(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動信号生成部は、前記位置センサ信号及び前記目標信号に基づいて操作量信号を出力する駆動信号制御回路と、前記駆動信号制御回路の出力に基づいて前記駆動信号を出力するドライバと、を有し、
前記調整部は、前記操作量信号に基づいて、前記駆動信号生成部の入出力のフィルタ特性に係る制御係数を調整する請求項1に記載の運動デバイス制御回路。
前記目標信号が、前記運動デバイスを等速又は等加速度に第1の方向に移動する第1の目標信号と前記運動デバイスを等速又は等加速度に前記第1の方向とは逆の第2の方向に移動する第2の目標信号とを有する請求項7に記載の運動デバイス制御回路の調整方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかであろう。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
【0014】
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明に係る運動デバイス制御回路の実施形態1を説明するための回路構成図である。本発明の運動デバイス制御装置100は、運動デバイス1の位置を検出して位置センサ信号Sを出力する位置センサ11と、運動デバイス制御回路101と、駆動信号Dにより、運動デバイス1を移動させる駆動部14と、を備えている。
つまり、本発明の運動デバイス制御装置100は、運動デバイス制御回路101を備え、この運動デバイス制御回路101は、例えば、IC回路として構成されており、駆動部14の駆動コイル(図示せず)に電流を流すことにより、磁石3が移動され、その磁石3に固定されているレンズ2の位置調整が可能となる。
【0015】
また、運動デバイス制御装置100は、レンズ(移動体)2に取り付けられた磁石3を有する運動デバイス1と、この運動デバイス1の磁石3の近傍に配置された駆動コイルとを備え、この駆動コイルにコイル電流が流れることによって発生する力により磁石3を移動させるように構成されている。
また、本実施形態1の運動デバイス制御回路101は、目標信号生成回路16と、この目標信号生成回路16に接続された駆動信号生成部13と、この駆動信号生成部13に接続された第1の調整部112とを備えている。
【0016】
目標信号生成回路16は、運動デバイス1の目標位置を示す目標位置信号H、または、目標速度を示す目標速度信号H’、または、目標加速度を示す目標加速度信号H’’、を生成する。また、駆動信号生成部13は、運動デバイス1の位置を検出した位置センサ信号S及び目標位置信号H、または、目標速度信号H’、 目標加速度信号H’’に基づいて、運動デバイス1を移動させる駆動部14へ駆動信号Dを出力する。また、第1の調整部112は、駆動信号Dに対応する信号に基づいて、駆動信号生成部13の入出力のフィルタ特性を調整する。
【0017】
つまり、レンズ位置を制御する場合、目標信号生成回路16は、外部から入力されるレンズ2が目標地点へ移動する目標位置に基づいて、レンズ2の目標位置を示す目標位置信号Hを生成する。オートフォーカスであれば、被写体に合焦するレンズ位置であり、手振れ補正であれば、光軸と垂直な面内方向へのレンズ2の移動を補正するレンズ位置である。また、後述する調整時においては、目標速度信号H’、または目標加速度信号H’’を駆動信号生成部13へ出力する。
【0018】
また、レンズ位置を制御する場合、駆動信号生成部13は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて操作量信号Mを出力する駆動信号制御回路31と、この駆動信号制御回路31の出力に基づいて駆動信号Dを出力するドライバ32とを有し、第1の調整部112は、操作量信号Mに基づいて、駆動信号生成部13の入出力のフィルタ特性に係る制御係数Cを調整する。また、駆動信号生成部13は、フィードバック構成(クローズドループ)によって、レンズ2を目標位置へ移動させることができる。
【0019】
つまり、レンズ位置を制御する場合、駆動信号生成部13は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて、レンズ2を移動させる駆動部14へ駆動信号Dを出力する。例えば、駆動部が駆動コイルである場合、駆動信号Dは、駆動コイルに流す駆動電流である。駆動信号生成部13に入力される位置センサ信号Sは、運動デバイス1に取り付けた磁石3の磁場を検知する位置センサ11の信号や、少なくとも2つ以上の位置センサ11の信号の和信号と差信号との比に関連する信号など、運動デバイス1の位置を検出した信号であればよい。
【0020】
なお、「クローズドループ制御」とは、AF(又はOIS)センサの信号から、AF(又はOIS)レンズを制御することを意味し、「フィードバック制御」とは、他の用途で用いられているセンサの信号から、フィードバックを行って制御を行うことを意味している。つまり、AF(又はOIS)センサの信号から、OIS(又はAF)レンズの位置を補正することを意味している。
【0021】
また、「クローズドループ制御」に対して「オープンループ制御」とは、ボイスコイルモータ(VCM)に通電することで、磁場が発生し、近傍に設けられた磁石との吸引・反発により、磁石に接続されたレンズが移動することを意味している。レンズは、VCMと磁石との吸引・反発の力と、レンズの位置保持のために設けられたバネとの力が吊り合う位置で止まる。つまり、VCMへの通電量を変化させることで、レンズの位置が変化する。つまり、レンズをある所望の位置で固定するためには、VCMに通電し続けないといけないため、消費電流が増大してしまう。さらに、レンズ位置を止める際、バネの弾性振動が発生し、その振動が収束するまでに時間がかかるため、結果として、フォーカススピードが遅くなってしまうという問題がある。
【0022】
これに対してクローズドループ制御は、レンズ位置決めのためのバネを有していないため、オープンループ制御のように、バネとの力が吊り合うだけの通電量をVCMに印加する必要が無い。さらに、クローズドループ制御は、位置決め用のバネそのものが無いため、オープンループ制御のようにバネの弾性振動が収束するまでレンズが安定しないということも無いため、フォーカススピードが速いという利点がある。
【0023】
第1の調整部112は、位置センサ信号Sを微分して微分位置センサ信号Bを生成する微分回路21(以下、微分回路は、不完全微分も含まれる)と、位置センサ信号Sと微分位置センサ信号Bとを切り替えて駆動信号生成部13へ出力する切替回路22と、を備え、第1の調整部112は、微分位置センサ信号Bと目標信号生成回路16で生成された運動デバイス1が等速又は等加速に移動する目標速度信号H’または、目標加速度信号H’’とにより生成した駆動信号Dに対応する信号に基づいて、駆動信号制御回路31のフィルタ特性を調整する。
微分回路21は、位置センサ11の位置センサ信号Sを微分して出力する。1階微分であれば、レンズ2の移動速度に対応した信号であり、2階微分であれば、レンズ2の移動加速度に対応した信号となる。また、これらの微分回路21は、不完全微分であっても、必要な帯域を確保できているのであれば問題ないことは言うまでもない。
【0024】
また、第1の調整部112は、駆動信号制御回路31からの操作量信号Mに基づいて操作量信号情報MIを生成する操作量信号検出部23と、この操作量信号検出部23からの操作量信号情報MIを格納する格納部24と、この格納部24から読み出した操作量信号情報MIに応じて決定された制御係数情報CIに基づいて、駆動信号制御回路31のフィルタ特性に係る制御係数Cを設定する制御係数設定部25とを備えている。
つまり、第1の調整部112は、駆動信号Dに対応する信号に基づいて、駆動信号生成部13の入出力のフィルタ特性を調整する。駆動信号Dに対応する信号として、例えば、操作量信号Mや、駆動電流に対応する信号などが挙げられるが、駆動電圧であっても問題ないことは言うまでもない。
【0025】
また、位置センサ11は、磁石3が発生する磁場を検出し、検出された磁場の値に対応する位置センサ信号Sを出力するものである。つまり、位置センサ11は、磁石3が発する磁場を電気信号に変換し、位置センサ信号Sを出力する。位置センサ信号が入力される入力端子を備える構成であってもよい。なお、この位置センサ11は、ホール素子であることが望ましいが、磁気抵抗素子や光センサであっても問題ないことは言うまでもない。
【0026】
駆動信号生成部13の駆動信号制御回路31は、レンズ位置を制御する場合は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて操作量信号Mを算出する。例えば、駆動信号制御回路31としては、PID制御回路などが挙げられる。PID制御回路については、実施形態2で説明する。また、後述する調整時は、位置センサの微分信号B、及び、目標速度信号H’または、目標加速度信号H’’ に基づいて操作量信号Mを算出する。
【0027】
また、後述する制御係数設定部25により決定された制御係数Cにより、駆動信号制御回路31の入出力のフィルタ特性が決定される。例えば、実施形態2で説明するPID制御回路であれば、PIDパラメータが制御係数設定部25により決定される。
また、駆動信号生成部13のドライバ32は、操作量信号Mに基づいて駆動信号Dを駆動部14へ出力する。例えば、入力された操作量信号Mに基づいて、駆動コイルに駆動電流又は駆動電圧を外部出力する。
【0028】
また、切替回路22は、微分した微分位置センサ信号Bが駆動信号制御回路31に入力されるように切替信号Eに応じて切り替える。また、操作量信号検出部23は、駆動信号生成部13の駆動信号制御回路31の出力信号である操作量信号Mを検出する。また、格納部24は、検出した操作量信号情報MIを格納し、外部から読み出し可能に構成されている。
【0029】
また、制御係数設定部25は、検出した操作量信号情報MIに基づいて、駆動信号制御回路31の制御係数情報CIが決定されて外部から書き込み可能に構成されている。この制御係数設定部25の制御係数Cに基づいて、駆動信号制御回路31の入出力フィルタ特性が決定される。例えば、調整前には、基準となる制御係数Cが記憶されていてもよく、また、調整に適した調整制御係数C1が記憶されていてもよい。
【0030】
図2は、本実施形態1におけるフィルタ特性の第1の調整方法を説明するための回路構成図で、制御係数を調整する際の運動デバイス制御回路の動作について説明する。
図1に示した運動デバイス制御回路101における第1の調整方法(制御方法)を実行する場合には、図中の点線で示すように、位置センサ11から切替回路22に供給される位置センサ信号Sは不要になり、微分回路21からの微分位置センサ信号Bのみが切替回路22に入力される。また、格納部24からの操作量信号情報MIのインターフェース(IF)15への供給、及び制御係数設定部25とインターフェース15とのやり取りが不要になる。
【0031】
位置センサ11は、レンズ2の現在位置を検出して位置センサ信号Sを出力する。微分回路21は、位置センサ信号Sを微分する。1階微分であれば、レンズ2の移動速度に対応した信号であり、2階微分であれば、レンズ2の移動加速度に対応した信号となる。切替回路22は、位置センサ信号Sを微分した微分位置センサ信号が駆動信号制御回路31へ入力されるように、切替信号に応じて切り替えを行う。
【0032】
目標信号生成回路16は、少なくとも、レンズ2を等速又は等加速度で移動させる際の、速度又は加速度に関する情報を有する、外部から入力された所定の目標値に基づいて、目標速度信号H’または、目標加速度信号H’’を出力する。例えば、目標速度信号H’または、目標加速度信号H’’を固定値とする。それにより、レンズ2を等速または等加速度に動くことが可能となる。また、等速または等加速度運動期間は位置センサ信号Sをモニターして、調整のための運動デバイスを等速または等加速度運動させる期間を決めてもよい。
【0033】
駆動信号制御回路31とドライバ32と駆動部14は、微分位置センサ信号Bと目標位置信号Hとが一致するように、レンズ2を駆動する。微分回路21で1階微分を行う場合、レンズ2の移動速度が、目標速度信号H’である固定値と一致するようにレンズ2を移動させる。つまり、レンズ2が等速運動するようにレンズ2を移動させる。微分回路21で2階微分を行う場合、レンズ2の移動加速度が、目標等加速度信号H’’である固定値と一致するようにレンズ2を移動させる。つまり、レンズ2が加速運動するようにレンズ2を移動させる。
【0034】
操作量信号検出部23は、等速運動範囲における操作量信号Mを検出する。検出した操作量信号Mは、格納部24に格納され、外部からインターフェース(IF)15を通して読み出し可能となる。
以上のように、レンズ2を等速又は等加速度に移動させた際の操作量信号Mを検出することで、駆動信号Dに関する情報を取得することができる。
【0035】
次に、レンズを等速運動させた場合の調整方法について
図3(a),(b)に基づいて以下に説明する。
図3(a),(b)は、
図2に示したフィルタ特性の第1の調整方法を説明するための図で、レンズを等速運動させた場合の第1の調整方法(制御方法)について説明する。
図3(a)において、横軸が時間、縦軸がレンズ位置及び駆動電流を示している。点線枠内が等速運動範囲を示している。
図3(b)は、レンズ2と磁石3と駆動コイル4との関係を示した図である。
等速運動する際のレンズ2の運動方程式は、下記の式(1)となる。
Ma=−Mg+α×Ical−F−c×v=0 ・・・(1)
【0036】
なお、M:レンズと磁石の質量、a:レンズと磁石の加速度、g:重力加速度、α:駆動コイルからのトルク係数、Ical:駆動コイルに流れる電流値、F:摩擦力、c:粘性係数、v:レンズと磁石の速度、右辺第1項は重力を示し、第2項は駆動コイルで駆動されるトルクを示し、第3項は摩擦力を示し、第4項は粘性項を示している。等速運動なので加速度aは0である。
【0037】
ここで、駆動信号Dに対応する駆動電流Iについて、式(1)を解くと下記の式(2)となる。
Ical=(c×v+F+Mg)/α ・・・(2)
駆動信号Dに対応する操作量信号Mを検出することで、式(2)の右辺、つまり、レンズ2の動きやすさに関する情報(重力情報、摩擦情報、粘性情報等)を取得することができる。
例えば、レンズ2の質量に製造バラツキがある場合(レンズ2と磁石3の質量がM’)、レンズ2を等速運動させたときの駆動信号Dに対応する操作量信号Mを検出することで、基準からのずれを下記の式(3)より検出できる。
ΔIcal=(M’‐M)/α ・・・(3)
【0038】
基準の質量より重い場合、つまり、上記の式(3)において、ΔIcal>正側閾値の場合、レンズ2の移動を制御する駆動信号制御回路31のゲインが大きくなるように、例えば、後述するPIDパラメータを決定することなどがパラメータの調整として挙げられる。なお、駆動信号制御回路31がPID制御回路である場合については、実施形態2以降の説明で行う。
【0039】
格納部24に格納された操作量信号Mを読み出して、その結果に応じて決定した制御係数Cを制御係数設定部25のメモリなどに書き込みを行う。それにより、新たなPIDパラメータが決定する。
以上の調整及び設定により、レンズ2の動きやすさに応じた制御係数Cとすることができる。それにより、レンズ2や磁石3などの製造バラツキによってクローズドループの安定性が損なわれたり、オーバーシュートが生じてレンズ2の応答性が低下したりすることを防ぐことができる。また、等速又は等加速度で運動デバイスを移動させて調整するため、簡便、かつ、短時間の調整である。
【0040】
図4は、本実施形態1における制御係数の設定方法を説明するための回路構成図である。
図1に示した運動デバイス制御回路における制御係数の設定方法を実行する場合には、図中の点線で示すように、位置センサ11と微分回路21と切替回路22と駆動信号生成部13と駆動部14と操作量信号検出部23とが不要になり、格納部24と制御係数設定部25のみが機能する。
格納部24に格納された操作量信号情報MIに基づいて操作量信号Mを読み出し、制御係数設定部25は、制御係数情報CIに基づいて駆動信号制御回路31のフィルタ特性に係る制御係数Cを設定する。
【0041】
図5は、
図1に示した本実施形態1における動作を説明するための回路構成図で、制御係数の設定完了後の通常の動作について説明する。
図1に示した運動デバイスの制御装置100における通常の動作を実行する場合には、図中の点線で示すように、微分回路21と操作量信号検出部23と格納部24が不要になり、インターフェース15と制御係数設定部15とのやり取り、インターフェース15から切替回路22への切替信号Eの供給が不要になる。
【0042】
位置センサ11は、運動デバイス1であるレンズ2の位置を検出して位置センサ信号Sを出力する。目標信号生成回路16は、外部から入力されるレンズ2が目標地点へ移動する目標位置に基づいて、レンズ2の目標位置を示す目標位置信号Hを生成する。オートフォーカスであれば、被写体に合焦するレンズ位置であり、手振れ補正であれば、光軸と垂直な面内方向へのレンズ2の移動を補正するレンズ位置である。
【0043】
駆動信号生成部13は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて、レンズ2を移動させる駆動部14へ駆動信号Dを出力する。例えば、駆動部14が駆動コイル(図示せず)である場合、駆動信号Dは、駆動コイルに流す駆動電流又は駆動電圧である。
駆動信号生成部13の駆動信号制御回路31は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて操作量信号Mを算出する。また、制御係数設定部25で新たに決定された制御係数Cに基づいた入出力フィルタ特性で制御を行う。
駆動信号生成部13のドライバ32は、操作量信号Mに基づいて駆動信号Dを駆動部14へ出力する。例えば、入力された操作量信号Mに基づいて、駆動コイルに駆動電流又は駆動電圧を外部出力する。
【0044】
以上のように、レンズ2を等速又は等加速度で移動させるようにフィードバックループで制御し、その際の駆動信号Dに対応する信号を検出する。検出した駆動信号Dに対応する信号は、レンズ2の動きやすさに関する情報に関連するため、その情報に基づいて駆動信号制御回路31の制御係数C、つまり、駆動信号制御回路31のフィルタ特性が決定される。この調整によって、レンズ2の動きやすさに応じた制御を行うことが可能となる。
【0045】
本実施形態1は、レンズ2の動きやすさに関連する駆動信号Dに対応する信号に基づいて、制御係数Cを調整可能に構成されている。また、第1のレンズ位置から第2のレンズ位置まで等速又は等加速度で移動させて、制御係数Cを調整できるため、簡易かつ短時間で調整が可能となる。また、端点位置からもう一方の端点位置まで等速又は等加速度で移動させて、位置センサ信号Sや目標位置信号Hのゲイン・オフセットなどの端点補正と同時に、制御係数Cを調整する調整方法であってもよい。また、等速又は等加速度で運動デバイスを移動させて調整するため、簡便、かつ、短時間の調整である。
【0046】
図6は、
図2に示したフィルタ特性の第2の調整方法を説明するための図で、レンズを等速運動させた場合の第2の調整方法(制御方法)について説明する。横軸が時間、縦軸がレンズ位置及び駆動電流を示している。点線枠内が第1及び第2の等速運動範囲を示している。
第1のレンズ位置から第2のレンズ位置まで等速度で移動する第1の等速運動範囲と、逆に第2のレンズ位置から第1のレンズ位置まで移動方向が逆の等速度で移動する第2の等速運動範囲が設定された調整である。
【0047】
第1の等速運動範囲で等速運動する際のレンズ2の運動方程式は、下記の式(4)となる。
Ma=−Mg+α×Ical1−F−c×v=0 ・・・(4)
ここで、駆動信号Dに対応する駆動電流Ical1について、式(4)を解くと下記の式(5)となる。
Ical1=(c×v+F+Mg)/α ・・・(5)
【0048】
一方、第2の等速運動範囲で等速運動する際のレンズ2の運動方程式は、下記の式(6)となる。
Ma=−Mg+α×Ical2+F+c×v=0 ・・・(6)
ここで、駆動信号に対応する駆動電流Ical2について、式(6)を解くと下記の式(7)となる。
Ical2=(−c×v−F+Mg)/α ・・・(7)
ここで、式(5)及び式(6)の和及び差は、下記の式(8)及び(9)となる。
Ical1−Ical2=2(c×v+F)/α ・・・(8)
Ical1+Ical2=2×Mg/α ・・・(9)
したがって、Ical1とIcal2に対応する信号をそれぞれ検出することで、式(8)より摩擦及び粘性に関する情報と、式(9)より重力(質量)に関する情報を取得することができる。
【0049】
以上のように、レンズ2を第1の方向に等速で移動させた際の駆動信号Dに対応する信号と、第1の方向とは逆の第2の方向に等速で移動させた際の駆動信号Dに対応する信号とを取得することにより、レンズ2の摩擦及び粘性情報と、レンズ2及び磁石3などの質量情報を別々に取得することができる。なお、第1の方向及び第2の方向は、重力がかかる向きが変わる方向である。
【0050】
この調整により、より細やかな駆動信号制御回路31の入出力フィルタ特性を調整することができる。例えば、レンズ2や磁石3の質量の製造バラツキ及びレンズ2、駆動部14などを組み込んだときの摩擦・粘性のバラツキの両方にそれぞれ適合する制御フィルタ特性の調整を行うことができる。また、等速又は等加速度で運動デバイスを移動させて調整するため、簡便、かつ、短時間の調整である。
なお、本実施形態1における調整方法は、後述するPIDコントローラのような制御に関しても十分効果を発揮するが、制御対象をモデル化して制御を実施するモデルベースデザイン(MBD)とも親和性が高い。したがって、上述のように、パラメータのずれをモニターし、モデルを補正するように調整することで、同等の効果が上がる。
【0051】
図7(a),(b)は、
図2に示したフィルタ特性の第3の調整方法を説明するための図で、レンズを等速運動させた場合の第3の調整方法(制御方法)について説明する。
図7(a)において、横軸が時間、縦軸がレンズ位置及び駆動電流を示している。点線枠内が等速運動範囲を示している。
図7(b)は、レンズ2と磁石3と駆動コイル4との関係を示した図である。
図7(a)では、レンズ2がバネなどの弾性体で保持された運動デバイス1における調整であり、運動デバイス1の等速運動における運動方程式で、摩擦・粘性項は無視でき、弾性力項がある場合の調整である。
【0052】
等速運動する際のレンズ2の運動方程式は、下記の式(10)となる。
Ma=−Mg+α×Ical3−k×x=0 ・・・(10)
M:レンズと磁石の質量、a:レンズと磁石の加速度、g:重力加速度、α:駆動コイルからのトルク係数、Ical:駆動コイルに流れる電流値、k:弾性係数(バネ係数)、x:レンズ位置、右辺第1項は重力を示し、第2項は駆動コイルで駆動されるトルクを示し、第3項は弾性力を示している。等速運動なので加速度aは0である。
【0053】
ここで、時間t3における駆動信号に対応する駆動電流Ical3について、式(10)を解くと下記の式(11)となる。なお、時間t3におけるレンズ位置をx3とする。
Ical3=(k×x3+Mg)/α ・・・(11)
また、時間t4における駆動信号に対応する駆動電流Ical4について、式(10)を解くと下記の式(12)となる。なお、時間t4におけるレンズ位置をx4とする。
Ical4=(k×x4+Mg)/α ・・・(12)
ここで、式(11)及び式(12)の差は、下記の式(13)となる。
Ical4−Ical3=k×(x4−x3) ・・・(13)
【0054】
時間間隔Δt=t4−t3の間、レンズ2は等速vで運動しているため、式(13)は、下記の式(14)で表される。
Ical4−Ical3=k×v×Δt ・・・(14)
したがって、Ical3とIcal4に対応する信号をそれぞれ検出することで、時間間隔Δtと速度vが一定とする調整とすることで、式(14)より弾性係数kに関する情報を取得することができる。
【0055】
以上のように、レンズ2がバネなどの弾性体で保持された運動デバイス1において、所定の時間間隔で、レンズ2を等速で移動させた際の駆動信号Dに対応する信号を取得することにより、レンズ2を保持する弾性体の弾性係数情報を取得することができる。
この調整により、バネとレンズ2とを組み込んだときのバラツキも含めて、より細やかな駆動信号制御回路31の入出力フィルタ特性を調整することができる。例えば、弾性係数が基準よりも大きい場合、弾性力が強くなるため、後述するPIDパラメータの微分成分による位相補償を高域に位置させるように制御係数Cを決定する。また、等速又は等加速度で運動デバイスを移動させて調整するため、簡便、かつ、短時間の調整である。
【0056】
図8(a),(b)は、
図2に示したフィルタ特性の第4の調整方法を説明するための図で、レンズを等加速度運動させた場合の第4の調整方法(制御方法)について説明する。
図8(a)において、横軸が時間、縦軸がレンズ位置及び駆動電流を示している。点線枠内が等加速運動範囲を示している。
図8(b)は、レンズ2と磁石3と駆動コイル4との関係を示した図である。
図8(a)では、レンズ2がバネなどの弾性体で保持された運動デバイス1における調整であり、運動デバイス1の等加速度運動における運動方程式で、摩擦・粘性項は無視でき、弾性力項がある場合の調整である。
【0057】
等加速度運動する際のレンズ2の運動方程式は、下記の式(15)となる。
Ma=−Mg+α×Ical−k×x ・・・(15)
M:レンズと磁石の質量、a:レンズと磁石の加速度、g:重力加速度、α:駆動コイルからのトルク係数、Ical:駆動コイルに流れる電流値、k:弾性係数(バネ係数)、x:レンズ位置、右辺第1項は重力を示し、第2項は駆動コイルで駆動されるトルクを示し、第3項は弾性力を示している。
ここで、時間t5における駆動信号に対応する駆動電流Ical5について、式(15)を解くと下記の式(16)となる。なお、時間t5におけるレンズ位置をx5とする。
Ical5=(k×x5+Mg+Ma)/α ・・・(16)
【0058】
また、時間t6における駆動信号に対応する駆動電流Ical6について、式(15)を解くと下記の式(17)となる。なお、時間t6におけるレンズ位置をx6とする。
Ical4=(k×x6+Mg+Ma)/α ・・・(17)
ここで、式(16)及び式(17)の差は、下記の式(18)となる。
Ical6−Ical5=k×(x4−x3)・・・(18)
時間間隔Δt=t4−t3の間、レンズ2は等加速度aで運動しているため、式(18)は、下記の式(19)で表される。
Ical6−Ical5=k×1/2×a×Δt2・・・(19)
【0059】
したがって、Ical5とIcal6に対応する信号をそれぞれ検出することで、時間間隔Δtと加速度aが一定とする調整とすることで、式(19)より弾性係数kに関する情報を取得することができる。
以上のように、レンズ2がバネなどの弾性体で保持された運動デバイス1において、所定の時間間隔で、レンズ2を等加速度で移動させた際の駆動信号Dに対応する信号を取得することにより、レンズ2を保持する弾性体の弾性係数情報を取得することができる。
【0060】
この調整により、バネとレンズ2とを組み込んだときのバラツキも含めて、より細やかな制御回路の入出力フィルタ特性を調整することができる。例えば、弾性係数が基準よりも大きい場合、弾性力が強くなるため、後述するPIDパラメータの微分成分による位相補償を高域に位置させるように制御係数を決定する。また、等速又は等加速度で運動デバイスを移動させて調整するため、簡便、かつ、短時間の調整である。
【0061】
また、実施例は弾性体に対しても
図3及び
図6のような摩擦・粘性がある系であっても問題ないことは言うまでもない。
また、本実施形態1は、等速・等加速度運動を実施したが、システムパラメータを簡単に取得できる運動であれば、本手法が使えることは言うまでもない。
また、本実施形態1でのレンズの移動方向は、重力方向と平行な方向で移動させて調整を行っているが、異なる方向であってもよい。
【0062】
また、今回、調整時の制御構成に対し、レンズを所望通りに、本実施例であれば等速または等加速、で動かすのであればレンズ位置制御とは異なる制御または制御パラメータでも問題ない。
また、今回は位置センサ信号を微分したが、位置センサ信号をそのまま駆動信号生成部に入力し、目標信号側を等速、等加速状に動くように指示する目標速度信号や目標加速度信号としてもよい。
【0063】
例えば、目標速度信号及び目標加速度信号を固定値とするのではなく、等速の場合、目標速度信号を時間に対して一次関数状の波形となる信号とし、等加速度の場合、目標加速度信号を時間に対して二次関数状の波形となる信号とする。つまり、等速又は等加速度で移動するような目標位置信号と、位置センサ信号とに基づいてフィードバック制御を行う。それにより、運動デバイスを等速又は等加速度で移動させることができる。
【0064】
<実施形態2>
図9は、本発明に係る運動デバイス制御回路の実施形態2を説明するための回路構成図である。なお、
図1と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
図1に示した実施形態1との相違は、第2の調整部212が、上述した実施形態1の構成にさらにタイミング信号生成部26を追加するともに、上述した実施形態1の構成の微分回路21と切替回路22に代えて切替信号生成回路27を備えた点である。また、駆動信号制御回路31が、PID制御回路である点である。
【0065】
運動デバイス制御装置200は、運動デバイス1の位置を検出して位置センサ信号Sを出力する位置センサ11と、運動デバイス制御回路201と、駆動信号Dにより運動デバイス1を移動させる駆動部14とを備えている。
本実施形態2の運動デバイス制御回路201は、目標信号生成回路16と、目標信号生成回路16に接続された駆動信号生成部13と、駆動信号生成部13に接続された第2の調整部212とを備えている。
【0066】
目標信号生成回路16は、レンズ位置制御時は、運動デバイス1の目標位置を示す目標位置信号Hを生成する。また、駆動信号生成部13は、運動デバイス1の位置を検出した位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて、運動デバイス1を移動させる駆動部14へ駆動信号Dを出力する。また、第2の調整部212は、駆動信号Dに対応する信号に基づいて、駆動信号生成部13の入出力のフィルタ特性を調整する。
【0067】
また、レンズ位置制御時は、駆動信号生成部13は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて操作量信号Mを出力するPID制御回路31と、PID制御回路31の出力に基づいて駆動信号Dを出力するドライバ32とを有し、第2の調整部212は、操作量信号Mに基づいて、駆動信号生成部13の入出力のフィルタ特性に係る制御係数Cを調整する。つまり、実施形態1における駆動信号制御回路31は、PID制御回路で、第2の調整部212は、PID制御回路31のPIDパラメータを調整する。
【0068】
駆動信号生成部13は、PID制御回路31とドライバ32とを有する。このフィードバック構成(クローズドループ)によって、レンズ2を目標位置へ移動させることができる。
また、第2の調整部212は、切替信号生成部27と、駆動信号制御回路31からの操作量信号Mに基づいて操作量信号情報MIを生成する操作量信号検出部23と、この操作量信号検出部23からの操作量信号情報を格納する格納部24と、この格納部24に格納された操作量信号情報MIに基づいて操作量信号Mを読み出し、制御係数情報CIに基づいて駆動信号制御回路31のフィルタ特性に係る制御係数Cを設定する制御係数設定部25と、タイミング生成部26とを備えている。
【0069】
また、第2の調整部212は、目標信号生成回路16と操作量信号検出部23と格納部24と制御係数設定部25に指令するためのタイミング信号を生成するタイミング信号生成部26と、このタイミング信号生成部26からの指令信号に基づいて、位置センサ信号Sを微分するための切替信号を出力する切替信号生成回路27とを備えている。
つまり、本実施形態2では、実施形態1における微分回路21ではなく、PID制御回路31の内部の微分回路を利用して位置センサ信号Sを微分し、また、調整の際に、第2の調整部212のタイミング信号生成部26で自動的に目標信号を生成し、操作量信号情報MIの格納まで終了する点が本実施形態1と異なる。調整する際は、外部から調整を開始する信号を入力すれば、IC内で自動的に調整を開始し、操作量信号情報MIが読み出し可能に格納される形態である。
【0070】
以下、本実施形態1と異なる点を中心に説明する。
目標信号生成回路16は、調整時においては、タイミング信号生成部26からの指令信号に基づいて、目標速度信号H’を駆動信号生成部13へ出力する。
切替信号生成回路27は、タイミング信号生成部26からの指令信号に基づいて、PID制御回路31において、位置センサ信号Sが微分されるように切り替える切替信号Eを出力する。PID制御回路31は、切替信号Eに応じて、位置センサ信号Sが微分されるように切り替え可能に構成されている。
【0071】
操作量信号検出部23及び格納部24は、タイミング信号生成部26からの指令信号に基づいて、PID制御回路31の出力信号である操作量信号Mを検出し、検出した操作量信号情報MIを格納し、外部から読み出し可能に構成されている。
制御係数設定部25は、タイミング信号生成部26からの指令信号に基づいて、調整制御係数C1である調整用PIDパラメータがPID制御回路31へ出力されるように構成されている。
タイミング信号生成部26は、調整開始信号が入力されると、目標信号生成回路16と制御係数設定部25と操作量信号検出部23と格納部24へそれぞれ指令信号を出力する。また、入力された操作量信号Mに応じて、調整を完了する指令信号を上述した各構成要素へ出力する。
【0072】
ここで、PID制御とは、フィードバック制御の一種で、入力値の制御を出力値と目標値との偏差とその積分及び微分の3つの要素によって行う方法を意味している。基本的なフィードバック制御として比例制御(P制御)がある。これは入力値を出力値と目標値の偏差の一次関数として制御するものである。PID制御では、この偏差に比例して入力値を変化させる動作を比例動作あるいはP動作(PはPROPORTIONALの略)という。つまり、偏差のある状態が長い時間続けばそれだけ入力値の変化を大きくして目標値に近づけようとする役目を果たす。この偏差の積分に比例して入力値を変化させる動作を積分動作あるいはI動作(IはINTEGRALの略)という。このように比例動作と積分動作を組み合わせた制御方法をPI制御という。この偏差の微分に比例して入力値を変化させる動作を微分動作あるいはD動作(DはDERIVATIVE又はDIFFERENTIALの略)という。このような比例動作と積分動作と微分動作を組み合わせた制御方法をPID制御という。
【0073】
また、制御係数設定部25により決定された制御係数Cにより、PID制御回路31の入出力のフィルタ特性が決定される。PID制御回路31であれば、PIDパラメータが制御係数設定部25により決定される。
ここで、PIDパラメータとは、PID制御回路のフィルタ特性を決定するパラメータである。具体的には、比例演算部の係数、微分演算部の係数、積分演算部の係数、帰還部の係数、ゲイン増幅部の係数の少なくとも1つ以上を含んでいる。また、微分演算部や積分演算部における演算にかかる処理時間などの係数も含んでよい。さらに、PID制御回路31の内部にLPF(ローパスフィルタ)や目標値フィルタ回路を有する場合、それらのフィルタ特性を決定するパラメータも含んでよい。
このようなPID制御システムにおいて最適な制御性能を得るためには、PID制御回路31におけるPIDパラメータ、すなわち、比例ゲインKp,積分時間TI、微分時間TDの各パラメータを最適な値に設定することが必要である。
【0074】
PIDパラメータの設定方法として、(1)ステップ応答法、(2)限界感度法、 (3)周波数応答法、(4)リミットサイクル法などが知られている。
オートフォーカス機能を搭載した光学機器などのように高速応答と高精度が必要なシステムにおいては、制御対象のスピードが速いので、一般に、オペレータによる限界感度法によりPIDパラメータを設定することが行われている。
この限界感度法によりPIDパラメータを設定する場合、まず、比例動作だけの制御状態(P制御状態)に設定する。その状態で、方形波信号を目標値として入力し、PID制御回路31の比例ゲインKpを増大させていく。比例ゲインKpが増大するにしたがって、制御量の信号波形には、オーバーシュートが発生し始める。さらに、比例ゲインKpを増大させると、そのオーバーシュートが振動的になってリンギングが発生し、さらに比例ゲインKpを増大させるとリンギングの減衰時間が大きくなる。さらに、比例ゲインKpを増大させると、そのリンギングが減衰しなくなり振動状態が持続する。そして、さらに、比例ゲインKpを増大させると発散を始める。その発散前の限界状態、すなわち、振動状態が持続する持続振動状態であるときの比例ゲインKpとリンギング周期を元にPIDパラメータを算出する。
このように、限界感度法では、PID制御システムに目標値として方形波信号を入力し、その方形波のエネルギーによりオーバーシュートを発生させ、その減衰を目視することにより持続振動状態を検出し、そのときの比例ゲインとリンギング周期に基づいてPIDパラメータを算出する。
【0075】
手振れ補正の制御に関しては、上述したような、フィードバック制御であるPID制御が適用される。PID制御では、比例ゲイン、積分時間、微分時間といった制御パラメータが制御系の特性に従って調整され、例えば、限界感度法によってPIDパラメータ値が定められる。
図10は、本実施形態2におけるPIDパラメータの第1の調整方法を説明するための回路構成図で、制御係数を調整する際の運動デバイス制御回路の動作について説明する。
【0076】
まず、外部から調整開始信号が入力されると、タイミング信号生成部26が、目標信号生成回路16と制御係数設定部25と操作量信号検出部23と格納部24へそれぞれ指令信号を出力する。
切替信号生成回路27は、タイミング信号生成部26からの指令信号に基づいて、PID制御回路31において、位置センサ信号Sが微分されるように切り替える切替信号を出力する。
【0077】
目標信号生成回路16は、タイミング信号生成部26からの指令信号に基づいて、目標速度信号又は目標加速度信号である目標信号を出力する。目標信号は、少なくとも、レンズ2を等速又は等加速度で移動させる際の速度又は加速度に関する情報を有する。例えば、目標速度信号H’または目標加速度信号H’’は固定値とする。それにより、第1のレンズ位置から第2のレンズ位置まで移動する際に、等速で移動する等速運動範囲を設定することが可能となる。
【0078】
PID制御回路31とドライバ32と駆動部14は、微分した微分位置センサ信号と目標速度信号H’または目標加速度信号H’’とが一致するように、レンズ2を駆動する。PID制御回路31内の微分回路で1階微分を行う場合、レンズ2の移動速度が、目標信号である固定値と一致するようにレンズを移動させる。つまり、レンズ2が等速運動するように、レンズ2を移動させる。PID制御回路31内の微分回路で2階微分を行う場合、レンズ2の移動加速度が、目標位置信号Hである固定値と一致するようにレンズ2を移動させる。つまり、レンズ2が加速運動するようにレンズ2を移動させる。
【0079】
操作量信号検出部23は、タイミング信号生成部26からの指令信号に基づいて、等速又は等加速度運動範囲における操作量信号Mを検出する。検出した操作量信号Mは、タイミング信号生成部26からの指令信号に基づいて、格納部24に格納され、外部からインターフェース(IF)15を通して読み出し可能となる。
タイミング信号生成部26は、入力された操作量信号Mに応じて、調整を完了する指令信号を、上述した各構成要素へ出力する。例えば、等速運動の場合、入力された操作量信号Mをモニターし、操作量信号Mが一定である期間に所望の量のデータサンプリングを終えた場合、調整を完了する、などと構成しても問題ない。また、タイミング信号回路が、調整経過時間をもとに調整終了を判断しても、問題ないことは言うまでもない。
このようにして、調整開始信号が入力されて、レンズを等速又は等加速度に移動させた際の操作量信号を検出することで、駆動信号に関する情報を自動的に取得することができる。
【0080】
図11は、本実施形態2における制御係数の設定方法を説明するための回路構成図で、レンズを等速運動させた後の設定方法について説明する。
図9に示した運動デバイス制御回路201における制御係数の設定方法を実行する場合には、図中の点線で示すように、格納部24及び制御係数設定部25以外の構成は不要になる。
格納部24に格納された操作量信号を読み出して、その結果に応じて決定した制御係数Cを制御係数設定部25のメモリなどに書き込みを行う。それにより、新たなPIDパラメータが決定する。PIDパラメータの設定方法は、本実施形態1と同様である。
以上の調整及び設定により、レンズ2の動きやすさに応じた制御係数とすることができる。それにより、レンズや磁石などの製造バラツキによってクローズドループの安定性が損なわれたり、オーバーシュートが生じてレンズの応答性が低下したりすることを防ぐことができる。
【0081】
図12は、
図9に示した本実施形態2における動作を説明するための回路構成図で、制御係数の設定完了後の通常の動作について説明する。
図9に示した運動デバイス制御回路201における通常の動作を実行する場合には、図中の点線で示すように、操作量信号検出部23とタイミング信号生成部26と格納部24と切替信号生成回路27が不要になる。
【0082】
位置センサ11は、運動デバイス1であるレンズ2の位置を検出して位置センサ信号Sを出力する。
目標信号生成回路16は、外部から入力されるレンズ2が目標地点へ移動する目標位置に基づいて、レンズ2の目標位置を示す目標位置信号Hを生成する。オートフォーカスであれば、被写体に合焦するレンズ位置であり、手振れ補正であれば、光軸と垂直な面内方向へのレンズの移動を補正するレンズ位置である。
【0083】
駆動信号生成部13は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて、レンズ2を移動させる駆動部14へ駆動信号Dを出力する。例えば、駆動部14が駆動コイルである場合、駆動信号Dは、駆動コイルに流す駆動電流である。
駆動信号生成部13のPID制御回路31は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて操作量信号Mを算出する。また、制御係数設定部25で新たに決定されたPIDパラメータに基づいた入出力フィルタ特性で制御を行う。
駆動信号生成部13のドライバ32は、操作量信号Mに基づいて駆動信号Dを駆動部14へ出力する。例えば、入力された操作量信号Mに基づいて、駆動コイルに駆動電流又は駆動電圧を外部出力する。
【0084】
以上のように、レンズ2を等速又は等加速度で移動させるようにフィードバックループで制御し、その際の駆動信号Dに対応する信号を検出する。検出した駆動信号Dに対応する信号は、レンズ2の動きやすさに関する情報に関連するため、その情報に基づいてPID制御回路31の制御係数、つまり、PID制御回路31のフィルタ特性が決定される。この調整によって、レンズ2の動きやすさに応じた制御を行うことが可能となる。また、外部から調整開始信号を入力するだけで、自動的にレンズ2の動きやすさに関する情報を取得可能である。
【0085】
本実施形態2は、レンズ2の動きやすさに関連する駆動信号Dに対応する信号に基づいて、制御係数Cを調整可能に構成されている。また、第1のレンズ位置から第2のレンズ位置まで等速又は等加速度で移動させて、制御係数Cを調整できるため、簡易かつ短時間で調整が可能となる。また、端点位置からもう一方の端点位置まで等速又は等加速度で移動させて、位置センサ信号Sや目標位置信号Hのゲイン・オフセットなどの端点補正と同時に、制御係数Cを調整する調整方法であってもよい。
【0086】
また、本実施形態2は、等速・等加速度運動を実施したが、システムパラメータを簡単に取得できる運動であれば、本手法が使えることは言うまでもない。
また、本実施形態2の制御システムとしてPIDを実施したが、微分回路を含む、他システムであっても同様のことができることは言うまでもない。
また、今回、調整時の制御構成に対し、レンズを所望通りに(本実施例であれば等速または等加速)動かすのであればレンズ位置制御とは異なる制御、(例えばPI制御、I制御など)または制御パラメータでも問題ない。
【0087】
また、今回は位置センサ信号を微分したが、位置センサ信号をそのまま駆動信号生成部に入力し、目標信号側を等速、等加速状に動くように指示する目標速度信号や目標加速度信号としてもよい。
例えば、目標速度信号及び目標加速度信号を固定値とするのではなく、等速の場合、目標速度信号を時間に対して一次関数状の波形となる信号とし、等加速度の場合、目標加速度信号を時間に対して二次関数状の波形となる信号とする。つまり、等速又は等加速度で移動するような目標位置信号と、位置センサ信号とに基づいてフィードバック制御を行う。それにより、運動デバイスを等速又は等加速度で移動させることができる。
【0088】
<実施形態3>
図13は、本発明に係る運動デバイス制御回路の実施形態3を説明するための回路構成図である。なお、
図9と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
運動デバイス制御装置300は、運動デバイス1の位置を検出して位置センサ信号Sを出力する位置センサ11と、運動デバイス制御回路301と、駆動信号Dにより運動デバイス1を移動させる駆動部14とを備えている。
本実施形態3の運動デバイス制御回路301は、目標信号生成回路16と、目標信号生成回路16に接続された駆動信号生成部13と、駆動信号生成部13に接続された第3の調整部312とを備えている。
【0089】
目標信号生成回路16は、レンズ位置制御を実施する場合、運動デバイス1の目標位置を示す目標位置信号Hを生成する。また、駆動信号生成部13は、運動デバイス1の位置を検出した位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて、運動デバイス1を移動させる駆動部14へ駆動信号Dを出力する。また、調整する際は、第3の調整部312は、駆動信号Dに対応する信号に基づいて、駆動信号生成部13の入出力のフィルタ特性を調整する。また、レンズ位置制御を実施する場合、駆動信号生成部13は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて操作量信号Mを出力するPID制御回路31と、このPID制御回路31の出力に基づいて駆動信号Dを出力するドライバ32とを有し、第3の調整部312は、操作量信号Mに基づいて、駆動信号生成部13の入出力のフィルタ特性に係る制御係数Cを調整する。つまり、実施形態1における駆動信号制御回路31は、PID制御回路で、第3の調整部312は、PID制御回路31のPIDパラメータを調整する。
駆動信号生成部13は、PID制御回路31とドライバ32とを有する。このフィードバック構成(クローズドループ)によって、レンズ2を目標位置へ移動させることができる。
【0090】
また、第3の調整部312は、PID制御回路31からの操作量信号Mに基づいて操作量信号情報MIを生成する操作量信号検出部23と、この操作量信号検出部23からの操作量信号情報MIに基づいて制御係数を算出する制御係数算出部28と、制御係数設定部25とを備え、この制御係数算出部28により算出された制御係数情報CIに基づいてPID制御回路31のフィルタ特性に係る制御係数Cを設定する。
本実施形態3では、実施形態1における微分回路21ではなく、外部入力された切替信号Eに基づいて、PID制御回路31の内部の微分回路を利用して位置センサ信号Sを微分する。また、調整の際に、IC内部で操作信号情報MIに基づいて制御係数Cを算出して設定する点が、上述した本実施形態1及び2と異なる点である。
【0091】
以下、本実施形態1及び2と異なる点を中心に説明する。
制御係数算出部28は、操作量信号情報MIに基づいて、PID制御回路31のPIDパラメータを算出する。そして、外部からの更新信号Rに基づいて、制御係数設定部25に新たなPIDパラメータとして設定する。例えば、予め定められた基準に対する操作量信号Mの誤差に応じてPIDパラメータが決定されるように算出するものであってもよく、誤差に応じた計算式で基準PIDパラメータに対して演算する形態であってもよい。
【0092】
図14は、本実施形態3におけるPIDパラメータの調整方法を説明するための回路構成図で、制御係数を調整する際の運動デバイス制御回路301の動作について説明する。
外部入力された切替信号Eに基づいて、PID制御回路31において、位置センサ信号Sが微分されるように切り替えられる。
目標信号生成回路16は、外部から入力された所定の目標値に基づいて、目標速度信号H’または、目標加速度信号H’を出力する。例えば、目標速度信号H’または、目標加速度信号H’は固定値とする。それにより、第1のレンズ位置から第2のレンズ位置まで移動する際に、等速で移動する等速運動範囲を設定することが可能となる。
【0093】
PID制御回路31とドライバ32と駆動部14は、微分した微分位置センサ信号と目標信号とが一致するようにレンズ2を駆動する。PID制御回路31内の微分回路で1階微分を行う場合、レンズ2の移動速度が、目標速度信号H’である固定値と一致するようにレンズ2を移動させる。つまり、レンズ2が等速運動するようにレンズ2を移動させる。PID制御回路31内の微分回路で2階微分を行う場合、レンズ2の移動加速度が、目標加速度信号H’’である固定値と一致するようにレンズ2を移動させる。つまり、レンズ2が加速運動するようにレンズ2を移動させる。
操作量信号検出部23は、等速運動範囲における操作量信号Mを検出する。検出した操作量信号Mは、制御係数算出部28で算出される。
以上のように、レンズ2を等速又は等加速度に移動させた際の操作量信号Mを検出することで、駆動信号Dに関する情報を取得することができる。
【0094】
図15は、本実施形態3における制御係数の設定方法を説明するための回路構成図で、レンズを等速又は等加速度運動させた後の設定方法について説明する。
図15に示した運動デバイス制御回路301における制御係数C設定方法を実行する場合には、図中の点線で示すように、制御係数算出部28と制御係数設定部25以外の構成は不要となる。
【0095】
外部入力される更新信号Rに応じて、算出した少なくとも操作量信号情報M1を含む情報、または少なくとも操作量信号情報M1及び、制御係数Cを含む情報から新しいPIDパラメータが算出され、制御係数設定部25に記憶又は更新される。それにより、新たなPIDパラメータが決定する。また、この新しいPIDパラメータが作られる過程は、M1を算出した際に、連続で行われてもよく、更新信号Rは、そのPIDパラメータを、制御係数設定部25に格納する際に使われてもよいことは言うまでもない。
以上の調整及び設定により、レンズ2の動きやすさに応じた制御係数Cとすることができる。それにより、レンズ2や磁石3などの製造バラツキによってクローズドループの安定性が損なわれたり、オーバーシュートが生じてレンズの応答性が低下したりすることを防ぐことができる。
【0096】
図16は、
図13に示した本実施形態3における動作を説明するための回路構成図で、制御係数の設定完了後の通常の動作について説明する。
図16に示した運動デバイス制御回路301における通常の動作を実行する場合には、図中の点線で示すように、操作量信号検出部23と制御係数算出部28が不要になる。
位置センサ11は、運動デバイス1であるレンズ2の位置を検出して位置センサ信号Sを出力する。
目標信号生成回路16は、外部から入力されるレンズ2が目標地点へ移動する目標位置に基づいて、レンズ2の目標位置を示す目標位置信号Hを生成する。オートフォーカスであれば、被写体に合焦するレンズ位置であり、手振れ補正であれば、光軸と垂直な面内方向へのレンズの移動を補正するレンズ位置である。
【0097】
駆動信号生成部13は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて、レンズ2を移動させる駆動部14へ駆動信号Dを出力する。例えば、駆動部14が駆動コイルである場合、駆動信号Dは、駆動コイルに流す駆動電流である。
駆動信号生成部13のPID制御回路31は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて操作量信号Mを算出する。また、制御係数設定部25で新たに決定された制御係数Cに基づいた入出力フィルタ特性で制御を行う。
駆動信号生成部13のドライバ32は、操作量信号Mに基づいて駆動信号Dを駆動部14へ出力する。例えば、入力された操作量信号Mに基づいて、駆動コイルに駆動電流又は駆動電圧を外部出力する。
【0098】
以上のように、レンズ2を等速又は等加速度で移動させるようにフィードバックループで制御し、その際の駆動信号Dに対応する信号を検出する。検出した駆動信号Dに対応する信号は、レンズ2の動きやすさに関する情報に関連するため、その情報に基づいてPID制御回路31の制御係数C、つまり、PID制御回路31のフィルタ特性が決定される。この調整によって、レンズ2の動きやすさに応じた制御を行うことが可能となる。また、IC内部でPIDパラメータを算出することもできる。
【0099】
本実施形態3は、レンズ2の動きやすさに関連する駆動信号Dに対応する信号に基づいて、制御係数Cを調整可能に構成されている。その際、調整前の制御係数Cを参照して、調整しても問題ない。また、第1のレンズ位置から第2のレンズ位置まで等速又は等加速度で移動させて、制御係数Cを調整できるため、簡易かつ短時間で調整が可能となる。また、端点位置からもう一方の端点位置まで等速又は等加速度で移動させて、位置センサ信号Sや目標位置信号Hのゲイン・オフセットなどの端点補正と同時に、制御係数Cを調整する調整方法であってもよい。
【0100】
また、本実施形態3は、等速・等加速度運動を実施したが、システムパラメータを簡単に取得できる運動であれば、本手法が使えることは言うまでもない。
また、本実施形態3の制御システムとしてPIDを実施したが、微分回路を含む、他システムであっても同様のことができることは言うまでもない。
また、今回、調整時の制御構成に対し、レンズを所望通りに(本実施例であれば等速または等加速)動かすのであればレンズ位置制御とは異なる制御、(例えばPI制御、I制御など)または制御パラメータでも問題ない。
【0101】
また、今回は位置センサ信号を微分したが、位置センサ信号をそのまま駆動信号生成部に入力し、目標信号側を等速、等加速状に動くように指示する目標速度信号や目標加速度信号としてもよい。
例えば、目標速度信号及び目標加速度信号を固定値とするのではなく、等速の場合、目標速度信号を時間に対して一次関数状の波形となる信号とし、等加速度の場合、目標加速度信号を時間に対して二次関数状の波形となる信号とする。つまり、等速又は等加速度で移動するような目標位置信号と、位置センサ信号とに基づいてフィードバック制御を行う。それにより、運動デバイスを等速又は等加速度で移動させることができる。
【0102】
<実施形態4>
図17は、本発明に係る運動デバイス制御回路の実施形態4を説明するための回路構成図である。本実施形態4では、本実施形態2及び3を組み合わせた形態である。これにより、外部から調整開始信号が入力されると、自動的に、新たなPIDパラメータの設定まで行うことができる。運動デバイス制御回路の動作については、本実施形態2及び3と同様である。
【0103】
運動デバイス制御装置400は、運動デバイス1の位置を検出して位置センサ信号Sを出力する位置センサ11と、運動デバイス制御回路401と、駆動信号Dにより、運動デバイス1を移動させる駆動部14とを備えている。
本実施形態4の運動デバイス制御回路401は、目標信号生成回路16と、目標信号生成回路16に接続された駆動信号生成部13と、駆動信号生成部13に接続された第4の調整部412とを備えている。
【0104】
目標信号生成回路16は、運動デバイス1の目標位置を示す目標位置信号Hを生成する。また、駆動信号生成部13は、運動デバイス1の位置を検出した位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて、運動デバイス1を移動させる駆動部14へ駆動信号Dを出力する。また、第4の調整部412は、駆動信号Dに対応する信号に基づいて、駆動信号生成部13の入出力のフィルタ特性を調整する。
【0105】
また、駆動信号生成部13は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて操作量信号Mを出力するPID制御回路31と、このPID制御回路31の出力に基づいて駆動信号Dを出力するドライバ32と、を有し、第4の調整部412は、操作量信号Mに基づいて、駆動信号生成部13の入出力のフィルタ特性に係る制御係数Cを調整する。つまり、実施形態1における駆動信号制御回路31は、PID制御回路で、第4の調整部412は、PID制御回路31のPIDパラメータを調整する。
駆動信号生成部13は、PID制御回路31とドライバ32とを有する。このフィードバック構成(クローズドループ)によって、レンズ2を目標位置へ移動させることができる。
【0106】
<運動デバイス制御回路の調整方法>
本実施形態1の運動デバイス制御回路の調整方法(制御方法)は、運動デバイス1の位置を検出した位置センサ信号Sを微分するステップと、運動デバイス1が等速又は等加速度に移動する目標速度信号H’または、目標加速度信号H’’を生成するステップと、微分した微分位置センサ信号B及び目標速度信号H’または、目標加速度信号H’’に基づいて、運動デバイス1を移動させる駆動信号Dを駆動信号制御回路31で生成するステップと、駆動信号Dに基づいて運動デバイス1を移動させるステップと、駆動信号Dに基づいて駆動信号制御回路31のフィルタ特性を書き換えるステップとを有する。
【0107】
運動デバイス1の位置を検出した位置センサ信号Sを微分するステップでは、1回微分であっても、2階微分であってもよい。つまり、レンズ2の移動速度又は移動加速度を求めるステップである。
運動デバイス1が等速又は等加速度に移動する目標速度信号H’または、目標加速度信号H’’を生成するステップは、例えば、目標信号として一定値(固定値)を生成する。
【0108】
微分した微分位置センサ信号B及び目標速度信号H’または、目標加速度信号H’’に基づいて、運動デバイス1を移動させる駆動信号Dを駆動信号制御回路31で生成するステップでは、例えば、レンズ2の速度信号と一定値である目標位置信号Hに基づいて、PID制御回路31で操作量信号Mを生成し、操作量信号Mに基づいて駆動信号Dを生成する。
【0109】
駆動信号Dに基づいて運動デバイス1を移動させるステップは、例えば、駆動電流に応じて駆動コイルに駆動電流が流れ、磁石3が取り付けられたレンズ2を移動させる。
駆動信号Dに基づいて駆動信号制御回路31のフィルタ特性を書き換えるステップは、駆動信号Dに対応する操作量信号Mを検出し、検出した操作量信号情報MIに応じて、PID制御回路31のPIDパラメータを決定する。そして、決定したPIDパラメータをIC内に記憶する。その際、基準となるPIDパラメータを参照してもよい。
【0110】
以上のように、レンズ2を等速又は等加速度で移動させるようにフィードバックループで制御し、その際の駆動信号Dに対応する信号を検出する。検出した駆動信号Dに対応する信号は、レンズ2の動きやすさに関する情報に関連するため、その情報に基づいて駆動信号制御回路31の制御係数、つまり、駆動信号制御回路31のフィルタ特性が決定される。この調整によって、レンズ2の動きやすさに応じた制御を行うことが可能となる。
【0111】
また、目標速度信号H’または、目標加速度信号H’’が、運動デバイス1を等速又は等加速度に第1の方向に移動する第1の目標信号と運動デバイス1を等速又は等加速度に第1の方向とは逆の第2の方向に移動する第2の目標信号とを有する調整方法であってもよい。これは、上述した
図6に対応する調整方法(実施形態1の第2の調整方法)に関する。
【0112】
図18は、本発明に係る運動デバイス制御回路の実施形態1に対応する制御方法(その1)を説明するためのフローチャートを示す図である。
まず、運動デバイス1の目標信号位置を示す目標速度位置信号Hを目標信号生成回路16により生成する(ステップS1)。
次に、運動デバイス1の位置を検出した位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて、運動デバイス1を移動させる駆動部14へ駆動信号Dを駆動信号生成部13により出力する(ステップS2)。
ここでステップS2は、駆動信号Dに対応する信号に基づいて調整された入出力のフィルタ特性で、駆動信号生成部13が駆動信号Dを出力する(ステップS3)。入出力フィルタの調整は、第1の調整部112の情報により調整される。
【0113】
また、駆動信号Dを出力するステップS2は、位置センサ信号S及び目標位置信号Hに基づいて操作量信号Mを駆動信号制御回路31により出力するステップと、駆動信号制御回路31の出力に基づいて駆動信号Dをドライバ32により出力するステップと、を有する。
また、ステップS2は、操作量信号Mに基づいて調整された入出力のフィルタ特性に係る制御係数Cで、駆動信号制御回路31が操作量信号Dを出力する。
【0114】
制御係数Cは、運動デバイスが等速又は等加速度で移動させた際の操作量信号に基づいて、調整された制御係数である。
また、駆動信号制御回路31は、PID制御回路でもよく、PID制御回路31のPIDパラメータが調整される。(実施形態2乃至4,;
図9,
図13,
図17に対応)
また、運動デバイス1の位置を位置センサで検出し、位置センサ信号Sを位置センサが出力するステップを有する。
【0115】
図19は、本発明に係る運動デバイス制御回路の実施形態1に対応する調整方法(その2)を説明するためのフローチャートを示す図である。
まず、運動デバイス1の位置を検出した位置センサ信号Sを微分して微分位置センサ信号Bを生成する(ステップS11)。その際、運動デバイスを等速で動かすため速度信号を用いる場合は一回微分、運動デバイスを等加速度で動かすため加速度信号を用いる場合は2回微分を実施する。またその微分は不完全微分でもよい。
【0116】
次に、運動デバイス1が等速又は等加速度に移動する目標信号として、目標速度信号H’または 目標加速度信号H’’を生成する(ステップS12)。例えば、目標速度信号及び目標加速度信号を、一定値とすることで、運動デバイスが等速又は等加速度で移動するように制御を行うことができる。
次に、微分位置センサ信号B及び目標速度信号H’または 目標加速度信号H’’に基づいて、運動デバイス1を移動させる駆動信号Dを駆動信号制御回路31で生成する(ステップS13)。
【0117】
次に、駆動信号Dに基づいて運動デバイス1を移動させる(ステップS14)。
次に、駆動信号D及び、それに準じる信号に基づいて駆動信号制御回路31のフィルタ特性を書き換える(ステップS15)。駆動信号自体に基づいて、フィルタ特性を書き換えてもよく、また、駆動信号を生成するための制御回路の出力である操作量信号に基づいてフィルタ特性を書き換えてもよく、その他の方法であってもよい。
また、目標速度信号H’または 目標加速度信号H’’は、運動デバイス1を等速又は等加速度に第1の方向に移動する第1の目標信号と運動デバイス1を等速又は等加速度に第1の方向とは逆の第2の方向に移動する第2の目標信号とを有してもよい。
【0118】
以上の通り、運動デバイスを等速又は等加速度で移動させた時の、駆動する信号に関連する信号を検出し、検出した信号にも続いて、クローズドループを構成するフィードバック制御回路の制御係数を決定する。それにより、運動デバイス制御ICにおいて、レンズの動き易さに合わせた制御パラメータを設定することが可能となる。
目標信号を一定値とすることで、位置センサの微分信号が一定値、つまり、等速又は等加速移動するように、フィードバックをかけることとなる。これにより、簡単に調整を行うことができる。
【0119】
また、今回は位置センサ信号を微分したが、位置センサ信号をそのまま駆動信号生成部に入力し、目標信号側を等速、等加速状に動くように指示する目標速度信号や目標加速度信号としてもよい。
例えば、目標速度信号及び目標加速度信号を固定値とするのではなく、等速の場合、目標速度信号を時間に対して一次関数状の波形となる信号とし、等加速度の場合、目標加速度信号を時間に対して二次関数状の波形となる信号とする。つまり、等速又は等加速度で移動するような目標位置信号と、位置センサ信号とに基づいてフィードバック制御を行う。それにより、運動デバイスを等速又は等加速度で移動させることができる。
【0120】
つまり、運動デバイスが等速に又は等加速度に移動する指令信号である目標信号を生成するステップと、運動デバイスの位置を検出した位置センサ信号及び目標信号に基づいて、運動デバイスを移動させる駆動信号を駆動信号制御回路で生成するステップと、駆動信号に基づいて前記運動デバイスを移動させるステップと、駆動信号に基づいて駆動信号制御回路のフィルタ特性を書き換えるステップと、を有する運動デバイス制御回路の調整方法である。
【0121】
目標信号は、時間に対して目標位置が一次関数状の波形となる目標速度信号、又は、時間に対して目標位置が二次関数状の波形となる目標加速度信号、である。
本実施形態は、運動デバイスとしてレンズ、駆動部としてコイル、位置センサとしてホール素子、運動デバイス制御回路として運動デバイス制御ICとが組み込まれたカメラモジュールにおいて、レンズを等速又は等加速度で運動させ、制御ICの制御係数を書き換える調整に好適である。
【0122】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の技術的範囲には限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることも可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。