(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保護絶縁層に被覆された前記接続端子の側面の表面粗度は、前記保護絶縁層から露出された前記接続端子の側面及び上面の表面粗度よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板。
前記第1傾斜部には、前記頂部から前記接続端子に向かって延びる複数の筋状の突起部が並んで形成され、筋状の凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の配線基板。
前記保護絶縁層を薄化する工程の後であって、前記表面処理層を形成する工程の前に、前記保護絶縁層から露出された前記接続端子の側面及び上面を、前記保護絶縁層に被覆された前記接続端子の側面よりも表面粗度の小さい低粗度面に形成する工程を有する請求項8に記載の配線基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。
【0010】
まず、配線基板10の構造について説明する。
図1(a)に示すように、配線基板10は、配線基板10の厚さ方向の中心付近に設けられた基板本体20を有している。基板本体20は、コア基板21と、コア基板21を厚さ方向に貫通する貫通孔21Xに形成された貫通電極22と、コア基板21の上面及び下面にそれぞれ積層され、貫通電極22を介して互いに電気的に接続された配線23,24とを有している。また、基板本体20は、配線23を被覆するようにコア基板21の上面に形成された絶縁層25と、配線24を被覆するようにコア基板21の下面に形成された絶縁層26とを有している。
【0011】
ここで、コア基板21の材料としては、例えば、ガラス、アラミド、LCP(Liquid Crystal Polymer)繊維の織布や不織布などの補強材に、エポキシ系やポリイミド系の熱硬化性樹脂を含浸させた補強材入りの絶縁性樹脂を用いることができる。貫通電極22及び配線23,24の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。絶縁層25,26の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの有機樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
【0012】
絶縁層26の下面には、配線層30が積層されている。配線層30は、絶縁層26を厚さ方向に貫通するビア配線と、そのビア配線を介して配線24と電気的に接続され、絶縁層26の下面に積層された配線パターンとを有している。
【0013】
絶縁層26の下面には、配線層30の一部を被覆するソルダレジスト層32が積層されている。ソルダレジスト層32の材料としては、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層32には、配線層30の下面の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための複数の開口部32Xが形成されている。外部接続用パッドP1には、配線基板10をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用される外部接続端子96(
図2(a)参照)が接続されるようになっている。
【0014】
なお、必要に応じて、開口部32Xから露出する配線層30(外部接続用パッドP1)上に表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。また、外部接続用パッドP1の表面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して表面処理層を形成するようにしてもよい。例えば、OSP処理を施した場合には、外部接続用パッドP1の表面に、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜による表面処理層が形成される。なお、開口部32Xから露出する配線層30(又は、配線層30上に表面処理層が形成されている場合には、その表面処理層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0015】
一方、絶縁層25の上面には、配線層40が積層されている。配線層40は、絶縁層25を厚さ方向に貫通するビア配線と、そのビア配線を介して配線23と電気的に接続され、絶縁層25の上面に積層された配線パターンとを有している。
【0016】
絶縁層25の上面には、配線層40を被覆する絶縁層42が積層されている。絶縁層42の材料としては、例えば、フェノール樹脂やポリイミド樹脂等の感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層42は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。また、絶縁層42の材料としては、感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂に限らず、例えば、絶縁層25,26と同じ絶縁性樹脂を用いてもよい。
【0017】
絶縁層42には、所要の箇所に、当該絶縁層42を厚さ方向に貫通して配線層40の上面の一部を露出する貫通孔42Xが形成されている。ここで、貫通孔42Xは、
図1(a)において下側(コア基板21側)から上側に向かうに連れて径が大きくなるテーパ状に形成されている。例えば、貫通孔42Xは、上側の開口端の開口径が下側の開口端の開口径よりも大径となる略逆円錐台形状に形成されている。
【0018】
絶縁層42の上面42Aには、配線層50が積層されている。配線層50は、貫通孔42X内に形成されたビア配線51と、絶縁層42の上面42Aから上方に突出する接続端子52とを有している。
【0019】
ビア配線51は、例えば、貫通孔42Xに充填されている。このため、ビア配線51は、貫通孔42Xと同様の形状に形成されている。接続端子52は、例えば、絶縁層42の上面42Aから上方に延びるように形成された柱状の接続端子(金属ポスト)である。接続端子52は、例えば、ビア配線51と一体に形成されている。接続端子52は、電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。なお、ビア配線51及び接続端子52の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0020】
絶縁層42の上面42Aには、接続端子52の側面の一部に接し、その接続端子52の側面の一部を被覆する保護絶縁層70が積層されている。保護絶縁層70は、例えば、接続端子52から露出する絶縁層42の上面42A全面を被覆するように形成されている。また、保護絶縁層70は、各接続端子52の上端部、具体的には各接続端子52の上面及び各接続端子52の上面側の側面を露出するように形成されている。
【0021】
保護絶縁層70の材料としては、例えば、下層の絶縁層42と同一の材料を用いることができる。この保護絶縁層70の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等の感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。保護絶縁層70の材料としては、下層の絶縁層42と同一の材料に限らず、例えば、ソルダレジスト層32と同一の材料を用いることもできる。
【0022】
保護絶縁層70から露出された接続端子52の側面及び上面には、表面処理層80が形成されている。表面処理層80は、例えば、保護絶縁層70から露出された接続端子52の側面全面及び上面全面を被覆するように形成されている。また、表面処理層80は、保護絶縁層70の上面の一部を被覆するように形成されている。この表面処理層80は、接続端子52の表面の酸化等を防止する機能を有している。また、表面処理層80は、電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
【0023】
次に、
図1(b)に従って、配線層50、保護絶縁層70及び表面処理層80の構造について詳述する。
配線層50は、貫通孔42Xの内面(つまり、貫通孔42Xの内側面及び貫通孔42Xの底部に露出する配線層40の上面)と、絶縁層42の上面42Aとを連続的に被覆するシード層60を有している。本例のシード層60は、貫通孔42Xの内面と絶縁層42の上面42Aとを連続的に被覆する金属膜61と、その金属膜61の上面を被覆する金属膜62とが順に積層された2層構造のシード層である。金属膜61は、例えば、その側面が接続端子52及び金属膜62の側面よりも外側に突出するように形成されている。すなわち、平面視において、金属膜61の外形が、接続端子52や金属膜62の外形よりも大きく形成されている。
【0024】
金属膜61及び金属膜62としては、例えば、スパッタ法により形成された金属膜(スパッタ膜)を用いることができる。金属膜61は、例えば、金属膜62やビア配線51(例えば、Cu層)から絶縁層42にCuが拡散することを抑制する金属バリア膜として機能する。金属膜61の材料としては、金属膜62を構成する金属(例えば、Cu)よりも絶縁層42との密着性が高い金属であることが好ましい。また、金属膜61の材料としては、金属膜62を構成する金属(例えば、Cu)よりも耐腐食性の高い金属であることが好ましい。このような金属膜61の材料としては、例えば、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)を用いることができる。また、金属膜62の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。なお、金属膜61の厚さは例えば20〜50nm程度とすることができ、金属膜62の厚さは例えば100〜300nm程度とすることができる。
【0025】
ビア配線51は、金属膜62上に形成されている。例えば、ビア配線51は、シード層60よりも内側の貫通孔42Xを充填するように形成されている。なお、ここでは、シード層60とビア配線51とを別に説明したが、貫通孔42Xに形成されたシード層60とビア配線51とを合わせてビア配線51と呼ぶ場合もある。
【0026】
接続端子52は、絶縁層42の上面42Aに形成されたシード層60上及びビア配線51上に形成されている。接続端子52は、例えば、略円柱状に形成されている。接続端子52の高さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。接続端子52の直径は、例えば、20〜30μm程度とすることができる。接続端子52のピッチは、例えば、40〜60μm程度とすることができる。なお、ここでは、シード層60と接続端子52とを別に説明したが、絶縁層42の上面42A上に形成されたシード層60と接続端子52とを合わせて接続端子52と呼ぶ場合もある。
【0027】
接続端子52の側面は、例えば、その一部が粗化面に形成されている。具体的には、保護絶縁層70によって被覆された接続端子52の側面は粗化面52Rに形成されている。また、金属膜62の側面は粗化面62Rに形成されている。その一方で、保護絶縁層70から露出された接続端子52の側面及び上面は、粗化面52R,62Rよりも粗度の小さい低粗度面52Sに形成されている。また、金属膜61の側面全面は、粗化面52R,62Rよりも粗度の小さい低粗度面61Sに形成されている。
【0028】
ここで、粗化面52R,62Rは、保護絶縁層70との密着性の観点から、低粗度面52Sよりも表面粗度が大きく、且つ配線層40の上面よりも表面粗度が大きくなるように設定されている。粗化面52R,62Rの表面粗度は、表面粗さRz値で例えば2000〜4000nm程度とすることができる。また、低粗度面52S,61Sの表面粗度は、表面粗さRz値で例えば500〜1000nm程度とすることができる。ここで、表面粗さRz値とは、表面粗さを表わす数値の一種であり、十点平均粗さと呼ばれるものである。具体的には、表面粗さRz値とは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値とを合算した値のことである。
【0029】
保護絶縁層70は、金属膜61の側面(平滑面61S)全面と、金属膜62の側面(粗化面62R)全面と、接続端子52の下方側の側面(粗化面52R)全面とに接し、それらの面を被覆するように形成されている。また、保護絶縁層70は、接続端子52の低粗度面52Sを露出するように形成されている。
【0030】
保護絶縁層70の上面には、各接続端子52の周囲に、山なりに盛り上がる山部71が形成されている。すなわち、山部71は、各接続端子52に近接した位置に設けられている。山部71は、例えば、平面視において、接続端子52を取り囲むように形成されている。例えば、山部71は、接続端子52の外周に沿った周囲に環状に形成されている。この山部71は、頂部72と、頂部72から近接する接続端子52に向かって下方に傾斜する傾斜部73と、頂部72から、近接する接続端子52から離間する方向に向かって下方に傾斜する傾斜部74とから構成されている。
【0031】
頂部72の断面形状は特に限定されない。本例の頂部72は、例えば、断面視において丸まった形状に形成されている。これに限らず、頂部72を、断面視において針のように尖った形状に形成してもよいし、平坦な面を有する形状に形成してもよい。
【0032】
傾斜部73は、例えば、湾曲状に傾斜するように形成されている。この傾斜部73の表面と保護絶縁層70から露出された接続端子52の側面とによって構成された凹部70Xが、頂部72と接続端子52の側面との間に形成されている。凹部70Xは、例えば、頂部72から湾曲状に凹むように形成されている。傾斜部74は、例えば、湾曲状に傾斜するように形成されている。隣接する接続端子52の間では、隣接する山部71の傾斜部74によって凹部70Yが形成されている。凹部70Yは、例えば、頂部72から湾曲状に凹むように形成されている。この凹部70Yの底面は、例えば、平坦な面を有する形状であってもよい。なお、傾斜部73,74を、断面視において直線状に傾斜するように形成してもよい。
【0033】
ここで、凹部70Xの幅は、例えば、2〜5μm程度とすることができる。また、凹部70Xの深さは、例えば、1〜3μm程度の深さとすることができる。凹部70Yの深さは、例えば、2〜5μm程度とすることができる。
【0034】
表面処理層80は、保護絶縁層70から露出された接続端子52の表面(上面及び側面)全面を被覆するとともに、保護絶縁層70における傾斜部73と頂部72と傾斜部74の一部とを被覆するように形成されている。すなわち、表面処理層80は、保護絶縁層70の上面のうち、傾斜部73の接続端子52側の端部から傾斜部74の中途までを被覆するように形成されている。換言すると、表面処理層80は、山部71の山なりに盛り上がる部分を覆うように形成されている。表面処理層80は、例えば、凹部70Xを充填するように形成されている。
【0035】
本例の表面処理層80は、接続端子52の表面から、金属層81と、金属層82と、金属層83とが順に積層された3層構造のめっき層である。
金属層81は、保護絶縁層70から露出された接続端子52の側面全面及び上面全面を被覆するとともに、保護絶縁層70における傾斜部73と頂部72と傾斜部74の一部とを被覆するように形成されている。金属層81は、例えば、凹部70Xを充填するように形成されている。
【0036】
金属層81は、例えば、接続端子52に含まれるCuが金属層82,83に拡散するのを防止する機能を有する。金属層81は、上述した拡散防止効果、接続端子52の腐食を防止する耐腐食性効果、及び金属層82や保護絶縁層70との密着性などの特性を考慮して、材料組成や厚さが設定される。金属層81の材料としては、例えば、Niを含む金属材料を用いることができる。すなわち、金属層81の材料としては、例えば、NiやNi合金を用いることができる。金属層81の厚さは、例えば、凹部70Xの幅よりも厚く設定されている。例えば、金属層81の厚さは、3〜7μm程度とすることができる。
【0037】
金属層82は、金属層81の表面全面を被覆するように形成されている。金属層82は、保護絶縁層70の傾斜部74の一部を被覆するに形成されている。金属層82の材料としては、例えば、Pd又はPd合金を用いることができる。金属層82の厚さは、例えば、0.1〜0.5μm程度とすることができる。
【0038】
金属層83は、金属層82の表面全面を被覆するように形成されている。金属層83は、保護絶縁層70の傾斜部74の一部を被覆するように形成されている。金属層83の下面は、傾斜部74の上面(傾斜面)と接するように形成されている。金属層83の材料としては、例えば、接続端子52を構成する金属(Cu)よりも酸化し難い金属を用いることができる。例えば、金属層83の材料としては、AuやAu合金を用いることができる。金属層83の厚さは、例えば、0.1〜0.3μm程度とすることができる。
【0039】
以上説明した金属層81〜83の下面は、傾斜部73と頂部72と傾斜部74の一部との形状に沿った形状に形成されている。このため、傾斜部74を被覆する金属層81〜83の下面は、金属層83の最外縁部(つまり、表面処理層80の最外縁部)から頂部72に向かって、上方に傾斜するように形成されている。この傾斜角度は、絶縁層42の上面42Aと平行な水平面に対して鋭角となるように設定されている。
【0040】
また、金属層81〜83からなる表面処理層80の最表面(ここでは、金属層83の側面及び上面)は、接続端子52の低粗度面52Sに沿った形状に形成されている。このため、表面処理層80の側面及び上面は、低粗度面52Sと同様に、粗化面52Rよりも粗度の小さい低粗度面80Sに形成されている。低粗度面80Sの粗度は、表面粗さRz値で例えば500〜1000nm程度とすることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、表面処理層80として、接続端子52の表面から、ニッケル層(Ni層)である金属層81と、パラジウム層(Pd層)である金属層82と、金層(Au層)である金属層83とを順に積層しためっき層を採用した。これに限らず、表面処理層80として、例えば、接続端子52の表面から、Ni層とAu層とを順に積層しためっき層、Ni層とPd層と銀(Ag)層とを順に積層しためっき層、Ni層とPd層とAg層とAu層とを順に積層しためっき層を採用することができる。また、表面処理層80として、例えば、OSP処理を施して形成したOSP膜を採用することもできる。OSP膜としては、例えば、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜を用いることができる。
【0042】
次に、
図2に従って、半導体装置90の構造について説明する。
図2(a)に示すように、半導体装置90は、配線基板10と、1つ又は複数(ここでは、1つ)の半導体チップ91と、アンダーフィル材95と、外部接続端子96とを有している。
【0043】
半導体チップ91は、配線基板10にフリップチップ実装されている。すなわち、半導体チップ91の回路形成面(ここでは、下面)に配設された接続端子92を、はんだ層93を介して配線基板10の表面処理層80に接合することにより、半導体チップ91は、接続端子92及びはんだ層93を介して表面処理層80及び配線層50と電気的に接続されている。
【0044】
ここで、半導体チップ91としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体チップ91としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることができる。なお、配線基板10に複数の半導体チップ91を搭載する場合には、ロジックチップとメモリチップとを組み合わせて配線基板10に搭載するようにしてもよい。
【0045】
接続端子92としては、例えば、金属ポストを用いることができる。この接続端子92は、半導体チップ91の回路形成面から下方に延びる柱状の接続端子である。本例の接続端子92は、例えば、円柱状に形成されている。接続端子92の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。なお、接続端子92としては、金属ポストの他に、例えば金バンプを用いることもできる。
【0046】
図2(b)に示すように、はんだ層93は、表面処理層80に接合されるとともに、接続端子92に接合されている。はんだ層93は、例えば、金属層83の表面(側面及び上面)、つまり表面処理層80の最表面(低粗度面80S)を被覆するように形成されている。このとき、金属層83内のAuがはんだ層93に拡散して金属層83が消失し、金属層82が表面処理層80の最表面となっている場合もある。この場合には、はんだ層93は、金属層82の上面及び側面を被覆するように形成される。なお、はんだ層93としては、例えば、鉛フリーはんだのはんだめっきを用いることができる。はんだめっきの材料としては、例えば、Sn−銀(Ag)系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Bi系の鉛フリーはんだを用いることができる。
【0047】
図2(a)に示すように、アンダーフィル材95は、配線基板10と半導体チップ91との隙間を充填するように設けられている。アンダーフィル材95の材料としては、例えば、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0048】
外部接続端子96は、配線基板10の外部接続用パッドP1上に形成されている。この外部接続端子96は、例えば、図示しないマザーボード等の実装基板に設けられたパッドと電気的に接続される接続端子である。外部接続端子96としては、例えば、はんだボールやリードピンを用いることができる。本実施形態では、外部接続端子96として、はんだボールを用いている。
【0049】
次に、配線基板10及び半導体装置90の作用について説明する。
まず、
図13に従って、比較例の配線基板200について説明する。
図13(a)に示すように、配線基板200は、配線層201を被覆する絶縁層202と、絶縁層202を厚さ方向に貫通するビア配線203と、そのビア配線203を介して配線層201と電気的に接続され、絶縁層202の上面202Aから上方に突出する接続端子204とを有している。配線基板200は、接続端子204の側面の一部を被覆するように絶縁層202の上面202Aに形成された保護絶縁層205と、保護絶縁層205から露出された接続端子204の表面を被覆する表面処理層206とを有している。保護絶縁層205の上面は、下層の絶縁層202の上面202Aと略平行になるように平坦に形成されている。接続端子204の側面を被覆する表面処理層206は、保護絶縁層205の上面に対して略垂直に延びるように形成されている。このとき、
図13(b)に示すように、配線基板200では、表面処理層206と保護絶縁層205との密着性が悪いため、表面処理層206の下面と保護絶縁層205の上面との間に隙間S1が形成されている。
【0050】
このような配線基板200の表面処理層206には、例えば、半導体チップの接続端子207及びはんだ層208がフリップチップ接続される。このフリップチップ接続の際に、溶融状態のはんだ層208は、表面張力により、表面処理層206の側面に集まり、その表面処理層206の側面の下端と保護絶縁層205との境界部分を断面視円弧状に覆うように丸くなる。さらに、このはんだ層208は、表面処理層206の下面と保護絶縁層205の上面との間に形成された隙間S1に侵入する。このとき、隙間S1は、表面処理層206の側面の下端と保護絶縁層205との境界部分から略水平に延びるように形成されている。このため、表面張力(毛細管現象)により、はんだ層208が隙間S1内に侵入しやすくなる。このはんだ層208が隙間S1に充填されると、接続端子204(例えば、Cu層)との間にエレクトロマイグレーションが発生し、はんだ層208と表面処理層206及び接続端子204との接続信頼性が低下するという問題がある。
【0051】
これに対し、
図2(b)に示すように、本実施形態の配線基板10では、保護絶縁層70の上面に、山なりに盛り上がる山部71を形成した。また、保護絶縁層70から露出された接続端子52の表面を被覆する表面処理層80を、山部71の傾斜部73と頂部72と傾斜部74の一部とを被覆するように形成した。このため、表面処理層80の下面は、傾斜部73と頂部72と傾斜部74の一部との形状に沿った形状に形成されている。すなわち、表面処理層80の下面は、表面処理層80の最外縁部から頂部72に向かって上方に傾斜するように形成されている。このため、表面処理層80の下面と保護絶縁層70の上面との間に隙間が形成される場合には、その隙間が、表面処理層80の側面の下端と保護絶縁層70との境界部分から頂部72に向かって上方に傾斜するように形成される。これにより、フリップチップ接続の際に、溶融状態のはんだ層93が、表面処理層80の下面と保護絶縁層70の上面との間に形成された隙間に侵入することを抑制できる。具体的には、半導体装置90では、はんだ層93の表面張力の傾斜部74に沿う方向の成分(つまり、上記隙間が延びる方向に沿う方向の成分)が、配線基板200に比べて小さくなるため、上記隙間にはんだ層93が侵入しにくくなる。さらに、上記隙間は、山部71の形状に沿って、山なりに盛り上がるように形成される。このため、上記隙間の開口端部(つまり、表面処理層80の側面の下端)から接続端子52の側面までの上記隙間の距離(つまり、はんだ層93の侵入経路)が配線基板200に比べて長くなる。したがって、はんだ層93が上記隙間を通じて接続端子52の側面に接する位置まで侵入することを好適に抑制することができる。これにより、はんだ層93と接続端子52との間でエレクトロマイグレーションが発生することを好適に抑制することができる。
【0052】
次に、配線基板10の製造方法について説明する。
図3(a)に示すように、まず、配線層50、保護絶縁層70及び表面処理層80が形成される前段階の配線基板10を準備する。この配線基板10は、公知の製造方法により製造することが可能であるため、その概略について
図3(a)を参照しながら説明する。
【0053】
まず、コア基板21の所要箇所に貫通孔21Xを形成し、その貫通孔21Xの内側面にめっきを施して貫通電極22を形成することで両面を導通させた後、例えばサブトラクティブ法により配線23,24を形成する。次に、コア基板21の上面及び下面にそれぞれ絶縁層25,26を樹脂フィルムの真空ラミネートにより形成し、加熱して硬化させる。なお、ペースト状又は液状の樹脂の塗布と加熱により絶縁層25,26を形成してもよい。続いて、絶縁層25,26にそれぞれ開口部を形成し、必要であればデスミア処理した後、例えばセミアディティブ法により配線層30,40を形成する。次いで、配線層30の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための開口部32Xを有するソルダレジスト層32を絶縁層26の下面に積層する。また、配線層40の上面の一部を露出させるための貫通孔42Xを有する絶縁層42を絶縁層25の上面に積層する。
【0054】
続いて、
図3(b)に示す工程では、絶縁層42の上面42Aと、貫通孔42Xの内側面と、貫通孔42Xの底部に露出する配線層40の上面とを連続的に被覆するシード層60を形成する。このシード層60は、例えば、スパッタ法や無電解めっき法により形成することができる。本例では、シード層60をスパッタ法により形成する。この場合には、まず、
図3(c)に示すように、貫通孔42Xの内側面を含む絶縁層42の上面42A全面及び貫通孔42Xの底部に露出する配線層40の上面全面にチタンをスパッタリングにより堆積させて金属膜61(Ti層)を形成する。その後、金属膜61上に銅をスパッタリングにより堆積させて金属膜62(Cu層)を形成する。これにより、2層構造(Ti層/Cu層)のシード層60を形成することができる。なお、
図3(c)は、
図3(b)に示した構造体のA部(破線枠参照)を拡大した拡大断面図である。
【0055】
次に、
図4(a)に示す工程では、絶縁層42の上面42Aに形成されたシード層60上に、所定の箇所に開口パターン100Xを有するレジスト層100を形成する。開口パターン100Xは、接続端子52(
図1(a)参照)の形成領域に対応する部分のシード層60を露出するように形成される。レジスト層100の材料としては、例えば、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。例えば、レジスト層100の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば、感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、金属膜62の上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口パターン100Xを有するレジスト層100を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層100を形成することができる。
【0056】
続いて、
図4(b)に示す工程では、レジスト層100をめっきマスクとして、シード層60の上面に、そのシード層60をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。具体的には、レジスト層100の開口パターン100Xから露出されたシード層60の上面に電解めっき法(ここでは、電解銅めっき法)を施すことにより、シード層60の上面にビア配線51及び接続端子52を形成する。
【0057】
続いて、
図5(a)に示す工程では、
図4(b)に示したレジスト層100を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。次いで、
図5(b)に示す工程では、接続端子52をエッチングマスクとして、不要なシード層60をエッチングにより除去する。これにより、貫通孔42X内にシード層60及びビア配線51が形成され、そのビア配線51と絶縁層42上に形成されたシード層60との上に接続端子52が形成される。このようにして、シード層60、ビア配線51及び接続端子52を有する配線層50が形成される。
【0058】
次いで、
図6(a)に示す工程では、絶縁層42から露出する配線層50、つまり接続端子52及びシード層60に対して粗化処理を施す。本例では、配線層50のうちCu層(接続端子52及び金属膜62)に対して選択的に粗化処理を施す。この粗化処理により、金属膜62の側面に微細な凹凸が形成され、その金属膜62の側面が粗化面62Rに形成される。また、粗化処理により、接続端子52の上面及び側面に微細な凹凸が形成され、その接続端子52の上面及び側面が粗化面52Rに形成される。例えば、粗化前の接続端子52及び金属膜62の表面の粗度が表面粗さRz値で1000〜2000nm程度であるのに対し、粗化処理により接続端子52及び金属膜62の表面の粗度を表面粗さRz値で2000〜4000nm程度とすることができる。換言すると、本工程では、接続端子52及び金属膜62の表面の粗度が、表面粗さRz値で2000〜4000nmとなるように粗化が行われる。
【0059】
本工程の粗化処理は、例えば、エッチング処理、黒化処理、CZ処理により行うことができる。この粗化処理をエッチング処理で行う場合には、例えば、金属膜61(例えば、Ti層)の表面が粗化されないように、金属膜61に対して接続端子52及び金属膜62(例えば、Cu層)が選択的にエッチングされるようにエッチング液等の条件が設定されている。このため、金属膜61は粗化処理の影響をほとんど受けず、金属膜61の表面は粗面化されずに低粗度面61Sのままである。したがって、粗化処理により接続端子52及び金属膜62の表面の一部がエッチング除去されて接続端子52及び金属膜62の平面形状が小さくなると、金属膜61の外縁部が接続端子52及び金属膜62から露出される。これにより、金属膜61の外縁が、接続端子52や金属膜62の側面よりも外側に突出するように形成される。なお、本工程の粗化処理(エッチング処理)に用いられるエッチング液としては、例えば、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液、塩化アンモニウム銅水溶液などのエッチング液を用いることができる。
【0060】
次に、
図6(b)に示す工程では、絶縁層42の上面42A上に、接続端子52の表面(側面及び上面)全面を被覆する感光性樹脂層101を形成する。感光性樹脂層101は、例えば、絶縁層42の上面42Aに、ワニス状の感光性樹脂をスピンコート法で塗布することによって形成することができる。本実施形態では、感光性樹脂層101の材料として、ポジ型の感光性樹脂を用いる。
【0061】
感光性樹脂層101の厚さは、接続端子52の全体を被覆可能な厚さに設定されている。この感光性樹脂層101の上面は、絶縁層42の上面42Aと接続端子52とによって形成される段差に追従して成膜される。このため、感光性樹脂層101は、接続端子52上で高くなり、隣接する接続端子52の間で低くなるように起伏して形成される。このとき、
図7(a)に示すように、感光性樹脂層101は、配線層50の粗化面62R,52R及び低粗度面61Sに接し、それら粗化面62R,52R及び低粗度面61Sを被覆するように形成される。このため、配線層50の表面全面が平滑面である場合に比べて、配線層50と感光性樹脂層101との密着性を向上させることができる。
【0062】
続いて、
図7(b)に示す工程では、感光性樹脂層101の全面を現像液によって溶解させることにより、感光性樹脂層101を厚みの途中まで除去して接続端子52の上端部を露出させる。例えば、感光性樹脂層101は、未露光の状態で現像液によって膜減りされて薄化される。現像液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を用いることができる。
【0063】
通常、ポジ型の感光性樹脂層では、露光された部分が現像液による溶解速度が速くなることでパターンの形成が行われる。このとき、露光されていない部分の感光性樹脂層においても溶解速度はかなり遅いが現像液によって溶解される。本実施形態では、この特性を利用して感光性樹脂層101の除去量を制御して、接続端子52の上端部を露出させた状態で、接続端子52の間に感光性樹脂層101を残すことができる。このとき、
図7(a)に示した感光性樹脂層101の起伏の生じた上面が全体的に薄化されるため、隣接する接続端子52の間の領域には、上面が凹部70Yに形成された感光性樹脂層101が残される。本工程では、接続端子52の上面が確実に露出されるように、接続端子52の上面側の側面の一部が露出されるように感光性樹脂層101が薄化される。
【0064】
このとき、
図7(b)に示すように、感光性樹脂層101を現像液で除去する際に、接続端子52の上面が感光性樹脂層101から露出した直後では、接続端子52の側面(つまり、粗化面52R)の凹みに形成された微小な部分の感光性樹脂層101が他の部分よりも溶解しやすい。このため、接続端子52の側面(粗化面52R)と感光性樹脂層101との界面から内部に多くの現像液が侵入する。これにより、各接続端子52の周囲に位置する感光性樹脂層101に凹部70Xが形成される。そして、凹部70Xと凹部70Yの形成により、各接続端子52の周囲に位置する感光性樹脂層101の上面に、頂部72と傾斜部73,74とから構成され、山なりに盛り上がる山部71が形成される。
【0065】
図8(a)及び
図8(c)に示すように、凹部70Xは、平面視において、接続端子52を取り囲むように形成される。例えば、凹部70Xは、接続端子52の外周に沿った周囲に環状に形成される。また、
図8(b)に示すように、凹部70Xの内面のうち傾斜部73の表面には、凹部70Xの幅方向に延びる(つまり、頂部72から接続端子52に向かって延びる)複数の筋状の突起部75が波打つように並んで形成される。この突起部75は、傾斜部73の表面における最下の底面76よりも上方に突出して形成されている。そして、傾斜部73の表面では、複数の突起部75の間の領域に底面76が分割されるように配置されている。これら突起部75と底面76とによって筋状の凹凸部77が傾斜部73の表面に形成される。
【0066】
さらに、凹部70Xに露出された接続端子52の側面(粗化面52R)には、ひび割れしたような微細な筋状の溝部52Xが多数形成される。この溝部52Xは、例えば、底面76と並んで設けられる。これは、溝部52Xに上記現像液が多く供給されることに基づいて底面76(凹凸部77)が形成されるためと推測される。
【0067】
次いで、感光性樹脂層101を加熱処理により硬化させる。これにより、
図9(a)に示すように、絶縁層42の上面42A上に、接続端子52の側面の一部を被覆し、各接続端子52の周囲に山部71を有する保護絶縁層70が形成される。
【0068】
なお、本例では、保護絶縁層70としてポジ型の感光性樹脂層101(
図7参照)を使用したが、ネガ型の感光性樹脂層を使用してもよい。この場合には、ネガ型の感光性樹脂層に対して全面露光することによって現像液による感光性樹脂層の溶解速度がかなり遅くなる。この特性を利用することにより、ネガ型の感光性樹脂層の薄化量(除去量)をポジ型の場合と同様に制御することができる。あるいは、保護絶縁層70として非感光性樹脂層を使用し、最適なウェットエッチャントによって非感光性樹脂層を薄化してもよい。この場合であっても、接続端子52の側面に形成された粗化面52Rの作用によって、接続端子52の周囲に位置する非感光性樹脂層に凹部70Xを形成することができ、山部71を形成することができる。
【0069】
次に、
図9(a)に示す工程では、保護絶縁層70から露出した接続端子52の側面及び上面を、ソフトエッチング等により清浄化する。このソフトエッチングにより、保護絶縁層70から露出する接続端子52の側面及び上面(粗化面52R)における凸部分がエッチング除去されて薄化される。これにより、保護絶縁層70から露出する接続端子52の側面及び上面における凹凸が小さくなり、保護絶縁層70から露出する接続端子52の側面及び上面の粗度がソフトエッチング前よりも小さくなる。すなわち、本工程により、保護絶縁層70から露出する接続端子52の側面及び上面が、粗化面52Rよりも粗度の小さい低粗度面52Sに形成される。換言すると、本工程のソフトエッチングは、低粗度面52Sの粗度が、保護絶縁層70によって被覆された接続端子52の側面(つまり、粗化面52R)よりも小さくなるように行われる。具体的には、ソフトエッチングは、低粗度面52Sの粗度が、表面粗さRz値で500〜1000nm程度となるように行われる。なお、本工程で使用されるエッチング液としては、例えば、主成分が硫酸と過酸化水素からなるエッチング液を用いることができる。
【0070】
続いて、
図9(b)に示す工程では、保護絶縁層70から露出した接続端子52の表面、つまり低粗度面52Sを被覆する表面処理層80を形成する。例えば、まず、無電解Niめっき法により、低粗度面52Sを被覆するとともに、山部71の傾斜部73と頂部72と傾斜部74の一部とを被覆する金属層81を形成する。このとき、金属層81の厚さは、傾斜部73の接続端子52側の端部から傾斜部74の中途までを被覆可能な厚さに設定されている。これにより、山部71の山なりに盛り上がる部分を被覆する金属層81が形成される。このとき、接続端子52の表面上に無電解Niめっき膜が等方向に析出されて金属層81が形成される。このため、金属層81は、接続端子52の低粗度面52Sに沿った形状に形成される。続いて、無電解Pdめっき法により、金属層81の上面及び側面と傾斜部74の一部とを被覆する金属層82を形成する。次いで、無電解Auめっき法により、金属層82の上面及び側面と傾斜部74の一部とを被覆する金属層83を形成し、金属層81と金属層82と金属層83とからなる3層構造の表面処理層80を形成する。このとき、金属層82,83は、金属層81の表面に沿った形状に形成されるため、低粗度面52Sに沿った形状に形成される。これにより、表面処理層80の最表面(つまり、金属層83の側面及び上面)は、粗化面52Rよりも粗度の小さい低粗度面80Sに形成される。
【0071】
以上の製造工程により、
図1に示した配線基板10を製造することができる。
次に、
図10に従って、半導体装置90の製造方法について説明する。
図10(a)に示す工程では、配線基板10の外部接続用パッドP1上に外部接続端子96を形成する。例えば、外部接続用パッドP1上に、適宜フラックスを塗布した後、外部接続端子96(ここでは、はんだボール)を搭載し、240〜260℃程度の温度でリフロー処理を行って固定する。その後、表面を洗浄してフラックスを除去する。
【0072】
また、
図10(a)に示す工程では、柱状の接続端子92を有する半導体チップ91を用意する。接続端子92は、公知の製造方法により製造することが可能であるため、図示を省略して詳細な説明を割愛するが、例えば以下のような方法で製造される。
【0073】
まず、半導体チップ91の回路形成面(ここでは、下面)に、例えば電極パッドを露出させる開口部を有する保護膜を形成し、その保護膜の下面及び電極パッドの下面を被覆するようにシード層を形成する。次に、接続端子92の形成領域に対応する部分のシード層(電極パッドの下面を被覆するシード層)を露出させたレジスト層を形成する。続いて、レジスト層から露出されたシード層上に、そのシード層を給電層に利用する電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施すことにより、電極パッド上に柱状の接続端子92を形成する。
【0074】
続いて、接続端子92の下面に、はんだ層93を形成する。このはんだ層93は、例えば、シード層上に形成されたレジスト層をめっきマスクに利用し、シード層をめっき給電層に利用する電解はんだめっき法により、接続端子92の下面にはんだを被着することにより形成することができる。その後、不要なシード層及びレジスト層を除去する。
【0075】
次いで、配線基板10の表面処理層80上に、半導体チップ91の接続端子92をフリップチップ接合する。例えば、配線基板10と半導体チップ91とを位置合わせした後に、リフロー処理を行ってはんだ層93を溶融させ、はんだ層93を表面処理層80に電気的に接続する。これにより、接続端子92は、はんだ層93及び表面処理層80を介して接続端子52と電気的に接続される。
図10(b)に示すように、本工程において、溶融状態のはんだ層93は、表面処理層80の側面(ここでは、金属層83の側面)に表面張力によって集まる。さらに、表面処理層80の下面と保護絶縁層70の上面との間に隙間が生じている場合には、はんだ層93は、表面張力により、その隙間に侵入する。但し、本実施形態では、表面処理層80の下面と保護絶縁層70の上面との間に形成される隙間は、表面処理層80の最外縁部から山部71の頂部72に向かって上方に傾斜するように形成されている。このため、上述した隙間が生じた場合であっても、その隙間にはんだ層93が侵入することを好適に抑制することができる。
【0076】
その後、フリップチップ接合された半導体チップ91と配線基板10との間に、アンダーフィル材95を充填し、そのアンダーフィル材95を硬化する。
以上の製造工程により、
図2に示した半導体装置90を製造することができる。
【0077】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)各接続端子52の周囲に位置する保護絶縁層70の上面に、山なりに盛り上がる山部71を形成した。また、保護絶縁層70から露出された接続端子52の表面を被覆する表面処理層80を、山部71の傾斜部73と頂部72と傾斜部74の一部とを被覆するように形成した。このため、表面処理層80の下面は、表面処理層80の最外縁部から山部71の頂部72に向かって上方に傾斜するように形成されている。これにより、表面処理層80の下面と保護絶縁層70の上面との間に隙間が形成された場合であっても、フリップチップ接続の際に、溶融状態のはんだ層93が上記隙間に侵入することを好適に抑制できる。このため、はんだ層93と接続端子52との間でエレクトロマイグレーションが発生することを好適に抑制できる。この結果、はんだ層93と接続端子52及び表面処理層80との接続信頼性を向上させることができる。ひいては、配線基板10と半導体チップ91との接続信頼性を向上させることができる。
【0078】
(2)山部71の山なりに盛り上がる部分を覆うように表面処理層80を形成した。これにより、はんだ層93の侵入経路が長くなるため、はんだ層93が接続端子52の側面に接することを好適に抑制でき、はんだ層93と接続端子52との間でエレクトロマイグレーションが発生することをより好適に抑制できる。
【0079】
(3)さらに、表面処理層が保護絶縁層の平坦な上面を被覆する場合に比べて、表面処理層80と保護絶縁層70との接触面積を増大させることができる。これにより、表面処理層80と保護絶縁層70との密着性を向上させることができる。この結果、表面処理層80の下面と保護絶縁層70との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0080】
(4)保護絶縁層70と接する接続端子52の側面を粗化面52Rに形成した。これにより、アンカー効果が生じ、接続端子52と保護絶縁層70との密着性を向上させることができる。このため、保護絶縁層70が接続端子52の側面から剥離することを好適に抑制できる。保護絶縁層70が接続端子52の側面から剥離すると、表面処理層80から露出された接続端子52が腐食するおそれがある。したがって、保護絶縁層70の剥離を抑制することにより、接続端子52の腐食の発生を好適に抑制することができる。
【0081】
(5)保護絶縁層70から露出された接続端子52の側面及び上面を、粗化面52Rよりも表面粗度の小さい低粗度面52Sに形成した。このため、接続端子52の低粗度面52Sを被覆する表面処理層80の側面及び上面を低粗度面80Sに形成することができる。これにより、パッド部分である表面処理層80の表面の平坦性を確保することができる。
【0082】
(6)保護絶縁層70の上面に、隣接する接続端子52の間において、絶縁層42側に向かって円弧状に凹む凹部70Yを形成した。この凹部70Yによって、アンダーフィル材95の流動性を向上させることができる。
【0083】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・
図11に示す製造工程により半導体装置90を製造するようにしてもよい。なお、
図11は、
図10に示した工程の代わりに実施される。以下、上記実施形態との相違点を中心に説明する。
【0084】
図11(a)に示す工程では、保護絶縁層70の上面に、表面処理層80を被覆するようにB−ステージ状態(半硬化状態)のアンダーフィル材95を形成する。アンダーフィル材95の材料としてフィルム状の絶縁樹脂を用いた場合には、保護絶縁層70の上面にフィルム状の絶縁樹脂をラミネートする。但し、この工程では、フィルム状の絶縁樹脂の熱硬化は行わず、B−ステージ状態にしておく。また、アンダーフィル材95の材料として液状又はペースト状の絶縁樹脂を用いる場合には、保護絶縁層70の上面に液状又はペースト状の絶縁樹脂を例えば印刷法やディスペンサ法により塗布する。
【0085】
次に、
図11(b)に示す工程では、柱状の接続端子92を有する半導体チップ91を用意する。続いて、配線基板10の表面処理層80(接続端子52)上に、半導体チップ91の接続端子92をフリップチップ接合する。例えば、始めに、熱硬化されていないアンダーフィル材95の接着性を利用して、そのアンダーフィル材95を介して半導体チップ91を配線基板10に搭載し仮固定する。続いて、例えば190〜300℃程度の温度で加熱、及び半導体チップ91の背面(ここでは、上面)側から荷重を加える。これにより、半導体チップ91の接続端子92及びはんだ層93が半硬化状態のアンダーフィル材95を突き破って、接続端子92がはんだ層93を介して表面処理層80に突き当てられる。そして、リフロー処理を行ってはんだ層93を溶融・凝固させ、はんだ層93及び表面処理層80を介して接続端子92,52を互いに電気的に接続する。
【0086】
また、本工程では、アンダーフィル材95が加熱処理によって熱硬化される。これにより、接続端子52,92、はんだ層93及び表面処理層80等が熱硬化されたアンダーフィル材95によって被覆される。
【0087】
ところで、本工程において、はんだ層93と接合される表面処理層80の表面が粗化面52R(
図1(b)参照)と同程度の粗化面になっている場合には、はんだ層93と表面処理層80との接合の際に、その接合部分にアンダーフィル材95の樹脂やフィラーを噛み込みやすくなる。すなわち、表面処理層80の表面が粗化面である場合には、はんだ層93と表面処理層80との間に樹脂やフィラーが介在するおそれがあり、はんだ層93と表面処理層80との電気的な接続信頼性が低下するという問題がある。
【0088】
これに対し、配線基板10では、はんだ層93と接合される表面処理層80の側面及び上面が、粗化面52Rよりも粗度が小さい低粗度面80Sに形成されている。これにより、はんだ層93と接続端子52との接合部分にアンダーフィル材95の樹脂やフィラーが噛み込むことを好適に抑制することができる。このため、はんだ層93と接続端子52との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0089】
・
図12に示すように、表面処理層80の下端部を、傾斜部74の傾斜に沿って外側に広がるように形成してもよい。例えば、金属層81の外周側の下端部を、傾斜部74の傾斜に沿って外側に広がるように形成し、金属層82,83の下端部を、傾斜部74の傾斜に沿って外側に広がるように形成してもよい。これにより、表面処理層80と保護絶縁層70との接触面積を増大させることができるため、表面処理層80と保護絶縁層70との密着性を向上させることができる。
【0090】
・上記実施形態及び上記変形例では、保護絶縁層70から露出する接続端子52の側面及び上面を、粗化面52Rよりも粗度の小さい低粗度面52Sに形成した。これに限らず、例えば、保護絶縁層70から露出する接続端子52の側面及び上面を、粗化面52Rと同程度の粗化面としてもよい。
【0091】
・また、表面処理層80の側面及び上面を、粗化面52Rと同程度の粗化面としてもよい。
・上記実施形態及び上記各変形例において、金属膜61の側面を粗化面に形成してもよい。
【0092】
・上記実施形態及び上記各変形例では、金属膜61の側面を、接続端子52及び金属膜62の側面よりも外側に突出するように形成した。これに限らず、例えば、金属膜61の側面を、接続端子52及び金属膜62の側面と面一になるように形成してもよい。また、金属膜61の側面を、接続端子52及び金属膜62の側面よりも内側に後退するように形成してもよい。
【0093】
・上記実施形態及び上記各変形例の配線基板10に、半導体チップ91の代わりに、チップコンデンサ、チップ抵抗やチップインダクタ等のチップ部品や水晶振動子などの半導体チップ91以外の電子部品を実装するようにしてもよい。
【0094】
・上記実施形態及び上記各変形例の配線基板10において、配線層30,40よりも内層の構造、つまり基板本体20の構造については特に限定されない。すなわち、基板本体20は、少なくとも、配線層30,40が基板内部を通じて相互に電気的に接続された構造を有していれば十分であるため、配線層30,40の内層の構造については特に限定されない。例えば、コア基板21の構造及び材質は特に限定されない。また、コア基板21上に形成される下層配線(例えば、配線23,24)とその下層配線を覆う絶縁層(例えば、絶縁層25,26)の層数についても特に限定されない。あるいは、基板本体20を、コア基板21を有するコア付きビルドアップ基板に代えて、コア基板21を含まないコアレス基板としてもよい。