(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542616
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】部品内蔵配線基板の製造方法、部品内蔵配線基板および電子部品固定用テープ
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20190628BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 G
H01L23/12 N
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-167362(P2015-167362)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-45867(P2017-45867A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100122242
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 多香子
(72)【発明者】
【氏名】服部 聡
【審査官】
原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−118954(JP,A)
【文献】
特開2013−074182(JP,A)
【文献】
特開2009−260318(JP,A)
【文献】
特開2014−084458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に、粘着テープと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有する電子部品固定用テープの前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、
前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、
熱硬化性の樹脂充填材を、前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填するとともに、前記コア主面を覆うことができる程度に供給する充填供給工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの粘着テープ側の面および前記樹脂充填材の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、
前記粘着テープを剥離する剥離工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材を加熱硬化する硬化工程とを含み、
前記熱硬化性樹脂フィルムの軟化温度が、前記樹脂充填材の軟化温度よりも高いことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項2】
コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に、剥離フィルムと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有する電子部品固定用テープの前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、
前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、
熱硬化性の樹脂充填材を、前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填するとともに、前記コア主面を覆うことができる程度に供給する充填供給工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの剥離フィルム側の面および前記樹脂充填材の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、
前記剥離フィルムを剥離する剥離工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材を加熱硬化する硬化工程とを含み、
前記熱硬化性樹脂フィルムの軟化温度が、前記樹脂充填材の軟化温度よりも高いことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂充填材が未硬化のフィルム状であり、
前記充填供給工程は、前記樹脂充填材を前記コア主面に積層した後、前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂充填材が液状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項5】
コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に、粘着テープと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有する電子部品固定用テープの前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、
前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、
熱硬化性の樹脂充填材を前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填する充填工程と、
前記コア主面側に未硬化のコア主面側用熱硬化性樹脂フィルムを供給する供給工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルム、前記樹脂充填材および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムが硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの粘着テープ側の面および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムの表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、
前記粘着テープを剥離する剥離工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルム、前記樹脂充填材および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムを加熱硬化する硬化工程とを含み、
前記熱硬化性樹脂フィルムの軟化温度が、前記樹脂充填材の軟化温度よりも高いことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項6】
コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に、剥離フィルムと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有する電子部品固定用テープの前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、
前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、
熱硬化性の樹脂充填材を前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填する充填工程と、
前記コア主面側に未硬化のコア主面側用熱硬化性樹脂フィルムを供給する供給工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルム、前記樹脂充填材および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムが硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの前記剥離フィルム側の面および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムの表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、
前記剥離フィルムを剥離する剥離工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルム、前記樹脂充填材および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムを加熱硬化する硬化工程とを含み、
前記熱硬化性樹脂フィルムの軟化温度が、前記樹脂充填材の軟化温度よりも高いことを特徴とする部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記粘着テープが、刺激により硬化する刺激硬化型の粘着剤層を有することを特徴とする請求項1または請求項5に記載の部品内蔵配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の部品内蔵配線基板の製造方法により製造されたことを特徴とする部品内蔵配線基板。
【請求項9】
粘着テープと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有し、
コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、
前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、
熱硬化性の樹脂充填材を、前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填するとともに、前記コア主面を覆うことができる程度に供給する充填供給工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの粘着テープ側の面および前記樹脂充填材の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、
前記粘着テープを剥離する剥離工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材を加熱硬化する硬化工程とを含む部品内蔵配線基板の製造方法に用い、
前記熱硬化性樹脂フィルムの軟化温度が、前記樹脂充填材の軟化温度よりも高いことを特徴とする電子部品固定用テープ。
【請求項10】
剥離フィルムと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有し、
コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、
前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、
熱硬化性の樹脂充填材を、前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填するとともに、前記コア主面を覆うことができる程度に供給する充填供給工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの剥離フィルム側の面および前記樹脂充填材の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、
前記剥離フィルムを剥離する剥離工程と、
前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材を加熱硬化する硬化工程とを含む部品内蔵配線基板の製造方法に用い、
前記熱硬化性樹脂フィルムの軟化温度が、前記樹脂充填材の軟化温度よりも高いことを特徴とする電子部品固定用テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にコンデンサなどの電子部品が収容されている部品内蔵配線基板の製造方法、部品内蔵配線基板および電子部品固定用テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。但し、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなるパッケージを作製し、そのパッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板においては、ICチップのスイッチングノイズの低減や電源電圧の安定化を図るために、コンデンサ(「キャパシタ」とも言う)を設けることが提案されている。その一例として、高分子材料製のコア基板内にコンデンサを埋め込むとともに、そのコア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した配線基板が従来提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
上記従来の部品内蔵配線基板の製造方法の一例を以下に説明する。まず、
図5(A)に示すように、コア主面X1及びコア裏面X2の両方にて開口する収容穴部51を複数有する樹脂材料製のコア基板500を準備する。そして、
図5(B)に示すように、コア裏面X2側に粘着テープ53を貼り付けるテーピング工程を行い、収容穴部51のコア裏面X2側の開口をあらかじめシールする。次に、
図5(C)に示すように、複数の収容穴部51内にそれぞれコンデンサ等の電子部品54を収容する収容工程を行い、各電子部品54の裏面を粘着テープ53の粘着面に貼り付けて仮固定する。次に、フィルム状の樹脂充填材55をラミネートして、
図5(D)に示すように、収容穴部51の内壁面と電子部品54の側面との隙間に樹脂充填材55を充填する充填工程を行う。そして、板厚方向にプレスする第1平坦化プレス工程を行う。これにより、コア主面X1上に残っている樹脂充填材55を平坦化する。その後、
図6(A)に示すように、粘着テープ53を剥離する剥離工程を行う。そして、
図6(B)に示すように、コア裏面X2側に対して、熱硬化性樹脂フィルム56を積層し、板厚方向にプレスする第2平坦化プレス工程を行う。これにより、熱硬化性樹脂フィルム56を構成する樹脂の一部をコア裏面X2側に配置された配線間等の隙間に押し込むとともに、コア裏面X2に残っている熱硬化性樹脂フィルム56の樹脂を平坦化する。そして、
図6(C)に示すように、熱硬化性樹脂フィルム56および樹脂充填材55を硬化収縮させる硬化工程を行う。これにより、収容穴部51に充填された充填樹脂とコア基板500両面を覆う絶縁層が一体化された状態で形成される。その後、
図6(D)に示すように、上層配線層57やフィルドビア58等の外層パターンの形成を行う(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
また、上述のフィルム状の樹脂充填材に換えて液状の樹脂充填材を使用することも行われている。また、樹脂充填材の硬化を第1の平坦化プレス工程の後に行うこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−217544号公報
【特許文献2】特開2002−237683号公報
【特許文献3】特開2014−96446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来の部品内蔵配線基板の製造方法では、第1平坦化プレス工程の後、粘着テープを剥離する剥離工程を行い、その後さらに第2平坦化プレス工程を行う必要があった。また、貼合した粘着テープを剥離し、その後、さらに絶縁層を形成するための熱硬化性樹脂フィルムを貼合する必要があった。このため、製造工程が煩雑になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、製造工程を簡略化することができる部品内蔵配線基板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明に係る部品内蔵配線基板の製造方法は、コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に、粘着テープと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有する電子部品固定用テープの前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、熱硬化性の樹脂充填材を、前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填するとともに、前記コア主面を覆うことができる程度に供給する充填供給工程と、前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの粘着テープ側の面および前記樹脂充填材の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、前記粘着テープを剥離する剥離工程と、前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材を加熱硬化する硬化工程と
を含むことを特徴とする。
【0009】
また、以上の課題を解決するため、本発明に係る部品内蔵配線基板の製造方法は、コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に、剥離フィルムと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有する電子部品固定用テープの前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、熱硬化性の樹脂充填材を、前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填するとともに、前記コア主面を覆うことができる程度に供給する充填供給工程と、前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの剥離フィルム側の面および前記樹脂充填材の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、前記剥離フィルムを剥離する剥離工程と、前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材を加熱硬化する硬化工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
上記部品内蔵配線基板の製造方において、前記樹脂充填材が未硬化のフィルム状であり、前記充填供給工程は、前記樹脂充填材を前記コア主面に積層した後、前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより行うことが好ましい。
【0011】
また、上記部品内蔵配線基板の製造方法において、前記樹脂充填材が液状であってもよい。
【0012】
また、本発明に係る部品内蔵配線基板の製造方法は、コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に、粘着テープと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有する電子部品固定用テープの前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、熱硬化性の樹脂充填材を前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填する充填工程と、前記コア主面側に未硬化のコア主面側用熱硬化性樹脂フィルムを供給する供給工程と、前記熱硬化性樹脂フィルム、前記樹脂充填材および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムが硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの粘着テープ側の面および前記樹コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムの表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、前記粘着テープを剥離する剥離工程と、前記熱硬化性樹脂フィルム、前記樹脂充填材およびコア主面側用熱硬化性樹脂フィルムを加熱硬化する硬化工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る部品内蔵配線基板の製造方法は、コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に、剥離フィルムと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有する電子部品固定用テープの前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、熱硬化性の樹脂充填材を前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填する充填工程と、前記コア主面側に未硬化のコア主面側用熱硬化性樹脂フィルムを供給する供給工程と、前記熱硬化性樹脂フィルム、前記樹脂充填材および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムが硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの前記剥離フィルム側の面および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムの表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、前記剥離フィルムを剥離する剥離工程と、前記熱硬化性樹脂フィルム、前記樹脂充填材および前記コア主面側用熱硬化性樹脂フィルムを加熱硬化する硬化工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
また、上記部品内蔵配線基板の製造方法において、前記熱硬化性樹脂フィルムの軟化温度が、前記樹脂充填材の軟化温度よりも高いことが好ましい。
【0015】
また、上記部品内蔵配線基板の製造方法において、前記粘着テープが、刺激により硬化する刺激硬化型の粘着剤層を有することが好ましい。
【0016】
本発明に係る部品内蔵配線基板は、上述のいずれかの部品内蔵配線基板の製造方法により製造されたことを特徴とする
【0017】
また、本発明に係る電子部品固定用テープは、粘着テープと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有し、コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、熱硬化性の樹脂充填材を、前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填するとともに、前記コア主面を覆うことができる程度に供給する充填供給工程と、前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの粘着テープ側の面および前記樹脂充填材の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、前記粘着テープを剥離する剥離工程と、前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材を加熱硬化する硬化工程とを含む部品内蔵配線基板の製造方法に用いることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る電子部品固定用テープは、剥離フィルムと未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルムとを有し、コア主面およびコア裏面の両方にて開口する収容穴部を一つまたは複数有するコア基板の前記コア裏面側に前記熱硬化性樹脂フィルム面を貼り付けるテーピング工程と、前記収容穴部内に電子部品を収容し、前記電子部品の裏面を前記熱硬化性樹脂フィルムに貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、熱硬化性の樹脂充填材を、前記収容穴部の内壁面と前記電子部品との隙間に充填するとともに、前記コア主面を覆うことができる程度に供給する充填供給工程と、前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材が硬化することのない温度で加熱するとともに加圧することにより、前記熱硬化性樹脂フィルムの剥離フィルム側の面および前記樹脂充填材の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、前記剥離フィルムを剥離する剥離工程と、前記熱硬化性樹脂フィルムおよび前記樹脂充填材を加熱硬化する硬化工程とを含む部品内蔵配線基板の製造方法に用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、部品内蔵配線基板の製造工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法を説明するための断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法を説明するための断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法を説明するための断面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法を説明するための断面図である。
【
図5】従来の部品内蔵配線基板の製造方法を説明するための断面図である。
【
図6】従来の部品内蔵配線基板の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1および
図2は、本発明の実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法を説明するための断面図である。本実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法は、コア主面X1およびコア裏面X2の両方にて開口する収容穴部1を一つまたは複数有するコア基板100を準備する準備工程と、コア基板100の裏面側に粘着テープ2と未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルム3とを有する電子部品固定用テープ4の熱硬化性樹脂フィルム3側の面を貼り付けるテーピング工程と、電子部品5の裏面を熱硬化性樹脂フィルム3に貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、熱硬化性の樹脂充填材6を収容穴部1の内壁面と電子部品5との隙間に充填するとともにコア主面X1を覆うことができる程度に供給する充填供給工程と、熱硬化性樹脂フィルム3の粘着テープ2側の面および樹脂充填材6の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、粘着テープ2を剥離する剥離工程と、熱硬化性樹脂フィルム3および樹脂充填材6を加熱硬化する硬化工程と、外層を形成する外層形成工程を有する。以下、各工程について、詳細に説明する。
【0023】
(準備工程)
まず、
図1(A)に示すように、本発明の実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法において使用するコア基板100を準備する。このコア基板100は、コア主面X1およびコア裏面X2の両方にて開口する収容穴部1を一つまたは複数有している。収容穴部1は、電子部品5を収容するものである。このようなコア基板100は、基材の所定領域に上面視長方形状等の所定形状の貫通孔を形成することにより得ることができる。収容穴部1は、収容穴部1の輪郭となる箇所にレーザ光を照射するレーザ加工により形成することができる。
【0024】
また、このコア基板100の基材の両面には、配線パターン7がそれぞれ設けられている。コア基板100は、表面の配線パターン7に限らず内部にも内部配線パターン(図示しない)が形成されている積層基板であってもよい。ただし、収容穴部1が形成されることとなる領域の範囲内には、配線パターン7も内部配線パターンも存在しない。また、コア基板100の基材の所定箇所には、充填スルーホール8が形成されている。充填スルーホール8は、配線パターン7間の導通を取るものである。
【0025】
このようなコア基板100を準備した後、コア基板100の表面に形成された配線パターン7の粗面化処理を行ってもよい。これにより、この後形成される絶縁層と配線パターン7との密着性を向上させることができる。具体的には、コア基板100を硫酸−過酸化水素系のソフトエッチング剤に浸漬する。ソフトエッチング剤としては銅用表面粗化剤等として市販されているものを用い、処理条件としては通常使用されている条件で行えばよい。
【0026】
(テーピング工程)
続いて、
図1(B)に示すように、コア基板100のコア裏面X2側に、粘着テープ2と未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルム3とを有する電子部品固定用テープ4を、熱硬化性樹脂フィルム3面がコア裏面X2側となるように、ラミネートする。これにより、収容穴部1の開口面が一方の面において電子部品固定用テープ4により塞がれた状態となる。つまり、電子部品固定用テープ4が収容穴部1の底面をなしており、その熱硬化性樹脂フィルム3が収容穴部1内に露出している。ラミネートは、常温で行うことが好ましいが、加熱しながら行ってもよい。
【0027】
電子部品固定用テープ4の熱硬化性樹脂フィルム3は、未硬化の状態で電子部品5を仮固定し、その後、硬化した状態で充填樹脂12とともに電子部品5を固定するとともに、コア基板100のコア裏面X2側に上層層間絶縁層14を形成するものである。
【0028】
熱硬化性樹脂フィルム3は、常温で粘着性を有し、加熱硬化後に絶縁層として適するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、エポキシ樹脂その他の熱硬化性樹脂をフィルム状にしたものであって、未硬化のものを用いることができる。特に、Bステージと称される半硬化状態のものが好ましい。
【0029】
電子部品固定用テープ4の粘着テープ2は、タック性を有する熱硬化性樹脂フィルム3をカバーしたり支持したりするためのものである。粘着テープ2としては、基材フィルム9上に粘着剤層10が設けられた粘着テープ2を用いることができる。
【0030】
基材フィルム9は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等であり、多層構造を有していても構わない。
【0031】
粘着剤層10は、刺激により硬化して粘着力が低下する刺激硬化型の粘着剤からなることが好ましい。このような刺激硬化型粘着剤としては特に限定されず、例えば、ゴム系感圧接着剤、アクリル系感圧接着剤、スチレン・共役ジエンブロック共重合体系感圧接着剤、シリコーン系感圧接着剤等をベース樹脂として、多官能オリゴマー又は多官能モノマーからなる架橋成分と紫外線重合開始剤とを配合した光硬化型粘着剤、架橋成分と熱重合開始剤とを配合した熱硬化型粘着剤等が挙げられる。
【0032】
なお、本実施形態においては、粘着テープ2と未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルム3とを有する電子部品固定用テープ4を使用するようにしたが、粘着テープ2に替えて剥離フィルムと熱硬化性樹脂フィルム3とを有する電子部品固定用テープを使用することもできる。剥離フィルムの構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、結晶性フッ素樹脂、非晶質フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂フィルムがあげられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
剥離フィルムの表面には熱硬化性樹脂フィルム3からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていてもよい。
【0033】
(電子部品仮固定工程)
その後、
図1(C)に示すように、電子部品5を収容穴部1内に収納して、電子部品5の裏面を熱硬化性樹脂フィルム3に貼り付けて仮固定する。これにより、樹脂の充填圧力で電子部品5の位置ずれや傾きが生じないようにすることができる。
【0034】
電子部品5は、本実施形態においては積層セラミックコンデンサ(multi−layer ceramic capacitor)である。以下、MLCC5という。MLCC5は、全体として長方形の平板状をなしている。MLCC5は、その長手方向の両端に、表面が電極11で覆われている領域を有している。電極11は、MLCC5の内部導体に繋がる通電電極である。
【0035】
本実施形態においては、電子部品5として、MLCC5を例示したが、半導体チップ、抵抗素子、インダクタ素子などの接続端子を備えた各種の電子部品を使用することができる。また、コア基板100の1つの収容穴部1に複数の電子部品5を配置してもよい。
【0036】
(充填供給工程)
次に、
図1(D)に示すように、コア基板100の主面に、未硬化のフィルム状の樹脂充填材6をラミネートする。フィルム状の樹脂充填材6としては、エポキシ樹脂その他の熱硬化性樹脂であって、未硬化のものを用いることができる。特に、Bステージと称される半硬化状態のものが好ましい。また、ガラスクロス(心材)入りではないものが好ましい。本実施形態においては、上述の電子部品固定用テープ4の熱硬化性樹脂フィルム3の軟化温度の方が、樹脂充填材6の軟化温度よりも高い。なお、このラミネートは、減圧雰囲気下で行うことが望ましい。
【0037】
このラミネートは、公知のラミネータ(積層装置)を用いて、コア基板100等を板厚方向にプレスすることにより行われる。これにより、樹脂充填材6を軟化、流動化させ、
図2(A)に示すように、その一部を収容穴部1における内壁面とMLCC5との間の隙間に押し込む。こうして、当該隙間を充填樹脂12により充填する。つまり充填樹脂12は、もともとはフィルム状の樹脂充填材6を構成する樹脂の一部である。フィルム状の樹脂充填材6のうち当該隙間に押し込まれずにコア基板100の主面やMLCC5の表面上に残っている部分が主面側の上層層間絶縁層13となる。よって充填樹脂12は、上層層間絶縁層13に対して界面なく繋がっている。
【0038】
このラミネートは、樹脂充填材6は軟化するが、熱硬化性樹脂フィルム3は軟化しない温度であって、樹脂充填材6および熱硬化性樹脂フィルム3が硬化してしまうことのない程度の圧力や温度で行う。したがって、このラミネートの際には、熱硬化性樹脂フィルム3は軟化しないため、MLCC5の底面側が安定し、充填樹脂12が充填される際に、より確実にMLCC5の傾きや位置ずれを防止することができる。なお、「樹脂充填材6および熱硬化性樹脂フィルム3が硬化してしまうことのない程度の圧力や温度」とは、樹脂充填材6および熱硬化性樹脂フィルム3が完全に硬化しない圧力や温度であればよく、開始剤の一部が反応して一部硬化が起こる圧力や温度を含む。したがって、樹脂充填材6や熱硬化性樹脂フィルム3に低温(本ラミネート時の加熱温度)で硬化を生じさせる開始剤を意図的に少量添加することにより、樹脂充填材6や熱硬化性樹脂フィルム3を一部硬化させてもよく、この場合、MLCC5をより確実に固定することができる。
【0039】
(平坦化プレス工程)
上述のラミネータによるプレスを行った後、公知の平坦化プレス機を用いて、樹脂充填材6および熱硬化性樹脂フィルム3が軟化する温度であって、樹脂充填材6および熱硬化性樹脂フィルム3が硬化してしまうことのない程度の圧力や温度でプレスを行う。これにより、熱硬化性樹脂フィルム3を軟化、流動化させ、コア裏面X2の配線パターン7等の凹凸面に追従させる。熱硬化性樹脂フィルム3は、裏面側の上層層間絶縁層14となる。この平坦化プレスにより、主面側の上層層間絶縁層13と裏面側の上層層間絶縁層14の表面が平坦化される。すなわち、
図2(B)に示すように、樹脂充填材6および熱硬化性樹脂フィルム3は、充填樹脂12および上層層間絶縁層13,14を一体的に形成した状態で、表面(熱硬化性樹脂フィルム3にあっては、粘着テープ2側の面)が平坦化される。なお、この平坦化プレスの際、MLCC5はほぼ、同じ姿勢で同じ位置にある。平坦化プレス時に行われる板厚方向のプレスの圧力は、MLCC5の両面にかかるからである。
【0040】
なお、本実施形態においては、上述の電子部品固定用テープ4の熱硬化性樹脂フィルム3の軟化温度の方が、樹脂充填材6の軟化温度よりも高いものを用いたが、同程度の軟化温度のものを用いてもよい。この場合、充填供給工程において、熱硬化性樹脂フィルム3も軟化、流動化し、その一部が収容穴部1における底面とMLCC5の電極11間との間等の隙間に押し込まれる。このとき、MLCC5はほぼ、同じ姿勢で同じ位置にある。ラミネート時に行われる板厚方向のプレスの圧力は、MLCC5の両面にかかるからである。
【0041】
(剥離工程)
次に、粘着テープ2を剥離する。粘着テープ2の粘着力自体はそれほど強いものではないので、コア基板100から容易に粘着テープ2を剥ぎ取ることができる。刺激硬化型粘着層を用いた場合は、適切な紫外線照射等の刺激の付与を行った後に、粘着テープ2を剥ぎ取る。このとき、熱硬化性樹脂フィルム3やMLCC5等は、粘着テープ2とともに離脱するのではなく、コア基板100に残る。詳細には、上層層間絶縁層13および充填樹脂12の構成樹脂は、未硬化であるが、常温では流動性をもたないため、MLCC5は、上層層間絶縁層13および充填樹脂12、熱硬化性樹脂フィルム3によりしっかりと保持される。
【0042】
(硬化工程)
次に、硬化処理を行う。すなわち、上記の平坦化プレスが済んだコア基板100を、平坦化プレスにおけるプレスの際の温度よりも高温で加熱して、熱硬化性樹脂を硬化させる。これにより、未硬化のまま隙間なく接している樹脂充填材6と熱硬化性樹脂フィルム3とが、同時に硬化する。このため、上層層間絶縁層13,14および充填樹脂12は、界面なく連続して絶縁樹脂部をなす。またこの硬化処理により、
図2(C)に示した状態でMLCC5の姿勢が固定される。
【0043】
(外層形成工程)
その後、
図2(D)に示すように、外層配線パターン15等を形成する。
図2(D)の例では、外層配線パターン15は、上層層間絶縁層13,14の上に形成されている。外層配線パターン15の所々には、内層配線パターンとの導通をとるビアホール(図示しない)や、MLCC5の電極11との導通をとるビアホール16が形成されている。
【0044】
その後、最終工程で保護絶縁層17やバンプ18を形成する。そして、電気テストにより部品の性能や各部の絶縁性をチェックすれば電子部品内蔵配線板が完成する。
【0045】
なお、本実施形態においては、樹脂充填材6は、未硬化のフィルム状のものを用いたが、液状のものを用いるようにしてもよい。この場合、公知のディスペンサーを用いて、樹脂充填材6を、収容穴部1の内壁面と電子部品5との隙間に充填するとともに、コア主面X1を覆うことができる程度に供給する。
【0046】
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。なお、上述の実施形態における符号と同じ符号を付したものは、上述の実施形態と同様の構成を有する。
【0047】
図3および
図4は、本実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法を説明するための断面図である。本実施形態の部品内蔵配線基板の製造方法は、コア主面X1およびコア裏面X2の両方にて開口する収容穴部1を一つまたは複数有するコア基板100を準備する準備工程と、コア基板100の裏面側に粘着テープ2と未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルム3とを有する電子部品固定用テープ4の熱硬化性樹脂フィルム3面を貼り付けるテーピング工程と、電子部品5の裏面を熱硬化性樹脂フィルム3に貼り付けて仮固定する電子部品仮固定工程と、熱硬化性の樹脂充填材19を収容穴部1の内壁面と電子部品5との隙間に充填する充填工程と、コア主面X1側に未硬化のコア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20を供給する供給工程と、硬化性樹脂フィルムの粘着テープ2側の面およびコア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20の表面をそれぞれ平坦化する平坦化プレス工程と、粘着テープ2を剥離する剥離工程と、熱硬化性樹脂フィルム3、樹脂充填材19およびコア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20を加熱硬化する硬化工程と、外層を形成する外層形成工程を有する。以下、各工程について説明する。
【0048】
(準備工程)
まず、
図3(A)に示すように、本発明の実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法において使用するコア基板100を準備する。コア基板100は、コア主面X1およびコア裏面X2の両方にて開口する収容穴部1を一つまたは複数有している。このコア基板100は、上述の実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法で使用するコア基板100と同様のものを使用することができる。
【0049】
(テーピング工程)
続いて、
図3(B)に示すように、コア基板100のコア裏面X2側に、粘着テープ2と未硬化で粘着性を有する熱硬化性樹脂フィルム3とを有する電子部品固定用テープ4を、熱硬化性樹脂フィルム3面がコア裏面X2側となるように、ラミネートする。これにより、収容穴部1の開口面が一方の面において電子部品固定用テープ4により塞がれた状態となる。つまり、電子部品固定用テープ4が収容穴部1の底面をなしており、その熱硬化性樹脂フィルム3が収容穴部1内に露出している。この電子部品固定用テープ4は、上述の実施形態に係る部品内蔵配線基板の製造方法で使用する電子部品固定用テープ4と同様のものを使用することができる。
【0050】
(電子部品仮固定工程)
その後、
図3(C)に示すように、電子部品5を収容穴部1内に収納して、電子部品5の裏面を熱硬化性樹脂フィルム3に貼り付けて仮固定する。電子部品5は、上述の実施形態における電子部品5と同様のものである。
【0051】
(充填工程)
次に、
図3(D)に示すように、液状の樹脂充填材19を、収容穴部1における側壁面とMLCC5との間の隙間に充填する。充填は公知のディスペンサーにより行うことができる。本実施形態においては、収容穴部1内が樹脂充填材19により充填されていればよく、コア主面X1を覆う程に樹脂充填材19を供給する必要はない。
【0052】
(供給工程)
次に、
図4(A)に示すように、コア主面X1側に未硬化のコア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20をラミネートする。このコア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20は、コア主面X1に上層層間絶縁層23を形成するためのものである。コア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20は、加熱硬化後に絶縁層として適するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、エポキシ樹脂その他の熱硬化性樹脂をフィルム状にしたものであって、未硬化のものを用いることができる。特に、Bステージと称される半硬化状態のものが好ましい。
【0053】
(平坦化プレス工程)
その後、公知の平坦化プレス機を用いて、樹脂充填材19、熱硬化性樹脂フィルム3およびコア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20が軟化する温度であって、熱硬化性樹脂フィルム3およびコア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20が硬化してしまうことのない程度の圧力や温度でプレスを行う。これにより、コア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20を軟化、流動化させ、コア主面X1の配線パターン7等の凹凸面に追従させ、熱硬化性樹脂フィルム3を軟化、流動化させ、コア裏面X2の配線パターン7等の凹凸面に追従させる。コア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20は、主面側の上層層間絶縁層23となり、熱硬化性樹脂フィルム3は、裏面側の上層層間絶縁層24となる。この平坦化プレスにより、主面側の上層層間絶縁層23と裏面側の上層層間絶縁層24の表面が平坦化される。すなわち、
図4(B)に示すように、熱硬化性樹脂フィルム3およびコア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20は、充填樹脂12と一体的になった状態で、表面(熱硬化性樹脂フィルム3にあっては、粘着テープ2側の面)が平坦化される。
【0054】
(剥離工程)
次に、粘着テープ2を剥離する。粘着テープ2の粘着力自体はそれほど強いものではないので、コア基板100から容易に粘着テープ2を剥ぎ取ることができる。刺激硬化型粘着層を用いた場合は、適切な紫外線照射等の刺激の付与を行った後に、粘着テープ2を剥ぎ取る。
【0055】
(硬化工程)
次に、硬化処理を行う。すなわち、上記の平坦化プレスが済んだコア基板100を、平坦化プレスにおけるプレスの際の温度よりも高温で加熱して、熱硬化性樹脂を硬化させる。これにより、未硬化のまま隙間なく接している樹脂充填材19、熱硬化性樹脂フィルム3およびコア主面側用熱硬化性樹脂フィルム20が、同時に硬化する。このため、上層層間絶縁層23および充填樹脂22は、界面なく連続して絶縁樹脂部をなす。またこの硬化処理により、
図4(C)に示した状態でMLCC5の姿勢が固定される。
【0056】
(外層形成工程等)
その後、
図4(D)に示すように、上述の実施形態と同様にして、外層配線パターン15、ビアホール(図示しない)、保護絶縁層17、バンプ18等を形成する。
【0057】
上述のように、本発明の部品内蔵配線基板の製造方法によれば、コア主面X1側の上層層間絶縁層13,23とコア裏面X2側の上層層間絶縁層14,24の平坦化プレスを同時に行うことができるため、製造工程を簡略化することができる。また、粘着テープ2を剥離した後に、コア裏面X2側の上層層間絶縁層を形成するための熱硬化性樹脂フィルムを貼合する必要がないため、製造工程を簡略化することができる。
【符号の説明】
【0058】
100:コア基板
1:収容穴部
2:粘着テープ
3:熱硬化性樹脂フィルム
4:電子部品固定用テープ
5:電子部品(MLCC)
6,19:樹脂充填材
9:基材フィルム
10:粘着剤層
20:コア主面側用熱硬化性樹脂フィルム
13,14,23,24:上層層間絶縁層