(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筒状体は、前記複数の導電性素材線のうち少なくとも2つの導電性素材線が互いに接触して構成された第1導電部と、前記第1導電部を構成する前記少なくとも2つの導電性素材線を除く他の少なくとも2つの導電性素材線が互いに接触して構成された第2導電部とを有し、
前記第1導電部と前記第2導電部との間に前記複数の絶縁性素材線が配置されることにより、前記第1導電部と前記第2導電部とが絶縁された、
請求項1又は2に記載の感圧センサ。
絶縁性の弾性体が線状に形成された複数の絶縁性素材線と導電性の弾性体が線状に形成された複数の導電性素材線とを中空部の周囲に環状に配置して筒状体を構成し、前記筒状体の外周囲にシースを押出成型する感圧センサの製造方法であって、
前記筒状体は、前記複数の絶縁性素材線と前記複数の導電性素材線とがダイスに形成されたテーパ状の内周面を有する貫通孔にその大径部側から導入され、前記貫通孔の小径部において前記複数の絶縁性素材線及び前記複数の導電性素材線が周方向に互いに接触し、当該接触が維持された状態で前記シースを押出成形する、
感圧センサの製造方法。
前記複数の絶縁性素材線をそれぞれ前記ダイスに供給する複数の絶縁性素材線供給リール及び前記複数の導電性素材線をそれぞれ前記ダイスに供給する複数の導電性素材線供給リールを前記貫通孔の中心軸線周りに回転させ、前記筒状体において前記複数の絶縁性素材線及び前記複数の導電性素材線を螺旋状に配置する、
請求項8に記載の感圧センサの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を、
図1乃至
図6を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0012】
(感圧センサの構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る感圧センサの端部を示す斜視図である。
図2(a)及び(b)は、感圧センサをその中心軸方向に垂直な断面で示す
図1のA−A線断面図であり、(a)は圧力を受けていない状態を、(b)は矢印方向に圧力を受けた状態を、それぞれ図示している。
【0013】
この感圧センサ1Aは、絶縁性の弾性体20が線状に形成された複数の絶縁性素材線2と導電性の弾性体30が線状に形成された複数の導電性素材線3とが中空部10の周囲に環状に配置された筒状体11と、筒状体11の外周囲に設けられたシース4とを備えている。本実施の形態では、筒状体11が、12本の絶縁性素材線2と、2本の導電性素材線3とによって構成されている。シース4と絶縁性の弾性体20及び導電性の弾性体30とは、互いに溶着している。
【0014】
図1では、感圧センサ1Aの端部におけるシース4を除去することにより露出した筒状体11の外観を示している。
図1に示すように、筒状体11は、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3が螺旋状に配置されている。すなわち、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3は、それぞれの長手方向が筒状体11の中心軸線Cに平行な方向に対して傾斜している。
【0015】
図2(a)及び(b)に示すように2本の導電性素材線3が縦方向に並んだ場合、2本の導電性素材線3の右側及び左側には、それぞれ6本の絶縁性素材線2が配置される。そして、これらの絶縁性素材線2によって2本の導電性素材線3同士が電気的に絶縁されている。
【0016】
それぞれの絶縁性素材線2は、その中心部に絶縁性の弾性体20よりも弾性率が高い芯線21を有している。絶縁性の弾性体20は、例えばスチレン系熱可塑性エラストマを含む絶縁性樹脂組成物からなる。芯線21としては、例えばケブラー(登録商標)等の有機繊維、あるいはカーボン繊維やグラスファイバー等の無機繊維を用いることができる。また、芯線21として、金属線を用いてもよい。
【0017】
それぞれの導電性素材線3は、その中心部に導電性の弾性体30よりも弾性率が高い金属導体線31を有している。ここで、弾性率とは、具体的には引張弾性率であり、弾性限度内において材料が受けた引張り応力をひずみで除した値である。したがって、この値が高いほど、引張り応力に対する伸び量が小さいことを示している。
【0018】
導電性の弾性体30は、例えばスチレン系熱可塑性エラストマ及びカーボンを含む導電性樹脂組成物からなり、電気導電性を有している。スチレン系熱可塑性エラストマとは、分子の両端にスチレンブロックを有する熱可塑性エラストマである。スチレン系熱可塑性エラストマとしては、例えば、EB(エチレン−ブチレン)の両端にスチレンブロックを有するSEBS、EP(エチレン−プロピレン)の両端にスチレンブロックを有するSEPS、又はEEP(エチレン−エチレン−プロピレン)の両端にスチレンブロックを有するSEEPSが挙げられる。
【0019】
金属導体線31は、例えば26〜30AWGの銀めっき軟銅線を複数本(本実施の形態では7本)撚り合せた撚線である。
【0020】
シース4は、例えば耐水性、耐薬品性、耐候性、及び耐寒性に優れたエチレンプロピレンゴムを好適に用いることができる。シース4は、筒状体11の外周囲に押出成形によって形成されている。複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3は、筒状体11の周方向に互いに接触している。この複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3の接触により、シース4の押出成形時において、加熱によって液状となった素材が中空部10側に漏出することが抑制されている。
【0021】
複数の絶縁性素材線2は、その長手方向に垂直な断面形状が円形である。また、複数の導電性素材線3は、その長手方向に垂直な断面形状が絶縁性素材線2よりも大径の円形である。これにより、
図2に示すように、筒状体11の中空部10の中心部(中心軸線Cの周辺部)を挟んで対向する複数の導電性素材線3の間の距離D
1が、中空部10の中心部を挟んで対向する複数の絶縁性素材線2の間の距離D
2よりも短い。距離D
1は、距離D
2の例えば2倍以上である。導電性素材線3の直径は、例えば絶縁性素材線2の直径の2倍以上である。
【0022】
感圧センサ1Aが接触物に接触し、シース4の外部から圧力を受けると、
図2(b)に示すように筒状体11及びシース4が弾性変形し、複数の導電性素材線3同士が接触する。この接触物は、感圧センサ1Aが例えば車両のスライドドアに設けられた場合には、当該車両の搭乗者の身体や携行物である。
【0023】
(感圧センサを含む電気回路)
図3は、感圧センサ1Aに外部から圧力が作用した場合にこれを検出するための電気回路5の構成例を示す回路図である。この電気回路5は、感圧センサ1Aと、直流電源51と、電流計52と、第1及び第2の抵抗器53,54とによって構成される。
【0024】
直流電源51、電流計52、及び第1の抵抗器53は、感圧センサ1Aの一端部において、2本の導電性素材線3のそれぞれの金属導体線31の間に直列に接続されている。第2の抵抗器54は、感圧センサ1Aの他端部において、2本の導電性素材線3のうち一方の導電性素材線3の金属導体線31と、他方の導電性素材線3の金属導体線31との間に接続されている。
【0025】
感圧センサ1Aに外部から圧力が作用しない場合には、2本の導電性素材線3のうち一方の導電性素材線3の金属導体線31と、他方の導電性素材線3の金属導体線31とが離間し、電流計52では、直流電源51の電源電圧を第1の抵抗器53及び第2の抵抗器54の合成抵抗の抵抗値で除した値の電流が測定される。一方、感圧センサ1Aに外部から圧力が作用して一方の導電性素材線3の金属導体線31と他方の導電性素材線3の金属導体線31とが少なくとも一部において接触(短絡)すると、電流計52では、直流電源51の電源電圧を第1の抵抗器53の抵抗値で除した値の電流が測定される。よって、この電流計52の測定値に基づいて、2本の導電性素材線3同士の接触の有無を判別することができる。
【0026】
なお、電流計52としては、電気回路5に流れる電流が所定の閾値以上か否かを判別することができればよいため、例えばシャント抵抗の両端部間の電位差が所定値以上か否かを判別することのみが可能な簡易な構成のものを用いることができる。
【0027】
(感圧センサの製造方法)
次に、
図4を参照して感圧センサ1Aの製造方法について、
図4乃至及び
図6を参照して説明する。
【0028】
図4(a)は、感圧センサ1Aの製造設備6を構成する撚線機61の構成を模式的に示す模式図である。
図4(b)は、製造設備6の全体構成を示す概略構成図である。
【0029】
製造設備6は、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3を供給する撚線機61と、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3の供給を受けるダイス62と、シース4を押出成形する押出機63と、押出成形されたシース4を冷却する冷却装置64と、冷却装置64を通過した感圧センサ1Aを巻き取る巻取機65とを備えている。
【0030】
撚線機61は、複数の絶縁性素材線2のそれぞれが巻き回された複数(12個)の絶縁性素材線リール611と、複数の導電性素材線3のそれぞれが巻き回された複数(2個)の導電性素材線リール612と、複数の絶縁性素材線リール611及び複数の導電性素材線リール612を軸支する支持部材610とを有している。支持部材610は、環状であり、図略の回転駆動機構によって
図4(a)の矢印方向に回転する。複数の絶縁性素材線リール611及び複数の導電性素材線リール612は、支持部材610の回転軸を中心として放射状に配置されている。
【0031】
複数の絶縁性素材線リール611及び複数の導電性素材線リール612は、支持部材610に自転可能に支持され、かつ支持部材610と共に公転する。ここで自転とは、絶縁性素材線リール611及び導電性素材線リール612が、それぞれの中心軸を中心として回転することをいう。絶縁性素材線2は、絶縁性素材線リール611の自転によって撚線機61から引き出されてダイス62に供給される。また、導電性素材線3は、導電性素材線リール612の自転によって撚線機61から引き出されてダイス62に供給される。絶縁性素材線リール611及び導電性素材線リール612の自転に対しては、絶縁性素材線2及び導電性素材線3に張力を発生させるための回転抵抗力が付与される。
【0032】
ダイス62には、テーパ状の内周面を有する貫通孔620が形成されている。貫通孔620には、その大径部側から複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3が導入される。貫通孔620の小径部側は、押出機63に連結されている。
【0033】
図5(a)は、
図4(b)のB−B線断面におけるダイス62の大径部の断面図である。
図5(b)は、
図4(b)のC−C線断面におけるダイス62の小径部の断面図である。
図5(a)及び(b)では、ダイス62の断面と共に、ダイス62の貫通孔620に供給された複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3を示している。
【0034】
筒状体11は、複数の絶縁性素材線2と複数の導電性素材線3とがダイス62の貫通孔620にその大径部側から導入され、貫通孔620の小径部において複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3が周方向に互いに接触して筒状となる。より詳細には、ダイス62の大径部では、
図5(a)に示すように、複数の絶縁性素材線2同士の間、及び絶縁性素材線2と導電性素材線3との間に貫通孔620の周方向の隙間が形成されるが、貫通孔620の小径部では、これらの隙間が詰まり、複数の絶縁性素材線2同士が接触すると共に、複数の導電性素材線3のそれぞれに隣り合う複数の絶縁性素材線2が複数の導電性素材線3のそれぞれに接触する。
【0035】
撚線機61の支持部材610は、貫通孔620の中心軸線周りに回転する。すなわち、支持部材610の回転軸線は、貫通孔620の中心軸線と一致している。筒状体11は、複数の絶縁性素材線リール611及び複数の導電性素材線リール612が支持部材610と共に回転(公転)することで、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3が中空部10の周囲に螺旋状に配置される。
【0036】
ダイス62は、複数の絶縁性素材線2の絶縁性の弾性体20、及び複数の導電性素材線3の導電性の弾性体30が軟化して、一部において弾性体20,30同士が溶着する程度の温度に加熱されていることが望ましい。弾性体20,30同士が溶着することにより、押出機63によるシース4の押出成形時において、加熱によって液状となった素材が中空部10側に漏出することがより確実に抑制される。
【0037】
図6は、押出機63の内部を示す断面図である。押出機63は、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3が螺旋状に配置された筒状体11を挿通させる挿通孔630が中心部に形成されたニップル631と、ニップル631を収容する外殻632とを有している。ニップル631と外殻632との間は、溶融樹脂7の流路70となっている。溶融樹脂7は、シース4の素材が加熱によって液状となったものであり、外殻632に設けられた供給路633から流路70に供給される。
【0038】
複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3は、溶融樹脂7の熱によって、溶融樹脂7に接する表面が溶融する。溶融樹脂7は、挿通孔630を通過した筒状体11と共に押出機63の導出孔63aから引き出され、冷却装置64で冷却されて固化する。これにより、シース4と複数の絶縁性素材線2の絶縁性の弾性体20が溶着すると共に、シース4と複数の導電性素材線3の導電性の弾性体30とが溶着する。
【0039】
巻取機65は、感圧センサ1Aを巻き取る巻取リール650と、巻取リール650を支持する支柱651と、巻取リール650を回転させる回転駆動装置652とを有している。回転駆動装置652は、例えば電動モータと減速機とを有し、巻取リール650をその中心軸周りに回転させる。巻取機65が感圧センサ1Aを巻き取ることにより、筒状体11の外周囲にシース4を押出成形する際には、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3に長手方向の張力が付与された状態となる。
【0040】
ここで、複数の絶縁性素材線2のそれぞれは、絶縁性の弾性体20よりも弾性率が高い芯線21を有しているので、芯線21によって絶縁性素材線2の長手方向の伸びが抑制される。また、複数の導電性素材線3のそれぞれは、導電性の弾性体30よりも弾性率が高い金属導体線31を有しているので、金属導体線31によって絶縁性素材線2の長手方向の伸びが抑制される。また、ダイス62が加熱されている場合に弾性体20,30が軟化しても、絶縁性素材線2や導電性素材線3が張力によって断線してしまうことが、芯線21や金属導体線31によって抑止される。
【0041】
なお、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3に付与される張力は、巻取機65によるものでなくともよい。例えば、冷却装置64と巻取機65との間にキャプスタン(引っ張り装置)を設け、このキャプスタンによって複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3に張力を付与してもよい。
【0042】
巻取リール650に巻き取られた感圧センサ1Aは、所定の長さ(例えば1〜2m)に切断され、車両のスライドドア等に用いられる。
【0043】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0044】
(1)上記実施の形態に係る感圧センサ1Aでは、例えば従来の感圧センサ製造工程において必要であったスペーサを引き抜く作業が不要となるので、製造時における作業負担を軽減することが可能となる。
【0045】
(2)筒状体11は、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3が螺旋状に配置されているので、感圧センサ1Aの長手方向に交差するあらゆる方向からの圧力を検出することができる。
【0046】
(3)筒状体11は、ダイス62の貫通孔620に大径部側から導入された複数の絶縁性素材線2と複数の導電性素材線3とが貫通孔620の小径部において互いに接触し、この接触が維持された状態で押出機63によってシース4が押出成形される。このため、簡易な構成により、シース4の押出成形時において溶融樹脂7が中空部10側に漏出することが抑制される。
【0047】
(4)絶縁性素材線2における絶縁性の弾性体20の中心部には芯線21が設けられ、導電性素材線3における絶縁性の弾性体30の中心部には金属導体線31が設けられているので、これらの芯線21及び金属導体線31がテンションメンバーとして機能し、絶縁性素材線2及び導電性素材線3の長手方向の伸びが抑制される。これにより、ダイス62及び押出機63の内部において適切な張力を複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3に付与することができ、複数の絶縁性素材線2同士の間、及び絶縁性素材線2と導電性素材線3との間の隙間を確実に詰めることができる。
【0048】
(5)複数の導電性素材線3は、その長手方向に垂直な断面形状が絶縁性素材線2よりも大径の円形であるので、圧力を受けた場合に導電性素材線3同士が接触しやすくなる。これにより、感圧センサ1Aの感度が高められる。
【0049】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、
図7を参照して説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る感圧センサ1Bを、その長手方向に垂直な断面で示す断面図である。
【0050】
第1の実施の形態に係る導電性素材線3は、その長手方向に垂直な断面形状が円形であったが、本実施の形態に係る感圧センサ1Bは、その長手方向に垂直な断面形状が角丸矩形(角の丸い矩形状)である。感圧センサ1Bのその他の構成は、第1の実施の形態に係る感圧センサ1Aと同様である。
【0051】
筒状体11の径方向における導電性素材線3の厚みは、絶縁性素材線2の直径よりも大きく、これにより筒状体11の中空部10の中心部を挟んで対向する複数の導電性素材線3の間の距離D
1が、中空部10の中心部を挟んで対向する複数の絶縁性素材線2の間の距離D
2よりも短くなっている。距離D
1は、距離D
2の例えば2倍以上である。筒状体11の径方向における導電性素材線3の厚みは、例えば絶縁性素材線2の直径の2倍以上である。
【0052】
複数(2本)の導電性素材線3のそれぞれは、筒状体11の周方向に沿って配置された複数(12本)の絶縁性素材線2のうち一対の絶縁性素材線2の間に挟まれている。導電性素材線3は、一対の絶縁性素材線2のそれぞれに接触する両側面30a,30bが互いに平行な平面として形成されている。これら両側面30a,30bは、絶縁性の弾性体30の外周面の一部である。
【0053】
感圧センサ1Bは、第1の実施の形態に係る感圧センサ1Aと同様の製造方法によって製造される。また、感圧センサ1Bは、一対の絶縁性素材線2のそれぞれに接触する導電性素材線3の両側面30a,30bが互いに平行な平面として形成されているので、ダイス62の小径部において両側面30a,30bに一対の絶縁性素材線2が押し付けられても、その押し付け力によって導電性素材線3が中空部10側に飛び出してしまうことが抑制される。これにより、ダイス62から導出される筒状体11において、絶縁性素材線2と導電性素材線3との間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0054】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について、
図8を参照して説明する。
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る感圧センサ1Cを、その長手方向に垂直な断面で示す断面図である。
【0055】
本実施の形態に係る感圧センサ1Cは、第2の実施の形態に係る感圧センサ1Bの導電性素材線3の断面形状を変更したものであり、一対の絶縁性素材線2のそれぞれに接触する両側面30a,30bが凹曲面状に形成されている。この両側面30a,30bには、ダイス62の小径部において、筒状体11の周方向に隣接する一対の絶縁性素材線2がそれぞれ押し付けられる。両側面30a,30bの曲率は、絶縁性素材線2の外周面の曲率と同等である。
【0056】
この感圧センサ1Cによれば、筒状体11の周方向における導電性素材線3の端面である両側面30a,30bに一対の絶縁性素材線2がそれぞれ押し付けられることにより、筒状体11の径方向への導電性素材線3の移動が規制される。このため、ダイス62から導出される筒状体11において、絶縁性素材線2と導電性素材線3との間に隙間が形成されてしまうことをさらに抑制することができる。
【0057】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について、
図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第4の実施の形態に係る感圧センサ1Dを、その長手方向に垂直な断面で示す断面図である。
【0058】
第1の実施の形態に係る感圧センサ1Aは、2つの導電性素材線3が筒状体11の中心部を挟んで対向するように配置されていたが、本実施の形態に係る感圧センサ1Dの筒状体11は、複数の導電性素材線3のうち少なくとも2つの導電性素材線3が互いに接触して構成された第1導電部3aと、第1導電部3aを構成する少なくとも2つの導電性素材線3を除く他の少なくとも2つの導電性素材線3が互いに接触して構成された第2導電部3bとを有している。
【0059】
本実施の形態では、筒状体11が4つの導電性素材線3を有し、このうち2つの導電性素材線3によって第1導電部3aが構成され、残りの2つの導電性素材線3によって第2導電部3bが構成されている。第1導電部3aにおける2つの導電性素材線3、及び第2導電部3bにおける2つの導電性素材線3は、それぞれ筒状体11の周方向に隣接している。第1導電部3aと第2導電部3bとは、複数の絶縁性素材線2によって電気的に絶縁されている。
【0060】
なお、第1導電部3a及び第2導電部3bにおける導電性素材線3の数は、3つ以上であってもよい。つまり、第1導電部3a及び第2導電部3bの何れか一方又は両方が、それぞれ3つ以上の導電性素材線3によって構成されていてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、複数の絶縁性素材線2及び複数の導電性素材線3の長手方向に垂直な断面形状が円形であり、その外径が同等である。つまり、複数の絶縁性素材線2は、その長手方向に垂直な断面形状が円形であり、複数の導電性素材線3は、その長手方向に垂直な断面形状が絶縁性素材線2と同径の円形である。
【0062】
感圧センサ1Dは、第1の実施の形態に係る感圧センサ1Aと大略同様の製造方法によって製造されるが、筒状体11における導電性素材線3の数の違いに応じて、撚線機61の支持部材610には、第1の実施の形態よりも多くの数の絶縁性素材線リール611が支持される。複数の導電性素材線3は、その長手方向に垂直な断面形状が絶縁性素材線2と同径の円形であることにより、ダイス62の小径部において絶縁性素材線2が押し付けられても、その押し付け力によって導電性素材線3が中空部10側に飛び出してしまうことが抑制される。
【0063】
また、第1の実施の形態に係る感圧センサ1Aに対して単に導電性素材線3の外径を絶縁性素材線2と同径とした場合には、圧力を受けた際に、筒状体11の中心部を挟んで対向する導電性素材線3同士が接触し難くなるが、感圧センサ1Dでは、第1導電部3a及び第2導電部3bがそれぞれ複数の導電性素材線3によって構成されているので、第1導電部3aを構成する何れかの導電性素材線3と第2導電部3bを構成する何れかの導電性素材線3とが接触しやすくなり、感度の低下が抑制されている。
【0064】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0065】
[1]絶縁性の弾性体(20)が線状に形成された複数の絶縁性素材線(2)と導電性の弾性体(30)が線状に形成された複数の導電性素材線(3)とが中空部(10)の周囲に環状に配置された筒状体(11)と、前記筒状体(11)の外周囲に設けられたシース(4)とを備え、前記シース(4)と前記絶縁性の弾性体(20)及び前記導電性の弾性体(30)とが互いに溶着した、感圧センサ(1A〜1D)。
【0066】
[2]前記筒状体(11)は、前記複数の絶縁性素材線(2)及び前記複数の導電性素材線(3)が螺旋状に配置された、前記[1]に記載の感圧センサ(1A〜1D)。
【0067】
[3]前記複数の絶縁性素材線(2)のそれぞれは、前記絶縁性の弾性体(20)よりも弾性率が高い芯線(21)を有し、前記複数の導電性素材線(3)のそれぞれは、前記導電性の弾性体(30)よりも弾性率が高い金属導体線(31)を有する、前記[1]又は[2]に記載の感圧センサ(1A〜1D)。
【0068】
[4]前記複数の絶縁性素材線(2)は、その長手方向に垂直な断面形状が円形であり、前記複数の導電性素材線(3)は、その長手方向に垂直な断面形状が前記絶縁性素材線(2)よりも大径の円形である、前記[1]乃至[3]の何れか1つに記載の感圧センサ(1A)。
【0069】
[5]前記複数の絶縁性素材線(2)は、その長手方向に垂直な断面形状が円形であり、前記複数の導電性素材線(3)は、前記筒状体(11)の周方向に沿って配置された前記複数の絶縁性素材線(2)のうち一対の絶縁性素材線(2)の間に挟まれ、前記一対の絶縁性素材線(2)のそれぞれに接触する両側面(30a,30b)が互いに平行な平面として形成された、前記[1]乃至[3]の何れか1つに記載の感圧センサ(1B)。
【0070】
[6]前記複数の絶縁性素材線(2)は、その長手方向に垂直な断面形状が円形であり、前記複数の導電性素材線(3)は、前記筒状体(11)の周方向に沿って配置された前記複数の絶縁性素材線(2)のうち一対の絶縁性素材線(2)の間に挟まれ、前記一対の絶縁性素材線(2)のそれぞれに接触する両側面(30a,30b)が凹曲面状に形成された、前記[1]乃至[3]の何れか1つに記載の感圧センサ(1C)。
【0071】
[7]前記中空部(10)の中心部を挟んで対向する前記複数の導電性素材線(3)の間の距離が、前記中空部(10)の中心部を挟んで対向する前記複数の絶縁性素材線(2)の間の距離よりも短い、前記[1]乃至[4]の何れか1つに記載の感圧センサ(1A〜1C)。
【0072】
[8]前記筒状体(11)は、前記複数の導電性素材線(3)のうち少なくとも2つの導電性素材線(3)が互いに接触して構成された第1導電部(3a)と、前記第1導電部(3a)を構成する前記少なくとも2つの導電性素材線(3)を除く他の少なくとも2つの導電性素材線(3)が互いに接触して構成された第2導電部(3b)とを有し、前記第1導電部(3a)と前記第2導電部(3b)との間に前記複数の絶縁性素材線(2)が配置されることにより、前記第1導電部(3a)と前記第2導電部(3b)とが絶縁された、前記[1]乃至[3]の何れか1つに記載の感圧センサ(1D)。
【0073】
[9]絶縁性の弾性体(20)が線状に形成された複数の絶縁性素材線(2)と導電性の弾性体(30)が線状に形成された複数の導電性素材線(3)とを中空部(10)の周囲に環状に配置して筒状体(11)を構成し、前記筒状体(11)の外周囲にシース(4)を押出成型する感圧センサ(1A〜1D)の製造方法。
【0074】
[10]前記筒状体(11)は、前記複数の絶縁性素材線(2)と前記複数の導電性素材線(3)とがダイス(62)に形成されたテーパ状の内周面を有する貫通孔(620)にその大径部側から導入され、前記貫通孔(620)の小径部において前記複数の絶縁性素材線(2)及び前記複数の導電性素材線(3)が周方向に互いに接触し、当該接触が維持された状態で前記シース(4)を押出成形する、前記[9]に記載の感圧センサ(1A〜1D)の製造方法。
【0075】
[11]前記複数の絶縁性素材線(2)をそれぞれ前記ダイス(62)に供給する複数の絶縁性素材線供給リール(611)及び前記複数の導電性素材線(3)をそれぞれ前記ダイス(62)に供給する複数の導電性素材線供給リール(612)を前記貫通孔(620)の中心軸線周りに回転させ、前記筒状体(11)において前記複数の絶縁性素材線(2)及び前記複数の導電性素材線(3)を螺旋状に配置する、前記[10]に記載の感圧センサ(1A〜1D)の製造方法。
【0076】
[12]前記シース(4)を押出成形する際に前記複数の絶縁性素材線(2)及び前記複数の導電性素材線(3)に長手方向の張力を付与し、前記複数の絶縁性素材線(2)のそれぞれは、前記絶縁性の弾性体(20)よりも弾性率が高い芯線(21)を有し、前記複数の導電性素材線(3)のそれぞれは、前記導電性の弾性体(30)よりも弾性率が高い金属導体線(31)を有し、前記芯線(21)によって前記絶縁性素材線(2)の長手方向の伸びが抑制されると共に、前記金属導体線(31)によって前記導電性素材線(3)の長手方向の伸びが抑制される、前記[10]又は[11]に記載の感圧センサ(1A〜1D)の製造方法。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0078】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、第1乃至第3の実施の形態では、筒状体11が中空部10の中心部を挟んで対向する2つの導電性素材線3を1組有する場合について説明したが、これに限らず、中空部10の中心部を挟んで対向する2つの導電性素材線3からなる組を複数組有していてもよい。また、筒状体11における複数の絶縁性素材線2の数も、上記したものに限らない。