特許第6543500号(P6543500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6543500易剥離型粘着テープ、電子機器、携帯電子端末及び解体方法
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  • 特許6543500-易剥離型粘着テープ、電子機器、携帯電子端末及び解体方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543500
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】易剥離型粘着テープ、電子機器、携帯電子端末及び解体方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20190628BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20190628BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20190628BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J5/06
   C09J11/08
   C09J153/02
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-76814(P2015-76814)
(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公開番号】特開2016-196567(P2016-196567A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年8月29日
【審判番号】不服2018-2958(P2018-2958/J1)
【審判請求日】2018年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】秋山 誠二
(72)【発明者】
【氏名】森野 彰規
【合議体】
【審判長】 川端 修
【審判官】 天野 宏樹
【審判官】 蔵野 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−127473(JP,A)
【文献】 特開2008−111008(JP,A)
【文献】 特開2000−290609(JP,A)
【文献】 特開2003−313510(JP,A)
【文献】 特開2013−008977(JP,A)
【文献】 特開2013−096155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム系ブロック共重合体(a1)と、軟化点が100℃〜125℃のテルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)とを含有する粘着剤層(A)を有する粘着テープであって、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)がポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック共重合体であり、前記ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック共重合体はジブロック共重合体とトリブロック共重合体との混合物であり、前記ジブロック共重合体前記ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック共重合体全体に対して20質量%〜75質量%であり、前記テルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)が前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して65質量部〜90質量部の範囲で含まれるものであることを特徴とする易剥離型粘着テープ。
【請求項2】
温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下、前記易剥離型粘着テープの片面側の粘着剤層(A)にステンレス板(SUS板)を貼付し、2kgローラーを一往復させることによってそれらを圧着させた時から30分後の180°引き剥がし初期接着力(剥離速度300mm/min)が15N/20mm以上である請求項1の記載の易剥離型粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤層(A)に含まれる粘着成分の1Hz及び120℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G120が1.0×10Pa〜2.0×10Paの範囲であり、前記貯蔵弾性率G120に対する、1Hz及び23℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G23の割合〔G23/G120〕が1〜20である請求項1または2に記載の易剥離型粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着剤層(A)が基材の両面に設けられたものであり、前記粘着剤層(A)の厚さが30μm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の易剥離型粘着テープ。
【請求項5】
前記基材が赤外線吸収性基材である請求項4に記載の易剥離型粘着テープ。
【請求項6】
電子機器を構成する透明天板と、きょう体との固定に使用する請求項1〜5のいずれか1項に記載の易剥離型粘着テープ。
【請求項7】
温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下、前記易剥離型粘着テープの定荷重保持力試験によって測定される3時間放置後の剥がれ距離が5mm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の易剥離型粘着テープ。
【請求項8】
2以上の被着体が請求項1〜7のいずれか1項に記載の易剥離型粘着テープによって貼り合わされた構成を有する物品を解体する方法であって、前記易剥離型粘着テープまたは前記被着体に、ハロゲンランプを接近または接触させ、前記易剥離型粘着テープを加熱することによって、前記2以上の被着体を分離することを特徴とする物品の解体方法。
【請求項9】
前記ハロゲンランプを用いた加熱工程が、20秒以内に前記易剥離型粘着テープを100℃に加熱する工程である請求項8に記載の物品の解体方法。
【請求項10】
前記ハロゲンランプを用いて行う加熱が、面加熱型ハロゲンラインヒーターを用いて行う加熱である請求項8または9に記載の物品の解体方法。
【請求項11】
透明天板が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の易剥離型粘着テープによってきょう体に固定された電子機器。
【請求項12】
請求項11に記載の電子機器を構成する前記易剥離型粘着テープまたは前記透明天板または前記きょう体に、ハロゲンランプを接近または接触させ、前記易剥離型粘着テープを加熱することによって前記透明天板ときょう体とを分離することを特徴とする電子機器の解体方法。
【請求項13】
きょう体と、レンズ部材またはその他きょう体とが、請求項1〜7のいずれか1項に記載の易剥離型粘着テープによって固定された携帯電子端末。
【請求項14】
請求項13に記載の携帯電子端末を構成する前記易剥離型粘着テープまたは前記きょう体またはレンズ部材に、ハロゲンランプを接近または接触させ、前記易剥離型粘着テープを加熱することによってそれらを分離することを特徴とする携帯電子端末の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器を構成する部材の固定に使用でき、熱により解体可能な粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粘着テープは、電子機器をはじめとする様々な製品を構成する部材の固定に好適に使用されている。最近では、前記粘着テープは、コピー機能やスキャン機能を備えた複写機や複合機を構成する透明天板と、そのきょう体との固定に使用することが検討されている。
【0003】
前記粘着テープとしては、例えば不織布基材の両面に粘着剤層が形成された両面接着テープであって、該両面接着テープの層間破壊面積率が10%以下であり、かつ両面接着テープの引張り強度がMD方向(縦方向)及びTD方向(横方向)共に20N/10mm以上であることを特徴とする両面接着テープが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
一方、前記電子機器の使用が尽くされ廃棄された際、前記透明天板等の部材ときょう体とは、手作業で解体され、材質ごとに区分され、廃棄またはリサイクルされることが多い。
【0005】
しかし、前記電子機器の解体現場では、手作業で前記透明天板ときょう体とを解体することが困難であるため、前記透明天板の一部を、切削機等を用いて切り取る方法が検討されている。しかし、前記切り取り作業は、長時間を要する場合が多く、解体作業効率を低下させるため好まれない場合があった。また、前記透明天板の一部は、依然としてきょう体の一部に接着された状態であるため、それらを分別して廃棄することができず、その廃棄処理に多大な費用がかかる場合があった。
【0006】
また、前記解体を比較的容易に行うことのできる粘着テープは、およそ60℃以下の環境下において接着力の点で十分でない場合が多く、とりわけ定荷重保持力の点で十分でないため、経時的な被着体のズレ等を引き起こす場合があった。
【0007】
このように、常温を含むおよそ60℃以下の環境下において被着体のズレ等を引き起こさないレベルの優れた定荷重保持力を有し、かつ、加熱するだけで急激に接着力を低下させ被着体から剥離できる特性を両立した粘着テープは、未だ見出されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−152111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、およそ60℃以下の環境下において優れた定荷重保持力を有し、かつ、加熱されることによってその接着力を低下させ、被着体から容易に剥離できる特性を備えた易剥離型粘着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ゴム系ブロック共重合体(a1)と、軟化点が100℃〜125℃のテルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)とを含有する粘着剤層(A)を有する粘着テープであって、前記テルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)が前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して60質量部〜120質量部の範囲で含まれるものであることを特徴とする易剥離型粘着テープに関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の易剥離型粘着テープは、例えば前記易剥離型粘着テープを貼付できる領域(貼付部位)が狭い範囲に限られるため細幅の粘着テープを使用せざるを得ない場合であっても、およそ60℃以下の環境下において優れた定荷重保持力等の接着力を備える。
【0012】
一方、本発明の易剥離型粘着テープは、概ね120℃に加熱することによってその接着力を急激に低下させることができ、かつ、糊残りなく被着体から容易に剥離することができる特性を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】熱剥離性の評価方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の易剥離型粘着テープは、ゴム系ブロック共重合体(a1)と、軟化点が100℃〜125℃のテルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)とを含有する粘着剤層(A)を有する粘着テープであって、前記テルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)が前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して60質量部〜120質量部の範囲で含まれるものであることを特徴とする。
【0015】
本発明の易剥離型粘着テープとしては、単層または積層された粘着剤層(A)によって構成されるいわゆる基材レスの粘着テープ、基材の片面または両面に、直接または他の層を介して前記粘着剤層(A)を有する粘着テープを使用することができる。前記易剥離型粘着テープとしては、基材の両面に、直接または他の層を介して前記粘着剤層(A)を有する粘着テープを使用することが好ましい。
【0016】
本発明の易剥離型粘着テープを構成する粘着剤層(A)としては、それに含まれるゴム系ブロック共重合体(a1)と、軟化点が100℃〜125℃のテルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)、及び、必要に応じて使用可能なその他の粘着付与樹脂等からなる粘着成分としては、周波数1Hzで120℃における貯蔵弾性率G120が1.0×10〜2.0×10Paであるものを使用する。前記範囲の貯蔵弾性率G120を有する粘着剤層(A)を有する易剥離型粘着テープを使用することによって、必要なときに被着体から容易に剥離できるレベルにまでその接着力を低下させることができる。
【0017】
前記粘着剤層(A)としては、それに含まれる上記粘着成分の前記貯蔵弾性率G120が1.0×10Pa以上1.8×10Pa以下であるものを使用することがより好ましく、5.0×10Pa以上1.6×10Pa以下であるものを使用することが、前記易剥離型粘着テープを加熱することによって被着体から容易に剥離できるレベルにまで接着力をより効果的に低下させることができるためさらに好ましい。
【0018】
本発明の易剥離型粘着テープを構成する粘着剤層(A)としては、それに含まれる上記粘着成分の周波数1Hzで23℃における貯蔵弾性率G’が1.0×10Pa以上であるものを使用することが好ましく5.0×10Pa以上2.0×10Pa以下であるものを使用することがより好ましく、4.5×10以上1.0×10以下であるものを使用することが、例えば前記易剥離型粘着テープを貼付する領域(貼付部位)がきわめて狭い範囲に限られる部材であり、細幅の粘着テープを使用せざるを得ない場合であっても、前記部材を十分に固定できるレベルのより一層優れた接着力を付与することができるためさらに好ましい。
【0019】
また、本発明の易剥離型粘着テープを構成する粘着剤層(A)としては、それに含まれる上記粘着成分の1Hz及び120℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G120が1.0×10〜2.0×10Paの範囲であり、かつ、前記貯蔵弾性率G120に対する1Hz及び23℃での動的粘弾性スペクトルで測定される貯蔵弾性率G23の割合〔G23/G120〕が1〜20であるものを使用することが好ましい。前記範囲の割合〔G23/G120〕を有する粘着剤層(A)を有する易剥離型粘着テープを使用することによって、2以上の被着体を十分に固定できるレベルの接着力を備え、かつ、必要なときに加熱することによって被着体から容易に剥離体できるレベルにまで接着力を低下させることのできる易剥離型粘着テープを得るうえでさらに好ましい。
【0020】
前記粘着剤層(A)は、ゴム系ブロック共重合体(a1)を含有する粘着剤層である。
【0021】
前記ゴム系ブロック共重合体(a1)としては、いわゆるABAタイプのブロック共重合体(トリブロック共重合体)、ABタイプのブロック共重合体(ジブロック共重合体)、及び、それらの混合物を使用することができる。前記ゴム系ブロック共重合体(a1)としては、前記トリブロック共重合体及びジブロック共重合体の混合物を使用することが、前記23℃における貯蔵弾性率と前記120℃における貯蔵弾性率、前記23℃での貯蔵弾性率を120℃で測定される貯蔵弾性率で除した時の値を有し、その結果、23℃における高い接着力と、120℃に加熱することによって被着体から容易に剥離できるレベルにまで接着力を低下させるうえで好ましく、前記ジブロック共重合体を前記ゴム系ブロック共重合体(a1)全体に対して10質量%〜90質量%の範囲で含有するものを使用することがより好ましく、15質量%〜80質量%の範囲で使用することがさらに好ましく、20質量%〜75質量%の範囲で使用することが特に好ましい。
【0022】
前記ゴム系ブロック共重合体(a1)としては、スチレン系ブロック共重合体を使用することが好ましい。前記スチレン系ブロック共重合体は、ポリスチレン単位とポリオレフィン単位とを有するトリブロック共重合体、ジブロック共重合体、または、それらの混合物を指す。
【0023】
前記ポリスチレン単位は、粘着剤層(A)の弾性率を高め、優れた凝集力の発現に寄与するとともに、120℃下では急激に軟化し、接着力を低下させることに寄与する。
【0024】
前記スチレン系のブロック共重合体としては、例えばポリスチレン−ポリ(イソプロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(イソプロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン/ブチレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体等を使用することができる。なかでも、前記スチレン系のブロック共重合体としては、ポリスチレン単位(a1)とポリイソプレン単位(a2)とを有するブロック共重合体を使用することが好ましく、ポリスチレン−ポリ(イソプロピレン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック共重合体、ポリスチレン−ポリ(ブタジエン)ブロック−ポリスチレン共重合体、を使用することが、2以上の被着体を十分に固定できるレベルの接着力を備え、かつ、必要なときに加熱することによって被着体から容易に剥離できるレベルにまで接着力を低下させることのできる易剥離型粘着テープを得るうえでより好ましい。
【0025】
前記ゴム系ブロック共重合体(a1)としては、優れた接着力と、加熱による剥離性とをより一層向上させるうえで、1万〜80万の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、5万〜50万の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましく、15万〜45万の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することがさらに好ましい。
【0026】
前記粘着剤層(A)としては、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)の他に、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)を含有するものを使用する。
【0027】
前記テルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)としては、従来知られたテルペンモノマーとフェノールとの共重合体のうち、軟化点100℃〜125℃のものを選択し使用することが、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)との相溶性を向上させ、その結果、優れた熱剥離性と優れた定荷重保持力とを両立するうえで好ましい。
【0028】
前記テルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)は、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して60質量部〜120質量部の範囲で使用する。これにより、常温を含むおよそ60℃以下の環境下において被着体のズレ等を引き起こさないレベルの優れた定荷重保持力を有し、かつ、加熱するだけで急激に接着力を低下させ被着体から剥離できる特性を両立した粘着テープを得ることができる。
【0029】
前記テルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)は、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して60質量部〜100質量部の範囲で使用することが好ましい。
【0030】
特に、前記テルペンフェノール系粘着付与樹脂(a2)は、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)100質量部に対して60質量部を超えて使用することが、単に加熱によって被着体から粘着テープを容易に剥離できるだけでなく、常温を含むおよそ60℃以下の環境下において被着体のズレ等を引き起こさないレベルの優れた定荷重保持力を保持した粘着テープを得るうえで65質量部〜90質量部の範囲で使用することがより好ましく、70質量部〜80質量部の範囲で使用することが特に好ましい。
【0031】
また、粘着付与樹脂としては、前記したもののほかに、室温で液状の粘着付与樹脂を使用することもできる。前記液状の粘着付与樹脂としては、例えばプロセスオイル、ポリエステル系粘着付与樹脂、ポリブテン等の低分子量の液状ゴムが挙げられる。
【0032】
前記液状の粘着付与樹脂は、前記粘着付与樹脂の全量に対して3質量%〜30質量%の範囲で使用することが、被着面への濡れ性をより一層向上させるうえで好ましい。
【0033】
また、前記粘着剤層(A)としては、前記したものの他に、必要に応じて赤外線吸収剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、ガラスやプラスチック製の繊維、バルーン、ビーズ、金属粉末等の充填剤、顔料、増粘剤等を含有するものを使用することができる。
【0034】
特に、前記赤外線吸収剤は、本発明の易剥離型粘着テープに活性エネルギー線やレーザー光線等を照射し前記粘着テープを局所的に加熱することで、被着体である部品から剥離する場合に、好適に使用することができる。
【0035】
前記赤外線吸収剤としては、例えばカーボンブラックや複合酸化物顔料などの無機顔料;フタロシアニン系顔料、レーキ顔料、多環式系顔料などの有機顔料、各種染料など公知のもの適宜使用することができる。
【0036】
前記赤外線吸収剤は、前記粘着剤層(A)の全量に対して0.01質量%〜20質量%の範囲で含まれることが好ましい。
【0037】
前記熱膨張性バルーンは、本発明の易剥離型粘着テープを加熱し被着体から剥離する場合に弱い力で剥離することができるため、好適に使用することができる。
【0038】
前記熱膨張性バルーンは、例えば、「マツモトマイクロスフェア」(商品名、松本油脂製薬(株)製)、「マイクロスフィアーエクスパンセル」(商品名、日本フィライト(株)製)、「ダイフォーム」(商品名、大日精化工業(株)製)などの市販品を使用することもできる。
【0039】
前記熱膨張性バルーンの含有量(配合量)は、常温を含むおよそ60℃以下の環境下において被着体のズレ等を引き起こさないレベルの優れた定荷重保持力を有し、かつ、加熱するだけで急激に接着力を低下させ被着体から剥離できる特性を両立した粘着テープを得るうえで、前記ゴム系ブロック重合体(a1)100質量部に対して、1質量部〜100質量部であることが好ましく、3質量部〜50質量部であることがより好ましく、5質量部〜30質量部であることがさらに好ましい。
【0040】
前記易剥離型粘着テープとしては、例えば前記基材の片面側に設けられた前記粘着剤層(A)の厚さが30μm以上であるものを使用することが好ましく、50μm〜120μmであるものを使用することが、凝集力に優れ、常温を含むおよそ60℃以下の環境下において被着体のズレ等を引き起こさないレベルの優れた定荷重保持力を有し、かつ、加熱するだけで急激に接着力を低下させ被着体から剥離できる特性を両立した粘着テープを得るうえでより好ましい。
【0041】
前記易剥離型粘着テープとしては、例えば前記基材の両面側に設けられた前記粘着剤層(A)の合計の厚さが90μm以上であるものを使用することが好ましく、90μm〜300μmの範囲であることがより好ましく、100μm〜250μmの範囲であることがさらに好ましく、100μm〜210μmの範囲であることが、凝集力に優れ、常温を含むおよそ60℃以下の環境下において被着体のズレ等を引き起こさないレベルの優れた定荷重保持力を有し、かつ、加熱するだけで急激に接着力を低下させ被着体から剥離できる特性を両立した粘着テープを得るうえでより好ましい。
【0042】
本発明の易剥離型粘着テープとしては、前記したとおり、基材の片面または両面に、直接または他の層を介して前記粘着剤層(A)を有する粘着テープを使用することができる。
【0043】
前記基材としては、例えば不織布基材や樹脂フィルム基材等を使用することができる。なかでも、前記基材としては、赤外線の吸収性に優れる基材(赤外線吸収性基材)を使用することが好ましい。なかでも、前記赤外線吸収性基材としては、赤外線吸収性無機フィラー、有機色素、無機色素、染料、顔料を含有した樹脂フィルムや、樹脂フィルム上に赤外線吸収層を設けたものが挙げられる。なかでも、前記赤外線吸収性基材としては、黒色の基材を使用することが、前記粘着テープに好適な吸熱性や蓄熱性を与え、活性エネルギー線やレーザー光線等を照射した際に、前記粘着テープを局所的に昇温させることができるため、前記照射時間を短縮することができ、その結果、2以上の被着体を解体する工程や、被着体から粘着テープを剥離する工程の作業効率を格段に向上させることができるため好ましい。
【0044】
前記黒色基材としては、黒色であれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂基材に黒インキ層を印刷したもの、樹脂と黒顔料とを練りこみフィルム状に成形したもの、不織布基材に黒顔料を分散させたものなどが挙げられる。
【0045】
前記基材としては、4μm〜100μmの厚さのものを使用することが好ましく、10μm〜75μmの厚さのものを使用することが、易剥離型粘着テープの良好な加工性と、被着体への優れた追従性を付与する効果を奏するうえでより好ましい。
【0046】
前記樹脂フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート基材等を使用することができる。また、前記樹脂フィルム基材としては、前記粘着剤層(A)の投錨性を向上させるうえで、コロナ処理やアンカーコート処理が施されたものを使用することができる。
【0047】
本発明の易剥離型粘着テープは、例えば前記基材の片面または両面に、ロールコーターやダイコーター等を用いて、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)等を含有する粘着剤を塗布及び乾燥し粘着剤層(A)を形成することによって製造することができる。また、前記易剥離型粘着テープは、予め、離型ライナーの表面に、ロールコーター等を用いて、前記ゴム系ブロック共重合体(a1)等を含有する粘着剤を塗布し、乾燥することによって粘着剤層(A)を形成し、次いで、前記粘着剤層(A)を、前記基材の片面または両面に貼り合せる転写法によって製造することができる。
【0048】
本発明の易剥離型粘着テープは、高い接着力を有するため、例えば粘着テープが狭幅に限られる場合であっても、前記透明天板ときょう体とを強固に接合することができる。
【0049】
本発明の易剥離型粘着テープは、もっぱら、コピー機能やスキャン機能を備えた複写機や複合機等の電子機器を構成する透明天板と、そのきょう体との固定に使用できる。
【0050】
前記透明天板としては、一般のコピー機能やスキャン機能を搭載した複写機や複合機に設置される透明天板を使用することができる。
【0051】
前記透明天板としては、例えばガラスまたはプラスチックからなる透明板状剛体を使用することができる。前記プラスチックとしては、例えばアクリル板、ポリカーボネート板等を使用することができる。
【0052】
前記透明天板としては、それが設置される複写機等の形状に合ったものを使用できるが、通常は、正方形または長方形であるものを使用することが好ましい。
【0053】
前記粘着テープは、例えば長方形の前記透明天板であれば、対向する2辺の端部に沿って、貼付されることが好ましい。その際、前記粘着テープは、前記透明天板の辺の長さに対応した覆記載に裁断したものを使用できるが、例えば幅が0.5mm〜20mmで、長さが0.1mm〜2.0mmであるものを使用することが好ましい。
【0054】
前記透明天板ときょう体との分離は、例えば、前記透明天板側から熱風、活性エネルギー線またはレーザー光線を当てて加熱する方法が挙げられる。
【0055】
前記活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、可視光線、α線、β線、ガンマ線等が挙げられ、市販される携帯型のハロゲンヒーター、紫外線照射装置等を使用することができる。前記レーザー光線としては、市販されるレーザー照射装置によって照射可能なものが挙げられる。前記熱風、活性エネルギー線やレーザー光線がテープに照射されることによって、前記粘着テープを構成する粘着剤層(A)が、加熱され、軟化することによって、前記透明天板ときょう体とを容易に分離することができる。なかでも、携帯型のハロゲンヒーターを用いることが、物品の解体作業時の作業効率と狭い作業スペースでも容易に、かつ、短時間でテープを加熱できることから好ましい。
【0056】
また、本発明の易剥離型粘着テープは、もっぱら、携帯電子機器を構成する部材の固定に使用することができる。前記部材としては、例えば電子機器を構成する2以上のきょう体またはレンズ部材が挙げられる。
【0057】
前記携帯電子機器としては、例えば前記部材としてきょう体と、レンズ部材またはその他きょう体の一方とが、前記易剥離型粘着テープを介して接合された構造を有するものが挙げられる。
【0058】
前記部材の固定は、例えば、前記きょう体またはレンズ部材の一方と、他方のきょう体またはレンズ部材とを、前記易剥離型粘着テープを介して積層した後、一定期間養生させる方法が挙げられる。
【0059】
また、前記部材の固定は、前記きょう体またはレンズ部材の一方と、他方のきょう体またはレンズ部材とを、前記易剥離型粘着テープを介して積層した後、活性エネルギー線またはレーザー光線を照射する方法が挙げられる。
【0060】
前記活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、可視光線、α線、β線、ガンマ線等が挙げられる。
【0061】
また、前記レーザー光線としては、市販されるレーザー照射装置によって照射可能なものが挙げられる。
【0062】
前記活性エネルギー線やレーザー光線は、前記部材の一部または全部が透明である場合には、前記部材を介して前記易剥離型粘着テープに照射してもよい。
【0063】
前記活性エネルギー線やレーザー光線が照射されることによって、前記易剥離型粘着テープを構成する粘着剤層が、軟化、発熱、または、架橋等することによって、部材をより一層強固に接合することができる。
【0064】
前記粘着テープを用いて接合された携帯電子機器は、優れた接着力を有し、かつ、防水性にも優れることから、産業界で好適に使用することが可能である。
【0065】
以下に実施例により具体的に説明する。
【0066】
(実施例1)
重量平均分子量30万のスチレン−ブタジエンブロック共重合体S(トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物。前記混合物の全量に対する前記ジブロック共重合体の占める割合は50質量%。前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の全体に占めるポリスチレン単位の質量割合は30質量%、ポリブタジエン単位の質量割合は70質量%)100質量部、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)65質量部を混合したものを、トルエンに溶解することによって粘着剤(c1)を得た。
【0067】
前記粘着剤(c1)を、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが60μmとなるように、離型ライナーの表面に塗布し、85℃で5分間乾燥させることによって粘着剤層を形成した。前記粘着剤層を、25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に貼り合せた後、4kgf/cmで加圧しラミネートすることによって、易剥離型粘着テープを作製した。
【0068】
(実施例2)
テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)の使用量を65質量部から75質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして易剥離型粘着テープを作製した。
【0069】
(実施例3)
前記粘着剤(c1)の代わりに、マツモトマイクロスフィアーF−48(松本油脂製薬株式会社製、120℃における熱膨張率が370%、膨張開始温度90℃〜100℃、最大膨張温度125℃〜135℃、平均粒子径(膨張前)9μm〜15μm)17質量部と、上記粘着剤(c1)とを混合して得た粘着剤を使用したこと以外は実施例1と同様にして易剥離型粘着テープを作製した。
【0070】
(実施例4)
スチレン−ブタジエンブロック共重合体Sの代わりにスチレン−ブタジエンブロック共重合体T(トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物。前記混合物の全量に対する前記ジブロック共重合体の占める割合は45質量%。前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の全体に占めるポリスチレン単位の質量割合は27質量%、ポリブタジエン単位の質量割合は73質量%)を使用したこと以外は実施例1と同様にして易剥離型粘着テープを作製した。
【0071】
(比較例1)
テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)の使用量を65質量部から40質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0072】
(比較例2)
テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)の使用量を65質量部から150質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0073】
(比較例3)
テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)の代わりに、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点80℃、分子量500)を使用したこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0074】
(比較例4)
テルペンフェノール系粘着付与樹脂(軟化点115℃、分子量1000)の代わりに、脂肪族系炭化水素樹脂(軟化点145℃、分子量3000)を使用したこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを作製した。
【0075】
(比較例5)
(粘着剤(d)の調製)
攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に表1の
組み合わせのモノマー配合100質量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチ
ルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、80℃で8時間重合してアクリル
共重合体Y溶液を得た。
【0076】
次に、アクリル共重合体Y100質量部に対し、A−100(荒川化学工業(株)製、ロジンエステル系樹脂)を10質量部、D−135(荒川化学工業(株)製、重合ロジンエステル系樹脂)を30質量部を混合し、トルエンで希釈することによって不揮発分45質量%の粘着剤(d)を得た。
【0077】
前記粘着剤(d)100質量部に対し、「コロネートL−45」(日本ポリウレタン工業(株)製、イソシアネート系架橋剤、固形分45質量%)を1.1質量部添加し15分攪拌したものを、アプリケーターを用いて、乾燥後の厚さが60μmになるように、セパレーター上に塗布し、85℃下で5分間乾燥することによって粘着剤層を形成した。
【0078】
次に、上記粘着剤層を厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に貼りあわせた後、4kgf/cmで加圧しラミネートすることによって粘着テープを作製した。
【0079】
〔粘着剤層の動的粘弾性測定〕
実施例及び比較例の粘着テープの製造に使用した粘着成分(ゴム系ブロック共重合体またはアクリル系共重合体と粘着付与樹脂との合計)を、アプリケーターを用いて乾燥後の厚さが100μmとなるように、離型ライナーの表面に塗布し、85℃で5分間乾燥させることによって、厚さ100μmの粘着剤層を、それぞれ複数枚形成した。
【0080】
次に、同一の粘着剤を用いて得た粘着剤層を重ねあわせることによって、厚さ2mmの粘着剤層からなる試験片を、それぞれ作成した。
【0081】
ティ・エイ・インスツルメントジャパン社製の粘弾性試験機(アレス2kSTD)に、直径7.9mmのパラレルプレートを装着した。前記試験片を、前記パラレルプレートで圧縮荷重40〜60gで挟み込み、周波数1Hz、温度領域−60〜150℃、及び、昇温速度2℃/minの条件で、23℃下での貯蔵弾性率(G23)及び120℃下での貯蔵弾性率(G120)を測定した。
【0082】
〔23℃下での貯蔵弾性率(G23)及び120℃下での貯蔵弾性率(G120)の割合〕
前記方法で測定した120℃下での貯蔵弾性率(G120)に対する、23℃下での貯蔵弾性率(G23)の割合を算出した。
【0083】
〔定荷重保持力の評価方法〕
前記粘着テープの片面を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて裏打ちし、幅10mm及び長さ70mmに裁断することによって試験テープを作製した。前記試験テープのうち長さ50mmの範囲を、ステンレス板に貼付し、2kgのローラーを用い1往復加圧しそれらを接着した。前記接着したものを、23℃及び50%RHの雰囲気下に1時間放置した後、剥離方向に対して90°の方向に300gの荷重をかけ、3時間放置後、前記試験テープがSUS板からの剥がれ距離を測定し、以下の基準に従って評価した。なお、上記した定荷重保持力の評価方法は、外部から試験テープに変形応力が長時間加わった場合を想定した代用評価方法であり、剥がれ距離が長いほど定荷重保持力に優れることを表す。表中の値は、3時間放置後の剥がれ距離(mm)を示した。
【0084】
〔接着力の評価方法(180度引き剥がし接着力)〕
180度引き剥がし接着力は、JIS Z 0237に従い測定した。具体的には、実施例及び比較例で得た粘着テープの一方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)で裏打ちした。
【0085】
前記裏打ちした粘着テープを幅20mm幅に切断した後、他方の面の離型ライナーを剥がし、その粘着剤層に透明ポリカーボネート板に貼り合わせたものを試験片とした。
【0086】
前記試験片を、23℃及び50%RH環境下で30分放置した後、23℃と120℃の温度環境下それぞれで、テンシロン引張試験機[株式会社エーアンドデイ製、型式:RTM−100]を用い、前記試験片を構成する両面粘着テープを、ポリカーボネート板から、180度方向に300mm/分の速度で引き剥がした際の接着力を測定した。
【0087】
〔易剥離性の評価〕
実施例及び比較例で得た粘着テープを長さ50及び巾5mmの短冊状に二つ裁断した。前記裁断した粘着テープ1を、長さ50mm、巾40mm、厚さ0.4mmの透明ガラス板2の長辺の両端に貼付したものを試験部材とした。
【0088】
次に、長さ100mm、巾100mm及び厚さ2mmの直方体である白色のアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂とポリカーボネート樹脂とからなるポリマーアロイ製樹脂板3のおよそ中央部に、前記試験部材の粘着テープ側の面を貼付し、プレス機を用いて80N/cmで10秒加圧した後、前記加圧状態を解き、85℃の環境下で24時間静置することによって積層体4を作製した。
【0089】
次に、試験温度環境23℃の条件下、ヒートテック社の製携帯型ハロゲンヒーター(100V電源出力)を用い、積層体4までの照射距離10mm、照射時間5秒、10秒、15秒の条件で、積層体4のガラス板側から、赤外線波長域の光を照射した。
【0090】
前記照射後、前記積層体4を23℃下に5秒放置した。前記放置後、積層体4を構成する透明ガラス板2を、せん断方向に引き剥がした際の剥がしやすさを、下記基準にしたがって評価した。
【0091】
評価基準
○:積層体4を構成する透明ガラス板2を、そのせん断方向に親指一本で押し込むことによって、前記積層体4から透明ガラス板2を分離することができた。
【0092】
△:積層体4を構成する透明ガラス板2を手で掴み、そのせん断方向に力一杯に引っ張ることで、前記積層体4から透明ガラス板2を分離することができた。
【0093】
×:積層体4を構成する透明ガラス板2を手で掴み、そのせん断方向に力一杯に引っ張っても、前記積層体4から透明ガラス板2を分離することができなかった。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【符号の説明】
【0096】
1 裁断した粘着テープ
2 透明ガラス板
3 アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂とポリカーボネート樹脂とからなるポリマーアロイ製樹脂板
図1