(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピストンは、前記ダイアフラムの近位の前記ピストンの端部から突き出た弾力性のあるフィンガーをさらに備え、前記ピストンの前記弾力性のあるフィンガーは、前記ダイアフラムの基部の開口部内に挿入できるようにつぶれることが可能である請求項1に記載のピストンアセンブリ。
前記第2のナットの前記第2の係合特徴部は、前記送りネジと係合したままとなり、それによって、前記送りネジが前記モーターによって第2の方向に回転させられたときに、バックラッシュを軽減するかまたは解消する請求項1に記載のピストンアセンブリ。
前記第2のナットの前記第2の係合特徴部は、前記送りネジと係合したままとなり、それによって、前記送りネジが前記モーターによって第2の方向に回転させられたときに、バックラッシュを軽減するかまたは解消する請求項7に記載のポンプシステム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
システムおよび方法ならびにその有利な詳細は、添付図面に示され、以下の説明において詳述される非限定的な実施形態を参照しつつより完全に説明される。よく知られている出発原料、加工技術、コンポーネント、および機器の説明は、本発明を詳細にして不要にわかりにくくしないために省かれている。しかしながら、詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施例を示しているが、例証としてのみ、また限定することなく与えられていることは理解されるであろう。本開示の精神および/または範囲内の様々な代用、修正、追加、および/または再配置は、本開示から当業者にとって明らかなものとなるであろう。
【0020】
実施形態を説明する前に、様々な実施形態とともに利用され得る例示的なポンプまたはポンプシステムを説明するのは有益であり得る。
図1は、ポンプシステム10の図表現である。ポンプシステム10は、流体源15と、ポンプコントローラ20と、多段ポンプ100と、を備えることができ、これらは流体をウェハ25上に分注するために連携する。流体源15は、タンク、ボトル、流体処理システム、または多段ポンプ100がプロセス流体、たとえば、半導体製造プロセス流体を得る流体搬送ネットワークなどの適切な供給源であってよい。半導体製造プロセスは、当業者に知られており、したがって、本明細書では説明されていない。
【0021】
多段ポンプ100の動作は、ポンプコントローラ20によって制御されるものとしてよく、これは、オンボード多段ポンプ100であるか、または1つまたは複数の通信リンクを介して多段ポンプ100に接続され、それにより、制御信号、データ、または他の情報を伝達することができる。ポンプコントローラ20は、プロセッサ、メモリ、インターフェース、ディスプレイデバイス、周辺機器、またはコンピュータコンポーネントを含む、当技術分野で知られている様々なコンピュータコンポーネントを備え得る。たとえば、ポンプコントローラ20は、中央演算処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッシング(DSP)、縮小命令セットコンピューティング(RISC)、または他のプロセッサを実装するプロセッサ35を備えることができる。好適なプロセッサの一例は、Texas Instruments社のTMS320F28335PGFA 16-bit DSP(Texas Instrumentsはテキサス州ダラスに本社を置く会社である)。それに加えて、ポンプコントローラ20は、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体27(たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、光ディスク、磁気ドライブ、または他のコンピュータ可読媒体)を備えることができる。
【0022】
図1の例において、ポンプコントローラ20は、通信リンク40および45を介して多段ポンプ100と通信する。通信リンク40および45は、ネットワーク(たとえば、Ethernet、EtherCAT、ワイヤレスネットワーク、グローバルエリアネットワーク、DeviceNetネットワークまたは技術分野で使用されているか、または開発されている他のネットワーク)、バス(たとえば、小型コンピュータ用周辺機器インターフェース(SCSI)バス)、または他の通信リンクであってよい。これらの通信コンポーネントは、当業者に知られている。
【0023】
ポンプコントローラ20は、オンボードプリント基板(PCB)、リモートコントローラとして、または他の好適な方式で実装され得る。ポンプコントローラ20は、ポンプコントローラ20が多段ポンプ100、ポンプトラック、管理ステーションなどと通信できるようにする適切なインターフェース(たとえば、EtherCAT、ネットワークインターフェース、入出力(I/O)インターフェース、アナログ/デジタルコンバータ、および他のコンポーネント)を備え得る。
【0024】
ポンプトラックは、ウェハ表面上で動作(たとえば、化学的堆積または流体コーティングプロセス)を実行するために必要なハードウェアおよびソフトウェアを備えるツールまたはシステムを指す。そうする際に、ウェハ25の表面に正確な量の流体が塗布される必要がある。ポンプコントローラ20は、多段ポンプ100内の様々な弁およびモーターを制御して、多段ポンプ100が、低粘度流体(すなわち、5センチポアズ)を含む、様々なタイプの流体を正確に分注することを行わせることができる。多段ポンプ100の動作を制御するための制御ロジックは、ポンプコントローラ20、管理ステーション、および/または他のコンピューティングデバイス上で具現化され得る。ポンプコントローラ20において、制御命令30は、非一時的コンピュータ可読媒体27上で具現化され得る。制御方式の例は、参照により本明細書に完全に組み込まれている、特許文献1、名称「SYSTEM AND METHOD FOR PRESSURE COMPENSATION IN A PUMP」、特許文献2、名称「SYSTEMS AND METHODS FOR FLUID FLOW CONTROL IN AN IMMERSION LITHOGRAPHY SYSTEM」、特許文献3、名称「SYSTEM AND METHOD FOR CORRECTING FOR PRESSURE VARIATIONS USING A MOTOR」、特許文献4、名称「SYSTEM AND METHOD FOR CONTROL OF FLUID PRESSURE」、特許文献5、名称「SYSTEM AND METHOD FOR MONITORING OPERATION OF A PUMP」、および特許文献6、名称「I/O SYSTEMS, METHODS AND DEVICES FOR INTERFACING A PUMP CONTROLLER」に記載されている。
【0025】
図2は、多段ポンプ100の図表現である。この例では、多段ポンプ100は、供給段部分105と、分離している分注段部分110とを備える。供給段部分105と分注段部分110との間に配置されるのは、流体流の観点から、プロセス流体から不純物を濾過して取り除くか、または他の何らかの方法で除去する濾過器120である。
【0026】
供給段部分105および分注段部分110は、プロセス流体を流体源(たとえば、
図1に示されている流体源15)から供給段105、濾過器120、分注段110、分注または使用の地点へと流れるように導くポンプ150、180を備え得る。流体流を制御するために、多段ポンプ100は、たとえば、入口弁125、遮断弁130、バリア弁135、空気抜き弁140、通気弁145、および出口弁147を含む、多数の弁を備える。これらの弁は、多段ポンプ100の様々な部分への流体流を許容するか、または制限するように開閉される。たとえば、これらの弁は、圧力がかかっているか真空になっているかに応じて開閉する空気圧作動(すなわち、ガス駆動)ダイアフラム弁であってよい。しかしながら、任意の好適な弁が使用され得る。
【0027】
図2の例において、供給段ポンプ150(「供給ポンプ150」)は、流体を回収するための供給室155と、供給室155内で移動し流体を押しのけるための供給段ダイアフラム160と、供給段ダイアフラム160を移動するためのピストン165と、ピストン165に接続されている送りネジ170と、送りネジ170、したがってピストン165を駆動するための供給モーター175(たとえば、ステッパモーター)と、を備える。一例として、送りネジ170は、ナット、歯車、または他のメカニズムを通じてモーター175に結合され、モーター175からのエネルギーを送りネジ170に与えることができる。特に、モーター175は、ナットを回転させるように動作可能であり、それにより、送りネジ170に直線運動を与え、ピストン165を作動させる。
【0028】
同様に、
図2の例において、分注段ポンプ180(「分注ポンプ180」)は、分注室185と、分注段ダイアフラム190と、ピストン192と、送りネジ195と、分注モーター200と、を備える。当業者であれば、様々なポンプが供給段105および分注段110において使用され得ること、ならびに供給ポンプ150および分注ポンプ180がローリングダイアフラムポンプに制限される必要がないことを理解できる。
【0029】
同様に、供給モーター175および分注モーター200は、任意の好適なモーターとすることができる。一例として、分注モーター200は、永久磁石同期モーター(「PMSM」)とすることができる。PMSMは、分注モーター200、コントローラ搭載多段ポンプ100、または分離しているポンプコントローラ(たとえば、
図1に示されているポンプコントローラ20)において磁界方向制御(「FOC」)または他のタイプの速度/位置制御を利用してデジタルシグナルプロセッサ(「DSP」)によって制御され得る。PMSMを実装している分注モーター200は、モーター位置のリアルタイムフィードバックのためのエンコーダ(たとえば、ファインライン回転位置エンコーダ(fine line rotary position encoder))をさらに備えることができる。ポジションセンサーの使用により、モーター位置、およびしたがってピストン192の位置の正確で反復可能な制御が可能になり、分注室185内の流体移動が正確に、かつ反復可能に制御することができる。たとえば、モーター1回転ごとに8000カウントをDSPに与える2000ラインエンコーダを使用することで、モーターの回転を.045単位で正確に測定し制御することが可能である。それに加えて、PMSMはほとんど、または全く振動せずに低速度で動作することができ、これは分注動作において望ましいことである。供給モーター175は、また、PMSMまたはステッパモーターであってもよい。
【0030】
動作において、多段ポンプ100は、限定はしないが、準備完了セグメント、分注セグメント、充填セグメント、濾過前セグメント、濾過セグメント、通気セグメント、パージセグメント、およびスタティックパージセグメントを含む多数のセグメントを備え得る。セグメントならびに関連する弁およびモータータイミングの例は、参照により本明細書に完全に組み込まれている、特許文献7、名称「SYSTEM AND METHOD FOR OPERATION OF A PUMP」、特許文献8、名称「SYSTEM AND METHOD FOR VALVE SEQUENCING IN A PUMP」、特許文献9、名称「SYSTEM AND METHOD FOR DETECTING AIR IN A FLUID」、特許文献10、名称「METHOD AND SYSTEM FOR PUMP PRIMING」に記載されている。
【0031】
たとえば、充填セグメント(供給セグメントとも称され得る)において、入口弁125が開かれ、供給段ポンプ150が供給段ダイアフラム160を移動させ(たとえば、引っ張り)、流体を供給室155に引き込む。十分な量の流体が供給室155に充填された後、入口弁125は閉じられる。濾過セグメントにおいて、供給段ポンプ150は、供給段ダイアフラム160を移動して、供給室155から流体を押しのける。遮断弁130およびバリア弁135が開かれて、それにより流体が濾過器120を通って分注室185へ流れることができる。遮断弁130は、濾過器120内で圧力が高まるように最初に開かれて(たとえば、「濾過前セグメント」内で)、次いで、バリア弁135が開かれて、流体流が分注室183内に流れ込むようにできる。濾過セグメントにおいて、分注ポンプ180はホーム位置に戻されるものとしてよく、いくつかの場合において、これは可変ホーム位置であるものとしてよい。
【0032】
可変ホーム位置分注システムの例は、参照により本明細書に完全に組み込まれている、特許文献11、名称「SYSTEM AND METHOD FOR A VARIABLE HOME POSITION DISPENSE SYSTEM」および特許文献12、名称「SYSTEM AND METHOD FOR VARIABLE HOME POSITION DISPENSE SYSTEM」に記載されている。一例として、分注段ダイアフラム190に対するホーム位置は、分注ポンプ180のところの分注室185が分注ポンプ180内のホールドアップ体積を最小にしながら分注サイクルの様々なステップを実行するのに十分な量の流体(分注室185の最大容量よりも少ない場合がある)を収容するように分注サイクルに対する様々なパラメータに基づき選択され得る。供給ポンプ150は、同様に、その最大容量よりも少ない量の流体に対して体積を画成するホーム位置に移動され得る。
【0033】
流体がポンプ内の室に流れ込むと、流体の圧力が増大する。
図2の例において、供給ポンプ150は、供給段105で流体の圧力を測定するために供給室155に結合されている圧力センサー114を備える。同様に、分注ポンプ180は、分注段110で流体の圧力を測定するために分注室185に結合されている圧力センサー112を備える。圧力センサーは、上で説明されている制御ロジック(たとえば、ポンプコントローラ20)と通信しているものとしてよい。圧力センサー112および圧力センサー114によって測定された圧力は、様々なポンプの速度を制御し、統計分析を実行し、分注が良好な分注であったかどうかを決定するために制御ロジックによって使用され得る。好適な圧力センサー(圧力トランスデューサとも称される)の例は、限定はしないが、ドイツ、ネルマースバッハ所在のMetallux AGによって製造されているセラミックおよびポリマー圧力センサーを含む、ピエゾ抵抗(圧電)センサーおよび容量性圧力センサーを含み得る。
【0034】
実施形態は、センサー112および114から受信された測定結果に少なくとも一部は基づき供給段105および分注段110の両方における流体圧力を調節/制御することができる。たとえば、濾過セグメントにおいて分注室185内の流体圧力が、(たとえば圧力センサー112によって測定されるような)事前定義済み圧力設定点に到達したときに、分注ポンプ180は、分注段ダイアフラム190を引っ込め始めるものとしてよい。言い替えれば、分注ポンプ180は、分注室185の利用可能な容積を増やして流体が分注室185内に流れ込めるように制御される。これは、たとえば、事前定義済み速度で分注モーター200を逆転させることによって行われ、それにより、分注室185内の圧力を減少させることができる。
【0035】
分注の間、分注室185内の流体圧力が、設定点(システムの許容範囲内の)を下回ったときに、供給モーター175のモーター速度は、分注室185内の圧力を上昇させ、設定点に達するように上げられる。分注室185内の流体圧力が、設定点(システムの許容範囲内の)を超えたときに、供給モーター175のモーター速度は、下げることができ、それにより、分注室185の下流の圧力を減少させられる。供給モーター175の速度を上げ下げするプロセスは、分注ポンプ180がホーム位置に到達するまで繰り返されるものとしてよく、その到達点で両方のモーターを停止させることができる。
【0036】
上で参照されている特許文献7、名称「SYSTEM AND METHOD FOR OPERATION OF A PUMP」において、圧力測定は、分注側で圧力センサーによって行われ得る(「分注圧力」)。本明細書で開示されている実施形態は、供給(充填)側の流体圧力(「充填圧力」)を感知するための圧力センサーをさらに備える。充填側の充填圧力および充填圧力の変化を検出することができるのは有利であり得る。たとえば、これにより、システムは分注段の前での問題もしくは課題(たとえば、充填ライン内もしくは濾過器における空気)を検出し、早期警告を出し、および/または手元で問題もしくは課題に対処もしくは解決する適切な措置を講じることができる。
【0037】
一例として、通気セグメントの開始時に、
図2の多段ポンプ100の動作の様々なセグメントに対する弁および分注モータータイミングを示す
図3Aを参照すると、遮断弁130が開かれ、通気弁145が開かれている。供給ポンプ150は、圧力を流体に加えて、開いている通気弁145を通して濾過器120から気泡を取り除くように制御される。
図3Aに示されているように、バリア弁135は、通気セグメントにおいて開いたままで、通気セグメントの終了時に閉じるものとしてよい。もしそうであれば、濾過器120内の圧力が (たとえば、上で説明されているポンプコントローラ20などのコントローラによって) 検出され得るが、それは、圧力センサー112によって測定され得る、分注室185内の圧力が、濾過器120内の圧力の影響を受け得るからである。バリア弁135が閉じられたときに、濾過器120内の圧力は、依然として検出され得るが、それは、圧力センサー114によって測定され得る、供給室155内の圧力が、濾過器120内の圧力の影響を受け得るからである。
【0038】
いくつかの弁は、
図3Aにおいて、セグメントの変化時に同時に閉じるものとして図示されているが、弁が閉じるタイミングは、圧力スパイクを低減するためにわずかにずらされ得る(たとえば、100ミリ秒)。たとえば、通気セグメントとパージセグメントとの間で、遮断弁130は、通気弁145が開かれるすぐ前に閉じられ得る。しかしながら、様々な実施形態において他の弁タイミングが利用され得ることに留意されたい。それに加えて、セグメントのいくつかが、一緒に実行され得る(たとえば、充填/分注段は、同時に実行されてもよく、その場合、入口弁および出口弁は両方とも、分注/充填セグメントで開いていてよい)。特定のセグメントは、各サイクルに対して繰り返されなくてもよいことにさらに留意されたい。たとえば、パージおよびスタティックパージセグメントは、すべてのサイクルで実行されなくてもよい。同様に、通気セグメントは、
図3Bに例示されているように、すべてのサイクルで実行されなくてもよい。さらに、任意の好適な弁およびモータータイミングが使用され得る。
【0039】
供給ポンプ150は、事前定義済み速度で通気が行われるように制御され、それにより、より長い通気時間およびより低い通気速度を可能にし、それによって、通気の無駄になる量を正確に制御することができる。供給ポンプ150が、空気圧式ポンプである場合、通気流体経路内に流体流の制限が設けられ、供給ポンプ150に加えられる(および圧力センサー114によって測定される)空気圧は、「通気」設定点圧力を維持するために増減され、それにより、他の方法では無制御の方法の何らかの制御が可能になる。
【0040】
図3Aおよび
図3Bに例示されているように、空気検出試験は、セグメントにおいて実行され得る(たとえば、以下で説明されているようにパージセグメントの開始時)。空気検出試験を実行するために、バリア弁135、パージ弁140、および出口弁147が閉じられ、それにより分注室185を隔離することができる。分注モーター200は、分注室185を所望の圧力(たとえば、5ポンド/平方インチ(psi))にするように制御される。次いで、分注モーター200が、固定された距離だけ移動され、分注室185内の圧力(P)の変化(デルタ)が、決定される。隔離された分注室185(またはポンプシステムの他の隔離されている部分)の容積の固定された変化に対する圧力変化(デルタP)を決定することによって、分注室185(またはノズルの前の出力弁147または他の弁までの配管を含むポンプシステムの隔離されている部分)における空気の量が決定され得るが、これは、上で参照されている特許文献9、名称「SYSTEM AND METHOD FOR DETECTING AIR IN A FLUID」で説明されているとおりである。
【0041】
いくつかの実施形態において、分注モーター200は、事前定義された圧力変化(たとえば、ポンプシステムへのインターフェースを介してユーザによって定義される)を維持するために制御されることができる。事前定義された圧力変化を達成するために、コントローラは、分注室185内の利用可能な容積の適切な変化を決定し、分注モーター200を制御してピストン192をしかるべく移動させることができる。ここでもまた、この測定量を用いて、分注室185またはノズルの前の出力弁147または他の弁までの配管を含むポンプシステムの他の隔離されている部分における空気の量を決定することができるが、これは、上で参照されている特許文献9、名称「SYSTEM AND METHOD FOR DETECTING AIR IN A FLUID」で説明されているとおりである。いくつかの場合において、検出された空気の測定量が、閾値量よりも少ない場合、パージおよび/またはスタティックパージセグメントはスキップされ、それによりサイクル時間を短縮できる。検出された空気の量が、閾値よりも多い場合、警告または是正処置が講じられるものとしてよい。
【0042】
いくつかの場合において、パージセグメントにおいて、遮断弁130が閉じられ、バリア弁135が閉じられ、通気弁145が閉じられ、パージ弁140が開いており、出口弁147が閉じられている。
図3Aおよび
図3Bに例示されているように、パージ弁140を開く前に遅延があり得、その際に、分注室185は隔離される。分注ポンプ180は、空気検出試験が実行されるように分注室185内の流体に圧力を加えることができる。
【0043】
パージセグメントにおいて、パージ弁140が開かれたときに、分注ポンプ180は、分注室185内の流体に圧力を加えて、気泡をパージ弁140に通す。スタティックパージセグメントにおいて、分注ポンプ180は停止されるが、パージ弁140は開いたままであり、空気を放出し続ける。パージまたはスタティックパージセグメントにおいて除去される過剰な流体は、多段ポンプ100から外へ導かれる(たとえば、流体源15、貯蔵タンクに戻されるか、または破棄される)か、または供給段105にリサイクルされ得る。
【0044】
図3Aおよび
図3Bに例示されているように、すべての弁は、準備完了セグメントにおいて閉じられ得る。いくつかの場合において、供給ポンプ150が流体源(たとえば、ソースボトルまたは貯蔵タンク)の周囲圧力に到達できるように、遮断弁130およびバリア弁135が開かれ、パージ弁140が閉じられ得る。
【0045】
分注セグメントにおいて、出口弁147が開き、分注ポンプ180が分注室185内の流体に圧力を加える。出口弁147は、分注ポンプ180よりも遅くコントロールに反応し得るので、出口弁147が最初に開かれ、所定の期間が経過した後分注モーター200が始動され得る。これは、分注ポンプ180が、ある期間の間、部分的に開いた出口弁147に流体を押し通すか、または閉弁に押し込むのを防ぐ。さらに、これは、流体が分注ノズルを上って行くことが弁開放によって引き起こされ、その後前進流体運動がモーターの作用によって引き起こされるのを防ぐ。いくつかの場合において、出口弁147が開かれ、分注ポンプ180が同時に分注し始め得る。
【0046】
他のセグメントも実行され得る。たとえば、サックバック(suckback)セグメントが実行され、それにより分注ノズル内の過剰な流体を取り除くことができる。サックバックセグメントにおいて、出口弁147は閉じて、二次モーターまたは真空が、出口ノズルから過剰な流体を吸い出すために使用され得る。代替的に、出口弁147は開いたままとなり、分注モーター200は逆転されて、流体を分注室185内に引き戻すことができる。サックバックセグメントは、過剰な流体のウェハ25上への滴りを防ぐのに役立ち得る。
【0047】
様々な弁の開閉が、流体中に圧力スパイクを引き起こす可能性がある。たとえば、スタティックパージセグメントの終了時にパージ弁140が閉じると、分注室185内に圧力増大が引き起こされ得る。これは、各弁が閉じるときに少量の流体を押しのけ得るので生じる可能性がある。たとえば、パージ弁140は閉じるときに少量の流体を分注室185内に押しのけ得る。出口弁147は、パージ弁140が閉じることにより圧力増大が生じたときに閉じられるので、ウェハ上への流体の「吐出」は、圧力が低下しない場合にその後の分注セグメントにおいて生じ得る。スタティックパージセグメント、または追加のセグメントにおいてこの圧力を解放するために、分注モーター200は逆転されて、ピストン192を所定の距離だけ後退させ、バリア弁135および/またはパージ140が閉じることによって引き起こされる圧力上昇を補償することができる。
【0048】
準備完了セグメントにおいて、分注室185内の圧力は、ダイアフラムの特性、温度、または他の要因に基づき変化し得ることに留意されたい。分注モーター200は、この圧力ドリフトを補償するように制御され得る。
【0049】
供給ポンプおよび分注ポンプのところの圧力センサーからのリアルタイムフィードバックに基づき充填側と分注側の両方でのポンプ動作を制御することによって、本明細書で開示されている多段ポンプの実施形態は、穏やかな流体処理を提供し、潜在的にダメージを引き起こしそうな圧力スパイクを回避することができる。上で説明されているように、様々なポンプ制御メカニズムおよび弁タイミングが、プロセス流体に対する圧力の悪影響を低減するのにさらに役立ち得る。たとえば、トラップされた空間上で弁を閉じる動作を減らすように弁およびモータータイミングが選択され得る。
【0050】
しかしながら、使用されるポンプのタイプによっては、追加の技術的特徴に必要になることがある。たとえば、ローリングダイアフラムポンプ内のモーター駆動ピストンアセンブリ(単段または多段ポンプシステム)にはバックラッシュの問題が生じることがあり、これはポンプの精度を低下させ得る。上で説明されているように、ポンプピストンとともに使用される従来のバックラッシュ防止デバイスは、モーターおよび送りネジに結合され、モーターがピストンを前進させるために打ち勝たなければならない著しい力を発生させ得る。この著しい力、およびそれが発生する熱も、ポンプの精度に悪影響を及ぼし、潜在的にプロセス流体にダメージを与える可能性がある。したがって、モーター側に実装されるバックラッシュ防止デバイスは、本明細書で開示されているポンプシステムの実施形態に対して実現可能もしくは望ましいものではなく、拡大解釈すれば、モーター駆動ピストンの移動が正確に制御される必要がある流体流または弁制御システムなどの様々な高精度のシステムに対して実現可能もしくは望ましいものではない。
【0051】
本明細書で説明されている実施形態は、ピストンと送りネジとの間のバックラッシュを軽減するか、または解消するためのバックラッシュ防止メカニズム(本明細書においてバックラッシュ防止デバイスとも称される)を備える。バックラッシュ防止デバイスは、最小限度の追加の力に打ち勝てるだけでよい。したがって、従来のバックラッシュ防止デバイスに比べて、本明細書で説明されているバックラッシュ防止デバイスの実施形態は、ピストンを駆動して所望の圧力を達成するためにより小型のモーターを使用することを可能にし得る。たとえば、半導体製造のためにプロセス流体を分注する際に使用される標準的な圧力(たとえば、5psiから30psi、およびいくつかの場合において、最大60psiまで)については、本明細書で説明されているバックラッシュ防止デバイスの実施形態は、上で説明されている従来のバックラッシュ防止メカニズムと比較したときにモーターを数倍小型にすることができると推定される(約3〜4倍または25%〜50%小型になると推定される)。より小型のモーターの使用は、ポンプ設置面積を縮小するとともに、デリケートな流体に悪影響を及ぼしかねない発熱を低減する。
【0052】
いくつかの実施形態において、バックラッシュ防止デバイスは、ピストンの外部にあってよい。他の実施形態では、バックラッシュ防止メカニズムは、完全にまたは部分的にピストンの内部にあってよく、それにより、いくつかの場合において、他の方法では無駄にされる空間をピストン動作の精度または反復性を上げるために使用することが可能になる。
【0053】
バックラッシュ防止デバイスは、送りネジおよび/またはピストンの好適な配置構成とともに使用され得る。バックラッシュ防止デバイスは、多段ポンプまたは単段ポンプにおいて使用され得る。多段ポンプでは、バックラッシュ防止デバイスは、供給段、分注段、またはその両方で使用され得る。
【0054】
本明細書で開示されている実施形態において、バックラッシュ防止デバイスは、空気検出および分注確認試験などの試験の信頼性を高めることができる。特に、ポンプに生じ得る問題の1つは、バックラッシュ事象が低圧で生じ得ることである。これは、
図4Aに例示されている。
【0055】
分注セグメントまたは空気検出試験が、低すぎる圧力から開始した場合、分注確認または空気検出試験は、バックラッシュ事象の影響を受ける可能性があり、そのため試験の信頼性が低下する。たとえば、バックラッシュがポンプ内の2psi未満の分注室準備完了圧力で生じる場合、分注確認試験は、2psi未満の準備完了圧力によるポンプセットアップ(たとえば、「レシピ」)に対して信頼性が低くなり得る。
【0056】
この問題に対する以前の解決策では、準備完了圧力(システム設定である)をより高い値(たとえば、前の例を使用して3psi)に設定した。これは、
図4Bに例示されている。
図4Bにおいて、
図4Aに示されているバックラッシュ事象は、準備完了圧力が3psiに設定されたときに解消される。
【0057】
しかしながら、この解決策は、ユーザがより低い圧力(たとえば、前の例に従って1psi)の準備完了圧力でポンプセットアップを使用したい場合には満足のゆくものではない。したがって、必要なのは、バックラッシュ事象が生じる圧力をより低い圧力(陰圧を含む)にシフトすることができるバックラッシュ防止デバイスであり、これにより、ユーザは、空気検出試験、分注確認試験、または他の試験を高い信頼性で実行する能力を維持しながらより低い準備完了圧力を設定することができる。
【0058】
図5Aおよび
図5Bは、バックラッシュ防止メカニズム560を有するモーター駆動ピストンアセンブリ500の一実施形態の図である。アセンブリ500は、モーター505と、送りネジ510と、ピストン530と、ハウジング540と、ピストン530に結合されたダイアフラム550と、バックラッシュ防止メカニズム560と、を備える。ピストン530は、バックラッシュ防止メカニズム560によって送りネジ510に動作可能に結合される。送りネジ510が回る(すなわち、モーター505によって回転させられる)と、バックラッシュ防止メカニズム560は平行移動し、ハウジング540内のピストン530を移動し、ダイアフラム550を作動させる。一実施形態によれば、ダイアフラム550は、ピストン530とハウジング540との間のギャップ(空間)531内でロールし、アンロールする部分552(
図5B参照)を有するローリングダイアフラムである。
【0059】
送りネジ510が回転するのと一緒にピストン530およびバックラッシュ防止メカニズム560が回転することは、軽減されるか、または防止され得る。たとえば、ハウジング540に関するピストン530の回転を防止または制限するためにガイド、トラック、または他の特徴部が使用され得る。一実施形態によれば、ダイアフラム550は、ハウジング540または他の構造物に固定されるものとしてよく(たとえば、上で参照されている特許文献7、名称「SYSTEM AND METHOD FOR OPERATION OF A PUMP」において説明されているようなハウジング540と分注ブロックとの間にサンドイッチ状に挟まれている部分を有することによって)、ピストン530は、ダイアフラム550に関するピストン530の回転を防止または制限する方式でダイアフラム550に結合され得る。さらに、バックラッシュ防止メカニズム560は、ピストン530に関するバックラッシュ防止メカニズム560の回転を防止または制限する方式でピストン530に結合され得る。
【0060】
バックラッシュ防止メカニズム560は、第1のナット562と、第2のナット564と、スプリング力付勢部材(バネ)566とを備える。いくつかの場合において、ナット562またはナット564は、ピストン530の一部として一体化され得る。第1のナット562は、送りネジ510のネジ山と係合する一組の第1のナット雌ネジまたは他の特徴部(たとえば、ポールネジ配置構成におけるボール)を有し、第2のナット564は、送りネジ510のネジ山と係合する一組の第2のナット雌ネジまたは他の特徴部を有する。第1のナット562および第2のナット564は、送りネジ510が回転すると第1のナット562および第2のナット564が送りネジ510に沿って平行移動できるように送りネジ510のネジ山と係合する。ネジ山は、全時間にわたって送りネジ510と係合され(送りネジ510がモーター505によって回転させられたときに)、移動する準備が完了している--モーター505が移動するやいなや、送りネジ510は移動し、ピストン530も移動する。遅れはなく、したがってバックラッシュもない。
【0061】
第1のナット562および第2のナット564は、第1のナット562および第2のナット564の接面の間の軸方向にギャップがあるように送りネジ510に沿った空間関係に維持され得る。一実施形態によれば、第2のナット564は、第1のナット562と第2のナット564との間のギャップのサイズが変化できる(たとえば、バネ566によって制約されるように)ように第1のナット562に関して送りネジ510に沿ってわずかに平行移動することができるものとしてよい。いくつかの実施形態において、第1のナット562と第2のナット564との間のギャップのサイズは、スプリング力、摩擦、物理的停止、などによって制限され得る。第1のナット562と第2のナット564との間の相対的回転は、回転係止特徴部(たとえば、1つまたは複数のインデント、陥凹部、くぼみ568、および1つまたは複数の戻り止め、キャッチ、突起部567)または他の相補的な係止特徴部によって制限または防止され得る。
【0062】
バネ566は、圧縮バネまたは他のスプリング力付勢部材を備えるものとしてよく、スプリング力によって第1のナット562と第2のナット564とを一緒になるように、または離れるように付勢する(押すか、または引く)ことができる。スプリング力(F)は、バネによって与えられる力を指し、バネが圧縮されるか、または引かれる/伸長される変位または距離(d)とバネ定数(k)との関数であり、バネの材質および形状に依存し、F=kdと表される。いくつかの実施形態において、バネ566は、第1のナット562と第2のナット564とを付勢して引き離す圧縮バネとすることができる。例示されている配置構成において、送りネジ510は第1のナット562、圧縮バネ566、および第2のナット564を通過する。この例では、バネ566は第1のナット562と第2のナット564とに当接し、それらを付勢して引き離す。
【0063】
すなわち、バネ566は、送りネジ510がモーター505によって回転させられたときに第1のナット562が送りネジ510と係合したままとなるようにモーター505の方へ軸方向に第1のナット562を押す。バネ566のバネ定数kは、バネ566が第1のナット562が送りネジ510と常に係合することを確保するために十分な(たとえば、3psiの下方の力を模倣するのに十分な)力を与え、ただし、モーター505上に荷重を発生させるのにあまり大きすぎない力を与えるように選択され得る。当業者であれば、モーター強度、荷重の印加、圧力などに基づき必要なスプリング力を較正し、第1のナット562と送りネジ510との係合を維持するが、モーター505の出力に悪影響を及ぼすほどでないようにし、その際に、モーター出力の増加に関して発生し得る熱を考慮することができる。
【0064】
したがって、バネ566は、第1のナット562と第2のナット564とを付勢して、第1のナット562の雌ネジまたは他の特徴部が送りネジのネジ山の第1の面との係合を維持し、送りネジの回転の第1の方向に対する緩み(バックラッシュ)を軽減するか、または解消するようにできることが理解される。いくつかの場合において、第2のナット564の雌ネジまたは他の特徴部は、送りネジの回転の第2の方向に対して緩みが解消されるか、または軽減されるように送りネジのネジ山の第2の面との係合を維持し得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、第1のナット562の雌ネジまたは他の特徴部は、送りネジ510がピストン530の後退からピストン530の前進へと方向を変えたときに、第1のナット562と送りネジの前進するネジ山面との間で緩みが解消されるか、または軽減されるように送りネジのネジ山の前進する面との係合を維持し得る。第2のナット564の雌ネジまたは他の特徴部は、送りネジ510がピストン530の前進からピストン530の後退へと方向を変えたときに、第2のナット564と送りネジの後退するネジ山面との間で緩みが解消されるか、または軽減されるように送りネジのネジ山の後退する面との係合を維持し得る。
【0066】
バックラッシュ防止メカニズム560は、バックラッシュ防止メカニズム560の平行移動がピストン530の平行移動を引き起こすようにピストン530に結合され得る。いくつかの場合において、バックラッシュ防止メカニズム560は、バックラッシュ防止メカニズム560の全部に対する少なくとも一部がピストン530内に収容されるように配置構成され得る。他の配置構成において、バックラッシュ防止メカニズム560は、ピストン530に結合され得るが、収容され得ない。
【0067】
第1のナット562(または第2のナット564)は、第1のナット562(または第2のナット564)の平行移動がピストン530の平行移動を引き起こすようにピストン530に結合され得る。一実施形態によれば、第1のナット562は、ピストン530に対して固定された関係にあり得る。たとえば、例示されている実施形態において、第1のナット562は、雄ネジを備え、ピストン530は、雌ネジ536を備え(
図5Bに示されているように)、第1のナット562はピストン530内にねじ込まれ得る。逆回転メカニズムは、第1のナット562がピストン530から後退して出るのを防ぐことができる。一例として、止めネジ572は、ピストン530の側部の開口部を通過し、第1のナット562と接触して、ピストン530に関する第1のナット562の回転を防ぐ。リング570も、第1のナット562が後退して出るのを防ぐことができる。
【0068】
一実施形態によれば、ピストン530は、バックラッシュ防止メカニズム560の全部または実質的部分を収納する内側空洞を備える。内側空洞は、ダイアフラム550から遠位にある端部のところの開口部を備えるものとしてよく、ネジ山536または他の特徴部が第1のナット562を受け入れるため開口部の近くに配設されている。内側空洞も送りネジ510を受け入れることができる。ピストン530は、また、止めネジ572を受け入れるための側部開口部を備えるか、または第1のナット562が逆回転する、または後退して出るのを防ぐための他の特徴部を備え得る。
【0069】
ピストン530は、ダイアフラム550に結合するための特徴部を備え得る。ピストン530は、ダイアフラム550の近くのピストン530の端部から突き出る弾力性のあるフィンガー538を備え得る。フィンガー538は、ピン開口部539の周りにその端部を通して配設され得る。弾力性のあるフィンガー538は、ダイアフラム550の基部554の開口部内に挿入され得るように端部のところで一緒にわずかに、または完全につぶれることができる。ピン開口部539を通して挿入されたピン580は、弾力性のあるフィンガー538の特徴部(段部など)がダイアフラム550の特徴部(段部など)と係合して弾力性があるフィンガー538を捕らえるように弾力性のあるフィンガー538を力で引き離すことができる。
【0070】
ピストン530は、ダイアフラム550に関するピストン530の回転を制限または防止するための特徴部も備え得る。一実施形態において、1つまたは複数のピン582は、ピストン530の端部およびダイアフラム550の基部554の整列された開口部内に受け入れられる。そのようなピンまたは他の特徴部は、送りネジ510が回転するときにダイアフラム550に関するピストン530の回転を抑制することができる。
【0071】
ピストン530は、一体成形品であるか、または複数のコンポーネントを備え得る。一実施形態において、ピストン530は、ピストンの内側空洞を画成する外側部分532と、内側部分534の端部に対して開いている内側部分の空洞を画成する内側部分534とを備える。いくつかの場合において、バックラッシュ防止メカニズム560の全部または一部は、内側部分の空洞内に受け入れられ得る。内側部分534は、外側部分532の内側にあってよい。一実施形態によれば、内側部分534は、ダイアフラム550の近くの外側部分532の端部の内側と当接し、ピン580を開口部539内にトラップし得る。したがって、内側部分534は、ピストンピンリテーナの一実施形態を形成し得ることが理解される。
【0072】
外側部分532は、第1のナット562を受け入れる開口部の近くに配設されているネジ山536または他の特徴部を備えることができる。外側部分532は、また、止めネジ572を受け入れるための側部開口部を備えるか、または第1のナット562が逆回転する、または後退して出るのを防ぐための他の特徴部を備え得る。
【0073】
アセンブリ500は、リテーニングリング570をさらに備えることができる。一実施形態によれば、リング570を通る中心開口部は、リング570の一部がピストン530の端部の上から嵌り得る十分な直径および長さの一部を有するものとしてよい。一実施形態によれば、リング570は、リング570を通る止めネジの開口部がピストン530の側部を通る止めネジの開口部と整列するように構成され得る。これらの開口部は、また、ハウジング540を通る開口部542とも整列し得る。リング570を通る止めネジの開口部は、ネジ山付きであるものとしてよい。リング570の中心開口部は、リング570の一部が第1のナット562から後退して出るのをさらに防ぐ方式で第1のナット562と重なるように直径がより狭くなっている部分をさらに備え得る。たとえば、第1のナット562は、リテーニングリング570上の段部と当接し、第1のナット562が後退して出るのを防ぐものとしてよい。
【0074】
アセンブリ500は、スペーサー590をさらに備え得る。一実施形態によれば、スペーサー590は、ピストン530またはバックラッシュ防止メカニズム560の一部がモーター505と接触するのを防ぐために使用され得る。
【0075】
図6Aおよび
図6Bは、本明細書で開示されているバックラッシュ防止メカニズムが準備完了圧力設定に関係なくバックラッシュをどのようにして解消することができるかを例示するプロット図である。特に、
図6Aは、本明細書で開示されているバックラッシュ防止メカニズムの一実施形態を有するポンプシステムについて準備完了圧力が3psiに設定されている一例を示している。3psiでは、バックラッシュ事象はない。
図6Bは、準備完了圧力が3psi未満に設定されている一例を示している。
図4Aに例示されているように、本明細書で開示されているバックラッシュ防止メカニズムの一実施形態がない場合に、バックラッシュ事象は、準備完了圧力が3psi未満のときに生じ得る。
図6Bに例示されているように、本明細書で開示されているバックラッシュ防止メカニズムの一実施形態がある場合に、準備完了圧力が3psi未満に設定されているときであってもポンプシステム内にバックラッシュ事象はない。
【0076】
もっぱらポンプシステム内のピストンに関して説明されているが、本明細書で開示されているバックラッシュ防止メカニズムは、送りネジに沿って平行移動するアセンブリの他の平行移動部分と一体化されるか、または一緒に使用され得る。たとえば、いくつかの実施形態において、送りネジに結合するためのバックラッシュ防止システムは、平行移動部分と、平行移動部分を送りネジに動作可能に結合するために平行移動部分に結合されているバックラッシュ防止メカニズムとを備え得る。バックラッシュ防止メカニズムは、送りネジのネジ山と係合する第1のナットと、送りネジのネジ山と係合する第2のナットと、圧縮バネなどの付勢部材とを備え得る。そのようなバックラッシュ防止システムは、次の態様のうちの1つまたは複数を他のものとともに含み得る。
【0077】
-第1のナットまたは第2のナットのうちの1つは平行移動部分に対して固定された関係にあり得る。
【0078】
-付勢部材は、第1のナットおよび第2のナットを付勢して離し得る。
【0079】
-付勢部材は、平行移動部分をモーターの方へ付勢し得る。
【0080】
-付勢部材は、第1のナットが送りネジのネジ山の第1の面と係合したままとなるように第1のナットを付勢し得る。
【0081】
-付勢部材は、第1のナットが送りネジのネジ山の前進する面と係合したままとなるように第1のナットを付勢し得る。
【0083】
-付勢部材、第1のナット、および第2のナットは、軸方向に整列され得る。
【0084】
-送りネジは、第1のナット、第2のナット、および付勢部材を通過し得る。
【0085】
-第1のナットおよび第2のナットは、送りネジに沿って間隔をあけて並ぶものとしてよい。
【0086】
-バックラッシュ防止メカニズムは、モーターからある距離だけ離れて送りネジに沿って間隔をあけて並ぶものとしてよい。
【0087】
-第1のナットは、第2のナットよりも、モーターに近い位置に配置され得る。
【0088】
-第1のナットおよび第2のナットは、第1のナットに関する第2のナットの回転を制限するための特徴部を備え得る。
【0089】
-第1のナットは、平行移動部分に対して固定された関係にあり得る。
【0090】
-第1のナットは、平行移動部分の雌ネジと嵌合するネジ山を備え得る。
【0091】
-バックラッシュ防止メカニズムは、平行移動部分内に部分的にまたは完全に収容され得る。
【0092】
-平行移動部分に対して固定された関係にあるナットは、平行移動部分と一体化され得る。
【0093】
-回転防止メカニズムは、平行移動部分に関するバックラッシュ防止メカニズムの回転を防ぐために使用され得る。
【0094】
-回転防止メカニズムは、リテーニングリングを備え得る。
【0095】
-回転防止メカニズムは、第1のナットまたは第2のナットの逆回転を防ぐための特徴部を備え得る。
【0096】
-平行移動部分は、ピストンを備え得る。
【0097】
-ピストンは、ピストンの内側空洞を含み得る。
【0098】
-バックラッシュ防止メカニズムの全部または一部は、ピストンの内側空洞内に収納され得る。
【0099】
-ピストンは、内側部分および外側部分を備え得る。
【0100】
-内側部分は、ピン保持部分として働き得る。
【0101】
-ピストンは、ピストンの端部から延在する一組の弾力性のあるフィンガーを備え得る。
【0102】
-この一組の弾力性のあるフィンガーは、開口部の周りに配設され得る。
【0103】
-ピンが、ピン開口部内に配設され、弾力性のあるフィンガーを径方向外向きに押してダイアフラムを係合させることができる。
【0104】
-逆回転メカニズムは、ダイアフラムに関するピストンの回転を防ぎ得る。
【0105】
-1つまたは複数のピンもしくは他の特徴部がピストンの端面から突出し、ダイアフラムに関するピストンの回転を防ぐためにダイアフラムによって受け入れられるものとしてよい。
【0106】
-バックラッシュ防止システムは、ダイアフラムをさらに備え得る。
【0107】
-ダイアフラムは、ピストンとハウジングとの間のギャップ内でロールおよびアンロールを行うローリングダイアフラムであってよい。
【0108】
-ダイアフラムは、ピンもしくは弾力性のあるフィンガーもしくは他の特徴部を受け入れるための開口部など、ダイアフラムをピストンに結合する1つまたは複数の特徴部を受け入れる基部を備え得る。
【0109】
一実施形態によれば、ポンプなどのシステム、または他のシステムは、モーターと、送りネジと、バックラッシュ防止システム(たとえば、上で説明されているような)とを備えることができる。たとえば、多段ポンプでは、1つまたは複数のバックラッシュ防止システムは、単段または多段で使用され得る。ポンプ、ルーチン、管理システムなどの追加の例は、上で参照されている特許文献7、名称「SYSTEM AND METHOD FOR OPERATION OF A PUMP」、特許文献8、名称「SYSTEM AND METHOD FOR VALVE SEQUENCING IN A PUMP」、特許文献9、名称「SYSTEM AND METHOD FOR DETECTING AIR IN A FLUID」、特許文献10、名称「METHOD AND SYSTEM FOR PUMP PRIMING」に記載されている。
【0110】
理解されるように、本明細書で説明されているいくつかのルーチン、方法、ステップ、動作、またはその一部は、コンピュータ可読媒体上に記憶されているコンピュータ実行可能命令、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの組合せを含む、制御ロジックを通して実装され得る。制御ロジックは、情報処理デバイスが様々な実施形態において開示されている一組のステップを実行することを指令するように適合され得る。いくつかの実施形態は、1つまたは複数のデジタルコンピュータ内のソフトウェアプログラミングまたはコードを使用することによって、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、光、化学、生物学、量子もしくはナノ工学システム、コンポーネント、およびメカニズムを使用することによって実装され得る。本開示および本開示で提示されている教示に基づき、当業者は、本発明を実装する他の手段および/または方法を理解するであろう。
【0111】
特定のステップ、動作、方法、ルーチン、動作またはその一部は、単一のコンピュータ処理デバイスまたは複数のコンピュータ処理デバイス、単一のコンピュータプロセッサ、または複数のコンピュータプロセッサ上で実行され得る。データは、単一の記憶媒体に記憶されるか、または複数の記憶媒体を通じて分散されるものとしてよく、単一のデータベースまたは複数のデータベース(または他のデータ記憶装置)内に常駐し得る。本明細書で説明されている動作のシーケンスは、オペレーティングシステム、カーネルなどの、別のプロセスによって中断され、サスペンドされ、または他の何らかの形で制御され得る。ルーチンは、オペレーティングシステム環境内で、またはスタンドアロンルーチンとして動作し得る。
【0112】
ルーチン、方法、ステップ、動作、またはその一部の実施形態は、ネットワーク(たとえば、インターネット、イントラネット、インターネット、WAN、LAN、SANなど)、別のコンピュータに通信可能に結合された、またはスタンドアロンコンピュータ内の1つまたは複数のコンピュータで実装され得る。当業者によって知られているように、コンピュータは、CPUもしくはプロセッサ、メモリ(たとえば、RAM、ROM、HD、もしくは命令およびデータの永続的もしくは一時的記憶のための他のコンピュータ可読媒体などの一次または二次メモリ)、および1つまたは複数のI/Oデバイスを備えることができる。I/Oデバイスは、キーボード、モニタ、プリンタ、電子的ポインティングデバイス(たとえば、マウス、トラックボール、スタイラスなど)、タッチスクリーン、または同様のものを含み得る。実施形態において、コンピュータは、同じハードウェア上の、またはネットワーク上の少なくとも1つのデータベースにアクセスすることができる。
【0113】
本明細書で使用されているように、「含む」、「含んでいる」、「備える」、「備えている」、「有する」、「有している」、またはそれらの他の変形は、非排他的包含を対象とすることを意図されている。たとえば、要素のリストを含むプロセス、物品、または装置は、必ずしも、それらの要素にのみ限定されず、明示的にリストされていない、またはそのようなプロセス、物品、または装置に固有の、他の要素を含み得る。
【0114】
さらに、特に断りのない限り、「または」は、包含を意味し、またはおよび排他的論理和を意味しない。すなわち、本明細書で使用されているような「または」という語は、一般的に、断りのない限り「および/または」を意味することが意図されている。たとえば、条件AまたはBは、次のうちのいずれか1つによって満たされる。Aは真であり(または存在し)、Bは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)、Bは真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0115】
本明細書で使用されているように、英語原文において「a」または「an」(および「a」または「an」に対して先行詞があるときに「the」)が語の前に付いている場合は、文脈からそうではないことが明らかでない限り、そのような語の単数形および複数形の両方を含む。また、本明細書の説明で使用されているように、「in(中の)」は、文脈上明らかにそうでないことを示していない限り、「in」および「on(上の)」を含む。
【0116】
それに加えて、本明細書において与えられている例または実例は、いかなる点でも、それらが利用されている1つまたは複数の語の制約、制限、または明示的定義とみなされないものとする。その代わりに、これらの例または実例は、特定の一実施形態に関して説明され、例示のみとしてみなされるべきである。当業者であれば、これらの例または実例が利用される1つまたは複数の語は、これと一緒に、または本明細書の別のところで与えられる場合も与えられない場合もある他の実施形態を含み、そのような実施形態はすべて、その1つまたは複数の語の範囲内に収まることが意図されていることを理解するであろう。そのような非制限的な例および実例を指定する言い回しは、限定はしないが、「for example(たとえば)」、「for instance(たとえば)」、「e.g.(たとえば)」、「一実施形態において」を含む。
【0117】
本明細書全体を通して「一実施形態」、「実施形態」、もしくは「特定の実施形態」または類似の言い回しで記述されている場合、これは、実施形態に関して説明されている特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれ、必ずしもすべての実施形態に存在するとは限らないことを意味する。したがって、「一実施形態において」、「実施形態において」、もしくは「特定の実施形態において」または類似の言い回しが本明細書全体の様々な箇所に記載されていても、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の実施形態の特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の他の実施形態と好適な方式で組み合わされ得る。本明細書で説明され、例示されている実施形態の他の変更形態および修正形態は、本明細書の教示に照らして可能であり、本発明の精神および範囲の一部として考えられることは理解されるであろう。
【0118】
本発明は、特定の実施形態に関して説明されているけれども、それらの実施形態は単に例示的であり、本発明を制限するものではない。本発明の例示されている実施形態の本明細書の説明は、網羅的であること、または本発明を本明細書で開示されている正確な形態に制限することを意図されていない(および特に、特定の実施形態、特徴、または機能の包含は、本発明の範囲をそのような実施形態、特徴、または機能に制限することを意図されていない)。むしろ、説明は、本発明を特に説明されている実施形態、特徴、または機能に制限することなく当業者が技術の文脈において本発明を理解できるように例示的な実施形態、特徴、および機能を説明することを意図されている。本発明の特定の実施形態および例は、例示することのみを目的として本明細書で説明されているが、様々な同等の修正形態も、当業者が理解し、認識するように、本発明の精神および範囲内で可能である。指示されているように、これらの修正は、本発明の例示されている実施形態の前述の説明に照らして本発明に行われるものとしてよく、本発明の精神および範囲内に含まれる。したがって、本発明は、その特定の実施形態を参照しつつ本明細書において説明されたが、修正の許容範囲、様々な変更、および代用は、前述の開示の中で意図されており、いくつかの場合において、本発明の実施形態のいくつかの特徴は、述べられているように本発明の範囲および精神から逸脱することなく他の特徴の対応する使用なしで採用されることは理解されるであろう。したがって、特定の状況または材料を本発明の本質的範囲および精神に適合させるように、多くの修正を加えることができる。
【0119】
本明細書の説明において、本発明の実施形態を十分理解できるようにコンポーネントおよび/または方法などの多数の具体的詳細が取りあげられている。しかしながら、当業者であれば、一実施形態は、具体的詳細の1つまたは複数がなくても、または他の装置、システム、アセンブリ、方法、コンポーネント、材料、パーツ、および/または同様のものを使用しても、実施できることを理解するであろう。他の場合には、よく知られている構造、コンポーネント、システム、材料、または動作は、特に詳しく示したり説明したりせず、本発明の実施形態の態様がわかりにくくならないように配慮している。本発明は、特定の実施形態を使用して例示され得るが、これは、本発明を特定の実施形態に制限せず、当業者であれば、追加の実施形態が容易に理解可能であり、本発明の一部であることを理解するであろう。
【0120】
ステップ、動作、または計算は、特定の順序で提示されている場合があるけれども、この順序は、異なる実施形態では変更されていることがある。いくつかの実施形態において、複数のステップが本明細書において順次的に示されている範囲で、代替的実施形態におけるそのようなステップの何らかの組合せは、同時に実行され得る。本明細書で説明されている動作のシーケンスは、別のプロセスによって中断され、サスペンドされ、または他の何らかの形で制御され得る。
【0121】
また、図面/図に示されている要素の1つまたは複数は、より独立した、または一体化された方式で実装され得るか、またはさらには、特定の用途に応じて有用であるように、いくつかの場合において取り除かれるか、または動作不可能にすることも可能であることも理解されるであろう。それに加えて、図面/図中の信号矢印は、例にすぎず、特に断りのない限り、制限するものとみなすべきではない。本開示の範囲は、次の請求項およびその法的等価物によって決定されるべきである。