(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<円偏光板>
本発明の円偏光板(以下、場合により「本円偏光板」という。)は、
重合性液晶化合物を含む液晶位相差層形成用組成物から形成された液晶位相差層と、
高分子フィルムを延伸して形成された位相差フィルムからなる位相差層と、
二色性色素を含む偏光層形成用組成物から形成された偏光層と
が、この順で設けられていることを特徴とする。このような本円偏光板の構成において、前記位相差相は1/2波長板であり、前記液晶位相差層が1/4波長板であることが好ましい。まず、本円偏光板の製造方法について説明する。
【0010】
図1は本円偏光板の構成を表す模式図である。
図1(A1)の構成は、液晶位相差層2と、位相差層1と、偏光層3とがこの順で設けられた本円偏光板100に係る。
図1(A2)の構成は、本円偏光板の好ましい構成であり、液晶位相差層2と位相差層1との間に配向層2Aが、偏光層3と位相差層1との間に配向層3Aがそれぞれ、さらに設けられた本円偏光板100に係る。
【0011】
<本円偏光板の製造方法(以下、場合により「本製造方法」という。)>
本円偏光板の製造方法は通常、以下の準備工程、液晶位相差層形成工程及び偏光層形成工程を有する。
準備工程:高分子フィルムを延伸して形成された位相差フィルムを準備する工程;
液晶位相差層形成工程:該位相差フィルムの一方の面に、重合性液晶化合物を含む液晶位相差層形成用組成物を塗布し、塗布された液晶位相差層形成用塗布膜から液晶位相差層を形成する工程;
偏光層形成工程:該位相差フィルムの他方の面に、重二色性色素を含む偏光層形成用組成物を塗布し、塗布された偏光層形成用塗布膜から偏光層を形成する工程。
【0012】
準備工程:
本製造方法の準備工程で準備される位相差フィルムは、高分子フィルムを延伸して形成されたものである。当該高分子フィルムは、光、特に可視光を透過し得る透明性を有するフィルムであることが好ましい。透明性とは、波長380〜780nmに渡る光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。かかる高分子フィルムを構成する高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド及びポリフェニレンオキシドなどが挙げられる。入手の容易性や、透明性がより高い点から、セルロースエステル、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネートから構成される高分子フィルムが好ましい。
【0013】
中でも、位相差性を制御し易いという点で、環状オレフィン系樹脂から構成される高分子フィルム(以下、環状オレフィン系樹脂フィルムということがある。)が特に好ましい。
【0014】
環状オレフィン系樹脂は、市場から容易に入手できる。市販の環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”[Ticona社(独)];“アートン”[JSR(株)];“ゼオノア(ZEONOR)”及び“ゼオネックス(ZEONEX)”[日本ゼオン(株)];“アペル”[三井化学(株)製]などが挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を例えば、溶剤キャスト法や溶融押出法などの公知の製膜手段により製膜して、フィルム(環状オレフィン系樹脂フィルム)とすることができる。また、すでにフィルムの形態で市販されている環状オレフィン系樹脂フィルムも用いることができる。このような市販の環状オレフィン系樹脂フィルムとしては例えば、“エスシーナ”及び“SCA40”[積水化学工業(株)];“ゼオノアフィルム”[オプテス(株)];“アートンフィルム”[JSR(株)]などが挙げられる。
【0015】
環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーなどの環状オレフィンの重合体又は共重合体等から構成されるものである。当該環状オレフィンの重合体又は共重合体は部分的に、開環部を含んでいてもよく、また、水素添加したものでもよい。さらに、当該環状オレフィン系樹脂は、透明性を著しく損なわない点や、著しく吸湿性を増大させない点で例えば、環状オレフィンと、鎖状オレフィンやビニル化芳香族化合物(スチレンなど)との共重合体であってもよい。また、環状オレフィン系樹脂は、その分子内に極性基が導入されていてもよい。
【0016】
前記鎖状オレフィンとしては、エチレン及びプロピレンなどが挙げられる。また、前記ビニル化芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン及びアルキル置換スチレンなどが挙げられる。前記共重合体における、環状オレフィンに由来する構造単位の含有割合は、環状オレフィン系樹脂の全構造単位に対して、通常50モル%以下であり、好ましくは、15〜50モル%である。環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンと、鎖状オレフィンと、ビニル化芳香族化合物とから得られる三元共重合体である場合、鎖状オレフィン由来の構造単位の含有割合は、環状オレフィン系樹脂の全構造単位に対して、通常5〜80モル%であり、ビニル化芳香族化合物由来の構造単位の含有割合は、通常5〜80モル%である。このような三元共重合体の環状オレフィン系樹脂は、該環状オレフィン系樹脂を製造する際に、高価な環状オレフィンの使用量を比較的少なくすることができるという利点がある。
【0017】
高分子フィルムから位相差フィルムを製造する方法としては、高分子フィルムを延伸する方法が挙げられる。延伸する方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
高分子フィルムがロールに巻き取られているロール(巻き取り体)を準備し、かかる巻き取り体から、高分子フィルムを連続的に巻き出し、巻き出された高分子フィルムを加熱炉へと搬送する。
加熱炉の設定温度は、通常、高分子フィルムのガラス転移温度(℃)〜[ガラス転移温度+100](℃)の範囲とし、好ましくは、ガラス転移温度(℃)〜[ガラス転移温度+50](℃)の範囲とする。
当該加熱炉において、高分子フィルムの進行方向へ、又は進行方向と直交する方向へ延伸する際に、搬送方向や張力を調整し任意の角度に傾斜をつけて、一軸又は二軸の延伸を行う。
延伸の倍率は、通常1.1〜6倍であり、好ましくは1.1〜3.5倍である。
また、斜め方向に延伸する方法としては、連続的に配向軸を所望の角度に傾斜させることができるものであれば、特に限定されず、公知の延伸方法が採用できる。このような延伸方法としては例えば、特開昭50−83482号公報や特開平2−113920号公報に記載の方法を挙げることができる。
【0018】
延伸倍率は、高分子フィルムを構成する樹脂の配向複屈折性に応じて決定すればよい。
配向により生じた複屈折Δnと延伸後の厚みdを掛け算した値であるリタデーション値が波長550nmを基準として、200〜320nmの範囲であれば、得られた位相差フィルムは、1/2波長板として使用できる。
かかる、1/2波長板は本偏光板の位相差層として好ましい。
【0019】
高分子フィルムの厚みは、実用的な取扱いができる程度の重量である点、及び、十分な透明性が確保できる点で、薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。高分子フィルムの適当な厚みは、通常、5〜300μmであり、好ましくは20〜200μmであり、さらに好ましくは20〜100μmである。延伸後の位相差フィルムの厚みは、延伸前の高分子フィルムの厚みや延伸倍率によって決定される。
【0020】
液晶位相差層形成工程:
液晶位相差層は、重合性液晶化合物を含む液晶位相差層形成用組成物から形成されたものであり、好ましくは、前記位相差フィルム上に液晶位相差層形成用組成物を塗布することにより得られる液晶位相差層形成用塗布膜から形成されるものである。
液晶位相差層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物としては例えば、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)及び式(VI)でそれぞれ表される化合物が挙げられる。
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-A
13-B
15-A
14-B
16-E
12-B
17-P
12 (I)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-A
13-B
15-A
14-F
11 (II)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-A
13-B
15-E
12-B
17-P
12 (III)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-A
13-F
11 (IV)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-B
14-E
12-B
17-P
12 (V)
P
11-B
11-E
11-B
12-A
11-B
13-A
12-F
11 (VI)
(式中、P
11及びP
12は、重合性基を表わす。
A
11〜A
14は、2価の脂環式炭化水素基または2価の芳香族炭化水素基を表わす。
該2価の脂環式炭化水素基および2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1〜6のアルキル基および該炭素数1〜6アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。また、2価の脂環式炭化水素基を構成する−CH
2−は、−O−、−S−又は−NR
50−に置き換わってもよい。R
50は、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基である。
B
11及びB
17は、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR
16−、−NR
16−CO−、−CO−、−CS−または単結合を表わす。R
16は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。
B
12〜B
16は、それぞれ独立に、−C≡C−、−CH
2−CH
2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR
16−、−NR
16−C(=O)−、−OCH
2−、−OCF
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CR
a=CR
b−、−C≡C−、−CR
a=N−又は単結合を表す。R
a及びR
bは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
E
11及びE
12は、炭素数1〜20のアルカンジイル基を表わし、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する−CH
2−は、−O−、−S−、−NH−または−CO−に置き換わっていてもよい。
F
11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(−SO
3H)、カルボキシ基、炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基及びアルコキシ基に含まれる−CH
2−は、−O−に置き換っていてもよい。]
【0021】
A
11〜A
14で表される2価の芳香族炭化水素基および2価の脂環式炭化水素基の炭素数は、3〜18の範囲であることが好ましく、5〜12の範囲であることがより好ましく、5または6であることが特に好ましい。A
11としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−フェニレン基が好ましい。
【0022】
E
11及びE
12で表される炭素数1〜20のアルカンジイル基としては、直鎖状の炭素数1〜12のアルカンジイル基が好ましい。炭素数1〜12のアルカンジイル基を構成する−CH
2−は、−O−に置き換っていてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、へキサン−1,6−ジイル基、へプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基およびドデカン−1,12−ジイル基等の炭素数1〜12の直鎖状アルカンジイル基;−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−および−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−O−CH
2−CH
2−等が挙げられる。
【0023】
P
11及びP
12で示される重合性基としては、重合反応がし易いという点で、ラジカル重合性基またはカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易な上、重合性液晶化合物の製造自体も容易であることから、重合性基は、下記の式(P−11)〜式(P−15)で表わされる基であることが好ましい。
[式(P−11)〜(P−15)中、
R
17〜R
21はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基または水素原子を表わす。]
【0024】
式(P−11)〜式(P−13)で表わされる基の具体例としては、下記式(P−16)〜式(P−20)で表わされる基が挙げられる。
【0025】
P
11は、式(P−14)〜式(P−20)で表わされる基であることが好ましく、ビニル基、p−スチルベン基、エポキシ基またはオキセタニル基がより好ましい。
P
11−B
11−で表わされる基が、アクリロイルオキシ基またはメタアクリロイルオキシ基であることがさらに好ましい。
【0026】
重合性液晶化合物の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」、「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物が挙げられる。液晶位相差層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物として、異なる複数種の重合性液晶化合物を併用してもよい。
【0027】
液晶位相差層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物の具体例としては、たとえば以下の式(I−1)〜式(I−4)、式(II−1)〜式(II−4)、式(III−1)〜式(III−26)、式(IV−1)〜式(IV−19)、式(V−1)〜式(V−2)、式(VI−1)〜式(VI−6)でそれぞれ表される化合物等が挙げられる。ただし、式中k1及びk2は、2〜12の整数を表す。これらの重合性液晶化合物は、合成が容易であり、また、入手が容易であるため好ましい。
【0035】
液晶位相差層形成用組成物は、は重合性液晶化合物を溶解する溶剤を含む。
該溶剤としては、重合性液晶化合物に対する溶解性が十分で、且つ、重合性液晶化合物の重合反応に対して不活性なものが選ばれる。このような溶剤としては例えば、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリルなどのニトリル溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタンなどのエーテル溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼンなどの塩素置換炭化水素溶媒;などが挙げられる。これらの溶剤は、単独でもよいし、組み合わせてもよい。
【0036】
液晶位相差層形成用組成物における重合性液晶化合物の含有割合は、液晶位相差層形成用組成物の固形分に対して、通常1〜70質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。重合性液晶化合物の含有割合が上記範囲内であれば、塗工する際に、いわゆる液ダレが発生したり、得られた液晶位相差層にムラが発生したりしないため好ましい。ここでいう固形分とは、液晶位相差層形成用組成物から溶剤を除いた成分の合計量のことをいう。なお、複数種の重合性液晶化合物が該液晶位相差層形成用組成物に含有される場合、その合計含有割合が前記の範囲であればよい。
【0037】
液晶位相差層形成用組成物は、重合開始剤を含有すると好ましい。重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、低温条件下で、重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。具体的には、光の作用により活性ラジカル又は酸を発生する化合物が光重合開始剤として用いられる。当該光重合開始剤の中でも、光の作用により活性ラジカルを発生するものがより好ましい。
【0038】
重合開始剤としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩などが挙げられる。
【0039】
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0040】
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0041】
アルキルフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0042】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0043】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン及び2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0044】
光重合開始剤は、市販のものを用いることもできる。市販の光重合開始剤としては、”イルガキュア(Irgacure)907”、”イルガキュア184”、”イルガキュア651”、”イルガキュア819”、”イルガキュア250”、”イルガキュア369”(チバ・ジャパン(株));”セイクオールBZ”、”セイクオールZ”、”セイクオールBEE”(精工化学(株));”カヤキュアー(kayacure)BP100”(日本化薬(株));”カヤキュアーUVI−6992”(ダウ社製);”アデカオプトマーSP−152”、”アデカオプトマーSP−170”((株)ADEKA);”TAZ−A”、”TAZ−PP”(日本シイベルヘグナー社);及び”TAZ−104”(三和ケミカル社)などが挙げられる。
【0045】
液晶位相差層形成用組成物から液晶位相差層を形成するには、位相差フィルムからなる位相差層に、液晶位相差層形成用組成物を塗布して液晶位相差層形成用塗布膜を形成する。この場合、位相差フィルム上の位相差層を形成しようとする面には、予め配向層を形成し、その上に液晶位相差層を形成するのが好ましい。位相差フィルムに形成された配向層上に、液晶位相差層形成用組成物を塗布して液晶位相差層形成用塗布膜を形成すると、当該配向層の作用により、所望の遅相軸を有する液晶位相差層を形成することができる。
【0046】
前記配向層は、液晶位相差層形成用組成物を塗布するなどにより溶解しない程度の溶剤耐性を有すると好ましい。また、液晶位相差層形成用組成物から形成された液晶位相差層形成用塗布膜から溶剤を除去したり、当該塗布膜中の重合性液晶化合物を所望の方向に配向させたりするための加熱処理に対して耐熱性を有すると好ましい。
【0047】
配向層に含まれる配向性ポリマーとしては、例えば分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。
中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向性ポリマーは、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0048】
配向性ポリマーを、溶剤に溶解した配向層形成用組成物として、位相差フィルムに塗布することにより、位相差フィルムに配向層を形成することができる。配向層形成用組成物が含む溶剤としては例えば、上記液晶位相差層形成用組成物が含む溶剤として例示したものの中から、配向性ポリマーを十分溶解するものが挙げられる。
【0049】
配向層形成用組成物としては、市販のものを使用することもできる。市販の配向層形成用組成物としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
【0050】
位相差フィルムに配向層を形成する方法としては、例えば位相差フィルム上に、配向層形成用組成物を塗布し、その後、アニールする方法が挙げられる。このようにして得られる配向層の厚さは、通常10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。
【0051】
配向層に対して配向規制力を付与するために、必要に応じてラビングを行うこと(ラビング法)ができる。配向規制力を付与することにより重合性液晶化合物を所望の方向に配向させることができる。
【0052】
ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、例えばラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを準備し、位相差フィルム上に配向層形成用の塗布膜が形成された積層体をステージに載せて、回転しているラビングロールに向けて搬送することで、該配向層形成用の塗布膜と、回転しているラビングロールとを接触させる方法が挙げられる。
【0053】
また、配向層は、光照射により配向規制力を生じる光誘起型配向性材料からも形成される(以下、光誘起型配向性材料に光照射して形成された配向層を、光配向層ということがある)。光誘起型配向性材料から光配向誘起層を形成し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射し、光配向誘起層に配向規制力を付与することにより配向層は形成される。従って、照射する偏光の方向を選択することにより、自由に重合性液晶化合物の配向方向を制御できるため、より好ましい。光誘起型配向性材料は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーを含む。以下、光誘起型配向性材料と、溶剤とを含む配向層形成用組成物を、光配向層形成用組成物ということがある。光反応性基とは、光を照射すること(光照射)により液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起又は異性化反応、二量化反応、光架橋反応、あるいは光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。当該光反応性基の中でも、二量化反応又は光架橋反応を利用したものが、配向性に優れ、偏光層形成時の液晶状態を保持する点で好ましい。以上のような反応を生じうる光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合を有するものが好ましく、炭素−炭素二重結合(C=C結合)、炭素−窒素二重結合(C=N結合)、窒素−窒素二重結合(N=N結合)、及び炭素−酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する光反応性基が特に好ましい。
【0054】
C=C結合を有する光反応性基としては例えば、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ−ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基及びシンナモイル基などが挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基及び芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基及びホルマザン基などや、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基及びマレイミド基などが挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基及びハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応しうる光反応性基が好ましく、シンナモイル基及びカルコン基が、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向層が得られやすいため好ましい。さらにいえば、光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
【0055】
光配向層形成用組成物の溶剤としては、上記液晶位相差層形成用組成物が含む溶剤として例示したものの中から、光誘起型配向性材料を十分溶解するものが挙げられる。
【0056】
光配向層形成用組成物に対する、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの濃度は、当該光反応性基を有するポリマー又はモノマーの種類や製造しようとする光配向層の厚みによって適宜調節できるが、固形分濃度で表して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3〜10質量%の範囲が特に好ましい。また、光配向層の特性が著しく損なわれない範囲で、該光配向層形成用組成物には、ポリビニルアルコ−ルやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤が含まれていてもよい。
【0057】
位相差フィルム上に、配向層形成用組成物又は光配向層形成用組成物を塗布する方法としては、スピンコ−ティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法及びアプリケータ法などの塗布法や、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が採用される。
【0058】
位相差フィルム上に、光配向層形成用組成物を塗布して形成された光配向誘起層から光配向層を形成する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、光配向層形成用組成物を塗布して得られた塗布膜をアニール処理することで、当該塗布膜に含まれる溶剤を除去する。かかるアニール処理における温度及び時間は、光配向層形成用組成物に含まれる溶剤などの種類に応じて適切な条件が採用される。
【0059】
アニール処理後の光配向誘起層に、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することによって配向規制力を付与することができる。このような偏光照射によって所望の配向方向に配向規制力を有する配向層が得られる。本発明においては、基板である位相差フィルムの遅相軸に対して水平でも垂直でもない方向に偏光照射する必要があり、位相差フィルムの遅相軸に対して実質的に60°あるいは−60°の方向に照射するのが好ましい。
【0060】
かくして形成された配向層の厚みは、本円偏光板の総厚みが後述する範囲を著しく超えないようにして定められるが、通常10〜1000nmである。かかる配向層の厚みは、配向層形成用組成物を塗布することにより形成された塗布膜の厚みによりコントロールすることができる。配向層の厚みは、干渉膜厚計やレーザー顕微鏡あるいは触針式膜厚計の測定で求められる。
【0061】
続いて、形成された配向層上に液晶位相差層形成用組成物を塗布する。塗布方法としては、配向層形成用組成物の塗布方法として例示したものと同じものが挙げられる。
【0062】
次に、配向層上に塗布して形成された液晶位相差層形成用塗布膜に含まれる溶媒を乾燥除去することにより、乾燥被膜が形成される。乾燥方法としては例えば、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法などが挙げられる。
【0063】
続いて、乾燥被膜に光を照射して乾燥被膜中の重合性液晶化合物を重合して液晶位相差層を形成する。乾燥被膜に照射する光は、当該乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物の種類又は重合開始剤の種類、及びその量に応じて適宜、可視光、紫外光、レーザー光又は活性電子線から選択される。これらのうち、重合反応の進行をコントロールし易い点や、光重合に係る装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましい。よって、紫外光によって、重合できるように、前記液晶位相差層形成用組成物に含有される重合性液晶化合物及び光重合開始剤の種類を選択する。
【0064】
かくして形成された液晶位相差層の厚みは、本円偏光板の総厚みが後述する範囲を著しく超えないようにして定められるが、通常0.5〜5.0μmである。かかる液晶位相差層の厚みは、液晶位相差層形成用組成物を塗布することにより形成される液晶位相差層形成用塗布膜の厚みや重合性液晶化合物の複屈折率を制御することによりコントロールすることができる。
【0065】
偏光層形成工程:
次に、液晶位相差層と位相差フィルムとが積層された積層体、好ましくは、液晶位相差層と、配向層と、位相差フィルムとが積層された積層体の位相差フィルム側(すなわち、液晶位相差層が設けられた面と反対の面)に偏光層を形成する。
【0066】
まずは、偏光層形成に用いる偏光層形成用組成物について説明する。該偏光層形成用組成物は二色性色素を含む。二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。このような性質を有するものであれば、二色性色素は、染料であっても顔料であってもよく、複数種の化合物の混合物であってもよい。
【0067】
前記二色性色素としては、300〜700nmの範囲に極大吸収波長(λMAX)を有するものが好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素及びアントラキノン色素などが挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素及びスチルベンアゾ色素などが挙げられ、好ましくはビスアゾ色素及びトリスアゾ色素である。
【0068】
アゾ色素としては、例えば、式(1)で表される化合物(以下、場合により「化合物(1)」という。)が挙げられる。
A
1(−N=N−A
2)
p−N=N−A
3 (1)
[式(1)中、
A
1及びA
3は、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。A
2は、置換基を有していてもよいp−フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基又は置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。pは1〜4の整数を表す。pが2以上の整数である場合、複数のA
2は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0069】
1価の複素環基としては、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール及びベンゾオキサゾールなどの複素環化合物から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。複素環化合物から2個の水素原子を除いた基が、2価の複素環基に該当し、かかる複素環化合物の具体例は、上述のとおりである。
【0070】
A
1及びA
3におけるフェニル基、ナフチル基及び1価の複素環基、並びにA
2におけるp−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基及び2価の複素環基が任意に有する置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基及びブトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基及びピロリジノ基などの置換又は無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1〜6のアルキル基を1つ又は2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2〜8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は、−NH
2である。)が挙げられる。
【0071】
化合物(1)のなかでも、以下の式(1−1)〜式(1−6)でそれぞれ表される化合物が好ましい。
[式(1−1)〜(1−6)中、
R
1〜R
20は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基(置換アミノ基及び無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
n1〜n4は、互いに独立に0〜3の整数を表す。
n1が2以上である場合、複数のR
2は互いに同一でも異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のR
6は互いに同一でも異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のR
9は互いに同一でも異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のR
14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0072】
前記偏光層形成用組成物は、二色性色素のほかに、好ましくは重合性液晶化合物を含む。重合性液晶化合物の定義は、液晶位相差層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物と同じであるが、偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物はスメクチック相の液晶状態を示すものが好ましく、高次スメクチック相の液晶状態を示すものがさらに好ましい。
【0073】
高次スメクチック相とは、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相及びスメクチックL相であり、中でも、スメクチックB相、スメクチックF相及びスメクチックI相がより好ましい。重合性液晶化合物が示すスメクチック液晶相がこれらの高次スメクチック相であると、配向秩序度のより高い偏光層を形成できることから、とりわけ好ましい。また、このように配向秩序度の高い偏光膜はX線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られるものである。当該ブラッグピークとは、分子配向の面周期構造に由来するピークであり、本発明の偏光層形成用組成物によれば、周期間隔が3.0〜5.0Åである本偏光膜を得ることができる。
【0074】
重合性液晶化合物としては、液晶位相差層形成用組成物が含む重合性液晶化合物と同一のものが挙げられる。好ましくは、式(2)で表される化合物(以下、場合により「化合物(2)」という)が挙げられる。化合物(2)は、スメクチック相の液晶状態を示し易いため好ましい。
U
1−V
1−W
1−X
1−Y
1−X
2−Y
2−X
3−W
2−V
2−U
2 (2)
[式(2)中、
X
1、X
2及びX
3は、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表す。ただし、X
1、X
2及びX
3のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である。置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基を構成する−CH
2−は、−O−、−S−又は−NR−に置き換わっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基である。
Y
1及びY
2は、互いに独立に、−CH
2CH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CR
a=CR
b−、−C≡C−又は−CR
a=N−を表す。R
a及びR
bは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
U
1は、水素原子又は重合性基を表す。
U
2は、重合性基を表す。
W
1及びW
2は、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−又は−OCOO−を表す。
V
1及びV
2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する−CH
2−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。]
【0075】
化合物(2)において、上述のように、X
1、X
2及びX
3のうち、少なくも2つが、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であることが好ましい。
置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基は、無置換であることが好ましい。置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基は、置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基であることが好ましく、置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基は無置換であることがより好ましい。
【0076】
置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は前記シクロへキサン−1,4−ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基及びブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;シアノ基;ハロゲン原子などが挙げられる。
【0077】
化合物(2)のY
1は、−CH
2CH
2−、−COO−又は単結合であると好ましく、Y
2は、−CH
2CH
2−又は−CH
2O−であると好ましい。
【0078】
U
2は、重合性基である。U
1は、水素原子又は重合性基であり、好ましくは重合性基である。U
1及びU
2は、ともに重合性基であると好ましく、ともに光重合性基であるとより好ましい。光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。光重合性基を有する重合性液晶化合物を用いると、より低温条件下で化合物(2)を重合できる点でも有利である。
【0079】
化合物(2)において、U
1及びU
2の重合性基は互いに異なっていてもよいが、同じ種類の基であることが好ましい。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0080】
V
1及びV
2が表す置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基における、炭素数1〜20のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基及びイコサン−1,20−ジイル基などが挙げられる。V
1及びV
2は、好ましくは炭素数2〜12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6〜12のアルカンジイル基である。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基及びハロゲン原子などを挙げることができるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換且つ直鎖状のアルカンジイル基であることがより好ましい。
【0081】
W
1及びW
2は、互いに独立に、好ましくは単結合又は−O−である。
【0082】
化合物(2)としては、式(2−1)〜式(2−23)でそれぞれ表される化合物などが挙げられる。かかる化合物(2)の具体例が、シクロヘキサン−1,4−ジイル基を有する場合、そのシクロヘキサン−1,4−ジイル基は、トランス体であることが好ましい。
【0087】
偏光層形成用組成物が含む重合性液晶化合物は、単独又は組み合わせてもよい。組み合わせる場合、少なくとも1種が化合物(2)であると好ましい。
重合性液晶化合物を2種組み合わせる場合の混合比としては、通常、1:99〜50:50であり、好ましくは5:95〜50:50であり、より好ましくは10:90〜50:50である。
偏光層形成用組成物の重合は、予め偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物の相転移温度を求め、その相転移温度を下回る温度条件で、該重合性液晶化合物が重合するように、重合性液晶化合物以外の成分を調整して実施する。なお、偏光層形成用組成物に、2種以上の重合性液晶組成物の混合物を用いる場合にも、当該2種以上の重合性液晶化合物の混合物の相転移温度を求めた後、同様に実施する。
【0088】
例示した化合物(2)の中でも、それぞれ、式(2−2)、式(2−3)、式(2−4)、式(2−6)、式(2−7)、式(2−8)、式(2−13)、式(2−14)及び式(2−15)で表される化合物が好ましい。これらの重合性液晶化合物は、2種以上を混合することで、相転移温度を下回る温度条件下で、すなわち高次のスメクチック相の液晶状態を十分に保持したままで、重合することができる。より具体的には、これらの重合性液晶化合物は、70℃以下、好ましくは60℃以下の温度条件下で、高次のスメクチック相の液晶状態を十分に保持したまま重合することができる。
【0089】
偏光層形成用組成物における重合性液晶化合物の含有割合は、偏光層形成用組成物の固形分に対して、70〜99.9質量%が好ましく、90〜99.9質量%がより好ましい。重合性液晶化合物の含有割合が上記範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向性が高くなる傾向がある。ここで、固形分とは、偏光層形成用組成物から溶剤を除いた成分の合計量のことをいう。
【0090】
偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物は、例えば、Lub et al. Recl.Trav.Chim.Pays−Bas,115, 321−328(1996)、又は特許第4719156号に記載の公知方法で製造される。
【0091】
偏光層形成用組成物は、好ましくは溶剤を含む。
溶剤には、重合性液晶化合物及びに二色性色素を完全に溶解し得る溶剤が好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましく、その具体例としては、上記液晶位相差層形成用組成物が含む溶剤と同様のものが挙げられる。
【0092】
溶剤の含有量は、前記偏光層形成用組成物の総量に対して50〜98質量%が好ましい。換言すると、偏光層形成用組成物における固形分は、2〜50質量%が好ましい。
【0093】
偏光層形成用組成物は、レベリング剤を含むと好ましい。該レベリング剤とは、偏光層形成用組成物の流動性を調整し、偏光層形成用組成物を塗布して得られる偏光層形成用塗布膜をより平坦にする機能を有するものであり、界面活性剤などを挙げることができる。
好ましいレベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤及びフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤等が挙げられる。
【0094】
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、”BYK−350”、”BYK−352”、”BYK−353”、”BYK−354”、”BYK−355”、”BYK−358N”、”BYK−361N”、”BYK−380”、”BYK−381”及び”BYK−392”[BYK Chemie社]などが挙げられる。
【0095】
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、”メガファックR−08”、同”R−30”、同”R−90”、同”F−410”、同”F−411”、同”F−443”、同”F−445”、同”F−470”、同”F−471”、同”F−477”、同”F−479”、同”F−482”及び同”F−483”[DIC(株)];”サーフロンS−381”、同”S−382”、同”S−383”、同”S−393”、同”SC−101”、同”SC−105”、”KH−40”及び”SA−100”[AGCセイミケミカル(株)];”E1830”、”E5844”[(株)ダイキンファインケミカル研究所];”エフトップEF301”、同”EF303”、同”EF351”及び同”EF352”[三菱マテリアル電子化成(株)]などが挙げられる。
【0096】
偏光層形成用組成物がレベリング剤を含む場合、その含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.3質量部以上5質量部以下であり、好ましくは0.5質量部以上3質量部以下である。レベリング剤の含有量が前記の範囲内であると、重合性液晶化合物を水平配向させることが容易であり、かつ得られる偏光膜がより平滑となる傾向がある。重合性液晶化合物に対するレベリング剤の含有量が前記の範囲を超えると、得られる偏光層にムラが生じやすい傾向がある。なお、該偏光層形成用組成物は、レベリング剤を2種類以上含んでもよい。
【0097】
偏光層形成用組成物は、重合開始剤を含有すると好ましい。重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、低温条件下で、重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。具体的には、光の作用により活性ラジカル又は酸を発生する化合物が光重合開始剤として用いられる。当該光重合開始剤の中でも、光の作用により活性ラジカルを発生するものがより好ましい。
【0098】
重合開始剤としては、液晶位相差層形成用組成物が含む重合開始剤と同様のものが挙げられる。
【0099】
偏光層形成用組成物が重合開始剤を含有する場合、その含有量は、偏光層形成用組成物に含まれる重合性液晶化合物の種類及びその量に応じて適宜調節できるが、重合性液晶化合物の合計100質量部に対する重合開始剤の含有量は、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜15質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。重合性開始剤の含有量が、この範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができるため好ましい。
【0100】
偏光層形成用組成物が光重合開始剤を含む場合、該偏光層形成用組成物には光増感剤を含んでもよい。光増感剤としては、例えば、キサントン及びチオキサントンなどのキサントン化合物(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなど);アントラセン及びアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセンなど)などのアントラセン化合物;フェノチアジン及びルブレンなどが挙げられる。
【0101】
偏光層形成用組成物が光重合開始剤及び光増感剤を含有するものである場合、当該偏光層形成用組成物に含有される重合性液晶化合物の重合反応はより促進される。かかる光増感剤の含有量は、併用する光重合開始剤及び重合性液晶化合物の種類及びその量に応じて適宜調節できるが、重合性液晶化合物の合計100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。
【0102】
偏光層形成用組成物は、重合性液晶化合物の重合反応を安定的に進行させるために、重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤により、重合性液晶化合物の重合反応の進行度合いをコントロールすることができる。
【0103】
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、アルコキシ基含有ハイドロキノン、アルコキシ基含有カテコール(例えば、ブチルカテコールなど)、ピロガロール、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカルなどのラジカル補足剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類及びβ−ナフトール類などが挙げられる。
【0104】
偏光層形成用組成物が重合禁止剤を含む場合、その含有量は、併用する重合性液晶化合物の種類及びその量、並びに光増感剤の使用量などに応じて適宜調節できるが、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。重合禁止剤の含有量が、上記範囲内であれば、偏光層形成用組成物に含有される重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合させることができるため好ましい。
【0105】
偏光層形成用組成物における二色性色素の含有量は、当該二色性色素の種類などに応じて適宜調節できるが、重合性液晶化合物の合計100質量部に対して、通常0.1質量部以上50質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上15質量部以下である。二色性色素の含有量が、この範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく、当該重合性液晶化合物を重合させることができるため好ましい。
【0106】
続いて、偏光層形成用組成物を用いて位相差フィルム上、好ましくは配向層上に偏光層を形成する方法について説明する。
【0107】
まず位相差フィルム上に、偏光層形成用組成物を塗布して偏光層形成用塗布膜を形成する。この場合、位相差フィルム上の偏光層を形成しようとする面には、予め配向層を設けておくと好ましい。かかる配向層の形成方法としては、液晶位相差層形成の説明で述べた、配向層の形成方法と同じ方法が挙げられる。偏光層と位相差フィルムとの間に設ける配向層は、液晶位相差層と位相差フィルムとの間に設ける配向層と同じく、光配向層が好ましい。偏光層と位相差フィルムとの間に設ける配向層の厚みは、本円偏光板の総厚みが後述する範囲を著しく超えないようにして定められるが、通常10〜1000nmである。
本発明においては、基板である位相差フィルムの遅相軸に対して水平でも垂直でも無いように偏光照射する必要があり、位相差フィルムの遅相軸に対して実質的に15°あるいは−15°の方向に照射するのが好ましい。
【0108】
配向層上に偏光層形成用組成物を塗布する方法としては、配向層形成用組成物の塗布方法として例示したものと同じ方法が挙げられる。
【0109】
次に、偏光層形成用塗布膜に含まれる重合性液晶化合物が重合しない条件で溶剤を乾燥除去することにより、乾燥被膜が形成される。乾燥方法としては、例えば自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。続いて、乾燥被膜に含まれる重合性液晶組成物の液晶状態をネマチック相にした後、当該ネマチック相をスメクチック相に転移させると好ましい。このようにネマチック相を経由してスメクチック相を形成するためには、例えば、乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物がネマチック相の液晶状態に相転移する温度以上に加熱し、次いで該重合性スメクチック液晶化合物がスメクチック相の液晶状態を示す温度まで冷却するといった方法が採用される。
【0110】
乾燥被膜中の重合性液晶化合物をスメクチック液晶状態としたり、ネマチック液晶状態を経由してスメクチック液晶状態としたりする場合、該重合性液晶化合物の相転移温度を測定することで、液晶状態を制御する条件(加熱条件)を容易に求めることができる。
【0111】
次に、重合性液晶化合物の重合工程について説明する。ここでは、偏光層形成用組成物に光重合開始剤を含有させ、乾燥被膜中の重合性液晶化合物の液晶状態をスメクチック相にした後、このスメクチック相の液晶状態を保持したまま、該重合性液晶化合物を光重合させる方法について詳述する。光重合において、乾燥被膜に照射する光としては、当該乾燥被膜に含まれる光重合開始剤の種類、又は重合性液晶化合物の種類(特に、重合性液晶化合物が有する重合性基の種類)及びその量に応じて適宜、可視光、紫外光及びレーザー光からなる群より選択される光や活性電子線によって行うことができる。これらのうち、重合反応の進行をコントロールし易い点や、光重合に係る装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましい。よって、紫外光によって、光重合できるように、前記偏光層形成用組成物に含有される重合性液晶化合物や光重合開始剤の種類を選択しておくと好ましい。また、重合させる際には、紫外光照射とともに適当な冷却手段により、乾燥被膜を冷却することで重合温度をコントロールすることもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性液晶化合物の重合を実施できれば、位相差フィルムに比較的耐熱性が低いものを用いたとしても、適切に偏光層を形成できるという利点もある。なお、光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた偏光層を得ることもできる。
【0112】
以上のような光重合を行うことにより、前記重合性液晶化合物は、スメクチック相、好ましくは、すでに例示したような高次のスメクチック相の液晶状態を保持したまま重合し、偏光層が形成される。重合性液晶化合物がスメクチック相の液晶状態を保持したまま重合して得られる偏光層は、前記二色性色素の作用にも伴い、従来のホストゲスト型偏光層、すなわち、ネマチック相の液晶状態を保持したままで重合性液晶化合物などを重合させて得られる偏光層と比較してはるかに偏光性能が高いという利点がある。さらに、二色性色素やリオトロピック液晶のみを塗布したものと比較して、強度に優れるという利点がある。
【0113】
かくして形成された偏光層の厚みは、本円偏光板の総厚みが後述する範囲を著しく超えないようにして定められるが例えば、0.5μm以上10μm以下の範囲が好ましく、1μm以上5μm以下がさらに好ましい。
【0114】
以上、説明した本製造方法により本円偏光板を製造することができるが、ここで説明した本製造方法において、液晶位相差層形成工程及び偏光層形成工程の順番は逆にしてもよい。ここまで説明してきた本製造方法は、準備工程、液晶位相差層形成工程及び偏光層形成工程をこの順で実施する方法によるものであるが、準備工程、偏光層形成工程及び液晶位相差層形成工程をこの順で実施したとしても、本円偏光板を得ることができる。この場合の各工程の条件などはすでに説明したとおりである。
【0115】
以上、本発明における円偏光板の製造方法の概要を説明したが、商業的に本円偏光板を製造する際には、連続的に本偏光板を製造できる方法が求められる。このような連続的製造方法の好適な例としてはRolltoRoll形式による方法(以下、場合により「連続的な本製造方法」という。)が挙げられる。
【0116】
連続的な本製造方法の一実施態様としては、例えば、
(i)位相差フィルムが巻芯に巻き取られているロールを準備する工程;
(ii)該ロールから、該位相差フィルムを連続的に送り出す工程;
(iii)該位相差フィルム上に配向層形成用組成物を塗布し、該位相差フィルム上に第一配向層を連続的に形成する工程;
(iv)(iii)で形成された第一配向層上に液晶位相差層形成用組成物を塗布し、第一配向層上に連続的に液晶位相差層を形成する工程;
(v)該位相差フィルムの該液晶位相差層を形成した面の反対の面に、配向層形成用組成物を塗布し、該位相差フィルム上に第二配向層を連続的に形成する工程;
(vi)(v)で形成された第二配向層上に偏光層形成用組成物を塗布し、第二配向層上に連続的に偏光層を形成し、本円偏光板を得る工程;
(vii)連続的に得られた本円偏光板を第2の巻芯に巻き取り、第2ロールを得る工程。
以下、この連続的な本製造方法を、
図2を参照して説明するが、同図において、(iii)及び(v)に該当する配向層の形成については詳細を省略する。
【0117】
まず、(i)において位相差フィルムが巻き取られているロール210を準備する。
(ii)は第1ロール210から位相差フィルム110を連続的に巻き出し、(iii)で位相差フィルムの片面に、第一配向層を形成(図示はしない)して、片面に配向層が形成された第1積層体120が得られる。
【0118】
続いて、(iv)では、(iii)で形成された第一配向層上に液晶位相差層が形成される。具体的には、塗布装置211Aを用いて液晶位相差層形成用組成物を塗布して、該配向層上に液晶位相差層形成用塗布膜を形成する。形成された前記塗布膜は位相差フィルムとともに、乾燥装置212Aを通過して、溶剤などが除去される。さらに、光照射装置213Aにより光照射を行い、位相差層と、液晶位相差層とが設けられた第2積層体140が得られる。
【0119】
続いて、(v)では、第2積層体140の液晶位相差層が設けられた面と反対の面に、第二配向層を形成(図示はしない)して、第二配向層が形成された第3積層体150が得られる。
【0120】
(v)で得られた第3積層体150の第二配向層上に、(vi)において偏光層が形成される。具体的には、塗布装置211Bを用いて偏光層形成用組成物を塗布して、第二配向層上に偏光層形成用塗布膜を形成する。形成された前記塗布膜は位相差フィルムとともに、乾燥装置212Bを通過して、溶剤などが除去される。さらに、光照射装置213Bにより光照射を行い、液晶位相差層と、位相差層と、偏光層とがこの順で設けられた本円偏光板100が得られる。
【0121】
得られた本円偏光板100を、第2の巻芯に巻き取り、第2ロール220が得られる。
【0122】
本円偏光板の総厚みは、薄型化が求められる表示装置に適したものとなる。かかる総厚みは、通常20〜200μmであり、20〜100μmであると好ましい。
【0123】
かくして得られる本円偏光板100は、さらに本円偏光板の用途に応じて所望の寸法に裁断された表示装置の部材として使用される。
【0124】
好ましい本円偏光板は、液晶位相差層、位相差層及び偏光層の遅相軸などのなす角度をコントロールする。
図1を参照して本円偏光板100の好ましい態様を示す。本円偏光板100において、位相差層1は1/2波長板として機能するものであり、且つ、液晶位相差層は1/4波長板として機能するものであると好ましい。そして、位相差層1(1/2波長板)の遅相軸に対する液晶位相差層2(1/4波長板)の遅相軸のなす角度のうち、小さい角度(AG2)と、位相差層1(1/2波長板)の遅相軸に対する偏光層3の吸収軸あるいは透過軸のなす角度のうち、小さい角度(AG3)はそれぞれ以下のような組み合わせであると好ましい。
・AG2が実質的に60°であり、AG3が実質的に−15°である組み合わせ
・AG2が実質的に90°であり、AG3が実質的に−22.5°である組み合わせ
【0125】
本円偏光板は、さまざまな表示装置に用いることができる。表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子又は発光装置を含む。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置及び投写型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。特に有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置又は無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置の表示装置に有効に用いることができる。
【0126】
本円偏光板を備えた表示装置の一例として、EL表示装置(以下、場合により「本EL表示装置」という。)を、
図3を参照して説明する。本EL表示装置30は、画素電極35が形成された基板33上に、発光源である有機機能層36、及びカソード電極37が積層されたものである。基板33を挟んで有機機能層36と反対側に、本円偏光板100が配置される。画素電極35にプラスの電圧、カソード電極37にマイナスの電圧を加え、画素電極35及びカソード電極37間に直流電流を印加することにより、有機機能層36が発光する。発光源である有機機能層36は、電子輸送層、発光層及び正孔輸送層などからなる。有機機能層36から出射した光は、画素電極35、層間絶縁膜34、基板33、本円偏光板100を通過する。有機機能層36を有する有機EL表示装置について説明するが、無機機能層を有する無機EL表示装置にも適用してもよい。
【0127】
本EL表示装置30を製造するには、まず、基板33上に薄膜トランジスタ40を所望の形状に形成する。そして層間絶縁膜34を成膜し、次いで画素電極35をスパッタ法で成膜し、パターニングする。その後、有機機能層36を積層する。
【0128】
次いで、基板33の薄膜トランジスタ40が設けられている面の反対の面に、本円偏光板100を設ける。その場合には、本円偏光板100の位相差層2が、基板33側になるように配置される。
【0129】
次に、本EL表示装置30の本円偏光板100以外の部材について簡単に説明する。
【0130】
基板33としては、サファイアガラス基板、石英ガラス基板、ソーダガラス基板及びアルミナなどのセラミック基板;銅などの金属基板;プラスチック基板などが挙げられる。
図示はしないが、基板33上に熱伝導性膜を形成してもよい。熱伝導性膜としては、ダイヤモンド薄膜(DLCなど)などが挙げられる。画素電極35を反射型とする場合は、基板33とは反対方向へ光が出射する。したがって、透明材料だけでなく、ステンレスなどの非透過材料を用いることができる。基板は単一で形成されていてもよく、複数の基板を接着剤で貼り合わせて積層基板として形成されていていてもよい。また、これらの基板は、板状のものに限定するものではなく、フィルムであってもよい。
【0131】
薄膜トランジスタ40としては例えば、多結晶シリコントランジスタなどを用いればよい。薄膜トランジスタ40は、画素電極35の端部に設けられ、その大きさは10〜30μm程度である。なお、画素電極35の大きさは20μm×20μm〜300μm×300μm程度である。
【0132】
基板33上には、薄膜トランジスタ40の配線電極が設けられている。配線電極は抵抗が低く、画素電極35と電気的に接続して抵抗値を低く抑える機能があり、一般的にはその配線電極は、Al、Al及び遷移金属(ただしTiを除く)、Ti又は窒化チタン(TiN)のいずれか1種又は2種以上を含有するものが使われる。
【0133】
薄膜トランジスタ40と画素電極35との間には層間絶縁膜34が設けられる。層間絶縁膜34は、SiO
2などの酸化ケイ素、窒化ケイ素などの無機系材料をスパッタや真空蒸着で成膜したもの、SOG(スピン・オン・グラス)で形成した酸化ケイ素層、フォトレジスト、ポリイミド及びアクリル樹脂などの樹脂系材料の塗膜など、絶縁性を有するものであればいずれであってもよい。
【0134】
層間絶縁膜34上に、リブ41を形成する。リブ41は、画素電極35の周辺部(隣接画素間)に配置されている。リブ41の材料としては、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂などが挙げられる。リブ41の厚みは、好ましくは1.0μm以上3.5μmであり、より好ましくは1.5μm以上2.5μm以下である。
【0135】
次に、透明電極である画素電極35と、発光源である有機機能層36と、カソード電極37とからなるEL素子について説明する。有機機能層36は、それぞれ少なくとも1層のホール輸送層及び発光層を有し、例えば、電子注入輸送層、発光層、正孔輸送層及び正孔注入層を順次有する。
【0136】
画素電極35としては、例えば、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、IGZO、ZnO、SnO
2及びIn
2O
3などが挙げられるが、特にITOやIZOが好ましい。画素電極35の厚さは、ホール注入を十分行える一定以上の厚さを有すればよく、10〜500nm程度とすることが好ましい。
画素電極35は、蒸着法(好ましくはスパッタ法)により形成することができる。スパッタガスとしては、特に制限するものではなく、Ar、He、Ne、Kr及びXeなどの不活性ガス、あるいはこれらの混合ガスを用いればよい。
【0137】
カソード電極37の構成材料としては例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn及びZrなどの金属元素が用いられればよいが、電極の作動安定性を向上させるためには、例示した金属元素から選ばれる2成分又は3成分の合金系を用いることが好ましい。合金系としては、例えばAg・Mg(Ag:1〜20at%)、Al・Li(Li:0.3〜14at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)及びAl・Ca(Ca:5〜20at%)などが好ましい。
カソード電極37は、蒸着法及びスパッタ法などにより形成される。カソード電極37の厚さは、0.1nm以上、好ましくは1〜500nm以上であることが好ましい。
【0138】
正孔注入層は、画素電極35からの正孔の注入を容易にする機能を有し、正孔輸送層は、正孔を輸送する機能及び電子を妨げる機能を有し、電荷注入層や電荷輸送層とも称される。
発光層の厚さ、正孔注入層と正孔輸送層とを併せた厚さ、及び電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法によっても異なるが、5〜100nm程度とすることが好ましい。正孔注入層や正孔輸送層には、各種有機化合物を用いることができる。正孔注入輸送層、発光層及び電子注入輸送層の形成には、均質な薄膜が形成できる点で真空蒸着法を用いることができる。
【0139】
発光源である有機機能層36としては、1重項励起子からの発光(蛍光)を利用するもの、3重項励起子からの発光(燐光)を利用するもの、1重項励起子からの発光(蛍光)を利用するものと3重項励起子からの発光(燐光)を利用するものとを含むもの、有機物によって形成されたもの、有機物によって形成されたものと無機物によって形成されたものとを含むもの、高分子の材料、低分子の材料、高分子の材料と低分子の材料とを含むものなどを用いることができる。ただし、これに限定されず、EL素子用として公知の様々なものを用いた有機機能層36を、本EL表示装置30に用いることができる。
【0140】
カソード電極37と封止フタ39との空間には乾燥剤38を配置する。これは、有機機能層36は湿度に弱いためである。乾燥剤38により水分を吸収し有機機能層36の劣化を防止する。
【0141】
図4は、本EL表示装置30の別態様の断面構成を表す概略図である。この本EL表示装置30は、薄膜封止膜42を用いた封止構造を有し、アレイ基板の反対面からも出射光を得ることができる。
薄膜封止膜42としては電解コンデンサのフィルムにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を蒸着したDLC膜を用いることが好ましい。DLC膜は水分浸透性が極めて悪いという特性があり、防湿性能が高い。また、DLC膜などをカソード電極37の表面に直接蒸着して形成してもよい。また、樹脂薄膜と金属薄膜とを多層に積層して、薄膜封止膜41を形成してもよい。
【0142】
本円偏光板100を備えた本EL表示装置は、本円偏光板100が極めて優れた反射防止性能を有するので、明所で観察する際に黒表示の着色が無く、表示装置としての特性に優れたものとなる。
【実施例】
【0143】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0144】
実施例1
〔液晶位相差層形成用組成物(1)の調製〕
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、液晶位相差層形成用組成物(1)を得た。
重合性液晶化合物;商品名 LC−242 BASF社製 100部
重合開始剤;
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン
(イルガキュア907;チバ スペシャルティケミカルズ社製) 3部
溶剤;シクロペンタノン 250部
【0145】
〔光配向層形成用組成物(1)の調製〕
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、光配向層形成用組成物(1)を得た。
光誘起型配向性材料; 5部
溶剤;シクロペンタノン 95部
【0146】
〔偏光層形成用組成物(1)の調製〕
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、二色性色素を含有する偏光層形成用組成物を得た。
重合性液晶化合物;
化合物(2−6) 75部
化合物(2−7) 25部
二色性色素;
二色性色素(1−1−1) 2.5部
二色性色素(1−1−2) 2.5部
二色性色素(1−3−1) 2.5部
重合開始剤;
2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア369;チバ スペシャルティケミカルズ社製) 6部
レベリング剤;
ポリアクリレート化合物(BYK−361N;BYK−Chemie社製)
1.5部
溶剤;シクロペンタノン 250部
【0147】
〔相転移温度の測定〕
偏光層形成用組成物(1)をガラス上に塗布・乾燥してサンプルを作製し、偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって相転移温度を確認した。偏光層形成用組成物(1)から得られた乾燥被膜は、140℃まで昇温後、降温時において、108℃でネマチック相に相転移し、101℃でスメクチックA相に相転移し、76℃でスメクチックB相へ相転移した。
【0148】
〔本円偏光板の製造〕
1.第二配向層の形成
位相差フィルムには、環状オレフィン系樹脂の一軸延伸フィルムである1/2波長板(ゼオノアフィルム、日本ゼオン株式会社、面内位相差値Ro:270nm)を用いた。
該位相差フィルム上に、光配向層形成用組成物(1)をバーコート法により塗布し、60℃の乾燥オーブンにて1分間加熱乾燥した。得られた光配誘起層に偏光UVを照射し、光配向層を形成した。偏光UVは、UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長365nmで測定した強度が100mJの条件で照射した。また、偏光UVの偏光方向は位相差フィルムからなる位相差層の遅相軸に対して15°となるように行った。
【0149】
2.偏光層の形成
第二配向層上に、偏光層形成用組成物(1)をバーコート法により塗布し、120℃の乾燥オーブンにて1分間加熱乾燥した後、室温まで冷却して乾燥被膜を得た。UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、露光量1200mJ/cm
2(365nm基準)の紫外線を、得られた乾燥被膜に照射し、偏光層を形成し、偏光層付き位相差フィルム(1)を得た。この際の偏光層の厚さをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製 OLS3000)により測定したところ、1.9μmであった。
【0150】
3.第一配向層の形成
得られた偏光層付き位相差フィルム(1)の偏光層とは反対の面上に、光配向層形成用組成物(1)をバーコート法により塗布し、60℃の乾燥オーブン中で1分間加熱乾燥した。その後、得られた光配向誘起層に偏光UVを照射処理して光配向層を形成した。偏光UVは、上記第二配向層と同様の条件で照射した。偏光UVの偏光方向は位相差フィルムからなる位相差層の遅相軸に対して60°(この際、偏光膜の吸収軸は−15°)となるように行った。
【0151】
4.位相差層の形成
第一配向層上に、液晶位相差層形成用組成物(1)をバーコート法により塗布し、50℃の乾燥オーブンにて1分間加熱乾燥した後、室温まで冷却して乾燥被膜を得た。UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、露光量500mJ/cm
2(365nm基準)の紫外線を、得られた乾燥被膜に照射し、液晶位相差層を形成し、本円偏光板(1)を得た。この際の位相差層の厚さをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製 OLS3000)により測定したところ、1.0μmであった。本円偏光板(1)の総厚みを接触式膜厚計により測定したところ、46μmであった。
【0152】
〔本円偏光板(1)の評価〕
1.X線回折測定
本円偏光板(1)の偏光層に対して、X線回折装置X’Pert PRO MPD(スペクトリス株式会社製)を用いてX線回折測定を行った。ターゲットとしてCuを用いてX線管電流40mA、X線管電圧45kVの条件で発生したX線を固定発散スリット1/2°を介してラビング方向(予め、偏光層下にある配向層のラビング方向を求めておく。
)から入射させ、走査範囲2θ=4.0〜40.0°の範囲で2θ=0.01671°ステップで走査して測定を行った結果、2θ=20.12°付近にピーク半価幅(FWHM)=約0.29°のシャープな回折ピーク(ブラッグピーク)が得られた。また、配向垂直方向からの入射でも同等な結果を得た。ピーク位置から求めた秩序周期(d)は約4.4Åであり、高次スメクチック相を反映した構造を形成していることがわかった。
【0153】
2.反射率の測定
本円偏光板(1)の有用性を確認するため、以下のようにして反射率を測定した。作製した本円偏光板(1)の液晶位相差層側と反射板(鏡面アルミニウム板)とを粘着剤を用いて貼合して測定サンプルを準備した。
分光光度計(島津製作所株式会社製 UV−3150)を用いて、波長400から700nmの範囲の光を2nmステップで測定サンプルに対し法線方向12°から入射し、反射した光の反射率を測定した。本円偏光板(1)を貼合せずに反射板のみを配置して測定した際の反射率を100%として比較したところ、400から700nmの範囲の光は、いずれの波長でも1〜10%程度であり、可視光全域に渡って十分な反射防止特性が得られた。
【0154】
実施例2
実施例1と同様にして、位相差フィルムの一方の面に光配向層(偏光UVの偏光方向は位相差フィルムの遅相軸に対して60°)を形成し、その光配向層上に液晶位相差層を形成した。その後、液晶位相差付き位相差フィルムの液晶位相差と反対の面上に、光配向層(偏光UVの偏光方向は位相差フィルムの遅相軸に対して15°)を形成し、その光配向層上にさらに偏光層を形成して本円偏光板(2)を作製した。
本円偏光板(2)の総厚みを接触式膜厚計により測定したところ、46μmであった。
本円偏光板(2)を実施例1と同様にして反射板に粘着剤を用いて貼合して反射率を測定したところ、400から700nmの範囲の光は、いずれの波長でも1〜10%程度であり、可視光全域に渡って十分な反射防止特性が得られた。
【0155】
比較例1
位相差フィルムとして、環状オレフィン系樹脂の一軸延伸フィルムである1/4波長板(ゼオノアフィルム、日本ゼオン株式会社、面内位相差値Ro:138nm)を用い、実施例1と同様にして、位相差フィルムの一方の面に光配向層(偏光UVの偏光方向は位相差フィルムの遅相軸に対して45°)を形成し、その光配向層上にさらに偏光層を形成して円偏光板(3)を作製した。
円偏光板(3)を実施例1と同様にして、反射板に粘着剤を用いて貼合して反射率を測定したところ、500〜600nmの光は、1〜10%程度の良好な反射率であった。しかし、400〜500nmならびに600〜700nmの光は、反射率10%以上であり、反射光が青紫色を呈し、十分な反射防止機能が得られなかった。
【0156】
参考例1
偏光板としてヨウ素−PVA偏光板(スミカラン 住友化学株式会社製 厚み105μm)を吸収軸が0°となるように100×100mmの小片に切り出し、実施例1で用いた1/2波長板を遅相軸が15°となるように100×100mmの小片に切り出し、比較例1で用いた1/4波長板を遅相軸が75°となるように100×100mmの小片に切り出し、各々のフィルムを偏光板+1/2波長板+1/4波長板となるようにアクリル系粘着剤(膜厚25μm)を用いて枚葉貼合して円偏光板(4)を作製した。
円偏光板(4)を、実施例1と同様にして反射板に粘着剤を用いて貼合して反射率を測定したところ、400から700nmの範囲の光は、いずれの波長でも1〜10%程度であり、可視光全域に渡って十分な反射防止特性が得られた。しかし、その総厚を接触式膜厚計により測定したところ240μmであり、本円偏光板(1)の約5倍の厚みであった。