特許第6542743号(P6542743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6542743
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】測定プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/012 20060101AFI20190628BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   G01B5/012
   G01B21/00 P
【請求項の数】6
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2016-225577(P2016-225577)
(22)【出願日】2016年11月18日
(62)【分割の表示】特願2015-43035(P2015-43035)の分割
【原出願日】2015年3月5日
(65)【公開番号】特開2017-75953(P2017-75953A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(74)【代理人】
【識別番号】100144299
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】島岡 敦
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 智之
(72)【発明者】
【氏名】日高 和彦
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−520589(JP,A)
【文献】 特表2005−527790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00− 5/30
G01B 21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に接触する接触部を有するスタイラスと、該接触部を軸方向に移動可能とする移動部材を備える軸運動機構と、旋回運動によって該軸方向と直角をなす面に沿って前記接触部を移動可能とする旋回部材を備える旋回運動機構と、を備える測定プローブであって、
前記軸運動機構は前記移動部材を変位可能とする複数の第1ダイヤフラム構造体を備え、且つ、前記旋回運動機構は前記旋回部材を変位可能とする第2ダイヤフラム構造体を備え、
前記複数の第1ダイヤフラム構造体は、回転対称形状とされ、
前記軸方向において、前記複数の第1ダイヤフラム構造体の間に、前記第2ダイヤフラム構造体が配置され、
前記軸運動機構は前記旋回運動機構を支持する構成とされ、
前記第2ダイヤフラム構造体は、回転対称形状とされ、
前記旋回部材は前記旋回運動機構の旋回中心に対して反スタイラス側にバランス部材を備え、該旋回中心と該バランス部材との距離は調整可能とされていることを特徴とする測定プローブ。
【請求項2】
請求項1において、
特定の前記スタイラスが前記旋回部材に支持された際に、前記旋回運動機構の旋回中心よりスタイラス側に前記第2ダイヤフラム構造体で支持される部材の重心が位置する構成とされていることを特徴とする測定プローブ。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1ダイヤフラム構造体は、前記移動部材を支持する第1中心部と、該第1中心部の径方向外側に連結され周方向に帯状とされた複数のリム部と、該複数のリム部の径方向外側に連結された第1外周部と、を備え、
該第1外周部に対して該第1中心部が上下動する際には該複数のリム部が弾性変形する構成とされていることを特徴とする測定プローブ。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかにおいて、
前記第2ダイヤフラム構造体は、弾性変形可能であり、前記旋回部材を支持する第2中心部と、径方向外側に設けられた第2外周部と、該第2中心部と該第2外周部とを連結する複数のヒンジ部と、を備え、
該第2中心部は、前記第2ダイヤフラム構造体の中心を軸として、互いに直交する2方向に傾斜可能な構成とされていることを特徴とする測定プローブ。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかにおいて、
前記旋回部材と前記移動部材のうちの少なくともいずれかの部材は、回転対称とされた部分を備えることを特徴とする測定プローブ。
【請求項6】
請求項において、
前記旋回部材と前記移動部材のうちの少なくともいずれかの部材は、更に、前記軸方向において、前記第2ダイヤフラム構造体に対して対称とされた部分を備えることを特徴とする測定プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定プローブに係り、特に、軸方向長さの短縮と軽量化が可能で、且つ形状誤差を低減し測定精度向上が可能な測定プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の表面に接触して、被測定物の表面の形状を測定する測定装置は、例えば、三次元測定機などが知られている。三次元測定機では、被測定物に接触してその表面形状を検出するための測定プローブが使用されている(特許文献1)。特許文献1で示す測定プローブは、被測定物(の表面)に接触する接触部を有するスタイラスと、該接触部を測定プローブの中心軸の方向(Z方向、軸方向Oとも称する)に移動可能とする移動部材を備える軸運動機構と、旋回運動によって該Z方向と直角をなす面に沿って前記接触部を移動可能とする旋回部材を備える旋回運動機構と、を備えている。特許文献1においては、軸運動機構と旋回運動機構とは、直列に接続されており、スタイラスの接触部の移動可能な方向を互いに異なるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4417114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(削除)
【0005】
本発明は、軸方向長さの短縮と軽量化が可能で、且つ形状誤差を低減し測定精度向上が可能な測定プローブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明は、被測定物に接触する接触部を有するスタイラスと、該接触部を軸方向に移動可能とする移動部材を備える軸運動機構と、旋回運動によって該軸方向と直角をなす面に沿って前記接触部を移動可能とする旋回部材を備える旋回運動機構と、を備える測定プローブであって、前記軸運動機構が前記移動部材を変位可能とする複数の第1ダイヤフラム構造体を備え、且つ、前記旋回運動機構が前記旋回部材を変位可能とする第2ダイヤフラム構造体を備え、前記複数の第1ダイヤフラム構造体が、回転対称形状とされ、前記軸方向において、前記複数の第1ダイヤフラム構造体の間に、前記第2ダイヤフラム構造体が配置され、前記軸運動機構が前記旋回運動機構を支持する構成とされ、前記第2ダイヤフラム構造体が、回転対称形状とされ、前記旋回部材が前記旋回運動機構の旋回中心に対して反スタイラス側にバランス部材を備え、該旋回中心と該バランス部材との距離が調整可能とされたことにより、前記課題を解決したものである。
【0007】
本願の請求項2に係る発明は、特定の前記スタイラスが前記旋回部材に支持された際に、前記旋回運動機構の旋回中心よりスタイラス側に前記第2ダイヤフラム構造体で支持される部材の重心が位置する構成とされたものである。
【0010】
本願の請求項に係る発明は、前記第1ダイヤフラム構造体が、前記移動部材を支持する第1中心部と、該第1中心部の径方向外側に連結され周方向に帯状とされた複数のリム部と、該複数のリム部の径方向外側に連結された第1外周部と、を備え、該第1外周部に対して該第1中心部が上下動する際には該複数のリム部が弾性変形する構成としたものである。
【0012】
本願の請求項に係る発明は、前記第2ダイヤフラム構造体が、弾性変形可能であり、前記旋回部材を支持する第2中心部と、径方向外側に設けられた第2外周部と、該第2中心部と該第2外周部とを連結する複数のヒンジ部と、を備え、該第2中心部を、前記第2ダイヤフラム構造体の中心を軸として、互いに直交する2方向に傾斜可能な構成としたものである。
【0013】
本願の請求項に係る発明は、前記旋回部材と前記移動部材のうちの少なくともいずれかの部材が、回転対称とされた部分を備えるようにしたものである。
【0014】
本願の請求項に係る発明は、前記旋回部材と前記移動部材のうちの少なくともいずれかの部材が、更に、前記軸方向において、前記第2ダイヤフラム構造体に対して対称とされた部分を備えるようにしたものである。
【0015】
(削除)
【0016】
(削除)
【0017】
(削除)
【0018】
(削除)
【0019】
(削除)
【0020】
(削除)
【0021】
(削除)
【0022】
(削除)
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、軸方向長さの短縮と軽量化が可能で、且つ形状誤差を低減し測定精度向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る測定プローブを用いた測定システムの一例を示す模式図
図2】本発明の第1実施形態に係る測定プローブの断面を示す模式図
図3】測定プローブ及びその周辺部の構成を示すブロック図
図4】測定プローブで用いられるダイヤフラム構造体の一例を示す模式図(軸運動機構で用いられる第1ダイヤフラム構造体の図(A)、旋回運動機構で用いられる第2ダイヤフラム構造体の図(B)、旋回運動機構で用いられる第2ダイヤフラム構造体の機能図(C))
図5】本発明に係る測定プローブの断面を示す模式図(第2実施形態の図(A)、第3実施形態の図(B))
図6】本発明の第4実施形態に係る測定プローブの断面を示す模式図
図7】本発明の第4実施形態に係る干渉光学系を示す模式図(構成要素の配置図(A)、変位検出器に干渉光が投射される様子を示す図(B)、変位検出器で検出される干渉光の位相と周波数を示す図(C))
図8】本発明に係る測定プローブの断面を示す模式図(第5実施形態の図(A)、第6実施形態の図(B))
図9図8(B)の測定プローブの一部を示す斜視図(旋回モジュールにスタイラスが連結された図(A)、カウンタバランス機構の図(B)、スタイラスの図(C))
図10】本発明に係る測定プローブの断面を示す模式図(第7実施形態の図(A)、第8実施形態の図(B))
図11】本発明に係る測定プローブの断面を示す模式図(第9実施形態の図(A)、第10実施形態の図(B))
図12】本発明に係る測定プローブの断面を示す模式図(第11実施形態の図(A)、第12実施形態の図(B))
図13】本発明の第12実施形態に係るスタイラス及びカウンタバランス機構を示す模式図(斜視図(A)、上面図(B)、断面図(C))
図14】本発明に係る測定プローブの断面を示す模式図(第13実施形態の図(A)、第14実施形態の図(B))
図15】本発明の第15実施形態に係る測定プローブの断面を示す模式図
図16】本発明の第16実施形態に係る測定プローブの断面を示す模式図(中心軸Oからずれた図(A)、中心軸Oを通る図(B))
図17】本発明に係る測定プローブの断面を示す模式図(第17実施形態の図(A)、第18実施形態の図(B))
図18】本発明の第19実施形態に係る測定プローブの断面を示す模式図
図19】本発明に係る測定プローブの断面を示す模式図(第20実施形態の図(A)、第21実施形態の図(B))
図20】本発明の第22実施形態に係る測定プローブの断面を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0026】
本発明に係る第1実施形態について図1図4を参照して説明する。
【0027】
最初に、測定システム100の全体構成を説明する。
【0028】
測定システム100は、図1に示す如く、測定プローブ300を移動させる三次元測定機200と、手動操作するジョイスティック111を有する操作部110と、三次元測定機200の動作を制御するモーションコントローラ500と、を備える。また、測定システム100は、モーションコントローラ500を介して三次元測定機200を動作させるとともに三次元測定機200によって取得した測定データを処理して被測定物Wの寸法や形状などを求めるホストコンピュータ600と、測定条件等を入力する入力手段120と、測定結果を出力する出力手段130と、を備える。
【0029】
次に、各構成要素について説明する。
【0030】
前記三次元測定機200は、図1に示す如く、測定プローブ300と、定盤210と、定盤210に立設されて測定プローブ300を三次元的に移動させる駆動機構220と、駆動機構220の駆動量を検出する駆動センサ230と、を備えている。
【0031】
測定プローブ300は、図2に示す如く、スタイラス306と、軸運動機構310と、旋回運動機構334と、を備える。スタイラス306の接触部348は、軸運動機構310と旋回運動機構334とにより、被測定物Wの表面Sに接触した際にその形状に倣って3方向に自在に変位する構成とされている。
【0032】
更に、図2を用いて、測定プローブ300の構成概略について説明する。なお、以下の説明のために、図2の紙面上下方向にZ方向をとり、紙面左右方向にX方向をとり、紙面垂直方向にY方向をとる。このため、測定プローブ300の中心軸Oの方向(軸方向O)は、Z方向と同一となる。
【0033】
測定プローブ300は、図2に示す如く、被測定物Wに接触する接触部348を有するスタイラス306と、接触部348を軸方向Oに移動可能とする移動部材312を備える軸運動機構310と、旋回運動によって軸方向Oと直角をなす面に沿って接触部348を移動可能とする旋回部材RPを備える旋回運動機構334と、を備える。ここで、軸運動機構310は本体ハウジング(軸ハウジング部材)308に支持され、且つ、旋回運動機構334はモジュールハウジング(旋回ハウジング部材)330に支持されている。そして、軸運動機構310はモジュールハウジング330を支持し、且つ旋回部材RPはスタイラス306を直接的に支持する構成とされている。そして、測定プローブ300は、本体ハウジング308に支持され移動部材312の変位を検出する変位検出器328を備える。
【0034】
また、測定プローブ300は、図2に示す如く、プローブ本体302でスタイラス306を支持している。つまり、測定プローブ300は、プローブ本体302と旋回モジュール304の2つのモジュールを備え、プローブ本体302が旋回モジュール304を内蔵する形態となっている。そして、姿勢検出器322(後述)は、移動部材312と旋回部材RPの両方を支持する本体ハウジング(ハウジング部材)308を備えるプローブ本体302に内蔵されている(言い換えれば、姿勢検出器322は、本体ハウジング308に収納されている)。なお、「内蔵」は、それぞれのハウジング部材(「内蔵」の対象部材がプローブ本体302に「内蔵」されるのであれば本体ハウジング308、「内蔵」の対象部材が旋回モジュール304に「内蔵」されるのであればモジュールハウジング330)の径方向内側で支持され、且つその「内蔵」の対象部材がそれぞれのハウジング部材の外側に配置される他のモジュールもしくは他のハウジング部材の内側だけに入り込む部分を有さないことを意味するものとする。
【0035】
以下、測定プローブ300について詳細に説明する。
【0036】
前記プローブ本体302は、図2に示す如く、本体ハウジング308と、軸運動機構310と、旋回モジュール304と、姿勢検出器322と、変位検出器328と、信号処理回路329(図3)と、を備える。
【0037】
本体ハウジング308は、図2に示す如く、内側側面に段部308Aを備えた蓋付円筒形状とされている。そして、本体ハウジング308は、Z方向において、段部308Aの上側の径方向内側に軸運動機構310を支持している。また、本体ハウジング308は、Z方向において、段部308Aの下側に設けられた薄肉の延在部308Bの径方向内側に旋回モジュール304を収納している。
【0038】
軸運動機構310は、図2に示す如く、移動部材312と、移動部材312を本体ハウジング308に対して変位可能とする一対の第1ダイヤフラム構造体314、315と、を備える。
【0039】
移動部材312は、図2に示す如く、軸心を中空部312Bとした略円筒形状とされている。そして、移動部材312は、Z方向において、第1ダイヤフラム構造体314に支持される位置の下方に凹部312Cを備えている。その凹部312Cに接触しない状態で本体ハウジング308の内側側面から支持部材319が延在している。そして、姿勢検出器322及びビームスプリッタ320が支持部材319に支持されている。移動部材312の下端部には、旋回運動機構334を備える旋回モジュール304が支持されている。つまり、姿勢検出器322は、旋回運動機構334と一対の第1ダイヤフラム構造体314、315との間に配置されている。
【0040】
第1ダイヤフラム構造体314、315は、図4(A)に示す如く、弾性変形可能な略円盤形状の部材である。材質としてはリン青銅など(他の材料でもよい)である。第1ダイヤフラム構造体315は第1ダイヤフラム構造体314と同一とされている(これに限らず、互いに異なる形状とされていてもよい)。このため、第1ダイヤフラム構造体314についてのみ、図4(A)を用いて説明する。
【0041】
第1ダイヤフラム構造体314には、図4(A)に示す如く、周方向で位相が120度ずれた3つの切り抜き部314Dが設けられている。切り抜き部314Dにより、第1ダイヤフラム構造体314の径方向外側から内側に向かって、外周部314Aとリム部314Bと中心部314Cとが設けられている。外周部314Aは、第1ダイヤフラム構造体314の最外周にあり、本体ハウジング308に固定される部分である。リム部314Bは隣接する2つの切り抜き部314Dにより周方向に帯状とされ、外周部314Aの内側に配置されている。そして、リム部314Bの両端部は、それぞれ外周部314Aと中心部314Cとに連結されている。中心部314Cは、移動部材312を支持する部分であり、リム部314Bのさらに内側に配置されている。本体ハウジング308に対する移動部材312の変位により、第1ダイヤフラム構造体314は、中心部314Cが上下動し、リム部314Bが弾性変形する構造となっている。なお、第1ダイヤフラム構造体の構造は、本実施形態で示す形状に限定されるものではない(第2ダイヤフラム構造体も同様である)。
【0042】
旋回モジュール304は、図2に示す如く、フランジ部332と、モジュールハウジング330と、旋回運動機構334と、を備えている。
【0043】
フランジ部332は、図2に示す如く、移動部材312に連結されており、中心に開口部332Aを備えるフランジ形状とされている。
【0044】
モジュールハウジング330は、図2に示す如く、下端に開口部330Aを備える略円筒形状の部材である。そして、モジュールハウジング330は、旋回運動機構334を径方向内側で支持する。
【0045】
旋回運動機構334は、図2に示す如く、フランジ部材342を除いてモジュールハウジング330の内側に収納されている。フランジ部材342は、スタイラス306の内側に入り込むことなく、スタイラス306に連結されている。そして、旋回運動機構334は、図2に示す如く、旋回部材RPと、旋回部材RPをモジュールハウジング330に対して変位可能とする第2ダイヤフラム構造体340と、を備える。
【0046】
旋回部材RPは、図2に示す如く、第2ダイヤフラム構造体340に支持される部材であって、バランス部材338と、上部部材336と、フランジ部材342と、を備える。
【0047】
バランス部材338は、図2に示す如く、第2ダイヤフラム構造体340の上部に配置され、スタイラス306に対応する重量とされている(つまり、旋回部材RPは、旋回運動機構334の旋回中心RCに対して反スタイラス側にバランス部材338を備えている構成である)。このバランス部材338を適切に設定する(あるいは、後述するように、旋回中心RCとバランス部材338との距離を調整する)ことで、スタイラス306を含めて旋回部材RPで支持される部材の重心位置を旋回中心RCに一致させることができる。このため、例えば、測定プローブ300を横向きにしても、スタイラス306の中心軸が軸方向Oから大きく傾くことを防止することができる。即ち、測定プローブ300の姿勢が変更されても、スタイラス306が姿勢検出器322(後述)の測定範囲の中央に留まることができ、姿勢検出器322としてより簡易化、小型化、高分解能化したものを採用することが可能となる。バランス部材338の上端部(旋回部材RPの反スタイラス側端部)には、基準部材316が設けられている。なお、バランス部材338の側面338Bとモジュールハウジング330の内側側面330Bとの距離は、バランス部材338の傾斜(変位)を規制して、第2ダイヤフラム構造体340が弾性変形の範囲内となるように定められている。即ち、旋回モジュール304は、第2ダイヤフラム構造体340の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第2制限部材となるモジュールハウジング330及びバランス部材338を備えているといえる。
【0048】
上部部材336は、図2に示す如く、第2ダイヤフラム構造体340に係合しバランス部材338を支持する構成となっている。なお、上部部材336の凸部336Aには、雄ねじが設けられている。そして、凸部336Aに対応するバランス部材338の凹部338Aには、雌ねじが設けられている。このため、バランス部材338の上部部材336への螺合状態を変化させることで、旋回中心RCとバランス部材338との距離が調整可能とされている。つまり、バランス部材338の旋回中心RCからの距離を変化させることで、重量または長さがそれぞれ異なるスタイラス306であっても、旋回部材RP(第2ダイヤフラム構造体340に支持される部材)の重心位置を旋回中心RCに一致させることが可能となる。
【0049】
第2ダイヤフラム構造体340も、図4(B)に示す如く、弾性変形可能な略円盤形状の部材である。材質としてはリン青銅など(他の材料でもよい)である。第2ダイヤフラム構造体340には、周方向で位相が180度異なる2つの円弧形状の切り抜き部340Eが設けられ、2つのヒンジ部340Cが形成されている。切り抜き部340Eの径方向内側には、更に周方向で位相が180度異なる2つの円弧形状の切り抜き部340Fが設けられ、2つのヒンジ部340Dが形成されている。切り抜き部340E、340Fにより、第2ダイヤフラム構造体340の径方向外側から内側に向かって、外周部340Aとリム部340Gと中心部340Bとが設けられている。
【0050】
外周部340Aは、図4(B)に示す如く、第2ダイヤフラム構造体340の最外周にあり、モジュールハウジング330に固定される部分である。リム部340Gは、径方向の両側に設けられた切り抜き部340E、340Fにより周方向に帯状とされている。そして、リム部340Gは、外周部340Aの内側に配置され、ヒンジ部340Cで外周部340Aと、ヒンジ部340Dで中心部340Bと連結されている。中心部340Bは、上部部材336を支持する部分であり、リム部340Gのさらに内側に配置されている。切り抜き部340Eと切り抜き部340Fとは位相が90度異なる。このため、第2ダイヤフラム構造体340の中心(旋回中心RC)を軸として、中心部340Bは互いに直交する2方向に傾斜可能(旋回可能)な構造となっている。
【0051】
なお、図4(C)は、第2ダイヤフラム構造体340の機能を示す模式図であり、符号kは、中心部340Bが変位(旋回)した際の単位変位量(角度)当たりの復元力を示している。
【0052】
フランジ部材342は、図2に示す如く、第2ダイヤフラム構造体340を上部部材336と挟み込む形態で、上部部材336に支持されている。フランジ部材342の下端外周には、周方向で120度毎に一対のローラ342Aが3つ設けられている。そして、中心軸O上に永久磁石342Bが設けられている。なお、一対のローラ342Aの軸方向は、フランジ部材342の中心に向かう略径方向と同一とされている。
【0053】
なお、段部308Aの下端部308ABとフランジ部332の上端部332Bとの距離は、一対の第1ダイヤフラム構造体314、315の弾性変形の範囲内となるように定められている。即ち、プローブ本体302は、一対の第1ダイヤフラム構造体314、315の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第1制限部材となる本体ハウジング308、移動部材312、支持部材319、及びモジュールハウジング330を備えているといえる。なお、延在部308Bにより、旋回モジュール304への直接的なXY方向からの外力も同時に防止することができる。もちろん、スタイラス306に過大な負荷が加わった場合には、この第1ダイヤフラム構造体314、315を保護するために、第1制限部材が作用する前に、スタイラス306が脱落する構成となっている。
【0054】
一方、移動部材312の上端部312Aには、図2に示す如く、スケールブラケット324が配置されている。スケールブラケット324上には、基準部材326が配置されている。そして、基準部材326に対向して、基準部材326からの反射光を検出する変位検出器328が配置されている。なお、変位検出器328は、基準部材326に光を照射する光源を内蔵している。基準部材326の変位検出器328側の表面には、光源からの光の反射率が異なるインクリメンタルパターンが一定間隔でZ方向に設けられている。即ち、基準部材326は、反射型のスケールとされている。この基準部材326、変位検出器328により、2相正弦波信号を出力する光電式インクリメンタル型リニアエンコーダが構成されている。つまり、変位検出器328は、本体ハウジング308に支持され移動部材312の変位を検出する構成となっている。そして、変位検出器328は、移動部材312の変位に対応してインクリメンタルパターンの所定の周期で繰り返される周期信号を出力する(つまり、変位検出器328は、移動部材312の相対的な位置の検出を可能とする相対位置検出信号を出力する構成である)。この周期信号は、信号処理回路329で波形整形される。そして、信号処理回路329からは、基準部材326のZ方向の変位を求めるためのZ2相sin波が出力される。
【0055】
また、本体ハウジング308の内側側面には、図2に示す如く、別の光源(光源部)318がビームスプリッタ320に対峙して設けられている。ビームスプリッタ320は、光源318から出射された光をZ方向に向ける。Z方向に向けられた光(光軸OAを通過する光)は、旋回部材RPの反スタイラス側端部に設けられた(光を反射する反射鏡とされた)基準部材316で反射される(即ち、プローブ本体302には、基準部材316へ光軸OAに沿って光を入射させる光源318が設けられている)。反射光は、ビームスプリッタ320を通過し、姿勢検出器322で基準部材316から反射された光を検出する。よって、基準部材316の変位(傾斜)により姿勢検出器322で検出される反射光の位置が変化することから、姿勢検出器322は基準部材316から反射される反射光の光軸OAからの変位を検出することができる。つまり、姿勢検出器322は、スタイラス306の旋回動作に対応する基準部材316の変位(傾斜)を検出することができる。光軸OAは、旋回運動機構334の旋回中心RCを通るように設けられている(つまり、中心軸Oと光軸OAとは一致する)。
【0056】
なお、基準部材316は、図2に示す如く、表面が凹面形状となっており、姿勢検出器322で検出される反射光の光軸OAからの変位量を少なくして姿勢検出器322のサイズの小型化を図っている。姿勢検出器322の出力も信号処理回路329に入力される。そして、姿勢検出器322の出力は信号処理回路329で波形整形される。そして、信号処理回路329からは、基準部材316の姿勢変化で生じる光軸OAからの反射光のXY方向への変位に基づく変位電圧(XY変位電圧)が出力される。
【0057】
前記スタイラス306は、図2に示す如く、フランジ部344と、ロッド部346と、接触部348と、を備える。
【0058】
フランジ部344は、図2に示す如く、フランジ部材342に対応する部材である。即ち、一対のローラ342Aの両方に接するように、球344Aがフランジ部344の周方向で120度毎に3つ配置されている。そして、フランジ部344には、永久磁石342Bに対向して、永久磁石342Bと引き合う磁性部材(永久磁石でよい)344Bが配置されている。
【0059】
ここで、3つの球344Aは、図2に示す如く、対応する一対のローラ342Aの表面それぞれに接触する。このため、永久磁石342Bと磁性部材344Bとが所定の力で引き合った状態では、フランジ部材342にフランジ部344が6点着座(接触)された状態となる。つまり、高い位置決め精度を実現しながら、フランジ部材342とフランジ部344とを連結することができる。即ち、フランジ部344とフランジ部材342とは、脱着可能な連結機構であるキネマティックジョイント(キネマティックカップリングとも称する。以降同じ)を構成している状態である。このキネマティックジョイントにより、スタイラス306とフランジ部材342とが脱着を繰り返しても、高い位置決め再現性を実現することが可能である。なお、キネマティックジョイントは、ローラと球との組み合わせだけでなく、V溝と球との組み合わせであってもよい。また、ローラと球との組み合わせでその順序が逆であってもよい。つまり、6点着座できる構造であれば、ローラと球との組み合わせに限定されない。なお、スタイラス306に横方向(軸方向Oと直交する方向)から大きな力が加わったときには、フランジ部材342からスタイラス306が脱落(すべてのローラ342Aに球344Aが接触しない状態となった場合だけでなく、一部でのみローラ342Aに球344Aが接触しない状態となった場合も含む。以降同じ)をして、プローブ本体302の破損を防止することが可能である(このため、永久磁石342Bと磁性部材344Bとの引き合う所定の力は、上述した大きな力に対応した力とされる。以降同じ)。
【0060】
ロッド部346は、図2に示す如く、その基端がフランジ部344に取り付けられている。ロッド部346の先端には、球形の接触部348が設けられている。なお、スタイラス306にXY方向への変位がない状態においてスタイラス306の中心軸の方向がZ方向(軸方向O)となる。
【0061】
次に、プローブ信号処理部530について、図3を用いて説明する。
【0062】
プローブ信号処理部530は、図3に示す如く、A/D回路532と、FPGA534と、カウンタ回路536と、を備える。A/D回路532は、入力するアナログ信号であるZ2相sin波及びXY変位電圧をAD変換して、それぞれをデジタル信号とする。即ち、このときのAD変換のビット数が多いほど、スタイラス306の変位に対する高ダイナミックレンジ化と高感度化とを実現することができる。FPGA534では、デジタル信号のXY変位電圧を変位信号に変換し位置演算部550へ出力し、且つデジタル信号のZ2相sin波をZ2相方形波に変換しカウンタ回路536へ出力する。そして、カウンタ回路536では、Z2相方形波を計測してZ方向の変位を求め位置演算部550へ出力する。
【0063】
本実施形態では、スタイラス306のXYZ方向への変位を実現するために、基本的にZ方向への移動を軸運動機構310で行い、XY方向への移動を旋回運動機構334で行うようにしている。このため、Z方向、XY方向それぞれにスタイラス306の変位を分離できるので、Z方向、XY方向の変位の検出を独立して行うことが容易であり、位置演算の簡素化を実現することが可能である。同時に、Z方向、XY方向それぞれにおける検出感度も独立して設定することができる。しかも、軸運動機構310がモジュールハウジング330を支持し、且つ旋回部材RPがスタイラス306を直接的に支持する構成とされている。このため、スタイラス306により近い旋回運動機構334による検出感度を向上させることが可能である。
【0064】
また、本実施形態は、本体ハウジング308に支持され移動部材312の変位を検出する変位検出器328を備えている。即ち、本体ハウジング308に支持された変位検出器328は、同じく本体ハウジング308に支持された(XY方向への移動を原則的に行わずにZ方向に移動する)移動部材312の変位を検出する。このため、変位検出器328は、高価な検出器でなくても、移動部材312の本体ハウジング308に対する1方向の変位を純粋に検出することができる。即ち、変位検出器328は、移動部材312の変位を高い分解能で検出することが可能であり、移動部材312の変位の補正を行うことが容易である。同時に、リニアエンコーダなどの使用も容易で、移動部材312(即ち、スタイラス306)のロングストローク化も可能である。
【0065】
また、本実施形態では、変位検出器328が移動部材312の相対的な位置の検出を可能とする相対位置検出信号(所定の周期で繰り返される周期信号)を出力する。このため、変位検出器328で光電式インクリメンタル型リニアエンコーダを構成することで、極めて長い検出範囲(ダイナミックレンジ)を確保しつつ、移動部材312の移動位置で検出感度が異なるといった現象を回避することが可能である。同時に、この相対位置検出信号を高いビット数のAD変換を行うことで、より高い分解能でZ方向の変位を検出することが可能である。なお、これに限らず、変位検出器はインクリメンタルパターンを検出するのではなく、アブソリュートパターンを検出するようにされていてもよい。つまり、変位検出器は移動部材の絶対的な位置の検出を可能とする絶対位置検出信号を出力する構成であってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、軸運動機構310が、一対の同一の第1ダイヤフラム構造体314、315に支持されている。このため、軸運動機構310のZ方向以外への変位を低減でき、Z方向への高い移動精度を確保できる。同時に、エアベアリングなどを移動部材のガイドに併用する場合に比べて、速い応答性を実現することができる。なお、これに限らず、一対の同一の第1ダイヤフラム構造体が用いられず、第1ダイヤフラム構造体が1つ、あるいは3つ以上でも良い。あるいは、第1ダイヤフラム構造体が互いに異なる形状とされていてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、旋回中心RCとバランス部材338との距離は調整可能とされている。このため、同じバランス部材338を採用しても、バランス部材338の位置を調整することで複数のスタイラス306に対して、それぞれのスタイラス306を連結した旋回部材RPの重心位置を旋回中心RCに一致させることが可能である。即ち、バランス部材338の種類を少なくできるので、バランス部材338の製造・管理に係るコストを低減することができる。なお、これに限らず、バランス部材の位置が調整不可能な形態であってもよい。
【0068】
また、本実施形態では、旋回部材RPの反スタイラス側端部に基準部材316が設けられ、姿勢検出器322が本体ハウジング308に収納されている。即ち、旋回モジュール304に姿勢検出器322を設けていないので、旋回モジュール304自体を小型化し、且つ低コスト化することができる。そして、基準部材316は旋回モジュール304に内蔵されている。即ち、基準部材が旋回モジュールから突出して延在するような構成に比べて、基準部材316から接触部348の位置までの距離を短くできる。即ち、基準部材316の変位から演算される接触部348の変位の演算誤差を少なくでき、接触部348の位置を高精度に求めることができる。
【0069】
また、本実施形態では、姿勢検出器322が旋回運動機構334と一対の第1ダイヤフラム構造体314、315との間に配置されている。このため、旋回部材RPの変位が大きくても、基準部材316と姿勢検出器322との距離を短くできるので、姿勢検出器322を小さくできる。即ち、プローブ本体302をより小型化することが可能となる。また、本実施形態では、基準部材316である反射鏡へ光軸OAに沿って光を入射させる光源318が設けられ、姿勢検出器322は、反射鏡から反射される反射光の光軸OAからの変位を検出する。即ち、姿勢検出器322による検出は、非接触式なので、基準部材316が設けられた旋回部材RPの旋回運動を阻害することなく、旋回部材RPの変位を高い感度で検出することができる。同時に、旋回部材RPの変位を検出する構成が光てこであり単純なので、測定プローブ300の低コスト化が可能である。なお、これに限らず、姿勢検出器は、接触式であってもよいし、非接触式でも磁気等を利用する方式でもよい。
【0070】
また、本実施形態では、光軸OAが旋回中心RCを通るよう設けられている。このため、旋回部材RPの旋回動作によって生じる反射光の変化には、Z方向への変位成分が含まれないので、旋回部材RPの変位をより高感度に検出することが可能である。なお、これに限らず、光軸OAが旋回中心RCを通らない構成であってもよい。
【0071】
また、本実施形態では、プローブ本体302が一対の第1ダイヤフラム構造体314、315の変形量を弾性変形の範囲内に制限する本体ハウジング308、移動部材312、支持部材319、及びモジュールハウジング330を備える。同時に、旋回モジュール304は、第2ダイヤフラム構造体340の変形量を弾性変形の範囲内に制限するモジュールハウジング330、バランス部材338、及びフランジ部材342を備える。このため、例えば、スタイラス306に過大な衝撃がキネマティックジョイントの機能しない方向に加わった場合であっても、第1ダイヤフラム構造体314、315及び第2ダイヤフラム構造体340の塑性変形や破損・破壊を防止することができる。なお、これに限らず、測定プローブは、第1、第2ダイヤフラム構造体の変形量を弾性変形の範囲内に制限する部材を備えなくてもよい。
【0072】
即ち、本実施形態では、低コストを保ちながら高い測定精度を確保可能である。
【0073】
本発明について上記実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
【0074】
例えば、上記実施形態では、プローブ本体302に旋回モジュール304が内蔵された形態であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5(A)に示す第2実施形態の如くであってもよい。第2実施形態では、第1実施形態とは主にプローブ本体と旋回モジュールとの連結状態が異なるだけなので、プローブ本体と旋回モジュールとの連結に係る構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0075】
第2実施形態では、図5(A)に示す如く、プローブ本体352に旋回モジュール354が内蔵されない形態である。旋回モジュール354は、プローブ本体352と、ローラ362Eと球382B(係合部)で構成されるキネマティックジョイントで脱着可能に連結されている。なお、以降では、このプローブ本体352から分離可能な旋回モジュール354をプローブモジュールとも称する。
【0076】
なお、スタイラス356は、複数(接触部398の材質や位置や質量等が異なる)用意される。そして、スタイラス356に対応して、1つのプローブ本体352に対して、複数の旋回モジュール354(必ずしもスタイラス356の数と同一ではない)を用意することができる。
【0077】
軸運動機構360の下端部には、図5(A)に示す如く、フランジ部362Dが設けられている。軸運動機構360は、フランジ部362Dを除いて本体ハウジング358の内側に収納されている。フランジ部362Dは、旋回モジュール354の内側に入り込むことなく、旋回モジュール354に連結されている。
【0078】
フランジ部362Dの下端外周には、図5(A)に示す如く、周方向で120度毎に一対のローラ362Eが3つ設けられている。そして、ローラ362Eとは周方向で位相が60度ずれた状態で永久磁石362Fが3つ設けられている。なお、一対のローラ362Eの軸方向は、フランジ部362Dの中心に向かう略径方向と同一とされている。
【0079】
旋回モジュール354は、図5(A)に示す如く、モジュールカバー382と、モジュールハウジング380と、旋回運動機構384と、を備えている。なお、本実施形態では、モジュールカバー382とモジュールハウジング380とで旋回ハウジング部材が構成されている。
【0080】
モジュールカバー382は、図5(A)に示す如く、中心に開口部382Aを備えるフランジ形状とされている。モジュールカバー382は、フランジ部362Dに対応する部材である。永久磁石362Fと磁性部材382Cとが所定の力で引き合った状態で、フランジ部362Dにモジュールカバー382が脱着可能なキネマティックジョイントで連結されている。このキネマティックジョイントにより、旋回モジュール354とフランジ部362Dとが脱着を繰り返しても、高い位置決め再現性を実現することが可能である。なお、旋回モジュール354に横方向(Z方向と直交する方向)から大きな力が加わったときには、フランジ部362Dから旋回モジュール354が脱落して、プローブ本体352の破損を防止することが可能である。
【0081】
このように、本実施形態では、軸運動機構360はプローブ本体352に内蔵され、且つ旋回運動機構384は旋回モジュール354のみに内蔵されている。このため、例えば、スタイラス356を変更した際に、旋回運動機構384だけは性能的に変更したほうがよいといった場合があるとする。このとき、プローブ本体352を変えることなく旋回モジュール354を交換するだけで、例えば、接触部398から被測定物Wにかかる力を所望の測定力とすることができ、結果的に測定プローブ350で相応の検出感度及び復元力(スタイラス356の変位を元に戻す力)を実現することが可能である。逆に、同一の旋回モジュール354に対してプローブ本体352を交換するといったことも容易に実現することができる。また、旋回運動機構384のみが破損・性能低下した際には、旋回モジュール354の交換だけで測定プローブ350の機能を維持することができる。
【0082】
また、複数の旋回モジュール354のそれぞれの球382Bの位置を共通にしておくことで、複数の旋回モジュール354を容易にプローブ本体352へ脱着でき、且つ、高い位置再現性を実現することができる。
【0083】
また、本実施形態では、プローブ本体352の1つに対して旋回モジュール354を複数用意し、旋回部材RPの変位した際の単位変位量当たりの復元力を旋回モジュール354毎に異なるようにすることができる。このため、スタイラス356や被測定物Wに個別に対応する復元力を設定することができ、XY方向への変位の高感度検出が可能であるとともに検出範囲の拡大などが容易に実現可能である。同時に、被測定物Wへの接触部398によるダメージなども低減することが可能である。なお、これに限らず、旋回部材RPの変位した際の単位変位量当たりの復元力をプローブモジュール毎に変えなくてもよい。
【0084】
また、本実施形態では、旋回中心RCとバランス部材388との距離は調整可能とされている。そして、プローブ本体352の1つに対して旋回モジュール354を複数用意すると、同一部材の旋回部材RPで異なるバランスを有する旋回モジュール354を複数構成できるので、旋回モジュール354の低コスト化が可能である。なお、これに限らず、バランス部材の位置が調整不可能な形態であってもよい。
【0085】
また、本実施形態では、プローブ本体352の1つに対して旋回モジュール354を複数用意し、バランス部材388の質量が旋回モジュール354毎に異なるようにすることができる。このため、各スタイラス356に対して、対応するバランス部材388を備える旋回モジュール354を用いることで、それぞれのスタイラス356を連結した状態の旋回部材RPの重心位置を旋回中心RCに一致させることが可能である。なお、バランス部材388の位置の調整が更に可能である場合には、1つのプローブ本体352において、更に多くのスタイラス356により正確に対応可能な旋回モジュール354を提供することが可能である。
【0086】
なお、第2実施形態では、姿勢検出器372が旋回運動機構384と一対の第1ダイヤフラム構造体364、365との間に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5(B)に示す第3実施形態の如くであってもよい。第3実施形態では、第2実施形態とは主に姿勢検出器の位置が異なるだけなので、姿勢検出器の位置に係る構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0087】
第3実施形態では、移動部材412が、図5(B)に示す如く、軸心を中空部412Bとした略円筒形状とされている。より具体的には、移動部材412は、Z方向の上方から下方に向かって、肉厚部412C、肉薄部412D、及びフランジ部412Eが一体とされ構成されている。肉厚部412Cには、一対の第1ダイヤフラム構造体414、415が連結されている。肉薄部412Dは、肉厚部412Cの下方に形成されている。なお、本体ハウジング408の開口部408Aの開口径は、肉厚部412Cの外径よりも小さくされている。そして、フランジ部412Eの外径は、開口部408Aの開口径よりも大きくされている。ここで、肉厚部412Cの下端部412CAと開口部408Aの上端部408AAとの距離及びフランジ部412Eの上端部412EAと開口部408Aの下端部408ABとの距離は、移動部材412のZ方向への変位を規制して、一対の第1ダイヤフラム構造体414、415が弾性変形の範囲内となるように定められている。即ち、プローブ本体402は、一対の第1ダイヤフラム構造体414、415の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第1制限部材となる本体ハウジング408及び移動部材412を備えているといえる。
【0088】
姿勢検出器422は、図5(B)に示す如く、移動部材412の上方であって、本体ハウジング408の内側上面に配置されている。そして、光源(光源部)418が本体ハウジング408の内側側面に設けられている。光源418から出射された光をZ方向に向けるビームスプリッタ420が、支持部材419に支持されている(なお、支持部材419も、本体ハウジング408の内側に固定されている)。Z方向に向けられた光は、移動部材412の中空部412Bを通過し、基準部材416で反射する構成となっている。Z方向に向けられた光の光軸OAは、旋回運動機構434の旋回中心RCを通るように設けられている。このため、本実施形態では、姿勢検出器422の配置が容易となり、プローブ本体402の製造を容易にしている。
【0089】
なお、上記実施形態では、変位検出器を用いて光電式インクリメンタル型リニアエンコーダを構成していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6に示す第4実施形態の如くであってもよい。第4実施形態では、第2実施形態とは主に変位検出器周辺の構成が異なるだけなので、主に変位検出器周辺の構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0090】
第4実施形態では、図6図7(A)に示す如く、プローブ本体452には、光源(干渉光源部)478と、光源478からの光を反射する参照ミラー475と、移動部材462に配置されるとともに光源478からの光を反射する基準部材(ターゲットミラー)474と、を備え、参照ミラー475及び基準部材474からの反射光それぞれを干渉させて複数の干渉縞ILを生成可能な干渉光学系IFが設けられている。光源478と参照ミラー475とは、本体ハウジング458の内側に固定されている。光源478と移動部材462の上端部462Aに配置された基準部材474とはZ方向に並んでおり、その間にビームスプリッタ477が配置されている。ビームスプリッタ477も本体ハウジング458の内側に固定され、全体でマイケルソン型の干渉光学系IFが構成されている。
【0091】
図6図7(A)に示す如く、ビームスプリッタ477は、光源478からの光を参照ミラー475の方向に分岐させる。また、ビームスプリッタ477は、基準部材474で反射される反射光を、参照ミラー475と対向しビームスプリッタ477に対向する変位検出器476に導く。同時に、変位検出器476には、参照ミラー475で反射されビームスプリッタ477を通過した光が入射する構成とされている。このため、変位検出器476は、図7(B)に示す如く、干渉光学系IFで生成される複数の干渉縞ILの位相変化PSを検出可能としている。
【0092】
なお、図7(C)には、変位検出器476で検出される複数の干渉縞ILの光量Iを示している。ここで、位相変化PSは、基準部材474のZ方向への移動量を反映している。このため、この位相変化PSを求めることで、移動部材462のZ方向への変位量を求めることができる。このときに、複数の干渉縞ILは干渉光で構成され且つ周期的なので、位相変化PSを高精度に求めることができる(本実施形態でも、変位検出器476は、移動部材462の相対的な位置の検出を可能とする相対位置検出信号を出力する構成ということができる)。
【0093】
つまり、本実施形態では、上記実施形態よりもさらに移動部材462のZ方向への変位を精度良く求めることが可能である。同時に、この複数の干渉縞ILの光量Iの周期1/Fは、基準部材474の傾きを反映している。このため、この周期1/Fの変化を求めることで、移動部材462のわずかなXY方向への傾きを求めることができる。つまり、本実施形態では、変位検出器476の出力から移動部材462のZ方向への変位に伴う移動部材462のわずかなXY方向への傾きを求めることもできるので、接触部498のXY方向への変位をより高精度に求めることが可能である。なお、本実施形態の干渉光学系IFだけが移動部材462のXY方向への傾きを求められるわけではなく、原理的には他の実施形態で示される変位検出器であってもXY方向への傾きを求めることができる。また、本実施形態では、1波長のみを使用することを想定しているが、2波長以上を使用する場合には、変位検出器が移動部材の絶対的な位置の検出を可能とする絶対位置検出信号を出力することが可能となる。
【0094】
なお、上記実施形態では、スタイラスが変更された際に、スタイラスの質量に従って移動部材の軸方向Oへの変位を許容する構成であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8(A)に示す第5実施形態の如くであってもよい。第5実施形態では、第2実施形態とは主にプローブ本体と旋回モジュールとの連結状態が異なるだけなので、主にプローブ本体と旋回モジュールの周辺の構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0095】
第5実施形態では、図8(A)に示す如く、旋回モジュール704が、スタイラス706の質量に応じたバランスウェイト731Cと、カウンタバランス機構731と、備える。カウンタバランス機構731は、本体ハウジング(軸ハウジング部材)708に支持され、モジュールハウジング(旋回ハウジング部材)730を介してスタイラス706とバランスウェイト731Cとの間のZ方向におけるバランスをとる構成とされている。カウンタバランス機構731は、モジュールハウジング730と共に脱着可能とされている。
【0096】
具体的に説明すると、図8(A)に示す如く、本体ハウジング708は旋回モジュール704の外周下端までを覆うように、Z方向下方に延在された円筒形状の延在部708Aを備えている。そして、延在部708Aの内側において周方向に均等間隔で3か所以上に、永久磁石708Bが設けられている。
【0097】
一方、カウンタバランス機構731は、図8(A)に示す如く、永久磁石708Bの位置と数に対応して、モジュールハウジング730の3か所以上に設けられている。カウンタバランス機構731は、支持部材731Aと支持軸731Bと連結軸731Dを備える。支持部材731Aの上面には永久磁石708Bに吸着可能な磁性部材(磁石でもよい)731AAが設けられている。支持軸731Bは、支持部材731Aに固定され、支持軸731Bから重心位置がずれた状態でバランスウェイト731Cが連結されている。バランスウェイト731Cには、Z方向と直交する方向に連結軸731Dが設けられており、その先端がモジュールハウジング730に連結されている。
【0098】
これにより、本実施形態では、プローブ本体702の1つに対して旋回モジュール704を複数用意し、バランスウェイト731Cの質量を旋回モジュール704毎に異なるようにすることができる。つまり、スタイラス706を交換した際に、そのスタイラス706の質量に対応したバランスウェイト731Cが設けられた旋回モジュール704を用いることで、スタイラス706の質量の増減分を本体ハウジング708で直接受け止めることができる。即ち、スタイラス706違いによって、移動部材712の初期位置のZ方向の変動を防止することが可能である。つまり、本実施形態では、上記実施形態に比べて移動部材712の可動範囲を狭くでき、プローブ本体702の一層の小型化が可能となる。同時に、検出範囲(ダイナミックレンジ)を狭くできることから、移動部材712の変位量をより高い分解能で検出することが可能である。
【0099】
なお、図8(B)は、第5実施形態のバリエーションである第6実施形態を示している。ここでは、本体ハウジングが円筒形状の延在部を一体的に備えるのではなく、カウンタバランス機構781の支持部材781Aが、円環形状とされて旋回モジュール754の一部としてプローブ本体752から分離可能な構成となっている。
【0100】
図8(B)に示す如く、本体ハウジング758の開口部758Aの外周には、周方向で120度毎に一対のローラ758B(係合部)が3つ設けられている。そして、ローラ758Bの径方向内側に位置する移動部材762のフランジ部762Dに円環形状の永久磁石762Eが設けられている。そして、図8(B)、図9(A)に示す如く、ローラ758Bに対応する球781Fを、支持部材781Aのフランジ部781Eに設けている(なお、フランジ部781Eは、支持軸781Bを支持している)。また、図8(B)、図9(A)、(B)に示す如く、永久磁石762Eに対応する磁性部材780Aをモジュールハウジング780に設けている。
【0101】
つまり、本実施形態では、第5実施形態とは異なり、フランジ部762Dから一対のローラを排除し且つハウジングカバーを無くして、ローラ758Bに対応する球781Fをモジュールハウジング780の外側の支持部材781Aに設けている。このため、本実施形態では、軸運動機構760及び旋回運動機構784を軽量化することが可能である。なお、図9(C)に示す如く、フランジ部材792の永久磁石792Bに対応する磁性部材(永久磁石でもよい)794Bはリング形状とされ、フランジ部794の球794Aの配置された径方向位置より内側に配置されている。
【0102】
なお、第1実施形態では、軸運動機構310がモジュールハウジング(旋回ハウジング部材)330を支持し、且つ旋回部材RPがスタイラス306を直接的に支持する構成とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10(A)に示す第7実施形態の如くであってもよい。第7実施形態では、上記実施形態とは主に軸運動機構と旋回運動機構の配置が逆となり、変位検出器の種類が異なるだけなので、主に軸運動機構と旋回運動機構の配置及び変位検出器に係る構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0103】
第7実施形態では、図10(A)に示す如く、旋回運動機構834がモジュールハウジング(軸ハウジング部材)830を支持し、且つ移動部材812がスタイラス806を直接的に支持する構成とされている。ここでは、軸運動機構810を備えているモジュールを直動モジュール804と称する。つまり、測定プローブ800は、プローブ本体802と直動モジュール804の2つのモジュールを備え、プローブ本体802が直動モジュール804を内蔵する形態となっている。
【0104】
旋回運動機構834は、図10(A)に示す如く、旋回部材842と、旋回部材842を本体ハウジング808に対して変位可能とする第2ダイヤフラム構造体840と、を備える。
【0105】
旋回部材842は、図10(A)に示す如く、軸心を中空部842Bとした略円環形状とされている。旋回部材842の下端に設けられたフランジ部842Eは、円筒形状のモジュールハウジング830と連結されており、直動モジュール804を構成している。
【0106】
軸運動機構810は、図10(A)に示す如く、モジュールハウジング830の径方向内側に支持されており、移動部材812のフランジ部812Eを除いてモジュールハウジング830の内側に収納されている。フランジ部812Eは、スタイラス806の内側に入り込むことなく、スタイラス806に連結されている。そして、軸運動機構810は、図10(A)に示す如く、移動部材812と、移動部材812をモジュールハウジング830に対して変位可能とする一対の第1ダイヤフラム構造体814、815と、を備える。
【0107】
なお、図10(A)に示す如く、移動部材812の上端部812Aには、反射鏡とされた基準部材816が配置されており、旋回部材842の中空部842Bを通過した光が基準部材816で反射する構成となっている。また、移動部材812に対向して、移動部材812の変位を検出する変位検出器826がモジュールハウジング830の内側に配置されている(即ち、変位検出器826は直動モジュール804に内蔵されている)。ここでは、変位検出器826が、差動トランスを構成している。具体的には、移動部材812の外周に設けられた基準部材824が、円筒形状の金属部材である。そして、変位検出器826は、円筒形状であり、基準部材824の外周に近接して対峙している。変位検出器826は、高周波で発振する励磁コイル(例えば、1kHz以上の正弦波電圧を使用)と、それを両側から挟むように配置される1組の差動結合された受信コイルと、から構成される。受信コイルでは、基準部材824のモジュールハウジング830に対する1方向の変位(絶対位置)を検出することができる。即ち、変位検出器826は、移動部材812の絶対的な位置の検出を可能とする絶対位置検出信号を出力する構成とされている。
【0108】
このように、本実施形態では、旋回運動機構834がモジュールハウジング830を支持し、且つ移動部材812がスタイラス806を直接的に支持する構成とされている。このため、スタイラス806により近い軸運動機構810による検出感度を向上させることが可能である。同時に、軸運動機構810を軽くできるので、軸運動機構810の応答性を高くすることができる。また、モジュールハウジング830に対する1方向の変位(絶対位置)の検出に差動トランスを用いるので、接触部848の軸方向Oの絶対位置の算出も容易に行うことが可能である。
【0109】
なお、図10(B)は、第7実施形態のバリエーションである第8実施形態を示している。ここでは、差動トランスを構成する基準部材874が移動部材862の上端部862Aに設けられ、且つ変位検出器876が旋回部材892の中空部892Bの内側側面に設けられている。そして、基準部材866は、旋回部材892の上端部892Aに配置されている。そのほかの要素は、第7実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0110】
なお、第7、第8実施形態では、プローブ本体に直動モジュールが内蔵された形態であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11(A)に示す第9実施形態の如くであってもよい。第9実施形態では、第7実施形態とは主にプローブ本体と直動モジュールとの連結状態が異なるだけである。しかも、その連結状態は、第3実施形態と略同一である。このため、第3、第7実施形態とは異なる構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0111】
第9実施形態では、図11(A)に示す如く、プローブ本体902に直動モジュール904が内蔵されない形態である。直動モジュール904は、プローブ本体902と互いに位置決め可能なローラ942Fと球932B(係合部)で脱着可能に連結されている。なお、以降では、このプローブ本体902から分離可能な直動モジュール904をプローブモジュールとも称する。なお、変位検出器928は、移動部材912を支持するモジュールハウジング930に支持され、移動部材912の側面に設けられた基準部材926とともに、第2実施形態で示した光電式インクリメンタル型リニアエンコーダ(光電式や磁気式や電磁誘導式などのアブソリュート型リニアエンコーダでもよい)を構成している。
【0112】
なお、スタイラス906は、複数(接触部948の材質や位置や質量等が異なる)用意される。そして、スタイラス906に対応して、1つのプローブ本体902に対して、複数の直動モジュール904(必ずしもスタイラス906の数と同一ではない)を用意することができる。
【0113】
プローブ本体902は、図11(A)に示す如く、本体ハウジング908と、姿勢検出器922と、旋回運動機構934と、を備える。旋回運動機構934は、本体ハウジング908の径方向内側に支持されている。旋回運動機構934は、旋回部材942のフランジ部942Eを除いて本体ハウジング908の内側に収納されている。旋回運動機構934は、旋回部材942と、旋回部材942を本体ハウジング908に対して変位可能とする第2ダイヤフラム構造体940とを備える。
【0114】
旋回部材942は、図11(A)に示す如く、軸心を中空部942Bとした略円筒形状とされている。より具体的には、旋回部材942は、Z方向の上方から下方に向かって、肉厚部942C、肉薄部942D、及びフランジ部942Eが一体とされ構成されている。肉厚部942Cには、第2ダイヤフラム構造体940が連結されている。肉薄部942Dは、肉厚部942Cの下方に形成されている。なお、本体ハウジング908の開口部908Aの開口径は、肉厚部942Cの外径よりも小さくされている。そして、フランジ部942Eの外径は、開口部908Aの開口径よりも大きくされている。ここで、肉厚部942Cの下端部942CAと開口部908Aの上端部908AAとの距離及びフランジ部942Eの上端部942EAと開口部908Aの下端部908ABとの距離で、旋回部材942の変位を規制して、第2ダイヤフラム構造体940が弾性変形の範囲内となるように定めてもよい。また、肉薄部942Dの外側面と開口部908Aの内端面との距離で、旋回部材942の変位を規制して、第2ダイヤフラム構造体940が弾性変形の範囲内となるように定めてもよい(この場合には、プローブ本体902は、第2ダイヤフラム構造体940の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第2制限部材となる本体ハウジング908及び旋回部材942を備えているといえる)。なお、フランジ部942Eは、直動モジュール904の内側に入り込むことなく、直動モジュール904に連結されている。
【0115】
フランジ部942Eの下端外周には、図11(A)に示す如く、周方向で120度毎に一対のローラ942Fが3つ設けられている。そして、ローラ942Fとは周方向で位相が60度ずれた状態で永久磁石942Gが3つ設けられている。なお、一対のローラ942Fの軸方向は、フランジ部942Eの中心に向かう略径方向と同一とされている。
【0116】
直動モジュール904は、図11(A)に示す如く、モジュールカバー932と、モジュールハウジング930と、軸運動機構910と、を備えている。なお、本実施形態では、モジュールカバー932とモジュールハウジング930とで軸ハウジング部材が構成されている。
【0117】
モジュールカバー932は、図11(A)に示す如く、中心に開口部932Aを備えるフランジ形状とされている。モジュールカバー932は、フランジ部942Eに対応する部材である。即ち、一対のローラ942Fの両方に接するように、球932Bがモジュールカバー932の周方向で120度毎に3つ配置されている。そして、永久磁石942Gに対応して、永久磁石942Gと引き合う磁性部材(永久磁石でよい)932Cが、球932Bとは60度位相がずれた状態で配置されている。
【0118】
即ち、モジュールカバー932とフランジ部942Eとは、脱着可能なキネマティックジョイントで連結されている。このように、本実施形態では、旋回運動機構934がプローブ本体902に内蔵され、且つ軸運動機構910が直動モジュール904のみに内蔵されている。このため、例えば、スタイラス906を変更した際に、軸運動機構910だけは性能的に変更したほうがよいといった場合があるとする。このとき、プローブ本体902を変えることなく直動モジュール904を交換するだけで、例えば、一対の第1ダイヤフラム構造体914、915の距離をより広げることで、軸運動機構910の移動部材912の直進性を向上させることが可能である(つまり、移動部材912のモジュールハウジング930に対する1方向からずれた変位の発生を低減することができる)。逆に、同一の直動モジュール904に対してプローブ本体902を交換するといったことも容易に実現することができる。また、軸運動機構910のみが破損・性能低下した際には、直動モジュール904の交換だけで測定プローブ900の機能を維持することができる。
【0119】
また、本実施形態では、プローブ本体902と直動モジュール904とが互いに位置決め可能なローラ942Fと球932Bで脱着可能に連結されている。このため、直動モジュール904の脱着を繰り返しても、連結位置を高い精度で再現することが可能である。また、複数の直動モジュール904の球932Bの位置を共通にしておくことで、複数の直動モジュール904を容易にプローブ本体902へ脱着でき、且つ高い位置再現性を実現することができる。
【0120】
また、本実施形態では、プローブ本体902の1つに対して直動モジュール904を複数用意し、軸運動機構910の変位した際の単位変位量当たりの復元力を直動モジュール904毎に異なるようにすることができる。このため、スタイラス906や被測定物Wに個別に対応する復元力を設定することができ、モジュールハウジング930に対する1方向への変位の高感度検出が可能であるとともに検出範囲の拡大などが容易に実現可能である。同時に、被測定物Wへのダメージなども低減することが可能である。
【0121】
なお、第9実施形態では、姿勢検出器922が、移動部材912と旋回部材942の両方を支持する本体ハウジング908に収納されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11(B)に示す第10実施形態の如くであってもよい。第10実施形態は、丁度、第9実施形態のプローブ本体902が軸方向Oでビームスプリッタ920と旋回部材942との間で分離可能とされた形態となっている。つまり、第9実施形態とは主に姿勢検出器の位置が異なるだけなので、主に姿勢検出器の位置に係る構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0122】
第10実施形態では、図11(B)に示す如く、移動部材962と旋回部材992の両方を支持する本体ハウジング958を、位置決め可能なローラ951BBと球957B(係合部)で脱着可能に連結し支持する前段モジュール951を備えている。そして、姿勢検出器972は、前段モジュール951に内蔵されている。
【0123】
具体的に、前段モジュール951は、図11(B)に示す如く、前段ハウジング(前段ハウジング部材)951Aと、光源968と、ビームスプリッタ970と、姿勢検出器972と、を備えている。前段ハウジング951Aは、光源968とビームスプリッタ970と姿勢検出器972とを径方向内側で支持しており、下端に下カバー951Bを備えている。下カバー951Bは、中心に開口部951BAを備えるフランジ形状とされている。下カバー951Bの下端外周には、図11(B)に示す如く、周方向で120度毎に一対のローラ951BBが3つ設けられている。そして、ローラ951BBとは周方向で位相が60度ずれた状態で永久磁石951BCが3つ設けられている。つまり、前段ハウジング951Aは、本体ハウジング958を位置決め可能なローラ951BBと球957Bで脱着可能に連結し支持している。そして、前段ハウジング951Aは、姿勢検出器972を収納している構成である。
【0124】
プローブ本体952は、図11(B)に示す如く、上カバー957と、本体ハウジング958と、旋回運動機構984と、を備えている。上カバー957は、図11(B)に示す如く、中心に開口部957Aを備えるフランジ形状とされている。上カバー957は、下カバー951Bに対応する部材である(このため、開口部957Aにより、基準部材966への入射光及び基準部材966からの反射光の光路が確保されている)。また、一対のローラ951BBの両方に接するように、球957Bが上カバー957の周方向で120度毎に3つ配置されている。そして、永久磁石951BCに対応して、磁性部材(永久磁石でよい)957Cが配置されている。つまり、即ち、下カバー951Bと上カバー957とは、脱着可能なキネマティックジョイントで連結されている。
【0125】
このように、本実施形態では、プローブ本体952には旋回運動機構984のみが内蔵され且つ前段モジュール951には光源968とビームスプリッタ970と姿勢検出器972とが内蔵された形態である。このため、旋回運動機構984のみの変更が容易であるとともに、前段モジュール951の変更も容易である。つまり、旋回運動機構984と姿勢検出器972とを別個に性能変更することや交換することが可能となり、そのコストを低減することができる。また、例えば、プローブ本体952を装着せずに、前段モジュール951に直接的に直動モジュール954を装着して、姿勢検出器972の出力を利用して直動モジュール954の直進性を検査すること等も可能となる。なお、本実施形態では、直動モジュール954がスタイラス956を支持していたが、第3実施形態の如く旋回モジュールがスタイラスを支持している際に前段モジュールが設けられている形態でもよい。
【0126】
なお、第7実施形態では、延在部808Aの内側側面とモジュールハウジング830の外側側面との距離が、旋回部材842の変位を規制して、第2ダイヤフラム構造体840が弾性変形の範囲内となるように定められていた。即ち、プローブ本体802は、第2ダイヤフラム構造体840の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第2制限部材となる本体ハウジング808及びモジュールハウジング830を備えているといえる。これに対して、例えば、図12(A)に示す第11実施形態の如くであってもよい。第11実施形態では、第7実施形態とは主に本体ハウジングの形状、及びモジュールハウジングの形状が異なるだけなので、主に本体ハウジングと旋回部材との関係、及び移動部材とモジュールハウジングとの関係以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。なお、図12(A)では、図示しない変位検出器が内壁部1030Aを回避した状態で第7実施形態と同様にモジュールハウジング1030の径方向内側に配置(固定)されている。
【0127】
第11実施形態では、図12(A)に示す如く、旋回部材1042のフランジ部1042Eの上端部に対峙するように、本体ハウジング1008にリング部1008Bが設けられている。即ち、リング部1008Bは、本体ハウジング1008と一体とされて配置される第2壁部材といえる。そして、リング部1008B(の下端部)とフランジ部1042E(の上端部)との間の少なくとも一部の隙間にグリースオイルなどの第2粘性材料SVが充填されている。ここでの「充填」は、XY方向の少なくとも一か所でリング部1008Bと旋回部材1042との間に第2粘性材料SVが隙間なく配置されることで満たされるとする(必ずしも軸対称で、充填される必要はない)。これにより、少なくとも第2粘性材料SVがリング部1008Bに対する旋回部材1042の変位をダンピングし、測定プローブ1000の移動に伴って生じるXY方向への振動などを低減でき、測定プローブ1000の高感度化に伴うノイズの増大を防止することが可能となる。
【0128】
また、同時に、図12(A)に示す如く、移動部材1012の外側側面に対峙するように、モジュールハウジング1030に内壁部1030Aが設けられている。即ち、内壁部1030Aは、モジュールハウジング1030と一体とされて配置され移動部材1012に対峙して配置される第1壁部材といえる。そして、内壁部1030A(の内側側面)と移動部材1012(の外側側面)との間の少なくとも一部の隙間にグリースオイルなどの第1粘性材料FVが充填されている。ここでの「充填」は、Z方向の少なくとも一か所で内壁部1030Aと移動部材1012との間に第1粘性材料FVが隙間なく配置されることで満たされるとする(必ずしも軸対称で、充填される必要はない)。これにより、少なくとも第1粘性材料FVが内壁部1030Aに対する移動部材1012の変位をダンピングし、測定プローブ1000の移動に伴って生じるZ方向への振動などを低減でき、測定プローブ1000の高感度化に伴うノイズの増大を防止することが可能となる。つまり、第1粘性材料FVと第2粘性材料SVとにより、測定プローブ1000の高速移動を行っても、ノイズの増大を抑えることが可能となる。
【0129】
加えて、本実施形態では、Z方向とXY方向のダンピング構造を別々に有するので、第1粘性材料FV、第2粘性材料SVとを個別に変更できる。このため、Z方向とXY方向とでダンピング特性を個別に最適化できる。
【0130】
なお、第7実施形態とは異なり、例えば、図12(B)に示す第12実施形態の如くであってもよい。第12実施形態では、第7実施形態とは主にバランス部材及び第5、第6実施形態で示したカウンタバランス機構が追加されただけなので、主にバランス部材及びカウンタバランス機構の構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0131】
第12実施形態では、図12(B)に示す如く、旋回部材1092が旋回運動機構1084の旋回中心RCに対して反スタイラス側に円環形状のバランス部材1088を備えている。バランス部材1088は、旋回部材1092の上端部に設けられた支持部1087に支持されている。バランス部材1088は支持部1087に係合した状態で移動可能であり、支持部1087により旋回中心RCとバランス部材1088との距離は調整可能とされている。このため、バランス部材1088の旋回中心RCからの距離を変化させることで、異なるスタイラス1056を連結した状態の旋回部材1092(第2ダイヤフラム構造体1090に支持される部材)の重心位置を旋回中心RCに一致させることが可能となる。従って、本実施形態では、上記実施形態よりもさらなる測定プローブ1050の高感度化が可能である。なお、このような位置調整可能なバランス部材は、第11実施形態などで示す軸運動機構が旋回運動機構を支持する構造に適用されてもよい。
【0132】
また、図12(B)に示す如く、モジュールハウジング1080で支持する第1ダイヤフラム構造体1064の下方には、周方向で120度毎に支持部1080Cが設けられている。そして、支持部1080Cの先端には、永久磁石1080CAが配置されている。
【0133】
移動部材1062のフランジ部1062Eに支持されるスタイラス1056は、図12(B)に示す如く、スタイラス1056の質量に応じたバランスウェイト1081Cと、カウンタバランス機構1081と、備える。カウンタバランス機構1081は、第5、第6実施形態と同様に、(支持部1080Cを介して)モジュールハウジング(軸ハウジング部材)1080に支持され、スタイラス1056とバランスウェイト1081Cとの間のZ方向におけるバランスをとる構成とされている。カウンタバランス機構1081は、スタイラス1056と共に脱着可能とされている。
【0134】
カウンタバランス機構1081は、図13(A)〜(C)に示す如く、永久磁石1080CAの位置と数に対応して、スタイラス1056の3か所以上に設けられている。カウンタバランス機構1081は、支持部材1081Aと支持軸1081Bと連結軸1081Dを備える。支持部材1081Aの上面には永久磁石1080CAに吸着可能な磁性部材(磁石でもよい)1081AAが設けられている。支持軸1081Bは、支持部材1081Aに固定され、支持軸1081Bから重心位置がずれた状態でバランスウェイト1081Cが連結されている。バランスウェイト1081Cには、Z方向と直交する方向に連結軸1081Dが設けられており、その先端がスタイラス1056のフランジ部1094に連結されている。
【0135】
これにより、プローブ本体1052の1つに対してスタイラス1056を交換した際には、そのスタイラス1056の質量に対応したバランスウェイト1081Cが必然的に用いられることとなる。このため、スタイラス1056の質量の増減分をモジュールハウジング1080で直接受け止めることができる。即ち、スタイラス1056の違いによって、移動部材1062のZ方向の初期位置の変動を防止することが可能である。つまり、本実施形態では、第7実施形態に比べて移動部材1062の可動範囲を狭くでき、直動モジュール1054の一層の小型化が可能となる。同時に、検出範囲を狭くできることから、移動部材1062の変位量をより高い分解能で検出することが可能である。
【0136】
また、本実施形態では、更に、モジュールハウジング1080の外側側面に凸部1080Bが設けられている。即ち、延在部1058Aの内側側面1058AAとモジュールハウジング1080の凸部1080Bとの距離が、旋回部材1092の変位を規制して、第2ダイヤフラム構造体1090が弾性変形の範囲内となるように定められている。即ち、プローブ本体1052は、第2ダイヤフラム構造体1090の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第2制限部材となる本体ハウジング1058及びモジュールハウジング1080を備えているといえる。
【0137】
同時に、本実施形態では、モジュールハウジング1080の内側側面に凹部1080Aが設けられている。移動部材1062には棒状の抑制部材1063が固定されており、抑制部材1063は凹部1080Aの内側に非接触で配置されている。即ち、凹部1080Aの上端部1080AAと抑制部材1063の上端部1063Aとの距離、及び凹部1080Aの下端部1080ABと抑制部材1063の下端部1063Bとの距離が、移動部材1062の変位を規制して、一対の第1ダイヤフラム構造体1064、1065が弾性変形の範囲内となるように定められている。即ち、直動モジュール1054は、一対の第1ダイヤフラム構造体1064、1065の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第1制限部材となるモジュールハウジング1080及び抑制部材1063を備えているといえる。
【0138】
なお、上記実施形態では、軸方向Oで、一対の第1ダイヤフラム構造体と第2ダイヤフラム構造体とが順番に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図14(A)に示す第13実施形態の如くであってもよい。第13実施形態では、上記実施形態とは主に一対の第1ダイヤフラム構造体と第2ダイヤフラム構造体との配置状態が異なるだけなので、主に一対の第1ダイヤフラム構造体と第2ダイヤフラム構造体との配置の構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0139】
第13実施形態では、図14(A)に示す如く、軸方向Oで、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115の間に第2ダイヤフラム構造体1140が配置されている。そして、プローブ本体1102内では旋回運動機構1134が旋回部材(軸ハウジング部材)1136を支持し、且つ移動部材1112がスタイラス1106を直接的に支持する構成とされている。
【0140】
旋回運動機構1134の旋回部材1136は、図14(A)に示す如く、第2ダイヤフラム構造体1140に支持される部材であり、支持部1136AAを除いて、軸方向Oで第2ダイヤフラム構造体1140に対して対称な略鼓形状とされている。旋回部材1136は、2つのリング部1136Aと、2つ接続部1136Bと、2つの円筒部1136Cと、2つの接合部1136Dと、が一体的に形成されている。リング部1136Aはリング形状であり、リング部1136Aにはそれぞれ、第1ダイヤフラム構造体1114、1115の外周部が固定されている。接続部1136Bはそれぞれ、リング部1136Aの径方向内側に延在しており、第1ダイヤフラム構造体1114、1115に対向している。円筒部1136Cは軸心がそれぞれ、中空とされており、接続部1136Bに一体的に設けられている。2つの接合部1136Dは互いに第2ダイヤフラム構造体1140を挟み込んで連結する形状とされている。即ち、軸方向Oにおいて、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115は第2ダイヤフラム構造体1140に対して、対称な距離に配置されている構成である(完全な対称な距離を必要とするものではなく、設計上・製造上の誤差などを許容するものとする)。つまり、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115によって生じうる移動部材1112の旋回中心を旋回運動機構1134の旋回中心RCに一致させることができる。支持部1136AAは、リング部1136Aの一部から軸方向O外側に延在しており、変位検出器1126を支持している。
【0141】
なお、図14(A)に示す如く、符号Lhは、旋回部材1136によって第1ダイヤフラム構造体1114、1115間の距離を示している。また、符号Lwは、第1ダイヤフラム構造体1114、1115を固定するリング部1136Aの内周面直径を示している。本実施形態では、距離Lhは、2倍の直径Lwよりも大きくされている(Lh>2*Lw)。このため、第1ダイヤフラム構造体1114、1115による移動部材1112の変位量においては、旋回部材1136の中心軸上の移動成分を旋回部材1136の中心軸に対する旋回成分よりも比率を大きくすることが可能となっている。即ち、本実施形態では、移動部材1112の1方向への変位精度を高くすること(高い直進精度の確保)ができる(これに限らず、距離Lhは、2倍の直径Lw以下であってもよい)。なお、このような関係は、すべての実施形態で適用可能となっている。
【0142】
なお、図14(A)に示す如く、リング部1136Aの外側側面と本体ハウジング(旋回ハウジング部材)1108の内側側面との距離は、旋回部材1136の傾斜(変位)を規制して、第2ダイヤフラム構造体1140が弾性変形の範囲内となるように定められている。即ち、プローブ本体1102は、第2ダイヤフラム構造体1140の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第2制限部材となる本体ハウジング1108及び旋回部材1136を備えているといえる。
【0143】
軸運動機構1110は、図14(A)に示す如く、旋回部材1136の径方向内側に支持されている。つまり、旋回部材1136と軸運動機構1110とで直動モジュール1104が構成されている。
【0144】
軸運動機構1110の移動部材1112は、図14(A)に示す如く、Z方向の下方から上方に向かって、連結部1112A、ロッド部1112B、部材配置部1112C、及びバランス部材1138が一体とされ構成されている。バランス部材1138は、特定のスタイラス1106の質量に対応した質量を備えている。つまり、バランス部材1138によって、特定のスタイラス1106が移動部材1112を介して旋回部材1136に支持された際に、旋回運動機構1134の旋回中心RCに第2ダイヤフラム構造体1140で支持される部材の重心が一致する構成とされている。なお、本実施形態では、特定のスタイラス1106は本実施形態の測定プローブ1100が最も装着すると想定したスタイラスとされている。
【0145】
バランス部材1138の上端部には、図14(A)に示す如く、基準部材1116が設けられている(基準部材1116と姿勢検出器1122との組み合わせは第7実施形態と同様なので説明は省略する)。部材配置部1112Cは、バランス部材1138の下方に形成されており、その側面に基準部材1124が配置されている。ロッド部1112Bは、部材配置部1112Cの下方に形成されており、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115の間にくる構成となっている。そして、ロッド部1112Bは、旋回部材1136に収納される形態となっている。連結部1112Aは、ロッド部1112Bの下方に形成されている。連結部1112Aの下端には、フランジ部材1142が取付けられている。
【0146】
図14(A)に示す如く、本体ハウジング1108の開口部1108Aの開口径は、フランジ部材1142の外径よりも小さくされている。そして、フランジ部材1142の上端部1142Cと開口部1108Aの下端部1108ABとの距離は、フランジ部材1142のZ方向の上側への変位を規制して、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115が弾性変形の範囲内となるようにされている。即ち、プローブ本体1102は、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第1制限部材となる本体ハウジング1108及びフランジ部材1142を備えているといえる。
【0147】
なお、支持部1136AAに配置された変位検出器1126は、図14(A)に示す如く、部材配置部1112Cに配置された基準部材1124に対向しており、基準部材1124からの反射光を検出する。基準部材1124の変位検出器1126側の表面には、光源(不図示)からの光の反射率が異なるインクリメンタルパターンが一定間隔で軸方向Oに設けられている。この基準部材1124、変位検出器1126、光源により、2相正弦波信号を出力する光電式インクリメンタル型リニアエンコーダ(光電式アブソリュート型リニアエンコーダでもよい)が構成されている。
【0148】
本実施形態では、軸方向Oにおいて、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115の間に、第2ダイヤフラム構造体1140が配置されている。このため、軸方向Oにおいて、軸運動機構1110と旋回運動機構1134とが直列接続であるにも関わらず、軸運動機構1110と旋回運動機構1134の軸方向O長さを単純に加算した場合よりも、軸運動機構1110と旋回運動機構1134とにより構成される懸架機構の軸方向O長さを短くすることが可能である。なお、これに限らず、第1ダイヤフラム構造体は、1対を構成するのではなく、単に複数であってもよい。
【0149】
そして、本実施形態では、特定のスタイラス1106が旋回部材1136に支持された際に、旋回運動機構1134の旋回中心RCに第2ダイヤフラム構造体1140で支持される部材の重心が一致する構成とされている。このため、例えば、測定プローブ1100を横向きにしても、スタイラス1106の中心軸が軸方向Oから傾くことを防止することができる。即ち、測定プローブ1100自体の傾斜などの姿勢変化が生じても、スタイラス1106(移動部材1112)の直進精度に影響を与えないので、測定精度に変化が生じることを防止することができる。
【0150】
更に、本実施形態では、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115が、第2ダイヤフラム構造体1140に対して、対称な距離に配置されている(つまり、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115間の中間位置に旋回中心RCが一致する)。このため、懸架機構をバランス良く構成できるとともに、懸架機構の意図しない変形を防止でき、測定プローブ1100の高精度化を図ることができる。同時に、例えば、スタイラス1106の中心軸が軸方向Oに対して傾いた状態であっても、スタイラス1106(移動部材1112)の直進精度に影響を与えないので、測定精度に変化が生じることを防止することができる。なお、これに限らず、一対の第1ダイヤフラム構造体が、第2ダイヤフラム構造体に対して、対称な距離に配置されていなくてもよい。また、第1ダイヤフラム構造体が2つではなく、4、6、・・・といった偶数とされ、第1ダイヤフラム構造体それぞれが、第2ダイヤフラム構造体に対して互いに対称な位置に配置されていてもよい。
また、本実施形態では、旋回運動機構1134が(軸運動機構1110を支持する)旋回部材1136を支持することで、移動部材1112がスタイラス1106を直接的に支持する構成とされている。このため、軸運動機構が(旋回運動機構を支持する)移動部材を支持する場合に比べて、移動部材1112で支持する部材の質量を低減でき、一対の第1ダイヤフラム構造体1114、1115の復元力の最適化することが容易となる。結果的に、軸運動機構1110によるスタイラス1106の軸方向Oの変位を高感度に検出することができる。同時に、軸運動機構1110の応答性を向上させることができる。即ち、本実施形態では、軸方向O長さの短縮と軽量化を可能とし、且つ形状誤差を低減し測定精度向上を可能とする。
【0151】
なお、図14(B)は、本実施形態のバリエーションである第14実施形態を示す。ここでは、移動部材1162の変位を、第7実施形態の差動トランスを用いて検出している。具体的には、移動部材1162に設けられた基準部材1174は、渦電流の生じる円筒形状の金属部材である。そして、変位検出器1176は、円筒形状であり、基準部材1174に近接して対峙している。変位検出器1176は、高周波で発振する励磁コイルと、それを両側から挟むように配置される1組の差動結合された受信コイルと、から構成される。なお、支持部1186AAは、円筒形状となっており、変位検出器1176をその径方向内側で支持している。そのほかの要素は、第13実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0152】
なお、第13、第14実施形態では、旋回運動機構が(軸運動機構を支持する)旋回部材を支持することで、移動部材がスタイラスを直接的に支持する構成とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図15に示す第15実施形態の如くであってもよい。第15実施形態では、第13実施形態とは主に旋回運動機構と軸運動機構の支持関係が異なり、且つ第3実施形態と同様の構成なので、第3、第13実施形態とは異なる構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0153】
第15実施形態では、図15に示す如く、軸運動機構1210が(旋回運動機構1234を支持する)移動部材(旋回ハウジング部材)1212を支持することで、旋回部材RPがスタイラス1206を直接的に支持する構成とされている。即ち、本体ハウジング(軸ハウジング部材)1208が軸運動機構1210を支持している。このため、変位検出器1228は、本体ハウジング1208の内側側面で支持されている。そして、移動部材1212は、軸方向Oで第2ダイヤフラム構造体1240に対して対称な円筒形状とされている。
【0154】
具体的には、図15に示す如く、移動部材1212は、2つの円筒部1212Cと2つの接合部1212Dとが一体的に形成されている。2つの円筒部1212Cの外側端部近傍にはそれぞれ、第1ダイヤフラム構造体1214、1215の中心部が固定されている。2つの接合部1212Dの内径はそれぞれ、円筒部1212Cの中空部1212Bの内径よりも大きくされている。そして、2つの接合部1212Dは、第2ダイヤフラム構造体1240を挟み込んで連結する形態とされている。即ち、本実施形態も、軸方向Oにおいて、一対の第1ダイヤフラム構造体1214、1215は第2ダイヤフラム構造体1240に対して、対称な距離に配置されている構成である。なお、移動部材1212の上端部1212Aには、変位検出器1228に対峙して基準部材1226が設けられている。
【0155】
旋回運動機構1234は、図15に示す如く、移動部材1212の径方向内側に支持されている。つまり、移動部材1212と旋回運動機構1234とで旋回モジュール1204が構成されている。なお、旋回部材RPは、上部部材1236、バランス部材1238、及びフランジ部材1242で構成されている。そして、バランス部材1238の上端部は、移動部材1212の上端部1212Aから突出し、そこに基準部材1216が設けられている。つまり、本実施形態では、旋回部材RPの反スタイラス側端部には、基準部材1216が設けられている構成である。
【0156】
本実施形態では、旋回運動機構が軸運動機構を支持する場合に比べて、旋回部材RPで支持する部材の質量を低減でき、旋回運動機構1234によるスタイラス1206のXY方向への変位を高感度に検出することができる。
【0157】
また、本実施形態では、図15に示す如く、本体ハウジング1208の開口部1208Aの開口径が、フランジ部材1242の外径よりも小さくされている。そして、フランジ部材1242の上端部1242Cと開口部1208Aの下端部1208ABとの距離は、フランジ部材1242のZ方向の上側への変位を規制して、一対の第1ダイヤフラム構造体1214、1215が弾性変形の範囲内となるようにされている。即ち、プローブ本体1202は、一対の第1ダイヤフラム構造体1214、1215の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第1制限部材となる本体ハウジング1208及びフランジ部材1242を備えているといえる。
【0158】
なお、第15実施形態では、変位検出器1228が光電式インクリメンタル型リニアエンコーダを構成していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図16(A)、(B)に示す第16実施形態の如くであってもよい。第16実施形態では、第15実施形態の変位検出器周辺の構成とは異なり、第4実施形態で示した干渉光学系IFを用いている。このため、第4、第15実施形態とは異なる構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0159】
第16実施形態では、図16(A)、(B)に示す如く、本体ハウジング1258の内側上面の中心軸O上に姿勢検出器1272が配置されている。このため、図16(B)に示す中心軸OからX方向にずれた位置に、干渉光学系IFを構成する基準部材1274、参照ミラー1275、ビームスプリッタ1277、及び光源1278と、変位検出器1276の光路を設けている。この構成により、第4実施形態と同様に、XYZ方向への測定精度の向上が可能である。なお、本実施形態では、フランジ部材1292に、スタイラス1256との位置決め用にローラではなくV溝を設けている。
【0160】
なお、第13実施形態とは異なり、例えば、図17(A)に示す第17実施形態の如くであってもよい。第17実施形態では、第13実施形態に対して主に、第12実施形態で示したカウンタバランス機構が追加されたスタイラスを用いただけなので、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0161】
第17実施形態においても、プローブ本体1302の1つに対してスタイラス1306を交換した際には、そのスタイラス1306の質量に対応したバランスウェイト1331Cが必然的に用いられることとなる。このため、スタイラス1306の質量の増減分を旋回部材(軸ハウジング部材)1336で直接受け止めることができる。即ち、スタイラス1306違いによって、移動部材1312のZ方向の初期位置の変動を防止することが可能である。つまり、本実施形態では、第13実施形態に比べて移動部材1312の可動範囲を狭くでき、直動モジュール1304の一層の小型化が可能となる。同時に、検出範囲を狭くできることから、移動部材1312の変位量をより高い分解能で検出することが可能である。
【0162】
なお、図17(B)は、本実施形態のバリエーションである第18実施形態を示す。ここでは、第12実施形態と同じく、支持部1387でバランス部材1388が位置調整可能に支持されている。第18実施形態では、第17実施形態に対して主に、第12実施形態で示したバランス部材が追加されただけなので、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。なお、変位検出器は、第13、第14実施形態のように支持される。
【0163】
なお、カウンタバランス機構は、第15実施形態で示した測定プローブ1200に適用することも可能である。例えば、図18に示す第19実施形態の如くであってもよい。第19実施形態では、第15実施形態に第17実施形態とは異なるカウンタバランス機構が追加されただけなので、第15実施形態とは異なる構成以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0164】
第19実施形態では、図18に示す如く、プローブ本体1402がスタイラス1406の質量に応じたバランスウェイト1431CDと、カウンタバランス機構1431と、備える。3つのカウンタバランス機構1431は、第12実施形態とは異なり、スタイラス1406とは分離され、本体ハウジング(軸ハウジング部材)1408に支持されると共に、スタイラス1406とバランスウェイト1431CDとの間のZ方向におけるバランスをとる構成とされている。具体的に、カウンタバランス機構1431は、支持部材1431Aと、支持軸1431Bと、連結部1431CAと、永久磁石1431CBと、連結軸1431Dを備える。支持部材1431Aは、本体ハウジング1408の下端部の周方向で120度毎に配置されている。支持軸1431Bは、支持部材1431Aに固定され、連結部1431CAを支持している。支持軸1431Bに対して連結部1431CAの中心軸O側端部には、Z方向と直交する方向に連結軸1431Dが設けられている。一方、移動部材1412の下端部には、接続部1412Eが設けてあり、接続部1412Eに連結軸1431Dの先端が連結されている。支持軸1431Bに対して連結部1431CAの反連結軸側端部には、永久磁石1431CBが配置されている。
【0165】
バランスウェイト1431CDは、図18に示す如く、円環形状であり(カウンタバランス機構1431の数に対応して分割されていてもよい)、その上面には永久磁石1431CBに吸着可能な磁性部材(磁石でもよい)1431CCが設けられている。なお、バランスウェイト1431CDの内径は、フランジ部材1442及びフランジ部1444の外径よりも大きくされている。そのため、スタイラス1406の連結後にもバランスウェイト1431CDを着脱できる。
【0166】
これにより、プローブ本体1402の1つに対してスタイラス1406を交換した際に、そのスタイラス1406の質量に対応したバランスウェイト1431CDをカウンタバランス機構1431に自在に装着させることで、スタイラス1406の質量の増減分を本体ハウジング1408で直接受け止めることができる。即ち、スタイラス1406の違いによって、移動部材1412のZ方向の初期位置の変動を防止することが可能である。つまり、本実施形態では、第15実施形態に比べて移動部材1412の可動範囲を狭くでき、プローブ本体1402の一層の小型化が可能となる。同時に、検出範囲を狭くできることから、移動部材1412の変位量をより高い分解能で検出することが可能である。
【0167】
なお、第15実施形態では、開口部1208Aの下端部1208ABとフランジ部材1242の上端部1242Cとの距離が、移動部材1212の変位を規制して、一対の第1ダイヤフラム構造体1214、1215が弾性変形の範囲内となるように定められていた。即ち、プローブ本体1202は、一対の第1ダイヤフラム構造体1214、1215の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第1制限部材となる本体ハウジング1208及びフランジ部材1242を備えているといえる。これに対して、例えば、図19(A)に示す第20実施形態の如くであってもよい。第20実施形態では、第15実施形態とは主に本体ハウジングと移動部材との関係、及び旋回部材と移動部材との関係が異なるだけなので、主に本体ハウジングと移動部材との関係、及び旋回部材と移動部材との関係以外は、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0168】
第20実施形態では、図19(A)に示す如く、旋回部材RPの連結部1486Aの上端部に対峙するように、移動部材(旋回ハウジング部材)1462の下端部にリング部1462Cが設けられている。即ち、リング部1462Cは、移動部材1462と一体とされて配置される第2壁部材といえる。そして、リング部1462C(の下端部)と連結部1486A(の上端部)との間の少なくとも一部の隙間にグリースオイルなどの第2粘性材料SVが充填されている。これにより、少なくとも第2粘性材料SVがリング部1462Cに対する旋回部材RPの変位をダンピングし、測定プローブ1450の移動に伴って生じるXY方向への振動などを低減でき、測定プローブ1450の高感度化に伴うノイズの増大を防止することが可能となる。
【0169】
また、同時に、図19(A)に示す如く、移動部材1462の外側側面に対峙するように、本体ハウジング(軸ハウジング部材)1458に内壁部1458Bが設けられている。即ち、内壁部1458Bは、本体ハウジング1458と一体とされて配置され移動部材1462に対峙して配置される第1壁部材といえる。そして、内壁部1458B(の内側側面)と移動部材1462(の外側側面)との間の少なくとも一部の隙間にグリースオイルなどの第1粘性材料FVが充填されている。これにより、少なくとも第1粘性材料FVが内壁部1458Bに対する移動部材1462の変位をダンピングし、測定プローブ1450の移動に伴って生じるZ方向への振動などを低減でき、測定プローブ1450の高感度化に伴うノイズの増大を防止することが可能となる。
【0170】
加えて、本実施形態でも、Z方向とXY方向のダンピング構造を別々に有するので、第1粘性材料FV、第2粘性材料SVとを個別に変更できる。このため、Z方向とXY方向とでダンピング特性を個別に最適化できるので、測定プローブ1450の更なる高感度化が可能である。
【0171】
なお、図19(A)に示す如く、本体ハウジング1458にはフランジ部材1492を収納し、フランジ部材1492の過度の変位を規制する凹部1458Cが設けられている。また、Z方向で、移動部材1462の接合部1462Dの近傍に内壁部1458Bが設けられている。このため、内壁部1458Bの上端部1458BAと移動部材1462の接合部1462Dの下端部1462DAとの距離、及び凹部1458Cの上端部1458CAとフランジ部材1492の上端部1492Bとの距離は、移動部材1462の変位を規制して、一対の第1ダイヤフラム構造体1464、1465が弾性変形の範囲内となるように定められている。即ち、プローブ本体1452は、一対の第1ダイヤフラム構造体1464、1465の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第1制限部材となる本体ハウジング1458、移動部材1462、及びフランジ部材1492を備えているといえる。
【0172】
また、図19(A)に示す如く、凹部1458Cの側面1458CBとフランジ部材1492の側面1492Aとの距離は、旋回部材RPの変位を規制して、第2ダイヤフラム構造体1490が弾性変形の範囲内となるように定められている。即ち、プローブ本体1452は、第2ダイヤフラム構造体1490の変形量を弾性変形の範囲内に制限する第2制限部材となる本体ハウジング1458及びフランジ部材1492を備えているといえる。
【0173】
なお、図19(B)は、本実施形態の第1粘性材料FV、第2粘性材料SVに係るバリエーションとなる第21実施形態を示す。ここでは、第13実施形態等と同じく旋回運動機構が軸ハウジング部材となる旋回部材を支持し、且つ移動部材がスタイラスを直接的に支持する構成とされている。第21実施形態では、第13実施形態等に対して主に、第1粘性材料FV、第2粘性材料SVを留めるための構成が異なるだけなので、第1粘性材料FV、第2粘性材料SVに関係する構成以外は基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。なお、変位検出器は、第13実施形態等のように支持されている。また、図19(B)に示す如く、スタイラス1506は、キネマティックジョイントを用いずに直接的に移動部材1512にフランジ部1544で固定されている。
【0174】
第21実施形態では、図19(B)に示す如く、移動部材1512の外側側面に対峙して旋回部材(軸ハウジング部材)1536の円筒部1536Cの内側側面が配置されている。即ち、旋回部材1536は、移動部材1512に対峙して配置される第1壁部材といえる。そして、円筒部1536C(の内側側面)と移動部材1512(の外側側面)との間の隙間にグリースオイルなどの第1粘性材料FVが充填されている。これにより、少なくとも第1粘性材料FVが、旋回部材1536に対する移動部材1512の変位をダンピングし、測定プローブ1500の移動に伴って生じるZ方向への振動などを低減でき、測定プローブ1500の高感度化に伴うノイズの増大を防止することが可能となる。
【0175】
また、同時に、図19(B)に示す如く、第2ダイヤフラム構造体1540を両側から覆うように粘性材料溜め1531が設けられている。粘性材料溜め1531は、対向部1531Aと拡張部1531Bとが一体となった部材を向かい合わせにして、本体ハウジング(旋回ハウジング部材)1508に固定されている。対向部1531Aは、第2ダイヤフラム構造体1540に対向する部分である。拡張部1531Bは、移動部材1512の接合部1536Dを非接触で覆う部分であり、円筒部1536Cが貫通可能な開口部1531Cを備えている。即ち、粘性材料溜め1531は、本体ハウジング1508と一体とされて配置される第2壁部材といえる。そして、粘性材料溜め1531(の内側側面)と第2ダイヤフラム構造体1540との間の隙間にグリースオイルなどの第2粘性材料SVが充填されている。これにより、少なくとも第2粘性材料SVが粘性材料溜め1531に対する第2ダイヤフラム構造体1540の変位をダンピングし、測定プローブ1500の移動に伴って生じるXY方向への振動などを低減でき、測定プローブ1500の高感度化に伴うノイズの増大を防止することが可能となる。
【0176】
加えて、本実施形態でも、Z方向とXY方向のダンピング構造を別々に有するので、第1粘性材料FV、第2粘性材料SVとを個別に変更できる。このため、Z方向とXY方向とでダンピング特性を個別に最適化できるので、測定プローブ1500の更なる高感度化が可能である。
【0177】
なお、第13実施形態から第21実施形態では、姿勢検出器がプローブ本体に内蔵されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図20に示す第22実施形態の如くであってもよい。第22実施形態は、丁度、第13、第14実施形態のプローブ本体が軸方向Oでビームスプリッタと基準部材との間で分離可能とされた形態となっている。つまり、第13、第14実施形態とは主に姿勢検出器の位置が異なり、その分離した構成における前段モジュールの構成は、第10実施形態と略同一である。このため、基本的に符号上位2桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0178】
第22実施形態では、図20に示す如く、プローブ本体1552に軸運動機構1560と旋回運動機構1584と変位検出器1576が内蔵され、且つ前段モジュール1551に姿勢検出器1572等が内蔵された形態である。このため、プローブ本体1552の変更が容易であるとともに、前段モジュール1551の変更も容易である。つまり、軸運動機構1560と旋回運動機構1584と変位検出器1576のセットと姿勢検出器1572とを別個に性能変更することや交換することが可能となり、そのコストを低減することができる。また、姿勢検出器1572をプローブ本体1552から分離できるので、プローブ本体1552の小型化と低コスト化が可能となる。なお、本実施形態では、移動部材1562が直接的にスタイラス1556を支持していたが、第20実施形態の如く旋回部材RPがスタイラスを直接的に支持している際に前段モジュールが設けられていてもよい。
【0179】
なお、第13〜第22実施形態では、基本的にスタイラスを含めた第2ダイヤフラム構造体で支持される部材の重心位置が、旋回中心RCと一致する構成とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、スタイラスを含めた第2ダイヤフラム構造体で支持される部材の重心位置を、敢えて旋回中心RCからスタイラス側におく構成としてもよい。その際には、旋回中心RCに対して反スタイラス側にくる第2ダイヤフラム構造体で支持される部材の質量・体積を最小限にすることができる。このため、測定プローブの固有振動数を高くでき、第13〜第22実施形態の測定プローブよりも高い周波数に感度を有する測定プローブ(高速応答動作可能など)を実現することが可能となる。
【0180】
なお、上記実施形態では、測定プローブは倣いプローブとして使用されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、タッチプローブとして使用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明は、被測定物の三次元形状を測定するため使用される測定プローブに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0182】
100…測定システム
110…操作部
111…ジョイスティック
120…入力手段
130…出力手段
200…三次元測定機
210…定盤
220…駆動機構
221…ビーム支持体
222…ビーム
223…コラム
224…スピンドル
230…駆動センサ
300、350、400、450、700、750〜1500、1550…測定プローブ
302、352、402、452、702、752〜1502、1552…プローブ本体
304、354、404、454、704、754、1204、1254、1404、1454…旋回モジュール
306、356、406、456、706、756〜1506、1556…スタイラス
308、358、408、458、708、758〜1508、1558…本体ハウジング
308A…段部
308AB、330AA、408AB、412CA、908AB、942CA、1063B、1080AB、1108AB、1208AB、1462DA…下端部
308B、708A、808A、858A、1008A、1058A、1308A、1358A…延在部
308BB、330B、1058AA…内側側面
310、360、410、460、710、760〜1510、1560…軸運動機構
312、362、412、462、712、762〜1512、1562…移動部材
312A、312D、319A、332B、342C、362A、408AA、412
A、412EA、462A、812A、862A、892A、908AA、912A、942EA、1063A、1080AA、1142C、1212A、1242C、1262A、1412A、1458BA、1458CA、1462A、1492B…上端部
312B、362B、412B、842B、892B、942B、992B、1042B、1092B、1212B、1412B…中空部
312C、338A、362C、462C、712C、1080A、1458C…凹部
314、315、364、365、414、415、464、465、714、715〜1564、1565…第1ダイヤフラム構造体
314A、340A…外周部
314B、340G…リム部
314C、340B…中心部
314D、340E、340F…切り抜き部
316、326、366、376、416、426、466、474、716、726、816、824、866、874、916、926、966、976、1016、1066、1074、1116、1124、1166、1174、1216、1226、1266、1274、1316、1324、1416、1426、1466、1476…基準部材
318、368、418、468、478、718、818、868、918、968、1018、1068、1118、1168、1218、1268、1278、1318、1418、1468…光源
319、369、419、719、731A、781A、819、869、919、969、1019、1069、1081A、1331A、1381A、1431A…支持部材
320、370、420、470、477、720、820、870、920、970、1020、1070、1120、1170、1220、1270、1277、1320、1420、1470…ビームスプリッタ(BS)
322、372、422、472、722、822、872、922、972、1022、1072、1122、1172、1222、1272、1322、1422、1472、1572…姿勢検出器
324、374、424、724、1224、1424、1474…スケールブラケット
328、378、428、476、728、826、876、928、978、1076、1126、1176、1228、1276、1326、1428、1478、1576…変位検出器
329…信号処理回路
330、380、430、480、730、780、830、880、930、980、1030、1080…モジュールハウジング
330A、332A、362G、382A、408A、758A、908A、932A、951BA、957A、1108A、1208A、1388A、1531C、1551BA、1557A、1558A…開口部
330C…外側側面
332、344、362D、394、412E、444、462D、494、712D、744、762D、781E、794、812E、842E、844、862E、892E、894、912E、942E、944、1042E、1062E、1092E、1094、1144、1194、1244、1294、1344、1394、1444、1494、1544、1594…フランジ部
334、384、434、484、734、784〜1534、1584…旋回運動機構
336、386、436、486、736、786、1236、1286、1436、1486…上部部材
336A、1080B…凸部
338、388、438、488、738、788、1088、1138、1188、1238、1288、1338、1388、1438、1488、1538、1588…バランス部材
338B、1458CB、1492A…側面
340、390、440、490、740、790〜1540、1590…第2ダイヤフラム構造体
340C、340D…ヒンジ部
342、392、442、492、742、792、1142、1192、1242、1292、1342、1442、1492、1592…フランジ部材
342A、362E、758B、792A、942F、951BB、1142A、1342A、1442A…ローラ
342B、362F、708B、762E、792B、942G、951BC、1080CA、1142B、1342B、1336AC、1386AC、1442B、1431CB、1551BC、1592B…永久磁石
344A、382B、781F、794A、932B、957B、1094A、1144A、1344A、1444A、1557B、1594A…球
344B、382C、731AA、780A、781AA、794B、932C、957C、1081AA、1094B、1144B、1331AA、1344B、1381AA、1431CC、1444B、1557C、1594B…磁性部材
346、396、446、496、746、796、846、896、946、1096、1112B、1146、1162B、1196、1246、1296、1312B、1346、1396、1446、1496、1546、1596…ロッド部
348、398、448、498、748、798、848、898、948、998、1098、1148、1198、1248、1298、1348、1398、1448、1498、1548、1598…接触部
382、432、482、732、932、982…モジュールカバー
412C、842C、892C、942C…肉厚部
412D、842D、892D、942D…肉薄部
475、1275…参照ミラー
500…モーションコントローラ
530…プローブ信号処理部
532…A/D回路
534…FPGA
536…カウンタ回路
550…位置演算部
600…ホストコンピュータ
731、781、1081、1331、1381、1431…カウンタバランス機構
731B、781B、1081B、1331B、1381B、1431B…支持軸
731C、781C、1081C、1331C、1381C、1431CD…バランスウェイト
731D、781D、1081D、1331D、1381D、1431D…連結軸
804、854、904、954、1004、1054、1104、1154、1304、1354、1504、1554…直動モジュール
951、1551…前段モジュール
951A、1551A…前段ハウジング
951B、1551B…下カバー
957、1557…上カバー
1008B、1136A、1462C、1536A…リング部
1030A、1458B…内壁部
1063…抑制部材
1080C、1087、1136AA、1186AA、1336AA、1336AB、1386AB、1387…支持部
1112A、1162A、1236A、1286A、1312A、1362A、1431CA、1436A、1486A…連結部
1112C、1162C、1312C…部材配置部
1136B、1412E、1536B…接続部
1136C、1212C、1412C、1462B、1536C…円筒部
1136D、1212D、1412D、1462D、1536D…接合部
1531…粘性材料溜め
1531A…対向部
1531B…拡張部
1551BB、1592A…V溝
F…周波数
FV…第1粘性材料
I…光量
IF…干渉光学系
IL…干渉縞
k…角度当たりの復元力
O…軸方向
OA…光軸
PS…位相変化
RC…旋回中心
RP、842、892、942、992、1042、1092、1136、1186、1336、1386、1536、1586…旋回部材
S…表面
SV…第2粘性材料
W…被測定物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
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図20