(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546172
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】反射光学素子、特にマイクロリソグラフィの光学特性を測定する測定構成体
(51)【国際特許分類】
G01N 21/55 20140101AFI20190705BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20190705BHJP
G03F 1/84 20120101ALI20190705BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20190705BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20190705BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20190705BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
G01N21/55
G03F7/20 503
G03F1/84
G02B17/08 Z
G02B21/00
G01N21/956 A
G01M11/00 M
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-534960(P2016-534960)
(86)(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公表番号】特表2017-500555(P2017-500555A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2014075537
(87)【国際公開番号】WO2015078861
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年11月21日
(31)【優先権主張番号】102013224435.5
(32)【優先日】2013年11月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ボル
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ユルゲン ロスタルスキー
【審査官】
小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/143666(WO,A1)
【文献】
特開2005−098966(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0195506(US,A1)
【文献】
特開2013−080810(JP,A)
【文献】
特表2011−502275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 − G01N 21/01
G01N 21/17 − G01N 21/61
G01N 21/84 − G01N 21/958
G01B 11/00 − G01B 11/30
G01J 3/00 − G01J 4/04
G01J 7/00 − G01J 9/04
G01M 11/00 − G01M 11/08
G02B 9/00 − G02B 17/08
G02B 19/00 − G02B 21/36
G02B 25/00 − G02B 25/04
G03F 1/00 − G03F 1/92
G03F 7/20 − G03F 7/24
G03F 9/00 − G03F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射光学素子、特にマイクロリソグラフィの光学特性を測定する測定構成体であって、
‐EUV光源(5)と、
‐前記反射光学素子(10)に反射したEUV放射を検出する検出器(20)と、
‐前記反射光学素子(10)の物点を前記検出器(20)の像点にそれぞれ結像する結像システム(30,40,50,60,70,80,90)とを備え、
‐前記結像システムは、前記EUV放射を反射するために、1つの第1光学構成部品(31,41,51,61,71,81,91)及び少なくとも1つの第2光学構成部品(32,42,52,62,72,82,92)を有し、
‐前記第1光学構成部品(31,41,51,61,71,81,91)及び前記第2光学構成部品(32,42,52,62,72,82,92)において、前記EUV放射の反射中に発生する、面法線に対する反射角度はそれぞれ少なくとも70°である測定構成体。
【請求項2】
請求項1に記載の測定構成体において、前記第1光学構成部品(31,41,51,61,71,81,91)及び前記第2光学構成部品(32,42,52,62,72,82,92)はそれぞれ円錐断面を有することを特徴とする測定構成体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の測定構成体において、前記第1光学構成部品(31,41,51,61,71,81,91)は楕円体ミラーであることを特徴とする測定構成体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の測定構成体において、前記第2光学構成部品(32,42,52,62)は双曲面ミラーであることを特徴とする測定構成体。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか一項に記載の測定構成体において、前記第2光学構成部品(72,82,92)は楕円体ミラーであることを特徴とする測定構成体。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の測定構成体において、前記第1光学構成部品(31,41,51,61,71,81,91)の焦点及び前記第2光学構成部品(32,42,52,62,72,82,92)の焦点は一致することを特徴とする測定構成体。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の測定構成体において、前記検出器(20)はCCDカメラ又はCMOSセンサを有することを特徴とする測定構成体。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の測定構成体において、前記反射光学素子(10)はマイクロリソグラフィ投影露光装置.のミラーであることを特徴とする測定構成体。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか一項に記載の測定構成体において、前記反射光学素子(10)はファセットミラー、特にマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置の視野ファセットミラー又は瞳ファセットミラーのミラーファセットであることを特徴とする測定構成体。
【請求項10】
請求項1〜7の何れか一項に記載の測定構成体において、前記反射光学素子はマイクロリソグラフィマスクであることを特徴とする測定構成体。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の測定構成体において、前記EUV光源(5)は、少なくとも△λ=1nm、特に少なくとも△λ=3nm、より特に少なくとも△λ=5nm、更に特に少なくとも△λ=10nm、また更に特に少なくとも△λ=20nmの波長間隔に亘って異なる波長のEUV放射を生成する広帯域光源または調整可能な光源であることを特徴とする測定構成体。
【請求項12】
請求項1〜10の何れか一項に記載の測定構成体において、所定波長間隔に亘って、100μm未満、特に50μm未満、特に20μm未満、より特に10μm未満の横空間分解能を有することを特徴とする測定構成体。
【請求項13】
請求項12に記載の測定構成体において、前記波長間隔は少なくとも△λ=3nm、より特に少なくとも△λ=5nm、更に特に少なくとも△λ=10nm、そしてより特に少なくとも△λ=20nmであることを特徴とする測定構成体。
【請求項14】
マスク検査システムであって、請求項1〜13の何れか一項に記載の測定構成体を有することを特徴とするマスク検査システム。
【請求項15】
EUV顕微鏡であって、請求項1〜13の何れか一項に記載の測定構成体を有することを特徴とするEUV顕微鏡。
【請求項16】
反射光学素子、特にマイクロリソグラフィの光学特性を測定する方法であって、前記反射光学素子(10)はEUV光源(5)のEUV放射で照射され、前記反射光学素子(10)の物点は結像システム(30,40,50,60,70,80,90)によって検出器(20)の像点にそれぞれ結像され、このために請求項1〜13の何れか一項に記載の測定構成体を使用することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記反射光学素子(10)の前記物点の検出器(20)の像点へのそれぞれの結像は、該結像の使用波長に応じて異なる複数のサブステップによって行われることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2013年11月28日に出願された、ドイツ特許出願第10 2013 224 435.5号の優先権を主張するものであり、その内容は、本明細書中に参考として援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、反射光学素子、特にマイクロリソグラフィの光学特性を測定する測定構成体に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路またはLCDなどの微細構造部品の製造に使用される。マイクロリソグラフィプロセスは、照明装置や投影レンズを有する、いわゆる投影露光装置で行われる。この場合、照明装置によって照射されたマスク(レチクル)の像は、マスク構造を基板の感光性被覆に転写するため、感光層(フォトレジスト)によって被覆され、投影レンズによって、投影レンズの結像面に配置された基板(例えばシリコンウエハ)に投影される。
【0004】
EUV範囲、すなわち、例えば、約13nm又は約7nmの波長用に設計された投影レンズに関しては、適切な光透過性屈折材料がないため、結像プロセスの光学構成部品としてミラーが使用される。このようなEUVミラーは、典型的に、ミラー基板と、光学的に有効な表面に入射する電磁放射を反射させるための、複数の層パッケージ(layer packet)から構成される反射積層とを有している。EUV範囲での動作用に設計されたマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明装置において、特に合焦構成部品として視野ファセットミラー及び瞳ファセットミラーの形態のファセットミラーを使用することは、例えば、特許文献1から知られている。このようなファセットミラーは、多数の個別のミラー又はミラーファセットで構成される。
【0005】
実際、このようなミラー又はミラー構成体の反射特性を可能な限り高い精度で測定する必要性や、特に、上述のファセットミラーのような比較的小さいミラーを含むミラー構成体においては、これらの特性を高い空間分解能で測定する必要性がしばしばある。しかしながらここで、この目的のために、考えうる個々の測定スポットの縮小を行うと、その測定スポットの縮小とともに、ビーム拡がり角の増加又は強度の低下を伴い、このため入射角の異なる比較的広域のスペクトルが得られ、最終的に測定で達成されるスペクトル分解能が損なわれるという制限を有するという問題が発生する。
【0006】
反射光学素子における反射特性の空間分解測定のために、例えばCCDカメラの形態の検出器を、表面全体が照射された被検査反射面の遠視野に配置することも知られている。しかしながらここで、被検査反射面の粗さ(例えば、良好に研磨されている、又は、反射膜が均一に塗布されている場合に限る)により、この表面で反射されるそれぞれの波面に変形が生じ、検出器に望ましくない干渉効果がもたらされるという更なる問題が生じる。検出器において、測定された強度分布の変動が反射性の不均一性又は被検査反射面のむらによるものかどうかを区別するのは容易でないため、上述の干渉効果は測定精度の低下をもたらす。
【0007】
従来技術として、特許文献2、特許文献3及び非特許文献1を単なる例として参照する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ公開特許第10 2008 009 600 A1号
【特許文献2】米国特許第2,759,106号明細書
【特許文献3】米国特許第7,016,030B2号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】U.D. Zeitner氏らによる、「Schwarzschild-Objective-Based EUV Micro Exposure Tool」、SPIE-Proceedings社、第6151巻、2006年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、反射光学素子、特にマイクロリソグラフィの光学特性を測定し、上述の問題を少なくとも大幅に回避し、一方で高空間分解能を可能にする測定構成体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は独立請求項1の特徴に係る測定構成体によって達成される。
【0012】
反射光学素子、特にマイクロリソグラフィの光学特性を測定する、本発明による測定構成体は、
‐EUV光源と、
‐反射光学素子で反射されるEUV放射を検出する検出器と、
‐反射光学素子の物点を検出器の像点にそれぞれ結像する結像システムとを有し、
‐結像システムは、EUV放射を反射するための、1つの第1光学構成部品及び少なくとも1つの第2光学構成部品を有し、
‐第1光学構成部品及び第2光学構成部品において、EUV放射の反射中に発生する、面法線に対する反射角度はそれぞれ少なくとも70°(「かすり入射」)である。
【0013】
本発明は、特に、反射光学素子の被検査反射面(「試料」)と検出器の間の結像システムを使用して、試料の場所又は物点を検出器の場所又は像点に結像し、その結果、検出器の各像点に、反射光学素子の反射面又は被検査試料の場所又は物点からもたらされる強度のみが生成されるという概念に基づくものである。
【0014】
換言すれば、検出器(例えばCCDカメラ)上の各点は、試料上の点に厳密に対応し、試料上の複数の点を「混合したもの」(カメラ上で照射される共通の点)には対応しない。通常、反射光学素子又は被検査試料の1つの(物)点のみが検出器の1つの点に結像されるので、試料の複数の(像)点から検出器の1つの(像)点に複数の強度が重畳されることはなく、冒頭に記載した望ましくない干渉パターンを回避することができる。
【0015】
その結果、比較的高い空間分解能(例えば100μm以下、特に20μm以下)を達成することができる。
【0016】
更に、本発明による測定構成体において使用する結像システムの、被検査反射光学素子と検出器の間にある光学構成部品はそれぞれかすり入射で動作されるので、例えば、垂直入射の配置において存在する狭帯域波長の制限も回避され、広帯域反射率測定が可能となる。特に、被検査試料上の(物)点の反射スペクトルは、反射特性に関する、(例えば、波長範囲における最大反射率のレベル及びスペクトル位置と、もしあれば、隣接する最小反射率のレベル及びスペクトルの位置とを含む)より包括的な情報を取得するように決定することができ、例えば反射層厚などの試料特性に関する結論を引き出すことができる。
【0017】
本発明によって達成される更なる利点は、例えば、顕微鏡の適用において、本発明による測定構成体によって提供される広帯域能力により、相互に異なる波長で反射する個々のサブ構造体を有する構造体の、十分な空間分解能又は高コントラストでの検査が可能になることである。このような場合、以下に詳述するように、単一の波長で構造体全体の顕微鏡検査を行う代わりに、それぞれの場合で種々に設定された波長又は光源、又は十分に広い帯域の光源を使って顕微鏡検査を複数のサブステップで行い、均一反射(例えば単一の中間帯域の波長を使って行う)の代わりに、使用される波長に従って、比較的高いコントラストで個々の構造体を解像することが可能である。
【0018】
一実施形態によれば、第1光学構成部品及び第2光学構成部品はそれぞれ円錐形の断面を有する。
【0019】
一実施形態によれば、第1光学構成部品は楕円体ミラーである。第2光学構成部品は、例えば、双曲面ミラー又は楕円体ミラーであり得る。この場合、特に、第1光学構成部品の焦点と第2光学構成部品の焦点とは一致し得る。
【0020】
一実施形態によれば、検出器はCCDカメラ又はCMOSセンサを有する。
【0021】
一実施形態によれば、反射光学素子はミラー又はマイクロリソグラフィ投影露光装置である。
【0022】
一実施形態によれば、反射光学素子は、マイクロリソグラフィ投影露光装置の照射装置のファセットミラー、特に視野ファセットミラー又は瞳ファセットミラーのミラーファセットである。
【0023】
一実施形態によれば、反射光学素子はマイクロリソグラフィマスクである。従って本発明は、マイクロリソグラフィマスクを検査するマスク検査システムにおいて有利に実現することができる。
【0024】
一実施形態によれば、EUV光源は、少なくとも△λ=1nm、特に少なくとも△λ=3nm、より特に少なくとも△λ=5nm、更に特に少なくとも△λ=10nm、また更に特に少なくとも△λ=20nmの波長間隔に亘って異なる波長のEUV放射を生成する光源である。EUV光源は、連続する波長スペクトルにおいてEUV放射を生成する広帯域光源、又は種々の狭帯域波長範囲に設定することの可能な光源として構成することができる。
【0025】
一実施形態によれば、測定構成体は所定の波長間隔に亘って、100μm未満、特に50μm未満、より特に20μm未満、そして更に特に10μm未満の横空間分解能(線幅又はCD「臨界寸法」と称されることもある)を有する。
【0026】
一実施形態によれば、この波長間隔は少なくとも△λ=3nm、特に少なくとも△λ=5nm、より特に少なくとも△λ=10nm、そして更に特に少なくとも△λ=20nmである。
【0027】
更なる態様によれば、本発明は、反射光学素子、特にマイクロリソグラフィの光学特性を測定する測定構成体にも関するものであり、
‐EUV光源と、
‐反射光学素子で反射されるEUV放射を検出する検出器と、
‐反射光学素子の物点を検出器の像点にそれぞれ結像する結像システムとを有し、
‐測定構成体は少なくとも△λ=3nmの所定の波長間隔に亘って、100μm未満の横空間分解能を有する。
【0028】
本発明は更に上述の特徴を持つ測定構成体を有するマスク検査システムにも関する。
【0029】
本発明は更に上述の特徴を持つ測定構成体を有するEUV顕微鏡にも関する。
【0030】
更なる態様によれば、本発明は反射光学素子、特にマイクロリソグラフィの光学特性を測定する方法に関するものでもあり、反射光学素子はEUV光源のEUV放射によって照射され、反射光学素子の物点は結像システムによって、検出器の像点にそれぞれ結像され、上述の特徴を持つ測定構成体が使用される。
【0031】
一実施形態によれば、反射光学素子の物点の検出器の像点への結像はそれぞれ、結像における動作波長が相互に異なる複数のサブステップによって行われる。その結果、上述の様に、個々の構造体は、(例えば単一の中域波長を使用して達成される)均一な反射に代わり、使用される波長に従った比較的高いコントラストで解像できるようになる。
【0032】
本発明の更なる構成は、明細書及び従属請求項から理解できる。
【0033】
本発明を、添付の図面に示す例示的実施形態に基づいて詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】a〜fは、本発明による測定構成体で使用することのできる結像システムの種々の実施形態を説明する概略図である。
【
図3】本発明の特定の実施形態を説明する概略図である。
【
図4】マスク検査システムにおける本発明の実行可能な適用を説明する概略図である。
【
図5】EUV顕微鏡における本発明の更なる適用を説明する概略図である。
【
図6】マイクロリソグラフィ投影露光装置において実行可能な構造体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
先ず、例示的実施形態に基づき、マイクロリソグラフィの反射光学素子の反射特性を測定する、本発明による測定構成体の基本構造を、
図1の概略図を参照して以下に説明する。
【0036】
本測定構成体において、
図1によれば、CCDカメラの形態の検出器20は、EUV光源5によって電磁EUV放射で照射された、反射光学素子10の投影像に配置される。EUV光源5によって放出され、反射光学素子10によってCCDカメラに反射されるEUV放射の結像は結像システム30によって行われ、この結像システムは、
図1の例示的実施形態において、楕円体ミラーの形態の第1光学構成部品31及び双曲面ミラーの形態の第2光学構成部品32を有している(対応する楕円又は双曲線をそれぞれ
図1に点線で示す)。反射光学素子10は、この場合、EUV光源5の遠視野又は焦点の何れかに位置し得る。
【0037】
また、光学構成部品31又は32の垂直線に対する電磁EUV放射の反射角がそれぞれ少なくとも70°である限り、結像システム30の光学構成部品31及び32においてそれぞれ「かすり入射」が発生する。
【0038】
更なる実施形態において、CMOSセンサは検出器20としても使用することができる。更に、検出器20として使用される(CMOS又はCCD)センサは、後露光装置と共に構成することもできる。更に、(例えば検出を簡単にするため、電磁EUV放射を可視光へ変換するために)対応するイメージセンサに蛍光層を設けてもよい。
【0039】
図2a〜
図2fは、本発明の測定構成体において使用することのできる結像システムの更に異なる実施形態を説明する概略図である。
図2a〜
図2fは、当該結像システムにおける代替的な光学素子の組み合わせを示すだけのものである。また、いずれの場合にも、(すなわち、楕円体ミラー又は双曲面ミラーの)これらの光学構成部品のパラメータを適切に選択することによって、
図1と同様の方法で、当該ミラー表面において上述のかすり入射を確保することができる。
【0040】
図2aによれば、本発明による測定構成体で使用される結像システム40は、楕円体ミラーの形態の第1光学構成部品41及び双曲面ミラーの形態の第2光学構成部品42を有し、楕円体ミラーの第2焦点と双曲面ミラーの第2焦点は一致し、双曲線の凸側が使用される。
【0041】
図2bによれば、更なる実施形態において、本発明による測定構成体で使用される結像システム50は、楕円体ミラーの形態の第1光学構成部品51及び双曲面ミラーの形態の第2光学構成部品52を有し、双曲面ミラーの第1焦点と楕円体ミラーの第1焦点は一致し、双曲線の凹側が使用される(このシステムは「ヴォルタータイプIシステム」とも称される)。
【0042】
図2cによれば、更なる実施形態において、本発明による測定構成体で使用される結像システム60は、楕円体ミラーの形態の第1光学構成部品61及び双曲面ミラーの形態の第2光学構成部品62を有し、双曲面ミラーの第2焦点と楕円体ミラーの第1焦点は一致する(このシステムは「ヴォルタータイプIIシステム」とも称される)。
【0043】
図2dによれば、本発明による測定構成体の更なる実施形態で使用される結像システム70は、楕円体ミラーの形態の第1光学構成部品71及び楕円体ミラーの形態の第2光学構成部品72を有し、第1楕円体ミラーの第2焦点と第2楕円体ミラーの第1焦点は一致する。
【0044】
図2eによれば、更なる実施形態において、本発明による測定構成体で使用される結像システム80は、楕円体ミラーの形態の第1光学構成部品81及び楕円体ミラーの形態の第2光学構成部品82を有し、第1楕円体ミラーの第2焦点と第2楕円体ミラーの第2焦点は一致する。
【0045】
上述の実施形態において、結像システムにおける光学構成部品の回転軸は、いずれの場合においても一致するが、本発明はこれに限定されない。説明のため、
図2fは、
図2eの構成体を変更したものを単なる例として示しており、この例では、結像システム90において、楕円体ミラーの形態の第2光学構成部品92は、第1光学構成部品91に対して楕円体の回転軸で回転している。
【0046】
更に、
図2a〜
図2fに示す光学構成部品の組み合わせを、当該結像システムにおいて両方向(反対方向)の光伝搬で実現することができる。また、結像システムの光学構成部品は必ずしも回転対称である必要はない。このような組み合わせはそれぞれ楕円面(plane-elliptical)ミラー又は双曲面(plane-hyperboloidal)ミラーとして実現することもできる。
【0047】
表1及び表2には、
図1及び
図2aに基づいてそれぞれ示される基本構造を有し、本発明による測定構成体で使用することのできる結像システムの設計データを、単なる例として、また、特定の例示的実施形態を示すために記載する。
図3には表1及び表2に記載されるミラーパラメータを表示し、定義している。
【0048】
本設計の特に有利な面は、結像システムの2つの光学構成部品又はミラーが比較的近づけて配置されているため、これらのミラーを実際の測定構成体の外で、要求される調整精度(例えば、1μmオーダー)へと適切な方法で相互に調整し、共に測定構成体へ戻すことができることである。
【0049】
図4は、本発明による測定構成体を使用してマイクロリソグラフィマスクを検査する、マスク検査システムの構造例を概略的に示したものである。
【0050】
図4によれば、光源401の電磁放射(例えばEUV範囲の波長)は、マスクステージ403に位置するマイクロリソグラフィマスク404を照射するために、照射光学ユニット402に入射される。光源401は、例えば、調整可能な波長(例えば6.7nm又は13.5nm)を有し得る。更なる実施形態において、光源401は広帯域光源(例えば、波長6.7nmの電磁放射及び波長13.5nmの電磁放射をどちらも生成する)としても構成することができる。更に、照射光学ユニット402は調整可能な波長選択性(wavelength selection)を有する。
【0051】
図4によれば、マイクロリソグラフィマスク404で反射された電磁放射は、上述の実施形態によって構成される結像システム405に入射され、結像システムは上述の実施形態によって構成することができ、特に上述の実施形態によって構成される光学構成部品406及び407を有する。上述の実施形態と同様に、結像システム405から放射される電磁放射は、検出器408(例えば、CCDカメラ又はCMOSセンサ)に入射される。
【0052】
図5は、顕微鏡、特に種々の波長を持つEUV顕微鏡における、本発明の更なる有利な適用を説明する概略図である。
図5において、「500」は顕微鏡で検査される試料を示し、簡単な例示的実施形態で説明すると、これは第1層厚のストライプ501a、501b…及び第1層厚とは異なる第2層厚のストライプ502a、502b…を含むストライプパターンを含み、
図5に概略的に描かれた反射率は、これらのストライプにおいて、相互に異なる波長(約13nm及び約14nm)で最大70%である。
図5に概略的に示す様に、1つの波長13.5nmを使用する顕微鏡検査では、ほぼ均一の強度を持つ低コントラストの投影像502のみが生成されるが、第1波長13nm及び第2波長14nmの両方を使用する顕微鏡検査では、501a、501b…及び502a、502b…の両方のパターンで高コントラスト分解能を有する投影像501及び503がそれぞれ生成される。換言すれば、本発明による測定構成体によって実現することのできる帯域幅(broadband capability)は、相互に異なる波長で電磁放射を反射する種々の構造体を、増大されたコントラスト、又は高い空間分解能で顕微鏡検査するために使用することができる。
【0053】
更なる適用において、本発明による測定構成体は、特にEUV範囲での動作のために設計された、マイクロリソグラフィ投影露光装置におけるミラーの反射特性を決定するためにも使用することができる。
図6は、EUV範囲での動作のために設計された投影露光装置用の例示的な概略図を示す。
【0054】
図6によれば、EUV用に設計された投影露光装置600の照明装置は、視野ファセットミラー603及び瞳ファセットミラー604を備えている。プラズマ光源601及び集光ミラー602を含む光源ユニットからの光は、視野ファセットミラー603に向けられる。第1望遠鏡ミラー605及び第2望遠鏡ミラー606は、瞳ファセットミラー604の下流の光路に配置されている。光路の下流には偏向ミラー607が配置され、これは、偏向ミラーに入射される放射を、6つのミラー651〜656を含む投影レンズの物体平面内の物体視野に向ける。物体視野では、マスクステージ620に反射構造のマスク621が配置され、これは投影レンズで結像面に結像され、結像面では、ウエハステージ660上に感光層(フォトレジスト)で被覆された基板661がある。
【0055】
本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、例えば、個々の実施形態の特徴の組み合わせ及び/又は交換による多くの変形及び変更が当業者には明らかである。従って言うまでもなく、当業者はこのような変形及び変更実施形態は本発明にも含まれると理解しており、発明の範囲は、添付の特許請求項及びその同等物によってのみ制限される。