特許第6543126号(P6543126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543126
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】ガス濃度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/61 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   G01N21/61
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-148742(P2015-148742)
(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公開番号】特開2017-26582(P2017-26582A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】合田 祐司
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−167451(JP,A)
【文献】 特開2013−205052(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0052003(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/111847(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源の光源抵抗値を検出する光源抵抗値検出部と、
前記光源が出力する赤外線に応じた信号を測定出力として出力する測定用赤外線検出部と、
前記光源抵抗値及びあらかじめ定めた基準抵抗値に基づいて、前記測定出力からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用測定出力を算出し、前記ガス濃度算出用測定出力に基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出する演算部と、
を備え
前記演算部は、前記光源抵抗値及び前記基準抵抗値に基づいて算出される測定時刻における前記測定出力を前記ガス濃度算出用測定出力として算出するガス濃度測定装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記光源抵抗値が前記基準抵抗値以上の値となった直後若しくは直前、又は前記光源抵抗値が前記基準抵抗値に基づいて定められた既定の値の範囲に入った直後若しくは直前に得られた前記測定出力を前記ガス濃度算出用測定出力として算出する請求項1に記載のガス濃度測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、複数の時刻における前記光源抵抗値及び前記基準抵抗値に基づいて前記測定時刻を算出し、複数の時刻における前記測定出力及び前記測定時刻に基づいて前記ガス濃度算出用測定出力を算出する請求項1または請求項2に記載のガス濃度測定装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記光源抵抗値に基づいて前記基準抵抗値を更新する請求項1から請求項の何れか一項に記載のガス濃度測定装置。
【請求項5】
前記光源及び前記測定用赤外線検出部の周辺温度又は前記ガス濃度測定装置の温度を測定し、測定結果を温度情報として出力する温度測定部をさらに備え、
前記演算部は、前記基準抵抗値を、温度情報に基づいて補正する請求項1から請求項の何れか一項に記載のガス濃度測定装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記光源の点灯時の前記光源抵抗値と、前記測定出力と、前記基準抵抗値と、前記ガス濃度算出用測定出力と、の少なくとも1つを、前記光源の消灯時の前記測定出力と、前記光源抵抗値と、の少なくとも1つに基づいて補正する請求項1から請求項の何れか一項に記載のガス濃度測定装置。
【請求項7】
前記演算部は、m回目(mは1より大きい自然数)の前記ガス濃度の測定における前記基準抵抗値を、m−1回目までの前記ガス濃度の測定において検出された1つ以上の前記光源抵抗値の平均値又は該1つ以上の光源抵抗値にローパスフィルタを適用した値に基づいて更新する請求項に記載のガス濃度測定装置。
【請求項8】
測定対象ガスによる吸収帯域の赤外線に対して前記測定用赤外線検出部よりも低い感度を有し、前記光源から出力される赤外線に応じた信号を参照出力として出力する参照用赤外線検出部をさらに備え、
前記演算部は、前記光源抵抗値と前記基準抵抗値とに基づいて前記参照出力からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用参照出力を算出し、前記ガス濃度算出用測定出力及び前記ガス濃度算出用参照出力に基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出する請求項1から請求項の何れか一項に記載のガス濃度測定装置。
【請求項9】
前記演算部は、m回目(mは1より大きい自然数)の前記ガス濃度の測定における前記基準抵抗値を、m−1回目までの前記ガス濃度の測定における前記参照出力が既定の値に一致する、又は前記参照出力が既定の値に基づいて定められた値の範囲に入るときの1つ以上の前記光源抵抗値の平均値又は該1つ以上の光源抵抗値にローパスフィルタを適用した値に基づいて更新する請求項に記載のガス濃度測定装置。
【請求項10】
ガス濃度測定装置であって、
光源と、
前記光源の光源抵抗値を検出する光源抵抗値検出部と、
前記光源が出力する赤外線に応じた信号を測定出力として出力する測定用赤外線検出部と、
前記光源抵抗値及びあらかじめ定めた基準抵抗値に基づいて、前記測定出力からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用測定出力を算出し、前記ガス濃度算出用測定出力に基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出する演算部と、
前記光源及び前記測定用赤外線検出部の周辺温度又は前記ガス濃度測定装置の温度を測定し、測定結果を温度情報として出力する温度測定部と、
を備え、
前記演算部は、前記基準抵抗値を、前記温度情報に基づいて補正するガス濃度測定装置。
【請求項11】
光源と、
前記光源の光源抵抗値を検出する光源抵抗値検出部と、
前記光源が出力する赤外線に応じた信号を測定出力として出力する測定用赤外線検出部と、
前記光源抵抗値及びあらかじめ定めた基準抵抗値に基づいて、前記測定出力からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用測定出力を算出し、前記ガス濃度算出用測定出力に基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出する演算部と、
を備え、
前記演算部は、前記光源抵抗値に基づいて前記基準抵抗値を更新し、m回目(mは1より大きい自然数)の前記ガス濃度の測定における前記基準抵抗値を、m−1回目までの前記ガス濃度の測定において検出された1つ以上の前記光源抵抗値の平均値又は該1つ以上の光源抵抗値にローパスフィルタを適用した値に基づいて更新するガス濃度測定装置。
【請求項12】
光源と、
前記光源の光源抵抗値を検出する光源抵抗値検出部と、
前記光源が出力する赤外線に応じた信号を測定出力として出力する測定用赤外線検出部と、
前記光源抵抗値及びあらかじめ定めた基準抵抗値に基づいて、前記測定出力からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用測定出力を算出し、前記ガス濃度算出用測定出力に基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出する演算部と、
測定対象ガスによる吸収帯域の赤外線に対して前記測定用赤外線検出部よりも低い感度を有し、前記光源から出力される赤外線に応じた信号を参照出力として出力する参照用赤外線検出部と、
を備え、
前記演算部は、前記光源抵抗値と前記基準抵抗値とに基づいて前記参照出力からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用参照出力を算出し、前記ガス濃度算出用測定出力及び前記ガス濃度算出用参照出力に基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出し、m回目(mは1より大きい自然数)の前記ガス濃度の測定における前記基準抵抗値を、m−1回目までの前記ガス濃度の測定における前記参照出力が既定の値に一致する、又は前記参照出力が既定の値に基づいて定められた値の範囲に入るときの1つ以上の前記光源抵抗値の平均値又は該1つ以上の光源抵抗値にローパスフィルタを適用した値に基づいて更新するガス濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象ガスの濃度測定を行うガス濃度測定装置として、非分散赤外線吸収型(Non−Dispersive Infrared)ガス濃度測定装置が知られている。非分散赤外線吸収型ガス濃度測定装置は、ガスの種類によって吸収される赤外線の波長が異なることを利用し、この吸収量を検出することによりそのガス濃度を測定する。この原理を用いたガス濃度測定装置として、例えば、測定対象ガスが吸収特性を持つ波長に限定した赤外線を透過するフィルタ(透過部材)と赤外線センサとを組み合わせ、測定対象ガスが吸収する赤外線の吸収量を測定することによってガスの濃度を測定するように構成された装置が挙げられる。
【0003】
また、この原理を応用した炭酸ガス濃度測定装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された炭酸ガス濃度測定装置は、測定対象ガスによる赤外線の吸収が生じない波長域(以下、「測定対象ガスによる非吸収帯域」、又は単に「非吸収帯域」と称する場合がある)の赤外線を選択的に透過する参照用フィルタと、測定対象ガスによる赤外線の吸収が生じる波長域(以下、「測定対象ガスによる吸収帯域」、又は単に「吸収帯域」と称する場合がある)の赤外線を選択的に透過する測定用フィルタとをそれぞれ配置した赤外線検出素子を複数配置し、それぞれの赤外線検出素子からの出力信号に基づいて測定対象ガスの検出や濃度測定を行う。このような炭酸ガス濃度測定装置及び炭酸ガス検出方法は、検出精度や出力の安定性を向上させることができることが特許文献1には記載されている。以下、炭酸ガスを含めてガス濃度を測定する装置及び方法を総称してガス濃度測定装置及びガス濃度測定方法という。
【0004】
特許文献1に開示された炭酸ガス濃度測定装置の動作原理は、波長による吸収度合いの差異を炭酸ガス検出に応用したものである。光源であるセラミックヒータから放射された赤外線において、波長4.3μm付近の赤外線は、気体容器内の炭酸ガスにより吸収されて、その放射強度が低下する。一方、波長3.9μm付近の赤外線は、炭酸ガスによる吸収はなく、その放射強度が低下することはない。そして、ガス測定装置の気体容器内を通過した異なる波長を含む赤外線から、波長4.3μmと波長3.9μmとの2波を、2波それぞれに対応した通過帯域を有する2種類の光学フィルタで濾波選別する。これら波長の異なる赤外線それぞれの放射強度に基づいて、気体容器内の炭酸ガスの濃度が算出される。セラミックヒータの放射強度分布は、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトルを含み、2μm〜50μmの波長領域でブロードであり、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトル付近の波長領域で十分な放射強度を有する。したがって、光源にセラミックヒータを用いたガス測定装置の検出精度及び出力の安定性は向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−33431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術による非分散赤外線吸収型ガス濃度測定装置は、種々の方法で光源を動作させ赤外線検出部で検出された信号を用いている。従来技術による非分散赤外線吸収型ガス濃度測定装置は、例えば、光源を所定時間点灯させている間に赤外線検出部から検出された信号の最大値や、光源が点灯している時の所定期間に赤外線検出部から検出された信号を積分した値や、光源の点灯開始から所定時間経過後に赤外線検出部で検出された信号などを用いている。
【0007】
従来技術による非分散赤外線吸収型ガス濃度測定装置は、光源点灯開始から任意の時間経過後に光源から出力されている赤外線の光量やスペクトルが毎回同一であることを暗に期待している。しかし、実際のガスセンサにおいては光源の経時・経年劣化や、光源点灯開始時の光源の状態のばらつき等により光源点灯開始から任意の時間経過後に光源から出力されている赤外線の光量やスペクトルには変動が生じる。このため、光源から出力される赤外線は、同じ動作条件であっても測定毎に光源点灯開始からの任意の時間経過後に同じ光量やスペクトルとなるとは限らない。以降、光源点灯開始から任意の時間経過後に光源から出力されている赤外線の光量やスペクトルの変動を単に「赤外線の出力変動」と呼ぶ。したがって、従来技術による非分散赤外線吸収型ガス濃度測定装置では、そのような光源から出力される赤外線のスペクトルの測定毎の変動の影響を受け、算出されるガス濃度に誤差が生じ得る。
【0008】
尚、特許文献1に開示された炭酸ガス濃度測定装置においては、波長4.3μm付近の、気体容器内の炭酸ガスにより吸収されて放射強度が低下する赤外線と、波長3.9μm付近の、炭酸ガスにより吸収されず放射強度が低下しない赤外線の2種類の波長帯域が使用される。これにより、赤外線のスペクトルの形状が変化せずに光量のみが変化した場合、波長4.3μm付近の光量と波長3.9μm付近の光量の変化率は同一となるため、赤外線の光量の変化の影響を排除することができる。しかし、赤外線のスペクトルの形状が変化した場合、波長4.3μm付近の光量と波長3.9μm付近の光量の変化率は異なるため、該2種類の波長帯域を使用しても赤外線の光量の変化の影響を排除することはできない。
【0009】
本発明は、光源から出力される赤外線の出力変動が生じても、高精度にガス濃度を算出することができるガス濃度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によるガス濃度測定装置は、光源と、光源の光源抵抗値を検出する光源抵抗値検出部と、光源が出力する赤外線に応じた信号を測定出力として出力する測定用赤外線検出部と、光源抵抗値及びあらかじめ定めた基準抵抗値に基づいて、測定出力からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用測定出力を算出し、ガス濃度算出用測定出力に基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出する演算部とを備え、演算部は、光源抵抗値及び基準抵抗値に基づいて算出される測定時刻における測定出力をガス濃度算出用測定出力として算出する
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、光源から出力される赤外線の出力変動が生じても、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るガス濃度測定装置を説明するための構成図である。
図2】本発明の第1実施形態の実施例1によるガス濃度測定装置で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図3】本発明の第1実施形態の実施例2によるガス濃度測定装置で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図4】本発明の第1実施形態の実施例3によるガス濃度測定装置で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図5】本発明の第1実施形態の実施例4によるガス濃度測定装置で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図6】本発明の第1実施形態の実施例5によるガス濃度測定装置で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図7】本発明の第1実施形態の実施例6によるガス濃度測定装置で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図8】本発明の第1実施形態の実施例7によるガス濃度測定装置の光源抵抗値検出部105の出力と光源抵抗値検出部105の周辺温度との関係の概略を表すグラフを示す図である。
図9】(a)は、本発明の第1実施形態の実施例8によるガス濃度測定装置において基準抵抗値Res(std)を固定した場合における測定用赤外線検出部102が出力する測定出力と温度TPとの関係の概略を表すグラフを示す図であり、(b)は、実施例8によるガス濃度測定装置において光源抵抗値検出部105の光源抵抗値と温度TPとの関係の概略を表すグラフを示す図である。
図10】本発明の第2実施形態によるガス濃度測定装置を説明するための構成図である。
図11】本発明の第2実施形態によるガス濃度測定装置で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)によるガス濃度測定装置について図1から図9を用いて説明する。
[本発明の第1実施形態に係るガス濃度測定装置]
図1は本発明の第1実施形態に係るガス濃度測定装置を説明するための構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係るガス濃度測定装置100は、光源101と、光源101が出力する赤外線に応じた信号を測定出力として出力する測定用赤外線検出部102と、光源101の光源抵抗値を検出する光源抵抗値検出部105と、光源抵抗値及びあらかじめ定めた基準抵抗値に基づいて測定用赤外線検出部102から出力される測定出力からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用測定出力を算出し、算出したガス濃度算出用測定出力に基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出する演算部104と、を備える。測定対象のガスは、少なくともガス濃度測定装置100内の光源101と、測定用赤外線検出部102との間に流入可能である。ここで、流入可能とは光源101から出力された赤外線が前記測定対象ガスの存在する空間を通って測定提要赤外線検出部102に到達可能であることを示す。
【0014】
光源101は、測定用赤外線検出部102が感度を有する波長帯を含む光であって、測定対象ガスが吸収する赤外線帯域を含む光を出力できれば特に制限されない。例えば白熱電球やセラミックヒータ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ヒータやLED(Light Emitting Diode)などを光源101として用いることができる。本実施形態において、光源101は、その駆動回路を含み、点灯、消灯及び強度調整など出力を制御する機能を含んでもよい。
【0015】
ここで、光源101として白熱電球やセラミックヒータ、MEMSヒータなど、熱源とみなすことができる光源を用いる場合、その光源が発する赤外線のスペクトルは熱源の温度によって決まる。また、熱源である光源101の抵抗値も熱源の温度によって決まる。すなわち、光源101の抵抗値は光源101から出力される赤外線の出力変動に応じて変動する。また、例えばLED等を用いる場合、その光源が発する赤外線スペクトルは光源の持つ温度特性に依存して、光源の温度によって決まる。光源101の抵抗値も温度特性を有するので、光源101の抵抗値は光源101から出力される赤外線の出力変動に応じて変動する。
【0016】
光源抵抗値検出部105は光源101の抵抗値を取得できれば特に制限されない。例えば光源101の端子間の電圧と光源101に流れる電流を検出することで、光源101の抵抗値を取得してもよい。また、光源101を定電流駆動する場合は光源101の端子間電圧を検出することで光源101の抵抗値を取得してもよい。同様に光源101を定電圧駆動する場合は光源101に流れる電流を検出することで光源101の抵抗値を取得してもよい。
【0017】
光源抵抗値検出部105は、光源101の点灯時(以下、「光源101点灯時」と称する場合がある)に、光源101の光源抵抗値Res(on)を検出し、演算部104に出力してもよい。本実施形態において光源101点灯時とは、周囲環境から放射される赤外線量よりも多い量の赤外線を放射している状態をいう。また、光源101の消灯状態は完全に消灯している状態でなくてもよい。光源101に電力供給がされて光源101が赤外線を放射している状態であっても、放射する赤外線量が光源101点灯時に放射する赤外線量以下である場合、または周囲環境から放射される赤外線量以下である場合には、光源101は実質的に赤外線を放射しない状態であるため消灯状態と看做される。
【0018】
測定用赤外線検出部102は、光源101が出力する赤外線に応じた赤外線を検出し、測定出力Meas(on)として出力する。測定用赤外線検出部102は、光源101が出力する赤外線の内、測定対象ガスによる吸収帯域を含む帯域の赤外線を検出し、光電変換した測定出力を演算部104に出力してもよい。
【0019】
測定用赤外線検出部102は、上述の特性を有していれば特に制限されない。測定用赤外線検出部102には、焦電センサ(Pyroelectric sensor)、サーモパイル(Thermopile)、ボロメータ(Bolometer)等の熱型赤外線センサや、ダイオードやフォトトランジスタ等の量子型赤外線センサ等が好適である。
【0020】
演算部104は、以下に述べるガス濃度算出における演算が可能であれば特に制限されない。演算部104として、例えば、アナログIC、ディジタルIC及びCPU(Central Processing Unit)等が好適である。
【0021】
演算部104は、光源抵抗値Res(on)及びあらかじめ定めた基準抵抗値Res(std)に基づいて、測定出力Meas(on)からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aを算出する。演算部104は、算出したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aに基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出する。以降、光源抵抗値Res(on)及びあらかじめ定めた基準抵抗値Res(std)に基づいて、測定出力Meas(on)からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aを算出する方法を具体的に説明する。
【0022】
演算部104は光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)以上の値となった直後若しくは直前、又は光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に基づいて定められた既定の範囲に入った直後若しくは直前に得られた測定出力Meas(on)をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして算出してもよい。ここで、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)以上の値となった後に、または光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に基づいて定められた既定の範囲に入った後に、最初に取得される測定出力Meas(on)をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして算出してもよい。また、ここで、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)以上の値となる前に、または光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に基づいて定められた既定の範囲に入る前に、最後に取得される測定出力Meas(on)をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして算出してもよい。
【0023】
また、演算部104は、光源抵抗値Res(on)と、基準抵抗値Res(std)とに基づいて測定時刻tAを算出し、測定時刻tAに測定用赤外線検出部102から出力された測定出力Meas(on)を、ガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして算出し、ガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aに基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出してもよい。例えば、演算部104は複数回取得された光源抵抗値Res(on)とそれらの光源抵抗値Res(on)が取得された時刻とに基づいて光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)となる測定時刻tAを求め、複数回取得された測定出力Meas(on)とそれらの測定出力Meas(on)が取得された時刻とに基づいて、測定時刻tAにおける測定出力をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして算出してもよい
【0024】
また、演算部104は、測定用赤外線検出部102から入力される測定出力Meas(on)、光源抵抗値検出部105から入力される光源抵抗値Res(on)、測定出力Meas(on)が入力される時刻及び光源抵抗値Res(on)が入力される時刻を記憶する記憶領域を有していてもよい。測定出力Meas(on)が入力される時刻は、演算部104が測定出力Meas(on)を取得する時刻となり、光源抵抗値Res(on)が入力される時刻は、演算部104が光源抵抗値Res(on)を取得する時刻となる。
【0025】
測定時刻tAを求める場合において、演算部104は測定時刻tAとなる前に1回以上取得した光源抵抗値Res(on)と該光源抵抗値Res(on)を取得した時刻とに基づいて、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)又は基準抵抗値Res(std)に基づいて決まる値と一致する時刻を測定時刻tAとして算出してもよい。
【0026】
または、演算部104は、光源抵抗値Res(on)と基準抵抗値Res(std)との差が既定の値以下になる時刻を測定時刻tAとしてもよい。または、演算部104は、既定回数取得された光源抵抗値Res(on)のうち、基準抵抗値Res(std)との差が最も小さくなる光源抵抗値Res(on)が取得された時刻を測定時刻tAとしてもよい。または、演算部104は、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に一致すると予想される時刻tA0と、実際に光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に一致する時刻との間に生じる時間差を加味して測定時刻tAを算出してもよい。または、演算部104は、ガス濃度測定方法の実装上、測定時刻tAに測定出力を取得することが困難である場合(例えば、測定時刻tAにおいて光源抵抗値Res(on)と測定出力Meas(on)とを同時刻に取得できない場合など)には、測定時刻tAに近い時刻における測定用赤外線検出部102の出力をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして用いてもよい。
【0027】
ここで、測定時刻tAに近い時刻として、例えば測定用赤外線検出部102が測定出力Meas(on)を所定の時間間隔で連続して測定する時刻のうち、測定時刻tAの直近又は測定時刻tAの直後若しくは直前の時刻を用いることができる。また、例えば、測定時刻tAから一定時間経過後の時刻における測定用赤外線検出部102の出力をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして用いてもよい。
【0028】
演算部104は、複数回取得された光源抵抗値Res(on)と測定出力Meas(on)について、測定出力Meas(on)を光源抵抗値Res(on)の関数と看做して光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)となるときの測定出力Meas(on)を測定時刻tAを介さずに算出し、測定時刻tAにおけるガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして算出してもよい。
【0029】
演算部104は、一回のガス濃度測定において測定出力Meas(on)を複数回取得するために、所定の時間間隔で光源101から出力された赤外線を検出するように測定用赤外線検出部102を制御するよう構成されていてもよい。また、演算部104は、一回のガス濃度測定において光源抵抗値Res(on)を複数回取得するために、所定の時間間隔で光源101の光源抵抗値Res(on)を取得するように構成されていてもよい。
【0030】
以上のようにしてガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aを算出することで、光源101の経時・経年劣化や、光源101点灯開始時の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができ、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0031】
演算部104は事前に用意された換算式に以上のようにして算出したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aを入力してガス濃度を算出することができる。この換算式には、例えば1次関数や2次以上の多項式関数を用いてもよい。これらの関数の係数は、例えば、ガス濃度測定装置100を製造する際の校正時や使用開始後の校正時に、ガス濃度測定装置100を1種類以上の既知の測定対象ガス濃度環境に置いて動作させて得られたガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aと該測定対象ガス濃度とに基づいて、最小二乗法等により求めてもよい。
【0032】
光源101として上述のいずれの光源を用いても、光源101を消灯状態から点灯状態に移行させる際、又は光源101の出力を変化させた際には出力特性に過渡的な変化が起こる。例えば、これらの間に光源101から出力される赤外線の光量やスペクトルは時間変化し、この時間変化に応じて測定出力及び光源抵抗値が時間変化する。また、測定出力及び光源抵抗値の時間変化の仕方は、光源101の経時・経年劣化や光源101点灯開始時の光源101の状態のばらつきにより、測定ごと又は光源101を点灯するごとに変化し得る。この赤外線の出力変動は、光源101点灯時の光源101の発熱による光源101自体及びその周囲の温度変化や、光源101の駆動回路の過渡的動作などによってもたらされる。また、意図して光源101の状態を変化させない場合でも、光源101の経時・経年劣化や周囲環境の変化・ゆらぎなどによって、前述の内容と同様に赤外線の出力変動が生じ得る。
【0033】
本実施形態に係るガス濃度測定装置100は、演算部104が、光源101の光源抵抗値Res(on)と、あらかじめ定めた基準抵抗値Res(std)と、測定用赤外線検出部102の出力とに基づいてガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aを算出し、ガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aに基づいてガス濃度を算出する。こうすることで、光源101の経時・経年劣化や、光源101点灯開始時の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができる。これにより、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0034】
ガス濃度測定装置100は、制御部を有し、この制御部によって光源101、測定用赤外線検出部102、光源抵抗値検出部105及び演算部104を統括的に制御するように構成されていてもよい。また、ガス濃度測定装置100は、記憶部を有し、この記憶部によって測定用赤外線検出部102から入力される測定出力Meas(on)、光源抵抗値検出部105から入力される光源抵抗値Res(on)、測定出力Meas(on)が入力される時刻及び光源抵抗値Res(on)が入力される時刻を記憶するようになっていてもよい。また、演算部104は光源101を制御するための機能や光源検出部105を含んでいてもよい。
【0035】
[基準抵抗値Res(std)]
基準抵抗値Res(std)は、固定値であってもよいし可変値であってもよい。ガス濃度測定装置100の精度を向上させる観点からは可変値であることが好ましい。
基準抵抗値Res(std)を可変値とする場合に、基準抵抗値Res(std)を求める方法は、特定の条件下における光源抵抗値を用いる方法や、特定の条件下において複数回測定された光源抵抗値を平均化した値やフィルタリングした値を用いる方法や、装置の温度等を変数とする方法や、それらを組み合わせた方法などが挙げられる。よって演算部104は、光源抵抗値Res(on)に基づいて基準抵抗値Res(std)を更新してもよい。以降で、本実施形態のガス濃度測定装置100における基準抵抗値Res(std)を可変値とする場合の、基準抵抗値Res(std)の更新方法を説明する。
【0036】
[基準抵抗値Res(std)の更新方法]
ガス濃度測定装置100を既知の測定対象ガス濃度環境において動作させたとき、演算部104は、測定出力Meas(on)が該測定対象ガス濃度において出力されるべきガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aと一致するときの光源抵抗値Res(on)を基準抵抗値Res(std)の更新値としてもよい。
【0037】
また、演算部104は、m(mは1より大きな自然数)回目のガス濃度の測定における基準抵抗値Res(std)を、m−1回目までのガス濃度の測定における既定の時刻に出力された1つ以上の光源抵抗値Res(on)の平均値又は1つ以上の光源抵抗値Res(on)にローパスフィルタを適用した値に基づいて更新してもよい。1つ以上の光源抵抗値Res(on)に該ローパスフィルタを適用したm回目のガス濃度の測定における基準抵抗値Res(std)を以下の式を用いても求めても良い
Res(std)[m]=X・Res(on)_S[m-1]+(1−X)・Res(std)[m-1]
ここで、Xは0より大きく1より小さい値である。または1つ以上の光源抵抗値Res(on)と基準抵抗値Res(std)の既定値に基づいて、前記平均値や前記ローパスフィルタを適した値を算出しても良い。
【0038】
ここで、Res(std)[m]はm回目のガス濃度の測定における基準抵抗値Res(std)、Res(std)[m−1]はm−1回目のガス濃度の測定における基準抵抗値Res(std)、Res(on)S[m−1]はm−1回目のガス濃度の測定における既定の時刻に出力された光源抵抗値Res(on)である。このようにすることで、例えば演算部104の時間精度により光源101点灯の時刻に誤差が生じ、演算部104が想定している光源101点灯から特定の時間経過後の既定の時刻tsと実際の光源101点灯から特定の同時間経過後の時刻ts0に誤差が生じてしまっても、真の既定の時刻ts0における光源抵抗値Res(on)を基準抵抗値Res(std)として得ることができる。これにより、例えば光源101の経時・経年劣化や連続駆動等により、光源101から出力される光量に変動が生じても、変動する光量に応じた基準抵抗値Res(std)を得ることができ、ガス濃度測定装置100は、より高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0039】
また、演算部104はある測定(例えばm回目の測定)が前回の測定(例えばm−1回目の測定)から所定の時間以上経過している場合には、前回までに取得された既定時刻光源抵抗値列Res(on)S[]に依らず、基準抵抗値Res(std)として既定の値を設定してもよい。今回の測定が前回の測定から所定の時間以上経過していることにより、光源101の状態が初期状態に近い状態に戻る場合がある。この場合、基準抵抗値Res(std)を光源101の初期状態に適した値としておく方が、前回までに取得された既定時刻光源抵抗値列Res(on)S[]の平均値などを基準抵抗値Res(std)に設定するよりも、より適切な値となり、より高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0040】
以上のようにして基準抵抗値Res(std)を更新することで、光源101の経時・経年劣化により光源が発する赤外線のスペクトルと光源抵抗値Res(on)の関係に変化が生じても、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態又は既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応した基準抵抗値Res(std)を用いることができ、また、光源抵抗値を測定する回路等に起因して取得される光源抵抗値Res(on)が変動してしまってもその変動を加味した基準抵抗値Res(std)を用いることができ、ガス濃度測定装置100は、より高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0041】
また、基準抵抗値Res(std)を可変値とする場合に、基準抵抗値Res(std)を求める他の方法として、光源抵抗値検出部105や測定用赤外線検出部102の周辺温度やガス濃度測定装置100等の温度に基づいて基準抵抗値Res(std)を求める方法が挙げられる。よって、本実施形態に係るガス濃度測定装置100は、光源101及び測定用赤外線検出部102の周辺温度又はガス濃度測定装置100の温度を測定し、測定結果を温度情報として出力する温度測定部107をさらに備えてもよい。ここで、例えば光源101の周辺温度は、光源101消灯時の光源101の抵抗値を測定することによって得ることができる。また、例えば測定用赤外線検出部102の周辺温度は測定用赤外線検出部102として量子型赤外線センサを用いる場合にはその抵抗値を測定することによって得ることができる。また、例えば光源101及び測定用赤外線検出部102の周辺温度、ガス濃度測定装置100の温度のいずれについてもサーミスタを用いて測定することができる。
【0042】
基準抵抗値Res(std)を、温度情報に基づいて補正する方法の例として、前以て取得した、光源101及び測定用赤外線検出部102の周辺温度又はガス濃度測定装置100の温度と、光源101が既定の赤外線を発している状態における光源抵抗値Res(on)との関係を用い、ガス濃度測定の際には該関係とそのときの光源101及び測定用赤外線検出部102の周辺温度又はガス濃度測定装置100の温度に基づいてガス濃度の算出時に用いる基準抵抗値Res(std)を算出する方法が挙げられる。
【0043】
また、別の例として、前以て取得した、測定対象ガス濃度を既知の一定値であるときの、光源101及び測定用赤外線検出部102の周辺温度又はガス濃度測定装置100の温度と、それらの環境で測定出力Meas(on)が既定の一定値となるときの光源抵抗値Res(on)との関係を用い、ガス濃度測定の際には該関係とそのときの光源101及び測定用赤外線検出部102の周辺温度又はガス濃度測定装置100の温度に基づいてガス濃度の算出時に用いる基準抵抗値Res(std)を算出する方法が挙げられる。この場合、算出されるガス濃度算出用測定出力は、温度環境によらず、ガス濃度のみによって変化する値となる。
【0044】
以上のようにして基準抵抗値Res(std)を更新することで、基準抵抗値Res(std)は、ガス濃度測定装置100の構成要素の温度特性による影響を補償するために適した値となり、ガス濃度測定装置100は、より高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
以下、本実施形態によるガス濃度測定装置100について実施例を用いてより具体的に説明する。
【0045】
(実施例1)
本実施形態の実施例1によるガス濃度測定装置100について図1を参照しつつ図2を用いて説明する。図2は本実施形態の実施例1によるガス濃度測定装置100で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0046】
図2に示すように、実施例1におけるガス濃度測定装置100は、まずステップS101において光源101を点灯する(光源点灯工程)。ステップS101の次のステップS102では、光源101点灯時の光源抵抗値Res(on)を取得する(光源抵抗値取得工程)。ステップS102の次のステップS103では、ステップS102で取得されたRes(on)が既定の基準抵抗値Res(std)以上であるかを判定する(光源抵抗値判定工程)。ステップS103の次のステップS104では、測定用赤外線検出部102の出力をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして取得する(測定出力取得工程)。ステップS104の次のステップS105では、ステップS104で取得されたガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aの値に基づいてガス濃度を演算する(ガス濃度演算工程)。ステップS105の次のステップS106では、光源101を消灯する(光源消灯工程)。
【0047】
尚、ステップS103においては判定の結果が真であれば測定出力取得工程(ステップS104)に進み、偽であれば光源抵抗値取得工程(ステップS102)に戻る。ガス濃度測定装置100は、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)以上になるまで、光源抵抗値取得工程(ステップS102)及び光源抵抗値判定工程(ステップS103)を繰り返し実行する。
【0048】
実施例1によるガス濃度測定装置100においては、光源抵抗値Res(on)は、光源点灯開始後、光源101による電力消費により光源101の温度が上昇するとともに変化する。ガス濃度算出用測定出力Meas(оn)Aは、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)と一致する時刻又はその直後に取得される。このため、光源101の経時・経年劣化や、光源101点灯開始時の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができる。これにより、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0049】
(実施例2)
本実施形態の実施例2によるガス濃度測定装置100について図1を参照しつつ図3を用いて説明する。図3は本実施形態の実施例2によるガス濃度測定装置100で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0050】
図3に示すように、実施例2におけるガス濃度測定装置100は、まずステップS201において光源101を点灯する(光源点灯工程)。ステップS201の次のステップS202では、光源101点灯時の光源抵抗値Res(on)と測定用赤外線検出部102による測定出力Meas(on)を取得する(光源抵抗値及び測定出力取得工程)。ステップS202の次のステップS203では、ステップS202で取得されたRes(on)が既定の基準抵抗値Res(std)以上であるかを判定する(光源抵抗値判定工程)。ステップS203の次のステップS204では、最後に取得した測定出力Meas(on)をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして設定する(ガス濃度算出用測定出力設定工程)。ステップS204の次のステップS205では、ステップS204で設定されたガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aの値に基づいてガス濃度を演算する(ガス濃度演算工程)。ステップS205の次のステップS206では、光源101を消灯する(光源消灯工程)。
【0051】
尚、ステップS203においては判定の結果が真であればガス濃度算出用測定出力設定工程(ステップS204)に進み、偽であれば光源抵抗値及び測定出力取得工程(ステップS202)に戻る。ガス濃度測定装置100は、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)以上になるまで、光源抵抗値及び測定出力取得工程(ステップS202)及び光源抵抗値判定工程(ステップS203)を繰り返し実行する。
【0052】
実施例2によるガス濃度測定装置100においては、光源抵抗値Res(on)は、光源点灯開始後、光源101による電力消費により光源101の温度が上昇するとともに、変化する。光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)と一致する時刻又はその直前に取得された測定出力Meas(on)がガス濃度算出用測定出力Meas(оn)Aとして用いられる。このため、光源101の経時・経年劣化や、光源101点灯開始時の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができる。これにより、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0053】
(実施例3)
本実施形態の実施例3によるガス濃度測定装置100について図1を参照しつつ図4を用いて説明する。図4は本実施形態の実施例3によるガス濃度測定装置100で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0054】
図3に示すように、実施例3におけるガス濃度測定装置100は、まずステップS301において光源101を点灯する(光源点灯工程)。ステップS301の次のステップS302では、光源101点灯時の光源抵抗値Res(on)を取得する(光源抵抗値取得工程)。ステップS302の次のステップS303では、ステップS302で取得された光源抵抗値Res(on)が既定の基準抵抗値Res(std)から既定値α(α>0)を減算した値から基準抵抗値Res(std)に既定値β(β>0)を加算した値の範囲であるかを判定する(光源抵抗値判定工程)。ステップS303の次のステップS304では、測定用赤外線検出部102の出力をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして取得する(測定出力取得工程)。ステップS304の次のステップS305では、ステップS104で取得されたガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aの値に基づいてガス濃度を演算する(ガス濃度演算工程)。ステップS305の次のステップS306では、光源101を消灯する(光源消灯工程)。
【0055】
尚、ステップS303においては判定の結果が真であれば測定出力取得工程(ステップS304)に進み、偽であれば光源抵抗値取得工程(ステップS302)に戻る。ガス濃度測定装置100は、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に基づいて定められた既定の値の範囲に入るまで、光源抵抗値取得工程(ステップS302)及び光源抵抗値判定工程(ステップS303)を繰り返し実行する。
【0056】
実施例3によるガス濃度測定装置100においては、光源抵抗値Res(on)は、光源点灯開始後、光源101による電力消費により光源101の温度が上昇するとともに変化する。ガス濃度算出用測定出力Meas(оn)Aは、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に基づいて定められた既定の値の範囲に入る時刻又はその直後に取得されている。このため、光源101の経時・経年劣化や、光源101点灯開始時の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができる。これにより、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0057】
(実施例4)
本実施形態の実施例4によるガス濃度測定装置100について図1を参照しつつ図5を用いて説明する。図5は本実施形態の実施例4によるガス濃度測定装置100で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0058】
図5に示すように、実施例4におけるガス濃度測定装置100は、まずステップS401において光源101を点灯する(光源点灯工程)。ステップS401の次のステップS402では、Nを既定の自然数として光源抵抗値をその取得時刻とともにN回繰り返し取得し、光源抵抗値列Res(on)[]、取得時刻列t[]を取得する(時刻列及び光源抵抗値列取得工程)。これらの光源抵抗値列において、N回中i回目(1≦i≦N)の光源抵抗値Res(on)はRes(on)[i]として取得され、取得時刻はt[i]として取得される。ステップS402の次のステップS403では、ステップS402で取得した光源抵抗値列Res(on)[]と取得時刻列t[]とに基づいて光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)となる測定時刻tAを算出する(測定時刻算出工程)。ステップS403の次のステップS404では、時刻が測定時刻tA以上であるかを判定する(測定時刻判定工程)。ステップS404の次のS405では、測定用赤外線検出部102の出力をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして取得する(測定出力取得工程)。ステップS405の次のステップS406では、ステップS405で取得されたガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aの値に基づいてガス濃度を演算する(ガス濃度演算工程)。ステップS406の次のステップS407では、光源101を消灯する(光源消灯工程)。
【0059】
尚、ステップS404においては判定の結果が真であれば測定出力取得工程(ステップS405)に進み、偽であれば測定時刻判定工程(ステップS404)を繰り返す。ガス濃度測定装置100は、時刻が測定時刻tA以上となるまで、測定時刻判定工程(ステップS404)を繰り返し実行する。
【0060】
実施例4によるガス濃度測定装置100においては、光源抵抗値Res(on)は、光源点灯開始後、光源101による電力消費により光源101の温度が上昇するとともに変化する。ガス濃度算出用測定出力Meas(оn)Aは、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に基づいて定められた既定の値となる時刻又はその直後に取得されている。このため、光源101の経時・経年劣化や、光源101点灯開始時の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができる。これにより、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0061】
(実施例5)
本実施形態の実施例5によるガス濃度測定装置100について図1を参照しつつ図6を用いて説明する。図6は本実施形態の実施例5によるガス濃度測定装置100で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0062】
図6に示すように、実施例5におけるガス濃度測定装置100は、まずステップS501において光源101を点灯する(光源点灯工程)。ステップS501の次のステップS502では、Nを既定の自然数として光源抵抗値及び測定出力をその取得時刻とともにN回繰り返し取得し、光源抵抗値列Res(on)[]、測定出力列Meas(on)[]、取得時刻列t[]を取得する(時刻列及び光源抵抗値列取得工程)。これらの光源抵抗値列Res(on)[]及び測定出力列Meas(on)[]において、N回中i回目(1≦i≦N)の光源抵抗値Res(on)はRes(on)[i]として取得され、測定出力Meas(on)はMeas(on)[i]として取得され、取得時刻はt[i]として取得される。ステップS502の次のステップS503では、ステップS502で取得した光源抵抗値列Res(on)[]と取得時刻列t[]とに基づいて光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)となる測定時刻tAを算出する(測定時刻算出工程)。ステップS503の次のステップS504では、測定出力列Meas(on)[]と取得時刻列t[]とに基づいて、測定時刻tAにおける測定出力Meas(on)を、ガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして特定する(測定出力特定工程)。ステップS504の次のステップS505では、ステップS504で取得されたガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aの値に基づいてガス濃度を演算する(ガス濃度演算工程)。ステップS505の次のステップS506では、光源101を消灯する(光源消灯工程)。
【0063】
本実施形態の実施例5によるガス濃度測定装置100において演算部104は、ステップS503において光源抵抗値列Res(on)[]における各々の光源抵抗値Res(on)の値と取得時刻列t[]における各時刻との対応関係(光源抵抗値時間変化特性)を、ステップS504において測定出力Meas(on)[]における各々の測定出力Meas(on)の値と取得時刻列t[]における各時刻との対応関係(赤外線検出特性)を求めている。
【0064】
実施例5によるガス濃度測定装置100においては、光源抵抗値Res(on)は、光源点灯開始後、光源による電力消費により光源の温度が上昇するとともに変化する。演算部104は光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に基づいて定められた既定の値となる時刻における測定出力をガス濃度算出用測定出力Meas(оn)Aとして算出する。このため、光源101の経時・経年劣化や、光源101点灯開始時の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に一致する時刻における測定出力Meas(on)をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとしてより高精度に算出することが可能になる。これにより、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができる。これにより、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0065】
(実施例6)
本実施形態の実施例6によるガス濃度測定装置100について図1を参照しつつ図7を用いて説明する。図7は本実施形態の実施例6によるガス濃度測定装置100で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートである。実施例6におけるガス濃度測定装置100は、ガス濃度の測定が複数回行われることを前提としている。
【0066】
図7に示すように、実施例6におけるガス濃度測定装置100は、まずステップS601において今回(m回目(mは自然数))の測定で使用する基準抵抗値Res(std)を算出し設定する(基準値設定工程)。ステップS601の次のステップS602では、光源101を点灯する(光源点灯工程)。ステップS602の次のステップS603では、Nを既定の自然数として光源抵抗値及び測定出力をその取得時刻とともにN回繰り返し取得し、光源抵抗値列Res(on)[]、測定出力列Meas(on)[]、取得時刻列t[]を取得する(時刻列及び光源抵抗値列取得工程)。これらの光源抵抗値列Res(on)[]及び測定出力列Meas(on)[]において、N回中i回目(1≦i≦N)の光源抵抗値Res(on)はRes(on)[i]として取得され、測定出力Meas(on)はMeas(on)[i]として取得され、取得時刻はt[i]として取得される。
【0067】
ステップS603の次のステップS604では、ステップS603で取得した光源抵抗値列Res(on)[]と取得時刻列t[]とに基づいて光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)となる測定時刻tAを算出する(測定時刻算出工程)。ステップS604の次のステップS605では、測定出力列Meas(on)[]と取得時刻列t[]とに基づいて、測定時刻tAにおける測定出力Meas(on)を、ガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして特定する(測定出力特定工程)。ステップS605の次のステップS606では、ステップS605で取得されたガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aの値に基づいてガス濃度を演算する(ガス濃度演算工程)。ステップS606の次のステップS607では光源抵抗値列Res(on)[]と取得時刻列t[]とに基づいて、既定の時刻tSにおける光源抵抗値Res(on)を算出し、算出した光源抵抗値Res(on)をm回目の測定における既定時刻光源抵抗値Res(on)S[m]として既定時刻光源抵抗値列Res(on)S[]を更新する(既定時刻光源抵抗値列更新工程)。ステップS607の次のステップS608では、光源101を消灯する(光源消灯工程)。
【0068】
尚、ステップS601においては測定回数が1回目であれば(真)、基準抵抗値Res(std)として既定の値を設定してステップS602に移行する。この既定の値には、ガス濃度測定装置100を製造する際の試験、校正時や装置使用開始後の校正時に光源を点灯時の既定の時刻tSにおける光源抵抗値Res(on)の値を用いる。一方、ステップS601において、測定回数が1回目以外であれば(偽)、前回までのガス濃度測定時に取得された既定時刻光源抵抗値列Res(on)S[]の最新10個までの値の平均値を基準抵抗値Res(std)として算出して設定し、ステップS602に移行する。
【0069】
本実施形態の実施例6によるガス濃度測定装置100において演算部104は、ステップS604において光源抵抗値列Res(on)[]における各々の光源抵抗値Res(on)の値と取得時刻列t[]における各時刻との対応関係(光源抵抗値時間変化特性)を、ステップS605において測定出力Meas(on)[]における各々の測定出力Meas(on)の値と取得時刻列t[]における各時刻との対応関係(赤外線検出特性)を求めている。
【0070】
実施例6によるガス濃度測定装置100においては、光源抵抗値Res(on)は、光源点灯開始後、光源による電力消費により光源の温度が上昇するとともに変化する。演算部104は光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に基づいて定められた既定の値となる時刻における測定出力をガス濃度算出用測定出力Meas(оn)Aとして算出するため、光源101の経時・経年劣化や、光源101点灯開始時の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に一致する時刻における測定出力Meas(on)をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとしてより高精度に算出することが可能になる。これにより、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができる。
【0071】
これにより、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。さらに基準抵抗値Res(std)を更新することで、光源101の経時・経年劣化により光源が発する赤外線のスペクトルと光源抵抗値Res(on)の関係に変化が生じても、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態又は既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応した基準抵抗値Res(std)を用いることができる。また、光源抵抗値を測定する回路等に起因して取得される光源抵抗値Res(on)が変動してしまってもその変動を加味した基準抵抗値Res(std)を用いることができる。これにより、ガス濃度測定装置100は、より高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
尚、本実施形態の実施例1−6によるガス濃度測定装置100には、温度測定部107が備えられていなくてもよい。
【0072】
(実施例7)
本実施形態の実施例7によるガス濃度測定装置100について図1を参照しつつ図8を用いて説明する。本実施形態の実施例7によるガス濃度測定装置100は、光源抵抗値検出部105の周辺温度に基づいて基準抵抗値Res(std)を補正する。
【0073】
図8は、光源101点灯後の既定の時刻tSにおける光源抵抗値検出部105の出力と光源抵抗値検出部105の周辺温度との関係の概略を表したグラフである。横軸は光源抵抗値検出部105の周辺温度を示し、縦軸は光源抵抗値を示している。図8中に示す光源抵抗値検出部105の温度特性C10(以下、単に「温度特性C10」と称する)は、光源抵抗値検出部105の周辺温度に対する光源抵抗値の温度特性を表している。また、温度特性C10は、光源抵抗値検出部105の周辺温度が標準温度であるときに光源抵抗値が基準抵抗値Res(std)0となる赤外線を、周辺温度を変化させながら検出したときの特性である。温度特性C10は、ガス濃度測定装置100の校正時に取得される。
【0074】
本実施形態の実施例7によるガス濃度測定装置100は、ガス濃度の測定時における光源抵抗値検出部105の周辺温度に対応する基準抵抗値Res(std)を、図8中に示す校正時に取得された温度特性C10に基づいて求める。例えばガス濃度の測定時の光源抵抗値検出部105の周辺温度が図8に示す測定温度Tである場合、ガス濃度測定装置100の演算部104は、温度特性C10に基づいて測定温度Tに対応する基準抵抗値Res(std)Tを基準抵抗値Res(std)として設定する。これによって、ガス濃度測定装置100は、光源抵抗値検出部105の周辺温度によらず、測定時刻tAを精度良く求めることができ、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0075】
(実施例8)
次に、本実施形態の実施例8によるガス濃度測定装置100について図1を参照しつつ図9を用いて説明する。本実施形態の実施例8によるガス濃度測定装置100は、ガス濃度測定装置100に係る温度の代表値である温度TPに基づいて、ガス濃度測定装置100の基準抵抗値Res(std)を補正する。ここで、温度TPは、光源抵抗値検出部105や測定用赤外線検出部102の周辺温度等、ガス濃度測定装置100に係る温度やその温度に基づいて求められる温度の代表値である。
【0076】
図9(a)は、既定の標準ガス濃度環境において基準抵抗値Res(std)を固定した場合における測定用赤外線検出部102が出力する測定出力(以下、「標準ガス濃度測定出力」と称する)と温度TPとの関係の概略を表したグラフである。横軸は温度TPを示し、縦軸は測定用赤外線検出部102が出力する標準ガス濃度測定出力を示している。図9(a)中に示す測定用赤外線検出部102の温度特性C11及び温度特性C12(以下、単に「温度特性C11」及び「温度特性C12」と称する)は、基準抵抗値Res(std)を互いに異なる値とした場合の特性を表している。温度特性C11,C12は、ガス濃度測定装置100の校正時に取得される。
【0077】
また、図9(b)は、図9(a)中の温度特性C11,C12が得られたのと同様の既定の標準ガス濃度環境における光源抵抗値検出部105の光源抵抗値(以下、「標準ガス濃度光源抵抗値」と称する)と温度TPとの関係の概略を表すグラフである。横軸は温度TPを示し、縦軸は光源抵抗値検出部105が出力する標準ガス濃度光源抵抗値を示している。図9(b)中に示す光源抵抗値検出部105の温度特性C13(以下、単に「温度特性C13」と称する)は、温度TPを変更した場合に各温度において標準ガス濃度測定出力が既定の標準ガス濃度測定出力Meas(on)0となるときの標準ガス濃度光源抵抗値の特性である。
【0078】
本実施形態の実施例8によるガス濃度測定装置100は、温度TPと、ガス濃度測定装置100の校正時に取得された温度特性C11,C12と、温度特性C13とに基づいて基準抵抗値Res(std)を求める。例えば、温度特性C11,C12より、標準ガス濃度測定出力が既定の標準ガス濃度測定出力Meas(on)0となるように温度TP(本例では、図9(a)に示す標準温度及び測定温度T2)と温度特性C13とにより基準抵抗値Res(std)が求められる。
【0079】
実施例8によるガス濃度測定装置100は、例えばガス濃度の測定時の温度TPが図9(a)および図9(b)中の測定温度T2である場合には、図9(b)中に示す温度特性C13に基づいて、基準抵抗値Res(std)の値として測定温度T2における標準ガス濃度光源抵抗値Res(on)T0の値を設定する。温度TPが測定温度T2での標準ガス濃度環境において、標準ガス濃度光源抵抗値Res(on)T0の値を基準抵抗値Res(std)とするときの測定出力は、図9(a)中に示す温度特性C12より、測定出力Meas(on)0となる。また、ガス濃度測定装置100は、例えばガス濃度の測定時の温度TPが標準温度である場合には、温度特性C13に基づいて、基準抵抗値Res(std)の値として標準温度における標準ガス濃度光源抵抗値Res(on)00の値を設定する。温度TPが標準温度での標準ガス濃度環境において、標準ガス濃度光源抵抗値Res(on)00を基準抵抗値Res(std)とするときの測定出力は、図9(a)中に示す温度特性C11より、測定出力Meas(on)0となる。
【0080】
このように、実施例8によるガス濃度測定装置100は、測定時の温度TPに応じて温度特性C13に基づき基準抵抗値Res(std)を変更することにより、温度TPによらず既定の測定出力Meas(on)0を示すようになる。その結果、測定用赤外線検出部102及び光源抵抗値検出部105のそれぞれの温度に対する出力の影響がまとめて補正されることになり、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0081】
[光源消灯時の出力を用いたオフセットの除去]
また演算部104は、光源101の点灯時の光源抵抗値Res(on)と、測定出力Meas(on)と、基準抵抗値Res(std)と、ガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aと、の少なくとも1つを、光源101の消灯時の測定出力Meas(off)と、光源抵抗値Res(off)と、の少なくとも1つに基づいて補正してもよい。
【0082】
例えば、測定出力Meas(on)として測定出力Meas(on)と消灯時の測定出力Meas(off)との差を用いる形態が挙げられる。この場合、測定出力の回路等に起因して測定出力Meas(on)にオフセット成分が生じてしまっても同じオフセット成分を有する消灯時の測定出力Meas(off)との差を用いることでオフセット成分の影響を排除できる。
【0083】
また、他の例として、光源抵抗値Res(on)として光源抵抗値Res(on)と消灯時の光源抵抗値Res(off)との差を用いる形態が挙げられる。この場合、光源抵抗値を測定する回路等に起因して光源抵抗値Res(on)にオフセット成分が生じてしまっても同じオフセット成分を有する消灯時の光源抵抗値Res(off)との差を用いることでオフセット成分の影響を排除できる。
【0084】
[光源の制御]
また、光源101の消灯の時刻は測定の繰り返し時間以外には制限されない。エネルギー消費を低減するために、後述するガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aを取得した直後に光源101を消灯してもよい。また、光源101の点灯開始時の状態をガス濃度の測定ごとにできるだけ一定に保つため点灯時間と消灯時間とを一定として点灯開始から既定の時間経過後に消灯してもよい。また、点灯時間に下限を設けて点灯開始から該下限時間以上経過するまでは光源101の点灯を継続してよいし、点灯時間に上限を設けて該上限時間以上経過したら光源101を消灯してもよい。これらの消灯方法を用いる場合に、光源101の点灯時間中に後述するガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aが求められない場合などには、下限時間や上限時間の直前の後述する測定出力Meas(on)をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとしてもよい。
【0085】
また、光源101の点灯動作を素早く行うために、ガス濃度の測定終了後に光源101への電力供給を断つのではなく、ガス濃度を測定していない場合にも、光源101に電力を供給し続けてもよい。この場合、ガス濃度を測定していないときに光源101から放射される赤外線量は光源101が点灯時に放射する赤外線量未満の赤外線であって、消灯状態相当と看做される。
【0086】
また、上述のガス濃度測定装置100の動作においては、主に光源101点灯後の動作について述べたが、光源101の点灯・消灯動作は上述の内容に限られない。例えば光源101として白熱電球やセラミックヒータ、MEMSヒータなど、熱源とみなすことができる光源を用いる場合、演算部104は光源101消灯後、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)以下の値となった直後又は直前に得られた測定出力Meas(on)をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして算出してもよい。これらの光源101は電力供給を断っても光源101が冷めきるまでは赤外線を出力する。こうすることで、光源101の経時・経年劣化や、光源101消灯後の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができ、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0087】
また、例えば、光源101を点灯、消灯動作させるのではなく、供給する電力を周期的に時間変化させて、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)と一致する、又は光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)に基づいて定められた既定の範囲に入った時に取得される測定出力Meas(on)をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして算出してもよい。こうすることで、光源101の経時・経年劣化があったとしても、ガス濃度測定装置100は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができ、ガス濃度測定装置100は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0088】
本実施形態に係るガス濃度測定装置100は、ガスセルを有しても良い。ガスセルは、光源101、測定用赤外線検出部102、を囲うように、ただし測定対象ガスを少なくとも光源101と測定用赤外線検出部102の間に流入可能なように構成されていてもよい。そのように構成することによって、ガス濃度測定装置の外部からの赤外線の入射を抑制することができ、測定用赤外線検出部102が光源101に依らない赤外線に応じた信号を出力してしまうことを防ぎ、より精度よくガス濃度を算出することができる。
【0089】
ガスセルは導電性の材料によって構成されていてもよい。該導電性の材料には銅、鉄、ステンレス等の金属類が好適である。このように構成することでガスセル全体が等電位に保たれ、ガス濃度測定装置100の外部から局所的に飛来する電磁ノイズのガス濃度測定装置100への影響を緩和することができ、ガス濃度測定装置100はより精度よくガス濃度を算出することができる。また更にガス濃度測定装置内の光源101を含む電子部品が局所的に外部に放射する電磁ノイズのガス濃度測定装置100の外部の電子機器への影響を緩和することができる。
【0090】
ガスセルは導電性の材料によって構成されていて、さらに、電源電位等ある一定電位に対してインピーダンスの低い電極、電位に電気的に接続されていてもよい。該導電性の材料には銅、鉄、ステンレス等の金属類が好適である。このように構成することでガスセル106全体が等電位に保たれ、かつ、ある一定の電位に低いインピーダンスで接続され、ガス濃度測定装置100の外部から飛来する電磁ノイズのガス濃度測定装置100への影響を緩和することができ、ガス濃度測定装置100はより精度よくガス濃度を算出することができる。また更にガス濃度測定装置内の光源101を含む電子部品が外部に放射する電磁ノイズのガス濃度測定装置100の外部の電子機器への影響を緩和することができる。
【0091】
ガスセルは少なくともその内部表面が赤外線の反射率の高い材料で覆われていてもよい。該材料には金やアルミニウム、ステンレス等が好適であり、これらの材料はスパッタや蒸着、メッキ等によってガスセルの表面に形成されてもよい。ガスセルの少なくとも内部表面を赤外線の反射率の高い材料で覆うことで光源101から出力された赤外線は効率的に測定用赤外線検出部102に達し、測定用赤外線検出部102が測定出力および参照出力を出力する際に、その過程で発生するノイズの影響を抑制することができる。その結果、ガス濃度測定装置100はより精度よくガス濃度を算出することができる。
【0092】
ガスセルは少なくともその外部表面が赤外線を含む光の反射率の高い材料で覆われていてもよい。該材料には金やアルミニウム、ステンレス等が好適であり、これらの材料はスパッタや蒸着、メッキ等によってガスセルの表面に形成されてもよい。ガスセルは少なくともその外部表面が赤外線を含む光の反射率の高い材料で覆うことで、ガス濃度測定装置100の外部から赤外線がガスセルを透過することによる内部への入射を抑制することができる。これにより、測定用赤外線検出部102が光源101に依らない赤外線に応じた信号を出力してしまうことを防ぎ、より精度よくガス濃度を算出することができる。
【0093】
また、さらにガスセルは少なくともその外部表面が赤外線を含む光の反射率の高い材料で覆うことで、外部からの光によりガスセルの温度が上昇し、測定用赤外線検出部102がガスセルから輻射によって出力される赤外線に応じた信号を出力してしまうことを抑制し、より精度よくガス濃度を算出することができる。
【0094】
[本発明の第2実施形態に係るガス濃度測定装置]
図10は本発明の第2実施形態に係るガス濃度測定装置を説明するための構成図である。第2実施形態によるガス濃度測定装置200は、参照用赤外線検出部103およびガスセル106を備える点でガス濃度測定装置100と異なる。また、第2実施形態によるガス濃度測定装置200の演算部204は、参照用赤外線検出部103を用いて測定対象ガスのガス濃度を算出することが可能である点が第1実施形態に係るガス濃度測定装置100の演算部104と異なり、その他は演算部104と同様である。なお、上記第1実施形態に係るガス濃度測定装置100と同一の機能・作用を奏する構成要素には、同一の符号を付して、説明は省略する。本実施形態によるガス濃度測定装置200においても上記第1実施形態の実施例1から実施例8によるガス濃度測定装置100と同様の作用効果が得られる。尚、上記第1実施形態の実施例1−6によるガス濃度測定装置100と同様の作用効果を奏する、本実施形態によるガス濃度測定装置200には、温度測定部107が備えられていなくてもよい。
【0095】
図10に示すように、本実施形態に係るガス濃度測定装置200は、測定対象ガスによる吸収帯域の赤外線に対して測定用赤外線検出部102よりも低い感度を有し、光源から出力される赤外線に応じた信号を参照出力として出力する参照用赤外線検出部103をさらに備えている。演算部204は、光源抵抗値Res(on)と基準抵抗値Res(std)とに基づいて参照出力からガス濃度の算出に用いるガス濃度算出用参照出力を算出し、ガス濃度算出用測定出力及びガス濃度算出用参照出力に基づいて測定対象ガスのガス濃度を算出してもよい。これにより、光源101から発せられる赤外線の測定ごとのばらつきに対し、例えばガス濃度算出用測定出力とガス濃度算出用参照出力の比をとることでも、ばらつきの影響を抑制することができ、ガス濃度測定装置200は、ガス濃度算出用測定出力のみを用いる場合と比べて、より高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0096】
ここでガス濃度算出用参照出力については、上述のガス濃度算出用測定出力同様のいずれかの方法を用いて、適宜求めることが可能である。ここで参照用赤外線検出部103が有する低い感度とは、参照用赤外線検出部103の測定対象ガスによる吸収帯域への感度(以下、「吸収帯感度」と称する)の非吸収帯域への感度(以下、「非吸収帯感度」と称する)に対する比(以下、「感度比」と称する)が測定用赤外線検出部102における感度比よりも低いことを意味する。例えば一例として、測定用赤外線検出部102における吸収帯感度と非吸収帯感度の比が3:2であり、参照用赤外線検出部103における吸収帯感度と非吸収帯感度の比が3:7であるとき、上述した参照用赤外線検出部103を構成するための要件を満たす。
【0097】
参照用赤外線検出部103の配置場所は、光源101から出力される赤外線を受光できる場所であれば特に制限されない。参照用赤外線検出部103は、測定用赤外線検出部102の隣りに配置されてもよいし、参照用赤外線検出部103のみ光源101の付近に配置してもよい。すなわち測定対象のガスは、光源101と、参照用赤外線検出部103との間に流入可能でなくてもよい。また、光源101と、参照用赤外線検出部103との間に測定対象のガスが流入不可能な場合は、参照用赤外線検出部103は前述の低い感度である必要はなく、光源101から出力される赤外線に対して感度を有してさえいればよい。
【0098】
参照用赤外線検出部103は、上述の特性を有していれば特に制限されない。参照用赤外線検出部103には、測定用赤外線検出部102と同様に、焦電センサ(Pyroelectric sensor)、サーモパイル(Thermopile)、ボロメータ(Bolometer)等の熱型赤外線センサや、ダイオードやフォトトランジスタ等の量子型赤外線センサ等が好適である。
【0099】
演算部204は、参照出力が既定の値に一致する、又は参照出力が既定の値に基づいて定められた既定の値の範囲に入るときの光源抵抗値Res(on)を基準抵抗値Res(std)の更新値としてもよい。また、ガス濃度測定装置200が参照用赤外線検出部103を有する場合には、演算部204は、m(mは1より大きな自然数)回目のガス濃度の測定における基準抵抗値Res(std)を、m−1回目までのガス濃度の測定における参照出力が既定の値に一致する、又は参照出力が既定の値に基づいて定められた既定の値の範囲に入るときの1つ以上の光源抵抗値Res(on)の平均値又は1つ以上の光源抵抗値Res(on)にローパスフィルタを適用した値に基づいて更新してもよい。または1つ以上の光源抵抗値Res(on)と基準抵抗値Res(std)の既定値に基づいて、前記平均値や前記ローパスフィルタを適した値を算出しても良い。
【0100】
また、演算部204は、光源101の点灯時の光源抵抗値Res(on)と、測定出力Meas(on)と、基準抵抗値Res(std)と、参照出力Ref(on)と、ガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aと、の少なくとも1つを、光源101の消灯時の測定出力Meas(off)と、光源抵抗値Res(off)と、参照出力Ref(off)との少なくとも1つに基づいて補正してもよい。
【0101】
例えば、参照出力Ref(on)として参照出力Ref(on)と消灯時の参照出力Ref(off)との差を用いる形態が挙げられる。この場合、参照出力の回路等に起因して参照出力Ref(on)にオフセット成分が生じてしまっても同じオフセット成分を有する消灯時の参照出力Ref(off)との差を用いることでオフセット成分の影響を排除できる。
【0102】
図11は本実施形態によるガス濃度測定装置200で実施されるガス濃度測定方法を説明するためのフローチャートである。
【0103】
図11に示すように、本実施形態におけるガス濃度測定装置200は、まずステップS901において光源101を点灯する(光源点灯工程)。ステップS901の次のステップS902では、光源101点灯時の光源抵抗値Res(on)を取得する(光源抵抗値取得工程)。ステップS902の次のステップS903では、ステップS902で取得された光源抵抗値Res(on)が既定の基準抵抗値Res(std)以上であるかを判定する(光源抵抗値判定工程)。ステップS903の次のステップS904では、測定用赤外線検出部102の出力をガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとして取得し、参照用赤外線検出部103の出力をガス濃度算出用参照出力Ref(on)Aとして取得する(測定出力及び参照出力取得工程)。ステップS904の次のステップS905では、ステップS904で取得されたガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aとガス濃度算出用参照出力Ref(on)Aの比に基づいてガス濃度を演算する(ガス濃度演算工程)。ステップS905の次のステップS906では、光源101を消灯する(光源消灯工程)。
【0104】
尚、ステップS903においては判定の結果が真であれば測定出力及び参照出力取得工程(ステップS904)に進み、偽であれば光源抵抗値取得工程(ステップS902)に戻る。ガス濃度測定装置200は、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)以上になるまで、光源抵抗値取得工程(ステップS902)及び光源抵抗値判定工程(ステップS903)を繰り返し実行する。
【0105】
本実施形態によるガス濃度測定装置200においては、光源抵抗値Res(on)は、光源点灯開始後、光源による電力消費により光源の温度が上昇するとともに変化する。ガス濃度算出用測定出力Meas(оn)Aは、光源抵抗値Res(on)が基準抵抗値Res(std)と一致する時刻又はその直後に取得されている。このため、光源101の経時・経年劣化や、光源101点灯開始時の光源101の状態に測定毎にばらつきがあったとしても、ガス濃度測定装置200は、光源101から既定の赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)A又は光源101から既定の赤外線スペクトルとの差が小さい赤外線スペクトルが出力されている状態に対応したガス濃度算出用測定出力Meas(on)Aをガス濃度の測定ごとに安定して得ることができる。これにより、ガス濃度測定装置200は、高精度にガス濃度を算出することが可能になる。さらに、光源101から発せられる赤外線の測定ごとのばらつきに対し、ガス濃度算出用測定出力とガス濃度算出用参照出力との比をとることで、ばらつきの影響を抑制することができる。これにより、ガス濃度測定装置200は、ガス濃度算出用測定出力のみを用いる場合と比べて、より高精度にガス濃度を算出することが可能になる。
【0106】
また、図10に示すように、本実施形態に係るガス濃度測定装置200は、ガスセル106を有しても良い。ガスセル106は、光源101、測定用赤外線検出部102、参照用赤外線検出部103を囲うように、ただし測定対象ガスを少なくとも光源101と測定用赤外線検出部102の間に流入可能なように構成されていてもよい。そのように構成することによって、ガス濃度測定装置の外部からの赤外線の入射を抑制することができ、測定用赤外線検出部102及び参照用赤外線検出部103が光源101に依らない赤外線に応じた信号を出力してしまうことを防ぎ、より精度よくガス濃度を算出することができる。
【0107】
ガスセル106は導電性の材料によって構成されていてもよい。該導電性の材料には銅、鉄、ステンレス等の金属類が好適である。このように構成することでガスセル全体が等電位に保たれ、ガス濃度測定装置200の外部から局所的に飛来する電磁ノイズのガス濃度測定装置200への影響を緩和することができ、ガス濃度測定装置200はより精度よくガス濃度を算出することができる。また更にガス濃度測定装置内の光源101を含む電子部品が局所的に外部に放射する電磁ノイズのガス濃度測定装置200の外部の電子機器への影響を緩和することができる。
【0108】
ガスセル106は導電性の材料によって構成されていて、さらに、電源電位等ある一定電位に対してインピーダンスの低い電極、電位に電気的に接続されていてもよい。該導電性の材料には銅、鉄、ステンレス等の金属類が好適である。このように構成することでガスセル106全体が等電位に保たれ、かつ、ある一定の電位に低いインピーダンスで接続され、ガス濃度測定装置200の外部から飛来する電磁ノイズのガス濃度測定装置200への影響を緩和することができ、ガス濃度測定装置200はより精度よくガス濃度を算出することができる。また更にガス濃度測定装置内の光源101を含む電子部品が外部に放射する電磁ノイズのガス濃度測定装置200の外部の電子機器への影響を緩和することができる。
【0109】
ガスセル106は少なくともその内部表面が赤外線の反射率の高い材料で覆われていてもよい。該材料には金やアルミニウム、ステンレス等が好適であり、これらの材料はスパッタや蒸着、メッキ等によってガスセル106の表面に形成されてもよい。ガスセル106の少なくとも内部表面を赤外線の反射率の高い材料で覆うことで光源101から出力された赤外線は効率的に測定用赤外線検出部102及び参照用赤外線検出部103に達し、測定用赤外線検出部102及び参照用赤外線検出部103が測定出力および参照出力を出力する際に、その過程で発生するノイズの影響を抑制することができる。その結果、ガス濃度測定装置200はより精度よくガス濃度を算出することができる。
【0110】
ガスセル106は少なくともその外部表面が赤外線を含む光の反射率の高い材料で覆われていてもよい。該材料には金やアルミニウム、ステンレス等が好適であり、これらの材料はスパッタや蒸着、メッキ等によってガスセル106の表面に形成されてもよい。ガスセル106は少なくともその外部表面が赤外線を含む光の反射率の高い材料で覆うことで、ガス濃度測定装置200の外部から赤外線がガスセルを透過することによる内部への入射を抑制することができる。これにより、測定用赤外線検出部102及び参照用赤外線検出部103が光源101に依らない赤外線に応じた信号を出力してしまうことを防ぎ、より精度よくガス濃度を算出することができる。
【0111】
また、さらにガスセル106は少なくともその外部表面が赤外線を含む光の反射率の高い材料で覆うことで、外部からの光によりガスセル106の温度が上昇し、測定用赤外線検出部102及び参照用赤外線検出部103がガスセル106から輻射によって出力される赤外線に応じた信号を出力してしまうことを抑制し、より精度よくガス濃度を算出することができる。
【0112】
上記の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、炭酸ガスに代表されるガスの濃度測定に適用できる。
【符号の説明】
【0114】
100、200 ガス濃度測定装置
101 光源
102 測定用赤外線検出部
103 参照用赤外線検出部
104、204 演算部
105 光源抵抗値検出部
106 ガスセル
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