(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、「ペット」とは人に飼育されている動物をいう。より狭義の意味では、ペットは飼い主に愛玩される動物である。また、「ペットフード」とは、ペット用の飼料をいう。本発明にかかるペットフードを「動物用飼料」又は「動物の餌」として販売することが可能である。
本明細書において「嗜好性」とは、ペットに好まれて食されるか否かの指標であり、食感及び/又は食味及び/又は香などに起因する。
本明細書において、粉(パウダー)の「コーティング」とは、粉(パウダー)を粒の表面に付与して、粒の表面に付着させることを意味する。
本明細書において、液の「コーティング」とは、液を粒の表面に付与して、粒の表面に付着させることを意味し、付与した液の一部または全部が粒に浸み込む場合も含む。例えば、油脂の「コーティング」とは、油脂を粒の表面に付与して、粒に付着させることを意味し、付与した油脂の一部または全部が粒に浸み込む(含浸される)場合を含む。
【0009】
[水分含有量の測定方法]
本明細書において、水分含有量の値は常圧加熱乾燥法で得られる値である。
常圧加熱乾燥法は、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを分析試料とし、分析試料2〜5gを正確に量ってアルミニウム製秤量皿に入れ、135℃で2時間分析試料を乾燥し、デシケーター中で放冷後、分析試料の重さを正確に量って、乾燥前後の分析試料の重量差から水分含有量を求める。
より具体的には、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを分析試料とする。アルミ秤量缶の質量(W1グラム)を恒量値として予め測定する。このアルミ秤量缶に分析試料を入れて質量(W2グラム)を秤量する。つぎに強制循環式の温風乾燥器を使用して、135℃で2時間分析試料を乾燥させる。乾燥雰囲気中(シリカゲルデシケーター中)で分析試料を放冷した後、質量(W3グラム)を秤量する。得られた各質量から下記式を用いて分析試料の水分含有量を求める。
分析試料の水分含有量(単位:質量%)=(W2−W3)÷(W2−W1)×100
水分含有量は、最終製品を製造日から30日以内に開封した直後に測定した値、又はこれと同等の条件で測定した値とする。
【0010】
<ペットフードの製造方法>
本実施形態に係るペットフードの製造方法は、大豆たんぱくを含む大豆たんぱく粒を容器に投入する工程(A)と、前記大豆たんぱく粒が入った前記容器に、液体原料を投入する工程(B)と、前記容器に投入した前記大豆たんぱく粒に、前記液体原料を含浸させ、前記液体原料の含有量が、前記大豆たんぱく粒100質量部に対して、40質量部〜150質量部である湿潤大豆たんぱく粒を得る工程(C)と、を有するペットフードの製造方法である。
【0011】
<工程(A):大豆たんぱく粒投入工程>
工程(A)は、大豆たんぱく粒を容器に投入する工程である。
【0012】
≪大豆たんぱく粒≫
大豆たんぱく粒は、少なくとも大豆たんぱく質を含有する原材料が含まれている粒である。該大豆たんぱく質を含有する原材料としては、大豆、分離大豆タンパク、発酵大豆粕、脱脂大豆、濃縮大豆タンパク等が挙げられる。本実施形態において、該大豆たんぱく質を含有する原材料として、脱脂大豆を用いることが好ましい。該大豆たんぱく質を含有する原材料は、大豆たんぱく粒に50質量%以上含有することが好ましく、75質量%以上含有することがより好ましく、100質量%含有することがさらに好ましい。
大豆たんぱく粒における大豆たんぱく質を含有する原材料以外の原材料としては、小麦粉、小麦グルテン、トウモロコシ、コーングルテンミール等の穀類;チキンミール、ミートミール、フィッシュミール等の動物性タンパク原料;牛脂、パーム油、大豆油等の油脂類などが挙げられる。
【0013】
≪容器≫
容器は、一定量の大豆たんぱく粒と液体原料をこぼすことなく収容できるものであり、かつ、大豆たんぱく粒と液体原料こぼすことなく混合・攪拌することができる大きさの入れ物をいう。例えば、タンク、コーティング釜、ビニール袋などが挙げられる。
【0014】
<工程(B):液体原料投入工程>
工程(B)は、前記大豆たんぱく粒が入った前記容器に、液体原料を投入する工程である。
【0015】
≪液体原料≫
液体原料(半固形原料も含む)として、具体的には、水、油脂(鶏油(チキンオイル)、豚脂(ラード)、牛脂(タロー)、乳性脂肪、魚油等の動物性油脂;オリーブ油、カカオ油、パーム油、パーム核油、ココナッツ油、ヤシ油、つばき油等の植物性油脂)、液体嗜好性向上剤、液糖、保湿剤、保存料、乳化剤、香料、着色剤等が挙げられる。
本実施形態に係る液体原料としては、糖アルコール、グリセリン、糖類等を含むことが好ましい。
液体原料として糖アルコールや糖質などの糖類を用いると大豆たんぱく粒が甘くなるため、ペットの嗜好性を上げることができ、ペットの食いつきが良くなる。一方、糖アルコールおよびグリセリンは、保湿効果があるため、液体原料として用いることによりペットフードの水分含有量を所望の範囲に保ちやすくなる。
【0016】
工程(A)と工程(B)は、順番を問わない。工程(A)の後に、工程(B)を実施してもよく、工程(B)の後に、工程(A)を実施してもよい。また、工程(A)と工程(B)を同時に実施してもよい。
【0017】
<工程(C):液体原料コーティング工程>
工程(C)は、前記容器に投入した前記大豆たんぱく粒に、前記液体原料を含浸させ、前記液体原料の含有量が、前記大豆たんぱく粒100質量部に対して、40質量部〜150質量部である湿潤大豆たんぱく粒を得る工程である。
【0018】
≪湿潤大豆たんぱく粒≫
湿潤大豆たんぱく粒は、上記大豆たんぱく粒に上記液体原料をコーティング(含侵)したものである。
【0019】
大豆たんぱく粒に、液体原料を含浸させる方法としては、例えば、タンク等の容器内で大豆たんぱく粒と液体原料を撹拌する方法、大豆たんぱく粒と液体原料が投入された容器を振動させる方法、または、真空コート法等が挙げられる。
【0020】
真空コート法は、加温した大豆たんぱく粒と液体原料等を接触又は付着させた状態で、減圧する方法である。真空コート法を用いることにより、大豆たんぱく粒の表面だけでなく、大豆たんぱく粒の内部へ液体原料を含浸させることができる。
真空コート法における減圧の程度は、特に限定されない。大豆たんぱく粒の大きさや硬さに応じて適宜調整すればよく、例えば0.1〜0.3気圧まで減圧する程度が挙げられる。
【0021】
液体原料を大豆たんぱく粒にコーティングする際の大豆たんぱく粒の温度は、15〜70℃が好ましく、20〜55℃がより好ましく、25〜40℃がさらに好ましい。その際の液体原料は30〜60℃が好ましく、35〜55℃がより好ましく、40〜50℃がさらに好ましい。大豆たんぱく粒の温度が上記の範囲であると、大豆たんぱく粒にコーティングされる液体原料の量(コーティング量)を多くし易い。
【0022】
前記工程(C)は、大豆たんぱく粒に前記液体原料を2分〜8分含浸させ、前記湿潤大豆たんぱく粒を得ることが好ましい。大豆たんぱく粒に前記液体原料を含浸させる時間は、2〜6分がより好ましく、2〜4分がさらに好ましい。
工程(C)において、大豆たんぱく粒に前記液体原料を含浸させる時間を上記の好ましい範囲内とすることと、より確実に、大豆たんぱく粒に従来よりも多い量の液体原料を含浸させ、ペットフードの嗜好性を向上させることができる。
【0023】
本実施形態に係る製造方法は、上記工程(A)〜(C)に加えて、前記湿潤大豆たんぱく粒に、パウダー状嗜好性向上剤をコーティングさせる工程(D)をさらに有することが好ましい。
上記工程(D)を行うことにより、大豆たんぱく粒をコーティングする液体原料の量を調節しつつ、パウダー状嗜好性向上剤を適度にまぶすことを可能とする。本実施形態においては、パウダー状嗜好性向上剤が粒から脱落しにくいので、より嗜好性を向上できる。
また、工程(D)を行って得られるペットフードは、肉の様な外観があるので、ペットフードを購入する需要者に対しての訴求力を高めることができる。
大豆たんぱく粒自体は、外観が白く、肉のような外観ではない。しかしながら、上述の通り、従来のようにエクストルーダー等で連続式に大豆たんぱく粒を含むペットフードを製造する方法では、大豆たんぱく粒油脂又は嗜好性向上剤を一定量しかコーティングできなかった。
一方、本実施形態の製造方法によれば、従来よりも多い量の液体原料を大豆たんぱく粒に含浸させることができる。そのため、本実施形態においては、工程(D)において、従来よりもパウダー状嗜好性向上剤が多くコーティングすることができ、外観が茶色〜赤色になり、より肉のような外観を呈するペットフードを得ることができる。
液体原料の量が多すぎると、粒同士が付着してしまい、液体原料の量が少なすぎると、パウダー状嗜好性向上剤が粒に付着しない。そのため、工程(D)において、液体原料の含有量は、前記大豆たんぱく粒100質量部に対して、40質量部以上であることが好ましく、55質量部以上であることがより好ましい。
【0024】
≪パウダー(パウダー状嗜好性向上剤)≫
本実施形態において、パウダー状嗜好性向上剤として、より具体的には、動物原料エキス、植物原料エキス、酵母エキス、酵母の乾燥物等の粉末状のものが挙げられる。
【0025】
<工程(D):パウダーコーティング工程>
前記湿潤大豆たんぱく粒に、パウダー状嗜好性向上剤を付着させる方法としては、前記湿潤大豆たんぱく粒と、パウダー状嗜好性向上剤とを、タンク等の容器に入れ撹拌器で撹拌する方法、前記容器を振動させる方法等が挙げられる。
【0026】
パウダー状嗜好性向上剤を前記湿潤大豆たんぱく粒にコーティングさせる際の前記湿潤大豆たんぱく粒の温度は、15〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。その際のパウダー状嗜好性向上剤は5〜40℃が好ましく、10℃〜35℃がより好ましく、15℃〜30℃がさらに好ましい。前記湿潤大豆たんぱく粒の温度が上記の範囲であると、前記湿潤大豆たんぱく粒に付着されるパウダー状嗜好性向上剤の被覆量(パウダーコーティング量)が多くなり易い。
【0027】
工程(C)において湿潤大豆たんぱく粒を得てから工程(D)を開始するまでの時間は、10分未満であることが好ましく、9分以下であることがより好ましく、8分以下であることが更に好ましい。
工程(D)を開始するまでの時間が上記の好ましい範囲内であると、パウダー状嗜好性向上剤が粒から脱落することをより確実に防止しやすい。
【0028】
以上説明した本実施形態の製造方法によれば、大豆たんぱく粒を含むペットフードにおいて、従来よりも多い量の液体原料を大豆たんぱく粒に含浸させることにより、嗜好性が向上したペットフードを提供できる。
従来、大豆たんぱく粒を含むペットフードは、エクストルーダーにより連続的に製造されていた。そのため、大豆たんぱく粒には、油脂又は嗜好性向上剤を一定量しかコーティングできなかった。
本実施形態の製造方法によれば、上記工程(A)〜(C)により、バッチ式に液体原料を大豆たんぱく粒に含浸させる。そのため、従来よりも多い量の液体原料を含浸させることができ、嗜好性が向上したペットフードが得られる。
【0029】
<大豆たんぱく粒の製造方法>
本実施形態における大豆たんぱく粒は、例えば、後述の公知の方法により製造することができる。
【0030】
[造粒工程]
造粒工程は、原料混合物を造粒して大豆たんぱく粒を得る工程である。
造粒工程としては、原料を混合して原料混合物とし、該原料混合物を粒状に成形(造粒)する方法等が挙げられる。
造粒工程とし、具体的には、エクストルーダーを用いて大豆たんぱく粒(膨化粒)を製造する方法が挙げられる。
エクストルーダーを用いて粒を製造する方法は、例えば「小動物の臨床栄養学 第5版」(Michael S. Hand、Craig D. Thatcher, Rebecca L. Remillard, Philip Roudebusg、Bruce J. Novotny 編集、Mark Morris Associates 発行;2014年;p.209〜p.215)に記載されている方法が適用できる。
【0031】
エクストルーダーを用いて大豆たんぱく粒を製造する方法の例を説明する。まず、大豆たんぱく粒の原料を、必要に応じて粉砕した後、混合する。グラインダー等を用いて粉砕しつつ混合してもよい。また必要に応じて水(製造工程中で揮発し、最終的に原料組成には含まれない)を加えて原料混合物を得る。
得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、加熱、加圧した後、出口から押し出す。出口には所定の形状の穴が形成されたプレートと、該プレートから押し出された原料混合物を所定の長さ(厚さ)に切断するカッターが設けられている。原料混合物は該プレートの穴から押し出され、カッターで切断されることにより所定の形状に成形されると同時に、加圧状態から常圧に開放されることによって原料混合物中の水蒸気が膨張し、これによって原料混合物が膨化して多孔質の大豆たんぱく粒が得られる。
【0032】
[乾燥工程]
乾燥工程は、上記造粒工程により、得られた大豆たんぱく粒を乾燥する工程である。
大豆たんぱく粒を乾燥する方法としては、自然に乾燥させる方法、温風を吹き付けて乾燥させる方法、減圧して乾燥させる方法、フリーズドライで乾燥させる方法等の公知の方法が挙げられる。これらの乾燥方法の中でも、温風を吹き付けて乾燥させる方法が、大豆たんぱく粒の風味を向上させる点で好ましい。
【0033】
乾燥する際の大豆たんぱく粒の温度及び大豆たんぱく粒に吹き付ける温風の温度は特に限定されない。例えば、温風の温度としては、150℃以下が好ましい。また、温風の温度の下限値は特に限定されず、通常は室温を超える温度であり、30℃以上であることが好ましい。この温度範囲で乾燥させる場合、当該加熱処理の時間は、1分〜120分が好ましい。
上記温度範囲及び時間範囲の下限値以上であると、比較的短時間で大豆たんぱく粒を乾燥させることができる。上記温度範囲の上限値以下であると、大豆たんぱく粒が過度に加熱されることを防げる。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
(大豆たんぱく粒の製造)
大豆たんぱく粒の原料として脱脂大豆を用いた。大豆たんぱく粒の原料をエクストルーダーに投入し、混練しながら100〜160℃で、1〜5分間の加熱処理を施してデンプン成分をアルファ化及び大豆たんぱくの組織化をし、エクストルーダーの出口で粒状に押出造粒すると同時に膨化させた。得られた粒を乾燥機を用いて、90℃で20分間の乾燥処理を行い、大豆たんぱく粒を得た。
【0036】
(試験例1〜5:ペットフードの製造例)
<工程(A):大豆たんぱく粒投入工程>
上記で得られた大豆たんぱく粒をコーティング釜に投入した。
【0037】
<工程(B):液体原料投入工程>
前記工程(A)に次いで、粒重量が総計で100gとなるよう、表1に示す液体原料組成の液体原料と各例の大豆たんぱく粒を表2の質量比となる量の液体原料をコーティング釜に投入した。
【0038】
【表1】
【0039】
<工程(C):液体原料コーティング工程>
コーティング釜中の大豆たんぱく粒及び液体原料を混合および攪拌し、液体原料を大豆たんぱく粒に含浸させることにより、各例の湿潤大豆たんぱく粒を得た。なお、水分含有量は、上記に記載の方法により測定した。
【0040】
【表2】
【0041】
試験例1〜5で得られた湿潤大豆たんぱく粒は、いずれも工程(B)でコーティング釜に投入した液体原料のほぼ全量が大豆たんぱく粒に含浸されていることを目視で確認した。
【0042】
(試験例6〜11:大豆たんぱく粒に対する液体原料の含浸量の評価)
工程(C)の液体原料の含浸(コーティング)時間による、大豆たんぱく粒に対する液体原料の含浸量を評価した。
大豆たんぱく粒60gに対して、表1に示す組成の液体原料40gを混合および攪拌し、所定の含浸時間で攪拌した後、容器に残った残存物の質量を測定した。結果を表3に示す。
当該評価において、容器は、ビニール製の袋を用いた。空の容器の質量を測定し、大豆たんぱく粒と液体原料を混合・攪拌して、湿潤大豆たんぱく粒を得た。そして、湿潤大豆たんぱく粒を容器から回収し、再度、容器の質量を測定した。容器に残った残存物の質量は、下記式より求めた。
容器に残った残存物の質量(g)=[湿潤大豆たんぱく粒を回収後の容器の質量(g)]−[空の容器の質量(g)]
含浸時間は、大豆たんぱく粒の全量と液体原料の全量が同じビニール袋内に入った時点から測定した。各試験例の含浸時間が経過した後、ビニール袋内から湿潤大豆たんぱく粒をすぐに取り除き、残存物の質量を計測した。含浸時間中は、ビニール袋に空気を入れた状態でビニール袋の口をふさぎ、人力で上下に振って攪拌した。
各例において、容器に残った残存物の質量(g)2回ずつ測定し、その平均値を表3に示した。容器に残った残存物の質量を測定する際に用いた機器は、MettlerAE200(メトラー・トレド株式会社製)である。
【0043】
【表3】
【0044】
工程(C)における含浸時間が120秒以上の試験例9〜11では、容器に残る残存物の量が低減されることが確認された。なお、撹拌時間が180秒を超えると、残存物の量に変化は見られなかった。
【0045】
(試験例12〜16:パウダー状嗜好性向上剤の脱落量の評価)
工程(C)において湿潤大豆たんぱく粒を得てから工程(D)を開始するまでの時間の違いによるパウダー状嗜好性向上剤の脱落量の評価をした。試験例12〜16では、大豆たんぱく粒を2400g、表1に示す配合の液体原料を1440g混合および攪拌し、湿潤大豆たんぱく粒を作製した。その後、表4に示す静置時間(3分、4分、8分、10分、20分)で湿潤大豆たんぱく粒を静置した後、湿潤大豆たんぱく粒にパウダー(パウダー状嗜好性向上剤)160gをコーティングさせた。パウダー(パウダー状嗜好性向上剤)をコーティングさせた湿潤大豆たんぱく粒を目開き710μmの篩で篩い、パウダーの脱落量を測定し、工程(C)において湿潤大豆たんぱく粒を得てから工程(D)を開始するまでの時間の長さによる、パウダーの脱落比率(%)を確認した。液体原料の温度は、すべて40℃の液体原料を用いた。パウダーの脱落比率は、下記式より求めた。結果を表4に示す。
パウダーの脱落比率(%)={[パウダー脱落量(g)]/[パウダーコーティング量(160g)]}×100
【0046】
【表4】
【0047】
表4に示す通り、静置時間が8分以内だと、パウダーの脱落が見られなかった。
【0048】
(試験例17〜18:液体原料の含浸量の違いによる嗜好性の評価)
大豆たんぱく粒100質量部に対して、液体原料を10質量部含浸させた湿潤大豆たんぱく粒を試験例17とし、大豆たんぱく粒100質量部に対して、液体原料を40質量部含浸させた湿潤大豆たんぱく粒を試験例18として、嗜好性の評価をした。
評価試験は、小型犬9頭を用いて、2日間行った。試験例17および試験例18を同時にお皿に並べて給与した。摂食量は、下記計算式から得た。
摂食量(g)=100g(給与前の各例の質量)−給与後残存物の質量(g)
評価試験の結果を表5に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
上記結果から、小型犬毎に、摂食量/総量を求め、嗜好性を評価した。試験例17については、小型犬毎に、1日目と2日目の値を算出し、試験例18は、1から試験例17の平均を引いた値を算出した。嗜好性評価の結果を表6に示す。
液体原料の含有量が、大豆たんぱく粒100質量部に対して、10質量部である試験例17よりも、液体原料の含有量が、大豆たんぱく粒100質量部に対して、40質量部である試験例18のほうが、嗜好性が高いことが明らかとなった。
また、最初に食いついた小型犬の頭数は、1日目および2日目の総計で、(試験例17):(試験例18)=4:14となり、試験例18のほうがより好まれることが分かった。
試験例18は、試験例17よりもパウダー状嗜好性向上剤が多くコーティングすることができ、外観が茶色〜赤色で、より肉のような外観を呈していたため、このような結果が得られたと考えられる。
【0051】
【表6】
【0052】
本発明によれば、大豆たんぱく粒を含み、嗜好性が向上したペットフードの製造方法を提供することが出来る。
【解決手段】大豆たんぱくを含む大豆たんぱく粒を容器に投入する工程(A)と、前記大豆たんぱく粒が入った前記容器に、液体原料を投入する工程(B)と、前記容器に投入した前記大豆たんぱく粒に、前記液体原料を含浸させ、前記液体原料の含有量が、前記大豆たんぱく粒100質量部に対して、40質量部〜150質量部である湿潤大豆たんぱく粒を得る工程(C)と、を有するペットフードの製造方法。