,43によって光の波長がある周期で変化される。波長の変化は、それぞれ時間変化に対して線形に変化する。ここで変調器41,43の変調周期は同じである。周期は被測定光ファイバFUTの条長によって決定され、被測定光ファイバFUTの全長を光が往復する時間を、変調周期として定めることができる。また、変調器43の前段に周波数シフタ5が設けられているが、周波数シフタ5は変調器43の後段に設けてもよいし、変調器41の前段または後段に設けてもよい。周波数シフタ5により、一定の周波数量をシフトさせることにより、被測定光ファイバFUTの近端付近での二つの光の周波数差を広げることができるので、近端でも明確に干渉周波数を測定することができる。
【0066】
図11A〜11Cは、光の時間的波長(周波数)変化、および後方散乱光の干渉光の干渉周波数の時間的変化を示す図である。
図11Aは光L3,L4の時間的波長(周波数)変化を示している。線l3は光L3,線l4は光L4を示している。
図11Aに示すように、本実施の形態4では、変調器41,43による光L3,L4の波長の時間変化量が異なるようにしているので、線l3,l4は傾きが異なっている。
図11Bは、被測定光ファイバFUTの特定の地点aからの後方散乱光L3A,L4Aの干渉周波数(周波数差)の時間的変化を示している。光L3,L4の波長の時間変化量が異なるようにしているので干渉周波数も時間的に変化する。なお、被測定光ファイバFUTの地点a以外の他の地点からの後方散乱光L3A,L4Aの干渉周波数(周波数差)も、
図11Bの場合と同様な時間的変化をする。例えば、
図11Cは、被測定光ファイバFUTの地点a、b、cからの後方散乱光L3A,L4Aの干渉周波数(周波数差)の時間的変化を示している。ここで、地点a、b、cは、a、b、cの順で送信部45に近い地点であるとする。
【0067】
図11Cに示すように、各地点からの後方散乱光の干渉周波数の変化の傾きは同じであるが、被測定光ファイバFUTの近端からの距離が異なる分、周波数がずれている。したがって、測定部49において、周波数選択部により干渉周波数領域の任意の周波数成分(
図11Cではf1で示している)を選択・抽出し、その成分の時間的変化を測定すれば、被測定光ファイバFUTの長手方向からの後方散乱光の干渉光の分布を測定することができる。なお、音響波が被測定光ファイバFUTを伝搬する際には被測定光ファイバFUTが伸縮するため、測定された二つの後方散乱光L3A,L4Aの干渉光の干渉状態も変化する。そのため、干渉光の位相変化から、被測定光ファイバFUT中を伝搬している音響波の伝搬位置、周波数、強度情報を算出することができる。
【0068】
図12Aは、実施の形態4に係る光ファイバセンサ400の測定部の構成の他の例の説明図である。本構成例では、測定部57は、後方散乱光L3A,L4Aを二分岐する分岐カプラ51と、分岐カプラ51から出力された一方の光を伝搬する遅延光ファイバ52と、遅延光ファイバ52から出力された光の周波数を一定量シフトさせる周波数シフタ53と、分岐カプラ51から出力された他方の光と周波数シフタ53から出力された光とを合波する合波カプラ54と、合波カプラ54から出力された光を受光して電気信号を発生させるバランスドPD55と、電気信号から特定の周波数成分を選択する周波数選択部を構成するバンドパスフィルタ56、ミキサ25、信号発生器26、バンドパスフィルタ47と、選択した周波数成分の電気信号の時間的な変動を検出する時間的変動検出部48と、を備える。
【0069】
ここで、
図10及び
図12Aに示す構成の測定部を用いた音響波測定における音響波算出のための測定対象として、
図12Bに示すように、被測定光ファイバFUTの任意の距離だけ離れた任意の2点P3,P4から同時刻に発生した後方散乱光同士の干渉を考える。なお、点P3では光L3から後方散乱光L3Aが発生し、点P4では光L4から後方散乱光L4Aが発生する。
図10及び
図12Aに示す構成の測定部では、後方散乱光L3A,L4Aの干渉状態の時間変化を測定し、任意の2点P3,P4間での光の位相変化、強度変化を求める。そして、この位相変化から2点P3,P4間の光ファイバ中に伝搬する音響波の周波数、振動強度の時間変化が求められる。そのため干渉を観測する2点P3,P4間の距離がこの場合の距離分解能RESとなる。
【0070】
図12Aに示す測定部57について説明する。ここで、
図10に示す送信部45から出力される光L4を変調光(1)とし、光L4が周波数シフタ5で受ける周波数シフト量をΔfaとする。光L3を変調光(2)とする。
【0071】
光L3,L4による後方散乱光L3A,L4Aは、分岐カプラ51で二分岐される。分岐カプラ51から出力された一方の光は、遅延光ファイバ52を伝搬した後、周波数シフタ53で一定量の周波数シフトが与えられる。この周波数シフト量をΔfbとする。分岐カプラ51から出力された他方の光は、合波カプラ54にて周波数シフタ53から出力された光と合波される。このとき分岐カプラ51と合波カプラ54間の二つの光路差をΔlaとし、遅延光ファイバ52側の光路が長いこととする。ここで変調光(1)に対して周波数シフタ53で与えられる周波数シフト量Δfbは、後述する周波数シフト後の変調光(1)´の周期的周波数変化領域と変調光(1)の周期的周波数変化領域とが重ならないように設定する。被測定光ファイバFUTの条長をLとし、変調光(1)の光周波数の時間的変化率をγ(単位:Hz/s)とすると、Δfbの条件は以下のようになる。
Δfb>γnL/c(c:光速、n:被測定光ファイバFUTの実効屈折率)
【0072】
図13A〜13Eは、二つの光の時間的な周波数変化を示している。
図13Aにおいて線l5は変調光(1)による後方散乱光、線l6は変調光(2)による後方散乱光を示している。
図13Bは、
図12Aに示す分岐カプラ51で分岐され遅延光ファイバ52を伝搬しさらに周波数シフタ53を通過後の光の時間的な周波数変化を示している。ここで、変調光(1)及び(2)はそれぞれ変調光(1)´、(2)´となる。遅延D5は遅延光ファイバ52による遅延であり、シフトS5は周波数シフタ53による周波数シフトである。
図13Cは、合波カプラ54で合波された光の時間的な周波数変化を示している。ここで変調光(1)、(2)、(1)´、(2)´の間で干渉が発生する。
図13Dはこれら4つの光の間での干渉ビート周波数の時間変化を示している。たとえば(1)´+(2)は、変調光(1)´と変調光(2)との間の干渉ビート周波数の時間変化を示している。なお、干渉ビート周波数には2つの変調光の周波数差が現れる。したがって、たとえば(1)+(1)´の干渉ビート周波数は時間的に一定である。
【0073】
ここで音響波を算出するために必要となる干渉信号は、周波数が時間的に変化する、変調光(1)と(2)´または変調光(1)´と(2)の間の干渉信号である。そのため、
図13Eで示されたように、周波数領域を、Ba(変調光(1)と(2)´との干渉信号を含む領域)、Bb(変調光(1)´と(1)、変調光(2)と(2)´、変調光(1)と(2)、変調光(1)´と(2)´の干渉信号を含む領域)、Bc(変調光(1)´と(2)との干渉信号を含む領域)に分けると、BaまたはBcの領域の周波数成分のみを検出すれはよいことがわかる。そのため
図12Aに示す測定部57では、バランスドPD55の出力からBaまたはBcの領域の任意の一定の周波数を抽出し、その周波数成分の時間変化を測定が可能なように設定する。具体的には、バランスドPD55から出力された電気信号はBaまたはBcの領域を透過するバンドパスフィルタ56を通過後、ミキサ25で信号発生器26からの正弦波信号と合波される。ここでミキサ25からの出力は、バンドパスフィルタ56を透過した電気信号と信号発生器26から出力された正弦波信号との差の周波数成分の電気信号となる。この差の周波数がBaまたはBcの領域の所望の周波数になるように正弦波信号の周波数を設定する。ミキサ25からの出力は高周波成分をカットする特性を持つフィルタ(ローパスフィルタ)としてのバンドパスフィルタ47を透過し、時間的変動検出部48に出力される。時間的変動検出部48は、例えばオシロスコープであり、入力された、BaまたはBcの領域の所望の周波数を有する電気信号の時間的変化を測定することができる。これにより、被測定光ファイバFUTの長手方向での2つの後方散乱光の干渉状態の分布を測定することができる。
【0074】
なお、
図10の送信部45において、変調器41、43で与える時間的な波長の掃引の向き(初期状態から波長が増加あるいは減少する向き)を変調器41と43とで互いに逆方向(波長増加と波長減少)に設定してもよい。
図14Aは、線l7で示す光L3と、線l8で示す光L4とが、時間の経過にしたがって波長差が大きくなっていくように設定されている場合を示している。シフトS1は周波数シフタ5により受ける周波数シフトである。この場合、
図14Bに示すように、被測定光ファイバFUTの長手方向の任意の地点aで後方散乱し、測定部で観測される干渉周波数は、時間の経過にしたがって二つの光の周波数差が大きくなるように変化する。一方、
図14Cは、線l7で示す光L3と、線l8で示す光L4とが、時間の経過にしたがって波長差が小さくなっていくように設定されている場合を示している。この場合、
図14Dに示すように、被測定光ファイバFUTの長手方向の任意の地点aで後方散乱し、測定部で観測される干渉周波数は、時間の経過にしたがって二つの光の周波数差が小さくなるように変化する。
【0075】
(実施の形態5)
図15は、実施の形態5に係る光ファイバセンサの構成図である。
図15に示すように、光ファイバセンサ500は、送信部58と、光サーキュレータ13と、光ファイバセンサ400と同様の構成の測定部49とを備えている。
【0076】
送信部58は、光源1と、分岐カプラ4と、変調器41と、信号発生器42と、周波数シフタ5と、合波カプラ8と、EDFA9と、バンドパスフィルタ10とを備えている。
【0077】
分岐カプラ4は、光源1から出力された光を二分岐する。変調器41は、信号発生器42から供給された変調信号によって、分岐カプラ4から出力された一方の光の波長を周期的に変化させる。周波数シフタ5は、分岐カプラ4から出力された他方の光の周波数を一定量シフトさせる。合波カプラ8は、変調器41、周波数シフタ5から出力された光L7,L8を合波し、二つの光L7,L8として被測定光ファイバFUTに出力する。光L7,L8の、波長を変調していない時点での波長をそれぞれλ1,λ2とする。
【0078】
この送信部58では、分岐カプラ4から出力された一方の光の波長を周期的に変化させるが、分岐カプラ4から出力された他方の光は周波数を一定量シフトさせるものの、波長は周期的に変化させない。
【0079】
図16A、16Bは、光の時間的波長(周波数)変化、および後方散乱光の干渉光の干渉周波数の時間的変化を示す図である。
図16Aは光L7,L8の時間的波長(周波数)変化を示している。線l9は光L7,線l10は光L8を示している。
図16Aに示すように、本実施の形態5では、変調器41により光L7のみ波長を周期的に変化させているので、線l9は傾斜し、l10は傾いていない。
図16Bは、被測定光ファイバFUTの特定の地点aからの光L7,L8による後方散乱光の干渉周波数(周波数差)の時間的変化を示している。光L7,L8の波長の時間変化量が異なるようにしているので干渉周波数も時間的に変化する。なお、被測定光ファイバFUTの地点a以外の他の地点からの後方散乱光の干渉周波数(周波数差)も、
図16Bの場合と同様な時間的変化をする。すなわち、2つの後方散乱光の干渉光の干渉周波数は被測定光ファイバFUTの長手方向各地点において異なる値となる。そのため実施の形態4の場合と同様に、測定部49においてPD46で検出した電気信号の干渉周波数領域から任意の周波数成分を抽出し、その時間的強度変化を測定することにより、被測定光ファイバFUT中での2つの後方散乱光の干渉強度の変化を求めることができ、被測定光ファイバFUTの長手方向での2つの後方散乱光の干渉状態の分布を測定することができる。
【0080】
なお、実施の形態5では光L7は周波数シフトさせたものであるが、周波数シフトは必ずしもさせなくてもよい。
【0081】
(実施の形態6)
図17は、実施の形態6に係る光ファイバセンサの構成図である。
図17に示すように、光ファイバセンサ600は、送信部63と、光サーキュレータ13と、光ファイバセンサ400と同様の構成の測定部49とを備えている。送信部63は、光源1と、変調器61と、信号発生器62と、EDFA9と、バンドパスフィルタ10とを備えている。
【0082】
変調器61は、信号発生器62から供給された正弦波信号により、光源1から出力された、波長がλ1の単一周波数の連続光である光を変調する。ここで、変調器61による変調方法としては、変調器61に入力される光の中心周波数(キャリア周波数)成分を中心として、変調周波数分だけキャリア周波数から離れた両側に側帯波成分が発生するようにする。なお、変調方式によっては、キャリア周波数成分が残存する場合と、キャリア周波数成分が減少する場合があるが、本変調方法としてはどちらを採用してもよい。本実施の形態6ではキャリア周波数成分が減少し変調周波数分だけキャリア周波数から離れた両側に側帯波成分が発生する変調方法であるキャリア抑圧変調(CS−RZ変調)を採用するとする。
【0083】
図18A〜18Cは、実施の形態6に係る光ファイバセンサにおける二つの光の時間的波長(周波数)変化、および後方散乱光の干渉光の干渉周波数の時間的変化を示す図である。
図18Aに示すように、CS−RZ変調を行うと、キャリア周波数成分は減少して十分に小さくなり、その側帯波成分のみが現れる。このとき、信号発生器62から供給する正弦波信号の周波数を周期的に時間的に増加させることにより、側帯波がその周波数(波長)がキャリアから周期的に時間的に離れていくように変化する。すると、側帯波として二つの光L9,L10の波長は、
図18Bに示すようにキャリア周波数に対応する波長であるλ1を中心として、周期的に時間的に増加するように変化する。送信部63は、この二つの光L9,L10をEDFA9、バンドパスフィルタ10を通過させた後に被測定光ファイバFUTに出力する。すると、
図18Cに示すように、被測定光ファイバFUTの特定の地点aからの光L9,L10による後方散乱光の干渉周波数(周波数差)が時間的に変化する。なお、被測定光ファイバFUTの地点a以外の他の地点からの後方散乱光の干渉周波数(周波数差)も、
図18Cの場合と同様な時間的変化をする。すなわち、2つの後方散乱光の干渉光の干渉周波数は被測定光ファイバFUTの長手方向各地点において異なる値となる。そのため実施の形態4の場合と同様に、測定部49においてPD46で検出した電気信号の干渉周波数領域から任意の周波数成分を抽出し、その時間的強度変化を測定することにより、被測定光ファイバFUT中での2つの後方散乱光の干渉強度の変化を求めることができ、被測定光ファイバFUTの長手方向での2つの後方散乱光の干渉状態の分布を測定することができる。
【0084】
なお、信号発生器62から供給する正弦波信号の周波数は周期的に時間的に増加させる場合に限られず、周期的に時間的に減少させてもよい。
【0085】
(測定部の他の構成)
図19は、測定部の他の例の構成図である。この測定部81は、実施の形態1〜3に係る光ファイバセンサの測定部として使用できるものであって、偏波ダイバーシティ受信を行うように構成されている。偏波ダイバーシティ受信とは、光信号を二つの偏波状態に分離し、それぞれの干渉状態を観測することにより、光ファイバ中での光の偏波変動による干渉ノイズを低減し、干渉状態の変化を安定化させる方式である。
【0086】
図19に示すように、測定部81は、合分波カプラ82と、偏波ビームスプリッタ83a、83bと、バランスドPD84a、84bと、AD変換部85a、85bと、信号処理部86とを備えている。合分波カプラ82と、偏波ビームスプリッタ83a、83bとは偏波ダイバーシティ部を構成している。
【0087】
合分波カプラ82は、参照光LR(例えば実施の形態1参照)と被測定光ファイバFUTからの光L1,L2による後方散乱光L1A,L2Aとを合波した後二分岐し、偏波ビームスプリッタ83a、83bに出力する。偏波ビームスプリッタ83a、83bは、それぞれ、入力された光を二つの偏光状態の光(P波とS波)に分離する。このP波は参照光LRのP波成分と後方散乱光L1A,L2AのP波成分を含む。また、S波は参照光LRのS波成分と後方散乱光L1A,L2AのS波成分を含む。バランスドPD84aは、偏波ビームスプリッタ83a、83bのそれぞれからP波が入力され、入力された光に対応する電気信号を発生する。バランスドPD84bは、偏波ビームスプリッタ83a、83bのそれぞれからS波が入力され、入力された光に対応する電気信号を出力する。AD変換部85a、85bは、それぞれ、バランスドPD84a、84bのそれぞれから入力された電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。信号処理部86は、周波数解析部として機能し、入力されたデジタル信号を信号処理し、解析する。これにより、より安定した干渉状態の測定を行うことができる。
【0088】
なお、上記実施の形態における送信部の光源1から光サーキュレータ13までの構成部分(光源、変調器、分岐カプラ、周波数シフタ、遅延光ファイバ、合波カプラ、EDFA、バンドパスフィルタ、光サーキュレータ及びこれらを接続している光ファイバなど)は、光の偏波状態を保持するための偏波保持光ファイバ及び偏波保持光部品を備えることが好ましい。すなわち、これらの構成部品において光源1から出力される光が通過する部分については、通過する光の偏波状態を保持する偏波保持光ファイバ及び偏波保持光部品で構成することにより、被測定光ファイバFUTに出力される二つの光の偏波変動の影響が回避される。これにより、より安定した測定を行うことができる。
【0089】
また、被測定光ファイバFUTに出力する二つの光の少なくとも一方または参照光が偏波スクランブルされていれば、光の偏波変動による干渉ノイズを低減し、干渉状態の変化を安定化させることができる。これを実現するためには、二つの光の少なくとも一方または参照光の光路に公知の偏波スクランブラを設ければよい。
【0090】
(タイミング調整部を備える構成)
上記各実施の形態に係る光ファイバセンサでは、信号発生器から周波数解析部または時間的変動検出部にはタイミング調整用のトリガ信号が入力されている。しかし、送信部にて光の波長を時間的に周期的に変化させるときに、たとえば線形に変化させようとしたが非線形に変化してしまう場合がある。この場合は信号発生器からのトリガ信号だけでは周波数解析部または時間的変動検出部において掃引の同期が十分にとれない場合がある。これを解決するために、光ファイバセンサにおいて以下に説明するタイミング調整部をさらに備えるようにしてもよい。
【0091】
図20は、タイミング調整部の構成図である。タイミング調整部90は、送信部から出力された二つの光の一部を分岐する補助干渉計用分岐カプラ91と、補助干渉計用分岐カプラ91が分岐した光が入力され、これを2分岐する分岐カプラ92と、分岐カプラ92から出力された一方の光を伝搬する遅延光ファイバ93と、分岐カプラ92から出力された他方の光と遅延光ファイバ93から出力された光とを合波する合波カプラ94と、合波カプラ94から出力された光を受光し、タイミング調整用電気信号としての検出トリガ信号TSを出力するバランスドPD95と、を備えている。分岐カプラ92、遅延光ファイバ93、合波カプラ94、バランスドPD95は自己干渉型の補助干渉計を構成している。
【0092】
検出トリガ信号TSは、送信部の信号発生器または測定部の周波数解析部または時間的変動検出部に入力され、送信部における二つの光の波長の時間的変化のタイミングおよび測定部における電気信号検出のタイミングの少なくとも一方の調整に使用される。
【0093】
たとえば、検出トリガ信号TSを周波数解析部や時間的変動検出部での検出タイミングを制御するトリガ信号として使用する。これによって送信部において光源から出力される周波数変動(意図しない変動)を補正したタイミングで、検出を行えるため、送信部での波長変調の非線形性が補償される。
【0094】
このようなタイミング調整部90は、たとえば上記実施の形態1〜6のいずれにも付加して使用できる。さらに、このようなタイミング調整部90と、
図19に示したような偏波ダイバーシティ受信を行う構成とを、実施の形態の光ファイバセンサに一緒に組み込んで使用することもできる。
【0095】
(光源部の他の例)
図21A、21Bは、光源部の他の例の構成図である。
図21Aは光源部1Aを示す。光源部1Aは、互いに波長が異なる(たとえばそれぞれ波長λ1,λ2)光を出力する二つの光源1a、1bと、二つの光源1a、1bから出力された光を合波するWDMカプラ1cと、WDMカプラ1cから出力された光を変調する変調器2と、変調器2に変調信号を供給する信号発生器3とで構成される。
図21Bは光源部1Bを示す。光源部1Bは、互いに波長が異なる(たとえばそれぞれ波長λ1,λ2)光を出力する二つの光源1a、1bと、二つの光源1a、1bから出力された光をそれぞれ変調する変調器1d、1eと、変調器1d、1eに変調信号を供給する信号発生器1fと、信号発生器1fから変調器1eに供給される変調信号に遅延を与える遅延部1gと、変調器1d、1eから出力された光を合波するWDMカプラ1cとで構成される。このように、光源部は、2つの光源を備えていてもよい。なお、光源部1A,1Bは、たとえば上記実施の形態1〜5のいずれにおいても、その光源部と置き換えて使用できる。さらに、このような光源部1A,1Bと、
図19に示したような偏波ダイバーシティ受信を行う構成とを、光ファイバセンサに一緒に組み込んで使用することもできる。
【0096】
上記実施の形態に係る光ファイバセンサにおいて、被測定光ファイバFUTの条長を10kmとすることにより、音響波を測定する測定距離を最大10kmとすることができる。また、上述したように、上記実施の形態に係る光ファイバセンサによる音響波の測定の距離分解能は、干渉状態を観測する被測定光ファイバFUTの長手方向における異なる2点間の距離に相当する。そのため例えば、
図10で示される構成において、変調器41および43に与える変調周波数を調整しバンドパスフィルタ47の透過周波数を調整することにより、距離分解能10cmまたはそれ以下の測定を実現することができる。具体的には被測定光ファイバFUTの条長を10kmとした場合、バンドパスフィルタ47の透過帯域幅を10kHzとする。変調器41および43で与えられる周波数変化を
図14Aで示される変化とする場合、その周波数の時間的変化率γ(単位:Hz/s)を10THz/sとすることにより実現される。
【0097】
(光ファイバセンサを用いた測定方法)
本発明の実施の形態に係る光ファイバセンサを音響波センサとして用いる各種測定方法について説明する。なお、以下では実施の形態1に係る光ファイバセンサ100を用いる場合を説明するが、上記各実施の形態に係る光ファイバセンサのいずれを使用してもよい。
【0098】
図22A、22Bは、本発明の実施の形態に係る光ファイバセンサを用いて行う反射型地震探査法と呼ばれる地震探査方法の説明図である。地震探査方法は、人工的に地震波を発生させ、そこから地球内部の構造を調査する方法である。反射型地震探査法では、地表で発生させた音響波が、地中の反射面(主に速度や密度が変化する地層境界面)で反射して返ってくる状態をとらえ、その到達時間などの情報を用いて地下構造を探索する。この方法は、主に石油や石炭などの資源探査に用いられ、また地震の多発に伴う断層調査や海域における大陸棚の調査などにも用いられている。
【0099】
図22Aは陸上における地震探査の例を示している。本例では、震源車1001と、被測定光ファイバとしての光ファイバケーブル1002と、光ファイバセンサ100とを備える地震探査システム1000を用いて地震探査方法を実施している。本方法では、震源車1001から音響波を発生させると、地下の地層GLの境界面Bから反射音響波RWが戻ってきて、地上に設置した光ファイバケーブル1002に到達する。反射音響波RWにより光ファイバケーブル1002の光ファイバで発生する音響波を光ファイバセンサ100にて測定する。
【0100】
図22Bは海中における地震探査の例を示している。本例では、地震探査システム2000を用いて地震探査を実施している。地震探査システム2000は、探査船2001と、探査船2001に搭載されたエアガン2002と、被測定光ファイバとしての光ファイバケーブル2003と、探査船2001に搭載された光ファイバセンサ100とを備える。本方法では、探査船2001から海Seの海面に光ファイバケーブル2003を浮遊させる。探査船2001からエアガン2002で音響波を発生させると、海中を伝わり海底の地層GLの境界面Bから反射音響波RWが戻ってきて、海面に浮遊させた光ファイバケーブル2003に到達する。反射音響波RWにより光ファイバケーブル2003の光ファイバで発生する音響波を光ファイバセンサ100にて測定する。
【0101】
図23は、貯留層分布の計測方法の説明図である。本例では、エアガン3001と、被測定光ファイバとしての光ファイバケーブル3002と、光ファイバセンサ100とを備える計測システム3000を、海底にある石油あるいは天然ガスの抗井付近に設置して計測を実施している。
【0102】
海Seの海底の地下Gにある石油・天然ガスの貯留層RLに対して、その上部の海底に光ファイバケーブル3002を敷設する。海Seの海面上に設置された海上リグR1,R2のうち海上リグR1に光ファイバセンサ100を設置する。海上リグR1からエアガン3001により音響波を発生させ海中に伝搬させる。音響波は海底から石油・天然ガスが存在する貯留層RLに伝わり、地層との境界面で反射する。反射音響波RWは海底に設置された光ファイバケーブル3002に到達する。反射音響波RWにより光ファイバケーブル3002の光ファイバで発生する音響波を光ファイバセンサ100にて測定する。貯留層RLでの石油・天然ガスの貯留状態によって音響波の反射状態が変化することから、貯留層RLでの石油・天然ガスの分布状態を把握することができる。
【0103】
図24は、歪み検知方法の説明図である。
図24では、石油やガスを輸送するパイプラインPL中の側面あるいは外側側面に沿って設置される測定光ファイバとしての光ファイバ4001と、光ファイバセンサ100とにより検知システム4000が構成されている。パイプラインPL中を通る石油やガスの流量の変化に応じて光ファイバ4001が受ける振動(音響波)が変化する。これにより光ファイバ4001で発生する音響波を光ファイバセンサ100にて測定する。これにより、パイプラインPLの長手方向にわたってどのように石油・ガスが流れているかを把握することができる。
【0104】
図25は、地層の割れ目位置の特定方法の説明図である。
図25では、シェールガスなどを採掘する際に使用される水圧破砕法を用いる際に発生する地層の割れ目位置を特定する場合を説明する。本例では測定光ファイバとしての光ファイバ5001と、光ファイバセンサ100により構成される特定システム5000を使用して割れ目位置を特定する。水圧破砕法は、地下Gの岩体に超高圧の水を注入して貯留層RL内の空洞Hに割れ目CRを生じさせる手法である。割れ目CRの発生時には微小地震が起こり、その振動波SWが伝わっていく。そこで超高圧水を注入する地点の井戸W2とは別に調査のための井戸W1を掘り、井戸W1内に光ファイバ5001を敷設する。水圧破砕によって生じた割れ目CRからの振動波SWは地中を伝わり、井戸W1内の光ファイバ5001に到達する。振動波SWにより光ファイバ5001で発生する音響波を光ファイバセンサ100にて測定する。光ファイバ5001で検出する振動波の位置や伝搬速度などから、発生した地層の割れ目位置を特定することができる。
【0105】
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。