(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板を第一回転数で回転させ、ノズルの吐出口の周囲に形成された接液面を前記基板の表面に対向させた状態で、前記吐出口から前記基板の表面に現像液を供給し、前記現像液に前記接液面を接触させながら前記ノズルを移動させることで、前記基板の表面上に前記現像液の液膜を形成することと、
前記基板の表面上に前記液膜が形成された後に、前記吐出口からの前記現像液の供給が停止した状態で、前記基板の回転数を前記第一回転数に比べ低い第二回転数とすることと、
前記第二回転数で前記基板を回転させた後に、前記第一回転数に比べ高い第三回転数で前記基板を回転させることと、
前記第三回転数で前記基板を回転させた後に、前記基板の回転数を前記第二回転数以下とすることで、前記基板の表面上に前記液膜を保持することと、を含む基板処理方法。
前記現像液に前記接液面を接触させながら前記ノズルを移動させることで、前記基板の表面上に前記液膜を形成する際に、前記基板の外周側から回転中心側に前記ノズルを移動させる、請求項1記載の基板処理方法。
前記基板の表面上に前記液膜を形成した後、前記第二回転数での前記基板の回転が完了する前に、前記接液面を前記基板の表面から離間させることを更に含む、請求項2記載の基板処理方法。
前記現像液に前記接液面を接触させながら前記ノズルを移動させることで、前記基板の表面上に前記液膜を形成する際に、前記ノズルの移動速度を途中で変更する、請求項2〜5のいずれか一項記載の基板処理方法。
前記現像液に前記接液面を接触させながら前記ノズルを移動させることで、前記基板の表面上に前記液膜を形成する際に、前記吐出口が前記基板の回転中心に近付くのに応じて前記ノズルの移動速度を低下させる、請求項6記載の基板処理方法。
前記現像液に前記接液面を接触させながら前記ノズルを移動させることで、前記基板の表面上に前記液膜を形成する際に、前記吐出口からの前記現像液の吐出量を途中で変更する、請求項2〜7のいずれか一項記載の基板処理方法。
前記現像液に前記接液面を接触させながら前記ノズルを移動させることで、前記基板の表面上に前記液膜を形成する際に、前記吐出口が前記基板の回転中心に近付くのに応じて前記吐出口からの前記現像液の吐出量を増やす、請求項8記載の基板処理方法。
前記現像液に前記接液面を接触させながら前記ノズルを移動させることで、前記基板の表面上に前記液膜を形成する際に、前記吐出口が前記基板の回転中心からずれる位置を終点として前記ノズルを移動させる、請求項2〜9のいずれか一項記載の基板処理方法。
前記現像液に前記接液面を接触させながら前記ノズルを移動させることで、前記基板の表面上に前記液膜を形成する際に、前記吐出口が前記基板の回転中心からずれ、前記基板の回転中心が前記接液面を通る位置を終点として前記ノズルを移動させる、請求項10記載の基板処理方法。
前記現像液に前記接液面を接触させながら前記ノズルを移動させることで、前記基板の表面上に前記液膜を形成する際に、前記吐出口が前記基板の回転中心を通過するまで前記ノズルを移動させる、請求項10又は11記載の基板処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、現像の進行量が基板上の位置によってばらつくことをより確実に抑制できる方法、装置及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る基板処理方法は、基板を第一回転数で回転させ、ノズルの吐出口の周囲に形成された接液面を基板の表面に対向させた状態で、吐出口から基板の表面に現像液を供給し、現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に現像液の液膜を形成することと、基板の表面上に液膜が形成された後に、吐出口からの現像液の供給が停止した状態で、第一回転数に比べ低い第二回転数で基板を回転させることと、第二回転数で基板を回転させた後に、第一回転数に比べ高い第三回転数で基板を回転させることと、第三回転数で基板を回転させた後に、基板の回転数を第二回転数以下とすることで、基板の表面上に液膜を保持することと、を含む。
【0006】
この基板処理方法によれば、液膜の形成過程において、ノズルの吐出口から基板の表面に供給された現像液にノズルの接液面が接触する。接液面と基板の表面との相対運動により、これらの間においては現像液が撹拌される。このため、接液面と基板の表面との間における現像の進行速度の均一性が高まる。
【0007】
液膜の形成後においては、基板の回転数が第一回転数から第二回転数に下げられた後に、第一回転数に比べ高い第三回転数に上げられる。基板の回転数が第一回転数から第二回転数に下がることで、現像液は基板の回転中心側に寄り、基板の回転数が第二回転数から第三回転数に上がることで、現像液は基板の外周側に広がる。基板の外周側に広がる前に、一旦基板の回転中心側に寄ることで、基板の外周側に広がる際の現像液の運動エネルギーが増加するので、基板の回転中心側の現像液がより確実に基板の外周側に行き渡る。これにより、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性が高められる。このため、液膜の形成後においても現像の進行速度の均一性が高まる。
【0008】
このように、液膜の形成過程及び液膜の形成後の双方において、現像の進行速度の均一性が高まるので、現像の進行量が基板上の位置によってばらつくことをより確実に抑制できる。
【0009】
現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に液膜を形成する際に、基板の外周側から回転中心側にノズルを移動させてもよい。この場合、基板の回転中心側における現像液の供給が、基板の外周側における現像液の供給に比べて後に行われるので、液膜の形成直後には、基板の回転中心側に近付くにつれて現像液の鮮度が高い状態となる。このため、基板を第三回転数で回転させる際には、鮮度の低い外周側の現像液が鮮度の高い回転中心側の現像液により置換されることとなる。現像液の鮮度が高くなるのに応じて、現像液の濃度の均一性も高くなる傾向があるので、鮮度の低い現像液を鮮度の高い現像液により置換することで、液膜中における現像液の濃度の均一性が更に高まる。これにより、現像の進行速度の均一性を更に高めることができる。
【0010】
基板の表面上に液膜を形成した後、第二回転数での基板の回転が完了する前に、接液面を基板の表面から離間させることを更に含んでもよい。この場合、第二回転数での基板の回転が完了する前に、接液面と基板の表面との間を広げておくことで、液膜中の現像液をより確実に基板の回転中心側に寄せることができる。このため、基板を第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性を更に高めることができる。
【0011】
接液面を基板の表面から離間させることは、第一速度にて、接液面を基板の表面から第一距離まで離間させることと、接液面が基板の表面から第一距離まで離間した状態を保持した後に、第一速度に比べ低い第二速度にて接液面を更に離間させることとを含んでもよい。この場合、第一速度にて、接液面を基板の表面から第一距離まで離間させた後に、接液面と基板の表面との距離を保持することで、接液面と液膜との接触面が縮小される。その後、第一速度に比べ低い第二速度にて接液面を更に離間させることで、接液面が液膜から離れる際における現像液のちぎれが抑制される。これらのことから、接液面が液膜から離れる際に、接液面に現像液が残留し難くなるので、液膜から離れた接液面からの液だれの発生が抑制される。このため、基板を第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性を更に高めることができる。
【0012】
第一距離は、現像液の液膜と接液面との間に液柱が形成される距離であってもよい。この場合、接液面を基板の表面から第一距離まで離間させる過程において、現像液のちぎれが防止された状態で、接液面と液膜との接触面がより確実に縮小される。このため、接液面が液膜から離れる際に、接液面に現像液が残留することをより確実に防止できる。
【0013】
現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に液膜を形成する際に、ノズルの移動速度を途中で変更してもよい。この場合、ノズルの移動速度を変更することで、液膜の回転中心側における現像液の量をより確実に適正化できる。このため、基板を第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。なお、液膜における「現像液の量」とは、液膜の単位面積当たりの現像液の量を意味する。以下においても同様である。
【0014】
現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に液膜を形成する際に、吐出口が基板の回転中心に近付くのに応じてノズルの移動速度を低下させてもよい。この場合、液膜の形成直後には、液膜の外周側における現像液の量に比べ、液膜の回転中心側における現像液の量が多くなる。このため、基板を第三回転数で回転させる際に、基板の回転中心側の現像液がより確実に基板の外周側に行き渡るので、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0015】
現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に液膜を形成する際に、吐出口からの現像液の吐出量を途中で変更してもよい。この場合、吐出口からの現像液の吐出量を変更することで、液膜の回転中心側における現像液の量をより確実に適正化できる。このため、基板を第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0016】
現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に液膜を形成する際に、吐出口が基板の回転中心に近付くのに応じて吐出口からの現像液の吐出量を増やしてもよい。この場合、液膜の形成直後には、液膜の外周側における現像液の量に比べ、液膜の回転中心側における現像液の量が多くなる。このため、基板を第三回転数で回転させる際に、基板の回転中心側の現像液がより確実に基板の外周側に行き渡るので、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0017】
現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に液膜を形成する際に、吐出口が基板の回転中心からずれる位置を終点としてノズルを移動させてもよい。この場合、ノズルの移動を停止させる位置により、液膜の回転中心側における現像液の量を調節できる。例えば、吐出口が基板の回転中心に到達する前にノズルの移動を停止させることで、液膜の回転中心側における現像液の量を減らすことができる。一方、吐出口が基板の回転中心を通過するまでノズルを移動させることで、液膜の回転中心側における現像液の量を増やすことができる。このため、ノズルの移動を停止させる位置により、液膜の回転中心側における現像液の量をより確実に適正化できる。従って、基板を第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0018】
現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に液膜を形成する際に、吐出口が基板の回転中心からずれ、基板の回転中心が接液面を通る位置を終点としてノズルを移動させてもよい。この場合、吐出口が基板の回転中心からずれる位置にてノズルの移動を停止する場合であっても、ノズルの接液面が対向する範囲は基板の表面の全域に亘る。このため、現像液をより確実に基板の回転中心まで塗布することができる。従って、基板を第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0019】
現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に液膜を形成する際に、吐出口が基板の回転中心を通過するまでノズルを移動させてもよい。この場合、液膜の形成直後には、液膜の外周側における現像液の量に比べ、液膜の回転中心側における現像液の量が多くなる。このため、基板を第三回転数で回転させる際に、基板の回転中心側の現像液がより確実に基板の外周側に行き渡るので、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0020】
本開示に係る基板処理装置は、基板を保持して回転させる回転保持部と、現像液の吐出口と、吐出口の周囲に形成された接液面とを含むノズルと、ノズルを搬送するためのノズル搬送機構とを有し、基板の表面に現像液を供給する現像液供給部と、コントローラと、を備え、コントローラは、基板を第一回転数で回転させるように回転保持部を制御し、 接液面を基板の表面に対向させた状態で、吐出口から基板の表面に現像液を供給し、現像液に接液面を接触させながらノズルを移動させることで、基板の表面上に現像液の液膜を形成するように現像液供給部を制御することと、基板の表面上に液膜が形成された後に、吐出口からの現像液の供給が停止した状態で、第一回転数に比べ低い第二回転数で基板を回転させるように回転保持部を制御することと、第二回転数で基板を回転させた後に、第一回転数に比べ高い第三回転数で基板を回転させるように回転保持部を制御することと、第三回転数で基板を回転させた後に、基板の回転数を第二回転数以下とすることで、基板の表面上に液膜を保持するように回転保持部を制御することと、を実行するように構成されている。
【0021】
本開示に係る記録媒体は、上記基板処理方法を基板処理装置に実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、現像の進行量が基板上の位置によってばらつくことをより確実に抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
〔基板処理システム〕
基板処理システム1は、基板に対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象の基板は、例えば半導体のウェハWである。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。基板処理システム1は、塗布・現像装置2と露光装置3とを備える。露光装置3は、ウェハW(基板)上に形成されたレジスト膜(感光性被膜)の露光処理を行う。具体的には、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。塗布・現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、ウェハW(基板)の表面にレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。
【0026】
〔基板処理装置〕
以下、基板処理装置の一例として、塗布・現像装置2の構成を説明する。
図1〜
図3に示すように、塗布・現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、コントローラ100とを備える。
【0027】
キャリアブロック4は、塗布・現像装置2内へのウェハWの導入及び塗布・現像装置2内からのウェハWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ウェハW用の複数のキャリア11を支持可能であり、受け渡しアームA1を内蔵している。キャリア11は、例えば円形の複数枚のウェハWを収容する。受け渡しアームA1は、キャリア11からウェハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウェハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0028】
処理ブロック5は、複数の処理モジュール14,15,16,17を有する。
図2及び
図3に示すように、処理モジュール14,15,16,17は、複数の液処理ユニットU1と、複数の熱処理ユニットU2と、これらのユニットにウェハWを搬送する搬送アームA3とを内蔵している。処理モジュール17は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を経ずにウェハWを搬送する直接搬送アームA6を更に内蔵している。液処理ユニットU1は、処理液をウェハWの表面に塗布する。熱処理ユニットU2は、例えば熱板及び冷却板を内蔵しており、熱板によりウェハWを加熱し、加熱後のウェハWを冷却板により冷却して熱処理を行う。
【0029】
処理モジュール14は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりウェハWの表面上に下層膜を形成する。処理モジュール14の液処理ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をウェハW上に塗布する。処理モジュール14の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0030】
処理モジュール15は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。処理モジュール15の液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液を下層膜の上に塗布する。処理モジュール15の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0031】
処理モジュール16は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。処理モジュール16の液処理ユニットU1は、上層膜形成用の液体をレジスト膜の上に塗布する。処理モジュール16の熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0032】
処理モジュール17は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、露光後のレジスト膜の現像処理を行う。処理モジュール17の液処理ユニットU1は、露光済みのウェハWの表面上に現像液を塗布した後、これをリンス液により洗い流すことで、レジスト膜の現像処理を行う。処理モジュール17の熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0033】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウェハWを昇降させる。
【0034】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0035】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でウェハWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。受け渡しアームA8は、棚ユニットU11に配置されたウェハWを露光装置3に渡し、露光装置3からウェハWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0036】
コントローラ100は、例えば以下の手順で塗布・現像処理を実行するように塗布・現像装置2を制御する。まずコントローラ100は、キャリア11内のウェハWを棚ユニットU10に搬送するように受け渡しアームA1を制御し、このウェハWを処理モジュール14用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0037】
次にコントローラ100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール14内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWの表面上に下層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後コントローラ100は、下層膜が形成されたウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWを処理モジュール15用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0038】
次にコントローラ100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール15内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWの下層膜上にレジスト膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後コントローラ100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWを処理モジュール16用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0039】
次にコントローラ100は、棚ユニットU10のウェハWを処理モジュール16内の各ユニットに搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWのレジスト膜上に上層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後コントローラ100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWを処理モジュール17用のセルに配置するように昇降アームA7を制御する。
【0040】
次にコントローラ100は、棚ユニットU10のウェハWを棚ユニットU11に搬送するように直接搬送アームA6を制御し、このウェハWを露光装置3に送り出すように受け渡しアームA8を制御する。その後コントローラ100は、露光処理が施されたウェハWを露光装置3から受け入れて棚ユニットU11に戻すように受け渡しアームA8を制御する。
【0041】
次にコントローラ100は、棚ユニットU11のウェハWを処理モジュール17内の各ユニットに搬送するように搬送アームA3を制御し、このウェハWのレジスト膜に現像処理を施すように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後コントローラ100は、ウェハWを棚ユニットU10に戻すように搬送アームA3を制御し、このウェハWをキャリア11内に戻すように昇降アームA7及び受け渡しアームA1を制御する。以上で塗布・現像処理が完了する。
【0042】
なお、基板処理装置の具体的な構成は、以上に例示した塗布・現像装置2の構成に限られない。基板処理装置は、現像処理用の液処理ユニットU1(処理モジュール17の液処理ユニットU1)と、これを制御可能なコントローラ100とを備えていればどのようなものであってもよい。
【0043】
〔現像ユニット〕
続いて、処理モジュール17の液処理ユニットU1について詳細に説明する。処理モジュール17は、液処理ユニットU1として現像ユニット20を有する。
図4に示すように、現像ユニット20は、回転保持部30と、現像液供給部40とを有する。
【0044】
回転保持部30は、基板を保持して回転させる。例えば回転保持部30は、保持機構31と回転機構32とを有する。保持機構31は、水平に配置されたウェハWの中心部を支持し、当該ウェハWを例えば真空吸着等により保持する。回転機構32は、例えば電動モータ等を動力源として内蔵し、鉛直な回転中心RCまわりに保持機構31を回転させる。
これにより、回転中心RCまわりにウェハWが回転する。
【0045】
現像液供給部40は、ウェハWの表面Waに現像液を供給する。現像液は、露光後のレジスト膜の除去対象部分を除去するための処理液である。レジスト膜の除去対象部分は、露光処理後において現像液に対し可溶な部分である。現像液がポジ型である場合には、露光処理において露光された部分が現像液に対して可溶である。現像液がネガ型である場合には、露光処理において露光されなかった部分が現像液に対して可溶である。ポジ型の現像液の具体例としては、アルカリ溶液が挙げられる。ネガ型の現像液の具体例としては、有機溶剤が挙げられる。
【0046】
現像液供給部40は、例えばノズル41と、タンク44と、ポンプ46と、バルブ47と、ノズル搬送機構48とを有する。
【0047】
ノズル41は、ウェハWの表面Waに向かって現像液を吐出する。ノズル41は、
図5に示すように、現像液の吐出口42と、吐出口42の周囲に形成された接液面43とを含む。例えばノズル41は、円形の接液面43を有し、吐出口42は接液面43の中央部に開口している。接液面43の面積は、ウェハWの表面Waの面積に比べ小さい。接液面43の面積は、ウェハWの表面Waの面積に比べ例えば1〜11%であり、1〜3%であってもよい。
【0048】
図4に戻り、ノズル41は、管路45を介してタンク44に接続されている。タンク44は現像液を収容する。ポンプ46及びバルブ47は管路45に設けられている。ポンプ46は、例えばベローズポンプであり、タンク44からノズル41に現像液を圧送する。バルブ47は、例えばエアオペレーションバルブであり、管路45内の開度を調節する。バルブ47を制御することにより、ノズル41から現像液を吐出する状態と、ノズル41から現像液を吐出しない状態との切り替えが可能である。また、ポンプ46及びバルブ47の少なくとも一方を制御することにより、ノズル41からの現像液の吐出量を調節することも可能である。
【0049】
ノズル搬送機構48は、例えば電動モータ等を動力源としてノズル41を搬送する。具体的に、ノズル搬送機構48は、ノズル41の接液面43を下方に向けた状態で、ウェハWの上方を横切るようにノズル41を搬送する。
【0050】
ノズル搬送機構48は、ウェハWの回転中心RCを通る経路に沿ってノズル41を搬送してもよいし、回転中心RCに対してずれた経路に沿ってノズル41を搬送してもよい。ノズル搬送機構48は、直状の経路に沿ってノズル41を搬送してもよいし、曲がった経路に沿ってノズル41を搬送してもよい。
【0051】
ノズル搬送機構48は、上述のようにノズル41を搬送するのに加え、ノズル41を昇降させ得るように構成されていてもよい。換言すると、ノズル搬送機構48は、電動モータ等を動力源としてウェハWの上方を横切るようにノズル41を搬送する機構と、電動モータ等を動力源としてノズル41を昇降させるための機構とを有してもよい。
【0052】
リンス液供給部50は、ウェハWの表面Waにリンス液を供給する。リンス液は、現像液を洗い流すための処理液であり、例えば純水である。
【0053】
リンス液供給部50は、例えばノズル51と、タンク52と、ポンプ54と、バルブ55と、ノズル搬送機構56とを有する。
【0054】
ノズル51は、ウェハWの表面Waに向かってリンス液を吐出する。ノズル51は、管路53を介してタンク52に接続されている。タンク52はリンス液を収容する。ポンプ54及びバルブ55は管路53に設けられている。ポンプ54は、例えばベローズポンプであり、タンク52からノズル51にリンス液を圧送する。バルブ55は、例えばエアオペレーションバルブであり、管路53内の開度を調節する。バルブ55を制御することにより、ノズル51からリンス液を吐出する状態と、ノズル51からリンス液を吐出しない状態との切り替えが可能である。また、ポンプ54及びバルブ55の少なくとも一方を制御することにより、ノズル51からのリンス液の吐出量を調節することも可能である。
【0055】
ノズル搬送機構56は、例えば電動モータ等を動力源としてノズル51を搬送する。具体的に、ノズル搬送機構56は、ノズル51の吐出口を下方に向けた状態で、ウェハWの上方を横切るようにノズル51を搬送する。
【0056】
このように構成された現像ユニット20は、上述のコントローラ100により制御される。コントローラ100は、ウェハWを第一回転数で回転させるように回転保持部30を制御し、 接液面43を表面Waに対向させた状態で、吐出口42から表面Waに現像液を供給し、現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に現像液の液膜を形成することと、表面Wa上に液膜が形成された後に、吐出口42からの現像液の供給が停止した状態で、第一回転数に比べ低い第二回転数でウェハWを回転させるように回転保持部30を制御することと、第二回転数でウェハWを回転させた後に、第一回転数に比べ高い第三回転数でウェハWを回転させるように回転保持部30を制御することと、第三回転数でウェハWを回転させた後に、ウェハWの回転数を第二回転数以下とすることで、表面Wa上に液膜を保持するように回転保持部30を制御することと、を実行するように構成されている。
【0057】
例えばコントローラ100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、液膜形成制御部111と、液膜調整制御部112と、液膜保持制御部113と、洗浄制御部114と、乾燥制御部115とを有する。液膜形成制御部111は、表面Wa上に現像液の液膜を形成するように回転保持部30及び現像液供給部40を制御する。液膜調整制御部112は、ウェハWの回転数の変更により、表面Wa上に形成された液膜の状態を調整するように回転保持部30を制御する。液膜保持制御部113は、ウェハWの回転数を低下させることで、表面Wa上に液膜を保持するように回転保持部30を制御する。洗浄制御部114は、ウェハWを回転させながら表面Wa上にリンス液を供給することで、現像液を洗い流すように回転保持部30及びリンス液供給部50を制御する。乾燥制御部115は、ウェハWを回転させることで、表面Wa上の液体を振り切るように回転保持部30を制御する。
【0058】
このようなコントローラ100は、例えば一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。この場合、コントローラ100の各機能モジュールは、制御用コンピュータのプロセッサ及びメモリ等の協働により構成される。制御用コンピュータをコントローラ100として機能させるためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。この場合、記録媒体は、後述の基板処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記録する。コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えばハードディスク、コンパクトディスク、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、メモリーカード等が挙げられる。
【0059】
なお、コントローラ100の各機能モジュールを構成するハードウェアは、必ずしもプロセッサ及びメモリ等に限られない。例えば、コントローラ100の各要素は、その機能に特化した電気回路により構成されていてもよいし、当該電気回路を集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0060】
〔現像処理手順〕
続いて、基板処理方法の一例として、塗布・現像装置2により実行される現像処理手順について説明する。以下に説明する手順は、現像処理前のウェハWが搬送アームA3により現像ユニット20内に搬入され、保持機構31により保持された後、現像処理後のウェハWが搬送アームA3により現像ユニット20外に搬出される前までの手順である。この手順は、コントローラ100が現像ユニット20の各部を制御することで実行される。
【0061】
図6に示すように、コントローラ100は、まずステップS01〜S05を順に実行する。ステップS01では、回転保持部30が、ウェハWの回転を開始し、その回転数を第一回転数ω1とするように回転保持部30を制御する(
図7(a)参照)。第一回転数ω1は、表面Wa上に供給された現像液を遠心力により振り切ることなく表面Wa上に留める回転数である。このような第一回転数ω1は、事前の条件出しにより適宜設定可能である。第一回転数ω1は、例えば40〜90rpmであり、55〜65rpmであってもよい。
【0062】
ステップS02では、ノズル41を現像液の塗布開始位置に配置するように、液膜形成制御部111が現像液供給部40を制御する。液膜形成制御部111は、ノズル搬送機構48によりノズル41を搬送することで、表面Waのうち現像液を最初に塗布する領域に接液面43を対向させるように現像液供給部40を制御する。表面Waのうち現像液を最初に塗布する領域は、ウェハWの外周Wb側の領域であってもよい。外周Wb側の領域とは、表面Wa内において、外周Wb上の一点側に偏心した領域である。
【0063】
ステップS03では、タンク44からノズル41に現像液DFを供給し、ノズル41からの現像液DFの吐出を開始するように、液膜形成制御部111が現像液供給部40を制御する(
図7(a)参照)。
【0064】
ステップS04では、現像液DFに接液面43を接触させながらノズル搬送機構48によりノズル41を移動させることで、表面Wa上に現像液DFの液膜LFを形成するように、液膜形成制御部111が現像液供給部40を制御する(
図7(b)及び(c)参照)。例えば液膜形成制御部111は、表面Waの上方を横切る経路に沿ってノズル41を移動させるように現像液供給部40を制御する。これにより、表面Wa上に現像液DFが螺旋状に塗布され、液膜LFが形成される。
【0065】
液膜形成制御部111は、ウェハWの外周Wb側から回転中心RC側にノズル41を移動させるように現像液供給部40を制御してもよい。
【0066】
液膜形成制御部111は、ノズル41の移動中に、ノズル41の移動速度を変更するように現像液供給部40を制御してもよい。例えば液膜形成制御部111は、吐出口42が回転中心RCに近付くのに応じてノズル41の移動速度を低下させるように現像液供給部40を制御してもよい。
【0067】
液膜形成制御部111は、ノズル41の移動中に、吐出口42からの現像液DFの吐出量を変更するように現像液供給部40を制御してもよい。例えば液膜形成制御部111は、吐出口42が回転中心RCに近付くのに応じて吐出口42からの現像液DFの吐出量を増やすように現像液供給部40を制御してもよい。
【0068】
液膜形成制御部111は、吐出口42が回転中心RCに一致する位置を終点としてノズル41を移動させるように現像液供給部40を制御してもよい。すなわち液膜形成制御部111は、吐出口42が回転中心RC上に位置した時点でノズル41の移動を停止するように現像液供給部40を制御してもよい。
【0069】
液膜形成制御部111は、吐出口42が回転中心RCからずれる位置を終点としてノズル41を移動させるように現像液供給部40を制御してもよい。例えば液膜形成制御部111は、吐出口42が回転中心RCに到達する前にノズル41の移動を停止してもよいし(
図8(a)参照)、吐出口42が回転中心RCを通過するまでノズル41を移動させてもよい(
図8(b)参照)。いずれの場合においても、液膜形成制御部111は、吐出口42が回転中心RCからずれると共に、回転中心RCが接液面43を通る位置を終点としてもよい。
【0070】
ステップS05では、ノズル41からの現像液DFの吐出を停止するように、液膜形成制御部111が現像液供給部40を制御する。
【0071】
次に、コントローラ100はステップS06〜S09を順に実行する。ステップS06では、液膜調整制御部112が、ウェハWの回転数を第一回転数ω1から第二回転数ω2に変更するように回転保持部30を制御する。第二回転数ω2は、第一回転数ω1に比べて低い。第二回転数ω2は、事前の条件出しにより適宜設定可能である。第二回転数ω2は、例えば0〜20rpmであり、5〜15rpmであってもよい。ここに例示したように、第二回転数ω2は0であってもよい。すなわち、第一回転数ω1を第二回転数ω2に変更することは、ウェハWの回転を停止させることも含む。
【0072】
ステップS07では、液膜調整制御部112が、ステップS06の実行後の状態(ウェハWの回転数が第二回転数ω2となっている状態)を維持して第一処理時間の経過を待機する。第一処理時間は、事前の条件出しにより適宜設定可能である。第一処理時間は、例えば1〜2秒である。
【0073】
ステップS08では、液膜調整制御部112が、ウェハWの回転数を第二回転数ω2から第三回転数ω3に変更するように回転保持部30を制御する。第三回転数ω3は、第一回転数ω1に比べて高い。より具体的に、第三回転数ω3は、液膜LFをなす現像液DFの一部を遠心力によりウェハWの外周Wb側に移動させる回転数である。このような第三回転数ω3は、事前の条件出しにより適宜設定可能である。第三回転数ω3は、例えば90〜200rpmであり、80〜120rpmであってもよい。
【0074】
ステップS09では、液膜調整制御部112が、ステップS08の実行後の状態(ウェハWの回転数が第三回転数ω3となっている状態)を維持して第二処理時間の経過を待機する。第二処理時間は、事前の条件出しにより適宜設定可能である。第二処理時間は、例えば1〜2秒である。
【0075】
ステップS06〜S09により、液膜LFの膜厚及び液膜LF中の現像液DFの濃度の均一性が高められる。現像液DFの濃度とは、現像液DFのうち現像処理に寄与する成分の濃度を意味する。
【0076】
図9を参照し、ステップS06〜S09の実行により液膜LFに生じる現象を説明する。液膜LFを形成する過程において、上述のようにノズル41をウェハWの外周Wb側から回転中心RC側に移動させる場合には、外周Wb側における現像液の供給が回転中心RC側における現像液の供給に先行する。これにより、外周Wb側に供給された現像液DFは、回転中心RC側に供給された現像液に比べて早期に劣化するので、液膜LFの形成直後においては回転中心RCに近付くにつれて現像液の鮮度が高い状態となる。なお、現像液の劣化とは、現像処理の進行等に起因して現像液の濃度が低下することを意味し、現像液の鮮度とは現像液の劣化の少なさを意味する。
【0077】
図9は、液膜LF中における現像液DFの状態を模式的に示すために、液膜LF中の現像液DFを新鮮な現像液DF1及び劣化した現像液DF2に二分して示したものである。
図9(a)に示すように、液膜LFの形成直後においては、回転中心RCに近付くにつれて現像液の鮮度が高くなる。
【0078】
上述したステップS06,S07において、第一回転数ω1が第二回転数ω2に変更されると、
図9(b)に示すように現像液DFが回転中心RC側に寄る。これにより、新鮮な現像液DF1が回転中心RC側に集まる。その後、ステップS08,S09において、第二回転数ω2が第三回転数ω3に変更されると、
図9(c)及び(d)に示すように現像液DFが外周Wb側に広がり、余分な現像液DFが外周側に振り切られる。これに伴い、新鮮な現像液DF1が外周Wb側に広がり、劣化した現像液DF2が新鮮な現像液DF1に置換される。これにより、液膜LFの膜厚及び液膜LF中の現像液DFの濃度の均一性が高まる。
【0079】
なお、ステップS06はステップS05に先立って実行されてもよい。ステップS05は、少なくともステップS07の完了前に実行されればよい。すなわち、第二回転数ω2にてウェハWを回転させる期間の少なくとも一部が、現像液DF1の供給が停止した後となっていればよい。
【0080】
ステップS04の実行後、ステップS07の完了までの間に、液膜調整制御部112は、ノズル41を上昇させて接液面43をウェハWから離間させるように現像液供給部40を制御することを更に実行してもよい。すなわち、塗布・現像装置2による現像処理手順は、ウェハW上に液膜LFを形成した後、第二回転数ω2でのウェハWの回転が完了する前に、接液面43をウェハWから離間させることを更に含んでもよい。接液面43をウェハWから離間させることは、ステップS05の前後のいずれで実行されてもよいし、ステップS06の前後のいずれで実行されてもよい。
【0081】
接液面43をウェハWから離間させることは、第一速度V1にて、接液面43を表面Waから第一距離D1まで離間させることと(
図10(a)参照)、接液面43が表面Waから第一距離D1まで離間した状態を保持した後に、第一速度V1に比べ低い第二速度V2にて接液面43を更に離間させることと(
図10(b)参照)を含んでもよい。すなわち、液膜調整制御部112は、接液面43をウェハWから離間させる際に、接液面43を表面Waから第一距離D1まで離間させ、その状態を保持した後に、第一速度V1に比べ低い第二速度V2にて接液面43を更に離間させるように現像液供給部40を制御してもよい。
【0082】
第一距離D1は、液膜LFと接液面43との間に液柱LCが形成される距離であってもよい(
図10(a)参照)。このような距離は、事前の条件出しにより適宜設定可能である。
【0083】
図6に戻り、コントローラ100は、次にステップS10,S11を実行する。ステップS10では、液膜保持制御部113が、ウェハWの回転数を第二回転数ω2以下とすることで、表面Wa上に液膜LFを保持するように回転保持部30を制御する。その一例として、液膜保持制御部113は、ウェハWの回転を停止させるように回転保持部30を制御してもよい。
【0084】
ステップS11では、液膜保持制御部113が、ステップS10の実行後の状態(ウェハWの回転数が第二回転数ω2以下となっている状態)を維持して第三処理時間の経過を待機する。この間に、液膜LF中の現像液DFによって現像が更に進行する。第三処理時間は、事前の条件出しにより適宜設定可能である。第三処理時間は、例えば10〜30秒であり、15〜25秒であってもよい。
【0085】
次に、コントローラ100はステップS12〜S14を順に実行する。ステップS12では、ノズル搬送機構56によりノズル51を搬送し、ウェハWの回転中心RC上に配置するように、洗浄制御部114がリンス液供給部50を制御する。
【0086】
ステップS13では、洗浄制御部114が、表面Wa上の現像液DFを洗い流すように回転保持部30及びリンス液供給部50を制御する。例えば洗浄制御部114は、第三回転数ω3に比べ高い第四回転数ω4でウェハWを回転させるように回転保持部30を制御しながら、タンク52からノズル51にリンス液CFを送って表面Waの中央部に供給するようにリンス液供給部50を制御する(
図11(a)参照)。第四回転数ω4は、事前の条件出しにより適宜設定可能である。第四回転数ω4は、例えば500〜2000rpmである。表面Wa上に供給されたリンス液CFは、遠心力により外周Wb側に広がりながら現像液DFを洗い流す(
図11(b)参照)。その後洗浄制御部114は、リンス液CFの供給を停止するようにリンス液供給部50を制御する。
【0087】
ステップS14では、乾燥制御部115が、表面Wa上の液体を除去するように回転保持部30を制御する。例えば乾燥制御部115は、第四回転数ω4に比べ高い第五回転数ω5でウェハWを回転させるように回転保持部30を制御する(
図11(c)参照)。第五回転数ω5は、例えば1500〜3000rpmである。以上で現像処理手順が完了する。
【0088】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態に係る現像処理手順は、ウェハWを第一回転数で回転させ、接液面43を表面Waに対向させた状態で、吐出口42から表面Waに現像液を供給し、現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に現像液の液膜を形成することと、表面Wa上に液膜が形成された後に、吐出口42からの現像液の供給が停止した状態で、第一回転数に比べ低い第二回転数でウェハWを回転させることと、第二回転数でウェハWを回転させた後に、第一回転数に比べ高い第三回転数でウェハWを回転させることと、第三回転数でウェハWを回転させた後に、ウェハWの回転数を第二回転数以下とすることで、表面Wa上に液膜を保持することと、を含む。
【0089】
この現像処理手順によれば、液膜の形成過程において、吐出口42から表面Waに供給された現像液に接液面43が接触する。接液面43と表面Waとの相対運動により、これらの間においては現像液が撹拌される。このため、接液面43と表面Waとの間における現像の進行速度の均一性が高まる。
【0090】
液膜の形成後においては、ウェハWの回転数が第一回転数から第二回転数に下げられた後に、第一回転数に比べ高い第三回転数に上げられる。ウェハWの回転数が第一回転数から第二回転数に下がることで、現像液はウェハWの回転中心RC側に寄り、ウェハWの回転数が第二回転数から第三回転数に上がることで、現像液はウェハWの外周Wb側に広がる。外周Wb側に広がる前に、一旦回転中心RC側に寄ることで、外周Wb側に広がる際の現像液の運動エネルギーが増加するので、回転中心RC側の現像液がより確実に外周Wb側に行き渡る。これにより、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性が高められた状態で、当該液膜が表面Wa上に保持される。このため、液膜の形成後においても現像の進行速度の均一性が高まる。
【0091】
このように、液膜の形成過程及び液膜の形成後の双方において、現像の進行速度の均一性が高まるので、現像の進行量が基板上の位置によってばらつくことをより確実に抑制できる。
【0092】
現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に液膜を形成する際に、外周Wb側から回転中心RC側にノズル41を移動させてもよい。この場合、回転中心RC側における現像液の供給が、外周Wb側における現像液の供給に比べて後に行われるので、液膜の形成直後には、回転中心RCに近付くにつれて現像液の鮮度が高い状態となる。このため、ウェハWを第三回転数で回転させる際には、鮮度の低い外周Wb側の現像液が鮮度の高い回転中心RC側の現像液により置換されることとなる。現像液の鮮度が高くなるのに応じて、現像液の濃度の均一性も高くなる傾向があるので、鮮度の低い現像液を鮮度の高い現像液により置換することで、液膜中における現像液の濃度の均一性が更に高まる。これにより、現像の進行速度の均一性を更に高めることができる。
【0093】
表面Wa上に液膜を形成した後、第二回転数でのウェハWの回転が完了する前に、接液面43を表面Waから離間させることを更に含んでもよい。この場合、第二回転数でのウェハWの回転が完了する前に、接液面43と表面Waとの間を広げておくことで、液膜中の現像液をより確実に回転中心RC側に寄せることができる。このため、ウェハWを第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性を更に高めることができる。
【0094】
接液面43を表面Waから離間させることは、第一速度にて、接液面43を表面Waから第一距離まで離間させることと、接液面43が表面Waから第一距離まで離間した状態を保持した後に、第一速度に比べ低い第二速度にて接液面43を更に離間させることとを含んでもよい。この場合、第一速度にて、接液面43を表面Waから第一距離まで離間させた後に、接液面43と表面Waとの距離を保持することで、接液面43と液膜との接触面が縮小される。その後、第一速度に比べ低い第二速度にて接液面43を更に離間させることで、接液面43が液膜から離れる際における現像液のちぎれが抑制される。これらのことから、接液面43が液膜から離れる際に、接液面43に現像液が残留し難くなるので、液膜から離れた接液面43からの液だれの発生が抑制される。このため、ウェハWを第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性を更に高めることができる。
【0095】
第一距離は、現像液の液膜と接液面43との間に液柱が形成される距離であってもよい。この場合、接液面43を表面Waから第一距離まで離間させる過程において、現像液のちぎれが防止された状態で、接液面43と液膜との接触面がより確実に縮小される。このため、接液面43が液膜から離れる際に、接液面43に現像液が残留することをより確実に防止できる。
【0096】
現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に液膜を形成する際に、ノズル41の移動速度を途中で変更してもよい。この場合、ノズル41の移動速度を変更することで、液膜の回転中心RC側における現像液の量をより確実に適正化できる。このため、ウェハWを第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0097】
現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に液膜を形成する際に、吐出口42が回転中心RCに近付くのに応じてノズル41の移動速度を低下させてもよい。この場合、液膜の形成直後には、液膜の外周Wb側における現像液の量に比べ、液膜の回転中心RC側における現像液の量が多くなる。このため、ウェハWを第三回転数で回転させる際に、回転中心RC側の現像液がより確実に外周Wb側に行き渡るので、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0098】
現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に液膜を形成する際に、吐出口42からの現像液の吐出量を途中で変更してもよい。この場合、吐出口42からの現像液の吐出量を変更することで、液膜の回転中心RC側における現像液の量をより確実に適正化できる。このため、ウェハWを第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0099】
現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に液膜を形成する際に、吐出口42が回転中心RCに近付くのに応じて吐出口42からの現像液の吐出量を増やしてもよい。この場合、液膜の形成直後には、液膜の外周Wb側における現像液の量に比べ、液膜の回転中心RC側における現像液の量が多くなる。このため、ウェハWを第三回転数で回転させる際に、回転中心RC側の現像液がより確実に外周Wb側に行き渡るので、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0100】
現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に液膜を形成する際に、吐出口42が回転中心RCからずれる位置を終点としてノズル41を移動させてもよい。この場合、ノズル41の移動を停止させる位置により、液膜の回転中心RC側における現像液の量を調節できる。例えば、吐出口42がウェハWの回転中心に到達する前にノズル41の移動を停止させることで、回転中心RC側における現像液の量を減らすことができる。一方、吐出口42が回転中心RCを通過するまでノズル41を移動させることで、液膜の回転中心RC側における現像液の量を増やすことができる。このため、ノズル41の移動を停止させる位置により、液膜の回転中心RC側における現像液の量をより確実に適正化できる。従って、ウェハWを第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0101】
現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に液膜を形成する際に、吐出口42が回転中心RCからずれ、回転中心RCが接液面43を通る位置を終点としてノズル41を移動させてもよい。この場合、吐出口42が回転中心RCからずれる位置にてノズル41の移動を停止する場合であっても、ノズル41の接液面43が対向する範囲は表面Waの全域に亘る。このため、現像液をより確実に回転中心RCまで塗布することができる。従って、ウェハWを第三回転数で回転させる際に、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0102】
現像液に接液面43を接触させながらノズル41を移動させることで、表面Wa上に液膜を形成する際に、吐出口42が回転中心RCを通過するまでノズル41を移動させてもよい。この場合、液膜の形成直後には、液膜の外周Wb側における現像液の量に比べ、液膜の回転中心RC側における現像液の量が多くなる。このため、ウェハWを第三回転数で回転させる際に、回転中心RC側の現像液がより確実に外周Wb側に行き渡るので、液膜の膜厚及び液膜中の現像液の濃度の均一性をより確実に高めることができる。
【0103】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、ウェハWの表面Wa上に液膜を形成する際に外周Wb側から回転中心RC側にノズル41を移動させる場合を例示したが、これとは逆に、ウェハWの表面Wa上に液膜を形成する際に回転中心RC側から外周Wb側にノズル41を移動させてもよい。
【0104】
処理対象の基板は半導体ウェハに限られず、例えばガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)等であってもよい。
【実施例】
【0105】
続いて、現像処理手順の実施例及び比較例を示すが、本発明はここに示す例に限定されるものではない。
【0106】
〔ウェハのサンプルの準備〕
複数枚のウェハWの上にレジスト膜を形成し、このレジスト膜にステップアンドリピート方式で露光処理を施した。各ショットにおける露光条件は、幅約45nmの線状パターンを等間隔で形成するように設定した。
【0107】
〔実施例〕
露光処理を施したウェハWに対して、上述した実施形態の現像処理を施し、ウェハWの表面Wa上にレジストパターンを形成した。
【0108】
〔比較例1〕
上述したステップS06,S07を省略し、その他は実施例1と同様にして、ウェハWの表面Wa上にレジストパターンを形成した。すなわち、比較例1においては、液膜の形成後に、ウェハWの回転数を第二回転数に低下させることを行わなかった。
【0109】
〔比較例2〕
上述したステップS06〜S09を省略し、その他は実施例1と同様にして、ウェハWの表面Wa上にレジストパターンを形成した。すなわち、比較例2においては、液膜の形成後に、ウェハWの回転数を第二回転数に低下させることを行わず、ウェハWの回転数を第三回転数に上昇させることも行わなかった。
【0110】
〔ショット間での線幅のばらつきの評価〕
実施例、比較例1,2により作製されたレジストパターンについて、ショットごとに9カ所の測定点を設定し、各測定点において線幅を測定した。ショットごとに線幅の平均値を算出することで得られる線幅データ群を母集団として、標準偏差を算出し、その三倍の値を第一のばらつきの評価値として算出した。
【0111】
〔ショット内での線幅のばらつきの評価〕
実施例、比較例1,2により作製されたレジストパターンについて、ショットごとに9カ所の測定点を設定し、各測定点において線幅を測定した。この測定によって得られる全ての線幅データを母集団として標準偏差を算出し、その三倍を第二のばらつきの評価値として算出した。
【0112】
〔ばらつき評価値の比較結果〕
比較例1のウェハWは、比較例2のウェハWに比べ、第一のばらつき評価値が約40%小さかった。この結果から、液膜形成後にウェハWの回転数を第三回転数に高めて液膜の状態を調整することにより、現像の進行量のばらつきを抑制できることが確認された。
【0113】
実施例1のウェハWは、比較例1のウェハWに比べ、第一のばらつき評価値が約9%小さかった。この結果から、液膜形成後にウェハWの回転数を第三回転数に高める前に、一旦第二回転数に低下させることにより、現像の進行量のばらつきを更に抑制できることが確認された。
【0114】
実施例1のウェハWは、比較例1のウェハWに比べ、第二のばらつき評価値が約5%小さかった。この結果から、液膜形成後にウェハWの回転数を第三回転数に高める前に、一旦第二回転数に低下させることにより、現像の進行量のショット内におけるばらつきをも更に抑制できることが確認された。