特許第6543704号(P6543704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543704
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】太陽熱収集システム
(51)【国際特許分類】
   F24S 80/20 20180101AFI20190628BHJP
   F24S 10/70 20180101ALI20190628BHJP
【FI】
   F24S80/20
   F24S10/70
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-521383(P2017-521383)
(86)(22)【出願日】2015年6月2日
(86)【国際出願番号】JP2015065849
(87)【国際公開番号】WO2016194124
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2017年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003285
【氏名又は名称】千代田化工建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(72)【発明者】
【氏名】日野 光一
【審査官】 佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−531552(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/135567(WO,A2)
【文献】 実公昭61−035885(JP,Y2)
【文献】 特公昭56−040257(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0108099(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0199974(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24S 10/00 − 90/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽熱により溶融塩を加熱するとともに、前記溶融塩を流す熱媒流路を複数備え、前記熱媒流路にそれぞれ設けられたベントから前記熱媒流路に気体を取り入れることにより、複数の前記熱媒流路から同じ排出経路を介して前記溶融塩を排出可能となっている太陽熱収集システムであって、
複数の前記ベントを繋ぐ配管であるヘッダを備え、前記ベントが前記ヘッダを介して前記熱媒流路内に前記気体を取り入れ可能となっていることを特徴とする太陽熱収集システム。
【請求項2】
前記ヘッダには、外部から空気を取り入れ可能な吸入口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱収集システム。
【請求項3】
前記ヘッダには、当該ヘッダ内に圧縮気体を導入する気体導入手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱収集システム。
【請求項4】
前記ベントは、前記熱媒流路内の圧が外部の圧より低い場合に開放可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱収集システム。
【請求項5】
前記熱媒流路内の圧を計測する圧計測手段と、前記圧計測手段に計測された圧が所定圧以下となった場合に、前記ベントを開放するベント制御手段とを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の太陽熱収集システム。
【請求項6】
前記ベントに逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の太陽熱収集システム。
【請求項7】
前記ベントに背圧弁が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の太陽熱収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒が流れる複数の熱媒流路を備える太陽熱収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーを利用した効率的な電力安定供給を実現するためのシステムの一例として、太陽熱を利用した発電プラントが挙げられる(例えば特許文献1および2参照)。
この太陽熱を利用した発電プラントでは、太陽熱を太陽熱収集装置で集め、この集めた熱を、熱媒を介して熱交換器に送り、この送った熱により水を蒸気に変化させ、この蒸気によりタービンを駆動させて発電を行うようになっている。
太陽熱収集装置で集めた熱は、熱媒を介して蓄熱装置により蓄熱することができ、この蓄熱した熱を、夜間といった太陽光を収集できないない時間帯に再び熱媒を通じて熱交換器に送ることにより、発電を行うことができる。このため、電力を安定的に供給することが可能となる。
【0003】
このような太陽熱発電プラントで使用される熱媒としては、一般的に合成オイルが使用されるが、近年において、熱媒を合成オイルから溶融塩に変更する試みがなされている。
熱媒を合成オイルから溶融塩に変更することで以下のような利点がある。
まず、従来型より高温のスチームを供給することができ、これによって、発電効率の上昇と発電コストの削減が期待できる。また、従来型と比べ、溶融塩を熱媒として使用したシステムでは蓄熱タンクの容量をより小さくすることができる。さらに、従来型(熱媒:合成オイル)は、蓄熱媒体として溶融塩を使用しているため、合成オイルと溶融塩の熱交換が必要であったが、全システムを溶融塩のみで動かすことにより熱交換器が不要となり、プラントをよりシンプルに構成することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/43776号明細書
【特許文献2】特開2014−31787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、太陽熱収集装置に熱媒を循環させる熱媒流路は、ポンプにより熱媒を循環させているが、例えば、メンテナンス時などに、熱媒流路内の熱媒を排出する場合がある。また、熱媒はポンプにより熱媒流路を循環させられているが、停電や事故等により電源断となったり、ポンプが故障したりすると熱媒の循環が停止することになる。ここで、熱媒として、溶融塩等の凝固点温度が気温よりかなり高いものを用いている場合に、熱媒流路で流れなくなった熱媒が比較的短期間で冷えて固化してしまう可能性がある。この場合に、運転再開時に熱媒流路が固化した熱媒で塞がれた状態となり、熱媒流路を加熱して熱媒を溶融させる必要が生じ、運転再開に時間とコストがかかることになる。
【0006】
したがって、何等かの理由で、熱媒を循環させるためのポンプが停止する場合に、熱媒流路から熱媒を排出することが好ましい。また、排出に際しては、排出にかかる時間が短いことが好ましい。
【0007】
ここで、太陽熱発電プラントに複数の太陽熱収集装置が設けられ、各太陽熱収集装置にループ状に熱媒流路が設けられ、これら熱媒流路に熱媒を供給する配管および熱媒流路から熱媒を回収する配管が接続され、これらの配管を介して熱媒流路から熱媒を排出する構造となっている場合に後述のような問題が生じる。なお、熱媒流路や上述の配管においては、熱媒を循環させるためのポンプが停止しても熱媒を排出できるように、熱媒を流下させるための高低差がある必要がある。
【0008】
上述のように短時間で熱媒を排出するためには、各太陽熱収集装置で、略一斉に熱媒を排出させることが好ましい。この際に高低差で熱媒を流下させるために、熱媒流路の最も高い部分に開閉可能なベント(開閉可能な空気孔)を設けておき、熱媒排出時にベントを開放して、空気を取り入れることにより、熱媒流路の傾斜(高低差)にしたがって熱媒流路内で熱媒を流下させることが好ましい。
【0009】
ここで、太陽熱収集装置を複数備える太陽熱発電プラントは、例えば、広大な土地に設けられることになる。このような広大な土地を平地に整地するにはコストが掛かるとともに、上述のようにポンプ停止時に熱媒を流出させるために熱媒を流す熱媒流路等の配管に高低差を必要なことから、発電プラントが設けられる土地を平にせずに逆に高低差を利用して熱媒を流す配管を設置することが考えられる。
【0010】
しかし、この場合に、各太陽熱収集装置の熱媒流路の高さが異なる状態となる可能性が高い。この場合に、上述のように複数の熱媒流路から一斉に同じ配管に熱媒を流すと、各熱媒流路のうちの高さの低い熱媒流路にそれより高さが高い熱媒流路から熱媒が逆流する虞がある。
【0011】
また、熱媒流路への熱媒の供給と排出を行う配管で、熱媒排出時に熱媒が流入する配管にも高低差がある場合に、配管の上側に接続された熱媒流路から排出される熱媒が高低差の下方側に流下し、配管の下側に接続された熱媒流路の配管の接続部に熱媒の圧がかかり、熱媒流路内の熱媒が、その排出方向に対して逆流した状態となる虞がある。
【0012】
すなわち、これらの場合に熱媒流路内の熱媒に熱媒の排出方向と逆側に圧が作用することになる。これにより、開放したベントから熱媒が流出してしまう虞がある。
そこで、各熱媒流路のそれぞれのベントに熱媒の流出を防止する防止機構を設けることが好ましい。しかし、防止機構が故障や損傷するなどの問題が生じた場合に、ベントからの熱媒の流出が生じてしまう虞がある。この場合に、いずれのベントの防止機構に問題が生じるかを予測することが難しい。上述の防止機構がなければ、複数の熱媒流路のうちの高さ位置が低い熱媒流路でベントから熱媒が流出する可能性が高く、熱媒が流出するベントを予測可能である。
【0013】
しかし、熱媒のベントからの流出を防止する防止機能がある場合に、熱媒のベントからの流出がほとんどなくなり、ベントに問題が生じた場合にだけ熱媒の流出が生じる虞がある。この場合には、いずれのベントから熱媒が流出するかを予測することが難しく、万が一にベントから熱媒が流出した場合に、いずれのベントから熱媒が流出するかを予測できず、熱媒流出への対策が難しくなる。
これらのことから、ベントから万が一熱媒が流出するようなことがあっても、問題が生じ難い構造が求められている。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、熱媒流路のベントから万が一にも熱媒が熱媒流路の外側に漏出するようなことがあっても熱媒の外部(熱媒を流すことを想定した設備の外側)への漏出の抑止や熱媒の漏出対策が容易な太陽熱収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本発明の太陽熱収集システムは、太陽熱により熱媒を加熱するとともに、前記熱媒を流す熱媒流路を複数備え、前記熱媒流路にそれぞれ設けられたベントから前記熱媒流路に気体を取り入れることにより、複数の前記熱媒流路から同じ排出経路を介して前記熱媒を排出可能となっている太陽熱収集システムであって、
複数の前記ベントを繋ぐ配管であるヘッダを備え、前記ベントが前記ヘッダを介して前記熱媒流路内に前記気体を取り入れ可能となっていることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、熱媒排出時に熱媒の逆流により万が一にもベントから熱媒が流出した場合に、熱媒がヘッダ内に流入することになり、熱媒が当該熱媒を流すことを想定したヘッダを含む設備の外側となる外部に漏出するのを防止することができる。なお、以下の記載において、外部とは、基本的にヘッダおよび熱媒流路等の熱媒を流すことが想定される設備の外側のことである。
【0017】
また、ベントは、基本的に弁を有するものであるが、熱媒流路に熱媒を流している使用状態では、ポンプで熱媒を流すことにより、熱媒流路内が陽圧となり、ベントの弁が故障または破損すると、ベントから熱媒が漏出する虞がある。万が一にもベントの弁が故障または破損するようなことがあっても、ベントから漏出した熱媒は、直ぐに外部に流出せずに、ヘッダ内に流入することになり、弁の故障や破損への対応の時間を稼ぐことができる。
【0018】
本発明の前記構成において、前記ヘッダには、当該ヘッダおよび熱媒流路の外側(上述の外部)から空気を取り入れ可能な吸入口が設けられていることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、吸入口から取り入れられた気体は、ヘッダから各ベントに流れることになるが、いずれかのベントから熱媒の流出が生じた場合に、流出した熱媒はヘッダ内に溜まることになるが、流出する熱媒の量が多すぎると、ヘッダの吸入口から熱媒が流出してしまうことになる。
【0020】
この場合には、熱媒が流出するのは、吸入口に限定されるので、例えば、吸入口の周囲に人の立ち入りを防止する構造を設けたり、吸入口から流出した熱媒がさらに流出しないように熱媒を受けて溜める構造を設けたりする対策を各ベントではなく、ヘッダの吸入口に行うだけで、熱媒の流出への対応が可能になる。これにより、熱媒の流出対策のコストの低減を図ることができる。
【0021】
また、本願発明の前記構成において、前記ヘッダには、当該ヘッダ内に圧縮気体を導入する気体導入手段が設けられていることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、各熱媒流路から熱媒を排出する際にヘッダから各ベントに圧縮気体を導入して熱媒を排出可能となる。この場合に、各ベンドに圧縮気体を導入するためのコンプレッサやガスタンク等を設けたり、ベントにそれぞれ圧縮気体を導入する配管を設けたりする必要がなく、複数の熱媒流路に低コストで圧縮気体の導入が可能となる。
【0023】
なお、ヘッダは、圧縮気体の導入だけではなく、上述のように外部の空気の取り入れにも利用可能であるし、万が一にもベントの弁が故障または破損した場合の熱媒の外部への流出の抑制を図ることができる。
【0024】
また、本発明の前記構成において、前記ベントは、前記熱媒流路内の圧が外部の圧より低い場合に開放可能となっていることが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、熱媒流路の熱媒を排出する側が開放さえることで、熱媒流路内の圧が抜け、さらに、熱媒流路内の熱媒の荷重により熱媒が下方に移動しようとすることにより、熱媒流路の上部側のベント部分の圧が外部の圧より下がった状態となった際に、ベントが開放可能となっている。したがって、上述のように高い位置の熱媒流路から排出される熱媒が低い位置の熱媒流路を逆流する場合のようにベント部分の圧が陽圧となる場合はベントが開放せず、ベントからヘッダに熱媒が流出するのを防止できる。なお、ここで外部の圧とは、例えば、大気圧であり、外部の圧より低い状態は、例えば、陰圧の状態である。
【0026】
なお、ヘッダ内に熱媒が流入した場合には、ヘッダ内で熱媒が固化してしまう虞があり、後処理を考慮すると、ベントからヘッダに熱媒がなるべく流出しない方が好ましい。
【0027】
また、本発明の前記構成において、前記熱媒流路内の圧を計測する圧計測手段と、前記圧計測手段に計測された圧が所定圧以下となった場合に、前記ベントを開放するベント制御手段とを備えることが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、熱媒流路の熱媒がポンプにより循環している状況や、熱媒排出時に熱媒が逆流しそうな状態で、熱媒流路のベント部分が陰圧ではなく、陽圧となっている状態では、ベントが開放しないことになる。これにより、ベントからヘッダへの熱媒の流出を防止できる。
【0029】
また、本発明の前記構成において、前記ベントに逆止弁が設けられていることが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、逆止弁によりベントからの熱媒の流出を防止できるので、ベントからヘッダ内への熱媒の流出を防止できる。
【0031】
また、本発明の前記構成において、前記ベントに背圧弁が設けられていることが好ましい。
【0032】
このような構成によれば、背圧弁の背圧によりベント部分が所定圧以下にならないと開放しない構成とすることが可能であり、ベントからヘッダへの熱媒の流出を防止できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、太陽熱を収集して熱媒で伝達する際の熱媒流路に熱媒排出時に気体を取り入れるためのベントを設けた場合に、何等かの理由によりベントから熱媒が流出しても熱媒が直接外部に流出してしまうのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る太陽熱取集システムを示す概略図である。
図2】同、要部概略図である。
図3】本発明の第2の実施の形態に係る太陽熱取集システムを示す要部概略図である。
図4】本発明の第3の実施の形態に係る太陽熱取集システムを示す要部概略図である。
図5】本発明の第4の実施の形態に係る太陽熱取集システムを示す要部概略図である。
図6】本発明の第5の実施の形態に係る太陽熱取集システムを示す要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1および図2は、第1の実施の形態の太陽熱収集システムの概略構成を示すものである。太陽熱収集システムは、複数の太陽熱収集装置1を備えている。なお、図1では太陽熱収集装置1を2つ記載しているが、実際には太陽熱収集装置1は多数(例えば100台以上)設けられている。なお、太陽熱収集システムで収集された太陽熱は、熱媒を介して発電システムに送られて発電が行われる。これら太陽熱収集システムと発電システムとから太陽熱発電プラントが構成される。
【0036】
太陽熱収集装置1は、例えば略U形の熱媒流路2を有しており、この熱媒流路2は、集光鏡(集光手段)3で集光された太陽光によって加熱され、これによって、熱媒流路2を流れる熱媒の温度が例えば550℃程度まで上昇するようになっている。
【0037】
なお、本実施の形態では熱媒としては、硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの混合物からなる溶融塩が使用されている。
また、図1において、小さな直角三角形で示すものは勾配記号であり、この勾配記号にしたがって、熱媒流路2および後述する傾斜配管5が水平面に対して傾斜している。
【0038】
太陽熱収集装置1の熱媒流路2は傾斜配管5に接続されている。傾斜配管5はループ状に構成されており、図1において左端部が右端部より高くなっている。つまり、傾斜配管5は水平面に対して図1において右下がりに傾斜している。また、傾斜配管5は、平行に配置された2本の傾斜配管5a,5bを有しており、一方の傾斜配管5aと他方の傾斜配管5bとはその両端部においてそれぞれ配管5cによって接続されている。
傾斜配管5には2つのタンク6,7が接続されている。タンク6,7はそれぞれ熱媒を貯留するものであり、タンク6は太陽熱収集装置1によって加熱される前の熱媒を貯留し、タンク7は太陽熱収集装置1によって加熱された後の熱媒を貯留するようになっている。したがって、以下ではタンク6をコールド側タンク6と称し、タンク7をホット側タンク7と称する。
【0039】
コールド側タンク6と傾斜配管5aとは接続配管10によって接続されており、コールド側タンク6に設けられた図示しないポンプによって、コールド側タンク6から傾斜配管5aに熱媒を送り込むようになっている。傾斜配管5aに送り込まれた熱媒は、接続配管10と傾斜配管5aとの接続部において分岐して、その一部が傾斜配管5aの勾配に沿って右側に流れ、残りの一部が傾斜配管5aの勾配に逆らって左側に流れるようになっている。
【0040】
また、ホット側タンク7と傾斜配管5bとは接続配管11によって接続されており、太陽熱収集装置1によって加熱された後の熱媒を前記ポンプの圧力によってホット側タンク7に送り込むようになっている。なお、接続配管11は途中で分岐して、コールド側タンク6にも必要に応じて熱媒を送り込むことが可能となっている。例えば、太陽が出ていない夜間等は太陽熱収集装置1にて熱媒を加熱できないので、その場合、前記分岐部に設けられた切替弁によって、熱媒をコールド側タンク6にのみ送り込むようにして、加熱されていない熱媒がホット側タンク7に送り込まれるのを防止する。
【0041】
また、太陽熱収集装置1の熱媒流路2の一方の端部は傾斜配管5aに接続されており、他方の端部は傾斜配管5bに接続されている。したがって、通常の運転時に傾斜配管5aを流れる熱媒は太陽熱収集装置1によって加熱される前の熱媒であり、傾斜配管5bを流れる熱媒は太陽熱収集装置1によって加熱された後の熱媒である。太陽熱収集装置1の熱媒流路2では、傾斜配管5aに接続された端部から傾斜配管5bに接続される端部に熱媒が流れることになり、熱媒が太陽熱収集装置1を循環している状態となる。
【0042】
なお、熱媒流路2および傾斜配管5a,5bから熱媒を排出する場合には、熱媒流路2および傾斜配管5a,5bの傾斜にしたがって上から下に熱媒を流すことが可能な構成になっている。熱媒を排出するために、熱媒流路2の最も高い位置にベント弁15aを備えるベント15が設けられており、ベント15のベント弁15aを開放することにより、熱媒を排出する場合に空気を取り入れるようになっている。
【0043】
各太陽熱収集装置1の熱媒流路2には、上述のベント15が設けられている。ベント15は、熱媒流路2の高さ位置が略最高となる位置に上側に向かって分岐して設けられるベント用流路と、ベント用流路に設けられたベント弁15aとを備える。ベント用流路は、各熱媒流路2でそれぞれ最も高い部分となり、上端部からベント弁15aを介して熱媒流路2に空気を取り入れるようになっている。また、ベント用流路の上端部がヘッダ31に接続されている。
【0044】
なお、ベント用流路および熱媒流路2は、管体からなっている。また、ベント用流路は、熱媒流路2に対してT字状もしくはY字状等の2つに分岐する形状となるように接続されており、ベント用流路が、熱媒流路2に接続される部分で2方向に分岐した形状となっている。これにより、ベント用流路からループ状の熱媒流路2の最高位置に空気を流入させる際に、空気がベント用流路から2方向に向かって熱媒流路2に流入するようになっている。
【0045】
上述のように。ベント用流路の途中にベント弁15aが設けられることにより、ベント弁15aを開放した際に熱媒流路2に空気を取り入れるためのベント15が構成されている。ベント弁15aは、基本的に開閉可能であれば、どのような弁であってもよいが、基本的に常時閉であり、上述のように熱媒を排出する際にだけ開放される。
【0046】
また、熱媒流路2には、ポンプにより熱媒が常時流されている状態である。このことから熱媒流路2は陽圧であり、太陽熱収集システムの通常運転時に、ベント15からの熱媒の流出を防止するために、ベント15のベント弁15aは、常時閉となっている必要がある。ベント弁15aは、基本的に開閉可能であればどのような弁であってもよいが耐久性が高いことが好ましい。このようなベント弁15aは、電磁弁でもよいし、手動で開閉可能な弁でもよいが、停電時に弁を開放させるために手動でも開閉できる構成となった電磁弁が好ましい。また、ベント弁15aを電磁弁で構成する場合に、バックアップ電源としての電池を設けておき、停電時でも電池からの電力でベント弁15aが作動可能な構成としてもよい。
【0047】
ヘッダ31は、複数の太陽熱収集装置1のそれぞれに設けられた熱媒流路2のベント15を連通した状態に接続するものである。ヘッダ31は、管体であり、各熱媒流路2のベント15のベント用流路となる管体の上端部に連通した状態で接続されている。
【0048】
ヘッダ31は、基本的に1本の配管であり、複数のベント15が上述のように接続されている。なお、ヘッダ31とベント15とは、後述する吸入口(吸気口)32を除いて密閉された状態となっており、吸入口32以外から空気等の気体や液体等が出入できない状態となっている。
【0049】
前記吸入口32は、ヘッダ31を構成する配管の最も高い位置に設けられた吸入口用管の上端開口である。吸入口用管は、ヘッダ31となる配管の最も高い位置から上に向かって延出して設けられるが、U字状に曲がった形状を有し、空気を取り入れる上端開口が下を向いており、雨水等の吸入口用管への進入が抑止されている。
【0050】
また、吸入口32は、基本的に1つのヘッダ31に1つ設けられるが複数設けても良い。吸入口32は、弁が設けられず、基本的に常時開で閉じることができないが、吸入口32に弁を設けて開閉可能としてもよい。
【0051】
複数の太陽熱収集装置1のうち最も低い位置に配置されている太陽熱収集装置1の熱媒流路2が接続された傾斜配管5の位置より低い位置にドレイン容器16が配置されており、このドレイン容器16は、熱媒流路2からドレイン容器16に熱媒を排出する際の排出経路としての傾斜配管5に接続されている。具体的には、傾斜配管5の右側端部の配管5cにドレイン容器16が接続されている。
【0052】
配管5cの中央部には弁17が設けられ、この弁17より傾斜配管5a側の配管5cとドレイン容器16とが配管18aによって接続され、弁17より傾斜配管5b側の配管5cとドレイン容器16とが配管18bによって接続されている。なお、この弁17は通常は閉じた状態となっている。
また、配管18bと配管5cとの接続部には、図示しない弁が設けられている。そして、この弁を開放することによって、傾斜配管5bを流れる熱媒を配管5c、配管18bを介してドレイン容器16に受け入れることができるようになっている。
また、傾斜配管5aを流れる熱媒は配管5c,18aによって常にドレイン容器16に送り込まれるようになっている。
【0053】
また、ドレイン容器16から熱媒をコールド側タンク6に送り出すポンプ20を備えている。ドレイン容器16には排出管21が接続されており、この排出管21の途中にポンプ20が設けられている。
一方、傾斜配管5a,5bの間に排出管22が傾斜配管5a,5bと平行に設けられ、この排出管22の一方の端部はコールド側タンク6に向けて折曲され、当該コールド側タンク6に接続されている。また、排出管22の他方の端部は排出管21と接続されている。
したがって、ドレイン容器16に受け入れられた熱媒は、ポンプ20によって排出管21,22を介してコールド側タンク6に送り出され、当該コールド側タンク6に貯留されるようになっている。
【0054】
このような構成の太陽熱収集システムでは、通常の運転時には、コールド側タンク6から図示しないポンプによって、熱媒が傾斜配管5aに送り込まれ、この傾斜配管5aから各太陽熱収集装置1の熱媒流路2に熱媒が送り込まれ、太陽光によって加熱された熱媒が傾斜配管5bから接続配管11を通ってホット側タンク7に貯留される。このホット側タンク7に貯留された熱媒が図示しない配管によって発電システムに送り込まれ、タービンによって発電する。発電に使用されて温度が低くなった熱媒は図示しない配管によってコールド側タンク6に戻され、再びコールド側タンク6から図示しないポンプによって、熱媒が傾斜配管5bに送り込まれて太陽熱収集装置1で熱媒が加熱され、この加熱された熱媒がホット側タンク7に貯留される。
【0055】
このような工程を行うことによって、熱媒を発電システムに安定的に供給することが可能となる。すなわち、ホット側タンク7に貯留された熱媒は、発電システムの熱交換器に送られて、水を加熱して蒸気とし、発電システムのタービンを回転させて電力を発生するようになっている。発電システムで蒸気を発生させるのに使用されて温度が低下した熱媒はコールド側タンク6に戻される。
【0056】
また、傾斜配管5aを流れる熱媒の一部は配管5c、18aを介してドレイン容器16に送り込まれるとともに、このドレイン容器16からポンプ20によって排出管21,22を介してコールド側タンク6に送り出され、当該コールド側タンク6に貯留される。
【0057】
一方、例えばメンテナンス時や停電等によって熱媒流路2を流れる熱媒に温度低下が生じて固化する虞がある場合、熱媒流路2から熱媒を以下のようにして排出する。
各太陽熱収集装置1の熱媒流路2の最高位置に設けられたベント15のベント弁15aを開放して熱媒流路2に空気を導入するとともに、配管18bと配管5cとの接続部に設けられた弁を開放する。
【0058】
すると、各太陽熱収集装置1の熱媒流路2から傾斜配管5(5a,5b)に熱媒が重力によって流れ込み、さらにこの熱媒が重力によって傾斜配管5(5a,5b)を流れて、配管18a,18bを介してドレイン容器16に受け入れられる。
ドレイン容器16に受け入れられた熱媒はポンプ20によってコールド側タンク6に排出管21,22を介して送り出され、当該コールド側タンク6に貯留される。
したがって、複数の太陽熱収集装置1から排出される熱媒を、コールド側タンク6を太陽熱収集装置1より低い位置に設置することなく、太陽熱収集装置1から熱媒を重力によって排出できる。
【0059】
ここで、各太陽熱収集装置1において熱媒流路2のベント弁15aを略同時に開放した場合に、各太陽熱収集装置1の熱媒流路2から略同時に傾斜配管5に熱媒が流入することになる。この場合に、各太陽熱収集装置1の熱媒流路2が同じ傾斜配管5に接続されていることから、例えば、傾斜配管5の傾斜の上側に接続された複数の熱媒流路2から流入する熱媒により、その熱媒流路2より傾斜配管5の傾斜下側に接続された熱媒流路2には、圧がかかり、熱媒が熱媒流路2の熱媒の排出方向(傾斜下側に向かう方向)に対して逆流する虞がある。
【0060】
この場合に、傾斜配管5から熱媒が逆流した状態に流入した熱媒流路2では、ベント15から熱媒が流出する虞がある
この場合に、ベント弁15aを開としていることから、熱媒が逆流した熱媒がベント15から流出することになるが、ベント15は、ヘッダ31に接続されているので、ベント15から流出した熱媒は、ベント15から直接外部に流出するのではなく、ヘッダ31に流入することになる。
【0061】
したがって、上述のように熱媒が逆流するようなことがあっても、熱媒の外部への流出を抑止することができる。ここで、熱媒排出時に、一部の熱媒流路2で熱媒が逆流することがあっても、最終的には、全ての熱媒流路2で熱媒がドレイン容器16に流出することになる。したがって、熱媒流路2の逆流が収まるまでに流出する熱媒の流出量よりヘッダ31の容量が大きければ、熱媒はヘッダ31内に溜まることになる。なお、この場合に、ヘッダ31に接続されたベント15のうちの最も低いベント15から熱媒がヘッダ31内に流出する可能性が高いが、ヘッダ31内に流出した熱媒は、冷えて固まる前に、上述のように流出が収まった際に、最も低いベント15から当該ベント15を備える熱媒流路2に戻されてドレイン容器16に排出されることになる。
【0062】
また、ベント15からヘッダ31に流出する熱媒の流出量がヘッダ31の容量より多ければ、ヘッダ31内に流入した熱媒は、吸入口32からヘッダ31の外部に流出することになる。この場合に、ヘッダ31に多くのベント15が接続されていても、熱媒が流出するのは、例えば、1つの吸入口32だけであり、例えば、吸入口32の回りに、人が入り込めないような構造を設け、流出した熱媒を受けて溜めるドレイン槽(容器)を設ければ、熱媒が外部に流出しても問題が生じない。
【0063】
また、溶媒の流出に対応するための構造は、各ベント15に対応して設けるのではなく、多数のベント15に対して、1つの吸入口32に設ければよいので、熱媒の流出対策用のコストを大幅に低減することができる。
【0064】
また、ベント15は、上述のように熱媒排出時に開放する必要があるが、通常運転時には、熱媒流路2からポンプにより加圧された状態の熱媒が漏出しないようにする必要がある。この場合に、ベント弁15aが破損したり故障したりした場合に、ベント15から熱媒が流出する虞があるが、上述のように熱媒の外部への漏出を抑止することができるとともに、万が一熱媒が吸入口32から漏出するようなことがあっても低コストで対応可能となる。
【0065】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図3は、第2の実施の形態の太陽熱収集システムの要部概略構成を示すものである。第2の実施の形態の太陽熱収集システムは、第1の実施の形態のヘッダ31に、吸入口32に代えて圧縮気体が溜められた加圧ガスホルダ(ガスタンク:気体導入手段)23を接続したものである。
【0066】
本実施の形態では、ヘッダ31に加圧ガスホルダ23が接続されており、熱媒排出時にベント15のベント弁15aを開放するとともに、加圧ガスホルダ23を開放してヘッダ31に加圧ガスを導入することにより、熱媒流路2に加圧ガスを導入して熱媒を排出することができる。
【0067】
この場合に、加圧ガスのヘッダ31内での圧力が、上述のように熱媒が逆流する場合に、熱媒にかかる圧よりも高ければ、熱媒の逆流を防止することができる。熱媒を逆流させる圧力がヘッダ31内に導入された加圧ガスの圧力より高ければ、熱媒の逆流を完全に防止することができないが、熱媒を外部に漏出させずに、ヘッダ31内に留めることが可能となる。
【0068】
この場合に、ヘッダ31に吸入口32等の外部に連通する部分がなければ、ヘッダ31は、加圧ガスホルダ23を含めて密閉された状態であり、外部への熱媒の流出を防止できる。また、通常運転時にベント弁15aが機能しない状態となっても熱媒が外部に漏出するのを抑止できる。
【0069】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図4は、第3の実施の形態の太陽熱収集システムの要部概略構成を示すものである。
第3の実施の形態の太陽熱収集システムは、第1の実施の形態の太陽熱収集システムのベント15に内部の熱媒の圧力を測定するための圧計測手段としての圧力計25を設けるとともに、ベント15内の圧力に基づいて、ベント弁15aの開閉を制御可能としたものである。
【0070】
ベント弁15aは、例えば、電池により電源がバックアップされて停電時にも作動可能な電磁弁となっているとともに、電磁弁の開閉を制御する図示しない制御装置(ベント制御手段)を備え、圧力計25の圧力がデータとして入力されるようになっている。
【0071】
そして、ベント弁15aの制御装置は、ベント15の部分で熱媒流路2内の圧力を計測する圧力計25から入力される圧力を示す信号が所定の圧力より圧力が高い場合に、ベント弁15aの開放を禁止するようになっている。すなわち、ベント15内における熱媒の圧力が所定圧以上の場合にベント弁15aは、例えば、ベント弁15aを開放する信号が入力されてもベント弁15aを開放しないように制御する。また、ベント15内における熱媒の圧力が所定圧より下がってベント弁15aが開放した後にベント15内の圧力が所定圧以上となる場合に、ベント弁15aが閉じるようにベント弁15aが制御される。
【0072】
したがって、熱媒を排出させるために各ベント15の電磁弁であるベント弁15aの熱媒の圧力が例えば所定圧としての大気圧より低い圧力とならないと開放しないことになる。ここで、熱媒流路2の熱媒の排出側で熱媒がドレイン容器16に流入可能な状態となると、熱媒が重力でドレイン容器16側に引き込まれた状態で、上述のように逆流を起こすベント15を除くベント15を含む熱媒流路2内部(ベント15のベント用流路を含む)は、大気圧より低い陰圧となる。この状態でベント弁15aを開放すると、熱媒がドレイン容器16に流れ込むことになる。しかし、上述のように、他の熱媒流路2より低い熱媒流路2では、熱媒が逆流する状態となる。この場合にベント15内の圧が所定圧としての大気圧以上となる。この場合に、ベント弁15aが開放しないか、または、開放したベント弁15aが閉じることにより、熱媒の逆流を防止することができる。所定圧は、例えば、大気圧であるが、大気圧から大気圧より少し低い圧が好ましい。
【0073】
これにより、上述のように熱媒が逆流する状況でも、ベント弁15aが開放しないか閉じることにより、ヘッダ31内に熱媒が流出するのを抑止できる。これにより、ヘッダ31内に熱媒が流出した場合に、ヘッダ31内で熱媒が冷えて固化する虞があるが、ヘッダ31内で熱媒が固化しないようにできる。また、万が一にベント弁15aの故障、損傷、制御のバグやエラー等で、ベント15から熱媒が流出するようなことがあっても、上述のように熱媒の外部への漏出を抑止したり、熱媒の漏出対策にかかるコストの低減を図ったりすることができる。なお、熱媒の圧を計測する圧力計25の設置位置は、熱媒流路2であるが、より詳細には、ベント15のベント用流路のベント弁15aより内側(ヘッダ31の反対側で熱媒流路2の本体側)で、ベント弁15aの近傍である。
【0074】
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態を説明する。
図5は、第4の実施の形態の太陽熱収集システムの要部概略構成を示すものである。
第4の実施の形態の太陽熱収集システムは、第1の実施の形態の太陽熱収集システムのベント弁15aに代えて、背圧弁27を設けたものである。
【0075】
背圧弁27は、弁体をバネで付勢した状態となっており、例えば、背圧弁27の内側の熱媒の圧がバネの付勢力で決まる所定圧以下となった場合に開放可能となる。なお、例えば、熱媒の圧が所定圧以上となると開放可能となる構成の背圧弁もあるが、本実施の形態では、背圧弁27の内側の熱媒が所定圧以下となると開放可能な構成となっている。ここでは、背圧弁27は、上述のベント弁15aと同様にベント15のベント用流路に設けられ、背圧弁27より内側(ヘッダ31の反対側で熱媒流路2の本体側)となるベント用流路の圧が、所定圧としての大気圧から大気圧より少し低い圧の間に設定された圧より低い圧となると、背圧弁27が開放する構成となっている。また、所定圧は、背圧弁27に備えられるバネの付勢力で決まるものであり、例えば、ばねは背圧弁27の弁体を外側(ヘッダ側)から大気圧またはそれより少し低い圧で開放側(弁座の反対側)に押しており、ベント15部分において、熱媒流路2内の圧が所定圧より高いとこの熱媒の圧により背圧弁27の弁体がばねの付勢力に抗して弁座に押し付けられて背圧弁27が閉となり、熱媒流路2内の圧が所定圧以下または所定圧より低くなるとばねの付勢力により押された弁体が熱媒の圧に抗して弁座から離れ、背圧弁27が開となる。
【0076】
本実施の形態では、大気圧より背圧弁27の内側の圧が低くなると、背圧弁27が開放可能となるとともに、背圧弁27が開放した状態で背圧弁27の内側の圧が大気圧より低くなると、背圧弁27が閉じるようになっている。
【0077】
背圧弁27の動作は、基本的に第3の実施の形態の制御されたベント弁15aと略同様の動作となり、第3の実施の形態と略同様の作用効果を、制御装置を用いずに実現することが可能となり、コストの低減を図ることができる。
【0078】
(第5の実施の形態)
以下、本発明の第5の実施の形態を説明する。
図6は、第5の実施の形態の太陽熱収集システムの要部概略構成を示すものである。
第5の実施の形態の太陽熱収集システムは、第1の実施の形態の太陽熱収集システムのベント15にベント15弁に加えて、逆止弁29を設けたものである。
【0079】
本実施の形態において、ベント15は、ベント用流路と、ベント弁15aと、逆止弁29とから構成されている。逆止弁29は、上述のように逆流する熱媒のベント15からの流出を防止する、ベント用流路おいて、ベント弁15aの下側(内側)、すなわち、熱媒流路2側に配置されており、逆止弁29を超えないと、熱媒がベント弁15aに至らないようになっている。また、逆止弁29は、図6において、熱媒または空気の上側(外側)から下側(内側)への流動を許可し、下側から上側への流動を阻止する。
【0080】
本実施の形態においては、逆止弁29が設けられているので、熱媒は逆止弁29を超えてベント15から流出することができない。また、逆流するように熱媒に掛かっていた圧力が解消すれば、ベント弁15aが開放した状態で、空気の流入が可能になる。
【0081】
逆止弁29により、第3および第4の実施の形態と同様に、ベント15からヘッダ31への熱媒の漏出を抑止することが可能になり、ヘッダ31内で熱媒が固化するような状況となるのを抑止できる。
また、逆止弁29およびベント弁15aが故障したり、損傷したりすることがあっても、熱媒の外部への流出を抑止できるとともに、熱媒の外部への流出対策にかかるコストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 太陽熱収集装置
2 熱媒流路
5 傾斜配管(排出経路)
15 ベント
15a ベント弁
23 加圧ガスホルダ(気体導入手段)
25 圧力計(圧計測手段)
27 背圧弁
29 逆止弁
31 ヘッダ
32 吸入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6