(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から
図8を参照して、成膜装置、および、成膜方法の一実施形態を説明する。以下では、成膜装置の構成、成膜チャンバの構成、および、成膜方法を順番に説明する。
[成膜装置の構成]
図1を参照して成膜装置の構成を説明する。
【0020】
図1が示すように、成膜装置10は、1つの方向である連結方向に沿って並ぶロードロックチャンバ11と、成膜チャンバ12とを備えている。ロードロックチャンバ11と成膜チャンバ12との間には、ゲートバルブ13が位置し、ゲートバルブ13が開くことによって、ロードロックチャンバ11と成膜チャンバ12との間が連通され、ゲートバルブ13が閉じることによって、ロードロックチャンバ11と成膜チャンバ12との間が遮断される。
【0021】
成膜装置10の処理対象は基板Sであり、基板Sは、基板Sを支持するトレイTに取り付けられた状態で、成膜装置10内に搬入される。基板Sの形成材料は、例えばガラスまたは樹脂などであり、トレイTの形成材料は、例えば金属などである。
【0022】
成膜装置10は、搬送部14を備え、搬送部14は、ロードロックチャンバ11から成膜チャンバ12までにわたって連結方向に沿って延び、ロードロックチャンバ11内、および、成膜チャンバ12内において、トレイTに取り付けられた状態の基板Sを連結方向に沿って搬送する。搬送部14は、成膜チャンバ12内における所定の位置において基板Sを支持することが可能であり、搬送部14は支持部の一例である。搬送部14は、基板Sのうち、処理対象となる面が水平方向に対してほぼ直交する状態で、言い換えれば、基板Sを起立させた状態で搬送する。
【0023】
ロードロックチャンバ11は排気部15を備え、排気部15は、ロードロックチャンバ11の内部を所定の圧力にまで減圧する。ロードロックチャンバ11は、成膜装置10の外部から処理前の基板Sを搬入し、処理後の基板Sを成膜装置10の内部から搬出する。
【0024】
成膜チャンバ12は、排気部16、第1磁場形成部20、および、カソード30を備えている。排気部16は、ロードロックチャンバ11の排気部15と同様、成膜チャンバ12の内部を所定の圧力にまで減圧する。搬送部14は、成膜チャンバ12の内部において、カソード30と対向する位置に、基板Sを配置する。成膜チャンバ12は、搬送部14の配置する基板Sに対して、磁性膜を形成する処理である成膜処理を施す。
【0025】
こうした成膜装置10は、成膜装置10の外部からロードロックチャンバ11を介して成膜装置10の内部に処理前の基板Sを搬入し、搬送部14が、ロードロックチャンバ11から成膜チャンバ12に向けて基板Sを搬送する。そして、成膜チャンバ12にて、基板Sに対する成膜処理が行われ、搬送部14が、成膜チャンバ12からロードロックチャンバ11に向けて処理後の基板Sを搬送する。成膜装置10は、ロードロックチャンバ11を介して処理後の基板Sを成膜装置10の外部に搬出する。
【0026】
なお、成膜装置10は、少なくとも成膜チャンバ12を備えていればよく、ロードロックチャンバ11を備えていなくてもよい。また、成膜装置10は、ロードロックチャンバ11と成膜チャンバ12とに加えて、成膜チャンバ12よりも前に基板Sに対して所定の処理を行うチャンバや、成膜チャンバ12よりも後に基板Sに対して所定の処理を行うチャンバを備えていてもよい。
【0027】
[成膜チャンバの構成]
図2から
図7を参照して成膜チャンバの構成を説明する。
図2が示すように、成膜チャンバ12は、ターゲット31、搬送部14、および、第1磁場形成部20を備えている。ターゲット31は、磁性材料を含み、搬送部14は、ターゲット31と対向する領域である配置領域Rに基板Sが位置するように基板Sを支持する。
【0028】
言い換えれば、搬送部14は、基板Sをターゲット31と対向するように支持する。搬送部14は、基板Sにおけるターゲット31と対向する面に対する法線の方向と、ターゲット31における基板Sと対向する面に対する法線の方向とがほぼ平行である状態で、基板Sを支持する。
【0029】
第1磁場形成部20は、配置領域Rに対してターゲット31とは反対側に位置している。第1磁場形成部20は、基板Sに沿う1つの方向である揺動方向Dsと平行な水平磁場HMを配置領域Rに対してターゲット31が位置する側に形成する。言い換えれば、第1磁場形成部20は、基板Sのうち、ターゲット31と対向する面上に、揺動方向Dsと平行な水平磁場HMを形成する。
【0030】
第1磁場形成部20は、揺動方向Dsにおける少なくとも配置領域Rの一端と他端との間で揺動方向Dsに沿って水平磁場HMを揺動させる。言い換えれば、第1磁場形成部20は、基板Sに対してターゲット31とは反対側に位置し、揺動方向Dsにおける少なくとも基板Sの一端と他端との間で揺動方向Dsに沿って水平磁場HMを揺動させる。
【0031】
こうした成膜チャンバ12によれば、基板Sの面内において、所定の強度を有した水平磁場HMが、揺動方向Dsに沿って走査される。そのため、基板Sに対して磁性膜が形成されるときに、基板Sの面内において水平磁場HMの強度におけるばらつきが固定されることが抑えられ、磁性膜における各部分が形成されるときにおける水平磁場HMの強度のばらつきが抑えられる。結果として、磁性膜における磁気異方性が高められる。
【0032】
第1磁場形成部20は、第1磁気回路21および第1揺動部22を備え、第1磁気回路21は水平磁場HMを形成し、第1揺動部22は、揺動方向Dsに沿って第1磁気回路21を揺動させる。
【0033】
第1磁気回路21は、2つの永久磁石である第1磁石21aと第2磁石21bを含み、言い換えれば、第1磁気回路21の含む永久磁石は1対の永久磁石から構成されている。揺動方向Dsと交差する方向が高さ方向Dhであり、各永久磁石は、高さ方向Dhに沿って延びる柱形状を有し、各永久磁石において、配置領域Rと対向する端が先端である。一方の永久磁石である第1磁石21aの先端における磁極と、他方の永久磁石である第2磁石21bの先端における磁極とが互いに異なる磁極である。
【0034】
第1磁気回路21が1対の永久磁石を含むため、1対の永久磁石間に形成される水平磁場HMが、基板Sの全体を走査される。それゆえに、複数対の永久磁石を有した磁気回路が基板Sを走査される構成と比べて、各対の永久磁石が形成する磁場の間における磁場方向の差異や磁場強度の分布が抑えられるため、磁性膜が形成されるときに、基板Sの面内において、磁場強度のばらつきがより生じにくくなる。結果として、磁性膜の磁気異方性がより高められやすくなる。
【0035】
なお、第1磁石21aの先端における磁極と第2磁石21bの先端における磁極とが互いに異なっていればよいため、第1磁石21aの先端がN極であり、第2磁石21bの先端がS極であってもよいし、第1磁石21aの先端がS極であり、第2磁石21bの先端がN極であってもよい。
【0036】
第1磁気回路21は、さらにヨーク21cを備えている。第1磁石21aと第2磁石21bとは、揺動方向Dsに沿って並ぶように、ヨーク21cに対して固定されている。
なお、第1磁気回路が揺動方向Dsと直交する方向の水平磁場を形成する構成では、基板Sの全体に水平磁場を印加するためには、高さ方向Dhにおいて、第1磁石と第2磁石との間の距離が、基板Sにおける一端と他端との間の距離にほぼ等しい必要がある。言い換えれば、高さ方向Dhにおいて、第1磁石と第2磁石との間の距離が、基板Sの大きさと同程度に制約される。
【0037】
この点で、第1磁石21aと第2磁石21bとによって揺動方向Dsと平行な水平磁場HMを形成する第1磁気回路21では、第1磁石21aと第2磁石21bとの間の距離が、基板Sの大きさには制約を受けない。そのため、第1磁石21aと第2磁石21bとの間の距離をより小さくする構成も可能となり、ひいては、基板Sの面内において、基板Sに印加される水平磁場HMの強度にばらつきが生じにくくなる。
【0038】
第1磁気回路21において、揺動方向Dsにおける幅が第1幅L1である。第1幅L1は、第1磁石21aにおける第2磁石21bと対向する面とは反対側の面と、第2磁石21bにおける第1磁石21aと対向する面とは反対側の面との間の距離である。
【0039】
第1磁気回路21における磁束密度は、基板Sにおけるターゲット31と対向する面上において、1G以上であることが好ましく、10G以上であることがより好ましい。磁束密度が1G以上であることによって、磁場が印加されない状態で形成された磁性膜と比べて、水平磁場HMが印加された状態で形成された磁性膜における磁気異方性が高められ、10G以上であることによって、磁性膜における磁気異方性が高められる確実性が高まる。
【0040】
第1揺動部22は、第1磁気回路21を揺動させるための動力を発生する動力部と、動力を第1磁気回路21まで伝達する伝達部と、動力部の駆動を制御する制御部とを備えている。制御部は、動力部の駆動を制御するための制御信号を動力部に出力し、動力部は、制御信号に応じて駆動される。伝達部は、例えば、揺動方向Dsに沿って延びるねじ軸と、ねじ軸に噛み合い、かつ、第1磁気回路21に固定されたナットとを含み、動力部は、例えばねじ軸を回転させるモータである。モータは、第1方向と第1方向とは逆の方向である第2方向とにねじ軸を回転させる。
【0041】
第1揺動部22では、モータがねじ軸を第1方向に回転させることによって、第1磁気回路21が揺動方向Dsに沿って移動し、モータがねじ軸を第2方向に回転させることによって、第1磁気回路21が、揺動方向Dsに沿って、ねじ軸が第1方向に回転するときとは逆向きに移動する。
【0042】
カソード30は、ターゲット31とバッキングプレート32とを備えている。ターゲット31は、上述したように磁性材料を含み、磁性材料は、例えば、NiFe、CoFe、および、CoFeBなどである。ターゲット31において、形成材料のほとんどが磁性材料であることが好ましく、例えば75質量%以上が磁性材料であることが好ましい。
【0043】
ターゲット31のうち、基板Sと対向する面がスパッタされることによって、磁性材料を含む磁性膜が基板Sに形成される。磁性膜は、磁性膜の結晶方向において、磁化しやすい結晶方向である磁化容易軸を有する。磁性膜は、他の方向に沿う磁場が印加されたときと比べて、磁化容易軸と平行な磁場が印加されたときに磁化しやすい。磁性膜は、負の飽和磁化と正の飽和磁化とを有し、磁性膜の磁化を負の飽和磁化から正の飽和磁化に反転させるために必要な磁場の差が小さいほど磁気異方性が高い。
【0044】
バッキングプレート32は、ターゲット31のうち、配置領域Rと対向する面とは反対側の面に固定されている。バッキングプレート32の形成材料は、金属である。
成膜チャンバ12は、第2磁場形成部40をさらに備えている。第2磁場形成部40は、ターゲット31に対して搬送部14とは反対側に位置している。第2磁場形成部40は、ターゲット31に対して搬送部14の位置する側に磁場Mを形成する。言い換えれば、第2磁場形成部40は、ターゲット31のうち、バッキングプレート32に固定された面とは反対側の面であって、基板Sと対向する面上に磁場Mを形成する。第2磁場形成部40は、揺動方向Dsにおけるターゲット31の一端と他端との間で揺動方向Dsに沿って磁場Mを揺動させる。
【0045】
第2磁場形成部40は、第2磁気回路41および第2揺動部42を備え、第2磁気回路41は磁場Mを形成し、第2揺動部42は、揺動方向Dsに沿って第2磁気回路41を揺動させる。
【0046】
第2磁気回路41は、2つの永久磁石である第1磁石41aおよび第2磁石41bと、2つの永久磁石が固定されるヨーク41cとを備えている。第1磁石41aは、高さ方向Dhに沿って延びる柱状を有し、第2磁石41bは、高さ方向Dhに沿って延びる環状を有して、第1磁石41aを取り囲んでいる。第1磁石41aおよび第2磁石41bの各々において、バッキングプレート32と対向する端が先端であり、第1磁石41aの先端における磁極と、第2磁石41bの先端における磁極とは、互いに異なっている。
【0047】
第2磁気回路41において、揺動方向Dsにおける幅が第2幅L2である。第2幅L2は、第2磁石41bにおける第1磁石41aと対向する面とは反対側の面のうち、揺動方向Dsにおいて互いに対向する2つの部分間の距離である。なお、上述した第1磁気回路21における第1幅L1は、例えば第2幅L2に等しい。
【0048】
第2磁気回路41における磁束密度は、ターゲット31における配置領域Rと対向する面において、例えば100G以上であることが好ましい。
第2揺動部42は、第1揺動部22と同様、第2磁気回路41を揺動させるための動力を発生する動力部と、動力を第2磁気回路41まで伝達する伝達部と、動力部の駆動を制御する制御部とを備えている。制御部は、動力部の駆動を制御するための制御信号を動力部に出力し、動力部は、制御信号に応じて駆動される。伝達部は、例えば、揺動方向Dsに沿って延びるねじ軸と、ねじ軸に噛み合い、かつ、第2磁気回路41に固定されたナットとを含み、動力部は、例えばねじ軸を回転させるモータである。モータは、第1方向と第1方向とは逆の方向である第2方向とにねじ軸を回転させる。
【0049】
第2揺動部42では、モータがねじ軸を第1方向に回転させることによって、第2磁気回路41が揺動方向Dsに沿って移動し、モータがねじ軸を第2方向に回転させることによって、第2磁気回路41が、揺動方向Dsに沿って、ねじ軸が第1方向に回転するときとは逆向きに移動する。
【0050】
成膜チャンバ12は、電源51とガス供給部52とをさらに備えている。電源51はバッキングプレート32に接続され、ターゲット31がスパッタされるとき、電源51がバッキングプレート32を介してターゲット31に電圧を印加する。ガス供給部52は、例えば、希ガスなどのスパッタガスを成膜チャンバ12の内部に供給する。
【0051】
図3には、第1磁気回路21の揺動と、第2磁気回路41の揺動とが模式的に示されている。なお、
図3では、図示の便宜状から、第1磁場形成部20、第2磁場形成部40、基板S、および、ターゲット31のみが示されている。
【0052】
図3が示すように、第1磁場形成部20は、第2磁場形成部40が形成する磁場Mの揺動と、第1磁場形成部20が形成する水平磁場HMの揺動とを同期させる。すなわち、第2磁気回路41が、揺動方向Dsに沿ってターゲット31の一端から他端に向けて1回移動するとき、第1磁気回路21も、揺動方向Dsに沿って配置領域Rの一端から他端、言い換えれば基板Sの一端から他端に向けて1回移動する。
【0053】
第1磁場形成部20が形成する水平磁場HMの揺動と第2磁場形成部40が形成する磁場Mの揺動とが同期するため、第1磁場形成部20による水平磁場HMの位置と、第2磁場形成部40によって形成されるプラズマ密度の高い領域の位置とが、基板Sに対して規則的に変わる。それゆえに、基板Sに向けて飛行するスパッタ粒子の密度と、スパッタ粒子が着弾する位置に与えられる水平磁場HMの強度との関係が、磁場形成部20,40の同期揺動によって所定の状態に保たれる。結果として、磁性膜が形成されるときの水平磁場HMの強度におけるばらつきが、基板Sの面内において生じにくくなる。
【0054】
しかも、第1磁場形成部20は、ターゲット31と配置領域Rとを挟んで第1磁気回路21が第2磁気回路41と対向するように第1磁気回路21を揺動させる。
第2磁場形成部40によって形成されるプラズマ密度の高い領域と、第1磁場形成部20による水平磁場HMが形成される領域とが、ターゲット31と基板Sとが対向する方向において重なる。そのため、揺動方向Dsのうち、ターゲット31から放出されるスパッタ粒子の密度が高い位置において、第1磁場形成部20による水平磁場HMが基板Sに与えられる。それゆえに、基板Sに形成される磁性膜の多くの部分が、第1磁場形成部20による水平磁場HMが与えられた状態で形成される。結果として、磁性膜が形成されるときの水平磁場HMの強度におけるばらつきが、基板Sの面内においてより生じにくくなる。
【0055】
なお、揺動方向Dsにおける第1磁気回路21の全体が、揺動方向Dsにおける第2磁気回路41の全体と対向するように揺動することが好ましい。ただし、揺動方向Dsにおける第1磁気回路21の一部が、揺動方向Dsにおける第2磁気回路41の一部と対向するように揺動する場合であっても、磁性膜のうち、第1磁気回路21と第2磁気回路41とが対向する状態で形成された部分においては、少なくとも上述した効果を得ることができる。
【0056】
ターゲット31において揺動方向Dsに沿う幅がターゲット幅Wtであり、配置領域Rにおいて揺動方向Dsに沿う幅が配置幅Wrである。配置幅Wrはターゲット幅Wtよりも小さく、かつ、揺動方向Dsにおいて、配置領域Rの両端はターゲット31の端よりも内側に位置している。
【0057】
すなわち、基板Sにおいて揺動方向Dsに沿う幅が基板幅Wsであり、基板幅Wsは配置幅Wrに等しい。そのため、基板幅Wsはターゲット幅Wtよりも小さく、かつ、揺動方向Dsにおいて、基板Sの両端はターゲット31の端よりも内側に位置している。
【0058】
そして、揺動方向Dsに沿う一次元の座標において、第1磁気回路21が移動する範囲は、ターゲット31の一端の位置と、ターゲット31の他端の位置とに挟まれる範囲である。言い換えれば、揺動方向Dsに沿う一次元の座標において、第1磁気回路21が位置する範囲は、配置領域Rの一端の位置と、配置領域Rの他端の位置とに挟まれる範囲よりも大きい。
【0059】
ここで、揺動方向Dsにおいて、第1磁気回路21が移動する範囲における両端では、第1磁気回路21の移動速度の減速および加速が少なからず行われる。そのため、第1磁気回路21が一定の速度で移動しているときに形成された磁性膜と、第1磁気回路21が減速あるいは加速しているときに形成された磁性膜とでは、単位距離当たりに基板に与えられる水平磁場HMの強度が異なるため、磁性膜の特性が異なる場合がある。
【0060】
第1磁気回路21は、揺動方向Dsにおいて配置領域Rの両端を超えた位置まで移動するため、基板Sのうち、第1磁気回路21の減速あるいは加速に起因して、揺動方向Dsにおける単位距離当たりに与えられる水平磁場HMの強度が他の部分とは異なる部分が形成されにくくなる。それゆえに、磁性膜が形成されるときに、基板Sの面内において水平磁場HMの強度にばらつきがより生じにくくなり、結果として、磁性膜における磁気異方性がより高まりやすくなる。
【0061】
第1揺動部22および第2揺動部42が、上述したねじ軸、ナット、および、モータを備える構成であれば、第1揺動部22および第2揺動部42は、以下の構成であればよい。すなわち、第1揺動部22において、ねじ軸における揺動方向Dsに沿う幅は、第1磁気回路21が向かう方向における第1磁気回路21の先端が、ターゲット31と基板Sとが対向する方向において、第1磁気回路21が向かう先に位置するターゲット31の端と重なることができる大きさであればよい。そのため、ねじ軸における揺動方向Dsに沿う幅は、ターゲット幅Wt以上であることが好ましく、ターゲット幅Wtよりも大きいことがより好ましい。
【0062】
また、第2揺動部42においても同様に、ねじ軸における揺動方向Dsに沿う幅は、第2磁気回路41が向かう方向における第2磁気回路41の先端が、ターゲット31と基板Sとが対向する方向において、第2磁気回路41が向かう先に位置するターゲット31の端とが重なることができる大きさであればよい。そのため、ねじ軸における揺動方向Dsに沿う幅は、ターゲット幅Wt以上であることが好ましく、ターゲット幅Wtよりも大きいことが好ましい。
【0063】
そして、第1揺動部22におけるモータの回転速度は、第2揺動部42におけるモータの回転速度にほぼ等しいことが好ましい。言い換えれば、第1揺動部22におけるねじ軸の回転速度は、第2揺動部42におけるねじ軸の回転速度にほぼ等しいことが好ましい。これにより、揺動方向Dsにおける第1磁気回路21の移動速度と、揺動方向Dsにおける第2磁気回路41の移動速度とがほぼ等しくなる。
【0064】
また、第1揺動部22におけるモータの回転方向と、第2揺動部42におけるモータの回転方向とは互いに同じ方向である。
第1磁気回路21において、揺動を開始する前の位置が第1初期位置であり、第2磁気回路41において、揺動を開始する前の位置が第2初期位置である。ターゲット31と基板Sとが対向する方向において、第1初期位置と第2初期位置とが重なっていることが好ましい。
【0065】
第1磁場形成部20と第2磁場形成部40とでは、例えば、第1揺動部22の制御部が、第2揺動部42の制御部に対して、第2揺動部42の制御部がモータに対して制御信号を出力するタイミングを制御するための制御信号を出力する。そして、第1揺動部22の制御部と第2揺動部42の制御部とが、同じタイミングで動力部に制御信号を出力することにより、第1磁気回路21と第2磁気回路41とが、ターゲット31と基板Sとが対向する方向において、互いに対向する状態で揺動する。
【0066】
図4は、磁性膜における磁化曲線を示している。
図4において、第1磁気回路21による磁場が印加された状態で形成された磁性膜が実施例であり、第1磁気回路21による磁場が印加されない状態で形成された磁性膜が比較例である。
図4では、磁化容易軸と平行な方向の磁場を実施例に対して印加したときの磁化曲線が実線で示され、磁化容易軸と平行な方向の磁場を比較例に対して印加したときの磁化曲線が破線で示されている。
【0067】
図4が示すように、磁性膜に印加される磁場の強度が変わるとき、実施例の磁性膜では、磁性膜の磁化が、負の飽和磁化から正の飽和磁化に急峻に変わる一方で、比較例の磁性膜では、磁性膜の磁化が、負の飽和磁化から正の飽和磁化になだらかに変わる。言い換えれば、実施例の磁性膜では、負の飽和磁化から正の飽和磁化に反転するために必要な磁場の差が相対的に小さく、比較例の磁性膜では、負の飽和磁化から正の飽和磁化に反転するために必要な磁場の差が相対的に大きい。
【0068】
このように、成膜装置10によれば、負の飽和磁化から正の飽和磁化に反転するために必要な磁場の差がより小さい磁性膜、言い換えれば、磁気異方性の高められた磁性膜を形成することができる。
【0069】
ここで、上述したように、磁性膜の磁気異方性を高める上では、第1磁気回路21における磁束密度の強度は1G以上であることが好ましく、磁束密度が大きいほど、磁性膜における磁気異方性が高まる。
【0070】
一方で、第1磁気回路21と第2磁気回路41とは、ターゲット31と基板Sとが対向する方向において、ターゲット31と基板Sとを挟んで対向するように揺動する。これにより、第1磁気回路21が形成する水平磁場HMと、第2磁気回路41が形成する磁場Mもターゲット31と基板Sとを挟んで対向するように揺動する。
【0071】
そのため、第1磁気回路21が形成する水平磁場HMにおける磁束密度が大きくなると、水平磁場HMが、第2磁気回路41が形成する磁場Mに干渉し、ターゲット31のうち、基板Sと対向する面の周りに形成されるプラズマの状態に影響する。
【0072】
図5は、基板Sのうち、ターゲット31と対向する面での第1磁気回路21における磁束密度と、基板Sに形成された磁性膜の厚さにおける面内での均一性との関係を示している。なお、
図5は、第2磁気回路41における磁束密度が200Gであるときの磁性膜の厚さにおける面内均一性を示している。また、磁性膜の厚さにおける面内均一性は、磁性膜における複数の箇所において厚さを測定し、厚さにおける最大値Maxと最小値minとを以下の式(1)に代入して算出している。
【0073】
(面内均一性)=(Max−min)/(Max+min)×100(%)…式(1)
図5が示すように、第1磁気回路21における磁束密度が200Gを超えると、第1磁気回路21における磁束密度が200G以下であるときと比べて、磁性膜の厚さにおける面内均一性が大きく低下する。言い換えれば、第1磁気回路21における磁束密度が、第2磁気回路41における磁束密度を超えると、磁性膜の厚さにおける面内均一性が大きく低下する。
【0074】
このように、第1磁気回路21における磁束密度が、第2磁気回路41における磁束密度を超えると、磁場Mに対して水平磁場HMが干渉する度合いが、基板Sと対向する面の周りに形成されるプラズマの状態に影響し、しかも、磁性膜の厚さにおける面内均一性を低下させる程度に大きくなる。
【0075】
それゆえに、水平磁場HMにおける磁束密度の強度は、1G以上、かつ、第2磁気回路41における磁束密度以下であることが好ましい。第1磁気回路21における磁束密度がこうした範囲に含まれることで、磁性膜の磁気異方性が高められ、かつ、磁性膜の厚さにおける面内均一性が低くなることが抑えられる。
【0076】
図6が示すように、基板Sのうち、第1磁気回路21と対向する面と対向する平面視において、第1磁気回路21は、揺動方向Dsに沿って第1幅L1を有し、高さ方向Dhにおいて、基板Sとほぼ同じ長さを有している。第1磁気回路21における第1幅L1は、基板Sのうち、ターゲット31と対向する面に対して、揺動方向Dsに平行な水平磁場HMが形成される程度に大きいことが好ましい一方で、第1磁気回路21の形成する磁場の強度が、基板Sの面内において固定されない程度に小さいことが好ましい。
【0077】
図7は、第1磁気回路21の第1幅L1と、磁気異方性との関係を示すグラフである。なお、
図7では、磁性膜の磁化が、負の飽和磁化から正の飽和磁化に反転するために必要な磁場の差を磁気異方性として示している。また、
図7は、基板幅Wsが120mmであるときの第1幅L1と磁気異方性との関係を示している。
【0078】
図7が示すように、第1幅L1が50mm以上であり、かつ、120mm以下であるとき、磁性膜における磁気異方性がより好ましい値であり、かつ、第1幅L1が50mm以上120mm以下である範囲に、磁性膜における磁気異方性が極小値を有する。
【0079】
第1幅L1が50mm以上であれば、基板Sと第1磁気回路21とが対向する方向から見て、基板Sにおいて第1磁気回路21が形成する水平磁場HMの占める面積が、磁性膜の磁気異方性が高められる確実性が高まる程度に大きくなる。第1幅L1が120mm以下であれば、水平磁場HMが形成する磁場の強度における分布が、基板Sの面内において、固定されにくくなる。
【0080】
なお、第1幅L1が50mmよりも小さくとも、また、第1幅L1が120mmよりも大きくとも、磁性膜が形成されるときに基板Sに対して磁場が印加される以上は、基板Sに対して磁場が印加されない構成と比べて、磁性膜の磁気異方性を少なからず高めることは可能である。
【0081】
[成膜方法]
図8を参照して成膜方法を説明する。
成膜方法は、磁性材料を含むターゲット31をスパッタすることを備えている。また、成膜方法は、ターゲット31がスパッタされている間に、ターゲット31と対向する基板Sに沿う揺動方向Dsにおける少なくとも基板Sの一端と他端との間を揺動するように、揺動方向Dsと平行な水平磁場HMを基板Sに対してターゲット31が位置する側に形成することを備えている。
【0082】
すなわち、
図8が示すように、成膜方法では、まず、第1磁場形成部20の第1磁気回路21と、第2磁場形成部40の第2磁気回路41との揺動を開始し(ステップS11)、成膜チャンバ12におけるターゲット31と対向する位置まで、基板SをトレイTとともに搬送する(ステップS12)。このとき、揺動方向Dsに沿う一次元の座標において、第1磁気回路21が移動する範囲は、ターゲット31の一端の位置と、ターゲット31の他端の位置とに挟まれる範囲である。これにより、第1磁気回路21は、揺動方向Dsと平行な水平磁場HMを基板Sにおけるターゲット31と対向する面上に形成する。
【0083】
そして、ターゲット31のスパッタを開始する(ステップS13)。このとき、ガス供給部52が成膜チャンバ12内にスパッタガスを供給し、次いで、電源51がバッキングプレート32を介してターゲット31に電圧を印加する。これにより、成膜チャンバ12内にプラズマが生成され、プラズマ中の正イオンがターゲット31に引き込まれることによってターゲット31がスパッタされる。ターゲット31は、基板Sにおけるターゲット31と対向する面に、所定の厚さ、例えば1μm程度の厚さを有した磁性膜が形成されるまでの間にわたってスパッタされる。
【0084】
所定の厚さを有した磁性膜が基板Sに形成されると、ターゲット31のスパッタを終了する(ステップS14)。そして、所定枚数の基板Sに磁性膜を形成するまで(ステップS15:NO)、ステップS12からステップS14の処理が繰り返され、所定枚数の基板Sに対して磁性膜を形成すると(ステップS15:YES)、第1磁気回路21と第2磁気回路41との揺動を終了する(ステップS16)。
【0085】
以上説明したように、成膜装置および成膜方法の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)基板Sの面内において、所定の強度を有した水平磁場HMが、揺動方向Dsに沿って走査される。そのため、基板Sに対して磁性膜が形成されるときに、基板Sの面内において水平磁場HMの強度におけるばらつきが固定されることが抑えられ、磁性膜における各部分が形成されるときにおける水平磁場HMの強度のばらつきが抑えられる。結果として、磁性膜における磁気異方性が高められる。
【0086】
(2)第1磁場形成部20が形成する水平磁場HMの揺動と第2磁場形成部40が形成する磁場Mの揺動とが同期するため、第1磁場形成部20による水平磁場HMの位置と、第2磁場形成部40によって形成されるプラズマ密度の高い領域の位置とが、基板Sに対して規則的に変わる。それゆえに、基板Sに向けて飛行するスパッタ粒子の密度と、スパッタ粒子が着弾する位置に与えられる水平磁場HMの強度との関係が、第1及び第2磁場形成部20,40の同期揺動によって所定の状態に保たれる。結果として、磁性膜が形成されるときの水平磁場HMの強度におけるばらつきが、基板Sの面内において生じにくくなる。
【0087】
(3)第2磁場形成部40によって形成されるプラズマ密度の高い領域と、第1磁場形成部20による水平磁場HMが形成される領域とが、ターゲット31と基板Sとが対向する方向において重なる。そのため、揺動方向Dsのうち、ターゲット31から放出されるスパッタ粒子の密度が高い位置において、第1磁場形成部20による水平磁場HMが基板Sに与えられる。それゆえに、基板Sに形成される磁性膜の多くの部分が、第1磁場形成部20による水平磁場HMが与えられた状態で形成される。結果として、磁性膜が形成されるときの水平磁場HMの強度におけるばらつきが、基板Sの面内においてより生じにくくなる。
【0088】
(4)第1磁場形成部20は、揺動方向Dsにおいて配置領域Rの両端を超えた位置まで移動するため、基板Sのうち、第1磁場形成部20の減速あるいは加速に起因して、単位距離当たりに与えられる水平磁場HMの強度が他の部分とは異なる部分が形成されにくくなる。それゆえに、磁性膜が形成されるときに、基板Sの面内において水平磁場HMの強度にばらつきがより生じにくくなり、結果として、磁性膜における磁気異方性がより高まりやすくなる。
【0089】
(5)第1磁場形成部20の含む永久磁石が1対の永久磁石から構成されるため、1対の永久磁石間に形成される水平磁場HMが、基板Sの全体を走査される。それゆえに、複数対の永久磁石を有した磁場形成部が基板Sを走査される構成と比べて、各対の永久磁石が形成する磁場の間における磁場方向の差異や磁場強度の分布が抑えられるため、磁性膜が形成されるときに、基板Sの面内において、磁場強度のばらつきがより生じにくくなる。結果として、磁性膜の磁気異方性がより高められやすくなる。
【0090】
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・第1磁気回路21は、第2磁気回路41と同等の構成であってもよい。すなわち、第1磁気回路21は、高さ方向Dhに沿って延びる柱形状を有した第1磁石と、第1磁石の周りを取り囲む環状を有した第2磁石と、第1磁石と第2磁石とが固定されるヨークとを備える構成であってもよい。こうした構成であっても、第1磁場形成部20が、揺動方向Dsに平行な水平磁場HMを形成し、かつ、揺動方向Dsに沿って揺動する以上は、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
【0091】
・第1磁気回路21は、揺動方向Dsにおいて基板Sの一端から他端までの間を揺動してもよい。こうした構成であっても、第1磁気回路21が、揺動方向Dsに平行な水平磁場HMを形成し、かつ、揺動方向Dsに沿って揺動する以上は、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
【0092】
・基板Sのうち、揺動方向Dsにおける一方の端部のみが、ターゲット31の端部よりも内側に位置していてもよい。こうした構成であっても、基板Sの端部のうち、ターゲット31の端部よりも内側に位置する部分を超えて、第1磁気回路21が揺動する構成であれば、基板Sの端部のうち、ターゲット31の端部よりも内側に位置する部分では、上述した(4)と同等の効果を得ることはできる。
【0093】
・第1磁気回路21が移動する範囲は、揺動方向Dsに沿う一次元の座標において、ターゲット31の一端の位置と、ターゲット31の他端の位置とに挟まれる範囲を含んでいればよい。例えば、第1磁気回路21は、ターゲット31に対して、ターゲット31の一端よりも外側の位置と、ターゲット31の他端よりも外側の位置との間で移動してもよい。こうした構成であっても、第1磁気回路21は、揺動方向Dsにおいて配置領域Rの両端を超えた位置まで移動するため、上述した(4)と同等の効果を得ることはできる。
【0094】
・揺動方向Dsにおいて、ターゲット幅Wtが基板幅Ws以下であってもよい。こうした構成であっても、第1磁場形成部20が、揺動方向Dsに平行な水平磁場HMを形成し、かつ、水平磁場HMを揺動方向Dsに沿って揺動させる以上は、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
【0095】
・第1磁気回路21の揺動が、第2磁気回路41の揺動と同期していれば、第1磁気回路21は、第2磁気回路41と対向する状態で揺動しなくてもよい。言い換えれば、第1磁気回路21が揺動する周期は、第2磁気回路41が揺動する周期と異なり、かつ、第1磁気回路21の揺動する周期と第2磁気回路41の揺動する周期との比が一定の値であってもよい。
【0096】
例えば、第1磁気回路21が揺動方向Dsに沿って1回走査される間に、第2磁気回路41が揺動方向Dsに沿って2回走査されてもよいし、第1磁気回路21が揺動方向Dsに沿って2回走査される間に、第2磁気回路41が揺動方向Dsに沿って1回走査されてもよい。つまり、第1磁気回路21が揺動方向Dsに沿ってm回走査される間に、第2磁気回路41が揺動方向Dsに沿ってn回走査されてもよく、nとmとは互いに異なる整数であってもよい。
【0097】
こうした構成であれば、第1磁気回路21の揺動と第2磁気回路41の揺動とが同期しているため、上述した(2)と同等の効果を得ることはできる。
・第1磁気回路21の揺動は、第2磁気回路41の揺動と同期していなくてもよく、こうした構成であっても、第1磁場形成部20が、揺動方向Dsに平行な水平磁場HMを形成し、かつ、揺動方向Dsに沿って揺動する以上は、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
【0098】
・第1揺動部22および第2揺動部42は、それぞれ動力部および伝達部を備え、かつ、第1揺動部22および第2揺動部42が、共通する1つの制御部を備える構成であってもよい。こうした構成であれば、制御部が、第1揺動部22の動力部、および、第2揺動部42の動力部に対して、2つの動力部の駆動を同期させるように制御信号を出力すればよい。
【0099】
・第1揺動部22および第2揺動部42は、それぞれ伝達部を備え、かつ、第1揺動部22および第2揺動部42が、共通する1つの動力部を備える構成であってもよい。こうした構成であれば、動力部の駆動によって、第1磁気回路21の揺動と、第2磁気回路41の揺動とを同期させることができる。
【0100】
・第1揺動部22が伝達部と動力部とを備え、第2揺動部42が、伝達部であって、かつ、第1揺動部22の伝達部に連結された構成であってもよい。こうした構成であれば、第1揺動部22の動力部が駆動することによって、第1磁気回路21の揺動と、第2磁気回路41の揺動とを同期させることができる。
【0101】
・第2磁場形成部40は、第2揺動部42を備えていなくともよく、こうした構成では、第2磁気回路41が、ターゲット31のうち、配置領域Rと対向する面のほぼ全体にわたって磁場を形成するように構成されていればよい。あるいは、第2磁場形成部40は、第2揺動部42に代えて、ターゲット31の法線方向と平行な回転軸に対して第2磁気回路41を回転させる回転機構を有してもよい。またあるいは、成膜装置10は、第2磁気回路41を備えていなくてもよい。
【0102】
・第1幅L1と第2幅L2とは互いに異なる大きさであってもよく、第1幅L1が第2幅L2よりも小さくてもよいし、第2幅L2よりも大きくてもよい。
・支持部は、上述した搬送部14に限らず、例えば、ターゲット31と対向する状態で基板Sを支持する基板ステージであってもよい。こうした構成では、成膜装置10は、成膜装置10における支持部とは異なる位置から支持部まで基板Sを搬送する搬送部を支持部とは別に備えていればよい。
【0103】
・支持部は、基板Sにおけるターゲット31と対向する面に対する法線の方向と、ターゲット31における基板Sと対向する面に対する法線の方向とが交差する状態で、基板Sを支持するように構成されてもよい。例えば、支持部が水平方向に沿って基板Sを支持し、ターゲット31が、水平方向に対して所定の傾きを有した状態で、基板Sと対向するように位置していればよい。こうした構成であっても、成膜装置10が、揺動方向Dsに沿って配置領域Rの一端と他端との間で、水平磁場HMを揺動させる第1磁場形成部20を有していれば、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。