(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂からなる面と導電層からなる面との貼り合わせに使用する粘着シートであって、前記粘着シートが、(メタ)アクリル酸エステル共重合体と脂環式でない脂肪族イソシアネート架橋剤とを含有するアクリル系粘着剤を用いて形成されるゲル分率30質量%〜80質量%の粘着剤層を有し、
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体が単量体成分を重合して得られるものであり、前記単量体成分に含まれる(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(A)の含有量が70質量%〜85質量%であり、炭素原子数が1〜4であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)の含有量が1質量%〜45質量%であり、かつ、カルボキシル基を有するビニル単量体(C)の含有量が1質量%以下であり、水酸基を有するビニル単量体の含有量が0.1質量%〜10質量%であり、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が40万〜130万であることを特徴とする粘着シート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の粘着シートは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体と非環式脂肪族イソシアネート架橋剤とを含有するアクリル系粘着剤を用いて形成されるゲル分率30質量%〜80質量%の粘着剤層を有し、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体が単量体成分を重合して得られるものであり、前記単量体成分に含まれる(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(A)の含有量が50質量%以上であり、炭素原子数が1〜4であるアクリル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)の含有量が1質量%〜45質量%であり、かつ、カルボキシル基を有するビニル単量体(C)の含有量が1質量%以下であることを特徴とするものであって、もっぱら被着体を構成する樹脂からなる面と、金属からなる面との貼り合わせに使用するものである。
【0012】
本発明の粘着シートは、例えば基材の片面または両面に粘着剤層を有する構成からなるものであってもよく、また、基材を有さず粘着剤層のみから構成されるものであってもよい。前記粘着剤層は、単一層であっても、複数の粘着剤層が積層したものであってもよい。
【0013】
本発明の粘着シートは、優れた透明性及び形状追従性を維持するうえで、前記基材を有さず、粘着剤層のみからなる粘着シートであることが好ましい。
前記基材を有さない粘着シートは、被着体の表面に印刷が施された場合であっても、その印刷に起因した被着体の表面の段差に追従できるため、経時的な剥がれ等をより一層防止することができる。
【0014】
また、本発明の粘着シートを構成する粘着剤層は、ゲル分率が30質量%〜80質量%であることが好ましく、40質量%〜80質量%であることがより好ましく、55質量%〜80質量%であることがさらに好ましい。前記範囲のゲル分率を有する粘着剤層は、とりわけ被着体を構成する金属からなる面からの剥がれを引き起こしにくく、その被着体表面の凹凸に対して追従でき、その界面に気泡等が残存することを防止することができる。なお、前記ゲル分率は、本願明細書の実施例に記載した方法で算出した値を指す。
【0015】
また、本発明の粘着シートの厚さは、使用する態様により適宜選択すればよいが、5μm〜500μmであることが好ましい。なかでも、前記粘着シートを被着体の平滑面に貼付する場合には、10μm〜250μmの範囲の厚さを有する粘着シートを使用することが、例えばタッチパネル装置等の積層体の薄型化に貢献することができる。また、前記粘着シートを、段差や凹凸を有する面に貼付する場合には、20μm以上の厚さを有する粘着シートを使用することが好ましく、25μm〜150μmの範囲の厚さを有する粘着シートを使用することがより好ましい。
【0016】
本発明の粘着シートとしては、その全光線透過率が80%以上、ヘイズが1.0%以下であるものを使用することが好ましく、全光線透過率が90%以上、ヘイズが0.5%以下であるものを使用することより好ましい。全光線透過率が上記範囲内である粘着シートを使用することによって、タッチパネル装置搭載ディスプレイの優れた透明性を維持することができる。
【0017】
本発明の粘着シートを構成する粘着剤層は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体と非環式脂肪族イソシアネート架橋剤とを含有するアクリル系粘着剤を用いることによって形成することができる。
前記アクリル系粘着剤に含まれる(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、単量体成分を重合して得られるもののうち、前記単量体成分に含まれる(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(A)の含有量が50質量%以上であり、炭素原子数が1〜4であるアクリル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)の含有量が1質量%〜45質量%であり、かつ、カルボキシル基を有するビニル単量体(C)の含有量が1質量%以下である単量体成分を重合して得られるものを使用することができる。
前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(A)としては、例えばアクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸4−メトキシブチル、アクリル酸4−エトキシブチル等を使用することができる。なかでも、前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(A)としては、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチルを使用することが、粘着剤層により一層優れた凝集力を付与することができる。また、前記粘着剤層の親水性が高まることで、高温高湿条件下で生じうる粘着剤層の白濁を防止することができる。なお、本明細書においてはアクリル酸及びメタアクリル酸を総称して(メタ)アクリル酸と標記し、これらの誘導体についても同様に表記する。
【0018】
前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(A)は、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造に使用する単量体成分の全量に対して50質量%以上の範囲で使用する。これにより、粘着剤層により一層優れた凝集力を付与することができる。また、前記粘着剤層の親水性が高まることで、高温高湿条件下で生じうる粘着剤層の白濁を防止することができる。
前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(A)は、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造に使用する単量体成分の全量に対して、50質量%〜95質量%の範囲で使用することが好ましく、60質量%〜95質量%の範囲で使用することがより好ましく、70質量%〜90質量%の範囲で使用することがさらに好ましい。前記範囲内の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(A)を使用することによって、粘着剤層により一層優れた凝集力を付与することができる。また、前記粘着剤層の親水性が高まることで、高温高湿条件下で生じうる粘着剤層の白濁を防止することができる。
【0019】
また、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造に使用する炭素原子数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)としては、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(A)以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することができ、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等を使用することができる。
【0020】
なかでも、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)としては、アクリル酸n−ブチルを使用することが、より一層優れた凝集力を備えた粘着剤層を形成するうえで好ましい。
【0021】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(B)は、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造に使用する単量体成分の全量に対して1質量%〜45質量%の範囲で使用する。特に、前記(メタ)アクリル酸エステル(B)は、5質量%〜45質量%の範囲で使用することがより好ましく、10質量%〜35質量%の範囲で使用することがさらに好ましく、10質量%〜25質量%の範囲で使用することが特に好ましい。前記範囲内の(メタ)アクリル酸エステル(B)を使用することによって、粘着剤層のより一層優れた接着力と凝集力とを備え、かつ、被着体を構成する樹脂面に貼付しても、前記樹脂面から発生し得る気体(ガス)に起因した剥がれを引き起こしにくく、前記気体に起因した気泡による粘着剤層の白濁等を引き起こしにくい粘着シートを得ることができる。
【0022】
また、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造に使用してもよいカルボキシル基を有するビニル単量体(C)としては、特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アクリル酸ダイマー、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレート等を使用することができる。前記カルボキシル基を有するビニル単量体(C)を使用する場合には、汎用性が高いことからアクリル酸を使用することが好ましい。
【0023】
前記カルボキシル基を有するビニル単量体(C)は、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造に使用する単量体成分の全量に対して1質量%以下の範囲で使用する。とりわけ、前記カルボキシル基を有するビニル単量体(C)は、0.5質量%以下の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%以下の範囲で使用することがより好ましく、使用しないことがさらに好ましい。これにより、被着体を構成する金属面の腐食を十分に防止することができる。
【0024】
また、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、前記非環式脂肪族イソシアネート架橋剤等の架橋剤と組み合わせ使用した場合に、前記架橋剤が有するイソシアネート基と反応しうる官能基を有するものを使用することが好ましい。前記官能基としては、例えば水酸基が挙げられる。
前記水酸基は、前記単量体成分として水酸基を有するビニル単量体を使用することによって(メタ)アクリル酸エステル共重合体に導入することができる。
前記水酸基を有するビニル単量体としては、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等を使用することができる。
【0025】
前記水酸基を有するビニル単量体は、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造に使用する単量体成分の全量に対して0.1質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましく、0.5質量%〜5質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0026】
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法等の熱重合法、光や放射線等の活性エネルギー線を照射して行う重合法等により、前記単量体成分を重合することによって製造することができる。その際、前記重合方法のうち溶液重合法を採用することが、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造工程の作業性や品質安定性等を向上するうえで好ましい。
【0027】
前記溶液重合法を採用する場合、前記単量体成分を、重合開始剤等とともに、溶媒を含有する反応容器内に供給する。その際、前記単量体成分の全量を一括して反応容器に供給し重合する一括仕込み方式、前記単量体成分を連続又は分割して反応容器に供給し重合する滴下方式のいずれを採用してもよい。
前記溶液重合法で使用可能な溶媒としては、溶液重合法で一般に使用される各種有機溶媒を使用でき、非トルエン系有機溶媒を使用することが好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば酢酸エチル、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、イソプロピルアルコール等が例示される。他の好ましく使用され得る有機溶媒としては、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ターシャリーブチルメチルエーテル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、1,2−ジクロロエタン等を使用することができる。
【0028】
前記方法で得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、30万〜160万の範囲の重量平均分子量を有するものであることが好ましく、40万〜130万の範囲の重量平均分子量を有するものであることがより好ましく、50万〜100万の範囲の重量平均分子量を有するものであることが、被着体を構成する金属面に対する接着性と、貼付する金属や表示パネルの凹凸に対する追従性を好適に付与できるため好ましい。
【0029】
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は10〜50であることが好ましく、10〜30がより好ましく、10〜20がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)を前記範囲に調整することによって、被着体を構成する金属面や表示パネルの凹凸に対する追従性を付与でき、表示画面部分に気泡を残しにくく、さらに金属面からの剥がれを抑制できる。
【0030】
なお、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定した値を指す。より具体的には、GPC測定装置として、東ソー株式会社製「SC8020」を用い、ポリスチレン換算値により、次のGPC測定条件で測定して求めた値である。
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR−H」
・検出器:示差屈折
【0031】
また、前記アクリル系粘着剤としては、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体とともに、非環式脂肪族イソシアネート架橋剤を組み合わせ使用する。これにより、粘着剤層の優れた接着力と凝集力とを両立することができる。
【0032】
前記非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としては、環状構造を有さない、いわゆる直鎖または分岐した鎖状構造を有するイソシアネート化合物を使用することができる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートを使用することが好ましい。
ヘキサメチレンジイソシアネートを使用することによって、粘着剤層の優れた接着力と凝集力とを両立でき、かつ、被着体構成する樹脂面から発生し得る気体(ガス)に起因した剥がれを引き起こしにくく、前記気体に起因した気泡による粘着剤層の白濁等を引き起こしにくくすることができる。
【0033】
前記非環式脂肪族イソシアネート架橋剤は、前記アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して0.03質量部〜2質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05質量部〜1.5質量部の範囲で使用することがより好ましく、0.1質量部〜1質量部の範囲で使用することが、被着体を構成する樹脂面から発生し得る気体(ガス)に起因した剥がれを抑制する効果を奏するうえでさらに好ましい。
【0034】
前記アクリル系粘着剤としては、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体及び非環式脂肪族イソシアネート架橋剤の混合物を使用することができる。なかでも、上記アクリル粘着剤としては、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体及び非環式脂肪族イソシアネート架橋剤が、溶媒に溶解または分散したものを使用することが、塗工作業性等を向上できるため好ましい。
前記アクリル系粘着剤は、例えば前記溶液重合法によって得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体の溶媒溶液または分散液と、非環式脂肪族イソシアネート架橋剤とを混合することによって製造することができる。
【0035】
前記アクリル系粘着剤としては、前記した成分の他に、必要に応じてその他の添加剤を使用することができる。
前記添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、剥離調整剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、界面活性剤等を使用することができる。
【0036】
本発明の粘着シートは、例えば、フィルム基材または離型シート上に粘着剤層を形成することによって製造することができる。具体的には、本発明の粘着シートは、フィルム基材の表面に前記アクリル系粘着剤を塗布し、乾燥または硬化させることによって製造することができる。
また、本発明の粘着シートは、離型シートの表面に前記アクリル系粘着剤を塗布し、乾燥または硬化することによって粘着剤層を形成した後、前記粘着剤層の表面にフィルム基材を貼付する方法によって製造することができる。
また、本発明の粘着シートは、離型シートの表面に前記アクリル系粘着剤を塗布し、乾燥または硬化することによって粘着剤層を形成したものを2つ作製し、それらの粘着剤層の表面同士を貼り合せることによって製造することができる。
【0037】
本発明の粘着シートは、各種被着体の接着に使用することができる。とりわけ、本発明の粘着シートは、被着体を構成する樹脂からなる面や、被着体を構成する金属からなる面に対する接着性に優れる。本発明の粘着シートは、前記樹脂からなる面に貼付した場合であっても、前記樹脂からなる面から発生しうる気体に起因した剥がれ等を引き起こしにくく、また、前記気体に起因した気泡により粘着剤層の白濁等を引き起こしにくい。また、本発明の粘着シートは、前記金属からなる面に貼付した場合であっても、前記金属面の腐食を防止することができる。
よって、本発明の粘着シートは、もっぱら樹脂からなる面と金属からなる面との貼り合わせに使用する。より具体的には、本発明の粘着シートは、画像表示装置を構成する透明樹脂製パネルからなる画像表示パネル、タッチパネル等を構成する透明フィルムまたはガラス板の表面に良好な導電性を備えた金属層が設けられた透明金属膜等の固定に好適に使用することができる。特に、本発明の粘着シートは、前記透明樹脂製パネルからなる画像表示パネルの固定に使用することが、画像表示装置の画像視認性を向上できるため好ましい。
本発明の粘着シートを貼付可能な被着体としては、例えば樹脂からなる面を有する被着体が挙げられる。前記被着体は、その全てが1種または2種以上の樹脂からなるものであってもよく、その一部が樹脂からなるものであってもよい。
また、前記被着体は、フィルムまたはシート状、パネル状のものであることが好ましい。特に、前記被着体を画像表示パネル等に使用する場合には、透明性が高いものであることが好ましく、その全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
前記被着体を構成する樹脂からなる面は、平面、曲面、屈曲面、平滑面、粗面等の形状であってもよい。
前記被着体の樹脂面を構成する樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂が挙げられ、なかでもアクリル樹脂であることが、前記気体に起因した剥がれ等を引き起こしにくく、優れた接着力を維持できるため好ましい。
本発明の粘着シートであれば、前記樹脂からなる面から発生した気体の影響による粘着シートの剥がれや、前記気体に由来する気泡による粘着剤層の白濁等を防止することができる。
【0038】
また、本発明の粘着シートを貼付可能な被着体としては、例えば導電層からなる面を有する被着体が挙げられる。透明樹脂フィルムやガラス板等の表面に導電層が設けられた透明導電膜を使用することができる。
また、前記被着体は、フィルムまたはシート状、パネル状のものであることが好ましい。特に、前記被着体をタッチパネル等を構成する透明導電膜に使用する場合には、透明性が高いものを使用することが好ましい。
【0039】
前記導電層からなる面としては、例えば、酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化チタンなどが挙げられる。このような金属面を有する部材としては、ガラスやフィルムの表面に酸化インジウムスズ(ITO)が設けられたITOガラスやITOフィルム、あるいは、ガラスやフィルムの表面に銀や銅の配線が設けられた金属配線フィルム等のタッチパネルなどの画像表示装置に使用される導電層面を有する部材を例示できる。
【0040】
本発明の粘着シートは、導電層からなる面を腐食させないことから、ガラスやフィルムの表面に酸化インジウムスズ(ITO)が設けられたITOガラスやITOフィルム、あるいは、ガラスやフィルムの表面に銀や銅の配線が設けられた金属配線フィルム等の金属面表面を有する部材を固定する際に好適に使用できる。中でも、高い透明性が求められ、かつ、安定した導電性が求められる導電層面を有する部材の固定に好適に使用できる。また、高温下での樹脂製パネル界面での剥がれや粘着剤層内で気泡発生を抑制できることから、アクリル板等の樹脂製パネルを固定する際に好適に使用できる。
【0041】
本発明の粘着シートを適用する好適な構成例としては、例えば、高透明性と安定した導電性が要求される、電子機器の画像表示部に使用されるタッチセンサーでの、ITOが片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレートフィルムと、樹脂製の画像表示パネルの固定に好適に使用できる。このような構成の画像表示装置の具体例としては、
図1に示したような構成を好ましく例示できる。
図1における適用例は、印刷層3を有する樹脂製の透明画像表示パネル2と、透明樹脂フィルム4a上にITO表面4bを有するITOフィルム4とを、基材レスの本発明の粘着シート1により固定する用途であり、本発明の粘着シートは当該用途に好適に使用できる。また、LCDモジュール等の画像表示モジュール6を筐体5内に有し、当該筐体とITOフィルム4’の透明樹脂フィルム4a側とが粘着テープや接着テープ等の接着部材7により固定され、当該ITOフィルム4’のITO表面4b’と、上記のITOフィルム4の透明樹脂フィルム4a表面とを、基材レスの本発明の粘着シート’1により固定する用途にも好適に使用できる。
【0042】
さらに、電子機器の画像表示部に使用されるタッチセンサーでの、酸価インジウムスズが片面に蒸着されたガラスと表面保護パネルの固定、またはガラス破損時の飛散防止を目的とした粘着フィルムとして好適に使用できる。このような構成の画像表示装置の具体例としては、
図2に示した構成を好ましく例示できる。
図2における適用例は、印刷層13を有する表面保護パネル12と、透明ガラス14a上にITO表面14b及び14cを有するITOガラス14とを、基材レスの本発明の粘着シート11により固定する用途であり、上記
図1の態様と同様に本発明の粘着シートを好適に適用できる。また、ITOガラスの割れ防止のために、粘着シート11を、基材を有する両面粘着シートとしてもよい。当該構成例では、さらに、ITOガラス14の飛散防止用として、ハードコートフィルム15bの一面に粘着剤層15aを有する飛散防止用粘着シート15が設けられ、飛散防止用粘着シート15のハードコートフィルム15bと、LCDモジュール等の画像表示モジュール17を有する筐体16とが、接着部材18により固定される。
【実施例】
【0043】
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明する。
<粘着剤組成物(A)>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、アクリル酸2−メトキシエチル75質量部、アクリル酸n−ブチル24質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合した。その後、酢酸エチルで希釈し、固形分45質量%の粘着剤組成物(A)を得た。
【0044】
<粘着剤組成物(B)>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、アクリル酸2−メトキシエチル85質量部、アクリル酸n−ブチル14質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合した。その後、酢酸エチルで希釈し、固形分45質量%の粘着剤組成物(B)を得た。
【0045】
<粘着剤組成物(C)>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、アクリル酸2−メトキシエチル95質量部、アクリル酸n−ブチル1質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル4質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合した。その後、酢酸エチルで希釈し、固形分45質量%の粘着剤組成物(C)を得た。
【0046】
<粘着剤組成物(D)>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、アクリル酸2−メトキシエチル50質量部、アクリル酸n−ブチル49質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合した。その後、酢酸エチルで希釈し、固形分45質量%の粘着剤組成物(D)を得た。
【0047】
<粘着剤組成物(E)>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、アクリル酸2−メトキシエチル70質量部、アクリル酸2エチルヘキシル29質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル1質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合した。その後、酢酸エチルで希釈し、固形分45質量%の粘着剤組成物(E)を得た。
【0048】
<粘着剤組成物(F)>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル70質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル30質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合した。その後、酢酸エチルで希釈し、固形分35質量%の粘着剤組成物(F)を得た。
【0049】
<粘着剤組成物(G)>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、アクリル酸n−ブチル65質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル5質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル30質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合した。その後、酢酸エチルで希釈し、固形分30質量%の粘着剤組成物(G)を得た。
【0050】
<粘着剤組成物(H)>
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、アクリル酸n−ブチル85質量部、メタクリル酸メチル15質量部、アクリル酸4質量部と、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合した。その後、酢酸エチルで希釈し、固形分25質量%の粘着剤組成物(H)を得た。
【0051】
【表1】
【0052】
表中の配合の略記は、以下のとおりである。
MEA:アクリル酸メトキシエチル
BA:アクリル酸n−ブチル
2EHA:アクリル酸2−エチルへキシル
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
MA:アクリル酸メチル
MMA:メタクリル酸メチル
AA:アクリル酸
【0053】
(実施例1)
上記粘着剤組成物(A)100質量部に、非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)を0.08質量部添加し15分攪拌することによってアクリル系粘着剤(A)を調製した。
次に、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚さ50μmのポリエステルフィルム(以下、「#50剥離フィルム」と省略。)上に、前記アクリル系粘着剤(A)を、乾燥後の粘着剤層の厚さが50μmになるように塗工し、80℃で5分間乾燥した。前記乾燥後に形成された粘着剤層の表面に、シリコーン化合物で片面を剥離処理した厚さ38μmのポリエステルフィルム(以下、「#38剥離フィルム」と省略。)を貼り合わせた。その後、23℃で7日間熟成することによって、粘着剤層のゲル分率が52質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0054】
(実施例2)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.08質量部から0.25質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が77質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0055】
(実施例3)
粘着剤組成物(A)の代わりに前記粘着剤組成物(B)を100質量部使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が52質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0056】
(実施例4)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.08質量部から0.25質量部に変更すること以外は、実施例3と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が77質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0057】
(
参考例5)
粘着剤組成物(A)の代わりに前記粘着剤組成物(C)を100質量部使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が48質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0058】
(
参考例6)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.08質量部から0.1質量部に変更すること以外は、実施例5と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が55質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0059】
(
参考例7)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.08質量部から0.12質量部に変更すること以外は、実施例5と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が62質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0060】
(
参考例8)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.08質量部から0.14質量部に変更すること以外は、実施例5と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が65質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0061】
(比較例1)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.08質量部から0.04質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が28質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0062】
(比較例2)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.08質量部から0.4質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が90質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0063】
(比較例3)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の代わりに、コロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製、キシレンジイソシアネート系化合物)を0.1質量部使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が50質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0064】
(比較例4)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製、キシレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.1質量部から0.24質量部に変更すること以外は、比較例3と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が72質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0065】
(比較例5)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製、キシレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.1質量部から0.4質量部に変更すること以外は、比較例3と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が90質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0066】
(比較例6)
粘着剤組成物(A)の代わりに前記粘着剤組成物(C)を100質量部使用すること以外は、比較例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が25質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0067】
(比較例7)
粘着剤組成物(A)の代わりに前記粘着剤組成物(C)を100質量部使用し、かつ、非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の代わりに、コロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製、キシレンジイソシアネート系化合物)を0.3質量部使用すること以外は、比較例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が85質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0068】
(比較例8)
粘着剤組成物(A)の代わりに前記粘着剤組成物(D)を100質量部使用し、かつ、非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.04質量部から0.1質量部に変更すること以外は、比較例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が52質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0069】
(比較例9)
粘着剤組成物(A)の代わりに前記粘着剤組成物(E)を100質量部使用し、かつ、非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.04質量部から0.1質量部に変更すること以外は、比較例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が50質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0070】
(比較例10)
粘着剤組成物(A)の代わりに前記粘着剤組成物(F)を100質量部使用し、かつ、非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.04質量部から0.0.3質量部に変更すること以外は、比較例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が35質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0071】
(比較例11)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.03質量部から0.05質量部に変更すること以外は、比較例10と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が50質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0072】
(比較例12)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.03質量部から0.08質量部に変更すること以外は、比較例10と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が73質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0073】
(比較例13)
非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.03質量部から0.3質量部に変更すること以外は、比較例10と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が90質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0074】
(比較例14)
粘着剤組成物(A)の代わりに前記粘着剤組成物(G)を100質量部使用し、かつ、非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の添加量を0.08質量部から0.0.4質量部に変更すること以外は、実施例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が53質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0075】
(比較例15)
粘着剤組成物(A)の代わりに前記粘着剤組成物(H)を100質量部使用し、かつ、非環式脂肪族イソシアネート架橋剤としてコロネートHL(日本ポリウレタン工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)の代わりに、E−2XM(綜研化学株式会社製、エポキシ系架橋剤)を0.6質量部使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、粘着剤層のゲル分率が60質量%である、基材レスの粘着シート(厚さ50μm)を得た。
【0076】
上記実施例及び比較例にて得られた粘着シートに関し、以下の評価を行った。得られた結果は下表に示した。
【0077】
(高温環境放置後の耐剥がれ性)
実施例及び比較例で得た粘着シートの片側の剥離フィルム(#38剥離フィルム)を剥がし、厚み100μm、長さ50mm、幅50mmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わせたものを試験片1とした。前記試験片1を構成するもう一方の片側の剥離フィルム(#50剥離フィルム)を剥がし、厚み2mm、長さ50mm、幅50mmアクリル板(三菱レイヨン株式会社製MR−200)に貼り合わせ、5気圧、70℃、20分の条件で加熱加圧処理し、85℃条件下に250時間放置したものを試験片2とした。
次に、前記試験片2の全体をマイクロスコープ(倍率100倍)でポリエチレンテレフタレートフィルム側から観察し、気泡膨れによる剥がれがあるか確認した。評価基準は、以下の通りとした。
○:剥がれなし
×:剥がれあり
【0078】
(高温環境放置後の耐発泡性)
実施例及び比較例で得た粘着シートの片側の剥離フィルム(#38剥離フィルム)を剥がし、厚み100μm、長さ50mm、幅50mmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わせたものを試験片3とした。試験片3を構成するもう一方の片側の剥離フィルム(#50剥離フィルム)を剥がし、厚み2mm、長さ50mm、幅50mmアクリル板(三菱レイヨン株式会社製MR−200)に貼り合わせ、5気圧、70℃、20分の条件で加熱加圧処理した後、85℃条件下に250時間放置したものを試験片4とした。
次に、前記試験片4の全体をマイクロスコープ(倍率100倍)で観察し、粘着剤層中に気泡の混入があるか確認した。気泡混入の評価基準は、以下の通りとした。
◎:直径5μm以上の気泡なし
○:直径10μm以上の気泡なし
○△:直径30μm以上の気泡なし
△:直径50μm以上の気泡なし
×:直径50μm以上の気泡あり
【0079】
(高温高湿条件下放置後の耐白濁性)
粘着シートの片側の剥離フィルム(#38剥離フィルム)を剥がし、厚み100μm、長さ50mm、幅40mmのポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わせたものを試験片5とした。試験片4を構成するもう一方の片側の剥離フィルム(#50剥離フィルム)を剥がし、厚み1mm、長さ50mm、幅40mmガラス板に貼り合わせて調整した試験サンプルを、60℃90%RH条件下に250時間放置し、試験サンプルを上記条件下から取り出した直後のヘイズを、(株)村上色彩技術研究所製「HR−100型」を使用し、測定した。
○:ヘイズ1.0%以下
△:ヘイズ1.0%〜3.0%
×:ヘイズ3.0%以上
【0080】
金属腐食性の評価方法(酸化インジウムスズ膜の電気抵抗値測定)
実施例及び比較例で得た粘着シートの片側の剥離フィルム(#38剥離フィルム)を剥がし、ポリエチレンテレフタレートフィルム(100μm)を貼り合せ、50mm×50mmに裁断したものを試験片6とした。
次に、酸化インジウムスズが表面に蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(縦100mm×縦100mmの)を用意し、試験片5の他方の離型フィルム(#50剥離フィルム)を除去した粘着剤層と前記酸化インジウムスズからなる膜(層)の表面を貼付することによって試験片7を得た。
電気抵抗値測定機三菱化学株式会社製「ロレスターGP」を使用し、前記試験片7を構成する粘着剤層の両端の初期の電気抵抗値(R1)を測定した。
次に、前記試験片6を、60℃、90%RH条件下に250時間放置し、次に23℃、50%RH条件下に1時間放置した後の試験片7の電気抵抗値(R2)を、前記初期の電気抵抗値(R1)と同様の方法で測定した。酸化インジウムスズ(ITO)膜の電気抵抗値変化率は下記の式で算出した。
ITO膜の電気抵抗値変化率(%)=((R2−R1)/R1)×100
○:電気抵抗値変化率90%以上110%未満
×:電気抵抗値変化率90%未満または110%以上
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
上記表のとおり、実施例1〜8の粘着シートは、高温環境下で剥がれや粘着剤層中での発泡が起こらないことが確認された。また、高温高湿条件下で白濁せず、電気抵抗値の過度な変化が生じないことが確認された。一方、粘着剤組成物は実施例と同一であるが、ゲル分率が30%未満の比較例1及び比較例6は高温環境放置後に粘着剤層で発泡し、ゲル分率が80%を超える比較例2及び比較例7は高温環境放置後に界面での剥がれが確認された。また、架橋剤としてキシレンジイソシアネートを使用した比較例3〜5では、温環境放置後に粘着剤層での発泡又は界面でのはがれが確認された。さらに炭素数4のアクリル酸n−ブチルの含有量が49質量%の比較例8、炭素数8のアクリル酸2エチルへキシルを用いた比較例9では、高温高湿条件下でヘイズが上昇し、白濁が確認された。アクリル酸アルコキシアルキルを含有しない比較例10〜13では、環境放置後に粘着剤層での発泡又は界面でのはがれが確認された。カルボキシル基を有する単量体であるアクリル酸を有する比較例15では、ITOの電気抵抗値の上昇が確認された。