(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の研磨粒子が、ゼラチン、ラテックス、セルロース、ポリスチレン、及びポリアクリレートから選択される有機粒子である、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、化学機械研磨組成物を提供する。1つの実施形態では、研磨組成物は、(a)セリア粒子であり、30nm〜1μmの平均粒子サイズを有し、0.005〜2wt%の濃度で研磨組成物中に存在する、第1の研磨粒子と、(b)セリア粒子、表面が修飾されたシリカ粒子、又は有機粒子であり、1nm〜60nmの平均粒子サイズを有し、0.005〜2wt%の濃度で研磨組成物中に存在する、第2の研磨粒子と、(c)官能化ピリジン、安息香酸、アミノ酸、又はそれらの組み合わせと、(d)pH調整剤と、(e)水性キャリヤーとを含むことができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができ、その研磨組成物は多峰性の粒度分布を示し、pHが3.5〜9である。
【0012】
別の実施形態では、研磨組成物は、(a)セリア粒子であり、30nm〜1μmの平均粒子サイズを有し、0.005〜2wt%の濃度で研磨組成物中に存在する、第1の研磨粒子と、(b)セリア粒子、表面が修飾されたシリカ粒子、又は有機粒子であり、1nm〜60nmの平均粒子サイズを有し、0.005〜2wt%の濃度で研磨組成物中に存在する、第2の研磨粒子と、(c)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)のコポリマー、セルロース、カチオン性デンドリマー、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムのモノマー若しくはホモポリマー、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマー添加物と、(d)pH調整剤と、(e)水性キャリヤーとを含むことができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができ、その研磨組成物は多峰性の粒度分布を示し、pHが6〜9である。
【0013】
研磨組成物は、第1の研磨粒子を含む。第1の研磨粒子は任意の適切な研磨粒子であることができる。好ましくは、第1の研磨粒子はセリア(例えば、酸化セリア)粒子である。第1の研磨粒子は任意の適切な種類のセリア粒子、例えばヒュームドセリア粒子、焼成セリア粒子、又は湿式セリア粒子(例えば、コロイダルセリア粒子を含む沈降したセリア粒子又は縮合重合したセリア粒子)であることができる。好ましくは、第1の研磨粒子は、湿式セリア粒子又は焼成セリア粒子である。より好ましくは、第1の研磨粒子は、湿式セリア粒子である。
【0014】
第1の研磨粒子は、任意の適切な平均粒子サイズを有することができる。粒子の粒子サイズは、その粒子を取り囲む最小の球体の直径である。第1の研磨粒子の粒子サイズは任意の適切な技術、例えば、レーザー回折技術を用いて測定することができる。適切な粒子サイズの測定装置は商業的に入手可能であり、例えば、Malvern Instruments(Malvern,UK)から商業的に入手可能である。第1の研磨粒子は、30nm以上、例えば35nm以上、40nm以上、45nm以上、50nm以上、55nm以上、60nm以上、65nm以上、又は70nm以上の平均粒子サイズを有することができる。あるいはまた、又はそれに加えて、第1の研磨粒子は、1μm以下、例えば900nm以下、800nm以下、750nm以下、500nm以下、250nm以下、100nm以下、75nm以下、又は70nm以下の平均粒子サイズを有することができる。したがって、第1の研磨粒子は、前述した端点のうちいずれか2つにより規定される範囲内の平均粒子サイズを有することができる。例えば、第1の研磨粒子は、30nm〜1μm、例えば、30nm〜750nm、30nm〜500nm、30nm〜250nm、30nm〜100nm、30nm〜75nm、50nm〜500nm、50nm〜100nm、50nm〜75nm、又は50nm〜70nmの平均粒子サイズを有することができる。好ましくは、第1の研磨粒子は、50nm〜70nmの平均粒子サイズ、例えば50nmの平均粒子サイズ、55nmの平均粒子サイズ、60nmの平均粒子サイズ、65nmの平均粒子サイズ、又は70nmの平均粒子サイズを有する。
【0015】
第1の研磨粒子は、任意の適切な濃度で研磨組成物中に存在することができる。例えば、第1の研磨粒子は0.005wt%以上、例えば0.01wt%以上、0.015wt%以上、0.02wt%以上、0.025wt%以上、0.03wt%以上、0.035wt%以上、0.04wt%以上、0.05wt%以上、0.075wt%以上、0.1wt%以上、0.15wt%以上、0.2wt%以上、0.25wt%以上、0.5wt%以上、又は0.75wt%以上の濃度で研磨組成物中に存在することができる。あるいはまた、又はそれに加えて、第1の研磨粒子は、2wt%以下、例えば1.75wt%以下、1.6wt%以下、1.5wt%以下、1.4wt%以下、1.3wt%以下、1.25wt%以下、1.2wt%以下、1.15wt%以下、1wt%以下、0.75wt%以下、0.5wt%以下、0.25wt%以下、又は0.05wt%以下の濃度で研磨組成物中に存在することができる。したがって、第1の研磨粒子は、前述した端点のうちいずれか2つにより規定される範囲内の濃度で研磨組成物中に存在することができる。好ましくは、第1の研磨粒子は0.005〜2wt%、例えば0.01〜1wt%、0.01〜0.75wt%、0.01〜0.5wt%、0.01〜0.25wt%、又は0.01〜0.05wt%の濃度で研磨組成物中に存在する。例えば、第1の研磨粒子は、0.025wt%、0.05wt%、0.075wt%、0.1wt%、0.15wt%、0.2wt%、又は0.25wt%の濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0016】
研磨組成物はまた、第2の研磨粒子を含む。第2の研磨粒子は任意の適切な研磨粒子であることができる。好ましくは、第2の研磨粒子は、金属酸化物粒子又は有機粒子である。例えば、第2の研磨粒子は金属酸化物、例えば、セリア(例えば、酸化セリウム)、シリカ(例えば、二酸化ケイ素)、アルミナ(例えば、酸化アルミニウム)、ジルコニア(例えば、酸化ジルコニウム)、チタニア(例えば、二酸化チタン)、酸化ニッケル、それらの共成形体、又はそれらの組み合わせであることができる。金属酸化物粒子は、任意の適切な種類の金属酸化物粒子、例えば、ヒュームド金属酸化物粒子、焼成金属酸化物粒子、又は湿式金属酸化物粒子(例えば、コロイダル金属酸化物粒子を含む沈降した金属酸化物粒子又は縮合重合した金属酸化物粒子)であることができる。好ましくは、第2の研磨粒子が金属酸化物である場合、第2の研磨粒子は、湿式セリア粒子、焼成セリア粒子、又はコロイダルシリカ粒子である。
【0017】
第2の研磨粒子は、任意の適切な有機粒子であることができる。例えば、第2の研磨粒子は、ゼラチン、ラテックス、セルロース、ポリスチレン、又はポリアクリレートであることができる。好ましくは、第2の研磨粒子が有機粒子である場合、第2の研磨粒子はゼラチン粒子である。
【0018】
第2の研磨粒子は、表面が修飾された研磨粒子であることができる。例えば、第2の研磨粒子は表面が修飾された粒子、例えば、表面が修飾されたシリカ粒子、又は表面が修飾されたゼラチン粒子を含む表面が修飾された有機粒子であることができる。第2の研磨粒子は任意の表面電荷を有することができる。例えば、第2の研磨粒子はカチオン性の粒子であることができる。「カチオン性」とは、第2の研磨粒子が、研磨組成物のpHにおいて正の表面電荷を有することを意味する。好ましくは、第2の研磨粒子がカチオン性の粒子である場合、第2の研磨粒子はカチオン性のシリカ粒子又はカチオン性のゼラチン粒子である。
【0019】
第2の研磨粒子は、任意の適切な平均粒子サイズを有することができる。粒子の粒子サイズは、その粒子を取り囲む最小の球体の直径である。第2の研磨粒子の粒子サイズは任意の適切な技術、例えば、レーザー回折技術を用いて測定することができる。適切な粒子サイズの測定装置は商業的に入手可能であり、例えば、Malvern Instruments(Malvern,UK)から商業的に入手可能である。第2の研磨粒子は、1nm以上、例えば2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上、10nm以上、15nm以上、20nm以上、25nm以上、又は30nm以上の平均粒子サイズを有することができる。あるいはまた、又はそれに加えて、第2の研磨粒子は、60nm以下、例えば55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、又は5nm以下の平均粒子サイズを有することができる。したがって、第2の研磨粒子は、前述した端点のうちいずれか2つにより規定される範囲内の平均粒子サイズを有することができる。例えば、第2の研磨粒子は、1nm〜60nm、例えば、1nm〜50nm、1nm〜40nm、1nm〜30nm、1nm〜25nm、1nm〜20nm、1nm〜10nm、1nm〜5nm、5nm〜40nm、5nm〜30nm、5nm〜20nm、又は5nm〜10nmの平均粒子サイズを有することができる。好ましくは、第2の研磨粒子は、10nm〜40nmの平均粒子サイズ、例えば10nmの平均粒子サイズ、15nmの平均粒子サイズ、20nmの平均粒子サイズ、25nmの平均粒子サイズ、30nmの平均粒子サイズ、又は35nmの平均粒子サイズを有する。あるいはまた、第2の研磨粒子は60nmの平均粒子サイズを有することができる。
【0020】
第2の研磨粒子は、任意の適切な濃度で研磨組成物中に存在することができる。例えば、第2の研磨粒子は0.005wt%以上、例えば0.01wt%以上、0.015wt%以上、0.02wt%以上、0.025wt%以上、0.03wt%以上、0.035wt%以上、0.04wt%以上、0.05wt%以上、0.075wt%以上、0.1wt%以上、0.15wt%以上、0.2wt%以上、0.25wt%以上、0.5wt%以上、又は0.75wt%以上の濃度で研磨組成物中に存在することができる。あるいはまた、又はそれに加えて、第2の研磨粒子は2wt%以下、例えば1.75wt%以下、1.6wt%以下、1.5wt%以下、1.4wt%以下、1.3wt%以下、1.25wt%以下、1.2wt%以下、1.15wt%以下、1wt%以下、0.75wt%以下、0.5wt%以下、0.25wt%以下、又は0.05wt%以下の濃度で研磨組成物中に存在することができる。したがって、第2の研磨粒子は、前述した端点のうちいずれか2つにより規定される範囲内の濃度で研磨組成物中に存在することができる。好ましくは、第2の研磨粒子は0.005〜2wt%、例えば0.01〜1wt%、0.01〜0.75wt%、0.01〜0.5wt%、0.01〜0.25wt%、又は0.01〜0.05wt%の濃度で研磨組成物中に存在する。例えば、第2の研磨粒子は、0.025wt%、0.05wt%、0.075wt%、0.1wt%、0.15wt%、0.2wt%、又は0.25wt%の濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0021】
研磨組成物は、任意選択で、追加の研磨粒子(例えば、第3の研磨粒子、第4の研磨粒子、第5の研磨粒子など)を含有してもよい。追加の研磨粒子は、任意の適切な研磨粒子であることができる。例えば、追加の研磨粒子は、セリア(例えば、酸化セリウム)、ジルコニア(例えば、酸化ジルコニウム)、シリカ(例えば、二酸化ケイ素)、アルミナ(例えば、酸化アルミニウム)、チタニア(例えば、二酸化チタン)、ゲルマニア(例えば、二酸化ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム)、マグネシア(例えば、酸化マグネシウム)、酸化ニッケル、それらの共成形体、又はそれらの組み合わせの金属酸化物研磨粒子であることができる。あるいはまた、追加の研磨粒子は、ゼラチン、ラテックス、セルロース、ポリスチレン、又はポリアクリレートの有機粒子であることができる。
【0022】
追加の研磨粒子は、任意の適切な粒子サイズを有することができる。粒子の粒子サイズは、その粒子を取り囲む最小の球体の直径である。追加の研磨粒子の粒子サイズは任意の適切な技術、例えば、レーザー回折技術を用いて測定することができる。適切な粒子サイズの測定装置は商業的に入手可能であり、例えば、Malvern Instruments(Malvern,UK)から商業的に入手可能である。例えば、追加の研磨粒子は、1nm〜1μm、例えば、1nm〜500nm、1nm〜300nm、1nm〜150nm、1nm〜100nm、1nm〜50nm、1nm〜30nm、30nm〜1μm、30nm〜500nm、30nm〜250nm、30nm〜100nm、50nm〜100nm、50nm〜250nm、又は50nm〜500nmの平均粒子サイズを有することができる。
【0023】
追加の研磨粒子は、任意の適切な濃度で研磨組成物中に存在することができる。例えば、追加の研磨粒子(すなわち、第3の研磨粒子、第4の研磨粒子、第5の研磨粒子など全体)が、0.005〜2wt%、例えば0.01〜1wt%、0.01〜0.5wt%、0.01〜0.25wt%、又は0.01〜0.05wt%の濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0024】
望ましくは、研磨組成物は低含有量の研磨粒子(すなわち、低固形分)を含有する。低固形分により、研磨されるべき基材の有用な除去速度が望ましくは可能となり、高い(例えば、5wt%の固形分より多い)研磨レベルで測定される基材の他の成分の欠陥と過剰な除去速度を最小化することが可能となる。したがって、研磨組成物は、望ましくは、0.01〜5wt%、例えば、0.05〜4wt%、0.075〜3wt%、又は0.1〜2wt%の結合(全体)濃度で、第1の研磨粒子、第2の研磨粒子、及び任意の追加の研磨粒子を含む。好ましくは、研磨組成物は、第1の研磨粒子及び第2の研磨粒子を含み、追加の粒子を含まない。
【0025】
第1の研磨粒子及び第2の研磨粒子は、任意の適切な比で研磨組成物中に存在することができる。第1の研磨粒子と第2の研磨粒子の比は、質量(濃度)基準で決定される。特に、その比は、研磨組成物中に存在する第2の研磨粒子の質量比と比較した研磨組成物中に存在する第1の研磨粒子の質量比を示す。研磨組成物中に存在する第1の研磨粒子の濃度と、研磨組成物中に存在する第2の研磨粒子の濃度の比は、1:10以上、例えば、1:5以上、1:3以上、1:2以上、又は1:1以上であることができる。あるいはまた、又はそれに加えて、研磨組成物中に存在する第1の研磨粒子の濃度と、研磨組成物中に存在する第2の研磨粒子の濃度の比は、30:1以下、例えば、20:1以下、15:1以下、10:1以下、5:1以下、2:1以下、1.5:1以下、1:1以下、又は1:5以下であることができる。したがって、研磨組成物中に存在する第1の研磨粒子の濃度と、研磨組成物中に存在する第2の研磨粒子の濃度の比は、前述した端点のうちいずれか2つにより規定される範囲内であることができる。例えば、研磨組成物中に存在する第1の研磨粒子の濃度と、研磨組成物に存在する第2の研磨粒子の濃度の比は、1:10〜1:1、1:10〜1:5、1:10〜1:3、1:5〜1:1、1:3〜1:1、1:5〜1:3、1:1〜30:1、1:1〜20:1、1:1〜15:1、1:1〜10:1、1:1〜5:1、1:1〜2:1、又は1:1〜1.5:1であることができる。
【0026】
第2の研磨粒子がセリカ粒子であり、かつ、第2の研磨粒子が20nm〜40nmの粒子サイズを有する場合、研磨組成物中に存在する第1の研磨粒子の濃度と、研磨組成物中に存在する第2の研磨粒子の濃度の比は、好ましくは1:1〜5:1、より好ましくは1:1〜1.5:1である。
【0027】
第2の研磨粒子がセリカ粒子であり、かつ、第2の研磨粒子が1nm〜15nmの粒子サイズを有する場合、研磨組成物中に存在する第1の研磨粒子の濃度と、研磨組成物中に存在する第2の研磨粒子の濃度の比は、好ましくは1:1〜10:1、より好ましくは3:1〜6:1、最も好ましくは5:1である。
【0028】
第2の研磨粒子がシリカ粒子(例えば、表面が修飾されたシリカ粒子又はカチオン性のシリカ粒子)である場合、研磨組成物中に存在する第1の研磨粒子の濃度と、研磨組成物中に存在する第2の研磨粒子の濃度の比は、好ましくは1:1〜15:1、より好ましくは10:1である。
【0029】
第2の研磨粒子が有機粒子(例えば、ゼラチン、ラテックス、セルロース、ポリスチレン、又はポリアクリレート粒子)である場合、研磨組成物中に存在する第1の研磨粒子の濃度と、研磨組成物中に存在する第2の研磨粒子の濃度の比が、好ましくは1:1〜30:1、より好ましくは20:1である。
【0030】
第1の研磨粒子、第2の研磨粒子、及び任意の追加の研磨粒子は、望ましくは研磨組成物中に、より具体的には研磨組成物の水性キャリヤー中に懸濁される。第1、第2、及び追加の研磨粒子が研磨組成物中に懸濁される場合、第1、第2、及び追加の研磨粒子は好ましくはコロイド状で安定である。コロイドという用語は、水性キャリヤー中における研磨粒子の懸濁を言うものである。コロイド安定性とは、時間を通しての懸濁の維持を言うものである。本発明の範囲内で、研磨粒子を100mlのメスシリンダーの中に入れて、2時間撹拌しないまま放置したときに、メスシリンダーの下部50mlの粒子濃度([B]、単位はg/ml)とメスシリンダーの上部50mlの粒子濃度([T]、単位はg/ml)の差を、研磨組成物中の粒子の初期濃度([C]、単位はg/ml)で除した値が0.5以下(すなわち、{[B]−[T]}/[C]≦0.5)である場合、研磨粒子はコロイド状で安定であるとみなされる。[B]−[T]/[C]の値は、望ましくは0.3以下であり、好ましくは0.1以下である。
【0031】
研磨組成物は、多峰性の粒度分布を示す。本明細書で用いられる場合には「多峰性」という用語は、研磨組成物が少なくとも2つの極大値(例えば、2以上の極大値、3以上の極大値、4以上の極大値、又は5以上の極大値)を有する平均粒度分布を示すことを意味する。好ましくは、研磨組成物は二峰性の粒度分布、すなわち、研磨組成物が2つの平均粒子サイズの極大値を有する粒度分布を示す。「1つの極大値」及び「複数の極大値」という用語は、粒度分布における1つのピーク又は複数のピークを意味する。その1つのピーク又は複数のピークは、本明細書に記載された第1、第2、及び任意の追加の研磨粒子の平均粒子サイズに対応する。したがって、例えば、研磨組成物が第1の研磨粒子と第2の研磨粒子を含み、追加の研磨粒子を含まない場合、粒子サイズに対する粒子数のプロットは、30nm〜1μmの粒子サイズ範囲の第1ピークと1〜60nmの粒子サイズ範囲の第2ピークを持つ、二峰性の粒度分布を反映する。
【0032】
研磨組成物は任意の適切なpHを有することができる。典型的には、研磨組成物は3以上のpHを有する。また、研磨組成物のpHは典型的に9以下である。例えば、そのpHは3.5〜9、例えばpH3.5、pH4、pH4.5、pH5、pH5.5、pH6、pH7、pH8、pH9、又はこれらのpH値の任意の2つにより画定される範囲内のpHであることができる。あるいはまた、そのpHは6〜9、例えばpH6.5、pH7、pH7.5、pH8、pH8.5、pH9、又はこれらのpH値の任意の2つにより画定される範囲内のpHであることができる。
【0033】
研磨組成物のpHは、任意の適切な手段により達成され及び/又は維持することができる。より具体的には、研磨組成物は、pH調整剤、pH緩衝剤、又はそれらの組み合わせをさらに含むことができる。望ましくは、研磨組成物はpH調整剤を含む。pH調整剤は、任意の適切なpH調整剤であることができる。例えば、pH調整剤は、アルキルアミン、アルコールアミン、第四級水酸化アミン、アンモニア、又はそれらの組み合わせであることができる。例えば、pH調整剤は、トリエタノールアミン、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH若しくはTMA−OH)、又はテトラエチル水酸化アンモニウム(TEAH若しくはTEA−OH)であることができる。好ましくは、pH調整剤は、トリエタノールアミンである。
【0034】
pH調整剤は、任意の適切な濃度で研磨組成物中に存在することができる。望ましくは、pH調整剤は、本明細書に述べられるpH範囲内、例えば、3〜9、3.5〜9、又は6〜9の範囲で、研磨組成物のpHを達成し及び/又は維持するために十分な濃度で研磨組成物中に存在する。例えば、pH調整剤は10〜300ppm、例えば、50〜200ppm、又は100〜150ppmの濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0035】
pH緩衝剤は、任意の適切な緩衝剤であることができる。例えば、pH緩衝剤は、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム塩などであることができる。研磨組成物は任意の適切な濃度のpH緩衝剤を含むことができ、ただし、その適切な濃度は本明細書に述べられるpH範囲内、例えば、3〜9、3.5〜9、又は6〜9範囲で、研磨組成物のpHを達成又は/及び維持するために使用される。
【0036】
研磨組成物は、水性キャリヤーを含む。水性キャリヤーは、水(例えば、非イオン水)を含有し、1つ又は複数の水溶性の有機溶剤を含有してもよい。使用することができる有機溶剤の例は、アルコール、例えばプロペニルアルコール、イソプロピルアルコール、エタノール、1−プロパノール、メタノール、1−ヘキサノールなど、アルデヒド、例えばアセチルアルデヒドなど、ケトン、例えばアセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトンなど、エステル、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、乳酸エチルなど、スルフォキシドを含むエーテル、例えばジメチルスルフォキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリムなど、アミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドンなど、多価アルコールとその同じ誘導体、例えばエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなど、及び窒素を含有する有機混合物、例えばアセトニトリル、アミルアミン、イソプロピルアミン、イミダゾール、ジメチルアミンなどを含む。好ましくは、水性キャリヤーは水のみ、すなわち有機溶媒の存在しない水である。
【0037】
研磨組成物は、(a)官能性ピリジン、安息香酸、アミノ酸、若しくはそれらの組み合わせ、及び/又は(b)ポリマー添加物を、さらに含む。
【0038】
官能性ピリジン、安息香酸、又はアミノ酸は、任意の適切な官能性ピリジン、安息香酸、又はアミノ酸であることができる。例えば、研磨組成物は官能性ピリジン、例えばピコリン酸、若しくはピコリルアミン、安息香酸、例えば4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、若しくは4−アミノサリチル酸、アミノ酸、例えば、プロリン、グルタミン酸、若しくはアスパラギン酸、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。好ましくは、官能性ピリジン、安息香酸、又はアミノ酸はピコリン酸である。
【0039】
官能性ピリジン、安息香酸、アミノ酸、又はそれらの組み合わせは、任意の適切な濃度で研磨組成物中に存在することができる。例えば、官能性ピリジン、安息香酸、アミノ酸、又はそれらの組み合わせは2000ppm以下、例えば1750ppm以下、1500ppm以下、1250ppm以下、1000ppm以下、750ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、又は300ppm以下の濃度で研磨組成物中に存在することができる。あるいはまた、又はそれに加えて、官能性ピリジン、安息香酸、アミノ酸、又はそれらの組み合わせは、50ppm以上、例えば60ppm以上、70ppm以上、75ppm以上、85ppm以上、100ppm以上、115ppm以上、125ppm以上、150ppm以上、175ppm以上、200ppm以上、225ppm以上、又は250ppm以上の濃度で研磨組成物中に存在することができる。したがって、官能性ピリジン、安息香酸、アミノ酸、又はそれらの組み合わせは、前述した端点のうちいずれか2つにより規定される範囲内の濃度で研磨組成物中に存在することができる。好ましくは、官能性ピリジン、安息香酸、アミノ酸、又はそれらの組み合わせは、50〜2000ppm、例えば50〜1500ppm、100〜1000ppm、100〜750ppm、100〜500ppm、250〜500ppm、又は250〜750ppmの濃度で研磨組成物中に存在する。
【0040】
ポリマー添加物は、任意の適切なポリマー添加物であることができる。例えば、ポリマー添加物は、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば官能化PEG若しくは疎水的に修飾されたPEG、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)のコポリマー、セルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース若しくはヒドロキシエチルセルロース、カチオン性デンドリマー、メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムのモノマー若しくはホモポリマー、又はそれらの組み合わせであることができる。望ましくは、ポリマー添加物は、PEG8000又はメタクロイルオキシエチルトリメチル塩化アンモニウム(例えば、ポリMADQUAT)のホモポリマーである。
【0041】
研磨組成物は、任意の適切な濃度の1つ又は複数のポリマー添加物を含むことができる。好ましくは、研磨組成物は、約5〜2000ppmの1つ又は複数のポリマー添加物を含む。例えば、1つ又は複数のポリマー添加物は10〜2000ppm、例えば15〜1750ppm、20〜1500ppm、又は20〜1000ppmの濃度で研磨組成物中に存在することができる。
【0042】
研磨組成物は、任意選択で、1つ又は複数の腐食抑制剤(すなわち、皮膜形成材)をさらに含む。腐食抑制剤は、基材の任意の1つ又は複数の成分に対する任意の適切な腐食抑制剤であることができる。本発明の目的のために、腐食抑制剤は、研磨されるべき基材の少なくとも一部の不活性化層(すなわち、溶解抑制層)の形成を容易にする任意の組成物又は組成物の混合物である。適切な腐食抑制剤は、限定されないが、リジン並びに、ベンゾトリアゾール(BTA)、メチルベンゾトリアゾール(m−BTA)、及び1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなアゾール混合物を含む。好ましくは、腐食抑制剤が研磨組成物中に含まれる場合は、腐食抑制剤はBTA又はリジンである。
【0043】
研磨組成物は、任意の適切な濃度の1つ又は複数の腐食抑制剤を含むことができる。一般的に、研磨組成物は0.005〜1wt%(例えば、0.01〜0.5wt%又は0.02〜0.2wt%)の1つ又は複数の腐食抑制剤を含む。
【0044】
研磨組成物は、任意選択で、1つ又は複数の他の添加物をさらに含む。研磨組成物は、粘度増強剤及び凝固剤(例えば、ウレタンポリマーのような重合体レオロジー調整剤)を含む界面活性剤及び/又はレオロジー調整剤、分散剤、殺生物剤(例えば、KATHON(商標)LX)などを含むことができる。適切な界面活性剤は、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アニオン性高分子電解質、非イオン性の界面活性剤、両性の界面活性剤、フッ素化界面活性剤、それらの混合物などを含む。
【0045】
研磨組成物は、任意の適切な技術により調製することができ、その多くが当業者に知られている。研磨組成物は、バッチ法か又は連続法で調製することができる。一般的に、研磨組成物は、任意の順序でこれらの成分を混合することで調製することができる。本明細書で用いられる「成分」という用語は、個々の成分(例えば、第1の粒子、第2の粒子、官能化ピリジン、安息香酸又はアミノ酸、ポリマー添加物、pH調整剤など)、並びに任意の組み合わせの成分(例えば、第1の粒子、第2の粒子、官能性ピリジン、安息香酸又はアミノ酸、ポリマー添加物、pH調整剤など)を含む。
【0046】
例えば、官能化ピリジン、安息香酸、アミノ酸、又はそれらの組み合わせを、要求された濃度で水に加えることができる。次いで、pHを(必要に応じて)3.5〜9となるように調整し、第1及び第2の研磨粒子をその混合物に要求された濃度で加え、研磨組成物を生成することができる。あるいはまた、ポリマー添加物を要求された濃度で水に加え、次いで、pHを(必要に応じて)6〜9となるように調整し、そして第1及び第2の研磨粒子をその混合物に要求された濃度で加えて、研磨組成物を生成することができる。研磨組成物は、使用する直前(例えば、使用前1分以内、使用前1時間以内、又は使用前7日以内)に研磨組成物に添加された1つ又は複数の成分と共に、使用前に調製することができる。研磨組成物はまた、研磨操作の際に基材の表面で成分を混合することで製造することができる。
【0047】
研磨組成物はまた、使用前に適切な量の水性キャリヤー、特に水で薄めることを意図した濃縮物として供給することができる。そのような実施形態において、研磨組成物の濃縮物は、適切な量の水でその濃縮物を希釈した際に研磨組成物の各成分が上記の各成分の適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在するような量で、第1及び第2の研磨粒子、官能化ピリジン、安息香酸、アミノ酸、又はその組み合わせ、pH調整剤並びに水を含むことができる。あるいはまた、研磨組成物の濃縮物は、適切な量の水でその濃縮物を希釈した際に研磨組成物の各成分が上記の各成分の適切な範囲内の量で研磨組成物中に存在するような量で、第1及び第2の研磨粒子、ポリマー添加物、pH調整剤並びに水を含むことができる。さらに、当業者によって理解されるように、他の成分を少なくとも部分的に又は完全に濃縮物に溶解することを確実にするために、濃縮物が最終的な研磨組成物中に存在する適切な少量の水を含有することができる。
【0048】
研磨組成物は、使用の十分前又は使用の直前でさえ調製することができるが、研磨組成物は使用場所で又はその近くで研磨組成物の成分を混合することにより製造することもできる。本明細書で用いられる場合には、「使用場所」という用語は、研磨組成物が基材表面(例えば、研磨パッド又は基材表面自体)に適用される場所を指す。研磨組成物が使用場所での混合を用いて製造される場合、その研磨組成物の成分は2以上の貯蔵デバイス中に別々に貯蔵される。
【0049】
使用場所で又はその近くで貯蔵デバイス中に含まれる成分を混合して研磨組成物を製造するために、その貯蔵デバイスは、典型的には、各貯蔵デバイスから研磨組成物の使用場所(例えば、定盤、研磨パッド、又は基材表面)まで導く1本又は複数本の流路を備えている。「流路」という用語は、個々の貯蔵容器からそこに貯蔵されている成分の使用場所までの流れの経路を意味する。1本又は複数本の流路はそれぞれ、使用場所に直接通じていてもよいし又は、2本以上の流路が使用される状況では、流路の2本以上を任意の場所で結合して使用場所へ通じる1本の流路にすることもできる。さらに、1つ又は複数の成分が使用場所に到達する前に、1本又は複数本の流路のいずれか(例えば、個々の流路又は結合された流路)を、まず1つ又は複数の他のデバイス(例えばポンピングデバイス、測定デバイス、混合デバイスなど)に導くことができる。
【0050】
研磨組成物の成分は、独立して使用場所に供給することができるか(例えば、成分を基材の表面に供給し、そこで成分が研磨プロセスの際に混合されるか)、又は成分は使用場所に供給する直前に組み合わせることができる。もし、成分が使用場所に到達する前10秒以内、好ましくは使用場所に到達する前5秒以内、より好ましくは使用場所に到達する前1秒以内、又は使用場所への成分の供給と同時に組み合わせられる(例えば、成分がディスペンサーで組み合わせられる)場合、成分は「使用場所への供給の直前」に組み合わせられる。もし、成分が使用場所の5m以内、例えば、使用場所の1m以内又は使用場所の10cm以内(例えば、使用場所の1cm以内)で組み合わせられる場合、成分は「使用場所への供給の直前」に組み合わせられる。
【0051】
研磨組成物の2以上の成分が使用場所に到達する前に組み合わせられる場合、成分は流路内で組み合わせることもできるし、混合デバイスを使用せずに使用場所に供給することもできる。あるいはまた、2以上の成分の組み合わせを容易にするために、1本又は複数本の流路を混合デバイスまで導くことができる。任意の適切な混合デバイスを使用することができる。例えば、混合デバイスは、2つ以上の成分が流れるノズル又はジェット(例えば、高圧ノズル又はジェット)であることができる。あるいはまた、混合デバイスは、研磨組成物の2つ以上の成分をミキサーに導入する1つ又は複数の入口と、混合された成分がミキサーを出て、直接又は装置の他の要素を介して(例えば、1本又は複数本の流路を介して)使用場所に供給される少なくとも1つの出口とを備えた、容器型混合デバイスであることができる。さらに、混合デバイスは、2つ以上のチャンバーを備えることができ、各チャンバーは少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有し、2以上の成分が各チャンバーで組み合わせられる。容器型混合デバイスが使用される場合、混合デバイスは、好ましくは、成分の組み合わせをさらに容易にする混合機構を備える。混合機構は当技術分野で一般的に知られており、スターラー、ブレンダー、撹拌機、パドルバッフル、ガススパージャシステム、振動器などを含む。
【0052】
本発明はまた、本明細書に記載される研磨組成物を用いた基材の研磨方法を提供する。基材の研磨方法は、(i)基材を提供する工程、(ii)研磨パッドを提供する工程、(iii)先述した化学機械研磨組成物を提供する工程、(iv)基材を研磨パッド及び化学機械研磨組成物に接触させる工程、並びに(v)基材に対して、研磨パッド及び化学機械研磨組成物を動かし、基材の少なくとも一部をすり減らして、基材を研磨する工程を含む。
【0053】
特に、本発明は、(i)基材を提供する工程、(ii)研磨パッドを提供する工程、(iii)化学機械研磨組成物であって、(a)セリア粒子であり、30nm〜1μmの平均粒子サイズを有し、0.005〜2wt%の濃度で研磨組成物中に存在する、第1の研磨粒子と、(b)セリア粒子、表面が修飾されたシリカ粒子、又は有機粒子であり、1nm〜60nmの平均粒子サイズを有し、0.005〜2wt%の濃度で研磨組成物中に存在する、第2の研磨粒子と、(c)官能化ピリジン、安息香酸、アミノ酸、又はそれらの組み合わせと、(d)pH調整剤と、(e)水性キャリヤーとを含むことができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができ、かつ、多峰性の粒度分布を示し、pHが3.5〜9である化学機械研磨組成物を提供する工程、(iv)基材を研磨パッド及び化学機械研磨組成物に接触させる工程、並びに(v)基材に対して、研磨パッド及び化学機械研磨組成物を動かし、基材の少なくとも一部をすり減らして、基材を研磨する工程を含む基材の化学機械研磨の方法をさらに提供する。
【0054】
本発明はまた、(i)基材を提供する工程、(ii)研磨パッドを提供する工程、(iii)化学機械研磨組成物であって、(a)セリア粒子であり、30nm〜1μmの平均粒子サイズを有し、0.005〜2wt%の濃度で研磨組成物中に存在する、第1の研磨粒子と、(b)セリア粒子、表面が修飾されたシリカ粒子、又は有機粒子であり、1nm〜60nmの平均粒子サイズを有し、0.005〜2wt%の濃度で研磨組成物中に存在する、第2の研磨粒子と、(c)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)のコポリマー、セルロース、カチオン性デンドリマー、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムのモノマー若しくはホモポリマー、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマー添加物と、(d)pH調整剤と、(e)水性キャリヤーとを含むことができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができ、かつ、多峰性の粒度分布を示し、pHが6〜9である化学機械研磨組成物を提供する工程、(iv)基材を研磨パッド及び化学機械研磨組成物に接触させる工程、並びに(v)基材に対して、研磨パッド及び化学機械研磨組成物を動かし、基材の少なくとも一部をすり減らして、基材を研磨する工程を含む基材の化学機械研磨の方法を提供する。
【0055】
本発明の研磨組成物は、任意の適切な基材の研磨に対して有用である。研磨組成物は酸化ケイ素の層を含む基材の研磨に特に有用である。適切な基材は、限定されないが、フラットパネルディスプレイ、集積回路、メモリー又はリジットディスク、金属、半導体、層間誘電体(ILD)デバイス、微小電気機械システム(MEMS)、強誘電体、及び磁気ヘッドを含む。基材は、少なくとも1つの他の層、例えば絶縁層をさらに含むことができる。絶縁層は、金属酸化物、多孔性金属酸化物、ガラス、有機ポリマー、フッ素化有機ポリマー、又は任意の他の適切な高k又は低k絶縁層であることができる。絶縁層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又はそれらの組み合わせを含むことができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができる。酸化ケイ素の層は、任意の適切な酸化ケイ素を含むことができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができ、その多くは当技術分野で公知である。例えば、酸化ケイ素の層は、テトラエトキシシラン(TEOS)、高密度プラズマ(HDP)酸化物、ボロフォスフォシリケートガラス(BPSG)、高アスペクト比プロセス(HARP)酸化物、スピンオン誘電体(SOD)酸化物、化学気相成長(CVD)酸化物、プラズマテトラエトキシシラン(PETEOS)、熱酸化物、又は不純物を含まないシリコン酸化物を含むことができる。基材は金属層をさらに含むことができる。金属層は、その多くは当技術分野で公知である任意の適切な金属、例えば銅、タンタル、タングステン、チタン、プラチナ、ルテニウム、イリジウム、アルミニウム、ニッケル、又はそれらの組み合わせを含むことができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができる。
【0056】
本発明によれば、任意の適切な技術により本明細書に記載された研磨組成物で基材を平坦化又は研磨することができる。本発明の研磨方法は化学機械研磨(CMP)装置と共に使用することに特に適している。典型的には、CMP装置は、使用中、動いていてかつ軌道運動、直線運動又は円運動から生ずる速度を有する定盤と、この定盤と接触し定盤が動くとそれと共に動く研磨パッドと、研磨パッドの表面に対して接触し動くことにより研磨されるべき基材に保持されるキャリヤーとを含む。基材の研磨は、基材を本発明の研磨組成物及び典型的に研磨パッドと接触させて配置し、次いで基材、例えば酸化ケイ素又は本明細書に記載される1つ若しくは複数の基材材料の表面の少なくとも一部を研磨組成物及び典型的に研磨パッドですり減らして、基材を研磨することによって行われる。本発明によれば、任意の適切な研磨条件を、基材を研磨するために使用することができる。好ましくは、下向きの力、すなわち基材が研磨組成物と共に研磨パッドに接触する力は6.89kPa(1psi)〜41.37kPa(6psi)であることができ、定盤速度は15〜120rmpであることができ、ヘッド速度は10〜115rpmであることができ、及び研磨組成物の流量は100〜400mL/分であることができる。
【0057】
基材を、任意の適切な研磨パッド(例えば、研磨表面)と共に化学機械研磨組成物で平坦化又は研磨することができる。適切な研磨パッドは、例えば、織物状か又は不織布の研磨パッドを含む。さらに、適切な研磨パッドは、様々な密度、硬度、厚み、圧縮性、圧縮に対する跳ね返り能力、及び圧縮弾性率を持つ、任意の適切なポリマーを含むことができる。適切なポリマーは、例えば、塩化ポリビニル、フッ化ポリビニル、ナイロン、フッ化炭素、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの共成形体、及びそれらの混合物を含む。
【0058】
望ましくは、CMP装置は、現場研磨終点検出システムさらに含み、その多くは当技術分野で公知である。ワークピースの表面から反射する光又は他の放射線の分析により研磨プロセスを点検及び監視する技術が当技術分野で公知である。そのような方法は、例えば、米国特許第5196353号明細書、同第5433651号明細書、同第5609511号明細書、同第5643046号明細書、同第5658183号明細書、同第5730642号明細書、同第5838447号明細書、同第5872633号明細書、同第5893796号明細書、同第5949927号明細書、及び銅第5964643号明細書に記載されている。望ましくは、研磨されるべきワークピースに対して研磨プロセスの進行を点検又は監視することは、研磨終点の決定、すなわち特定のワークピースに対して研磨プロセスを終了する時期の決定を可能にする。
【0059】
以下の実施例によって本発明をさらに説明するが、当然ながら、これらの実施例は何ら本発明の範囲を限定するものとして解されるべきではない。
【実施例】
【0060】
[実施例1]
本実施例は、酸化ケイ素の除去速度、平坦化効率、ウエハ面内均一性(WIWNU)、及び段差減少に対する、第1の及び第2の研磨粒子を有し並びに多峰性の粒度分布を有する研磨組成物の有効性を実証するものである。
【0061】
従来のCMP装置を用いて、テトラエトキシシラン(TEOS)及び高密度プラズマ(HDP)酸化物のブランケットウエハを、6つの研磨組成物(すなわち、研磨組成物1A〜1F)で研磨した。研磨組成物1A〜1Dのそれぞれは、表1に示された量で、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア(すなわち、第1の研磨粒子)及び30nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア(すなわち、第2の研磨粒子)を含有していた。研磨組成物1A〜1Dはまた、500ppmのピコリン酸及び水を含有し、トリエタノールアミンを用いてpH4に調整した。研磨組成物1Eは、12.5wt%のヒュームドシリカ及び水を含有し、水酸化カリウム(KOH)を用いてpH10〜11に調整した。研磨組成物1Fは、60nmの平均粒子サイズを有する0.28wt%の湿式セリア、216ppmのピコリン酸、1000ppmのポリエチレングリコール(PEG8000)及び水を含有し、テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)を用いてpH4に調整した。
【0062】
テトラエトキシシラン(TEOS)パターンウエハもまた、研磨組成物1A〜1Fで45秒間研磨した。TEOSパターンウエハは、50%の密度で500μmの特徴サイズを有していた。
【0063】
基材を、同じ研磨条件の下で、研磨組成物1A〜1Fで研磨した。特に、基材をMirra(商標)研磨機(Applied Materials)でIC1010(商標)パッド(Dow Chemical)で研磨した。研磨パラメータは以下のとおりであり、すなわち下向きの力が20.68kPa(3psi)、定盤速度が100rmp、ヘッド速度が85rmp、研磨組成物の流量が150mL/分であった。研磨に続いて、ブランケット酸化ケイ素、具体的にはTEOS及びHDPの除去速度をÅ/分により決定し、TEOSの残段差をÅにより決定した。その結果を表1にまとめる。表1に示される除去速度及び残段差は、研磨組成物1Eの除去速度及び段差により規格化されている。
【0064】
ウエハ面内均一性(WIWNU)もまた、研磨の均一性の尺度として化学機械研磨組成物について決定した。WIWNUは、除去速度の標準偏差を基材についての平均の除去速度で除して、100を掛けることにより算出した割合である。その結果を表1にまとめる。
【0065】
【表1】
【0066】
これらの結果は、第1の研磨粒子(すなわち、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア粒子)及び第2の研磨粒子(すなわち、30nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア粒子)を含み、かつ、多峰性の粒度分布(すなわち、60nmと30nmに極大値を有する二峰性の粒度分布)を有する研磨組成物が、酸化ケイ素の層(すなわち、TEOS及びHDP)を含む基材を研磨するのに特に効果的であることを実証するものである。特に、研磨組成物1A及び1Cは、より多くの量の研磨粒子を含有するが第2の研磨粒子を含有せず、多峰性の粒度分布を示していない研磨組成物1E及び1Fにより示されたTEOS及びHDPの除去速度よりも、高いTEOS及びHDPに関するブランケット除去速度を示した。研磨組成物1A〜1Dのそれぞれが研磨組成物1Fに比べ、TEOSにおける減少したWIWNUも示し、かつ、研磨組成物1A〜1Cが研磨組成物1Fに比べ、HDPにおける減少したWIWNUを示した。研磨組成物1A及び1Cもまた、研磨組成物1Eに比べ、TEOSにおける減少したWIWNUを示した。加えて、研磨組成物1A〜1Cが、研磨組成物1E及び1Fに比べ低い固体濃度(すなわち、より低い研磨粒子の全体濃度)を有するにも関わらず、研磨組成物1A〜1Cは、研磨中、より多くのTEOSの段差を望ましく除去した。(すなわち、研磨組成物1A〜1Cは研磨後に残っている、TEOSの段差が少なかった。)
【0067】
[実施例2]
本実施例は、酸化ケイ素の除去速度、平坦化効率、ウエハ面内均一性(WIWNU)、及び段差減少に対する、第1の及び第2の研磨粒子を有し並びに多峰性の粒度分布を有する研磨組成物の有効性を実証するものである。
【0068】
従来のCMP装置を用いて、テトラエトキシシラン(TEOS)及び高密度プラズマ(HDP)酸化物のブランケットウエハを、4つの研磨組成物(すなわち、研磨組成物2A〜2D)で研磨した。研磨組成物2A〜2Bのそれぞれは、表2に示された量で、90nmの平均粒子サイズを有する焼成セリア(すなわち、第1の研磨粒子)及び60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア(すなわち、第2の研磨粒子)を含有していた。研磨組成物2A〜2Bはまた500ppmのピコリン酸及び水を含有し、トリエタノールアミンを用いてpH4に調整した。研磨組成物2Cは、12.5wt%のヒュームドシリカ及び水を含有し、水酸化カリウム(KOH)を用いてpH10〜11に調整した。研磨組成物2Dは、60nmの平均粒子サイズを有する0.2wt%の湿式セリア、200ppmのピコリン酸、50ppmのポリエチレングリコール(PEG8000)及び水を含有し、トリエタノールアミンを用いてpH4に調整した。
【0069】
高密度プラズマ(HDP)酸化物パターンウエハもまた、研磨組成物2A〜2Dで60秒間研磨した。HDPパターンウエハは、50%の密度で1800μmの特徴サイズを有していた。
【0070】
基材を、同じ研磨条件の下で、研磨組成物2A〜2Dで研磨した。特に、基材をMirra(商標)研磨機(Applied Materials)でIC1010(商標)パッド(Dow Chemical)で研磨した。研磨パラメータは以下のとおりであり、すなわち下向きの力が20.68kPa(3psi)、定盤速度が100rmp、ヘッド速度が85rmp、研磨組成物の流量が150mL/分であった。研磨に続いて、ブランケット酸化ケイ素、具体的にはTEOS及びHDP除去速度をÅ/分により決定し、HDPの残段差をÅにより決定した。その結果を表2にまとめる。表2に示される除去速度及び残段差は、研磨組成物2Cの除去速度及び段差により規格化されている。
【0071】
ウエハ面内均一性(WIWNU)もまた、化学機械研磨組成物に対し決定し、その結果を表2にまとめる。
【0072】
【表2】
【0073】
これらの結果は、第1の研磨粒子(すなわち、90nmの平均粒子サイズを有する焼成セリア粒子)及び第2の研磨粒子(すなわち、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア粒子)を含み、かつ、多峰性の粒度分布(すなわち、90nmと60nmに極大値を有する二峰性の粒度分布)を有する研磨組成物が、酸化ケイ素の層(すなわち、TEOS及びHDP)を含む基材を研磨するのに特に効果的であることを実証するものである。特に、研磨組成物2A及び2Bは、同量か又はより多くの量の研磨粒子を含有するが第2の研磨粒子を含有せず、多峰性の粒度分布を示していない研磨組成物2D及び2Cにより示されたTEOS及びHDPの除去速度よりも、高いTEOS及びHDPに関するブランケット除去速度を示した。研磨組成物2A及び2Bは、研磨組成物2C及び2Dに比べ、HDPにおける減少したWIWNUを示した。研磨組成物2Aが研磨組成物2C及び2Dに比べ、TEOSにおける減少したWIWNUをも示し、研磨組成物2Bが研磨組成物2Dに比べ、TEOSにおける減少したWIWNUを示した。加えて、研磨組成物2Aが、研磨組成物2C比べ低い固体濃度(すなわち、より低い研磨粒子の全体濃度)を有するにも関わらず、研磨組成物2Aは、研磨中、より多くのHDPの段差を望ましく除去した。(すなわち、研磨組成物2Aは研磨後に残っている、TEOSの段差が少なかった。)
【0074】
[実施例3]
本実施例は、酸化ケイ素の除去速度、平坦化効率、ウエハ面内均一性(WIWNU)、及び段差減少に対する、第1の及び第2の研磨粒子を有し並びに多峰性の粒度分布を有する研磨組成物の有効性を実証するものである。
【0075】
従来のCMP装置を用いて、テトラエトキシシラン(TEOS)及び高密度プラズマ(HDP)酸化物のブランケットウエハを、4つの研磨組成物(すなわち、研磨組成物3A〜3D)で研磨した。研磨組成物3A〜3Bのそれぞれは、表3に示された量で、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア(すなわち、第1の研磨粒子)及び10nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア(すなわち、第2の研磨粒子)を含有していた。研磨組成物3A〜3Bはまた500ppmのピコリン酸及び水を含有し、トリエタノールアミンを用いてpH4に調整した。研磨組成物3Cは、12.5wt%のヒュームドシリカ及び水を含有し、水酸化カリウム(KOH)を用いてpH10〜11に調整した。研磨組成物3Dは、60nmの平均粒子サイズを有する0.2wt%の湿式セリア、200ppmのピコリン酸、50ppmのポリエチレングリコール(PEG8000)及び水を含有し、トリエタノールアミンを用いてpH4に調整した。
【0076】
高密度プラズマ(HDP)酸化物パターンウエハもまた、研磨組成物3A〜3Dで60秒間研磨した。HDPパターンウエハは、50%の密度で100μmの特徴サイズを有していた。
【0077】
基材を、同じ研磨条件の下で、研磨組成物3A〜3Dで研磨した。特に、基材をMirra(商標)研磨機(Applied Materials)でIC1010(商標)パッド(Dow Chemical)で研磨した。研磨パラメータは以下のとおりであり、すなわち下向きの力が20.68kPa(3psi)、定盤速度が100rmp、ヘッド速度が85rmp、研磨組成物の流量が150mL/分であった。研磨に続いて、ブランケット酸化ケイ素、具体的にはTEOS及びHDP除去速度をÅ/分により決定し、HDPの残段差をÅにより決定した。その結果を表3にまとめる。表3に示される除去速度及び残段差は、研磨組成物3Cの除去速度及び段差により規格化されている。
【0078】
ウエハ面内均一性(WIWNU)もまた、化学機械研磨組成物に対し決定し、その結果を表3にまとめる。
【0079】
【表3】
【0080】
これらの結果は、第1の研磨粒子(すなわち、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア粒子)及び第2の研磨粒子(すなわち、10nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア粒子)を含み、かつ、多峰性の粒度分布(すなわち、60nmと10nmに極大値を有する二峰性の粒度分布)を有する研磨組成物が、酸化ケイ素の層(すなわち、TEOS及びHDP)を含む基材を研磨するのに特に効果的であることを実証するものである。特に、研磨組成物3A及び3Bは、より多くの量の研磨粒子を含有するが第2の研磨粒子を含有せず、多峰性の粒度分布を示していない研磨組成物3Cにより示されたTEOSの除去速度よりも、高いTEOSに関するブランケット除去速度を示した。研磨組成物3Bもまた、第2の研磨粒子を含有せず、多峰性の粒度分布を示していない研磨組成物3Dの除去速度よりも高いブランケットTEOSの除去速度も示した。研磨組成物3Bが、研磨組成物3Cの除去速度に比べ、HDPに対し高いブランケット除去速度を示した。研磨組成物3A及び3Bもまた、研磨組成物3Dに比べ、TEOS及びHDPの両方における減少したWIWNUを示した。加えて、研磨組成物3Bは、研磨組成物3Dに比べ、研磨中より多くのHDPの段差を望ましく除去した。(すなわち、研磨組成物3Bは研磨後に残っている、TEOSの段差が少なかった。)研磨組成物3Bは研磨組成物3Cに比べ低い固体濃度を有するにも関わらず、研磨組成物3BのHDPの残段差もまた、研磨組成物3CのHDPの残段差に匹敵した。
【0081】
[実施例4]
本実施例は、酸化ケイ素の除去速度、平坦化効率、ウエハ面内均一性(WIWNU)、及び段差減少に対する、第1の及び第2の研磨粒子を有し並びに多峰性の粒度分布を有する研磨組成物の有効性を実証するものである。
【0082】
従来のCMP装置を用いて、テトラエトキシシラン(TEOS)及び高密度プラズマ(HDP)酸化物のブランケットウエハを、3つの研磨組成物(すなわち、研磨組成物4A〜4C)で研磨した。研磨組成物4A及び4Bが、表4に示された量で、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア(すなわち、第1の研磨粒子)及び10nmの平均粒子サイズを有するカチオン性のシリカ(すなわち、第2の研磨粒子)を含有していた。研磨組成物4A〜4Bはまた500ppmのピコリン酸及び水を含有し、トリエタノールアミンを用いてpH4に調整した。研磨組成物4Cは、12.5wt%のヒュームドシリカ及び水を含有し、水酸化カリウム(KOH)を用いてpH10〜11に調整した。
【0083】
TEOSパターンウエハもまた、研磨組成物4A〜4Dで30秒間研磨した。TEOSパターンウエハは、50%の密度で400μmの特徴サイズを有していた。
【0084】
基材を、同じ研磨条件の下で、研磨組成物4A〜4Dで研磨した。特に、基材をMirra(商標)研磨機(Applied Materials)でIC1010(商標)パッド(Dow Chemical)で研磨した。研磨パラメータは以下のとおりであり、すなわち下向きの力が20.68kPa(3psi)、定盤速度が100rmp、ヘッド速度が85rmp、研磨組成物の流量が150mL/分であった。研磨に続いて、ブランケット酸化ケイ素、具体的にはTEOS及びHDPの除去速度をÅ/分により決定し、HDPの残段差をÅにより決定した。その結果を表4にまとめる。表4に示される除去速度及び残段差は、研磨組成物4Cの除去速度及び段差により規格化されている。
【0085】
ウエハ面内均一性(WIWNU)もまた、化学機械研磨組成物に対し決定し、その結果を表4にまとめる。
【表4】
【0086】
これらの結果は、第1の研磨粒子(すなわち、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア粒子)及び第2の研磨粒子(すなわち、10nmの平均粒子サイズを有するカチオン性のシリカ)を含み、かつ、多峰性の粒度分布(すなわち、60nmと10nmに極大値を有する二峰性の粒度分布)を有する研磨組成物が、酸化ケイ素の層(すなわち、TEOS及びHDP)を含む基材を研磨するのに特に効果的であることを実証するものである。特に、研磨組成物4Aは、より多くの量の研磨粒子を含有するが第2の研磨粒子を含有せず、多峰性の粒度分布を示していない研磨組成物4Cにより示されたTEOS及びHDPの除去速度よりも、高いTEOS及びHDPに関するブランケット除去速度を示した。加えて、研磨組成物4Aは研磨組成物4Cに比べ低い固体濃度を有するにも関わらず、研磨組成物4Aは、研磨組成物4Cに比べ、研磨中より多くのTEOSの段差を望ましく除去した。(すなわち、研磨組成物4Aは研磨後に残っている、TEOSの段差が少なかった。)
【0087】
[実施例5]
本実施例は、酸化ケイ素の除去速度、平坦化効率、ウエハ面内均一性(WIWNU)、及び段差減少に対する、第1の及び第2の研磨粒子を有し並びに多峰性の粒度分布を有する研磨組成物の有効性を実証するものである。
【0088】
従来のCMP装置を用いて、テトラエトキシシラン(TEOS)及び高密度プラズマ(HDP)酸化物のブランケットウエハを、3つの研磨組成物(すなわち、研磨組成物5A〜5C)で研磨した。研磨組成物5A〜5Bが、表5に示された量で、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア(すなわち、第1の研磨粒子)及び4nmの平均粒子サイズを有するカチオン性のゼラチン(すなわち、第2の研磨粒子)を含有していた。研磨組成物5A〜5Bはまた500ppmのピコリン酸及び水を含有し、トリエタノールアミンを用いてpH4に調整した。研磨組成物5Cが12.5wt%のヒュームドシリカ及び水を含有し、水酸化カリウム(KOH)を用いてpH10〜11に調整した。
【0089】
高密度プラズマ(HDP)酸化物パターンウエハもまた、研磨組成物5A〜5Cで30秒間研磨した。HDPパターンウエハは、50%の密度で200μmの特徴サイズを有していた。
【0090】
基材を、同じ研磨条件の下で、研磨組成物5A〜5Cで研磨した。特に、基材をMirra(商標)研磨機(Applied Materials)でIC1010(商標)パッド(Dow Chemical)で研磨した。研磨パラメータは以下のとおりであり、すなわち下向きの力が20.68kPa(3psi)、定盤速度が100rmp、ヘッド速度が85rmp、研磨組成物の流量が150mL/分であった。研磨に続いて、ブランケット酸化ケイ素、具体的にはTEOS及びHDPの除去速度をÅ/分により決定し、HDPの残段差をÅにより決定した。その結果を表5にまとめる。表5に示される除去速度及び残段差は、研磨組成物5Cの除去速度及び段差により規格化されている。
【0091】
ウエハ面内均一性(WIWNU)もまた、化学機械研磨組成物に対し決定し、その結果を表5にまとめる。
【0092】
【表5】
【0093】
これらの結果は、第1の研磨粒子(すなわち、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア粒子)及び第2の研磨粒子(すなわち、4nmの平均粒子サイズを有するカチオン性のゼラチン粒子)を含み、かつ、多峰性の粒度分布(すなわち、60nmと4nmに極大値を有する二峰性の粒度分布)を有する研磨組成物が、酸化ケイ素の層(すなわち、TEOS及びHDP)を含む基材を研磨するのに特に効果的であることを実証するものである。特に、研磨組成物5Aは、TEOS及びHDPに対し効果的なブランケット除去速度を示し、かつ、HDPに対しより高い段差除去を示した。(すなわち、研磨組成物5Aは、より多くの量の研磨粒子を含有するが第2の研磨粒子を含有せず、多峰性の粒度分布を示していない研磨組成物5CのHDPの残段差に比べ、30秒のみの研磨後に極めて減少したHDPの段差を有した。)望ましくは、研磨組成物5Aは、ブランケット酸化ケイ素(すなわち、TEOS及びHDP)に効果的であるが、少し低い除去速度を示し、そしてパターン化された酸化ケイ素(すなわち、HDP)に高い除去速度を示した。
【0094】
[実施例6]
本実施例は、酸化ケイ素の除去速度、平坦化効率、ウエハ面内均一性(WIWNU)、及び段差減少に対する、第1の及び第2の研磨粒子を有し並びに多峰性の粒度分布を有する研磨組成物の有効性を実証するものである。
【0095】
従来のCMP装置を用いて、テトラエトキシシラン(TEOS)及び高密度プラズマ(HDP)酸化物ブランケットウエハを、2つの研磨組成物(すなわち、研磨組成物6A〜6B)で研磨した。研磨組成物6Aは、表6に示された量で、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア(すなわち、第1の研磨粒子)及び30nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア(すなわち、第2の研磨粒子)を含む。研磨組成物6Aが、50ppmのポリMADQUAT及び水もまた含有し、トリエタノールアミンを用いてpH8に調整した。研磨組成物6Bは、12.5wt%のヒュームドシリカ及び水を含有し、水酸化カリウム(KOH)を用いてpH10〜11に調整した。
【0096】
高密度プラズマ(HDP)酸化物パターンウエハもまた、研磨組成物6A及び6Bで60秒間研磨した。HDPパターンウエハは、50%の密度で200μmの特徴サイズを有していた。
【0097】
基材を、同じ研磨条件の下で、研磨組成物6A及び6Bで研磨した。特に、基材をMirra(商標)研磨機(Applied Materials)でIC1010(商標)パッド(Dow Chemical)で研磨した。研磨パラメータは以下のとおりであり、すなわち下向きの力が20.68kPa(3psi)、定盤速度が100rmp、ヘッド速度が85rmp、研磨組成物の流量が150mL/分であった。研磨に続いて、ブランケット酸化ケイ素、具体的にはTEOS及びHDPの除去速度をÅ/分により決定し、HDPの残段差をÅにより決定した。その結果を表6にまとめる。表6に示される除去速度及び残段差は、研磨組成物6Bの除去速度及び段差により規格化されている。
【0098】
ウエハ面内均一性(WIWNU)もまた、化学機械研磨組成物に対し決定し、その結果を表6にまとめる。
【0099】
【表6】
【0100】
これらの結果は、第1の研磨粒子(すなわち、60nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア粒子)及び第2の研磨粒子(すなわち、30nmの平均粒子サイズを有する湿式セリア粒子)を含み、かつ、多峰性の粒度分布(すなわち、60nmと30nmに極大値を有する二峰性の粒度分布)を有する研磨組成物が、酸化ケイ素の層(すなわち、TEOS及びHDP)を含む基材を研磨するのに特に効果的であることを実証するものである。特に、研磨組成物6Aは、より多くの量の研磨粒子を含有するが第2の研磨粒子を含有せず、多峰性の粒度分布を示していない研磨組成物6Bにより示されたTEOS及びHDPの除去速度よりも、速いTEOS及びHDPに関するブランケット除去速度を示した。研磨組成物6Aが、研磨組成物6Bに比べて、TEOS及びHDPにおける減少したWIWNUをも示した。加えて、研磨組成物6Aが研磨組成物6Bに比べ低い固体濃度を有するにも関わらず、研磨組成物6Aは、研磨組成物6Bに比べ、研磨中より多くのHDPの段差を望ましく除去した。(すなわち、研磨組成物6Aは研磨後に残っている、HDPの段差が少なかった。)
【0101】
本明細書で引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、それぞれの参考文献が個別及び具体的に示されてその参照により組み込まれ、全体として本明細書に記載されているのと同じ程度に、その参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
本発明を説明する中での(特に特許請求の範囲の中での)「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び「少なくとも1つの(at least one)」という用語並びに同様の指示語の使用は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含すると解されるべきである。1つ又は複数の項目の列挙が続く「少なくとも1つ(at least one)」という用語の使用(例えば、「AとBの少なくとも1つ(at least one of A and B)」)は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、列挙した項目(A又はB)又は列挙した項目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)から選択される1つの項目を意味すると解されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、特に断りのない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、限定されない」ことを意味する)として解されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指摘がない限り、単に範囲内に入っているそれぞれ独立した値を個々に言及することの省略方法として機能することを意図しており、それぞれの独立した値は、まるでそれが本明細書で個々に列挙されたかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例又は例示的な語(例えば、「のような(such as)」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲に関する限定をもたらすものではない。本明細書中の如何なる言語も、特許請求の範囲に記載されていない任意の要素を本発明の実施に必須であるものとして示すと解されるべきではない。
【0103】
本発明を実施するために、発明者らが知っている最良の形態を含めて、本発明の好ましい実施形態が本明細書において記載されている。それらの好ましい実施形態の変形態様は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。発明者らは、当業者がそのような変形態様を適宜利用すると予期しており、発明者らは本明細書に具体的に記載したのと別の方法で、本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって容認されているように、特許請求の範囲に記載される主題の全ての改良及びそれと同等なものを包含する。さらに、それらの全ての可能な変形態様における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、本発明によって包含される。