(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3の弾性部材の外側且つ前記冷却台と前記基台との間に設けられており、前記第1の弾性部材と共に前記伝熱空間を形成する絶縁性のOリングである第4の弾性部材を更に備える、請求項6に記載の載置台。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基板処理装置の一種としてプラズマ処理装置が知られている。プラズマ処理装置の載置台は、静電チャックを有している。また、プラズマ処理装置では、プラズマ生成のために及び/又はイオン引き込みのために、静電チャックの導電性の基台に高周波が供給されるようになっている。このようなプラズマ処理装置においても、高温での基板に対する処理が要求されることがある。そのため、プラズマ処理装置においても、静電チャックを冷却台から離間させる構造を採用することが考えられる。この構造を採用した載置台においても、静電チャックの基台に高周波を供給する給電ルートを設ける必要がある。また、この給電ルートにおける高周波の損失を抑制する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様においては、載置台が提供される。載置台は、冷却台、給電体、静電チャック、第1の弾性部材、及び、締付部材を備えている。冷却台は、金属製であり、その内部には冷媒用の流路が形成されている。給電体は、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、高周波電源からの高周波を伝送する給電ルートの一部を構成しており、冷却台に接続されている。静電チャックは、基台及び吸着部を有している。基台は、導電性を有しており、冷却台の上に設けられている。また、吸着部は、セラミックス製であり、吸着用電極及びヒータを内蔵している。吸着部は、基台の上に設けられており、金属接合により基台に結合されている。第1の弾性部材は、冷却台と基台との間に設けられており、静電チャックを冷却台から離間させている。第1の弾性部材は、冷却台と基台との間に伝熱ガスが供給される伝熱空間を、冷却台及び基台と共に画成する。締付部材は、金属製であり、冷却台及び基台に接触する。締付部材は、基台及び第1の弾性部材を、冷却台と締付部材の間に挟持する。
【0008】
一態様に係る載置台では、第1の弾性部材により冷却台と基台とが互いに離間されている。また、この載置台では、基台と吸着部との接合に、接着剤が用いられていない。したがって、静電チャックの温度を200℃を超える高温に設定することが可能である。また、伝熱空間に供給される伝熱ガスを介して静電チャックと冷却台との間の熱交換がなされ得るので、静電チャックの温度を低温に設定することも可能である。また、この載置台では、給電体、冷却台、及び、締付部材により、静電チャックの基台に対する高周波の給電ルートが確保されている。さらに、給電体が、静電チャックの基台に直接接続されるのではなく、冷却台に接続されるので、当該給電体の構成材料としてアルミニウム又はアルミニウム合金を採用することができる。したがって、13.56MHz以上の高い周波数の高周波が用いられる場合であっても、給電体における高周波の損失が抑制される。
【0009】
一実施形態では、冷却台は、第1中央部及び第1周縁部を有している。第1周縁部は、第1中央部に連続し、第1中央部に対して径方向外側において周方向に沿って延在している。静電チャックの基台は、冷却台の第1中央部の上に設けられている。基台は、第2中央部及び第2周縁部を有する。第2周縁部は、第2中央部に連続し、第2中央部に対して径方向外側において周方向に沿って延在している。締付部材は、筒状部及び環状部を有する。筒状部は第1下面を含んでいる。環状部は、第2下面を含んでおり、筒状部の上側部分から径方向内側に延びている。締付部材は、第1下面が冷却台の第1周縁部の上面に接し、第2下面が基台の第2周縁部の上面に接するように、冷却台の第1周縁部に固定されている。
【0010】
一実施形態において、載置台は、第2の弾性部材を更に備えていてもよい。第2の弾性部材は、絶縁性のOリングであり、締付部材の環状部の内縁部と基台の第2周縁部の上面との間に設けられている。基台の第2周縁部の上面と締付部材の第2下面は、互いに接しているので、それらの接触箇所において摩擦が生じ、パーティクル(例えば、金属粉)が発生することがある。第2の弾性部材は、このようなパーティクルが発生しても、吸着部及び当該吸着部上に載置される基板に、パーティクルが付着することを抑制し得る。
【0011】
一実施形態において、第1の弾性部材は、当該第1の弾性部材が発生する反力が第2の弾性部材が発生する反力よりも大きくなるように構成される。これにより、静電チャックを冷却台から確実に離間させることができる。
【0012】
一実施形態では、第1の弾性部材は、伝熱空間にHeガスが供給されているときの当該伝熱空間の熱抵抗よりも高い熱抵抗を有するように構成される。この実施形態によれば、静電チャックと冷却台との間では、第1の弾性部材を介した熱伝導よりも伝熱空間を介した熱伝導が優位となる。したがって、静電チャックの温度分布が均一化され得る。一実施形態では、第1の弾性部材はパーフロロエラストマーから形成されたOリングであってもよい。かかる第1の弾性部材は、高い耐熱性を有し、且つ、低い熱伝導率を有する。
【0013】
一実施形態では、吸着部には、該吸着部と該吸着部上に載置される基板との間に伝熱ガスを供給するための第1のガスラインが形成されており、冷却台には、第1のガスラインに供給される伝熱ガスを供給するための第2のガスラインが形成されており、載置台は、第1のガスラインと第2のガスラインとを接続するスリーブを更に有している。スリーブは少なくともその表面において絶縁性を有し、当該スリーブの該表面はセラミックスから形成されている。基台及び冷却台は、スリーブが配置される収容空間を提供している。基台は収容空間を画成する面を有し、該面には絶縁性セラミックス製の皮膜が形成されている。載置台は、当該皮膜と冷却台との間において収容空間を封止する絶縁性のOリングである第3の弾性部材を更に有する。この実施形態によれば、基板と吸着部との間に供給される伝熱ガス用のガスラインが接着剤を用いずに形成される。また、スリーブの収容空間を画成する基台の面がセラミックス製の絶縁性セラミックスの皮膜で覆われており、且つ、当該収容空間を封止するように当該皮膜と冷却台との間において絶縁性の第3の弾性部材が設けられているので、プラズマが基台と冷却台との間に侵入すること、及び、それに伴う基台の絶縁破壊が抑制される。
【0014】
一実施形態では、載置台は、第4の弾性部材を更に備えていてもよい。第4の弾性部材は絶縁性のOリングであり、第3の弾性部材の外側且つ冷却台と基台との間に設けられており、第1の弾性部材と共に上記伝熱空間を形成する。一実施形態では、第4の弾性部材は、パーフロロエラストマーから形成されていてもよい。
【0015】
一実施形態では、締付部材は、チタンから形成されていてもよい。チタンは低い熱伝導率を有するので、冷却台と基台との間の締付部材を介した熱伝導が抑制される。
【0016】
一実施形態では、吸着部を構成するセラミックスは、酸化アルミニウムであってもよい。酸化アルミニウムは高温環境下において高い体積抵抗率を有するので、酸化アルミニウムから形成された吸着部によれば、200℃を超える高温においても、十分な吸着力が発揮される。
【0017】
別の態様においては、プラズマ処理装置が提供される。このプラズマ処理装置は、処理容器、載置台、及び、高周波電源を備える。載置台は、処理容器内において基板を支持するものであり、上述した一態様及び種々の実施形態の載置台のうち何れかである。高周波電源は、載置台の給電体に電気的に接続されている。
【0018】
一実施形態では、プラズマ処理装置は、載置台の伝熱空間に、伝熱ガス又は冷媒を選択的に供給するよう構成された伝熱媒体供給系を更に有していてもよい。この実施形態のプラズマ処理装置において、静電チャックの温度を高温に設定する場合には、伝熱空間に伝熱ガス(例えばHeガス)を供給することができる。また、静電チャックの温度を低下させるときには、伝熱空間に冷媒を供給することができる。冷媒が伝熱空間に供給されている場合の静電チャックの降温速度は、伝熱空間に伝熱ガス(例えばHeガス)が供給される場合の静電チャックの降温速度よりも高い。したがって、このプラズマ処理装置は、静電チャックの温度を急速に冷却する用途に適している。
【0019】
一実施形態では、冷媒は液状冷媒である。伝熱媒体供給系は、供給部、第1のタンク、第1のドライポンプ、第1〜第7の配管、第1〜第6のバルブ、チラーユニット、第2のタンク、第2のドライポンプ、第1〜第6の冷媒配管、及び、第1〜第4の冷媒バルブを有する。供給部は、伝熱空間に伝熱ガスを供給するための要素である。第1の配管は、供給部に接続された一端、及び、他端を有する。第1のバルブは、第1の配管の途中に設けられている。第2の配管は、第1の配管の他端に接続された一端、及び、伝熱空間に接続された他端を有する。第2のバルブは、第2の配管の途中に設けられている。第3の配管は、第1の配管の他端に接続された一端、及び、他端を有する。第3のバルブは、第3の配管の途中に設けられている。第4の配管は、第1の配管の他端に接続された一端、及び、第3の配管の他端に接続された他端を有する。第4のバルブは、第4の配管の途中に設けられている。第5の配管は、第2のバルブと伝熱空間との間で第2の配管に接続された一端、及び、第1のタンクに接続された他端を有する。第5のバルブは、第5の配管の途中に設けられている。第6の配管は、第1のタンクに接続された一端、及び、第1のドライポンプに接続された他端を有する。第6のバルブは、第6の配管の途中に設けられている。第7の配管は、第3の配管の他端に接続された一端、及び、第6のバルブと第1のドライポンプとの間で第6の配管に接続された他端を有する。チラーユニットは、冷媒を供給する要素である。第1の冷媒配管は、冷却台の流路に冷媒を供給するための配管であり、冷却台の流路とチラーユニットを接続している。第2の冷媒配管は、冷却台の流路から冷媒を回収するための配管であり、冷却台の流路とチラーユニットを接続している。第3の冷媒配管は、伝熱空間に接続された一端、及び、他端を有する。第4の冷媒配管は、伝熱空間に接続された一端、及び、第3の冷媒配管の他端に接続された他端を有する。第1の冷媒バルブは、第1の冷媒配管の途中に設けられており、チラーユニットを冷却台の流路又は第3の冷媒配管に選択的に接続する。第2の冷媒バルブは、第2の冷媒配管の途中に設けられており、チラーユニットを冷却台の流路又は第4の冷媒配管に選択的に接続する。第5の冷媒配管は、第3の冷媒配管の他端に接続された一端、及び、第2のタンクに接続された他端を有する。第3の冷媒バルブは、第5の冷媒配管の途中に設けられている。第6の冷媒配管は、第2のタンクと第2のドライポンプを接続する。第4の冷媒バルブは、第6の冷媒バルブを有する。
【0020】
一実施形態において、プラズマ処理装置は、ヒータのためのヒータ電源と、伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御する制御部と、を更に備える。制御部は、
(i)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第2のバルブ、及び、第4のバルブが開かれ、第3のバルブ、第5のバルブ、及び、第6のバルブが閉じられ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと冷却台の流路を接続し、第3の冷媒バルブ及び第4の冷媒バルブが閉じられ、ヒータがONに設定された状態を形成し、
(ii)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第4のバルブ、第5のバルブ、及び、第6のバルブが閉じられ、第2のバルブ及び第3のバルブが開かれ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと冷却台の流路を接続し、第3の冷媒バルブ及び第4の冷媒バルブが閉じられ、ヒータがOFFに設定された状態を形成し、
(iii)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第2のバルブ、第3のバルブ、第4のバルブ、第5のバルブ、及び、第6のバルブが閉じられ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと伝熱空間を接続し、第3の冷媒バルブ及び第4の冷媒バルブが閉じられ、ヒータがOFFに設定された状態を形成し、
(iv)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第2のバルブ、第3のバルブ、第4のバルブ、第5のバルブ、及び、第6のバルブが閉じられ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと冷却台の流路を接続し、第3の冷媒バルブ及び第4の冷媒バルブが閉じられ、ヒータがOFFに設定された状態を形成し、
(v)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第2のバルブ、第3のバルブ、及び、第4のバルブが閉じられ、第5のバルブ、及び、第6のバルブが開かれ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと載置台の流路を接続し、第3の冷媒バルブ及び第4の冷媒バルブが開かれ、ヒータがOFFに設定された状態を形成する。
【0021】
一実施形態では、冷媒はハイドロフルオロカーボン系の冷媒である。伝熱媒体供給系は、供給部、第1のドライポンプ、第1〜第6の配管、第1〜第5のバルブ、チラーユニット、第1〜第4の冷媒配管、及び、第1〜第2の冷媒バルブを有する。供給部は、伝熱空間に伝熱ガスを供給するための要素である。第1の配管は、供給部に接続された一端、及び、他端を有する。第1のバルブは、第1の配管の途中に設けられている。第2の配管は、第1の配管の他端に接続された一端、及び、伝熱空間に接続された他端を有する。第2のバルブは、第2の配管の途中に設けられている。第3の配管は、第1の配管の他端に接続された一端、及び、他端を有する。第3のバルブは、第3の配管の途中に設けられている。第4の配管は、第1の配管の他端に接続された一端、及び、第3の配管の他端に接続された他端を有する。第4のバルブは、第4の配管の途中に設けられている。第5の配管は、第2のバルブと伝熱空間との間で第2の配管に接続された一端、及び、第1のドライポンプに接続された他端を有する。第5のバルブは、第5の配管の途中に設けられている。第6の配管は、第3の配管の他端に接続された一端、及び、第5のバルブと第1のドライポンプとの間で第5の配管に接続された他端を有する。チラーユニットは、冷媒を供給する要素である。第1の冷媒配管は、冷却台の流路に冷媒を供給するための配管であり、冷却台の流路とチラーユニットを接続する。第2の冷媒配管は、冷却台の流路から冷媒を回収するための配管であり、冷却台の流路とチラーユニットを接続する。第3の冷媒配管は、伝熱空間に接続された一端を有する。第4の冷媒配管は、伝熱空間に接続された一端を有する。第1の冷媒バルブは、第1の冷媒配管の途中に設けられており、チラーユニットを冷却台の流路又は第3の冷媒配管に選択的に接続する。第2の冷媒バルブは、第2の冷媒配管の途中に設けられており、チラーユニットを冷却台の流路又は第4の冷媒配管に選択的に接続する。
【0022】
一実施形態において、プラズマ処理装置は、ヒータのためのヒータ電源と、伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御する制御部と、を更に備える。制御部は、
(i)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第2のバルブ、及び、第4のバルブが開かれ、第3のバルブ及び第5のバルブが閉じられ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと冷却台の流路を接続し、ヒータがONに設定された状態を形成し、
(ii)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第4のバルブ、及び、第5のバルブが閉じられ、第2のバルブ及び第3のバルブが開かれ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと冷却台の流路を接続し、ヒータがOFFに設定された状態を形成し、
(iii)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第2のバルブ、第3のバルブ、第4のバルブ、及び、第5のバルブが閉じられ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと伝熱空間を接続し、ヒータがOFFに設定された状態を形成し、
(iv)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第2のバルブ、第3のバルブ、第4のバルブ、及び、第5のバルブが閉じられ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと冷却台の流路を接続し、ヒータがOFFに設定された状態を形成し、
(v)伝熱媒体供給系及びヒータ電源を制御して、第1のバルブ、第2のバルブ、第3のバルブ、及び、第4のバルブが閉じられ、第5のバルブが開かれ、第1の冷媒バルブ及び第2の冷媒バルブがチラーユニットと冷却台の流路を接続し、ヒータがONに設定された状態を形成する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、静電チャックを冷却台から離間させる構造を有する載置台において、静電チャックの基台に高周波を供給する給電ルートが形成される。また、この給電ルートにおける高周波の損失が抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0026】
図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
図1に示すプラズマ処理装置10は、容量結合型のプラズマ処理装置であり、処理容器12及び載置台14を備えている。処理容器12は、略円筒形状を有しており、プラズマ処理のための内部空間を提供している。処理容器12は、例えば、アルミニウムから構成されている。処理容器12の内部空間側の表面には、アルマイト膜、及び/又は、酸化イットリウムといった耐プラズマ性を有するセラミックス製の皮膜が形成されている。この処理容器12は接地されている。また、処理容器12の側壁には、基板(以下、「ウエハW」という)を処理容器12内に搬入し、また、処理容器12の内部から搬出さするための開口12pが形成されている。この開口12pは、ゲートバルブGVによって開閉することが可能となっている。
【0027】
載置台14は、ウエハWを処理容器12内の内部空間において支持するよう構成されている。載置台14は、ウエハWを吸着する機能、ウエハWの温度を調整する機能、及び、静電チャックの基台に高周波を伝送する構造を有している。この載置台14の詳細については、後述する。
【0028】
プラズマ処理装置10は、上部電極16を更に備えている。上部電極16は、処理容器12の上部開口内に配置されており、後述する載置台14の下部電極と略平行に配置されている。上部電極16と処理容器12との間には、絶縁性の支持部材18が介在している。
【0029】
上部電極16は、天板20及び支持体22を有している。天板20は、略円盤状形状を有している。天板20は、導電性を有し得る。天板20は、例えば、シリコンから形成されている。或いは、天板20は、アルミニウムから形成されており、その表面には、耐プラズマ性のセラミックス皮膜が形成されている。この天板20には、多数のガス吐出孔20aが形成されている。ガス吐出孔20aは、略鉛直方向に延びている。
【0030】
支持体22は、天板20を着脱自在に支持している。支持体22は、例えば、アルミニウムから形成されている。支持体22には、ガス拡散室22bが形成されている。このガス拡散室22bからは、ガス吐出孔20aにそれぞれ連通する多数の連通孔22aが延びている。また、ガス拡散室22bには、ポート22cを介して配管24が接続している。この配管24には、ガス供給源26が接続されている。また、配管24の途中には、マスフローコントローラといった流量制御器28及びバルブ30が設けられている。
【0031】
また、プラズマ処理装置10は、排気装置32を更に備えている。排気装置32は、ターボ分子ポンプ、ドライポンプといった一以上のポンプ、及び、圧力調整弁を含んでいる。この排気装置32は、処理容器12に形成された排気口に接続されている。
【0032】
また、プラズマ処理装置10は、制御部MCUを更に備えている。制御部MCUは、プラズマ処理装置10の各部を制御するよう、構成されている。例えば、制御部MCUは、プロセッサ、及び、メモリといった記憶装置を備えるコンピュータ装置であり得る。制御部MCUは、記憶装置に記憶されたプログラム及びレシピに従って動作することにより、プラズマ処理装置10の各部を制御することができる。
【0033】
このプラズマ処理装置10の使用時には、ウエハWが、載置台14上に載置されて、当該載置台14によって保持される。また、ガス供給源26からの処理ガスが処理容器12内に供給され、排気装置32が作動されて、処理容器12内の空間の圧力が減圧される。また、上部電極16と載置台14の下部電極の間に高周波電界が形成される。これにより、処理ガスが解離し、処理ガス中の分子及び/又は原子の活性種によってウエハWが処理される。このような処理において、プラズマ処理装置10の各部は、制御部MCUによる制御される。
【0034】
以下、
図1に加えて、
図2及び
図3を参照し、載置台14、及び当該載置台14に付随するプラズマ処理装置10の構成要素について詳細に説明する。
図2は、
図1に示すプラズマ処理装置の載置台の一部を拡大して示す断面図である。
図3は、
図1に示すプラズマ処理装置の載置台の別の一部を拡大して示す断面図である。
【0035】
載置台14は、冷却台34及び静電チャック36を有している。冷却台34は、処理容器12の底部から延びる支持部材38によって支持されている。この支持部材38は、絶縁性の部材であり、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)から形成されている。また、支持部材38は、略円筒形状を有している。
【0036】
冷却台34は、導電性を有する金属、例えば、アルミニウムから形成されている。冷却台34は、略円盤形状を有している。冷却台34は、中央部34a、即ち第1中央部、及び、周縁部34b、即ち第1周縁部を有している。中央部34aは、略円盤形状を有している。中央部34aは、冷却台34の第1上面34cを提供している。第1上面34cは、略円形の面である。
【0037】
周縁部34bは、中央部34aに連続しており、径方向(鉛直方向に延びる軸線Zに対して放射方向)において中央部34aの外側で、周方向(軸線Zに対して周方向)に延在している。一実施形態では、周縁部34bは、中央部34aと共に、冷却台34の下面34dを提供している。また、周縁部34bは、第2上面34eを提供している。第2上面34eは、帯状の面であり、径方向において第1上面34cの外側で周方向に延びている。また、第2上面34eは、鉛直方向において、第1上面34cよりも下面34dの近くにある。
【0038】
冷却台34には、給電体40が接続されている。一実施形態では、給電体40は、給電棒であり、冷却台34の下面34dに接続されている。給電体40は、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。
【0039】
給電体40は、処理容器12の外部に設けられた高周波電源42及び高周波電源44に電気的に接続されている。高周波電源42は、プラズマ生成用の第1の高周波を発生する電源である。第1の高周波の周波数は、例えば、40MHzである。高周波電源44は、イオン引き込み用の第2の高周波を発生する電源である。第2の高周波の周波数は、例えば、13.56MHzである。
【0040】
高周波電源42は、整合器46を介して給電体40に接続されている。整合器46は、高周波電源42の負荷側のインピーダンスを、高周波電源42の出力インピーダンスに整合させるための整合回路を有している。高周波電源44は、整合器48を介して給電体40に接続されている。整合器48は、高周波電源44の負荷側のインピーダンスを、高周波電源44の出力インピーダンスに整合させるための整合回路を有している。
【0041】
冷却台34には、冷媒用の流路34fが形成されている。流路34fは、冷却台34内において、例えば螺旋状に延在している。この流路34fには、チラーユニットTUにより冷媒が供給される。流路34fに供給される冷媒は、プラズマ処理装置10の使用温度範囲、例えば20℃以上250℃以下の温度帯域において液体である液状冷媒である。或いは、冷媒は、その気化によって吸熱し、冷却を行う冷媒であってもよく、例えば、ハイドロフルオロカーボン系の冷媒であってもよい。
【0042】
静電チャック36は、冷却台34の上に設けられている。具体的に、静電チャック36は、冷却台34の第1上面34cの上に設けられている。静電チャック36は、基台50及び吸着部52を有している。基台50は、下部電極を構成しており、冷却台34の上に設けられている。基台50は、導電性を有している。基台50は、例えば、窒化アルミニウム又は炭化ケイ素に導電性を付与したセラミックス製であってもよく、或いは、金属(例えば、チタン)製であってもよい。
【0043】
基台50は、略円盤形状をなしており、中央部50a、即ち第2中央部、及び、周縁部50b、即ち第2周縁部を有している。中央部50aは、略円盤形状を有している。中央部50aは、基台50の第1上面50cを提供している。第1上面50cは、略円形の面である。
【0044】
周縁部50bは、中央部50aに連続しており、径方向において中央部50aの外側で、周方向に延在している。一実施形態では、周縁部50bは、中央部50aと共に、基台50の下面50dを提供している。また、周縁部50bは、第2上面50eを提供している。この第2上面50eは、帯状の面であり、径方向において第1上面50cの外側で周方向に延びている。また、第2上面50eは、鉛直方向において、第1上面50cよりも下面50dの近くにある。
【0045】
吸着部52は、基台50上に設けられており、当該吸着部52と基台50との間に介在させた金属を用いた金属接合により、基台50に結合されている。吸着部52は、略円盤形状を有しており、セラミックスから形成されている。吸着部52を構成するセラミックスは、室温(例えば、20度)以上、400℃以下の温度範囲において、1×10
15Ω・cm以上の体積抵抗率を有するセラミックスであり得る。このようなセラミックスとして、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)が用いられ得る。かかる体積抵抗率を有するセラミックス製の吸着部52によれば、200℃を超える高温においても、十分な吸着力が発揮される。
【0046】
吸着部52は、吸着用電極54、ヒータ56、及びヒータ58を内蔵している。吸着用電極54は電極膜であり、当該吸着用電極54には、直流電源60が電気的に接続されている。直流電源60からの直流電圧が吸着用電極54に与えられると、吸着部52はクーロン力といった静電力を発生し、当該静電力によってウエハWを保持する。
【0047】
ヒータ56は、ヒータ58よりも吸着部52の中央側に設けられている。換言すると、ヒータ58は、吸着部52の周縁領域内に設けられており、ヒータ56は、ヒータ58の内側に設けられている。ヒータ56及びヒータ58は、ヒータ電源62に電気的に接続されている。このヒータ電源62は、3系統のヒータ電源である。ヒータ56とヒータ電源62の間には、ヒータ電源62への高周波の侵入を防止するために、フィルタ64が設けられている。また、ヒータ58とヒータ電源62の間には、ヒータ電源62への高周波の侵入を防止するために、フィルタ66が設けられている。
【0048】
基台50と冷却台34の間には、弾性部材68、即ち第1の弾性部材が設けられている。弾性部材68は、静電チャック36を冷却台34から上方に離間させている。この弾性部材68は、Oリングである。弾性部材68は、冷却台34の第1上面34cによって提供される溝の中に部分的に配置されており、第1上面34cと基台50の下面50dに接している。また、弾性部材68は、冷却台34と基台50と共に、冷却台34の第1上面34cと基台50の下面50dとの間に、伝熱空間DSを画成している。また、弾性部材68は、冷却台34と基台50との間において伝熱空間DSを封止している。この伝熱空間DSには、供給部GPから、伝熱ガス、例えばHeガスが供給されるようになっている。
【0049】
伝熱空間DSの鉛直方向における長さは、プラズマ処理装置10の使用時における静電チャック36の設定温度範囲に依存するが、例えば、0.1mm以上2.0mm以下の長さに設定される。一例として、静電チャック36の設定温度範囲が80℃以上、250℃以下である場合には、伝熱空間DSの鉛直方向における長さは、0.5mmに設定される。また、静電チャック36の設定温度範囲の下限値が80℃よりも低い温度である場合には、伝熱空間DSの鉛直方向における長さは0.5mmよりも短い長さに設定される。
【0050】
一実施形態では、弾性部材68は、伝熱空間DSにHeガスが供給されているときの当該伝熱空間DSの熱抵抗よりも高い熱抵抗を有するように構成される。伝熱空間DSの熱抵抗は、伝熱ガスの熱伝導率、伝熱空間DSの鉛直方向の長さ、及び伝熱空間DSの面積に依存する。また、弾性部材68の熱抵抗は、弾性部材68の熱伝導率、弾性部材68の鉛直方向における厚さ、及び弾性部材68の面積に依存する。したがって、弾性部材68の材料、厚さ、及び、面積は、伝熱空間DSの熱抵抗に応じて、決定される。なお、弾性部材68には、低い熱伝導率及び高い耐熱性が要求される。このような弾性部材68は、例えば、パーフロロエラストマーから形成され得る。
【0051】
載置台14は、締付部材70を更に備えている。締付部材70は、金属から形成されており、基台50及び弾性部材68を、当該締付部材70と冷却台34との間に挟持するように構成されている。一実施形態では、締付部材70は、基台50と冷却台34との間の当該締付部材70からの熱伝導を抑制するために、低い熱伝導率を有する材料、例えば、チタンから形成される。
【0052】
一実施形態において、締付部材70は、筒状部70a及び環状部70bを有している。筒状部70aは、略円筒形状を有しており、その下端において第1下面70cを提供している。第1下面70cは、周方向に延びる帯状の面である。
【0053】
環状部70bは、略環状板形状を有しており、筒状部70aの上側部分の内縁に連続して、当該筒状部70aから径方向内側に延びている。この環状部70bは、第2下面70dを提供している。第2下面70dは、周方向に延びる帯状の面である。
【0054】
締付部材70は、第1下面70cが冷却台34の第2上面34eに接し、第2下面70dが基台50の第2上面50eに接するように配置される。また、締付部材70は、冷却台34の周縁部34bに対してねじ72によって固定される。このねじ72の締付部材70に対する螺合を調整することにより、弾性部材68の潰し量が調整される。これにより、伝熱空間DSの鉛直方向における長さが調整される。
【0055】
一実施形態では、締付部材70の環状部70bの内縁部下面と基台50の第2上面50eとの間には、弾性部材74、即ち第2の弾性部材が設けられている。この弾性部材74は、Oリングであり、締付部材70の第2下面70dと基台50の第2上面50eとの摩擦により生じ得るパーティクル(例えば、金属粉)が、吸着部52側に移動することを抑制する。
【0056】
また、弾性部材74は、弾性部材68が発生する反力よりも小さい反力を発生する。換言すると、弾性部材68には、当該弾性部材68が発生する反力が弾性部材74が発生する反力よりも大きくなるように構成される。さらに、この弾性部材74は、高い耐熱性を有し、且つ、低い熱伝導率を有する材料として、パーフロロエラストマーから形成され得る。
【0057】
締付部材70の上には、ヒータ76が設けられている。このヒータ76は、周方向に延在しており、フィルタ78を介してヒータ電源62に接続されている。フィルタ78は、高周波がヒータ電源62に侵入することを防止するために、設けられている。
【0058】
ヒータ76は、第1の膜80と第2の膜82の間に設けられている。第1の膜80は、第2の膜82に対して締付部材70側に設けられている。第1の膜80は、第2の膜82の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有している。例えば、第1の膜80は、ジルコニア製の溶射膜であり、第2の膜82は酸化イットリウム(イットリア)製の溶射膜であり得る。また、ヒータ76は、タングステンの溶射膜であり得る。
【0059】
第2の膜82上には、フォーカスリング84が設けられている。このフォーカスリング84は、ヒータ76からの熱によって加熱される。また、ヒータ76からの熱流束の多くは、第1の膜80よりも第2の膜82に向かい、当該第2の膜82を介してフォーカスリング84に向かう。したがって、フォーカスリング84が効率的に加熱される。
【0060】
また、載置台14の冷却台34、締付部材70等は、その外周側において一以上の絶縁性部材86によって覆われている。一以上の絶縁性部材86は、例えば、酸化アルミニウム又は石英から形成されている。
【0061】
さらに、
図3に示すように、載置台14の冷却台34及び静電チャック36には、ウエハWと吸着部52との間に伝熱ガス(例えば、Heガス)を供給するためのガスライン90が提供されている。このガスライン90は、伝熱ガスの供給部91に接続されている。
【0062】
図3に示すように、ガスライン90は、ガスライン90a(第1のガスライン)、ガスライン90b、及びガスライン90c(第2のガスライン)を含んでいる。ガスライン90aは、吸着部52に形成されている。また、ガスライン90cは、冷却台34に形成されている。ガスライン90aとガスライン90cはガスライン90bを介して接続されている。このガスライン90bは、スリーブ92によって提供されている。このスリーブ92は、略筒状の部材であり、少なくともその表面において絶縁性を有しており、当該表面はセラミックスから形成されている。一例においてスリーブ92は、絶縁性のセラミックスから形成されている。例えば、スリーブ92は、酸化アルミニウム(アルミナ)から形成されている。別の例において、スリーブ92は、表面に絶縁処理を施した金属製の部材であってもよい。例えば、スリーブ92は、アルミニウム製の本体と当該本体の表面に設けられたアルマイト皮膜とを有していてもよい。
【0063】
基台50と冷却台34は、スリーブ92を収容するための収容空間を提供している。この収容空間を画成する基台50の面50fには、絶縁性セラミックスの皮膜94が形成されている。皮膜94は、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)の溶射膜であり得る。
【0064】
皮膜94と冷却台との間には、スリーブ92の収容空間を封止する弾性部材96、即ち第3の弾性部材が設けられている。この弾性部材96は、Oリングであり、絶縁性を有する。弾性部材96は、例えば、パーフロロエラストマーから形成されている。また、弾性部材96の外側には、弾性部材98、即ち第4の弾性部材が設けられている。この弾性部材98は、Oリングであり、冷却台34の第1上面34cと基台50の下面50dに接しており、伝熱空間DSを封止している。弾性部材98は、例えば、パーフロロエラストマーから形成されている。
【0065】
以上説明したように、載置台14では、弾性部材68によって冷却台34と基台50とが互いに離間されている。また、この載置台14では、基台50と吸着部52との接合に、接着剤が用いられていない。したがって、静電チャック36の温度を、250℃といった200℃を超える高温に設定することが可能である。また、伝熱空間DSに供給される伝熱ガスを介して静電チャック36と冷却台34との間の熱交換がなされ得るので、静電チャック36の温度を低温(例えば、80℃)に設定することも可能である。また、この載置台14では、給電体40、冷却台34、及び締付部材70により、静電チャック36の基台50に対する高周波の給電ルートが確保されている。さらに、給電体40が、静電チャック36の基台50に直接接続されるのではなく、冷却台34に接続されるので、当該給電体40の構成材料としてアルミニウム又はアルミニウム合金を採用することができる。したがって、13.56MHz以上の高い周波数の高周波が用いられる場合であっても、給電体40における高周波の損失が抑制される。
【0066】
また、上述したように、一実施形態では、締付部材70の環状部70bの内縁部下面と基台50の第2上面50eとの間には、弾性部材74が設けられている。基台50の周縁部50bの第2上面50eと締付部材70の第2下面70dは、互いに接しているので、それらの接触箇所において摩擦が生じ、パーティクル(例えば、金属粉)が発生することがある。弾性部材74は、このようなパーティクルが発生しても、吸着部52及び当該吸着部52上に載置されるウエハWに、パーティクルが付着することを抑制し得る。
【0067】
また、弾性部材68は、当該弾性部材68が発生する反力が弾性部材74が発生する反力よりも大きくなるように構成される。これにより、静電チャック36を冷却台34から確実に離間させることができる。
【0068】
また、一実施形態では、弾性部材68は、伝熱空間DSにHeガスが供給されているときの当該伝熱空間DSの熱抵抗よりも高い熱抵抗を有するように構成される。また、弾性部材68は、例えば、パーフロロエラストマーから形成される。このような弾性部材68によれば、静電チャック36と冷却台34との間では、弾性部材68を介した熱伝導よりも伝熱空間DSを介した熱伝導が優位となる。したがって、静電チャック36の温度分布が均一化され得る。
【0069】
また、一実施形態では、ウエハWと吸着部52との間に供給される伝熱ガス用のガスライン90が接着剤を用いずに形成されている。また、このガスライン90を部分的に構成するスリーブ92が配置される収容空間を画成する基台50の面50fが皮膜94で覆われており、且つ、当該収容空間を封止するように皮膜94と冷却台34との間において絶縁性の弾性部材96が設けられている。これにより、プラズマが基台50と冷却台34との間に侵入すること、及び、それに伴う基台50の絶縁破壊が抑制される。
【0070】
また、上述した載置台14を有するプラズマ処理装置10によれば、80℃以下といった低い温度から、250℃といった200℃を超える高い温度までの温度帯において、ウエハWに対するプラズマ処理を行うことができる。
【0071】
以下、プラズマ処理装置10に採用され得る伝熱媒体供給系について説明する。以下に説明する伝熱媒体供給系は、伝熱空間DSに伝熱ガス又は冷媒を選択的に供給する機構である。
図4は、一実施形態に係る伝熱媒体供給系の構成を示す図である。
【0072】
図4に示す伝熱媒体供給系100は、上述した供給部GP及びチラーユニットTUを備えている。供給部GPは、伝熱ガス(例えば、Heガス)の供給源102及び圧力調整器104を有している。供給源102からの伝熱ガスは、圧力調整器104を介して出力される。この圧力調整器104において、伝熱ガスの圧力が調整される。伝熱媒体供給系100において、チラーユニットTUは、液状冷媒を利用するチラーユニットであり、当該液状冷媒は、例えば、フッ素系の液状冷媒である。このように液状冷媒を利用するチラーユニットTUを備える伝熱媒体供給系100は、配管L11(第1の配管)、配管L12、配管L13、配管L14、配管L15、配管L16、配管L17、バルブV11、バルブV12、バルブV13、バルブV14、バルブV15、バルブV16、配管L21、配管L12、配管L23、配管L24、配管L25、配管L26、バルブV21、バルブV22、バルブV25、バルブV26、タンクT1、タンクT2、ドライポンプP1、及び、ドライポンプP2を更に備えている。
【0073】
圧力調整器104には、配管L11の一端が接続している。配管L11の途中にはバルブV11が設けられている。配管L11の他端には、配管L12の一端、配管L13の一端、及び、配管L14の一端が接続している。配管L12の途中にはバルブV12が設けられており、配管L13の途中にはバルブV13が設けられており、配管L14の途中にはバルブV14が設けられている。
【0074】
配管L12の他端は、伝熱空間DSに接続している。伝熱空間DSとバルブV12との間において、配管L12には配管L15の一端が接続している。配管L15の途中には、バルブV15が設けられている。このバルブV15の下流側において、配管L15は、タンクT1に接続している。即ち、配管L15の他端はタンクT1に接続している。このタンクT1には、配管L16の一端が接続している。配管L16の途中にはバルブV16が設けられている。また、配管L16の下流にはドライポンプP1が設けられている。即ち、配管L16の他端は、ドライポンプP1に接続している。
【0075】
配管L13及び配管L14はそれらの他端において合流している。配管L13の他端及び配管L14の他端には、配管L17の一端が接続している。配管L17の他端は、バルブV16とドライポンプP1との間において配管L16に接続している。
【0076】
チラーユニットTUは、配管L21を介して流路34fに接続している。即ち、配管L21の一端はチラーユニットTUに接続しており、配管L21の他端は流路34fに接続している。この配管L21は、流路34fに冷媒を供給するための配管である。また、チラーユニットTUは、配管L22を介して流路34fに接続している。即ち、配管L22の一端はチラーユニットTUに接続しており、配管L22の他端は流路34fに接続している。この配管L22は、流路34fから冷媒を回収するめの配管である。配管L21の途中にはバルブV21が設けられている。また、配管L22の途中にはバルブV22が設けられている。バルブV21には配管L23が接続されており、また、バルブV22には配管L24が接続されている。配管L23の一端及び配管L24の一端は伝熱空間DSに接続されている。バルブV21は、チラーユニットTUを流路34f又は配管L23に選択的に接続するように構成されている。バルブV22は、チラーユニットTUを流路34f又は配管L24に選択的に接続するように構成されている。バルブV21及びバルブV22は、例えば、三方弁である。また、配管L23の他端及び配管L24の他端は互いに合流しており、配管L23の他端及び配管L24の他端には、配管L25の一端が接続している。この配管L25の途中には、バルブV25が設けられている。また、このバルブV25の下流側において、配管L25は、タンクT2に接続している。即ち、配管L25の他端はタンクT2に接続している。このタンクT2には、配管L26の一端が接続している。この配管L26の途中にはバルブV26が設けられている。また、配管L26の下流にはドライポンプP2が設けられている。即ち、配管L26の他端はドライポンプP2に接続している。
【0077】
以下、
図5〜
図9を参照して、静電チャック36の降温の際の伝熱媒体供給系100の動作について説明する。以下に説明する動作において、伝熱媒体供給系100及びヒータ電源62は、制御部MCUによって制御される。なお、
図5〜
図9において、黒塗りの図形で示すヒータ56及びヒータ58は、これらヒータがONになっている状態、即ち、これらヒータに電流が供給されている状態にある。白抜きの図形で示すヒータ56及びヒータ58は、これらヒータがOFFになっている状態にある。また、白抜きの図形で示すバルブは開かれた状態にあり、黒抜きの図形で示すバルブは閉じられた状態にある。
【0078】
まず、
図5に示すように、ヒータ56及びヒータ58がONになっている状態、即ち、静電チャック36が加熱されている状態では、バルブV11、バルブV12、及び、バルブV14は開かれた状態に設定され、バルブV13、バルブV15、及び、バルブV16は開かれた状態に設定される。また、バルブV25及びバルブV26は閉じられた状態に設定される。また、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと流路34fを連通させる状態に設定される。さらに、バルブV21は配管L23に対しては閉じられた状態に設定され、バルブV22は配管L24に対しては閉じられた状態に設定される。これにより、供給部GPからの伝熱ガスが伝熱空間DSに供給される。また、チラーユニットTUと流路34fとの間では、冷媒が循環される。
【0079】
図5に示す状態から、静電チャック36を降温させるために、
図6に示すように、ヒータ56及びヒータ58がOFFに設定される。また、バルブV12及びバルブV13は開かれた状態に設定され、バルブV11、バルブV14、バルブV15、及び、バルブV16は閉じられた状態に設定される。また、バルブV25及びバルブV26は閉じられた状態に設定される。また、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと流路34fを連通させる状態に設定される。さらに、バルブV21は配管L23に対しては閉じられた状態に設定され、バルブV22は配管L24に対しては閉じられた状態に設定される。これにより、伝熱ガスは、伝熱空間DSからドライポンプP1に排出される。また、チラーユニットTUと流路34fとの間では、冷媒が循環される。
【0080】
次いで、
図7に示すように、ヒータ56及びヒータ58がOFFに設定される。また、バルブV11、バルブV12、バルブV13、バルブV14、バルブV15、及び、バルブV16は、閉じられた状態に設定される。また、バルブV25及びバルブV26は、閉じられた状態に設定される。また、バルブV21は、流路34fに対しては閉じられた状態に設定され、チラーユニットTUと配管L23に対しては開かれた状態に設定される。また、バルブV22は、流路34fに対しては閉じられた状態に設定され、チラーユニットTUと配管L24に対しては開かれた状態に設定される。即ち、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと伝熱空間DSを接続するように設定される。これにより、冷媒がチラーユニットTUと伝熱空間DSとの間で循環される。なお、冷媒は、流路34fと伝熱空間DSの双方に供給されてもよい。
【0081】
静電チャック36の温度が目標温度になると、次いで、
図8に示すように、ヒータ56及びヒータ58がOFFに設定される。また、バルブV11、バルブV12、バルブV13、バルブV14、バルブV15、及び、バルブV16は、閉じられた状態に設定される。また、バルブV25及びバルブV26は閉じられた状態に設定される。また、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと流路34fを連通させる状態に設定される。さらに、バルブV21は配管L23に対しては閉じられた状態に設定され、バルブV22は配管L24に対しては閉じられた状態に設定される。これにより、チラーユニットTUと流路34fとの間では冷媒が再び循環される。
【0082】
次いで、
図9に示すように、ヒータ56及びヒータ58がOFFに設定される。また、バルブV11、バルブV12、バルブV13、及び、バルブV14は閉じられた状態に設定され、バルブV15及びバルブV16は開かれた状態に設定される。また、バルブV25及びバルブV26は開かれた状態に設定される。また、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと流路34fを連通させる状態に設定される。さらに、バルブV21は配管L23に対しては閉じられた状態に設定され、バルブV22は配管L24に対しては閉じられた状態に設定される。これにより、チラーユニットTUと流路34fとの間において冷媒が循環される状態が維持される。また、伝熱空間DS内の冷媒(液状冷媒)が、タンクT1及びタンクT2に排出される。
【0083】
しかる後に、
図5に示すように、再び、供給部GPからの伝熱ガスを伝熱空間DSに供給し、ヒータ56及びヒータ58をONに設定することができる。
【0084】
かかる伝熱媒体供給系100を有するプラズマ処理装置10によれば、静電チャック36の降温時に、伝熱空間DSに液状冷媒を供給することができる。液状冷媒が伝熱空間DSに供給されている場合の静電チャック36の降温速度は、伝熱ガス(例えばHeガス)が伝熱空間DSに供給される場合の静電チャック36の降温速度よりも高い。例えば、伝熱空間DSに液状冷媒としてフッ素系の液状冷媒が供給されている場合の静電チャック36の降温速度は、伝熱空間DSにHeガスが供給される場合の静電チャック36の降温速度に対して約2倍の降温速度となる。このように、伝熱媒体供給系100を有するプラズマ処理装置10によれば、静電チャック36の温度を高速に低下させることが可能である。
【0085】
以下、プラズマ処理装置10に採用され得る別の伝熱媒体供給系について説明する。
図10は、別の実施形態に係る伝熱媒体供給系の構成を示す図である。
図10に示す伝熱媒体供給系100Aでは、チラーユニットTUは、その気化により吸熱し、冷却を行う冷媒を利用する。このような冷媒は、ハイドロフルオロカーボン系の冷媒である。このような冷媒を利用するチラーユニットTUを備える伝熱媒体供給系100Aは、伝熱媒体供給系100と比較すると、タンクT1、配管L16、バルブV16、配管L25、バルブV25、タンクT2、配管L26、バルブV26、及び、ドライポンプP2を備えていない。したがって、伝熱媒体供給系100Aは、伝熱媒体供給系100に比して、少ない部品から構成され得る。これは、伝熱媒体供給系100では液状の冷媒を伝熱空間DSから排出することが必要であるのに対して、伝熱媒体供給系100Aでは、伝熱空間DSに供給された冷媒を気化させた状態で排気することができるからである。
【0086】
伝熱媒体供給系100Aでは、配管L15の他端は、ドライポンプP1に接続されている。配管L17の他端は、バルブV15とドライポンプP1との間において配管L15に接続されている。また、配管L23の他端はバルブV21に接続されており、配管L24の他端はバルブV22に接続されている。
【0087】
以下、
図11〜
図15を参照して、静電チャック36の降温の際の伝熱媒体供給系100Aの動作について説明する。以下に説明する動作において、伝熱媒体供給系100及びヒータ電源62は、制御部MCUによって制御される。なお、
図11〜
図15において、黒塗りの図形で示すヒータ56及びヒータ58は、これらヒータがONになっている状態、即ち、これらヒータに電流が供給されている状態にある。白抜きの図形で示すヒータ56及びヒータ58は、これらヒータがOFFになっている状態にある。また、白抜きの図形で示すバルブは開かれた状態にあり、黒抜きの図形で示すバルブは閉じられた状態にある。
【0088】
まず、
図11に示すように、ヒータ56及びヒータ58がONになっている状態、即ち、静電チャック36が加熱されている状態では、バルブV11、バルブV12、及び、バルブV14は開かれた状態に設定され、バルブV13及びバルブV15は開かれた状態に設定される。また、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと流路34fを連通させる状態に設定される。さらに、バルブV21は配管L23に対しては閉じられた状態に設定され、バルブV22は配管L24に対しては閉じられた状態に設定される。これにより、供給部GPからの伝熱ガスが伝熱空間DSに供給される。また、チラーユニットTUと流路34fとの間では、冷媒が循環される。
【0089】
図11に示す状態から、静電チャック36を降温させるために、
図12に示すように、ヒータ56及びヒータ58がOFFに設定される。また、バルブV12及びバルブV13は開かれた状態に設定され、バルブV11、バルブV14、及び、バルブV15は閉じられた状態に設定される。また、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと流路34fを連通させる状態に設定される。さらに、バルブV21は配管L23に対しては閉じられた状態に設定され、バルブV22は配管L24に対しては閉じられた状態に設定される。これにより、伝熱ガスは、伝熱空間DSからドライポンプP1に排出される。また、チラーユニットTUと流路34fとの間では、冷媒が循環される。
【0090】
次いで、
図13に示すように、ヒータ56及びヒータ58がOFFに設定される。また、バルブV11、バルブV12、バルブV13、バルブV14、及び、バルブV15は、閉じられた状態に設定される。また、バルブV21は、流路34fに対しては閉じられた状態に設定され、チラーユニットTUと配管L23に対しては開かれた状態に設定される。また、バルブV22は、流路34fに対しては閉じられた状態に設定され、チラーユニットTUと配管L24に対しては開かれた状態に設定される。即ち、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと伝熱空間DSを接続するように設定される。これにより、冷媒がチラーユニットTUと伝熱空間DSとの間で循環される。なお、冷媒は、流路34fと伝熱空間DSの双方に供給されてもよい。
【0091】
静電チャック36の温度が目標温度になると、次いで、
図14に示すように、ヒータ56及びヒータ58がOFFに設定される。また、バルブV11、バルブV12、バルブV13、バルブV14、及び、バルブV15は、閉じられた状態に設定される。また、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと流路34fを連通させる状態に設定される。さらに、バルブV21は配管L23に対しては閉じられた状態に設定され、バルブV22は配管L24に対しては閉じられた状態に設定される。これにより、チラーユニットTUと流路34fとの間では冷媒が再び循環される。
【0092】
次いで、伝熱空間DS内の冷媒を確実に気化させて、気化した冷媒を排気するために、
図15に示すように、ヒータ56及びヒータ58がONに設定される。また、バルブV11、バルブV12、バルブV13、及び、バルブV14は閉じられた状態に設定され、バルブV15は開かれた状態に設定される。また、バルブV21及びバルブV22は、チラーユニットTUと流路34fを連通させる状態に設定される。さらに、バルブV21は配管L23に対しては閉じられた状態に設定され、バルブV22は配管L24に対しては閉じられた状態に設定される。これにより、チラーユニットTUと流路34fとの間において冷媒が循環される状態が維持される。また、伝熱空間DS内の冷媒が気化して、気化した冷媒がドライポンプP1によって排気される。
【0093】
しかる後に、再び
図11に示すように、供給部GPからの伝熱ガスを伝熱空間DSに供給し、ヒータ56及びヒータ58をONに設定することができる。
【0094】
かかる伝熱媒体供給系100Aを有するプラズマ処理装置10では、伝熱空間DSに冷媒が供給されている場合の静電チャック36の降温速度は、伝熱空間DSにHeガスが供給される場合の静電チャック36の降温速度に対して約3倍の降温速度となる。このように、伝熱媒体供給系100Aを有するプラズマ処理装置10によれば、静電チャック36の温度をより高速に低下させることが可能である。
【0095】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、高周波電源42は、整合器46を介して上部電極16に接続されていてもよい。また、上述した載置台14は、容量結合型のプラズマ処理装置以外の任意のプラズマ処理装置、例えば、誘導結合型のプラズマ処理装置、マイクロ波といった表面波をプラズマの生成に利用するプラズマ処理装置にも採用され得る。