(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、前記バルーンが駆動されていない状態でのみ表示され、前記情報の入力を仲介するグラフィカルユーザーインターフェースを、前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載のIABP駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のIABP駆動装置の表示部では、バルーンの内圧波形は複数並んだ波形のうちの端(特に、縦に並んだ複数の波形の一番下)に表示されるものが一般的であるため、血圧信号及び心電図信号のいずれか一方の信号のみが入力されている状態で駆動を行うと、入力されていない方の信号の表示領域が、入力されている信号の波形とバルーンの内圧波形との間に配置された表示状態となるケースが生じる。このような表示状態では、入力されている信号の波形が、バルーンの内圧波形に対して離れて表示されるため、バルーンの駆動タイミングの適否を、表示部の表示内容から判別し難いという問題が発生する。また、バルーンの駆動タイミングが適切でないと判別された場合に、マニュアル操作でタイミングを調整することが困難であるという問題も発生する。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、血圧信号及び心電図信号のうちいずれか一方のみがIABP駆動装置に入力されている状態でも、バルーンの駆動タイミングの適否を、表示部の波形表示から好適に判別可能で、駆動タイミングが適切でない場合にはマニュアル操作によるタイミング調整がし易いIABP駆動装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るIABP駆動装置は、
バルーンが接続されたバルーンカテーテルを取り付け、前記バルーンを膨張及び収縮させるIABP駆動装置であって、
前記バルーンの内圧を示す内圧波形と、患者の血圧を示す血圧波形と、患者の心臓の電気的な活動を示す心電図波形と、を並べて表示できる表示部と、
前記表示部の表示状態を制御する表示制御部と、を有し、
前記表示制御部は、前記血圧波形が前記心電図波形に比べて前記内圧波形の近くに表示される第1の状態と、前記心電図波形が前記血圧波形に比べて前記内圧波形の近くに表示される第2の状態とで、前記表示部の前記表示状態を切り換えることができる。
【0008】
本発明に係るIABP駆動装置は、入力が継続される側の信号の波形が、バルーンの内圧波形の近くに配置される表示状態に設定しておくことにより、血圧信号及び心電図信号のうちいずれか一方のみがIABP駆動装置に入力されている状態でも、バルーンの駆動タイミングの適否を表示部の波形表示から好適に判別でき、マニュアル操作によるタイミング調整も容易になる。
【0009】
また、例えば、本発明に係るIABP駆動装置は、操作者が前記第1の状態と前記第2の状態とを切り換えるための情報を入力可能な入力部を有してもよく、
前記表示制御部は、前記バルーンが駆動されていない状態で前記入力部から入力された前記情報に応じて、前記第1の状態と前記第2の状態とを切り換えてもよい。
【0010】
このようなIABP駆動装置は、バルーンが駆動されていない状態で入力された情報に応じて表示状態を切り換えるため、バルーンの駆動中に誤って表示状態が切り換わる問題を防止できる。
【0011】
また、例えば、前記表示制御部は、前記バルーンが駆動されていない状態でのみ表示され、前記情報の入力を仲介するグラフィカルユーザーインターフェースを、前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
このようなIABP駆動装置は、簡単な操作で表示状態の切り換えが可能であるとともに、バルーンの駆動中に表示状態が切り換わり混乱が生じる問題を確実に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るIABP駆動装置を、図面に示す実施形態に基づき、詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るIABP駆動装置10の概略構成図である。IABP駆動装置10は、バルーン82が接続されたIABP用バルーンカテーテル80を取り付けて、バルーン82を膨張及び収縮させるために用いられる駆動装置である。バルーンカテーテル80は、IABP駆動装置10のカテーテル接続部24に取り付けて使用される。バルーンカテーテル80の先端に接続されたバルーン82は、下行大動脈内に留置されて使用される。IABP駆動装置10は、心臓の拍動に合わせてバルーン82を膨張及び収縮させることにより、心臓の血液循環機能を補助することができる。
【0016】
図2は、IABP駆動装置10の外観図である。
図1及び
図2に示すように、IABP駆動装置10は、本体筐体部22及びモニタ設置部30を有する装置本体20と、パイロットランプ55、衝撃吸収部57等を有するモニタ部50とを有する。本体筐体部22の内部には、バルーン82を膨張・収縮するための圧力発生手段26が収納されている。圧力発生手段26は、バルーン82を膨張させるヘリウム等のガスを貯蔵するガスタンクや、所定の圧力に保たれる圧力室や、圧力を伝達する圧力伝達隔壁装置(アイソレータ)や、圧力室を接続する配管及び電磁弁等を有している。圧力発生手段26については、任意の公知技術を採用すればよく、その詳細な説明については省略する。
【0017】
本体筐体部22の底部には、キャスター28が備えられており、必要に応じてIABP駆動装置10を迅速に移動させることが可能である。また、装置本体20には、圧力発生手段26やモニタ部50等に電力を供給するためのバッテリ27が備えられている(
図1参照)。IABP駆動装置10は、バッテリ27の電力を用いることにより、患者を手術室からICUや病室に搬送する間など、交流電源からの電力の供給を受けることが難しい状況でも、バルーン82の駆動を継続することが可能である。
【0018】
モニタ部50を設置するモニタ設置部30は、本体筐体部22の上方に設けられている。モニタ設置部30は可動部を有しており、IABP駆動装置10の使用者は、本体筐体部22を動かすことなく、モニタ部50の向きを変更することが可能である。
【0019】
モニタ部50は、モニタ設置部30に対して着脱自在に取り付けられている。IABP駆動装置10の使用者は、必要に応じて、装置本体20とは離れた場所にモニタ部50を設置して、そこから装置本体20を操作することが可能である。モニタ部50は略矩形平板状の形状を有している。モニタ部50は、中央上部に設けられるパイロットランプ55と、正面上部に設けられる表示部54と、正面下部に設けられる操作入力部56と、筐体を周方向に取り囲むように帯状に設けられる衝撃吸収部57とを有する。また、モニタ部50は、不図示のケーブルによって本体筐体部22と接続されており、装置本体20と通信可能である。
【0020】
図3は、モニタ部50を正面側から視た平面図である。表示部54は、IABP駆動装置10に関する情報を表示する。表示部54は、装置の設定を行うためのグラフィカルユーザーインターフェースや装置の設定状態を表示する装置情報表示領域54aと、波形を表示する波形表示領域54bとを有する。表示部54は、液晶表示パネル等で構成される。装置情報表示領域54aに表示されるグラフィカルユーザーインターフェースの表示状態及び波形表示領域54bに表示される波形の表示状態については、後ほど詳しく説明する。
【0021】
操作入力部56は、複数のボタン、選択キー等によって構成されており、IABP駆動装置10の操作者は、操作入力部56を介して操作信号を入力し、IABP駆動装置10の駆動開始及び停止、駆動条件の変更、表示部54の表示状態の変更等を行うことができる。また、操作入力部56が配置されている部分は、表示部54が配置されている部分に対して、正面に起き上がる方向に屈曲しており、15度〜20度傾斜している(
図2参照)。このようなモニタ部50は、表示部54を鉛直に近い状態に立てた状態で、操作入力部56のボタン操作を正確に行うことができるため、視認性と操作性を両立できる。
【0022】
パイロットランプ55は、透明又は半透明のカバー及びカバーの内部に配置された複数のLED等によって構成される。パイロットランプ55は、バルーン82の駆動状態に応じて点灯状態が変化する。パイロットランプ55の点灯状態は、モニタ部50の内部に備えられる制御部52によって制御される。衝撃吸収部57は、万が一落下した時などに生じる衝撃から、表示部54及びパイロットランプ55を保護する。衝撃吸収部57の材質は特に限定されないが、ゴム又はエラストマのような弾性を有する材料によって構成される。
【0023】
図4は、モニタ部50の内部構成を表すブロック図である。モニタ部50は、
図2及び
図3に示す表示部54、パイロットランプ55、操作入力部56の他に、信号入力部51、制御部52、外部メモリ取付部58、記憶部60等を有する。制御部52と記憶部60は、モニタ部50の筐体内部に収納されている。
【0024】
信号入力部51は、バルーン82の内圧を示す内圧信号と、患者の血圧(動脈圧)を示す血圧信号と、患者の心臓の電気的な活動を示す心電図信号とを取得し、制御部52に伝える。バルーン82の内圧は、
図1に示す装置本体20の圧力発生手段26で発生した圧力を、カテーテル接続部24を経て、バルーン82の内部に伝達する圧力導通路のカテーテル接続部24近傍等に備えられる圧力センサを用いて測定され、内圧を示す内圧信号として信号入力部51に入力される。
【0025】
患者の血圧は、バルーンカテーテル80又は動脈に接続された他のカテーテルに対して取り付けられた圧力トランスデューサ等を用いて測定され、圧力トランスデューサ等を備える血圧計測器の出力が、血圧を示す血圧信号として信号入力部51に入力される。血圧信号は、圧力トランスデューサ等を備える血圧計測器の出力信号がIABP駆動装置10に入力されることにより、血圧計測器から直接取得されてもよい。また、血圧信号は、血圧計測器の出力信号がポリグラフに入力された後、ポリグラフからの出力信号をIABP駆動装置10が取得することにより、間接的に取得されてもよい。
【0026】
患者の心臓の電気的な活動は、患者に取り付ける端子を備える心電計によって測定され、心電計の出力が、心臓の電気的な活動を示す心電図信号として、信号入力部51に入力される。心電図信号は、血圧信号と同様に、心電計等の計測器からIABP駆動装置10へ直接入力されてもよく、ポリグラフやベッドサイドモニタ等を介して間接的に取得されてもよい。
【0027】
なお、信号入力部51に入力される信号は、制御部52で処理可能なデジタル信号であってもよく、A/D変換されていないアナログ信号であっても良い。信号がアナログ信号である場合、信号入力部51は、制御部52で処理可能なデジタル信号に変換したのち、各信号を制御部52に伝える。
【0028】
制御部52は、IABP駆動装置10の制御を行う。制御部52は、バルーンカテーテル80のバルーン82の駆動を制御する駆動制御部52aと、表示部54の表示内容を制御する表示制御部52cとを有する。駆動制御部52a及び表示制御部52cの区別は演算内容に基づくものであり、制御部52は1つのマイクロプロセッサによって構成されていても良く、駆動制御部52aと表示制御部52cとが異なる集積回路で構成されていても良い。
【0029】
駆動制御部52aは、信号入力部51から伝えられた信号を用いて演算処理を実施し、装置本体20の圧力発生手段26を制御することにより、バルーン82の駆動を行う。この際、駆動制御部52aは、圧力発生手段26等の駆動に必要な駆動制御情報68を、記憶部60から読み出すことができる。記憶部60に記憶される駆動制御情報68には、バルーン82の膨張・収縮を開始するタイミングを決定するための条件や、タイミングの算出に用いるパラメータなどが含まれる。
【0030】
駆動制御部52aは、通常、内圧信号、血圧信号及び心電図信号の3つの信号を信号入力部51から受け取りながら、バルーン82の駆動を行う。しかし、駆動制御部52aは、血圧信号及び心電図信号のいずれか一方のみしかIABP駆動装置10に入力されない状態であっても、内圧信号と血圧信号、又は内圧信号と心電図信号の2つの信号を信号入力部51から受け取りながら、バルーン82の駆動を行うことが可能である。この場合、駆動制御部52aは、血圧信号及び心電図信号のうち、継続的にIABP駆動装置10に入力され続けている方の信号に基づいて、バルーン82の膨張・収縮を開始するタイミングを算出し、バルーン82の駆動を行う。
【0031】
図4に示す表示制御部52cは、表示部54による表示内容を制御する。表示制御部52cは、信号入力部51から伝えられた、内圧信号、血圧信号及び心電図信号を用いて、バルーン82の内圧の経時変化を示す内圧波形、患者の血圧の経時変化を示す血圧波形、及び患者の心臓の電気的な活動の経時変化を示す心電図波形を、表示部54に並べて表示させる。また、表示制御部52cは、IABP駆動装置10の初期設定等が行なわれる際、操作者による情報の入力を仲介するグラフィカルユーザーインターフェースを、表示部54に表示させる。
【0032】
さらに、表示制御部52cは、表示部54に表示される波形等の表示状態を制御することができる。表示制御部52cは、表示部54による表示内容を制御する際、記憶部60に記憶される表示情報66や、表示制御情報67を用いることができる。表示情報66には、表示部54に表示させるコメント等の文字情報が含まれ、表示制御情報67には、波形の表示状態を第1の表示状態92とするか、第2の表示状態94とするかを定めた情報が含まれる。例えば、操作入力部56から入力された情報は、一度表示制御情報67として記憶部60に記憶され、記憶された表示制御情報67を、必要なタイミングで表示制御部52cが読み出すことにより、入力された情報に基づく表示状態の制御が行われる。
【0033】
操作者は、表示部54に表示される波形を見て、トリガー(バルーン82の膨張・収縮を開始するタイミングを算出するための基準とする、血圧信号又は心電図信号における特定の波形)に対する、バルーン82の膨張・収縮のタイミングが良好でないと判断した場合には、操作入力部56の操作により、駆動制御部52aにタイミングを算出させる駆動(オート駆動)から、マニュアル駆動に切り替えて、表示部54に表示される波形を見ながら、タイミングを調節することができる。
【0034】
記憶部60は、上述したように、表示情報66、表示制御情報67及び駆動制御情報68など、制御部52が用いる情報を記憶する。記憶部60は、ハードディスクやフラッシュメモリのような不揮発性のメモリによって構成されるが、情報を記憶及び更新可能なものであれば、特に限定されない。また、モニタ部50は、外部メモリ取付部58を有しており、USBメモリのような着脱可能な記憶媒体を取り付けることができる。制御部52は、外部メモリ取付部58に取り付けられた記憶媒体に対して、記憶部60に記憶された情報をコピーすることができる。また、モニタ部50は、プリンタ84と通信することが可能であり、IABP駆動装置10の使用者は、必要に応じて、波形データ等を印刷することができる。
【0035】
以下、
図4〜
図6等を用いて、表示制御部52c及び表示部54等による波形データの表示動作の一例を説明する。
【0036】
図5(a)は、第1の表示状態92における表示部54の表示内容の一例を表しており、
図5(b)は、第2の表示状態94における表示部54の表示内容の一例を表している。表示部54が第1の表示状態92であって、バルーン82が駆動されている状態である場合、
図5(a)に示すように、表示部54には、血圧波形54bbが、心電図波形54bcに比べて内圧波形54baの近くに表示される。すなわち、第1の表示状態92である場合、表示部54の波形表示領域54bには、上から心電図波形54bc、血圧波形54bb、内圧波形54baの順に、3つの波形が並んで表示される。
【0037】
一方、表示部54が第2の表示状態94であって、バルーン82が駆動されている状態である場合、
図5(b)に示すように、表示部54には、心電図波形54bcが、血圧波形54bbに比べて内圧波形54baの近くに表示される。より具体的には、第2の表示状態94である場合、表示部54の波形表示領域54bには、上から血圧波形54bb、心電図波形54bc、内圧波形54baの順に、3つの波形が並んで表示される。なお、バルーン82が駆動中であれば、表示部54が第1の表示状態92であるか、第2の表示状態94の場合であるかにかかわらず、表示部54の装置情報表示領域54aには、バルーン82の駆動条件や、駆動時間などの文字情報が表示される。
【0038】
図5(a)に示す第1の表示状態92において、バルーン82の駆動中に心電図信号が入力されなくなると、波形表示領域54bには、心電図波形54bcが表示されなくなる。しかし、先に述べたように、駆動制御部52aは、引き続きIABP駆動装置10に入力されている血圧信号及び内圧信号を用いて、バルーン82の駆動を継続できる。この場合、表示部54の波形表示領域54bには、内圧波形54baと血圧波形54bbが表示され続けており、しかも血圧波形54bbが内圧波形54baに隣接しているため、バルーン82の駆動タイミングの適否を、表示部54の表示内容から好適に判別できる。
【0039】
一方、
図5(b)に示す第2の表示状態94において、バルーン82の駆動中に血圧信号が入力されなくなると、波形表示領域54bには、血圧波形54bbが表示されなくなる。しかし、駆動制御部52aは、引き続きIABP駆動装置10に入力されている心電図信号及び内圧信号を用いて、バルーン82の駆動を継続できる。この場合、表示部54の波形表示領域54bには、内圧波形54baと心電図波形54bcが表示され続けており、しかも心電図波形54bcが内圧波形54baに隣接しているため、バルーン82の駆動タイミングの適否を、表示部54の表示内容から好適に判別できる。
【0040】
このように、IABP駆動装置10では、血圧信号と心電図信号のうちどちらがバルーン82の駆動中に入力されなくなるかを、バルーン82の駆動開始前に考慮して、表示部54を第1の表示状態92とするか、第2の表示状態94とするかが選択されることが好ましい。これにより、IABP駆動装置10は、血圧信号と心電図信号のうち一方しか入力されていない状態となっても、バルーン82の駆動タイミングの適否を、表示部54の表示内容から好適に判別できる。なお、バルーン82の駆動中に、血圧信号と心電図信号のうちどちらがIABP駆動装置10に入力されなくなるかは、バルーン82の駆動開始前に、手術手順等で決められているのが通常である。
【0041】
表示部54を第1の表示状態92とするか、第2の表示状態94とするかは、
図3に示す表示制御部52cによって制御される。表示制御部52cは、バルーン82が駆動されていない状態で操作入力部56から入力され記憶部60に記憶されている表示制御情報67を読み出し、表示部54の表示状態を決定する。
図6は、操作者が第1の表示状態92と第2の表示状態94とを切り換えるための情報を、操作入力部56から入力する際に、表示制御情報67が表示部54に表示させる表示内容を表している。
【0042】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、バルーン82が駆動されていない状態で行われるIABP駆動装置10の初期設定において、表示制御部52cは、表示部54の装置情報表示領域54aに、操作者による入力を仲介するグラフィカルユーザーインターフェースを表示させる。なお、IABP駆動装置10の初期設定は、IABP駆動装置10の主電源がONになったときや、バルーン82が駆動されていない状態でのメインスイッチの長押しなど、所定の操作が行われたときに開始される。
【0043】
初期設定の際、表示部54に表示されるグラフィカルユーザーインターフェースには、第1の表示状態92と第2の表示状態94とを切り換えるための情報入力を仲介するグラフィカルユーザーインターフェース54aaの他に、音声のON/OFFや、駆動状態を切り換えるためのものが含まれる。表示部54の表示状態を、第1の表示状態92と第2の表示状態94との間で切り換える場合、操作者は
図3に示す操作入力部56の方向キーを操作し、グラフィカルユーザーインターフェース54aaを選択した上で、操作入力部56の決定キーを押す。
【0044】
このような情報入力操作が行われた場合、
図3に示す表示制御部52cは、
図6(a)のように「心電図」の文字を「血圧」の文字の上に表示した状態と、
図6(b)のように「血圧」の文字を「心電図」の文字の上に表示した状態とで、グラフィカルユーザーインターフェース54aaの表示状態を切り換える。また、表示制御部52cは、グラフィカルユーザーインターフェース54aaの表示状態が、操作者の情報入力操作により
図6(a)のように切り換えられた場合は、表示部54を第1の表示状態92(
図5(a)参照)とするように、記憶部60の表示制御情報67を変更する。一方、表示制御部52cは、グラフィカルユーザーインターフェース54aaの表示状態が、操作者の情報入力操作により
図6(b)のように切り換えられた場合は、表示部54を第2の表示状態94(
図5(b)参照)とするように、記憶部60の表示制御情報67を変更する。
【0045】
このような初期設定により、表示制御部52cは、バルーン82が駆動されていない状態において操作入力部56から入力された情報に応じて、第1の状態と第2の状態とを切り換えることができる。なお、表示状態を切り換えるためのグラフィカルユーザーインターフェース54aaは、バルーン82が駆動されていない状態で行われる初期設定でのみ表示され、
図5に示すようなバルーン82の駆動中は、表示部54に表示されない。このようなIABP駆動装置10は、簡単な操作で表示部54における表示状態の切り換えが可能であるとともに、バルーン82の駆動中に表示状態が切り換わり混乱が生じる問題を確実に防止できる。
【0046】
なお、本発明に係るIABP駆動装置は、上述の実施形態に示すものに限定されず、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、様々な変更及び改良を施すことができる。例えば、
図5(a)及び
図5(b)に示す例では、内圧波形54baが血圧波形54bb及び心電図波形54bcより下に表示されているが、内圧波形54baの表示位置はこれに限定されない。また、第1の表示状態92と第2の表示状態94の切り換えは、初期設定で入力された情報に応じて行われる態様に限定されず、他のタイミングでの操作者による情報入力や、制御部52によって検出された信号の入力状態に応じて行われてもよい。
【0047】
また、表示制御部52cは、血圧波形54bbと心電図波形54bcのうちいずれか一方しか表示部54に表示しない場合は、表示する一方の波形を、血圧波形54bbと心電図波形54bcの双方を表示する場合よりも大きく表示してもよい。このような表示制御部52cは、血圧波形54bbと心電図波形54bcのうちいずれか一方しか表示されない状態において、他方の波形が表示されていた表示領域を用いて、一方の波形を振幅方向に大きく表示し、波形の視認性を向上させることができる。
【0048】
また、上述の実施形態では、血圧信号と心電図信号のうちどちらか一方がバルーン82の駆動中に入力されなくなる状態を想定して、第1の表示状態92と第2の表示状態94を選択している。しかし、第1の表示状態92及び第2の表示状態94を選択する理由は、これに限定されるものではなく、トリガーの対象となる波形に応じて選択されてもよく、操作者の好みに応じて選択されてもよい。