特許第6546430号(P6546430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6546430スラリー送液装置およびスラリー送液設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546430
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】スラリー送液装置およびスラリー送液設備
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20190705BHJP
   B01F 7/16 20060101ALI20190705BHJP
   B01F 7/18 20060101ALI20190705BHJP
   B01F 3/12 20060101ALI20190705BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   B01J4/00 105C
   B01F7/16 J
   B01F7/16 L
   B01F7/18 B
   B01F3/12
   B01F15/02 C
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-73608(P2015-73608)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-193387(P2016-193387A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(73)【特許権者】
【識別番号】598084895
【氏名又は名称】株式会社アイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】片坐 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】平郡 伸一
(72)【発明者】
【氏名】入江 牧夫
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−232172(JP,A)
【文献】 特開2008−248745(JP,A)
【文献】 特開2005−42619(JP,A)
【文献】 特開2014−4527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00
B01F 3/12
B01F 7/16
B01F 7/18
B01F 15/02
F04B 15/02
F04B 1/02
F04B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリーを排出するシリンダー式ポンプを備えており、
該シリンダー式ポンプは、
先端にスラリー排出口を有するシリンダー本体と、
該シリンダー本体内部に摺動可能に設けられたピストンと、
該ピストンの移動方向に沿って該ピストンを貫通する駆動軸と、
該駆動軸における前記シリンダー本体の先端側に位置する端部に設けられた攪拌翼と、を備えており、
前記駆動軸は、前記ピストンと相対的に摺動可能かつ回転可能に設けられており、
前記シリンダー本体の先端には、前記攪拌翼が配置される攪拌翼収容部が形成されており、
前記攪拌翼収容部の内側面には、複数の邪魔板が設けられている
ことを特徴とするスラリー送液装置。
【請求項2】
前記駆動軸は、
前記シリンダー本体の中心軸と同軸となるように配設されており、
前記シリンダー本体の攪拌翼収容部は、
前記攪拌翼を収容する空間の断面が、前記シリンダー本体と同軸な円形に形成されており、
前記複数の邪魔板は、
前記シリンダー本体の中心軸周りに等角度間隔で配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のスラリー送液装置。
【請求項3】
前記攪拌翼は、
その高さが、前記複数の邪魔板の前記シリンダー本体の軸方向の長さよりも短くなるように形成されており、
前記シリンダー本体の軸方向において、前記複数の邪魔板における該シリンダー本体の軸方向の両端縁間に位置するように配設されている
ことを特徴とする請求項1または2記載のスラリー送液装置。
【請求項4】
前記シリンダー本体には、
前記攪拌翼収容部よりも先端側に、該攪拌翼収容部から該シリンダー本体の先端に向かって凹んだ窪み部を備えており、
該窪み部は、
該シリンダー本体の軸方向と直交する中央平坦面と、
該中央平坦面と該攪拌翼収容部の内側面との間に設けられた傾斜面と、を備えている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のスラリー送液装置。
【請求項5】
前記攪拌翼は、
その翼幅が、前記シリンダー本体の攪拌翼収容部の内径Dに対して0.2D〜0.3Dとなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のスラリー送液装置。
【請求項6】
前記スラリーを構成する粉体が、真比重が9.0g/cm以上の物質である
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスラリー送液装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のスラリー送液装置と、
該スラリー送液装置にスラリーを供給するスラリー供給手段と、
前記スラリー送液装置のピストンを作動させるポンプ駆動手段と、
前記駆動軸を回転させる駆動軸作動手段と、を備えており、
前記スラリー供給手段は、
前記ピストンに対して前記シリンダー本体の先端側の先端側空間に連通されており、
前記ポンプ駆動手段は、
前記ピストンに対して前記シリンダー本体の基端側の基端側空間に連通されており、該基端側空間に液体を供給するものである
ことを特徴とするスラリー送液設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラリー送液装置およびスラリー送液設備に関する。さらに詳しくは、金属粉等の比重の大きい粉体を含有するスラリーを送液するスラリー送液装置およびスラリー送液設備に関する。
【背景技術】
【0002】
金属粉を製造する設備では、粉体を含むスラリー(以下単にスラリーという)を送液して所定の反応装置等に供給して、所定の物質が製造される。かかる設備において、粒子径を増大するために、少量のスラリーを高圧で送液することが求められる場合がある。
【0003】
流体を高圧で送液する場合、種々のポンプが使用される。例えば、モーノ式やダイヤフラム式、プランジャー式などのポンプが一般的に使用されている。多くの場合、これらのポンプによってスラリーを搬送することも可能である。
【0004】
しかし、スラリーに含まれる粉体の性質によっては、これらのポンプではスラリーを搬送できない場合がある。例えば、金属粉を含むスラリーの場合、モーノ式のポンプを採用しても、スラリーに含まれる粉体によってロータやステーターの摩耗による損傷が生じる。かかる摩耗が生じれば、キャビティの密閉性が低下して、スラリーを搬送できなくなる。
【0005】
また、金属粉などのように密度が大きい粉体の場合には沈降性が高くなるので、ダイヤフラム式のポンプでは、チャンバー内において粉体が沈降してしまう。すると、スラリーを構成する液体は送液できても、粉体が搬送できない可能性がある。しかも、沈降した粉体がチャンバー内に堆積してしまえば、ポンプ自体が作動できなくなる。
同様に、プランジャー式のポンプでも、沈降性が高い粉体では、粉体がチャンバー内へ堆積して、ポンプが作動できなくなる。
【0006】
一方、スラリーを搬送する装置として、シリンダー式のポンプのシリンダー内に攪拌機を備えたものが開発されている(特許文献1参照)。この技術では、シリンダー内に流入したスラリーを攪拌機で攪拌することによって固形物の沈澱を防ぎ濃度を均一に保つことができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−4527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、特許文献1の装置は、比較的比重が小さい粉体を含むスラリーの送液を想定しているものであり、金属粉のような比重が非常に大きい粉体(例えば真比重が9g/cmの金属粉等)を含むスラリーは想定されていない。
【0009】
そして、比重が非常に大きい粉体を含むスラリーの場合、適切な攪拌を行わなければ簡単に沈降してしまうので、攪拌機やシリンダーの形状等を適切に設計することが必要と考える。
【0010】
しかし、特許文献1の装置では、攪拌機に関する具体的な記載は開示されておらず、単にスラリーを攪拌する攪拌機が開示されているだけある。したがって、特許文献1の装置では、上述したような高比重の粉体を含むスラリーを均一な濃度で送液することは困難であると考えられる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑み、高比重の粉体を含有するスラリーであっても、均一な濃度で送液することができるスラリー送液装置およびかかるスラリー送液装置を備えたスラリー送液設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(スラリー送液装置)
第1発明のスラリー送液装置は、スラリーを排出するシリンダー式ポンプを備えており、該シリンダー式ポンプは、先端にスラリー排出口を有するシリンダー本体と、該シリンダー本体内部に摺動可能に設けられたピストンと、該ピストンの移動方向に沿って該ピストンを貫通する駆動軸と、該駆動軸における前記シリンダー本体の先端側に位置する端部に設けられた攪拌翼と、を備えており、前記駆動軸は、前記ピストンと相対的に摺動可能かつ回転可能に設けられており、前記シリンダー本体の先端には、前記攪拌翼が配置される攪拌翼収容部が形成されており、前記攪拌翼収容部の内側面には、複数の邪魔板が設けられていることを特徴とする。
第2発明のスラリー送液装置は、第1発明において、前記駆動軸は、前記シリンダー本体の中心軸と同軸となるように配設されており、前記シリンダー本体の攪拌翼収容部は、前記攪拌翼を収容する空間の断面が、前記シリンダー本体と同軸な円形に形成されており、前記複数の邪魔板は、前記シリンダー本体の中心軸周りに等角度間隔で配置されていることを特徴とする。
第3発明のスラリー送液装置は、第1または第2発明において、前記攪拌翼は、その高さが、前記複数の邪魔板の前記シリンダー本体の軸方向の長さよりも短くなるように形成されており、前記シリンダー本体の軸方向において、前記複数の邪魔板における該シリンダー本体の軸方向の両端縁間に位置するように配設されていることを特徴とする。
第4発明のスラリー送液装置は、第1、第2または第3発明において、前記シリンダー本体には、前記攪拌翼収容部よりも先端側に、該攪拌翼収容部から該シリンダー本体の先端に向かって凹んだ窪み部を備えており、該窪み部は、該シリンダー本体の軸方向と直交する中央平坦面と、該中央平坦面と該攪拌翼収容部の内側面との間に設けられた傾斜面と、を備えていることを特徴とする。
第5発明のスラリー送液装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記攪拌翼は、その翼幅が、前記シリンダー本体の攪拌翼収容部の内径Dに対して0.2D〜0.3Dとなるように形成されていることを特徴とする。
第6発明のスラリー送液装置は、第1乃至第5発明のいずれかに、前記スラリーを構成する粉体が、真比重が9.0g/cm以上の物質であることを特徴とする。
(スラリー送液設備)
第7発明のスラリー送液設備は、第1乃至第6発明のいずれかに記載のスラリー送液装置と、該スラリー送液装置にスラリーを供給するスラリー供給手段と、前記スラリー送液装置のピストンを作動させるポンプ駆動手段と、前記駆動軸を回転させる駆動軸作動手段と、を備えており、前記スラリー供給手段は、前記ピストンに対して前記シリンダー本体の先端側の先端側空間に連通されており、前記ポンプ駆動手段は、前記ピストンに対して前記シリンダー本体の基端側の基端側空間に連通されており、該基端側空間に液体を供給するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(スラリー送液装置)
第1発明によれば、ピストンを移動させることによって、スラリーを排出口から排出できる。しかも、駆動軸によって攪拌翼を回転させればスラリーを攪拌できるので、スラリー中の粉体の混合状態、つまり、スラリーの濃度を均一にすることができる。そして、邪魔板を設けることによって攪拌翼によって発生する攪拌流による攪拌効果を強くすることができるので、粉体と流体の比重差が大きくても、粉体を効果的に混合することができる。
第2発明によれば、攪拌翼を回転させたときに発生する攪拌流を軸流に近い状態とすることができるので、攪拌されたスラリーの濃度を均一に近づけやすくなる。
第3発明によれば、攪拌翼の回転によって発生するスラリーの流れを効果的に邪魔板と干渉させることができるので、スラリーを攪拌する効果を高くすることができる。
第4発明によれば、攪拌翼が回転したときに周方向の流れに加えて軸方向の流れも効果的に発生させることができるので、スラリーを攪拌する効果を高くすることができる。
第5発明によれば、攪拌翼が回転したときに、スラリーを攪拌する効果を高くすることができる。
第6発明によれば、一般的なポンプで搬送が難しい比重の高い粉体を含有するスラリーを少量でも高圧で搬送することができる。
(スラリー送液設備)
第7発明によれば、スラリー供給手段から先端側空間へのスラリーの供給とポンプ駆動手段から基端側空間への流体の供給を調整すれば、ピストンを移動させて、スラリーを排出することができる。そして、先端側空間にスラリーが収容されている状態で駆動軸作動手段によって駆動軸を回転させれば、攪拌翼によってスラリーを攪拌することができる。したがって、スラリー送液装置から均一な濃度のスラリーを供給することができる。しかも、基端側空間が液体によって満たされているので、スラリーが基端側空間に漏れることを防止する効果を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態スラリー送液装置10の概略説明図である。
図2図1のII−II線断面矢視図である。
図3】本実施形態スラリー送液装置10を備えたスラリー送液設備1の概略ブロック図である。
図4】実施例のモデルの説明図であり、(A)が本モデルであり、(B)が比較モデルである。
図5】数値計算結果を示した図であり、(A)が本モデルの結果であり、(B)が比較モデルの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のスラリー送液装置は、粉体を含むスラリーを送液するための装置であって、粉体の比重が大きくても均一な濃度のスラリーを高圧で送液できるようにしたことに特徴を有している。
【0016】
本発明のスラリー送液装置は、オートクレーブ等の反応槽にスラリーを供給する場合のように、少量のスラリーを高圧で送液する場合に使用されるものである。例えば、1.0〜5.0 MPa程度の圧力のスラリーを16.6〜600ml/min程度の流量で送液する場合に適している。なぜなら、かかる圧力かつ流量のスラリーの場合、スラリーの濃度が均一に混合されていなければ配管などの閉塞などが生じやすい。しかし、本発明のスラリー送液装置では均一な濃度のスラリーを送液できるので、配管などの閉塞等を防ぐことができるからである。
【0017】
とくに、本発明のスラリー送液装置では、スラリーを構成する液体と粉体の比重差が大きく、粉体の沈降速度が速いスラリーを送液する装置に適している。例えば、水と粉体を混合して形成されたスラリーの場合、真比重が8.0g/cm以上、好ましくは9.0g/cm以上である粉体の送液に適している。かかる真比重が9.0g/cm以上の粉体としては、例えば、ニッケルやコバルト等を挙げることができる。
なお、以下では、金属粉などの比重の大きい粉体が水に混合されたスラリーを送液する場合を説明する。
【0018】
(スラリー送液設備1)
まず、図3に基づいて、本実施形態スラリー送液装置10を備えたスラリー送液設備1について説明する。
なお、図3では、スラリー送液設備1の構造を分かりやすくするために、ブロック図として記載している。
【0019】
図3に示すように、スラリー送液設備1は、シリンダー式ポンプ11を備えた2つのスラリー送液装置10を備えている。この2つのスラリー送液装置10のシリンダー式ポンプ11から交互にスラリーを排出することによって、スラリー送液設備1は、オートクレーブ等の反応槽等の装置にスラリーを供給するようになっている。つまり、2つのスラリー送液装置10のシリンダー式ポンプ11から交互にスラリーを排出することによって、オートクレーブ等の反応槽等に連続してスラリーを供給できるように構成されている。
【0020】
スラリー送液設備1は、スラリー送液装置10の駆動軸14を回転させる駆動軸作動手段4を備えているが、駆動軸作動手段4については、後述する。
【0021】
図3に示すように、上述した2つのスラリー送液装置10には、いずれもスラリー供給手段2およびポンプ駆動手段3が接続されている。
【0022】
(スラリー供給手段2)
スラリー供給手段2は、スラリー送液装置10に対して、オートクレーブ等の反応槽等の装置に供給するスラリーを供給するものである。このスラリー供給手段2は、粉体と水を混合してある程度均一なスラリーを形成して、このスラリーをある程度高圧(0.05〜0.4MPa程度)でスラリー送液装置10に供給するものである。例えば、図3であれば、配管を通して、粉体と水を収容して混合するタンク2aからスラリー送液装置10にスラリーを供給するように、スラリー供給手段2は構成されている。
【0023】
上記スラリー送液装置10において、シリンダー本体12の空間12h内はピストン13によって分離されており、ピストン13に対して先端側の空間がスラリー供給手段2からスラリーが供給される先端側空間12aである。
【0024】
なお、スラリー供給手段2は、所定の圧力かつある程度均一に混合されたスラリーをスラリー送液装置10に供給できる構成であればよく、上記の構成に限定されない。
【0025】
(ポンプ駆動手段3)
ポンプ駆動手段3は、スラリー送液装置10に対して、シリンダー式ポンプ11を駆動するための作動流体を供給するものである。具体的には、ポンプ駆動手段3は、スラリー送液装置10におけるピストン13に対して基端側の空間(基端側空間12b)に、高圧(1.0〜5.0MPa程度)の作動流体を供給するものである。つまり、ポンプ駆動手段3は、スラリー供給手段2から供給されるスラリーよりも高圧の作動流体を基端側空間12bに供給するものである。例えば、図3であれば、配管を通して、作動流体を収容する供給タンク3aからスラリー送液装置10に作動流体を供給するように、ポンプ駆動手段3は構成されている。また、ポンプ駆動手段3は、スラリー送液装置10から排出された作動流体を回収する回収タンク3bを有している。なお、この回収タンク3bは、供給タンク3aと兼用で使用してもよい。
【0026】
なお、ポンプ駆動手段3は、所定の圧力の作動流体をスラリー送液装置10に供給できる構成であればよく、上記の構成に限定されない。
【0027】
(スラリー送液設備1の作動について)
以上のような構成であるので、スラリー供給手段2から所定の量のスラリーを一のスラリー送液装置10に対して供給し、その後、一のスラリー送液装置10に対してポンプ駆動手段3から作動流体を供給すれば、一のスラリー送液装置10から所定の圧力を有するスラリーをオートクレーブ等の反応槽等の装置に供給することができる。
【0028】
このときのスラリーの圧力は、1.0〜5.0MPa程度となる。例えば、スラリー供給手段2から供給されるスラリーの圧力が0.05〜0.4MPa程度、ポンプ駆動手段3から供給される作動流体の圧力が1.0〜5.0MPa、であれば、ポンプ駆動手段3から供給されるスラリーの圧力は約1.0〜5.0MPaとなる。
【0029】
一方、一のスラリー送液装置10に対してポンプ駆動手段3から作動流体が供給されているときには、他のスラリー送液装置10には、スラリー供給手段2からスラリーが供給される。そして、一のスラリー送液装置10からオートクレーブ等の反応槽等の装置へのスラリーの供給が終了すると、他のスラリー送液装置10に対してポンプ駆動手段3から作動流体が供給される。すると、オートクレーブ等の反応槽等の装置に対して、スラリーの供給が途切れることなく、連続してスラリーを供給することができる。
【0030】
そして、他のスラリー送液装置10に対してポンプ駆動手段3から作動流体が供給されているときには、再び、一のスラリー送液装置10にスラリー供給手段2からスラリーが供給される。そして、他のスラリー送液装置10からオートクレーブ等の反応槽等の装置へのスラリーの供給が終了すると、再び、一のスラリー送液装置10にポンプ駆動手段3から作動流体が供給されるようになり、他のスラリー送液装置10には再びスラリー供給手段2からスラリーが供給されるようになる。
【0031】
以上の動作が繰り返されることによって、オートクレーブ等の反応槽等の装置に対して、スラリー送液設備1から連続してスラリーを供給することができる。
【0032】
なお、スラリー供給手段2やポンプ駆動手段3から作動流体やスラリーを供給するスラリー送液装置10を切り換える方法はとくに限定されない。例えば、図3に示すように、配管に3方弁等を設けて、供給するスラリー送液装置10を切り換えてもよいし、自動弁や電磁弁等によって供給するスラリー送液装置10を切り換えるようにしてもよい。
【0033】
(スラリー送液装置10)
つぎに、スラリー送液装置10について詳細に説明する。
なお、以下では、スラリー送液装置10のシリンダー式ポンプ11の軸方向が鉛直方向と平行となるように配設され、かつ、シリンダー式ポンプ11の先端(スラリーを排出する端部)が下方に位置する場合を説明する。
【0034】
図1に示すように、スラリー送液装置10は、シリンダー式ポンプ11を備えている。
このシリンダー式ポンプ11は、中空な円筒状のシリンダー本体12と、その内部に収容されたピストン13と、を備えている。
【0035】
(シリンダー本体12)
図1に示すように、シリンダー式ポンプ11のシリンダー本体12は、内部に中空な空間12hを有する筒状の部材である。
【0036】
このシリンダー本体12の先端部(図1では下端部)には、シリンダー本体12の軸方向に沿って、シリンダー本体12の先端面から空間12h(具体的には先端側空間12a)まで連続する排出口12eが形成されている。この排出口12eは、シリンダー本体12の先端側空間12a内に収容されたスラリーを排出するために設けられている。そして、この排出口12eは、シリンダー本体12と同軸となるように形成されている。
なお、排出口12eは、必ずしもシリンダー本体12と同軸でなくてもよい。
【0037】
また、このシリンダー本体12の基端部(図1では上端部)に、シリンダー本体12の軸方向に沿って、シリンダー本体12の基端面から空間12hまで連続する貫通孔12gが形成されている。この貫通孔12gも、シリンダー本体12と同軸となるように形成されている。この貫通孔12gには、後述するように駆動軸14が挿通されている。この駆動軸14と貫通孔12gの内面との間は、公知のシール部材によって、駆動軸14が回転可能かつ液密となるようにシールされている。このシール部材には、例えば、O-リングなどを採用することができる。
【0038】
(攪拌翼収容部12kおよび邪魔板20)
そして、シリンダー本体12は、その先端部に攪拌翼収容部12kを備えている。この攪拌翼収容部12kは、後述する攪拌翼15が配置される部分であり、その内周面に沿って複数枚の邪魔板20が設けられている。複数枚の邪魔板20は、シリンダー本体12の中心軸に対して軸対称となるように配設されている。そして、邪魔板20は、その表面がシリンダー本体12の中心軸とほぼ平行となるように設けられている。
【0039】
(ピストン13)
図1に示すように、シリンダー本体12内には、シリンダー本体12の軸方向に沿って移動可能に、ピストン13が設けられている。このピストン13によって、シリンダー本体12内の空間12hは、先端側空間12aと基端側空間12bに液密に分割されている。なお、ピストン13の外周面とシリンダー本体12の内面との間は、公知のシール部材によって、摺動可能かつ液密にシールされている。このシール部材には、例えば、O-リングなどを採用することができる。
【0040】
このピストン13には、シリンダー本体12の軸方向を貫通する貫通孔13gが設けられており、この貫通孔13gに、後述するように駆動軸14が挿通されている。この駆動軸14と貫通孔13gの内面との間は、公知のシール部材によって、駆動軸14が回転可能かつ摺動可能にシールされている。しかも、このシール機構は、駆動軸14が回転したり摺動したりしても、液密性が維持できる構造となっている。このシール機構には、例えば、O-リングなどを採用することができる。
【0041】
(駆動軸14)
図1に示すように、駆動軸14は、シリンダー本体12の基端部とピストン13を貫通するように配設されている。
この駆動軸14の先端部は、攪拌翼収容部12k内に位置するように設けられている。つまり、駆動軸14の先端に設けられる攪拌翼15が攪拌翼収容部12k内に位置するように、駆動軸14は配設される。
【0042】
一方、この駆動軸14の基端部は、シリンダー本体12の基端部から外部に突出している。この基端部は駆動軸14を回転させる駆動軸作動手段4に接続されている。この駆動軸作動手段4は、駆動軸14を回転させることができるものであればよく、とくに限定されない。例えば、図1に示すように、駆動軸作動手段4としてモータを採用し、この駆動軸作動手段4の主軸を駆動軸14の基端に直結したり、減速機を介して連結したりしてもよい。
【0043】
(攪拌翼15)
図1に示すように、駆動軸14の先端には攪拌翼15が設けられている。この攪拌翼15は、駆動軸14に連結されるボス部15aと、このボス部15aの周囲に設けられた複数枚の翼板15bとを備えている。複数枚の翼板15bは、ボス部15aの周囲に等角度間隔で設けられている。
【0044】
以上のごとき構成であるので、駆動軸作動手段4によって駆動軸14を回転させれば、攪拌翼15を攪拌翼収容部12k内で回転させることができる。したがって、シリンダー本体12の先端側空間12a内にスラリーが収容された状態で、駆動軸作動手段4を作動させれば、先端側空間12a内のスラリーを攪拌することができる。すると、スラリー中の粉体を液体中に均一に分散させることができるので、スラリー濃度を均一にすることができる。
【0045】
また、攪拌翼収容部12k内に邪魔板20が設けられているので、攪拌翼15の回転によって形成された攪拌流が邪魔板20に衝突する。すると、攪拌流の乱れが大きくなりスラリーを攪拌する効果が高くなるので、スラリー濃度を均一にしやすくなる。
【0046】
しかも、邪魔板20は、その表面がシリンダー本体12の中心軸とほぼ平行となるように設けられているので、攪拌流が邪魔板20に衝突すれば、シリンダー本体12の軸方向への流れを強くすることができる。すると、スラリー中の粉体が沈降してシリンダー本体12の先端内面に堆積しても、堆積した粉体を巻き上げる効果を高くできる。したがって、沈降しやすい粉体、例えば、比重が大きい粉体を含むスラリーであっても、比重の大きい粉体を均一に混合することが可能となる。
【0047】
(窪み部11d)
とくに、シリンダー本体12の先端内面が、その先端に向かって凹むように形成されていれば、堆積した粉体を巻き上げる効果を高くできるので望ましい。つまり、シリンダー本体12は、攪拌翼収容部12kよりも先端側に、攪拌翼収容部12kからシリンダー本体12の先端に向かって凹んだ窪み部11dを備えていることが望ましい。かかる窪み部11dを設けておけば、攪拌翼15とシリンダー本体12の先端内面との間にスラリーの流れを生じさせる十分な空間を形成することができる。つまり、攪拌翼15が回転したときに、攪拌翼15で発生したスラリーの流れの一部を、シリンダー本体12の先端内面に向かって流すことができる。その流れは、シリンダー本体12の先端内面で反転して、シリンダー本体12の先端から基端に向かう流れとなって攪拌翼収容部12kに流入し、攪拌翼15によって攪拌される。つまり、邪魔板20だけでなく、窪み部11dの効果によって、攪拌翼15で発生する周方向の流れを軸方向の流れに変換することができる。すると、シリンダー本体12の先端内面に向かって粉体が沈降しても、沈降した粉体を再び巻き上げることができるから、比重の高い粉体を含むスラリーであっても、均一な濃度とすることが可能となる。しかも、反転流の影響で、先端側空間12a内で発生するスラリーの流れをより複雑にできるので、スラリーを攪拌する効果(つまりスラリーの濃度を均一にする効果)を高めることができる。
【0048】
とくに、窪み部11dが、シリンダー本体11の中央から内側面に向かうにしたがって基端側に傾斜する傾斜面ipを備えていることが望ましい。かかる傾斜面ipが設けられていれば、シリンダー本体12の先端から基端に向かう流れを形成しやすくなるので、沈降した粉体を巻き上げる効果をより高くできる。
【0049】
さらに、窪み部11dは、傾斜面ipに加えて、その中央部に、シリンダー本体12の軸方向と直交する中央平坦面ppを備えていることが望ましい。かかる中央平坦面ppを設ければ、傾斜面ipだけを設けるよりも、撹拌翼で生じた下向きの流れを効果的に上昇させることが可能となる点で好ましい。
【0050】
(邪魔板20について)
攪拌翼収容部12kに設ける邪魔板20の数はとくに限定されず、シリンダー本体12の大きさやスラリーの性質(例えば粉体の素材等)に応じて適宜設計される。しかし、攪拌翼15が回転した際にスラリーを攪拌する効果を高くする上では、攪拌翼15は、2〜6枚とすることが望ましい。
【0051】
また、複数枚の邪魔板20の高さH(つまりシリンダー本体12の軸方向の長さH)はとくに限定されず、シリンダー本体12の大きさやスラリーの性質(例えば粉体の素材等)に応じて適宜設計すればよい。しかし、攪拌翼15が回転したときに、スラリーを攪拌する効果を高くする上では、邪魔板20の高さHは、シリンダー本体12の攪拌翼収容部12kの内径Dに対して、0.2〜0.3Dとなるように形成することが望ましい。
【0052】
さらに、複数枚の邪魔板20の幅W(つまり攪拌翼収容部12k内への突出量W)はとくに限定されず、シリンダー本体12の大きさやスラリーの性質(例えば粉体の素材等)に応じて適宜設計すればよい。しかし、攪拌翼15が回転したときに、スラリーを攪拌する効果を高くする上では、邪魔板20の幅Wは、シリンダー本体12の攪拌翼収容部12kの内径Dに対して、0.05〜0.15Dとなるように形成することが望ましい。
【0053】
さらに、複数枚の邪魔板20は、その表面がシリンダー本体12の軸方向と平行となるように配設する。
【0054】
(攪拌翼15について)
なお、攪拌翼15に設ける翼板15bの数はとくに限定されず、シリンダー本体12の大きさやスラリーの性質(例えば粉体の素材等)に応じて適宜設計すればよい。しかし、攪拌翼15が回転したときに、スラリーを攪拌する効果を高くする上では、2〜6枚とすることが望ましい。
【0055】
なお、複数枚の翼板15bの翼幅Lは、シリンダー本体12の大きさやスラリーの性質(例えば粉体の素材等)に応じて適宜設計すればよい。しかし、攪拌翼15が回転したときに、スラリーを攪拌する効果を高くする上では、シリンダー本体12の攪拌翼収容部12kの内径Dに対して、0.2D〜0.3Dとなるように形成することが望ましい。
【0056】
また、複数枚の翼板15bの高さもとくに限定されず、一般的な攪拌翼と同等程度、具体的には、翼幅Lに対して、0.5〜1.0Lとなるように形成すればよい。とくに、上記範囲であって、複数枚の翼板15bの高さが、複数の邪魔板20の高さよりも短くなるように形成されていることが望ましい。この場合、翼板15bをシリンダー本体12の軸方向において、複数の邪魔板20におけるシリンダー本体12の軸方向の両端縁間に位置するように配設することができる。すると、攪拌翼15の回転によって発生するスラリーの流れを効果的に邪魔板20と干渉させることができるので、スラリーを攪拌する効果を高くすることができる。
【0057】
さらに、複数枚の翼板15bの表面の傾きもとくに限定されないが、その表面の傾きが駆動軸14の軸方向(つまりシリンダー本体12の軸方向)に対して40〜50°となるように設けていることが望ましい。この場合、シリンダー本体12の軸方向の流れと周方向の流れのバランスを適切にすることができるので、攪拌効果や巻き上げ効果を高くすることができる。
【0058】
(スラリー供給位置)
スラリーは、先端側空間12aと外部を連通する先端側連通孔を通して、スラリー供給手段2から先端側空間12aに供給される。この先端側連通孔を設ける位置はとくに限定されないが、少なくとも、ピストン13が下限(先端側の移動限界)まで移動した際でも、ピストン13によって塞がれない位置に設けられる。つまり、この先端側連通孔は、ピストン13の下限位置よりも先端側に設けられる。このように先端側連通孔を設けておけば、ピストン13が下限まで移動した状態でも、先端側連通孔を通してスラリー供給手段2からスラリーを供給できる。したがって、ピストン13の位置に係らず、スラリー供給手段2から供給されるスラリーの圧力によって、ピストン13を基端側に向かって移動させることができる。
【0059】
(作動流体供給位置)
また、作動流体は、基端側空間12bと外部を連通する基端側連通孔を通して、ポンプ駆動手段3から基端側空間12bに供給される。この基端側連通孔を設ける位置はとくに限定されないが、少なくとも、ピストン13が上限(基端側の移動限界)まで移動した際でも、ピストン13によって塞がれない位置に設けられる。つまり、この基端側連通孔は、ピストン13の上限位置よりも基端側に設けられる。このように基端側連通孔を設けておけば、ピストン13が上限まで移動した状態でも、基端側連通孔を通してポンプ駆動手段3から作動流体を供給できる。したがって、ピストン13の位置に係らず、ポンプ駆動手段3から供給される作動流体の圧力によって、ピストン13を先端側に向かって移動させることができる。
【0060】
(作動流体排出位置)
なお、上述した基端側連通孔は、スラリーによってピストン13が基端側に移動された際に、作動流体を外部に排出するための孔としても機能する。しかし、ポンプ駆動手段3から作動流体を供給する孔と、作動流体を排出する孔を別に設ければ、動作性が向上する等の点で好ましい。
【0061】
(移動規制部材13s)
ピストン13の移動量は、先端側空間12aに供給されるスラリーの量と、基端側空間12aに供給される作動流体の量を調整すれば調整できる。しかし、ピストン13が攪拌翼15や邪魔板20等に衝突するなどの問題を防ぐ上では、機械的にピストン13の移動量を制限する機構を設けておくことが望ましい。例えば、図1に示すように、ピストン13に先端が連結され他端がシリンダー本体12の基端から突出した移動規制棒aと、移動規制棒aの基端に取り付けられたリミットスイッチsと、を有する移動規制機構16を設ける。すると、リミットスイッチsがシリンダー本体12の基端と当たる位置までしかピストン13は移動できないので、リミットスイッチsの位置を調整すれば、ピストン13が攪拌翼15や邪魔板20等に衝突するなどの問題を確実に防ぐことができる。
【0062】
(その他)
上記例では、駆動軸14や攪拌翼収容部12kの中心軸が、シリンダー本体12の中心軸と同軸の場合を説明した。しかし、駆動軸14や攪拌翼収容部12kの中心軸と、シリンダー本体12の中心軸は、必ずしも同軸でなくもよい。この場合、撹拌翼径が小さくなり内部撹拌効率が低下することが懸念されるが、スラリーの種類や排出口の位置によっては、かかる構造を採用することも可能である。
【実施例】
【0063】
本発明のスラリー送液装置において、スラリーを攪拌して均一な濃度とすることができることを数値シミュレーションにより確認した。
【0064】
数値シミュレーションでは、本発明のスラリー送液装置と、従来のスラリー送液装置(攪拌機構有)で、スラリーを攪拌した場合の濃度を調べた。
【0065】
使用したモデルを図4に示す。
図4(A)は本発明のスラリー送液装置のモデル(本モデル)である。本モデルは、直径105mmの内径を有するシリンダー内に、4か所の邪魔板をシリンダーの軸周りに90度間隔で設けたものである。そして、邪魔板を設けた位置に、攪拌翼を設けている。
なお、邪魔板および攪拌翼のスペックは以下のとおりである。

1)邪魔板
高さ:30mm
幅 :10mm
2)攪拌翼
外径 :65mm
高さ :30mm
羽根幅 :32.5mm
翼の傾き:45°
【0066】
一方、図4(B)は従来のスラリー送液装置のモデル(比較モデル)である。比較モデルは、直径80mmの内径を有するシリンダー内に、攪拌翼だけを設けたものである。
比較モデルの攪拌翼のスペックは以下のとおりである。

1)攪拌翼
外径 :40mm
高さ :10mm
羽根幅 :20mm
翼の傾き:45°
【0067】
数値シミュレーションは、ANSYS CFXを用いて行った。計算では、スラリーの濃度は530g/Lとし、液体には1200g/L、粉体には高比重のニッケル粒子、を使用した。
【0068】
図5に結果を示す。
図5(B)に示すように、比較モデルでは、攪拌翼を回転させても旋回流が生じるだけであり、スラリーの濃度は底部が高いままであった。つまり、堆積した粉体を巻き上げて、スラリーの濃度を均一にする効果はほとんど得られなかった。
【0069】
一方、図5(A)に示すように、本モデルでは、攪拌翼を回転させることによって、旋回流と軸方向への流れが生じていることが確認できた。そして、スラリーの濃度も全体として高くなり、スラリー濃度の均一化が進んでいることが確認された。
【0070】
以上の結果より、本発明のスラリー送液装置を採用することによって、沈澱速度の大きい粉体を含むスラリーであっても、スラリー濃度を均一にできることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のスラリー送液装置は、ニッケル粉やその他金属粉を製造する設備のように、粉体を含む少量のスラリーを高圧で送液することが必要とされる設備において、スラリーを送液する装置に適している。
【符号の説明】
【0072】
1 スラリー送液設備
2 スラリー供給手段
3 ポンプ駆動手段
駆動軸作動手段
10 スラリー送液装置
11 シリンダー式ポンプ
12 シリンダー本体
13 ピストン
14 駆動軸
15 攪拌翼
20 邪魔板

図1
図2
図3
図4
図5